JP2014027333A - データ回復装置、信号処理装置、データ回復方法、信号処理方法、プログラムおよび記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 伝送信号からのデータ回復を小規模な回路構成で高速に実行するためのデータ回復装置、通信装置、データ回復方法、プログラムおよび記録媒体を提供すること。
【解決手段】 本データ回復装置22は、リモート・クロック成分が重畳されたデータを伝送する信号が入力される入力手段24と、入力された信号に遅延をかける遅延手段28と、入力された信号と、ローカル・クロックとの間に検出される位相情報に応じて遅延手段28の遅延量を制御する遅延制御手段30、32と、遅延がかけられた信号をローカル・クロックに同期して標本化し、初期化部36による初期化後遅延量が遅延手段28の可変範囲に収まっている間、信号により伝送されるデータを回復する標本化手段34とを含む。
【選択図】 図3
【解決手段】 本データ回復装置22は、リモート・クロック成分が重畳されたデータを伝送する信号が入力される入力手段24と、入力された信号に遅延をかける遅延手段28と、入力された信号と、ローカル・クロックとの間に検出される位相情報に応じて遅延手段28の遅延量を制御する遅延制御手段30、32と、遅延がかけられた信号をローカル・クロックに同期して標本化し、初期化部36による初期化後遅延量が遅延手段28の可変範囲に収まっている間、信号により伝送されるデータを回復する標本化手段34とを含む。
【選択図】 図3
Description
本発明は、データ回復装置、信号処理装置、データ回復方法、信号処理方法、プログラムおよび記録媒体に関する。本発明は、より詳細には、伝送信号からのデータ回復を小規模な回路構成で高速に実行するためのデータ回復装置、小規模な回路構成で伝送信号を基準出力に同調させるための信号処理装置、上記データ回復装置が実行するデータ回復方法、上記信号処理装置が実行する信号処理方法、上記データ回復装置を実現するためのプログラムおよび該プログラムを格納する記録媒体に関する。
近年、ネットワークインフラの整備および通信技術の進展により、データ通信の大容量化および高速化が進んでいる。伝送媒体として光ファイバを利用する光通信が普及しており、ISP(Internet Services Provider)のバックボーン網だけでなく、アクセス網でも加入者宅や事業所内へ光ケーブルを直接引き込むFTTH(Fiber To The Home)が一般化している。上記光通信は、異なる波長の光が互いに干渉しないため、メタルケーブルに比べて一本の伝送路で伝送可能な帯域が圧倒的に広いことを特徴とし、複数の波長の光信号を光ファイバに同時に乗せる光波長多重通信技術の開発が進んでいる。かかる技術により、光ファイバ上の情報の伝送量を大幅に増大させることが可能となる。
波長で多重化された伝送路でのパケット伝送方式は種々知られているが、パケットを多波長に分散して同時に伝送する、多波長パケットを用いた伝送方式が光パケットを光のまま光ファイバ遅延線でバッファするには有望である。例えば各波長10Gbpsの光信号を100波長用いると1Tbpsのパケット伝送が可能となり、この場合、イーサネット(登録商標)の最大ペイロード長である1500バイトにヘッダを加えたパケットであれば、各波長あたり約120ビット程度、現在のインターネットで平均的なパケット長である500バイト程度であれば各波長あたり約40ビット程度のデータに分散してパケットを伝送することができる。上記伝送方式では、波長毎にデータ分離を必要するが、伝送すべきパケットの伝送時間を短縮することができ、最大パケット長が1500バイトの場合は12nsとなる。12nsの遅延は、わずか2.5mの光ファイバ(屈折率1.44)で実現することができ、数十パケット程度までのいろいろな長さの光ファイバ遅延線を組み合わせることによって、実用的な長さの光ファイバで実用的な容量の光バッファを構築できる。
ところで、上述した光通信では、通常、データにクロックを重畳してシリアル伝送する伝送方式がとられており、送信者側から送信されたデータを受信者側でデータ回復する必要がある。伝送信号からクロックを再生してデータを回復する技術は、CDR(Clock Data Recovery)として知られている。
CDRの主要な方式としては、位相同期方式(Phase Locked Loop:PLL)が知られている。PLL方式では、まず伝送信号から送信者側のリモート・クロックが再生される。受信装置は、受信者側のローカル・クロックと同期して動作する部分と、送信者側のリモート・クロックと同期して動作する回路部分とを有する。そして、送信者側のクロックと同期する部分で伝送信号からデータをサンプルし、クロックのずれを吸収するエラスティック・バッファを用いて、リモート・クロックと同期する部分からローカル・クロックと同期して動作する部分へデータの引き渡しを行っている。
PLLは、CDRとして広く利用されているが、ロックインするまでに時間を要し、迅速な同期が課題である。また同期の精度を高めるためには、長い時間を必要とする。同期するまでに要する、いわゆる同期引き込み時間は、有効な通信をすることができない無駄な時間であり、短縮化が要求される。
アクセス網で採用されるPON(Passive Optical Network)では、上り通信において、ユーザごとに個別に送信されたバースト状のパケット信号を時分割多重した信号が用いられる。PONに適用でき、迅速な同期を確立する技術として、バーストモードCDRという技術が知られている(特許文献1)。バーストモードCDRは、位相をずらした受信者側のクロックを多数用意し、多相クロックの中から送信者側のクロックの位相に最も近いものを選択する方式である。上記特許文献1の従来技術では、迅速な同期が可能となるが、多数の異なる位相のクロックを用意する必要があり、精度を高めるためには大きな回路規模が必要となる。上記PONでは、伝送距離が短いため、精度に対する要件が比較的厳しくはないことから、回路規模を比較的小さくすることもできるが、依然として、準備するクロック相数に応じて回路規模は増大する。
また、上記多波長パケットやPONでは、送信者が異なるパケットがランダムに混ざり合う状況にあり、ネットワークを伝送するパケット単位で、送信者クロックが毎回異なり、パケット単位で同期が必要となるという特性を有するため、迅速な同期の確立が特に重要である。
本発明は、上記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであり、本発明は、送信者側のリモート・クロックを再生することなく、信号により伝送されるデータをローカル・クロックに基づいて復元することによって、小規模な回路構成、かつ高速な同期の確立が可能なデータ回復装置を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、上記データ回復装置が実行するデータ回復方法、上記データ回復装置を実現するためのプログラム、および該プログラムを格納する記録媒体を提供することである。
さらに本発明の他の目的は、伝送信号をローカル基準出力に同調させることが可能な信号処理装置を提供することである。
本発明者は、従来技術のCDRでは、伝送信号から送信者側のリモート・クロックをまずデータ分離前に再生しているが、伝送信号からデータが分離されれば充分である点に着目し、また、パケット通信では、短期的な同期さえ維持できれば充分であり、さらに多波長に分散して同時に伝送するパケット伝送方式では、単一波長あたりのデータ長を短くし、同期を維持する必要のある期間をさらに短縮することができる点に着目し、送信者側および受信者側のクロック周波数のずれが充分に小さければ、有限の遅延量の遅延線を用いても充分な期間の同期を維持することが可能であることを見出し、本発明に至ったのである。
すなわち、請求項1にかかる発明によれば、下記特徴を有するデータ回復装置が提供される。本データ回復装置は、リモート・クロック成分が重畳されたデータを伝送する信号が入力される入力手段と、入力された信号に遅延をかける遅延手段とを備える。本データ回復装置は、さらに、入力された信号と、ローカル・クロックとの間に検出される位相情報に応じて上記遅延手段の遅延量を制御する遅延制御手段と、上記遅延量が上記遅延手段の可変範囲に収まっている間、遅延がかけられた信号をローカル・クロックに同期して標本化し、信号により伝送されるデータを回復する標本化手段とを備える。
さらに、請求項8にかかる発明によれば、下記特徴を有する信号処理装置が提供される。本信号処理装置は、位相成分を含む信号が入力される入力手段と、入力された信号に遅延をかける遅延手段と、入力された信号と、当該信号処理装置側で準備されたローカル基準出力との間に検出される位相情報に応じて、上記遅延手段の遅延量を制御する遅延制御手段と、上記遅延量が上記遅延手段の可変範囲に収まっている間、遅延によりローカル基準出力に同調させられた信号を処理する処理手段とを備える。
またさらに、請求項10にかかる発明によれば、上記データ回復装置が実行するデータ回復方法が提供される。本データ回復方法では、データ回復装置は、リモート・クロック成分が重畳されたデータを伝送する信号を遅延手段に入力するステップと、入力された信号と、ローカル・クロックとの間の位相情報を検出するステップと、位相情報に応じて遅延手段の遅延量を制御し、上記信号に遅延をかけるステップと、上記遅延量が上記遅延手段の可変範囲に収まっている間、遅延がかけられた信号をローカル・クロックに同期して標本化し、信号により伝送されるデータを回復するステップとを実行する。
さらに、請求項11にかかる発明によれば、上記信号処理装置が実行する信号処理方法が提供される。本信号処理方法では、信号処理装置は、位相成分を含む信号を遅延手段に入力するステップと、入力された信号と、当該信号処理装置側で準備されたローカル基準出力との間の位相情報を検出するステップと、上記位相情報に応じて遅延手段の遅延量を制御し、信号に遅延をかけるステップと、上記遅延量が上記遅延手段の可変範囲に収まっている間、ローカル基準出力に同調させられた信号を処理するステップとを実行する。
請求項12にかかる発明によれば、さらに、上記データ回復装置の回路構成をプログラマブル・デバイス上に実現し、該プログラマブル・デバイスを上記手段各々として機能させるためのプログラムが提供される。請求項13にかかる発明によれば、さらに、上記プログラムを格納したデバイス可読な記録媒体が提供される。
上記構成によれば、送信者側のリモート・クロックを再生することなく、信号により伝送されるデータをローカル・クロックに基づいて復元することができるので、小規模な回路構成で、高速な同期の確立が可能なとなる、また、比較的小規模な回路構成で、伝送信号を基準出力に精度高く同調させることが可能なとなる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明の実施形態は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
以下に説明する第1の実施形態では、データ回復装置として、光ルータが制御回路に備えるデータ回復部を一例に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による光ルータ10の概略構成を示す図である。図1に示す光ルータ10は、コア・ルータとして実装されており、伝送される光パケットのヘッダ部分の信号を処理し、その処理結果に基づいて光パケットの行き先を切り替える機能を有する。図1に示す光ルータ10は、より詳細には、複数の光インタフェース12a〜12zと、光スイッチ遅延線14と、ADM(Add Drop Multiplexer)16と、複数の光電(O/E)変換部18と、制御回路20とを含み構成される。
以下に説明する第1の実施形態では、データ回復装置として、光ルータが制御回路に備えるデータ回復部を一例に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による光ルータ10の概略構成を示す図である。図1に示す光ルータ10は、コア・ルータとして実装されており、伝送される光パケットのヘッダ部分の信号を処理し、その処理結果に基づいて光パケットの行き先を切り替える機能を有する。図1に示す光ルータ10は、より詳細には、複数の光インタフェース12a〜12zと、光スイッチ遅延線14と、ADM(Add Drop Multiplexer)16と、複数の光電(O/E)変換部18と、制御回路20とを含み構成される。
光インタフェース12は、光ファイバなどの光ネットワークとの間のインタフェースであり、複数波長に分散してデータを伝送する光信号が入力される。光スイッチ遅延線14は、同じ出力インタフェースに出力される複数の光パケットが同時に入力された時に、1つを除く光信号を遅延させ、出力インタフェースでの衝突を防ぐ機能を有する。光スイッチ遅延線14はまた、光パケットのヘッダ部分の信号が処理されるまで間、光パケットを遅延させる機能も有する。そして、ヘッダ部分の信号が電気的に処理された後、処理結果に基づいて光パケットのヘッダ部分が書き換えられる。
第1の実施形態において通信は、データが小さな単位に分割され送受信されるパケット通信として行われ、各パケットは、同一伝送路を伝送される複数波長の光信号に分散される。図2(A)は、第1の実施形態において光インタフェース12に入力されるパケットのデータ構造を示し、図2(B)は、図2(A)に示したパケットが複数波長に分散された伝送形式のフォーマットを示す。特定の実施形態においては、特に限定されるものではないが、好適には、パケットのヘッダおよびペイロードが時間的に重ねられ、波長方向に多重化された構造を有した、図2(B)に示すようなフォーマットを採用することができる。図2(B)に示すようなフォーマットを採用することにより、ペイロードをヘッダと同時に伝送することが可能となり、さらに、ヘッダ情報を抽出するための電気回路は少数で済み、低消費電力化も図られる。
ここで、再び図1を参照する。ADM16は、光インタフェース12に入力される波長多重化された光信号からヘッダ情報を含んだ波長の信号を抜き出して制御回路20に送ったり、制御回路から送られてきた新たなヘッダ情報をもとの波長に合流させることを可能とする手段である。図1に示すADM16は、パケットにおける経路選択に必要な情報を保持するヘッダおよび適宜ペイロードの一部に対応する各波長の信号を分離し、各O/E変換部18a〜18nに入力している。
O/E変換部18は、制御回路20で処理されるべきヘッダ情報を含む波長数分準備され、ADM16によって分離された各波長の光信号を電気信号に変換して制御回路20に入力するとともに、制御回路20から出力される電気信号を光信号に変換してADM16に入力する。制御回路20は、分離される波長数に対応して、複数のデータ回復部22a〜22nを備えており、データ回復部22は、それぞれ、分離された単一波長に対応する電気信号の入力を受けて、電気信号から該電気信号により伝送されるデータを回復する機能を有する。制御回路20は、複数のデータ回復部22a〜22nから出力される部分データから上記光パケットの少なくとも一部を抽出し、経路表検索など所定の電気的な処理を実行する。そして、上述したように、制御回路20によるデータ処理の結果に基づいて、光パケットのヘッダ部分が書き換えられ、適切な行き先に切り替えられることになる。制御回路20は、さらに、複数のパケットが同時に同一の光インタフェースに出力されることのないよう、光スイッチ遅延線14の光スイッチを適切に制御し、各パケットに適切な遅延を与える。
図2(B)に示すように、パケットを多波長に分散して同時に伝送する方式を採用すると、例えば各波長10Gbpsの光信号を100波長用いることによって1Tbpsのパケット伝送が可能となる。ここで、イーサネット(登録商標)の最大ペイロード長である1500バイトに短いヘッダを加えた光パケットを仮定した場合、各波長あたりのデータ長は120ビット程度となる。
図2(C)は、単一波長のデータを伝送する信号を例示する図である。図2(C)に示すように、単一波長のデータを伝送する信号は、プリアンブル部と、本体データ部とに対応した部分を含む。上述した条件では、単位波長あたりのデータ長が120ビット程度と短いため、データ全体に占めるプリアンブル部の比重は、比較的大きいものとなる。また図2(C)に示す信号は、送信者側のリモート・クロック成分がデータに重畳された、送信者側のリモート・クロックに同期したNRZ(Non Return to Zero)信号である。伝送されるビット列は、同期引き込みに充分なエッジが現れることを保証するため、好適には、マンチェスター符号、8b/10b符号、EFM(Eight to Fourteen Modulation)、RLL(Run Length Limited encoding)などで符号化されてもよい。
なお、パケットとパケットとの間は、好適には、光スイッチングの動作や波長毎のタイミングのズレを吸収するためにマージンを設けることが好ましく、消光状態とすることが好ましい。この場合、パケットの先頭は、消光状態からの遷移として判定することができる。
以下、図3〜図6を参照しながら、第1の実施形態によるデータ回復部22について詳細を説明する。図3は、図1に示した制御回路における各データ回復部の詳細な機能ブロック図である。図3に示すデータ回復部22は、入力部24と、出力部26と、可変遅延線28と、位相比較器30と、ループ・フィルタ32と、サンプリング部34と、初期化部36とを含み構成される。
入力部24は、送信者側のリモート・クロック成分を重畳し、データを伝送する信号が入力される入力手段である。入力部24に入力された信号は、可変遅延線28および初期化部36へ出力される。可変遅延線28は、入力された信号に対し所定可変範囲の遅延量で遅延をかける遅延手段である。遅延量は、位相比較器30およびループ・フィルタ32によりフィードバック制御される。
初期化部36は、入力される信号からデータの開始点を検出し、ループ・フィルタ32を初期化し、可変遅延線28に設定する遅延量を初期値に設定する初期化手段である。パケット間が消光状態となる特定の実施形態では、初期化部36は、消光状態に対応する信号レベルからの遷移エッジとしてパケットの先頭を判定することができる。最大パケット長が十分短ければ、パケット毎に遅延量を初期化する構成により、上記遅延量の可変範囲内で、パケット毎に充分な期間の同期を維持することが可能となる。なお、初期化部36による初期化は、同期を確立する必要がある任意のタイミングで行うことができる。
位相比較器30は、可変遅延線28により遅延された信号と、制御回路20のローカル・クロックとを比較し、位相比較結果に応じた信号をループ・フィルタ32に出力する。ループ・フィルタ32は、位相比較器30からの位相比較結果の入力を受けて、入力された信号とローカル・クロックとの間に存在する位相情報を保持し、該位相情報に基づいて可変遅延線28にフィードバック制御を行う。
特定の実施形態において、フィードバック制御は、遅延された信号とローカル・クロックとの間に検出された位相差を積分して得られる、入力信号とローカル・クロックとの間の位相差を用いて、比例(P:Proportional)制御により行うことができる。これによって、送信者側のリモート・クロックと受信者側のローカル・クロックとの間の位相の変化を追跡できるようになる。
また、送信者側のリモート・クロックと受信者側のローカル・クロックとの周波数差が比較的大きな場合に好適な実施形態では、入力された信号とローカル・クロックとの間の位相差に基づくP制御と、上記位相差の積分値に基づく積分制御(I:Integral)とを組み合わせたPI制御を行うことができる。PI制御を行うことにより、リモート・クロックとローカル・クロックとの間の周波数のずれによる位相の変化に精度よく追跡できるようになる。また、PI制御を行う実施形態では、プリアンブル部に相当する期間、上記位相差の積分値を初期値に据え置くことができる。位相がほぼ揃うまでは入力信号とローカル・クロックとの間の位相差の積分値がノイズとなってしまうので、上記構成により、ノイズの影響を受けず、また遅延量の可変範囲を有効に利用することが可能となる。
第1の実施形態において位相比較器30およびループ・フィルタ32は、入力された信号と、ローカル・クロックとの間に検出される位相情報に応じて可変遅延線28の遅延量を制御する遅延制御手段として機能する。上記位相情報は、入力された信号とクロックとの位相差として定義することができ、遅延がかけられた信号とクロックとの間の位相比較結果の積分値として計測される。上記遅延制御手段32、30および可変遅延線28のはたらきにより、上記入力された信号が、ローカル・クロックに位相および周波数が合うように時間遅延量が連続的に制御され、これにより信号の時間伸縮量も調整され、送信者および受信者間のクロックの位相差および周波数差が補償される。
なお、第1の実施形態においては、補償できるクロック周波数差は、上記可変遅延線28の遅延量(遅延時間)の可変範囲に応じたものとなる。例えば、1500バイトのパケットを想定すると、10Gイーサネット(登録商標)で要求される±0.01%精度の周波数差に対しては、±2.4ビット程度の遅延差を吸収すればよいことになるので、初期位相差の吸収に必要な1ビットの遅延差を合わせて、±2.9周期程度以上のクロックサイクル分の可変範囲を準備すれば充分ということになる。さらに、受信側のクロック精度を±0.001%程度に高めれば、吸収すべき遅延差は±1.3ビット程度になり、±1.8周期程度以上のクロックサイクル分の可変範囲を準備すれば充分ということになる。つまり、ローカル・クロックと、リモート・クロックとの周波数差は、上記可変遅延線28の遅延量(遅延時間)の可変範囲に応じた補償可能なクロック周波数差以下とであることが好ましい。
サンプリング部34には、プリアンブルに対応する同期引き込み時間が経過した後は、上記フィードバック制御により、当該光ルータ10のローカル・クロックに同期するように時間遅延量と時間伸縮量が制御された信号が入力される。サンプリング部34は、上記フィードバック制御に基づき遅延された信号をローカル・クロックに同期して標本化し、信号により伝送されたデータのうちの少なくとも本体データ部を回復する。回復されたデータは、出力部26を介して、制御回路20上のデータを必要とする部分に引き渡される。初期化部36による初期化後の遅延量が可変遅延線28の可変範囲に収まっている間、正しいデータが回復される。
従来技術のPLL方式のCDRにおいては、受信データが送信者クロックに同期してビットレベルで復元された後に送信者および受信者間のクロックのずれをビットレベルで吸収するために、パケット間の空きビット数を調節するエラスティック・バッファが必要となる。これに対し、第1の実施形態によるデータ回復部22では、送信者側のリモート・クロックを再生することなく、ローカル・クロックに同期して信号の標本化が行われるので、復元されたデータとローカル・クロックとにずれがなく、従来技術のPLL方式のCDRにおいて必要であったエラスティック・バッファが不要となる。
以下、上記可変遅延線28および位相比較器30の個別要素の詳細について、図4を参照して説明する。上記可変遅延線28は、説明する実施形態では、電子回路により実装し、電圧または電流により遅延量を電気的に制御する方式を採用することができる。しかしながら、上記可変遅延線28は、これに特に限定されるものではなく、他の実施形態では、電気的に遅延をかける他、光信号を入力するものとして、屈折率可変光ファイバにより実装し、遅延量を制御光の強度で光学的に制御する方式を採用してもよい。
また、図3に示す回路構成は、デジタル回路としてもアナログ回路としても実装することができるが、可変遅延線28をデジタル的に実装して遅延量を離散的に変更する場合は、オーバーサンプリングが必要になる。また、離散化の程度を小さくして精度を上げようとすると、より高い分解能でのオーバーサンプリングが必要になるとともに、PONにおけるバーストモードCDRと同じように、回路規模が増大する。
一方で、入力される信号レベルが2値で遅延量がアナログ的に変化する可変遅延線は、所定の遅延セルの単位回路を充分な遅延可変量が得られるまで直列に多数並べることによって、信号レベルに関してはデジタル回路として実装することができる。上記可変遅延線は、小さな回路規模を有し、デジタル回路同様の安定動作が期待できる。図4(A)および(B)は、上述したような可変遅延線を構成する遅延セルを例示する。図4(A)に示す遅延セルは、容量負荷を有するCMOSインバータに対して、当該CMOSインバータの電源と接地線の電流量を制御することで所定の遅延量を与える遅延セルである。図4(B)に示す遅延セルは、容量負荷を有するインバータに対して、当該容量に流れる電流量を制御することで所定の遅延量を与える遅延セルである。
位相比較器30についても同様であり、図4(C)に示すような信号レベルが2値で、位相差をパルス幅として出力する位相比較器を用いることにより、小さな回路規模で構成することができ、安定動作が期待できる。図4(C)に示す位相比較器は、遅延された信号と、ローカル・クロックとが入力され、各信号のエッジを検出して、遅延された信号とローカル・クロックとのエッジの位相差に応じた幅のパルスを出力する。
以下、図5および図6を参照しながら、特定の実施形態を参照して、データ回復部動作について説明する。図5は、特定の実施形態によるデータ回復部の主要部分の機能ブロックを示す図である。図6は、特定の実施形態によるデータ回復部の動作を示すタイミングチャートである。
図5(A)は、P制御を実行するデータ回復部の構成を示し、図6(A)および(B)は、図5(A)に示すP制御時のデータ回復部の各部位における伝送信号および制御信号を示すタイミングチャートである。図5(A)に示すデータ回復部22において、ループ・フィルタ32は、入力される信号を積分する積分器40を備える。積分器40は、初期化部36によってパケット境界で初期化されて初期値に戻り、初期化された以後、位相比較器30から出力される位相比較結果(遅延後の信号とローカル・クロックとの位相差に対応する)の積分値を保持する。可変遅延線28には、積分器40が保持する積分値に応じた遅延量が設定される。
図6(A)に示すタイミングチャートは、送受信のクロック周波数が同一で、クロックの立ち下がりでサンプルする場合の同期の挙動をシミュレーションした結果に基づくものである。なお、可変遅延線28の遅延量の初期値は、1クロック周期に位置し、可変範囲を±1周期(つまり可変範囲は0〜2周期となる。)とし、4ビット列の「1010」をプリアンブルとしている。
図6(A)に示すタイミングチャートでは、入力される信号(Received Signal)は、ローカル・クロック(Receiver Clock)の立ち下りとほぼ同時に変化しているが、可変遅延線通過後の信号(Received Signal Synchronized to Receiver Clock)の波形は、数クロック後をみると、ローカル・クロックの立ち上がりとほぼ同時に変化している。したがって、可変遅延線通過後の信号をローカル・クロックの立ち下りで標本化すれば、伝送データを復元することができる。また、可変遅延線28の遅延量を規定する制御信号(Variable Delay Control)もほぼ安定し、また位相差(Phase Difference)も、フィードバック制御によりゼロに漸近していることがわかる。
図6(B)に示すタイミングチャートは、同様にP制御であるが、受信者側のクロックが送信者側のものより2%遅い場合の同期の様子をシミュレーションした結果に基づくものである。図6(B)に示すタイミングチャートでは、可変遅延線通過後の信号(Received Signal Synchronized to Receiver Clock)の波形は、周波数差が大きいため、数クロック後を見てみても、ローカル・クロックの立ち上がりと多少のずれが観測される。
上記に対し、図5(B)は、位相差およびその積分値を用いてPI制御を行うデータ回復部を示し、図6(C)は、図5(B)に示すPI制御時のデータ回復部の各部位における伝送信号および制御信号を示すタイミングチャートである。図5(B)に示すデータ回復部22においては、ループ・フィルタ32は、第1の積分器42と、位相比較器30から出力される位相差を積分する第2の積分器44と、位相比較器30から出力される位相差と、第2の積分器44が保持する積分値とを加算して第1の積分器42に出力する加算器46とを含む。第1の積分器42は、初期化部36によりパケット境界で初期化され、第2の積分器44は、初期化部36により、プリアンブルに対応する期間が経過するまで初期状態におかれる。なお、第2の積分器44は、周波数差を補償するはたらきをする。可変遅延線28には、第1の積分器42が保持する値に応じた遅延量が設定される。
図6(C)に示すタイミングチャートは、図6(B)と同様に、受信者側のクロックが送信者側のものより2%遅い場合の同期の様子をシミュレーションした結果に基づくものであるが、PI制御されたものである。図6(C)に示すタイミングチャートでは、位相差の積分値(Integrated Phase Difference)は最終的にほぼ安定し、周波数差にもかかわらず、可変遅延線通過後の信号(Received Signal Synchronized to Receiver Clock)とローカル・クロックの立ち上がりとのずれがほぼ解消していることがわかる。したがって、可変遅延線通過後の信号をローカル・クロックの立ち下りで標本化すれば、伝送されるデータを復元できる。
図7は、特定の実施形態のデータ回復部の機能ブロック図である。図7に示す実施形態では、データ回復部22は、ループ・フィルタ32と位相比較器30との間に、遅延量を制御する際のゲインを与える可変ゲイン48が設けられ、可変遅延線28へのループのゲインが可変とされている。
可変ゲイン48は、初期化部36により、例えばパケット境界で初期化され、第1のゲインを設定し、その後の所定のタイミングで、第1のゲインと異なる第2のゲインを設定する。第1のゲインを第2のゲインよりも大きくすることにより、前半で収束速度を向上させつつ、後半で同期の安定性を向上させることができる。なお、ゲインを切り替えるタイミングは、任意であり、例えばプリアンブルに対応する期間が経過した後のタイミングなどとすることができる。さらに、2段階の可変ゲインに限定されるものではなく、3以上の段階で、あるいは連続的にゲインを可変としてもよい。
上述した第1の実施形態によるデータ回復装置は、短期的な同期で充分な、パケット通信に有効であり、同期期間をさらに短縮できる波長多重化方式のパケット通信に対してより有効である。また、第1の実施形態によるデータ回復装置は、送信元のリモート・クロックの再生を必要としないことから、送信者が異なるパケットがランダムに混ざり合い、パケット単位で送信者クロックが異なるという特性を有する通信に対し特に有効である。さらに、第1の実施形態によるデータ回復装置は、高速な引き込みが行われるので、比較的短いプリアンブルでも充分であり、プリアンブルの比重が大きくなる小データの通信に対して特に有効である。さらに、無線通信等で採用されるデジタル信号処理による位相・周波数推定、位相・周波数補正が消費電力の観点から適用しづらい、より高速な時間スケールの通信に対して特に有効である。
第1の実施形態によるデータ回復装置の回路規模は、PLL方式のCDRでは、PLLを構成する必要があり、バーストCDRでは、クロック相数に応じて回路規模が増大することからも明らかなように、従来技術のCDRに比較して小さなものとなり消費電力の低減も期待できる。また、従来技術のDLLと比較すると、DLLでは周波数の同一が前提条件となるが、本発明では、送信者側および受信者側のクロック周波数に多少のずれがあっても、短期間の間は好適にデータ回復を行うことができる。
さらに、適用されるネットワークとしても、PONなどの光通信のアクセス網やバックボーン網を挙げることができ、さらに、イーサネット(登録商標)などのローカル・エリア・ネットワーク(LAN)に適用してもよい。例えば、10Gイーサネット(登録商標)では、送受信クロックに対し±0.01%の精度が要求されているが、1500バイトのパケットであれば(初期位相差の吸収も含めて)6ビット程度(受信側の周波数精度をさらに高めると4ビット程度)の遅延差が吸収できればよいので、イーサネット(登録商標)における既存装置のCDR回路を、本発明によるデータ回復装置で好適に置き換えることができる。これにより、従来技術の既存装置に比較して、回路の簡略化やそれに伴う低消費電力化が期待される。
さらに本発明の第1の実施形態では、短時間の同期しか必要とされない場合に、送受信装置が、省電力モードで送信者・受信者クロック以外の回路を停止している状態から通常動作状態に復帰する際の高速同期回復に好適に適用することができる。頻繁に省電力モードに移行しても迅速に復帰できるため、高頻度の移行を許容する省電力モードを実現することができる。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、強度変調および直接検波方式で、信号レベルを光の明暗に対応付けてベースバンド伝送する場合について説明した。しかしながら、光ファイバを用いた光通信方式としては、近年、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式などの多値変調方式のキャリア(搬送波)伝送とし、伝送速度の更なる向上を目指す試みがなされている。
上述した第1の実施形態では、強度変調および直接検波方式で、信号レベルを光の明暗に対応付けてベースバンド伝送する場合について説明した。しかしながら、光ファイバを用いた光通信方式としては、近年、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式などの多値変調方式のキャリア(搬送波)伝送とし、伝送速度の更なる向上を目指す試みがなされている。
そこで、以下、受信信号を可変遅延線に通して、この可変遅延線の遅延量を、受信信号と所定の基準との位相情報に基づいて制御することにより、受信信号を基準に同調させるという技術的思想を、光信号のレベルで適用した第2の実施形態について説明する。
上述した多値変調方式では、その復号のため、光が有するすべての情報を取り出せるように、送信側と受信側の光搬送波の位相および周波数を合わせるコヒーレント受光と呼ばれる技術が必要となる。コヒーレント受光方式としては、光PLLを用いるアナログコヒーレント受光方式と、デジタル信号処理で位相のずれを計算によって推定および補正するデジタルコヒーレント受光方式とが知られている。高精度で高安定な光PLLの実現は困難であることから、デジタルコヒーレント受光方式の研究が進み、実用化に至っている。しかしならが、デジタルコヒーレント受光方式では、1ビット当たりに多数回の演算が必要となり、光通信のような高速度処理が必要な領域では、その消費電力も膨大なものとなる。
したがって、送信側と受信側の光搬送波の位相および周波数を高精度、かつ高安定に合わせることができ、さらに小規模な回路構成で低消費電力なアナログコヒーレント受光技術が求められている。
以下に説明する第2の実施形態では、信号処理装置として、光ルータが備える信号処理部を一例に説明する。図8は、第2の実施形態における、受信光信号を処理する信号処理部の詳細な機能ブロック図である。図8に示す信号処理部50は、図3に示した可変遅延線28の前段の構成に対応するものである。図8に示す信号処理部50は、光伝送信号が入力される可変遅延線52と、光90度ハイブリッド54と、ローカル光発振器56と、制御回路58とを含み構成される。入力される光伝送信号は、BPSKやQPSKなどの位相シフト変調方式(phase-shift keying,PSK)、16QAMや64QAMなどの直角位相振幅変調(Quadrature Amplitude Modulation,QAM)など、位相、振幅および周波数の少なくとも1つの要素にデータを重畳する光伝送波信号である。
図8に示す可変遅延線52は、既に一般的な光変調器に用いられている、例えばLN(ニオブ酸リチウム)素子の屈折率を電圧で制御することによって、その遅延量を制御可能に実現することができる。ローカル光発振器56は、光伝送信号に干渉させる基準となる基準光を出力するレーザダイオードなどである。基準光は、光周波数が信号光と略同一である、変調されていない光となる。
光90度ハイブリッド54は、図3に示した位相比較器30に相当するものであり、可変遅延線52を通過した光伝送信号と、ローカル光発振器56が出力する基準光とを混合し、両者により発生する干渉信号を出力する。干渉信号には、可変遅延線52を通過した光伝送信号と基準光との位相差および周波数差の情報が含まれる。
制御回路58は、ループ・フィルタを内包し、電気信号に変換された干渉信号から光伝送信号と基準光との位相差および周波数差の情報を得て、これらの情報に基づいて、位相情報を保持し、該位相情報に基づいて可変遅延線52に遅延量のフィードバック制御を行う。特定の実施形態において、フィードバック制御は、入力された光伝送信号と基準光との間の位相差を用いた比例制御、あるいは上記位相差の積分値に基づく積分制御とを組み合わせたPI制御を行うことができる。PI制御を行うことにより、リモート光と、ローカル光との間の周波数および位相のずれに精度よく追跡できるようになる。
制御回路58が設定する遅延量は、消光状態からパケットの先頭を判定し、入力される信号からデータの開始点を検出した手段により初期化される。これによって、周波数差および位相差が小さい場合に所定の期間、光伝送信号と、ローカル発振器の基準光との位相を同調させて、光90度ハイブリッド54の出力から、適切な復調信号を得ることができるようになる。
第2の実施形態において光90度ハイブリッド54および制御回路58は、入力された光伝送信号と、基準光との間に検出される位相情報に応じて可変遅延線60の遅延量を制御する遅延制御手段として機能する。上記遅延制御手段54、58および可変遅延線52のはたらきにより、上記入力された光伝送信号が、基準光に位相および周波数が合うように時間遅延量が連続的に制御され、これにより信号の時間伸縮量も調整され、位相が正確に合わせられる。
光伝送信号(そのプリアンブル部分)と受信側のローカル基準光との位相が合っていれば、光90度ハイブリッド54が出力するI成分およびQ成分は、そのままQAM信号の復調結果となる。初期化後の遅延量が可変遅延線54の可変範囲に収まっている間、正しく復調される。I成分およびQ成分は、そのまま、あるいは高速光検出器などを介して電気信号に変換された後、後段の処理に進められる。例えば、I成分およびQ成分の信号がそれぞれ高速光検出器により電気信号に変換されて、図3に示した可変遅延線28へ、アナログ値として出力され、そして第1の実施形態で説明したようにデータ回復処理が行われる。
図9は、上記第2の実施形態の変形例として、特定の実施形態における受信光信号を処理する信号処理部の詳細な機能ブロック図である。図9に示す信号処理部50は、図8に示した可変遅延線52、光90度ハイブリッド54、ローカル光発振器56および制御回路58に加えて、光変調器60と、I成分およびQ成分に対するA/D(Analog to Digital)変換部62a、62bとが付加されている。光変調器60は、A/D変換部62をフルスケールで動作させられるように、I成分およびQ成分のレベルを合わせるために挿入される。図8に示すように図3に示した可変遅延線28の前段でA/D変換が行われた場合、以降の回路では、信号レベルに関してはデジタル回路として構成することができる。図8に示す実施形態においても、I成分およびQ成分は、高速光検出器などを介して電気信号に変換され、A/D変換がされた後、後段のデータ回復処理へ進められる。
上記第2の実施形態によれば、送信側のリモート光と受信側のローカル光との周波数の差が小さい場合に好適に適用することができる、光PLLと比較して実現の容易なアナログコヒーレント受光を実現することができる。リモート光とローカル光とのスペクトル線幅(すなわち短期的な光周波数の揺らぎ)も含めた周波数の差が、1MHz以下である場合、12nsのパケットの伝送期間の間では、位相差が±4度程度しか変化しない。このため、パケット先頭で位相差を補正し、パケット末尾まで精度のよいコヒーレント受光が行える。さらに、パケット途中においても、位相の変化に適宜追随することもできる。
以上説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、送信者側のリモート・クロックを再生することなく、信号により伝送されるデータをローカル・クロックに基づいて復元することによって、小規模な回路構成かつ、高速な同期の確立が可能なデータ回復装置を提供することができる。さら本発明の第2の実施形態によれば、伝送信号をローカル基準出力に同調させることが可能な信号処理装置を提供することができる。
なお、上述した実施形態では、通信装置の一例として、コア・ルータとして実装される光ルータ10を用いて説明したが、通信装置は、これに限定されるものではない。他の実施形態では、通信装置は、電気ネットワークとのインタフェースをさらに備えるエッジルータとして構成されてもよい。さらに、本発明の実施形態による通信装置は、光ルータに限定されるものではなく、光通信におけるエンドシステムの送受信装置、光通信を中継する他の中継装置として構成してもよい。
また、本実施形態によるデータ回復装置、信号処理装置および通信装置の一部または全部の機能は、例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)や、フィールド・プログラマブル・アナログ・アレイ(FPAA)などのプログラマブル・デバイス(PD)上に実装することができ、あるいはASIC(特定用途向集積)として実装することができる。PDとして実装する場合には、当該データ回復装置の回路構成をPD上に実現するためにPDにダウンロードする回路構成データ(ビットストリームデータ)、回路構成データを生成するためのHDL(Hardware Description Language)、VHDL(VHSIC(Very High Speed Integrated Circuits) Hardware Description Language))、Verilog−HDLなどにより記述されたデータなどのプログラムとして、該プログラムを記録する記録媒体により配布することができる。
また、これまで本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
10…光ルータ、12…光インタフェース、14…光スイッチ遅延線、16…ADM、18…O/E変換部、20…制御回路、22…データ回復部、24…入力部、26…出力部、28…可変遅延線、30…位相比較器、32…ループ・フィルタ、34…サンプリング部、36…初期化部、40…積分器、42…第1の積分器、44…第2の積分器、46…加算器、48…可変ゲイン、50…信号処理部、52…可変遅延線、54…光90度ハイブリッド、56…ローカル光発振器、58…制御回路、60…光変調器、62…A/D変換部
Claims (13)
- リモート・クロック成分が重畳されたデータを伝送する信号が入力される入力手段と、
入力された前記信号に遅延をかける遅延手段と、
入力された前記信号と、ローカル・クロックとの間に検出される位相情報に応じて前記遅延手段の遅延量を制御する遅延制御手段と、
前記遅延量が前記遅延手段の可変範囲に収まっている間、遅延がかけられた前記信号を前記ローカル・クロックに同期して標本化し、前記信号により伝送される前記データを回復する標本化手段と
を含む、データ回復装置。 - 前記データは、所定長さを有するパケットが波長多重化により分散されて構成された、単一波長が担当するデータである、請求項1に記載のデータ回復装置。
- 前記遅延制御手段は、入力された前記信号と前記ローカル・クロックとの間に検出される位相差を用いてフィードバック制御を行うことを特徴とする、請求項1または2に記載のデータ回復装置。
- 前記遅延制御手段は、入力された前記信号と前記ローカル・クロックとの間に検出される位相差、および該位相差の積分値とを用いて、比例制御および積分制御を行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ回復装置。
- 前記遅延制御手段は、前記データのプリアンブル部に相当する期間、前記位相差の積分値を初期値に据え置くことを特徴とする、請求項4に記載のデータ回復装置。
- 前記信号からデータの開始を検出し、前記遅延手段に設定する遅延量を初期化する初期化手段をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のデータ回復装置。
- 前記遅延制御手段は、前記遅延量を制御する際の所定のゲインを与える可変ゲイン手段を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載のデータ回復装置。
- 位相成分を含む信号が入力される入力手段と、
入力された前記信号に遅延をかける遅延手段と、
入力された前記信号と、当該信号処理装置側で準備されたローカル基準出力との間に検出される位相情報に応じて、前記遅延手段の遅延量を制御する遅延制御手段と、
前記遅延量が前記遅延手段の可変範囲に収まっている間、前記遅延により前記ローカル基準出力に同調させられた信号を処理する処理手段と
を備える、信号処理装置。 - 前記信号は、位相、振幅および周波数の少なくとも1つの要素にデータを重畳する光搬送波信号であり、前記ローカル基準出力は、ローカル光発振器が出力する基準光であり、前記遅延制御手段は、前記遅延手段を通過した光搬送波信号と、前記基準光とを干渉させて干渉信号を出力する光90度ハイブリッド回路と、前記干渉信号から前記遅延手段を通過した光搬送波信号と前記基準光との間の少なくとも位相差を前記位相情報として取得し、前記遅延手段の遅延量を制御する制御回路とを含む、請求項8に記載の信号処理装置。
- 遅延量の所定の可変範囲を有する遅延手段を備えるデータ回復装置が実行する、データ回復方法であって、データ回復装置が、
リモート・クロック成分が重畳されたデータを伝送する信号を前記遅延手段に入力するステップと、
入力された前記信号と、ローカル・クロックとの間の位相情報を検出するステップと、
前記位相情報に応じて前記遅延手段の遅延量を制御し、前記信号に遅延をかけるステップと、
前記遅延量が前記遅延手段の前記可変範囲に収まっている間、遅延がかけられた前記信号を前記ローカル・クロックに同期して標本化し、前記信号により伝送される前記データを回復するステップと
を実行する、データ回復方法。 - 遅延量の所定の可変範囲を有する遅延手段を備える信号処理装置が実行する、信号処理方法であって、
位相成分を含む信号を前記遅延手段に入力するステップと、
入力された前記信号と、当該信号処理装置側で準備されたローカル基準出力との間の位相情報を検出するステップと、
前記位相情報に応じて前記遅延手段の遅延量を制御し、前記信号に遅延をかけるステップと、
前記遅延量が前記遅延手段の前記可変範囲に収まっている間、前記ローカル基準出力に同調させられた信号を処理するステップと
を実行する、信号処理方法。 - リモート・クロック成分が重畳されたデータを伝送する信号が入力される入力手段、
入力された前記信号に遅延をかける遅延手段、
入力された前記信号と、ローカル・クロックとの間に検出される位相情報に応じて前記遅延手段の遅延量を制御する遅延制御手段、および
前記遅延量が前記遅延手段の可変範囲に収まっている間、遅延がかけられた前記信号を前記ローカル・クロックに同期して標本化し、前記信号により伝送される前記データを回復する標本化手段
を含む回路構成をプログラマブル・デバイス上に実現し、該プログラマブル・デバイスを前記手段各々として機能させるためのプログラム。 - 請求項12に記載のプログラムを格納したデバイス可読な記録媒体。
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WO2023233523A1 (ja) * | 2022-05-31 | 2023-12-07 | 日本電信電話株式会社 | 光送受信器 |
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2012
- 2012-07-24 JP JP2012163609A patent/JP2014027333A/ja active Pending
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