JP2014032935A - リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リチウムイオン二次電池100の製造方法において、少なくとも活物質Kと結着材BDとを含む粉末状の造粒粒子41をポリオレフィン系セパレータZ上に供給して堆積層42を形成させる。また、前記堆積層42を加圧成型して前記ポリオレフィン系セパレータZ上に合剤層43を形成させる。
【選択図】図3
Description
リチウムイオン二次電池の電極製造にあたり、アルミ箔や銅箔などの集電体表面に活物質と結着材等とを溶媒に混練してスラリー状にしたペーストを薄膜状に塗工し、その後、乾燥・プレスすることによって製造される塗布電極が、一般に知られている。
しかし、従来の塗布電極の場合、乾燥工程における溶媒の熱対流により、薄膜状に塗工されたペースト内部で活物質と結着材とが遊離し、結着材が膜厚上方へ偏析するマイグレーションが生じる傾向がある。活物質と結着材とが遊離して偏析すると、充放電時における活物質の膨張収縮等に伴い、活物質同士や活物質と集電体との間で剥離が発生しやすくなり、電池性能が劣化する問題があった。
そのため、結着材の偏析が生じない粉体成型で電極を製造する方法が開発され、例えば、特許文献1に開示されている。
特許文献1の技術は、活物質及び結着材等の電極材料からなる粉末状の造粒粒子を粉体供給装置によって対向する加圧ローラの一方又は双方上に供給し、加圧ローラ間を通過する集電体表面に、供給された造粒粒子を加圧成型により合剤層を形成する方法である。
また、電極板の充放電を繰り返すと、合剤層は膨張収縮を繰り返すことになるが、金属箔からなる集電体の伸縮性は合剤層の膨張収縮量(約10%程度)より小さいため、合剤層と集電体との伸縮ズレが生じて、合剤層が割れ、剥がれを起こし、結果的に容量低下に繋がるという問題があった。
よって、伸縮性の低い金属箔の集電体上に合剤層を形成する方法に比べて、電極板の耐久性が向上する。
よって、本発明によれば、電極板における合剤層の剥離強度を高め、電池の容量維持率低下を防止できる。
前記ポリオレフィン系セパレータを、正又は負に帯電させることを特徴とする。
また、結着材(例えば、スチレンブタジエン・ゴム(SBR))は、一般に有機物であり誘電分極しやすいので、帯電したポリオレフィン系セパレータ上に吸引されて集まりやすい。そのため、結着材がセパレータと活物質との間に入り、造粒粒子の堆積層が加圧成型されたとき、結着材がセパレータと活物質とを有効に結着でき、合剤層の剥離強度を更に高めることができる。
なお、ポリオレフィン系セパレータは、コイルから巻き戻すだけでも、簡単に帯電するので、セパレータを搬送する間に、帯電させることもできる。
前記ポリオレフィン系セパレータは、コロナ放電処理で正又は負に帯電制御させることを特徴とする。
まず、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構造について説明する。図1に、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の断面図を示す。図2に、図1に示すリチウムイオン二次電池の電極詳細図(B部の拡大断面図)を示す。
電極体101は、ポリオレフィン系セパレータZの一方の面に正極活物質及び結着材、増粘剤を含む正極合剤層Sを形成し、他方の面に負極活物質及び結着材、増粘剤を含む負極合剤層Fを形成して、正極板1011及び負極板1012で挟んで捲回してから、扁平形状に成型したものである。
図2に示すように、図面左手から正極板1011、正極合剤層S、ポリオレフィン系セパレータZ、負極合剤層F、負極板1012、負極合剤層F、ポリオレフィン系セパレータZ、正極合剤層S、正極板1011の順で並んでいる。ここで、正極板1011と正極合剤層S、及び負極板1012と負極合剤層Fは、それぞれ密着しているので、正極板1011と正極合剤層Sとの間、及び負極板1012と負極合剤層Fとの間には、それぞれ導電パスが形成されている。
次に、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の製造方法の中で、技術的特徴であるセパレータ上に合剤層を形成する方法について説明する。図3に、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の製造装置の一部を示す。
コイル巻き戻し機ZCは、コイル状に捲回されたポリオレフィン系セパレータZを所定のテンションを掛けながら巻き戻す装置である。
ポリオレフィン系セパレータZは、幅が200〜300mm程度で、厚さが10〜40μm程度である。ポリオレフィン系セパレータZには、例えば、PET,PENなどが適していて、フィルムでも不織布でもかまわない。ポリオレフィン系セパレータZには、電解液が透過できる細孔が複数個形成されている。ポリオレフィン系セパレータZの表面には、微小の凹凸を形成してもよい。微小の凹凸によるアンカー効果により、その上に形成する合剤層の密着力を高めることができる。
コロナ放電装置3は、送りローラ1、2から搬送されてくるポリオレフィン系セパレータZの上方に配置され、ポリオレフィン系セパレータZを帯電させるためコロナ放電31を発生させる装置である。ポリオレフィン系セパレータZには、40〜300W・min/m2程度のコロナ放電処理を行う。帯電電圧は、1.2kV以上である。
なお、造粒粒子41は、活物質と結着材と増粘剤とを溶媒に溶かして混練し、乾燥させて造粒する方法で製造してもよい。この場合における活物質と結着材と増粘剤との混合比率(wt%)は、97.3:2.0:0.7程度である。増粘剤には、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)を用いることができる。
ここで、造粒粒子41の堆積量は10mg/cm2程度であり、堆積層42の厚さは100〜120μm程度である。
以上のように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の製造方法によれば、電極板
におけるポリオレフィン系セパレータZの片面に合剤層43を形成することができる。なお、電極板におけるポリオレフィン系セパレータZの両面に合剤層43を形成する場合には、上記製造方法を2回繰り返すことになる。
次に、本実施形態に係る製造方法により製造したリチウムイオン二次電池の電極板において、合剤層の剥離強度を向上させるメカニズムとその効果について説明する。合剤層の剥離強度を向上させるメカニズムには、大きく言って、3つの特徴がある。図4に、本実施形態においてセパレータ上に合剤の造粒粒子が吸着された状態の模式的断面図を示す。
活物質Kは、ポリオレフィン系セパレータZ上に結着されている。充放電することによって、活物質Kの結晶内にリチウムイオンが出入りすると、活物質Kの体積は、約10%程度膨張収縮する。この膨張収縮の時に、活物質Kがセパレータに結着されて動きが拘束されると、活物質Kの結晶が分割されたり、セパレータから剥がれたりする。
しかし、ポリオレフィン系セパレータZは、金属箔である正極板又は負極板に比較して伸縮性が高い。活物質Kが膨張収縮するとき、活物質Kに追従して、ポリオレフィン系セパレータZは伸縮することができる。すなわち、ポリオレフィン系セパレータZは、活物質Kの膨張収縮と共に伸縮できるので、活物質Kとポリオレフィン系セパレータZと間で、ズレが生じにくい。
したがって、充放電時に膨張収縮する活物質Kに対しても、合剤層の割れ、剥がれが起こりにくい。
図4に示すように、ポリオレフィン系セパレータZの表面には、造粒粒子の活物質Kと結着材BDが所定の割合で略均一に分散されて堆積されている。そのため、従来の塗布電極のように、堆積層Gの上方に結着材BDが偏析することはなく、活物質Kの間には、適量の結着材BDが分散されている。
したがって、堆積層Gが加圧されて粉体成型されたとき、略均一に分散された結着材BDによって活物質同士が略均一に結着されて、剥離強度が向上する。そして、堆積層Gの上方に結着材BDが偏析していないので、導電パスも確実に形成することもできる。
ポリオレフィン系セパレータZは、コイル巻き戻し機ZCによって巻き戻され搬送される間に、帯電されている。そのため、図4に示すように、有機物である結着材BDは、誘電分極されて、無機物である活物質Kよりも優先的にポリオレフィン系セパレータZ上に吸引される。
したがって、活物質Kとポリオレフィン系セパレータZとの間に、結着材BDが多く集まって、堆積層Gが加圧されて粉体成型されたとき、結着材BDによって活物質Kとポリオレフィン系セパレータZとが確実に結着される。コロナ放電処理すると、一層効果的である。
図5に示すように、ポリオレフィン系セパレータZ上に粉体成型した電極(本実施形態)の剥離強度が最も高く、従来の塗布電極より約65%上昇し、カーボンコート箔に粉体成型した電極より約130%上昇している。
以上のように、本実施形態に係る製造方法により製造したリチウムイオン二次電池の電極板は、合剤層の剥離強度を大幅に向上させることができる。
次に、本実施形態に係る製造方法により製造したリチウムイオン二次電池の電極板において、耐久試験後の容量維持率を説明する。図6に、本実施形態により製造した電極板における耐久試験後の容量維持率のグラフを示す。
図6は、従来の塗布電極とカーボンコート箔に粉体成型した電極とポリオレフィン系セパレータZ上に粉体成型した電極(本実施形態)とを、60℃の環境下で、電流2Cレートで、400サイクルの耐久試験を行い、その後の容量維持率を比較したグラフである。
図6に示すように、ポリオレフィン系セパレータZ上に粉体成型した電極(本実施形態)の容量維持率が最も高く、従来の塗布電極より約2.4%上昇し、カーボンコート箔に粉体成型した電極より約4.5%上昇している。
以上のように、本実施形態に係る製造方法により製造したリチウムイオン二次電池の電極板は、耐久試験後の容量維持率を向上させることができる。
次に、本発明の要旨を変更することなく、実施できるリチウムイオン二次電池の製造方法について説明する。
本実施形態は、セパレータの片面毎に活物質及び結着材等を含む合剤層を形成する方法であるが、セパレータの両面同時に合剤層を形成することもできる。
具体的には、左右の加圧ローラは、ポリオレフィン系セパレータZを狭んで対向する位置に配置される。左右の加圧ローラ上に配置された第1粉体フィーダと第2粉体フィーダとによって、活物質と結着材を含有する粉体の造粒粒子を左右の加圧ローラ上に積層させ、積層された堆積層をポリオレフィン系セパレータに加圧しながら回転して、ポリオレフィン系セパレータの両面に、同時に合剤層を形成する。
3 コロナ放電装置
4 粉体フィーダ
5、6 加圧ローラ
10 リチウムイオン二次電池の製造装置
31 コロナ放電
41 造粒粒子
42 堆積層
43 合剤層
100 リチウムイオン二次電池
101 電極体
Claims (3)
- 少なくとも活物質と結着材とを含む粉末状の造粒粒子をポリオレフィン系セパレータ上に供給して堆積層を形成し、該堆積層を加圧成型して前記ポリオレフィン系セパレータ上に合剤層を形成させるリチウムイオン二次電池の製造方法。
- 請求項1に記載されたリチウムイオン二次電池の製造方法において、
前記ポリオレフィン系セパレータを、正又は負に帯電させることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載されたリチウムイオン二次電池の製造方法において、
前記ポリオレフィン系セパレータは、コロナ放電処理で正又は負に帯電制御させることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
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