JP2014023279A - 同期電動機 - Google Patents

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Abstract

【課題】高効率化、高トルク化を図りつつ、より低振動化、低騒音化を図ることができる同期電動機を得ること。
【解決手段】電気角で90°位相の異なる2相の交流電流により駆動される同期電動機であって、4n(nは自然数)個のティースが周方向に等角度間隔で形成され、各ティース2a,2b,2c,2dに巻線が集中巻きで巻回された固定子1と、軟磁性材料のバックヨーク5の表面に、6n個の永久磁石6が異なる極性を交互にして周方向に等角度間隔で配置され、固定子1に対向配置された回転子4と、を備え、各ティース2a,2b,2c,2dの回転子4に対向する部分の幅は、機械角で略(45/n)°である。
【選択図】図1

Description

本発明は、同期電動機に関する。
小型の送風機に用いられる電動機としては、一般に、安価で小型の単相誘導電動機が用いられることが多い。この単相誘導電動機は、効率が低いため、出力が小さい割には、消費電力が大きいという欠点がある。このような欠点を改善するものとして、一般的な固定子の巻線が異なる相同志をラップさせる分布巻き構造に対し、巻線のコイルを小さくできる集中巻き構造としたかご形3相誘導電動機があるが、回転子のかご形導体に電流を発生させるためのエネルギーを固定子側より供給するため、回転子から発生する磁束を永久磁石から供給する同期電動機に比べると効率が低く、消費電力の削減にも限界がある。
一方、OA機器や設備の冷却用に用いられる、所謂「軸流ファン」の電動機としては、単相同期電動機が用いられることが多い。この単相同期電動機は、集中巻き構造の固定子と、固定子のティースと同数の磁極の回転子とを組み合わせて構成され、一般に、駆動回路のコストを抑制するために半波整流後の電流を用いて駆動されるが、通電する相を切り替えるタイミングで出力トルクが大きく落ち込み、リップルが大きくなるため、振動や騒音が大きいという欠点がある。
集中巻き構造の同期電動機において、トルクリップルを抑制して低振動化、低騒音化を図る技術としては、例えば、回転子の極数に対して固定子の突極(ティース)を少なくし、2相の巻線に90°の位相差を有する2相の交流電流を通電して駆動することで、高効率化、高トルク化を図りつつ、出力トルクの落ち込みを少なくして、低振動化、低騒音化を図るものがある(例えば、特許文献1)。
特開2006−340487号公報
永久磁石を用いた同期電動機では、振動や騒音の別の要因として、回転子の永久磁石と固定子のティースとの間に働く磁気吸引力に起因して発生するコギングトルクがある。このコギングトルクは、回転子の機械的な1回転中にスロット数と磁極数との最小公倍数で発生するトルク脈動成分である。この回転子の1回転中に発生するコギングトルクの脈動数が多いほど、エネルギーが分散され、これに伴ってコギングトルクの振幅が小さくなり、振動や騒音が小さくなる。逆に、コギングトルクの脈動数が少ないほど、コギングトルクの振幅が大きくなり、振動や騒音が大きくなる。上記従来技術は、回転子の極数に対してティースの数を少なくする、つまりスロット数を少なくすることで、巻線を巻回するスペースを拡大して高効率化、高トルク化を図るものであるので、スロット数と磁極数との組み合わせによっては、コギングトルクの脈動数が少なくなり、これに伴ってコギングトルクの振幅が大きくなり、振動や騒音が大きくなる場合がある、という問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高効率化、高トルク化を図りつつ、より低振動化、低騒音化を図ることができる同期電動機を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる同期電動機は、電気角で90°位相の異なる2相の交流電流により駆動される同期電動機であって、4n(nは自然数)個のティースが周方向に等角度間隔で形成され、前記各ティースに巻線が集中巻きで巻回された固定子と、軟磁性材料のバックヨークの表面に、6n個の永久磁石が異なる極性を交互にして周方向に等角度間隔で配置され、前記固定子に対向配置された回転子と、を備え、前記各ティースの前記回転子に対向する部分の幅は、機械角で略(45/n)°であることを特徴とする。
本発明によれば、高効率化、高トルク化を図りつつ、より低振動化、低騒音化を図ることができる、という効果を奏する。
図1は、実施の形態1にかかる同期電動機の横断面図である。 図2は、実施の形態1にかかる同期電動機の駆動電流の一例を示す図である。 図3は、図2に示す駆動電流の各状態において各コイルに流れる電流方向を示す図である。 図4は、図1に示す同期電動機のティースの先端部の拡大図である。 図5は、図1に示す同期電動機のティースの先端幅をパラメータとして、コギングトルクの振幅を比較した図である。 図6は、ティースの先端幅が60°、45°、30°である場合における回転子の回転角とコギングトルクの振幅との関係を示す図である。 図7は、永久磁石の磁束の流れを示す図である。 図8は、実施の形態2にかかる同期電動機の横断面図である。
以下に添付図面を参照し、本発明の実施の形態にかかる同期電動機について説明する。なお、以下に示す実施の形態により本発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる同期電動機の横断面図である。図1に示すように、本実施の形態では、固定子1の内周面に対向して回転子4を配置した、所謂インナーロータ型の同期電動機である場合の例について説明する。
固定子1は、軸心を中心とする円環状の鉄心に4n(nは自然数)個の突起状の鉄心(以下、「ティース」という)2a,2b,2c,2dが軸心に向かって周方向に等角度間隔で形成され、この各ティース2a,2b,2c,2dに巻線が集中巻きで巻回され4n個のコイル3が形成されている。
各ティース2a,2b,2c,2dは、2n個ずつの2組に区分される。このとき、一方の組を成す各ティース(ここでは、各ティース2a,2c)と他方の組を成す各ティース(ここでは、各ティース2b,2d)とが交互に配置されるように区分される。各ティース2a,2b,2c,2dに巻回される巻線は、一方の組を成す各ティース(ここでは、各ティース2a,2c)に巻回される巻線と、他方の組を成す各ティース(ここでは、各ティース2b,2d)に巻回される巻線との2つに分離した2相の巻線としており、同じ組内において隣接する各ティース(ここでは、各ティース2a,2c、あるいは、各ティース2b,2d)に巻回する巻線の巻回方向を軸心から見て互いに逆方向としている。
なお、図1に示す実線矢印は、各コイル3を形成する各巻線(A相(+)巻線、A相(−)巻線、B相(+)巻線、B相(−)巻線)に流れる正方向電流の向きを示している。この固定子1の構成は、集中巻きの誘導電動機の固定子の構成と同様である。また、各ティース2a,2b,2c,2dの回転子4に対向する部分の幅(以下、「先端幅」という)は、軸心を中心として機械角で略(45/n)°としている。
回転子4は、軸心を中心とする円柱状の軟磁性材料のバックヨーク5の外周面に、6n個の平行配向あるいはラジアル配向された永久磁石6が異なる極性を交互にして周方向に等角度間隔で配置され、各ティース2a,2b,2c,2dの内側に固定子1に対向して回転可能に配置されている。
なお、図1に示す例では、n=1、つまり、固定子1の突極数(ティース数)が4、回転子4の極数が6、各ティース2a,2b,2c,2dの先端幅が軸心を中心として機械角で略45°である例を示している。また、以下の説明において、各ティース2a,2b,2c,2dを特に区別する必要のない場合には、ティース2と称する。
つぎに、実施の形態1にかかる同期電動機の動作について、図2および図3を参照して説明する。図2は、実施の形態1にかかる同期電動機の駆動電流の一例を示す図である。また、図3は、図2に示す駆動電流の各状態において各コイルに流れる電流方向を示す図である。
図2に示すように、本実施の形態にかかる同期電動機では、電気角で90°位相の異なる2相(A相、B相)の交流電流(図2中において一点鎖線で示す)により駆動されるが、ここでは、説明を容易とするため、90°ずつ位相を区切った矩形波電流(図2中において実線で示す)を与える例について説明する。また、ここでは、B相巻線に正方向に電流を通電した状態を状態a、A相巻線に負方向に電流を通電した状態を状態b、B相巻線に負方向に電流を通電した状態を状態c、A相巻線に正方向に電流を通電した状態を状態dとする。
状態aでは、B相(+)巻線を巻回したティース2bにN極の磁極が発生し、B相(−)巻線を巻回したティース2dにS極の磁極が発生する。ここで、図3(a)に示すように、各ティース2b,2dに対向する回転子4の表面にN極およびS極の両方の磁極が存在する場合、各ティース2b,2dに発生した磁極との吸引、反発によって、回転子4は時計回り(図3(a)中に破線矢印で示す)に回転する。
ティース2bに発生したN極の磁極と回転子4のS極の磁極、および、ティース2dに発生したS極の磁極と回転子4のN極の磁極とが対向する角度まで回転子4が回転すると、図3(b)に示すように、A相(+)巻線を巻回したティース2aおよびA相(−)巻線を巻回したティース2cには、回転子4のN極およびS極の両方の磁極が対向する。このタイミングで状態bに移行、つまり、A相巻線に負方向に電流を通電すると、A相(+)巻線を巻回したティース2aにS極の磁極が発生し、A相(−)巻線を巻回したティース2cにN極の磁極が発生し、回転子4の各磁極との吸引、反発によって、回転子4は時計回り(図3(b)中に破線矢印で示す)に回転する。
ティース2aに発生したS極の磁極と回転子4のN極の磁極、および、ティース2cに発生したN極の磁極と回転子4のS極の磁極とが対向する角度まで回転子4が回転すると、図3(c)に示すように、B相(+)巻線を巻回したティース2bおよびB相(−)巻線を巻回したティース2dには、回転子4のN極およびS極の両方の磁極が対向する。このタイミングで状態cに移行、つまり、B相巻線に負方向に電流を通電すると、B相(+)巻線を巻回したティース2bにS極の磁極が発生し、B相(−)巻線を巻回したティース2dにN極の磁極が発生し、回転子4の各磁極との吸引、反発によって、回転子4は時計回り(図3(c)中に破線矢印で示す)に回転する。
ティース2bに発生したS極の磁極と回転子4のN極の磁極、および、ティース2dに発生したN極の磁極と回転子4のS極の磁極とが対向する角度まで回転子4が回転すると、図3(d)に示すように、A相(+)巻線を巻回したティース2aおよびA相(−)巻線を巻回したティース2cには、回転子4のN極およびS極の両方の磁極が対向する。このタイミングで状態dに移行、つまり、A相巻線に正方向に電流を通電すると、A相(+)巻線を巻回したティース2aにN極の磁極が発生し、A相(−)巻線を巻回したティース2cにS極の磁極が発生し、回転子4の各磁極との吸引、反発によって、回転子4は時計回り(図3(d)中に破線矢印で示す)に回転する。
以降、上述した状態a〜状態dを繰り返すことにより、回転子4の回転が持続される。
一般に、軸流ファン等に用いられる単相同期電動機では、ティースの数と磁極の数を一致させることが多く、この場合は、ティースと回転子の磁極の位置によっては、どの巻線に通電しても回転子が回転できない位置や、どちらの方向に回転するか特定できない位置が存在する。
これに対し、本実施の形態にかかる同期電動機では、固定子1のティース2の数と回転子4の磁極数とが異なっているため、回転子4の磁極位置を把握していれば、確実に回転方向を特定して電動機を駆動することができる。また、2相の巻線に通電される電流は、90°位相がずれているため、同時に0となるタイミングは不要である。このため、トルクが大きく落ち込むことを抑えることができ、振動、騒音を抑えることができる。
つぎに、永久磁石を用いた同期電動機で発生するコギングトルクについて説明する。上述したように、永久磁石を用いた同期電動機では、その原理上、スロット数と磁極数との最小公倍数の脈動数のコギングトルクが発生する。図1に示すように、固定子1のティース数が4、つまり、スロット数が4であり、回転子4の極数が6(4スロット6極)である場合には、回転子4の1回転中に12回の脈動、つまりコギングトルクが発生する。このコギングトルクの数が多いほど、これに伴ってコギングトルクの振幅が小さくなり、振動や騒音が小さくなる。
一般に、ティースに発生する磁極と回転子の磁極との位置関係において、磁気回路上、安定しやすい位置と不安点になる位置とが存在し、コギングトルクは、不安定な状態から安定な状態へと回転子が移動しようとする力として発生する。脈動数が小さいということは、複数ある磁気回路上安定する位置が少ないということとなり、安定する位置間の距離が大きくなる。安定する位置間の距離が大きいほど、不安定な位置から安定する位置へ回転しようとする力が大きくなるため、脈動数が小さいと、コギングトルクの振幅は大きくなる。
また、ティース間の鉄心が存在しない領域(スロットオープニング)が大きくなると、回転子表面の磁気回路のアンバランスが大きくなるため、コギングトルクは大きくなる。
本実施の形態では、ティース2の回転子4に対向する先端幅を、機械角で略(45/n)°とすることにより、コギングトルクの低減を図るものである。以下、この技術的根拠について、図4〜図6を参照して説明する。
図4は、図1に示す同期電動機のティースの先端部の拡大図である。また、図5は、図1に示す同期電動機のティースの先端幅をパラメータとして、コギングトルクの振幅を比較した図である。また、図6は、ティースの先端幅が60°、45°、30°である場合における回転子の回転角とコギングトルクとの関係を示す図である。
ティース2の先端幅が90°の場合には、隣り合うティースが接することとなり、スロットオープニングは0となる。図5に示すように、ティース2の先端幅が60°のときは、コギングトルクの振幅は極大値をとり、ティース2の先端幅が45°のとき、コギングトルクの振幅は小さくなる。また、ティース2の先端幅が30°のとき、コギングトルクの振幅は大きくなる。
ティース2の先端幅が60°のとき、ティース2の先端幅と、回転子4の磁極の幅とが一致する。このため、回転子4の磁極とティース2が対向した位置、磁極間とティース2の中央の位置が一致した位置で、磁気回路上、非常に安定するため、コギングトルクの振幅は大きくなる(図6において一点鎖線で示す線)。
ティース2の先端幅が30°のとき、スロットオープニングの幅が60°となり、回転子4の磁極の幅と一致する。このため、ティース2の先端幅が60°のときとは逆位相の振幅の大きなコギングトルクが発生する(図6において破線で示す線)。
一方、ティース2の先端幅が45°のときには、ティース2の先端幅が60°の場合のコギングトルクとティース2の先端幅が30°の場合のコギングトルクとが互いに打ち消し合うこととなり、コギングトルクの振幅は小さくなる(図6において実線で示す線)。また、図6に示すように、コギングトルクの脈動数は、ティース2の先端幅が60°、30°の場合の2倍となっている。これは、別の観点では、スロット数が8である場合の脈動数(8スロット6極である場合の8と6との最小公倍数24)と等しくなるため、コギングトルクの振幅が小さくなっているとも言える。
なお、図5に示すように、ティースの先端幅を60°よりも大きく、つまり、スロットオープニングの幅を30°より小さくしてもコギングトルクの振幅を小さくすることができるが、スロットオープニングの幅が小さいと、回転子から発生する磁束が、ティースの先端部から隣のティースの先端部を通って回転子へ戻る経路を通過しやすくなるため、固定子の巻線へ磁束の鎖交量が減少して、電動機の出力トルクが低下する。
また、ティースの先端部は、回転子の永久磁石に近いため、磁束が集中しやすく、回転子の回転に応じた磁束密度の変化も大きいため、鉄損が発生しやすい。同期電動機の場合、鉄損の発生が大きいと、この鉄損が電動機自体にブレーキとして作用するため、電動機の効率が悪化する。特に小型で出力の小さい電動機では、この影響が大きい。このため、ティースの先端幅は、巻線に鎖交する磁束が大きく低下しない程度に狭くすることが望ましい。
なお、本実施の形態によるティース2の先端幅と回転子4の永久磁石6の磁極の幅との関係を用いたコギングトルクの低減手法は、回転子4が軟磁性材料のバックヨーク5とその表面に配置される平行配向あるいはラジアル配向された永久磁石6で構成されることによって成立する。以下、この技術的根拠について、図7を参照して説明する。
図7は、永久磁石の磁束の流れを示す図である。図7(a)は、実施の形態1にかかる同期電動機における永久磁石の磁束の流れを示す図である。また、図7(b)は、極配向のリング磁石を用いた場合における永久磁石の磁束の流れを示す図である。
例えば、極配向のリング磁石を用いた場合、図7(b)に示すように、永久磁石の内部を通過する磁束は、必ず隣り合う磁極に向かって流れるため、スロットオープニングが広い場合には、ティース〜永久磁石を通過する磁束は、必ずスロットオープニングへと流れる。スロットオープニングは、非磁性領域であり磁気抵抗が高いため、永久磁石から効率良く磁束を発生させられない。また、隣の磁極の影響を受けるため、必ずしもティースの先端幅と回転子の永久磁石の磁極の幅との関係を用いてコギングトルクを小さく抑えられるとは限らない。
一方、本実施の形態にかかる同期電動機のように、回転子4が軟磁性材料のバックヨーク5とその表面に配置される永久磁石6で構成される場合、図7(a)に示すように、永久磁石6が発生する磁束がバックヨーク5の内部で磁気抵抗の低い経路を選択して通過できるため、隣の磁極がスロットオープニングに対向していてもその影響を受けることなく、永久磁石6の磁力を有効に利用できる。これにより、本実施の形態によるティース2の先端幅と回転子4の永久磁石6の磁極の幅との関係を用いたコギングトルクの低減手法が有効となり、上述したように、ティース2の回転子4に対向する先端幅を、機械角で略(45/n)°とすることにより、コギングトルクの低減を図ることができる。
以上説明したように、実施の形態1の同期電動機によれば、固定子の内周面に対向して回転子を配置したインナーロータ型の同期電動機において、電気角で90°位相の異なる2相の交流電流により駆動され、4n(nは自然数)個のティースが周方向に等角度間隔で形成され、各ティースに巻線が集中巻きで巻回された固定子と、軟磁性材料のバックヨークの表面に、6n個の平行配向あるいはラジアル配向された永久磁石が周方向に異なる極性を交互にして等角度間隔で配置され、固定子に対向配置された回転子とを備え、各ティースの先端幅を、鉄損の発生やトルクの低下を抑制しつつ、コギングトルクの低減を図ることが可能な略(45/n)°としたので、高効率化、高トルク化を図りつつ、より低振動化、低騒音化を図ることができる。
また、実施の形態1の固定子の構成は、集中巻きの誘導電動機の固定子の構成と同様であるので、集中巻きの誘導電動機の固定子と共用化することができ、生産切り替えに伴う新規の設備コストを抑えることができる。
実施の形態2.
上述した実施の形態1では、固定子の内周面に対向して回転子を配置したインナーロータ型の同期電動機である場合の例について説明したが、本実施の形態では、回転子が固定子の外周側に配置された、所謂アウターロータ型の同期電動機である場合の例について説明する。
図8は、実施の形態2にかかる同期電動機の横断面図である。固定子1は、軸心を中心とする円柱状の鉄心に4n(nは自然数)個のティース2が遠心方向に向かって周方向に等角度間隔で形成され、この各ティース2a,2b,2c,2dに巻線が集中巻きで巻回され4n個のコイル3が形成されている。
各ティース2a,2b,2c,2dは、2n個ずつの2組に区分される。このとき、一方の組を成す各ティース(ここでは、各ティース2a,2c)と他方の組を成す各ティース(ここでは、各ティース2b,2d)とが交互に配置されるように区分される。各ティース2a,2b,2c,2dに巻回される巻線は、一方の組を成す各ティース(ここでは、各ティース2a,2c)に巻回される巻線と、他方の組を成す各ティース(ここでは、各ティース2b,2d)に巻回される巻線との2つに分離した2相の巻線としており、同じ組内において隣接する各ティース(ここでは、各ティース2a,2c、あるいは、各ティース2b,2d)に巻回する巻線の巻回方向を軸心から見て互いに逆方向としている。
なお、図8に示す実線矢印は、各コイル3を形成する各巻線(A相(+)巻線、A相(−)巻線、B相(+)巻線、B相(−)巻線)に流れる正方向電流の向きを示している。また、各ティース2a,2b,2c,2dの先端幅は、実施の形態1と同様に、軸心を中心として機械角で略(45/n)°としている。
回転子4は、軸心を中心とする円環状の軟磁性材料のバックヨーク5の内周面に、6n個の平行配向あるいはラジアル配向された永久磁石6が異なる極性を交互にして周方向に等角度間隔で配置され、各ティース2a,2b,2c,2dの外側に固定子1に対向して回転可能に配置されている。
なお、図8に示す例では、n=1、つまり、固定子1の突極数(ティース数)が4、回転子4の極数が6である例を示している。なお、以下の説明において、各ティース2a,2b,2c,2dを特に区別する必要のない場合には、ティース2と称する。
本実施の形態にかかる同期電動機の動作、および各ティース2の先端幅を機械角で略(45/n)°とする技術的根拠については、実施の形態1と同様であるのでここでは説明を省略する。
インナーロータ型の同期電動機とした実施の形態1の構成の場合、ティース2の先端幅を狭く(具体的には、回転子4の永久磁石6の磁極の幅(機械角で60°)よりも狭い45°)することにより、コギングトルクを低減できる反面、巻線に鎖交する磁束が減少して出力が低下する。
上述したアウターロータ型の同期電動機とした本実施の形態の構成では、回転子4を固定子1の外周に配置することで、永久磁石6を大きくすることができるため、巻線に鎖交する磁束量を大きくすることができ、出力の低下を抑制することができる。
なお、実施の形態1のインナーロータ型の同期電動機の場合、巻線を収納するスロットの断面積は広くできるが、可能な限り多くの巻線を収納しようとしても、コイルエンドが大きくなるため、コイル3の形状が崩れやすくなり収納が難しく、また、巻線の抵抗も大きくなるため、効率改善効果が少ない。つまり、インナーロータ型の同期電動機では、スロットの断面積を有効に利用できないことが多い。
これに対し、実施の形態2のアウターロータ型の同期電動機では、スロットの断面積が広く取れなくても、巻線の収納の容易性や巻線の抵抗を考慮すると、収納できる巻線の量は、実施の形態1のインナーロータ型の同期電動機に対して、極端に少なくなることはない。
以上説明したように、実施の形態2の同期電動機によれば、アウターロータ型の同期電動機とすることにより、永久磁石を大きくすることができるので、実施の形態1のインナーロータ型の同期電動機よりも巻線に鎖交する磁束量を大きくすることができ、出力の低下を抑制することができる。
また、以上の実施の形態に示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは言うまでもない。
1 固定子、2,2a,2b,2c,2d ティース、3 コイル、4 回転子、5 バックヨーク、6 永久磁石。

Claims (5)

  1. 電気角で90°位相の異なる2相の交流電流により駆動される同期電動機であって、
    4n(nは自然数)個のティースが周方向に等角度間隔で形成され、前記各ティースに巻線が集中巻きで巻回された固定子と、
    軟磁性材料のバックヨークの表面に、6n個の永久磁石が異なる極性を交互にして周方向に等角度間隔で配置され、前記固定子に対向配置された回転子と、
    を備え、
    前記各ティースの前記回転子に対向する部分の幅は、機械角で略(45/n)°であることを特徴とする同期電動機。
  2. 前記固定子は、周方向に等角度間隔で形成された前記各ティースを2n個ずつの2組に区分する際に、一方の組を成す各ティースと他方の組を成す各ティースとが交互に配置されるように区分し、前記各ティースに巻回される巻線を、前記一方の組を成す各ティースに巻回される巻線と、前記他方の組を成す各ティースに巻回される巻線との2つに分離した2相の巻線とし、同じ組内において隣接する各ティースに巻回する巻線の巻回方向を軸心から見て互いに逆方向としたことを特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  3. 前記回転子は、前記永久磁石が平行配向あるいはラジアル配向されていることを特徴とする請求項1または2に記載の同期電動機。
  4. 前記固定子は、軸心を中心とする円環状の鉄心に前記各ティースが軸心に向かって形成され、
    前記回転子は、軸心を中心とする円柱状の前記バックヨークの外周面に、前記永久磁石が配置され、
    前記各ティースの内側に前記固定子に対向して前記回転子が回転可能に配置されたインナーロータ型の構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の同期電動機。
  5. 前記固定子は、軸心を中心とする円柱状の鉄心に前記各ティースが遠心方向に向かって形成され、
    前記回転子は、軸心を中心とする円環状の前記バックヨークの内周面に、前記永久磁石が配置され、
    前記各ティースの外側に前記固定子に対向して前記回転子が回転可能に配置されたアウターロータ型の構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の同期電動機。
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