JP2016088148A - 自動車用バンパービーム - Google Patents

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Abstract

【課題】車幅方向端部に斜め方向の衝突荷重が入力したときに充分なエネルギー吸収性能を得るバンパービームの提供。
【解決手段】車幅方向に沿って配置される繊維強化樹脂製のバンパービーム12が、ガラス連続繊維を車幅方向とそれに直交する方向とに配向して熱可塑性樹脂で結合した連続繊維強化樹脂層を含むバンパービーム本体13を備え、本体13の車幅方向両端部の前後方向外面に、前後方向に延びる軸線を有するハニカムセル31aと、車幅方向内側から支える第1補強リブ31bとからなる衝撃吸収部31を設け、バンパービーム12の車幅方向外端部に斜め方向の衝突荷重F′が入力したときに、最初に衝突荷重を受けるハニカムセル31aが圧壊して衝突エネルギーを吸収することができ、しかも第1補強リブ31bの車幅方向内側への倒れを阻止することで、ハニカムセル31aの前後方向の圧壊を促進して衝突エネルギーの吸収効果を高めることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、車幅方向に沿って配置された繊維強化樹脂製の自動車用バンパービームに関する。
連続繊維強化樹脂層と不連続繊維強化樹脂層とを2層に積層した繊維強化樹脂製のリヤバンパービームが車体後方に向けて開放する上下2個のU字状断面部を備え、U字状断面部の車幅方向外端の開口を端壁で閉塞することで、衝突荷重によるU字状断面部の口開きを抑制するものが、下記特許文献1により公知である。
またバンパービームの車幅方向端部にハニカム構造体をフックで固定し、バンパービームの車幅方向端部に斜め方向に入力する衝突荷重をハニカム構造体の圧壊により吸収するものが、下記特許文献2により公知である。
特開2014−24394号公報 米国特許第7954865号明細書
ところで、上記特許文献1に記載されたものは、バンパービームの車幅方向端部に斜め方向の衝突荷重が入力したときに、U字状断面部の車幅方向外端の開口を端壁で閉塞するだけでは、充分なエネルギー吸収性能を得ることが難しいという問題があった。
また上記特許文献2に記載されたものは、ハニカム構造体がバンパービームにフックで固定されているため、斜め方向に入力する衝突荷重によってバンパービームからハニカム構造体が脱落してしまい、充分なエネルギー吸収性能が発揮されない可能性があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、バンパービームの車幅方向端部に斜め方向の衝突荷重が入力したときに充分なエネルギー吸収性能を得ることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車幅方向に沿って配置される繊維強化樹脂製のバンパービームが、ガラス連続繊維を車幅方向とそれに直交する方向とに配向して熱可塑性樹脂で結合した連続繊維強化樹脂層を含むバンパービーム本体を備え、前記バンパービーム本体の車幅方向両端部の前後方向外面に、前後方向に延びる軸線を有するハニカムセルと、前記ハニカムセルを車幅方向内側から支える第1補強リブとからなる衝撃吸収部を設けたことを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項2の記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記バンパービーム本体は縁部に形成されたフランジを備え、前記フランジの先端部および前記衝撃吸収部をガラス短繊維を熱可塑性樹脂で結合した繊維強化樹脂で一体に構成したことを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記バンパービーム本体は、前記連続繊維強化樹脂層と、ガラス不連続繊維をランダムな方向に配向して熱可塑性樹脂で結合した不連続繊維強化樹脂層とを少なくとも2層に積層してプレス成形され、前記フランジの先端部は射出成形されてプレス成形された前記バンパービーム本体の前記フランジに一体化されることを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項3の構成に加えて、前記フランジを、前記連続繊維強化樹脂層の縁部を前記不連続繊維強化樹脂層で覆って構成したことを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項2〜請求項4の何れか1項の構成に加えて、前記フランジにおける前記衝撃吸収部の前後方向内側に位置する部分に車体フレームの前後方向外端に取り付けられる車体取り付け部を設け、前記フランジおよび前記車体取り付け部に挟まれた前記バンパービーム本体に第2補強リブを設けたことを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項6に記載された発明によれば、請求項1〜請求項5の何れか1項の構成に加えて、前記バンパービーム本体の車幅方向外端部は前後方向内側に屈曲しており、前記衝撃吸収部の前後方向幅は車幅方向内側から外側に向かって増加することを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
尚、実施の形態のリヤサイドフレーム11は本発明の車体フレームに対応し、実施の形態のリヤバンパービーム12は本発明のバンパービームに対応し、実施の形態の金属カラー23は車体取付部に対応し、実施の形態の補強リブ28は本発明の第2補強リブに対応し、実施の形態の補強リブ31bは本発明の第1補強リブに対応する。
請求項1の構成によれば、車幅方向に沿って配置される繊維強化樹脂製のバンパービームが、ガラス連続繊維を車幅方向とそれに直交する方向とに配向して熱可塑性樹脂で結合した連続繊維強化樹脂層を含むバンパービーム本体を備え、バンパービーム本体の車幅方向両端部の前後方向外面に、前後方向に延びる軸線を有するハニカムセルと、ハニカムセルを車幅方向内側から支える第1補強リブとからなる衝撃吸収部を設けたので、バンパービームの車幅方向外端部に斜め方向の衝突荷重が入力したときに、最初に衝突荷重を受けるハニカムセルが圧壊して衝突エネルギーを吸収することができ、しかも第1補強リブがハニカムセルの車幅方向内側への倒れを阻止することで、ハニカムセルの前後方向の圧壊を促進して衝突エネルギーの吸収効果を高めることができる。
また請求項2の構成によれば、バンパービーム本体は縁部に形成されたフランジを備え、フランジの先端部および衝撃吸収部をガラス短繊維を熱可塑性樹脂で結合した繊維強化樹脂で一体に構成したので、フランジでバンパービーム本体を補強して曲げ強度を高めることができるだけでなく、フランジの先端部および衝撃吸収部が一体に構成されることでバンパービーム本体の強度を更に高めることができる。
また請求項3の構成によれば、バンパービーム本体は、連続繊維強化樹脂層と、ガラス不連続繊維をランダムな方向に配向して熱可塑性樹脂で結合した不連続繊維強化樹脂層とを少なくとも2層に積層してプレス成形され、フランジの先端部は射出成形されてプレス成形されたバンパービーム本体のフランジに一体化されるので、フランジの先端部を射出成形により容易に成形できるだけでなく、プレス成形されたバンパービーム本体のフランジのバリ取り作業が不要になるために製造コストの削減が可能になる。
また請求項4の構成によれば、フランジを、連続繊維強化樹脂層の縁部を不連続繊維強化樹脂層で覆って構成したので、安価な不連続繊維強化樹脂層を使用した分だけ高価な連続繊維強化樹脂層の使用量を減らしてコストダウンを図ることができるだけでなく、連続繊維強化樹脂層の縁部の応力集中によるクラックを不連続繊維強化樹脂層により抑制して強度を高めることができる。
また請求項5の構成によれば、フランジにおける衝撃吸収部の前後方向内側に位置する部分に車体フレームの前後方向外端に取り付けられる車体取り付け部を設け、フランジおよび車体取り付け部に挟まれたバンパービーム本体に第2補強リブを設けたので、衝撃吸収部に入力した衝突荷重を第2補強リブで補強されたバンパービーム本体を介して車体フレームに確実に伝達することで、衝撃吸収部の圧壊を促進して衝突エネルギーの吸収効果を高めることができる。
また請求項6の構成によれば、バンパービーム本体の車幅方向外端部は前後方向内側に屈曲しており、衝撃吸収部の前後方向幅は車幅方向内側から外側に向かって増加するので、ハニカムセルの車幅方向外端部の前後方向寸法を増加させ、バンパービームの車幅方向外端部に斜め方向の衝突荷重が入力したときのハニカムセルの圧壊ストロークを増加させて衝突エネルギーの吸収性能を高めることができるだけでなく、第1補強リブが三角形状になってハニカムセルの倒れを確実に阻止することで、ハニカムセルの前後方向の圧壊を促進することができる。
リヤバンパービームの斜視図。 図1の2方向矢視図。 図2の3部拡大図。 図3の4−4線断面図。 図1の5部拡大図面。 図1の6方向矢視図。 バンパービームの成形工程の説明図。
以下、図1〜図7に基づいて本発明の実施の形態を説明する。尚、本明細書において前後方向、左右方向(車幅方向)および上下方向とは、運転席に着座した乗員を基準として定義される。
図1〜図4に示すように、自動車の車体後部に前後方向に配置された左右一対のリヤサイドフレーム11,11の後端に、車幅方向に延びる繊維強化樹脂製のリヤバンパービーム12が取り付けられる。リヤバンパービーム12の本体を構成するバンパービーム本体13は、鉛直方向に延びる底壁14と、底壁14の上端から前方に延びる上壁15と、底壁14の下端から前方に延びる下壁16とを有しており、前方に向けて開放する断面コ字状に形成される。
バンパービーム本体13は、車幅方向中央に位置して比較的に小さい略一定断面を有する小断面積部17と、車幅方向両端に位置して比較的に大きい略一定断面を有する大断面積部18,18と、小断面積部17の車幅方向外端を大断面積部18,18の車幅方向内端に接続する左右一対の断面積変化部19,19とからなり、断面積変化部19,19は小断面積部17から大断面積部18,18に向かって断面積が次第に増加する。
また小断面積部17は、車幅方向中央に位置して直線状に延びる直線部17aと、直線部17aの車幅方向外端から断面積変化部19,19の車幅方向内端に向かって前方に湾曲する左右一対の湾曲部17b,17bとからなる。湾曲部17b,17bの車幅方向内端近傍は後方に最も突出しており、その位置が後面衝突時に衝突荷重F,Fが入力する衝突荷重入力部P,Pとなる。
バンパービーム本体13の外面、即ち底壁14の後面、上壁15の上面および下壁16の下面はガラス連続繊維をナイロン等の熱可塑性樹脂で結合した連続繊維強化樹脂層20で構成され、バンパービーム本体13の内面、即ち底壁14の前面、上壁15の下面および下壁16の上面はガラス不連続繊維をナイロン等の熱可塑性樹脂で結合した不連続繊維強化樹脂層21で構成される。連続繊維樹強化脂層20の連続繊維は、車幅方向と、それに直交する上下方向および前後方向とに配向される。
またバンパービーム本体13の外周縁には全周に亙ってフランジ22が突設されており、このフランジ22も不連続繊維強化樹脂層21で一体に形成される。フランジ22の付け根部において、連続繊維強化樹脂層20の外周縁は不連続繊維強化樹脂層21で包み込まれる。
大断面積部18におけるフランジ22には上下各2個の金属カラー23…が埋設されており、この金属カラー23…とリヤサイドフレーム11の後端に設けた端板11aとを後から前に貫通するボルト24…をナット25…に螺合することで、バンパービーム本体13がリヤサイドフレーム11,11に取り付けられる。
図2、図3および図6に示すように、バンパービーム本体13の衝突荷重入力部Pに対応する位置に、底壁14の前面、上壁15の下面および下壁16の上面を接続する補強リブ26が、不連続繊維強化樹脂層21の一部として一体に形成される。また補強リブ26の近傍であって、直線部17aおよび湾曲部17bの境界部に、底壁14の前面、上壁15の下面および下壁16の上面を接続する荷重分散リブ27が、不連続繊維強化樹脂層21の一部として一体に形成される。補強リブ26の高さH1は、荷重分散リブ27の高さH2よりも大きく設定される。
またバンパービーム本体13の大断面積部18における金属カラー23…の位置と前後方向に整列する位置に、底壁14の前面、上壁15の下面および下壁16の上面を接続する2個の補強リブ28,28が、不連続繊維強化樹脂層21の一部として一体に形成される。
図2、図5および図6に示すように、バンパービーム本体13の大断面積部18の上壁15および下壁16における金属カラー23…の位置と前後方向に整列する位置であり、かつリヤサイドフレーム11の軸線上に整列する位置に、前後方向に延びる2本の溝状のビード部29,29が形成される。
図2、図3および図5に示すように、バンパービーム本体13の大断面積部18の後面には、ガラス短繊維をナイロン等の熱可塑性樹脂で結合した繊維強化樹脂よりなる衝撃吸収部31が一体に設けられる。衝撃吸収部31は、車幅方向外側に位置するハニカムセル31aと、車幅方向内側に位置する複数の補強リブ31b…とからなり、ハニカムセル31aは前後方向の軸線を有する四角形の格子状に形成され、補強リブ31b…は三角形に形成されてハニカムセル31aを車幅方向内側から支えるように配置される。
図4および図5に示すように、フランジ22の外周縁には後方あるいは車幅方向内方に折り返された先端部22aが設けられており、この先端部22aは衝撃吸収部31を構成する繊維強化樹脂と同じガラス短繊維を含む繊維強化樹脂で構成され、かつ先端部22aおよび衝撃吸収部31は一体に連続している。衝撃吸収部31およびフランジ22の先端部22aを構成するガラス短繊維を含む繊維強化樹脂は、図面において網かけして示される。
図7(A)に示すように、バンパービーム本体13をプレス成形するプレス成形金型41は、連続繊維強化樹脂層20を成形する凹状のキャビティ42aを有する雌型42と、不連続繊維強化樹脂層21を成形する凸状のコア43aを有する雄型43とからなる。プレス形成金型41を型開きした状態で、雌型42のキャビティ42aおよび雄型43のコア43a間に、連続繊維プリプレグ20′と不連続繊維プリプレグ21′とを予備加熱した状態で配置した後、プレス成形金型41を型締めすることでバンパービーム本体13をプレス成形する(図7(A)および図7(B)参照)。このとき、バンパービーム本体13の補強リブ26,26、荷重分散リブ27,27および補強リブ28…は、成形性の高い不連続繊維強化樹脂層21の一部として容易に一体成形される。
続いて、図7(C)に示すように、射出成形金型44の雌型45および雄型46間にバンパービーム本体13をセットし、バンパービーム本体13および射出成形金型44間に形成された空間にガラス短繊維を含む溶融したナイロン等の熱可塑性樹脂を射出することで、ガラス短繊維を含む繊維強化樹脂よりなる衝撃吸収部31とフランジ22の先端部22aとを、バンパービーム本体13と一体になるように射出成形する(図7(D)参照)。比較的に長い連続繊維や不連続繊維を含む樹脂はノズルが詰まるために射出成形することができないが、比較的に短い短繊維を含む樹脂はノズルが詰まらせることがないために射出成形が可能となる。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
自車のリヤバンパーに他車のフロントバンパーが軽衝突したような場合、単純に後方に凸に湾曲している従来のリヤバンパービームは、そのバンパービームの車幅方向中央の1点に衝突荷重が集中的に入力するため、リヤバンパービームの車幅方向中央部に大きな曲げモーメントが作用する問題がある。
それに対し、図2に示す本実施の形態のリヤバンパービーム12は、最も後方に突出する左右一対の衝突荷重入力部P,Pを備えるため、一対の衝突荷重入力部P,Pに衝突荷重F,Fが集中的に入力する。その結果、リヤバンパービーム12の車幅方向中央部に作用する曲げモーメントの最大値が低減することで、曲げ変形に対するリヤバンパービーム12の強度を高めることができる。
しかもバンパービーム本体13は、車幅方向中央の小断面積部17と、小断面積部17の車幅方向外側に連続して断面積が次第に増加する一対の断面積変化部19,19と、断面積変化部19,19の車幅方向外側に連続する一対の大断面積部18,18とを備えるので、一対の衝突荷重入力部P,Pに衝突荷重F,Fが入力したときに、断面積変化部19,19および大断面積部18,18で曲げモーメントを支持することで、バンパービーム本体13の肉厚を減少させて軽量化を図りながら強度を高めることができる。
またバンパービーム本体13は、ガラス連続繊維を車幅方向とそれに直交する方向とに配向して熱可塑性樹脂で結合した連続繊維強化樹脂層20と、ガラス不連続繊維をランダムな方向に配向して熱可塑性樹脂で結合した不連続繊維強化樹脂層21との少なくとも2層の積層体であるので、バンパービーム本体13に高価な連続繊維強化樹脂層20と安価な不連続繊維強化樹脂層21とを併用することで、バンパービーム本体13全体を高価な連続繊維強化樹脂層20で構成する場合に比べてコストダウンを図りながら、高強度の連続繊維強化樹脂層20によりバンパービーム本体13に要求される強度を確保することができる。
またバンパービーム本体13は底壁14、上壁15および下壁16を有して前方に開放するコ字状断面に形成され、不連続繊維強化樹脂層21により形成されて底壁14、上壁15および下壁16を接続する補強リブ26,26、荷重分散リブ27,27および補強リブ28…を備えるので、成形時の流動性に優れる不連続繊維強化樹脂層21によりそれらの補強リブ26,26、荷重分散リブ27,27および補強リブ28…を容易に形成してバンパービーム本体13の強度を高めることができる。
特に、大荷重が入力する衝突荷重入力部Pに補強リブ26を設けたことで、衝突荷重入力部Pを補強してバンパービーム本体13の局部的破壊を防止することができる。
また小断面積部17は車幅方向に直線状に延びる直線部17aと、直線部17aの車幅方向両端から断面積変化部19に向かって湾曲する湾曲部17bとからなり、荷重分散リブ27は、直線部17aおよび湾曲部17bの境界部に設けられるので、衝突荷重入力部Pに入力した衝突荷重Fにより底壁14に作用する圧縮荷重を荷重分散リブ27に分散して支持することで、バンパービーム本体13の強度を高めることができる。
またバンパービーム本体13の縁部において、不連続繊維強化樹脂層21は連続繊維強化樹脂層20の縁部を覆うフランジ22を備えるので、不連続繊維強化樹脂製のフランジ22でバンパービーム本体13の曲げ強度を高めるとともに、連続繊維強化樹脂層20の縁部に応力集中によるクラックが発生するのを防止することができ、しかもフランジ22の分だけ高価な連続繊維強化樹脂層20の使用量を減らしてコストダウンを図ることができる。
また不連続繊維強化樹脂層21は大断面積部18においてリヤサイドフレーム11の後端に取り付けられる複数の金属カラー23…を備え、補強リブ28…は、複数の金属カラー23…と同じ車幅方向位置となるように、つまり複数の金属カラー23…と前後方向に整列するように配置されるので、コ字状断面の大断面積部18が成形後に上下方向に口開き変形するのを補強リブ28…により抑制し、金属カラー23…の位置がずれるのを防止してバンパービーム本体13のリヤサイドフレーム11への取り付け作業を容易にすることができる。
更に、リヤサイドフレーム11の後端に取り付けられた大断面積部18は、リヤサイドフレーム11の軸線上に整列して前後方向に延びるビード部29…を備えるので、バンパービーム本体13全体で衝突エネルギーを吸収することができないオフセット衝突時や高速での衝突時に、ビード部29…により強度が高められた大断面積部18を積極的に圧壊して衝突エネルギーの吸収効果を高めることができる。
また大断面積部18の後面に、前後方向に延びる軸線を有するハニカムセル31aと、ハニカムセル31aを車幅方向内側から支える補強リブ31b…とを有する衝撃吸収部31を設けたので、バンパービーム本体13の車幅方向外端に斜め方向の衝突荷重F′が入力したときに(図2および図3参照)、最初に衝突荷重F′を受けるハニカムセル31aが圧壊して衝突エネルギーを吸収することができ、しかも三角形をなす補強リブ31b…がハニカムセル31aの車幅方向内側への倒れを阻止することで、ハニカムセル31aの前後方向の圧壊を促進して衝突エネルギーの吸収効果を高めることができる。しかも衝撃吸収部31に入力した斜め衝突の衝突荷重F′を補強リブ28…で補強された大断面積部18を介してリヤサイドフレーム11に確実に伝達することで、衝撃吸収部31の圧壊を促進して衝突エネルギーの吸収効果を更に高めることができる。
特に、バンパービーム本体13の車幅方向外端部は前方に屈曲しており、衝撃吸収部31の前後方向幅は車幅方向内側から外側に向かって増加するので、ハニカムセル31aの車幅方向外端部の前後方向寸法を増加させ、リヤバンパービーム12の車幅方向外端部に斜め方向の衝突荷重F′が入力したときのハニカムセル31aの圧壊ストロークを増加させて衝突エネルギーの吸収性能を高めることができるだけでなく、補強リブ31b…が三角形状になってハニカムセル31aの倒れを確実に阻止することで、ハニカムセル31aの前後方向の圧壊を促進することができる。
またバンパービーム本体13は縁部に形成されたフランジ22を備え、フランジ22の先端部22aおよび衝撃吸収部31をガラス短繊維を熱可塑性樹脂で結合した繊維強化樹脂で一体に構成したので、フランジ22でバンパービーム本体13を補強して曲げ強度を高めることができるだけでなく、フランジ22の先端部22aおよび衝撃吸収部31が一体に構成されることでバンパービーム本体13の強度を更に高めることができる。
またバンパービーム本体13はプレス成形されるためにフランジ22のエッジにバリが発生することが避けられないが、フランジ22の先端部22aをガラス短繊維の繊維強化樹脂で射出成形してフランジ22のエッジに一体化するので、フランジ22の先端部22aを容易に成形できるだけでなく、プレス成形したバンパービーム本体13のフランジ22のバリ取り作業が不要になるために製造コストの削減が可能になる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態ではリヤバンパービーム12について説明したが、本発明はフロントバンパービームに対しても適用することができる。リヤバンパービーム12の場合には,前後方向外側が後方に対応し、フロントバンパービームの場合には,前後方向外側が前方に対応する。
11 リヤサイドフレーム(車体フレーム)
12 リヤバンパービーム(バンパービーム)
13 バンパービーム本体
20 連続繊維強化樹脂層
21 不連続繊維強化樹脂層
22 フランジ
22a 先端部
23 金属カラー(車体取付部)
28 補強リブ(第2補強リブ)
31 衝撃吸収部
31a ハニカムセル
31b 補強リブ(第1補強リブ)
本発明は、車幅方向に沿って配置された繊維強化樹脂製の自動車用バンパービームに関する。
連続繊維強化樹脂層と不連続繊維強化樹脂層とを2層に積層した繊維強化樹脂製のリヤバンパービームが車体後方に向けて開放する上下2個のU字状断面部を備え、U字状断面部の車幅方向外端の開口を端壁で閉塞することで、衝突荷重によるU字状断面部の口開きを抑制するものが、下記特許文献1により公知である。
またバンパービームの車幅方向端部にハニカム構造体をフックで固定し、バンパービームの車幅方向端部に斜め方向に入力する衝突荷重をハニカム構造体の圧壊により吸収するものが、下記特許文献2により公知である。
特開2014−24394号公報 米国特許第7954865号明細書
ところで、上記特許文献1に記載されたものは、バンパービームの車幅方向端部に斜め方向の衝突荷重が入力したときに、U字状断面部の車幅方向外端の開口を端壁で閉塞するだけでは、充分なエネルギー吸収性能を得ることが難しいという問題があった。
また上記特許文献2に記載されたものは、ハニカム構造体がバンパービームにフックで固定されているため、斜め方向に入力する衝突荷重によってバンパービームからハニカム構造体が脱落してしまい、充分なエネルギー吸収性能が発揮されない可能性があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、バンパービームの車幅方向端部に斜め方向の衝突荷重が入力したときに充分なエネルギー吸収性能を得ることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車幅方向に沿って配置される繊維強化樹脂製のバンパービームが、連続繊維を車幅方向とそれに直交する方向とに配向して熱可塑性樹脂で結合した連続繊維強化樹脂層を含むバンパービーム本体を備え、前記バンパービーム本体の車幅方向両端部の前後方向外面に、前後方向に延びる軸線を有するハニカムセルと、前記ハニカムセルを車幅方向内側から支える第1補強リブとからなる衝撃吸収部を設けたことを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項2の記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記バンパービーム本体は縁部に形成されたフランジを備え、前記フランジの先端部および前記衝撃吸収部を短繊維を熱可塑性樹脂で結合した繊維強化樹脂で一体に構成したことを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記バンパービーム本体は、前記連続繊維強化樹脂層と、不連続繊維をランダムな方向に配向して熱可塑性樹脂で結合した不連続繊維強化樹脂層とを少なくとも2層に積層してプレス成形され、前記フランジの先端部は射出成形されてプレス成形された前記バンパービーム本体の前記フランジに一体化されることを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項3の構成に加えて、前記フランジを、前記連続繊維強化樹脂層の縁部を前記不連続繊維強化樹脂層で覆って構成したことを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項2〜請求項4の何れか1項の構成に加えて、前記フランジにおける前記衝撃吸収部の前後方向内側に位置する部分に車体フレームの前後方向外端に取り付けられる車体取り付け部を設け、前記フランジおよび前記車体取り付け部に挟まれた前記バンパービーム本体に第2補強リブを設けたことを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
また請求項6に記載された発明によれば、請求項1〜請求項5の何れか1項の構成に加えて、前記バンパービーム本体の車幅方向外端部は前後方向内側に屈曲しており、前記衝撃吸収部の前後方向幅は車幅方向内側から外側に向かって増加することを特徴とする自動車用バンパービームが提案される。
尚、実施の形態のリヤサイドフレーム11は本発明の車体フレームに対応し、実施の形態のリヤバンパービーム12は本発明のバンパービームに対応し、実施の形態の金属カラー23は車体取付部に対応し、実施の形態の補強リブ28は本発明の第2補強リブに対応し、実施の形態の補強リブ31bは本発明の第1補強リブに対応する。
請求項1の構成によれば、車幅方向に沿って配置される繊維強化樹脂製のバンパービームが、連続繊維を車幅方向とそれに直交する方向とに配向して熱可塑性樹脂で結合した連続繊維強化樹脂層を含むバンパービーム本体を備え、バンパービーム本体の車幅方向両端部の前後方向外面に、前後方向に延びる軸線を有するハニカムセルと、ハニカムセルを車幅方向内側から支える第1補強リブとからなる衝撃吸収部を設けたので、バンパービームの車幅方向外端部に斜め方向の衝突荷重が入力したときに、最初に衝突荷重を受けるハニカムセルが圧壊して衝突エネルギーを吸収することができ、しかも第1補強リブがハニカムセルの車幅方向内側への倒れを阻止することで、ハニカムセルの前後方向の圧壊を促進して衝突エネルギーの吸収効果を高めることができる。
また請求項2の構成によれば、バンパービーム本体は縁部に形成されたフランジを備え、フランジの先端部および衝撃吸収部を短繊維を熱可塑性樹脂で結合した繊維強化樹脂で一体に構成したので、フランジでバンパービーム本体を補強して曲げ強度を高めることができるだけでなく、フランジの先端部および衝撃吸収部が一体に構成されることでバンパービーム本体の強度を更に高めることができる。
また請求項3の構成によれば、バンパービーム本体は、連続繊維強化樹脂層と、不連続繊維をランダムな方向に配向して熱可塑性樹脂で結合した不連続繊維強化樹脂層とを少なくとも2層に積層してプレス成形され、フランジの先端部は射出成形されてプレス成形されたバンパービーム本体のフランジに一体化されるので、フランジの先端部を射出成形により容易に成形できるだけでなく、プレス成形されたバンパービーム本体のフランジのバリ取り作業が不要になるために製造コストの削減が可能になる。
また請求項4の構成によれば、フランジを、連続繊維強化樹脂層の縁部を不連続繊維強化樹脂層で覆って構成したので、安価な不連続繊維強化樹脂層を使用した分だけ高価な連続繊維強化樹脂層の使用量を減らしてコストダウンを図ることができるだけでなく、連続繊維強化樹脂層の縁部の応力集中によるクラックを不連続繊維強化樹脂層により抑制して強度を高めることができる。
また請求項5の構成によれば、フランジにおける衝撃吸収部の前後方向内側に位置する部分に車体フレームの前後方向外端に取り付けられる車体取り付け部を設け、フランジおよび車体取り付け部に挟まれたバンパービーム本体に第2補強リブを設けたので、衝撃吸収部に入力した衝突荷重を第2補強リブで補強されたバンパービーム本体を介して車体フレームに確実に伝達することで、衝撃吸収部の圧壊を促進して衝突エネルギーの吸収効果を高めることができる。
また請求項6の構成によれば、バンパービーム本体の車幅方向外端部は前後方向内側に屈曲しており、衝撃吸収部の前後方向幅は車幅方向内側から外側に向かって増加するので、ハニカムセルの車幅方向外端部の前後方向寸法を増加させ、バンパービームの車幅方向外端部に斜め方向の衝突荷重が入力したときのハニカムセルの圧壊ストロークを増加させて衝突エネルギーの吸収性能を高めることができるだけでなく、第1補強リブが三角形状になってハニカムセルの倒れを確実に阻止することで、ハニカムセルの前後方向の圧壊を促進することができる。
リヤバンパービームの斜視図。 図1の2方向矢視図。 図2の3部拡大図。 図3の4−4線断面図。 図1の5部拡大図面。 図1の6方向矢視図。 バンパービームの成形工程の説明図。
以下、図1〜図7に基づいて本発明の実施の形態を説明する。尚、本明細書において前後方向、左右方向(車幅方向)および上下方向とは、運転席に着座した乗員を基準として定義される。
図1〜図4に示すように、自動車の車体後部に前後方向に配置された左右一対のリヤサイドフレーム11,11の後端に、車幅方向に延びる繊維強化樹脂製のリヤバンパービーム12が取り付けられる。リヤバンパービーム12の本体を構成するバンパービーム本体13は、鉛直方向に延びる底壁14と、底壁14の上端から前方に延びる上壁15と、底壁14の下端から前方に延びる下壁16とを有しており、前方に向けて開放する断面コ字状に形成される。
バンパービーム本体13は、車幅方向中央に位置して比較的に小さい略一定断面を有する小断面積部17と、車幅方向両端に位置して比較的に大きい略一定断面を有する大断面積部18,18と、小断面積部17の車幅方向外端を大断面積部18,18の車幅方向内端に接続する左右一対の断面積変化部19,19とからなり、断面積変化部19,19は小断面積部17から大断面積部18,18に向かって断面積が次第に増加する。
また小断面積部17は、車幅方向中央に位置して直線状に延びる直線部17aと、直線部17aの車幅方向外端から断面積変化部19,19の車幅方向内端に向かって前方に湾曲する左右一対の湾曲部17b,17bとからなる。湾曲部17b,17bの車幅方向内端近傍は後方に最も突出しており、その位置が後面衝突時に衝突荷重F,Fが入力する衝突荷重入力部P,Pとなる。
バンパービーム本体13の外面、即ち底壁14の後面、上壁15の上面および下壁16の下面はガラス連続繊維をナイロン等の熱可塑性樹脂で結合した連続繊維強化樹脂層20で構成され、バンパービーム本体13の内面、即ち底壁14の前面、上壁15の下面および下壁16の上面はガラス不連続繊維をナイロン等の熱可塑性樹脂で結合した不連続繊維強化樹脂層21で構成される。連続繊維樹強化脂層20の連続繊維は、車幅方向と、それに直交する上下方向および前後方向とに配向される。
またバンパービーム本体13の外周縁には全周に亙ってフランジ22が突設されており、このフランジ22も不連続繊維強化樹脂層21で一体に形成される。フランジ22の付け根部において、連続繊維強化樹脂層20の外周縁は不連続繊維強化樹脂層21で包み込まれる。
大断面積部18におけるフランジ22には上下各2個の金属カラー23…が埋設されており、この金属カラー23…とリヤサイドフレーム11の後端に設けた端板11aとを後から前に貫通するボルト24…をナット25…に螺合することで、バンパービーム本体13がリヤサイドフレーム11,11に取り付けられる。
図2、図3および図6に示すように、バンパービーム本体13の衝突荷重入力部Pに対応する位置に、底壁14の前面、上壁15の下面および下壁16の上面を接続する補強リブ26が、不連続繊維強化樹脂層21の一部として一体に形成される。また補強リブ26の近傍であって、直線部17aおよび湾曲部17bの境界部近傍に、底壁14の前面、上壁15の下面および下壁16の上面を接続する荷重分散リブ27が、不連続繊維強化樹脂層21の一部として一体に形成される。補強リブ26の高さH1は、荷重分散リブ27の高さH2よりも大きく設定される。
またバンパービーム本体13の大断面積部18における金属カラー23…の位置と前後方向に整列する位置に、底壁14の前面、上壁15の下面および下壁16の上面を接続する2個の補強リブ28,28が、不連続繊維強化樹脂層21の一部として一体に形成される。
図2、図5および図6に示すように、バンパービーム本体13の大断面積部18の上壁15および下壁16における金属カラー23…の位置と前後方向に整列する位置であり、かつリヤサイドフレーム11の軸線上に整列する位置に、前後方向に延びる2本の溝状のビード部29,29が形成される。
図2、図3および図5に示すように、バンパービーム本体13の大断面積部18の後面には、ガラス短繊維をナイロン等の熱可塑性樹脂で結合した繊維強化樹脂よりなる衝撃吸収部31が一体に設けられる。衝撃吸収部31は、車幅方向外側に位置するハニカムセル31aと、車幅方向内側に位置する複数の補強リブ31b…とからなり、ハニカムセル31aは前後方向の軸線を有する四角形の格子状に形成され、補強リブ31b…は三角形に形成されてハニカムセル31aを車幅方向内側から支えるように配置される。
図4および図5に示すように、フランジ22の外周縁には後方あるいは車幅方向内方に折り返された先端部22aが設けられており、この先端部22aは衝撃吸収部31を構成する繊維強化樹脂と同じガラス短繊維を含む繊維強化樹脂で構成され、かつ先端部22aおよび衝撃吸収部31は一体に連続している。衝撃吸収部31およびフランジ22の先端部22aを構成するガラス短繊維を含む繊維強化樹脂は、図面において網かけして示される。
図7(A)に示すように、バンパービーム本体13をプレス成形するプレス成形金型41は、連続繊維強化樹脂層20を成形する凹状のキャビティ42aを有する雌型42と、不連続繊維強化樹脂層21を成形する凸状のコア43aを有する雄型43とからなる。プレス形成金型41を型開きした状態で、雌型42のキャビティ42aおよび雄型43のコア43a間に、連続繊維プリプレグ20′と不連続繊維プリプレグ21′とを予備加熱した状態で配置した後、プレス成形金型41を型締めすることでバンパービーム本体13をプレス成形する(図7(A)および図7(B)参照)。このとき、バンパービーム本体13の補強リブ26,26、荷重分散リブ27,27および補強リブ28…は、成形性の高い不連続繊維強化樹脂層21の一部として容易に一体成形される。
続いて、図7(C)に示すように、射出成形金型44の雌型45および雄型46間にバンパービーム本体13をセットし、バンパービーム本体13および射出成形金型44間に形成された空間にガラス短繊維を含む溶融したナイロン等の熱可塑性樹脂を射出することで、ガラス短繊維を含む繊維強化樹脂よりなる衝撃吸収部31とフランジ22の先端部22aとを、バンパービーム本体13と一体になるように射出成形する(図7(D)参照)。比較的に長い連続繊維や不連続繊維を含む樹脂はノズルが詰まるために射出成形することができないが、比較的に短い短繊維を含む樹脂はノズルが詰まらせることがないために射出成形が可能となる。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
自車のリヤバンパーに他車のフロントバンパーが軽衝突したような場合、単純に後方に凸に湾曲している従来のリヤバンパービームは、そのバンパービームの車幅方向中央の1点に衝突荷重が集中的に入力するため、リヤバンパービームの車幅方向中央部に大きな曲げモーメントが作用する問題がある。
それに対し、図2に示す本実施の形態のリヤバンパービーム12は、最も後方に突出する左右一対の衝突荷重入力部P,Pを備えるため、一対の衝突荷重入力部P,Pに衝突荷重F,Fが集中的に入力する。その結果、リヤバンパービーム12の車幅方向中央部に作用する曲げモーメントの最大値が低減することで、曲げ変形に対するリヤバンパービーム12の強度を高めることができる。
しかもバンパービーム本体13は、車幅方向中央の小断面積部17と、小断面積部17の車幅方向外側に連続して断面積が次第に増加する一対の断面積変化部19,19と、断面積変化部19,19の車幅方向外側に連続する一対の大断面積部18,18とを備えるので、一対の衝突荷重入力部P,Pに衝突荷重F,Fが入力したときに、断面積変化部19,19および大断面積部18,18で曲げモーメントを支持することで、バンパービーム本体13の肉厚を減少させて軽量化を図りながら強度を高めることができる。
またバンパービーム本体13は、ガラス連続繊維を車幅方向とそれに直交する方向とに配向して熱可塑性樹脂で結合した連続繊維強化樹脂層20と、ガラス不連続繊維をランダムな方向に配向して熱可塑性樹脂で結合した不連続繊維強化樹脂層21との少なくとも2層の積層体であるので、バンパービーム本体13に高価な連続繊維強化樹脂層20と安価な不連続繊維強化樹脂層21とを併用することで、バンパービーム本体13全体を高価な連続繊維強化樹脂層20で構成する場合に比べてコストダウンを図りながら、高強度の連続繊維強化樹脂層20によりバンパービーム本体13に要求される強度を確保することができる。
またバンパービーム本体13は底壁14、上壁15および下壁16を有して前方に開放するコ字状断面に形成され、不連続繊維強化樹脂層21により形成されて底壁14、上壁15および下壁16を接続する補強リブ26,26、荷重分散リブ27,27および補強リブ28…を備えるので、成形時の流動性に優れる不連続繊維強化樹脂層21によりそれらの補強リブ26,26、荷重分散リブ27,27および補強リブ28…を容易に形成してバンパービーム本体13の強度を高めることができる。
特に、大荷重が入力する衝突荷重入力部Pに補強リブ26を設けたことで、衝突荷重入力部Pを補強してバンパービーム本体13の局部的破壊を防止することができる。
また小断面積部17は車幅方向に直線状に延びる直線部17aと、直線部17aの車幅方向両端から断面積変化部19に向かって湾曲する湾曲部17bとからなり、荷重分散リブ27は、直線部17aおよび湾曲部17bの境界部近傍に設けられるので、衝突荷重入力部Pに入力した衝突荷重Fにより底壁14に作用する圧縮荷重を荷重分散リブ27に分散して支持することで、バンパービーム本体13の強度を高めることができる。
またバンパービーム本体13の縁部において、不連続繊維強化樹脂層21は連続繊維強化樹脂層20の縁部を覆うフランジ22を備えるので、不連続繊維強化樹脂製のフランジ22でバンパービーム本体13の曲げ強度を高めるとともに、連続繊維強化樹脂層20の縁部に応力集中によるクラックが発生するのを防止することができ、しかもフランジ22の分だけ高価な連続繊維強化樹脂層20の使用量を減らしてコストダウンを図ることができる。
また不連続繊維強化樹脂層21は大断面積部18においてリヤサイドフレーム11の後端に取り付けられる複数の金属カラー23…を備え、補強リブ28…は、複数の金属カラー23…と同じ車幅方向位置となるように、つまり複数の金属カラー23…と前後方向に整列するように配置されるので、コ字状断面の大断面積部18が成形後に上下方向に口開き変形するのを補強リブ28…により抑制し、金属カラー23…の位置がずれるのを防止してバンパービーム本体13のリヤサイドフレーム11への取り付け作業を容易にすることができる。
更に、リヤサイドフレーム11の後端に取り付けられた大断面積部18は、リヤサイドフレーム11の軸線上に整列して前後方向に延びるビード部29…を備えるので、バンパービーム本体13全体で衝突エネルギーを吸収することができないオフセット衝突時や高速での衝突時に、ビード部29…により強度が高められた大断面積部18を積極的に圧壊して衝突エネルギーの吸収効果を高めることができる。
また大断面積部18の後面に、前後方向に延びる軸線を有するハニカムセル31aと、ハニカムセル31aを車幅方向内側から支える補強リブ31b…とを有する衝撃吸収部31を設けたので、バンパービーム本体13の車幅方向外端に斜め方向の衝突荷重F′が入力したときに(図2および図3参照)、最初に衝突荷重F′を受けるハニカムセル31aが圧壊して衝突エネルギーを吸収することができ、しかも三角形をなす補強リブ31b…がハニカムセル31aの車幅方向内側への倒れを阻止することで、ハニカムセル31aの前後方向の圧壊を促進して衝突エネルギーの吸収効果を高めることができる。しかも衝撃吸収部31に入力した斜め衝突の衝突荷重F′を補強リブ28…で補強された大断面積部18を介してリヤサイドフレーム11に確実に伝達することで、衝撃吸収部31の圧壊を促進して衝突エネルギーの吸収効果を更に高めることができる。
特に、バンパービーム本体13の車幅方向外端部は前方に屈曲しており、衝撃吸収部31の前後方向幅は車幅方向内側から外側に向かって増加するので、ハニカムセル31aの車幅方向外端部の前後方向寸法を増加させ、リヤバンパービーム12の車幅方向外端部に斜め方向の衝突荷重F′が入力したときのハニカムセル31aの圧壊ストロークを増加させて衝突エネルギーの吸収性能を高めることができるだけでなく、補強リブ31b…が三角形状になってハニカムセル31aの倒れを確実に阻止することで、ハニカムセル31aの前後方向の圧壊を促進することができる。
またバンパービーム本体13は縁部に形成されたフランジ22を備え、フランジ22の先端部22aおよび衝撃吸収部31をガラス短繊維を熱可塑性樹脂で結合した繊維強化樹脂で一体に構成したので、フランジ22でバンパービーム本体13を補強して曲げ強度を高めることができるだけでなく、フランジ22の先端部22aおよび衝撃吸収部31が一体に構成されることでバンパービーム本体13の強度を更に高めることができる。
またバンパービーム本体13はプレス成形されるためにフランジ22のエッジにバリが発生することが避けられないが、フランジ22の先端部22aをガラス短繊維の繊維強化樹脂で射出成形してフランジ22のエッジに一体化するので、フランジ22の先端部22aを容易に成形できるだけでなく、プレス成形したバンパービーム本体13のフランジ22のバリ取り作業が不要になるために製造コストの削減が可能になる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態ではリヤバンパービーム12について説明したが、本発明はフロントバンパービームに対しても適用することができる。リヤバンパービーム12の場合には,前後方向外側が後方に対応し、フロントバンパービームの場合には,前後方向外側が前方に対応する。
11 リヤサイドフレーム(車体フレーム)
12 リヤバンパービーム(バンパービーム)
13 バンパービーム本体
20 連続繊維強化樹脂層
21 不連続繊維強化樹脂層
22 フランジ
22a 先端部
23 金属カラー(車体取付部)
28 補強リブ(第2補強リブ)
31 衝撃吸収部
31a ハニカムセル
31b 補強リブ(第1補強リブ)

Claims (6)

  1. 車幅方向に沿って配置される繊維強化樹脂製のバンパービーム(12)が、ガラス連続繊維を車幅方向とそれに直交する方向とに配向して熱可塑性樹脂で結合した連続繊維強化樹脂層(20)を含むバンパービーム本体(13)を備え、前記バンパービーム本体(13)の車幅方向両端部の前後方向外面に、前後方向に延びる軸線を有するハニカムセル(31a)と、前記ハニカムセル(31a)を車幅方向内側から支える第1補強リブ(31b)とからなる衝撃吸収部(31)を設けたことを特徴とする自動車用バンパービーム。
  2. 前記バンパービーム本体(13)は縁部に形成されたフランジ(22)を備え、前記フランジ(22)の先端部(22a)および前記衝撃吸収部(31)をガラス短繊維を熱可塑性樹脂で結合した繊維強化樹脂で一体に構成したことを特徴とする、請求項1に記載の自動車用バンパービーム。
  3. 前記バンパービーム本体(13)は、前記連続繊維強化樹脂層(20)と、ガラス不連続繊維をランダムな方向に配向して熱可塑性樹脂で結合した不連続繊維強化樹脂層(21)とを少なくとも2層に積層してプレス成形され、前記フランジ(22)の先端部は射出成形されてプレス成形された前記バンパービーム本体(13)の前記フランジ(22)に一体化されることを特徴とする、請求項2に記載の自動車用バンパービーム。
  4. 前記フランジ(22)を、前記連続繊維強化樹脂層(20)の縁部を前記不連続繊維強化樹脂層(21)で覆って構成したことを特徴とする、請求項3に記載の自動車用バンパービーム。
  5. 前記フランジ(22)における前記衝撃吸収部(31)の前後方向内側に位置する部分に車体フレーム(11)の前後方向外端に取り付けられる車体取り付け部(23)を設け、前記フランジ(22)および前記車体取り付け部(23)に挟まれた前記バンパービーム本体(13)に第2補強リブ(28)を設けたことを特徴とする、請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の自動車用バンパービーム。
  6. 前記バンパービーム本体(13)の車幅方向外端部は前後方向内側に屈曲しており、前記衝撃吸収部(31)の前後方向幅は車幅方向内側から外側に向かって増加することを特徴とする、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の自動車用バンパービーム。
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