JP2014025666A - 蓄熱装置 - Google Patents

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Teruaki Sukeoka
輝明 祐岡
Ryosuke Shiono
涼介 塩野
Kazue Ueno
和重 上野
Yasuo Kondo
康雄 近藤
Keisuke Aso
恵祐 麻生
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Abstract

【課題】蓄熱材を確実に凝固させて発熱させる蓄熱装置を提供することを目的とする。
【解決手段】相変化によって熱を蓄え、過冷却状態を凝固状態とすることで発熱する蓄熱材Mを用いた蓄熱装置において、前記蓄熱材Mが貯留される貯留部12と、前記貯留部12内に配置されると共に、該貯留部12内に貯留される蓄熱材Mに対して常には非接触状態とされ、かつ該蓄熱材Mを凝固化する際にだけ接触するようにされた発核部14とからなり、前記発核部14は、その表面に前記蓄熱材Mが凝固した凝固化蓄熱材が露出するよう構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば自動車エンジン等の駆動機関の駆動によって発生する熱を利用して、該駆動機関の作動を熱的に補助して、その作動効率等を向上させる蓄熱装置に関する。
例えば、酢酸ナトリウム3水和物(CH3COONa・3H2O)等の相変化に伴って蓄熱・発熱する作用を用いる熱交換機構が従来から知られている。このような熱交換機構において確実に発熱(潜熱を放出)させるためには、潜熱材たる酢酸ナトリウム等が、確実に相変化する必要がある。
このように相変化を確実に起こし得るものとして、下記する特許文献1および2が挙げられる。
特許文献1には、摺動摩擦力を付与することで、蓄熱材の過冷却状態を解除する手段が開示されている。
また特許文献2には、蓄熱材内に設けた電極に電圧をかけて過冷却状態を解除する手段が開示されている。
実開平3−96335公報 特開昭61−204293号公報
しかし、特許文献1に開示の手段では、複雑な機械機構が必要であり、また該機構の劣化等の問題が指摘される。一方、特許文献2に開示の手段では、金属電極が電圧印可によって腐食等を起こして、作動不良が発生する等の問題が指摘される。
本発明は上述の各種問題を解決するために案出されたもので、相変化による蓄熱材を利用する装置において、過冷却状態にある蓄熱材の相変化を確実に生じさせて発熱させる蓄熱装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1記載の蓄熱装置は、相変化によって熱を蓄え、過冷却状態を凝固状態とすることで発熱する蓄熱材を用いた蓄熱装置において、
前記蓄熱材が貯留される貯留部と、
前記貯留部内に配置されると共に、該貯留部内に貯留される蓄熱材に対して常には非接触状態とされ、かつ該蓄熱材を凝固化する際にだけ接触するようにされた発核部とからなり、
前記発核部は、その表面に前記蓄熱材が凝固した凝固化蓄熱材が露出するよう構成されていることを特徴とする。
また、本発明の請求項2記載の蓄熱装置は、前記発核部は、少なくとも前記凝固化蓄熱材と、樹脂成分とからなり、該凝固化蓄熱材が微細片として、樹脂成分内に分散していることを特徴とする。
本発明の蓄熱装置によれば、凝固化蓄熱材と、該蓄熱材とを直接接触させることで、該蓄熱材の凝固を確実に誘発できる。
また、本発明の蓄熱装置によれば、接触によって前記蓄熱材の凝固を確実に誘発する凝固化蓄熱材を微細片として樹脂成分中に分散させているので、該凝固化蓄熱材SMと蓄熱材との接触をより確実なものとできる。
本発明の好適な実施例に係る蓄熱装置を用いたオイルフィルターの縦断断面図。 実施例に係る蓄熱装置における発核部の先端部分を拡大して断面で示す模式図。 実施例に係る蓄熱装置における発核部の作動状態を示す説明図。 実施例に係る蓄熱装置における発核部の凝固化蓄熱材が抜けた状態を示す状態図。 変更例に係る蓄熱装置における発核部の概略図。
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。実施例に係る蓄熱装置は、自動車のエンジンルーム内に配置されるものであって、エンジンに備えられるオイルフィルターの外側の略全体を覆っている。そしてエンジン稼働時には、暖まったエンジンオイルの熱をオイルフィルター越しに受けて蓄熱し、エンジン停止後で一定時間経過後のエンジン冷寒時には、蓄熱状態にある蓄熱材を凝固させて発熱させることで、エンジン始動時の環境負荷の低減等をなし得るものである。
実施例に係る蓄熱装置10は、図1に示す如く、自動車のエンジンに備えられるオイルフィルターFの外側の略全体を覆う形とされている。そして前記蓄熱装置10は、前記オイルフィルターFに隣接した位置に蓄熱材Mを貯留する貯留部12と、該貯留部12に貯留された蓄熱材Mに対して常には非接触状態にあって、該蓄熱材Mを凝固(安定・発熱)させる際にだけ接触状態となる発核部14とから基本的に構成される。
なお、本実施例においてオイルフィルターFは、エンジンの下方に対して突出した形で備えられている。また図1中に二点鎖線で表示される矢印は、エンジン稼働中のエンジンオイルの流れを表している。
前記蓄熱装置10は、前述した通り、オイルフィルターFの外側の略全体を覆う、一方に開口した円筒形状をしている。そして、前記貯留部12は、そのオイルフィルターFの外側に隣接した部位に蓄熱材Mを貯留するように構成されている。
また、オイルフィルターFから熱を効率的に受け取り、かつ蓄熱材Mが発した熱を効率的にオイルフィルターF(内に貯留・流通するエンジンオイル)に伝達するため、該貯留部12における該オイルフィルターF側は、該オイルフィルターFに接触すると共に、その厚みが薄く設定されている。
一方、前記貯留部12において(外気に触れる)外側は、熱を外部に逃がさないように断熱構造とされると共に、自動車走行時に飛び石等が当たることを考慮して、その厚みが厚く設定されている。
更に、上述の機能を向上させるべく、その材質を適宜好適なものとしてもよい。具体的には、前記蓄熱装置10において、オイルフィルターFを覆う側の材質は熱伝導率の高いもの、外側は熱伝導率が低いものが挙げられる。
なお、前記オイルフィルターFが「オイルを冷却する」機能を備える場合、この機能に合わせて前記貯留部12において外側を非断熱構造としてもよい。
前記蓄熱材Mとしては、過冷却状態を凝固(安定)状態とすることで発熱する蓄熱材であれば何れも使用できる。代表的なものとして、酢酸ナトリウム3水和物、メソ−エリスリトール、チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。また、過冷却状態時の性状は、一般的には液体であるが、これに限定されず、例えばみぞれ状の固体−液体が共存する状態のものも採用可能である。
前記発核部14は、図2示す如く、その全体のマトリクスとなる樹脂成分Pと、該樹脂成分P内に微細片として分散して、その一部が外部に露出するようにされた凝固化蓄熱材SMとから基本的に構成される。前記凝固化蓄熱材SMは、前記蓄熱材Mが凝固(安定)化したものである。また前記蓄熱材Mが水和物であれば、その無水物も凝固化蓄熱材SMとして採用可能である。
なお、図2において凝固化蓄熱材SMと、樹脂成分Pとは、何れも模式的に示したものであるため、その分散度合いや、存在量および形状等は実際とは異なる。
また前記発核部14は、常には前記貯留部12に貯留される蓄熱材Mの表面から上方に充分に離間して、非接触状態とされている(図1参照)。そして、前記蓄熱材Mを凝固させて発熱させたい場合に、図3に示す如く、前記発核部14を該蓄熱材Mの存在する高さ(液面)まで下降させて、該発核部14と蓄熱材Mとを接触させる。
前記発核部14と蓄熱材Mとを接触させることで、その瞬間に該発核部14の表面に露出した凝固化蓄熱材SMが蓄熱材Mと接触し、これによって蓄熱材Mの凝固(発熱)が開始される。
そして、前記発核部14と蓄熱材Mとが接触した直後に、該発核部14は元の位置に復帰する。前記発核部14には、凝固化蓄熱材SMが露出しているために、瞬間的であっても前記蓄熱材Mは確実に凝固(発熱)を開始する。
前記発核部14は、瞬間的に蓄熱材Mに接触した後、直ちに上昇して元の位置に復帰するため、貯留部12に貯留していた蓄熱材Mが該発核部14に残留することもない。前記発核部14に凝固した蓄熱材Mが残留すると、その後に該発核部14から凝固した蓄熱材Mが落ちる虞があるが、これを回避し得る。すなわち、自動車・オイルフィルターFの振動・動きや、発核部14の作動等によって、凝固した蓄熱材Mに落ちることがないため、意図せず貯留部12に貯留された過冷却状態の蓄熱材Mが凝固(発熱)することがない。
また前記発核部14は、図1および図3から明らかなように、その形状が先細り(図1および図3において下方の先端に向かって細くなっている)ために、形状的にも蓄熱材Mの残留を防止し得る効果がある。
前記凝固化蓄熱材SMの微細片の大きさとしては、前記樹脂成分Pに充分に混合して分散できるものであれば、如何なる寸法であっても用いることが可能である。好ましくは、その大きさにおいて最も大きな長さ寸法が1mm以下とされる。この寸法であれば、前記樹脂成分Pと凝固化蓄熱材SMとの相溶性、該樹脂成分Pの粘度等が如何なる数値であろうと、好適な分散が達成されるためである。
前記樹脂成分Pは、前記凝固化蓄熱材SMに対して化学的に安定であって、蓄熱装置10が発生させる熱や、オイルフィルターF(エンジンオイル)の熱に対して熱的に安定であるものが採用される。
また前記蓄熱材Mとして使用される物質が溶融する温度で、熱分解や可塑化しない物質が好適であり、更には前記蓄熱材Mに接触した際に、該蓄熱材Mが発核部14に残留しないように摩擦係数や離型性が高い素材が好ましい。
具体的に前記樹脂成分Pとしては、凝固化蓄熱材SMが液状化する温度以下、例えば酢酸ナトリウム3水和物の場合、融点が58℃であるため、この温度以下の50℃程度以下に融点を有するような各種樹脂や、二液混合硬化型の(混合前は液状である)樹脂が好適である。
このような樹脂を用いない場合、樹脂溶融加熱時において樹脂成分P中に分散させる酢酸ナトリウム3水和物の如き凝固化蓄熱材SMが形状を保持できず、その結果、樹脂成分P内への分散が困難となる。
また凝固化蓄熱材SMとして無水酢酸ナトリウムを採用する場合、その融点が高いため(324℃)ポリプロピレン等の対薬品性が高く、機械的強度が高くかつ安価な物質が使用可能である。
また前記凝固化蓄熱材SMの前記樹脂成分Pに対する混合量は、該凝固化蓄熱材SMが樹脂成分Pの表面に露出するように設定される。従って、前記発核部14の製造が、樹脂成分Pに対して凝固化蓄熱材SMを混合してなされる場合には、該凝固化蓄熱材SMを樹脂成分Pの表面にだけ埋没させる場合に比較して、多量の凝固化蓄熱材SMが必要となる。
前記凝固化蓄熱材SMを、樹脂成分Pに対して単に混合する場合では、該凝固化蓄熱材SMが20重量%以上とされることで、該樹脂成分Pの表面に凝固化蓄熱材SMが充分に露出した状態となる。そして20重量%以上で、蓄熱材Mの凝固を確実に誘発し得ることが確認された。なお、その下限量は5重量%てあった。
なおこの数値は、使用される樹脂成分Pおよび凝固化蓄熱材SMの比重、相溶性等の数値によって変動する。
また、前記凝固化蓄熱材SMを、前記樹脂成分Pの表面に直接的に埋設させることで、該樹脂成分Pの表面に該凝固化蓄熱材SMを露出される場合には、凝固化蓄熱材SMが1重量%以上とされることで該樹脂成分Pの表面に凝固化蓄熱材SMが充分に露出した状態となり、蓄熱材Mの凝固を確実に誘発し得ることが確認された。
このように前記樹脂成分P内に分散される凝固化蓄熱材SMは、図2に示す如く、その大部分が該樹脂成分P内にその一部が埋没した状態となっているため、所謂アンカー効果を発揮することになり、該凝固化蓄熱材SMが樹脂成分P内から外れてしまうことがない。従って、自動車・オイルフィルターFの振動・動きや、発核部14の作動等によって、前記凝固化蓄熱材SMが、貯留部12に貯留された過冷却状態の蓄熱材M蓄熱材Mに落ちることがないため、意図せず該蓄熱材Mが凝固(発熱)することがない。
また前記発核部14を構成する樹脂成分Pは、前記凝固化蓄熱材SMが埋め込まれた形状を保持するため、重力に対して(この場合、下方に対して)受けとして作用する空隙も形成される。この場合、前記凝固化蓄熱材SMがエンジン等の熱によって液状化したとしても、図4に示す如く、その一部が該凝固化蓄熱材SMが抜けた跡の空隙14a内に残留することになる。
なお、重力に対して凝固化蓄熱材SM・蓄熱材Mの受けとして作用する空隙14aを意図的に形成するように発核部14を製造してもよい。
なお、エンジンが稼働中であって、エンジンオイルが加熱されている状態では、凝固(発熱)した前記蓄熱材Mは、オイルフィルターFから熱を供給される。そしてこの熱供給によって液状化する。
そしてその後、エンジンが停止して冷えてくると、これに伴って液状化した蓄熱材Mも徐々に冷却されて、最終的には過冷却状態に安定して再利用可能となる。
そして空隙14a内に残留している液状化した凝固化蓄熱材SM(蓄熱材M)は、エンジンが停止して冷えてくることに伴って冷却されて凝固化蓄熱材SMに戻り、次回の蓄熱材Mの凝固(発熱)に供される。
(変更例)
上記実施例では、蓄熱装置10は、オイルフィルターFに対して直接接触するようにされているが、本発明はこれに限定されず、オイルパン、ラジエター、冷却液リザーバータンクその他の冷寒時に熱を与えることで燃費向上、環境負荷低減等の有益な効果を奏する部位に適用可能である。
また上記実施例では、前記発核部14が先細り形状となっているが、本発明はこれに限定されない。具体的には、蓄熱材Mとの接触時に該発核部14に付着する該蓄熱材Mが、貯留されている蓄熱材Mに戻り易い形状、例えば図5に示す如く、下方(貯留部12)に向かって突出した半円形状(図5(a))や、テーパー形状(図5(b))といった形状や、はすの葉の形状も好適に採用可能である。
更に前記発核部14の表面に、フッ素樹脂やフッ素を被膜として設けることで、前記蓄熱材Mの付着を防止する方法も好適に採用可能である。
更に自動開閉式シャッターを用いて、前記発核部14を、前記貯留部12とは完全に隔離した状態にできるように構成してもよい。この場合、前記発核部14が作動するに際して、併せて自動開閉式シャッターが開放するように制御される。このような構造とすれば、発核部14と、貯留部12に貯留される蓄熱材Mとが、個別の空間に位置することになるので、該発核部14の非作動時に該発核部14から凝固化蓄熱材SMや、凝固した蓄熱材Mが過冷却状態にある蓄熱材Mに落ちることがない。
この他、蓄熱装置10自体を傾ける等して、蓄熱材Mが発核部14に接触させるようにしたり、または蓄熱材Mをポンプ、サイフォン等の移送手段を用いて発核部14に対して接触させるようにしてもよい。
12 貯留部
14 発核部
M 蓄熱材
P 樹脂成分
SM 凝固化蓄熱材

Claims (2)

  1. 相変化によって熱を蓄え、過冷却状態を凝固状態とすることで発熱する蓄熱材(M)を用いた蓄熱装置において、
    前記蓄熱材(M)が貯留される貯留部(12)と、
    前記貯留部(12)内に配置されると共に、該貯留部(12)内に貯留される蓄熱材(M)に対して常には非接触状態とされ、かつ該蓄熱材(M)を凝固化する際にだけ接触するようにされた発核部(14)とからなり、
    前記発核部(14)は、その表面に前記蓄熱材(M)が凝固した凝固化蓄熱材(SM)が露出するよう構成されている
    ことを特徴とする蓄熱装置。
  2. 前記発核部(14)は、少なくとも前記凝固化蓄熱材(SM)と、樹脂成分(P)とからなり、該凝固化蓄熱材(SM)が微細片として、樹脂成分(P)内に分散している請求項1記載の蓄熱装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016031275A1 (ja) * 2014-08-25 2016-03-03 株式会社 東芝 蓄熱装置

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