JP5420948B2 - 車両用暖機システム - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載された内燃機関や自動変速機など暖機対象の早期暖機を行うことができる車両用暖機システムに関する。
従来、例えば特許文献1に示すように、蓄熱媒体により内燃機関(以下、「エンジン」という)や自動変速機の暖機を行う蓄熱装置を備えた車両用暖機システムがある。特許文献1に記載の蓄熱装置(蓄熱タンク)は、エンジンの冷却水を蓄熱媒体として用い、該冷却水を断熱性の高い容器に収容したものである。このような車両用暖機システムによれば、車両の走行時にエンジンなどの排熱を蓄熱媒体に蓄熱しておき、次回の車両始動時に、この蓄熱を利用してエンジンや変速機など暖機対象の早期暖機、あるいは車内の即効暖房を行うことが可能となる。
上記のような車両用暖機システムが備える蓄熱装置には、暖機対象に流通する熱伝達媒体との熱交換による蓄熱・放熱を行う蓄熱媒体として、過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材(過冷却蓄熱材)を備えたものがある。過冷却蓄熱材は、熱伝達媒体からの熱供給により、熱を蓄熱して固相から液相へ相変化(融解)し、その後の温度低下により、液相の状態を保ったまま過冷却状態となる。一方、発核装置(過冷却解除手段)による発核(過冷却解除)で蓄熱を放出して液相から固相へ相変化(固化)するようになっている。過冷却蓄熱材を備えた蓄熱装置では、車両の運転中にエンジンや変速機の排熱で蓄熱材への蓄熱を行っておく。そして、次回の車両始動時に発核装置を作動させることで、蓄熱材の発熱で熱伝達媒体を加熱し、暖機対象の早期暖機を行うようになっている。
ところが、過冷却蓄熱材を備えた蓄熱装置では、車両始動時あるいはその直後に行う発核で蓄熱材の蓄熱を放出してしまうため、車両の一回の走行が短時間である場合、蓄熱材の蓄熱を完了できないおそれがある。そうすると、次回の車両始動時に蓄熱による早期暖機が行えないという不都合が生じる。この点に対処するには、毎回の車両始動時に必ず発核装置を作動(蓄熱材を発熱)させるのではなく、蓄熱を完了できると判断した場合にのみ発核装置を作動させるようにするとよい。
この点に関連する従来技術として、特許文献2に記載の暖機装置がある。特許文献2に記載の暖機装置は、蓄熱タンクに蓄えた高温の流体(自動変速機の作動油)を車両用駆動装置の駆動部品に供給することにより、駆動部品を早期暖機する暖機装置であって、車両の予定走行経路に関する情報を取得する手段(カーナビゲーションシステムなど)を備えており、取得した予定走行経路の情報に基づいて流体の温度上昇値を予測するものである。この暖機装置では、流体の温度上昇値の予測によって、高温の流体を適切な量及びタイミングで供給できる。したがって、例えば、走行開始から間もなく渋滞路に入る場合には、渋滞中に変速機などの自己暖機が可能であるため、蓄熱タンクの高温流体を放出しないようにする一方、走行開始後直ちに高速走行の状態となるときは、その前に変速機などの暖機を行っておく必要があるため、蓄熱タンクの高温流体を放出するようにする、といった制御が可能となる。
このように、特許文献2の暖機装置では、カーナビゲーションシステムに登録された走行経路(予定走行経路)に基づいて、流体の温度変化を予測するようにしている。しかしながら、過冷却材からなる蓄熱材を使用した蓄熱装置に本手法を適用しようとする場合、予定走行経路に基づいて予測した蓄熱材の温度変化は、蓄熱材の実際の温度変化とは異なる場合がある。そのため、走行終了時に蓄熱を完了できるか否かの判断を的確に行えないおそれがある。特に、走行経路が同じであっても、実際の車両の走行状態は、気温や路面状況などの外的な要因や運転者の操作などの要因によっても大きく変わるので、走行終了時に蓄熱を完了できるか否かの判断は、実際の蓄熱材の温度変化に関するデータに基づいて判断することが望ましい。
特開平10−71837号公報 特開2002−156031号公報
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、蓄熱要素の過冷却解除を行うのに適した状況であるか否かを的確に判断することで、不適切な過冷却解除動作を抑制でき、暖機対象の早期暖機を必要時に確実に行える車両用暖機システムを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、車両に設けられた暖機対象(30)を暖機するための暖機システム(1)であって、暖機対象(30)に循環する熱伝達媒体(W)との熱交換によって、過冷却状態での蓄熱及び該過冷却状態の解除に伴う放熱が可能な蓄熱材(20)と、蓄熱材(20)の過冷却状態を解除する過冷却解除手段(25)と、車両走行の際に蓄熱材(20)への蓄熱を完了可能か否かを判断する蓄熱完了判断手段(50)と、蓄熱完了判断手段(50)の判断に基づいて、過冷却解除手段(25)による過冷却解除の実施を制御する制御手段(50)と、を備え、蓄熱完了判断手段(50)は、毎回の車両走行において蓄熱材(20)に所定温度以上の状態が継続した継続時間をデータベースとして蓄積する学習制御を行い、当該学習制御で蓄積したデータベースに基づいて、内燃機関(30)の始動時刻または過冷却解除手段(25)による過冷却解除の実施時刻ごとに、蓄熱材(20)が所定温度(T1)以上の状態で所定時間(t1)以上継続する確率を算出し、当該確率が所定以上であるか否かで、蓄熱材(20)への蓄熱を完了可能か否かを判断し、制御手段(50)は、蓄熱完了判断手段(50)が蓄熱材(20)の蓄熱を完了可能と判断した場合は、過冷却解除手段(25)による過冷却解除の実施を許可し、蓄熱完了判断手段(50)が蓄熱材(20)の蓄熱を完了不可能と判断した場合は、過冷却解除手段(25)による過冷却解除の実施を許可しないことを特徴とする。なお、ここでの所定温度(T1)は、蓄熱材(20)の融点であり、所定時間(t1)は、蓄熱材(20)の蓄熱完了に必要な時間、すなわち蓄熱材(20)が完全に融解するために必要な時間であってよい。また、上記の蓄熱完了判断手段による蓄熱材(20)への蓄熱を完了可能か否かの判断、及び制御手段(50)による過冷却解除の実施の許可又は不許可は、各回の車両走行における車両始動時に行うとよい。
本発明にかかる車両用暖機システムによれば、蓄熱完了判断手段は、毎回の車両走行において蓄熱材に所定温度以上の状態が継続した継続時間をデータベースとして蓄積する学習制御を行い、当該学習制御で蓄積したデータベースに基づいて、内燃機関の始動時刻または過冷却解除手段による過冷却解除の実施時刻ごとに、蓄熱材が所定温度以上の状態で所定時間以上継続する確率を算出し、当該確率が所定以上であるか否かで蓄熱材への蓄熱を完了可能か否かを判断する。したがって、実際の蓄熱材の温度変化に即した情報に基づいて、蓄熱を完了可能か否かの判断が的確に行えるようになる。これにより、蓄熱材への蓄熱を完了できない確率が高い場合の過冷却解除を抑制できる。したがって、毎回の走行終了後に蓄熱材への蓄熱が完了している状態を実現可能となるので、蓄熱材による暖機対象の早期暖機を必要なときに確実に行えるようになる。つまり、蓄熱材の蓄熱に必要な熱量を期待できない走行(例えば、短距離の走行や短時間の走行)を適切に判断することで、過冷却解除の効率的な制御が可能となる。したがって、車両の燃費向上及び環境負荷の低減を図ることができる。
また、上記の車両用暖機システムでは、蓄熱完了判断手段(50)は、内燃機関(30)の始動時刻、または過冷却解除手段(25)による過冷却解除の実施時刻ごとに、蓄熱材(20)に所定温度(T1)以上の状態が所定時間(t1)以上継続する確率を算出する。このように、車両の始動時刻ごとに上記の確率を算出することで、実際の走行における蓄熱材の温度変化を反映した高い精度の蓄熱完了判断が行えるようになる。さらにこの場合、蓄熱完了判断手段(50)は、内燃機関(30)の始動時刻、または過冷却解除の実施時刻に加えて、その際の日付、曜日、場所、天気、気温、車両の乗員数、車両の荷物荷重の少なくともいずれかを含めた基準ごとに、蓄熱材(20)に所定温度(T1)以上の状態が所定時間(t1)以上継続する確率を算出するとよい。このように、車両の始動時刻だけでなく日付などのパラメータを含めた基準ごとに上記の確率を算出すれば、実際の走行における蓄熱材の温度変化をより忠実に反映したさらに高い精度の蓄熱完了判断が行えるようになる。
また、上記の車両用暖機システムでは、蓄熱完了判断手段(50)は、車両走行において、蓄熱材(20)に所定温度(T1)以上の状態が継続する継続時間(t)のデータを蓄積する学習制御を行うことが望ましい。このような学習制御を行うことにより、車両の実際の走行態様に即した過冷却解除の制御が可能となる。また、この学習制御においては、過冷却解除手段(25)による過冷却解除に伴う蓄熱材(20)の放熱が無かった場合も含めて、蓄熱材(20)に所定温度(T1)以上の状態が継続する継続時間(t)のデータを蓄積するとよい。また、過冷却解除手段(25)による過冷却解除に伴う蓄熱材(20)の放熱が無かった場合は、当該放熱が有ったと仮定した場合の蓄熱材(20)の温度変化を考慮に入れて、蓄熱材(20)に所定温度(T1)以上の状態が継続する継続時間(t)のデータを蓄積するとよい。これらによれば、車両走行において蓄熱を完了できない場合でもデータを蓄積できるので、過冷却解除の制御に必要なデータベースを短期間で充実させることができる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
本発明にかかる車両用暖機システムによれば、蓄熱材の過冷却解除を行うのに適した状況であるか否かを的確に判断することで、不適切な過冷却解除動作を抑制でき、暖機対象の早期暖機を必要時に確実に行えるようになる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる蓄熱装置を備えた車両用暖機システムの構成例を示す概略図である。車両用暖機システム1は、蓄熱材20を有してなる蓄熱装置10と、エンジン30の冷却水(LLC)を蓄熱装置10および車内暖房装置44のヒータコア45へ循環させる冷却水循環路31とを備えている。冷却水循環路31は、エンジン30に形成された水ジャケット(図示せず)から導出されて、蓄熱装置10に連通し、蓄熱装置10の下流側でヒータコア45を通り、エンジン30の水ジャケットに再度導入されている。エンジン30に導入される直前位置には、冷却水ポンプ32が介装されている。冷却水ポンプ32は、エンジン30のクランク軸(図示せず)の回転に連動して駆動するようになっている。また、冷却水循環路31には、冷却水の温度を検出する水温センサ38が組み込まれている。水温センサ38の検出信号は、電子制御ユニット(以下、「ECU」という。)50に出力されるようになっている。
蓄熱装置10は、冷却水循環路31に連通する第一室15と、蓄熱材20を配設した第二室16とを備えている。第一室15と第二室16は熱伝導性に優れた仕切壁13を介して隣接している。したがって、第一室15内の冷却水Wと第二室16内の蓄熱材20との間で熱交換を行えるようになっている。また、第二室16には、蓄熱材20の過冷却状態を解除するための過冷却解除手段(以下、「発核装置」という。)25と、蓄熱材20の温度を検出する蓄熱材温度センサ24が設置されている。なお、図1に示す符号40は変速機である。
ヒータコア45は、詳細な図示は省略するが、車内に臨む空気導入ダクト内に設置されている。空気導入ダクト内には、ヒータコア45に風を送るための送風ファン46が組み込まれている。送風ファン46は、ECU50によって作動を制御されるようになっている。ヒータコア45の送風下流側には、車内に連通する送風ダクトが設けられている。
また、車内のコントロールパネル(図示せず)には、車内暖房用の暖房スイッチ51、及びデフロスタ吹出口から温風を吹き出すためのデフロスタスイッチ55が設けられている。暖房スイッチ51およびデフロスタスイッチ55のオン/オフ信号は、ECU50に出力されるようになっている。したがって、送風ファン46は、暖房スイッチ51やデフロスタスイッチ55のオン信号に応じて作動し、空気導入ダクトを介して吸い込んだ車内の空気を、ヒータコア45を通して送風ダクトから再び車内に吹き込むようになっている。また、暖機システム1は、外気温を検出する外気温センサ54を備えている。外気温センサ54の検出信号は、ECU50に出力されるようになっている。また、イグニッションスイッチ(以下、IGスイッチという。)56の操作信号は、ECU50に送られるようになっている。
冷却水循環路31には、ヒータコア45をバイパスするバイパス流路31bが設けられている。バイパス流路31bは、冷却水循環路31における蓄熱装置10とヒータコア45の間から分岐して、ヒータコア45と冷却水ポンプ32の間に合流している。バイパス流路31bの分岐点には、流通を切り替える切替バルブ33が設置されている。切替バルブ33は、ECU50からの信号で開方向が制御されるようになっている。切替バルブ33の開方向を制御することで、ヒータコア45への冷却水Wの流通の有無を切り替えることができるようになっている。
また、エンジン30の冷却水をラジエター47へ循環させるラジエター用循環路35が設けられている。ラジエター用循環路35は、エンジン30の水ジャケットから出て、冷却水循環路31における冷却水ポンプ32の上流側に合流している。ラジエター用循環路35には、ラジエター47に連通する主流路35aと、該主流路35aをバイパスするバイパス流路35bとが設けられている。ラジエター47の下流側におけるバイパス流路35bの合流点には、電子制御サーモスタット弁(切替弁)37が介装されている。電子制御サーモスタット弁37は、ECU50からの信号で開方向が制御されるようになっている。
ECU50は、冷却水温が所定温度(例えば100℃)未満の場合、電子制御サーモスタット弁37をオンにすることで、バイパス流路35bを開き主流路35aを閉じて、冷却水がラジエター47へ流れないように制御する。一方、冷却水温が所定温度(例えば110℃)以上になった場合、電子制御サーモスタット弁37をオフにすることで、バイパス流路35bを閉じて主流路35aを開き、冷却水をラジエター47へ導くように制御する。これにより、冷却水循環路31を流れる冷却水Wの水温が常に一定の範囲内に収まるように制御される。
ECU50には、無線により外部機器からの信号を受信可能な受信装置52が接続されている。これにより、ECU50は、エンジンスタートキー53に設けたウォームアップスイッチ53aのオン/オフ信号を受信できるようになっている。したがって、乗員が車外でエンジンスタートキー53のウォームアップスイッチ53aを操作した場合、ECU50でその信号が受信され、ECU50は暖機システム1にウォームアップ指令を発することができる。
蓄熱材20は、過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材であり、凝固点以下になっても液状のままで固化しない性質を有している。このような蓄熱材20として、例えば、酢酸ナトリウム水和物からなる蓄熱材が挙げられる。酢酸ナトリウム水和物は、後述する発核装置25の発核(過冷却状態の解除)によって、平衡状態に戻って固化する際に発熱し、温度の低い他の媒体を加熱することができる。なお、ここでは、過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材の代表例として酢酸ナトリウム水和物を挙げたが、他にも、水和塩化合物(化学式としてMx・nH2O(n:整数)で表わされるもの)を挙げることができ、Na2SO4・10H2O,CaCl2・6H2Oを例示することができる。
図2は、発核装置25を示す概略側面図である。発核装置25は、蓄熱材20中に設置された円形平板状の金属バネ部材26と、金属バネ部材26に打撃を与えるソレノイド27とを備えている。ソレノイド27は、ECU50の指令に応じて動作する。金属バネ部材26は、同図(a)に示す状態において、ソレノイド27による打撃で中央部26aが押圧されると、同図(b)に示すように、該中央部26aが反転するようになっている。これにより、蓄熱材20中に核が生成(発核)され、蓄熱材20の過冷却状態が解除されて固化が始まる。なお、本発明にかかる過冷却解除手段としては、過冷却材からなる蓄熱材20中に核を生成可能な手段であれば、何れの手段でもよく、上記以外にも、例えば、蓄熱材20中で金属摩擦あるいは電圧印加などを施す手段であってもよい。
次に、上記構成の車両用暖機システム1による暖機動作について説明する。車両用暖機システム1では、車両の始動時(エンジン30の始動時)に、冷却水ポンプ32の駆動によって冷却水循環路31の冷却水Wが流通を開始し、冷却水Wがエンジン30と蓄熱装置10との間を循環する。その一方で、車両の始動時に発核装置25による発核を実施することで、蓄熱材20の過冷却状態を解除して、蓄熱材20を発熱させることができる。なお、発核装置25による発核は、ウォームアップ信号に基づいてエンジン30の始動前に実施することも可能である。これにより、蓄熱装置10内の冷却水Wが蓄熱材20との熱交換で加熱されて昇温する。昇温した冷却水Wがエンジン30に流通することで、エンジン30の早期暖機が行われる。その後、時間の経過により、発核に伴う蓄熱材20の放熱が終了する一方、冷却水Wの温度は、エンジン30自己暖機により次第に上昇してゆく。そして、冷却水Wの温度が蓄熱材20の融点(酢酸ナトリウム水和物の場合、約60℃)以上になると、冷却水Wによって蓄熱材20への蓄熱が行われる。このとき、蓄熱材20は、車両始動時の発核によって固相化しているが、高温の冷却水Wからの熱が蓄えられることで次第に融解してゆく。
ところが、過冷却材からなる蓄熱材20は、蓄熱の際、固体(結晶)が残存している状態で熱供給が停止されると、その後の温度低下で全体に固化が伝播し、過冷却状態を維持できずに蓄熱を放出してしまうという問題がある。このように蓄熱を放出した状態では、発核装置25による発核を行っても蓄熱材20からの放熱が行われない。したがって、次回の車両始動時に蓄熱材20からの放熱を行えるようにするためには、冷却水Wから蓄熱材20に十分な熱を与えることで、蓄熱材20を完全に融解させておく必要がある。
しかしながら、一回の車両の走行時間や走行距離が極端に短い場合などは、冷却水Wの温度が上がらないので蓄熱材20に与えられる熱が不足し、蓄熱材20を完全に融解させることができない。そこで、本実施形態の車両用暖機システム1が備える蓄熱装置10では、車両の走行にあたって、蓄熱材20への蓄熱を完了可能否かの判断を行い、当該判断に基づいて、車両始動時の発核装置25による発核動作を制御する。以下、この発核制御の手順について詳細に説明する。
図3は、車両用暖機システム1による暖機動作の手順を説明するためのフローチャートである。暖機動作においては、まず、ECU50は、エンジン30が始動しているか否かを判断する(ステップST1)。その結果、エンジン30が始動していなければ(NO)、ECU50は、ウォームアップ信号の入力があるか否かを判断する(ステップST2)。ウォームアップ信号は、車内のコントロールパネルに設けたウォームアップスイッチ(図示せず)あるいはエンジンスタートキー53が備えるウォームアップスイッチ53aの操作に基づいて発せられる。
ステップST1でエンジン30が始動している場合(YES)、またはステップST2でウォームアップ信号の入力がある場合(YES)は、蓄熱完了判定を実施する(ステップST3)。蓄熱完了判定では、蓄熱材20が融点以上の状態で蓄熱完了に必要な時間以上継続する確率(以下、この確率を「蓄熱完了率」という。)を算出する。そして、この蓄熱完了率が所定以上である場合は、蓄熱材20の蓄熱を完了可能と判定し、蓄熱完了率が所定未満である場合は、蓄熱材20の蓄熱を完了不可能と判定する。蓄熱完了判定の具体的手順については後述する。
蓄熱完了判定において、蓄熱を完了可能と判定した場合(ステップST4でYES)は、発核実施フラグ=1(ステップST5)として、発核装置25による発核動作の実施を許可する。一方、蓄熱完了判定で蓄熱を完了不可能であると判定した場合(ステップST4でNO)は、発核実施フラグ=0(ステップST6)として、発核装置25による発核動作の実施を不許可とする。その後、発核制御を実行する(ステップST7)。発核制御では、ステップST5で発核動作の実施を許可した場合のみ発核装置25による発核を行い、ステップST6で発核動作の実施を不許可とした場合には、発核装置25による発核を行わない。
ここで、蓄熱完了判定(ステップST3)の具体的手順について詳細に説明する。ECU50は、車両走行において蓄熱材20が融点以上の状態が継続した継続時間をデータベースとして蓄積する学習制御を行う。すなわち、ECU50は、毎回の車両走行時に、蓄熱材温度センサ24で計測した蓄熱材温度T、あるいは他の温度(例えば、水温センサ38で計測した冷却水Wの温度及び外気温センサ54で計測した外気温など)から推定される蓄熱材温度Tが所定温度以上を継続する継続時間をデータとして収集する。この継続時間は、車両の始動時刻(エンジン30の始動時刻あるいは発核装置25の発核実施時刻を示す、以下同じ。)ごとに整理される。さらに、後述するように、車両の始動時刻に加えて、その日付、曜日、場所、天気、気温、車両の乗員数、荷物荷重の少なくともいずれかのデータを合わせて収集し、これらのデータを含めた基準ごとに上記継続時間のデータを整理してもよい。そして、この蓄積したデータに基づいて蓄熱完了率を算出する。算出した蓄熱完了率を蓄熱完了判定に使用する。
なお、上記の場所、天気、気温のデータは、車両に搭載したカーナビゲーションシステム(図示せず)から得られる情報として収集可能である。また、車両の乗員数のデータは、車両のシートに乗員検知センサあるいは圧力センサなど乗員数を把握するための装置を設けている場合、当該乗員検知センサなどの検出結果から得られる。また、荷物荷重のデータは、例えば、車体の角度を検出する角度センサの検出結果に基づいて算出することが可能である。
図4乃至図10(図9を除く)は、車両走行時の蓄熱材20の温度変化パターンの具体例を示すグラフである。これらのグラフでは、横軸に車両始動後の経過時間tを取り、縦軸に蓄熱材温度Tを取っている。なお、ここでは、縦軸を蓄熱材温度Tとしたが、この蓄熱材温度Tは、冷却水温や外気温から推定した蓄熱材20の推定温度であってもよい。また、蓄熱材20の温度変化が冷却水Wの温度変化に近似する場合は、蓄熱材温度Tを冷却水温で代用することも可能である。また、上記の各グラフには、車両始動後の経過時間に対応するエンジン30の運転状態(運転/停止)も併記している。なお、上記の各グラフにおいて、二点鎖線で示すデータは、発核による放熱に伴う蓄熱材温度Tの変化を示しており、実線で示すデータは、その後の冷却水Wの温度上昇に伴う蓄熱材温度Tの変化を示しており、点線で示すデータは、後述する仮定に基づく推定の温度変化を示している。以下、各走行パターンについて順に説明する。
〔パターン1〕
図4に示す温度変化パターン(パターン1)は、車両の始動時に発核による蓄熱材20の放熱が有った場合で、かつ、蓄熱材温度Tが蓄熱に必要な温度である融点T1に達しなかった場合である。このパターン1では、蓄熱材20に融点T1以上の状態が継続する継続時間t=0である。したがって、車両の始動時刻とそれに対応する継続時間t=0のデータを蓄積する。なお、このパターン1の温度変化を伴う走行では、蓄熱材20の蓄熱を完了できないので、車両始動時に発核装置25の発核を禁止すべきパターンである。
〔パターン2〕
図5に示す温度変化パターン(パターン2)は、車両の始動時に発核による蓄熱材20の放熱が有った場合で、かつ蓄熱材温度Tが融点T1に達したが、その継続時間tが蓄熱完了に必要な時間t1よりも短かった場合(t<t1)である。パターン2では、車両の始動時刻とそれに対応する継続時間tのデータを蓄積する。なお、このパターン2の温度変化を伴う走行は、蓄熱材20の蓄熱を完了できないので、車両始動時に発核装置25の発核を禁止すべきパターンである。
〔パターン3〕
図6に示す温度変化パターン(パターン3)は、車両の始動時に発核による蓄熱材20の放熱が有った場合で、かつ、蓄熱材温度Tが融点T1に達し、その継続時間tが蓄熱完了に必要な時間t1以上であった場合(t≧t1)である。なお、図6(a)は、エンジン30の停止前に継続時間tがt1に達した場合であり、図6(b)は、エンジン30の停止後に継続時間tがt1に達した場合である。パターン3では、車両の始動時刻とそれに対応する継続時間tのデータを蓄積する。なお、このパターン3の温度変化を伴う走行は、図6(a),(b)いずれのケースでも、走行終了後までに蓄熱材20の蓄熱を完了できるため、車両始動時に発核装置25の発核を行うのに適したパターンである。
〔パターン4〕
図7に示す温度変化パターン(パターン4)は、車両の始動時に発核による蓄熱材20の放熱が無かった場合(発核が実施されなかった場合を含む、以下同じ。)で、かつ、蓄熱材温度Tが融点T1に達し、その継続時間tが蓄熱完了に必要な時間t1以上であった場合(t≧t1)である。なお、図7(a)は、エンジン30の停止前に継続時間tがt1に達した場合を示しており、図7(b)は、エンジン30の停止後に継続時間tがt1に達した場合を示している。パターン4では、車両の始動時刻とそれに対応する継続時間tのデータを蓄積する。なお、このパターン4の温度変化を伴う走行は、図7(a),(b)いずれのケースでも、走行終了後までに蓄熱材20の蓄熱を完了できるため、車両始動時に発核装置25の発核を行うのに適したパターンである。
〔パターン5〕
図8に示す温度変化パターン(パターン5)は、同図(a)に示すように、車両の始動時に発核による蓄熱材20の放熱が無かった場合で、かつ、蓄熱材温度Tが融点T1に達しなかった場合である。この場合は、同図(b)に示すように、車両の始動時に発核装置25の発核による蓄熱材20の放熱が有ったと仮定し、当該仮定に基づいて、蓄熱材20の温度変化を算出する。その結果、蓄熱材温度Tが融点T1以上となる場合、融点T1以上を継続する時間(推定継続時間)tsをデータとして蓄積する。
ここでの仮定に基づく蓄熱材温度Tの算出手順について説明する。図9は、発核による蓄熱材20の放熱に伴う蓄熱材温度Tの変化の推定値を示すグラフである。同図のグラフに示すように、発核装置25の発核による蓄熱材温度Tの変化の推定値は、発核時の外気温とエンジン30の運転状態(エンジン停止状態/アイドル状態)とに応じた推定データに基づいて算出する。すなわち、図9のグラフでは、低温側から順に外気温A、外気温B、外気温C、外気温Dの四種類の外気温におけるエンジン停止状態とアイドル状態での蓄熱材20の温度変化の推定値を示している。したがって、外気温とエンジン30の運転状態とに応じて、発核装置25の発核に伴う到達温度T0及び到達時間t0の推定値が求められるようになっている。
次に、エンジン30停止前の蓄熱材温度Tの上昇部分に関しては、発核装置25の発核に伴う到達温度T0を起点とし、実際に計測したエンジン30停止時の蓄熱材温度Tと蓄熱材20の放熱に伴う到達温度T0との差Tupと、到達温度T0に達した時刻からエンジン30停止までの時間t2とに基づいて、エンジン30の停止前における蓄熱材温度Tの傾きΔTup=Tup/t2を算出する。算出した傾きΔTupを用いて、蓄熱材温度Tが融点T1に到達する推定時間t4を求める。
エンジン30停止後の蓄熱材温度Tの下降部分に関しては、当該部分の蓄熱材温度Tの傾きΔTdownを算出し、先に算出した上昇温度の最高到達点(エンジン30停止時の推定温度)T3を起点とする傾きΔTdownの温度分布に基づいて、蓄熱材温度Tが融点T1を下回る時間(蓄熱材温度Tが低下して融点T1に達する時間)t5を算出する。なお、この場合、先に算出した上昇温度の最高到達点T3が理想温度T2を超えている場合は、理想温度T2を起点とする傾きΔTdownの温度分布に基づいて、蓄熱材温度Tが融点T1を下回る時間t5を算出する。なお、ここでの理想温度T2は、蓄熱材20と熱交換を行っている冷却水Wの理想水温(=80℃)である。
そして、蓄熱材温度Tが融点T1に到達する時間t4から融点T1を下回る時間t5までの経過時間ts(=t5−t4)を算出する。この経過時間tsは、蓄熱材20に融点T1以上の状態が継続する推定継続時間である。したがって、このパターン4では、車両の始動時刻とそれに対応する推定継続時間tsのデータを蓄積する。なお、このパターン5(推定前の図8(a)に示すパターン)の温度変化を伴う走行は、走行終了後までに蓄熱材20への蓄熱を完了できないため、車両始動時に発核装置25の発核を禁止すべきパターンである。
〔パターン6〕
図10に示す温度変化パターン(パターン6)は、同図(a)に示すように、車両の始動時に発核による蓄熱材20の放熱が無かった場合で、かつ、蓄熱材温度Tが融点T1に達するが、その継続時間tが蓄熱完了に必要な時間t1よりも短かった場合(t<t1)である。この場合は、パターン5と同様、同図(b)に示すように、車両の始動時に発核による蓄熱材20の放熱が有ったと仮定し、当該仮定に基づいて、蓄熱材20の温度変化を算出する。発核による蓄熱材温度Tの変化の推定値は、パターン5の場合と同じく、図9のグラフに基づいて算出される。
そしてここでは、実測した蓄熱材温度Tが、発核による蓄熱材20の放熱に伴う到達温度T0と等しい温度になるまでの時間t2を求める。この時間t2から、到達温度T0に達する推定時間t0を差し引いた時間t3=t2−t0を算出する。この算出した時間t3は、発核による蓄熱材20の放熱が有った場合に期待できる融点T1以上(蓄熱に必要な温度範囲)を満たす時間の推定値に等しい。したがって、実測した蓄熱材温度Tが融点T1以上を満たす時間tと、算出した推定の蓄熱材温度Tが融点T1以上を満たす推定時間t3との合計時間t+t3が、蓄熱材20が融点T1以上の状態が継続する推定継続時間ts(=t+t3)となる。パターン6では、車両の始動時刻とそれに対応する推定継続時間tsのデータを蓄積する。
なお、上記のパターン1〜パターン6は、蓄熱材20の温度変化パターンの例示であり、車両走行時の蓄熱材20の温度は、パターン1〜パターン6以外のパターンで変化する場合もある。
図11は、蓄積したデータの管理方法を説明するための図で、同図(a)は、車両の始動時刻ごとに分類した継続時間tの分布を示すグラフであり、(b)は、車両の始動時刻ごとに分類した継続時間tの確率密度を示すグラフであり、(c)は、車両の始動時刻ごとに分類した蓄熱材20が所定熱量以上となる確率の分布を示すグラフである。パターン1乃至パターン6の各温度変化パターンで蓄積した継続時間t(または推定継続時間ts)のデータは、図11(a)のグラフに示すように、車両の始動時刻ごとに分類され、各始動時刻に対応する継続時間tの頻度の分布として整理される。そして、同図(a)に示す継続時間tの頻度の分布に基づいて、同図(b)に示すように、車両の始動時刻ごとに、蓄熱材20に与えられる熱量が所定熱量以上となる確率が算出される。さらに、同図(c)に示すように、車両の始動時刻ごとに、蓄熱を完了(蓄熱材20を完全に融解)できる確率が整理される。なお、当該確率が所定の確率(発核許容ライン)以上であれば、発核装置25による発核を許可し、当該確率が所定の確率未満であれば、発核装置25による発核を不許可とする。
図11のグラフでは、継続時間tのデータは、車両の始動時刻ごとに分類した場合を示したが、継続時間tのデータは、車両の始動時刻に加えて、さらに、その日付、曜日、場所、天気、気温、車両の乗員数、車両の荷物荷重の少なくともいずれかのデータを加えた基準ごとに分類してもよい。例えば、車両の始動時刻にそのときの気温を加えた基準ごとに分類することができる。
以上説明したように、本実施形態の車両用暖機システム1では、ECU(蓄熱完了判断手段)50は、蓄積した走行データに基づいて、蓄熱材20が融点T1以上である状態が蓄熱完了に必要な時間t1以上継続する蓄熱完了率を算出し、当該蓄熱完了率が所定以上である場合は、蓄熱を完了可能であると判断し、当該蓄熱完了率が所定未満である場合は、蓄熱を完了不可能と判断する。この場合、ECU(蓄熱完了判断手段)50は、車両走行において、蓄熱材20が融点T1以上である状態が継続した継続時間tをデータベースとして蓄積する学習制御を行い、蓄積したデータベースに基づいて蓄熱完了率を算出するようにしている。
これにより、蓄熱材20への蓄熱を完了可能か否かの判断が的確に行えるようになる。したがって、蓄熱を完了できない確率が高い場合の発核実施を抑制でき、毎回の走行終了後に蓄熱材20の蓄熱を完了させておくことが可能となるので、エンジン30の早期暖機を必要時に確実に行えるようになる。つまり、蓄熱材20の蓄熱に必要な熱量を期待できない走行(例えば、短距離の走行や短時間の走行)を適切に判断することで、発核の効率的な制御が可能となり、車両の燃費向上及び環境負荷の低減を図ることができる。
また、上記のような学習制御を行うことにより、蓄熱材20の実際の温度変化に即した適切な発核制御が可能となる。また、この学習制御においては、発核による蓄熱材20の放熱が無かった場合も含めて、蓄熱材20が融点T1以上である状態が継続する継続時間tのデータを蓄積するようにしている(図7に示すパターン3参照)。さらに、発核による蓄熱材20の放熱が無かった場合は、発核による蓄熱材20の放熱が有ったと仮定した場合の温度変化を考慮に入れて、蓄熱材20が融点T1以上である状態が継続する継続時間tのデータを蓄積するようにしている(図8に示すパターン5及び図9に示すパターン6参照)。これらにより、蓄熱材20の蓄熱を完了できないような走行の際にもデータを蓄積できるようになる。したがって、発核制御に必要なデータベースを短期間で充実させることができる。
また、この車両用暖機システム1では、ECU(蓄熱完了判断手段)50は、車両の始動時刻ごとに蓄熱完了率を算出することで、実際の走行における蓄熱材20の温度変化を反映した高い精度の蓄熱完了判断が行える。さらにこの場合、ECU50は、車両の始動時刻に加えて、その日付、曜日、場所、天気、気温、車両の乗員数、車両の荷物荷重の少なくともいずれかを含めた基準ごとに、蓄熱完了率を算出することができる。このように、車両の始動時刻だけでなく日付などのパラメータを含めた基準ごとに蓄熱完了率を算出することで、実際の走行における蓄熱材20の温度変化をより忠実に反映したさらに高い精度の蓄熱完了判断が行えるようになる。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
例えば、上記実施形態では、本発明の車両用暖機システム1の暖機対象がエンジン30であり、エンジン30に循環する冷却水Wを熱伝達媒体とした場合について説明したが、本発明にかかる車両用暖機システムの暖機対象は、エンジン30には限らず、車両に搭載した他の装置や部品などであってもよい。一例として、自動変速機を暖機対象とし、自動変速機に循環する作動油(ATF)を熱伝達媒体とすることができる。その場合は、図示は省略するが、蓄熱装置と自動変速機との間に作動油を循環流通させるための作動油循環路を設け、かつ、蓄熱装置内で蓄熱材と作動油との熱交換が行えるようにする。また、他の例として、エンジンを暖機対象とする場合、エンジンに循環する潤滑油(エンジンオイル)を熱伝達媒体とすることもできる。その場合は、蓄熱装置とエンジンとの間に潤滑油を循環流通させるための潤滑油循環路を設け、かつ、蓄熱装置内で蓄熱材と潤滑油との熱交換が行えるようにする。
本発明の一実施形態にかかる車両用暖機システムの構成例を示す概略図である。 発核装置の構成例を示す図である。 車両用暖機システムによる暖機動作の手順を説明するためのフローチャートである。 車両走行時の蓄熱材の温度変化パターン(パターン1)を示すグラフである。 車両走行時の蓄熱材の温度変化パターン(パターン2)を示すグラフである。 車両走行時の蓄熱材の温度変化パターン(パターン3)を示すグラフである。 車両走行時の蓄熱材の温度変化パターン(パターン4)を示すグラフである。 車両走行時の蓄熱材の温度変化パターン(パターン5)を示すグラフである。 発核による蓄熱材の温度変化の推定値を示すグラフである。 車両走行時の蓄熱材の温度変化パターン(パターン6)を示すグラフである。 収集したデータの管理方法を説明するための図である。
1 車両用暖機システム
10 蓄熱装置
13 仕切壁
15 第一室
16 第二室
20 蓄熱材
24 蓄熱材温度センサ
25 発核装置(過冷却解除手段)
30 エンジン(暖機対象)
31 冷却水循環路
32 冷却水ポンプ
38 水温センサ
50 ECU(蓄熱完了判断手段、制御手段)
54 外気温センサ
t 継続時間
T 蓄熱材温度
T1 融点:蓄熱に必要な温度(所定温度)
t1 蓄熱完了に必要な時間(所定時間)
W 冷却水(熱伝達媒体)

Claims (6)

  1. 車両に設けられた暖機対象を暖機するための車両用暖機システムであって、
    前記暖機対象に循環する熱伝達媒体との熱交換によって、過冷却状態での蓄熱及び該過冷却状態の解除に伴う放熱が可能な蓄熱材と、
    前記蓄熱材の過冷却状態を解除する過冷却解除手段と、
    車両走行の際に前記蓄熱材への蓄熱を完了可能か否かを判断する蓄熱完了判断手段と、
    前記蓄熱完了判断手段の判断に基づいて、前記過冷却解除手段による過冷却解除の実施を制御する制御手段と、を備え、
    前記蓄熱完了判断手段は、毎回の車両走行において前記蓄熱材に所定温度以上の状態が継続した継続時間をデータベースとして蓄積する学習制御を行い、
    前記学習制御で蓄積したデータベースに基づいて、内燃機関の始動時刻または前記過冷却解除手段による過冷却解除の実施時刻ごとに、前記蓄熱材が前記所定温度以上の状態で所定時間以上継続する確率を算出し、当該確率が所定以上であるか否かで、前記蓄熱材への蓄熱を完了可能か否かを判断し、
    前記制御手段は、前記蓄熱完了判断手段が前記蓄熱材の蓄熱を完了可能と判断した場合は、前記過冷却解除手段による過冷却解除の実施を許可し、前記蓄熱完了判断手段が前記蓄熱材の蓄熱を完了不可能と判断した場合は、前記過冷却解除手段による過冷却解除の実施を許可しない
    ことを特徴とする車両用暖機システム。
  2. 前記蓄熱完了判断手段による前記蓄熱材への蓄熱を完了可能か否かの判断、及び前記制御手段による過冷却解除の実施の許可又は不許可は、各回の車両走行における車両始動時に行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用暖機システム。
  3. 前記所定温度は、前記蓄熱材の融点であり、前記所定時間は、前記蓄熱材が完全に融解するために必要な時間である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用暖機システム。
  4. 前記蓄熱完了判断手段は、前記内燃機関の始動時刻、または前記過冷却解除の実施時刻に加えて、その際の日付、曜日、場所、天気、気温、車両の乗員数、車両の荷物荷重の少なくともいずれかを含めた基準ごとに、前記蓄熱材に所定温度以上の状態が所定時間以上継続する確率を算出する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用暖機システム。
  5. 前記学習制御においては、前記過冷却解除手段による過冷却解除に伴う蓄熱材の放熱が無かった場合も含めて、前記蓄熱材に前記所定温度以上の状態が継続した継続時間のデータを蓄積する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用暖機システム。
  6. 前記過冷却解除手段による過冷却解除に伴う蓄熱材の放熱が無かった場合は、当該放熱が有ったと仮定した場合の前記蓄熱材の温度変化を考慮に入れて、前記蓄熱材に前記所定温度以上の状態が継続した継続時間のデータを蓄積する
    ことを特徴とする請求項に記載の車両用暖機システム。
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