JP2014025808A - 温度センサ及び温度センサ付きコイル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 渦巻き状の平面コイルの温度を測定するための温度センサ1であって、絶縁性フィルム2と、該絶縁性フィルム2上にサーミスタ材料でパターン形成された薄膜サーミスタ部3と、薄膜サーミスタ部の上に形成された一対のパターン電極4とを備え、絶縁性フィルムが、平面コイルの外形状と略同じ外形状に形成されていると共に平面コイル上に中心を同じくして設置され、薄膜サーミスタ部が、平面コイルの直上に配されて平面コイルの周方向に沿った環状に形成されている。
【選択図】図1
Description
すなわち、非接触充電装置や非接触給電装置における平面コイルに温度センサを密着させて配置する場合、温度センサがリードタイプのチップサーミスタ等であると、温度検出素子自体に体積があると共に平面コイル等に密着している面積が小さいので、平面コイル全体の正確な温度を測定できないと共に応答性も低いという不都合があった。また、平面コイル表面に凹凸が生じてしまい、ケース内等の狭い空間への収納がし難くなると共に場所の確保が困難になる問題もあった。
すなわち、この温度センサでは、薄膜サーミスタ部の内径が、平面コイルの内径以上であるので、導電性を有する薄膜サーミスタ部が、平面コイルの内側を通る磁束を妨げることがない。
すなわち、この温度センサでは、薄膜サーミスタ部の外径が、平面コイルの外径以下であるので、導電性を有する薄膜サーミスタ部が、平面コイルの外側を通る磁束を妨げることがない。
すなわち、この温度センサでは、一対のパターン電極が、薄膜サーミスタ部の外周に沿って円弧状に延在し互いに対向した一対の櫛型電極を有しているので、円環状のスペースを有効に使って櫛型電極が配されており、対向状態を周方向に沿って長く延在させることで、櫛部の本数を増やすことができる。これにより、過電流に対する信頼性の向上を図ることができると共に、抵抗値調整を行い易くなる。また、周方向に沿った電極部分を太く設定することができ、電極抵抗を小さくすることも可能である。
すなわち、この温度センサでは、一対の櫛型電極が、薄膜サーミスタ部の略全周にわたって延在しているので、周方向の略全体にわたって温度測定ができると共に、最大限にスペースを利用して多数の櫛部を配することができる。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、薄膜サーミスタ部が、一般式:TixAlyNz(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であるので、非焼成で良好なB定数が得られると共に高い耐熱性を有している。
また、上記「y/(x+y)」(すなわち、Al/(Ti+Al))が0.95をこえると、抵抗率が非常に高く、きわめて高い絶縁性を示すため、サーミスタ材料として適用できない。
また、上記「z」(すなわち、N/(Ti+Al+N))が0.4未満であると、金属の窒化量が少ないため、ウルツ鉱型の単相が得られず、十分な高抵抗と高B定数とが得られない。
さらに、上記「z」(すなわち、N/(Ti+Al+N))が0.5を超えると、ウルツ鉱型の単相を得ることができない。このことは、ウルツ鉱型の単相において、窒素サイトにおける欠陥がない場合の正しい化学量論比は、N/(Ti+Al+N)=0.5であることに起因する。
なお、MoCoFe系材料に比べてTiAlN系材料は、磁気特性が弱く、平面コイルからの磁束の影響を受け難く、サーミスタ特性が安定している。
すなわち、この温度センサ付きコイルでは、上記本発明の温度センサが、平面コイル上に中心を同じくして設置されているので、凹凸が少ないと共に外形状を大きく変えることなく平面コイルの温度を高精度かつ高応答性で得ることが可能である。
すなわち、本発明に係る温度センサ及び温度センサ付きコイルによれば、絶縁性基板が、平面コイルの外形状と略同じ外形状に形成されていると共に平面コイル上に中心を同じくして設置され、薄膜サーミスタ部が、平面コイルの直上に配されて平面コイルの周方向に沿った環状に形成されているので、収納がし易く、場所の確保もし易いと共に、温度計測の応答性が高く、平面コイルの精密な温度測定が可能である。
このように、本発明では、平面コイルの温度を高精度にかつ高応答性で測定でき、異常加熱を防止して高い安全性を確保することが可能になると共に、高い収納性を得ることができる。
上記薄膜サーミスタ部3は、平面コイル11の直上に配されて平面コイル11の周方向に沿った環状に形成されている。すなわち、薄膜サーミスタ部3は、絶縁性フィルム2の周方向に沿った円環状に形成されている。
したがって、絶縁性フィルム2と薄膜サーミスタ部3とは、いわゆる平面視ドーナツ状とされている。
また、この温度センサ1は、薄膜サーミスタ部3上に櫛型電極4aも覆って形成された保護膜5と、一対の櫛型電極4aの端部に一端がはんだ材6で接合された一対のリード線7とを備えている。
上記コイル本体12は、平面コイル11が設置された設置台13と、該設置台13に設けられていると共に平面コイル11に接続配線14aで接続されて非接触充電時における充電制御等を行う回路基板14を備えている。
なお、本実施形態では、温度センサ1が、絶縁性フィルム2の裏面で平面コイル11上に接着剤で接着固定されている。
また、一対のパターン電極4は、互いに対向状態に配した櫛形パターンの上記一対の櫛型電極4aと、これら櫛型電極4aに先端部が接続され基端部が絶縁性フィルム2の外縁部に配されて延在した一対の直線延在部4bとを有している。
上記保護膜5は、絶縁性の樹脂膜等であって、例えばエポキシ系の樹脂材料を印刷して形成されたものである。
なお、上記点A,B,C,Dの各組成比(x、y、z)(原子%)は、A(15、35、50),B(2.5、47.5、50),C(3、57、40),D(18、42、40)である。
なお、膜の表面に対して垂直方向(膜厚方向)にa軸配向(100)が強いかc軸配向(002)が強いかの判断は、X線回折(XRD)を用いて結晶軸の配向性を調べることで、(100)(a軸配向を示すミラー指数)と(002)(c軸配向を示すミラー指数)とのピーク強度比から、「(100)のピーク強度」/「(002)のピーク強度」が1未満であることで決定する。
この温度センサ1の製造方法は、絶縁性フィルム2上に薄膜サーミスタ部3をパターン形成する薄膜サーミスタ部形成工程と、互いに対向した一対の櫛型電極4aを薄膜サーミスタ部3上に配して絶縁性フィルム2上に一対のパターン電極4をパターン形成する電極形成工程と、薄膜サーミスタ部3上にパターン電極4を覆って保護膜5を形成する保護膜形成工程と、リード線用の引き出し部8としてめっき膜を形成するめっき膜形成工程と、絶縁性フィルム2をレーザ加工により円形に切断すると共に中央に孔部2aを形成する切断工程と、パターン電極4の端部にリード線7を接合するリード線接合工程とを有している。
次に、成膜した電極層の上にレジスト液をバーコーターで塗布した後、110℃で1分30秒プリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、150℃で5分のポストベークにてパターニングを行う。その後、不要な電極部分を市販のAuエッチャント及びCrエッチャントの順番でウェットエッチングを行い、図5に示すように、レジスト剥離にて所望のパターン電極4を形成する。
さらに、図9に示すように、リード線7をはんだ材6で接合する。
このように作製した温度センサ1を、図2に示すように、中心を平面コイル11と同じくして、温度センサ1の裏面(絶縁性フィルム2の裏面)と平面コイル11とを接着剤にて固定することで、温度センサ付きコイル10が作製される。
このように本実施形態の温度センサ付きコイル10では、上記温度センサ1が、平面コイル11上に中心を同じくして設置されているので、凹凸が少ないと共にコイルの外形状を大きく変えることなく平面コイル11の温度を高精度かつ高応答性で得ることが可能である。
また、この金属窒化物材料では、膜の表面に対して垂直方向に延在している柱状結晶であるので、膜の結晶性が高く、高い耐熱性が得られる。
さらに、この金属窒化物材料では、膜の表面に対して垂直方向にa軸よりc軸を強く配向させることで、a軸配向が強い場合に比べて高いB定数が得られる。
また、反応性スパッタにおけるスパッタガス圧を、0.67Pa未満に設定することで、膜の表面に対して垂直方向にa軸よりc軸が強く配向している金属窒化物材料の膜を形成することができる。
また、第2実施形態では、一対のパターン電極24における櫛型電極24aが、薄膜サーミスタ部3の略全周にわたって延在している点でも第1実施形態と異なっている。
この後、第1実施形態と同様に、図13に示すように、保護膜5を形成し、さらに図14に示すように、引き出し部8を形成する。そして、図15に示すように、レーザ光により平面視ドーナツ状に切断し、さらに図16に示すように、はんだ材6でリード線7を接合した後、図10に示すように、接続保護部9を形成して温度センサ21を作製する。
なお、第2実施形態の温度センサ付きコイル20は、図11に示すように、第1実施形態と同様に、温度センサ21の裏面と平面コイル11とを接着剤にて固定することで作製される。
本発明のサーミスタ材料層(薄膜サーミスタ部3)の評価を行う実施例及び比較例として、図17に示す膜評価用素子121を次のように作製した。
まず、反応性スパッタ法にて、様々な組成比のTi−Al合金ターゲットを用いて、Si基板Sとなる熱酸化膜付きSiウエハ上に、厚さ500nmの表1に示す様々な組成比で形成された金属窒化物材料の薄膜サーミスタ部3を形成した。その時のスパッタ条件は、到達真空度:5×10−6Pa、スパッタガス圧:0.1〜1Pa、ターゲット投入電力(出力):100〜500Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において、窒素ガス分率を10〜100%と変えて作製した。
なお、比較としてTixAlyNzの組成比が本発明の範囲外であって結晶系が異なる比較例についても同様に作製して評価を行った。
(1)組成分析
反応性スパッタ法にて得られた薄膜サーミスタ部3について、X線光電子分光法(XPS)にて元素分析を行った。このXPSでは、Arスパッタにより、最表面から深さ20nmのスパッタ面において、定量分析を実施した。その結果を表1に示す。なお、以下の表中の組成比は「原子%」で示している。
反応性スパッタ法にて得られた薄膜サーミスタ部3について、4端子法にて25℃での比抵抗を測定した。その結果を表1に示す。
(3)B定数測定
膜評価用素子121の25℃及び50℃の抵抗値を恒温槽内で測定し、25℃と50℃との抵抗値よりB定数を算出した。その結果を表1に示す。
B定数(K)=ln(R25/R50)/(1/T25−1/T50)
R25(Ω):25℃における抵抗値
R50(Ω):50℃における抵抗値
T25(K):298.15K 25℃を絶対温度表示
T50(K):323.15K 50℃を絶対温度表示
反応性スパッタ法にて得られた薄膜サーミスタ部3を、視斜角入射X線回折(Grazing Incidence X-ray Diffraction)により、結晶相を同定した。この薄膜X線回折は、微小角X線回折実験であり、管球をCuとし、入射角を1度とすると共に2θ=20〜130度の範囲で測定した。一部のサンプルについては、入射角を0度とし、2θ=20〜100度の範囲で測定した。
なお、表1に示す比較例1,2は、上述したように結晶相がウルツ鉱型相でもNaCl型相でもなく、本試験においては同定できなかった。また、これらの比較例は、XRDのピーク幅が非常に広いことから、非常に結晶性の劣る材料であった。これは、電気特性により金属的振舞いに近いことから、窒化不足の金属相になっていると考えられる。
なお、同じ成膜条件でポリイミドフィルムに成膜しても、同様にウルツ鉱型相の単一相が形成されていることを確認している。また、同じ成膜条件でポリイミドフィルムに成膜しても、配向性は変わらないことを確認している。
また、a軸配向が強い実施例のXRDプロファイルの一例を、図21に示す。この実施例は、Al/(Ti+Al)=0.83(ウルツ鉱型、六方晶)であり、入射角を1度として測定した。この結果からわかるように、この実施例では、(002)よりも(100)の強度が非常に強くなっている。
表2及び図23に示すように、Al/(Ti+Al)比がほぼ同じ比率のものに対し、基板面に垂直方向の配向度の強い結晶軸がc軸である材料(実施例5,7,8,9)とa軸である材料(実施例19,20,21)とがある。
次に、薄膜サーミスタ部3の断面における結晶形態を示す一例として、熱酸化膜付きSi基板S上に成膜された実施例(Al/(Ti+Al)=0.84,ウルツ鉱型、六方晶、c軸配向性が強い)の薄膜サーミスタ部3における断面SEM写真を、図24に示す。また、別の実施例(Al/(Ti+Al)=0.83,ウルツ鉱型六方晶、a軸配向性が強い)の薄膜サーミスタ部3における断面SEM写真を、図25に示す。
これら実施例のサンプルは、Si基板Sをへき開破断したものを用いている。また、45°の角度で傾斜観察した写真である。
表3に示す実施例及び比較例において、大気中,125℃,1000hの耐熱試験前後における抵抗値及びB定数を評価した。その結果を表3に示す。なお、比較として従来のTa−Al−N系材料による比較例も同様に評価した。
これらの結果からわかるように、Al濃度及び窒素濃度は異なるものの、Ta−Al−N系である比較例と同じB定数で比較したとき、耐熱試験前後における電気特性変化でみたときの耐熱性は、Ti−Al−N系のほうが優れている。なお、実施例5,8はc軸配向が強い材料であり、実施例21,24はa軸配向が強い材料である。両者を比較すると、c軸配向が強い実施例の方がa軸配向が強い実施例に比べて僅かに耐熱性が向上している。
例えば、上記各実施形態では、上記TiAlNの薄膜サーミスタ部が好ましいが、他のサーミスタ材料で形成された薄膜サーミスタ部を採用しても構わない。また、薄膜サーミスタ部の上にパターン電極を形成しているが、薄膜サーミスタ部の下にパターン電極を形成しても構わない。
Claims (7)
- 渦巻き状の平面コイルの温度を測定するための温度センサであって、
フィルム状又は薄板状の絶縁性基板と、
該絶縁性基板上にサーミスタ材料でパターン形成された薄膜サーミスタ部と、
少なくとも前記薄膜サーミスタ部の上又は下に形成された一対のパターン電極とを備え、
前記絶縁性基板が、前記平面コイルの外形状と略同じ外形状に形成されていると共に前記平面コイル上に中心を同じくして設置され、
前記薄膜サーミスタ部が、前記平面コイルの直上に配されて前記平面コイルの周方向に沿った環状に形成されていることを特徴とする温度センサ。 - 請求項1に記載の温度センサにおいて、
前記平面コイルの外形状が円形であり、
前記薄膜サーミスタ部の内径が、前記平面コイルの内径以上であることを特徴とする温度センサ。 - 請求項1又は2に記載の温度センサにおいて、
前記平面コイルの外形状が円形であり、
前記薄膜サーミスタ部の外径が、前記平面コイルの外径以下であることを特徴とする温度センサ。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の温度センサにおいて、
前記平面コイルの外形状が円形であり、
前記一対のパターン電極が、前記薄膜サーミスタ部の外周に沿って円弧状に延在し互いに対向した一対の櫛型電極を有していることを特徴とする温度センサ。 - 請求項4に記載の温度センサにおいて、
前記一対の櫛型電極が、前記薄膜サーミスタ部の略全周にわたって延在していることを特徴とする温度センサ。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載の温度センサにおいて、
前記薄膜サーミスタ部が、一般式:TixAlyNz(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であることを特徴とする温度センサ。 - 渦巻き状の平面コイルと、
請求項1から6のいずれか一項に記載の温度センサとを備え、
該温度センサが、前記平面コイル上に中心を同じくして設置されていることを特徴とする温度センサ付きコイル。
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JP2004087068A (ja) * | 2002-07-04 | 2004-03-18 | Fujitsu Ltd | 複合光学ヘッドおよびこれを用いた光ディスク装置 |
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