JP2014028384A - 鋳片の温度推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】保温カバーによる鋳片の表面の復熱を加味して計算機が管理している鋳片全体の
温度分布の温度を補正し、計算機の推定精度を高める鋳片の温度推定方法を提供する。
【解決手段】連続鋳造を経て所定寸法に切断され保温カバー13に収容された鋳片10が
加熱炉14内へ移動する際に鋳片10表面の温度を計測して実測温度を得る工程と、操業
実績を基に算出した鋳片10全体の温度分布から鋳片10表面の推定温度を得、鋳片10
表面の実測温度と鋳片10表面の推定温度の温度差に調整値を乗算して補正値を算出する
工程と、補正値を基にして鋳片10全体の温度分布を補正する工程とを有し、調整値は、
温度計測をした鋳片10表面の測定部が保温カバー13内に収容されていた時間の長さに
応じて大きくなり、しかも、0を超え1未満の値である。
【選択図】図1

Description

本発明は、連続鋳造を経て所定寸法に切断された後に加熱炉に装入される鋳片の温度推定
方法に関する。
連続鋳造機から出片され所定寸法に切断された鋳片は、加熱炉で加熱された後に複数回の
サイジングプロセスを経て目標とする厚み及び幅にされる。
サイジングプロセス一回につき鋳片に掛ける荷重は、主として鋳片の断面平均温度に応じ
て決定され、鋳片の断面平均温度に適した荷重より大きい荷重を鋳片に掛けた場合には圧
延機に生じる負荷が設計値を超え、場合によっては圧延機が破損することになる。一方、
鋳片に与える荷重が小さいと、必要となるサイジングプロセスの回数が増し生産効率低下
を招く。
鋳片全体の温度分布は計算機によって管理され、計算機は管理している鋳片全体の温度分
布から鋳片の断面平均温度を得て、一回のサイジングプロセスで鋳片に掛ける荷重を算出
する。
鋳片の温度分布を取り扱う方法としては、特許文献1に記載されているような分布定数系
温度モデルを用いる方法がある。連続鋳造機から出片された鋳片に対して、鋳造速度、冷
却帯の水量、タンディッシュでの連続測温をはじめとする操業実績から、鋳片の分布定数
系温度モデルの各計算格子について温度を算出し、これを鋳片の温度分布として扱うもの
である。
そして、鋳片の温度分布を取り扱う方法がどのようなものであっても、計算機が管理して
いる鋳片の温度は実際の温度と差があるので、この差を考慮することなく計算機が管理し
ている鋳片の温度から直接的に鋳片に掛ける荷重を求めると、求められた荷重が鋳片に掛
けるべき適切な範囲を超える場合、圧延機が破損することもある。
そのため、計算機が管理している温度と実際の温度の差、即ち計算機の推定精度を考慮し
て鋳片に掛ける荷重を算出する必要があり、計算機の推定精度が低い(温度の差が大きい
)と、鋳片に掛ける荷重として小さい値が算出される。従って、生産効率を上げるために
は、計算機の推定精度を高めることが重要である。
なお、計算機の推定精度を高めるには、鋳片の表面温度を実測し、この実測結果を基に、
計算機によって管理されている鋳片全体の温度分布を補正することが考えられる。
特開平9−209044号公報
ここで、本願の発明者は、加熱炉の雰囲気温度は、加熱炉に装入される鋳片の温度を基準
に決定され、サイジングプロセスを行う際の鋳片の温度は、この加熱炉の雰囲気温度によ
り大きく左右される点に着目し、加熱炉に鋳片を装入する直前で、鋳片の温度を計測して
計算機が管理している鋳片全体の温度分布を補正することが、サイジングプロセスを行う
際の鋳片の温度を正確に推定する上で有効であることを知見した。
ところで、加熱炉の手前には、鋳片の放熱を抑制する保温カバーを設置することが良く知
られている。鋳片は保温カバーに収容されると全体の温度が下がるのに対して表面温度は
復熱によって上昇するので、復熱が進むと断面平均温度と表面温度の差は縮小することに
なる。
従って、加熱炉に装入される直前で鋳片の表面温度を実測する際には、この復熱した鋳片
の表面を温度計測することになるが、この鋳片表面の温度を計測した結果を基に、計算機
が管理している鋳片全体の温度分布をどのように補正すればよいかについて、その補正方
法は確立されていなかった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、保温カバーによる鋳片表面の復熱を加味
して計算機が管理している鋳片全体の温度分布の温度を補正し、計算機の推定精度を高め
る鋳片の温度推定方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る鋳片の温度推定方法は、連続鋳造を経て所定寸法に切断され
保温カバーに収容された鋳片が加熱炉内へ移動する際に該鋳片の表面の温度を計測して実
測温度を得る工程と、操業実績を基に算出した前記鋳片全体の温度分布から該鋳片の表面
の推定温度を得、前記鋳片の表面の実測温度と該鋳片の表面の推定温度の温度差に調整値
を乗算して補正値を算出する工程と、前記補正値を基にして前記鋳片全体の温度分布を補
正する工程とを有し、前記調整値は、温度計測をした前記鋳片の表面の測定部が前記保温
カバー内に収容されていた時間の長さに応じて大きくなり、しかも、0を超え1未満の値
である。
本発明に係る鋳片の温度推定方法において、前記調整値をrとすると、rは、r=1−e
xp(a×t^b)の式によって算出されるのが好ましい。ここで、tは、前記測定部が
前記保温カバー内に収容されていた時間、aは、(−6.77e−3)×1.1以上(−
6.77e−3)×0.9以下の値、bは、0.66×0.9以上0.66×1.1以下
の値である。
なお、この調整値の算出式は、測定部の保温カバー内の収容時間に応じて調整値をどのよ
うな値にすることで鋳片全体の温度分布の推定精度を上げることができるかという点につ
いての論理的検討及び実験的検討によって得られたものである。
本発明に係る鋳片の温度推定方法において、前記測定部は前記鋳片の長手方向の異なる位
置に複数あって、該各測定部について前記調整値を算出して複数の前記補正値を得、該複
数の補正値を基に前記鋳片全体の温度分布を補正するのが好ましい。
本発明に係る鋳片の温度推定方法において、前記測定部の温度は放射温度計によって計測
されるのが好ましい。
本発明に係る鋳片の温度推定方法は、鋳片の表面の実測温度と鋳片の表面の推定温度の温
度差に、保温カバー内に収容されていた時間に応じて大きくなり、しかも、0を超え1未
満の調整値を乗算して補正値を算出する。
従って、保温カバーに収容されている時間に応じて進行する鋳片の表面の復熱を加味して
補正値が算出され、鋳片全体の温度分布の推定精度を高めることができ、結果として製品
の生産効率の向上を図ることが可能である。
本発明に係る鋳片の温度推定方法において、r=1−exp(a×t^b)によって調整
値を算出する場合、測定部の保温カバー内の収容時間に応じて調整値をどのような値にす
るかについての基準を設けることができ、鋳片全体の温度分布の推定精度を安定的に向上
させる指針を確立することが可能である。
本発明に係る鋳片の温度推定方法において、測定部が鋳片の長手方向の異なる位置に複数
あって、各測定部について調整値を算出して複数の補正値を得、複数の補正値を基に鋳片
全体の温度分布を補正する場合、鋳片の長手方向の異なる位置で保温カバーに収容されて
いた時間が異なっても、鋳片全体の温度分布の推定精度を確実に上げるための補正を行う
ことができる。
本発明に係る鋳片の温度推定方法において、測定部の温度が放射温度計によって計測され
る場合、測定部の温度を遠隔から効率的に計測することができる。
本発明の一実施の形態に係る鋳片の温度推定方法が適用される鋳片の移動の様子を示す説明図である。 (A)は加熱炉の説明図であり、(B)は計算機の信号接続を示すブロック図である。 鋳片の温度計算方法を示す説明図である。 鋳片の断面平均温度の分布を示すグラフである。 鋳片の表面温度差と断面平均温度差の関係を示すグラフである。 鋳片の表面温度差に対する断面平均温度差の感度と保温カバー内の収容時間との関係を示すグラフである。 (A)、(B)は、サイジングプレスにおいて鋳片に掛ける荷重を算出した結果を示すグラフである。 (A)、(B)は、サイジングミルにおいて鋳片に掛ける荷重を算出した結果を示すグラフである。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。
本発明の一実施の形態に係る鋳片の温度推定方法が適用される鋳片10は、図1に示すよ
うに、連続鋳造機11による連続鋳造を経てCCカッター12によって所定寸法に切断さ
れる。本実施の形態では、CCカッター12によって切断された鋳片10は、断面長方形
で、厚みが100〜400mm、幅が650〜3000mm、長さが3〜30mであるが
、この範囲に属さない大きさの鋳片に対しても本発明を適用することができる。
CCカッター12によって切断された鋳片10は、保温カバー13に収容された後に加熱
炉14内に移動し、加熱炉14内で予め定められた目標温度まで加熱される。そして、加
熱炉14内の雰囲気温度は、加熱炉14内に設けられた図2(A)、(B)に示す複数の
燃焼バーナ15の燃焼レベルを変えることによって調製される。
加熱炉14から抽出された鋳片10は、複数回のサイジングプロセスを経て目標とする幅
及び厚みに加工される。ここで、一回のサイジングプロセスとは、サイジングプレスにお
いては鋳片10を幅方向に押圧する一回の動作を示し、サイジングミルにおいては鋳片1
0が圧延機を一回通過することを示す。なお、サイジングプレスとは、鋳片10の長手方
向両端に予成形圧下を加え、サイジングミルで鋳片10に発生するクロップを抑制するも
のである。
連続鋳造機11によって鋳造される鋳片10は、全体の温度分布が、鋳造速度、冷却水の
水量、タンディッシュでの連続測温をはじめとする操業実績を基に、図2(B)に示す計
算機16によって算出される。
この鋳片10全体の温度分布は、図3に示すように、鋳片10全体を長手方向(鋳造方向
)、幅方向及び厚み方向にそれぞれ所定ピッチで分割して得た複数のメッシュ(計算格子
)それぞれについて温度を算出することで求めることができる。
鋳片10全体の温度分布は、計算機16によって求められ、計算機16は、鋳片10全体
の温度分布の算出を、鋳片10が連続鋳造機11から出片されてからサイジングプロセス
が行われるに至るまで連続的に行って鋳片10の温度を管理する。
計算機16が管理している鋳片10全体の温度分布は、操業実績に基づいて計算するが、
あくまで理論値であるため、計算機16が管理している鋳片10全体の温度分布と実際の
鋳片10全体の温度分布の間には当然ながら差異が存在する。
そこで、本実施の形態では、図1に示すように、保温カバー13の出側に温度計の一例で
ある放射温度計17を設け、この放射温度計17で計測した鋳片10の温度を基に計算機
16が管理している鋳片10全体の温度分布を補正している。具体的には、保温カバー1
3に全体が収容された状態の鋳片10が加熱炉14へ移動する際に、放射温度計17によ
って鋳片10の表面温度を計測し、この計測値を基に計算機16が管理している鋳片10
全体の温度分布を補正する。
計算機16は、補正後の鋳片10全体の温度分布を基にして、加熱炉14から抽出される
際の鋳片10が、予め定められた目標温度になるように複数の燃焼バーナ15の各燃焼レ
ベルを決定する。
なお、計算機16は、図2(B)に示すように、インターフェース18を介して、複数の
燃焼バーナ15及び放射温度計17に信号接続されている。
鋳片10が加熱炉14内を移動している間、計算機16は、連続的に、加熱炉14内の雰
囲気温度から算出される鋳片10への入熱量を基に鋳片10全体の温度分布を算出する。
そして、計算機16は、鋳片10が加熱炉14から抽出される際に、鋳片10全体の温度
分布から、鋳片10の長手方向にとった所定ピッチ(例えば100〜300mmピッチ)
の各位置における断面平均温度を求め、この断面平均温度を基にして一回のサイジングプ
ロセスによって鋳片10に掛ける荷重を算出する。
加熱炉14から抽出されたときの鋳片10の断面平均温度は、図4に示すように、鋳片1
0の長手方向両側の端面で高くなる。これは、長手方向両側が他の部分より吸熱量が多い
ことによる。また、鋳片10の搬送手段であるスキッドに接触する部分で鋳片10の断面
平均温度が低くなっているのは、スキッドが水冷されているためである。
ここで、サイジングプレスにおいては、鋳片10の長手方向両側の領域に対して幅方向か
ら内側に向けて力が加えられるため、サイジングプレスの際に鋳片10に掛ける荷重は、
サイジングプレスを行う領域の断面平均温度から決定される。具体的には、図4において
破線で囲んだP1の領域内にある断面平均温度を基に、計算機16による鋳片10の温度
推定精度を加味して、鋳片10に掛ける荷重が決定される。そして、この決定した荷重を
基にして、サイジングプレス機の設定が行われる。
サイジングミルにおいては、鋳片10の長手方向全体に対して厚み方向及び幅方向から力
が加えられるため、サイジングミルの際に鋳片10に掛ける荷重は、鋳片10の長手方向
全体において断面平均温度が最も低い値から決定される。具体的には、スキッドに接触す
る部分で最も温度が低い図4において破線で囲んだP2の領域内にある断面平均温度を基
に、計算機16による鋳片10の温度推定精度を加味して、鋳片10に掛ける荷重が決定
される。そして、この決定した荷重を基にして、サイジングミル機の設定が行われる。
仮に、鋳片10の断面平均温度が、計算機16で算出される温度と実際の温度で差がない
場合、サイジングプレス機及びサイジングミル機の設定を行う際に、計算機16による鋳
片10の温度推定精度を加味する必要はない。
しかしながら、実際には、計算機16で推定する温度と実際の温度には差がある。従って
、計算機16による鋳片10の温度推定精度を加味することなくサイジングプレス機及び
サイジングミル機の設定を行うと、サイジングプレス機及びサイジングミル機に対して、
設計値を超える負荷が掛かる恐れがある。
そのため、計算機16による鋳片10の温度推定精度を加味し、鋳片10の断面平均の推
定温度から直接的に求めた荷重より小さい荷重を設定目標値にして、サイジングプレス機
及びサイジングミル機の設定が行われる。
鋳片10の断面平均の推定温度から直接的に求めた荷重と設定目標値にする荷重の差は、
計算機16による鋳片10の温度推定精度を高くすることによって縮小でき、設定目標値
にする荷重に大きな値を採用することが可能となる。
そして、設定目標値の値が大きくなるとサイジングプレス及びサイジングミルの効率が上
がるので、計算機16による鋳片10の温度推定精度を高くすることで、サイジングプレ
ス及びサイジングミルの効率を向上できる。
そこで、計算機16による鋳片10の温度推定精度を高めて、生産効率を向上させるため
に、放射温度計17による実測値を基に計算機16が管理している鋳片10全体の温度分
布を補正して精度を上げることを試みた。
まず、放射温度計17で計測した鋳片10表面の温度と計算機16が管理している鋳片1
0の温度分布から得た鋳片10表面の温度の差をそのまま補正値として採用して、計算機
16が管理している鋳片10の温度分布を補正した。以下、放射温度計17で計測した鋳
片10の温度を「実測温度」、計算機16が管理している鋳片10の温度を「推定温度」
ともいう。
具体的には、鋳片10表面の実測温度が1050℃、鋳片10表面の推定温度が1000
℃の場合、1050℃から1000℃を減じた50℃を補正値とし、鋳片10の各メッシ
ュの推定温度に補正値である50℃を加算して鋳片10全体の温度分布を補正する。
しかしながら、鋳片10表面の実測温度と鋳片10表面の推定温度の差をそのまま補正値
にした場合、鋳片10全体に対する補正が過剰になり、結果として計算機16による鋳片
10の温度推定精度が低くなるという事象を確認した。
そして、鋳片10全体に対する補正が過剰となる原因を究明するために実験的検討及び論
理的検討を行い、保温カバー13内に収容された状態の鋳片10は表面温度が復熱(上昇
)し、表面温度と断面平均温度の差が時間の経過と共に縮小することが主な原因であるこ
とを知見した。
この検討結果を受けて、鋳片10表面の実測温度と鋳片10表面の推定温度の差(以下、
「表面温度差」ともいう)に対する鋳片10の断面平均の実測温度と鋳片10の断面平均
の推定温度の差(以下、「断面平均温度差」ともいう)の関係が、鋳片10の保温カバー
13内の収容時間に応じてどのように推移するかを調査した。
その調査結果は、図5に示すようになり、鋳片10が保温カバー13内に収容されている
時間が900秒では、表面温度差に対する断面平均温度差の感度(断面平均温度差を表面
温度差で割った値)は約0.46であり、鋳片10を保温カバー13に収容している時間
が3600秒では、表面温度差に対する断面平均温度差の感度は約0.79となった。
この結果は、鋳片10とは異なる鋳片及び保温カバー13とは異なる保温カバーについて
も同様であった。
次に、図5に示す結果から、鋳片10を保温カバー13に収容していた時間を横軸にとり
、表面温度差に対する断面平均温度差の感度を縦軸にとって、鋳片10を保温カバー13
に収容していた時間と表面温度差に対する断面平均温度差の感度の関係を整理すると、図
6に示すようになった。
図6のグラフ中に記されている5つの点(収容時間0秒、900秒、1800秒、270
0秒、3600秒)を参照すると、鋳片10を保温カバー13に収容していた時間が10
分(600秒)の場合では、表面温度差に対する断面平均温度差の感度は約0.35であ
ることが見積もられる。このことから、鋳片10を保温カバー13に収容していた時間が
10分の場合、鋳片10表面の実測温度と鋳片10表面の推定温度の差をそのまま補正値
として用いると、適正な補正の約3倍にあたる過剰な補正になることが分かる。
また、図6のグラフより、表面温度差に対する断面平均温度差の感度は、鋳片10が保温
カバー13内に収容されていた時間の長さに応じて大きくなることが見受けられる。
従って、鋳片10表面の実測温度から鋳片10全体の温度分布を適正に補正するためには
、鋳片10の保温カバー13内の収容時間に応じ、補正値の値を大きくすることが重要で
ある。
ところで、鋳片10は、鋳片10の長手方向に移動しながら、CCカッター12によって
切断され保温カバー13に装入されるが、鋳片10の移動速度はCCカッター12によっ
て切断される前後で異なっている。具体的には、鋳片10は、CCカッター12に切断さ
れるまで鋳造速度で移動し、CCカッター12に切断された後の移動速度はCCカッター
12に切断される前より速くなる。
そして、鋳片10がCCカッター12によって切断される際には、鋳片10の一部が保温
カバー13内に装入された状態となる。
そのため、鋳片10の長手方向の異なる位置で、保温カバー13内に収容されていた時間
が異なり鋳片10の表面温度と断面平均温度の差が相違する。
本実施の形態では、鋳片10の表面温度と断面平均温度の差が鋳片10の長手方向の異な
る位置で相違する点を考慮して、鋳片10の長手方向の異なる位置に放射温度計17によ
って表面温度が計測される測定部をそれぞれ設けることにしている。
そして、鋳片10が保温カバー13から加熱炉14に移動する際に、鋳片10の複数の測
定部に対して放射温度計17による表面温度の実測を行い、各実測値について算出して得
た複数の補正値を基に鋳片10全体の温度分布を補正するので、各測定部に対して補正値
を調整する調整値(即ち表面温度差に対する断面平均温度差の感度)を求める必要がある
本願の発明者は、図6のグラフ中に記されている各収容時間に対する感度(断面平均温度
差/表面温度差)の5つの点から、表面温度差に対する断面平均温度差の感度が、鋳片1
0が保温カバー13内に収容されていた時間の長さに応じて指数関数的に1に近づいてい
ることに着目した。
そして、調整値が、測定部の保温カバー13内の収容時間に応じて大きくなり、0より大
きく1未満の値であるという条件を抽出し、この2条件を満たす調整値の採用により鋳片
10の温度推定精度を高めることができるか否かを検証した。なお、調整値が0を含んで
いないのは、測定部は保温カバー13内に必ず収容されることを前提にしているからであ
る。
以下に、その検証について説明する。
第1段階として、下記の(1)〜(4)の工程を経て鋳片10全体の温度分布を補正した

(1)連続鋳造を経て所定寸法に切断され保温カバー13に収容された鋳片10が加熱炉
14内へ移動する際に、鋳片10の各測定部について鋳片10表面の温度を放射温度計1
7によって計測して各測定部に対応した実測温度を得る
(2)計算機16が管理している鋳片10全体の温度分布から、各測定部に対応する鋳片
10表面の推定温度を得る
(3)0を超え1未満の特定の値を調整値として設定し、各測定部について、鋳片10表
面の実測温度から鋳片10表面の推定温度を減じた値に調整値を乗算して補正値を算出す

(4)計算機16が管理している鋳片10全体の温度分布に対し、各測定部の位置に応じ
て、測定部に対応する補正値を加え、鋳片10全体の温度分布を補正する
この結果得られた補正後の鋳片10全体の温度分布は、調整値を1にした場合に比べて鋳
片10の温度推定精度が高くなることが確認できた。
なお、(3)の工程で、調整値を乗算する対象が、鋳片10表面の実測温度から鋳片10
表面の推定温度を減じた値になっているが、これを、鋳片10表面の推定温度から鋳片1
0表面の実測温度を減じた値にすることもできる。この場合、(4)の工程では、鋳片1
0全体の温度分布が、補正値の減算によって補正されることになる。
第2段階として、測定部が保温カバー13に収容されていた時間の長さに応じて調整値を
大きくすることによって、鋳片10の温度推定精度がどのようになるかを調査したところ
、補正後の鋳片10全体の温度分布は、第1段階で得た補正後の鋳片10全体の温度分布
に比べて鋳片10の温度推定精度が高くなるという結果を得た。但し、調整値の値は0よ
り大きい1未満の値とした。
従って、調整値が測定部の保温カバー13内の収容時間に応じて大きくなる点及び調整値
が0を超え1未満の値である点を満たすことで、鋳片10の温度推定精度を向上させるこ
とが実証された。
次に、図6のグラフ中に記されている各収容時間に対する感度の5つの点を基にして、こ
れら5つの点を結ぶ曲線を表す方程式を算出して、調整値を求めることを試みた。
一定熱伝達係数で温度変化が生じる集中熱容量系の時間経過に対する温度変化を算出する
方程式が、図6のグラフ中にある5つの点を結ぶ曲線を表す方程式、即ち調整値の理論解
を得る式に近似していることから、集中熱容量系の方程式を基に調整値の理論解を得る式
の導出を行った。
具体的には、集中熱容量系の方程式を変形した以下の式1が図6のグラフ中にある5つの
点を結ぶ曲線となるように、式1中のフィッティングパラメーターであるa及びbを求め
た。
r=1−exp(a×t^b) ・・・式1
但し、rは調整値、tは測定部が保温カバー13内に収容されていた時間である。
そして、a=−6.77e−3、b=0.66とすることで、式1が図6のグラフ中にあ
る5つの点を結ぶ曲線と一致することが判明した。
これを受けて、本願の発明者は、鋳片10表面の実測温度から鋳片10表面の推定温度を
減じた値に、以下の式2から求められる調整値を乗算することによって、計算機16によ
る鋳片10の温度推定精度を高める補正値を算出できるかについての実験を行ったところ
、調整値を採用しない場合に比べて鋳片10の温度推定精度の向上が顕著になることが確
認できた。
r=1−exp((−6.77e−3)×t^0.66) ・・・式2
また、実験により、aが(−6.77e−3)×1.1以上(−6.77e−3)×0.
9以下の範囲の値であり、bが0.66×0.9以上0.66×1.1以下の範囲の値で
あれば、鋳片10の温度推定精度の向上が顕著になることができることを知見した。この
a及びbのばらつきは、放射温度計17による計測精度や鋳片10表層のスケール状況等
による放熱率のばらつきに起因するものと考えられる。
以上の論理的検討及び実験的検討により、aを(−6.77e−3)×1.1以上(−6
.77e−3)×0.9以下の値、bを0.66×0.9以上0.66×1.1以下の値
とし、1−exp(a×t^b)を調整値とすることにより、調整値を採用しない場合に
比べて鋳片10の温度推定精度を確実に高くすることができることが判明した。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
以下に記す条件下で、保温カバー13から加熱炉14に移動する際の鋳片10について、
サイジングプロセスで鋳片10に掛ける荷重を求めた。
条件1)計算機16が算出した鋳片10の断面平均温度と実測温度の差をそのまま補正値
にする(即ち、調整値を導入しない)
条件2)調整値を導入して補正値を求める
なお、調整値を導入する際の調整値は、r=1−exp(a×t^b)の算出式において
、a=−6.77e−3、b=0.66として算出した。
それぞれの条件下において、加熱炉14から抽出された鋳片10について計算機16が算
出した鋳片10の断面平均の推定温度を基にサイジングプロセスにおいて鋳片10に掛か
る荷重を予測した値(以下、「予測荷重」ともいう)と、サイジングプロセスにおいて実
際に鋳片10に掛かった荷重の値(以下、「実測荷重」ともいう)を比較した。
ここで、サイジングプレス機及びサイジングミル機は、鋳片10の断面平均の推定温度を
基にして設定が行われている。
その結果を、図7(A)、(B)、図8(A)、(B)に示す。
図7(A)、(B)、図8(A)、(B)では、横軸が予測荷重を示し、縦軸が実測荷重
を示している。予測荷重が10MNであった鋳片10の実測荷重が9MNの場合、その鋳
片10は、図7(A)、(B)、図8(A)、(B)のグラフ上で、(10MN、9MN
)の位置にプロットされる。
なお、実測荷重は、サイジングプレス機及びサイジングミル機に掛かる負荷を計測して求
めたものである。
図7(A)、(B)はサイジングプレスにおける予測荷重と実測荷重のばらつきを示し、
図8(A)、(B)はサイジングミルにおける予測荷重と実測荷重のばらつきを示してい
る。
また、図7(A)、図8(A)は条件1についての結果を示し、図7(B)、図8(B)
は条件2についての結果を示している。
図7(A)及び図8(A)より、調整値を導入しない場合、予測荷重と実測荷重のばらつ
きは最大で約±30%であった。
これに対し、調整値を導入した場合、図7(B)及び図8(B)に示すように、予測荷重
と実測荷重のばらつきは最大で約±20%に縮小した。
予測荷重と実測荷重のばらつきの縮小は、計算機16による鋳片10の温度推定精度の向
上を意味するので、調整値を導入することによって、サイジングプレス機及びサイジング
ミル機を設定する際の基準となる設定目標値に大きな値を採用でき、生産効率を上げられ
ることが分かった。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでな
く、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、鋳片の搬送速度がCCカッターの切断前後で変わらず、連続鋳造されてから加熱
炉に装入されるまで一定であれば、鋳片に設ける測定部は1つでよい。
10:鋳片、11:連続鋳造機、12:CCカッター、13:保温カバー、14:加熱炉
、15:燃焼バーナ、16:計算機、17:放射温度計、18:インターフェース

Claims (4)

  1. 連続鋳造を経て所定寸法に切断され保温カバーに収容された鋳片が加熱炉内へ移動する際
    に該鋳片の表面の温度を計測して実測温度を得る工程と、
    操業実績を基に算出した前記鋳片全体の温度分布から該鋳片の表面の推定温度を得、前記
    鋳片の表面の実測温度と該鋳片の表面の推定温度の温度差に調整値を乗算して補正値を算
    出する工程と、
    前記補正値を基にして前記鋳片全体の温度分布を補正する工程とを有し、
    前記調整値は、温度計測をした前記鋳片の表面の測定部が前記保温カバー内に収容されて
    いた時間の長さに応じて大きくなり、しかも、0を超え1未満の値であることを特徴とす
    る鋳片の温度推定方法。
  2. 請求項1記載の鋳片の温度推定方法において、前記調整値をrとすると、rは以下の式1
    で算出されることを特徴とする鋳片の温度推定方法。
    r=1−exp(a×t^b) ・・・式1
    ここで、
    tは、前記測定部が前記保温カバー内に収容されていた時間、
    aは、(−6.77e−3)×1.1以上(−6.77e−3)×0.9以下の値、
    bは、0.66×0.9以上0.66×1.1以下の値である。
  3. 請求項1又は2記載の鋳片の温度推定方法において、前記測定部は前記鋳片の長手方向の
    異なる位置に複数あって、該各測定部について前記調整値を算出して複数の前記補正値を
    得、該複数の補正値を基に前記鋳片全体の温度分布を補正することを特徴とする鋳片の温
    度推定方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋳片の温度推定方法において、前記測定部の温度は
    放射温度計によって計測されることを特徴とする鋳片の温度推定方法。
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