JP2014024086A - 肉盛材の曲げ加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】曲げ加工時に表面き裂を生じることを確実に防止する。
【解決手段】基材13の表面に肉盛層(2,3)を形成した肉盛材の曲げ加工方法であって、基材13の、曲げ方向の側に位置する半部表面に第1肉盛層2を形成した後、基材13を目標角度へ曲げ、この状態で、基材13の、曲げ方向とは反対側に位置する半部表面に第2肉盛層3を形成する。
【選択図】 図4

Description

本発明は肉盛材の曲げ加工方法に関し、特に曲げ加工時の表面き裂の発生を効果的に防止できる肉盛材の曲げ加工方法に関する。
肉盛材の曲げ加工方法の一例として、管曲げ時の減肉を防止する管曲げ方法が特許文献1に示されており、ここでは、管体の曲げ外側面に鋼材を沿わせて、管体を局所的に加熱しつつ管体と鋼材を一体に曲げている。
特開昭61−82931
しかし、上記従来の方法では、減肉は防止できるものの、特に肉盛パイプのようなものでは往々にして表面き裂を生じることが問題になっていた。
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、曲げ加工時に表面き裂を生じることを確実に防止できる肉盛材の曲げ加工方法を提供することを目的とする。
本第1発明では、基材(13)の表面に肉盛層(2,3)を形成した肉盛材の曲げ加工方法であって、基材(13)の、曲げ方向の側に位置する半部表面に第1肉盛層(2)を形成した後、基材(13)を目標角度へ曲げ、この状態で、基材(13)の、曲げ方向とは反対側に位置する半部表面に第2肉盛層(3)を形成することを特徴としている。
本第1発明においては、基材の、曲げ方向の側に位置する半部表面に第1肉盛層を形成した後に、基材を目標角度へ曲げているから、第1肉盛層には圧縮応力が生じ、引張応力は生じないから、第1肉盛層に表面き裂を生じることはない。そして、基材を目標角度へ曲げた状態で、基材の、曲げ方向とは反対側に位置する半部表面に第2肉盛層を形成しているから、当該第2肉盛層にも引張応力が生じることはなく、第2肉盛層にも表面き裂を生じることはない。このよにして、肉盛材の曲げ加工時における表面き裂の発生を確実に防止することができる。
本第2発明では、第1肉盛層(2)を、中立面(C)よりも曲げ方向の内側に形成する。本第2発明においては、曲げ加工時に第2肉盛層の全ての部分に圧縮応力しか発生しないから、表面き裂の発生をより確実に防止することができる。
本第3発明では、少なくとも第2肉盛層(3)を溶接によって形成し、第2肉盛層(3)を形成した後、戻り変形した基材(13)を再び目標角度へ曲げるようにする。本第3発明においては、第2肉盛層の溶接収縮による基材の戻り変形を修正して目標角度へ確実に基材を曲げ変形させることができる。戻り変形を修正することにより第2肉盛層には引張応力が生じるが、この時の引張応力は十分に小さい。
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以上の如く、本発明の肉盛材の曲げ加工方法によれば、曲げ加工時に肉盛材に表面き裂を生じることを確実に防止することができる。
本発明の一実施形態を示す基材の断面図である。 第1肉盛層を形成した円筒材の部分断面側面図である。 曲げ加工を行った円筒材の部分断面側面図である。 第2肉盛層を形成した円筒材の部分断面側面図である。
なお、以下に説明する実施形態はあくまで一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が行う種々の設計的改良も本発明の範囲に含まれる。
本発明では図1に示すように最初に基材11〜14の半部(図1では下半部)表面に第1肉盛層2を形成する。基材としては、板材11(図1(1))、角筒材12(図1(2))、円筒材13(図1(3))、円筒材と板材を組み合わせた構造材14(図1(4))等が使用できる。上記第1肉盛層2は耐食金属やセラミクス等で構成され、溶接や溶射等で形成できる。なお、第1肉盛層2を図1に示すように中立面Cに至らない範囲に形成しておくと、次工程の曲げ成形時に第1肉盛層2内に引張応力が作用しないので好ましい。
以下の工程は基材として円筒材13を使用した場合について説明するが、他の基材11,12,14についても同様である。図2は下半部の表面に第1肉盛層2を形成した円筒材13の、肉盛層2部分を断面とした側面図である。曲げ加工工程では、第1肉盛層2を形成した側(図2では下側)へ 円筒材13を目標角度まで曲げ変形させる(図3)。この際、第1肉盛層2は曲げ方向で中立面Cの内側にあるから(図1(3)参照)、第1肉盛層2には圧縮応力のみが作用し、引張応力は作用しない。したがって、第1肉盛層2に表面き裂を生じることはない。
次に円筒材13の残る半部、すなわち曲げ方向の反対側にある円筒材13の外側半部(図1、図3では上半部)に第2肉盛層3を形成する(図4)。第2肉盛層3には引張応力は生じていない。このようにして、円筒材13の全周に、表面き裂の無い肉盛層2,3が形成される。
第2肉盛層3を形成した時点で、 円筒材13がやや戻り変形することがある。この場合には再度、円筒材13を上記目標角度まで曲げ直しておく。この際、曲げ方向の外側にある第2肉盛層3には引張応力が生じるが、この応力は小さいから表面き裂を生じることはない。この際、円筒材13を目標角度まで曲げ直した後、焼きなましを行って第2肉盛層3内の引張応力を除去しておくことが好ましい。
2…第1肉盛層、3…第2肉盛層、13…基材、C…中立面。

Claims (3)

  1. 基材の表面に肉盛層を形成した肉盛材の曲げ加工方法であって、前記基材の、曲げ方向の側に位置する前記基材の半部表面に第1肉盛層を形成した後、前記基材を目標角度へ曲げ、この状態で、前記基材の、曲げ方向とは反対側に位置する半部表面に第2肉盛層を形成することを特徴とする肉盛材の曲げ加工方法。
  2. 前記第1肉盛層を、中立面よりも曲げ方向の内側に形成した請求項1に記載の肉盛材の曲げ加工方法。
  3. 少なくとも前記第2肉盛層を溶接によって形成し、前記第2肉盛層を形成した後、戻り変形した前記基材を再び目標角度へ曲げるようにした請求項1又は2に記載の肉盛材の曲げ加工方法。
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