本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態における面発光レーザ素子について図1に基づき説明する。尚、図1(a)は、本実施の形態における面発光レーザ素子の上面図であり、図1(b)は、図1(a)における一点鎖線1A−1Bにおいて切断した断面図である。尚、本実施の形態において説明する面発光レーザは、発振波長が895nm帯の面発光レーザである。
本実施の形態における面発光レーザ素子は、半導体等からなる基板101上に、下部反射鏡102、スペーサ層103、活性層104、スペーサ層105、電流狭窄層106、スペーサ層107、コンタクト層108が積層形成されている。尚、本実施の形態においては、スペーサ層103は下部スペーサ層に相当するものであり、スペーサ層105及び107は上部スペーサ層に相当するものであり、電流狭窄層106は、上部スペーサ層の一部に形成されている。また、下部反射鏡102、スペーサ層103、活性層104、スペーサ層105、電流狭窄層106、スペーサ層107、コンタクト層108等の半導体層は、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)またはMBE(Molecular Beam Epitaxy)によるエピタキシャル成長により形成されている。
基板101には、n−GaAs基板が用いられており、下部反射鏡102は、半導体多層膜により形成されており、光学的厚さがλ/4のn−Al0.1Ga0.9Asからなる高屈折率層と、n−AlAsからなる低屈折率層とを交互に35.5ペア積層することにより形成されている。
スペーサ層103、105及び107は、Al0.2Ga0.8Asにより形成されており、活性層104は、GaInAs量子井戸層とGaInPAs障壁層を交互に積層することにより形成されている。また、コンタクト層108は、p−GaAsにより形成されている。尚、スペーサ層103、活性層104、スペーサ層105、電流狭窄層106、スペーサ層107及びコンタクト層108により共振器領域が形成されており、この共振器領域における光学的な厚さが、3波長程度となるように形成されている。
後述するメサの上面となるコンタクト層108の上には、メサの上面の周辺部分に低反射率領域を形成するための誘電体層111が形成されている。この誘電体層111は、光学的な厚さがλ/4となるようなSiNにより形成されている。具体的には、誘電体層111は、誘電体層111を形成するためのSiN膜を成膜した後、誘電体層111が形成される領域にレジストパターンを形成し、レジストパターンの形成されていない領域のSiN膜をエッチングにより除去することにより形成する。このように形成される誘電体層111は、中央部分に略長方形の開口領域を有し、外形が略長方形となるようにロの字状となるように形成する。尚、基板101面に平行な面において、形成される誘電体層111における略長方形の形状は、Y軸方向が長手方向となり、X軸方向が短手方向となるように形成されている。
このように、メサの上面において射出領域の周辺部分に、射出領域の中心部分の反射率よりも反射率が低くなるような誘電体層111を形成することにより、基本横モードの出力を低下させることなく、高次横モードの発振を抑制することができる。また、低反射率領域を形成するための誘電体層111の形状を、相互に直交する方向において異なる形状となるように、即ち、相互に直交する方向において異方性を有する形状となるように形成することにより、光の閉じ込め作用に異方性を生じさせることができる。これにより射出される光の偏光方向を制御することができる。
この後、コンタクト層108及び誘電体層111の上に、メサを形成するためのレジストパターンを形成し、コンタクト層108、スペーサ層107、電流狭窄層106、スペーサ層105、活性層104、スペーサ層103、下部反射鏡102の一部をエッチング等により除去することによりメサを形成する。メサを形成する際のエッチング方法としては、ドライエッチング法等を用いることができる。また、形成されるメサの上面の形状は、図1(a)に示されるように、略長方形となるように形成する。尚、形成されるメサの上面の形状は、後述するように、楕円等の形状であってもよい。
電流狭窄層106は、AlAsにより形成されており、メサを形成することにより電流狭窄層106の側面を露出させて、この後、水蒸気中で熱処理することにより、メサの周辺部分に選択酸化領域106aを形成する。具体的には、選択酸化において、電流狭窄層106に含まれるAlを酸化することにより絶縁体となるAlxOyが形成され、選択酸化領域106aが形成される。これにより、電流狭窄層106において酸化がなされたなった中心部分に電流狭窄領域106bが形成される。
また、メサの側面等にはSiN等からなる保護膜112が形成されている。保護膜112は、最初にSiN膜を成膜した後、メサの上面において後述する上部電極121が形成される領域等に開口部を有するレジストパターンを形成し、レジストパターンの形成されていない領域のSiN膜をエッチングにより除去することにより形成することができる。このように、本実施の形態においては、メサの側面及びメサの周囲の底面に保護膜112を形成することにより、メサの側面及びメサの周囲の底面が保護されるため、腐食等がされにくく、信頼性を向上させることができる。
更に、メサを形成する際にエッチングにより除去された領域をポリイミドにより埋め込むことにより平坦化させた後、メサの上面におけるポリイミドを除去することにより、残存するポリイミドによりポリイミド層113を形成する。
メサの上面に形成されている誘電体層111の外側の周辺部分においては、コンタクト層108の上に、誘電体層111を囲むようにp側個別電極となる上部電極121が形成されている。また、基板101の裏面にはn側個別電極となる下部電極122が形成されている。
更に、メサの上面において、上部電極121に囲まれている中央部分には、上部反射鏡130が形成されている。上部反射鏡130は、誘電体多層膜により形成されており、屈折率の異なる誘電体膜を交互に積層することにより形成されている。本実施の形態においては、上部反射鏡130は、TiO2からなる高屈折率層と、SiO2からなる低屈折率層とが、交互に8.5ペア積層することにより形成されている。
従って、本実施の形態における面発光レーザ素子は、下部反射鏡102と上部反射鏡130により共振器領域が挟まれた構造となっている。
このように、本実施の形態における面発光レーザ素子は、誘電体材料により上部反射鏡が形成されているものであって、高次横モードの発振を制御しつつ、偏光方向の安定したレーザ光を射出することができるものである。
尚、低反射率領域を形成するための誘電体層111はSiNに限定されるものではない。また、誘電体層111の膜厚もλ/4に限定されるものではなく、λ/4の奇数倍であれば反射率を効率よく低減することができ、同様の効果を得ることができる。
また、メサの上面において形成される誘電体層111等の形状は、図1(a)に示される形状以外の形状であってもよい。
具体的には、図2に示されるように、メサの上面において、中央部分に楕円状の開口領域を有し、外形が楕円状となるように誘電体層111aが形成されているものであってもよい。この際、形成される誘電体層111aは、楕円の長径がY軸方向となり、短径がX軸方向となるように形成する。この場合、上部反射鏡130は、中央部分における誘電体層111aの楕円状の開口領域に形成される。
また、図3に示されるように、メサの上面において、中央部分に略正方形の開口領域を有し、外形が略正方形となるものであって、Y軸方向において誘電体層の一部が除去されている誘電体層除去領域112bを有している誘電体層111bが形成されているものであってもよい。この場合、中央部分における誘電体層111bの開口領域に上部反射鏡130が形成される。
また、図4に示されるように、メサの上面において、中央部分に略円形の開口領域を有し、外形が略円形となるものであって、Y軸方向において誘電体層の一部が除去されている誘電体層除去領域112cを有している誘電体層111cが形成されているものであってもよい。この場合、中央部分における誘電体層111cの開口領域に上部反射鏡130が形成される。
このように、誘電体層111等は、メサの上面において、X軸方向における形状とY軸方向における形状が異なる形状となるように形成されているものであればよい。即ち、メサ上面において、直交する方向における形状が異なる形状となるように形成されているものであればよい。
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。図5は、本実施の形態における面発光レーザの断面図である。
本実施の形態における面発光レーザ素子は、半導体等からなる基板101上に、下部反射鏡102、スペーサ層103、活性層104、スペーサ層105、第1の上部反射鏡207、コンタクト層108が積層形成されている。尚、電流狭窄層106は、第1の上部反射鏡207の一部として形成されている。また、下部反射鏡102、スペーサ層103、活性層104、スペーサ層105、第1の上部反射鏡207、コンタクト層108等の半導体層は、MOCVDまたはMBEによるエピタキシャル成長により形成されている。
基板101には、n−GaAs基板が用いられており、下部反射鏡102は、半導体多層膜により形成されており、光学的厚さがλ/4のn−Al0.1Ga0.9Asからなる高屈折率層と、n−AlAsからなる低屈折率層とを交互に35.5ペア積層することにより形成されている。
スペーサ層103及び105は、Al0.5Ga0.5Asにより形成されており、活性層104は、GaInAs量子井戸層とGaInPAs障壁層を交互に積層することにより形成されている。尚、スペーサ層103、活性層104、スペーサ層105により共振器領域が形成されており、この共振器領域における光学的な厚さは、1波長程度となるように形成されている。
また、第1の上部反射鏡207は、半導体多層膜により形成されており、p−Al0.1Ga0.9Asからなる高屈折率層と、p−Al0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層とを交互に5.5ペア積層することにより形成されている。また、コンタクト層108は、p−GaAsにより形成されている。
また、コンタクト層108、第1の上部反射鏡207、電流狭窄層106等をエッチングにより除去することによりメサが形成されている。メサを形成する際のエッチング方法としては、ドライエッチング法等を用いることができる。また、形成されるメサの上面の形状は、例えば、第1の実施の形態における面発光レーザ素子と同様に、略長方形の形状となるように形成する。尚、メサの上面における形状については、第1の実施の形態と同様に、楕円等の形状により形成したものであってもよい。
電流狭窄層106は、AlAsにより形成されており、メサを形成することにより電流狭窄層106の側面を露出させて、この後、水蒸気中で熱処理することにより、メサの周辺部分に選択酸化領域106aを形成する。具体的には、選択酸化において、電流狭窄層106に含まれるAlを酸化することにより絶縁体となるAlxOyが形成され、選択酸化領域106aが形成される。これにより、電流狭窄層106において酸化がなされたなった中心部分に電流狭窄領域106bが形成される。
また、メサの上面となるコンタクト層108の上には、メサの上面の周辺部分に低反射率領域を形成するための誘電体層111が形成されている。この誘電体層111は、光学的な厚さがλ/4となるようなSiNにより形成されている。また、メサの側面等には保護膜112が形成されている。本実施の形態においては、誘電体層111及び保護膜112は、ともにSiNにより形成されており、この場合、誘電体層111及び保護膜112は、同時に形成することが可能である。具体的には、誘電体層111及び保護膜112は、誘電体層111及び保護膜112を形成するためのSiN膜を成膜した後、誘電体層111及び保護膜112が形成される領域にレジストパターンを形成し、レジストパターンの形成されていない領域のSiN膜をエッチングにより除去することにより、誘電体層111及び保護膜112を形成する。このように形成される誘電体層111は、中央部分に略長方形の開口領域を有し、外形が略長方形となるようにロの字状となるように形成する。尚、第1の実施の形態と同様に、形成される誘電体層111は、基板101に平行な面において、略長方形の形状が、Y軸方向が長手方向となり、X軸方向が短手方向となるように形成されている。
このように、メサの上面において射出領域の周辺部分に、射出領域の中心部分の反射率よりも反射率が低くなるような誘電体層111を形成することにより、基本横モードの出力を低下させることなく、高次横モードの発振を抑制することができる。また、低反射率領域を形成するための誘電体層111の形状を、相互に直交する方向において異なる形状となるように、即ち、相互に直交する方向において異方性を有する形状となるように形成することにより、光の閉じ込め作用に異方性を生じさせることができる。これにより射出される光の偏光方向を制御することができる。
また、本実施の形態においては、メサの側面及びメサの周囲の底面に保護膜112が形成されており、メサの側面及びメサの周囲の底面が保護されるため、腐食等がされにくく、信頼性を向上させることができる。
更に、メサを形成する際にエッチングにより除去された領域をポリイミドにより埋め込むことにより平坦化させた後、メサの上面におけるポリイミドを除去することにより、残存するポリイミドによりポリイミド層113を形成する。
メサの上面に形成されている誘電体層111の外側の周辺部分においては、コンタクト層108の上に、誘電体層111を囲むようにp側個別電極となる上部電極121が形成されている。また、基板101の裏面にはn側個別電極となる下部電極122が形成されている。
更に、メサの上面において、上部電極121に囲まれている中央部分には、第2の上部反射鏡230が形成されている。第2の上部反射鏡230は、誘電体多層膜により形成されており、屈折率の異なる誘電体膜を交互に積層することにより形成されている。本実施の形態においては、上部反射鏡230は、TiO2からなる高屈折率層と、SiO2からなる低屈折率層とが、交互に8.5ペア積層することにより形成されている。
従って、本実施の形態における面発光レーザ素子は、下部反射鏡102と第1の上部反射鏡207及び第2の上部反射鏡230により共振器領域が挟まれた構造となっている。
このように、本実施の形態における面発光レーザ素子は、誘電体材料により上部反射鏡が形成されているものであって、高次横モードの発振を制御しつつ、偏光方向の安定したレーザ光を射出することができるものである。
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、セシウムD1ラインを用いたCPT(Coherent Population Trapping)方式の原子発振器(原子時計)及び原子発振器等に用いられる面発光レーザ素子である。
ところで、極めて正確な時間を計る時計として原子発振器(原子時計)があり、この原子発振器を小型化する技術等の検討がなされている。原子発振器とは、アルカリ金属等の原子を構成している電子の遷移エネルギー量を基準とする発振器であり、特に、アルカリ金属の原子における電子の遷移エネルギーは外乱がない状態では、非常に精密な値が得られるため、水晶発振器に比べて、数桁高い周波数安定性を得ることができる。このような原子発振器には、幾つかの方式があるが、中でも、CPT方式の原子発振器は、従来の水晶発振器に比べて周波数安定性が3桁程度高く、また、超小型、超低消費電力を望むことができる。
次に、図6に基づき本実施の形態における原子発振器について説明する。本実施の形態における原子発振器は、CPT方式の小型原子発振器であり、光源410、コリメートレンズ420、λ/4板430、アルカリ金属セル440、光検出器450、変調器460を有している。
光源410には、後述する面発光レーザ素子が用いられている。アルカリ金属セル440には、アルカリ金属としてCs(セシウム)原子ガスが封入されており、D1ラインの遷移を用いるものである。光検出器450は、フォトダイオードが用いられている。
本実施の形態における原子発振器は、光源410より射出された光をセシウム原子ガスが封入されたアルカリ金属セル440に照射し、セシウム原子における電子を励起する。アルカリ金属セル440を透過した光は光検出器450において検出され、光検出器450において検出された信号は変調器460にフィードバックされて、変調器460により光源410における面発光レーザ素子を変調する。
図7には、CPTに関連する原子エネルギー準位を示す。本実施の形態における原子発振器は、2つの基底準位から励起準位に電子が同時に励起されると光の吸収率が低下することを利用したものである。光源410となる面発光レーザには、搬送波波長が894.6nmに近い面発光レーザを用いている。搬送波の波長は面発光レーザの温度、もしくは出力を変化させてチューニングすることができる。図8に示すように、変調をかけることで搬送波の両側にサイドバンドが発生し、その周波数差がCs原子の固有振動数である9.2GHzに一致するように4.6GHzで変調させている。図9に示すように、励起されたCsガスを通過するレーザ光はサイドバンド周波数差がCs原子の固有周波数差に一致した時に最大となるので、光検出器450における出力が最大値を保持するようにフィードバックして面発光レーザの変調周波数を調整する。原子の固有振動数が極めて安定なので変調周波数は安定した値となり、この情報がアウトプットとして取り出される。
動作時における面発光レーザにおけるレーザ光波長の微調整には発振波長の温度依存性、出力依存性を利用している。この場合、搬送波の波長精度として特定波長±1nm程度が求められる。生産性を考えると設定温度や出力も同程度であることが好ましく、よって、±0.15nm程度の精度であることがより一層好ましい。
しかしながら、半導体層等における成長速度のばらつき、膜厚分布等の影響により、再現性よく、均一性の高いまったく同じ波長で発振する面発光レーザを作製することは困難である。通常のMOCVD装置や、MBE装置では面内の膜厚均一性1%〜2%程度であるため、波長850nmの場合においては、8.5nm〜17nmの面内分布が発生してしまう。このため、例えば、λ±1nmの精度が求められている用途においては、面発光レーザ素子の歩留りが極めて低くなってしまう。
そこで、歩留まりを向上させるために波長調整層を用いる方法が考えられる。面発光レーザは、結晶成長における膜厚のバラツキにより、例えば、±1nmの範囲において均一な発振波長を得ることは困難ではあるが、後述する本実施の形態における面発光レーザ素子は、チップ内で発振波長の異なる面発光レーザが複数形成されている面発光レーザチップであり、この面発光レーザチップにおける面発光レーザより、所望とする特定波長に近い発振波長の面発光レーザを選んで使用することにより、所望の発振波長のレーザ光を射出させることができる。これにより、面発光レーザ素子としての歩留まりを向上させることができ、原子発振器を低コストで作製し提供することができる。このようなチップ内において波長の異なる多波長のレーザ光を射出させることのできる面発光レーザ素子は、原子発振器以外にも、波長多重通信等の用途に用いることも可能である。
(面発光レーザ素子)
次に、本実施の形態における面発光レーザ素子について説明する。図10は、本実施の形態における面発光レーザ素子となる面発光レーザチップの断面構造を模式的に示したものであり、図11は上面図である。この面発光レーザチップは、300μm角の半導体基板等により形成されたチップ上に、各々面発光レーザからなる4つの発光素子部301、302、303、304を有する面発光レーザチップの例である。尚、図10においては、説明の便宜上、4つの発光素子部301、302、303、304が、横に一列となるように記載されている。この4つの発光素子部301、302、303、304のうち、3つの発光素子部301、302、303は、第1の実施の形態における面発光レーザ素子に各々波長調整層310a、310b、310cが設けられている構造のものであり、発光素子部304は、第1の実施の形態における面発光レーザ素子と略同様の構造のものである。
具体的には、半導体等からなる基板101上に、下部反射鏡(DBR)102、スペーサ層103、活性層104、スペーサ層105、電流狭窄層106、スペーサ層107、コンタクト層108が積層形成されている。更に、コンタクト層108の上には、メサの上面の周辺部分に上部電極121が形成されており、各々の発光素子部301、302、303、304における上部電極121は、各々電極バッド321、322、323、324が接続されている。即ち、発光素子部301における上部電極121には電極バッド321が接続されており、発光素子部302における上部電極121には電極バッド322が接続されており、発光素子部303における上部電極121には電極バッド323が接続されており、発光素子部304における上部電極121には電極バッド324が接続されている。また、各々の発光素子部301、302、303、304間においては、ポリイミド層113が形成されており、基板101の裏面には、下部電極122が設けられている。尚、図10においては、誘電体層111及び保護膜112等は省略されているものとする。
発光素子部301となる面発光レーザには、メサの上面の中心部分に波長調整層310aが形成されており、この波長調整層310aの上に、屈折率の異なる誘電体膜を交互に積層することにより形成された上部反射鏡(DBR)130が形成されている。また、発光素子部302となる面発光レーザには、メサの上面の中心部分に波長調整層310bが形成されており、この波長調整層310bの上に、屈折率の異なる誘電体膜を交互に積層することにより形成された上部反射鏡130が形成されている。また、発光素子部303となる面発光レーザには、メサの上面の中心部分に波長調整層310cが形成されており、この波長調整層310cの上に、屈折率の異なる誘電体膜を交互に積層することにより形成された上部反射鏡130が形成されている。また、発光素子部304となる面発光レーザには、メサの上面の中心部分に波長調整層が形成されてはおらず、コンタクト層108の上に、屈折率の異なる誘電体膜を交互に積層することにより形成された上部反射鏡130が形成されている。従って、発光素子部304は第1の実施の形態における面発光レーザ素子と同様の構造となる。
本実施の形態においては、波長調整層310a、310b、310cの厚さは相互に異なっている。具体的には、波長調整層310aは3層の半導体層により形成されており、波長調整層310bは2層の半導体層により形成されており、波長調整層310cは1層の半導体層により形成されている。また、発光素子部304においては波長調整層が形成されてはいない。このため、共振器となる領域の長さが、各々相互に異なっているため、4つの発光素子部301、302、303、304より射出される波長は相互に異なる。
具体的には、発光素子部301からは波長λ1のレーザ光が射出され、発光素子部302からは波長λ2のレーザ光が射出され、発光素子部303からは波長λ3のレーザ光が射出され、発光素子部304からは波長λ4のレーザ光が射出される。尚、波長λ1、λ2、λ3、λ4は相互に異なる波長である。また、チップサイズは300μm角であり、通常の一つの面発光レーザが設けられている面発光レーザ素子と同等の大きさである。
尚、波長調整層310a、310b、310cは、3層の半導体層を形成した後、必要に応じて、フォトリソグラフィの工程と選択エッチングの工程とを行うことにより、波長調整層310a、310b、310cを各々異なる層数となるように形成することができる。よって、波長調整層310a、310b、310cの厚さが相互に異なる厚さとなるように形成することができる。
尚、CPT共鳴のためには、アルカリ金属を封入したガスセルに照射するレーザ光には純粋な円偏光が要求される。λ/4板で円偏光を生じるためには、方向の安定した直線偏光が要求される。このため、本実施の形態においては、光源410には、第1または第2の実施の形態における面発光レーザ素子に波長調整層が設けられている構造の面発光レーザを有する面発光レーザチップが用いられている。
(発光素子部)
次に、本実施の形態における面発光レーザ素子における発光素子部302について、図12に基づき、より詳細に説明する。尚、発光素子部301及び303は、波長調整層の厚さが異なる以外は発光素子部302と同様の構造のものである。また、発光素子部304は波長調整層が形成されていない構造のものであり、図1に示される面発光レーザと同様の構造のものである。図12に示される面発光レーザは、本実施の形態における面発光レーザ素子において、発光素子部302となる895nm帯の面発光レーザである。
前述したように、本実施の形態における面発光レーザ素子は、半導体等からなる基板101上に、下部反射鏡102、スペーサ層103、活性層104、スペーサ層105、電流狭窄層106、スペーサ層107、コンタクト層108、波長調整層310bが積層形成されている。尚、本実施の形態においては、スペーサ層103は下部スペーサ層に相当するものであり、スペーサ層105及び107は上部スペーサ層に相当するものであり、電流狭窄層106は、上部スペーサ層の一部に形成されている。また、下部反射鏡102、スペーサ層103、活性層104、スペーサ層105、電流狭窄層106、スペーサ層107、コンタクト層108、波長調整層310b等の半導体層は、MOCVDまたはMBEによるエピタキシャル成長により形成されている。
基板101には、n−GaAs基板が用いられており、下部反射鏡102は、半導体多層膜により形成されており、光学的厚さがλ/4のn−Al0.1Ga0.9Asからなる高屈折率層と、n−AlAsからなる低屈折率層とを交互に35.5ペア積層することにより形成されている。
スペーサ層103、105及び107は、Al0.2Ga0.8Asにより形成されており、活性層104は、GaInAs量子井戸層とGaInPAs障壁層を交互に積層することにより形成されている。コンタクト層108は、p−GaAsにより形成されており、コンタクト層108の上には、GaAsPとGaInPとを交互に積層することにより形成された波長調整層310bが形成されている。尚、スペーサ層103、活性層104、スペーサ層105、電流狭窄層106、スペーサ層107、コンタクト層108、波長調整層310bにより共振器領域が形成されており、この共振器領域における光学的な厚さは、3波長程度となるように形成されている。
発光素子部302における波長調整層310bは、GaInP、GaAsP、GaInPからなる3層の半導体層形成した後、フォトリソグラフィ工程と、エッチング工程とを行い、半導体層を1層除去することにより形成されている。尚、発光素子部301における波長調整層310aは、GaInP、GaAsP、GaInPからなる3層の半導体層形成した後、エッチング工程等は行われていない。また、発光素子部303における波長調整層310cは、GaInP、GaAsP、GaInPからなる3層の半導体層形成した後、フォトリソグラフィ工程と、エッチング工程とを各々2回行い、半導体層を2層除去することにより形成されている。また、発光素子部304は、GaInP、GaAsP、GaInPからなる3層の半導体層形成した後、フォトリソグラフィ工程と、エッチング工程とを各々3回行い、半導体層を3層すべて除去することにより形成されている。
これにより、波長調整層310a、310b、310cにおける厚さが異なるように形成することができ、発光素子部301、302、303、304における共振器領域の厚さを異なるものとすることができる。
また、後述するメサの上面となるコンタクト層108の上において、メサの上面の周辺部分に低反射率領域を形成するための誘電体層111が形成されている。この誘電体層111は、光学的な厚さがλ/4となるようなSiNにより形成されている。具体的には、誘電体層111は、誘電体層111を形成するためのSiN膜を成膜した後、誘電体層111が形成される領域にレジストパターンを形成し、レジストパターンの形成されていない領域のSiN膜をエッチングにより除去することにより形成する。このように形成される誘電体層111は、中央部分に略長方形の開口領域を有し、外形が略長方形となるようにロの字状となるように形成する。尚、形成される誘電体層111における略長方形の形状は、Y軸方向が長手方向となり、X軸方向が短手方向となるように形成されている。
このように、メサの上面において射出領域の周辺部分に、射出領域の中心部分の反射率よりも反射率が低くなるような誘電体層111を形成することにより、基本横モードの出力を低下させることなく、高次横モードの発振を抑制することができる。また、低反射率領域を形成するための誘電体層111の形状を、相互に直交する方向において異なる形状となるように、即ち、相互に直交する方向において異方性を有する形状となるように形成することにより、光の閉じ込め作用に異方性を生じさせることができる。これにより射出される光の偏光方向を制御することができる。
この後、誘電体層111等の上に、メサを形成するためのレジストパターンを形成し、波長調整層310b、コンタクト層108、スペーサ層107、電流狭窄層106、スペーサ層105、活性層104、スペーサ層103、下部反射鏡102の一部をエッチング等により除去することによりメサを形成する。メサを形成する際のエッチング方法としては、ドライエッチング法等を用いることができる。また、形成されるメサの上面の形状は、例えば、略長方形の形状となるように形成する。尚、形成されるメサの上面の形状は、第1の実施の形態と同様に、楕円等の形状となるように形成されているものであってもよい。
電流狭窄層106は、AlAsにより形成されており、メサを形成することにより電流狭窄層106の側面を露出させて、この後、水蒸気中で熱処理することにより、メサの周辺部分に選択酸化領域106aを形成する。具体的には、選択酸化において、電流狭窄層106に含まれるAlを酸化することにより絶縁体となるAlxOyが形成され、選択酸化領域106aが形成される。これにより、電流狭窄層106において酸化がなされたなった中心部分に電流狭窄領域106bが形成される。
また、メサの側面等にはSiN等からなる保護膜112が形成されている。保護膜112は、最初にSiN膜を成膜した後、メサの上面において後述する上部電極121が形成される領域等に開口部を有するレジストパターンを形成し、レジストパターンの形成されていない領域のSiN膜をエッチングにより除去することにより形成することができる。また、本実施の形態においては、メサの側面及びメサの周囲の底面に保護膜112を形成することにより、メサの側面及びメサの周囲の底面が保護されるため、腐食等がされにくく、信頼性を向上させることができる。
更に、メサを形成する際にエッチングにより除去された領域をポリイミドにより埋め込むことにより平坦化させた後、メサの上面におけるポリイミドを除去することにより、残存するポリイミドによりポリイミド層113を形成する。
メサの上面に形成されている誘電体層111の外側の周辺部分においては、コンタクト層108の上に、誘電体層111を囲むようにp側個別電極となる上部電極121が形成されている。また、基板101の裏面にはn側個別電極となる下部電極122が形成されている。
更に、メサの上面において、上部電極121に囲まれている中央部分には、波長調整層310bの上に、上部反射鏡130が形成されている。上部反射鏡130は、誘電体多層膜により形成されており、屈折率の異なる誘電体膜を交互に積層することにより形成されている。本実施の形態においては、上部反射鏡130は、TiO2からなる高屈折率層と、SiO2からなる低屈折率層とが、交互に8.5ペア積層することにより形成されている。
このように、本実施の形態における面発光レーザ素子は、下部反射鏡102と上部反射鏡130により共振器領域が挟まれた構造となっている。
本実施の形態における面発光レーザ素子は、誘電体材料により上部反射鏡が形成されているものであって、高次横モードの発振を制御しつつ、偏光方向の安定したレーザ光を射出することができるものである。
ところで、前述したように、CPT共鳴のためにはアルカリセル440に照射されるレーザ光が純粋な円偏光であることが要求される。本実施の形態における面発光レーザ素子は、第1の実施の形態における面発光レーザ素子と同様に、単一横モード発振で、かつ、偏光方向が制御されているため、λ/4板で円偏光を作り出すため必要となる偏光方向が揃った直線偏光されたレーザ光を射出させることができる。
また、本実施の形態における面発光レーザ素子においては、各々の発光素子部301、302、303、304において、共振器領域に含まれている波長調整層310a、310b、310cの層数(トータル厚さ)が異なっている。従って、各々の発光素子部301、302、303、304からは、各々波長の異なるレーザ光が射出される。即ち、発光素子部301からは波長λ1のレーザ光が射出され、発光素子部302からは波長λ2のレーザ光が射出され、発光素子部303からは波長λ3のレーザ光が射出され、発光素子部304からは波長λ4のレーザ光が射出される。尚、波長λ1、λ2、λ3、λ4は相互に異なる波長である。従って、本実施の形態における面発光レーザ素子である面発光レーザチップ内において、894.6nmに最も近い波長のレーザ光を射出する発光素子部301、302、303、304のうちから一つ選び使用することができる。これにより、面発光レーザを作製する際に面内分布が生じた場合においても、使用することのできる発光素子部が存在している確率を高めることができ、歩留りを約4倍程度改善することができる。このような、本実施の形態における面発光レーザ素子を用いることにより、CPT方式を利用した原子発振器の歩留りを高めることができ、低コストで製造することが可能となる。
(面発光レーザ素子の変形例)
また、波長調整層を用いた面発光レーザ素子は、前述したイントラキャビティ型に限定されるものではなく、第2の実施の形態における面発光レーザ素子と同様の構造のものであってもよい。この面発光レーザ素子における発光素子部302aについて図13に基づき、より詳細に説明する。尚、この面発光レーザ素子においても、図10に示される場合と同様に他に3つの面発光レーザが設けられており、2つの発光素子部は、波長調整層の厚さが異なる以外は発光素子部302aと同様の構造のものである。また、残りの一つの発光素子部は波長調整層が形成されていない構造のものであり、図5に示される面発光レーザと同様の構造のものである。
本実施の形態における面発光レーザ素子は、半導体等からなる基板101上に、下部反射鏡102、スペーサ層103、活性層104、スペーサ層105、第1の上部反射鏡207、コンタクト層108、波長調整層310b等が積層形成されている。尚、電流狭窄層106は、第1の上部反射鏡207の一部として形成されている。また、下部反射鏡102、スペーサ層103、活性層104、スペーサ層105、第1の上部反射鏡207、コンタクト層108、波長調整層310b等の半導体層は、MOCVDまたはMBEによるエピタキシャル成長により形成されている。
基板101には、n−GaAs基板が用いられており、下部反射鏡102は、半導体多層膜により形成されており、光学的厚さがλ/4のn−Al0.1Ga0.9Asからなる高屈折率層と、n−AlAsからなる低屈折率層とを交互に35.5ペア積層することにより形成されている。
スペーサ層103及び105は、Al0.5Ga0.5Asにより形成されており、活性層104は、GaInAs量子井戸層とGaInPAs障壁層を交互に積層することにより形成されている。尚、スペーサ層103、活性層104、スペーサ層105により共振器領域が形成されており、この共振器領域における光学的な厚さは、1波長程度となるように形成されている。
また、第1の上部反射鏡207は、半導体多層膜により形成されており、p−Al0.1Ga0.9Asからなる高屈折率層と、p−Al0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層とを交互に5.5ペア積層することにより形成されている。
第1の上部反射鏡207の上には、p−GaAsによりコンタクト層108が形成されており、コンタクト層108の上には、GaAsPとGaInPとを交互に積層することにより形成された波長調整層310bが形成されている。
波長調整層310bは、GaInP、GaAsP、GaInPからなる3層の半導体層形成した後、フォトリソグラフィ工程と、エッチング工程とを行い、半導体層を1層除去することにより形成されている。
また、波長調整層310b、コンタクト層108、第1の上部反射鏡207、電流狭窄層106等をエッチングにより除去することによりメサが形成されている。メサを形成する際のエッチング方法としては、ドライエッチング法を用いることができる。また、形成されるメサの上面の形状は、例えば、略長方形の形状となるように形成されているものであってもよく、第1の実施の形態等と同様に、楕円等の形状となるように形成されているものであってもよい。
電流狭窄層106は、AlAsにより形成されており、メサを形成することにより電流狭窄層106の側面を露出させて、この後、水蒸気中で熱処理することにより、メサの周辺部分に選択酸化領域106aを形成する。具体的には、選択酸化において、電流狭窄層106に含まれるAlを酸化することにより絶縁体となるAlxOyが形成され、選択酸化領域106aが形成される。これにより、電流狭窄層106において酸化がなされなかった中心部分に電流狭窄領域106bが形成される。
また、メサの上面となるコンタクト層108の上において、メサの上面の周辺部分に低反射率領域を形成するための誘電体層111が形成されている。この誘電体層111は、光学的な厚さがλ/4となるようなSiNにより形成されている。また、メサの側面等には保護膜112が形成されている。本実施の形態においては、誘電体層111及び保護膜112は、ともにSiNにより形成されており、誘電体層111及び保護膜112は同時に形成することができる。具体的には、誘電体層111及び保護膜112は、誘電体層111及び保護膜112を形成するためのSiN膜を成膜した後、誘電体層111及び保護膜112が形成される領域にレジストパターンを形成し、レジストパターンの形成されていない領域のSiN膜をエッチングにより除去することにより、誘電体層111及び保護膜112を形成する。このように形成される誘電体層111は、中央部分に略長方形の開口領域を有し、外形が略長方形となるようにロの字状となるように形成する。尚、形成される誘電体層111は、略長方形の形状が、Y軸方向が長手方向となり、X軸方向が短手方向となるように形成されている。
このように、メサの上面において射出領域の周辺部分に、射出領域の中心部分の反射率よりも反射率が低くなるような誘電体層111を形成することにより、基本横モードの出力を低下させることなく、高次横モードの発振を抑制することができる。また、低反射率領域を形成するための誘電体層111の形状を、相互に直交する方向において異なる形状となるように、即ち、相互に直交する方向において異方性を有する形状となるように形成することにより、光の閉じ込め作用に異方性を生じさせることができる。これにより射出される光の偏光方向を制御することができる。
また、本実施の形態においては、メサの側面及びメサの周囲の底面に保護膜112が形成されており、メサの側面及びメサの周囲の底面が保護されるため、腐食等がされにくく、信頼性を向上させることができる。
更に、メサを形成する際にエッチングにより除去された領域をポリイミドにより埋め込むことにより平坦化させた後、メサの上面におけるポリイミドを除去することにより、残存するポリイミドによりポリイミド層113を形成する。
メサの上面に形成されている誘電体層111の外側の周辺部分においては、コンタクト層108の上に、誘電体層111を囲むようにp側個別電極となる上部電極121が形成されている。また、基板101の裏面にはn側個別電極となる下部電極122が形成されている。
更に、メサの上面において、上部電極121に囲まれている中央部分には、第2の上部反射鏡230が形成されている。第2の上部反射鏡230は、誘電体多層膜により形成されており、屈折率の異なる誘電体膜を交互に積層することにより形成されている。具体的には、本実施の形態においては、上部反射鏡230は、TiO2からなる高屈折率層と、SiO2からなる低屈折率層とが、交互に8.5ペア形成することにより形成されている。
従って、この面発光レーザ素子は、下部反射鏡102と第1の上部反射鏡207及び第2の上部反射鏡230により共振器領域が挟まれた構造となっている。
このように、本実施の形態における面発光レーザ素子は、誘電体材料により上部反射鏡が形成されているものであって、高次横モードの発振を制御しつつ、偏光方向の安定したレーザ光を射出することができるものである。
尚、上記以外の内容については、上述した発光素子部302等を有する面発光レーザ素子と同様である。
図13に示される構造の面発光レーザ素子は、上部反射鏡がすべて誘電体の積層膜により形成されているいわゆるイントラキャビティ型に比べ、上部反射鏡の一部が半導体の積層膜により形成されているため、第1の上部反射鏡207の上にコンタクト層108を設けることができるため、電流経路を拡大させることができ、電気抵抗を低減させることができる。
また、本実施の形態においては、反射鏡等を形成する半導体材料や、面発光レーザ素子に求められる電気抵抗または放熱特性等を考慮し、図12に示される面発光レーザ素子を用いるか、図13に示される面発光レーザ素子かを適宜選択する。
尚、本実施の形態においては、アルカリ金属としてCsを用い、そのD1ラインの遷移を用いるために波長が894.6nmの面発光レーザを用いたが、CsのD2ラインを利用する場合852.3nmを用いることもできる。また、アルカリ金属としてRb(ルビジウム)を用いることもでき、D1ラインを利用する場合は795.0nm、D2ラインを利用する場合は780.2nmを用いることができる。この場合、活性層の材料組成等を調整することにより、所望の波長のレーザ光を射出することができる。また、Rbを用いる場合においては、変調周波数は、87Rbでは3.4GHz、85Rbでは1.5GHzで変調させる。
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。また、本発明の実施に係る形態では、面発光レーザ素子を原子発振器に用いた場合について説明したが、第1及び第2の実施の形態における面発光レーザ素子は、ガスセンサー等の所定の波長の光が必要な他の装置等に用いることができる。この場合、これらの装置等においても、用途に応じた所定の波長の面発光レーザ光を用いることにより、同様の効果を得ることができる。