JP2014025718A - 電流センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】電流路に流れる電流により発生する磁界を検出する高速応答性を向上させ信頼性の高い電流センサを提供する。
【解決手段】電流センサ1は、センサ本体2とセンサ本体2に固定されるシールド3とから構成され、センサ本体2とシールド3との間に電流路4を配置して、電流路4に流れる電流を検出する。シールド3は、センサ本体2の側部にそれぞれ嵌合する嵌合部31と、嵌合部31に対して略直角方向に延在する平坦部32と、を備え、シールド3の平坦部32の各端部33同士は、対向してかつ離間してセンサ本体2の下部に配置固定される。従って、平坦部32により電流路4の一部を覆い隠している。これにより、電流路に発生する渦電流を抑制して磁気検出素子が検出する磁界位相の遅れを解消している。
【選択図】図1

Description

本発明は、シールドを備えた電流センサに関する。
自動車の車載バッテリと車両電装品とを接続する電流路(例えば、バスバー、等)に流れる電流を検出する電流センサは知られている。この種の電流センサの一例を図7(a)及び図7(b)に示す(特許文献1参照)。
図7(a)及び図7(b)は、従来の電流センサを示し、図7(a)は分解斜視図、図7(b)は要部の拡大縦断面図である。電流センサ100は、センサ本体200とセンサ本体200に固定されるシールド300とから構成され、センサ本体200とシールド300との間に電流路400を配置して、電流路400に流れる電流を検出している。電流は、センサ本体200に取り付けられた基板210に実装される磁気検出素子220により磁気強度を検出し、それに相当する電圧を出力することにより測定される。シールド300は略「コ」字状を成し、電流路400の裏面を完全に包囲している(図7(b)参照)。この構成により、磁気歪み発生が無く信頼度の高い電流センサが実現できることが開示されている。
特開2010−223868号公報
特許文献1に記載される電流センサ100においては、特にシールド300が、電流センサ100の取り付け部分において、電流路400を裏面から完全に覆っている。このため、電流路400に流れる電流により生じる渦電流が発生し、磁気検出素子220で検出する磁界の位相が電流の位相より遅れる欠点がある。特に高い周波数の大電流ではそれが顕著となり、高速応答性に対する要求に合致しない問題を生じていた。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電流路に流れる電流により発生する磁界を検出する高速応答性を向上させ信頼性の高い電流センサを提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る電流センサは、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1) 電流が流れる電流路に設置される電流センサであって、
基板と、前記基板に実装される磁気検出素子と、を有するセンサ本体と、
一対のシールドと、
を備え、
前記一対のシールドは、前記センサ本体の両側に前記電流路を取り囲むようにそれぞれ固定され、該シールドの各端部は離間して配置されていること。
(2) 上記(1)の構成の電流センサであって、
前記シールドは、平板状の嵌合部と、前記嵌合部に対して略直角方向に該嵌合部に延在された平板状の平坦部と、から成り、
前記嵌合部は、前記センサ本体に固定され、
前記平坦部は、前記電流路の一部を覆い、且つ、該平坦部の各端部が離間して配置されていること。
(3) 上記(2)の構成の電流センサであって、
前記平坦部のそれぞれが前記嵌合部から延在される長さが同じであること。
上記(1)の電流センサによれば、電流路に発生する渦電流を抑制して磁気検出素子が検出する磁界位相に発生する遅れが抑制される。これにより、特に、高速応答性の良い電流センサを提供できる。
上記(2)の電流センサによれば、電流路の断面における均一な電流密度分布が得られ磁気検出素子の応答性が向上する。
上記(3)の電流センサによれば、残留磁界が抑制されオフセット誤差を低減できる。
本発明によれば、シールドを一対とし該シールドの各端部を離間させたことにより、従来技術で発生する渦電流を抑制して磁気検出素子の検出する磁界の位相遅れを解消し、応答性の向上を図り、特に高速応答性に優れた電流センサを提供できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、本発明に係る電流センサの一実施形態を示す分解斜視図である。 図2は、図1に係る電流センサの横断面図である。 図3(a)は図1に係る電流センサの縦断面図、図3(b)はシールドの平坦部の長さと位相差との関係を示したグラフである。 図4(a)はシールドのない場合の電流路に発生する磁界を示す説明図、図4(b)は本発明のシールドを備えた場合の磁界を示す説明図である。 図5(a)は従来技術の構成と本発明の実施形態による90%―90%応答時間の比較グラフ、図5(b)は90%―90%応答時間を説明するためのグラフである。 図6は、電流値と磁束密度における性能を示すグラフである。 図7は、従来技術の電流センサを示し、図7(a)は分解斜視図、図7(b)は縦断面図である。
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態である電流センサを説明する。
図1は電流センサ1の分解斜視図であり、図2は電流センサ1の横断面図である。電流センサ1は、センサ本体2と、センサ本体2に固定されるシールド3とから構成され、センサ本体2とシールド3との間に電流路4を配置して、電流路4に流れる電流を検出する。電流センサ1は、例えば、自動車の車載バッテリと車両電装品とを接続する電流路に取り付けられる。
センサ本体2は、絶縁性の合成樹脂等によって成形された筺体に、回路等が実装される基板21が収容されている。基板21には、磁気検出素子22が実装されている。磁気検出素子22は、電流路4で生じる磁界を測定する素子であり、例えば、磁場の中のキャリアが受けるローレンツ力による生じるホール効果を利用した半導体ホール素子やアモルファス磁性体による磁気インピーダンス効果を利用した磁気インピーダンス素子、等である。電流センサ1は、基板21に実装された増幅回路等を介して、磁気検出素子22で検出された磁界に比例した値の電圧値を出力する。
シールド3は、例えば、パーマロイやケイ素鋼板などの高透磁率の材料からなり、略L字状の薄板で形成されている。また、シールド3は、左右一対であり、センサ本体2の両側にそれぞれ固定されている。シールド3の組み付け手順は、電流路4をセンサ本体2の下部に取り付けた後、電流路4を取り囲むようにシールド3をセンサ本体2の下部に取り付けるものである。また、シールド3は、センサ本体2を形作る筐体の側部にそれぞれ嵌合する嵌合部31と、嵌合部31に対して略直角方向に延在する平坦部32と、を備えている。そして、シールド3の各平坦部32は、同一平面上に配置され、平坦部32の各端部33同士は、対向してかつ離間してセンサ本体2の下部(図2参照。)に配置固定される。従って、平坦部32により電流路4の一部を覆い隠している。換言すれば、シールド3は電流路4を裏面から完全に包囲しておらず、開口部分(スリット)を備えていると言える。
電流路4は、交流電流等が流れる平板状に形成されたバスバーや導体などであり、センサ本体2下部(図2参照。)に取り付けられる。
図3(a)は、電流センサ1の要部を拡大した縦断面図である。図3(b)は、平坦部32の長さLと位相差との関係を示したグラフである。図3(a)左側のシールド3を第1シールド3A、図面右側のシールド3を第2シールド3Bとして説明する。
第1シールド3Aの平坦部32Aの長さをLAとし、第2シールド3Bの平坦部32Bの長さをLBとする。また、第1シールド3Aの端面と第2シールド3Bの端面との距離をWとする。本実施形態では、LA=LBである。この平坦部32の長さL(LA、LB)を変更することにより位相差の最適状態を見いだすことができる。交流電流を流すと電流路4に渦電流が発生し、磁気検出素子22の検出する磁界の位相が、電流路4に流れる電流の位相より遅れるが、平坦部32の長さLを調整してこの位相の遅れを解消することが可能である。
図3(b)に示されるグラフは、縦方向に位相差を取り、横方向に平坦部32の長さLを取り、長さLによる中心磁場位相の変化(曲線グラフ参照)の測定結果をグラフ化したものである。位相差の遅れがない点を0°(磁気検出素子22の応答性が良い)とし、曲線と位相差0°の直線との交点における平坦部32の長さLを最適値、曲線の最大値における平坦部32の長さLをMAXとしている。このグラフから、平坦部32の長さLを最適値からMAXまでの範囲とすることが適切(可能範囲)であることが理解される。またグラフから、平坦部32の長さLと応答性の改善効果との間には、強い相関関係が存在していると言える。従って、使用する周波数と最大ピーク電流に基づいて、長さLを調整すれば、最適な位相制御設計を行うことが可能である。
図4(a)及び図4(b)は、本発明のシールド3により磁界がどのように変化しているかを示す説明図である。
電流路4に正弦交流の電流Aが矢印方向(図面手前から後方へ)に進行すると、時間に対する電流の大きさの変化率に応じた強さの磁界Mが発生し、磁界Mの周りに渦電流Qが発生する。磁界Mは、電流Aが交流の場合は時間と共に大きさと方向とが変化を繰り返す交番磁界となる。図4(a)に示されるように電流路4の周囲にシールド3が無いと残留磁界が発生し、磁気検出素子22の検出に遅れを生じる原因となる。一方、電流路4の周辺にシールド3A、3Bを設け(図4(b)参照)、シールド3A、3Bの平坦部32A、32Bを電流路4の中心方向に延在させると、平坦部32Aの端部33Aから他方の平坦部32Bの端部33Bに磁界Nが発生する。この磁界Nが電流路4を横切るとき、電流路4で発生した磁界Mとの間で磁界の打ち消し合いが生じる結果、残留磁界を抑制して渦電流の発生を防止することができる。また、電流路4の断面における電流密度分布も均一にすることが可能となり、磁気検出素子22の検出応答の遅延が解消される。尚、一方向のみの説明をしたが、交流の場合は、短時間に磁界の向きが交互に入れ替わる。
図5(a)は、従来技術の構成と本発明の実施形態による、電流が100A/μsのスルーレートで変動する時の90%―90%応答時間(μs)の比較グラフである。90%―90%応答時間とは、図5(b)に示す通り、電流路4に流れる電流(入力電流)出力90%に対して、それに対応する磁界に比例した電圧値(出力電圧90%)が磁気検出素子22で測定される応答時間のことである。図5(a)に基づく実測結果では、従来技術の応答時間60μsから本発明の応答時間6μs(応答時間6μsは、実測に用いた磁気検出素子の理論値。)に改善(約90%改善)され、シールド3の構成による効果が明らかに現れており、電流の変動が速くなっても磁気検出素子22の応答性が向上し、特に高速応答性を確保できている。
図6は、電流値と磁束密度における性能を示すグラフである。
図6のグラフでは、縦軸に磁束密度(mT)を取り、横軸に電流(A)を取っている。このグラフから理解されると通り、電流(A)が大きくなると磁気飽和が発生しやすくなる(曲線参照)が、本発明では高い周波数の大電流が流れても磁気飽和の発生を抑え、線形性が維持される区間(線形区間)を拡張することができる。図6における磁束密度(mT)と電流(A)の間で線形性が認められる区間は、図3(b)を参照して説明した平坦部32の長さLに左右される。平坦部32の長さがMAXに近づくほど、拡張された線形区間は0まで縮まる。このように、図6においても、本発明のシールド構成の効果が顕著であることがわかる。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
1 電流センサ
2 センサ本体
3 シールド
4 電流路
21 基板
22 磁気検出素子
31 嵌合部
32 平坦部
33 端部

Claims (3)

  1. 電流が流れる電流路に設置される電流センサであって、
    基板と、前記基板に実装される磁気検出素子と、を有するセンサ本体と、
    一対のシールドと、
    を備え、
    前記一対のシールドは、前記センサ本体の両側に前記電流路を取り囲むようにそれぞれ固定され、該シールドの各端部は離間して配置されていることを特徴とする電流センサ。
  2. 前記シールドは、平板状の嵌合部と、前記嵌合部に対して略直角方向に該嵌合部に延在された平板状の平坦部と、から成り、
    前記嵌合部は、前記センサ本体に固定され、
    前記平坦部は、前記電流路の一部を覆い、且つ、該平坦部の各端部が離間して配置されていることを特徴とする請求項1に記載した電流センサ。
  3. 前記平坦部のそれぞれが前記嵌合部から延在される長さが同じであることを特徴とする請求項2に記載した電流センサ。
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