JP2014032107A - 放射性物質除去剤及び放射性物質を含む汚染水の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルギン酸のアルカリ土類金属塩と、放射性物質除去機能物質とを含有する多孔質体粒状体を基体粒子とし、該基体粒子の少なくとも表層部に、ナトリウムよりもイオン化傾向の小さな金属のアルギン酸金属塩が存在してなることを特徴とする粒状放射性物質除去剤を提案する。
【選択図】なし
Description
かかる課題を解決するための手段として、水分を分離させることが比較的容易な粒状の吸着剤を利用する方法や、多孔性素材の表面や空隙部に放射性物質吸着能を有する物質を添着或いは担持させた放射性物質除去剤を利用する方法などが考えられる。
しかし、多孔性樹脂やゼオライトに放射性物質吸着物質を添着或いは担持させたのでは、添着あるいは担持できる部位が極めて微小部分に限られるため、ごく少量しか放射性物質吸着物質を付けることができないため、放射性物質の除去効率を高めることが難しいという課題があった。
本発明が提案する放射性物質除去剤は、粒状体であり、粉末状のものに比べて固液分離し易いため、粉末状の除去剤のように処理廃棄物としての汚泥スラリーを発生することがない点でも優れている。
また、本発明が提案する放射性物質除去剤は、アルギン酸のアルカリ土類金属塩を含有する多孔質体粒状体からなる基体粒子表面及び内部に放射性物質除去機能物質が含有されるものであるため、多孔質体粒状体の空隙を通じて放射線汚染水(被処理水)が粒子内部へ容易に浸入して、粒子内部に存在する放射性物質除去機能物質とも接触するため、放射性物質を効率良く吸着除去することができる。また、このように粒子内部及び表面で放射性物質を吸着することができ、粒子表面に偏って放射性物質が吸着されないため、粒子表面の放射線量の高まりを抑えて使用寿命を長くすることもできる。
本実施形態に係る放射性物質除去剤(以下「本放射性物質除去剤」と称する)は、アルギン酸のアルカリ土類金属塩と、放射性物質除去機能物質とを含有する多孔質体粒状体を基体粒子とし、該基体粒子の少なくとも表層部に、ナトリウムよりもイオン化傾向の小さな金属のアルギン酸金属塩が存在することを特徴とする粒子(以下「本放射性物質除去剤粒子」と称する)を含有する放射性物質除去剤である。
本放射性物質除去剤粒子が微粒であると、前述のように放射性物質含有排水を接触させた後に固液分離しても、放射性物質除去剤から水分を分離させることが難しいため、固液分離した後に放射性物質を含有する大量の汚泥が発生することになる。これを回避するため、本放射性物質除去剤粒子は、固液分離し易い大きさであるのが好ましい。かかる観点から、本放射性物質除去剤粒子の平均粒径は0.5mm以上であることが好ましい。その一方、本放射性物質除去剤粒子が大き過ぎると、表面積が小さくなり、放射性物質の除去効率が低下するため、5mm以下であるのが好ましい。
かかる観点から、本放射性物質除去剤粒子の平均粒径は0.5mm以上であり、5mm以下であることが好ましい。中でも接触効率や圧力損失を考慮すると、1.0mm以上或いは3mm以下、その中でも特に1.2mm以上或いは2.5mm以下であるのが好ましい。
そしてその気孔率は、放射性物質の吸着効率の点などから、10v/v%〜70v/v%であるのが好ましく、中でも30v/v%以上或いは60v/v%以下であるのが好ましい。
また、同じく放射性物質の吸着効率の点などから、気孔径は、0.1μm〜50μmであるのが好ましく、中でも0.5μm以上或いは20μm以下であるのが好ましい。
アルギン酸のアルカリ土類金属塩は、多孔質粒状体粒子を構成する役割と共に、放射性物質除去機能物質を保持するバインダーとしての役割も有している。
放射性物質除去機能物質は、放射性物質を何らかの手段で捕らえることができる機能を有する物質であれば任意に採用可能である。中でも、粘土鉱物、難溶性フェロシアン化合物、活性炭及びゼオライトからなる群のうち1種の放射性物質除去機能物質或いは2種類以上の組み合わせからなる放射性物質除去機能物質を選択して用いるのが好ましい。
このモンモリロナイト属の粘土鉱物としては、Na形モンモリロナイトであるベントナイト、H形モンモリロナイトである酸性白土、これらを酸処理して可溶性陽イオンを溶出させて表面活性を高めた活性白土が挙げられる。
このように、粘土鉱物は、放射性セシウムを選択的に除去することができ、結晶構造に基づく選択吸着が有効であることから、モンモリロナイト系粘土鉱物、紺青、天然ゼオライトが有効である。中でも、モンモリロナイト系粘土鉱物であるベントナイトが特に好ましい。
この種の難溶性フェロシアン化合物は、放射性セシウムを選択的に除去することができる。
この種のゼオライトは、高い陽イオン交換能を有していること、およびその物理低構造から放射性陽イオン核種を除去することができる。よって、放射性セシウムのほかにも、放射性ストロンチウムを除去することもできる。中でも、A型ゼオライトは、放射性ストロンチウムを除去作用に優れている。
放射性物質除去機能物質が基体粒子表面及び内部に散在することにより、放射線汚染水(被処理水)は、基体粒子表面の放射性物質除去機能物質と接触するばかりか、多孔質体粒状体の空隙を通じて粒子内部へ浸入して、粒子内部に散在する放射性物質除去機能物質とも接触するため、放射性物質を効率良く除去することができる。
また、このように粒子内部及び表面で放射性物質を吸着することができると、粒子表面に偏って放射性物質が吸着されないため、粒子表面の放射線量の高まりを抑えて使用寿命を長くすることもできる。
本放射性物質除去剤粒子においては、基体粒子の少なくとも表層部に、ナトリウムよりもイオン化傾向の小さな金属のアルギン酸金属塩が存在することが重要である。
該基体粒子の少なくとも表層部に、ナトリウムよりもイオン化傾向の小さな金属のアルギン酸金属塩が存在することにより、海水のようにナトリウム含有量が多い放射性汚染水などを処理する場合においても、基体粒子(多孔質体粒状体)を構成するアルギン酸のアルカリ土類金属塩のアルカリ土類金属がナトリウムと置換して、膨潤したり、溶解したりするのを防ぐことができる。
本放射性物質除去剤の製造方法の一例として、次の2つの製法を挙げることができる。但し、本放射性物質除去剤の製造方法をこれら2つの製法に限定するものではない。
例えば塩化カルシウム水溶液にアルギン酸ナトリウム水溶液を一滴ずつ入れると、アルギン酸ナトリウムと塩化カルシウムが反応し、アルギン酸ナトリウム水溶液の表面にアルギン酸カルシウム膜が形成され、アルギン酸ナトリウム水溶液が球状になり、所謂人工種子(イクラ)が形成されることが知られている。このような原理で、アルギン酸アルカリ金属塩の球状の粒子(ゾル)が作られ、さらに粒子内部のアルギン酸アルカリ金属がアルカリ土類金属に置換することによって、粒子内部に放射性物質除去機能物質を保持した状態で固まってゲル化することになる。
また、本製造方法は、難水溶性の放射性物質除去機能物質をアルギン酸アルカリ土類金属からなるゲルで包み込むことにより、容易に、しかも任意の割合で粒状に成形することが可能であると共に、このようなアルギン酸アルカリ土類金属ゲルの表面を、鉄、アルミニウム、銅などのアルギン酸ゲルに改質することができる。
さらにまた、粉体の成形方法としては、転動造粒成形、圧密成形、押し出し成形などがあるが、これらの方法はいずれも成形体を圧密状態にするものであるため、被処理水が粒子内部へ浸入することが困難であり、有効に利用されるのは粒子表面に限定されてしまう。これに対し、本製造方法によれば、表面がアルギン酸多価金属ゲルに改質されたアルギン酸アルカリ土類金属ゲルを乾燥させて水分を離脱させることにより粒子内に空隙を作るため、粒子表面から内部に通じる空隙を多数含む多孔質体を作製することができる。よって、被処理水が粒子内部へ容易に浸入することができるため、内部の放射性物質除去剤も有効に利用される。
しかも、後述するように、添加する放射性物質除去機能物質の濃度を調整することで本放射性物質除去剤の粒度制御が可能である。
第1製法の好適な一例として、アルギン酸アルカリ金属塩の水溶液に上記放射性物質除去機能物質を加えて分散させてアルギン酸アルカリ金属塩ゾルを作製するゾル作製工程と、該アルギン酸アルカリ金属塩ゾルを、アルカリ土類金属塩水溶液からなるゲル化剤を含んだ水溶液中に滴下してアルギン酸アルカリ土類金属ゲルを作成するゲル作製工程と、ナトリウムよりもイオン化傾向の小さな多価金属の金属塩の水溶液に、前記工程で得られたアルギン酸アルカリ土類金属ゲルを浸漬させて、該アルギン酸アルカリ土類金属ゲル表面をアルギン酸多価金属ゲルに改質する表面改質工程と、得られたゲルを乾燥させて多孔質造粒体を作製する多孔質化工程と、を備えた製法を挙げることができる。
本工程では、例えば、アルギン酸アルカリ金属塩を水に溶解して粘稠性の水溶液を作製し、この水溶液に放射性物質除去機能物質を加えて均一に分散・混合させることでアルギン酸アルカリ金属塩ゾルを作製することができる。
本工程では、例えば、アルカリ土類金属を含んだ水溶液をゲル化剤溶液として調製しておき、このゲル化剤溶液を緩やかに撹拌しながら、このゲル化剤溶液中に、前記工程で得られたアルギン酸アルカリ金属塩ゾルを、内径0.5mm〜2mmのノズルから液滴を滴下させることにより、前記放射性物質除去機能物質を均一に包含したアルギン酸アルカリ土類金属ゲルを作製することができる。
該アルカリ土類金属の塩としては、塩化物塩、臭化物塩、硝酸塩など、水溶性のアルカリ土類金属塩であれば特に限定するものではない。価格などを考慮すると、塩化カルシウムが好適である。
アルカリ土類金属塩水溶液の濃度としては特に限定するものではないが、2〜6%程度が好適である。
本工程では、ナトリウムよりもイオン化傾向の小さな多価金属の金属塩の水溶液に、前記工程で得られたアルギン酸アルカリ土類金属ゲルを浸漬させて、該アルギン酸アルカリ土類金属ゲルの表面をアルギン酸多価金属ゲルに改質し、少なくとも基体粒子の表面層に多価金属のアルギン酸塩を存在させる。
鉄、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、コバルト、及び銅などの多価金属塩水溶液は、ゲル化剤として用いることも可能であるが、ゲル化反応速度は大きいものの、粒子内部への浸透速度が遅く、内部まで完全にはゲル化させることは難しい。そこで、この特性を逆に利用して、アルカリ土類塩属塩水溶液をゲル化剤としてアルギン酸アルカリ土類金属ゲルを作製した後に、多価金属塩ゲル化剤に浸漬させて表面を多価金属塩ゲル化することで、海水などのナトリウム含有量が多い水に浸漬してもゲル状態を保てるように表面改質することができる。
多価金属ゲル化剤水溶液の濃度は、特に限定するものではない。例えば0.4w/v%〜4w/v%程度、特に1w/v%以上或いは3w/v%以下程度が好適である。
前記工程において、表面が多価金属塩ゲル化されたアルギン酸アルカリ土類金属ゲルを、乾燥させることで、造粒物内から水分を脱離させることができ、この過程で造粒物を多孔質化させることができる。
乾燥温度は、粒子内部の空隙の大きさと割合を調整する観点から、40〜120℃とするのが好ましく、中でも60℃以上或いは90℃以下、その中でも、アルギン酸塩などの劣化を考慮すると80℃以下とするのがより好ましい。
次に、第2製法の好適な一例として、アルギン酸アルカリ金属塩の水溶液に上記放射性物質除去機能物質を加えて分散させてアルギン酸アルカリ金属塩ゾルを作製するゾル作製工程と、アルカリ土類金属塩とナトリウムよりもイオン化傾向の小さな多価金属の金属塩とを含有する混合水溶液を調製し、該混合水溶液中に、前記工程で得られたアルギン酸アルカリ金属塩ゾルを滴下することにより、表面がアルギン酸多価金属ゲルに改質されたアルギン酸アルカリ土類金属ゲルを作製するゲル作製・表面改質工程と、前記工程で得られたゲルを乾燥させて多孔質造粒体を作製する多孔質化工程と、を備えた製法を挙げることができる。
また、使用するアルカリ金属塩、放射性物質除去機能物質、アルカリ土類金属塩、ナトリウムよりもイオン化傾向の小さな多価金属の金属塩なども、上記第1製法と同様である。
本放射性物質除去剤粒子の粒度は、放射性物質の除去効率、通水抵抗などに影響するため、用途に応じて本放射性物質除去剤粒子の粒度を調整できれば有効である。
しかし、本製造方法においては、球状の液滴を滴下させるのに適正な条件でこれらのパラメータを設定すると、これらのパラメータを変化させても、湿潤状態のアルギン酸アルカリ土類金属ゲルの粒径はほぼ一定の4mm〜5mmとなり、湿潤状態のアルギン酸アルカリ土類金属ゲルの粒径を任意に制御することが難しいことが判明した。このことは、表面を多価金属ゲル化したアルギン酸アルカリ土類金属ゲルについても同様である。
この際、本放射性物質除去剤粒子の平均粒径は、JIS K 1474活性炭試験方法6.4項の粒度分布の測定方法に準拠して篩試験を行い、通過重量の累積比率(%)が50%となった粒径を平均粒径として求めた。
また、図3は、放射性物質除去機能物質としてベントナイトを単独で添加した場合であり、図4は、混合質量比率1:1でベントナイトと粉末活性炭とを混合した混合物を添加した場合を示したグラフである。
このように、放射性物質除去機能物質添加量と本放射性物質除去剤粒子の平均粒径とは累乗回帰で比例関係にあるため、放射性物質除去機能物質添加量を調整することで所望の平均粒径に制御することができる。
本放射性物質除去剤は、例えばろ過カラムのような容器内に充填して充填層を形成し、この充填層に、放射性物質を含む汚染水すなわち放射性物質汚染水(被処理水)を通水することにより、放射性物質を除去することができる。
これに対し、本放射性物質除去剤を用いて上記のように処理すれば、放射性物質汚染水(被処理水)を通水処理することが可能であり、放射性物質は本放射性物質除去剤に直接吸着され、処理水を通水して得ることができるため、凝集沈殿処理装置のような大きな設備が不要となり、かつ、汚泥も発生しないため放射性物質の濃縮減容化という点でも優れている。しかも、各種の放射性物質除去機能物質を組み合わせることによって、複数の核種を一つの充填槽で同時除去することも可能であり、極めて汎用性の高い処理方法といえる。
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
実施例・比較例で得た放射性物質除去剤について、JIS K 1474活性炭試験方法6.4項の粒度分布の測定方法に準拠して篩試験を行い、通過重量の累積比率(%)が50%となった粒径を平均粒径として求めた。
1w/v%のアルギン酸ナトリウム水溶液に4A型ゼオライト粉末を加えて混合し、重量組成比で4A型ゼオライト4.0w/w%、アルギン酸ナトリウム0.8w/w%のアルギン酸ナトリウムゾルを調製した。
これとは別に、塩化カルシウム(4.0w/v%)と塩化第二鉄(1.0w/v%)の混合水溶液を調製した。該混合水溶液をマグネチックスターラーで緩やかに撹拌しながら、前記アルギン酸ナトリウムゾルを、高さ5cm、内径3mmのノズルから25mL/分の速度で液滴を混合水溶液中に滴下させ、30分間ゲル化溶液中に保持し、4mm〜5mm径の球状の湿潤ゲル(アルギン酸ナトリウムゲル)を得た。
次に、得られた湿潤ゲルを、乾燥機で80℃、8時間の乾燥し、平均粒径1.5mmの球状の多孔質体造粒物からなる粉末である放射性物質除去剤を得た。
図5及び図6の右側のカラーバーは、上方の色調ほど存在率が高いことを示している。
図5に示されるように、Fe元素マッピング画像では、内部が青色であるのに対して周辺部は緑色を呈しており、鉄元素はゲル内部よりも表層部に密に存在していることが確認できた。
他方、図6に示されるように、Ca元素マッピング画像では、逆に内部が緑色、周辺部が青色を呈していることから、カルシウム元素はゲル表層部よりも内部に密に存在していることが確認できた。
以上の結果、本実施例で得られた放射性物質除去剤粒子については、アルギン酸カルシウムと、放射性物質除去機能物質(4A型ゼオライト)とを含有する多孔質体粒状体を基体粒子とし、該基体粒子の少なくとも表層部にアルギン酸鉄が存在していることが分かった。
実施例1において、塩化カルシウム(4w/v%)と塩化第二鉄(1w/v%)の混合水溶液を調製し、該混合水溶液中にアルギン酸ナトリウムゾルを滴下する代わり、塩化カルシウム(4w/v%)の水溶液を調製し、該水溶液中にアルギン酸ナトリウムゾルを滴下した以外の点は、実施例1と同様に放射性物質除去剤を作製した。
比較例1で得られた放射性物質除去剤を海水に浸漬し、1日経過後にろ紙上に取出して指を押し付けたところ、図8に示すように、硬さが低下しており、容易に潰れてしまった。海水のようにNaなどのアルカリ金属イオン濃度が高い水に含有される放射性物質の除去用途には適用が難しいことが分かった。
1w/v%のアルギン酸ナトリウム水溶液に4A型ゼオライトを加えて混合し、重量組成比で4A型ゼオライト4.0w/w%、アルギン酸ナトリウム0.8w/w%のアルギン酸ナトリウムゾルを調製した。
塩化カルシウム水溶液(4.0w/v%)をマグネチックスターラーで緩やかに撹拌しながら、前記アルギン酸ナトリウムゾルを、高さ5cm、内径3mmのノズルから25mL/分の速度で液滴を、塩化カルシウム水溶液中に滴下させ、30分間ゲル化溶液中に保持し、4mm〜5mm径の球状の湿潤ゲル(アルギン酸ナトリウムゲル)を得た。
次に、このアルギン酸ナトリウムゾルを、塩化第二鉄水溶液(1.0w/v%)に浸漬させて表面処理を行った後、得られた湿潤ゲルを、乾燥機で80℃、8時間の乾燥し、平均粒径1.5mmの球状の多孔質体造粒物からなる粉末である放射性物質除去剤を得た。
放射性物質除去機能物質の種類と量、ゾル化剤としてのアルギン酸アルカリ金属塩(実施例1ではアルギン酸ナトリウム)の種類、ゲル化剤としてのアルキル土類金属塩(実施例1では塩化カルシウムを使用)の種類、表面改質剤としての金属塩(実施例1では塩化第二鉄を使用)の種類を、上記表1に示すように変更した以外は、上記実施例1と同様にして、多孔性粒状放射性物質除去剤を作製した。
放射性物質除去機能物質の種類と量、表面改質剤としての金属塩(実施例33では塩化第二鉄を使用)の種類を、表1に示すように変更した以外は、上記実施例33と同様にして、多孔性粒状放射性物質除去剤を作製した。
処理試験条件は、セシウム(Sc)イオン、ストロンチウム(Sr)イオン及びヨウ素(I)イオンの濃度が各5mg/Lとなるように、塩化セシウム、塩化ストロンチウム及びヨウ化カリウムを、袖ヶ浦市の港湾海水に添加し、原水を調製した。
このようにして調製した原水に、実施例・比較例で得られた放射性物質除去剤を振動ミルで粉砕した粉砕物(平均粒径45μm以下)を5000mg/L添加し、100rpmで6時間連続撹拌による接触処理を行った後、0.45μmのGFフィルターでろ過し、ろ液中のセシウムイオン及びストロンチウムイオンの濃度を原子吸光光度法で、また、ヨウ素イオンの濃度をイオンクロマトグラフ法で測定して、それぞれの除去率(%)を測定した。
また、本試験では、放射線を放出していないセシウムイオン、ストロンチウムイオン及びヨウ素イオンの除去率を測定したが、除去のメカニズムを考慮すれば、放射線を放出しているものの除去率も同様であると考えることができる。
また、実施例1−60で得た放射性物質除去剤はいずれも、アルギン酸のアルカリ土類金属塩を含有する多孔質体粒状体からなる基体粒子の少なくとも表層部に、ナトリウムよりもイオン化傾向の小さな金属のアルギン酸金属塩が存在するものであり、海水のようにナトリウム含有量が多い放射性汚染水を処理する場合であっても、アルカリ土類金属がナトリウムと置換することがなく、放射性物質除去剤が膨潤したり、溶解したりするのを防ぐことができることが確認された。よって、海水のようにナトリウム含有量が多い放射性汚染水であっても好適に処理することができることが分かった。
Claims (9)
- アルギン酸のアルカリ土類金属塩と、放射性物質除去機能物質とを含有する多孔質体粒状体を基体粒子とし、該基体粒子の少なくとも表層部に、ナトリウムよりもイオン化傾向の小さな金属のアルギン酸金属塩が存在してなることを特徴とする粒状放射性物質除去剤。
- アルギン酸アルカリ金属塩の水溶液中に放射性物質除去機能物質を分散させたゾル状液体を、アルカリ土類金属塩の水溶液中に加えてゲル化させ、得られたゲルを、ナトリウムよりもイオン化傾向の小さな金属の金属塩の水溶液中に浸漬させ、次いで乾燥させて得られる粒状放射性物質除去剤。
- アルギン酸アルカリ金属塩の水溶液中に放射性物質除去機能物質を分散させたゾル状液体を、アルカリ土類金属塩と、ナトリウムよりもイオン化傾向の小さな金属の金属塩との混合物の水溶液中に加えてゲル化させ、得られたゲルを乾燥させて得られる粒状放射性物質除去剤。
- 放射性物質除去機能物質が、粘土鉱物、難溶性フェロシアン化合物、活性炭及びゼオライトからなる群のうちの1種又は2種以上の組合せからなるものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の粒状放射性物質除去剤。
- ナトリウムよりもイオン化傾向の小さな金属が、鉄、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、コバルト及び銅からなる群のうちの1種又は2種以上の組合せからなる金属であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の粒状放射性物質除去剤。
- 上記アルカリ土類金属塩が、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムの塩であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の粒状放射性物質除去剤。
- 上記アルギン酸アルカリ金属塩が、リチウム、ナトリウム又はカリウムのアルギン酸塩であることを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の粒状放射性物質除去剤。
- 基体粒子としての多孔質体粒状体の平均粒径は0.5mm以上であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の粒状放射性物質除去剤。
- 請求項1〜8の何れかに記載の粒状放射性物質除去剤を含む充填層に、放射性物質を含む汚染水を通水することを特徴とする、放射性物質を含む汚染水の処理方法。
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JP6022845B2 (ja) | 2016-11-09 |
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