JP2011216881A - 面発光レーザ、面発光レーザアレイ、光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents

面発光レーザ、面発光レーザアレイ、光走査装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】単一横モードで、偏光方向が安定している、高出力面発光レーザを提供する。
【解決手段】基板111上に下部DBR層112と活性層114と上部DBR層115を形成し、前記活性層及び前記上部DBR層に形成したメサ130と、中央部分に開口部を有する上部電極118と、前記基板の裏面に形成された下部電極119とを有する面発光レーザにおいて、前記開口部内における光強度プロファイルのうち、基本横モード光のプロファイルの高い強度を示す領域である光出力中心部を含む第1の領域151と、前記開口部内における前記第1の領域以外の領域となる第2の領域152と、を有し、前記第1の領域は、前記光出力中心部と、前記光出力中心部から外側に突出する3つ以上の凸部151bを有し、前記第1の領域の反射率よりも前記第2の領域の反射率が高くなるように、前記第1の領域または前記第2の領域の少なくともいずれか一方に誘電体層を形成する。
【選択図】図9

Description

本発明は、面発光レーザ、面発光レーザアレイ、光走査装置及び画像形成装置に関する。
垂直共振器型の面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting LASER)は、基板に垂直な方向に光を出射するものであり、基板に平行な方向に光を出射する端面発光型の半導体レーザよりも低価格、低消費電力、及び小型であり、1次元及び2次元デバイスに好適であり、かつ、高性能であることから、近年、注目されている。
VCSELの応用分野としては、プリンタにおける光書き込み系の光源、光ディスク装置における書き込み用光源(発振波長:780nm、850nm)、光ファイバを用いるLAN(Local Area Network)などの光伝送システムの光源(発振波長:1.3μm、1.5μm)が挙げられる。さらには、ボード間、ボード内、集積回路(LSI:Large Scale Integration)のチップ間、及び集積回路のチップ内の光伝送用の光源としても期待されている。
これらVCSELの応用分野の多くの場合において、高い出力の単一基本モード光が必要とされている。例えば、光伝送システムでは、長い距離を低雑音で伝送するには高出力で単一波長の光源が必要である。
さらには、高い出力の単一基本モード光であるうえに偏光方向が一定であることが必要とされる場合も多い。例えば、光書き込み系では、出力ビームの絞込みのために精密で複雑な光路の制御を行なう必要があり、高出力、単一波長で偏光方向が一定の光源が好ましい。
従来のVCSELの代表的な構成を図1に示す。n型GaAs基板901上に、n型下部半導体DBR(Distributed Bragg Reflector)層902、下部スペーサー層903、活性層904、上部スペーサー層905およびp型上部半導体DBR層906を順次積層した構造からなる。p型上部半導体DBR層906の最上層には高濃度にドーピングした半導体からなるコンタクト層907が設けられている。更に、コンタクト層907の上には、開口部を有する上部電極908が設けられており、n型GaAs基板901の裏面には下部電極909が設けられている。また、p型上部半導体DBR層906内においては、活性層904の近傍に選択酸化領域911と電流狭窄領域912とを有する電流狭窄層913が設けられており、電流狭窄構造となっている。また、VCSELは、円形台状または矩形台状のメサ930構造を有しており、電流狭窄層913における電流狭窄構造は、AlAs層又はAlGaAs層をメサ930の周囲より選択酸化し、選択酸化領域911を形成することにより形成される。尚、下部スペーサー層903、活性層904、上部スペーサー層905により、共振器920が形成される。
このようなVCSELで単一基本横モード発振を得るためには、狭窄部の一辺の大きさ又は直径を3〜5μm以下にする必要がある。このため発振に寄与する活性層領域が小さくなるので、光出力が小さい。また、このような小さい寸法の狭窄部を分布と再現性良く得るのは困難である。
更には、VCSELは構造の共振器光軸に対し対称性が高いので偏光方向を一定にするのは困難である。このため、特許文献1及び2、非特許文献1から3に示す方法が試みられている。
ところで、非特許文献1には、上部半導体DBR層の表面に厚さ1/λの位相逆転層を設け基本モードが入射する領域に40〜60nmの深さの円形のレリーフを設けたものであり、高次モード光が入射する領域では入射光と反射光の位相が逆転するため高次モードの反射が抑制され、位相逆転層は実質的に半導体層である。この構成はレリーフの深さの精度がモードの制御性に大きく影響する。レリーフの形成はICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング法やRIE(Reactive Ion Etching)法やFIB(Focused Ion Beam)法やウェットエッチング法により行われるが、位相逆転層中にエッチングストップ層は設けない層構成なので、ウェハ全域で均一な孔の深さを得るのは困難であり、歩留の向上には限界がある。
また、特許文献1には、DBRの伝播光軸の外周部に散乱損失構造部を設け高次モード光の散乱損失を大きくするため、散乱損失部は平面形状が、共振器中心軸に対し鋭角となる孔を形成したものである。また、散乱損失構造部を含む水平面を電流通路が通過する位置なので、この散乱損失構造部は実際には半導体DBR部に孔を加工することになる。このため、深さを含め孔の形状を制御性よく形成するにはRIE法やFIB法やICPエッチング法などの異方性の高いエッチング法を用いることになるが、これらによってもウェハ全域で均一な孔の深さを得るのは困難であり、歩留の向上には限界がある。
また、特許文献2には、上部半導体DBR層の表面で出射光中心の周辺領域に複数の空孔を設け、低次モードの活性層のエネルギー増加率を高次モードより大きくして低次モードだけを選択的に高出力で発振させる方法が開示されている。しかしながら、空孔同士は繋がっていないので、高次モード光が入射する反射率の高い領域が外周部まで伸びているため高次モード光の抑制が不十分であると考えられる。また、開示されている上部ミラーは1種の材料系のDBR(半導体多層膜DBR)だけで構成する場合だけが示されている。このため、ウェハ全域で孔の形状を、特に深さを、均一に得るのは困難であり、歩留の向上には限界がある。
また、非特許文献2には、偏光制御のために有効性が高い方法として、(311)A、B傾斜基板を用いて活性層に光学利得異方性を発生させる方法が示されている。傾斜基板上に従来の典型的な酸化狭窄型VCSELを形成した場合、ウェハ上の全ての素子の偏光方向が一定で安定であるとは限らず、この方法だけでは不十分である。また、傾斜基板は(511) 15°off基板まではDVD(Digital Versatile Disc)書込みレーザ用として広く用いられているため(100)基板と同等の価格で利用できるが、(311)A、B 25°off基板は非常に高価である。
また、非特許文献3には、前述の非特許文献1の構成を発展させたもので、上部半導体DBR層の表面に厚さ1/λの位相逆転層を設け基本モードが入射する領域に浅いグレーティングを設けた構成のものが記載されている。高次モード光が入射する領域では入射光と反射光の位相が逆転するため高次モードの反射が抑制されるうえ、グレーティングにより偏光制御された単一横モード光が高出力で得られる。このためグレーティングのピッチは約1μmで形成する必要がある。よって、レジストパターニングを行う際に、製造コストの上昇を招く電子ビーム露光法を用いる必要がある。また、グレーティングはエッチングにより形成するが、ウェハ全域で孔の形状を、特に深さを、均一に得るのは困難であり、歩留の向上には限界がある。
よって、本発明は、低コストで、単一横モードで、更には偏光方向が安定している高出力が得られる構造の面発光レーザ、面発光レーザアレイ、光走査装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明は、基板上に下部DBR層と活性層と上部DBR層を形成し、前記活性層及び前記上部DBR層に形成したメサと、前記メサの前記上部DBR上に形成された開口部を有する上部電極と、前記基板の裏面に形成された下部電極と、を有する前記基板に垂直方向にレーザ光を出射する面発光レーザにおいて、前記開口部内における光強度プロファイルのうち、基本横モード光のプロファイルの高い強度を示す領域である光出力中心部を含む第1の領域と、前記開口部内における前記第1の領域以外の領域となる第2の領域と、を有し、前記第1の領域は、前記光出力中心部と、前記光出力中心部から外側に突出する3つ以上の凸部を有しており、前記第1の領域の反射率よりも前記第2の領域の反射率が高くなるように、前記第1の領域または前記第2の領域の少なくともいずれか一方に誘電体層が形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記第1の領域の凸部が、凸部の先端から前記光軸までの距離が異なることを特徴とする。
また、本発明は、前記第1の領域における前記凸部により、前記第2の領域が分断されることなく連続的につながっている形状であることを特徴とする。
また、前記第1の領域の凸部の先端から前記光軸までの距離が最も大きい第1の凸部の方向が、前記レーザ光の偏光方向に対し垂直方向、または、平行方向のいずれかであることを特徴とする。
また、本発明は、前記第1の領域の第1の凸部により、前記第2の領域は分断される構造のものであって、前記第2の領域が分断される方向は、前記レーザ光の偏光方向に対し垂直方向、または、平行方向のいずれかであることを特徴とする。
また、本発明は、前記基板の法線方向は、[1 0 0]方向であって、前記第1の領域の第1の凸部の方向が、[0 1 1]方向、または、[0 −1 1]方向のいずれかであることを特徴とする。
また、本発明は、前記基板の法線方向は、[1 0 0]方向から[1 1 1]方向、または、[1 0 0]方向から[1 −1 −1]方向に傾斜している傾斜基板であって、前記第1の領域の第1の凸部の方向は、[0 −1 1]方向、または、基板の鏡面研磨面が[1 1 1]方向と[1 −1 −1]方向を含む面と交わる線の方向のいずれかであることを特徴とする。
また、本発明は、前記第1の領域は、誘電体多層膜により誘電体多層膜ミラーが形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記記載の面発光レーザが複数設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、光によって被走査面を走査する光走査装置であって、前記記載の面発光レーザを有する光源と、前記光源からの光を偏向する光偏向部と、前記光偏向部により偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と、を有することを特徴とする。
また、本発明は、像担持体と、前記像担持体に対して画像情報に応じて変調された光を走査する前記記載の光走査装置と、を有することを特徴とする。
また、本発明は、前記像担持体は複数であって、前記画像情報は、多色のカラー情報であることを特徴とする。
本発明によれば、低コストで、単一横モードで、更には偏光方向が安定している高出力が得られる構造の面発光レーザ及び面発光レーザアレイを得ることができる。また、これら面発光レーザ及び面発光レーザアレイを用いることにより、安定して光走査を行うことができる光走査装置及び高精細な画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することができる。
面発光レーザの構成図 本発明に係る面発光レーザの構成図(1) 本発明に係る面発光レーザの構成図(2) 本発明に係る面発光レーザの説明図 本発明に係る面発光レーザの変形例の構造図(1) 本発明に係る面発光レーザの変形例の構造図(2) 本発明に係る面発光レーザの変形例の構造図(3) 本発明に係る面発光レーザの変形例の構造図(4) 第1の実施の形態における面発光レーザの構造図 第2の実施の形態における面発光レーザの構造図 第3の実施の形態における面発光レーザの構造図 第4の実施の形態における面発光レーザの構造図 第5の実施の形態における面発光レーザの構造図 第6の実施の形態における面発光レーザの構造図 第7の実施の形態における面発光レーザの構造図 第8の実施の形態における面発光レーザアレイの構造図 第9の実施の形態におけるマルチビーム光源装置の構成図(1) 第9の実施の形態におけるマルチビーム光源装置の構成図(2) 第9の実施の形態におけるマルチビーム光源装置の説明図 第10の実施の形態におけるマルチビーム走査装置の構成図(1) 第10の実施の形態におけるマルチビーム走査装置の構成図(2) 第10の実施の形態における画像形成装置の構成図 比較例1の説明図 実施例2の説明図 比較例2の説明図 比較例3の説明図
本発明の実施の形態について説明する。
最初に、本発明の概要について説明する。
(1) 第1の構成
第1の構成では、図2に示されるように、第1の領域に誘電体多層膜を形成した構成である。尚、図2(a)は上面図であり、図2(b)は、図2(a)における破線2A−2Bにおいて切断した断面図である。
具体的には、基板11上に、下部半導体DBR層12、下部スペーサー層13、活性層14、上部スペーサー層15、上部半導体DBR層16からなる半導体層にメサ30を形成し、上部電極18及び下部電極19を形成し、さらに、上部電極18の開口部に誘電体多層膜60を形成したものである。尚、上部半導体DBR層16の最上面はコンタクト層17となる。また、誘電体多層膜60が形成され、反射率の高くなっている領域を第1の領域51とし、上部電極18の開口部内において第1の領域51が形成されていない領域を第2の領域52とする。第1の領域は8つの凸部を有している。また、第2の領域はこれらの凸部に分断されることなく連続的につながっている形状である。つまり、第1の領域が、上部電極18に接しておらず、第2の領域は連続的につながり、図2(a)で見ると分かるように、分断された領域がない。即ち、第2の領域は、分断されていることなく、第1の領域の外側を一周している。これにより、第1の領域と、第2の領域の境界に、様々な凹凸が形成され、高次モード光に対する抑制効果が得られる。
尚、上部半導体DBR層16内には電流狭窄層20が形成されており、メサ30後に選択酸化を行うことにより、選択酸化領域20aと選択酸化されていない電流狭窄領域20bが形成される。また、下部スペーサー層13、活性層14、上部スペーサー層15により共振器40が形成される。即ち、電流狭窄層20は、メサ30形成後に酸化されていない電流狭窄層20を選択酸化することにより、選択酸化領域20a(酸化された領域をいう)と酸化されていない領域の電流狭窄領域20bとからなる電流狭窄構造を形成する。つまり、選択酸化後の電流狭窄層20は、選択酸化領域20aと、電流狭窄領域20bから構成されている。
上部半導体DBR層16の最上面において、単一横モード光が入射する第1の領域51に膜厚(1+2×j)×λ/(4×n)の第1の誘電体膜とその上に膜厚(1+2×k)×λ/(4×n)の第2の誘電体膜を積層する誘電体膜対を、1つ以上設ける。
j、k:0以上の整数
:第1の誘電体膜の屈折率
:第2の誘電体膜の屈折率
λ:レーザの発振波長
また、第1の誘電体膜の屈折率(n)は第2の誘電体膜の屈折率(n)より小さい。また、上半導体DBR層16の最上層の屈折率(n)と第1の誘電体膜の屈折率の関係は、n>nである。
また、上部半導体DBR層16の最上面の高次モード光が入射する第2の領域52には何も設けられていない。第1の領域51に設ける誘電体膜積層膜はDBR構成なので第1の領域51は第2の領域52より反射率が高くなる。
尚、上記の第1の領域51と第2の領域52を含む上部電極18の開口部の全面に、膜厚(1×p)×λ/(2×n)の不図示の第3の誘電体膜をさらに積層し、これを保護膜として機能させてもよい。
p:1以上の整数
:第3の誘電体膜の屈折率
第1の領域51で逆位相の反射光を発生させないためには、n≦nである必要がある。
(2) 第2の構成
第2の構成では、図3に示されるように、第2の領域に逆位相で反射する誘電体層を設ける構成である。尚、図3(a)は上面図であり、図3(b)は、図3(a)における破線3A−3Bにおいて切断した断面図である。具体的には、上部電極18の開口部において、反射率の高い第1の領域51には何も形成することなく、第2の領域52に第4の誘電体膜61を形成したものである。
これにより、上部半導体DBR層16の最上面の高次モード光が入射する第2の領域52に、膜厚(1+2×m)×λ/(4×n)の第4の誘電体膜61を設ける。
m:0以上の整数
:第4の誘電体膜の屈折率
尚、上部半導体DBR層16の最上層の屈折率(n)と第4の誘電体膜61の屈折率の関係は、n>nである場合も、n<nである場合も逆位相の反射光が得られるが、実際的にはほとんどの材料はn>nの関係にある。
また、上部半導体DBR層16の最上面の単一横モード光が入射する第1の領域51には何も設けない。第2の領域52からは逆位相光の反射光が発生するので、第2の領域52は第1の領域51より実質的に反射率が低くなる。
尚、上記の第1の領域51と第2の領域52を含む上部電極18の開口部の全面に、膜厚(1×q)×λ/(2×n)の不図示の第5の誘電体膜をさらに積層し、これを保護膜として機能させてもよい。
q:1以上の整数
:第5の誘電体膜の屈折率
第1の領域51で逆位相の反射光を発生させないためには、n≦nである必要がある。nがこの条件を満たせば、n>nである場合も、n<nの場合も、第2の領域52で逆位相の反射光が得られる。
次に、図4に基づき、VCSELの出射光の横モードの制御に関し説明する。尚、図4(a)は、光強度プロファイルを示すものであり、図4(b)は、このプロファイルを示すメサの上面を示すものである。上部半導体DBR層16の表面において、1次基本モード光は共振器の中心軸(光軸)を最大とした単峰性の強度分布をもつ。高次横モード光になると、強度分布は共振器の光軸から離れた円周上に複数のスポットを示すようになる。具体的には、図4において、基本モードLP01と高次モード(LP11モード、LP21モード)の強度プロファイルに示されように、基本モード光が入射する領域と高次モード光が入射する領域が混在している領域がある。本発明では、誘電体膜を用いて、基本モード光が入射する領域に反射率が大きく閉じた平面形状をもつ第1の領域51を設け、高次モード光が入射する領域に反射率が小さい第2の領域52を設け、モードが混在する領域の境界では、第1の領域51と第2の領域52の境界が凹凸であること、つまり、第1の領域51は円形等の形状ではなく、第1の領域51は円形等の形状の光出力中心部を含む部分と光出力中心部より第2の領域52側に延びる凸部を有している。第1の領域51は単純な円形等の形状ではなく、凹凸をなした形状である。すなわち、第1の領域51と第2の領域52との境界に様々な凹凸が形成され、高次モード光に対して抑制効果が得られる。尚、メサ上面において、面発光レーザが発振するレーザ光の光強度プロファイルのうち、基本横モード光のプロファイルの最も強度が高い所を、光出力中心部と言う。
このように、基本横モード光の反射する領域が大きくなることにより、基本横モード光の出力が大きくなる。また、高次モード光の発振を抑制する平面領域が孔ではなく連続的な面なので、専ら高次モード光が入射する光軸から離れた領域には高い反射率をもつ部分がない。
よって、高次モード光の発振を抑制しつつ、高い基本横モード光の出力が得られる。
また、第1の領域51が閉じた形状なので開口部の外周部は第2の領域52だけになる。このため、専ら高次モード光が入射する光軸から離れた領域には高い反射率をもつ部分がない。
よって、高次モード光の発振がより抑制されるのでより高い基本横モード光の出力が得られる。従来は、この凸部を、偏光制御機能を付加することを目的として光軸を中心として対抗して2つ設ける場合があるが、本願では、偏光制御機能を付加するか否かにかかわらず3個以上設けることにより、基本横モード光の高い出力が顕著に得られる。高次モード光は、基本横モード光の周辺に同心円状に出現する。具体的には、n個=2,4,6,8・・・のスポットを持ち、高次モード光(n数が増えるほど高次になる)が発生する。つまり、本実施形態においては、3個以上の凸部を設けることで、基本横モードと、高次モード光の混在する領域の境界で、様々な凹凸が生じ、多くの高次モード光に対して抑制効果が得られる。また、基本横モード光が発生している領域に、第1の領域を設けることで、基本横モード光の出力が大きくなる。なお、第1の領域は、凸部があっても、無くても、反射率が大きく閉じた形状であれば、どのような形状であってもよい。
次に、上部電極18の開口部に形成される誘電体膜及び誘電体多層膜の材料及び形成方法について説明する。
第1の誘電体膜材料と第2の誘電体膜材料の組み合わせの例としては、第1の誘電体膜/第2の誘電体膜が、SiO/SiN、SiO/SiON、SiO/ZrO、SiO/MgO、Al/TiO、SiO/a−Si等が挙げられる。
また、第4の誘電体膜材料としては、SiO、SiN、ZrO、MgO、MgF、Al、CaF、TiO、a−Si等が挙げられる。第3の誘電体膜、及び、第5の誘電体膜材料としては、SiO、SiN、SiOn、ZrO、TiO、TiNなどがあげられる。これらは、プラズマCVD法、電子ビーム蒸着法、抵抗加熱蒸着法、反応性スパッタリング法などにより形成される。
次に、これらの誘電体膜のパターン形成法について述べる。
(1)における第1の構成例の場合では、上部半導体DBR層16の上面全域に第1の誘電体膜と第2の誘電体膜のペアを形成した後、第1の領域51を以外の部分をエッチング法やリフトオフ法により除去する。また、(2)における第2の構成例の場合では、上部半導体DBR層16の上面全域に第4の誘電体膜を形成した後、第1の領域51をエッチング法により除去する。
これらの誘電体膜と下地となる半導体層は異種材料なので、制御性の高いエッチング加工が可能である。ウェットエッチング法の場合は、例えば、HF(フッ酸)水溶液でSiO/SiONペアは容易にエッチングされるが、GaAsはほとんどエッチングされない。つまり上部半導体DBR層16の表面をエッチングストップ層として利用することができるので、ウェハ全域において、上部半導体DBR層16表面でエッチングが停止する。
また、ドライエッチング法の場合も、例えば、CFガスを用いた反応性イオンエッチングの場合は、SiO/SiONペアは容易にエッチングされるが、GaAs表面でエッチングが停止する。つまり上部半導体DBR層16表面をエッチングストップ層として利用することができるので、ウェハ全域において、上部半導体DBR層16の表面でエッチングが停止する。
また、本発明の場合は、横モードを制御するのに上部半導体DBR層16上に、誘電体多層膜または誘電体膜からなる誘電体構造を形成しているため、上部半導体DBR層をエッチング加工する方法と異なり、制御性の高い加工ができるので、品質が安定し、歩留も向上し、信頼性が高いものとなる。
このようにして、単一横モード高出力が得られ、安定した品質で高い歩留で製造できるVCSELが得られる。
次に、図5及び図6に基づきメサ30の上面の上部電極18の開口部における第1の領域51と第2の領域52の形状について説明する。図5に示す実施の形態は、第2の領域は、第1の領域により分断されている。つまり、第1の領域の周囲に、第2の領域が形成されているが、第1の領域により形成された、いくつかの凸部により第2の領域が分断されている。例えば、図5(a)の場合は、第1の領域51aからの凸部により、第2の領域52aが4つに分断されている。これにより、先述の実施例に比べて、より外側の部分に対しても、第1の領域と、第2の領域の境界に、様々な凹凸が生じ、さらに多くの高次モード光に対して抑制効果が得られる。
図5(a)は、第1の領域51aがレーザ光の光軸とメサ上面の交点を含む光出力中心部を含む部分と4つの2段の凸部が十字状に形成されており、さらに第2の領域52aを4つに分断するように形成されたものである。
図5(b)は、第1の領域51bがレーザ光の光軸を中心にして光出力中心部を含む部分に円形に形成されており、更に60°ごとに6つの凸部が形成されたものであって、そのうちの120°ごとの第1の凸部は、第2の領域52bを3つに分断するように形成されたものである。他の電極まで達せず第2の領域を分断しない凸部は第2の凸部である。
図5(c)は、第1の領域51cがメサ30上面の光出力中心部を中心に第2の凸部が五芒星状に形成されており、さらに、第2の領域52cを3つに分断するような3つの第1の凸部が形成されたものである。
図5(d)は、第1の領域51sがレーザ光の光軸を中心にして光出力中心部を含む部分に円形に形成されており、更に120°ごとに3つの凸部が形成されたものであって、これらの凸部は、第2の領域52sを3つに分断するように形成されたものである。
図6(a)は、第2の領域52dを分断することなく、第1の領域51dがメサ30上面の光出力中心部を中心に凸部が十字状に形成されたものである。
図6(b)は、第2の領域52eを分断することなく、第1の領域51eがメサ30上面の光出力中心部を含む部分に円形に形成され、更に60°ごとに6つの凸部が形成されたものである。
図6(c)は、第2の領域52fを分断することなく、第1の領域51fがメサ30上面の光出力中心部を中心に五芒星状に形成されたものである。
図6(d)は、第2の領域52gを分断することなく、第1の領域51gがメサ30上面の光出力中心部を含む部分に円形に形成され、更に45°ごとに8つの凸部が形成されたものである。尚、図6(d)は、図2に示す第1の領域51と同様の構造である。
また、発明者らの実験によれば、GaAs(1 0 0)面基板に形成した構造の酸化狭窄型の円柱メサ及び正四角形柱メサで上部半導体ブラッグ反射鏡上のレーザ光を出射する電極開口部に誘電体層を設けない構造のVCSELの基本横モード光の偏光方向は、[0 1 1]方向、または[0 −1 1]方向のどちらかであった。さらに、同一エピタキシャル膜構造で電極開口に本願の誘電体層構造を設け、それ以外は同一素子構造の素子の偏光方向は、[0 1 1]方向、または[0 −1 1]方向の一方が優先的に出現した。
これは、次のような要因が関与すると考えられる。即ち、活性層が異方性の歪みを有する。素子の膜面に垂直な電界により誘起される屈折率が結晶構造的に異方性をもつ。酸化狭窄形状の非対称性、絶縁膜の応力の非対称性、配線の応力の非対称性などにより、活性層に及ぼす応力に異方性がでたり、さらに屈折率に異方性がでたり、電流注入分布に異方性がでるためと考えられる。これらの要因が相互に複雑に関与し偏光方向が決まる。
また、第1の領域51を直交する2軸方向において異なる形状(X軸方向における形状とY軸方向における形状が異なる形状)により形成することにより、上記の応力の異方性、屈折率の異方性、電流注入分布の異方性をさらに高め、これらに光閉じ込めの異方性が加わるためと考えられる。
次に、偏光を制御できる素子を作製するための実際的な手順の例を示す。
最初に、上部電極18の開口部に誘電体層を設けない構造のVCSELを作製し、このVCSELの偏光方向が、[0 1 1]方向、または[0 −1 1]方向のうち、どちらが優先的に出現するか評価する。この結果をもとに、上部電極18の開口部に誘電体層を設けない構造のVCSELの場合に、優先的に出現する方向に直交するような方向が長くなるように、つまり第1の凸部をこの方向に設けた第1の領域51を形成する。これにより、偏光が制御されたVCSELを作製する。この偏光が制御されたVCSELの偏光方向は、上部電極18の開口部に誘電体層を設けていない構造のVCSELの偏光方向と同じであるうえに、より安定した偏光方向をもつ。さらには、第1の領域51では、中心領域に円形状に形成された誘電体層構造を有しており、これによりVCSELにおいてより高い単一横モード光出力が得られる。尚、第1の領域51が、直交する2軸方向において異なる形状のものよりも、直交する2軸方向において同一の形状のものの方が、VCSELの偏光方向は、より不安定になる傾向が強い。
また、上部電極18の開口部に誘電体層を設けない構造のVCSELで、VCSELの偏光方向が[0 1 1]方向、または[0 −1 1]方向のうちどちらが優先的か明確でない場合も、第1の領域51が長くなる方向を[0 1 1]方向、または[0 −1 1]方向のうちどちらかとなるように誘電体層構造を有するVCSELを作製すれば、偏光方向は[0 1 1]方向、または[0 −1 1]方向のうちどちらかに安定するようになる。また、このVCSELの場合も、第1の領域51が長くなる方向を持たない第1の領域51と第2の領域52をもつ誘電体層構造のVCSELより高い単一横モード光出力が得られる。
これにより、第1の領域51の一方向を長くした形状とし、さらに、第1の領域51の領域が長く形成されている方向を指定することにより、単一横モード高出力が得られるうえに偏光制御できるVCSELの提供が可能になった。
このような第1の領域51の形状の変形例について、図7に基づき説明する。尚、Y軸方向が[0 1 1]方向、または[0 −1 1]方向のいずれか一方となる。尚、いずれの場合においても、第1の領域51の光出力中心部からはY軸方向に延びた形状で形成されている。
図7(a)は、第2の領域52hを分断することなく、第1の領域51hがメサ30上面の光出力中心部を含む部分に楕円形に形成されており、更に8つの凸部が形成されたものである。尚、第1の領域51hは、Y軸方向に延びた形状で形成されている。つまり第1の凸部はY軸方向を向いている。
図7(b)は、第1の領域51iがメサ30上面の光出力中心部を含む部分に楕円形に形成されており、更に6つの凸部が形成されており、Y軸方向に延びる凸部により第2の領域52iが2つに分断されるように形成されたものである。つまり第1の凸部はY軸方向を向いている。
図7(c)は、第1の領域51jをメサ30上面の光出力中心部を中心に十字状に形成されており、Y軸方向において、第1の領域51jの十字により第2の領域52jが2つに分断されるように形成されたものである。つまり第1の凸部はY軸方向を向いている。
図7(d)は、第2の領域52kを分断することなく、第1の領域51kがメサ30上面の光出力中心部を中心とするY軸方向に長い長方形に形成されており、この長方形の4つの角に第1の凸部が形成されているものである。
また、発明者らの実験によれば、前記の鏡面研磨面の法線方向が[1 0 0]方向の半導体基板を用い第1の領域51の一方向を長く形成したVCSELであっても、全てのウェハの全てのVCSELの偏光方向が同一でない場合があった。この原因として、エピタキシャル膜の組成やドーピング量がばらつくため、活性層の歪みがばらつき、活性層にかかる応力や電気抵抗や熱伝導に異方性のバラツキがあること、エッチングによるメサ形成や酸化狭窄構造形成や配線形成で発生する応力に異方性のバラツキがあるためなどが考えられる。
このため、より強力な偏光制御を行うために、(1 0 0)面が、[1 1 1]方向、または、[1 −1 −1]方向に傾斜した基板を用い、第1の領域51が長くなる方向が、[0 −1 1]方向、または、[1 1 1]方向と[1 −1 −1]方向含む面と交わる線の方向のいずれかとなるようにVCSELを形成した。このVCSELは、酸化狭窄型の円柱メサ及び正四角形柱メサが形成されている。基本横モード光の偏光方向は、第1の領域51を長く形成した方向に一致し、前述のGaAs(1 0 0)面基板上で、一方向に長く形成された第1の領域51の平面形状をもつVCSELよりもより偏光方向が安定している素子が得られる。なお、この傾斜基板では、[0 −1 1]方向とは基板の回転軸方向である。また、基板の鏡面研磨面が[1 1 1]方向と[1 −1 −1]方向とを含む面と交差する線の方向とは、その回転軸と直交する鏡面研磨面上の方向である。
次に、傾斜基板を用い偏光を制御できる素子を作製するための実際的な手順の例を示す。傾斜基板を用いた場合、活性層の組成を変化させることにより活性層の歪を調整し、電極開口部に誘電体層を設けない構造のVCSELにおいて、偏光方向が[0 −1 1]方向、又は、基板の鏡面研磨面が、[1 1 1]方向と[1 −1 −1]方向を含む面と交わる線の方向のどちらかとなるように設定する。
次に、上部電極18の開口部に誘電体層を設けない構造のVCSELの場合に設定した偏光方向に直交する方向が長くなるように誘電体層構造が形成された第1の領域51を有するVCSELを作製する。この誘電体層構造をもつVCSELの偏光方向は上部電極18の開口部に誘電体層を設けない構造のVCSELの偏光方向と同じであるうえ、同様に高く安定した偏光方向をもつ。さらには、第1の領域が長くなる方向を持たない誘電体層構造のVCSELより高い単一横モード光出力が得られる。尚、誘電体層構造を第2の領域52にのみ形成した場合も同様である。
よって、傾斜基板を用いたうえに、所定の方向に長く形成した第1の領域51の平面形状をとることにより、単一横モード高出力が得られるうえに良好に偏光制御できるVCSELの提供が可能になった。
このような第1の領域51の形状の変形例について、図8に基づき説明する。尚、Y軸方向が[0 −1 1]方向、又は、基板の鏡面研磨面が、[1 1 1]方向と[1 −1 −1]方向を含む面と交わる線の方向のいずれか一方となる。尚、いずれの場合においても、第1の領域51の中央部分はY軸方向に延びた形状で形成されている。
図8(a)は、第1の領域51mがメサ30上面の光出力中心部を含む部分に楕円形に形成されており、更に8つの凸部が形成されたものであって、Y軸方向に延びる凸部により第2の領域52mが2つに分断されるように形成されたものである。つまり第1の領域の第1の凸部はY軸方向を向いている。
図8(b)は、第2の領域52nを分断することなく、第1の領域51nがメサ30上面の光出力中心部を含む部分に楕円形に形成されており、更に6つの凸部が形成されたものである。尚、第1の領域51nは、Y軸方向に延びた形状で形成されている。つまり第1の領域の第1の凸部はY軸方向を向いている。
図8(c)は、第2の領域52pを分断することなく、第1の領域51pがメサ30上面の光出力中心部を中心に十字状に形成されたものであって、このうちY軸方向が長くなるように形成されたものである。つまり第1の領域の第1の凸部はY軸方向を向いている。
図8(d)は、第2の領域52qを分断することなく、第1の領域51qがメサ30の上面の光出力中心部を中心に、Y軸方向に長いX字状に形成されており、Y軸方向において中央部分がつながるように形成されているものである。この長方形の4つの角に第1の凸部が形成されているものである。
図8(e)は、メサ30aが方形状に形成されているものであり、メサ30aの上面において、第2の領域52rを分断することなく、第1の領域51rがメサ30の光出力中心部を含む部分に十字状に形成されたものであって、このうちY軸方向が長くなるように形成されたものである。つまり第1の領域の第1の凸部はY軸方向を向いている。
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態について説明する。本実施の形態は、VCSELの光出射面において、中央部分に誘電体膜を積層することにより反射率の高い高反射率領域を形成したものであって、この高反射率領域の形状は、光出力中心部を含む領域と光出力中心部から上部電極に延びる周辺部とを有している構造のものである。
(面発光レーザ)
図9に基づき、本実施の形態における面発光レーザについて説明する。図9(a)は、本実施の形態における面発光レーザのメサの部分の上面図であり、図9(b)は、図9(a)における破線9A―9Bにおいて切断した断面図である。本実施の形態における面発光レーザは、780nm帯の面発光レーザであり、基板111上に、下部半導体DBR層112、下部スペーサー層113、活性層114、上部スペーサー層115、上部半導体DBR層116からなる半導体層が、エピタキシャル成長によって順次積層されている。尚、上部半導体DBR層116の最上面はコンタクト層117となる。
基板111は、傾斜基板であり、基板111における鏡面研磨面の法線方向が、[100]方向から、[111]A方向に15度傾斜しているn−GaAs単結晶基板である。
下部半導体DBR層112は、n−Al0.93Ga0.07Asからなる低屈折率層と、n−Al0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層のペアを42.5ペア有している。
下部スペーサー層113は、Al0.33Ga0.67Asからなる層である。
活性層114は、GaInAsP/Al0.33Ga0.67Asからなる3重量子井戸構造の活性層である。
上部スペーサー層115は、Al0.33Ga0.67Asからなる層である。
上部半導体DBR層116は、p−Al0.93Ga0.07Asからなる低屈折率層と、p−Al0.33Ga0.67Asからなる高屈折率層のペアを32ペア有している。
コンタクト層117は、p−Al0.33Ga0.67Asからなる厚さ50nmの層である。
また、上部半導体DBR層116において、上部スペーサー層115から2ペア目の低屈折率層には、p−Al0.98Ga0.02Asからなる厚さ30nmの電流狭窄層120が形成されている。なお、上記のエピタキシャルにより形成された積層体を、便宜上「第1の積層体」という。
また、第1の積層体にメサ130構造が形成されており、電流狭窄層120の一部を選択酸化することにより、選択酸化領域120aと電流狭窄領域120bとが形成され、更には、コンタクト層117上には、中央部分に開口を有する上部電極118が形成され、基板111の裏面には下部電極119が形成されている。尚、下部スペーサー層113、活性層114、上部スペーサー層115により共振器140が形成される。
更に、本実施の形態における面発光レーザでは、メサ130の上面である、上部電極118に囲まれた領域内に、SiO膜161及びSiN膜162からなる誘電体多層膜が積層形成されている第1の領域151と誘電体多層膜が形成されていない第2の領域152とを有している。第1の領域151は、光出射面の中央部分、即ち、上部電極118に囲まれた領域内の中央部分に形成されており、形状は円形の光出力中心部を含む部分151aと、光出力中心部の中央部分より十字に外側に延びる凸部151bを有している。本実施の形態では、例えば、光出力中心部を含む部分151aは、φ5μmの円形状に形成されており、周辺部151bは、幅が3μmの十字状に、X軸方向の長さが8μm、Y軸方向の長さが12μmで形成されている。つまり第1の領域の第1の凸部はY軸方向を向いている。このように、X軸方向の長さと、Y軸方向の長さを異なる長さで形成することにより、安定した偏光の光を得ることができるとともに、単一横モードの光を得ることができる。
(面発光レーザの製造方法)
次に、本実施の形態における面発光レーザの製造方法について説明する。具体的には、以下の工程に従い作製する。
(1) 前述した第1の積層体をMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法による結晶成長によって作製する。
(2) 第1の積層体の表面に半径が14μmの円形のレジストパターンを形成する。
(3) Clガスを用いたICPエッチング法により、レジストパターンをマスクとして円柱状のメサ130を形成する。尚、ICPエッチング法によるエッチングは、下部スペーサー層113が露出するまで行う。
(4) レジストパターン除去した後、420℃の水蒸気雰囲気中において、メサ130が形成された第1の積層体の電流狭窄層120の選択酸化を行う。選択酸化はメサ130の周辺部より電流狭窄層120が酸化され選択酸化領域120aが形成され、電流狭窄層120の中央部分には電流狭窄領域120bが形成される。形成された電流狭窄領域120bは、直径が7μmの円形に形成する。
(5) 次に、メサ構造130の上面の全面に、厚さ(1/4λn11)のSiO膜161をプラズマCVD法により形成する。(n11の屈折率:1.45)
(6) 次に、SiO膜161上に、厚さ(1/4λn12)のSiN膜162をプラズマCVD法により形成する。(n12の屈折率:2.00)
(7) 次に、SiN膜162上に、厚さ0.5μmのAl膜を蒸着法により形成する。(8) 次に、メサ130の上面に、第2の領域152に開口部を有するレジストパターンを形成し、HClによるウェットエッチングにより、レジストパターンの形成されていない領域のAlを除去し、第1の領域151上にAlからなるマスクを形成する。尚、このAlからなるマスクは、メサ130の上面以外の周辺にも形成される。この後、CFとHガスを用いたRIE法により、第2の領域152におけるSiO膜161及びSiN膜162を除去し、第1の領域151にのみSiO膜161及びSiN膜162からなる誘電体多層膜を形成する。この誘電体多層膜は第1の領域151における反射率が高くなるように設定されているため、第2の領域152よりも、第1の領域151における反射率は高くなる。
このように形成された第1の領域151は、前述したように、直径が5μmの円形状の光出力中心部を含む部分151aと、幅が3μmの十字状の凸部151bとを有している。十字状の周辺部151bは、縦方向の長さと横方向の長さ、即ち、Y軸方向の長さとX軸方向の長さが異なるものであり、X軸方向における長さが8μmであるのに対し、Y軸方向における長さが12μmであり、Y軸方向が長く形成されている。このY軸方向は、基板研磨面と[1 0 0]軸と[1 1 1]軸を含む面が交わる線の方向、つまり、[0 −1 1]方向と直交する方向である。また、X軸方向は、[0 −1 1]方向となるように形成されている。
尚、この形状の第1の領域151の長く形成されている方向は、基板研磨面と[1 0 0]軸と[1 1 1]軸を含む面が交わる線の方向、つまり、[0 −1 1]方向と直交する方向である。
(9) 次に、メサ上面の淵に、Au/Zn/Crからなるリング状の上部電極118及び不図示の配線、ボンディングパッドをリフトオフ法により形成する。
(10) 次に、基板111の裏面を研磨した後、Au/Au−Geからなる下部電極119を形成する。尚、基板111は導電性の半導体基板である。
これにより、本実施の形態における780nm帯の面発光レーザを作製することができる。
尚、本実施の形態におけるVCSELにおいて、誘電体多層膜により形成される第1の領域151を設けていない構造の場合、VCSELの基本横モードの光出力の偏光方向が、[0 −1 1]方向に固定される。この結果に基づき、本実施の形態における面発光レーザの誘電体層構造の位置、即ち、第1の領域151の凸部151bが長くなる方向が、[0 −1 1]方向と直交する方向となるように形成されている。つまり第1の領域の第1の凸部はY軸方向を向いている。
また、上記説明では、第1の領域151における誘電体多層膜をSiO膜161とSiN膜162との2層により形成した場合について説明したが、交互に4層または、これ以上の層を形成したものであってもよい。
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態における面発光レーザと、誘電体構造である第1の領域及び第2の領域の形状が異なるものである。
本実施の形態は、活性層114における歪が、第1の領域となる誘電体多層膜を設けていない場合におけるVCSELの基本横モードの光出力の偏光方向が、[0 −1 1]方向と直交する方向となるように調整されている。尚、このような構成のエピタキシャル積層体を、便宜上「第2の積層体」という。
図10に基づき、本実施の形態について説明する。尚、図10(a)は、本実施の形態における面発光レーザのメサの部分の上面図であり、図10(b)は、図10(a)における破線10A―10Bにおいて切断した断面図である。本実施の形態における面発光レーザでは、メサ130の上面である、上部電極118に囲まれた領域内に、SiO膜161及びSiN膜162からなる誘電体多層膜が積層形成されている第1の領域151と誘電体多層膜が形成されていない第2の領域152とを有している。第1の領域151は、光出射面の中央部分、即ち、上部電極118に囲まれた領域内の中央部分に形成されており、形状は円形の光出力中心部を含む部分151cと、中央部分より十字に外側に延びる凸部151dを有している。即ち、第1の領域151は、直径が5μmの円形状の光出力中心部を含む部分151cと、幅が3μmの十字状の周辺部151dとを有している。十字状の周辺部151dは、縦方向の長さと横方向の長さ、即ち、Y軸方向の長さとX軸方向の長さが異なるものであり、Y軸方向における長さが8μmであるのに対し、X軸方向における長さが12μmであり、X軸方向が長く形成されている。このY軸方向は、基板研磨面と[1 0 0]軸と[1 1 1]軸を含む面が交わる線の方向、つまり、[0 −1 1]方向と直交する方向である。また、X軸方向は、[0 −1 1]方向となるように形成されている。つまり第1の領域の第1の凸部はX軸方向を向いている。
また、本実施の形態では、[0 −1 1]方向と直交する方向であるY軸方向が、周辺部151dが短くなる方向に、[0 −1 1]方向であるX軸方向が、周辺部151dが長くなる方向となるように形成されている。
よって、本実施の形態では、基本横モードで高い光出力の偏光方向が、[0 −1 1]方向と直交して固定されている面発光レーザが低コストで高い歩留まりで得られる。
尚、上記以外については、第1の実施の形態と同様である。
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。図11は本実施の形態における面発光レーザを示すものである。本実施の形態における面発光レーザは、第1の領域151に、SiO膜171及びSiON膜172を形成し、更に、SiO膜171及びSiON膜172上の第1の領域151及び第2の領域152を含む全体に、SiN層173を形成したものである。
(面発光レーザの製造方法)
次に、本実施の形態における面発光レーザの製造方法について説明する。本実施の形態における面発光レーザは、第1の実施の形態における面発光レーザの製造方法において、(4)まで形成したものに、以下の工程を行うことにより作製される。
(15) メサ構造130が形成されているものの全面に、厚さ(1/4λn11)のSiO膜171をプラズマCVD法により形成する。(n11の屈折率:1.45)
(16) 次に、SiO膜171上に、厚さ(1/4λn22)のSiON膜172をプラズマCVD法により形成する。(n22の屈折率:1.73)
(17) 次に、SiON膜172上に、厚さ0.5μmのAl膜を蒸着法により形成する。
(18) 次に、メサ130の上面に、第2の領域152に開口部を有するレジストパターンを形成し、HClによるウェットエッチングにより、レジストパターンの形成されていない領域のAlを除去し、第1の領域151上にAlからなるマスクを形成する。尚、このAlからなるマスクは、メサ130の上面以外の周辺にも形成される。この後、CFとHガスを用いたRIE法により、第2の領域152におけるSiO膜171及びSiON膜172を除去し、第1の領域151にのみSiO膜171及びSiN膜172からなる誘電体多層膜を形成する。この誘電体多層膜は、第1の領域151における反射率が高くなるように設定されているため、第2の領域152よりも第1の領域151における反射率は高くなる。
(19) 次に、メサ130上面の淵に、Au/Zn/Crからなるリング状の上部電極118、不図示の配線及びボンディングパッドをリフトオフ法により形成する。
(20) 次に、メサ130の上面全体に、厚さ(1/2λn12)のSiN膜173をプラズマCVD法により形成する。(n12の屈折率:2.00)
(21) 次に、基板111の裏面を研磨した後、Au/Au−Geからなる下部電極119を形成する。
これにより、本実施の形態における780nm帯の面発光レーザを作製することができる。
本実施の形態における面発光半導体レーザは、第1の実施の形態における面発光半導体レーザと同様の特性ものであり、メサ130の上面全体にSiN膜173が形成されているため、耐環境性に優れるものである。よって、偏光方向が[0 −1 1]方向に固定され、耐環境性に優れる780nm帯面発光レーザを低コストで高い歩留まりで得ることができる。
尚、上記以外の内容については第1の実施の形態と同様であり、第2の実施の形態における面発光レーザについても適用することができる。
〔第4の実施の形態〕
次に、図12に基づき第4の実施の形態について説明する。尚、図12(a)は、本実施の形態における面発光レーザのメサの部分の上面図であり、図12(b)は、図12(a)における破線12A―12Bにおいて切断した断面図である。本実施の形態は、第1の領域151及び第2の領域152を形成する誘電体層の構造が第1の実施の形態と異なるものである。具体的には、第2の領域152に、SiO膜181を形成し、更に、SiO膜181上の第2の領域152及び第1の領域151を含む全体に、SiN層182を形成したものである。
本実施の形態における面発光レーザの製造方法は、第1の実施の形態における面発光レーザの製造方法において、(4)まで形成したものに、以下の工程を行うことにより作製される。
(25) メサ構造130が形成されているものの全面に、厚さ(1/4λn11)のSiO膜181をプラズマCVD法により形成する。(n11の屈折率:1.45)
(26) 次に、SiO膜181上に、厚さ0.5μmのAl膜を蒸着法により形成する。
(27) 次に、メサ130の上面に、第1の領域151に開口部を有するレジストパターンを形成し、HClによるウェットエッチングにより、レジストパターンの形成されていない領域のAlを除去し、第2の領域152上にAlからなるマスクを形成する。尚、このAlからなるマスクは、メサ130の上面以外の周辺にも形成される。この後、CFとHガスを用いたRIE法により、第1の領域151におけるSiO膜181を除去し、第2の領域152にのみSiO膜181を形成する。このように形成された、第1の領域151及び第2の領域152の形状は、第1の実施の形態と同様の形状である。これにより、SiO膜181からなる外径が15μmの第2の領域152が形成される。
(28) 次に、メサ130上面の淵に、Au/Zn/Crからなるリング状の上部電極118、不図示の配線及びボンディングパッドをリフトオフ法により形成する。
(29) 次に、メサ130の上面全体に、厚さ(1/2λn12)のSiN膜182をプラズマCVD法により形成する。(n12の屈折率:2.00)
(30) 次に、基板111の裏面を研磨した後、Au/Au−Geからなる下部電極119を形成する。
これにより、本実施の形態における780nm帯の面発光レーザを作製することができる。
本実施の形態における面発光半導体レーザは、第1の実施の形態における面発光半導体レーザと同様の特性ものであり、メサ130の上面全体にSiN膜182が形成されているため、耐環境性に優れるものである。よって、偏光方向が[0 −1 1]方向に固定され、耐環境性に優れる780nm帯面発光レーザを低コストで高い歩留まりで得ることができる。
尚、上記以外の内容については第1の実施の形態と同様であり、第2の実施の形態における面発光レーザについても適用することができる。
〔第5の実施の形態〕
次に、図13に基づき第5の実施の形態について説明する。図13(a)は、本実施の形態における面発光レーザのメサの部分の上面図であり、図13(b)は、図13(a)における破線13A―13Bにおいて切断した断面図である。本実施の形態は、850nm帯の面発光レーザである。本実施の形態における面発光レーザは、基板211上に、下部半導体DBR層212、下部スペーサー層213、活性層214、上部スペーサー層215、上部半導体DBR層216からなる半導体層が、エピタキシャル成長によって順次積層されている。尚、上部半導体DBR層216の最上面はコンタクト層217となる。
基板211は鏡面研磨面が(100)のn−GaAs単結晶基板である。
下部半導体DBR層212は、n−Al0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層とn−Al0.2Ga0.8Asからなる高屈折率層のペアを42.5ペア有している。
下部スペーサー層213は、Al0.2Ga0.8Asからなる層である。
活性層214は、GaAs/Al0.2Ga0.8Asからなる3重量子井戸構造の活性層である。
上部スペーサー層215は、Al0.2Ga0.8Asからなる層である。
上部半導体DBR層216は、p−Al0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層とp−Al0.2Ga0.8Asからなる高屈折率層のペアを25ペア有している。
コンタクト層217は、p−Al0.2Ga0.8Asからなる層である。
また、上部半導体DBR層216において、上部スペーサー層215から2ペア目の低屈折率層は、p−Al0.98Ga0.02Asからなる厚さ30nmの電流狭窄層20が形成されている。尚、上記エピタキシャル成長により形成された積層体を、便宜上「第3の積層体」という。
また、第3の積層体にメサ230構造が形成されており、電流狭窄層220の一部を選択酸化することにより、選択酸化領域220aと電流狭窄領域220bとが形成され、更には、コンタクト層217上には、中央部分に開口を有する上部電極218が形成され、基板211の裏面には下部電極219が形成されている。尚、下部スペーサー層213、活性層214、上部スペーサー層215により共振器240が形成される。
更に、本実施の形態における面発光レーザでは、メサ230の上面である、上部電極218に囲まれた領域内に、誘電体膜が形成されていない第1の領域251と誘電体膜であるSiN膜261が形成されている第2の領域252とを有している。第1の領域251は、光出射面の中央部分、即ち、上部電極218に囲まれた領域内の中央部分に形成されており、形状は円形の光出力中心部を含む部分251aと、中央部分より外側に延びる凸部251bを有している。本実施の形態では、例えば光出力中心部を含む部分251aは、φ5μmの円形状に形成されており、周辺部251bは、60°ごとに外側に延びるように形成されており、Y軸方向における長さが10μmである。尚、第1の領域251のX軸方向の長さは、光出力中心部を含む部分251aとなるため5μmである。このように、X軸方向の長さと、Y軸方向の長さを異なる長さで形成することにより、安定した偏光の光を得ることができるとともに、単一横モードの光を得ることができる。
(面発光レーザの製造方法)
次に、本実施の形態における面発光レーザの製造方法について説明する。具体的には、以下の工程に従い作製する。
(41)上記第3の積層体をMBE(Molecular Beam Epitaxy)法による結晶成長によって作製する。
(42)第3の積層体の表面に半径が14μmの円形のレジストパターンを形成する。
(43)Clガスを用いてECRエッチング法で、前述のレジストパターンをマスクとして円柱状のメサを形成する。尚、ICPエッチング法によるエッチングは、下部スペーサー層213が露出するまで行う。
(44) レジストパターン除去した後、420℃の水蒸気雰囲気中において、メサ230が形成された第3の積層体の電流狭窄層220の選択酸化を行う。選択酸化はメサ230の周辺部より電流狭窄層220が酸化され選択酸化領域220aが形成され、電流狭窄層220の中央部分には電流狭窄領域220bが形成される。形成された電流狭窄領域220bは、直径が7μmの円形に形成する。
(45) 次に、メサ230の上面の全面に厚さ(1/4λn12)のSiN膜261をプラズマCVD法により形成する。(n12はSiN膜の屈折率:2.00)
(46) 次に、SiN膜261上に、厚さ0.5μmのAl膜を蒸着法により形成する。
(47) 次に、メサ230の上面に、第1の領域251に開口部を有するレジストパターンを形成し、HClによるウェットエッチングにより、第2の領域252上にAlからなるマスクを形成する。尚、このAlからなるマスクは、メサ230の上面以外の周辺も形成される。この後、CFとHガスを用いたRIE法により、第1の領域251におけるSiN膜261を除去し、第2の領域252にのみSiN膜261からなる誘電体膜を形成する。第2の領域252に形成されたSiN膜261は、外径が15μmであって、中央部分における第1の領域251に開口部を有する形状のものである。第1の領域251の形状は、直径が5μmの円形の光出力中心部を含む部分251aと光出力中心部を含む部分251aより外側に延びる凸部251bにより形成されている。この凸部251bは、6個(3対)の凸形状が光軸を中心にして同じ長さで延びて形成されており、周辺部251bにおける凸形状の先端部間が10μmであり、凸形状の1対が[0 −1 1]方向を向いている。尚、第1の領域251には、SiN膜261が形成されていないため、この状態では、コンタクト層217が露出した状態となっている。また、メサ230の周辺にはSiN膜261が残っており、このメサ230の周辺のSiN膜とSiN膜261が形成されている第2の領域251との間は、コンタクト層217が露出している。この誘電体膜は、第1の領域251の反射率が高くなるように設定されているため、第2の領域252よりも、第1の領域251における反射率は高くなる。
(48) 次に、メサ230の上面において、第2の領域252の外周のコンタクト層217が露出している領域に、Au/Zn/Crからなるリング状の上部電極218及び不図示の配線、ボンディングパッド部をリフトオフ法により形成する。
(49) 次に、基板211の裏面にAu/Au−Geからなる下部電極219を形成し、850nm帯面発光レーザを作製する。尚、基板211は導電性の半導体基板である。
このように形成された本実施の形態における面発光レーザにおいて、上部電極218及び下部電極219より、活性層214に異なる極性のキャリアが注入されるように電流を流し、レーザ発振させる。
本実施の形態では、基本横モードで高い光出力の850nm帯面発光レーザを低コストで、高い歩留まりで得ることができる。尚、本実施の形態における面発光レーザの偏光方法は、[0 1 1]方向、[0 −1 1]方向のいずれか定まっていない。
〔第6の実施の形態〕
次に、図14に基づき第6の実施の形態について説明する。図14(a)は、本実施の形態における面発光レーザのメサの部分の上面図であり、図14(b)は、図14(a)における破線14A―14Bにおいて切断した断面図である。本実施の形態は、第5の実施の形態における面発光レーザとは、第1の領域及び第2の領域の形状が異なるものである。
図14に基づき本実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の領域251が光出力中心部を含むところに設けられた直径5μmの円形の光出力中心部を含む部分251cと60°ごとに外側に延びる凸部251dにより構成されている。また、凸部251dは、Y軸方向に長く形成された第1の凸部251dと、第1の凸部251dよりも短い凸部251dとを有している。第1の凸部251dにおける一対の凸部の先端同士の間隔は12μmであり、251dにおける一対の凸部の先端同士の間隔は8μmである。よって、第1の領域251は、Y軸方向における長さは12μmであり、X軸方向における長さは8μmであり、X軸方向よりもY軸方向の長さが長く形成されている。尚、X軸方向が[0 1 1]方向となり、Y軸方向が[0 −1 1]方向となる。
本実施の形態では、基本横モードで高い光出力の850nm帯面発光レーザを低コストで高い歩留まりで得ることができる。また、本実施の形態における面発光レーザの偏光方向は[0 1 1]方向となり、完全ではないが明らかな偏光制御性を有する。尚、光出力、偏光制御性は第5の実施形態の素子と同等である。
また、上記以外の内容については、第5の実施の形態と同様である。
〔第7の実施の形態〕
次に、第7の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第5の実施の形態における面発光レーザとは、第1の領域及び第2の領域の形状が異なるものである。
図15に基づき本実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の領域251が光出力中心部を含むところに設けられた直径5μmの円形の光出力中心部を含む部分251eと60°ごとに外側に延びる凸状部を有する周辺部251fにより構成されている。周辺部251fは、Y軸方向において、第2の領域252を二つに分断するように形成された第1の凸部251fと、それ以外の凸部251fとを有している。ここで、251fにおける一対の凸部の先端同士の間隔は8μmである。また、Y軸方向において、第2の領域252を分断している部分の幅は、2μmである。尚、X軸方向が[0 1 1]方向となり、Y軸方向が[0 −1 1]方向となる。
本実施の形態では、基本横モードで高い光出力の850nm帯面発光レーザを低コストで高い歩留まりで得ることができる。また、本実施の形態における面発光レーザの偏光方向は[0 1 1]方向となり、完全ではないが明らかな偏光制御性を有する。尚、光出力、偏光制御性は第5の実施形態の素子と同等である。
また、上記以外の内容については、第5の実施の形態と同様である。
〔第8の実施の形態〕
次に、第8の実施の形態について説明する。本実施の形態はマルチビーム光源装置であり、第1から第7の実施の形態のいずれかの面発光レーザを用いた面発光レーザアレイが用いられている。
図16に示すように、本実施の形態において用いられる面発光レーザアレイ300は、第1から第7の実施の形態のいずれかの面発光レーザ310が2次元的に配列されているものである。
〔第9の実施の形態〕
次に、第9の実施の形態について説明する。図17、図18及び図19に基づき本実施の形態におけるマルチビーム光源装置について説明する。本実施の形態におけるマルチビーム光源装置は、第1から第7の実施の形態における面発光レーザを複数有する面発光レーザモジュール601を有しており、この面発光レーザモジュール601を構成する面発光レーザアレイからの複数の光ビームはカップリングレンズ602のX、Y、Z方向の配置調整によって、カップリングレンズ602の光軸に直交する面内(YZ平面)において光軸に対して各発光源が対称に配列するように、また、各発光源からのビームが平行光束となるように調整され、出射される。
アパーチャーミラー603は板状に形成され、光源側の面を反射面となし、光軸と直交する面から主走査方向に所定角度、45°だけ傾けられて配備される。中央部には光束径よりも小さい径の開口が設けられ、開口を通過した光束はカップリングレンズ及び、光束分割プリズム708を介し図示していないポリゴンミラーへと向かう。また、開口を通過せず反射された周辺光は収束レンズ604を介して光検知センサ610に導かれて、図示していないポリゴンミラー各面での走査開始後、画像領域に至るまでの時間を利用して、順次点灯して各々のビーム強度を検出し、基準値と比較して各発光源の出力が所定値となるように注入電流をセットする。セットされた注入電流は次の検出時まで保持され、ビーム強度を一定に保つ。尚、光束分割プリズム708は、ハーフミラー面641とミラー面642により構成されている。
光検知センサ610を面発光レーザモジュール601が実装される制御基板606上に実装し、外部ノイズ等による検出信号への影響がないようにしている。制御基板606には上記発光源の発光出力を一定に保持するパワー制御回路や画像情報に応じて発光源を各々変調する駆動回路が形成され、カップリングレンズ602とともに一体的に保持され、マルチビーム光源装置を構成する。
また、本実施の形態におけるマルチビーム光源装置は、カップリングレンズ602を保持するホルダ部材608と、面発光レーザモジュール601を実装した制御基板606を保持するベース部材607とをカップリングレンズ602の光軸に直交する基準面で接合し、ねじ締結することで一体化した構成としている。
ベース部材607とホルダ部材608とは、本実施の形態では、いずれもアルミダイキャストにより形成しているが、略同一の熱膨張係数であれば別材質であってもよい。ベース部材607には上記した面発光レーザモジュール601における面発光レーザアレイからのビーム強度を検出するためのアパーチャーミラー603、収束レンズ604および制御基板606上に実装される光検知センサ610へとビームを折り返すミラー605が配備される。
また、本実施の形態におけるマルチビーム光源装置は、板金で成型された付勢部材609の板ばね部620により制御基板606裏側から押圧するとともに、3点のアンカー部(折り曲げ部)618を制御基板606の穴619に嵌合して制御基板606を図示していない基準面に寄せ組みすることで、ベース部材607に対する面発光レーザモジュール601における面発光レーザアレイの位置決めがなされる。
ベース部材607には、3箇所のスタッド616が形成され、制御基板606に開けた貫通穴617を貫通して、スタッド616に付勢部材609をネジで締結することで、制御基板606を支持する。付勢部材609にて制御基板606を裏側から押圧しており、制御基板606をベース部材607等に直接締結しない構成なので、制御基板606に負荷をかけずに確実に、ベース部材607に面発光レーザモジュール601を構成する面発光レーザアレイを位置決め、支持することができる。尚、付勢部材609は弾性を有する材質であれば、樹脂等で形成しても良く、板ばね部の代わりに、ゴム等の弾性部材を挟み込んでもよい。
また、図19に示されるように、カップリングレンズ602は、ホルダ部材608に形成された円筒面630に、コバ部との隙間に接着剤を充填して固定され、カップリングレンズ602の光軸651に直交する面650と上記面発光レーザモジュール601における面発光レーザアレイの配列面との平行性を合わせるため、当接面648(当接面648はカップリングレンズ602の光軸651に直交する面650と平行になるようあらかじめ設計されている)に面発光レーザモジュール601における面発光レーザアレイの表面側を突き当てて搭載する。こうすることにより、光軸方向の位置が決まり、光ビームの出射方向が当接面648と直交させることができる。
尚、符号611はブラケット部材、614、615は斜面、625はアーム部、626は調節ネジ、627はスプリング、633は補強部材、624は位置決めピン、631は位置決め穴、632はネジをそれぞれ示す。
また、本実施の形態におけるマルチビーム光源装置は、ブラケット部材611に設けられた嵌合穴634にホルダ部材608の円筒部を挿入し、板ばね612の係止爪629を円筒部溝に係合して、光軸651に直交する面内で回動可能に支持され、後述するポリゴンミラーやfθレンズが支持される不図示のハウジングに固定される。
本実施の形態におけるマルチビーム光源装置では、第1から第7の実施の形態における面発光レーザを有する面発光レーザモジュールを用いているので、低価格で信頼性の高いマルチビーム光を得ることができる。
〔第10の実施の形態〕
次に、第10の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第7の実施の形態におけるマルチビーム光源装置を用いたマルチビーム走査装置及び画像形成装置である。
図20に基づき本実施の形態におけるマルチビーム走査装置について説明する。このマルチビーム走査装置は、4ステーションを走査する光走査装置であり、マルチビーム光源装置からの4ステーション分に相当する複数の光ビームを、単一のポリゴンミラーで走査し、対向する方向に偏向、走査することで各感光体ドラムを走査するように一体化された光走査ユニットの構成を示す。
4つの感光体ドラム701、702、703、704は転写体の移動方向705に沿って等間隔で配列され、順次異なる色のトナー像を転写し重ね合わせることでカラー画像を形成する。図示するように各感光体ドラムを走査する光走査装置は一体的に構成され、2段に構成されたポリゴンミラー706により各々光ビームを走査する。
マルチビーム光源装置707、709は同一方向に走査する2ステーションに対し各2ずつ配備され、光束分割プリズム708、710を用い、上記ポリゴンミラー706の上下面に対応して上下2段に光ビームを分岐し、各感光体ドラムに交互に各ステーションに対応した画像を形成していく。
マルチビーム光源装置707、709、および結像光学系を構成するfθレンズ、トロイダルレンズは、ポリゴンミラー706の回転軸を含み感光体ドラム軸に平行な対称面に対し対称に配備され、ポリゴンミラー706により、各マルチビーム光源装置からの光ビームは相反する方向に偏向され、各感光体ドラムに導かれる。
従って、各ステーションにおける走査方向は対向する各感光体ドラムで相反する方向となり、記録領域の幅、言いかえれば主走査方向の倍率を合わせ、一方の走査開始端ともう一方の走査終端とが一致するように静電像を書き込んでいく。
尚、液晶偏向素子717及び718では液晶の配列方向に合った偏光成分のみが偏向されるため、発光源の偏光方向は一方向に揃えている。
光束分割プリズム708は、図17に示されるように、ハーフミラー面641とハーフミラー面と平行なミラー面642とを有し、マルチビーム光源装置707からの複数のビーム771は、各々ハーフミラー面で1/2の光量が反射され、残りの1/2は透過して上下に2分岐され、方向を揃えて副走査方向に所定間隔をもって出射される。
液晶偏向素子717は、光束分割プリズム708の出射面の上下に各々配備され、電圧を印可すると、副走査方向に電位分布を生じて液晶の配向が変化し、屈折率分布を発生して光線の方向を傾けることができ、印可電圧に応じて感光体ドラム面上の走査位置を可変できる。
シリンダレンズ713、714は、分岐された各光ビームに対応して2段に設けられ、その一方は光軸を中心に回動調整可能に取り付けられ、各々の焦線が平行となるように調節できるようにしており、副走査方向に6mm間隔に2段に構成されたポリゴンミラー706の各々に入射される。
シリンダレンズ713、714は少なくとも副走査方向に正の曲率を有し、ポリゴンミラー面上で、一旦ビームを収束させることで、後述するトロイダルレンズとにより偏向点と感光体面上とを副走査方向に共役関係とする面倒れ補正光学系をなす。
ポリゴンミラー706は4面で、同一の偏向面により各発光点列からの複数のビームを一括で偏向、走査する。上下のポリゴンミラーの位相は45°ずつずれており、光ビームの走査は上下段で交互に行われる。
結像光学系はfθレンズとトロイダルレンズとからなり、いずれもプラスチック成形によるもので、fθレンズ720は主走査方向にはポリゴンミラー706の回転に伴って感光体面上でビームが等速に移動するようにパワーを持たせた非円弧面形状となし、層状に2段に積み重ねて一体に構成される。
トロイダルレンズを通った走査ビームは各々、走査開始側に配備された光検知センサ738、740、走査終端側に配備された光検知センサ739、741に入射され、光検知センサ738、740の検出信号を基に各々発光源毎の同期検知信号を生成し、書込み開始のタイミングをとる。
一方、走査終端側に配備された光検知センサ739、741の検出信号は、各々走査開始側に配備された光検知センサ738、740からの光ビームの検出時間差を計測し、あらかじめ定められた基準値と比較して、各発光源を変調する画素クロックを可変することで、後述するように、主走査方向の倍率のずれを補正している。
次に、図21に基づき副走査断面における光線の経路について説明する。
複数の発光源はカップリングレンズの光軸に対して対称に配置され、カップリングレンズによって平行光束に変換された各光線はマルチビーム光源装置707から出射した後、カップリングレンズの後側焦点の近傍で一旦収束し、主走査方向には光線間隔を広げつつfθレンズ720に入射され、副走査方向にはシリンダレンズ713、714により、ポリゴンミラー偏向面の近傍で再度収束されてfθレンズ720に入射される。
また、上記したように、マルチビーム光源装置707からの複数の光ビームは光束分割プリズム708によって副走査方向上下に2分岐され、各ステーションに対応する感光体ドラムに導かれる。
光束分割プリズム708の下段から出射した複数の発光源からのビーム771は、シリンダレンズ713を介してポリゴンミラー706の下段で偏向、走査され、fθレンズ720の下段を通って折返しミラー729によりトロイダルレンズ723に入射され、折返しミラー730を介して感光体ドラム701上にスポット状に結像し、第1の画像形成ステーションとしてイエロー色の画像情報に対応した潜像を形成する。
光束分割プリズム708の上段から出射した複数の発光源からのビーム772は、シリンダレンズ714を介しポリゴンミラー706の上段で偏向、走査され、fθレンズ720の上段を通って折返しミラー727によりトロイダルレンズ724に入射され、折返しミラー728を介して感光体ドラム702上にスポット状に結像し、第2の画像形成ステーションとしてマゼンタ色の画像情報に対応した潜像を形成する。
同様に、対向するステーションにおいても、マルチビーム光源装置709からの複数の光ビームは、光束分割プリズム710によって上下に2分岐され、液晶偏向素子718を介し各ステーションに対応する感光体ドラムに導かれる。
光束分割プリズム710の下段から出射した複数の発光源からのビーム773は、シリンダレンズ715を介してポリゴンミラー706の下段で偏向、走査され、fθレンズ721の下段を通って折返しミラー732によりトロイダルレンズ726に入射され、折返しミラー733を介して感光体ドラム704上にスポット状に結像し、第4の画像形成ステーションとしてブラック色の画像情報に対応した潜像を形成し、光束分割プリズム710の上段から出射した複数の発光源からのビーム774は、シリンダレンズ716を介してポリゴンミラー706の上段で偏向、走査され、fθレンズ721の上段を通って折返しミラー735によりトロイダルレンズ725に入射され、折返しミラー736を介して感光体ドラム703上にスポット状に結像し、第3の画像形成ステーションとしてシアン色の画像情報に対応した潜像を形成する。
尚、本実施の形態では、トナー像の検出パターンの検出手段を有している。トナー像の検出パターンの検出手段は、照明用のLED素子754と反射光を受光するフォトセンサ755、および一対の集光レンズ756とからなり、主走査ラインと約45°傾けたラインパターンを形成し、転写ベルトの移動に応じて検出時間差を読み取っていく。本実施の形態では、中央部と左右両端部との3ヶ所に配備することで、左右両端部の差により傾きを、中央から左右端部までの各倍率を検出し、基準となるステーションに合わせ込むように補正する。言い換えれば、長時間ビームスポット位置が安定的に保持されていることが好ましい。
本実施の形態では、第1から第7における面発光レーザを有する面発光レーザモジュールを用いているため、信頼性が高く結像位置を感光体面上に精度良く調整でき、高精度信頼性の高い潜像を得ることができる。
次に、図22に基づき、本実施の形態における画像形成装置について説明する。
本実施の形態における画像形成装置は、感光体ドラム801の周囲には感光体を高圧に帯電する帯電チャージャ802、本実施の形態における光走査装置800により記録された静電潜像に帯電したトナーを付着して顕像化する現像ローラ803、現像ローラにトナーを補給するトナーカートリッジ804、ドラムに残ったトナーを掻き取り備蓄するクリーニングケース805が配置される。感光体ドラムへは上記したようにポリゴンミラー1面毎の走査により複数ライン、実施例では4ライン同時に画像記録が行われる。
上述した画像形成ステーションは転写ベルト806の移動方向に並列され、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像が転写ベルト上にタイミングを合わせて順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
各画像形成ステーションはトナー色が異なるだけで、基本的には同一構成である。
一方、記録紙は給紙トレイ807から給紙コロ808により供給され、レジストローラ対809により副走査方向の記録開始のタイミングに合わせて送りだされ、転写ベルトよりカラー画像が転写されて、定着ローラ810で定着して排紙ローラ812により排紙トレイ811に排出される。
本実施の形態における画像形成装置は、第1から第7におけるいずれかの面発光レーザを有する面発光レーザモジュールを用いているため、結像位置を感光体面上に精度良く調整でき、高精度で信頼性の高い画像を得ることができる。
(実施例1)
実施例1として、図9に示される第1の実施の形態における面発光レーザを作製した。
(比較例1)
比較例1として、図23に示す面発光レーザを作製した。具体的には、比較例1は、第1の実施の形態と同様の方法により第1の積層体を形成し、上部半導体DBR層上の上部電極948の開口部の光出力中心部を含む部分に、第1の領域941となる直径が5μmの円形の誘電体層を形成した。よって、第2の領域942には誘電体層が形成されていない。
(実施例2)
実施例2として、図24に示す面発光レーザを作製した。具体的には、実施例2は、第1の実施の形態と同様の方法により第3の積層体を形成し、上部半導体DBR層上の上部電極190の開口部に形成される第1の領域191は、光出力中心部を含む部分に形成される直径が5μmの円形の光出力中心部を含む部分191aと、幅が3μm、長さが10μmの十字状に形成された周辺部191bとにより形成される。尚、第1の領域191の長くなる方向が、[0 −1 1]方向及び[0 −1 1]方向に直交する方向となるように形成されている。尚、第1の領域191が形成されていない領域が第2の領域192となる。
(実施例1、2、比較例1の評価結果)
実施例1、2及び比較例1における面発光レーザにおいて、上部電極及び下部電極から、活性層に両側から異なる極性のキャリアが注入されるように電流を流し、780nm帯でレーザ発振させた。
比較例1の場合では、傾斜基板を用いているので大部分の面発光レーザでは、単一横モード光の偏光方向は、[0 −1 1]方向となる。しかし、1部の面発光レーザの偏光方向は不定である。つまり、誘電体層構造を持たないVCSELと比較し偏光制御が低下した。これは、誘電体層構造が加わることにより応力の異方性、屈折率の異方性、電流注入分布の異方性が変化し偏光方向を決める作用を小さくしたためであろうが詳細は不明である。単一横モード光の出力は、誘電体層構造を持たないVCSELと比較し大きくなった。
実施例1の場合では、傾斜基板を用いているうえに、第1の領域151と第2の領域152の基板と平行な面内での境界は閉じた平面形状をなし、第1の領域151の平面形状が、基板の鏡面研磨面が[1 1 1]方向と[1 −1 −1]方向を含む面と交わる線の方向が他のどの方向より長い形状であるので、実施例2の素子と同等の高い単一横モードの光出力が得られるうえに、単一横モード光の偏光方向は、[0 −1 1]方向に固定され、十分に偏光制御されている。
実施例1において、基本横モードで高い光出力の偏光方向が、[0 −1 1]方向に固定されている面発光レーザが低コストで高い歩留まりで得られるようになる。
実施例2の場合では、傾斜基板を用いているうえに、第1の領域191と第2の領域192の基板と平行な面内での境界は閉じた平面形状をなし、第1の領域191が突起部を有しているので、比較例1のVCSELより高い単一横モードの光出力が得られる。しかし、比較例1の場合と同様に、ウェハの大部分の素子では、単一横モード光の偏光方向は[0 −1 1]方向となる。
また、実施例2において、基本横モードで高い光出力の面発光レーザが低コストで高い歩留まりで得られるようになる。
(実施例3)
実施例3として、図13に示される第5の実施の形態における面発光レーザを作製した。実施例3のVCSELは、第5の実施の形態に記載されているように、単一横モードのレーザ光を得ることができた。
(比較例2)
比較例2として、図25に示す面発光レーザを作製した。具体的には、比較例2は、第5の実施の形態と同様の方法により第3の積層体を形成し、上部半導体DBR層上の上部電極948の開口部の光出力中心部を含む部分に、第1の領域951となる直径が5μmの円形の誘電体層を形成した。よって、第2の領域952には誘電体層が形成されていない。比較例2のVCSELでは、単一横モードのレーザ光を十分に得ることはできなかった。尚、比較例2におけるVCSELの偏光方向は、[0 1 1]方向、または[0 −1 1]方向のいずれか定まっていない。
(比較例3)
比較例3として、図26に示す面発光レーザを作製した。具体的には、比較例3は、第5の実施の形態と同様の方法により第3の積層体を形成し、上部半導体DBR層上の上部電極948の開口部の光出力中心部を含む部分に、第1の領域961と第2の領域962を形成する。第1の領域961は、光出力中心部を含む部分と光出力中心部より60°ごとに形成された凸部を有しており、凸部が上部電極948に到達している構造のものである。尚、第1の領域961の形成されていない領域は第2の領域962となる。このように形成された一対の凸部の延びる方向が、[0 −1 1]方向となるように形成されている。
比較例3のVCSELは、基本横モードの出力は実施例3のVCSELより小さい。これは、比較例3のVCSELの場合は、第1の領域961の凸部のすべてが上部電極918まで達しているので、実施例3のVCSELより高次モードが発生しやすくなっているためである。比較例3のVCSELでは、単一横モードのレーザ光を十分に得ることはできなかった。尚、比較例2におけるVCSELの偏光方向は、[0 1 1]方向、または[0 −1 1]方向のいずれか定まっていない。
上記において説明した実施の形態及び実施例では、第1の領域、第2の領域のいずれかに、誘電体多層膜を設けて、反射率差を生じさせている。しかしながら、第1の領域の反射率を大きくし、第2の領域の反射率を小さくするのであれば、両方の領域に適切な厚さの誘電体多層膜を設けても、同様の効果が得られる。
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
111 基板
112 下部半導体DBR層
113 下部スペーサー層
114 活性層
115 上部スペーサー層
116 上部半導体DBR層
117 コンタクト層
118 上部電極
119 下部電極
120 電流狭窄層
120a 選択酸化領域
120b 電流狭窄領域
130 メサ
140 共振器
151 第1の領域
151a 光出力中心部を含む部分
151b 周辺部
152 第2の領域
160 SiO
161 SiN膜
特開2005−159272号公報 特開2008−34795号公報
IEEE Photonics Technology Letters, Vol.16(2004)pp.368-370 伊賀・小山 編著「面発光レーザの基礎と応用」共立出版 IEEE Journal of Selected Topics Quantum Electronics, Vol.11 (2005) pp.982-989

Claims (12)

  1. 基板上に下部DBR層と活性層と上部DBR層を形成し、前記活性層及び前記上部DBR層に形成したメサと、
    前記メサの前記上部DBR上に形成された開口部を有する上部電極と、
    前記基板の裏面に形成された下部電極と、
    を有する前記基板に垂直方向にレーザ光を出射する面発光レーザにおいて、
    前記開口部内における光強度プロファイルのうち、基本横モード光のプロファイルの高い強度を示す領域である光出力中心部を含む第1の領域と、前記開口部内における前記第1の領域以外の領域となる第2の領域と、を有し、
    前記第1の領域は、前記光出力中心部と、前記光出力中心部から外側に突出する3つ以上の凸部を有しており、
    前記第1の領域の反射率よりも前記第2の領域の反射率が高くなるように、前記第1の領域または前記第2の領域の少なくともいずれか一方に誘電体層が形成されていることを特徴とする面発光レーザ。
  2. 前記第1の領域の凸部が、凸部の先端から前記光軸までの距離が異なることを特徴とする請求項1に記載の面発光レーザ。
  3. 前記第1の領域における前記凸部により、前記第2の領域が分断されることなく連続的につながっている形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の面発光レーザ。
  4. 前記第1の領域の凸部の先端から前記光軸までの距離が最も大きい第1の凸部の方向が、前記レーザ光の偏光方向に対し垂直方向、または、平行方向のいずれかであることを特徴とする請求項2または3に記載の面発光レーザ。
  5. 前記第1の領域の第1の凸部により、前記第2の領域は分断される構造のものであって、前記第2の領域が分断される方向は、前記レーザ光の偏光方向に対し垂直方向、または、平行方向のいずれかであることを特徴とする請求項2または4に記載の面発光レーザ。
  6. 前記基板の法線方向は、[1 0 0]方向であって、
    前記第1の領域の第1の凸部の方向が、[0 1 1]方向、または、[0 −1 1]方向のいずれかであることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の面発光レーザ。
  7. 前記基板の法線方向は、[1 0 0]方向から[1 1 1]方向、または、[1 0 0]方向から[1 −1 −1]方向に傾斜している傾斜基板であって、
    前記第1の領域の第1の凸部の方向は、[0 −1 1]方向、または、基板の鏡面研磨面が[1 1 1]方向と[1 −1 −1]方向を含む面と交わる線の方向のいずれかであることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の面発光レーザ。
  8. 前記第1の領域は、誘電体多層膜により誘電体多層膜ミラーが形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の面発光レーザ。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の面発光レーザが複数設けられていることを特徴とする面発光レーザアレイ。
  10. 光によって被走査面を走査する光走査装置であって、
    請求項9に記載の面発光レーザを有する光源と、
    前記光源からの光を偏向する光偏向部と、
    前記光偏向部により偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と、
    を有することを特徴とする光走査装置。
  11. 像担持体と、
    前記像担持体に対して画像情報に応じて変調された光を走査する請求項10に記載の光走査装置と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
  12. 前記像担持体は複数であって、前記画像情報は、多色のカラー情報であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
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