JP5619522B2 - 3相交流回転機 - Google Patents

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Description

この発明は3相交流回転機に関し、詳しくは、磁界を供給する手段がヨークを吸着することで発生する所謂コギングトルクにより回転軸に与える影響を、減少させる3相交流回転機に関する。
従来の3相交流発電機は、ロータとステータを備える。一般的なロータは、内周面に設けられた対の磁極(N極とS極)を有する回転自在に設けられたフライホイルより構成される。そして、N極とS極は、フライホイルの回転方向に沿って180度間隔で配置されている。ステータは、フライホイル内に固定されており、前記2つの磁極に対向して配置された3つのスロットと、それぞれ3つのスロットに巻回された3相コイルにより構成し、フライホイルを回転駆動させると、ステータの外周部に回転磁界が発生し、電磁誘導によって3相コイルに3相交流電圧が発生する。
また、前記3相交流発電機では、磁極の極数を2n(ただし、nは2以上の整数である)とすると多極式の3相交流発電機となる。この複数対の磁極は、フライホイルの回転方向に沿って等角度間隔で交互に配置される。
また、スロット数については、3相発電機では、3m(ただし、mは正の整数)、となり、3m個のスロットは、1つずつ順次U相、V相、W相に割当てられる。U相コイルは、U相のm個のスロットに連続巻される。各相の結線は、特許文献1に示す如く、V相コイルは、V相のm個のスロットに連続巻される。W相コイルは、W相のm個のスロットに連続巻される。
発電機は、N極とS極とが交互に配された永久磁石を回転させることで、コイルを横切るよう設けられた鉄片が磁化され、電磁誘導によって、コイルに起電力が生じるのであるが、コイルに設けられた鉄片は、コイルに効率的に磁界を与えるために永久磁石と短い隙間を保って近接している。このため、強力な磁界をコイルに与えるために、永久磁石の磁力を強力なものにすると、この接近している鉄片と永久磁石の間に、永久磁石が鉄片を吸着しようとする大きな引力が働くことになる。この引力が回転軸に及ぼす力をコギングトルクという。このコギングトルクが大きいものであると、回転トルクの変動、異常振動あるいは騒音等の問題が発生する。また、風力発電等に用いられる発電機においては、コギングトルクが大きいと、回転翼が動き始める始動トルクが大きくなる。また、回転翼を連続して回転させるための抵抗も大きくなる。よって、微風の状態で発電することは困難であった。
コギングトルクを小さくする技術として、種々の提案がなされている。
たとえば特許公報2に示す3相磁石発電機では、発電コイルを巻いたステータ数を3m(mは正の整数)、ロータに固定した永久磁石の磁極数を2n(nは正の整数)として、2n/mが整数にならないようにステータ数および磁極数を設定し、同一相の発電コイルを周方向に連続する複数のステータに巻くことにより、同一相の発電コイルが巻かれたステータがそれぞれ異なる位相で磁極と対向するようにしてコギングトルクを低減させるようにしている。
また、特許文献3で示す技術では、永久磁石を1極ごとに分割するとともに、永久磁石の各々を不等ピッチで配設することで、それぞれの永久磁石で発生するコギングトルクの位相をずらし、トータルでのコギングトルク低減を図ったものも知られている。
更に、特許文献4が示す技術では、3n+3個のスロットを等角度間隔で配置し、前記3n+3個のスロットのうちの120度間隔で配置された3個のスロットをそれぞれU相、V相、W相に割当て、残りの3n個のスロットを1つずつ順次U相、V相、W相に割当て、各相に割当てられたn+1個のスロットにU相コイルを連続巻きとするもので波形を改善してコギングトルク低減を図ったものもが提案されている。
特開2004−166381号公報 特開2001−112226号公報 特開平9−182326号公報 特開2006−262596号公報
一般的に3相交流回転機では、pをロータの磁極数、Nsをステータのスロット数とする時、Ns=1.5×pの関係にある1磁極あたりのスロット数が1.5である方がもっとも普及している。この場合、ロータ2極に対してステータ3スロットが対向することになる(図1(a)参照)。例えば56極アウタロータ永久磁石発電機においては、スロット数は84となる。
一方、磁極に対して半端な数のステータスロットが対向となる分数スロットのコイル構成の例がある。
この分数スロット構成を用いると、コギングトルクを低減させる方法として知られている。
分数スロットはコギングトルクを下げるスロット数を選定できるうえで効果があり、また最初から位相シフトが働いているのでスキューを施す必要がない。さらにはステータのスロット数を極致に接近させる(例:8極 9スロット)ことにより歯と磁極の幅を近づけて磁気結合を強くできるなどの利点が多い半面、コイルごとの通電方向が一様でないという複雑さがある。
本発明では、分数スロット構成を利用し、比較的簡単な結線構造で、コギングトルクを低減させることを第1の目的とする。また本発明では、正確な正弦波を得るよりも、むしろ高い電圧(出力電圧)を得られる3相交流回転機を提供することを第2の目的とする。
本発明は、前記課題の少なくとも何れかを解決するべく、複数の磁極を含むロータと、複数のスロットを含むステータとを備えた3相交流回転機において、等間隔に配列された2n個の磁極と、等間隔に配列された3n+3個のスロットを配置し、3n+3個のスロットを、n/2+1個の正のスロット領域と、n/2個の負のスロット領域と2種類をスロット領域を交互に設けると共に、
正のスロット領域の各スロットは、U相、V相、W相と順にそれぞれの相に接続すると共に、各スロットの結線方向は正接続とし、
負のスロット領域の各スロットは、そのブロックの前ブロック最後の相と連続する相を飛ばして、次の相から該当するU相、V相、W相と順にそれぞれの相に接続すると共に、各スロットの結線方向は逆接続すると共に、負のスロット領域のスロット最後のスロットは、この最後のスロットの次の相を飛ばした状態で終える結線とする3相交流回転電機を提供する。
かかる本発明の3相交流回転電機は、等間隔に配列された2n個の磁極と、等間隔に配列された3n+3個のスロットを配置することで、6相の分数スロット構成としている。そして、3n+3個のスロットを、n/2+1個の正のスロット領域と、n/2個の負のスロット領域と2種類をスロット領域を交互に設け、原則的に、スロットに順に、U相、V相、W相と順にそれぞれの相に接続するという単純な結線となっている。そして、負のスロット領域のスロットの結線で結線方法が異なり、そのブロックの最初と最後に結線をする相を飛ばすことで、適切な磁束鎖交数が得られ、コギングトルクを軽減することが出来る。
更に、本発明にかかる3相交流回転電機では、正のスロット領域および負のスロット領域の各スロットの結線方法を上記のように構成していることにより、高い出力電圧を得ることができる。
なお、本発明では上記3相交流回転機において、等間隔に配列した磁極を2n個とし、等間隔に配列したスロットを3n−3個とすることも考えられる。また上記本発明の主旨に従い、高い出力電圧が得られるように、正のスロット領域および負のスロット領域における各スロットの結線方法を設定することができる。
よって本発明では、複数の磁極を含むロータと、複数のスロットを含むステータとを備えた3相交流回転機において、等間隔に配列された2n個の磁極と、等間隔に配列された3n−3個のスロットを配置し、スロットにおける結線の方法により、出力電圧が高められている3相交流回転電機を提供する。
本発明によれば、比較的簡易な結線でありながら,通常の同期発電機と遜色ない電圧と負荷トルクが得られ、そのうえコギングトルクがきわめて小さい永久磁石型同期発電機が得られる等優れた効果を有する。また、上記のような結線方法により、高い出力電圧を得ることができる。
本発明の6相分数スロット構成の例を説明する模式図で(a)は,3相整数スロット構成図,(b)は6相分数スロット構成図である。 本発明にかかる3相交流発電機の巻線の結線を模式的に示す図である。 本発明の一実施例を2次元非線形解析モードで解析するに際し使用したスロットの形状を入力の一部を拡大した説明図である。 本実施例のコギングトルクの波形を示した説明図である。 比較例のコギングトルクの波形を示した説明図である。 本実施例のコギングトルク解析時の磁束密度分布を示した説明図である。 比較例のコギングトルク解析時の電気角0°での磁束密度分布を示した説明図である。 比較例のコギングトルク解析時の電気角100°での磁束密度分布を示した説明図である。 本実施例の定格電流通電時の負荷トルクの結果を示した説明図である。 比較例の定格電流通電時の負荷トルクの結果を示した説明図である。 本実施例のコギングトルク解析時の磁束密度分布に定格電流通電時の負荷トルクの結果を示した説明図である。 比較例のコギングトルク解析時の電気角0°での磁束密度分布次に定格電流通電時の負荷トルクの結果を示した説明図である。 比較例のコギングトルク解析時の電気角100°での磁束密度分布次に定格電流通電時の負荷トルクの結果を示した説明図である。
本発明をアウターロータ型とインナーステータの形式で56極(n=28、2×28=56)の永久磁石を用いた永久磁石型発電機の実施の形態例で説明する。
ここで上記したアウ夕ーロー夕1は、回転自在に設けられた椀状のフライホイル2と、フライホイル2の内周面に設けられた磁極3で構成している。磁極3は、フライホイル2の回転方向に沿って等間隔に、56極の磁極3をN極とS極を交互に配置している。
ステータ4は、フライホイル2内に固定されており、スロット5が等角度間隔で配置されており、歯部6を開始磁石3として磁気回路を形成する。上記56極の永久磁石発電機においては、スロット数は、3×28+3=87となり、ステータは集中巻きとしている。
一般的に、87のスロットに通常の3相整数スロットでコイルを巻きつけると、全周上でトルクが相殺されてゼロとなる。そこで、図1(b)に示す如く、ロータ2極に対して半端な数のステータスロットが対向する形式となっている。この場合には、6相分数スロットのコイル構成を採り、6相分数スロット構成の例で、スロット位置にもっとも近い相を+U,−U,+V,−V,+W,−Wの6相の中から選んで通電し,3相出力が可能となる。
この手順は一意的であり、スロット数が決まれば相の配列が自動的に決まる。
表1に87スロット機のコイル構成を示す。図中の「正」は+Uなど、「負」は−Uなどを示す。
この表1からも判るように、「正」となるスロットの数は15、「負」となるスロットの数は「14」となる構成となる。即ち、n=28とした場合には、n/2+1個(28/2+1=15)の正のスロット領域と、n/2個(28/2=14)の負のスロット領域となる。
そして具体的な結線例を図3に示す。
図3に於いてNo.7までが「正」のスロット、No.8〜21までは「負」のスロット、No.22〜36までが「正」のスロット、No.37〜50までは「負」のスロット、No.51〜65までが「正」のスロット、No.66〜79までは「負」のスロット、No.80〜87までが「正」のスロットとなる。
なお、図中「正」のスロット領域は実線のカッコ「{ 」で、また「負」のスロット領域は点線のカッコ「{ 」で表している。
結線は、大まかに「正」となるスロットと「負」となるスロットが交互に6つのグループとなる。
そして、「正」となるスロットでは、U相、V相、W相と順にそれぞれの相に接続する。そして、各スロットの結線方向は正接続の結線としている。
「負」のスロット領域のスロットは、その領域の前ブロック最後の相と連続する相を飛ばして,次の相から該当するU相、V相、W相と順にそれぞれの相に接続する。
即ち、前スロット領域最後の相の次の相が、本来先頭となるのであるが、この相を飛ばして、次の相からU相、V相、W相の順位に逆の方向の結線を行う。例えば図2の例であれば、No.5のスロットからの「負」となるスロット領域になる。この直前の正の領域の最後の相は、「V相」であり,この次の相は「W相」となる。従って,本来の結線の順では「W相」となるのであるが、この「W相」をとばしてU相、V相、W相の順で結線を行う。
また「負」となるスロットの領域の最後のスロットは、この最後のスロットの次の相を飛ばした状態で終える。即ち、前記例では、先頭で飛ばした「W相」を最後のスロットでも同様に飛ばした状態で終了する構成となり、「負」となるスロットの領域の最後のスロットは「V相」で終了する。次の「正」となるスロットの先頭になる相は、「W相」ではなく「U相」から始まり、U相、V相、W相と順に結線を行う。
以下次の「負」となる4番目のスロットの領域(No.37〜50)では先頭と最後において「U相」が、6番目の「負」となるスロットの領域(No.66〜79)では先頭と最後において「V相」が、それぞれ飛ばした結線となる。
なお、「負」のスロット領域の各スロットの結線方向は逆接続の結線としている。
以上のような結線とすることにより、出力電圧を高めることができる。
次に上記図3に示す結線で構成した永久磁石型同期発電機と、比較例として通常の極数の1.5倍のスロット数の永久磁石型同期発電機の特性を述べる。
本願発明の永久磁石型同期発電機は先に述べたように、56極でスロット数が87である。比較例の永久磁石型同期発電機は、56極でスロット数を84となっており、両機ともにステータは集中巻きの構成となっている。
ここでモータの定格は3ないし6相、3kW、200V,56極、107r/m、50Hzステータコア、ロータコアは50H1000(新日本製鐵(株))、60mm積層、永久磁石はNEOMAX35H(住友特殊金属(株))7mm厚、着磁方向は半径方向パラレル異方性、隣接磁石ごとに逆極性となっている。円筒スライドメッシュ,周方向分割720、径方向分割としている。また負荷トルク算定時の各相電流入力(定格実行電流10Arms)は以下の通りである。
u=10×21/2sin(28wt+θ)
v=10×21/2sin(28wt+θ−120°)
w=10×21/2sin(28wt+θ+120°)
また、本発明の一実施例を2次元非線形解析モードで解析するに際し使用したスロットの形状を入力の一部を拡大した図2において、具体的には、永久磁石3の大きさは図面上縦方向高さ20mm、反抗方向幅10mm、スロット5で挟まれる歯部6の大きさは基端部側幅7mm高さ28.5mmで解析した。
図4は、本実施例、図5は比較例のコギングトルクの波形を示したものである。
本実施例では、同一周期の脈動が一部見られるが、スロット数の組合せが功を奏し、振幅は±0.7Nmであった。この片振幅値は定格トルク268Nmの0.2%に過ぎず、微風でも回らねばならない風力発電機に最適である。
一方、比較例では、角度については、ステータの歯と磁石中心が一致したときを0°とした。脈動の周期は極致56とスロット数84の最小公倍数168に等しく、振幅は±64Nmに達した。この片振幅値は定格トルク268Nmの24%に相当し、非常に大きなコギングトルクとなっている。
図6は本実施例、図7,8は比較例のコギングトルク解析時の磁束密度分布を示したものである。
本実施例では、ステータ歯の最大磁束密度は2.32Tに達し、通常とられる値よりかなり高くなっている。
一方、比較例では、コギングトルク解析時の電気角0°と100°での磁束密度分布をそれぞれ図7と図8に示す。このときのステータ歯の最大磁束密度は2.15Tに達し、通常採られる磁束密度より高い値となっている。
図9は、本実施例、図10は比較例の定格電流通電時の負荷トルクの結果を示したものである。
本実施例では、電流進み角は90°で、わずかに脈動が見られるが概ね平坦であり、平均値562Nmは所要値268Nmを大きく上回る。
一方比較例では、本実施例と同じく電流進み角は90°で、わずかに脈動が見られるが概ね平坦であり、平均値650Nmは所要値268Nmとなっている。
図11は、本実施例、図12、13は比較例のコギングトルク解析時の磁束密度分布次に定格電流通電時の負荷トルクの結果を示したものである。
本実施例では、ステータ歯の最大磁束密度は2.36Tに達し、無負荷時以上に高い磁束密度となっている。
一方、比較例における電気角0°と100°での磁束密度分布をそれぞれ図11と図12に示す。このときのステータ歯の最大磁束密度は2.30Tに達し、無負荷時以上に高い値となっている。
なお、本実施例のコギングトルク解析時の相間電圧は367Vrmsと、比較例の84スロット機のコギングトルク解析時の相間電圧は342Vrmsと算定された。磁束鎖交数の微分をとって電圧を得る段階で誤差が拡大される点を考えると、本実施例は比較例に近い相間電圧値が得られている。
以上,上記解析をまとめると表2となる。
このように、比較例では十分な負荷トルクが得られる半面コギングトルクが大きい。これに対し本実施例では,比較例と遜色ない電圧と負荷トルクが得られ、そのうえコギングトルクがきわめて小さい永久磁石型同期発電機が得られる。さらに、無通電時相間電圧においても、本実施例においては367Vrmsであり、これは比較例の342Vrmsよりも大幅に高い値となっている。
本発明は、始動時に少ないトルクでも回転させることが出来るので風量発電等の発電機に利用することが出来る。更に、前記した結線方法により、高い出力電圧が得られる3相交流回転機が提供される。
1 アウ夕ーロー夕
2 フライホイル
3 磁極
4 ステータ
5 スロット

Claims (1)

  1. 複数の磁極を含むロータと、複数のスロットを含むステータとを備えた3相交流回転機において、
    等間隔に配列された2n個の磁極と、等間隔に配列された3n+3個のスロットを配置し、
    3n+3個のスロットを、n/2+1個の正のスロット領域と、n/2個の負のスロット領域と2種類を、スロット領域を交互に設けると共に、
    正のスロット領域の各スロットは、U相、V相、W相と順にそれぞれの相に接続すると共に、各スロットの結線方向は正接続とし、
    負のスロット領域の各スロットは、そのブロックの前ブロック最後の相と連続する相を飛ばして,次の相から該当するU相、V相、W相と順にそれぞれの相に接続すると共に、各スロットの結線方向は逆接続すると共に、負のスロット領域のスロット最後のスロットは、この最後のスロットの次の相を飛ばした状態で終える結線とすることを特徴とする3相交流回転電機。
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