JP2014027921A - L−ヒドロキシプロリンの分析方法、コラーゲンの測定方法、およびそれに用いるd−ヒドロキシプロリン脱水素酵素 - Google Patents

L−ヒドロキシプロリンの分析方法、コラーゲンの測定方法、およびそれに用いるd−ヒドロキシプロリン脱水素酵素 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便なL−ヒドロキシプロリンの分析を可能とする新たな分析方法の提供を目的とする。
【解決手段】下記(s1)〜(s3)工程により、被検試料中のL−ヒドロキシプロリンを分析する。
(s1)L−ヒドロキシプロリン異性化酵素により、被検試料中のL―ヒドロキシプロリンをD−ヒドロキシプロリンに異性化する異性化工程。
(s2)D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素により、前記工程(s1)において得られたD−ヒドロキシプロリンを脱水素化する脱水素工程。
(s3)前記工程(s2)の脱水素反応を分析する分析工程。
【選択図】図1

Description

本発明は、酵素を用いたL−ヒドロキシプロリンの分析方法、コラーゲンの測定方法、およびそれに用いるD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する新規タンパク質に関する。
近年、健康および美容の観点から、食品および化粧品等の分野において、コラーゲンを豊富に含む製品の開発が盛んになっている。このような理由から、コラーゲンを含有する製品、生体由来の組織等について、コラーゲンの定性分析および定量分析は、重要視されている。
試料中のコラーゲンの分析方法としては、コラーゲンに含まれるL−ヒドロキシプロリンの含有量を測定することによって、間接的にコラーゲンを測定する方法が一般的である。コラーゲンは、一般的なタンパク質、すなわち非コラーゲンタンパク質を構成する基本アミノ酸には該当しないL−ヒドロキシプロリンを、全アミノ酸の約10%という高い割合で含有している。このため、試料におけるL−ヒドロキシプロリンを分析すれば、間接的に、前記試料におけるコラーゲンの分析が可能である。そして、L−ヒドロキシプロリンの測定は、HPLC分析が汎用されている(特許文献1)。具体的な方法としては、まず、試料に前処理を施し、コラーゲンの分解によりL−ヒドロキシプロリンを遊離させる。前処理済みの試料をHPLCに供し、L−ヒドロキシプロリンのピーク面積からL−ヒドロキシプロリン量を算出する。そして、前記算出値と、コラーゲン1分子あたりのL−ヒドロキシプロリン量とから、前記試料のコラーゲン量を求めることができる。
しかしながら、HPLC分析の場合、L−ヒドロキシプロリンを、基本アミノ酸であるL−プロリンから分離しなければならず、また、L−ヒドロキシプロリンは2級アミンであることから、特殊な展開溶媒で開環する必要がある。また、HPLC分析は、高額な分析カラムおよび機器が必要であり、分析に時間を要するという問題がある。
また、L−ヒドロキシプロリンは、前述のようなコラーゲンの分析だけでなく、それ自体が、多くのヒト疾患の診断マーカーとなっているため、より簡便な分析方法の開発が望まれている。
特許公表2010−504533
そこで、本発明は、L−ヒドロキシプロリンの簡便な分析を可能とする新たな分析方法、それを用いたコラーゲンの測定方法の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のL−ヒドロキシプロリンの分析方法は、被検試料中のL−ヒドロキシプロリンを分析する分析方法であり、下記(s1)〜(s3)工程を含むことを特徴とする。
(s1)L−ヒドロキシプロリン異性化酵素により、被検試料中のL―ヒドロキシプロリンをD−ヒドロキシプロリンに異性化する異性化工程。
(s2)D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素により、前記(s1)工程において得られたD−ヒドロキシプロリンを脱水素化する脱水素工程。
(s3)前記(s2)工程の脱水素反応を分析する分析工程。
本発明者は、鋭意研究の結果、L−ヒドロキシプロリンの分析方法として、酵素を用いる新たな方法を見出した。具体的には、まず、L−ヒドロキシプロリン異性化酵素によって、L−ヒドロキシプロリンをD−ヒドロキシプロリンに変換し、さらに、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素によって、D−ヒドロキシプロリンの脱水素反応を行う。そして、この脱水素反応を分析することで、酵素的にL−ヒドロキシプロリンの分析が可能となるとの知見を得て、本発明を完成するに到った。本発明の分析方法によれば、従来のように、HPLCを用いることなく、酵素反応によって簡便にL−ヒドロキシプロリンを分析できる。また、本発明の分析方法によってL−ヒドロキシプロリンが分析できることから、間接的に、コラーゲンの測定も簡便に行うことができる。このため、本発明は、食品、美容および医療等の分野において、極めて有用な技術といえる。
図1は、本発明の実施例A2において、D−HypDHのザイモグラムアッセイの結果を示す写真である。 図2は、本発明の実施例A2において、D−HypDHのコファクターを分析したUV可視吸収スペクトルである。 図3は、本発明の実施例A2において、D−HypDHのHPLCの結果である。 図4は、本発明の実施例A3において、D−HypDHによる反応生成物を分析したHPLCの結果である。 図5は、本発明の実施例A4において、Ps.putidaおよびPsaeruginosaの無細胞抽出液のL−HypE活性およびD−HypDH活性を示すグラフである。 図6は、本発明の実施例A5において、Ps.putidaおよびPsaeruginosaの無細胞抽出液のザイモグラムアッセイの結果を示す写真である。 図7は、本発明の実施例A6において、D−HypDHとL−HypEとを併用したL−ヒドロキシプロリンの定量を示すグラフである。 図8は、本発明の実施例B1において、brasilense由来D−HypDHのSDS−PAGEの結果を示す写真である。 図9は、本発明の実施例B3において、D−HypDHのコファクターを分析したUV可視吸収スペクトルである。 図10は、本発明の実施例B3において、D−HypDHのHPLCの結果である。 図11は、本発明の実施例B3において、D−HypDHの熱安定性の結果である。 図12は、本発明の実施例B3において、D−HypDHの基質特異性を示すグラフである。 図13は、本発明の実施例B4において、brasilense由来L−HypEのSDS−PAGEの結果を示す写真である。 図14は、本発明の実施例B5において、D−HypDHとL−HypEとを併用したL−ヒドロキシプロリンの定量を示すグラフである。 図15は、本発明の実施例B6において、pHを変えた時のD−HypDHの活性を示すグラフである。 図16は、本発明の実施例B7において、D−HypDHの添加するタイミングを変えた時のD−HypDHの活性を示すグラフである。 図17は、比較例B1において、D−アミノ酸酸化酵素の添加するタイミングを変えた時のD−HypDHの活性を示すグラフである。 図18は、本発明の実施例B8において、D−HypDHを用いて作製した検量線を示すグラフである。
<L−ヒドロキシプロリンの分析方法>
本発明のL−ヒドロキシプロリンの分析方法は、前述のように、被検試料中のL−ヒドロキシプロリンを分析する分析方法であり、下記(s1)〜(s3)工程を含むことを特徴とする。
(s1)L−ヒドロキシプロリン異性化酵素により、被検試料中のL―ヒドロキシプロリンをD−ヒドロキシプロリンに異性化する異性化工程。
(s2)D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素により、前記(s1)工程において得られたD−ヒドロキシプロリンを脱水素化する脱水素工程。
(s3)前記(s2)工程の脱水素反応を分析する分析工程。
本発明において、以下、L−ヒドロキシプロリン異性化酵素を、L−HypE、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素を、D−HypDHともいう。
本発明において、前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素は、L−ヒドロキシプロリンの異性化反応の触媒機能を有するタンパク質であればよく、その種類および由来等は、特に制限されない。前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素は、例えば、Pseudomonas属、Burkholderia属、Azospirillum属由来等あげられる。Pseudomonas属は、例えば、PsaeruginosaPsputida等があげられる。また、Burkholderia属は、例えば、cenocepaciapseudomalleisp.383等があげられる。また、Azospirillum属は、例えば、brasilenseがあげられ、具体例として、brasilense ATCC29145があげられる。
前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素は、例えば、以下のようなものが例示できる。Psaeruginosa由来のL-ヒドロキシプロリン異性化酵素としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.PA1268で登録されているアミノ酸配列(配列番号10)からなるタンパク質があげられ、また、論文(PLoS ONE 2007, 2, e885)を参照できる。また、sp.383由来のL−ヒドロキシプロリン異性化酵素としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.Bcep18194_B1894で登録されているアミノ酸配列からなるタンパク質があげられる。
Psaeruginosa由来L−HypE(配列番号10)
MQRIRIIDSHTGGEPTRLVIGGFPDLGQGDMAERRRLLGERHDAWRAACILEPRGSDVLVGALLCAPVDPEACAGVIFFNNSGYLGMCGHGTIGLVASLAHLGRIGPGVHRIETPVGEVEATLHEDGSVSVRNVPAYRYRRQVSVEVPGIGRVSGDIAWGGNWFFLVAGHGQRLAGDNLDALTAYTVAVQQALDDQDIRGEDGGAIDHIELFADDPHADSRNFVLCPGKAYDRSPCGTGTSAKLACLAADGKLLPGQPWRQASVIGSQFEGRYEWLDGQPGGPIVPTIRGRAHVSAEATLLLADDDPFAWGIRR
前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素の酵素活性は、特に制限されず、1unit(U)は、例えば、30℃、pH8.0の条件下、1分間に1μmolのD−ヒドロキシプロリンを生成する酵素量と定義できる。
L−ヒドロキシプロリンは、例えば、シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン(以下、シス−L−ヒドロキシプロリンともいう)およびトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン(以下、トランス−L−ヒドロキシプロリンともいう)があげられる。本発明において、前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素は、例えば、シス型とトランス型のいずれを基質としてもよく、両方を基質としてもよい。例えば、生体内におけるL−ヒドロキシプロリンを分析する場合、前記L−ヒドロキシプロリンはシス型であるため、シス型を基質とするL−ヒドロキシプロリン異性化酵素が好ましい。
本発明において、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素は、D−ヒドロキシプロリンの脱水素反応の触媒機能を有するタンパク質であればよく、その種類および由来等は、特に制限されない。前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素は、例えば、Pseudomonas属由来、Azospirillum属由来があげられる。Pseudomonas属は、例えば、PsaeruginosaおよびPsputida等があげられる。Psaeruginosaは、具体例として、PAO1株(例えば、Bater, A. J., Venables, W. A., and Thomas, S. (1977) Arch. Microbiol. 112, 287-289、Manoharan, H. T. (1980) J. Biosci. 2, 107-120参照)等があげられ、Psputidaは、具体例として、KT2422株(例えば、Gryder, R. M., and Adams, E. (1969) J. Bacteriol. 97, 292-306参照)等があげられる。Azospirillum属由来は、例えば、brasilence等があげられる。brasilenceは、具体例として、ATCC29145株等があげられる。D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素は、例えば、本発明の新規タンパク質を使用できる。本発明の新規タンパク質については、後述する。
前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の酵素活性は、特に制限されず、例えば、1unit(U)は、30℃、pH9.0の条件下、1分間に1μmolのΔ−ピロリン−4−ヒドロキシ−2−カルボン酸を生成する酵素量と定義できる。
D−ヒドロキシプロリンは、例えば、シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン(以下、シス−D−ヒドロキシプロリンともいう)およびトランス−4−ヒドロキシ−D−プロリン(以下、トランス−D−ヒドロキシプロリンともいう)があげられる。本発明において、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素は、例えば、シス型とトランス型のいずれを基質としてもよく、両方を基質としてもよい。例えば、生体内におけるL−ヒドロキシプロリンを分析する場合、前記L−ヒドロキシプロリンのシス型およびトランス型は、L−ヒドロキシプロリン異性化酵素(L−HypE)によってD−ヒドロキシプロリンのトランス型およびシス型にそれぞれ変換される。このため、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素は、例えば、シス型のD−ヒドロキシプロリンを基質とするD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素が好ましい。
前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素およびD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素は、例えば、粗酵素(非精製酵素)、部分的に精製した部分精製酵素、および、単一に精製した精製酵素のいずれでもよく、好ましくは精製酵素である。
前記被検試料の種類は、特に制限されず、例えば、L−ヒドロキシプロリンを含有する試料、含有すると考えられる試料、含有の有無が不明な試料等が対象となる。前記被検試料は、例えば、固体でも液体でもよい。前記被検試料が固体の場合、例えば、溶媒への懸濁、分散または溶解等の前処理を施し、前処理後の試料を被検試料として、本発明の分析方法に供することが好ましい。また、前記被検試料がタンパク質を含み、前記タンパク質におけるL−ヒドロキシプロリンを分析する場合は、例えば、前記タンパク質を分解して前記L−ヒドロキシプロリンを遊離する前処理を施すことが好ましい。前記L−ヒドロキシプロリンを遊離する前処理の方法は、特に制限されず、例えば、タンパク質の加水分解処理があげられる。
前記(s1)工程は、前述のように、L−ヒドロキシプロリン異性化酵素により、被検試料中のL―ヒドロキシプロリンをD−ヒドロキシプロリンに異性化する工程である。前記(s1)工程は、例えば、前記被検試料と前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素との接触により行うことができる。前記接触方法は、特に制限されず、例えば、酵素を用いる一般的な手段が採用でき、具体例として、前記被検試料と前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素とを含む反応系が使用できる。前記反応系において、前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素は、例えば、遊離した状態で使用してもよいし、担体に固定化した状態で使用してもよい。後者の固定化酵素の場合、前記担体の種類は、特に制限されず、例えば、プレート、容器等の基板、ビーズ、フィルター等、公知の担体が使用できる。前記反応系は、例えば、反応液である。
前記(s1)工程において、前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素の使用量は、特に制限されず、例えば、前記被検試料1mlに対して、単位Uの場合、0.1〜50Uが好ましく、より好ましくは0.5〜20Uであり、さらに好ましくは1〜10Uであり、また、タンパク質量の場合、0.1〜25μgが好ましく、より好ましくは0.5〜10μgであり、さらに好ましくは1〜5μgである。また、例えば、後述するようにコラーゲンの測定を行う場合、前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素の量は、例えば、前記被検試料中のタンパク質に対する添加量でもよい。前記被検試料中のタンパク質量は、例えば、コラーゲンタンパク質および非コラーゲンタンパク質の総量から設定できる。
前記(s1)工程において、異性化反応の条件は、特に制限されず、例えば、使用する前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素の化学特性に応じて適宜設定できる。反応温度は、例えば、25〜35℃が好ましく、より好ましくは30〜35℃であり、さらに好ましくは30〜31℃である。反応時間は、例えば、0.5〜10分が好ましく、より好ましくは0.5〜5分であり、さらに好ましくは0.5〜1分である。前記反応系のpHは、例えば、7.5〜10.0が好ましく、より好ましくは8.0〜9.5であり、さらに好ましくは8.5〜9.0である。
前記反応系は、前記被検試料および前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素の他に、例えば、溶媒、前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素に対する補酵素、イオン性化合物、ジチオスレイトール等の還元剤、EDTA等のキレート剤等を含んでもよい。前記溶媒は、例えば、水、緩衝液等の水性溶媒があげられ、前記緩衝液は、例えば、Tris−HCl、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等が使用でき、前記緩衝液によって、例えば、前記反応系のpHを調整することが好ましい。
つぎに、前記(s2)工程は、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素により、前記(s1)工程において得られたD−ヒドロキシプロリンを脱水素化する工程である。前記(s2)工程は、例えば、前記(s1)工程で得られたD−ヒドロキシプロリンと前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素との接触により行うことができる。本発明において、前記(s1)工程および前記(s2)工程は、例えば、前記(s1)工程の後に、前記(s2)工程を行ってもよいし、前記(s1)工程と前記(s2)工程とを並行して行ってもよい。
前記(s1)工程を行った後に前記(s2)工程を行う場合、前記D−ヒドロキシプロリンと前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素との接触は、例えば、前記(s1)工程で異性化反応を行った後の前記反応系を、そのまま前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素と接触させてもよいし、前記反応系に処理を施したものを前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素と接触させてもよい。後者の場合、前記処理は、特に制限されず、例えば、前記反応系の濃縮処理、前記反応系からの前記D−ヒドロキシプロリンの単離処理等でもよい。前記濃縮処理を行った場合、前記反応系の濃縮物と前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素とを接触させればよく、また、前記単離処理を行った場合、単離した前記D−ヒドロキシプロリンを前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素と接触させればよい。また、前述のように、前記(s1)工程において固定化した前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素を使用した場合、例えば、前記反応系について、液体画分と固形画分とを分離し、前記(s2)工程において、前記液体画分を、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素と接触させることが好ましい。本発明においては、操作が簡便であることから、例えば、前記(s1)工程後の前記反応系または前記反応系の前記液体画分と、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素とを接触させることが好ましい。
前記(s1)工程と前記(s2)工程とを並行して行う場合、例えば、前記被検試料と前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素と前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素とを含む反応系を用いて、前記反応系中で、L−ヒドロキシプロリンからD−ヒドロキシプロリンへの異性化と、前記D−ヒドロキシプロリンの脱水素化を行うことができる。
前記反応系において、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素は、例えば、遊離した状態で使用してもよいし、担体に固定化した状態で使用してもよい。後者の固定化酵素の場合、前記担体の種類は、特に制限されず、前述と同様である。
前記(s2)工程において、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の使用量は、特に制限されず、例えば、前記(s1)工程における前記被検試料1mlに対して、単位Uの場合、0.1〜50Uが好ましく、より好ましくは0.5〜20Uであり、さらに好ましくは1〜10Uであり、また、タンパク質量の場合、0.1〜25μgが好ましく、より好ましくは0.5〜10μgであり、さらに好ましくは1〜5μgである。また、後述するようにコラーゲンの測定を行う場合、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の量は、例えば、前記被検試料中のタンパク質に対する添加量でもよい。前記被検試料中のタンパク質量は、例えば、コラーゲンタンパク質および非コラーゲンタンパク質の総量から設定できる。
前記(s2)工程において、脱水素反応の条件は、特に制限されず、使用する前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の化学特性に応じて適宜設定できる。反応温度は、例えば、25〜35℃が好ましく、より好ましくは30〜35℃であり、さらに好ましくは30〜31℃である。反応時間は、例えば、0.5〜10分が好ましく、より好ましくは0.5〜5分であり、さらに好ましくは0.5〜1分である。反応pHは、例えば、8.0〜9.75が好ましく、より好ましくは8.5〜9.75であり、さらに好ましくは9.0〜9.75である。
前記反応系は、前記D−ヒドロキシプロリンおよび前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の他に、例えば、溶媒、イオン性化合物、ジチオスレイトール等の前記還元剤等を含んでもよい。前記溶媒は、例えば、水、緩衝液等の水性溶媒があげられ、前記緩衝液は、例えば、Tris−HCl、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等が使用でき、前記緩衝液によって、例えば、前記反応系のpHを調整することが好ましい。前記イオン性化合物は、例えば、二価イオンを遊離する化合物等があげられ、前記二価イオンとしては、例えば、マグネシウム等があげられる。
そして、前記(s3)工程は、前記(s2)の脱水素酵素反応を分析する工程である。本発明において、前記分析は、例えば、定性分析、定量分析および半定量分析のいずれでもよい。
前記脱水素酵素反応の分析は、例えば、前記反応により生じるシグナルの検出により行うことができる。前記シグナルは、例えば、前記脱水素酵素反応によりシグナルを生じる基質、または、前記脱水素酵素反応によりシグナルが消失または減少する基質等を併用することが好ましい。
前記基質の添加順序は、特に制限されず、例えば、前記(s1)工程において、前記反応系が基質を含んでもよいし、前記(s2)工程において、前記反応系が基質を含んでもよいし、前記(S2)工程の後であり前記(S3)工程の前に、前記反応系が基質を含んでもよい。
前記(s3)工程において、前記脱水素酵素反応の分析方法は、特に制限されず、例えば、光学的分析および電気的分析のいずれでもよい。
光学的分析の場合、例えば、前記脱水素酵素反応によって生じる光学的シグナルを測定する方法があげられる。前記光学的シグナルは、例えば、発色、発光もしくは蛍光等のシグナルがあげられ、前記光学的シグナルの測定は、例えば、吸光度、反射率、蛍光強度等の測定により行うことができる。前記(s3)工程において光学的シグナルを測定する場合、前記(s2)工程における脱水素酵素反応において、例えば、前記脱水素酵素反応によって、発色、発光もしくは蛍光を発する基質、発色、発光もしくは蛍光が消失または減少する基質等を併用することが好ましい。前記基質の存在下で、前記(s2)工程の脱水素酵素反応を行うことによって、例えば、前記(s3)工程において、前記D−ヒドロキシプロリンに依存した光学的シグナルの測定を行うことができる。
また、電気的分析の場合、例えば、前記脱水素酵素反応によって生じる電子の授受を、電気的シグナルとして測定する方法があげられる。前記電気的シグナルの測定は、例えば、電流等の電気シグナルの強度を測定する方法があげられる。前記(s3)工程において電気的シグナルを測定する場合、前記(s2)工程における脱水素酵素反応において、例えば、前記脱水素酵素反応によって、電子の授受が可能な基質等を併用することが好ましい。前記基質の存在下で、前記(s2)工程の脱水素酵素反応を行うことによって、例えば、前記(s3)工程において、前記D−ヒドロキシプロリンに依存した電気的シグナルの測定を行うことができる。
前記基質は、特に制限されず、例えば、電子受容体が好ましく、p−ヨードニトロテトラゾリウムバイオレット(INT)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、2,6−ジクロロインドフェノール、フェリシアニド、チロクロムC、NAD、NADP等があげられ、中でも、INT、NBTが好ましい。前記基質は、例えば、前記電子受容体と電子輸送中間体とを併用することが好ましく、前記電子輸送中間体は、例えば、フェナジンメトサルフェート(PMS)があげられる。前記電子受容体と前記電子輸送中間体との組合せは、例えば、PMSとINTの組合せ、PMSとNBTの組合せ等が好ましい。
電子受容体として、例えば、INTまたはNBTを使用した場合、以下のようなメカニズムによりD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を測定できる。INTおよびNBTは、テトラゾリウム塩であり、還元によりホルマザン色素が生成する。このため、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性により、D-ヒドロキシプロリンが脱水素化され、INTまたはNBTが還元されると、INTまたはNBTから前記ホルマザン色素が生成される。そこで、前記ホルマザン色素の吸光度を測定することによって、D−ヒドロキシプロリンの還元、つまり、D-ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を測定できる。
前記基質の添加のタイミングは、特に制限されず、例えば、前記(s2)工程において前記基質が前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素と共存していることが好ましい。また、前記(s2)工程において、前記(s1)工程における反応系を使用する場合、例えば、前記(s1)工程において、その反応系が前記基質を含有してもよい。
本発明は、さらに、下記(s4)工程を有してもよい。
(s4)既知量のL−ヒドロキシプロリンを含む標準試料のL−ヒドロキシプロリン量と、前記標準試料に対する前記(s1)〜(s3)工程の実行により得られる分析結果との相関関係に基づいて、前記(s3)工程における前記被検試料の分析結果から、前記被検試料中のD−ヒドロキシプロリン量を算出する算出工程
本発明において、各工程の順序は、特に制限されず、例えば、以下のような順序が例示できる。各工程を実行する順序は、例えば、L−ヒドロキシプロリン異性化酵素、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素および/または前記D−ヒドロシプロリン脱水素酵素による脱水素反応における基質の添加のタイミングによって、適宜、調節できる。
1: (s1)、(s2)および(s3)の順序で、処理を行う
2: (s1)および(s2)を並行して行った後、(s3)を行う
3: (s1)を行った後、(s2)および(s3)を並行して行う
4: (s1)、(s2)および(s3)を並行して行う
本発明の分析方法について、以下に、光学的分析の一例を示すが、例示であって、本発明は、この方法には制限されない。
まず、被検試料、前記L−ヒドロキシプロリン、および、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素に対する基質を含む反応液s1を調製する。前記反応液s1について、例えば、1mlあたりの組成を以下に示す。前記基質は、例えば、INTまたはNBTとPMSとの組み合わせがあげられる。
(反応液s1の組成:1mlあたり)
L−ヒドロキシプロリン異性化酵素 1〜5μgまたは1〜10U
緩衝液 50〜100mmol/L
基質(INTまたはNBT) 0.1〜0.5mmol/L
PMS 0.01〜0.1mmol/L
pH 9〜9.5
被検試料 100〜500μl
前記反応液s1をインキュベートして、前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素による異性化反応を行う。前記インキュベートの条件は、特に制限されず、例えば、温度30〜35℃、時間0〜10分間、3〜10分間である。
つぎに、前記反応液s1に、さらに、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素を添加して、脱水素反応の反応液s2を調製する。前記反応液s2について、1mlあたりの前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の濃度は、例えば、1〜5μgまたは1〜10Uである。なお、本例では、前記反応液s1にD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素に対する基質(INTまたはNBT、およびPMS)を添加したが、例えば、これらを、前記反応液s1への添加に代えて、前記反応液s2の調製において添加してもよい。
前記反応液s2をインキュベートして、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素による脱水素反応を行う。前記インキュベートの条件は、特に制限されず、例えば、温度30〜35℃、時間0.5〜2分間、0.5〜1分間である。
そして、前記反応液s2について、吸光度測定を行う。前記吸光度の測定波長は、例えば、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の基質の種類に応じて適宜決定でき、具体例として、PMSおよびINTを使用した場合、490nmがあげられ、PMSとNBTを使用した場合、530nmがあげられる。
他方、既知濃度のL−ヒドロキシプロリンを含む複数の標準試料を使用し、同様の条件で、前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素による異性化反応および前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素による脱水素反応を行い、吸光度を測定する。そして、前記各標準試料の濃度と、これらに対応する吸光度との相関関係を求める。前記相関関係は、例えば、一次式、検量線等で表わすことができる。そして、前記被検試料に関する吸光度の測定結果と前記相関関係とから、前記被検試料におけるL−ヒドロキシプロリン量を算出する。このように、例えば、前記相関関係を利用することによって、前記被検試料におけるL−ヒドロキシプロリンの量を定量できる。
また、本発明の分析方法は、例えば、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の種類に応じて、例えば、L−ヒドロキシプロリンの中でも、シス−L−ヒドロキシプロリンを特異的に分析することもできる。この場合、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素として、シス−D−ヒドロキシプロリンに極めて高い基質特異性を示し且つトランス−D−ヒドロキシプロリンに極めて低い基質特異性を示すタンパク質(cis)を使用することが好ましい。
他方、トランス−L−ヒドロキシプロリンを特異的に分析する場合、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素として、前記タンパク質(cis)と、シス−D−ヒドロキシプロリンとトランス−L−ヒドロキシプロリンの両方に同程度の高い基質特異性を示すタンパク質(cis/trans)の2種類を使用することが好ましい。この場合、各タンパク質をそれぞれ別個に使用して、前記(s1)〜(s3)工程を行う。そして、さらに(s5)工程として、前記タンパク質(cis/trans)を用いた分析結果から、前記タンパク質(cis)を用いた分析結果を差し引くことで、間接的に、トランス−L−ヒドロキシプロリンを分析できる。
<コラーゲンの測定方法>
本発明のコラーゲンの測定方法は、前述のように、被検試料中のコラーゲンの測定方法であって、下記(S1)〜(S3)工程を含むことを特徴とする。
(S1)被検試料中のコラーゲンから、L−ヒドロキシプロリンを遊離させる遊離工程
(S2)前記(S1)工程で遊離したL−ヒドロキシプロリンの量を、本発明のL−ヒドロキシプロリンの分析方法により測定する測定工程
(S3)予め求めた前記コラーゲンに対するL−ヒドロキシプロリンの割合係数に基づき、前記(S2)工程で測定したL−ヒドロキシプロリン量からコラーゲン量を算出する算出工程
前述のように、被検試料におけるコラーゲンの分析は、被検試料におけるL−ヒドロキシプロリンの分析によって、間接的に行うことができる。このため、前述の本発明のL−ヒドロキシプロリンの分析方法に利用すれば、従来のHPLC法とは異なり、酵素反応を行うのみで、簡便に前記L−ヒドロキシプロリンを分析し、その分析結果から、間接的に前記被検試料におけるコラーゲンを測定できる。
本発明は、前記本発明のL−ヒドロキシプロリンの分析方法により前記被検試料中のL−ヒドロキシプロリンを測定することが特徴であって、その他の工程およびその他の条件は、何ら制限されない。
前記被検試料の種類は、特に制限されず、例えば、コラーゲンを含有する試料、含有すると考えられる試料、含有の有無が不明な試料等が対象となる。前記被検試料は、例えば、固体でも液体でもよい。前記被検試料が個体の場合、例えば、溶媒への懸濁、分散または溶解等の前処理を施し、前処理後の試料を被検試料として、本発明の測定方法に供することが好ましい。前記被検試料の具体例としては、例えば、食品、化粧品、医薬品、生体由来の組織等があげられる。
前記(S1)工程は、被検試料中のコラーゲンから、L−ヒドロキシプロリンを遊離させる遊離工程である。前記コラーゲンから前記L−ヒドロキシプロリンを遊離させる方法は、特に制限されず、公知の方法が採用できる。具体例としては、前記コラーゲンの加水分解処理があげられる。前記加水分解処理は、例えば、前記被検試料を、酸性条件および加熱条件で処理することにより行える。前記酸性条件への調整は、例えば、前記被検試料への酸の添加により行える。前記酸は、特に制限されず、例えば、塩酸、硫酸等が使用できる。
前記加水分解処理後の処理液は、次工程である前記(S2)工程に使用できる。前記処理液は、例えば、酸性条件であることから、前記(S2)工程に適したpHに調整しておくことが好ましい。前記pHの調整は、例えば、アルカリ、緩衝液等が使用できる。前記pHは、特に制限されず、前記(S2)工程、すなわち、前記本発明のL−ヒドロキシプロリンの分析方法における前記(s1)工程で示したpHがあげられる。
つぎに、前記(S2)工程は、前記(S1)工程で遊離したL−ヒドロキシプロリンの量を、前記本発明のL−ヒドロキシプロリンの分析方法により測定する工程である。前記(S2)工程は、前記本発明のL−ヒドロキシプロリンの分析方法の記載を援用できる。
続いて、前記(S3)工程は、予め求めた前記コラーゲンに対するL−ヒドロキシプロリンの割合係数に基づき、前記(S2)工程で測定したL−ヒドロキシプロリン量からコラーゲン量を算出する工程である。
前記コラーゲンに対するL−ヒドロキシプロリンの割合係数は、例えば、公知の割合係数があげられる。また、前記割合係数は、例えば、既知量のコラーゲンを含む標準試料のコラーゲン量と、前記標準試料に対する前記(S1)および(S2)工程の実行により得られるL−ヒドロキシプロリンの量との相関関係であってもよい。前記相関関係は、例えば、一次式、検量線等で表わすことができる。
<D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素>
本発明の新規タンパク質は、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質であり、下記βサブユニット(B1)を含む新規タンパク質(Pa)、下記サブユニット(B2)を含む新規タンパク質(Pp)および下記βサブユニット(B3)を含む新規タンパク質(Ab)があげられる。前記本発明のL−ヒドロキシプロリンの分析方法およびコラーゲンの測定方法には、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素として、本発明の新規タンパク質を使用することが特に好ましい。
(1)タンパク質(Pa)
本発明の新規タンパク質(Pa)は、下記βサブユニット(B1)を含むタンパク質である。
(B1)下記(B1−1)、(B1−2)または(B1−3)のβサブユニット
(B1−1)配列番号7のアミノ酸配列からなるタンパク質
(B1−2)前記(B1−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質
(B1−3)前記(B1−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質
前記新規タンパク質(Pa)は、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質であり、以下、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pa/D−HypDH)ともいう。
前記(B1−1)における配列番号7のアミノ酸配列は、以下の通りである。前記(B1−1)のタンパク質は、例えば、Psaeruginosaから得ることができる。
(B1−1)βサブユニット:配列番号7
MNAEVIVVGAGIVGSACAHELARRGLDVLVLDSRRGGATAVGMGHLVAMDDNPAELALSDYSTQAWRAWAAELPEDCAYRGCGTLWLAADASELAEAERKRQALQAAGVACRMLGAARLYALEPALRPGLAGALEVSGDGILYAPNAARWLLDQAGPRLRRLYAEVSEVDGSRLRLADGRWLSAEALVLANGIHAGELCAELPIRPKKGHLLITDRYPGTLRHQLVELGYVSSAHASSGTSVAFNAQPRPTGQVFLGSSRQFDTLDPQVEGPVLARMLRRALDYLPGLAGLNAIRAWTGFRAATPDGLPLLGEHPAQPGLWLAVGHEGLGVTTAPGSARLLAAQLFGETPPLDPTPYLPQRFLSSSGSARP
前記(B1−2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記βサブユニット(B1−2)を含むタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(B1−2)の「1もしくは数個」は、前記(B1−1)のアミノ酸配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。本発明において、個数の数値範囲は、例えば、その範囲に属する正の整数を全て開示するものである。つまり、例えば、「1〜3個」との記載は、「1、2、3個」の全ての開示を意味する(以下、同様)。
前記(B1−3)において、「同一性」は、例えば、前記βサブユニット(B1−3)を含むタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(B1−3)の「同一性」は、前記(B1−1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。前記同一性は、例えば、BLAST、FASTA等の解析ソフトウェアを用いて、デフォルトのパラメータにより算出できる(以下、同様)。
前記βサブユニット(B1)は、単独でも、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を示すことから、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pa)は、例えば、前記βサブユニット(B1)のみからなるタンパク質でもよいし、前記βサブユニット(B1)の他に、さらに他のサブユニットを含んでもよい。
前者の場合、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pa)は、例えば、前記βサブユニット(B1)のみからなるホモ1量体〜4量体であり、好ましくはホモ1量体〜2量体である。D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pa)が前記βサブユニットを2分子以上含む場合、各サブユニットが会合していることが好ましい。
また、後者の場合、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pa)は、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有していればよく、前記βサブユニット(B1)以外のサブユニットの種類および個数は制限されない。この場合、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pa)は、例えば、ヘテロ3量体〜6量体であり、好ましくはヘテロ3量体〜12量体である。D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pa)が2分子以上のサブユニットを含む場合、各サブユニットが会合していることが好ましい。
前記後者の場合、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pa)は、例えば、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有していれば、さらに、下記αサブユニット(E1)および下記γサブユニット(F1)の少なくとも一方を含んでもよい。
(E1)下記(E1−1)、(E1−2)または(E1−3)のαサブユニット
(E1−1)配列番号3のアミノ酸配列からなるタンパク質
(E1−2)前記(E1−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(E1−3)前記(E1−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するタンパク質
(F1)下記(F1−1)、(F1−2)または(F1−3)のγサブユニット
(F1−1)配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質
(F1−2)前記(F1−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(F1−3)前記(F1−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質
前記(E1−1)における配列番号3のアミノ酸配列は、以下の通りである。前記(E1−1)のタンパク質は、例えば、Psaeruginosaから得ることができる。
(E1−1)αサブユニット:配列番号3
MSADYDLLIVGAGPAGLAAALAAAPSGARIALVDDNPAAGGQIWRDGPRASLPPRAHQMRQRLAGQANVEHFPATRVVACGPGRRLLLEDPQRGWQVGYRRLVLCTGARELLLPFPGWTLPGVTGAGGLQALAKGGLPLAGQRLVVAGSGPLLLASAASASQCGARLLRVAEQAPARTLAAFAVRLPRWPGKLWQAAGLFARSYRADSYVLAALGEERLEAVRLREGGRVREIACERLACGFGLVPNVQLGQALGYRLDGPALAVDEWQAGSLPDHYAAGECTGFGGSELALVEGAIAGHAAVDERDAARRLWPRRRRWQGFADTLARHFALRAELRQLAEADTLVCRCEDVPLAALAGHAGWTEAKLHSRCGMGACQGRICGSAAQFLFGWTPPAPRPPFSPARLETLARWQGDAG
前記(E1−2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記αサブユニット(E1−2)を含むタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(E1−2)の「1もしくは数個」は、前記(E1−1)のアミノ酸配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。
前記(E1−3)において、「同一性」は、例えば、前記αサブユニット(E1−3)を含むタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(E1−3)の「同一性」は、前記(E1−1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
前記(F1−1)における配列番号5のアミノ酸配列は、以下の通りである。前記(F1−1)のタンパク質は、例えば、Psaeruginosaから得ることができる。
(F1−1)γサブユニット:配列番号5
MIELFIDRRPLRVAVGTSVAAALALGGDGCSRSAVGGGRRAPFCGMGACQECRVLIDGRRRLACQTVCQSGMRVETQA
前記(F1−2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記γサブユニット(F1−2)を含むタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(F1−2)の「1もしくは数個」は、前記(F1−1)のアミノ酸配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。
前記(F1−3)において、「同一性」は、例えば、前記γサブユニット(F1−3)を含むタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(F1−3)の「同一性」は、前記(F1−1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pa)が、前記βサブユニット(B1)以外のサブユニットを含む場合、例えば、前記αサブユニット(E1)および前記γサブユニット(F1)のいずれか一方でもよいが、両方を含むことが好ましい。この場合、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pa)1分子における、αサブユニット、βサブユニットおよびγサブユニットの個数の比[α:β:γ]は、例えば、[α1〜4]:[β1〜4]:[γ1〜4]であり、好ましくは、α4β4γ4の12量体である。
D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pa)が、前述のように、前記βサブユニット(B1)と、前記αサブユニット(E1)および前記γサブユニット(F1)の少なくとも一方を含む場合、下記(Pa1)〜(Pa3)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質であることが好ましい。
(Pa1)下記(B1−1)のβサブユニットと、下記(E1−1)のαサブユニットおよび下記(F1−1)のγサブユニットの少なくとも一方のサブユニットとからなるタンパク質
(B1−1) 配列番号7のアミノ酸配列からなるタンパク質
(E1−1) 配列番号3のアミノ酸配列からなるタンパク質
(F1−1) 配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質
(Pa2)前記(Pa1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
(Pa3)前記(Pa1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
前記(Pa1)における前記(B1−1)、前記(E1−1)および前記(F1−1)は、前述の通りである。例えば、Psaeruginosa由来の天然D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pa)は、前記(Pa1)であり、具体的には、前記(B1−1)のβサブユニット、前記(E1−1)のαサブユニットおよび前記(F1−1)のγサブユニットが会合したα4β4γ4の12量体である。
前記(Pa2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(Pa2)のタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(Pa2)において、前記(Pa1)のアミノ酸配列は、前記タンパク質(Pa1)のアミノ酸配列でもよいし、これを構成するいずれかのサブユニットのアミノ酸配列でもよい。前記(Pa2)の「1もしくは数個」は、前記(Pa1)のアミノ酸配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。前記(Pa2)のアミノ酸配列は、例えば、前記(B1−1)のβサブユニット(配列番号7)、前記(E1−1)のαサブユニット(配列番号3)および前記(F1−1)のγサブユニット(配列番号5)のいずれか1つのアミノ酸配列、いずれか2つのアミノ酸配列、または3つのアミノ酸配列において、前記1もしくは数個の欠失、置換、挿入および/または付加を有するアミノ酸配列となってもよい(以下、同様)。
前記(Pa3)において、「同一性」は、例えば、前記(Pa3)のタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(Pa3)において、前記(Pa1)のアミノ酸配列は、前記タンパク質(Pa1)のアミノ酸配列でもよいし、これを構成するいずれかのサブユニットのアミノ酸配列でもよい。前記(Pa3)の「同一性」は、前記(Pa1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。前記(Pa3)のアミノ酸配列は、例えば、前記(B1−1)のβサブユニット(配列番号7)、前記(E1−1)のαサブユニット(配列番号3)および前記(F1−1)のγサブユニット(配列番号5)のいずれか1つのアミノ酸配列、いずれか2つのアミノ酸配列、または3つのアミノ酸配列が、前記同一性を示すアミノ酸配列となってもよい(以下、同様)。
本発明の新規タンパク質(Pa)は、例えば、以下のような化学的特性を有する。
D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pa)は、D−ヒドロキシプロリンを基質とする脱水素酵素活性を有していればよく、例えば、さらに、その他の触媒活性を有してもよい。
D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pa)は、例えば、D−ヒドロキシプロリンに対する基質特異性が、D−プロリンに対する基質特異性よりも高いことが好ましい。具体的には、D−ヒドロキシプロリンを基質とした代謝効率(kcat/Km)を相対活性100%とした場合に、D−プロリンを基質とした相対活性が20%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。
D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pa)は、例えば、D−ヒドロキシプロリンに対するKm値が、例えば、1mM以下であり、好ましくは0.1mM以下である。
(2)タンパク質(Pp)
本発明の新規タンパク質(Pp)は、下記サブユニット(B2)を含むタンパク質である。
(B2)下記(B2−1)、(B2−2)または(B2−3)のサブユニット
(B2−1)配列番号9のアミノ酸配列からなるタンパク質
(B2−2)前記(B1−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
(B2−3)前記(B1−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
前記新規タンパク質(Pp)は、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質であり、以下、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pp/D−HypDH)ともいう。
前記(B2−1)における配列番号9のアミノ酸配列は、以下の通りである。前記(B2−1)のタンパク質は、例えば、Psputidaから得ることができる。
(B2−1)サブユニット:配列番号9
MVETAETDIAVVGAGIVGVACALQLARQGHRVTLVDRQAPGLGASFGNAGHLATEQVFPIADLSILKRLPRMLLDPMGPLRLDWKYLPKAMPWFTRLLLNLRPAPFQRSVAGIRTLNEGSLGAWQRLLGSIGRSELFQEDGSLLVFEKPESRQALEALRTRMQQQAVPVDFWSAETVREAAPQLSPSLLGGLFFPRTGHFIDPYRVVCELFEAAKASGVRFVQAQVDGGQLHSAGVSLASDQGMLNARQVLVSCGAHSAKLTAALTGKRVPLDTERGYHLMLPGEHQRLPFAVTSLERKFIMTPMAEGLRLAGTVEFAGLQAPPSMQRAWQLHRLSKGLFRHDLSVEGATPWMGFRPSLPDSLPVIDRVCDGRVLLAFGHQHLGLTQAAVTAEWVGRLAEQTGGPEMGAYRLNRF
前記(B2−2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記サブユニット(B2−2)を含むタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(B2−2)の「1もしくは数個」は、前記(B2−1)のアミノ酸配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。
前記(B2−3)において、「同一性」は、例えば、前記サブユニット(B2−3)を含むタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(B2−3)の「同一性」は、前記(B2−1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
前記サブユニット(B2)は、単独でも、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を示すことから、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pp)は、例えば、前記サブユニット(B2)のみからなるタンパク質でもよいし、前記βサブユニット(B2)の他に、さらに他のサブユニットを含んでもよい。好ましくは前者であり、前者の場合、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pp)は、例えば、前記サブユニット(B2)のみからなるホモ1量体〜4量体であり、好ましくはホモ1量体〜2量体である。D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pp)が前記サブユニット(B2)を2分子以上含む場合、各サブユニットが会合していることが好ましい。
本発明の新規タンパク質(Pp)は、例えば、以下のような化学的特性を有する。
D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pp)は、D−ヒドロキシプロリンを基質とする脱水素酵素活性を有していればよく、例えば、さらに、その他の触媒活性を有してもよい。
D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pp)は、例えば、D−ヒドロキシプロリンに対する基質特異性が、D−プロリンに対する基質特異性よりも高いことが好ましい。具体的には、D−ヒドロキシプロリンを基質とした代謝効率(kcat/Km)を相対活性100%とした場合に、D−プロリンを基質とした相対活性が20%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。
D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Pp)は、例えば、D−ヒドロキシプロリンに対するKm値が、例えば、1mM以下であり、好ましくは0.1mM以下である。
(3)タンパク質(Ab)
本発明の新規タンパク質(Ab)は、前述のように、下記βサブユニット(B3)を含むタンパク質である。
(B3)下記(B3−1)、(B3−2)または(B3−3)のβサブユニット
(B3−1)配列番号17のアミノ酸配列からなるタンパク質
(B3−2)前記(B3−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質
(B3−3)前記(B3−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質
前記新規タンパク質(Ab)は、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質であり、以下、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab/D−HypDH)ともいう。
前記(B3−1)における配列番号17のアミノ酸配列は、以下の通りである。前記(B3−1)のタンパク質は、例えば、brasilenseから得ることができる。
(B3−1)βサブユニット:配列番号17
MSDTKTDVVVIGAGIVGAACAHELAQRGLRVLVVDDASGGATGAGMGHLVAMDDNAAELALSHYSIELWRALSGEMPEGCAYRNCGTLWLAADAHEMDLARAKQAALAAHGVAGELIDAATLARLEPMLRTGLGGVLKIPGDAILYAPVTANWLLQRAPRITLRRDRAVAVDGPSVTLASGDTLRAERVVVANGVAARALLPELPLRPKKGHLLITDRYPGQVSHQLVELGYAASAHASDGTSVAFNVQPRPTGQLLIGSSRQFDTEDAQVEPPVLARMLRRAVGYLPGLADLNGIRAWTGFRSASPDGLPLLGEHPARPGVWLAVGHEGLGVTTAPGSARLVAALMAGERPPIDIKPYLPGRFLSASLVAGALT*
前記(B3−2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記βサブユニット(B3−2)を含むタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(B3−2)の「1もしくは数個」は、前記(B3−1)のアミノ酸配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。
前記(B3−3)において、「同一性」は、例えば、前記βサブユニット(B3−3)を含むタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(B3−3)の「同一性」は、前記(B3−1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
前記βサブユニット(B3)は、単独でも、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を示すことから、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)は、例えば、前記βサブユニット(B3)のみからなるタンパク質(B)でもよい。
この場合、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)は、例えば、前記βサブユニット(B3)のみからなるホモ1量体〜4量体であり、好ましくはホモ1量体〜2量体である。D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)が前記βサブユニットを2分子以上含む場合、各サブユニットが会合していることが好ましい。
D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)が前記βサブユニット(B3)のみからなるタンパク質の場合、例えば、複数のサブユニットからなる酵素と比較して、より容易な合成が可能であり低分子量であり、酵素の生産コストをより低減できる。
また、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)は、前記βサブユニット(B3)の他に、さらに他のサブユニットを含んでもよい。この場合、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)は、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有しいていればよく、前記βサブユニット(B3)以外のサブユニットの種類および個数は制限されない。この場合、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)は、例えば、ヘテロ3量体〜12量体であり、好ましくはヘテロ6量体〜12量体である。D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)が前記サブユニットを2分子以上含む場合、各サブユニットが会合していることが好ましい。
前記後者の場合、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)は、例えば、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有していれば、さらに、下記αサブユニット(E3)および下記γサブユニット(F3)の少なくとも一方を含んでもよい。
(E3)下記(E3−1)、(E3−2)または(E3−3)のαサブユニット
(E3−1)配列番号19のアミノ酸配列からなるタンパク質
(E3−2)前記(E3−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(E3−3)前記(E3−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するタンパク質
(F3)下記(F3−1)、(F3−2)または(F3−3)のγサブユニット
(F3−1)配列番号21のアミノ酸配列からなるタンパク質
(F3−2)前記(F3−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(F3−3)前記(F3−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質
前記(E3−1)における配列番号19のアミノ酸配列は、以下の通りである。前記(E3−1)のタンパク質は、例えば、brasilenseから得ることができる。
(E3−1)αサブユニット:配列番号19
MKQERLSVDVAIVGAGPAGLSAARAAARGGATVAIVDDNPRAGGQIWRQRAAAAPPPAAAERLAVLRQPNVTHLAATRIVAETQPGTLLLEDDERGLLLDFRTLILCCGARELLLPFPGWTLPGVTGAGGLQALIKYGLDVRGQRTVIAGSGPLLLASAATARQAGARVSHVLEQAAWCDVAGFGAGLWRWPSKLAQAAKLVTAAYRPDAHVVEAFGDTRLERVRIRQGDREFDVDCDRLACGFGLVPNTVLPSHLGCRIDNGAVAVDVHQRTSRDGVFAAGECTGVGGSELAMVEGEIAGLAATGQTAPLAALVAQRAHWQAFADAVRARFAIREPIRRLARADTLLCRCEDVRFDAVAQAPGWTAAKLQSRCGMGACQGRVCGAAAQALFGWTPPVPRTPLVPARVGTLMLDGTASCDGA*
前記(E3−2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記αサブユニット(E3−2)を含むタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(E3−2)の「1もしくは数個」は、前記(E3−1)のアミノ酸配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。
前記(E3−3)において、「同一性」は、例えば、前記αサブユニット(E3−3)を含むタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(E3−3)の「同一性」は、前記(E3−1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
前記(F3−1)における配列番号21のアミノ酸配列は、以下の通りである。前記(F3−1)のタンパク質は、例えば、brasilenseから得ることができる。
(F3−1)γサブユニット:配列番号21
MIIHLDGRALTVADGATVAAAVAASGDDTTRVSCTGAARAPFCGMGICQECRMTIDGRRRLACQTLCRDGMQVERTR*
前記(F3−2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記γサブユニット(F3−2)を含むタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(F3−2)の「1もしくは数個」は、前記(F3−1)のアミノ酸配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。
前記(F3−3)において、「同一性」は、例えば、前記αサブユニット(F3−3)を含むタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(F3−3)の「同一性」は、前記(F3−1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)が、前記βサブユニット(B3)以外のサブユニットを含む場合、例えば、前記αサブユニット(E3)および前記γサブユニット(F3)のいずれか一方でもよいが、好ましくは、前記αサブユニット(E3)を含むタンパク質(BE)および前記αサブユニット(E3)と前記γサブユニット(F3)の両方を含むタンパク質(BEF)が好ましい。この場合、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)1分子における、αサブユニット、βサブユニットおよびγサブユニットの個数の比[α:β:γ]は、例えば、[α1〜4]:[β1〜4]:[γ1〜4]であり、好ましくは、α4β4γ4の12量体である。
D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)が、前述のように、前記βサブユニット(B3)、前記αサブユニット(E3)および前記γサブユニット(F3)を含むタンパク質(BEF)の場合、下記(Ab1)〜(Ab3)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質であることが好ましい。
(Ab1)下記(B3−1)のβサブユニットと、下記(E3−1)のαサブユニットおよび下記(F3−1)のγサブユニットの少なくとも一方のサブユニットとからなるタンパク質
(B3−1) 配列番号17のアミノ酸配列からなるタンパク質
(E3−1) 配列番号19のアミノ酸配列からなるタンパク質
(F3−1) 配列番号21のアミノ酸配列からなるタンパク質
(Ab2)前記(Ab1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
(Ab3)前記(Ab1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
前記(Ab1)における前記(B3−1)、前記(E3−1)および前記(F3−1)は、前述の通りである。例えば、brasilense由来の天然D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)は、前記(Ab1)であり、具体的には、前記(B3−1)のβサブユニット、前記(E3−1)のαサブユニットおよび前記(F3−1)のγサブユニットが会合したα4β4γ4の12量体である。
前記(Ab2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(Ab2)のタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(Ab2)において、前記(Ab1)のアミノ酸配列は、前記タンパク質(Ab1)のアミノ酸配列でもよいし、これを構成するいずれかのサブユニットのアミノ酸配列でもよい。前記(Ab2)の「1もしくは数個」は、前記(Ab1)のアミノ酸配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。前記(Ab2)のアミノ酸配列は、例えば、前記(B3−1)のβサブユニット(配列番号17)、前記(E3−1)のαサブユニット(配列番号19)および前記(F3−1)のγサブユニット(配列番号21)のいずれか1つのアミノ酸配列、いずれか2つのアミノ酸配列、または3つのアミノ酸配列において、前記1もしくは数個の欠失、置換、挿入および/または付加を有するアミノ酸配列となってもよい(以下、同様)。
前記(Ab3)において、「同一性」は、例えば、前記(Ab3)のタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(Ab3)において、前記(Ab1)のアミノ酸配列は、前記タンパク質(Ab1)のアミノ酸配列でもよいし、これを構成するいずれかのサブユニットのアミノ酸配列でもよい。前記(Ab3)の「同一性」は、前記(Ab1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。前記(Ab3)のアミノ酸配列は、例えば、前記(B3−1)のβサブユニット(配列番号17)、前記(E3−1)のαサブユニット(配列番号19)および前記(F3−1)のγサブユニット(配列番号21)のいずれか1つのアミノ酸配列、いずれか2つのアミノ酸配列、または3つのアミノ酸配列が、前記同一性を示すアミノ酸配列となってもよい(以下、同様)。
本発明の新規タンパク質(Ab)は、例えば、以下のような化学的特性を有する。
D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)は、D−ヒドロキシプロリンを基質とする脱水素酵素活性を有していればよく、例えば、さらに、その他の触媒活性を有してもよい。
D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)は、例えば、D−ヒドロキシプロリンに対する基質特異性が、D−プロリンに対する基質特異性よりも高いことが好ましい。具体的には、D−ヒドロキシプロリンを基質とした代謝効率(kcat/Km)を相対活性100%とした場合に、D−プロリンを基質とした相対活性が50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましくは35%以下である。
D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)は、例えば、D−ヒドロキシプロリンに対するKm値が、例えば、5mM以下であり、好ましくは2mM以下である。
具体例として、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)が、サブユニットとして前記βサブユニット(B3)のみを有するタンパク質(B)である場合の化学特性を以下に例示する。シス−D−ヒドロキシプロリンを基質とした代謝効率(kcat/Km)を相対活性100%とした場合に、トランス−D−ヒドロキシプロリンを基質として相対活性が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは3%以下であり、D−プロリンを基質とした相対活性が3%以下であることが好ましく、より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。
前記タンパク質(B)は、例えば、D−ヒドロキシプロリンに対するKm値が、例えば、5mM以下であり、好ましくは2mM以下である。
前記タンパク質(B)の熱安定性は、例えば、15〜35℃であり、好ましくは15〜30℃である。前記熱安定性は、所定温度、pH8、10分の条件で、前記タンパク質(B)を保存した後、保存前の前記タンパク質(B)の活性を100%とした場合に、50%以上の残存活性を示す温度である。この場合、活性測定の条件は、例えば、30℃、pH8とする(以下、同様)。
また、具体例として、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)が、サブユニットとして前記βサブユニット(B3)および前記αサブユニット(E3)のみを有するタンパク質(BE)である場合の化学特性を以下に例示する。シス−D−ヒドロキシプロリンを基質とした代謝効率(kcat/Km)を相対活性100%とした場合に、トランス−D−ヒドロキシプロリンを基質として相対活性が50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましくは30%以下であり、D−プロリンを基質とした相対活性が20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。
前記タンパク質(BE)は、例えば、D−ヒドロキシプロリンに対するKm値が、例えば、0.5mM以下であり、好ましくは0.3mM以下である。
また、具体例として、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)が、サブユニットとして前記βサブユニット(B3)、前記αサブユニット(E3)および前記γサブユニット(F3)を有するタンパク質(BEF)である場合の化学特性を以下に例示する。シス−D−ヒドロキシプロリンを基質とした代謝効率(kcat/Km)を相対活性100%とした場合に、トランス−D−ヒドロキシプロリンを基質として相対活性が150%以下であることが好ましく、より好ましくは140%以下であり、さらに好ましくは130%以下であり、D−プロリンを基質とした相対活性が50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましくは30%以下である。
前記タンパク質(BEF)は、例えば、D−ヒドロキシプロリンに対するKm値が、例えば、0.3mM以下であり、好ましくは0.1mM以下である。
前記タンパク質(BEF)の熱安定性は、例えば、15〜55℃であり、好ましくは15〜50℃である。
前述のように、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)の中でも、例えば、前記タンパク質(B)は、相対的に、シス−D−ヒドロキシプロリンに極めて高い基質特異性を示すが、トランス−D−ヒドロキシプロリンには、極めて低い基質特異性しか示さない。また、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素(Ab)の中でも、例えば、前記タンパク質(BEF)は、相対的に、シス−D−ヒドロキシプロリンとトランス−D−ヒドロキシプロリンに同程度に高い基質特異性を示す。このため、例えば、前記タンパク質(B)は、前記本発明のL−ヒドロキシプロリン分析方法においてD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素として例示した前記タンパク質(cis)として使用することができ、また、前記タンパク質(BEF)は、前記本発明ののL−ヒドロキシプロリン分析方法においてD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素として例示したタンパク質(cis/trans)として使用することができる。
<D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素遺伝子>
本発明の新規遺伝子は、前記本発明のD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドであり、前記βサブユニット(B1)を含むタンパク質(Pa)、前記サブユニット(B2)を含むタンパク質(Pp)または前記βサブユニット(B3)を含むタンパク質(Ab)をコードするポリヌクレオチドがあげられる。本発明の遺伝子は、例えば、前述のような本発明のD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の遺伝子工学的手法による合成に有用である。
(1)遺伝子(Pa)
本発明の新規遺伝子(Pa)は、前記βサブユニット(B1)をコードするポリヌクレオチド(b1)を含み、前記ポリヌクレオチド(b1)は、例えば、下記(b1−1)〜(b1−7)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドである。
(b1−1)配列番号6の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(b1−2)前記(b1−1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b1−3)前記(b1−1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b1−4)前記(b1−1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b1−5)前記(b1−1)のタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b1−6)前記(b1−1)のタンパク質のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b1−7)前記(b1−1)のタンパク質のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
配列番号6の塩基配列は、以下の通りである。配列番号6の塩基配列は、前記βサブユニット(B1−1)のコード配列である。配列番号6のポリヌクレオチド(b1−1)は、例えば、Psaeruginosaから得ることができる。
βサブユニットのポリヌクレオチド(配列番号6)
GTGAACGCCGAGGTCATCGTGGTCGGCGCCGGCATCGTCGGCAGCGCCTGCGCCCATGAACTGGCGCGTCGCGGCCTCGACGTACTGGTGCTGGACAGCCGCCGCGGCGGTGCCACCGCGGTGGGCATGGGCCATCTGGTGGCGATGGACGACAACCCGGCCGAACTGGCCCTCAGCGACTACTCGACCCAGGCCTGGCGCGCCTGGGCGGCGGAGTTGCCGGAGGATTGCGCCTATCGCGGCTGTGGCACCCTCTGGCTGGCCGCCGATGCCAGCGAACTCGCCGAGGCCGAACGCAAGCGCCAGGCGCTGCAAGCCGCCGGCGTTGCCTGCCGGATGCTTGGCGCCGCGCGCCTGTACGCCCTCGAACCGGCCCTGCGGCCGGGCCTGGCCGGCGCCCTGGAGGTGTCCGGCGACGGCATCCTCTACGCGCCCAACGCCGCGCGCTGGCTGCTCGACCAGGCCGGGCCGCGCCTGCGACGGCTGTACGCCGAAGTCAGCGAAGTGGACGGCAGCCGCCTGCGCCTGGCCGACGGCCGCTGGCTGAGCGCCGAGGCGCTGGTGCTGGCCAACGGCATCCATGCCGGCGAGCTGTGCGCGGAGCTGCCGATCCGCCCGAAGAAAGGCCACCTGCTGATCACCGACCGCTATCCCGGCACCCTCCGCCATCAACTGGTGGAACTCGGCTATGTCAGCAGCGCCCATGCCAGCAGCGGTACCTCGGTAGCCTTCAACGCCCAGCCGCGCCCCACCGGGCAGGTCTTCCTCGGCTCCTCGCGGCAGTTCGACACGCTCGACCCGCAGGTGGAAGGCCCGGTGCTGGCGCGCATGCTGCGGCGTGCCCTGGACTACCTGCCGGGGCTCGCCGGCCTCAATGCGATCCGTGCCTGGACCGGCTTCCGCGCCGCCACTCCGGACGGCCTGCCGCTGCTCGGCGAGCACCCGGCGCAGCCGGGCCTGTGGCTGGCGGTCGGCCACGAGGGCCTGGGCGTGACCACCGCGCCGGGCAGCGCGCGCCTGCTCGCCGCCCAGTTGTTCGGCGAAACGCCGCCGCTGGATCCCACGCCTTATCTGCCGCAACGCTTCCTCTCCAGCTCCGGGAGTGCCCGGCCATGA
前記(b1−2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(b1−2)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(b1−2)の「1もしくは数個」は、前記(b1−1)の塩基配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個、欠失、置換、挿入および/または付加されてもよい。
前記(b1−3)において、「同一性」は、例えば、前記(b1−3)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(b1−3)の同一性は、前記(b1−1)の塩基配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
前記(b1−4)において、「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」は、例えば、前記(b1−1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。「ハイブリダイズ」および「ストリンジェントな条件」は、前述の記載を援用できる。
前記(b1−5)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(b1−5)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する塩基配列であればよい。前記(b1−5)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記(B1−1)のタンパク質のアミノ酸配列、すなわち、配列番号7のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。
前記(b1−6)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(b1−6)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(b1−6)の「1もしくは数個」は、例えば、前記(B1−1)のアミノ酸配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。
前記(b1−7)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(b1−7)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(b1−7)の同一性は、前記(B1−1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
本発明の新規遺伝子(Pa)は、前述のように、前記ポリヌクレオチド(b1)を含んでいればよく、例えば、前記ポリヌクレオチド(b1)のみからなる遺伝子でもよいし、さらに、前記βサブユニット(B1)以外のタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む遺伝子でもよい。
後者の場合、前記βサブユニット以外のタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドは、例えば、前記αサブユニット(E1)をコードするポリヌクレオチド(e1)および前記γサブユニット(F1)をコードするポリヌクレオチド(f1)の少なくとも一方があげられる。すなわち、本発明の新規遺伝子(Pa)は、例えば、前記ポリヌクレオチド(b1)の他に、前記ポリヌクレオチド(e1)を含んでもよいし、前記ポリヌクレオチド(f1)を含んでもよいし、前記ポリヌクレオチド(e1)および(f1)の両方を含んでもよい。本発明の新規遺伝子(Pa)が、前記ポリヌクレオチド(b1)の他に、前記ポリヌクレオチド(e1)および(f1)の少なくとも一方を含む場合、前記ポリヌクレオチドの順序は、特に制限されず、例えば、5’側から、αサブユニット、γサブユニット、βサブユニットの順である。本発明の新規遺伝子(Pa)において、各ポリヌクレオチドは、コドンの読み枠が前記各サブユニットのアミノ酸配列となればよい。
前記ポリヌクレオチド(e1)および(f1)は、例えば、下記(e1−1)および(f1−1)がそれぞれ例示できる。
(e1−1)配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(f1−1)配列番号4の塩基配列からなるポリヌクレオチド
配列番号2および4は、それぞれ以下の通りである。配列番号2のポリヌクレオチド(e1−1)および配列番号4のポリヌクレオチド(f1−1)は、ぞれぞれ、例えば、Psaeruginosaから得ることができる。
αサブユニットのポリヌクレオチド(配列番号2)
ATGAGCGCCGACTACGACCTGCTGATCGTCGGTGCCGGCCCCGCCGGCCTGGCCGCAGCGCTGGCCGCCGCGCCGAGCGGCGCGCGCATCGCCCTGGTCGACGACAACCCGGCCGCCGGCGGACAGATCTGGCGCGACGGCCCGCGTGCCAGCCTGCCGCCGCGTGCCCATCAGATGCGCCAACGCCTGGCCGGGCAGGCCAATGTCGAGCACTTCCCGGCGACCCGGGTGGTCGCCTGCGGTCCCGGCAGGCGCCTGTTGCTGGAAGACCCGCAACGTGGCTGGCAGGTCGGCTACCGACGCCTGGTCCTCTGCACCGGCGCCCGCGAACTGCTGCTGCCTTTTCCCGGCTGGACCCTCCCCGGCGTCACCGGCGCCGGCGGCCTGCAGGCGTTGGCCAAGGGCGGCCTGCCACTGGCCGGCCAGCGCCTGGTGGTGGCTGGCTCCGGCCCGCTGCTGCTGGCCAGCGCCGCCAGCGCCAGCCAGTGCGGGGCGCGCCTGCTGCGCGTCGCCGAACAGGCGCCGGCGAGAACCCTGGCCGCCTTCGCCGTACGCCTCCCGCGCTGGCCCGGCAAGCTGTGGCAGGCCGCCGGCCTGTTCGCCCGTAGCTACCGCGCCGACAGCTACGTGCTCGCCGCCCTCGGCGAGGAGCGCCTGGAAGCCGTGCGCCTGCGCGAAGGCGGTCGGGTCCGCGAGATCGCCTGCGAACGCCTGGCCTGCGGCTTCGGCCTGGTGCCCAACGTGCAACTCGGCCAGGCCCTCGGCTATCGCCTCGACGGCCCGGCGCTCGCCGTCGACGAATGGCAGGCCGGCAGCCTGCCCGACCACTACGCCGCCGGCGAATGCACCGGCTTCGGCGGCAGCGAACTGGCCCTGGTGGAAGGCGCCATCGCCGGCCATGCCGCCGTCGACGAGCGCGACGCGGCTCGCCGCCTGTGGCCACGACGGCGACGCTGGCAGGGCTTCGCCGACACCCTGGCGCGACACTTCGCCCTGCGTGCCGAACTGCGTCAACTGGCGGAGGCGGATACCCTGGTCTGCCGTTGCGAAGACGTCCCCTTGGCCGCGCTGGCCGGGCATGCCGGCTGGACCGAGGCCAAGCTGCACAGCCGTTGCGGCATGGGCGCCTGCCAGGGGCGGATATGCGGCAGCGCCGCGCAATTCCTGTTCGGCTGGACGCCTCCGGCGCCGCGTCCGCCGTTCAGCCCGGCGCGCCTGGAGACCCTGGCCCGCTGGCAGGGCGACGCCGGCTAG
γサブユニットのポリヌクレオチド(配列番号4)
ATGATCGAACTGTTCATCGACCGGCGTCCGCTGCGGGTCGCCGTCGGTACCAGCGTGGCGGCCGCCCTCGCCCTCGGCGGCGACGGCTGCTCCCGCAGCGCGGTCGGCGGCGGGCGGCGCGCGCCGTTCTGCGGCATGGGCGCGTGCCAGGAATGCCGGGTATTGATCGACGGTCGGCGACGCCTGGCCTGCCAGACCGTCTGCCAATCCGGCATGCGCGTGGAGACCCAGGCATGA
本発明の新規遺伝子(Pa)が、前記ポリヌクレオチド(b1)の他に、前記ポリヌクレオチド(e1)および前記ポリヌクレオチド(f1)の少なくとも一方を有する場合、例えば、以下の例があげられる。すなわち、本発明の新規遺伝子(Pa)は、例えば、下記(Pa1’)〜(Pa7’)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドでもよい。
(Pa1’)配列番号6の塩基配列と、配列番号2および4の少なくとも一方の塩基配列とを含むポリヌクレオチド
(Pa2’)前記(Pa1’)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列を含み、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(Pa3’)前記(Pa1’)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列を含み、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(Pa4’)前記(Pa1’)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列を含み、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(Pa5’)前記(Pa1)のタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(Pa6’)前記(Pa1)のタンパク質のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(Pa7’)前記(Pa1)のタンパク質のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
前記ポリヌクレオチド(Pa1’)は、例えば、前記βサブユニット(B1−1)、前記αサブユニット(E1−1)および前記γサブユニット(F1−1)をコードする各ポリヌクレオチド(b1−1)、(e1−1)および(f1−1)からなるポリヌクレオチドが例示できる。具体例として、配列番号1の塩基からなるポリヌクレオチドがあげられる。
配列番号1の塩基配列は、以下の通りである。配列番号1の塩基配列において、1〜1956番目の領域のポリヌクレオチド(e1−1)が、αサブユニットのコード配列(配列番号2)であり、1953〜1649番目の領域のポリヌクレオチド(f1−1)が、γサブユニットのコード配列(配列番号4)であり、1646〜2599番目の領域のポリヌクレオチド(b1−1)が、βサブユニットのコード配列(配列番号6)であり、下線部の塩基ATGAは、サブユニット間でオーバーラップしている。配列番号1のポリヌクレオチドは、例えば、Psaeruginosaから得ることができる。
Psaeruginosa由来D−HypDHのポリヌクレオチド(配列番号1)
GTGAACGCCGAGGTCATCGTGGTCGGCGCCGGCATCGTCGGCAGCGCCTGCGCCCATGAACTGGCGCGTCGCGGCCTCGACGTACTGGTGCTGGACAGCCGCCGCGGCGGTGCCACCGCGGTGGGCATGGGCCATCTGGTGGCGATGGACGACAACCCGGCCGAACTGGCCCTCAGCGACTACTCGACCCAGGCCTGGCGCGCCTGGGCGGCGGAGTTGCCGGAGGATTGCGCCTATCGCGGCTGTGGCACCCTCTGGCTGGCCGCCGATGCCAGCGAACTCGCCGAGGCCGAACGCAAGCGCCAGGCGCTGCAAGCCGCCGGCGTTGCCTGCCGGATGCTTGGCGCCGCGCGCCTGTACGCCCTCGAACCGGCCCTGCGGCCGGGCCTGGCCGGCGCCCTGGAGGTGTCCGGCGACGGCATCCTCTACGCGCCCAACGCCGCGCGCTGGCTGCTCGACCAGGCCGGGCCGCGCCTGCGACGGCTGTACGCCGAAGTCAGCGAAGTGGACGGCAGCCGCCTGCGCCTGGCCGACGGCCGCTGGCTGAGCGCCGAGGCGCTGGTGCTGGCCAACGGCATCCATGCCGGCGAGCTGTGCGCGGAGCTGCCGATCCGCCCGAAGAAAGGCCACCTGCTGATCACCGACCGCTATCCCGGCACCCTCCGCCATCAACTGGTGGAACTCGGCTATGTCAGCAGCGCCCATGCCAGCAGCGGTACCTCGGTAGCCTTCAACGCCCAGCCGCGCCCCACCGGGCAGGTCTTCCTCGGCTCCTCGCGGCAGTTCGACACGCTCGACCCGCAGGTGGAAGGCCCGGTGCTGGCGCGCATGCTGCGGCGTGCCCTGGACTACCTGCCGGGGCTCGCCGGCCTCAATGCGATCCGTGCCTGGACCGGCTTCCGCGCCGCCACTCCGGACGGCCTGCCGCTGCTCGGCGAGCACCCGGCGCAGCCGGGCCTGTGGCTGGCGGTCGGCCACGAGGGCCTGGGCGTGACCACCGCGCCGGGCAGCGCGCGCCTGCTCGCCGCCCAGTTGTTCGGCGAAACGCCGCCGCTGGATCCCACGCCTTATCTGCCGCAACGCTTCCTCTCCAGCTCCGGGAGTGCCCGGCCATGATCGAACTGTTCATCGACCGGCGTCCGCTGCGGGTCGCCGTCGGTACCAGCGTGGCGGCCGCCCTCGCCCTCGGCGGCGACGGCTGCTCCCGCAGCGCGGTCGGCGGCGGGCGGCGCGCGCCGTTCTGCGGCATGGGCGCGTGCCAGGAATGCCGGGTATTGATCGACGGTCGGCGACGCCTGGCCTGCCAGACCGTCTGCCAATCCGGCATGCGCGTGGAGACCCAGGCATGAGCGCCGACTACGACCTGCTGATCGTCGGTGCCGGCCCCGCCGGCCTGGCCGCAGCGCTGGCCGCCGCGCCGAGCGGCGCGCGCATCGCCCTGGTCGACGACAACCCGGCCGCCGGCGGACAGATCTGGCGCGACGGCCCGCGTGCCAGCCTGCCGCCGCGTGCCCATCAGATGCGCCAACGCCTGGCCGGGCAGGCCAATGTCGAGCACTTCCCGGCGACCCGGGTGGTCGCCTGCGGTCCCGGCAGGCGCCTGTTGCTGGAAGACCCGCAACGTGGCTGGCAGGTCGGCTACCGACGCCTGGTCCTCTGCACCGGCGCCCGCGAACTGCTGCTGCCTTTTCCCGGCTGGACCCTCCCCGGCGTCACCGGCGCCGGCGGCCTGCAGGCGTTGGCCAAGGGCGGCCTGCCACTGGCCGGCCAGCGCCTGGTGGTGGCTGGCTCCGGCCCGCTGCTGCTGGCCAGCGCCGCCAGCGCCAGCCAGTGCGGGGCGCGCCTGCTGCGCGTCGCCGAACAGGCGCCGGCGAGAACCCTGGCCGCCTTCGCCGTACGCCTCCCGCGCTGGCCCGGCAAGCTGTGGCAGGCCGCCGGCCTGTTCGCCCGTAGCTACCGCGCCGACAGCTACGTGCTCGCCGCCCTCGGCGAGGAGCGCCTGGAAGCCGTGCGCCTGCGCGAAGGCGGTCGGGTCCGCGAGATCGCCTGCGAACGCCTGGCCTGCGGCTTCGGCCTGGTGCCCAACGTGCAACTCGGCCAGGCCCTCGGCTATCGCCTCGACGGCCCGGCGCTCGCCGTCGACGAATGGCAGGCCGGCAGCCTGCCCGACCACTACGCCGCCGGCGAATGCACCGGCTTCGGCGGCAGCGAACTGGCCCTGGTGGAAGGCGCCATCGCCGGCCATGCCGCCGTCGACGAGCGCGACGCGGCTCGCCGCCTGTGGCCACGACGGCGACGCTGGCAGGGCTTCGCCGACACCCTGGCGCGACACTTCGCCCTGCGTGCCGAACTGCGTCAACTGGCGGAGGCGGATACCCTGGTCTGCCGTTGCGAAGACGTCCCCTTGGCCGCGCTGGCCGGGCATGCCGGCTGGACCGAGGCCAAGCTGCACAGCCGTTGCGGCATGGGCGCCTGCCAGGGGCGGATATGCGGCAGCGCCGCGCAATTCCTGTTCGGCTGGACGCCTCCGGCGCCGCGTCCGCCGTTCAGCCCGGCGCGCCTGGAGACCCTGGCCCGCTGGCAGGGCGACGCCGGCTAG
前記ポリヌクレオチド(Pa1’)は、例えば、前記ポリヌクレオチド(b1−1)の他に、任意で、配列番号1における他の領域を他の領域の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含んでもよい。
前記(Pa2’)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(Pa2’)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(Pa2’)において、前記(Pa1’)の塩基配列は、前記(Pa1’)全長の塩基配列でもよいし、これを構成するいずれかの配列番号の塩基配列でもよい。前記(Pa2’)の「1もしくは数個」は、前記(Pa1’)の塩基配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個、欠失、置換、挿入および/または付加されてもよい。
前記(Pa3’)において、「同一性」は、例えば、前記(Pa3’)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(Pa3’)において、前記(Pa1’)の塩基配列は、前記(Pa1’)全長の塩基配列でもよいし、これを構成するいずれかの配列番号の塩基配列でもよい。前記(Pa3’)の同一性は、前記(Pa1’)の塩基配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
前記(Pa4’)において、「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」は、例えば、前記(Pa1’)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記(Pa4’)において、前記(Pa1’)の塩基配列は、前記(Pa1’)全長の塩基配列でもよいし、これを構成するいずれかの配列番号の塩基配列でもよい。「ハイブリダイズ」および「ストリンジェントな条件」は、前述の記載を援用できる。
前記(Pa5’)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(Pa5’)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する塩基配列であればよい。前記(Pa5’)の塩基配列は、例えば、前記(Pa1)のタンパク質のアミノ酸配列、すなわち、配列番号6、2および4のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。
前記(Pa6’)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(Pa6’)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(Pa6’)の「1もしくは数個」は、例えば、前記(Pa1)のタンパク質のアミノ酸配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。
前記(Pa7’)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(Pa7’)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(Pa7’)の同一性は、前記(Pa1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
(2)遺伝子(Pp)
本発明の新規遺伝子(Pp)は、前記サブユニット(B2)をコードするポリヌクレオチド(b2)を含み、前記ポリヌクレオチド(b2)は、例えば、下記(b2−1)〜(b2−7)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドである。
(b2−1)配列番号8の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(b2−2)前記(b2−1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b2−3)前記(b2−1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b2−4)前記(b2−1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b2−5)前記(b2−1)のタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b2−6)前記(b2−1)のタンパク質のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b2−7)前記(b2−1)のタンパク質のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
配列番号8の塩基配列は、以下の通りである。配列番号8の塩基配列は、前記サブユニット(B2−1)のコード配列ある。配列番号8のヌクレオチド(b2−1)は、例えば、Psputidaから得ることができる。
Psputida由来D−HypDHのポリヌクレオチド(配列番号8)
ATGGTCGAAACCGCTGAAACCGATATCGCCGTGGTGGGCGCCGGCATTGTCGGCGTCGCCTGTGCCCTGCAACTGGCCCGCCAGGGCCATCGGGTAACGCTGGTCGACCGCCAGGCGCCCGGCCTGGGCGCGTCCTTCGGCAATGCCGGGCACCTGGCAACCGAGCAAGTATTCCCGATTGCCGACCTGTCGATCCTCAAGCGCCTGCCTCGCATGCTGCTCGACCCGATGGGCCCGCTGCGCCTGGACTGGAAGTACCTGCCCAAGGCCATGCCGTGGTTCACCCGGCTGCTGCTCAACCTGCGCCCGGCGCCGTTCCAGCGCAGCGTGGCGGGCATCCGCACGCTGAACGAAGGCAGCCTGGGCGCCTGGCAACGGCTGTTGGGCTCGATCGGGCGCAGCGAGTTGTTTCAAGAGGATGGTTCGTTGCTGGTGTTCGAGAAGCCTGAGTCACGCCAGGCGCTGGAGGCGTTGCGCACACGCATGCAACAGCAGGCGGTGCCGGTGGACTTCTGGTCGGCCGAAACCGTGCGCGAAGCGGCGCCGCAACTCAGCCCATCACTGTTAGGCGGGCTGTTCTTCCCGCGCACCGGGCACTTCATCGACCCTTATCGGGTGGTGTGCGAATTGTTCGAAGCGGCCAAGGCCAGCGGGGTGCGCTTTGTCCAGGCGCAGGTCGATGGCGGGCAGTTACACAGTGCCGGCGTGAGCCTTGCCAGCGACCAAGGCATGCTCAATGCCCGCCAGGTGCTTGTCAGCTGTGGCGCCCATTCTGCAAAACTGACTGCCGCGCTGACAGGCAAGCGGGTGCCGCTGGATACCGAACGCGGCTACCACCTGATGTTGCCGGGTGAGCACCAGCGCCTGCCGTTTGCAGTCACCTCGCTTGAGCGCAAGTTCATCATGACACCCATGGCCGAAGGCTTGCGCCTGGCGGGCACAGTGGAGTTTGCCGGGCTGCAGGCACCGCCGAGCATGCAGCGGGCGTGGCAGTTGCACCGGTTGAGCAAGGGGTTGTTCCGGCACGACTTGAGCGTCGAAGGGGCAACGCCGTGGATGGGTTTCAGGCCTTCGTTACCGGACTCATTGCCCGTGATCGACAGGGTGTGCGATGGGCGGGTGCTGTTGGCGTTTGGGCATCAGCACCTGGGGTTGACCCAGGCGGCGGTGACGGCGGAATGGGTGGGGCGGTTGGCTGAGCAGACTGGTGGGCCTGAGATGGGCGCATACCGACTGAACCGGTTTTAG
本発明の新規遺伝子(Pp)は、前述のように、前記ポリヌクレオチド(b2)を含んでいればよく、例えば、前記ポリヌクレオチド(b2)のみからなる遺伝子でもよい。
前記(b2−2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(b2−2)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(b2−2)の「1もしくは数個」は、前記(b2−1)の塩基配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個、欠失、置換、挿入および/または付加されてもよい。
前記(b2−3)において、「同一性」は、例えば、前記(b2−3)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(b2−3)の同一性は、前記(b2−1)の塩基配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
前記(b2−4)において、「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」は、例えば、前記(b2−1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。「ハイブリダイズ」および「ストリンジェントな条件」は、例えば、前述の記載を援用できる。
前記(b2−5)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(b2−5)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する塩基配列であればよい。前記(b2−5)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記(B2−1)のタンパク質のアミノ酸配列、すなわち、配列番号9のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。
前記(b2−6)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(b2−6)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(b2−6)の「1もしくは数個」は、例えば、前記(B2−1)のアミノ酸配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。
前記(b2−7)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(b2−7)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(b2−7)の同一性は、前記(B2−1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
(3)遺伝子(Ab)
本発明の新規遺伝子(Ab)は、前記βサブユニット(B3)をコードするポリヌクレオチド(b3)を含み、前記ポリヌクレオチド(b3)は、例えば、下記(b3−1)〜(b3−7)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドである。
(b3−1)配列番号16の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(b3−2)前記(b3−1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b3−3)前記(b3−1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b3−4)前記(b3−1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b3−5)前記(b3−1)のタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b3−6)前記(b3−1)のタンパク質のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b3−7)前記(b3−1)のタンパク質のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
配列番号16は、以下の通りである。配列番号16の塩基配列は、前記βサブユニット(B3−1)のコード配列である。配列番号16のポリヌクレオチド(b3−1)は、例えば、brasilenseから得ることができる。
βサブユニットのポリヌクレオチド(配列番号16)
GTGAGCGACACGAAGACGGATGTCGTCGTGATCGGCGCCGGCATCGTCGGCGCGGCGTGCGCGCACGAACTCGCGCAGCGCGGGCTGCGCGTGCTCGTCGTCGACGACGCGAGCGGCGGGGCAACCGGCGCGGGCATGGGGCACCTCGTCGCGATGGACGACAACGCGGCCGAACTCGCGCTCAGCCATTACTCGATCGAACTGTGGCGCGCGCTGAGCGGCGAGATGCCCGAAGGGTGCGCGTACCGCAACTGCGGCACGCTATGGCTCGCCGCCGATGCGCACGAAATGGATCTGGCGCGCGCGAAGCAGGCGGCGCTGGCCGCGCATGGCGTGGCCGGCGAACTGATCGACGCGGCGACGCTCGCTCGACTGGAGCCGATGCTGCGCACGGGCCTGGGCGGTGTACTGAAGATTCCCGGCGACGCGATCCTCTATGCACCCGTCACCGCGAACTGGCTGCTGCAGCGCGCGCCGCGCATCACGTTGCGGCGCGACCGGGCCGTCGCGGTCGACGGCCCGAGCGTGACGCTCGCGAGCGGCGACACGCTGCGCGCGGAGCGGGTGGTGGTCGCGAACGGCGTTGCCGCGCGCGCGCTGCTGCCCGAGCTGCCGCTGCGCCCGAAAAAGGGCCATCTGCTGATTACCGACCGCTATCCGGGCCAGGTGTCGCACCAGCTCGTCGAGCTGGGTTACGCCGCGAGCGCGCATGCGAGCGACGGCACGTCGGTCGCGTTCAACGTGCAGCCGCGGCCGACCGGCCAGTTGCTGATCGGTTCGTCGCGCCAGTTCGACACCGAGGATGCACAGGTCGAACCGCCCGTGCTCGCGCGCATGCTGCGCCGCGCGGTGGGTTATCTGCCGGGCCTGGCCGACCTGAACGGCATCCGCGCATGGACGGGGTTCCGTTCCGCGAGCCCCGACGGGCTGCCGCTGCTCGGCGAGCATCCGGCGCGGCCGGGCGTGTGGCTCGCAGTCGGGCACGAAGGGCTCGGCGTGACGACCGCGCCGGGCAGCGCGCGGCTCGTCGCTGCGCTGATGGCCGGCGAACGGCCGCCCATCGATATCAAACCTTATTTGCCGGGACGCTTCCTGAGCGCGTCCCTCGTAGCCGGAGCGCTGACATGA
前記(b3−2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(b3−2)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(b3−2)の「1もしくは数個」は、前記(b3−1)の塩基配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個、欠失、置換、挿入および/または付加されてもよい。
前記(b3−3)において、「同一性」は、例えば、前記(b3−3)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(b3−3)の同一性は、前記(b3−1)の塩基配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
前記(b3−4)において、「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」は、例えば、前記(b3−1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。「ハイブリダイズ」および「ストリンジェントな条件」は、前述の記載を援用できる。
前記(b3−5)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(b3−5)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する塩基配列であればよい。前記(b3−5)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記(B3−1)のタンパク質のアミノ酸配列、すなわち、配列番号17のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。
前記(b3−6)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(b3−6)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(b3−6)の「1もしくは数個」は、例えば、前記(B3−1)のアミノ酸配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。
前記(b3−7)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(b3−7)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(b3−7)の同一性は、前記(B3−1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
本発明の新規遺伝子(Ab)は、前述のように、前記ポリヌクレオチド(b3)を含んでいればよく、例えば、前記ポリヌクレオチド(b3)のみからなる遺伝子でもよいし、さらに、前記βサブユニット(B3)以外のタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む遺伝子でもよい。
後者の場合、前記βサブユニット以外のタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドは、例えば、前記αサブユニット(E3)をコードするポリヌクレオチド(e3)および前記γサブユニット(F3)をコードするポリヌクレオチド(f3)の少なくとも一方があげられる。すなわち、本発明の新規遺伝子(Ab)は、例えば、前記ポリヌクレオチド(b3)の他に、前記ポリヌクレオチド(e3)を含んでもよいし、前記ポリヌクレオチド(f3)を含んでもよいし、前記ポリヌクレオチド(e3)および(f3)の両方を含んでもよい。本発明の新規遺伝子(Ab)が、前記ポリヌクレオチド(b3)の他に、前記ポリヌクレオチド(e3)および(f3)の少なくとも一方を含む場合、前記ポリヌクレオチドの順序は、特に制限されず、例えば、5’側から、β-γ-αの順である。本発明の新規遺伝子(Ab)において、各ポリヌクレオチドは、コドンの読み枠が前記各サブユニットのアミノ酸配列となればよい。
前記ポリヌクレオチド(e3)および(f3)は、例えば、下記(e3−1)および(f3−1)がそれぞれ例示できる。
(e3−1)配列番号18の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(f3−1)配列番号20の塩基配列からなるポリヌクレオチド
配列番号18および20は、それぞれ以下の通りである。配列番号18のポリヌクレオチド(e3−1)および配列番号20のポリヌクレオチド(f3−1)は、ぞれぞれ、例えば、brasilenseから得ることができる。
αサブユニットのポリヌクレオチド(配列番号18)
ATGAAACAGGAACGACTGAGCGTCGACGTCGCGATCGTCGGCGCGGGGCCGGCCGGGCTGTCGGCCGCACGGGCCGCCGCGCGCGGCGGTGCGACGGTTGCGATCGTCGACGACAACCCGCGCGCTGGCGGGCAGATCTGGCGGCAACGCGCAGCGGCTGCGCCGCCGCCGGCCGCCGCCGAGCGGCTCGCGGTGTTGCGGCAGCCGAACGTCACGCATCTCGCGGCGACGCGCATCGTCGCCGAAACGCAGCCGGGCACGCTGCTGCTCGAGGACGACGAACGCGGGCTGCTGCTCGACTTCCGCACGCTGATTCTCTGCTGCGGCGCGCGCGAGCTGCTGCTGCCGTTTCCAGGCTGGACGCTGCCGGGTGTCACCGGTGCGGGCGGCTTGCAGGCGTTGATCAAGTACGGCCTCGACGTGCGCGGGCAGCGCACGGTGATCGCGGGCAGCGGGCCGCTGCTGCTGGCGAGCGCGGCGACGGCCCGTCAGGCCGGCGCACGCGTGTCGCACGTGCTCGAACAGGCCGCATGGTGCGACGTGGCCGGTTTCGGGGCGGGGCTGTGGCGCTGGCCGTCGAAGCTCGCGCAGGCCGCGAAGCTCGTCACCGCCGCCTATCGGCCCGATGCGCATGTCGTCGAAGCGTTCGGCGACACGCGGCTCGAACGCGTGCGGATTCGTCAGGGCGATCGCGAGTTCGACGTCGATTGCGACCGGCTCGCGTGCGGCTTCGGCCTCGTGCCGAACACCGTGTTGCCGAGCCATCTCGGCTGCCGGATCGACAACGGCGCGGTGGCGGTCGATGTGCACCAGCGGACGAGCCGTGACGGGGTTTTCGCGGCGGGCGAGTGTACGGGCGTCGGCGGCAGCGAACTGGCGATGGTCGAAGGCGAAATCGCCGGTTTGGCGGCGACAGGGCAGACGGCGCCGCTGGCTGCGCTCGTCGCGCAGCGGGCGCACTGGCAGGCGTTTGCCGATGCCGTACGCGCGCGCTTTGCGATCCGCGAGCCGATCCGCCGGCTCGCGCGGGCCGACACGTTGCTGTGCCGTTGCGAGGACGTGCGTTTCGATGCCGTCGCGCAAGCGCCGGGCTGGACGGCCGCGAAACTGCAGTCACGCTGCGGGATGGGCGCGTGCCAGGGCCGCGTGTGCGGCGCAGCCGCGCAGGCGCTGTTCGGCTGGACCCCGCCGGTGCCGCGCACGCCGCTCGTGCCCGCACGGGTCGGCACGCTGATGCTGGACGGCACGGCATCCTGCGACGGCGCGTGA
γサブユニットのポリヌクレオチド(配列番号20)
ATGATCATTCATCTGGACGGCCGCGCGCTGACGGTGGCCGACGGCGCGACCGTCGCGGCCGCGGTCGCGGCGAGCGGCGACGACACGACGCGCGTGTCGTGCACGGGTGCGGCGCGTGCGCCGTTTTGCGGGATGGGCATCTGCCAGGAGTGCAGGATGACGATCGACGGTCGCCGCCGGCTGGCCTGCCAGACGCTGTGCCGCGACGGGATGCAGGTGGAGCGCACGCGATGA
本発明の新規遺伝子(Ab)が、前記ポリヌクレオチド(b3)の他に、前記ポリヌクレオチド(e3)および前記ポリヌクレオチド(f3)の少なくとも一方を有する場合、例えば、以下の例があげられる。すなわち、本発明の新規遺伝子(Ab)は、例えば、下記(Ab1’)〜(Ab7’)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドでもよい。
(Ab1’)配列番号16の塩基配列と、配列番号18および20少なくとも一方の塩基配列とを含むポリヌクレオチド
(Ab2’)前記(Ab1’)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列を含み、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(Ab3’)前記(Ab1’)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列を含み、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(Ab4’)前記(Ab1’)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列を含み、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(Ab5’)前記(Ab1)のタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(Ab6’)前記(Ab1)のタンパク質のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(Ab7’)前記(Ab1)のタンパク質のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
前記(Ab2’)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(Ab2’)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(Ab2’)において、前記(Ab1’)の塩基配列は、前記(Ab1’)全長の塩基配列でもよいし、これを構成するいずれかの配列番号の塩基配列でもよい。前記(Ab2’)の「1もしくは数個」は、前記(Ab1’)の塩基配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個、欠失、置換、挿入および/または付加されてもよい。
前記(Ab3’)において、「同一性」は、例えば、前記(Ab3’)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(Ab3’)において、前記(Ab1’)の塩基配列は、前記(Ab1’)全長の塩基配列でもよいし、これを構成するいずれかの配列番号の塩基配列でもよい。前記(Ab3’)の同一性は、前記(Ab1’)の塩基配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
前記(Ab4’)において、「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」は、例えば、前記(Ab1’)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記(Ab4’)において、前記(Ab1’)の塩基配列は、前記(Ab1’)全長の塩基配列でもよいし、これを構成するいずれかの配列番号の塩基配列でもよい。「ハイブリダイズ」および「ストリンジェントな条件」は、前述の記載を援用できる。
前記(Ab5’)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(Ab5’)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する塩基配列であればよい。前記(Ab5’)の塩基配列は、例えば、前記(Ab1)のタンパク質のアミノ酸配列、すなわち、配列番号17、19および21のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。
前記(Ab6’)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(Ab6’)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(Ab6’)の「1もしくは数個」は、例えば、前記(Ab1)のタンパク質のアミノ酸配列において、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個である。
前記(Ab7’)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(Ab7’)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する範囲であればよい。前記(Ab7’)の同一性は、前記(Ab1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
本発明の新規遺伝子(Ab)は、例えば、前記ポリヌクレオチド(b3)と、任意で、前記ポリヌクレオチド(e3)および前記ポリヌクレオチド(f3)の少なくとも一方とを、独立して有するポリヌクレオチドのセットでもよい。
本発明において、前記各種ポリヌクレオチドは、例えば、公知の遺伝子工学的手法または合成手法によって製造できる。
<D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の発現ベクター>
本発明の発現ベクターは、前記本発明のD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素遺伝子である前記ポリヌクレオチドを含むことを特徴とする。本発明の発現ベクターによれば、例えば、前記発現ベクターを前記宿主に導入することで、前記本発明のD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素を容易に製造できる。
前記発現ベクターは、例えば、前記本発明のポリヌクレオチドがコードするD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素を発現可能なように、前記ポリヌクレオチドを含んでいればよく、その構成は何ら制限されない。
前記発現ベクターは、例えば、骨格となるベクター(以下、「基本ベクター」ともいう)に、前記ポリヌクレオチドを挿入することで作製できる。前記ベクターの種類は、特に制限されず、例えば、前記宿主の種類に応じて、適宜決定できる。前記ベクターは、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクターがあげられる。前記導入方法としてヒートショック法により宿主の形質転換を行う場合、前記ベクターは、例えば、バイナリーベクターが好ましく、pQE−80LベクターおよびpUCP26Kmベクター等があげられる。大腸菌等の細菌に形質転換を行う場合、前記ベクターは、例えば、pQE−80Lベクター(QIAGEN社)等があげられる。
前記発現ベクターは、例えば、前記ポリヌクレオチドの発現および前記ポリヌクレオチドがコードする前記本発明のD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の発現を調節する、調節配列を有することが好ましい。前記調節配列は、例えば、プロモーター、ターミネーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル配列、複製起点配列(ori)等があげられる。前記発現ベクターにおいて、前記調節配列の配置は特に制限されない。前記発現ベクターにおいて、前記調節配列は、例えば、前記ポリヌクレオチドの発現およびこれがコードする前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の発現を、機能的に調節できるように配置されていればよく、公知の方法に基づいて配置できる。前記調節配列は、例えば、前記基本ベクターが予め備える配列を利用してもよいし、前記基本ベクターに、さらに、前記調節配列を挿入してもよいし、前記基本ベクターが備える調節配列を、他の調節配列に置き換えてもよい。
前記発現ベクターは、例えば、さらに、選択マーカーのコード配列を有してもよい。前記選択マーカーは、例えば、薬剤耐性マーカー、蛍光タンパク質マーカー、酵素マーカー、細胞表面レセプターマーカー等があげられる。
前記発現ベクターが前記遺伝子(Pa)を有する場合、前記遺伝子(Pa)として、例えば、前記βサブユニット(B1)をコードするポリヌクレオチド(b1)のみが挿入されてもよいし、前記ポリヌクレオチド(b1)の他に、さらに前記αサブユニット(E1)をコードするポリヌクレオチド(e1)および前記γサブユニット(F1)をコードするポリヌクレオチド(f1)のいずれか一方または両方が挿入されてもよい。後者の場合、前記発現ベクターにおいて、各ポリヌクレオチドは、それぞれ別個に発現制御を受けてもよいし、少なくとも2つのポリヌクレオチドが同じ発現制御を受けてもよいし、3つのポリヌクレオチドが同じ発現制御を受けてもよい。
また、前記発現ベクターは、異なるポリヌクレオチドが導入された2つ以上の発現ベクターのセットでもよい。この場合、前記発現ベクターは、例えば、前記遺伝子(Pa)として前記ポリヌクレオチド(b1)を有する発現ベクター(B1)、前記ポリヌクレオチド(e1)を有する発現ベクター(E1)および前記ポリヌクレオチド(f1)を有する発現ベクター(F1)があげられる。前記発現ベクターの組み合わせは、前記発現ベクター(b1)を含んでいればよく、例えば、以下の組み合わせが例示でき、好ましくは組み合わせBEおよびBEFであり、より好ましくは組み合わせBEFである。
BE:発現ベクター(B1)と発現ベクター(E1)との組み合わせ
BF:発現ベクター(B1)と発現ベクター(F1)との組み合わせ
BEF:発現ベクター(B1)と発現ベクター(E1)と発現ベクター(F1)との組み合わせ
前記発現ベクターが前記遺伝子(Pp)を有する場合、前記遺伝子(Pp)として、例えば、前記サブユニット(B2)をコードするポリヌクレオチド(b2)が挿入されていればよい。
前記発現ベクターが前記遺伝子(Ab)を有する場合、前記遺伝子(Ab)として、例えば、前記βサブユニット(B3)をコードするポリヌクレオチド(b3)のみが挿入されてもよいし、前記ポリヌクレオチド(b3)の他に、さらに前記αサブユニット(E3)をコードするポリヌクレオチド(e3)および前記γサブユニット(F3)をコードするポリヌクレオチド(f3)のいずれか一方または両方が挿入されてもよい。後者の場合、前記発現ベクターにおいて、各ポリヌクレオチドは、それぞれ別個に発現制御を受けてもよいし、少なくとも2つのポリヌクレオチドが同じ発現制御を受けてもよいし、3つのポリヌクレオチドが同じ発現制御を受けてもよい。
また、前記発現ベクターは、異なるポリヌクレオチドが導入された2つ以上の発現ベクターのセットでもよい。この場合、前記発現ベクターは、例えば、前記遺伝子(Ab)として前記ポリヌクレオチド(b3)を有する発現ベクター(B3)、前記ポリヌクレオチド(e3)を有する発現ベクター(E3)および前記ポリヌクレオチド(f3)を有する発現ベクター(F3)があげられる。前記発現ベクターの組み合わせは、前記発現ベクター(B3)を含んでいればよく、例えば、以下の組み合わせが例示でき、好ましくは組み合わせBEおよびBEFであり、より好ましくは組み合わせBEFである。
BE:発現ベクター(B3)と発現ベクター(E3)との組み合わせ
BF:発現ベクター(B3)と発現ベクター(F3)との組み合わせ
BEF:発現ベクター(B3)と発現ベクター(E3)と発現ベクター(F3)との組み合わせ
<D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の製造方法>
本発明のD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の製造方法は、特に制限されず、例えば、遺伝子工学的手法により製造できる。具体例としては、本発明の製造方法は、例えば、前記本発明のD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素遺伝子である前記ポリヌクレオチドを発現させる工程を有する。これによって、前記本発明のD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素を製造できる。
前記ポリヌクレオチドの発現は、例えば、前記本発明の発現ベクターを使用して行ってもよい。前記ポリヌクレオチドを、例えば、前述のように、複数の前記発現ベクターを使用して発現させる場合、前記各発現ベクターにおけるポリヌクレオチドを共発現させることが好ましい。前記発現ベクターの組み合わせは、例えば、前述の通りである。
前記ポリヌクレオチドを発現させる方法は、特に制限されず、公知の方法が採用でき、例えば、宿主を使用してもよいし、無細胞タンパク質合成系を使用してもよい。
前者の場合、例えば、前記ポリヌクレオチドが導入された前記宿主を使用し、前記宿主の培養により、前記宿主において前記ポリヌクレオチドを発現させることが好ましい。このように、例えば、前記ポリヌクレオチドを宿主に導入することで、本発明のD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素を合成する形質転換体を製造でき、また、前記形質転換体の培養により、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素を合成できる。
前記宿主は、例えば、微生物、動物細胞、昆虫細胞、または、これらの培養細胞等の非ヒト宿主、単離したヒト細胞またはその培養細胞等があげられる。前記原核生物は、例えば、大腸菌(Escherichia coli)等のエッシェリヒア属、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス属等の細菌があげられる。前記真核生物は、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の酵母等があげられる。前記動物細胞は、例えば、COS細胞、CHO細胞等があげられ、前記昆虫細胞は、例えば、Sf9、Sf21等があげられる。
前記宿主の培養の方法は、特に制限されず、前記宿主の種類に応じて適宜設定できる。培養に使用する培地は、特に制限されず、前記宿主の種類に応じて適宜決定できる。
前記ポリヌクレオチドを前記宿主に導入する方法は、特に制限されず、公知の方法により行うことができる。前記ポリヌクレオチドは、例えば、前記発現ベクターにより導入されてもよい。前記導入方法は、例えば、前記宿主の種類に応じて、適宜設定できる。前記導入方法は、例えば、パーティクルガン等の遺伝子銃による導入法、リン酸カルシウム法、ポリエチレングリコール法、リポソームを用いるリポフェクション法、エレクトロポレーション法、超音波核酸導入法、DEAE−デキストラン法、微小ガラス管等を用いた直接注入法、ハイドロダイナミック法、カチオニックリポソーム法、導入補助剤を用いる方法、アグロバクテリウムを介する方法等があげられる。前記リポソームは、例えば、リポフェクタミンおよびカチオニックリポソーム等があげられ、前記導入補助剤は、例えば、アテロコラーゲン、ナノ粒子およびポリマー等があげられる。前記宿主が、微生物の場合、例えば、中でも、E.coliまたはPs.putida等を介する方法が好ましい。前記本発明のポリヌクレオチドは、例えば、前記本発明の発現ベクターにより前記宿主に導入してもよい。
後者の場合、無細胞タンパク質合成系において前記ポリヌクレオチドを発現させることが好ましい。この場合、前記ポリヌクレオチドの発現には、発現ベクターを使用してもよい。前記無細胞タンパク質合成系は、例えば、細胞抽出液と、各種成分を含むバッファーと、目的のポリヌクレオチドが導入された発現ベクターとを用いて、公知の方法により行うことができ、例えば、市販の試薬キットが使用できる。
本発明の製造方法は、例えば、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の精製工程を含んでもよい。前記精製方法は、特に制限されず、例えば、塩析、各種カラムクロマトグラフィー等があげられる。前記各種精製工程において使用する溶媒は、特に制限されず、例えば、緩衝液が使用でき、そのpHは、例えば、8〜9が好ましい。前記溶媒は、例えば、さらに、Tween−20等の界面活性剤を含むことが好ましい。本発明の製造方法により得られてD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素は、例えば、そのまま粗酵素(非精製酵素)として使用してもよいし、部分的に精製した部分精製酵素として使用してもよいし、単一に精製した精製酵素として使用してもよい。
<L−ヒドロキシプロリンの分析試薬>
本発明の分析用キットは、L−ヒドロキシプロリンの分析試薬であって、L−ヒドロキシプロリン異性化酵素およびD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素を含むことを特徴とする。
本発明の分析試薬によれば、前記本発明のL−ヒドロキシプロリンの分析方法を、より簡便に行うことができる。本発明の分析試薬は、前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素および前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素を含むことが特徴であって、その他の構成等は、特に制限されない。前記L−ヒドロキシプロリン異性化酵素および前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素は、前述の通りであって、前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素は、特に、前記本発明の新規タンパク質(D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素)であることが好ましい。
本発明の分析試薬は、例えば、さらに、前記本発明の分析方法において使用できる成分を備えてもよい。前記成分は、例えば、前述のような、緩衝液、基質等があげられる。前記基質は、特に制限されず、例えば、PMS、INT、NBT等があげられ、PMSとINTの組合せ、PMSとNBTの組合せを含むことが好ましい。
本発明の分析試薬は、例えば、1つの容器に各成分が収容されてもよいし、複数の容器に各成分が別個に収容されてもよい。後者の場合、本発明の分析試薬は、例えば、分析用キットともいう。本発明の分析用キットは、例えば、さらに、使用説明書を備えてもよい。また、本発明の分析方法において、前記(d)工程における「相関関係」を準備するための、前記L−ヒドロキシプロリンの標準試料を備えてもよい。
<コラーゲンの測定試薬>
本発明の測定試薬は、コラーゲンの測定試薬であって、L−ヒドロキシプロリンの分析試薬を含み、前記分析試薬が、前記本発明の分析試薬であることを特徴とする。
本発明の測定試薬を用いれば、前記本発明のコラーゲンの測定方法を、より簡便に行うことができる。本発明の測定試薬は、前記本発明の分析試薬を含むことが特徴であって、その他の構成等は、特に制限されない。本発明の測定試薬は、例えば、測定用キットともいう。本発明の測定用キットは、例えば、さらに、使用説明書を備えてもよい。
次に、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記実施例により制限されない。
[実施例A1]
本例では、PsaeruginosaおよびPsputidaから、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素遺伝子を単離し、前記単離した遺伝子からD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素を合成した。
(1)発現用ベクターの構築
PsaeruginosaPAO1株(以下、「Pa」ともいう)のゲノムDNAおよびPs.putidaKT2422株(以下、「Pp」ともいう)のゲノムDNAを単離した。そして、PCRによって、PaのゲノムDNAを鋳型として、配列番号1の塩基配列からなるcDNAを増幅し、PpのゲノムDNAを鋳型として、配列番号8の塩基配列からなるcDNAを増幅した。この際、増幅するcDNAの開始コドンの5’側および終止コドンの3’側に、PaではSacIとHindIII、PpではBamHIとHindIIIの認識配列を導入するためのプライマーセットを使用した。下記配列において、制限酵素の認識配列を下線で示した。
(Pa用プライマーセット)
PaLhpBEF−F(配列番号11)
5’-ccggagctcAACGCCGAGGTCATCGTGGTCGGCGCCGG-3’
PaLhpBEF−R(配列番号12)
5’-gaaagcttCTAGCCGGCGTCGCCCTGCCAGCGGGCCAGGG-3’
(Pp用プライマーセット)
PpLhpB−F(配列番号13)
5’-ccatggatccGTCGAAACCGCTGAAACCGATATCGCCGTGGTGG-3’
PpLhpB−R(配列番号14)
5’-aattaagcttCTAAAACCGGTTCAGTCGGTATGCGCCCATCTC-3’
得られたPCR産物を制限酵素で消化し、発現タンパク質のN末端に(His)タグを付加するpQE−80Lベクター(Qiagen)のSacI−HindIIIあるいはBamHI−HindIIIサイトに連結した。前記Pa由来のDNA断片を挿入したベクターをpQE/PaLhpBEF、前記Pp由来のDNA断片を挿入したベクターをpQE/PpLhpBとした。
pUCP26のBamHIサイトに、pUC4K(Amersham Bioscience)のカナマイシン耐性カセットを挿入して、pUCP26Kmベクター(Kobayashi, Y., Ohtsu, I., Fujimura, M., and Fukumori, F. (2011) Environ. Microbiol. 13, 2007-2017)を作製した。そして、Psputida由来のAhpC遺伝子のプロモーターおよび部分的オープンリーディングフレームを増幅させ、これを、前記pUCP26KmのSalIサイトに挿入して、pUCP26KmAhpCを調製した。他方、前記pQE/PaLhpBEFおよび前記pQE/PpLhpBを鋳型として、(His)タグのコード配列からt転写ターミネーター領域までを、PCRによって増幅させた。得られたPCR産物を、前記pUCP26KmAhpCのSalI−EcoRIに連結した。前記pQE/PaLhpBEFからのPCR産物を挿入したベクターを、pUCP/PaLhpBEF、前記pQE/PpLhpBからのPCR産物を挿入したベクターを、pUCP/PpLhpBとした。
(2)リコンビナントタンパク質の精製
Psputida KT2442TOL−oxyR株に、前記pUCP/PpLhpBおよび前記pUCP/PaLhpBEFを、それぞれヒートショック法により形質導入した。本菌株は、AhpC遺伝子の転写抑制因子であるOxyRに変異を有し、AhpC遺伝子は、構成的大量発現するため、AhpCプロモーターにつないだPpLhpB遺伝子およびPaLhpBEF遺伝子も、大量発現させることが可能となる。得られた形質転換体を、50mg/L リファンピシンおよび50mmol/L カナマイシンを含有するLB培地を用いて、30℃で一晩培養した。培養した菌体を集菌し、2mmol/L MgCl、300mmol/L NaCl、1% Tween−20および10mmol/L イミダゾールを含有する50mmol/L リン酸ナトリウム緩衝液(pH8)に懸濁し、超音波破砕した。そして、遠心分離によって上清(無細胞抽出液)を回収して、下記条件のカラムクロマトグラフィーに供して、リコンビナントタンパク質を精製した。以下、前記pUCP/PaLhpBEFを導入した形質転換体から得られたリコンビナントタンパク質を「PaLhpBEF」、前記pUCP/PpLhpBを導入した形質転換体から得られたリコンビナントタンパク質を「PpLhpB」とした。前記PaLhpBEFおよび前記PpLhpBをそれぞれネイティブPAGEに供したところ、シングルバンドが確認され、単一に精製されていることが確認できた。
(カラムクロマトグラフィー)
カラム:Ni-NTA Superflow column(Qiagen)
装置:BioAssist eZ system(TOSOH)
洗浄用緩衝液:2mmol/L MgCl、300mmol/L NaCl、0.1% Tween−20、50mmol イミダゾールを含有する50mmol/L リン酸ナトリウム緩衝液(pH8)
溶出用緩衝液:2mmol/L MgCl、300mmol/L NaCl、0.1% Tween−20および250mmol/L イミダゾールを含有する50mmol/L リン酸ナトリウムバッファー(pH8)
そして、カラムクロマトグラフィーから得られた溶出画分を回収し、フィルター(商品名Centriplus YM-30、Millipore)を用いた限外ろ過により、濃縮を行い、2mmol MgClおよび50% グリセロールを含有する50mmol/L Tris−HCl緩衝液(pH9)で透析し、−35℃で保存した。これをリコンビナントタンパク質PaLhpBEFおよびPpLhpBのサンプルとした。前記PaLhpBEFサンプルは、オレンジ−ブラウン色であり、前記PpLhpBサンプルは、フラボタンパク質のような明るい黄色であった。
(3)ゲルろ過による分子量
得られた前記サンプルについて、HPLCシステムを用いた、下記条件のゲルろ過カラムによって分子量を確認した。その結果、前記PaLhpBEFの分子量は、約360kDaであった。
(ゲルろ過カラムクロマトグラフィー)
カラム:TSKgel G3000SWXL column(TOSOH)
緩衝液:50mmol/L Tris−HCl緩衝液(pH8)
流速:1ml/ml
分子量マーカー:High molecular weight gelfiltration calibration kit(GE Healthcare)
(4)リコンビナントタンパク質のサブユニット構造
また、前記サンプルについて、12%(w/v)SDS−PAGEを行った。その結果、前記PaLhpBEFサンプルは、44kDaのαサブユニット、約8kDaのγサブユニット、約39kDaのβサブユニットのバンドが確認され、PaLhpBEFは、3つのサブユニットからなるタンパク質であることが確認された。αサブユニットの分子量44kDaは、PaLhpEの理論値44055.06Da、γサブユニットの分子量約8kDaは、PaLhpFの理論値8184.55Da、βサブユニットの分子量約39kDaは、PaLhpBの理論値41133.39Daと近似していた。他方、前記PpLhpBサンプルは、約47kDaのシングルバンドが確認され、PpLhpBは、1つのサブユニットからなるタンパク質であることが確認された。この分子量は、PpLhpBの理論値46856.49Daと近似していた。
さらに、前記ゲルからのバンドの断片を切り出し、10mmol/L ジチオトレイトールと、56℃で45分間インキュベートした。そして、前記ゲル中のタンパク質を、55mmol/L ヨードアセトアミドと、室温で45分反応させ、さらに、トリプシン(プロメガ)で消化させた。得られた消化物を、陽イオン・モードで、液体クロマトグラフィー エレクトロスプレー イオン化 タンデム質量分析計(LC−ESI−MS/MS)(商品名LCQ Fleet(登録商標)LC-ESI-MSnシステム、ThermoFisher Scientific)にアプライした。データは、MS/MSスキャンモードのデータ設定で集め、SEQUESTソフトウェア(ThermoFisher Scientific)により分析した。LC−ESI−MS/MSの結果、前記αサブユニットがPaLhpE、γサブユニットがPaLhpF、βサブユニットがPaLhpBに対応することが確認できた。
また、NIH ImageJ Ver. 1.45s ソフトウェアを用いて、前記SDS−PAGEのピークエリアのイメージスキャニングによりサブユニット比を確認したところ、α:β:γは、1:1:1であった。
[実施例A2]
本例では、前記実施例A1で精製した前記PaLhpBEFおよび前記PpLhpBについて、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を確認した。以下、前記PaLhpBEFを「Pa/D−HypDH」、前記PpLhpBを「Pp/D−HypDH」ともいう。
(1)ザイモグラムアッセイ
前記Pa/D−HypDHおよび前記Pp/D−HypDHついて、ザイモグラムアッセイを行った。
まず、4℃の条件下、10%(w/v)ゲルの未変性PAGEにより、前記各サンプル10μgを分離した。そして、前記ゲルを、下記組成の染色液10mlに、室温で15分間浸漬した。脱水素酵素活性は、前記ゲルにおける赤色のバンドの出現によって確認した。前記染色液において前記基質は、L−プロリン、D−プロリン、シス−L−ヒドロキシプロリン、シス−D−ヒドロキシプロリンを使用した。
(染色液の組成)
50mmol/L Tris−HCl(pH9.0)
2mmol/L MgCl
0.25mmol/L INT
0.06mmol/L PMS
10mmol/L 基質
これらの結果を、図1に示す。図1は、未変性PAGEを用いたザイモグラムアッセイの結果であり、図1(A)が前記Pp/D−HypDHの結果、図1(B)が前記Pa/D−HypDHの結果であり、Lane1がL−プロリン、Lane2がD−プロリン、Lane3がL−ヒドロキシプロリン、Lane4がD−ヒドロキシプロリンの結果である。図1(A)および(B)のいずれにおいても、基質D−ヒドロキシプロリンを用いた系において、強いバンドが確認された。この結果から、前記Pp/D−HypDHおよび前記Pa/D−HypDHは、D−ヒドロキシプロリンの脱水素反応を触媒するD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素であることが確認できた。
(2)D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素のアッセイ
反応液は、全量1mLとし、下記組成とした。そして、100mmol/Lの基質を100μl添加することによって、下記組成の反応液を調整し、反応を開始した。反応条件は、温度30℃、反応時間1分とした。
(反応液組成)
0.25mmol/L 電子受容体INT
0.06mmol/L 電子輸送中間体PMS
10mmol/L 基質(シス−D−ヒドロキシプロリン)
50mmol/L Tris−HCl(pH9)
そして、前記反応液について、波長490nmにおける吸光度を経時的に測定した。前記吸光度の測定は、分光光度計(商品名シマズUV-1800分光光度計、島津GLC)を用いて測定した。INTのモル吸光係数(ε)は、490nmで、15.0mM−1cm−1であり、PMSのモル吸光係数(ε)は、530nmで、36.0mM−1cm−1)とした。そして、前記反応条件において、比活性(U/mg タンパク質)を算出した。
これらの結果を、後述する表1に示す。前記Pa/D−HypDHの比活性は、21.1±0.7U/mg タンパク質であった。そして、前記反応液のpHを変化させて同様の反応を行った結果、至適pHは、9.0〜9.75の範囲であり、この範囲で最大活性を示した。また、前記Pp/D−HypDHの比活性は、6.41±0.30U/mgであった。そして、前記反応液のpHを変化させて同様の反応を行った結果、至適pHは、9.0〜9.75の範囲であり、この範囲で最大活性を示した。
また、前記Pa/D−HypDHを、50%(v/v)グリセロールを含む50mmol/L Tris−HCl緩衝液(pH8.0)で透析し、−35℃で6ヶ月間保存した結果、保存時の比活性を100%として、約80%以上の残存活性を示した。この結果から、非常に安定性が高く、例えば、試薬やキットに適していることがわかった。
(3)速度パラメータ
前記Pa/D−HypDHおよび前記Pp/D−HypDHについて、基質特異性および電子受容体の特異性を確認した。脱水素酵素活性のアッセイは、使用する基質および電子受容体を変化させた以外は、特に示さない限り、前記(2)のアッセイと同様とした。
前記基質は、シス−D−ヒドロキシプロリン、D−プロリン、シス−L−ヒドロキシプロリンおよびL−プロリンを使用し、前記電子受容体は、INTとPMSとの組合せ、NBTとPMSとの組合せを使用した。
これらの結果を、下記表1に示す。なお、いずれの酵素も、L−ヒドロキシプロリンおよびL−プロリンに対する活性は確認されなかったため、割愛した。また、下記表において、a〜fは、以下の通りである。
a:前記(2)のアッセイ
b:0.01mmol/L〜10mmol/Lの濃度範囲である9種のD−ヒドロキシプロリン溶液を使用
c:0.05mmol/L〜10mmol/Lの濃度範囲である8種または10種のD−プロリン溶液を使用
d:0.01mmol/L〜0.1mmol/Lの濃度範囲である7種のD−ヒドロキシプロリン溶液を使用
e:1mmol/L〜6mmol/Lの濃度範囲である6種または7種のD−プロリン溶液を使用
f:0.02mmol/L〜1mmol/Lの濃度範囲である7種のD−ヒドロキシプロリン溶液を使用
前記表1に示すように、Pa/D−HypDHおよびPp/D−HypDHは、PMS−INTの系およびPMS−NBTの系いずれにおいても、D−ヒドロキシプロリンに対するkcat/Kが、D−プロリンに対するkcat/Kよりも顕著に高い値を示し、且つ、D−ヒドロキシプロリンに対するKが、D−プロリンに対するKよりも顕著に低い値を示した。特に、PMS−INTの系の場合、Pa/D−HypDHおよびPp/D−HypDHは、D−ヒドロキシプロリンに対するkcat/Kが、D−プロリンに対するkcat/Kの約190倍および約110倍の値を示し、D−ヒドロキシプロリンに対するKが、D−プロリンに対するKの約1/78および約1/24の値を示した。これらの結果から、Pa/D−HypDHおよびPp/D−HypDHは、D−ヒドロキシプロリンに対して極めて優れた特異性を示すことがわかった。
(4)コファクターの確認
(4−1)UV可視吸収スペクトル
前記Pp/D−HypDH(5mg/ml)および前記Pa/D−HypDH(5mg/ml)について、UV可視吸収スペクトルを確認した。これらの結果を、図2に示す。図2は、吸収スペクトルであり、横軸は、波長を示し、縦軸は、吸光度を示し、Ppは、Pp/D−HypDH、Paは、Pa/D−HypDHの結果をそれぞれ示す。図2に示すように、Pp/D−HypDHは、354−360nmと454−456nmで、2つのはっきりした吸収ピークが確認され、典型的なフラビンタンパク質と推測された。他方、Pa/D−HypDHは、353nm、409nmおよび449−453nmで最大吸収を示した。
(4−2)HPLC
前記Pp/D−HypDHおよび前記Pa/D−HypDHを、HOで透析した。前記透析後の酵素液を熱処理して、コファクターを遊離させ、遠心分離によって沈殿物を除去した。回収した上清をHPLCに供して、コファクターを確認した。
(HPLC)
カラム:TSKgel OD-80Tmカラム(4.6×150mm、東ソー)
流速:1ml/ml
平衡緩衝液:10mmol/L リン酸カリウム緩衝液(pH6)
上清アプライ後の平衡化時間:10分間
溶出緩衝液:10mmol/L リン酸カリウム緩衝液(pH6)/メタノール濃度0〜70%のグラジェント
溶出時間:30分間
検出波長:260nm
この結果を、図3のグラフに示す。図3は、リテンションタイム(分)と検出強度(mAU)を示すグラフであり、上段が、コファクターの標準物質、中段が、Pp/D−HypDH、下段が、Pa/D−HypDHの結果を示す。図3に示すように、Pp/D−HypDHは、コファクターとしてFADを含み、Pa/D−HypDHは、コファクターとしてFADおよびFMNを含むことが確認された。
また、Pa/D−HypDHは、1モルあたり、FAD約8モル、FMS約4モル、鉄7.8モルが存在することが確認された。4次構造はα4β4γ4と考えられることから、Pa/D−HypDHは、αβγヘテロ三量体において、2分子のFAD、1分子のFMN、および1分子の[2Fe−2S]−鉄硫黄クラスターを含み、αサブユニットとβサブユニットに1分子ずつFADが結合し、αサブユニットとβサブユニットとの界面に1分子のFMNが結合していると推測される。
[実施例A3]
本例では、前記Pa/D−HypDHおよび前記Pp/D−HypDHによる反応生成物の同定を行った。
2mmol/L MgCl、0.05mmol/L PMSおよび50mmol/L シス−D−ヒドロキシプロリンを含むTris−HClバッファ(pH9.0)に、精製した50mgの前記Pp/D−HypDHまたは前記Pa/D−HypDHを添加し、この混合物を、暗室において、30℃で一晩反応させた。そして、前記混合物に活性炭を添加して、残存するPMSを吸着させ、フィルターで濾過した。濾過溶液を、Dowex 1×2 Cl form(100-200メッシュ)の樹脂カラムに供し、吸着物を0−1mol/LのHClのグラディエント勾配で溶出させた。そして、回収した各フラクション125μlに、n−プロパノール中に、5%(w/v)p−ジメチルアミノベンズアルデヒドを含むn−プロパノール溶液500μlを添加し、さらに、3N HSO 1.25mlを添加し、振とうしながら、70℃で5分間インキュベートした。この混合液について、波長550nmの吸光度を測定した。そして、吸収を示すフラクションを活性フラクションとし、これをNaOHでpH11に調整し、凍結乾燥した。
前記凍結乾燥した活性フラクションについて、NMRにより反応生成物を特定した。Pa/D−HypDHによる反応生成物の結果を図4に示す。図4は、NMRのスペクトルであり、上段が、D−ヒドロキシプロリン、中段が、反応生成物、下段が、ピロール−2−カルボン酸である。また、図4の各段において、左側のパネルが、13C NMRスペクトルであり、右側のパネルが、H NMRスペクトルである。図4に示すように、前記反応生成物は、ピロール−2−カルボン酸塩のスペクトラムと非常に近似した。そして、前記反応は、アルカリ条件下(pH9.0)で行われていることから、反応生成物は、Pyr4H2Cと推測された。なお、Pp/D−HypDHによる反応生成物の結果も、Pa/D−HypDHと同様の結果であった。
[実施例A4]
本例では、PsaeruginosaPAO1株およびPs.putidaKT2422株を培養して、無細胞抽出液を調製し、D−HypDHおよびL−HypEの活性を測定した。
前記2株について、それぞれ、好気条件下、30℃で振とう培養を行った。培地は、1Lあたり、10g トリプトン、5g イーストエクストラクトおよび5g NaClを含むLB培地、または、1Lあたり、0.8g KHPO/KHPO、2g (NHSO、0.002g FeSO、0.080g MgSO・7HOおよび2g 炭素源を含む最小培地(pH6.8)を使用した。前記炭素源は、グルコース(Glu)、L−プロリン(L−pro)、D−プロリン(D−pro)、シス−L−ヒドロキシプロリン(L−Hyp)またはシス−D−ヒドロキシプロリン(D−Hyp)を使用した。そして、遠心分離(30,000×g、20分)により培養細胞を回収し、2mmol/L MgClを含む50mmol/L Tris−HCl(pH8.0)に懸濁して、超音波破砕した。そして、前記懸濁液を遠心分離して上清を回収し、これを無細胞抽出液とした。なお、D−HypDHの安定化のため、前記Tris−HClには、1%(v/v)Tween−20を添加した。
そして、前記各培地を使用して調製した無細胞抽出液について、D−HypDHおよびL−HypEの活性を確認した。D−HypDHの活性は、実施例A2(2)と同様に行った。また、L−HypEの活性は、シス−D−ヒドロキシプロリンに代えて、シス−L−ヒドロキシプロリンを使用した以外は、前記実施例A2(2)におけるD−HypDHのアッセイ方法と同様に行った。
これらの結果を、図5に示す。図5は、各培地を使用したPp由来無細胞抽出液およびPa由来無細胞抽出液のD−HypDHの比活性およびL−HypEの比活性を示すグラフである。
図5に示すように、Ps.putidaは、炭素源としてL−ヒドロキプロリンまたはD−ヒドロキシプロリンを使用した場合、D−HypDH活性およびL−HypDH活性が確認された。また、Psaeruginosaは、炭素源としてL−ヒドロキプロリンをまたはD−ヒドロキシプロリンを使用した場合、D−HypDH活性が確認され、L−ヒドロキシプロリンを使用した場合、L−HypDH活性が確認された。
また、前記無細胞抽出液を用いて、前記実施例A2(1)と同様にしてザイモグラムアッセイを行った。これらの結果を、図6に示す。図6は、未変性PAGEを用いたザイモグラムアッセイの結果であり、上段が、Ps.putidaの結果、下段が、Psaeruginosaの結果である。図6に示すように、炭素源としてL−ヒドロキプロリンまたはD−ヒドロキシプロリンを使用した場合、いずれの株由来の無細胞抽出液も、D−HypDH活性を示すことが確認できた。
[実施例A5]
本例では、L―HypEおよびD−HypDHを使用して、L−ヒドロキシプロリンの測定を行った。
L−HypEとして、brasilense ATCC29145由来の精製酵素を使用した。このアミノ酸配列は、配列番号15で表わされる。また、D−HypDHとして、前記実施例A1で調製したPa/D−HypDHを使用した。
L−HypE(配列番号15)
MKRIQIIDSHTGGEPTRLVVSGFPALGSGTMAERRDVLAREHDRYRTACILEPRGSDVLVGALLCEPVSPEAAAGVIFFNNSGYLGMCGHGTIGVVRTLHHMGRIAPGVHRIETPVGTVEATLHDDLSVSVRNVPAYRHAKGVALDVPGYGPVKGDIAWGGNWFFLISDHGQHVAGDNVAALTAYASAVREGLERAGITGANGGEIDHIELFADDPEHDSRSFVLCPGLAYDRSPCGTGTSAKLACLAADGKLAPGAVWRQASVIGSVFQASYEQADVGIVPTIRGSAHLSAEATLLIEEDDPFGWGIAP
反応液の組成を以下に示す。まず、下記組成において、D−HypDHおよび基質を含まない反応試薬を、30℃に保持した反応セルに入れてから、前記基質(L−ヒドロキシプロリン)を添加して、L−HypEの反応を開始した。そして、前記基質の添加から5分間インキュベートした後、さらに、D−HypDHを添加して、30℃で、経時的に波長490nmの吸光度を測定した。前記反応液においてL−ヒドロキシプロリンの最終濃度は、0.1mmol/L、0.15mmol/L、0.2mmol/L、0.5mmol/L、1mmol/L、10mmol/Lとした。
(反応液組成:全量1ml)
0.25mmol/L INT
0.06mmol/L PMS
50mmol/L Tris−HCl(pH8)
10units/L L−HypE
10units/L D−HypDH
所定濃度 L−ヒドロキシプロリン
図7(A)に、吸光度測定の結果を示し、図7(B)に、ラインウェーバー・バークプロットを示す。図7(A)において、各プロットに示す数値は、L−ヒドロキシプロリン濃度である。図7の結果かれ、D−HypDHおよびL−D−HypEを併用することによって、L−ヒドロキシプロリンを定量できることがわかった。
[実施例B1]
本例では、brasilenseからD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素遺伝子を単離し、前記単離した遺伝子からD−ヒドロキシルプロリン脱水素酵素を合成した。
(1)発現用ベクターの構築
brasilense ATCC29145株(以下、「Ab」ともいう)のゲノムDNAを単離した。そして、PCRによって、AbのゲノムDNAを鋳型として、βサブユニットである配列番号16(AbLhpB cDNA)、αサブユニットである配列番号19(AbLhpE cDNA)およびγサブユニットである配列番号21(AbLhpF cDNA)の塩基配列からなるcDNAを増幅した。この際、増幅する前記各cDNAの前記開始コドンの5’側および終始コドンの3’側に、制限酵素の認識部位を導入するためのプライマーセットを使用した。前記5’側と3’側の制限酵素の認識部位は、それぞれ、AbLhpB cDNAについて、BamHIとHindIII、AbLhpE cDNAについて、BamHIとPstI、AbLhpFについて、BamHIとHindIIIとした。以下にプライマーセットを示す。各プライマーの配列において、制限酵素の認識配列を下線で示した。
(AbLhpB用プライマーセット)
AbLhpB−F(配列番号22)
5’−ccatggatccgAGCGACACGAAGACGGATGTCGTCGTGATCGGCG−3’
AbLhpB−R(配列番号23)
5’−aattaagctTCATGTCAGCGCTCCGGCTACGAGGGACGC−3’
(AbLhpE用プライマーセット)
AbLhpE−F(配列番号24)
5’−ccatggatccgAAACAGGAACGACTGAGCGTCGACGTCGCGATCG−3’
AbLhpE−R(配列番号25)
5’−aattaagctTCACGCGCCGTCGCAGGATGCCGTGCCGTCCAGC−3’
(AbLhpF用プライマーセット)
AbLhpF−F(配列番号26)
5’−ccatggatccgATCATTCATCTGGACGGCCGCGCGCTGACGGTGG−3’
AbLhpF−R(配列番号27)
5’−ttggctgcagTCATCGCGTGCGCTCCACCTGCATCCCGTCGCG−3’
得られたPCR産物を、前記プライマーセットによって導入した認識部位に対する制限酵素で消化し、ベクターの同じ制限酵素部位に連結した。具体的には、前記AbLhpB cDNAを、クロラムフェニコール耐性遺伝子を有するpACYCDuet−1ベクター(Novagen)のBamHI−HindIIIサイトに、AbLhpE cDNAを、アンピシリン耐性遺伝子を有するpETDuet−1ベクター(Novagen)のBamHIとPstIサイトに、AbLhpF cDNAを、カナマイシン耐性遺伝子を有するpCOLADuet−1ベクター(Novagen)のBamHI−HindIIIサイトに連結した。AbLhpBを挿入したベクターを、pACYC/AbLhpB、AbLhpEのDNA断片を挿入したベクターを、pET/AbLhpE、AbLhpFのDNA断片を挿入したベクターを、pCOLA/AbLhpFとした。なお、前記ベクターは、いずれも発現タンパク質のN末端に、ヒスチジン6分子が連結したペプチドであるヒスチジンタグを付加するように設計されている。
(2)リコンビナントタンパク質の精製
大腸菌BL21(DE3)株に、前記pACYC/AbLhpB、前記pET/AbLhpEおよび前記pCOLA/AbLhpFを、単独、2種類の組み合わせまたは3種類の組み合わせで、ヒートショック法により形質導入した。得られた形質転換体を、導入したベクターの抗生物質耐性遺伝子に対応する抗生物質を含有するLB培地を用いて、37℃でOD600=0.6程度になるまで培養した。前記培地における前記抗生物質濃度は、それぞれ、20mg/L カナマイシン、30mg/L クロラムフェニコールまたは50mg/L アンピシリンとした。前記培養後、さらに、1mmol/LとなるようにIPTGを前記培養液に添加し、6時間培養した。培養した菌体を集菌し、前記実施例A1と同様にして、超音波破砕し、遠心分離後、上清(無細胞抽出液)を回収した。そして、前記上清を、前記実施例A1と同様にして、カラムクロマトグラフィーに供し、リコンビナントタンパク質を精製し、各リコンビナントタンパク質のサンプルとした。
前記pACYC/AbLhpB、前記pET/AbLhpEまたは前記pCOLA/AbLhpFを導入した形質転換体から得られたリコンビナントタンパク質を、それぞれ「AbLhpB」、「AbLhpE」および「AbLhpF」とし、前記pACYC/AbLhpBと前記pET/AbLhpEまたはpCOLA/AbLhpF、前記pET/AbLhpEと前記pCOLA/AbLhpFを導入した形質転換体から得られたリコンビナントタンパク質を、それぞれ「AbLhpBE」、「AbLhpBF」および「AbLhpEF」とし、前記pACYC/AbLhpB、前記pET/AbLhpEおよび前記pCOLA/AbLhpFを導入した形質転換体から得られたリコンビナントタンパク質を、「AbLhpBEF」とした。
(3)ゲルろ過によるリコンビナントタンパク質の発現の確認
リコンビナントタンパク質のサンプルについて、前記実施例A1(3)と同様にして、ゲルろ過を行った。その結果、いずれのタンパク質も一本のバンドが確認された。この結果から、2種類または3種類の発現ベクターを導入した形質転換体において、前記βサンプルユニットと前記αサブユニットもしくは前記γサブユニットとが会合して、または、前記βサブユニットと前記αサブユニットと前記γサブユニットとが会合して、1分子のタンパク質を形成していることがわかった。
なお、前記AbLhpBの発現量は、培地1Lあたり6.5mg/Lであり、AbLhpBEFの発現量は、培地1Lあたり3mg/mLであった。
(4)リコンビナントタンパク質のサブユニットの確認
前記各無細胞抽出物のサンプルについて、10−20%のグラジエントゲルを用いてSDS−PAGEを行った。前記電気泳動後、抗Hisタグ抗体を用いたウエスタンブロットにより、前記AbLhpB、前記AbLhpEおよび前記AbLhpEを検出した。その結果、各無細胞抽出液サンプルにおいて、各発現ベクターに由来するリコンビナントタンパク質に該当するバンドが確認された。具体的には、導入した発現ベクターに由来して、47kDa付近にβサブユニットのバンド、41kDa付近にαサブユニットのバンド、7kDa付近にγサブユニットのバンドが確認された。
また、前記リコンビナントタンパク質は、10−20%のグラジエントゲルを用いてSDS−PAGEを行い、CBB染色により、バンドの検出を行った。これらの結果を図8に示す。図8は、前記リコンビナントタンパク質のSDS−PAGEの結果を示す写真である。図8において、写真の左側が、分子量マーカーの分子量を示し、各レーンは、左から、分子量マーカー、AbLhpB、AbLhpE、AbLhpBE、AbLhpBEFのリコンビナントタンパク質の結果である。
また、図8に示すように、SDS-PAGEによっても同様に、各無細胞抽出液サンプルから精製されたリコンビナントタンパク質について、約41KDa付近にβサブユニットのバンド、約47KDa付近にαサブユニットのバンド、約7KDa付近にγサブユニットのバンドが確認された。これらのバンドの分子量は、βサブユニットの理論値40550.99Da、αサブユニットの理論値45535.58Da、γサブユニットの理論値9612.84Daと近似していた。これらの結果から、前記各種発現ベクターの組み合わせにおいて、目的のリコンビナントタンパク質が発現され、且つ、精製されていることが確認された。
[実施例B2]
本例では、前記実施例B1で精製したリコンビナントタンパク質AbLhpBEFについて、脱水素酵素活性および基質特異性を確認した。脱水素酵素活性のアッセイは、下記表2に列挙する基質を使用した以外は、前記実施例A2(2)と同様にして行った。そして、シス−D−ヒドロキシプロリンに対する比活性を100%として、その他の基質に対する相対活性を算出した。これらの結果を下記表2に示す。
その結果、AbLhpBEFは、シス−D−ヒドロキシプロリンに対する活性を100%とした場合、トランス−D−ヒドロキシプロリンおよびD−プロリンに対して有意な活性を示したが、その他の基質に対しては、いずれも相対活性0.5%以下であり、実質的に活性を示さなかった。また、AbLhpBEFは、D−プロリンに対しても活性を示すものの、シス−D−ヒドロキシプロリンおよびトランス−D−ヒドロキシプロリンに対して、極めて高い相対活性を示した。これらの結果から、AbLhpBEFが、D−ヒドロキシプロリンに対して、極めて高い基質特異性を示すことがわかった。
[実施例B3]
本例では、前記実施例B1で精製したリコンビナントタンパク質AbLhpB、AbLhpBEおよびAbLhpBEFについて、各種特性を確認した。
(1)D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性
前記リコンビナントタンパク質について、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を確認した。脱水素酵素活性のアッセイは、前記実施例A2(2)と同様にして行い、各リコンビナントタンパク質の比活性を算出した。その結果、シス−D−ヒドロキシプロリンを基質とする比活性は、AbLhpBが2.69unit/mg protein、AbLhpBEが2.90unit/mg protein、AbLhpBEFが2.98unit/mg proteinであった。この結果から、AbLhpB、AbLhpBEおよびAbLhpBEFのいずれもが、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有することが確認できた。
(2)コファクター
前記リコンビナントタンパク質について、コファクターの確認を行った。
(2−1)目視観察
前記リコンビナントタンパク質の色を目視確認した結果、AbLhpBは、フラボタンパク質のような明るい黄色であり、AbLhpBEおよびAbLhpBEFは、オレンジ〜ブラウンであった。
(2−2)UV可視吸収スペクトル
前記リコンビナントタンパク質について、前記実施例A2(4−1)と同様にしてUV可視吸収スペクトルを確認した。これらの結果を、図9に示す。図9は、吸収スペクトルの結果を示す。図9において、横軸は、波長を示し、縦軸は、吸光度を示し、左から、AbLhpB、AbLhpBE、AbLhpBEFの結果をそれぞれ示す。図9に示すように、前記AbLhpB、前記AbLhpBEおよび前記AbLhpBEFは、いずれも354−360nmと454−456nmで、2つのはっきりした吸収ピーク(矢印)が確認され、典型的なフラビンタンパク質と推測された。
(2−3)HPLC
前記リコンビナントタンパク質について、前記実施例A2(4−2)と同様に処理し、HPLCによりコファクターを確認した。この結果を図10に示す。図10は、リテンションタイム(分)と検出強度(mAU)を示すグラフであり、上から、コファクターの標準物質、AbLhpB、AbLhpBE、AbLhpBEFの結果を示す。図10に示すように、AbLhpBは、1モルあたりFAD約1モルを含み、AbLhpBEおよびAbLhpBEFは、1モルあたりFAD約2モルおよびFMN約1モルを含むことが確認された。また、この結果から、AbLhpBは、1分子のFADと、AbLhpBEは、2分子のFADと1分子のFMNと結合していると推測された。これらの結果から、AbLhpBEFは、前記実施例A2(4−2)におけるPa/D−HypDHと同様に、4次構造がα4β4γ4のαβγヘテロ三量体であり、2分子のFAD、1分子のFMN、および1分子の[2Fe−2S]−鉄硫黄クラスターを含み、αサブユニットとβサブユニットに1分子ずつFADが結合し、αサブユニットとβサブユニットとの界面に1分子のFMNが結合していると推測される。また、FMNの結合には、γサブユニットは不要と推測される。
(3)熱安定性
前記リコンビナントタンパク質について、熱安定性を確認した。まず、前記リコンビナントタンパク質を、50mol/L Tris−HCl(pH8.0)で透析し、グリセロールを除去した。つぎに、前記リコンビナントタンパク質を、所定温度(15〜65℃)で10分間熱処理した後、直ちに氷上へ移して失活を停止させ、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を測定した。脱水素酵素活性のアッセイは、前記実施例A2(2)と同様にして行った。そして、熱処理していない前記各リコンビナントタンパク質の比活性を100%として、前記熱処理後の各リコンビナントタンパク質の相対活性(%)を残存活性として算出した。
これらの結果を図11に示す。図11は、熱処理後の前記リコンビナントタンパク質の残存活性を示したグラフである。図11において、横軸は、熱処理の温度を示し、縦軸は、相対活性(%)を示し、Bは、AbLhpB、BEFは、AbLhpBEFの結果をそれぞれ示す。図11に示すように、AbLhpBは、30℃までの熱処理で失活が観察されなかった。AbLhpBEFは、さらに、50℃までの熱処理で失活が観察されなかった。これの結果から、AbLhpBおよびAbLhpBEFのいずれも、十分な熱安定性を示し、L−ヒドロキシプロリンのアッセイに適していることがわかった。また、γサブユニットは、熱安定性につながる構造安定化に寄与していると推測される。
(4)基質特異性
前記リコンビナントタンパク質について、基質特異性を確認した。脱水素酵素活性のアッセイは、基質として、シス−D−ヒドロキシプロリン、トランス−D−ヒドロキシプロリンおよびD−プロリンを使用した以外は、前記実施例A2(2)と同様にして行った。そして、前記各リコンビナントタンパク質について、シス−D−ヒドロキシプロリンに対する比活性を100%として、その他の基質に対する相対活性(%)を算出した。
これらの結果を、図12に示す。図12は、AbLhpB、AbLhpBEおよびAbLhpBEFの基質特異性を示すグラフである。図12において、縦軸は、相対活性を示し、横軸は、前記リコンビナントタンパク質の種類であり、Bは、AbLhpB、BEは、AbLhpBE、BEFは、AbLhpBEFを示す。また、各リコンビナントタンパク質のバーは、左から、シス−D−ヒドロキシプロリン、トランス−D−ヒドロキシプロリンおよびD−プロリンに対する結果を示す。
図12に示すように、AbLhpBは、シス−D−ヒドロキシプロリンに対して極めて高い活性を示したのに対し、トランス−D−ヒドロキシプロリンおよびD−プロリンに対する相対活性は2.9%および0.95%であり、ほとんど活性を示さなかった。また、AbLhpBEは、シス−D−ヒドロキシプロリンに対して高い活性を示し、トランス−D−ヒドロキシプロリンおよびD−プロリンに対して弱い活性を示し、AbLhpBEFは、シス−D−ヒドロキシプロリンおよびトランス−D−ヒドロキシプロリンに対して高い活性を示し、D−プロリンに対して弱い活性を示した。これらの結果から、AbLhpB、AbLhpBEおよびAbLhpBEFのいずれであっても、D−プロリンによる影響を回避して、D−ヒドロキシプロリンを特異的に分析できることがわかった。中でもAbLhpBによれば、D−ヒドロキシプロリンのうち特にシス−D−ヒドロキシプロリンを特異的に分析できることがわかった。また、AbLhpBEFは、シス型とトランス型のD−ヒドロキシプロリンに同程度に高い活性を示したことから、例えば、シス型に特異的なAbLhpBと組み合わせることによって、前述のように、トランス−D−ヒドロキシプロリンの特異的な分析も可能となる。
(5)速度パラメーター
前記リコンビナントタンパク質について、基質特異性および電子受容体の特異性を確認した。脱水素酵素活性のアッセイは、基質として、シス−D−ヒドロキシプロリン、トランス−D−ヒドロキシプロリンおよびD−プロリンを使用した以外は、前記実施例A2(2)および(3)と同様にして行った。
前記表3に示すように、AbLhpB、AbLhpBEおよびAbLhpBEFのいずれも、シス−D−ヒドロキシプロリンに対するVmax/Kが、トランス−D−ヒドロキシプロリンに対するVmax/KおよびD−ヒドロキシプロリンに対するVmax/Kより高かった。これらのことから、AbLhpB、AbLhpBE、AbLhpBEFは、いずれも、シス−D−ヒドロキシプロリンに対する基質特異性が高いことがわかった。
[実施例B4]
本例では、brasilenseからL−ヒドロキシプロリン異性化酵素遺伝子を単離し、前記単離した遺伝子からL−ヒドロキシプロリン異性化酵素を合成した。
(1)発現用ベクターの構築
brasilense ATCC29145株(以下、「Ab」ともいう)のゲノムDNAを単離した。そして、PCRによって、AbのゲノムDNAを鋳型として、実施例A5におけるL−ヒドロキシプロリン異性化酵素(配列番号15)のコード遺伝子である配列番号28の塩基配列からなるcDNA(AbLhpA cDNA)を増幅した。この際、増幅する前記cDNAの前記開始コドンの5’側および終始コドンの3’側に、制限酵素の認識部位を導入するためのプライマーセットを使用した。前記5’側と3’側の制限酵素の認識部位は、それぞれ、BamHIとHindIIIとした。以下にプライマーセットを示す。各プライマーの配列において、制限酵素の認識配列を下線で示した。
AbLhpA cDNA(配列番号28)
ATGAAGCGCATCCAGATCATCGATTCGCATACGGGCGGCGAACCCACTCGGCTCGTCGTGTCCGGTTTCCCCGCGCTCGGCAGCGGCACGATGGCCGAGCGCCGCGACGTGCTCGCGCGCGAGCACGACCGCTACCGCACCGCCTGCATTCTCGAACCGCGCGGCAGCGACGTGCTGGTCGGCGCGCTGCTGTGCGAACCCGTGTCGCCTGAGGCGGCGGCCGGCGTGATCTTCTTCAACAATAGCGGCTATCTCGGGATGTGCGGGCACGGCACGATCGGCGTCGTGCGCACGCTGCACCATATGGGGCGCATCGCGCCCGGCGTGCACCGGATCGAAACACCCGTCGGCACCGTCGAGGCGACGCTGCACGACGACCTGTCGGTCAGCGTGCGCAACGTGCCCGCGTATCGCCATGCGAAGGGCGTCGCGCTCGACGTGCCGGGTTACGGCCCCGTGAAGGGCGACATCGCGTGGGGCGGCAACTGGTTCTTCCTGATTAGCGACCACGGGCAGCACGTTGCCGGCGACAACGTTGCGGCACTCACCGCGTATGCGTCGGCCGTGCGCGAAGGACTCGAACGCGCGGGCATCACCGGCGCGAACGGCGGCGAGATCGATCATATCGAGCTGTTCGCCGACGATCCCGAACACGACAGCCGCAGCTTCGTGCTGTGCCCGGGCCTCGCGTACGACCGTTCGCCGTGCGGCACCGGCACGAGCGCGAAGCTCGCGTGCCTCGCGGCCGACGGCAAGCTCGCGCCGGGCGCCGTATGGCGGCAGGCGAGCGTGATCGGCAGCGTGTTCCAGGCGAGCTACGAGCAGGCCGACGTCGGCATCGTGCCGACGATCCGCGGCAGCGCGCACCTGAGCGCGGAAGCGACGCTGCTGATCGAGGAAGACGATCCATTCGGCTGGGGTATTGCGCCGTGA
(AbLhpA用プライマーセット)
AbLhpA−F(配列番号29)
5’−accatggatccAAGCGCATCCAGATCATCGATTCGCATACGGG−3’
AbLhpA−R(配列番号30)
5’−taattaagctTCACGGCGCAATACCCCAGCCGAATGGATCGTC−3’
得られたPCR産物を、前記プライマーセットによって導入した認識部位に対する制限酵素で消化し、ベクターpQE−80Lの同じ制限酵素部位に連結した。なお、前記pQE−80Lは、発現タンパク質のN末端に、ヒスチジン6分子が連結したペプチドであるヒスチジンタグを付加するように設計されている。
(2)リコンビナントタンパク質の精製
大腸菌DH5α株に、前記発現ベクターを、ヒートショック法により形質導入した。得られた形質転換体を、導入したベクターの抗生物質耐性遺伝子に対応する抗生物質アンピシリンを含有するLB培地を用いて、37℃でOD600=0.6程度になるまで培養した。前記培地におけるアンピシリン濃度は、50mg/Lとした。前記培養後、さらに、1mmol/LとなるようにIPTGを前記培養液に添加し、6時間培養した。培養した菌体を集菌し、前記実施例A1と同様にして、超音波破砕し、遠心分離後、上清(無細胞抽出液)を回収した。そして、前記上清を、前記実施例A1と同様にして、カラムクロマトグラフィーに供し、リコンビナントタンパク質を精製し、各リコンビナントタンパク質のサンプルとした。前記発現ベクターを導入した形質転換体から得られたリコンビナントタンパク質を、「Ab/L−HypE」とした。
(3)リコンビナントタンパク質の分子量
前記Ab/L−HypEを、前記実施例A1(4)と同様にして、SDS−PAGEに供した。この結果を、図13に示す。図13は、写真の左側が、マーカーの分子量を示し、各レーンは、左から、マーカー、Ab/L−HypEの結果である。図13に示すように、前記AbLhpAについて、約37kDaに単一のバンドが確認された。これは、Ab/L−HypEの分子量の理論値33kDaと近似していた。また、前記Ab/L−HypEについて、前記実施例A4と同様にして、シス−L−ヒドロキシプロリンを基質として比活性を確認した結果、1.44unit/mg proteinであり、L−ヒドロキシプロリン異性化活性が確認できた。
[実施例B5]
本例では、L−ヒドロキシプロリン異性化酵素として、前記実施例B4のAb/L−HypE、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素として、前記実施例B1のAbLhpBおよびAbLhpBEFを使用し、L−ヒドロキシプロリンの測定を行った。アッセイの手順は、前記実施例A5と同様とした。
具体的には、分光光度計のインキュベート温度を30℃に保持し、反応セルをセットした。そして、前記反応セルに、下記組成の反応試薬を添加し、100mmol/L シス−L−ヒドロキシプロリン100μLを添加し、5分間インキュベートした。そして、前記反応セルに、所定量のD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素を添加することにより反応を開始した。D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の添加時を0秒として、経時的に、反応液の波長490nmの吸光度を測定した。前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の添加量は、AbLhpBを13.5μg(比活性2.69unit/mg)、AbLhpBEFを12μg(比活性2.98unit/mg)とした。
これらの結果を図14に示す。図14は、L−ヒドロキシプロリン測定の反応液における吸光度を示すグラフであり、横軸は、反応時間を示し、縦軸は、490nmの吸光度を示す。図14に示すように、AbLhpBおよびAbLhpBEFのいずれを使用した場合でも、同程度の直線性が得られた。
[実施例B6]
本例では、L−ヒドロキシプロリンの測定におけるpHの影響を確認した。アッセイは、Tris−HClのpHを、pH8とpH9に設定した以外は、前記実施例B5と同様にして行った。
これらの結果を、図15に示す。図15は、L−ヒドロキシプロリン測定の反応液における吸光度を示すグラフであり、横軸は、反応時間を示し、縦軸は、490nmの吸光度を示し、左のグラフが、AbLhpBEFを用いた結果であり、右のグラフが、AbLhpBを用いた結果である。図15に示すように、pH8およびpH9のいずれの条件で反応を行った場合も、AbLhpBEFおよびAbLhpBのいずれも、同程度の吸光度が得られた。この結果から、Ab/L−HypEとAbLhpBまたはAbLhpBEFとを用いる場合、pH8および9の間で影響はないことがわかった。
[実施例B7]
L−ヒドロキシプロリンの分析においては、L−ヒドロキシプロリンを基質として、L−ヒドロキシプロリン異性化酵素によりD−ヒドロキシプロリンが生成され、D−ヒドロキシプロリンを基質として、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素が反応します。そこで、本例では、L−ヒドロキシプロリンとL−ヒドロキシプロリン脱水素酵素との混合後における、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の添加のタイミングによる影響を確認した。
L−ヒドロキシプロリン異性化酵素として、前記実施例B4のAb/L−HypE、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素として、前記実施例A1のPaLhpBEF、前記実施例B1のAbLhpB、AbLhpBEおよびAbLhpBEFを使用した。
まず、分光光度計のインキュベート温度を30℃に保持し、反応セルをセットした。前記反応セルに、前記実施例B5と同じ組成の反応試薬を添加し、100mmol/L シス−L−ヒドロキシプロリン 100μLを添加し、所定時間(0、1、2、5、10分)インキュベートした。そして、前記反応セルに、所定量のD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素を添加することにより反応を開始した。D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の添加時を0秒として、経時的に、反応液の波長490nmの吸光度を測定した。前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の添加量は、AbLhpBを13.5μg、AbLhpBEFを12μg、PaLhpBEFを13μgとした。
これらの結果を、図16に示す。図16は、L−ヒドロキシプロリン測定の反応液における吸光度を示すグラフであり、横軸は、反応時間を示し、縦軸は、490nmの吸光度を示し、左上がAbLhpB、右上がAbLhpBE、左下がAbLhpBEF、右下がPaLhpBEFを用いた結果である。図16の各グラフにおいて、プロットの横に記載した時間は、前記反応試薬中のL−ヒドロキシプロリン異性化酵素Ab/L−HypEと基質(L−ヒドロキシプロリン)とを混合してから、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素を添加するまでのインキュベート時間(0、1、2、5、10分)である。
図16に示すように、いずれのD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素を使用した場合でも、インキュベート時間にかかわらず、経時的に吸光度の増加が見られた。この結果から、インキュベート時間にかかわらず、L−ヒドロキシプロリンの測定が可能であることがわかった。中でも、AbLhpBEFは、前記インキュベート時間が短い場合、例えば、0分であっても、十分な吸光度の増加が確認され、優れた直線性を示した。この結果から、特に、AbLhpBEFによれば、インキュベート時間をさらに短縮しても、例えば、インキュベート0時間であっても、L−ヒドロキシプロリンを精度よく測定できることがわかった。
[比較例B1]
D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素に代えて、市販のD−アミノ酸酸化酵素を用いて、L−ヒドロキシプロリンの測定を行った。
前記D−ヒドロキシプロリンに代えて、ブタ腎臓由来D−アミノ酸オキシダーゼ(Sigma-Aldrich)10μgを用いた以外は、実施例B7と同様にして測定を行った。この結果を、図17に示す。図17は、L−ヒドロキシプロリン測定の反応液における吸光度を示すグラフであり、横軸は、反応時間を示し、縦軸は、490nmの吸光度を示し、プロットの横に記載した時間は、前記反応試薬中のL−ヒドロキシプロリン異性化酵素Ab/L−HypEと基質(L−ヒドロキシプロリン)とを混合してから、D−アミノ酸酸化酵素を添加するまでのインキュベート時間(0、1、2、5、10分)である。図17に示すように、市販のD−アミノ酸オキシダーゼを使用した場合、10分のインキュベートであっても、60秒の反応で吸光度0.14程度に達するのみであった。このため、D−アミノ酸オキシダーゼによっては、信頼できるL−ヒドロキシプロリンの測定が困難であることがわかった。
[実施例B8]
本例では、L−ヒドロキシプロリン異性化酵素として、前記実施例B4のAb/L−HypE、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素として、前記実施例B1のAbLhpBおよびAbLhpBEFを使用し、L−ヒドロキシプロリンの測定の検量線を作成し、さらに、L−ヒドロキシプロリンの定量を行った。
(1)検量線の作成
まず、分光光度計のインキュベート温度を30℃に保持し、反応セルをセットした。前記反応セルに、前記実施例B5と同じ組成の反応試薬を添加し、100μLの基質シス−L−ヒドロキシプロリンを添加し、所定時間インキュベートした。前記基質は、反応終了時の反応液における終濃度が、所定濃度(0.02、0.04、0.08、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.7、0.8、0.9または1.0mmol/L)に設定した。そして、前記反応セルに、所定量のD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素を添加することにより反応を開始した。D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の添加時を0秒として、経時的に、反応液の波長490nmの吸光度を測定した。前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素の添加量は、AbLhpBを13.5μg、AbLhpBEFを12μgとした。また、前記インキュベート時間は、AbLhpBEFは0秒、AbLhpBは5分とした。得られた測定結果から、基質濃度の逆数(1/S)および反応速度の逆数(1/V)を計算し、ラインウィンバー・バークプロット(検量線)を作成した。
これらの結果を、図18に示す。図18において、横軸は、基質濃度の逆数(1/S)を示し、縦軸は、反応速度の逆数(1/V)を示す。図18において、左のグラフは、AbLhpBEFを用いた検量線であり、右のグラフは、AbLhpBを用いた検量線であり、各グラフ内の関数は、相関関数を示し、Rは、相関係数を示す。図18に示すように、AbLhpBEFを用いた場合、基質濃度0.004〜0.2mmol/Lの間で、相関係数が0.99以上の相関性の高い検量線が得られ、AbLhpBを用いた場合、基質濃度0.04〜1mmol/Lの間で、相関係数が0.99以上の相関性の高い検量線が作成できた。これらの結果から、本発明のD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素を使用することで、広い濃度範囲について、L−ヒドロキシプロリンの精度に優れる定量が可能であることがわかった。
(2)L−ヒドロキシプロリンの定量
100mmol/Lのシス−L−ヒドロキシプロリン標準液を、任意に希釈した希釈サンプル1−6を調製した。そして、前記基質100μLに代えて前記サンプル1−6を各100μL使用した以外は、前記(1)と同様にして、反応を行い、吸光度を測定した。前記反応には、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素として、AbLhpBEFおよびAbLhpBをそれぞれ使用した。そして、測定した吸光度と前記(1)の検量線とから、L−ヒドロキシプロリンの濃度を決定した。他方、前記サンプル1〜6のL−ヒドロキシプロリンの濃度を、HPLC(日立高速アミノ酸分析計L-8900、日立ハイテク)により決定した。
酵素を用いた酵素法において検量線から求めたL−ヒドロキシプロリン濃度と、HPLCにより測定した濃度とを、表5に示す。表5に示すように、AbLhpBおよびAbLhpBEFを使用すれば、酵素法によって、0.10〜7mmol/Lの広範囲にわたるL−ヒドロキシプロリン濃度を、HPLCと同程度の精度で測定できることがわかった。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2012年6月29日に出願された日本出願特願2012−147934を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
以上のように、本発明の分析方法によれば、従来のように、HPLCを用いることなく、酵素反応によって、簡便にL−ヒドロキシプロリンを分析できる。また、本発明の分析方法によってL−ヒドロキシプロリンが分析できることから、間接的に、コラーゲンの測定も簡便に行うことができる。このため、本発明は、食品、美容および医療等の分野において、極めて有用な技術といえる。

Claims (22)

  1. 下記(s1)〜(s3)工程を含むことを特徴とする被検試料中のL−ヒドロキシプロリンを分析する分析方法。
    (s1)L−ヒドロキシプロリン異性化酵素により、被検試料中のL―ヒドロキシプロリンをD−ヒドロキシプロリンに異性化する異性化工程。
    (s2)D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素により、前記(s1)工程において得られたD−ヒドロキシプロリンを脱水素化する脱水素工程。
    (s3)前記(s2)工程の脱水素反応を分析する分析工程。
  2. 前記(s2)工程のD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素が、下記βサブユニット(B1)を含むタンパク質(Pa)である、請求項1記載の分析方法。
    (B1) 下記(B1−1)、(B1−2)または(B1−3)のβサブユニット
    (B1−1) 配列番号7のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (B1−2) 前記(B1−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質
    (B1−3) 前記(B1−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質
  3. 前記タンパク質(Pa)が、さらに、下記αサブユニット(E1)および下記γサブユニット(F1)の少なくとも一方を含み、且つ、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質である、請求項2記載の分析方法。
    (E1)下記(E1−1)、(E1−2)または(E1−3)のαサブユニット
    (E1−1)配列番号3のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (E1−2)前記(E1−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (E1−3)前記(E1−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するタンパク質
    (F1)下記(F1−1)、(F1−2)または(F1−3)のγサブユニット
    (F1−1)配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (F1−2)前記(F1−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (F1−3)前記(F1−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質
  4. 前記タンパク質(Pa)が、下記(Pa1)〜(Pa3)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項2または3記載の分析方法。
    (Pa1)下記(B1−1)のβサブユニットと、下記(E1−1)のαサブユニットおよび下記(F1−1)のγサブユニットの少なくとも一方のサブユニットとからなるタンパク質
    (B1−1) 配列番号7のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (E1−1) 配列番号3のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (F1−1) 配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (Pa2)前記(Pa1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
    (Pa3)前記(Pa1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
  5. 前記(s2)工程のD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素が、下記サブユニット(B2)を含むタンパク質(Pp)である、請求項1記載の分析方法。
    (B2)下記(B2−1)、(B2−2)または(B2−3)のサブユニット
    (B2−1)配列番号9のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (B2−2)前記(B2−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
    (B2−3)前記(B2−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
  6. 前記(s2)工程のD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素が、下記βサブユニット(B3)を含むタンパク質(Ab)である、請求項1記載の分析方法。
    (B3)下記(B3−1)、(B3−2)または(B3−3)のβサブユニット
    (B3−1)配列番号17のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (B3−2)前記(B3−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質
    (B3−3)前記(B3−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質
  7. 前記タンパク質(Ab)が、さらに、下記αサブユニット(E3)および下記γサブユニット(F3)の少なくとも一方を含み、且つ、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質である、請求項6記載の分析方法。
    (E3)下記(E3−1)、(E3−2)または(E3−3)のαサブユニット
    (E3−1)配列番号19のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (E3−2)前記(E3−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (E3−3)前記(E3−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するタンパク質
    (F3)下記(F3−1)、(F3−2)または(F3−3)のγサブユニット
    (F3−1)配列番号21のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (F3−2)前記(F3−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (F3−3)前記(F3−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質
  8. 前記タンパク質(Ab)が、下記(Ab1)〜(Ab3)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項6または7記載の分析方法。
    (Ab1)下記(B3−1)のβサブユニットと、下記(E3−1)のαサブユニットおよび下記(F3−1)のγサブユニットの少なくとも一方のサブユニットとからなるタンパク質
    (B3−1) 配列番号17のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (E3−1) 配列番号19のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (F3−1) 配列番号21のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (Ab2)前記(Ab1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
    (Ab3)前記(Ab1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
  9. 下記(S1)〜(S3)工程を含むことを特徴とする被検試料中のコラーゲンの測定方法。
    (S1)被検試料中のコラーゲンから、L−ヒドロキシプロリンを遊離させる遊離工程
    (S2)前記(S1)工程で遊離したL−ヒドロキシプロリンの量を、請求項1から8のいずれか一項に記載の分析方法により測定する測定工程
    (S3)予め求めた前記コラーゲンに対するL−ヒドロキシプロリンの割合係数に基づき、前記(S2)工程で測定したL−ヒドロキシプロリン量からコラーゲン量を算出する算出工程
  10. 下記βサブユニット(B1)を含むことを特徴とするタンパク質。
    (B1)下記(B1−1)、(B1−2)または(B1−3)のβサブユニット
    (B1−1)配列番号7のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (B1−2)前記(B1−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質
    (B1−3)前記(B1−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質
  11. さらに、下記αサブユニット(E1)および下記γサブユニット(F1)の少なくとも一方を含み、且つ、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する、請求項10記載のタンパク質。
    (E1)下記(E1−1)、(E1−2)または(E1−3)のαサブユニット
    (E1−1)配列番号3のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (E1−2)前記(E1−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (E1−3)前記(E1−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するタンパク質
    (F1)下記(F1−1)、(F1−2)または(F1−3)のγサブユニット
    (F1−1)配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (F1−2)前記(F1−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (F1−3)前記(F1−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質
  12. 下記(Pa1)〜(Pa3)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項10または11記載のタンパク質。
    (Pa1)下記(B1−1)のβサブユニットと、下記(E1−1)のαサブユニットおよび下記(F1−1)のγサブユニットの少なくとも一方のサブユニットとからなるタンパク質
    (B1−1) 配列番号7のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (E1−1) 配列番号3のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (F1−1) 配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (Pa2)前記(Pa1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
    (Pa3)前記(Pa1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
  13. 下記サブユニット(B2)を含むことを特徴とするタンパク質。
    (B2)下記(B2−1)、(B2−2)または(B2−3)のサブユニット
    (B2−1)配列番号9のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (B2−2)前記(B2−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
    (B2−3)前記(B2−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
  14. 下記βサブユニット(B3)を含むことを特徴とするタンパク質。
    (B3)下記(B3−1)、(B3−2)または(B2−3)のβサブユニット
    (B3−1)配列番号17のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (B3−2)前記(B3−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質
    (B3−3)前記(B3−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質
  15. さらに、下記αサブユニット(E3)および下記γサブユニット(F3)の少なくとも一方を含み、且つ、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有する、請求項14記載のタンパク質。
    (E3)下記(E3−1)、(E3−2)または(E3−3)のαサブユニット
    (E3−1)配列番号19のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (E3−2)前記(E3−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (E3−3)前記(E3−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するタンパク質
    (F3)下記(F3−1)、(F3−2)または(F3−3)のγサブユニット
    (F3−1)配列番号21のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (F3−2)前記(F3−1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (F3−3)前記(F3−1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質
  16. 下記(Ab1)〜(Ab3)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項14または15記載のタンパク質。
    (Ab1)下記(B3−1)のβサブユニットと、下記(E3−1)のαサブユニットおよび下記(F3−1)のγサブユニットの少なくとも一方のサブユニットとからなるタンパク質
    (B3−1) 配列番号17のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (E3−1) 配列番号19のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (F3−1) 配列番号21のアミノ酸配列からなるタンパク質
    (Ab2)前記(Ab1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
    (Ab3)前記(Ab1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
  17. L−ヒドロキシプロリンの分析試薬であって、
    L−ヒドロキシプロリン異性化酵素およびD−ヒドロキシプロリン脱水素酵素を含むことを特徴とする分析試薬。
  18. 前記D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素が、請求項10から16のいずれか一項に記載のタンパク質である、請求項17記載の分析試薬。
  19. コラーゲンの測定試薬測定用キットであって、
    請求項17または18記載のL−ヒドロキシプロリンの分析用キットを含むことを特徴とする測定試薬。
  20. 下記(b1−1)〜(b1−3)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチド(b1)からなることを特徴とする遺伝子。
    (b1−1)配列番号6の塩基配列からなるポリヌクレオチド
    (b1−2)前記(b1−1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
    (b1−3)前記(b1−1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
  21. 下記(b2−1)〜(b2−3)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチド(b2)からなることを特徴とする遺伝子。
    (b2−1)配列番号8の塩基配列からなるポリヌクレオチド
    (b2−2)前記(b2−1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
    (b2−3)前記(b2−1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
  22. 下記(b3−1)〜(b3−3)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチド(b3)からなることを特徴とする遺伝子。
    (b3−1)配列番号16の塩基配列からなるポリヌクレオチド
    (b3−2)前記(b3−1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
    (b3−3)前記(b3−1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、D−ヒドロキシプロリン脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
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