JP2014029015A - 軸受鋼の製造方法およびその製造方法で得られる軸受鋼 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便で短時間の軟化焼鈍処理であっても十分な鋸切性を発現させることができる軸受鋼の製造方法を提案する。
【解決手段】質量%で、C:0.7〜1.3%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.1〜1.5%、Al:0.01〜0.2%、Cr:0.5〜2.5%、N:0.01%以下およびO:0.003%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる成分組成の鋼素材を、仕上げ圧延温度を700〜900℃として圧延し、ついで冷却停止温度を550℃以下として冷却してパーライト変態させることで得られた圧延材に対して、少なくとも700℃以上の加熱速度を10〜100℃/hとして720〜850℃まで加熱し、ついで少なくとも800℃から550℃までの温度域での冷却速度を0.017〜2℃/sとして冷却する軟化焼鈍を施す。
【選択図】なし

Description

本発明は、軸受鋼の製造方法およびその製造方法を用いて得られる軸受鋼に関し、特に十分な鋸切性を有しながら、軟化焼鈍時間の短縮化を図ろうとするものである。
ここに、鋸切性とは、鋸切作業に要する作業工数の低さのことを意味し、また作業工数とは、鋸切に要する時間および鋸刃の劣化に伴う鋸刃交換作業時間を意味する。この鋸切性は、鋼材の硬度と強い相関があり、鋼材のビッカース硬度Hvが270以下であれば十分な鋸切性を有していると言える。
従来、軸受鋼の軟化のための球状化焼鈍に際しては、例えば特許文献1に記載されているように、12時間近くもの高温保持が必要であった。そのため、処理時間の短縮化が望まれていた。
特許文献1では、圧延温度および圧下率を制御することによって処理時間の短縮化を図っている。
また、特許文献2には、Mo含有量が0.08質量%以下の軸受鋼に対し、第一次球状化処理に引き続いて三回以上の第二次球状化処理を比較的速い加熱速度と冷却速度で実施することにより、合計の処理時間を短縮する方法が提案されている。
さらに、特許文献3には、軸受鋼線材コイルを球状化焼鈍するに当たり、炉内雰囲気を強制的に置換できる対流可能な炉を使用し、炭化物の粗大化を均一にさせることによって、加工時間のばらつきを低減する方法が提案されている。
特開平11−286724号公報 特公平6−2898号公報 特開平6−73437号公報
しかしながら、前述した従来技術には、以下に述べるような問題を残していた。
すなわち、特許文献1に記載の技術では、圧延方法を工夫するのみであり、圧延後の軟化焼鈍条件と組み合わせて最適化を図ったものではないことから、軟化焼鈍時間の短縮効果に乏しい。加えて、熱追従性の観点から直径が60mmまでの比較的細径の棒鋼のみが適用対象となっており、さらなる適用範囲の拡大が望まれていた。
一方、特許文献2に記載の技術では、合計四回以上の加熱保持が必要であり、直径が90mmを上回るような比較的太径の棒鋼では、材料表層部と内部との温度差が著しく、熱の追従を待つ必要が生じるため、処理時間はさほど短縮されない。例えば、JIS G 4805に規定されるSUJ4やSUJ5は、0.1〜0.25質量%のMoを含有している。この場合、特許文献2で記載されているような比較的速い加熱速度と冷却速度では、正常な球状化組織が得られず、結果として硬度が軟化しないという問題があった。
また、特許文献3に記載の技術は、790℃で4時間保持後、660℃まで20℃/h(0.006℃/s)で冷却していることから、軟化焼鈍処理に長時間を要して製造を大量に行うことができず、大量生産に供するのが難しいところに問題を残していた。
近年では、風力発電用の大型軸受部品の需要が高まっており、そのような部品は大型であるため、冷間鍛造ではなく熱間鍛造で製造されるのが一般的である。この熱間鍛造前には、丸棒の長さを調節するための鋸切断を行う。この鋸切断を行う場合、上記した特許文献1〜3に記載のような、冷間鍛造性を担保するために厳密な条件下で行う、球状化焼鈍は必ずしも必要としていない。むしろ、高まる鋼材需要に対応するために大量生産性が要求され、かような要求と鋸切断の容易性(以下、鋸切性という)とを両立させることの方が重要になっている。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、軸受鋼の圧延とその後の軟化焼鈍を最適な組み合わせで実施することにより、簡便で短時間の軟化焼鈍処理であっても十分な鋸切性を発現させることができる軸受鋼の製造方法およびその製造方法を用いて得られる軸受鋼を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく、鋭意研究を重ねた。その結果、圧延時の圧延仕上げ温度及び圧延後の冷却停止温度を制御し、さらに、その後の軟化焼鈍において適正な条件で加熱処理および制御冷却処理を実施することによって、所期した目的が有利に達成されるとの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、
C:0.7〜1.3%、
Si:0.2〜1.0%、
Mn:0.1〜1.5%、
Al:0.01〜0.2%、
Cr:0.5〜2.5%、
N:0.01%以下および
O:0.003%以下
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物になる鋼素材を、仕上げ圧延温度:700〜900℃として圧延した後、550℃以下まで冷却してパーライト変態させ、ついで得られた圧延材に対して、軟化焼鈍を施すに際し、
少なくとも700℃以上の温度域の加熱速度を10〜100℃/hとして720〜850℃まで加熱し、ついで少なくとも800℃から550℃までの温度域の冷却速度を0.017〜2℃/sとして冷却することを特徴とする軸受鋼の製造方法。
2.前記圧延材が直径90mm以上の棒鋼であり、さらに前記軟化焼鈍における少なくとも800℃から550℃までの冷却を、空冷とすることを特徴とする前記1に記載の軸受鋼の製造方法。
3.前記軸受鋼が、さらに、質量%で
Cu:0.5%以下、
Ni:0.5%以下および
Mo:0.5%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする前記1または2に記載の軸受鋼の製造方法。
4.前記軸受鋼が、さらに、質量%で
Sb:0.005%以下
を含有することを特徴とする前記1乃至3のいずれかに記載の軸受鋼の製造方法。
5.前記1乃至4のいずれかに記載の軸受鋼の製造方法を用いて得られる軸受鋼。
本発明によれば、短時間の軟化焼鈍時間で、良好な鋸切性を有する軸受鋼を得ることができ、その結果、軸受鋼の生産効率を格段に向上させることができる。
組織観察用の試料の採取位置を示した図である。 ビッカース硬度の測定位置を示した図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、軸受鋼の成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、以下の成分組成を表す「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。
C:0.7〜1.3%
軸受鋼として必要な強度を確保するためには、0.7%以上のCが必要である。一方、1.3%を超えてCを添加した場合には、焼入れ後の残留オーステナイト量が増加して強度の低下を招く。そこで、C量は0.7〜1.3%の範囲とする。好ましくは0.8〜1.2%の範囲である。
Si:0.2〜1.0%
Siは、脱酸剤として、また固溶強化により鋼の強度を高め、鋼の耐転動疲労特性を向上させるために添加される元素であり、本発明では0.2%以上含有させる。一方、1.0%を超える添加は、鋼の被削性、鍛造性並びに鋸切性を劣化させる。また、Siは鋼中の酸素と結合し、酸化物として鋼中に存在することにより転造疲労寿命特性の劣化を招く。さらに、Siが偏析部に濃化した場合には、共晶炭化物を生成し易くする。以上のことから、本発明ではSiの上限は1.0%とする。好ましくは0.3〜0.9%の範囲、さらに好ましくは0.4〜0.8%の範囲である。
Mn:0.1〜1.5%
Mnは、焼入れ性を向上させ、鋼の靱性を高め、鋼の耐転動疲労特性を向上させるために添加される元素であり、本発明では0.1%以上含有させる。一方、1.5%を超える添加は、被削性を低下させるだけでなく、焼入れ性が高くなりすぎて圧延後の空冷において硬質のマルテンサイト組織が生成する場合があり、軟化焼鈍を実施しても硬度が下がらなくなり、鋸切性が低下するおそれがある。以上のことから、本発明ではMnの上限は1.5%とする。好ましくは0.15〜1.4%の範囲、さらに好ましくは0.2〜1.3%の範囲である。
Al:0.01〜0.2%
Alは、脱酸に有効な元素であり、本発明では0.01%以上含有させる。しかし、0.2%を超えて添加すると、粗大な酸化物系介在物が鋼中に存在するようになり、鋼の転動疲労寿命の低下を招く。従って、本発明ではAlの上限は0.2%とする。好ましくは0.012〜0.1%の範囲、さらに好ましくは0.015〜0.05%の範囲である。
Cr:0.5〜2.5%
Crは、焼入れ性を高めると共に、軟化焼鈍時には炭化物の球状化を促進するので、本発明では少なくとも0.5%以上含有させる。一方、2.5%を超えて過剰に添加すると焼入性が高くなり過ぎ、圧延後の空冷において硬質のマルテンサイト組織が生成し、軟化焼鈍を実施しても硬度が下がらなくなり、鋸切性が低下する。この観点から、Cr量は0.5〜2.5%の範囲とする。好ましくは0.6〜2.4%の範囲である。
N:0.01%以下
Nは、AlおよびTiと窒化物または炭窒化物を形成し、焼入れのための加熱時に、オーステナイトの成長を抑制する効果があるので、0.0025%以上添加することが好ましい。しかし、窒化物または炭窒化物が粗大になると、転動疲労寿命の低下を招くため、上限は0.01%とする。好ましくは0.0060%以下とする。
O:0.003%以下
Oは、硬質の酸化物系非金属介在物として存在し、O量が増加すると、酸化物系非金属介在物が粗大化する。この酸化物系非金属介在物は、特に転動疲労特性を害するため、極力低減することが望ましく、0.003%以下に低減する必要がある。好ましくは0.001%以下である。
以上、基本成分について説明したが、本発明では、必要に応じて、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下およびMo:0.5%以下のうちから選んだ1種または2種以上
Cu、NiおよびMoはいずれも、焼入れ性や焼戻し後の強度を高め、鋼の転動疲労寿命を向上させる元素であり、必要とする強度に応じて適宜選択して添加することができる。このような効果を得るためには、CuおよびNiは0.005%以上、またMoは0.01%以上含有させることが好ましい。しかし、Cu、NiおよびMoはそれぞれ0.5%を超えて添加すると、却って鋼の被削性や鍛造性が劣化するため、含有量の上限値はいずれも0.5%とすることが好ましい。なお、より好ましいMoの上限値は0.4%である。
Sb:0.005%以下
Sbは、熱処理時の表層脱炭を抑制するために、必要に応じて添加することができる。この効果を得るためには、0.0001%以上含有させることが好ましい。しかし、0.005%を超えて添加しても表層脱炭の抑制効果は飽和するので、Sbは0.005%以下で含有させることが好ましい。より好ましくは0.0004〜0.004%の範囲、さらに好ましくは0.001〜0.0035%の範囲である。
上記以外の残部組成は、Feおよび不可避的不純物である。
次に、上記した成分組成に従って溶製した鋼素材を加熱し、加熱した鋼素材に圧延を施す。ここで、この圧延工程での仕上げ圧延温度および圧延終了後の冷却停止温度を以下のように適正化する必要がある。
仕上げ圧延終了温度:700〜900℃
本発明では、上記温度域での圧延により、オーステナイト粒を微細化させることで、その後の冷却により生じるパーライト組織のラメラー間隔を大きくする、すなわち層状セメンタイトの幅を粗大化させることが肝要である。その理由は、軟化焼鈍を施す前の組織をラメラー間隔の大きいパーライト組織とすることで、軟化焼鈍中に生じる球状炭化物を粗大とし、軟化を早期化させることにある。
ここに、仕上げ圧延終了温度を低下させるほど、オーステナイト粒が微細化し、パーライト生成の核生成サイトが増加するので、圧延後の冷却時における変態温度は上昇する。パーライト組織中のラメラー間隔は、圧延後の冷却時における変態温度が上昇するほど粗大となることから、仕上げ圧延温度は低い方が望ましい。しかしながら、仕上げ圧延温度が700℃未満となると圧延荷重が増大し、結果として圧延の非効率化を招くおそれがあるため、下限は700℃とする。一方、仕上げ圧延温度が900℃を超えると、ラメラー間隔の粗大化が十分ではなく、軟化焼鈍時間が短縮されないため、上限を900℃とする。好ましくは850℃である。
圧延終了後、550℃以下まで冷却してパーライト変態させる。
軟化焼鈍を施す前の圧延材の鋼組織を、ラメラー間隔が粗大なパーライト主体の組織とするために、圧延終了後の冷却停止温度は550℃以下とする。
また、圧延終了後の冷却停止温度は、鋼材全域でのパーライト変態終了温度としてもよい。
なお、変態後の組織がパーライト以外の組織、すなわちマルテンサイトやベイナイトといった低温変態相であると、後述する軟化焼鈍時に球状炭化物の生成が遅く、また不均一となるので、軟化焼鈍に長時間を要することとなる。よって、圧延終了後はパーライト変態させるものとする。
ついで、得られた圧延材に対し、以下の条件で軟化焼鈍を施す。
700℃までの加熱速度
軸受鋼を加熱する際、材料表層部と内部との温度差が大きいと円周方向にわたって熱応力が発生し、割れの懸念が発生する。特に熱応力が高くなる温度は変態温度付近であるため、当該温度付近では徐加熱により、表面温度と内部温度との差を小さくしなければならない。この点、700℃までの温度域は大きな熱応力は発生せず割れのおそれはない。従って、700℃までの加熱速度は特に制限されることはなく、急速加熱を実施することもできる。ここに、700℃までは30〜150℃/hの速度で昇熱することが好ましい。加熱時間短縮の観点から、より好ましくは50〜150℃/hの速度範囲である。
少なくとも700℃以上の温度域での加熱速度を10〜100℃/hとして720〜850℃まで加熱
軸受鋼を軟化するには、層状のセメンタイトを崩して球状化を促進させる必要があり、そのための好適温度範囲は720〜850℃である。また、700℃から当該温度範囲は変態温度域でもあるため、熱応力が高くなる 。そこで、700℃以上の温度域での加熱速度を10〜100℃/hとして、720〜850℃まで徐加熱を行う。球状化促進および熱応力の観点から、好ましくは10〜80℃/hの加熱速度で720〜830℃まで徐加熱を行う。
上述したように、層状のセメンタイトを崩して球状化を促進させるために、720〜850℃まで10〜100℃/hの徐加熱を行い、かかる徐加熱により所望の球状化は達成される。鋼材全域にてより球状化を促進させるため、この温度で保持処理を行ってもよい。
少なくとも800℃から550℃までの温度域での冷却速度を0.017〜2℃/sとして冷却
ついで、少なくとも800℃から550℃までの温度域での冷却速度を0.017〜2℃/sとして冷却する制御冷却を行う。ただし、上記の加熱温度が800℃に満たない場合には、その温度から上記の制御冷却を行えばよい。
ここに、上記の加熱処理により、層状のセメンタイトは崩れて球状化が促進されるが、その後の冷却速度が速くなり過ぎると、新たな層状セメンタイトが再び生成し、硬度を高めてしまう。一方、冷却速度が過度に遅いと冷却処理に膨大な時間を要し、非効率的な操業となってしまう。そこで、冷却速度は0.017〜2℃/sの範囲に限定する。好ましくは0.05〜1℃/sの範囲である。また、圧延材が直径90mm以上の棒鋼であれば、空冷を行うことが好ましい。これは、加熱炉を使用しないので、徐冷処理にかかる源単位を削減できるためである。なお、直径90mmの棒鋼を空冷した場合は、0.2℃/s程度の冷却速度となり、直径450mmの棒鋼を空冷した場合は、0.02℃/s程度の冷却速度となる。
また、制御冷却温度範囲を少なくとも800℃から550℃までとしたのは、以下の理由による。
すなわち、800℃から550℃までの温度域には、パーライト変態温度域が含まれるため、この温度域での冷却速度の制御が、硬度、つまりは鋸切性に特に大きく影響するからである。
上記の制御冷却によって550℃まで冷却したのちの冷却処理については、特に制限はなく、そのままの速度で冷却してもよいが、処理時間の短縮化のためには高速で冷却することが好ましい。但し、あまりに高速だと鋼材に反りや曲がりが生じるおそれがあるので、冷却速度の上限は100℃/sとすることが好ましい。
以下、実施例に従って、本発明の構成および作用効果をより具体的に説明する。なお、本発明は以下に述べる実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲内にて適宜変更することも可能であり、これらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
表1に示す成分組成(残部はFeおよび不可避的不純物)の鋼を連続鋳造にて鋼素材とし、表2に示す条件で、この鋼素材を加熱(鋼片加熱)して直径が16〜450mmの丸断面の棒鋼に熱間圧延した後、冷却した。得られた棒鋼から、図1に示す位置より組織観察用の試料を切り出し、組織観察を行ってパーライト組織のラメラー間隔を求めた。
また、上記の熱間圧延、冷却後、表2に示す条件により、加熱炉で軟化焼鈍を施し、得られた軟化焼鈍材のビッカース硬度を測定した。軟化焼鈍の際の加熱は、700℃以下の温度である第1の加熱温度まで第1の加熱速度で加熱する第1の加熱処理を行い、ついで第1の加熱温度から第2の加熱温度まで第2の加熱速度で加熱する第2の加熱処理を行った。
なお、第2加熱温度からの冷却については、第2の加熱温度が800℃以上の場合は800〜500℃の温度範囲、第2の加熱温度が800℃未満の場合は第2の加熱温度〜500℃の温度範囲において、表2に示す条件で冷却を行った。
圧延後に得られた棒鋼の組織観察は、走査型電子顕微鏡を用い、5000倍にて各試料30視野の層状セメンタイトの幅を測定し、その平均値をラメラー間隔とした。得られた結果を表2に併せて示す。
また、軟化焼鈍材のビッカース硬度の測定は、9.8N(10kgf)の荷重にて行った。ビッカース硬度測定位置は、図2に示すように棒鋼の圧延方向と垂直な面を8等分する線上を、中心から外周部へ棒鋼直径90mm未満は1mmピッチで、棒鋼直径90mm以上は5mmピッチで測定し、その平均値をビッカース硬度Hvとした。ここに、従来通り切断するには、Hvが270以下であることが必要である。得られた結果を表2に併せて示す。
さらに、軟化焼鈍時間の短縮判定は、加熱炉での加熱及び冷却に要した時間の和が5時間以内である場合を◎、5時間を超え10時間以内である場合を○、10時間を超える場合を×として判定した。得られた結果を表2に併せて示す。
Figure 2014029015
Figure 2014029015
表2に示したとおり、本発明に従う発明例はいずれも、軟化焼鈍時間が10時間以内に短縮されており、さらにビッカース硬度Hvも270以下であり、十分な鋸切性が得られていることが分かる。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:0.7〜1.3%、
    Si:0.2〜1.0%、
    Mn:0.1〜1.5%、
    Al:0.01〜0.2%、
    Cr:0.5〜2.5%、
    N:0.01%以下および
    O:0.003%以下
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物になる鋼素材を、仕上げ圧延温度:700〜900℃として圧延した後、550℃以下まで冷却してパーライト変態させ、ついで得られた圧延材に対して、軟化焼鈍を施すに際し、
    少なくとも700℃以上の温度域の加熱速度を10〜100℃/hとして720〜850℃まで加熱し、ついで少なくとも800℃から550℃までの温度域の冷却速度を0.017〜2℃/sとして冷却することを特徴とする軸受鋼の製造方法。
  2. 前記圧延材が直径90mm以上の棒鋼であり、さらに前記軟化焼鈍における少なくとも800℃から550℃までの冷却を、空冷とすることを特徴とする請求項1に記載の軸受鋼の製造方法。
  3. 前記軸受鋼が、さらに、質量%で
    Cu:0.5%以下、
    Ni:0.5%以下および
    Mo:0.5%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の軸受鋼の製造方法。
  4. 前記軸受鋼が、さらに、質量%で
    Sb:0.005%以下
    を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の軸受鋼の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の軸受鋼の製造方法を用いて得られる軸受鋼。
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