JP2014033009A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 Download PDF

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JP2014033009A JP2012171224A JP2012171224A JP2014033009A JP 2014033009 A JP2014033009 A JP 2014033009A JP 2012171224 A JP2012171224 A JP 2012171224A JP 2012171224 A JP2012171224 A JP 2012171224A JP 2014033009 A JP2014033009 A JP 2014033009A
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正剛 岩▲崎▼
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Abstract

【課題】発光層と共に使用することで電流効率を高めることができる機能層を有する有機EL素子を提供する。
【解決手段】陽極と陰極とを有し、陽極と陰極との間に発光性有機化合物を含む発光層と陽極に接する機能層とを有する有機EL素子であって、機能層は、式
Figure 2014033009

(1)で表される化合物と化合物を溶解する溶媒とを含む液を陽極上に塗布及び成膜して形成されたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は有機エレクトロルミネッセンス素子に関し、特に機能層の成分として電荷受容性化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」という。)を用いた有機発光ディスプレイが注目されている。有機発光ディスプレイに用いられる有機EL素子は、陽極と、陰極と、該陽極及び該陰極間に配置される発光性有機化合物を含む層とを有する素子である。有機EL素子においては、発光性有機化合物中で、陰極から供給される電子と陽極から供給される正孔とが結合し、該結合により発生するエネルギーは、光として素子の外部へ取り出される。
有機EL素子の例として、上記発光性有機化合物が発光性高分子化合物である有機EL素子(以下、「高分子EL素子」ということがある。)が知られている。高分子EL素子は、湿式塗布により簡便に発光層を形成することが出来るので、大面積化や低コスト化を図るために有利である。
有機EL素子の分野では、発光輝度を向上させることが課題とされている。発光輝度を向上させるためには、低い駆動電圧によってできるだけ多量の電子及び正孔、即ち電荷を発光性有機化合物に供給することが有効である。
特許文献1及び2には、陽極と陰極とを有し、該陽極と該陰極の間に、発光層と電荷受容性化合物を含む機能層を有する有機EL素子が記載されている。電荷受容性化合物を含む機能層は、有機EL素子の発光性有機化合物に対する電荷注入性を向上させることを目的として形成されたものである。電荷受容性化合物の具体例として、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN6)及びその誘導体が記載されている。特許文献1及び2では、有機EL素子を製造する際に、陽極の上にHAT−CN6を真空蒸着することにより正孔注入層が形成されている。
特表2006−503443号公報 特開2006−49393号公報
しかしながら、真空蒸着したHAT−CN6を正孔注入層として使用した有機EL素子は駆動時の電流効率が低く、発光輝度が未だ十分でない。
本発明の目的は、発光層と共に使用することで電流効率を高めることができる機能層を有する有機EL素子を提供することにある。ここで、機能層とは、有機EL素子の陽極と陰極の間に形成され、有機EL素子の発光現象に寄与する機能を奏する層をいう。
本発明は、陽極と陰極とを有し、該陽極と該陰極との間に発光性有機化合物を含む発光層と該陽極に接する機能層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
該機能層は、式
Figure 2014033009
(1)
[式中、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、アリールアミノ基、カルボキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルケニル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルコキシル基、炭素数6〜30の置換あるいは無置換のアリール基、炭素数2〜30の置換あるいは無置換の複素環基、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、またはシリル基を表す。]
で表される化合物と該化合物を溶解する溶媒とを含む液を陽極上に塗布及び成膜して形成されたものである有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
ある一形態においては、前記R、R、R、R、R及びRがシアノ基である。
ある一形態においては、前記陽極がITOである。
ある一形態においては、前記発光性有機化合物が高分子化合物である。
ある一形態においては、前記機能層と前記発光層との間に正孔輸送性化合物からなる正孔輸送層を有する。
ある一形態においては、前記正孔輸送性化合物が高分子化合物である。
また、本発明は、陽極と陰極とを有し、該陽極と該陰極との間に発光性有機化合物を含む発光層と該陽極に接する機能層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
該陽極上に、式
Figure 2014033009
(1)
[式中、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、アリールアミノ基、カルボキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルケニル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルコキシル基、炭素数6〜30の置換あるいは無置換のアリール基、炭素数2〜30の置換あるいは無置換の複素環基、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、またはシリル基を表す。]
で表される化合物と該化合物を溶解する溶媒とを含む液を塗布及び成膜して機能層を形成する工程を包含する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供する。
また、本発明は、式
Figure 2014033009
(1)
[式中、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、アリールアミノ基、カルボキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルケニル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルコキシル基、炭素数6〜30の置換あるいは無置換のアリール基、炭素数2〜30の置換あるいは無置換の複素環基、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、またはシリル基を表す。]
で表される化合物と該化合物を溶解する溶媒とを含み、該溶媒がカルボニトリルである液を提供する。
ある一形態においては、前記R、R、R、R、R及びRがシアノ基である。
ある一形態においては、前記カルボニトリルがアセトニトリルである。
ある一形態においては、前記液は、さらに、正孔輸送性化合物を含む。
ある一形態においては、前記正孔輸送性化合物がアリールアミンである。
ある一形態においては、前記正孔輸送性化合物が高分子化合物である。
ある一形態においては、前記液は、式(1)で表される化合物と該化合物を溶解する溶媒とを含む液として、前記有機エレクトロルミネッセンス素子に使用される。
ある一形態においては、前記液は、式(1)で表される化合物と該化合物を溶解する溶媒とを含む液として、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に使用される。
発光層と共に本発明の機能層を使用した有機EL素子は、駆動時の電流効率が高く、高い発光輝度が得られる。
本発明の一実施形態である有機EL素子の構造を示す模式断面図である。
1.機能層
本発明の有機EL素子に使用する機能層は上記式(1)で表される化合物を含有する。式(1)で表される化合物は電荷受容性化合物である。有機EL素子の機能層として電荷受容性化合物を含む層を配置することによって、発光性有機化合物に対する電荷の供給が促進される。
式(1)中の置換基R〜Rの種類は、組み合わせて使用される本発明の組成物中の化合物、又は組み合わせて使用される本発明の有機EL素子の機能層に含まれる化合物との関係を考慮して、式(1)で表される化合物による発光性有機化合物に対する電荷の供給が最適になるように選択される。
例えば、式(1)中の置換基R〜Rは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、アリールアミノ基、カルボキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルケニル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルコキシル基、炭素数6〜30の置換あるいは無置換のアリール基、炭素数2〜30の置換あるいは無置換の複素環基、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、またはシリル基である。
好ましくは、式(1)中の置換基R〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アミノ基、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基である。
より好ましくは、式(1)中の置換基R〜Rはシアノ基である。この場合、式(1)で表される化合物は1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN6)である。
式(1)で表される化合物を有機EL素子の機能層として使用する場合、式(1)で表される化合物は溶媒に溶解されて液の状態で使用される。例えば、式(1)で表される化合物を含む液を塗布液として使用して、有機EL素子の所定の構成部材の上に塗布及び成膜して機能層を形成すればよい。塗布液から成膜することで機能層の厚さを均一にすることができ、膜厚を薄くした場合でも膜欠陥が生じ難くなる。
機能層の膜厚は、用いる化合物の種類又は有機EL素子中の形成位置によって最適値が異なり、電流効率及び発光効率が適度な値となるように選択すればよい。但し、少なくともピンホール等の膜欠陥が発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。該機能層の膜厚としては、例えば、1μm以下であり、好ましくは0.5〜10nmであり、さらに好ましくは1nm〜4nmである。
この機能層は陽極に接するように形成される。機能層の膜厚が薄い場合は、そうすることで、式(1)で表される化合物が当該機能層から外部に拡散し難くなる。その結果、式(1)で表される化合物は、当該機能層と組み合わせて使用される本発明の有機EL素子の機能層又は発光層に対して化学的に作用(即ち、電荷受容作用)を及ぼし難くなり、これらの層の機能の低下が防止される。
塗布液の調製に用いる溶媒は、式(1)で表される化合物を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、好ましくは、アセトニトリル、シクロプロパンカルボニトリル、アルキルアミノピリジンカルボニトリル、エチレンテトラカルボニトリル等のカルボニトリルが挙げられる。中でも好ましい溶媒はアセトリトリルである。溶媒としてカルボニトリルを使用すると、得られる有機EL素子の駆動電圧が低くなる。
塗布液は、式(1)で表される化合物の溶解性を阻害しない限り、カルボニトリルとは異なる溶媒を含有してよい。カルボニトリルと組み合わせて使用するのに好ましい溶媒の例は、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、アニソール、シクロヘキシルベンゼン、クロロホルム等である。これらは、一般に、溶媒の全量を基準にして50重量%まで、好ましくは20重量%までの量で含有される。
塗布液は、有機EL素子の機能層を形成するための組成物に通常使用される成分を更に含有してよい。そのような成分としては、高分子バインダー、酸化防止剤、反応開始剤、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
塗布液に混合してよい高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が挙げられる。
塗布液には、有機EL素子の機能層を構成するために従来から使用されてきた機能性化合物を含有させてよい。式(1)で表される化合物と組み合わせることにより、当該機能性化合物の機能が増強される場合がある。
塗布液に含有させるのに好ましい機能性化合物は、正孔輸送性化合物である。正孔輸送性化合物としては、アリールアミンが好ましい。
また、正孔輸送性化合物は高分子化合物であることが好ましい。高分子化合物は成膜性に優れるため、有機EL素子の機能層として使用する際に層形成が容易になるからである。好ましい正孔輸送性化合物は以降に本明細書において正孔輸送性化合物として説明されている重合体である。
更に、正孔輸送性化合物であるこれらの重合体は、分子内に架橋基を有することが好ましい。架橋基とは、熱及び光等のエネルギーの作用により、相互に化学結合を形成し得る基をいう。架橋基を有する重合体は、機能層として使用する際に、式(1)で表される化合物を囲む架橋されたマトリックスを形成し、その結果、式(1)で表される化合物は当該機能層の内部に閉じ込められ、当該機能層から外部に拡散し難くなる。
架橋基としては、不飽和二重結合、環状エーテル、アリールシクロブタンなどを含む基が挙げられる。架橋基の具体例には、ビニル基、エチニル基、ブテニル基、アクリロイル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイル基、メタクリロイルアミノ基、ビニルオキシ基、ビニルアミノ基、シラノール基、シクロプロピル基、シクロブチル基、エポキシ基、オキセタニル基、ジケテニル基、エピチオ基、ラクトニル基、及びラクタムニル基等が挙げられる。
尚、オキセタニル基はオキセタンから水素原子1個を除いた残基、ジケテニル基はジケテンから水素原子1個を除いた残基、エピチオ基はエピスルフィドから水素原子1個を除いた残基、ラクトニル基はラクトンから水素原子1個を除いた残基、ラクタムニル基はラクタムから水素原子1個を除いた残基をそれぞれ意味する。
好ましい架橋基は、熱反応性の架橋基である。特に好ましい架橋基はベンゾシクロブタン(BCB)から少なくとも1つの水素原子を除いた残基である。
架橋基は、正孔輸送性化合物である重合体を合成する際に、適当な架橋基を有するモノマーを所定量共重合させることにより、正孔輸送性化合物の分子内に導入される。架橋基を有するモノマーの種類及び共重合の方法は、当業者に知られているものを使用すればよい。
正孔輸送性化合物である重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量は好ましくは10,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは50,000〜700,000であり、より好ましくは100,000〜500,000である。高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量が10,000未満であると該高分子化合物を含む層の成膜性が低下する場合があり、1,000,000を超えると有機溶媒に対する溶解性が不足する場合がある。
また、この場合、上記重合体の架橋基を有する繰り返し単位の数は、該高分子化合物が含む繰り返し単位の数に対して、好ましくは1%〜50%であり、さらに好ましくは2%〜20%、より好ましくは4%〜10%である。高分子化合物の架橋基を有する繰り返し単位の数が1%未満であると該高分子化合物を含む層の硬化が不足する場合があり、50%を超えると正孔輸送能が不足する場合がある。
塗布液からの成膜は、溶液を塗布し、溶媒を乾燥させ、要すれば、架橋基を架橋させることにより行う。溶液の塗布は、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法によって行えばよい。溶媒の乾燥、架橋基の架橋は、常温下で行ってよく、必要に応じて加熱下で行ってもよい。
溶媒が除去されて形成される機能層(以下、「本発明の機能層」ということがある。)には、式(1)で表される化合物は好ましくは50重量%以上の量で含有され、さらに好ましくは70重量%以上の量で含有され、より好ましくは90重量%以上の量で含有される。機能層に含まれる式(1)で表される化合物の量が50重量%未満であると正孔輸送能が不足する場合がある。
溶媒が除去されて形成される機能層に架橋基を有する正孔輸送性化合物である重合体が含有される場合、当該重合体は好ましくは50重量%までの量で含有され、さらに好ましくは30重量%までの量で含有され、より好ましくは10重量%までの量で含有される。機能層に含まれる重合体の量が50重量%を超えると機能層に注入される正孔の量が不足する場合がある。
2.有機EL素子の構造
一つの形態において、本発明の有機EL素子は、陽極と陰極とを有し、該陽極と該陰極の間に発光性有機化合物を含む発光層及び機能層を有する。発光層を除く該機能層のうちの少なくとも一層は本発明の式(1)で表される化合物を含む液から形成される。本発明の有機EL素子の構造を以下説明する。
本発明の有機EL素子は、機能層として、例えば、該陽極と該発光層の間にこの順に形成された正孔注入層及び正孔輸送層を有する。本発明の有機EL素子は、さらに任意の機能層を備える事が出来る。例えば、発光層と正孔輸送層との間に任意に中間層を有する。
正孔注入層は陽極から正孔を注入される機能を有する層をいう。正孔輸送層は、正孔を輸送する機能、発光層等へ正孔を供給する機能、陰極から注入された電子を堰き止める機能のいずれかを有する層をいう。また、中間層とは、陽極から正孔を注入される機能、正孔を輸送する機能、発光層へ正孔を供給する機能、陰極から注入された電子を堰き止める機能の少なくとも1つ以上を有し、通常、発光層に隣接して配置され、発光層と陽極、又は発光層と正孔注入層若しくは正孔輸送層とを隔離する役割をもつ。
一方、陰極と発光層との間には、任意に電子注入層を有する事ができ、さらに、発光層と電子注入層(電子注入層が存在する場合)又は陰極(電子注入層が存在しない場合)との間に電子輸送層、正孔阻止層のうちの1層以上を有する事ができる。
ここで、陽極は、正孔注入層、正孔輸送層、インターレイヤー、発光層等に正孔を供給する電極であり、陰極は、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層、発光層等に電子を供給する電極である。
発光層とは、電界を印加した際に、陽極側に隣接する層より正孔を注入される事ができ、陰極側に隣接する層より電子を注入される事ができる機能、注入された電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能、電子と正孔の結合の場を提供し、これを発光につなげる機能を有する層をいう。
電子注入層は陰極から電子を注入される機能を有する層をいう。電子輸送層は、電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を堰き止める機能のいずれかを有する層をいう。
また、正孔阻止層とは、主に陽極から注入された正孔を堰き止める機能を有し、さらに必要に応じて陰極から電子を注入される機能、電子を輸送する機能のいずれかを有する層をいう。
なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。また、電子注入層と正孔注入層を総称して電荷注入層と呼ぶ。
本発明の有機EL素子は、通常任意の構成要素として基板をさらに有し、かかる基板の面上に前記陰極、陽極、機能層及び発光層、並びに必要に応じてその他の任意の構成要素を設けた構成とすることができる。
本発明の有機EL素子の一様態としては、通常、基板上に陽極が設けられ、その上層として機能層及び発光層が積層され、さらにその上層として陰極が積層される。変形例としては、陰極を基板上に設け、陽極を機能層及び発光層の上層として設けてもよい。
また、他の変形例としては、基板側から採光する所謂ボトムエミッションタイプ、基板と反対側から採光する所謂トップエミッションタイプ、または両面採光型のいずれのタイプの高分子EL素子であってもよい。さらに他の変形例としては、任意の保護膜、バッファー膜、反射層などの他の機能を有する層を設けてもよい。高分子EL素子はさらに封止膜、或いは、封止基板が覆い被せられ、高分子EL素子が外気と遮断された高分子発光装置が形成される。
本発明の有機EL素子の具体的な層構成の例としては、次の(a)〜(f)で表される層構成が挙げられる。ここで、符号「/」はその両側に記された層同士が隣接して積層されている事を示す。
(a)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
(b)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
(c)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極
(d)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(e)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(f)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
積層する層の順番や数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いる事ができる。
本発明の有機EL素子が有する上記機能層のうち、本発明の式(1)で表される化合物を含む液から形成するのに特に好ましい機能層は正孔注入層又は正孔輸送層であり、特に好ましくは陽極に接して形成される正孔注入層である。本発明の機能層一層によって正孔注入層及び正孔輸送層の両方を兼ねさせてもよい。
3.有機EL素子の各層を構成する材料
次に、本発明の機能層と組み合わせて有機EL素子を構成するのに好ましい層の材料及び形成方法について、より具体的に説明する。
<陽極>
本発明の有機EL素子が有する陽極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物や金属の薄膜を用いることができる。中でも、透過率が高いものが好ましく用いられる。陽極の材料として、具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作製された膜、NESA、金、白金、銀、銅が挙げられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。
これらの中でも陽極として用いるのに特に好ましい材料はITOである。上記塗布液を使用して、塗布法によって、ITO上に式(1)で表される化合物を含む機能層を形成した場合、式(1)で表される化合物は当該機能層から外部に拡散し難くなる。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
<正孔注入層>
正孔注入層は電子受容性化合物を含む。電子受容性有機化合物とは、電子を受け取り易く、電子供与性化合物との反応により電荷移動錯体を形成する性質を有する化合物を指す。
電子受容性有機化合物の中でも、陽極からの正孔注入性を向上させる観点からは、酸化還元半波電位E 1/2が下式を満たす化合物が好ましい。
[数1]
1/2≧+0.20[V]
酸化還元半波電位E 1/2は、サイクリックボルタンメトリー(CV)により測定することができる。CVは、支持塩としてテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TBA・BF4)を0.1mol/L含むアセトニトリル溶媒中、参照極として銀電極を用い、作用極としてカーボン極、対電極としてコイル状白金電極を用い、温度が20〜22℃、電圧挿引速度10〜20mV/sの条件下で測定する。
本発明に用いられる電子受容性有機化合物は、陽極からの正孔注入性を向上させる観点からは、シアノ基、ハロゲン基又はニトロ基を有することが好ましい。
また、本発明に用いられる電子受容性有機化合物は、陽極からの正孔注入性を向上させる観点からは、キノン誘導体であることが好ましい。
電子受容性有機化合物として、具体的には、2,3−ジブロモ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン、2,3−ジヨード−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン、2,3−ジシアノ−p−ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、トリフルオロメチル−テトラシアノキノジメタン、2,5−ジフルオロ−テトラシアノキノジメタン、モノフルオロ−テトラシアノキノジメタン、テトラシアノキノジメタン、デシル−テトラシアノキノジメタン、2,3−ジシアノ−5−ニトロ−1,4−ナフトキノン、3,3,5,5−テトラブロモ−ジフェノキノン、9−ジシアノメチレン−2,4,5,7−テトラニトロ−フルオレンが挙げられる。
中でも、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、トリフルオロメチル−テトラシアノキノジメタン、テトラシアノキノジメタンが、陽極からの正孔注入性を向上させる観点からは好ましい。
正孔注入層は塗布法を使用して成膜することで形成すればよい。例えば、電子受容性化合物を適当な溶媒に溶解して塗布液を得、得られた塗布液を用いて、上記式(1)で表される化合物を含有する機能層と同様にして形成される。また、正孔注入層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。正孔注入層の膜厚は、例えば、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<正孔輸送層>
本発明の有機EL素子が有する正孔輸送層は正孔輸送材料を含む。正孔輸送材料は正孔輸送機能を奏する有機化合物であれば特に限定されない。正孔輸送性化合物の具体例としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物、及びポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体が挙げられる。
正孔輸送性化合物は高分子化合物、例えば重合体であることが好ましい。正孔輸送性化合物が高分子化合物であると成膜性が向上し、有機EL素子の発光性が均一化するからである。例えば、有機化合物は、ポリスチレン換算の数平均分子量が10000以上、好ましくは3.0×10〜5.0×10、より好ましくは6.0×10〜1.2×10である。また、有機化合物は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1.0×10以上、好ましくは5.0×10〜1.0×10、より好ましくは1.0×10〜6.0×10の重合体である。
具体的には、該正孔輸送材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
これらの中で、正孔輸送性化合物として、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、及びポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物である。正孔輸送性化合物が低分子である場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合又はラジカル重合によって得られる。
ポリシラン若しくはその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
ポリシロキサン若しくはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖又は主鎖に上記低分子正孔輸送材料の構造を有するものが好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖又は主鎖に有するものが挙げられる。
正孔輸送性化合物は、式
Figure 2014033009
(2)
[式中、R及びRは、同一又は相異なり、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。]
で表されるフルオレンジイル基を有する繰り返し単位を含む重合体であることが好ましい。式(1)で表される化合物を含む機能層と共に有機EL素子の機能層として使用した場合に、発光性有機化合物に対する電荷の供給が促進され、駆動時の電流効率が大きくなるからである。
式(2)中、アリール基、1価の複素環基が有していてもよい置換基としては、有機化合物の溶解性の観点からは、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基が好ましく、アルキル基がより好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。アルキルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、1価の複素環基としては、ピリジル基等が挙げられ、これらの基は置換基を有していてもよい。
好ましいフルオレンジイル基の具体例を次に示す。
Figure 2014033009
中でも、特に好ましい正孔輸送性化合物は、架橋基を有する繰り返し単位と、上記フルオレンジイル基を有する繰り返し単位と、芳香族3級アミン化合物の構造を有する繰り返し単位とを含む重合体、即ち、ポリアリールアミン系重合体である。
芳香族3級アミン化合物の構造を有する繰り返し単位としては、式
Figure 2014033009
(3)
[式中、Ar、Ar、Ar及びArは、同一又は相異なり、置換基を有していてもよいアリーレン基又は置換基を有していてもよい2価の複素環基を表し、Ar、Ar及びArは置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表し、n及びmは、同一又は相異なり、0又は1を表す。nが0の場合、Arに含まれる炭素原子とArに含まれる炭素原子とが、直接結合し、又は、酸素原子若しくは硫黄原子を介して結合してもよい。]
で表される繰り返し単位が挙げられる。
式(3)中、芳香環上の水素原子はハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基及びカルボキシル基などから選ばれる置換基で置換されていてもよい。
また、置換基は、ビニル基、エチニル基、ブテニル基、アクリル構造を有する基、アクリレート構造を有する基、アクリルアミド構造を有する基、メタクリル構造を有する基、メタクリレート構造を有する基、メタクリルアミド構造を有する基、ビニルエーテル構造を有する基、ビニルアミノ基、シラノール構造を有する基、小員環(例えばシクロプロパン、シクロブタン、エポキシ、オキセタン、ジケテン、エピスルフィド等)を有する基、ラクトン構造を有する基、ラクタム構造を有する基、又はシロキサン誘導体の構造を含有する基等の架橋基であってもよい。また、上記の基の他に、エステル結合やアミド結合を形成可能な基の組み合わせ(例えばエステル構造を有する基とアミノ基、エステル構造を有する基とヒドロキシル基など)なども架橋基として利用できる。
さらにAr中の炭素原子とAr中の炭素原子とが直接結合し、または、−O−、−S−等の2価の基を介して結合していてもよい。
アリーレン基としては、フェニレン基等が挙げられ、2価の複素環基としては、ピリジンジイル基等が挙げられ、これらの基は置換基を有していてもよい。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、1価の複素環基としては、ピリジル基等が挙げられ、これらの基は置換基を有していてもよい。
1価の複素環基としては、チエニル基、フリル基、ピリジル基等が挙げられる。
アリーレン基、アリール基、2価の複素環基、1価の複素環基が有していてもよい置換基としては、高分子化合物の溶解性の観点からは、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基が好ましく、アルキル基がより好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。アルキルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
Ar〜Arは、アリーレン基であることが好ましく、フェニレン基であることがより好ましい。Ar〜Arはアリール基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
モノマーの合成の行いやすさの観点からは、m及びnが0であることが好ましい。
式(3)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記繰り返し単位等が挙げられる。
Figure 2014033009
正孔輸送層は塗布法を使用して成膜することで形成すればよい。例えば、正孔輸送性化合物を適当な溶媒に溶解して塗布液を得、得られた塗布液を用いて、上記式(1)で表される化合物を含有する機能層と同様にして形成される。また、正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。正孔輸送層の膜厚は、例えば、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<発光層>
本発明の有機EL素子が有する発光層としては、陽極及び陰極に電流を流すことで、または電圧を印加することで発光することが可能な材料を含有する層である。このような発光層に用いられる発光層材料としては、電流を流す、または電圧を印加することによって発光することが可能な材料であればよく特に制限されないが、有機エレクトロルミネッセンス(EL)材料又は無機EL材料が好ましい。
このような有機EL材料としては、電流を流すことにより発光可能な有機材料であればよく、特に制限されず、公知の材料を適宜用いることができる。このような有機EL材料としては、例えば、ジスチリルビフェニル系材料、ジメシチルボリル系材料、スチルベン系材料、ジピリリルジシアノベンゼン材料、ベンズオキサゾール系材料、ジスチリル系材料、カルバゾール系材料、ジベンゾクリセン系材料、アリールアミン系材料、ピレン置換オリゴチオフェン系材料、パラフェニレンビニレン(PPV)オリゴマー系材料、カルバゾール系材料、ポリフルオレン系材料が挙げられる。
有機EL材料は発光性高分子化合物、例えば発光性の重合体であることが好ましい。有機EL材料が高分子化合物であると成膜性が向上し、有機EL素子の発光性が均一化するからである。例えば、発光性高分子化合物は、ポリスチレン換算の数平均分子量が10000以上、好ましくは5.0×10〜1.0×10、より好ましくは1.0×10〜6.0×10である。また、発光性高分子化合物は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1.0×10以上、好ましくは1.0×10〜5.0×10、より好ましくは4.0×10〜1.0×10である。
発光性高分子化合物としては、WO97/09394、WO98/27136、WO99/54385、WO00/22027、WO01/19834、GB2340304A、GB2348316、US573636、US5741921、US5777070、EP0707020、特開平9−111233、特開平10−324870、特開平2000−80167、特開2001−123156、特開2004−168999、特開2007−162009、有機EL素子の開発と構成材料(シーエムシー出版、2006)等に開示されているポリフルオレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレンビニレン、その誘導体及び共重合体、芳香族アミン及びその誘導体の(共)重合体が例示される。
発光性高分子化合物は、上記式(2)で表されるフルオレンジイル基を有する重合体であることが好ましい。式(2)におけるR及びRがそれぞれ独立にアルキル基であるジアルキルフルオレン系重合体、式(2)におけるR及びRのいずれか一つが置換基を有していてもよいフェニル基であり、R及びRの他方が置換基を有していてもよいアリール基(フェニル基除く)であるフェニルフルオレン系重合体、及び式(2)におけるR及びRがそれぞれ独立に置換基を有していてもよいフェニル基であるジフェニルフルオレン系重合体であることがより好ましい。これらは、電子輸送機能が優れているためである。
中でも、好ましい発光性高分子化合物は、繰り返し単位として上記式(2)で表されるフルオレンジイル基と、上記式(3)で表される繰り返し単位とを有する重合体である。これは、電子輸送機能に優れたフルオレンジイル基と、正孔輸送機能に優れたアミン構造により発光層中での電子と正孔の再結合確率を向上させ、発光効率を向上させるからである。
上記重合体の例としては、フェニレンジアミン系重合体、トリフェニルアミン系重合体及びジフェニルアミン系重合体等がある。これらの構造を、以下により具体的に説明する。尚、以下の説明中、フェニル基、フェニレン基、アリール基又はアリーレン基は、置換基を有していてもよいことを意味する。
(i)フェニレンジアミン系重合体
即ち、式(3)において、ArとArのいずれか一方がフェニレン基であり、ArとArの内の他方はアリーレン基(フェニレン基を除く)であり、ArとArはそれぞれ独立にアリーレン基であり、ArとArとArがそれぞれ独立にアリール基である上記重合体である。
(ii)トリフェニルアミン系重合体
即ち、式(3)において、ArとArとArの全てがフェニレン基を有する上記重合体、ArとArとのいずれもがフェニレン基であり、かつArがフェニル基を有する上記重合体、または、Arがフェニレン基であり、かつArとArのいずれもがフェニル基である上記重合体である。
(iii)ジフェニルアミン系重合体
即ち、式(3)において、ArとArとArのいずれか2つがフェニレン基であり、残りがアリーレン基(フェニレン基を除く)である上記重合体、Ar2とArとArのいずれか2つが、ArとArについてはフェニレン基、Arについてはフェニル基であり、残りがArまたはArである場合はアリーレン基(フェニレン基を除く)であり、残りがArである場合はアリール基(フェニル基を除く)である上記重合体、または、ArとArとArのいずれか2つが、Arについてはフェニレン基、ArとArについてはフェニル基であり、残りがArである場合はアリーレン基(フェニレン基を除く)であり、残りがArまたはArである場合はアリール基(フェニル基を除く)である上記重合体である。
また、前記無機EL材料としては、電圧を印加して発光可能な無機材料であればよく特に制限されず、公知の材料を適宜用いることができ、例えば、MgをドープしたGaNや、MnをドープしたZnSや、CeをドープしたSrSを用いることができる。
発光層は塗布法を使用して成膜することで形成すればよい。例えば、発光性高分子化合物を適当な溶媒に溶解して塗布液を得、得られた塗布液を用いて、上記式(1)で表される化合物を含有する機能層と同様にして形成される。また、発光層の厚みは特に制限されず、目的の設計に応じて適宜変更することができるが、10〜200nm程度であることが好ましい。このような厚みが前記下限未満では、電子と正孔の結合が十分に起こらない、または輝度が十分に取れない、または製造が困難になるなどの傾向にあり、他方、前記上限を超えると印加する電圧が高くなる傾向にある。
<電子輸送層>
本発明の有機EL素子が有していてもよい電子輸送層としては、公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体等が例示される。
具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、又は溶液若しくは溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液又は溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示される。溶液又は溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用してもよい。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送材料及び/又は高分子バインダーを溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が挙げられる。
溶液又は溶融状態からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、又はポリシロキサンなどが挙げられる。
電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。該電子輸送層の膜厚としては、例えば、1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<電子注入層>
本発明の有機EL素子が有していてもよい電子注入層としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちの1種類以上含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物、又はこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、及び炭酸化物の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。
電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、例えばLiF/Caなどを挙げることができる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法などにより形成される。電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
<正孔阻止層>
本発明の有機EL素子が有していてもよい正孔阻止層としては、公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体等が挙げられる。正孔阻止層は、正孔の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお電子注入層、及び/又は電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔阻止層を兼ねることがある。正孔阻止層が正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば正孔電流のみを流す素子を作製することによって確認することができる。例えば正孔阻止層を備えず、正孔電流のみを流す素子と、該素子に正孔阻止層を挿入した構成の素子とを作製し、正孔阻止層を備える素子の電流値の減少で、正孔阻止層が正孔の輸送を堰き止める機能を示すことを確認できる。
<陰極>
本発明の有機EL素子が有する陰極としては、仕事関数の小さく発光層への電子注入が容易な材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、又は上記金属のうち2つ以上の合金、又はそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、又はグラファイト若しくはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。
陰極を2層以上の積層構造としてもよい。積層構造の例としては、上記の金属、金属酸化物、フッ化物、これらの合金と、アルミニウム、銀、クロム等の金属との積層構造などが挙げられる。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば、10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が挙げられる。
4.有機EL素子の製造方法
本発明の有機EL素子の製造方法は、特に限定されず、基板上に各層を順次積層することにより製造することができる。具体的には、基板上に陽極を設け、その上に正孔注入層、正孔輸送層等の層を設け、その上に発光層を設け、その上に電子輸送層、電子注入層等の層を必要に応じて設け、さらにその上に、陰極を積層することにより製造することができる。
5.有機EL素子の用途
本発明の方法で製造される有機EL素子の用途は特に制限されないが、照明用光源、サイン用光源、バックライト用光源、ディスプレイ装置、プリンターヘッド、等にもちいることができる。ディスプレイ装置としては公知の駆動技術、駆動回路、等を用い、セグメント型、ドットマトリックス型、等の構成を選択することができる。
以下、本発明をより詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<数平均分子量および重量平均分子量>
重合体のポリスチレン換算の数平均分子量およびポリスチレン換算の重量平均分子量については、GPC(島津製作所製「LC−10Avp」)によりポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量を求めた。測定する重合体は、約0.5wt%の濃度になるようテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに50μL注入した。GPCの移動相はテトラヒドロフランを用い、0.6mL/minの流速で流した。カラムは、「TSKgel SuperHM−H」(東ソー製)2本と「TSKgel SuperH2000」(東ソー製)1本を直列に繋げた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製「RID−10A」)を用いた。
合成例1
<高分子化合物1の合成>
Figure 2014033009
(4)
式(4)で表される化合物(N,N−ビス(4-ブロモフェニル)−N−(1,2−ジヒドロベンゾシクロブテン−4−イル)−アミン)は、特表2007―511636の実施例1に記載された方法で合成した。具体的には、ジフェニルアミンと1,2−ジヒドロ−4−ブロモベンゾシクロブテンとを反応させ、N,N−ジフェニル(1,2−ジヒドロベンゾシクロブテン−4−イル)アミンを得た。次いで、N,N−ジフェニル(1,2−ジヒドロベンゾシクロブテン−4−イル)アミンとN−ブロモスクシンイミドとを反応させて、式(4)で表される化合物を得た。
不活性ガスで反応器内の空気を置換した反応器に、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレンを18g、N,N−ビス(4-ブロモフェニル)−N−(4−sec−ブチルフェニル)−アミンを13g、式(4)で表される化合物を2g、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:A1iquat336(登録商標)、シグマアルドリッチ製)を3g、トルエンを200g入れた。反応器を100℃に加熱し、酢酸パラジウム(II)を7.4mg、トリ(o−トリル)ホスフィンを70mg、および18重量%の炭酸ナトリウム水溶液を64g加え、5時間加熱撹拌を続けた。その後、フェニルボロン酸を400mg加え、さらに5時間加熱撹拌を続けた。その後、190gのトルエンを加えて反応液を希釈し、3重量%の酢酸水溶液60gで2回洗浄し、イオン交換水60gで1回水洗した後、取り出した有機相にDDC(ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物)を1.5g加え、4時間撹拌した。得られた溶液を、アルミナとシリカゲルとを等量混合した混合物を固定相として用いたカラムクロマトグラフィーにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール中に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物を濾取し、乾燥させ、高分子化合物1を得た。高分子化合物1のポリスチレン換算の数平均分子量は8.9×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は4.2×10であった。
高分子化合物1は下記繰り返し単位を有している。ここで、( )の添え数字は繰り返し単位のモル%を示している。
Figure 2014033009

高分子化合物1
合成例2
<高分子化合物2の合成>
ジムロートを接続した200mLセパラブルフラスコに、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジホウ酸エチレングリコールエステルを3.18g(6.0mmol)、9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレンを3.06g(5.4mmol)、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(2,6−ジブロモ−4−tert−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミンを0.44g(0.6mmol)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat336(登録商標)、シグマアルドリッチ社製)を0.82g、及びトルエンを60mL加えた。窒素雰囲気下、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリドを4.2mg加え、85℃に加熱した。得られた溶液に、17.5重量%炭酸ナトリウム水溶液16.3mLを滴下しながら105℃に加熱した後、1.5時間攪拌した。次に、フェニルホウ酸0.74g、及びビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド4.2mgとトルエン30mLを加え、105℃で17時間攪拌した。
得られた反応液から、水層を除いた後、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物を3.65g、イオン交換水を36mL加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水80mLで2回洗浄し、次いで、3重量%酢酸水溶液80mLで2回洗浄し、イオン交換水80mLを2回洗浄した。
その後、有機層をメタノール930mLに滴下しポリマーを沈殿させ、沈殿物を濾過後乾燥させ、固体を得た。得られた固体をトルエン190mLに溶解させ、得られたトルエン溶液をあらかじめトルエンを通液させたシリカゲル/アルミナカラムに通液し、通液後の溶液をメタノール930mLに滴下しポリマーを沈殿させ、沈殿物を濾過後乾燥させ、下記式で表される高分子化合物3を4.17g得た。高分子化合物2のポリスチレン換算の数平均分子量Mnは2.7×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは7.1×105であった。ここで、( )の添え数字は繰り返し単位のモル%を示している。
Figure 2014033009

高分子化合物2
実施例1
<有機EL素子1の製造>
図1は本発明の一実施形態である有機EL素子の構造を示す模式断面図である。
アセトニトリル溶媒中に0.1重量%の濃度で溶解させたヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルの溶液(以下、「インク1」と言う。)、及びキシレン溶媒中に0.8重量%の濃度で溶解させた高分子化合物1の溶液(以下、「高分子化合物溶液1」と言う。)を調製した。
ガラス基板11上に、陽極12として、スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けた。該陽極12の上に、インク1をスピンコート法で塗布して、約20nmの厚みに成膜した。その後、ホットプレート上で180℃にて60分間熱処理し、正孔注入層13を形成した。
次に、高分子化合物溶液1を、該正孔注入層13上にスピンコート法で塗布して、約20nmの厚みに成膜した。その後、ホットプレート上で180℃にて60分間熱処理し、正孔輸送層14を形成した。
次に、キシレン溶媒中に1.3重量%の濃度で溶解させた高分子化合物2の溶液を、該正孔輸送層1上にスピンコート法で塗布して、約60nmの厚みに成膜した。これを窒素ガス雰囲気下130℃で10分間乾燥し発光層15を形成した。その後、発光層15上に第1陰極層16としてフッ化ナトリウムを約4nmの膜厚で蒸着し、次いで第2陰極層17としてアルミニウムを約100nmの膜厚で蒸着して、2層構造の陰極18を形成した。なお、真空度が、1×10-4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。得られた有機EL素子を「有機EL素子1」と呼ぶ。
比較例1
<有機EL素子2の製造>
ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルを真空蒸着法により約1nmの厚みに成膜し、正孔注入層13を形成した以外は実施例1と同様の製造方法によって有機EL素子2を製造した。
<電流効率の比較>
有機EL素子1に電圧を印加したところ、有機EL素子1の最大電流効率は、4.27cd/Aであった。また、有機EL素子2に電圧を印加したところ、有機EL素子2の最大電流効率は、3.58cd/Aであった。
<駆動電圧の比較>
有機EL素子1を1000cd/mにて発光させたところ、有機EL素子1の駆動電圧は、5.24Vであった。また、有機EL素子2を1000cd/mにて発光させたところ、有機EL素子2の駆動電圧は、5.27Vであった。
11…ガラス基板、
12…陽極、
13…正孔注入層、
14…正孔輸送層、
15…発光層、
16…第1陰極層、
17…第2陰極層、
18…陰極。

Claims (15)

  1. 陽極と陰極とを有し、該陽極と該陰極との間に発光性有機化合物を含む発光層と該陽極に接する機能層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    該機能層は、式
    Figure 2014033009
    (1)
    [式中、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、アリールアミノ基、カルボキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルケニル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルコキシル基、炭素数6〜30の置換あるいは無置換のアリール基、炭素数2〜30の置換あるいは無置換の複素環基、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、またはシリル基を表す。]
    で表される化合物と該化合物を溶解する溶媒とを含む液を陽極上に塗布及び成膜して形成されたものである有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記R、R、R、R、R及びRがシアノ基である請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記陽極がITOである請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記発光性有機化合物が高分子化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記機能層と前記発光層との間に正孔輸送性化合物からなる正孔輸送層を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記正孔輸送性化合物が高分子化合物である請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 陽極と陰極とを有し、該陽極と該陰極との間に発光性有機化合物を含む発光層と該陽極に接する機能層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    該陽極上に、式
    Figure 2014033009
    (1)
    [式中、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、アリールアミノ基、カルボキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルケニル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルコキシル基、炭素数6〜30の置換あるいは無置換のアリール基、炭素数2〜30の置換あるいは無置換の複素環基、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、またはシリル基を表す。]
    で表される化合物と該化合物を溶解する溶媒とを含む液を塗布及び成膜して機能層を形成する工程を包含する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。

  8. Figure 2014033009
    (1)
    [式中、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、アリールアミノ基、カルボキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルケニル基、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルコキシル基、炭素数6〜30の置換あるいは無置換のアリール基、炭素数2〜30の置換あるいは無置換の複素環基、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、またはシリル基を表す。]
    で表される化合物と該化合物を溶解する溶媒とを含み、該溶媒がカルボニトリルである液。
  9. 前記R、R、R、R、R及びRがシアノ基である請求項8に記載の液。
  10. 前記カルボニトリルがアセトニトリルである請求項8又は9に記載の液。
  11. さらに、正孔輸送性化合物を含む請求項8〜10のいずれか一項に記載の液。
  12. 前記正孔輸送性化合物がアリールアミンである請求項11に記載の液。
  13. 前記正孔輸送性化合物が高分子化合物である請求項11又は12に記載の液。
  14. 式(1)で表される化合物と該化合物を溶解する溶媒とを含む液として、請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子に使用される請求項8〜13のいずれか一項に記載の液。
  15. 式(1)で表される化合物と該化合物を溶解する溶媒とを含む液として、請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に使用される請求項8〜13のいずれか一項に記載の液。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016115885A (ja) * 2014-12-17 2016-06-23 株式会社デンソー 有機el素子およびその製造方法

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