JP2014024394A - 自動車用バンパービーム - Google Patents

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Abstract

【課題】 連続繊維FRP層と不連続繊維FRP層とを組み合わせたエネルギー吸収性能に優れたバンパービームを提供する。
【解決手段】 バンパービーム23のU字状断面部31は、連続繊維FRP層33と不連続繊維FRP層34とを積層してなる上壁31a、下壁31bおよび底壁31cと、不連続繊維FRP層34と一体に形成されて上壁31a、下壁31bおよび底壁31cを接続するの複数の縦リブ31fとを備えるので、衝突荷重が入力するとU字状断面部31の前後方向外側(後側)から内側(前側)に向かって連続繊維FRP層33と不連続繊維FRP層34とが順次剥離し、かつ連続繊維FRP層33および不連続繊維FRP層34の繊維と樹脂とが剥離することで、衝突エネルギーを効率的に吸収することができ、しかも強度の高い連続繊維FRP層33でU字状断面部31の強度を確保するとともに、成形性の高い不連続繊維FRP層34で縦リブ31fを容易に成形することができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、上下方向に連続する複数のU字状断面部を備えるFRP製の自動車用バンパービームに関する。
上下方向に所定間隔で重ね合わされた複数枚の水平板の前縁の一部および後縁の一部をそれぞれ前面板および後面板で覆うとともに、複数枚の水平板を上下方向に延びる複数枚の垂直板で格子状に接続したFRP製のバンパービームが、下記特許文献1により公知である。
特許第4850349号公報
ところで、バンパービームを構成するFRPの樹脂に含有させる繊維に連続繊維を用いると、強度を高めることが可能となるが、連続繊維の伸縮や屈曲に限界があるために成形性が低下する問題がある。一方、FRPの樹脂に含有させる繊維に不連続繊維を用いると、不連続繊維は任意の形状に容易に馴染むために成形性が高められるが、強度が低下する問題がある。衝突時のエネルギー吸収性能が高いFRP製のバンパービームを得るには、その強度を高めるだけでなく、衝突エネルギーの吸収に適した形状を確保する必要があるため、強度および成形性を両立させることが要求される。
上記特許文献1には、バンパービームを構成する樹脂に含有させる繊維として、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等が使用可能であることが開示されているが、連続繊維および不連続繊維の使い分けについては何ら開示されていない。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、連続繊維FRP層と不連続繊維FRP層とを組み合わせたエネルギー吸収性能に優れたバンパービームを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車幅方向に延びて前後方向外側に開口する複数のU字状断面部を上下方向に連続させてバンパービームを構成し、前記U字状断面部は、連続繊維FRP層と不連続繊維FRP層とを積層してなる上壁、下壁および底壁と、前記不連続繊維FRP層と一体に形成されて前記上壁、前記下壁および前記底壁を接続する複数の縦リブとを備えることを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記U字状断面部の前記上壁および前記下壁間の上下方向の間隔は、前後方向外側に向けて拡大することを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記連続繊維FRPは、相互に交差する方向に配置された第1連続繊維および第2連続繊維を含み、前記第1連続繊維を車幅方向に配置したことを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項3の構成に加えて、前記第2連続繊維を前後方向あるいは上下方向に配置したことを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項1〜請求項4の何れか1項の構成に加えて、前記底壁の前後方向内面に設けた締結カラーをクロスメンバの前後方向外面に締結したことを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項6に記載された発明によれば、請求項5の構成に加えて、前記締結カラーの近傍において、前記底壁の前後方向内面と前記クロスメンバの前後方向外面との間に間隙を形成したことを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項7に記載された発明によれば、請求項5または請求項6の構成に加えて、前記底壁の前後方向内面に、前記不連続繊維FRP層と一体に形成したボス部と、前記ボス部を補強する補強リブとを設け、前記締結カラーを前記ボス部にインサートしたことを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項8に記載された発明によれば、請求項1〜請求項7の何れか1項の構成に加えて、前記U字状断面部の車幅方向端部を、前記不連続繊維FRP層と一体に形成した端壁で閉塞したことを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項9に記載された発明によれば、請求項1〜請求項8の何れか1項の構成に加えて、前記複数のU字状断面部を、前記上壁に設けた上部フランジと前記下壁に設けた下部フランジとで結合したことを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
尚、実施の形態のリヤクロスメンバ15は本発明のクロスメンバに対応し、実施の形態の連続繊維FRP層33は本発明の連続繊維FRP層に対応し、実施の形態の不連続繊維FRP層34は本発明の不連続繊維FRP層に対応する。
請求項1の構成によれば、車幅方向に延びて前後方向外側に開口する複数のU字状断面部を上下方向に連続させることでバンパービームが構成される。U字状断面部は、連続繊維FRP層と不連続繊維FRP層とを積層してなる上壁、下壁および底壁と、不連続繊維FRP層と一体に形成されて上壁、下壁および底壁を接続する複数の縦リブとを備えるので、衝突荷重が入力するとU字状断面部の前後方向外側から内側に向かって連続繊維FRP層と不連続繊維FRP層とが順次剥離し、かつ連続繊維FRP層および不連続繊維FRP層の繊維と樹脂とが剥離することで、衝突エネルギーを効率的に吸収することができる。
また衝突荷重が入力したときにU字状断面部の上壁および下壁の口開きや、U字状断面部の捩じれ変形を縦リブによって抑制することで、エネルギー吸収効果を高めることができるだけでなく、複数のU字状断面部を上下方向に連続させたことで、バンパービームの前後方向寸法を最小限に抑えながらエネルギー吸収量を増加することができる。しかも強度の高い連続繊維FRP層でU字状断面部の強度を確保するとともに、成形性の高い不連続繊維FRP層で縦リブを容易に成形することができる。
また請求項2の構成によれば、U字状断面部の上壁および下壁間の上下方向の間隔は前後方向外側に向けて拡大するので、U字状断面部の上下方向寸法を拡大して異なる高さから入力する衝突荷重を受け止めることができる。
また請求項3の構成によれば、連続繊維FRP層は、相互に交差する方向に配置された第1連続繊維および第2連続繊維を含み、第1連続繊維を車幅方向に配置したので、バンパービームのU字状断面部に衝突荷重が入力したときに、U字状断面部の前後方向の曲げ変形に対する強度を第1連続繊維によって高めることができる。
また請求項4の構成によれば、第2連続繊維を前後方向あるいは上下方向に配置したので、バンパービームのU字状断面部に衝突荷重が入力したときに、U字状断面部が口開きするのを第2連続繊維によって抑制することができる。
また請求項5の構成によれば、底壁の前後方向内面に設けた締結カラーをクロスメンバの前後方向外面に締結したので、締結カラーでU字状断面部をクロスメンバに強固に固定できるだけでなく、U字状断面部の潰れ代が締結カラーによって減少するのを防止してエネルギー吸収効果を高めることができる。
また請求項6の構成によれば、締結カラーの近傍において底壁の前後方向内面とクロスメンバの前後方向外面との間に間隙を形成したので、U字状断面部が圧壊するストロークを確保してエネルギー吸収効果を高めることができる。
また請求項7の構成によれば、底壁の前後方向内面に、不連続繊維FRP層と一体に形成したボス部と、ボス部を補強する補強リブとを設け、締結カラーをボス部にインサートしたので、U字状断面部に締結カラーを強固に固定することができる。
また請求項8の構成によれば、U字状断面部の車幅方向端部を、不連続繊維FRP層と一体に形成した端壁で閉塞したので、U字状断面部の車幅方向端部の口開きを防止してエネルギー吸収効果を高めることができる。
また請求項9の構成によれば、複数のU字状断面部を、上壁に設けた上部フランジと下壁に設けた下部フランジとで結合したので、複数のU字状断面部を一体に成形する場合に比べて、U字状断面部を成形する金型を小型化することができるだけでなく、U字状断面部の連続繊維FRP層の繊維の配向方向の乱れを最小限に抑えて強度を確保することができる。
自動車の車体後部の斜視図。 図1の2方向矢視図。 図2の3方向矢視図。 図2の4−4線断面図。 図4の5方向矢視図。 U字状断面部の製造方法の説明図。 バンパービームへの衝突荷重の入力時の作用説明図。
以下、図1〜図7に基づいて本発明の実施の形態を説明する。尚、本明細書において、前後方向、左右方向(車幅方向)および上下方向とは、運転席に着座した乗員を基準として定義される。
図1〜図4に示すように、基本的にCFRP(カーボンファイバー強化樹脂)で構成される自動車の車体は、バスタブ状に一体成形したキャビン11の後部から起立する車室後壁12を備えており、車室後壁12の左右後面にアルミニウム合金でダイキャスト成形した左右一対のサスペンション支持部材13,13が固定される。サスペンション支持部材13,13の後面から左右一対のリヤサイドフレーム14,14が後方に延びており、リヤサイドフレーム14,14の後端部が、車幅方向に延びるリヤクロスメンバ15の前壁15aに接続され、リヤサイドフレーム14,14の底面間を接続するリヤフロアパネル16がリヤクロスメンバ15の底壁15bに接続される。
リヤフロアパネル16の上方の後部開口が上枠17、下枠18および左右の側枠19,19で囲まれており、下枠18がリヤクロスメンバ15の上壁15cに重ね合わされるとともに、上枠17の車幅方向両端部に左右一対のサイドシル20,20の後端から後上方に立ち上がる左右一対のキックアップ部21,21の後端と、左右一対のルーフサイドレール22,22の後端とが接続される。そしてリヤクロスメンバ15の後壁15dに.車幅方向に延びるFRP製のバンパービーム23が取り付けられる。
次に、図1〜図5に基づいてバンパービーム23の構造を説明する。
FRP製のバンパービーム23は、上壁31a、下壁31bおよび底壁31cを有して後方(前後方向外側方向)に向けて開放する一対のU字状断面部31,31を備えており、下側のU字状断面部31の上部フランジ31dと上側のU字状断面部31の下部フランジ31eとが前後方向に重ね合わされて一体に溶着される。U字状断面部31の内部には、鉛直方向に延びて上壁31a、下壁31bおよび底壁31cを接続する複数の縦リブ31f…が形成されるとともに、車幅方向両端部は端壁31g,31gで閉塞される。
U字状断面部31の車幅方向両端寄りの位置において、底壁31cの前面(前後方向内側の面)に円筒状のボス部31hが前向きに突設されており、このボス部31hの周囲に放射状に延びる8枚の補強リブ31i…が形成される。ボス部31hの内部に、金属製の締結カラー32がインサートされる。リヤクロスメンバ15の後壁15dの車幅方向両端部にはそれぞれ2個のナット35,35がインサートされており、バンパービーム23の上下一対のU字状断面部31,31の車幅方向両端部にそれぞれインサートした2個の締結カラー32,32を貫通するボルト36,36をナット35,35に螺合することで、バンパービーム23がリヤクロスメンバ15の後壁15dに締結される。この状態で、バンパービーム23の車幅方向両端部とリヤクロスメンバ15との間に所定の間隙αが形成される(図3参照)。
図6(B)に示すように、U字状断面部31は外表面の連続繊維FRP層33および内表面の不連続繊維FRP層34を積層して構成される。かかるU字状断面部31は、以下のようにして製造される。図6(A)に示すように、U字状断面部31をプレス成形する金型55は、U字状断面部31の外表面を成形する凹状のキャビティ56aを有する雌型56と、U字状断面部31の内表面を成形する凸状のコア57aを有する雄型57とからなり、コア57aには縦リブ31f…を成形する溝57b…が形成される。金型55を型開きした状態で、雌型56のキャビティ56aの上部に不連続繊維プリプレグ58と、連続繊維プリプレグ59とが予備加熱した状態で配置される。
プリプレグは、カーボンファイバー、グラスファイバー、アラミドファイバー等の連続繊維よりなる織布やUD(連続繊維を一方向に引き揃えたシート)、あるいは不連続繊維のマットを補強材とし、それに半硬化の熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂やポリエステル樹脂等)、あるいは熱可塑性樹脂(ナイロン6やポリプロピレン等の)を含浸させたもので、金型の形状になじむ柔軟性を有している。熱硬化性樹脂の場合、複数枚のプリプレグを積層状態で金型内に挿入して圧力を加えながら例えば130°C程度に加熱すると、熱硬化性樹脂が硬化して繊維強化樹脂製品が得られる。熱可塑性樹脂の場合、予備加熱した複数枚のプリプレグを積層状態で金型内に挿入して加圧成形し、その後冷却すると繊維強化樹脂製品が得られる。
雌型56に対して雄型57を下降させると、不連続繊維プリプレグ58および連続繊維プリプレグ59が雌型56のキャビティ56aと雄型57のコア57aとによってプレスされ、U字状断面部31が成形される。このとき、不連続繊維プリプレグ58は容易に変形可能であるため、コア57aの溝57b…内に流入し、U字状断面部31の内表面の縦リブ31f…を同時に成形するとともに、U字状断面部31の内表面に沿って薄い膜状に積層される。図6(B)に示すように、金型55から取り出したU字状断面部31の外周の余剰部分を切断した後、図6(C)に示すように、下側のU字状断面部31の上部フランジ31dと上側のU字状断面部31の下部フランジ31eとを前後方向に重ね合わせて一体に溶着することでバンパービーム23を完成する。
図4の円内に拡大して示すように、U字状断面部31の外表面を構成する連続繊維プリプレグ59の連続繊維FRP層33は、直交する二つの方向に配向した第1、第2連続繊維60…,61…を平織したもので補強される。またU字状断面部31の内表面、縦リブ31…、端壁31g,31g、ボス部31h,31h、補強リブ31i…等を構成する不連続属繊維プリプレグ58の不連続繊維FRP層34は、不連続繊維62…がランダムに絡みあったもので補強される。
長い繊維の織布やUDを補強材として有する連続繊維FRPは比較的に強度が高くなるが、織布やUDの変形量に限界があるために成形性は低くなり、細くて高いリブ等を成形するのが困難である。一方、ランダムに絡み合った短い繊維を補強材として有する不連続繊維FRPは比較的に強度が低くなるが、繊維が容易に変形するために成形性は高くなり、細くて高いリブ等を成形するのが容易である。よって、連続繊維FRPの外側に不連続繊維FRPを積層してU字状断面部31を成形することで、U字状断面部31の強度および成形性を両立させることができる。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
本実施の形態によれば、図6の金型55でU字状断面部31をプレス成形するとき、図4に示すように、U字状断面部31の外表面は直交する二つの方向に配向した第1、第2連続繊維60…,61…で補強される。第1連続繊維60…の配向方向は車幅方向(つまりバンパービーム23の主応力方向)であり、第2連続繊維61…の配向方向は車幅方向に直交する方向(つまり上下方向および前後方向)である。一方、U字状断面部31の内表面および縦リブ31f…は不連続繊維62…がランダムに絡みあったもので補強される。
このように単純なU字状断面を有するU字状断面部31の外表面を強度の高い平織した第1、第2連続繊維60…,61…で補強し、複雑な形状を有するために平織した連続繊維で補強することが困難な縦リブ31f…を成形の自由度が高い不連続繊維62…で補強することで、バンパービーム23の強度および成形性を両立させることができる。しかも不連続属繊維プリプレグ58および連続繊維プリプレグ59を同一の金型55内に配置して1工程でバンパービーム23を成形するため、それらを別個に成形して接着や溶着で一体化する場合に比べて製造コストを削減することができる。
さて自動車が後面衝突して衝突荷重がバンパービーム23に入力すると、バンパービーム23の上下一対のU字状断面部31,31が圧壊することで衝突エネルギーを吸収する。このとき、図7(A)に示すように、リブを持たない単純なコ字状断面のU字状断面部31が後面衝突して鎖線の状態に曲げ変形した場合、底壁31cに引張応力が作用し、上壁31aおよび下壁31bの前部に圧縮応力が作用する。従って、直交する第1、第2連続繊維60…,61…のうちの第1連続繊維60…を主応力方向(車幅方向)に配置することで、後面衝突時の曲げ変形に対するバンパービーム23の強度を高めることができる。
またU字状断面部31が後面衝突したときには、図7(B)に示すように、上壁31aおよび下壁31bは口開きするように変形するため、前記主応力方向に対して直交する方向にも引張応力および圧縮応力が作用するが、その方向に第2連続繊維61…を配置することで、U字状断面部31の口開きに対する強度を高めることができる。
従って、U字状断面部31が後面衝突した場合には、第1、第2連続繊維60…,61…を車幅方向およびそれに直交する方向に配置することで高い強度を得ることができる。しかしながら、図7(C)に示すように、上下方向にオフセットした衝突荷重が入力した場合にはU字状断面部31が捩じり変形し、第1、第2連続繊維60…,61…を直交する方向に配置して補強するだけでは捩じり変形に対する剛性を確保することは困難である。しかしながら本実施の形態によれば、U字状断面部31の上壁31a、下壁31bおよび底部31cを縦リブ31f…で接続することで、45°傾斜した連続繊維を追加する等のコストの嵩む補強を行うことなく、捩じり変形に対する剛性を充分に高めることができる。
しかも不連続繊維62…を樹脂と共に射出しようとするとノズルが目詰まりする虞があるが、不連続属繊維プリプレグ58を金型55でプレス成形することで、充分な長さの不連続繊維62…を使用することを可能にしてU字状断面部31の強度を高めることができる。
しかして、U字状断面部31に後面衝突の衝突荷重が入力すると、U字状断面部31の後部から前部に向かって連続繊維FRP層33と不連続繊維FRP層34とが順次剥離し、かつ連続繊維FRP層33および不連続繊維FRP層34の繊維と樹脂とが剥離することで、衝突エネルギーを効率的に吸収することができる。また一対のU字状断面部31,31を上下方向に連続させたことで、バンパービーム23の前後方向寸法を最小限に抑えながらエネルギー吸収量を増加することができる。
またU字状断面部31の上壁31aおよび下壁31b間の上下方向の間隔は後方に向けて拡大するので、U字状断面部31の上下方向寸法を拡大して異なる高さから入力する衝突荷重を受け止めることができる。
またU字状断面部31の底壁31cの前面に設けた締結カラー32,32をリヤクロスメンバ15の後壁15dに締結したので、締結カラー32,32でU字状断面部31をリヤクロスメンバ15に強固に固定できるだけでなく、U字状断面部31の潰れ代(即ち、U字状断面部31の内部空間)が締結カラー32,32によって減少するのを防止してエネルギー吸収効果を高めることができる。しかも締結カラー32,32の近傍においてU字状断面部31の底壁31cの前面とリヤクロスメンバ15の後壁15dとの間に間隙α(図3参照)を形成したので、U字状断面部31が圧壊するストロークを確保してエネルギー吸収効果を高めることができる。
更にまた、U字状断面部31の底壁31cの前面に、不連続繊維FRP層34と一体に形成したボス部31hと、ボス部31hを補強する補強リブ31i…とを設け、締結カラー32をボス部31hにインサートしたので、U字状断面部31に締結カラー32を強固に固定することができる。しかもU字状断面部31の車幅方向端部を、不連続繊維FRP層34と一体に形成した端壁31gで閉塞したので、U字状断面部31の車幅方向端部の口開きを防止してエネルギー吸収効果を高めることができる。
また上下一対のU字状断面部31,31を、その上部フランジ31dおよび下部フランジ31eを重ね合わせて接合することでバンパービーム23を構成したので、上下一対のU字状断面部31,31を一体に成形する場合に比べて、U字状断面部31,31を成形する金型55を小型化することができるだけでなく、U字状断面部の第1、第2連続繊維60…,61…の配向方向の乱れを最小限に抑えて強度を確保することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、U字状断面部31のU字状断面とは、上壁31aおよび下壁31bと底壁31cとの交差部が角張ったコ字状断面を含むものとする。
またバンパービーム23を構成するU字状断面部31の数は2個に限定されず、3個以上であっても良い。
また複数のU字状断面部31を結合してバンパービーム23を構成する代わりに、複数のU字状断面部31を一体に成形してバンパービーム23を構成しても良い。
15 リヤクロスメンバ(クロスメンバ)
23 バンパービーム
31 U字状断面部
31a 上壁
31b 下壁
31c 底壁
31d 上部フランジ
31e 下部フランジ
31f 縦リブ
31g 端壁
31h ボス部
31i 補強リブ
32 締結カラー
33 連続繊維FRP層(連続繊維FRP層)
34 不連続繊維FRP層(不連続繊維FRP層)
60 第1連続繊維
61 第2連続繊維
α 間隙

Claims (9)

  1. 車幅方向に延びて前後方向外側に開口する複数のU字状断面部(31)を上下方向に連続させてバンパービーム(23)を構成し、前記U字状断面部(31)は、連続繊維FRP層(33)と不連続繊維FRP層(34)とを積層してなる上壁(31a)、下壁(31b)および底壁(31c)と、前記不連続繊維FRP層(34)と一体に形成されて前記上壁(31a)、前記下壁(31b)および前記底壁(31c)を接続する複数の縦リブ(31f)とを備えることを特徴とする自動車用バンパービーム。
  2. 前記U字状断面部(31)の前記上壁(31a)および前記下壁(31b)間の上下方向の間隔は、前後方向外側に向けて拡大することを特徴とする、請求項1に記載の自動車用バンパービーム。
  3. 前記連続繊維FRP層(33)は、相互に交差する方向に配置された第1連続繊維(60)および第2連続繊維(61)を含み、前記第1連続繊維(60)を車幅方向に配置したことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の自動車用バンパービーム。
  4. 前記第2連続繊維(61)を前後方向あるいは上下方向に配置したことを特徴とする、請求項3に記載の自動車用バンパービーム。
  5. 前記底壁(31c)の前後方向内面に設けた締結カラー(32)をクロスメンバ(15)の前後方向外面に締結したことを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の自動車用バンパービーム。
  6. 前記締結カラー(32)の近傍において、前記底壁(31c)の前後方向内面と前記クロスメンバ(15)の前後方向外面との間に間隙(α)を形成したことを特徴とする、請求項5に記載の自動車用バンパービーム。
  7. 前記底壁(31c)の前後方向内面に、前記不連続繊維FRP層(34)と一体に形成したボス部(31h)と、前記ボス部(31h)を補強する補強リブ(31i)とを設け、前記締結カラー(32)を前記ボス部(31h)にインサートしたことを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の自動車用バンパービーム。
  8. 前記U字状断面部(31)の車幅方向端部を、前記不連続繊維FRP層(34)と一体に形成した端壁(31g)で閉塞したことを特徴とする、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の自動車用バンパービーム。
  9. 前記複数のU字状断面部(31)を、前記上壁(31a)に設けた上部フランジ(31d)と前記下壁(31b)に設けた下部フランジ(31e)とで結合したことを特徴とする、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の自動車用バンパービーム。
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