JP2018010940A - 面発光レーザ素子及び原子発振器 - Google Patents

面発光レーザ素子及び原子発振器 Download PDF

Info

Publication number
JP2018010940A
JP2018010940A JP2016137903A JP2016137903A JP2018010940A JP 2018010940 A JP2018010940 A JP 2018010940A JP 2016137903 A JP2016137903 A JP 2016137903A JP 2016137903 A JP2016137903 A JP 2016137903A JP 2018010940 A JP2018010940 A JP 2018010940A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wavelength
surface emitting
layer
emitting laser
adjustment layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016137903A
Other languages
English (en)
Inventor
亮一郎 鈴木
Ryoichiro Suzuki
亮一郎 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2016137903A priority Critical patent/JP2018010940A/ja
Publication of JP2018010940A publication Critical patent/JP2018010940A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Semiconductor Lasers (AREA)
  • Stabilization Of Oscillater, Synchronisation, Frequency Synthesizers (AREA)

Abstract

【課題】波長の異なるレーザ光を出射する複数の面発光レーザが形成されている面発光レーザ素子において、面発光レーザ間における波長間隔のばらつきを低減する。【解決手段】半導体基板の上に形成された下部ブラッグ反射鏡と、下部ブラッグ反射鏡の上に形成された活性層を含む共振器領域と、共振器領域の上に形成された上部ブラッグ反射鏡と、上部ブラッグ反射鏡内又は共振器領域内に形成された波長調整領域と、を有し、波長調整領域は、下部ブラッグ反射鏡が設けられている側から順に、第2の位相調整層、コンタクト層、第1の位相調整層、波長調整層の順で形成されており、波長調整層は、2種類以上の異なる材料を積層することにより形成されており、第1の位相調整層は、GaAs、GaAsP、GaInAsPのいずれかにより形成されており、波長調整層の光学厚さを変えることにより、異なる波長を各々出射する複数の面発光レーザを有している。【選択図】図3

Description

本発明は、面発光レーザ素子及び原子発振器に関する。
面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting LASER)は、基板面に対し垂直方向に光を出射する半導体レーザである。面発光レーザは、端面発光型の半導体レーザと比較して、低価格、低消費電力、小型であって高性能であること、また2次元的に集積化しやすいといった特徴を有している。
面発光レーザは、活性層を含む共振器領域と、共振器領域の上下に設けられた上部ブラッグ反射鏡及び下部ブラッグ反射鏡とからなる共振器構造を有している(例えば、特許文献1参照)。よって、共振器領域は、発振波長λの光を得るために、共振器領域において波長λの光が共振するように所定の光学厚さで形成されている。上部ブラッグ反射鏡及び下部ブラッグ反射鏡は、屈折率の異なる材料、すなわち、低屈折率材料と高屈折率材料とを交互に積層することにより形成されたDBR(Distributed Bragg Reflector)により形成されている。DBRにおいては、波長λにおいて高い反射率が得られるように、低屈折率材料及び高屈折率材料は、各材料の屈折率を考慮した光学厚さがλ/4となるように形成されている。
また、チップ内に波長の異なる複数の面発光レーザが形成されている多波長面発光レーザ素子も提案されており、波長多重通信など多くの用途に期待されている。多波長面発光レーザ素子を得る方法としては、面発光レーザ素子の共振器領域に、エッチングの際のエッチング液が異なる2種類の材料を交互に積層して波長調整領域を形成し、波長の異なる面発光レーザごとに1層ずつウェットエッチングにより除去する。このようにして、波長調整領域における膜厚を変えることにより、共振器領域の光学厚さを面発光レーザごとに変える方法がある(例えば、特許文献2参照)。この方法は、波長制御性と製作の簡易性の観点から望ましい。
また、面発光レーザの光出射領域において、波長調整領域の構造をメサ上に凸部形状とすることで、異なる面発光レーザの間で発振閾値などの特性を揃える効果が、発明者の実験から明らかになっている(例えば、特許文献3参照)。凸部形状は、位相調整層及び波長調整層により形成され、波長調整層の層数を1層ずつ異ならせることで波長調整層の膜厚が異なっている。これにより、面発光レーザごとに発振波長が変化する。さらに、凸部の高さを略3λ/4まで高くすることで、各面発光での凸部の高さ変化が少なくなり、光閉じ込め変化が低減する。
しかしながら、特許文献3における構造では、波長調整層がGaAsP/GaInP/GaAsPにより形成されているため、発振波長の誤差が大きい面発光レーザの数が多くなる。これは、As系材料の屈折率がIn系材料の屈折率よりも高く、GaAsPがGaInPよりも膜厚のばらつきによる発振波長のばらつきが生じやすいためである。このため、面発光レーザ間における波長間隔のばらつきが大きくなる。
そこで、上記課題を鑑み、波長の異なるレーザ光を出射する複数の面発光レーザが形成されている面発光レーザ素子において、面発光レーザ間における波長間隔のばらつきを低減することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る面発光レーザ素子は、半導体基板の上に形成された下部ブラッグ反射鏡と、前記下部ブラッグ反射鏡の上に形成された活性層を含む共振器領域と、前記共振器領域の上に形成された上部ブラッグ反射鏡と、前記上部ブラッグ反射鏡内又は前記共振器領域内に形成された波長調整領域と、を有し、前記波長調整領域は、前記下部ブラッグ反射鏡が設けられている側から順に、第2の位相調整層、コンタクト層、第1の位相調整層、波長調整層の順で形成されており、前記波長調整層は、2種類以上の異なる材料を積層することにより形成されており、前記第1の位相調整層は、GaAs、GaAsP、GaInAsPのいずれかにより形成されており、前記波長調整層の光学厚さを変えることにより、異なる波長を各々出射する複数の面発光レーザを有していることを特徴とする。
開示の技術によれば、波長の異なるレーザ光を出射する複数の面発光レーザが形成されている面発光レーザ素子において、面発光レーザ間における波長間隔のばらつきを低減することができる。
第1の実施の形態における面発光レーザ素子の上面図 第1の実施の形態における面発光レーザ素子の断面図 第1の実施の形態における波長調整領域の説明図 従来の波長調整領域の説明図 従来の面発光レーザ素子における面発光レーザ間の波長間隔のばらつきの説明図 第1の実施の形態における面発光レーザ素子における面発光レーザ間の波長間隔のばらつきの説明図 面発光レーザの配置を説明するための図(1) 面発光レーザの配置を説明するための図(2) 第2の実施の形態に係る原子発振器の構造図 CPT方式を説明する原子エネルギー準位の説明図 面発光レーザ変調時における出力波長の説明図 変調周波数と透過光量との相関図
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態における面発光レーザ素子について説明する。図1は、第1の実施の形態における面発光レーザ素子の上面図である。図2は、第1の実施の形態における面発光レーザ素子の断面図である。なお、図2は、図1における一点鎖線1A−1Bにおいて切断した断面図である。
図1に示されるように、面発光レーザ素子は、一例として、300μm角のチップの上に形成された4つの発光可能な面発光レーザ101、102、103、104を有する。面発光レーザ101、102、103、104は、それぞれ波長λ1、λ2、λ3、λ4のレーザ光を出射する。面発光レーザ101における上部電極は電極パッド161に接続されており、面発光レーザ102における上部電極は電極パッド162に接続されている。面発光レーザ103における上部電極は電極パッド163に接続されており、面発光レーザ104における上部電極は電極パッド164に接続されている。
図2に示されるように、面発光レーザ素子は、半導体基板であるn−GaAs基板111の上に形成されているp側のAlAs層を選択酸化した電流狭窄構造を用いた895nmの面発光レーザ素子である。面発光レーザ素子は、n−GaAs基板111の上に、半導体結晶成長により半導体層が形成されている。本実施の形態では、n−GaAs基板111の上に、下部ブラッグ反射鏡112、共振器領域、第2の上部ブラッグ反射鏡116、波長調整領域及び第1の上部ブラッグ反射鏡123がこの順に形成されている。すなわち、面発光レーザ素子は、上部ブラッグ反射鏡と下部ブラッグ反射鏡112とにより共振器領域を挟んだ構造となっており、波長調整領域が上部ブラッグ反射鏡内に形成されている。
以下、具体的に説明する。
図1に示されるように、n−GaAs基板111の上に、λ/4の光学厚さで35.5ペアのn−Al0.1Ga0.9As高屈折率層/n−Al0.9Ga0.1As低屈折率層からなる下部ブラッグ反射鏡112が形成されている。
下部ブラッグ反射鏡112の上には、GaInAs量子井戸層/GaInPAs障壁層からなる活性層114の上下に、Al0.2Ga0.8Asにより下部スペーサ層113及び上部スペーサ層115が形成されている。本実施の形態においては、下部スペーサ層113、活性層114及び上部スペーサ層115により、共振器領域が形成されており、下部スペーサ層113、活性層114及び上部スペーサ層115を合わせた光学厚さは1波長(1λ)となっている。
上部スペーサ層115の上には、6ペアのp−Al0.1Ga0.9As高屈折率層/n−Al0.9Ga0.1As低屈折率層からなる第2の上部ブラッグ反射鏡116が形成されている。第2の上部ブラッグ反射鏡116の一部には、AlAs層からなる電流狭窄層117が形成されている。電流狭窄層117は、選択的に酸化された選択酸化領域117aと電流狭窄領域117bとにより形成されている。
第2の上部ブラッグ反射鏡116の上には、波長調整領域が形成されている。
図3は、第1の実施の形態における波長調整領域の説明図である。図2及び図3に示されるように、波長調整領域は、電流狭窄層117の上に、積層方向の下部から見て、第2の位相調整層118、コンタクト層119、第1の位相調整層121、波長調整層122の順に積層することにより形成されている。
第2の位相調整層118は、光学厚さ略λ/2のp−Al0.1Ga0.9Asにより形成されている。
コンタクト層119は、光学厚さ0.1λのp++GaInPにより形成されている。
第1の位相調整層121は、光学厚さ略3λ/4のGaAsPにより形成されている。
波長調整層122は、3層の半導体層、例えばGaInP/GaAsP/GaInPを積層することにより形成されている。波長調整層122における半導体層の層数を面発光レーザごとに異なるものとすることにより、波長調整領域におけるトータルの光学厚さを面発光レーザごとに変えることができる。これにより、1つのチップの面発光レーザ素子において、発振波長が異なる複数の面発光レーザ、具体的には、図1に示されるように、波長λ1、λ2、λ3、λ4の4つの異なる波長のレーザ光を出射する面発光レーザを得ることができる。図3に示されるように、第2の位相調整層118の下部から波長調整層122内のGaAsPの真ん中までの光学厚さは、5λ/4となるように第1の位相調整層121の膜厚が調整されている。なお、GaInP/GaAsP/GaInPの計3層で構成される波長調整層122の各層の光学厚さは0.05λとなっており、4個の面発光レーザの発振波長の間隔が2nm間隔となるように形成されている。なお、本実施の形態においては、波長調整層122は2種類以上の半導体材料を積層することにより形成されている。波長調整層122が2種類の半導体材料により形成されている場合には、GaInPにより形成されている一方の波長調整層122を第1の波長調整層と記載し、GaAsPにより形成されている他方の波長調整層122を第2の波長調整層と記載する場合がある。
波長調整領域の上には、8ペアのTiO高屈折率層/SiO低屈折率層からなる第1の上部ブラッグ反射鏡123が形成されている。
コンタクト層119上の電気的接触を取る部分には、p側の個別電極となる上部電極141が形成されている。n−GaAs基板111の裏面には、n側の共通電極となる下部電極142が形成されている。
また、メサを形成することにより露出している半導体層を保護するため、保護層131及びポリイミド層132が形成されている。
半導体層は、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、又はMBE(Molecular Beam Epitaxy)法により形成することができる。波長調整領域は、各々の面発光レーザごとにフォトリソグラフィ及びウェットエッチングによる選択的エッチングにより波長調整層122の層数を異なるように形成されており、膜厚が異なっている。ウェットエッチングでは、例えばGaAsP(GaAsの場合も同様)のエッチング液には、硫酸、過酸化水素、水の混合液を使用し、GaInPのエッチング液には、塩酸、水の混合液を使用することができる。また同時に、上部電極141との電気的接触を取る部分の波長調整層122及び第1の位相調整層121も除去する。
次に、少なくとも電流狭窄層117の側面が現れる深さまで半導体層をエッチングすることによりメサを形成し、その後、電流狭窄層117を選択的に酸化して選択酸化領域117aと電流狭窄領域117bとを形成する。メサを形成する際のエッチングは、ドライエッチング法を用いることができる。メサは本実施の形態のような円形の他に、楕円形、正方形、長方形の矩形等の任意の形状とすることができる。エッチング工程により側面が露出したAlAsからなる電流狭窄層117を、水蒸気中で熱処理し周辺を酸化させて選択酸化領域117aを形成することによりAlxOyからなる絶縁物に変える。これにより、駆動電流の経路を中心部の酸化されていないAlAsからなる電流狭窄領域117bだけに制限することのできる電流狭窄構造を形成することができる。
次に、SiNにより保護層131を設け、更に半導体層がエッチングされている部分をポリイミド層132により埋め込むことにより平坦化する。この後、コンタクト層119と光出射部のある波長調整層122又は第1の位相調整層121の上の保護層131及びポリイミド層132を除去し、コンタクト層119上の電気的接触を取る部分にp側の個別電極となる上部電極141を形成する。また、n−GaAs基板111の裏面には、n側の共通電極となる下部電極142を形成する。
本実施の形態においては、面発光レーザは、n−GaAs基板111と反対側にレーザ光を出射する。なお、SiNからなる保護層131は、メサを形成する際のエッチングにより露出した腐食されやすいAlを含む層の側面や底面を誘電体で保護しているため、信頼性を向上させることができる。最後に、波長調整層122又は第1の位相調整層121の上に、8ペアのTiO高屈折率層/SiO低屈折率層からなる第1の上部ブラッグ反射鏡123を電子ビーム蒸着法等により成膜することにより形成する。
次に、第1の位相調整層121がGaAsPにより形成されていることの効果について説明する。図4は、従来の波長調整領域の説明図である。
まず、図4に示されるように、第1の位相調整層921がGaInPにより形成されている場合を考える。すなわち、波長調整領域は、電流狭窄層917の上に、積層方向の下部から見て、第2の位相調整層918、コンタクト層919、第1の位相調整層921、波長調整層922の順に積層することにより形成されている。
第2の位相調整層918は、光学厚さ略λ/2のp−Al0.1Ga0.9Asにより形成されている。コンタクト層919は、光学厚さ0.1λのp++GaAsにより形成されている。第1の位相調整層921は、光学厚さ略3λ/4のGaInPにより形成されている。波長調整層922は、GaAsP/GaInP/GaAsPを積層することにより形成されている。
この場合、異なる2種類の材料により形成された波長調整層922と、第1の位相調整層921とで構成される凸部形状がメサ上に形成されており、波長調整層922の層数を1層ずつ異ならせることで波長調整層922の膜厚が異なっている。これにより、面発光レーザごとに発振波長が変化する。特許文献3では、凸部の高さを略3λ/4まで高くすることで、各素子での凸部の高さ変化が少なくなり、光閉じ込め変化が低減することを示していた。しかしながら、発振波長の数が増加すると高さ変化が大きくなる。そこで、凸部の高さを略(2N+1)/4λ(N≧2)まで高くすることもできるが、光吸収が増加する等の弊害が生じる。
これに対し、本実施の形態では、図3に示されるように、第1の位相調整層121がGaAsPにより形成されている。GaAsPの屈折率は、GaInPの屈折率よりも高いため、光閉じ込めが強くなり、異なる素子間で発振閾値等の特性を揃える効果がより高まる。
また、図4に示されるように、第1の位相調整層121がGaInPにより形成されている場合、発振波長の誤差が大きい面発光レーザの数が多くなる。以下、具体的に説明する。
面発光レーザ素子において2つの異なる発振波長の面発光レーザを得るためには、波長調整層122が少なくとも1層必要である。また、面発光レーザ素子において3つの異なる発振波長の面発光レーザを得るためには、波長調整層122が少なくとも2層必要である。また、面発光レーザ素子において4つの異なる発振波長の面発光レーザを得るためには、波長調整層122が少なくとも3層必要である。
ここで、4つの異なる発振波長の面発光レーザを得るために波長調整層を3層設ける場合を考える。
図5は、従来の面発光レーザ素子における面発光レーザ間の波長間隔のばらつきの説明図である。図5に示されるように、第1の位相調整層921がGaInPにより形成されている従来の面発光レーザ素子では、コンタクト層919側から順に、P系材料(第1の位相調整層921)、As系材料、P系材料及びAs系材料が形成されている。すなわち、3層の波長調整層922のうち2層がAs系材料により形成され、1層がP系材料により形成されている。このため、第1の波長と第2の波長との波長間隔Δλ1と、第3の波長と第4の波長との波長間隔Δλ3がAs系材料の膜厚で定められ、第2の波長と第3の波長との波長間隔Δλ2がP系材料の膜厚で定められる。
ところで、波長間隔Δλは、(波長間隔Δλ)=(屈折率)×[(狙いの膜厚d)+(膜厚ばらつきΔd)]=(屈折率)×(狙いの膜厚d)+(屈折率)×(膜厚ばらつきΔd)=(狙いの波長間隔)+(波長間隔ばらつき)で表される。また、As系材料はP系材料と比べて屈折率が高い。これにより、3つの波長間隔Δλ1、Δλ2、Δλ3のうち2つの波長間隔Δλ1、Δλ3のばらつきが大きくなる。
図6は、第1の実施の形態における面発光レーザ素子における面発光レーザ間の波長間隔のばらつきの説明図である。図6に示されるように、第1の位相調整層121がGaAsPにより形成されている本実施の形態の面発光レーザ素子では、コンタクト層119側から順に、As系材料(第1の位相調整層121)、P系材料、As系材料及びP系材料が形成されている。すなわち、3層の波長調整層122のうち1層がAs系材料により形成され、2層がAs系材料よりも屈折率の低いP系材料により形成されている。このため、第2の波長と第3の波長との波長間隔Δλ2のみがAs系材料の膜厚で定められ、第1の波長と第2の波長との波長間隔Δλ1及び第3の波長と第4の波長との波長間隔Δλ3はP系材料の膜厚で定められる。これにより、3つの波長間隔Δλ1、Δλ2、Δλ3のうちばらつきが大きい波長間隔Δλは第2の波長と第3の波長との波長間隔Δλ2のみとなる。その結果、第1の位相調整層121がGaInPにより形成されている場合と比較して、面発光レーザ間における波長間隔のばらつきを低減することができ、波長制御性の高い面発光レーザ素子が得られる。
次に、面発光レーザ素子における複数の面発光レーザの配置について説明する。図7は、面発光レーザの配置を説明するための図であり、面発光レーザの数が4つの場合を示している。図8は、面発光レーザの配置を説明するための図であり、面発光レーザの数が5つの場合を示している。
面発光レーザの数が偶数、例えば図7に示されるように4つの場合、面発光レーザ101〜104及び電極パッド161〜164の配置されない領域(以下「デッドスペースZ」という。)が小さくなるように効率的に配置することができる。
これに対し、面発光レーザの数が奇数、例えば図8に示されるように5つの場合、面発光レーザの数が4つの場合と比較して、面発光レーザ101〜105及び電極パッド161〜165が配置されていないデッドスペースZが大きくなる。
このように、面発光レーザの数を偶数とすることにより、デッドスペースZが小さい面発光レーザ素子を形成することができる。デッドスペースZが小さくなると、所定の大きさのウエハ上により多くの面発光レーザを形成することができるので、生産性が向上する。また、化合物半導体の結晶成長の技術では、半導体層を形成する際の膜厚の分布ムラ等により、均一な膜厚を得ることが困難であるが、ウエハ上により多くの面発光レーザ素子を形成することができるので、膜厚の分布ムラ等の影響が小さくなる。その結果、同一の発振波長の面発光レーザ素子をより多く形成することができる。よって、複数の面発光レーザの数は偶数であることが好ましい。
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態における面発光レーザ素子を用いた原子発振器である。図9に基づき本実施の形態における原子発振器について説明する。
本実施の形態における原子発振器は、CPT方式の小型原子発振器であり、光源410、コリメートレンズ420、λ/4波長板430、アルカリ金属セル440、光検出器450、変調器460を有している(非特許文献1、非特許文献2)。なお、本実施の形態は、面発光レーザより出射したサイドバンドを含む光のうち、2つの異なる波長の光をアルカリ金属セル440に入射させることにより、2種類の共鳴光による量子干渉効果を用いた光吸収特性により発振周波数を制御する原子発振器である。
光源410には、第1の実施の形態における面発光レーザ素子が用いられている。アルカリ金属セル440には、アルカリ金属としてCs(セシウム)原子ガスが封入されており、D1ラインの遷移を用いるものである。光検出器450は、フォトダイオードが用いられている。
本実施の形態のおける原子発振器では、光源410より出射された光をセシウム原子ガスが封入されたアルカリ金属セル440に照射し、セシウム原子における電子を励起する。アルカリ金属セル440を透過した光は光検出器450において検出され、光検出器450において検出された信号は変調器460にフィードバックされ、変調器460により光源410における面発光レーザ素子を変調する。
図10に、CPTに関連する原子エネルギー準位の構造を示す。2つの基底準位から励起準位に電子が同時に励起されると光の吸収率が低下することを利用する。面発光レーザは搬送波の波長が895nmに近い素子を用いている。搬送波の波長は面発光レーザの温度、もしくは出力を変化させてチューニングすることができる。
図11に示されるように、変調をかけることで搬送波の両側にサイドバンドが発生し、その周波数差がCs原子の固有振動数である9.2GHzに一致するように4.6GHzで変調させている。
図12に示されるように、励起されたCsガスを通過するレーザ光はサイドバンド周波数差がCs原子の固有周波数差に一致した時に最大となるので、光検出器450の出力が最大値を保持するように変調器460においてフィードバックする。これにより、光源410における面発光レーザ素子の変調周波数を調整する。原子の固有振動数が極めて安定なので変調周波数は安定した値となり、この情報が出力として取り出される。なお、波長が895nmの場合では、±1nmの範囲、より望ましくは±0.3nmの範囲の波長の光源が必要となる(非特許文献3)。
本実施の形態における原子発振器は第1の実施の形態における面発光レーザ素子を用いている。面発光レーザは、結晶成長での膜厚のバラツキにより上記±1nmの範囲の均一な発振波長を得ることが困難であるが、チップ内で発振波長の異なる面発光レーザを複数形成することで、895nmに近い発振波長の面発光レーザを選んで動作させる。これにより、発振波長に関する歩留まりを向上することができ、原子発振器を低コストで作製し提供することができる。本実施の形態によると所望の波長間隔をより高精度に制御できることから、(単に波長間隔を等間隔にするだけでなく)結晶成長による発振波長ばらつきの分布を考慮した最適な波長間隔を設定することが容易になる。よって、更に発振波長の歩留まりを向上することができる。
また、本実施の形態においては、アルカリ金属としてCsを用い、そのD1ラインの遷移を用いるために波長が895nmの面発光レーザを用いたが、CsのD2ラインを利用する場合852nmを用いることもできる。また、アルカリ金属としてRb(ルビジウム)を用いることもでき、D1ラインを利用する場合は795nm、D2ラインを利用する場合は780nmを用いることができる。活性層の材料組成などは波長に応じて設計することができる。また、Rbを用いる場合の変調周波数は、87Rbでは3.4GHz、85Rbでは1.5GHzで変調させる。なお、これらの波長においても、±1nmの範囲の波長が必要となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
本発明の実施の形態では、波長調整領域が第1の上部ブラッグ反射鏡123と第2の上部ブラッグ反射鏡116との間、すなわち、上部ブラッグ反射鏡内に形成されている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。波長調整領域は、例えば共振器領域内に形成されていてもよい。すなわち、面発光レーザ素子は、n−GaAs基板111の上に、下部ブラッグ反射鏡112、下部スペーサ層113、活性層114、上部スペーサ層115、電流狭窄層117、波長調整領域及び上部ブラッグ反射鏡がこの順に形成されている形態であってもよい。
本発明の実施の形態では、第1の位相調整層121がGaAsPにより形成されている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。第1の位相調整層121は、例えばGaAs、GaInAsPにより形成されていてもよい。ただし、本発明の実施の形態における面発光レーザ素子のように、発振波長が895nmである場合、第1の位相調整層121において光が吸収されるのを抑制するという観点から、第1の位相調整層121はGaAsPにより形成されていることが好ましい。また、GaAsPにおけるP組成は、3%以上であることが好ましい。第1の位相調整層121がGaAsにより形成されている場合、895nm(1.385eV)における吸収係数αが50cm−1程度であり、第1の位相調整層121の端部は縦モードの腹の位置であるため、発振閾値電流値等の特性に影響を及ぼすためである。なお、発振波長が895nmよりも長波長の980nmである場合、GaAsによる光の吸収はほとんどないため、第1の位相調整層121はGaAsにより形成されていてもよい。
本発明の実施の形態では、第2の波長調整層がGaAsPにより形成されている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。第2の波長調整層は、例えばGaAs、GaAsP、GaInAsPにより形成されていてもよい。
本発明の実施の形態では、面発光レーザ素子を原子発振器に用いた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。面発光レーザ素子は、ガスセンサ等の所定の波長の光が必要な他の装置等に用いてもよい。この場合、これらの装置等においても、用途に応じた所定の波長のレーザ光を出射する面発光レーザを用いることにより、同様の効果を得ることができる。
101 面発光レーザ
102 面発光レーザ
103 面発光レーザ
104 面発光レーザ
111 n−GaAs基板
112 下部ブラッグ反射鏡
113 下部スペーサ層
114 活性層
115 上部スペーサ層
116 第2の上部ブラッグ反射鏡
117 電流狭窄層
117a 選択酸化領域
117b 電流狭窄領域
118 第2の位相調整層
119 コンタクト層
121 第1の位相調整層
122 波長調整層
123 第1の上部ブラッグ反射鏡
131 保護層
132 ポリイミド層
141 上部電極
142 下部電極
161 電極パッド
162 電極パッド
163 電極パッド
164 電極パッド
410 光源
420 コリメートレンズ
430 λ/4波長板
440 アルカリ金属セル
450 光検出器
460 変調器
特開2008−53353号公報 特許2751814号公報 特開2015−008271号公報
Applied Physics Letters,Vol.85,pp.1460−1462 (2004). Comprehensive Microsystems,vol.3,pp.571−612 Proc.of SPIE Vol.6132 613208−1(2006)

Claims (8)

  1. 半導体基板の上に形成された下部ブラッグ反射鏡と、
    前記下部ブラッグ反射鏡の上に形成された活性層を含む共振器領域と、
    前記共振器領域の上に形成された上部ブラッグ反射鏡と、
    前記上部ブラッグ反射鏡内又は前記共振器領域内に形成された波長調整領域と、
    を有し、
    前記波長調整領域は、前記下部ブラッグ反射鏡が設けられている側から順に、第2の位相調整層、コンタクト層、第1の位相調整層、波長調整層の順で形成されており、
    前記波長調整層は、2種類以上の異なる材料を積層することにより形成されており、
    前記第1の位相調整層は、GaAs、GaAsP、GaInAsPのいずれかにより形成されており、
    前記波長調整層の光学厚さを変えることにより、異なる波長を各々出射する複数の面発光レーザを有していることを特徴とする面発光レーザ素子。
  2. 前記波長調整層は、前記第1の位相調整層が設けられている側から順に、第1の波長調整層、第2の波長調整層の順で形成されており、
    前記第1の波長調整層は、GaInPにより形成されており、
    前記第2の波長調整層は、GaAs、GaAsP、GaInAsPのいずれかにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の面発光レーザ素子。
  3. 前記GaInPにおけるPの組成が3%以上であることを特徴とする請求項2に記載の面発光レーザ素子。
  4. 前記複数の面発光レーザの数は偶数であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の面発光レーザ素子。
  5. 前記複数の面発光レーザのうちの少なくともいずれかは、波長が780nm、795nm、852nm又は895nmである光を出射することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の面発光レーザ素子。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の面発光レーザ素子と、
    アルカリ金属を封入したアルカリ金属セルと、
    前記面発光レーザ素子における面発光レーザより前記アルカリ金属セルに照射した光のうち、前記アルカリ金属セルを透過した光を検出する光検出器と、
    を有し、
    前記面発光レーザより出射したサイドバンドを含む光のうち、2つの異なる波長の光を前記アルカリ金属セルに入射させることにより、2種類の共鳴光による量子干渉効果による光吸収特性により発振周波数を制御することを特徴とする原子発振器。
  7. 前記2つの異なる波長の光は、前記面発光レーザより出射したサイドバンドの光であることを特徴とする請求項6に記載の原子発振器。
  8. 前記アルカリ金属は、ルビジウム又はセシウムであることを特徴とする請求項6又は7に記載の原子発振器。
JP2016137903A 2016-07-12 2016-07-12 面発光レーザ素子及び原子発振器 Pending JP2018010940A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016137903A JP2018010940A (ja) 2016-07-12 2016-07-12 面発光レーザ素子及び原子発振器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016137903A JP2018010940A (ja) 2016-07-12 2016-07-12 面発光レーザ素子及び原子発振器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018010940A true JP2018010940A (ja) 2018-01-18

Family

ID=60995792

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016137903A Pending JP2018010940A (ja) 2016-07-12 2016-07-12 面発光レーザ素子及び原子発振器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018010940A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7444067B2 (ja) 2018-10-26 2024-03-06 ソニーグループ株式会社 発光素子及びその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7444067B2 (ja) 2018-10-26 2024-03-06 ソニーグループ株式会社 発光素子及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2690725B1 (en) Surface emitting laser device and atomic oscillator
JP6303255B2 (ja) 面発光レーザ素子及び原子発振器
JP6107089B2 (ja) 面発光レーザ素子及び原子発振器
US9225149B2 (en) Surface emitting laser element and atomic oscillator
EP2686923B1 (en) Surface-emitting laser element, atomic oscillator, and surface-emitting laser element testing method
US10084286B2 (en) Surface emitting laser, surface emitting laser element and atomic oscillator
JP6620453B2 (ja) 面発光レーザ素子及び原子発振器
JP2018073931A (ja) 面発光レーザ素子、原子発振器
JP6274404B2 (ja) 面発光レーザーおよび原子発振器
JP2017204616A (ja) 面発光レーザ素子、原子発振器
JP2018010940A (ja) 面発光レーザ素子及び原子発振器
JP6699341B2 (ja) 面発光レーザ素子、及びその製造方法、並びに原子発振器
JP2014022667A (ja) 面発光レーザ素子及び原子発振器
JP6834368B2 (ja) 面発光レーザ素子、原子発振器
JP6852262B2 (ja) 面発光レーザ素子及び原子発振器
JP2016208049A (ja) 面発光レーザ素子、原子発振器及び面発光レーザ素子の検査方法