JP2012146811A - 有機エレクトロルミネッセント素子 - Google Patents

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春香 皆川
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Abstract

【課題】発光効率が高く、長寿命で、駆動電圧の上昇が小さい有機エレクトロルミネッセント素子を提供する。
【解決手段】陽極と、トリフェニルアミン構造を部分構造として含むトリアリールアミン誘導体及び電子受容性化合物を含有する正孔注入層と、式(2)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーを含有する正孔輸送層と、トリフェニルトリアジン構造を部分構造として含むトリアリールトリアジン誘導体及び燐光発光体を含有する発光層と、陰極とがこの順序で積層されてなる有機エレクトロルミネッセント素子。
Figure 2012146811

(式(2)中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよいシリル基を表し、R9は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は有機発光体を用いた有機エレクトロルミネッセント素子に関する。
近年、エレクトロルミネセンス現象を利用したデバイスが重要度を増している。このようなデバイスとして、発光材料を層状に形成し、この発光層に陽極と陰極とからなる一対の電極を設けて電圧を印加することで発光を行わせるエレクトロルミネッセント素子が注目を集めている。このようなエレクトロルミネッセント素子は、陽極と陰極の間に電圧を印加することで、陽極と陰極からそれぞれ正孔と電子を注入し、注入された電子と正孔とが、発光層で結合することにより生じるエネルギーを利用して発光を行う。即ち、エレクトロルミネッセント素子は、この結合によるエネルギーで発光層の発光材料が励起され、励起状態から再び基底状態に戻る際に光を発生する現象を利用したデバイスである。
このエレクトロルミネッセント素子を表示装置として使用した場合、発光材料が自己発光であるため、表示装置としての応答速度が速く、視野角が広いという特徴を有する。さらにエレクトロルミネッセント素子の構造上、表示装置の薄型化が容易になるという利点もある。また発光材料として、例えば有機物質を利用した有機エレクトロルミネッセント素子の場合は、有機物質の選択によって色純度の高い光を発生させやすく、そのため色再現域を広くとることが可能であるという特徴がある。さらに、エレクトロルミネッセント素子は、白色での発光も可能であり、面発光であることから、このエレクトロルミネッセント素子を照明装置に組み込んで利用する用途も提案されている。
有機エレクトロルミネッセント素子における発光体としては、一重項励起状態から発光する蛍光発光体と、三重項励起状態から発光する燐光発光体が知られている。電気的励起による一重項励起状態と三重項励起状態の生成比は1:3であることが知られ、従って蛍光発光体を用いた有機エレクトロルミネッセント素子における発光内部量子効率の上限は25%にすぎない。これに対して、非特許文献1には、イリジウム錯体のような燐光発光体を用いることにより100%に近い発光内部量子効率が得られ、発光効率の点で燐光発光体が優位であることが開示されている。
また、有機エレクトロルミネッセント素子の構造は、陽極と陰極の間に、正孔輸送層や発光層などの機能分離された有機層が複数積層された構造が一般的である。特許文献1には、陽極と陰極の間に正孔注入層、電子ブロック層、発光層の各有機層が順に積層された構造が開示されている。これらの有機層の形成方法としては、真空プロセスである蒸着法や、溶液から形成する塗布法が知られているが、塗布法は大面積素子を低コストで製造できる点で有利である。特許文献1では、正孔注入層としてポリ(エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸の混合物(PEDOT:PSS)、電子ブロック層としてポリフルオレン誘導体、発光層としてポリフルオレン誘導体またはポリフェニレンビニレンを用い、塗布法により積層構造を形成している。
特開2007−265680号公報
Journal of Applied Physics、第90巻、5048−5051頁、2001年
特許文献1で具体的に開示されている発光体は蛍光発光体であり、燐光発光体の場合には発光材料を形成する燐光発光体以外の材料や発光層に隣接する有機層を形成する材料の三重項励起エネルギー(三重項励起状態と基底状態とのエネルギー差)を燐光発光体よりも大きくする必要があるため、適切な材料の組み合わせを選定する必要があった。特に有機層を塗布で形成する場合には、塗布成膜性に優れた材料を選定する必要もあった。さらに一般的に有機エレクトロルミネッセント素子を一定電流で駆動し続けると発光輝度の低下と駆動電圧上昇が同時に起こるが、電圧上昇率が大きい場合には素子の電力発光効率が大幅に低下してしまうため、電圧上昇を極力抑える必要があった。
そこで、本発明は、従来技術における上記の問題点を解決し、発光効率が高く、長寿命で、駆動電圧の上昇が小さい有機エレクトロルミネッセント素子を提供することを目的としている。
本発明は、陽極の上に特定の材料の組み合わせを積層することにより、発光効率が高く、長寿命で、駆動電圧の上昇が小さい有機エレクトロルミネッセント素子が得られることを見出した。
本発明は、例えば、以下の[1]〜[9]に関する。
[1]陽極と、
下記式(1)で表わされるトリフェニルアミン構造を部分構造として含むトリアリールアミン誘導体、および電子受容性化合物を含有する正孔注入層と、
Figure 2012146811
下記式(2)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーを含有する正孔輸送層と、
Figure 2012146811
(式(2)中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよいシリル基を表し、R9は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表す。)
下記式(3)で表わされるトリフェニルトリアジン構造を部分構造として含むトリアリールトリアジン誘導体、および燐光発光体を含有する発光層と、
Figure 2012146811
陰極と
がこの順序で積層されてなる有機エレクトロルミネッセント素子。
[2]前記トリアリールアミン誘導体が、下記式(4)または(5)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーである、[1]に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
Figure 2012146811
(式(4)、(5)のそれぞれにおいて、複数個あるRaは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、少なくとも1つのRaは炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数個あるRbは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数個あるRcは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、アリール基またはジアリールアミノ基を表し、同一のフェニル基の中の隣接する炭素原子にそれぞれ結合しているRcは互いに結合して縮合環を形成してもよく、pは0〜2の整数を表す。)
[3]前記式(4)または(5)で表わされる繰り返し単位を有するポリマー、および前記式(2)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーのGPCにより測定されるポリスチレン換算重量平均分子量が、いずれも20,000〜1,000,000である、[2]に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
[4]前記トリアリールトリアジン誘導体が、下記式(6)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーである、[1]〜[3]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
Figure 2012146811
(式(6)中、R11〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜15のヘテロアリール基、炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよいシリル基を表し、Xは炭素数1〜10のアルキレン基または炭素数6〜20のアリーレン基を表し、qは0または1を表す。)
[5]前記トリアリールトリアジン誘導体が、前記式(6)で表わされる繰り返し単位および前記式(2)で表わされる繰り返し単位を20:80〜90:10のモル比で含むポリマーである、[4]に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
[6]前記正孔注入層、前記正孔輸送層および前記発光層が、いずれも塗布により形成された、[1]〜[5]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
[7]前記発光層の膜厚が30〜100nmである、[1]〜[6]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
[8]前記燐光発光体の少なくとも1つが、発光極大波長を440〜500nmの間に有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
[9]前記陰極が前記発光層に接して形成された、[1]〜[8]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
本発明によれば、陽極の上に積層する正孔注入層、正孔輸送層および燐光発光層を構成する材料として特定の材料の組み合わせを用いることにより、発光効率が高く、長寿命で、駆動電圧の上昇が小さい有機エレクトロルミネッセント素子を提供することができる。
図1は、本発明の有機エレクトロルミネッセント素子の構造の一例を示す断面図である。有機エレクトロルミネッセント素子10は、基板11上に、正孔を注入するための陽極12と、陽極から受け取った正孔を輸送する正孔注入層13と、正孔注入層から正孔を受け取り、輸送する正孔輸送層14と、正孔と電子が結合して発光する発光層15と、電子を注入するための陰極16とが順に積層した構造を備える。
[有機エレクトロルミネッセント素子]
本発明の有機エレクトロルミネッセント素子は、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層および陰極がこの順序で積層されてなる。
以下、本発明の有機エレクトロルミネッセント素子の構成を説明する。
<素子構成>
本発明の有機エレクトロルミネッセント素子の一例は、図1に示すように、基板11上に、正孔を注入するための陽極12と、陽極から受け取った正孔を輸送する正孔注入層13と、正孔注入層から正孔を受け取り、輸送する正孔輸送層14と、正孔と電子が結合して発光する発光層15と、電子を注入するための陰極16とが順に積層した構造を備えたものである。
<基板>
基板11は、陽極12、正孔注入層13、正孔輸送層14、発光層15、陰極16を形成する支持体となるものである。基板11には、有機エレクトロルミネッセント素子10に要求される機械的強度を満たす材料が用いられる。通常、このような支持体として必要な機械的強度を満たす材料が基板11に用いられる。
基板11の材料としては、有機エレクトロルミネッセント素子10の基板11側から光を取り出したい場合(基板11側の面が光を取り出す面、すなわち、発光面となる場合)は、発光する光の波長に対して透明であることが好ましい。具体的には、発光する光が可視光の場合、ソーダガラス、無アルカリガラスなどのガラス;アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂などの透明プラスチック;シリコンなどが挙げられる。
有機エレクトロルミネッセント素子10の基板11側との面から光を取り出す必要がない場合は、基板11の材料としては、透明であるものに限られず、不透明なものも使用できる。具体的には、上記材料に加えて、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、もしくはニオブ(Nb)の単体、またはこれらの合金、あるいはステンレスなどからなる材料も使用することができる。基板11の厚さは、要求される機械的強度にもよるが、好ましくは、0.1mm〜10mm、より好ましくは0.25mm〜2mmである。
なお、基板11は、次に述べる陽極12と同一の材質を使用することもできる。つまり、基板11は陽極12を兼ねてもよい。
<陽極>
陽極12は、陰極16との間で電圧を印加し、正孔注入層13および正孔輸送層14を介して発光層15に正孔を注入する。陽極12に使用される材料としては、電気伝導性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、−5℃〜80℃の温度範囲で面抵抗が1000Ω以下であることが好ましく、100Ω以下であることがさらに好ましい。
このような条件を満たす材料として、導電性金属酸化物、金属、合金が使用できる。ここで、導電性金属酸化物としては、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)が挙げられる。また金属としては、ステンレス、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)等が挙げられる。そしてこれらの金属を含む合金も使用できる。透明陽極を形成するのに用いられる透明材料としては、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、それらの複合体であるITO(酸化インジウムスズ)、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)等からなる導電性ガラス(NESA等)、金、白金、銀、銅が挙げられる。これらの中でも、ITO、IZO、酸化スズが好ましい。また、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体等の有機物からなる透明導電膜を用いてもよい。
陽極12の厚さは、エレクトロルミネッセント素子10の基板11側から光を取り出したい場合は、高い光透過率を得るため、2nm〜300nmであることが好ましい。また有機エレクトロルミネッセント素子10の基板11側から光を取り出す必要がない場合は、例えば、2nm〜2mmで形成することができる。
<正孔注入層>
正孔注入層12は、陽極に接して形成され、下記式(1)で表わされるトリフェニルアミン構造を部分構造として含むトリアリールアミン誘導体および電子受容性化合物を含有する。
下記式(1)で表わされるトリフェニルアミン構造を部分構造として含むトリアリールアミン誘導体を以下「ホスト用化合物」ともいう。また、ホスト用化合物および電子受容性化合物を含有するものを以下、「正孔注入層用組成物」ともいう。
Figure 2012146811
(ホスト用化合物)
上記ホスト用化合物としては公知の化合物を用いることができ、ポリマー化合物であっても非ポリマー化合物であってもよい。具体的には以下の化合物が挙げられる。
Figure 2012146811
Figure 2012146811
これらのうち、塗布成膜が容易な材料という観点から、ポリマー化合物がより好ましい。
上記トリアリールアミン誘導体としては、特に下記式(4)または(5)で表わされる繰り返し単位(以下「特定構成単位」ともいう。)を有するポリマーが、正孔注入および塗布成膜が容易であり、成膜後の耐溶剤性が高い点で好ましい。
Figure 2012146811
(式(4)、(5)のそれぞれにおいて、複数個あるRaは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、少なくとも1つのRaは炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数個あるRbは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数個あるRcはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、アリール基またはジアリールアミノ基を表し、同一のフェニル基の中の隣接する炭素原子にそれぞれ結合しているRcは互いに結合して縮合環を形成してもよく、pは0〜2の整数を表す。)
前記Raにおけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、ヘキシル基などが挙げられ、特定の繰り返し単位を誘導する単量体の合成容易性の観点からは、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
aのうち少なくとも1つが炭素数1〜10のアルキル基であることにより、後述する有機エレクトロルミネッセント素子の製造において、正孔注入層形成用溶液の溶媒として有機溶剤を使用でき、有機溶剤を溶媒とする発光層形成材料溶液の塗布によっても溶解しにくい正孔注入層を形成でき(以下、有機溶剤を溶媒とする正孔輸送層用組成物や発光層形成材料溶液の塗布した後に正孔注入層がこれら有機溶剤に溶解しにくくなることを「正孔注入層の難溶化」ともいう。)、しかも電力効率が高く寿命が長い有機エレクトロルミネッセント素子を製造することができる。
また、N(窒素原子)に対してオルト位にあるRaのうち少なくとも1つは、アルキル基であることが好ましい。
前記Rbにおけるアルキル基としては、上述したRaにおけるアルキル基の具体例が挙げられ、特定の繰り返し単位を誘導する単量体の合成容易性の観点からは、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
また、正孔注入層を難溶化しやすい観点から、N(窒素原子)に対してオルト位にあるRbのうち少なくとも1つは、アルキル基であることが好ましい。
したがって、前記特定構成単位の部分構造は、以下の構造であることが好ましく、
Figure 2012146811
〔ただし、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表す。以下も同様である。〕
以下の構造であることが特に好ましい。
Figure 2012146811
前記Rcにおけるアルキル基としては、上述したRaにおけるアルキル基の具体例が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
前記Rcにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記Rcにおけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などが挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましく、メトキシ基が特に好ましい。前記縮合環としては、ナフチル基などが挙げられる。
前記アリール基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記ポリマーの有機溶剤への溶解性および溶液の均質化の観点からは、1つのベンセン環当たり、少なくとも1つ(例:1つ)のRcがアルキル基またはアルコキシ基であることが好ましい。
上記特定構成単位を有するポリマーの具体例としては以下のポリマーが挙げられる。
Figure 2012146811
上記特定構成単位を有するポリマーには、前記構成単位が1種だけ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
(トリアリールアミン誘導体の製造方法)
上記式(1)で表されるトリフェニルアミン構造を部分構造として含むトリアリールアミン誘導体は、従来公知の方法により製造することができ、例えばアリールアミン誘導体とハロゲン化アリールとを溶媒(例えば、トルエン、キシレン等)中で、パラジウム触媒を用いてカップリング反応させることにより製造することができる。
より具体的に、上記化合物HI−1であれば、ジブロモビフェニルと(3−メチルフェニル)アニリンとを、酢酸パラジウム、トリ−tert−ブチルホスフィンおよびナトリウム−tert−ブトキシドの存在下、キシレン中で120℃に加熱することで製造することができる。
また、上記ポリマーHI−18の単量体の場合には、上記ハロゲン化アリールとして4−ブロモスチレン誘導体を用いて上記のパラジウム触媒カップリング反応を行うか、オキシ塩化リンおよびN,N−ジメチルホルムアミドによりベンゼン環をホルミル化した後、Wittig反応により官能基変換することで、ビニル基を有する単量体を得ることができる。これらのアリールアミン誘導体の合成法は、Tetrahedron Letters、第39巻、2367−2370頁、1998年、特開2005−97589号公報、特開2000−36390号公報、特開2001−223084号公報などにも記載されている。
なお、上記製造例は、本発明に係るトリアリールアミン誘導体の製造方法の一例を示すものであり、上記製造方法に限らず、種々の公知の方法を使って合成することができる。
(特定構成単位を有するポリマー)
前記特定構成単位を有するポリマーは、該構成単位のみからなる単独重合体であってもよく、他の構成単位を含む共重合体であってもよい。このような他の構成単位としては、例えば、上記式(4)および(5)で表される特定構成単位以外のトリアリールアミン誘導体やカルバゾール誘導体等を含む電荷輸送性を有する構成単位や、スチレンから誘導される構成単位等の電荷輸送性を有さない構成単位を挙げることができる。この共重合体は、ランダム共重合体であってもよくブロック共重合体であってもよい。
前記特定構成単位を有するポリマーは、正孔注入層の難溶化の観点から、該特定構成単位を好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上含む。
前記特定構成単位を有するポリマーのGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量は、正孔注入層の不溶化の観点から、好ましくは20,000〜1,000,000、より好ましくは50,000〜800,000、さらに好ましくは100,000〜500,000である。その上限値は、特定構成単位を有するポリマー自体の溶解性の観点から、1,000,000程度である。この重量平均分子量の値は、後述する実施例における測定方法によって測定された場合の値である。
前記特定構成単位を有するポリマーは、その原料として、前記特定構成単位を誘導する単量体および、必要に応じて、前記他の構成単位を誘導する単量体を用いる点を除けば、重合体製造における常法により製造することができる。その重合方法は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、付加重合のいずれでもよいが、ラジカル重合が好ましい。
<電子受容性化合物>
前記電子受容性化合物(ドーパント)としては、公知の化合物、例えば、N,N'−ジシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−キノンジイミン(F4DCNQI)、N,N'−ジシアノ−2,5−ジクロロ−1,4−キノンジイミン(C12DCNQI)、N,N'−ジシアノ−2,5−ジクロロ−3,6−ジフルオロ−1,4−キノンジイミン(C12F2DCNQI)、N,N'−ジシアノ−2,3,5,6,7,8−ヘキサフルオロ−1,4−ナフトキノンジイミン(F6DCNNOI)、1,4,5,8−テトラヒドロ−1,4,5,8−テトラチア−2,3,6,7−テトラシアノアントラキノン(CN4TTAQ)、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、2,3,5,6−テトラフルオロテトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)、2,5−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2,5−ジフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、ビス(テトラブチルアンモニウム)テトラシアノジフェノキノジメタニド、2,5−ジメチル−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2−フルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、11,11,12,12−テトラシアノナフト−2,6−キノジメタンなどが挙げられる。
これらの中でも、有機溶剤(例えば、トルエン)への溶解性が高く、均一性の高い正孔注入層を形成できる点で、TCNQおよびF4TCNQが好ましい。
<正孔注入層用組成物>
本発明に係る正孔注入層用組成物は、前記ホスト用化合物および電子受容性化合物を含んでいる。この組成物は複数の前記ホスト用化合物を含んでいてもよい。
前記電子受容性化合物は、前記ホスト用化合物の合計100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは1〜5質量部含まれる。含有量が上記範囲にあると、正孔注入層は十分な電荷注入能を発揮する。一方、含有量が上記範囲よりも過大であると、電子受容性化合物の結晶化などにより有機エレクトロルミネッセント素子の劣化を引き起こす場合がある。
前記組成物は、有機溶剤をさらに含んでいても良い。
有機溶剤を含む前記組成物は、正孔注入層形成用塗布液として使用することができる。
前記有機溶剤としては、種々の有機溶媒を用いることができ、例えば、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒やクロロホルムやジクロロエタン等のハロゲン化アルキル溶媒などが挙げられる。
前記組成物中の前記有機溶剤の含量は、形成しようとする正孔注入層の膜厚や製膜の条件等を考慮して適宜設定することができるが、目安としては、前記組成物中の固形分含量(有機溶剤を除く成分の合計量)が好ましくは0.1〜4質量%、さらに好ましくは0.4〜2質量%となるように調製される。
上記正孔注入層13の膜厚は、正孔注入層としての効果を十分に発揮させ、また有機エレクトロルミネッセント素子の駆動電圧の上昇を防ぐ観点から、5〜50nmが好ましく、10〜30nmがより好ましい。
(正孔注入層の形成方法)
前記正孔注入層は、陽極上に上記組成物を塗布し、さらに加熱することによって形成される。
この塗布操作においては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の公知の塗布法を適用することがきできる。
また、前記塗布操作に続く加熱操作において、加熱温度は、後述する発光層形成の際に正孔注入層が溶解するのを防ぐ観点、および正孔注入層が熱分解するのを防ぐ観点から、目安としては、例えば70℃以上、好ましくは100〜350℃、さらに好ましくは150〜250℃である。
また加熱時間は、後述する発光層形成の際に正孔注入層が溶解するのを防ぐ観点から、好ましくは10〜180分、さらに好ましくは30〜120分である。
本発明に係る正孔注入層用組成物を塗布し、さらに加熱することによって形成された正孔注入層は、有機溶剤に対する耐性が高いため、この正孔注入層上に有機溶剤を溶媒とする発光層等形成材料の溶液を塗布しても、溶解し難い。
正孔注入層の不溶化の程度を、例えば正孔注入層に下記の処理を施した際の正孔注入層の厚さの減少率((1−処理後の厚さ/処理前の厚さ)×100)として評価すると、この減少率は、例えば30%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。
〔処理〕:厚さ20nmの正孔注入層を表面に備えた基板(25mm角、板厚1.1mm、青板ガラス)を、スピンコーターにセットし、正孔注入層上に0.10mlのトルエンを滴下した後、3000rpmで30秒間の条件で回転させる。この回転はトルエンの滴下後5秒以内に開始する。その後、正孔注入層を窒素雰囲気下に140℃で1時間放置する。
正孔注入層13の膜厚は、正孔注入層としての効果を十分に発揮させ、また有機エレクトロルミネッセント素子の駆動電圧の上昇を防ぐ観点から、5〜50nmが好ましく、10〜30nmがより好ましい。
<正孔輸送層>
前記正孔注入層13上には下記式(2)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーを含む正孔輸送層14が形成される。
ここで、下記式(2)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーを含むものを以下「正孔輸送層形成用組成物」という。
Figure 2012146811
(式(2)中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよいシリル基を表し、R9は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基を表す。)
上記R1〜R8において、上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられる。
上記炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。
上記炭素数1〜10のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基などが挙げられる。
上記炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などが挙げられる。
上記炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリメトキシシリル基などが挙げられる。
上記R9における炭素数1〜10のアルキル基および炭素数6〜10のアリール基としては、上記R1〜R8と同じ基を例示することができる。
これらの中でも好ましいポリマーは、以下に挙げたものである。
Figure 2012146811
(式(2)で表わされる繰り返し単位を誘導する単量体の製造方法)
上記式(2)で表される繰り返し単位を誘導する単量体は、ハロゲノ基やアセチル基、ホルミル基等を置換基として有するカルバゾール誘導体におけるこれら官能基をビニル基へ変換することで容易に製造することができる。例えば、ホルミル基を有するカルバゾール誘導体からは、Wittig反応によりビニル基を有するカルバゾール誘導体を製造することができる。
前記式(2)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーの、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量は、正孔輸送層の不溶化の観点から、好ましくは20,000〜1,000,000、より好ましくは30,000〜500,000、さらに好ましくは50,000〜200,000である。その上限値は、溶解性の観点から、1,000,000程度である。
(その他の成分)
本発明に係る正孔輸送層形成用組成物には、下記式(2)で表わされる繰り返し単位を有するポリマー以外に他の成分が含まれていてもよい。
この他の成分の例としては、溶媒が挙げられる。正孔輸送層形成用組成物中の溶剤の含量は、形成しようとする正孔輸送層の膜厚や製膜の条件等を考慮して適宜設定することができるが、目安としては、前記組成物中の固形分含量(溶剤を除く成分の合計量)が好ましくは0.1〜4質量%、さらに好ましくは0.1〜2質量%となるように調製される。
前記正孔輸送層は、正孔注入層上に上記組成物を塗布し、さらに加熱することによって形成される。
この塗布操作においては、正孔注入層において説明したものと同様の公知の塗布法を適用することができる。また、塗布後の加熱処理条件や、正孔輸送層の好ましい難溶化の程度も、正孔注入層において説明したものと同じである。
上記正孔輸送層14の膜厚は、正孔輸送層としての効果を十分に発揮させ、また有機エレクトロルミネッセント素子の駆動電圧の上昇を防ぐ観点から、5〜50nmが好ましく、10〜30nmがより好ましい。
上記の正孔注入層13と発光層15の間に、これらの層を形成する材料との親和性が高いこのような正孔輸送層14を積層することにより、各層の間の密着性が向上し、有機エレクトロルミネッセント素子を長時間駆動しても層界面が安定なため駆動電圧の上昇を抑制することができる。
<発光層>
前記正孔輸送層14上には、下記式(3)で表わされるトリフェニルトリアジン構造を部分構造として含むトリアリールトリアジン誘導体および燐光発光体を含有する発光層が形成される。
Figure 2012146811
上記トリアリールトリアジン誘導体としては公知の化合物を用いることができ、ポリマー化合物であっても非ポリマー化合物であってもよいが、塗布成膜が容易な化合物であることが好ましく、ポリマー化合物であることがより好ましい。
上記トリアリールトリアジン誘導体のポリマーとしては、下記式(6)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
Figure 2012146811
(式(6)中、R11〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜15のヘテロアリール基、炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよいシリル基を表し、Xは炭素数1〜10のアルキレン基または炭素数6〜20のアリーレン基を表し、qは0または1を表す。)
上記R11〜R24において、上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられる。
上記炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。
上記炭素数1〜10のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基などが挙げられる。
上記炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる。これらのアリール基は環を構成する炭素原子に水素原子やメチル基以外の置換基を有していてもよい。
上記炭素数1〜15のヘテロアリール基としては、例えば、ピリジル基、ピラジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズチアゾリル基、チエニル基、フリル基、カルバゾリル基、テトラゾール基などが挙げられる。
上記炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリメトキシシリル基などが挙げられる。
上記式(6)中のXにおける炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、シクロヘキシレン基などが挙げられ、また炭素数6〜20のアリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、カルバゾールジイル基などが挙げられる。
上記トリアリールトリアジン誘導体の好ましい具体例を以下に示す。
Figure 2012146811
Figure 2012146811
上記式(6)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーは、従来公知の方法により製造することができ、特開2002−319491号公報、国際公開第09/11270号に記載の方法などにより製造することができる。例えば、ハロゲノ基やアセチル基、ホルミル基等を置換基として有するトリアリールトリアジン誘導体におけるこれら官能基をビニル基へ変換した後、重合体製造における常法により製造することができる。その重合方法は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、付加重合のいずれでもよいが、ラジカル重合が好ましい。
上記式(6)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーは、さらに上記式(2)で表わされる繰り返し単位を含んだコポリマーであってもよい。コポリマーに含まれる各繰り返し単位のモル比は20:80〜90:10であることが好ましく、30:70〜50:50であることがより好ましい。
発光層15は上記トリアリールトリアジン誘導体と同時に燐光発光体を含む。燐光発光体としてはルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金を含む公知の遷移金属錯体を例示することができるが、中でもイリジウム錯体および白金錯体が好ましい。
上記燐光発光体は下記一般式(11)で表される金属錯体が好ましい。
Figure 2012146811
(式(11)中、Mはイリジウムまたは白金を表し、Aで表される環はMに結合した窒素原子を含む含窒素ヘテロ芳香環を表し、Bで表される環はMに結合した炭素原子を含む芳香環またはヘテロ芳香環を表し、環Aと環Bは互いに結合しており、Lは二座配位子を表し、sは1〜3の整数を表し、tは0〜2の整数を表し、s+tは2または3である。)
上記式(11)で表される金属錯体は、具体的に以下の化合物を例示することができる。
Figure 2012146811
Figure 2012146811
上記発光層15の膜厚は30〜100nmが好ましく、30〜60nmがより好ましい。膜厚がこの範囲であれば、駆動電圧を低く抑えられ、発光層15に積層される陰極による消光を抑制し、発光効率を高くすることができる。
発光層15に含まれる燐光発光体は1種類であってもよく、また2種類以上が混合されていてもよい。燐光発光体を2種類以上含む場合、青色発光体と赤色発光体の2種類あるいは青色発光体と緑色発光体と赤色発光体の3種類を適切な割合で混合することにより、白色発光が得られる。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセント素子は、発光層15に含まれる前記燐光発光体の少なくとも1つが、発光極大波長を440〜500nmの間に有する場合に、従来の素子構成と比べて特に高い発光効率と耐久性を示す。このような燐光発光体としては、例えば上記のPH−15〜18、PH−22、PH−23などが挙げられる。
上記の正孔注入層13、正孔輸送層14および発光層15のうちの少なくとも1層は塗布により形成されることが好ましく、これら全ての層を塗布により形成すると、大面積の素子を安価に製造できるためより好ましい。特に本発明の有機エレクトロルミネッセント素子は、これら全ての層を塗布により形成しても効率や寿命の点で優れている。
この塗布操作においては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の公知の塗布法を適用することがきできる。
塗布法により成膜した場合には、形成した膜を加熱処理することが好ましい。加熱温度は塗布に用いた溶媒を揮発させられる温度であればよいが、膜の上にさらに塗布により有機層を積層して成膜する場合には、上層の成膜時に溶解するのを防ぐ観点、および有機材料が熱分解するのを防ぐ観点から、目安としては、例えば70℃以上、好ましくは100〜350℃、さらに好ましくは150〜250℃である。また加熱時間は、溶解するのを防ぐ観点から、好ましくは10〜180分、さらに好ましくは30〜120分である。
<電子輸送層>
発光層と陰極の間に、陰極からの電子注入障壁を低下させ、駆動電圧を下げる目的で、電子輸送層を設けてもよい。このような電子輸送層に用いることができる材料としては、キノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体などが挙げられる。
<正孔ブロック層>
正孔が発光層を通過することを抑え、発光層内で電子と効率よく再結合させる目的で、発光層の陰極側に隣接して正孔ブロック層を設けてもよい。この正孔ブロック層には発光性化合物より最高占有分子軌道(Highest Occupied Molecular Orbital;HOMO)準位の深い化合物を用いることができ、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、アルミニウム錯体などを例示することができる。
さらに、励起子(エキシトン)が陰極金属で失活することを防ぐ目的で、発光層の陰極側に隣接してエキシトンブロック層を設けてもよい。このエキシトンブロック層には発光性化合物より励起三重項エネルギーの大きな化合物を用いることができ、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、アルミニウム錯体などを例示することができる。
<陰極>
上記発光層15の上には陰極16が形成される。陰極16に使用される材料としては、陽極12と同様に電気伝導性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、仕事関数が低く、かつ化学的に安定なものが好ましい。具体的には、Al、MgAg合金、AlLiなどのAlとアルカリ金属の合金やAlCaなどのAlとアルカリ土類金属の合金等の材料を例示することができる。ただし、陰極16の材料は、陽極エレクトロルミネッセント素子10の陰極16側から光を取り出したい場合(陰極16側の面が光を取出す面、すなわち、発光面となる場合)は、例えば、陽極12と同様な発光光に対して透明な材料を用いることが好ましい。
陰極16の厚さは0.01μm〜1μmが好ましく、0.05μm〜0.5μmがより好ましい。
また、陰極16から発光層15への電子の注入障壁を下げて電子の注入効率を上げる目的で、図示しない電子注入層を、陰極16に隣接して設けてもよい。電子注入層は、陰極16より仕事関数の低いことが必要であり、金属材料が好適に用いられる。例えば、アルカリ金属(Na、K、Rb、Cs)、アルカリ土類金属(Sr、Ba、Ca、Mg)、希土類金属(Pr、Sm、Eu、Yb)、あるいはこれら金属のフッ化物、塩化物、酸化物から選ばれる単体あるいは2つ以上の混合物を使用することができる。電子注入層の厚さは0.05nm〜50nmが好ましく、0.1nm〜20nmがより好ましく、0.5nm〜10nmがより一層好ましい。
電子注入層は陰極とは異なる層を形成しているが、その役割は発光層15へ電子を注入することであるため、本明細書中ではこのような電子注入層も含めて陰極と呼ぶ。
発光層15と陰極16の間には、電子輸送層や正孔ブロック層などの有機層がさらに形成されていてもよく、このような層としてはそれぞれの機能に応じて公知の材料を用いることができるが、有機エレクトロルミネッセント素子の構造を単純にすることで製造が容易になり、素子を安価に製造できるため、発光層15と陰極16の間には有機層を形成せず、陰極16を発光層15に接して形成することが好ましい。
<封止>
有機エレクトロルミネッセント素子10を長期安定的に用い、有機エレクトロルミネッセント素子10を外部から保護するための保護層や保護カバー(図示せず)を装着することが好ましい。保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物、窒化ケイ素、酸化ケイ素等のシリコン化合物などを用いることができる。そして、これらの積層体も用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板、金属などを用いることができる。この保護カバーは、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法を採ることが好ましい。またこの際に、スペーサを用いることで所定の空間を維持することができ、有機エレクトロルミネッセント素子10が傷つくのを防止できるため好ましい。そして、この空間に窒素、アルゴン、ヘリウムのような不活性なガスを封入すれば、上側の陰極16の酸化を防止しやすくなる。特にヘリウムを用いた場合、熱伝導が高いため、電圧印加時に有機エレクトロルミネッセント素子10より発生する熱を効果的に保護カバーに伝えることができるため、好ましい。さらに酸化バリウム等の乾燥剤をこの空間内に設置することにより上記一連の製造工程で吸着した水分が有機エレクトロルミネッセント素子10にダメージを与えるのを抑制しやすくなる。
[用途]
本発明の有機エレクトロルミネッセント素子は、マトリックス方式またはセグメント方式による画素として画像表示装置に好適に用いられる。また、上記有機エレクトロルミネッセント素子は、画素を形成せずに、面発光光源としても好適に用いられる。
本発明の有機エレクトロルミネッセント素子は、具体的には、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、標識、看板、ビデオカメラのビューファインダー等における表示装置、バックライト、電子写真、照明、レジスト露光、読み取り装置、インテリア照明、光通信システム等における光照射装置に好適に用いられる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
ポリマーの重量平均分子量(ポリスチレン換算)および分子量分布指数(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記条件で測定した。
装置:昭和電工(株)製 Shodex GPC−101
カラム:Shodex KF−G+KF804L+KF802+KF801
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1ml/min
カラム温度:40℃
[合成例1]化合物HI−15の合成
特開平9−188756号公報に記載された方法に従って合成した。
Figure 2012146811
[合成例2]化合物HI−18の合成
特開2005−200638号公報に記載された重合性化合物viHMTPD(化合物20)200mgおよびトルエン2.4mlを密閉容器に入れ、次いでV−601(和光純薬工業(株)製;ジメチル 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート))のトルエン溶液(0.1M、39μl)を加えた後、凍結脱気操作を5回繰り返した。真空のまま密閉し、60℃で60時間撹拌した。反応後、反応液をアセトン100ml中に滴下し、沈殿を得た。さらにトルエン−アセトンによる再沈殿操作を2回繰り返した後、50℃で一晩真空乾燥し、化合物HI−18を得た。
Figure 2012146811
[合成例3]化合物HI−20の合成
冷却管を備えた100ml三口フラスコに2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン(1.362g(10mmol))を入れ、窒素置換した。ここに脱水キシレン(60ml)および3−ヨードトルエン(5.233g(24mmol))を加え撹拌した後、酢酸パラジウム(337mg(1.5mmol))、カリウム−t−ブトキシド(4.040g(36mmol))、トリ−t−ブチルホスフィン/キシレン1:1溶液(1.8ml(4.5mmol))を加え、2時間加熱還流した。ここに3−ヨードトルエン(1.308g(6mmol))を加え2時間加熱還流し、さらに3−ヨードトルエン(1.308g(6mmol))を加えて3時間加熱還流した。反応後、室温にまで冷却した後、ジクロロメタン溶媒でセライトろ過を行い、減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=1:1)で精製した。
得られた固体(610mg(1.5mmol))を、冷却管を備えた50ml三口フラスコに入れ、窒素置換した。ここに3−ブロモスチレン(366mg(2mmol))、脱水キシレン(20ml)、酢酸パラジウム(23mg(0.1mmol))、カリウム−t−ブトキシド(191mg(1.7mmol))、トリ−t−ブチルホスフィン/キシレン1:1溶液(0.12ml(0.3mmol))を加え、撹拌しながら6時間加熱還流した。反応後、室温にまで冷却した後、ジクロロメタン溶媒でセライトろ過を行い、減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:クロロホルム=100:0〜48:52)で精製し、得られた固体をジクロロメタン−メタノールで再結晶することでHI−20Mを640mg得た。
Figure 2012146811
次に、viHMTPDの代わりにHI−20Mを用いたほかは、合成例2の上記化合物HI−18と同様な方法で重合を行い、ポリマーHI−20を得た。
Figure 2012146811
[合成例4]化合物HI−21の合成
冷却管を備えた100ml三口フラスコに、3,5−ジブロモ−4−メチルスチレン(1.0g(3.6mmol))を入れ、窒素置換した。ここに脱水キシレン(60ml)およびN−(3−メチルフェニル)−2,5−キシリジン(3.1g(15mmol))を加えて撹拌した後、酢酸パラジウム(0.35g(1.6mmol))、カリウム−t−ブトキシド(4.0g(36mmol))、トリ−t−ブチルホスフィン/キシレン1:1溶液(1.8ml(4.5mmol))を加え、4時間加熱還流した。得られた反応混合物を室温にまで冷却した後、ジクロロメタン溶媒でセライトろ過を行った。ろ液から減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=4:1)で精製し、ジクロロメタン−メタノールで再結晶することで、HI−21Mを1.8g(3.4mmol)得た。
Figure 2012146811
次に、viHMTPDの代わりにHI−20Mを用いたほかは、合成例2の上記化合物HI−18と同様な方法で重合を行い、ポリマーHI−21を得た。
Figure 2012146811
[合成例5]化合物HI−22の合成
冷却管を備えた100ml三口フラスコに、N,N’−ジフェニル−3,3’−ジメチル−4,4’−ベンジジン(1.0g(2.7mmol))を入れ、窒素置換した。ここに脱水キシレン(60ml)および4−ブロモアニソール(1.5g(8.0mmol))を加えて撹拌した後、酢酸パラジウム(0.35g(1.6mmol))、カリウム−t−ブトキシド(2.0g(18mmol))、トリ−t−ブチルホスフィン/キシレン1:1溶液(1.8ml(4.5mmol))を加え、3時間加熱還流した。得られた反応混合物を室温にまで冷却した後、ジクロロメタン溶媒でセライトろ過を行った。ろ液から減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=3:1)で精製した。
次に、特開2005−97589号公報の実施例9において、化合物(9−2)(MeOTPD)の代わりに上記で得られた固体を用い、化合物(9−1)(viMeOTPD)の合成と同様な方法でビニル化を行い、化合物HI−22Mを得た。
Figure 2012146811
次に、viHMTPDの代わりにHI−22Mを用いたほかは、合成例2の上記化合物HI−18と同様な方法で重合を行い、ポリマーHI−22を得た。
Figure 2012146811
[合成例6]化合物HT−1の合成
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド2.14g(6.0mmol)に脱水ベンゼン20mlと脱水テトラヒドロフラン10mlを加えて0℃に冷却し、1.6Mn−ブチルリチウムヘキサン溶液3.75ml(6.0mmol)を滴下し、そのまま10分間撹拌した。この溶液に、9−エチル−3−ホルミルカルバゾール1.1g(4.9mmol)の20mlベンゼン溶液を滴下し、室温で2時間撹拌した。得られた反応混合物に純水20mlを加え、ジクロロメタンで有機層を抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、化合物HT−1Mを得た。
Figure 2012146811
次に、viHMTPDの代わりにHT−1Mを用いたほかは、合成例2の上記化合物HI−18と同様な方法で重合を行い、ポリマーHT−1を得た。
Figure 2012146811
[合成例7]化合物HT−2の合成
9−エチル−3−ホルミルカルバゾールの代わりに9−エチル−2−ホルミルカルバゾールを用いた以外は、合成例6の上記化合物HT−1の合成と同様な方法により、化合物HT−2を得た。
Figure 2012146811
[合成例8]化合物HT−4の合成
9−エチル−3−ホルミルカルバゾールの代わりに9−エチル−3−ホルミル−6−メチルカルバゾールを用いた以外は、合成例6の上記化合物HT−1の合成と同様な方法により、化合物HT−4を得た。
Figure 2012146811
[合成例9]化合物HT−5の合成
9−エチル−3−ホルミルカルバゾールの代わりに9−エチル−2−ホルミル−6−メチルカルバゾールを用いた以外は、合成例6の上記化合物HT−1の合成と同様な方法により、化合物HT−5を得た。
Figure 2012146811
[合成例10]化合物HO−1の合成
国際公開第09/11272号に記載された方法に従って合成した。
Figure 2012146811
[合成例11]化合物HO−6の合成
塩化3−ベンゾイル2.0g(9.1mmol)および3−ブロモベンゾニトリル5.0g(27mmol)を1,2−ジクロロエタン50mlに溶解し、塩化アルミニウム1.5g(11mmol)および塩化アンモニウム2.2g(42mmol)を加え、24時間加熱還流した。得られた反応混合物を室温にまで冷却した後、10%塩酸水溶液中に注ぎ、室温で1時間撹拌した。クロロホルムで有機層を抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって2,4,6−トリ(3−ブロモフェニル)トリアジンを1.6g(2.9mmol)得た。
次に得られた2,4,6−トリ(3−ブロモフェニル)トリアジンと、4−tert−ブチルフェニルボロン酸1.1g(6.2mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.50g(0.43mmol)および1,2−ジメトキシエタン100mlの混合物に、炭酸カリウム5.0g(36mmol)の50ml水溶液を加え、4時間加熱還流した。得られた反応混合物から有機層を抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
得られた固体に、3−ビニルフェニルボロン酸0.44g(3.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.50g(0.43mmol)および1,2−ジメトキシエタン100mlの混合物に、炭酸カリウム5.0g(36mmol)の50ml水溶液を加え、8時間加熱還流した。得られた反応混合物から有機層を抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後、熱エタノールから再結晶することにより、化合物HO−6Mを得た。
Figure 2012146811
次に、viHMTPDの代わりにHO−6Mを用いたほかは、合成例2の上記化合物HI−18と同様な方法で重合を行い、ポリマーHO−6を得た。
Figure 2012146811
[合成例12]化合物HO−8の合成
4−tert−ブチルフェニルボロン酸の代わりに、3−(4−tert−ブチルフェニル)フェニルボロン酸を用いた以外は、合成例11の化合物HO−6と同様な方法で化合物HO−8を合成した。
Figure 2012146811
[合成例13]化合物HO−9の合成
4−ブロモベンゾニトリルの代わりに4−tert−ブチルベンゾニトリルを用いた以外は2,4,6−トリ(3−ブロモフェニル)トリアジンの合成と同様な方法で2−(3−ブロモフェニル)−4,6−(4−tert−ブチルフェニル)トリアジンを合成した。この合成中間体1.5g(3.0mmol)に3−ビニルカルバゾール0.70g(3.6mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.50g(0.43mmol)、カリウム−tert−ブトキシド3.0g(27mmol)およびキシレン100mlを加え、24時間加熱還流した。得られた反応混合物をセライトでろ過し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後、熱エタノール溶液から再結晶することによって、化合物HO−9Mを1.0g(1.6mmol)を得た。
Figure 2012146811
次に、viHMTPDの代わりにHO−9Mを用いたほかは、合成例2の上記化合物HI−18と同様な方法で重合を行い、ポリマーHO−9を得た。
Figure 2012146811
[実施例1]
トリアリールアミン誘導体である上記化合物HI−20(100質量部)および電子受容性化合物であるF4TCNQ(Aldrich社製)(5質量部)をトルエンに溶解し、固形分濃度が0.8質量%となるように溶液を調製した。この溶液をITO膜付ガラス基板上にスピンコート法(回転数:3000rpm、回転時間30秒)によって塗布し、得られた塗膜を窒素雰囲気下、210℃で1時間加熱し、厚さ20nmの正孔注入層を形成した。
次に室温で十分に放冷した上記正孔注入層の上に、HT−1のトルエン溶液(固形分濃度が0.6質量%となるように調製した)をスピンコート法(回転数:3000rpm、回転時間30秒)によって塗布し、得られた塗膜を窒素雰囲気下、210℃で1時間加熱し、厚さ15nm正孔輸送層を形成した。
次に室温で十分に放冷した上記正孔輸送層の上に、トリアリールトリアジン誘導体である上記化合物HO−8と燐光発光体PH−16(発光極大波長480nm)を質量比90:10で含むトルエン溶液(固形分濃度が1.0質量%となるように調製した)をスピンコート法(回転数:3000rpm、回転時間30秒)によって塗布し、窒素雰囲気下140℃で1時間加熱して厚さ40nmの発光層を形成した。なお、PH−16は、特開2008−137994号公報の実施例1の化合物Aの合成と同様にして、2−(2’,4’−ジフルオロフェニル)−4−ターシャリーブチルピリジンを2−(4’−フルオロフェニル)−4−ターシャリーブチルピリジンにかえて合成した。
次に真空蒸着装置を用い、発光層の上に陰極として0.5nmのNaF層および厚さ150nmのAl層を順次形成し、有機エレクトロルミネッセント素子を作製した。
作製した有機エレクトロルミネッセント素子に定電圧電源(Keithley製、SM2400)を用いて電圧を印加し、輝度を輝度計(トプコン製、BM-9)で測定した。電流密度に対する輝度の比から発光効率を決定した。素子を100cd/m2の輝度で点灯した時の発光効率、駆動電圧および電力効率を表2に示す。
また、有機エレクトロルミネッセント素子を初期輝度1000cd/m2で発光させ、その時の電流を維持しながら素子を駆動し続け、一定時間おきに輝度を測定することで、発光寿命測定を行った。表2に初期輝度が半減するまでの時間、および初期輝度が半減した時の駆動電圧の、発光寿命測定開始直後の駆動電圧に対する比(電圧上昇率)を示す。
[実施例2〜10および比較例1〜3]
正孔注入層、正孔輸送層および発光層の各層の塗布成膜に用いる溶液の固形分組成を表2に示したものとし、実施例1と同様にして有機エレクトロルミネッセント素子を作製した。
表1には用いたポリマーの重量平均分子量および分子量分布指数を示した。
Figure 2012146811
なお、HO−20はHO−6の繰り返し単位およびHT−1の繰り返し単位を50:50のモル比で含むコポリマーであり、200mgのviHMTPDの代わりに、100mgのHO−6Mおよび100mgのHT−1を用いた以外は、上記化合物HI−18と同様な方法で重合を行うことによって得た。
Figure 2012146811
Figure 2012146811
10 有機エレクトロルミネッセント素子
11 基板
12 陽極
13 正孔注入層
14 正孔輸送層
15 発光層
16 陰極

Claims (9)

  1. 陽極と、
    下記式(1)で表わされるトリフェニルアミン構造を部分構造として含むトリアリールアミン誘導体、および電子受容性化合物を含有する正孔注入層と、
    Figure 2012146811
    下記式(2)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーを含有する正孔輸送層と、
    Figure 2012146811
    (式(2)中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよいシリル基を表し、R9は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表す。)
    下記式(3)で表わされるトリフェニルトリアジン構造を部分構造として含むトリアリールトリアジン誘導体、および燐光発光体を含有する発光層と、
    Figure 2012146811
    陰極と
    がこの順序で積層されてなる有機エレクトロルミネッセント素子。
  2. 前記トリアリールアミン誘導体が、下記式(4)または(5)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーである、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
    Figure 2012146811
    (式(4)、(5)のそれぞれにおいて、複数個あるRaは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、少なくとも1つのRaは炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数個あるRbは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数個あるRcは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、アリール基またはジアリールアミノ基を表し、同一のフェニル基の中の隣接する炭素原子にそれぞれ結合しているRcは互いに結合して縮合環を形成してもよく、pは0〜2の整数を表す。)
  3. 前記式(4)または(5)で表わされる繰り返し単位を有するポリマー、および前記式(2)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーのGPCにより測定されるポリスチレン換算重量平均分子量が、いずれも20,000〜1,000,000である、請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
  4. 前記トリアリールトリアジン誘導体が、下記式(6)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
    Figure 2012146811
    (式(6)中、R11〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜15のヘテロアリール基、炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよいシリル基を表し、Xは炭素数1〜10のアルキレン基または炭素数6〜20のアリーレン基を表し、qは0または1を表す。)
  5. 前記トリアリールトリアジン誘導体が、前記式(6)で表わされる繰り返し単位および前記式(2)で表わされる繰り返し単位を20:80〜90:10のモル比で含むポリマーである、請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
  6. 前記正孔注入層、前記正孔輸送層および前記発光層が、いずれも塗布により形成された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
  7. 前記発光層の膜厚が30〜100nmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
  8. 前記燐光発光体の少なくとも1つが、発光極大波長を440〜500nmの間に有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
  9. 前記陰極が前記発光層に接して形成された、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
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