JP2014022025A - 記録装置、調整方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】例えばウォーキングOPCのような一連のデータの記録動作中における記録光についての調整を、記録動作を中断させずに実現して、記録レートの低下の防止を図る。
【解決手段】記録光による記録トラックをサーボ光が追従する隣接トラックサーボが採用される下で、上記サーボ光によって上記記録光が記録した信号についての品質評価を行い、該品質評価の結果に基づき、該品質評価を行ったサーボ光が追従している記録トラックを形成した記録光についての調整を行う。このような調整手法とすることで、記録動作を中断せずに、リアルタイムに記録光についての調整を行うことができる。
【選択図】図15

Description

本技術は、光記録媒体についての記録を行う記録装置と、該記録装置が照射する記録光についての調整方法に関する。
特開2008−77714号公報 特開2006−120281号公報
光の照射により信号の記録や再生が行われる光記録媒体として、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などのいわゆる光ディスク記録媒体(以下、単に光ディスクとも表記)が広く普及している。
これら光ディスクとして、ライトワンス型の光ディスクやリライタブル型の光ディスクなどの記録可能型の光ディスクについては、個々の光ディスクの特性バラツキや環境温度変化等に起因した記録品質の悪化の防止を図るべく、各種記録パラメータの調整を行うようにされている。
特に、記録レーザパワーに関しては、いわゆるOPC(Optimum Power Control)を行うようにされており、従来より種々の手法が提案されている。
OPC動作は、一般に光ディスクに対する記録動作に先立って行われる。例えばディスク上に設定された所定のテスト領域に対して、レーザパワーを変化させながらテストデータの記録を行う。そして当該記録部分について記録信号の品質評価を行う。例えばβ値、変調度、ジッター、アシンメトリ、シンボルエラーレート等が信号品質評価値として用いられる。
これらの評価値によって、どのレーザパワーで記録したときが信号品質が良いかを判断し、最適とされる記録パワーの決定が為される。
また、OPCを記録動作の実行中に行う場合もある。
上記特許文献1、2では、いわゆるウォーキングOPCに関する技術が開示されている。
例えば長時間に及ぶストリームデータを記録する際などには、記録開始にあたりテスト領域でのOPCを行って設定した記録パワーが、記録の進行中に徐々に最適記録パワーから乖離していってしまうという事態が生じ得る。ウォーキングOPCは、このような最適記録パワーからの乖離を補償する技術である。
具体的に、ウィーキングOPC(以下、WOPCとも表記する)は、一連のデータを記録する際、例えば所定の区間ごとなど予め定められたタイミングで逐次記録動作を中断し、既記録区間の記録信号の品質を所定の評価値(例えば上記β値など)により評価し、その評価結果に基づき記録パワーの調整を行うものである。記録中に逐次記録パワーを調整できるので、光ディスクの全域にわたって記録品質の安定化が図られる。
しかしながら、上記のようにWOPCでは、一連のデータの記録中において、記録動作を逐次中断しなければならい。このことで、記録レートの低下が避けられないものとなる。
本技術は上記問題点に鑑み為されたものであり、例えば上記WOPCのような、一連のデータの記録動作中における記録光についての調整を、記録レートの低下の防止を図りつつ実現することをその課題とする。
上記課題の解決のため、本技術では記録装置を以下のように構成する。
すなわち、本技術の記録装置は、光記録媒体に対して記録を行うための記録光と、該記録光の照射により上記光記録媒体に形成される記録トラックを対象として隣接トラックサーボとしてのトラッキングサーボをかけるためのサーボ光とを上記光記録媒体に照射すると共に、上記サーボ光の反射光を受光する光照射・受光部を備える。
また、上記記録光についての調整を行う調整部を備える。
また、上記光照射・受光部で得られる上記サーボ光についての受光信号に基づいて上記記録光により記録された信号の品質評価を行った結果に基づき、上記記録光についての調整値を求め、該調整値に基づく上記記録光の調整が為されるように上記調整部を制御する調整制御部を備えるものである。
上記本技術では、記録トラックを一定ピッチで形成するための手法として、隣接トラックサーボとしてのトラッキングサーボ手法を採用するものとしている。
例えば記録トラックを1本のスパイラル状に形成するシングルスパイラル記録では、上記記録光と上記サーボ光とが共通の対物レンズを介して所定のスポット間隔で照射され、上記記録光により形成された記録トラックに上記サーボ光の照射スポットが追従するように上記対物レンズのトラッキングサーボ制御が実行されることで、上記記録トラックが一定ピッチで形成されるものとなる。
或いは、n本(nは2以上の自然数)以上のスパイラルを同時に記録する場合には、n本の上記記録光及び上記サーボ光のうち、各1本の上記記録光及び上記サーボ光を所定のスポット間隔でそれぞれ上記光記録媒体に照射するn個の対物レンズが設けられ、各上記記録光により形成された各記録トラックに、その記録光を照射する対物レンズとは別の対物レンズによって照射されるサーボ光の照射スポットがそれぞれ重複なく追従するように該サーボ光を照射する対物レンズについてのトラッキングサーボ制御が実行されることで、n本のスパイラルがそれぞれ一定ピッチで形成されるものとなる。
このような隣接トラックサーボが採用される下で、上記のようにサーボ光によって記録光が記録した信号についての品質評価を行い、該品質評価の結果に基づき、該品質評価を行ったサーボ光が追従している記録トラックを形成した記録光についての調整が行われる。
このような調整手法とすることで、記録動作を中断せずに、リアルタイムに記録光についての調整を行うことができる。
上記のように本技術によれば、記録動作を中断せずに、リアルタイムに記録光についての調整を行うことができる。
つまりこの結果、一連のデータの記録動作中における記録光についての調整を、記録レートの低下の防止を図りつつ実現できる。
実施の形態で用いる光記録媒体の断面構造を示した図である。 基準面に形成された位置案内子を利用した位置制御手法についての説明図である。 対物レンズのレンズシフトに伴い情報記録位置のずれが生じる原理について説明するための図である。 ATSについての説明図である。 ATSを前提とした場合に光記録媒体に照射されるべき各レーザ光の例を示した図である。 ATSによる記録を開始するにあたっての書き出し手法の例についての説明図である。 実施の形態の光記録媒体が有する基準面の表面を一部拡大して示した図(平面図)である。 基準面全体におけるピットの具体的形成手法について説明図である。 基準面に対する具体的なアドレス情報の記録の例を示した図である。 記録媒体の回転に伴い基準面上を基準面用レーザ光のスポットが移動する様子と、その際に得られるSUM信号、SUM微分信号、及びP/P信号の波形との関係を模式的に示した図である。 SUM微分信号から生成されるクロックと、該クロックに基づき生成される各selector信号の波形と、基準面に形成された各ピット列(の一部)との関係を模式化して示した図である。 任意ピッチによるスパイラル移動実現のための具体的な手法についての説明図である。 実施の形態の記録装置が備える主に光学系の構成についての説明図である。 実施の形態の記録装置全体の内部構成を示した図である。 第1の実施の形態としての調整手法についての説明図である。 第1の実施の形態としての調整手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。 第2の実施の形態としての調整手法についての説明図である。 パワー摂動記録時の各設定パワーとアドレス情報との対応関係情報についての説明図である。 第2の実施の形態としての調整手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。 ダブルスパイラル記録を実現するための構成の概要を示した図である。 ダブルスパイラル記録手法についての説明図である。 ダブルスパイラル記録を実現するための書き出し手法についての説明図である。 同じく、ダブルスパイラル記録を実現するための書き出し手法についての説明図である。 同じく、ダブルスパイラル記録を実現するための書き出し手法についての説明図である。 同じく、ダブルスパイラル記録を実現するための書き出し手法についての説明図である。 同じく、ダブルスパイラル記録を実現するための書き出し手法についての説明図である。 第3の実施の形態の記録装置の内部構成についての説明図である。 第3の実施の形態としての調整手法についての説明図である。 第3の実施の形態としての調整手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。 第4の実施の形態としての調整手法についての説明図である。 同じく、第4の実施の形態としての調整手法についての説明図である。 第4の実施の形態としての調整手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。 3重以上のスパイラルの同時記録を行う場合についての説明図である。
以下、本技術に係る実施の形態について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。

<1.第1の実施の形態>
[1-1.実施の形態で用いる光記録媒体について]
[1-2.位置制御手法について]
(i.基本的な概念)
(ii.ATSについて)
(iii.基準面シークと補正シークについて)
(iv.ATSの書き出し手法)
[1-3.任意ピッチスパイラル移動制御について]
[1-4.実施の形態の記録装置の構成]
[1-5.第1の実施の形態の調整手法]
[1-6.処理手順]
<2.第2の実施の形態>
<3.第3の実施の形態>
[3-1.ダブルスパイラル記録手法について]
[3-2.第3の実施の形態の記録装置の構成]
[3-3.第3の実施の形態の調整手法]
[3-4.処理手順]
<4.第4の実施の形態>
<5.変形例>
<1.第1の実施の形態>
[1-1.実施の形態で用いる光記録媒体について]

図1は、実施の形態で用いる光記録媒体としての、多層記録媒体1の断面構造を示している。
この図1に示されるように、多層記録媒体1には、上層側から順にカバー層2、複数の記録層3が形成された記録層形成領域5、接着層6、反射膜7、及び基板8が形成されている。
ここで、本明細書において「上層側」とは、後述する記録装置(記録再生装置10)側からのレーザ光が入射する面を上面としたときの上層側を指す。
多層記録媒体1において、カバー層2は、例えば樹脂で構成され、その下層側に形成された記録層形成領域5の保護層として機能する。
記録層形成領域5は、図のように複数の記録層3と、それらの間に挿入された中間層4とを有して構成される。換言すれば、この場合の記録層形成領域5は、記録層3→中間層4→記録層3→中間層4・・・→記録層3の繰り替えし積層が行われて形成されたものとなっている。
記録層3は、半透明記録膜で構成される。中間層4は、例えば熱可塑性樹脂や紫外線硬化樹脂など樹脂材料で構成される。
この図では図示の都合上、記録層形成領域5内には5つの記録層3が形成されるものとしているが、これはあくまで一例であって、記録層数は「5」以外とすることができる。
なお以下、記録層形成領域5内に形成される記録層3については、下層側から順に記録層L0〜L4とも表記する。
ここで、記録層形成領域5において、それぞれの記録層3には、図からも明らかなようにグルーブやピット列等の形成に伴う位置案内子が形成されていない。すなわち、各記録層3は平面状に形成されているものとも表現できる。
このような記録層形成領域5の作成にあたっては、現状の多層ディスクの製造で必要とされる記録層ごとの位置案内子の形成工程を不要とでき、結果、多層記録媒体1の製造コスト、量産コストを効果的に削減できる。
記録層形成領域5の下層側には、所要の接着材料で構成された接着層(中間層)6を介して、反射膜7が形成されている。
該反射膜7には、記録/再生位置を案内するための位置案内子が形成される。なお前述したように、反射膜に位置案内子が形成されているというのは、位置案内子が形成されている界面上に反射膜が形成されるという意味である。
具体的に、この場合は、図中の基板8の一方の面側に対して位置案内子が形成されることで、図のような凹凸の断面形状が与えられ、基板8の該凹凸断面形状が与えられた面上に対し反射膜7が成膜されることで、該反射膜7に位置案内子が形成されたものとなっている。
なお、基板8は、例えばポリカーボネートなどの樹脂で構成される。該基板8は、例えば上記位置案内子としての凹凸断面形状を与えるためのスタンパを用いた射出成形などによって生成することができる。
ここで、現状の記録可能型光ディスクで行われているように、上記位置案内子の形成により、多層記録媒体1の記録面内方向に平行な方向における絶対位置を表すアドレス情報(絶対位置情報:半径位置情報、及び回転角度情報)を記録することができる。例えばこの絶対位置情報は、上記位置案内子がグルーブで形成される場合には当該グルーブの蛇行(ウォブル)周期の変調により記録することができ、また上記位置案内子がピット列で形成される場合には、ピットの長さや形成間隔の変調等により記録を行うことができる。
なお後述もするように、本例では、位置案内子はピット列により形成されるものとなる。
なお、上記のように記録層3に対しては位置案内子が形成されておらず、記録層3上の記録位置の制御は、以下で説明するように位置案内子が形成された反射膜7からの反射光に基づき行われることになる。
この意味で、以下、位置案内子が形成された反射膜7(反射面)のことを、「基準面Ref」と表記する。
[1-2.位置制御手法について]
(i.基本的な概念)

図2は、基準面Refに形成された位置案内子を利用した位置制御手法についての説明図である。
先ず、多層記録媒体1に対しては、記録層3を対象として照射されるべき記録層用レーザ光を照射する。
そして、該記録層用レーザ光についての記録時における位置制御の実現のため、多層記録媒体1に対しては、基準面Refにおける位置案内子に基づく位置制御を行うためのレーザ光(以下、基準面用レーザ光と表記する)も併せて照射することになる。
具体的に、これら記録層用レーザ光と基準面用レーザ光とは、図2に示すように共通の対物レンズ(後述する対物レンズ20)を介して多層記録媒体1に対して照射するものとされている。
記録層3を対象としたマークの記録時には、図のように基準面用レーザ光を基準面Refに合焦させるように照射して、その反射光に基づき得られるトラッキングエラー信号に従って対物レンズの位置制御を行う(つまりトラッキングサーボをかける)。
これにより、同じ対物レンズを介して照射される記録層用レーザ光のトラッキング方向における位置を連動して制御することができる。
一方、再生時における位置制御は、以下のようにして実現できる。
再生時においては、記録層3にマーク列(つまり記録済みトラック)が形成されているので、該マーク列を対象として記録層用レーザ光単体でトラッキングサーボをかけることができる。すなわち、再生時におけるトラッキングサーボは、記録層用レーザ光の反射光に基づき得られるトラッキングエラー信号に従って対物レンズの位置制御を行うことで実現できる。
ここで、上記のような位置制御手法が採られる場合において、基準面用レーザ光として記録層用レーザ光と同波長帯の光を用いてしまうと、基準面用レーザ光の反射光を得るべき基準面Refについて、その反射率を高めざるを得なくなってしまう。すなわちその分、記録層用レーザ光の基準面Refからの反射光量が増大して迷光の増大化を招き、結果、再生性能を著しく悪化させてしまう虞がある。
このため、基準面用レーザ光と記録層用レーザ光とはそれぞれ波長帯の異なる光を用いるものとし、基準面Refを形成する反射膜7として波長選択性を有する反射膜を用いる。
具体例として、記録層用レーザ光の波長はBD(Blu-ray Disc:登録商標)の場合と同様の405nm程度、基準面用レーザ光の波長はDVD(Digital Versatile Disc)の場合と同様の650nm程度とされる。そして、反射膜7としては、基準面用レーザ光と同波長帯の光を選択的に反射し、それ以外の波長による光は透過又は吸収する波長選択性反射膜を用いる。
このような構成により、基準面Refから記録層用レーザ光の不要な反射光成分が生じてしまうことを防止でき、良好なS/N(信号対雑音比)を確保できる。
ところで、記録層3にグルーブ等の位置案内子の形成されていない多層記録媒体1では、記録時における記録開始位置へのシークは、基準面Refに記録されたアドレス情報を利用して行うことになる。
具体的に、記録層3に対する記録時には、ライトコマンドに基づいて基準面Ref上の記録開始アドレスが特定され、先ずは基準面用レーザ光により、該基準面Ref上の記録開始アドレスにシークする。そして、該シークの完了に応じて、記録層用レーザ光による記録を開始する。これにより、記録層3上における、上記記録開始アドレスに対応する位置からデータの記録を開始することができる。
また、多層記録媒体1の記録層3に記録した情報の再生についても、先ずは基準面Ref上のアドレスを利用したシークを行うことになる。具体的には、リードコマンドに基づき特定された基準面Ref上の再生開始アドレスをターゲットとして、基準面用レーザ光によるシーク動作を行う。
そして、このような基準面Refのアドレスに基づくシークを行った上で、対物レンズについてのトラッキングサーボ制御を、基準面用レーザ光の反射光に基づくサーボ制御から記録層用レーザ光の反射光に基づくサーボ制御に切り換えを行う。これにより、記録層用レーザ光のビームスポットを記録層3上の再生開始位置近傍のトラックに追従させることができる。
その上で、記録層3に記録されているアドレス情報を読むことで、所定の再生開始位置に移動することができ、該再生開始位置からのデータ再生を開始することができる。
(ii.ATSについて)

以上では、記録層3に位置案内子が形成されない多層記録媒体1について記録/再生を行うための位置制御手法の基本的な概念について主に説明したが、多層記録媒体1について記録/再生を行うにあたっては、実際には、以下で説明するような記録層用レーザ光と基準面用レーザ光との間のスポット位置ずれに起因した情報記録位置のずれが生じることを考慮すべきものとなる。
ここで、上記により説明したような位置制御手法を採る場合は、多層記録媒体1の偏芯や光ピックアップのスライド機構のガタ等に起因して生じる対物レンズのレンズシフトにより、トラッキング方向における情報記録位置のずれが生じる。
ここで言うスライド機構のガタに伴うレンズシフトとは、光ピックアップのスライド機構の制御中において、当該スライド機構におけるメカ機構的なガタの発生に起因して光ピックアップの位置が急激(瞬間的に)に変位したことに伴って、トラッキングサーボ制御中の対物レンズの位置がその変位の吸収ためにシフトされることを意味する。
図3は、対物レンズのレンズシフトに伴い情報記録位置のずれが生じる原理について説明するための図である。
図3において、図3Aは多層記録媒体1の偏芯やスライド機構のガタが無く対物レンズのレンズシフトが生じていない理想的な状態を、また図3Bは紙面左方向(例えば外周方向であるとする)のレンズシフトが生じた場合(+方向の偏芯と称する)、図3Cは紙面右方向(例えば内周方向であるとする)のレンズシフトが生じた場合(−方向の偏芯と称する)をそれぞれ示している。
なお、この図3では図示の都合から基準面Refが記録層3の上層側に形成された場合を例示しているが、先の図2と同様に基準面Refが記録層3の下層側に形成される場合にも同様の原理で情報記録位置のずれが生じるものである。
先ず、図中の中心軸cは、光学系を設計する上で設定された中心軸であり、図3Aに示す理想状態においては、対物レンズの中心は当該中心軸cに一致している。
これに対し、図3Bに示すような+方向のレンズシフトが生じた場合は、対物レンズの中心が光学系の中心軸cに対して+方向にシフトする。
このとき、基準面用レーザ光(図中の柄付きの光線)に関しては、対物レンズに対して平行光により入射するので、上記のような対物レンズの中心軸cからのシフトが生じても、その焦点位置のトラッキング方向における位置に変化は生じない。
これに対し、記録層用レーザ光(図中の白抜きの光線)は、基準面Refとは異なる深さ位置に形成された記録層3に合焦させるために、対物レンズに対して非平行光により入射されるので、上記のような+方向への対物レンズのシフトに対しては、図のように、記録層用レーザ光の焦点位置(情報記録位置)が、レンズシフト量に応じた分だけ+方向に変化してしまうこととなる(図中、ずれ量+d)。
また、図3Cに示すような−方向のレンズシフトが生じた場合には、記録層用レーザ光による情報記録位置は、図のようにレンズシフト量に応じた分だけ−方向に変化することとなる(図中ずれ量−d)。
このように、先の図2にて説明した多層記録媒体1についての位置制御手法、すなわち、

・記録層用レーザ光と基準面用レーザ光とを共通の対物レンズを介して照射する
・記録層用レーザ光の焦点位置と基準面用レーザ光の焦点位置とが異なる
・対物レンズのトラッキングサーボ制御を基準面用レーザ光の照射スポットが基準面Refに形成された位置案内子に追従するようにして行う

という手法が採られる場合においては、ディスクの偏芯やスライド機構のガタ等に起因して、記録層用レーザ光による情報記録位置がトラッキング方向にずれてしまうという問題が生じる。
このとき、偏芯の大きさ等やトラックピッチ(案内溝の形成間隔)の設定によっては、隣接する案内溝同士で情報記録位置が重なってしまうこともある。このようであると、正しく記録信号を再生することはできなくなる。
なお、上記では情報記録位置のずれの要因として対物レンズのレンズシフトを主なものとして説明したが、情報記録位置のずれは、ディスクチルトによっても同様に生じ得るものである。
上記のような情報記録位置ずれの問題を回避するための1つの対策としては、情報記録位置の変動以上にトラックピッチを広げておくということを挙げることができる。
しかしながらこの手法は、トラックピッチの拡大により記録容量の低下を招いてしまう点が問題となる。
また、他の手法として、ディスクを着脱不能なシステムとする手法も挙げることができる。
ここで、偏芯の原因としては、ディスク内径とスピンドルモータへのクランプ径との誤差が挙げられる。加工上、両者の誤差を完全にゼロにすることは不可能であるので偏芯は不可避である。また、仮に両者の誤差をゼロにできたとしても、ディスクの基準面における記録信号中心と装置側のスピンドル軸中心とが同一になるとは限らないので、この面でもやはり偏芯が生じる。そこで、ディスクの着脱を不能としたシステムにすれば、偏芯による影響が同じとなるので、記録位置が重なる問題を回避できる。そしてこのことで、トラックピッチを詰めることができ、その分、記録容量の増大を図ることができる。
しかしながら、当然、この手法ではディスクの交換が一切できないので、例えばディスク不良時にディスクだけを交換するといったことができなくなる。さらには、或る装置で記録したデータを別の装置で読み出すといったこともできない。つまりこれらの点で、利便性が損なわれる結果となる。
そこで、これらの問題を回避するための有効な手法として、いわゆるATS(Adjacent Track Servo:隣接トラックサーボ)を採用することが考えられている。ATSは、元々はハードディスクドライブにおけるセルフサーボトラックライタ(SSTW)として検討されていたものである。
図4は、ATSについて説明するための図である。
図のようにATSでは、記録用スポットSwrと隣接トラックサーボ用スポットSatsとを記録層3上に形成する。これらスポットSwrとスポットSatsは、それぞれその元となる光線を共通の対物レンズを介して記録層3に照射することで形成される。このとき、スポット間の距離は所定長で固定である。
ATSは、記録光によって形成された記録トラックに対して、サーボ光の照射スポットが追従するように該サーボ光を照射する対物レンズについてのトラッキングサーボ制御を行うことで、一定のピッチによる記録トラックを形成する技術である。
例えば第1の実施の形態では、記録トラックを1本のスパイラル状に形成するシングルスパイラル記録を行うが、この場合には、上記のように記録光(スポットSwrを形成する光)とサーボ光(スポットSatsを形成する光)とを共通の対物レンズを介して所定のスポット間隔で照射するものとする。このとき、記録用スポットSwrを先行スポット(つまり記録の進行方向が内周→外周である場合には外周側)とし、隣接トラックサーボ用スポットSatsを後行スポットとして、記録用スポットSwrによって形成したマーク列を対象として、隣接トラックサーボ用スポットSatsによりトラッキングサーボをかける。つまりは、記録用スポットSwrが形成した1本前のトラックに、隣接トラックサーボ用スポットSatsが追従するように対物レンズのトラッキングサーボ制御を行うものである。
このようなATSによれば、トラックピッチは各スポットS間の距離で一定とできるので、偏芯等の影響によりトラックが重なってしまうという問題は生じないものとできる。すなわち、前述のように偏芯等に起因する情報記録位置のずれを考慮してトラックピッチを余分に広げたり、或いはディスクを着脱不能とするシステムとするといった必要は無いものとできる。
図5は、上記のようなATSを前提とした場合に光記録媒体に照射されるべき各レーザ光の例を示した図である。
ATSを行う場合、記録層3を対象として照射する記録層用レーザ光としては、記録用のレーザ光(図中、記録用レーザ光)と、該記録用のレーザ光とは別のレーザ光とを照射することになる。
ここで、上記記録用レーザ光は、先の図4に示した記録用スポットSwrを形成するためのレーザ光となる。上記「別のレーザ光」は、隣接トラックサーボ用スポットSatsを形成するために照射されるレーザ光となる。
本例では、隣接トラックサーボのために照射する上記「別のレーザ光」は、再生用のレーザ光としても兼用する。この意味で、該「別のレーザ光」については、図のようにATS・再生時用レーザ光と表記する。
またこの場合も、多層記録媒体1に対しては、基準面Refの位置案内子に基づくサーボ制御の実現のため、基準面用レーザ光も照射する。
基準面用レーザ光と記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光は、図のように共通の対物レンズを介して多層記録媒体1に照射する。
(iii.基準面シークと補正シークについて)

ところで、記録層3に位置案内子が形成されていない多層記録媒体1では、記録層3にプリアドレスを付しておくことができないことから、前述のように、記録時には、基準面Refのアドレスを利用したシークを行うことになる。具体的に、所要の記録開始位置から記録を開始するとしたときは、先に述べたように、ライトコマンドから特定される基準面Ref上の記録開始アドレスに基準面用レーザ光によるシークを行う。そして、該シークの完了に応じて、記録層用レーザ光による記録を開始する。
また、再生時においても、記録層3上の所要の再生開始位置にアクセスする際には、先ずは基準面Refのアドレスを利用したシークを行うことになる。
ここで、記録層3の記録状態としては、既記録領域の間に未記録領域が介在している場合もある。このような記録状態を想定すると、記録層3のシークのみでは適正に再生開始位置にアクセスすることができない虞がある。このため、再生時においても、基準面Refを利用したシークを行うようにする。
このようなシークを行うことで、再生開始位置の近傍に再生用のレーザ光のスポットを位置させることができる。そして、該シークの完了後は、対物レンズのトラッキングサーボ制御を、基準面用レーザ光によるサーボ制御から記録層用レーザ光(この場合はATS・再生時用レーザ光)によるトラッキングサーボ制御に切り換える。記録層用レーザ光によるトラッキングサーボの引き込み(記録層上のトラックに対するトラッキングサーボ引き込み)が成功すれば、記録層3のアドレス情報を読むことができるので、該アドレス情報に基づき再生開始位置にシークすることができる(補正シーク)。
ここで、上記説明からも理解されるように、記録層3にはプリアドレスは付されないものの、データ記録が行われた場合は、該データ記録に伴ってアドレス情報が付されるものとなる。
このことからも理解されるように、多層記録媒体1においては、基準面Ref上にはプリアドレスとしてのアドレス情報(以下、基準面アドレスAD_wrと表記する)が付されると共に、記録層3には、データ記録に伴い(後発的に)アドレス情報(記録層アドレスAD_wrと表記する)が付されるものである。
なお確認のため述べておくと、基準面アドレスAD_refはプリアドレスであるので、記録層3の記録/未記録にかかわらず予めディスクの全体にわたって付されているものである。一方、記録層アドレスAD_wrは、データ記録が行われた領域に対してのみ付されるものであり、記録層3が未記録の状態では全く付されていないものとなる。
記録動作は必ずしも連続して行われるものではなく、ある程度記録が行われた記録層3であっても、離散的に未記録領域が存在し、つまり記録層アドレスAD_wrが存在しない領域が点在することもある。
なお、前述したような基準面Ref上のシークを行って記録や再生を開始する手法は、予め、基準面Refのアドレス(以下、基準面アドレスAD_refと表記)と記録層Lのアドレス(以下、記録層アドレスAD_wrと表記)との対応関係が定められていることを前提としたものとなる。
すなわち、基準面Ref上の或る基準面アドレスAD_ref_xが記録層3上の或る記録層アドレスAD_wr_Xに対応するなど、或る基準面アドレスAD_refからそれに対応する記録層アドレスAD_wrを特定でき、また或る記録層アドレスAD_wrからそれに対応する基準面アドレスAD_refを特定できるという関係が成り立っていることを前提としたものである。
このとき、基準面アドレスAD_refと記録層アドレスAD_wrについての1アドレス分の区間長と、各半径位置でのトラック1周の長さ(換言すればトラックピッチ)とが既知であれば、基準面アドレスAD_refと記録層アドレスAD_wrとの対応関係を予め想定しておくことができる。
現実には、先に述べたスポット位置ずれの発生等により、基準面アドレスAD_refと記録層アドレスAD_wrとの対応関係は予め想定された関係(理想的な対応関係)に対して誤差が生じるが、基準面シークを行った後には、前述の記録層3上での補正シーク(微量のシーク)が行われるので、所望の記録層アドレスAD_wrへのアクセスが実現される。
(iv.ATSの書き出し手法)

ところで、記録層3に対する記録は、前述のようにATSをかけながら行われるものである。
前述のようにシングルスパイラル記録の場合、ATSは、共通の対物レンズを介して記録光とサーボ光とを照射し、記録用スポットSwrにより記録した1本前のトラックに対して隣接トラックサーボ用スポットSatsによりトラッキングサーボをかける手法となるが、このようなATSによる記録を開始する際には、記録層3においてATSをかけるための既記録のトラックが存在している必要がある。
すなわち、既記録のトラックの続き部分に対してデータを追記する以外の場合には、記録用スポットSwrにより、ATSをかけるためのトラックを形成する必要がある。
図6は、ATSによる記録を開始するにあたっての書き出し手法の例について説明するための図である。
先ず、図6A及び図6Bにおいて、図中の「S」と示す位置は、記録用スポットSwrによる記録開始位置を表す。この位置Sは、記録開始位置にアクセスするために前述のように基準面用レーザ光により基準面アドレスAD_refに基づくシークを行ったときの、記録用スポットSwrの位置に相当するものとなる。
ATSによる記録を開始するためには、先ずは図6Aに示すように、位置Sから所定の周回数分の記録を実行する(ガイド用トラックの形成)。このガイド用トラックの形成は、基準面用レーザ光によるトラッキングサーボ制御状態下にて、記録用スポットSwrにより行う。
このとき、基準面用レーザ光によるトラッキングサーボ制御下で記録を行うものとすると、特に前述したスレッドのガタの発生に起因するスポット位置ずれにより、ガイド用トラックの記録中にトラックの交差が生じる虞がある。
そこで、当該ガイド用トラックの記録にあたっては、基準面用レーザ光に基づき行われるトラッキングサーボのサーボループへのオフセット付与などにより、ディスク1周あたりの対物レンズの記録進行方向側へのシフト量を通常より大として、トラックを記録進行方向側に大きく膨らませるということを行う。
この結果、ガイド用トラックのピッチは、記録層3のトラックピッチ(記録用スポットSwrと隣接トラックサーボ用スポットSatsとのトラッキング方向における間隔)よりも大となる。
図6Aにて説明した所定周回数分の記録を実行した後は、図6Bに示すように、記録用スポットSwr及び隣接トラックサーボ用スポットSatsを記録進行方向とは逆側(例えば内周→外周への記録であれば内周側)にシフトさせていく。すなわち、既記録トラック側に徐々に幅寄せしていく。
この幅寄せは、基準面用レーザ光に基づき行われるトラッキングサーボのサーボループに対するオフセット付与などにより、対物レンズを強制的にシフトさせることで実現できる。
このような幅寄せが行われることで、隣接トラックサーボ用スポットSatsが既記録トラックに対するサーボ引き込み可能範囲内に入り、既記録トラックに対する隣接トラックサーボ用スポットSstsによるトラッキングサーボ(つまりATS)をかけることが可能となる。
具体的に、幅寄せを行う際には、隣接トラックサーボ用のレーザ光(サーボ光)についてのトラッキングエラー信号をモニタし、その振幅の変化から、上記のサーボ引き込み範囲内に入ったか否かを判別する。そして、該サーボ引き込み範囲内に入ったとされた場合は、対物レンズについてのトラッキングサーボ制御を基準面用レーザ光によるサーボ制御から隣接トラックサーボ用のレーザ光によるサーボ制御に切り換える。これにより、ATSによる記録を開始することができる。
[1-3.任意ピッチスパイラル移動制御について]

ここで、上記図6を参照して説明したように、位置案内子の形成されていない記録層3に対してATSによる記録を行うためには、基準面Refに対し基準面用レーザ光によるトラッキングサーボをかけながら、所定周回数分のガイド用トラックの記録を行うことを要する。
そして、該ガイド用トラックについては、基準面用レーザ光と記録層用レーザ光とのスポット位置ずれに起因したトラックの交差等の発生を防止するために、図6Aに示したようにそのピッチを大とする(スポット位置ずれが生じ得る範囲よりも大とする)ように形成し、その後、先の図6Bに示したような幅寄せを行って、記録用スポットSwrが記録した1本前のトラックに隣接トラックサーボ用スポットSatsのトラッキングサーボ引き込みが行われるようにする。
ここで、このようなガイド用トラックの形成は、基準面用レーザ光によるトラッキングサーボをかけながら行われるので、上記のようにトラックピッチを大としたり幅寄せを行うなどのトラックピッチ制御は、該基準面用レーザ光によるトラッキングサーボ系のサーボループにオフセットを与えるなどして、対物レンズを強制的に移動させることで実現されることになる。
しかしながら、スポット位置ずれによるトラックの交差の防止を図る上で設定すべきガイド用トラックのピッチは、基準面Refに設定されるべきトラックピッチに対して相当に大となるものであり、従ってそのような広大な振り幅でトラックピッチを変化させようとすると、基準面Refのトラッキングサーボが外れてしまう虞がある。
この点を考慮すると、上記のようにガイド用トラックを形成し該ガイド用トラックへの隣接トラック基準面用レーザ光のサーボ引き込みを行ってATSをかけ始めるにあたっては、基準面用レーザ光を、そのトラッキングサーボ制御状態を維持したまま、任意ピッチによるスパイラル状に移動させられるようにすることが望ましい。
本実施の形態では、このようにトラッキングサーボの状態は維持したままで任意ピッチによるスパイラル移動を実現する制御(以下、任意ピッチスパイラル移動制御、或いは可変トラックピッチ制御とも称する)を可能とすべく、基準面Refの構造について、例えば下記参考文献1,2に開示されているような構造を適用する。

・参考文献1:特開2010−225237号公報
・参考文献2:特開2011−198425号公報
以下、任意ピッチスパイラル移動制御を可能とするための基準面Refの構造と、該基準面Refの構造に基づく具体的なスパイラル移動制御の手法とについて、図7〜図12を参照して説明しておく。
図7は、実施の形態の多層記録媒体1が有する基準面Refの表面を一部拡大して示した図(平面図)である。
先ず、図7においては、紙面の左側から右側に向かう方向をピット列の形成方向、つまりはトラックの形成方向としている。基準面用レーザ光のビームスポットは、多層記録媒体1の回転に伴い、紙面の左側から右側に移動するものとする。
また、ピット列の形成方向と直交する方向(紙面の縦方向)は、多層記録媒体1の半径方向である。
また図7において、図中の白丸で示すA〜Fは、ピットの形成可能位置を表す。すなわち、基準面Refにおいて、ピットは、当該ピットの形成可能位置においてのみ形成されるものであって、ピットの形成可能位置以外にはピットは形成されない。
また、図中のA〜Fの符号の別はピット列の別(半径方向において配列されるピット列の別)を表し、これらA〜Fの符号に付される数字はピット列上におけるピットの形成可能位置の別を表す。
ここで、図中の黒太線で表す間隔(光学限界のトラック幅)は、基準面Refの光学条件から定まる最小トラックピッチ(光学的限界値によるトラックピッチ)を表している。このことからも理解されるように、この場合の基準面Refにおいては、A〜Fの計6本のピット列が、半径方向において、光学的限界値を超えたピッチで配列されていることになる。
但し、単に光学的限界値を超えたピッチでこれら複数のピット列を配列したのみでは、ピット列形成方向においてピットの形成位置が重なってしまう虞があり、つまりはピット列形成方向におけるピットの間隔が光学限界を超えてしまう虞がある。
また、後の説明によっても明らかとなるように、任意ピッチスパイラル移動制御の実現のためには、A〜Fの各ピット列についてのトラッキング誤差信号を、それぞれ個別に得ることが可能とされている必要がある。
つまりこの点においても、各ピット列の配列には工夫が施される必要がある。
これらの点を考慮し、この場合の基準面Refにおいては、A〜Fの各ピット列について以下のような条件を課す。
すなわち、

1)A〜Fの各ピット列において、ピットの形成可能位置の間隔を所定の第1の間隔に制限する。
2)このようにピットの形成可能位置の間隔が制限されたA〜Fの各ピット列を、それぞれのピットの形成可能位置がピット列形成方向において所定の第2の間隔ずつずれたものとなるようにして配列する(つまり上記第2の間隔で各ピット列の位相をずらす)。

というものである。
ここで、半径方向に配列されるA〜Fのピット列におけるそれぞれのピットの形成可能位置のピット列形成方向における間隔(上記第2の間隔)をnとおく。このとき、上記2)の条件が満たされるようにA〜Fの各ピット列が配列されることで、ピット列A−B、ピット列B−C、ピット列C−D、ピット列D−E、ピット列E−F、及びピット列F−Aの各ピット形成可能位置間の間隔は、図示するように全てnとなる。
また、A〜Fの各ピット列におけるピット形成可能位置の間隔(上記第1の間隔)は、この場合はA〜Fまでの計6つのピット列位相を実現するものとしているので、6nとなる。
このことからも理解されるように、この場合の基準面Refでは、それぞれが異なるピット列位相を有するA〜Fの複数のピット列は、それぞれ、その基本周期は上記6nとされた上で、それぞれの位相が上記nだけずらされて形成されることになる。
これにより、後述する任意ピッチによるスパイラル移動の実現手法において、A〜Fの各ピット列についてのトラッキング誤差信号をそれぞれ個別に得ることが可能とされる。
また同時に、本例の場合のようにA〜Fの各ピット列を基準面Refの光学的限界値を超えたピッチで半径方向に配列する場合において、ピット列形成方向におけるピットの間隔が光学限界を超えてしまうことの防止が図られる。
ここで、前述もしたように本例の場合、基準面Refにおける光学条件はDVDの場合と同様の波長λ=650nm程度、NA=0.65程度とされている。このことに対応し、この場合における各ピット形成可能位置の区間長は、DVDにおける最短マークと同じ3T分の区間長とし、またピット列形成方向におけるA〜Fの各ピット形成可能位置のエッジ間の間隔も、同様の3T分の長さに設定している。
この結果、上記1)2)の条件が満たされるものとなっている。
続いて、基準面Ref全体におけるピットの形成態様について理解するために、図8を参照してより具体的なピット列の形成手法について説明する。
なお図8では、基準面Refに形成されるピット列の一部(7本分)を模式的に示している。図中において、黒丸はピット形成可能位置を表す。
この図8を参照して分かるように、この場合の基準面Refにおいては、ピット列をスパイラル状に形成するものとしている。
そして、ピット列の1周ごとに、ピット列位相が上記第2の間隔(「n」)の分だけずらされるようにしてピット形成可能位置を定めることで、半径方向に配列されるピット列に関して、先に挙げた1)及び2)の条件が満たされるようにしている。
例えば、図8に示す例では、ピット列の1周目ではピット列Aとしてのピット列位相が得られるようにピット形成可能位置が定められており、図中の1周開始位置(所定の角度位置)を基準としたピット列の2周目には、ピット列Bとしてのピット列位相が得られるようにピット形成可能位置が定められている。以降も同様に、3周目にはピット列Cとしてのピット列位相が得られるようにピット形成可能位置が定められ、4周目にはピット列D、5周目にはピット列E、6周目にはピット列F、7周目には再びピット列Aといったように、ピット列の1周ごとに、ピット列位相が第2の間隔nの分だけずらされるように、ピット列の各周におけるピット形成可能位置が定められている。
図9は、基準面Refに対する具体的なアドレス情報の記録の例を示している。
なお、以下、図12までの説明においては、便宜上、トラッキングエラー信号(個々のトラッキングエラー信号)としてはプッシュプル信号に基づく信号を生成するものと仮定する。
後述もするが、実際の構成では、トラッキングエラー信号としてSUM信号(和信号)に基づく信号を生成することもできる。
図9において、先ず図9Aは、それぞれ異なるピット列位相を有するようにされた各ピット列(A〜F)のピット形成可能位置の関係を模式化して示している。なお図9Aにおいては「*」マークによりピット形成可能位置を表している。
ここで、後述もするように、本例では、これらA〜Fのピット列のうちから1つのピット列を選択し、該選択した1つのピット列を対象としてトラッキングサーボをかけるようにされている。
但し、このとき問題となるのは、A〜Fの各ピット列は半径方向において光学限界を超えたピッチで配列されているという点である。すなわち、この場合において基準面用レーザ光のビームスポットがトラック上を移動(走査)して得られるトラッキングエラー信号(プッシュプル信号)としては、A〜Fの全てのピットを反映したものとなってしまうので、該トラッキングエラー信号に基づきトラッキングサーボをかけたとしても、選択した1つのピット列を追従することはできない。
このため、本例では、選択したピット列におけるピット形成可能位置のタイミングにおけるトラッキングエラー信号をサンプルし、該サンプルしたトラッキングエラー信号の値に基づいて(いわば間欠的に)トラッキングサーボをかけるということをその基本概念とする。
そして、これと同様に、アドレス情報を読む場合にも、選択したピット列に記録される情報のみが選択的に読み出されるように、該選択したピット列のピット形成可能位置のタイミングにおける和信号(sum信号)をサンプルし、その値に基づいてアドレス情報を検出するという手法を採る。
このような情報検出の手法に対応するため、本例では、ピット形成可能位置におけるピットの形成有無により、チャネルビット(記録符号)の「0」「1」を表現するフォーマットを採用するものとしている。すなわち、1つのピット形成可能位置が、1チャネルビット分の情報を担うものである。
その上で、このようなチャネルビットの複数個による「0」「1」のデータパターンにより、データビットの1ビットを表現するものとしている。
具体的に本例では、図9Bに示されるように、チャネルビット4つ分でデータビットの「0」「1」を表現するものとし、例えば4チャネルビットのパターン「1011」がデータビット「0」、4チャネルビットのパターン「1101」がデータビット「1」を表すものとしている。
このとき重要であるのは、チャネルビット「0」が連続しないという点である。つまり、チャネルビット「0」が連続してしまうということは、上述のようにトラッキングエラー信号を間欠的に用いてサーボを行うということを基本としたときに、エラー信号が得られない期間が連続してしまうということ意味するので、これに伴い、トラッキングサーボの精度を確保することが非常に困難となってしまうためである。
このため本例では、例えば上記のようなデータビットの定義により、チャネルビット「0」が連続しないという条件が満たされるようにしている。すなわち上記のようなデータビットの定義により、トラッキングサーボの精度低下が最小限に抑えられるようにしているものである。
図9Cは、シンクパターンの一例を示している。
例えばシンクパターンについては、図示するように12チャネルビットで表現するものとし、前半の8ビットを上記データビットの定義に当てはまらないチャネルビットパターン「11111111」とし、その後の4チャネルビットのパターンでシンクの別(種類)を表すものとしている。具体的に、上記8ビットに続く4チャネルビットのパターンが「1011」であればSync1、「1101」であればSync2としている。
基準面Refにおいては、アドレス情報が、上記のようなシンクの後に続けて記録されているものとする。
ここで前述もしたように、基準面Refのアドレス情報としては、ディスク上の絶対位置情報(半径位置の情報、及び回転角度情報)を少なくとも記録する。
なお確認のために述べておくと、本例では従来限界の1トラック幅内にA〜Fの複数本のピット列を配列するものとしているが、アドレス情報の記録は、各ピット列の半径位置が個別に表されるように(各ピット列の識別が可能となるように)、ピット列ごとに個別の情報が割り振られるようにして行う。すなわち、従来限界の1トラック幅内に配列されるA〜Fの各ピット列に対し同じアドレス情報を記録するものではない。
なお、図9の説明からも理解されるように、基準面Refに対しては、ピットがポジション記録されていることになる。ポジション記録とは、ピット(或いはマーク)の形成部分をチャネルデータ「1」、それ以外の部分をチャネルデータ「0」とする記録手法を指すものである。
ところで、先の図8に示したように、本例の場合、基準面Refにおけるピット列は、1本のスパイラル状で形成された上で、ピット列の1周ごとに、ピット列の位相がA→B→C→D→E→F→A・・・の順に切り換わるように、すなわちピット列の1周ごとにピット列位相が第2の間隔nの分だけずらされるように、ピット列の各周におけるピット形成可能位置が定められた構造とされている。
このことによれば、例えばA〜Fのうち或る1本のピット列を対象としてトラッキングサーボをかけることができれば、基準面Refの光学的限界値の1/6のピッチによるスパイラル移動が実現されるものとなる。
或いは、基準面Refにおける各ピット列は、図8に示すような1本のスパイラルではなく、A〜Fの6重のスパイラル状に形成したり、或いは同心円状に形成するといったことも可能である。
但し、上記の何れの構造を採った場合も、単に或る1本のピット列を対象としてトラッキングサーボをかけたのみでは、任意ピッチによるスパイラル移動を実現することはできない。
本実施の形態では、基準面Refのピット列の形成条件として上述の1)及び2)の条件を課すことによって、光学的限界値を超えたピッチで配列された各ピット列の個々を対象としてトラッキングサーボをかけ分けることができるようにしている。その上で、トラッキングエラー信号に時間経過と共に上昇するオフセットを与えて、A〜Fの各ピット列を順次渡っていくことにより、任意ピッチによるスパイラル移動が実現されるようにする。
ここで、任意ピッチによるスパイラル移動を実現するためには、サーボ対象とするピット列を、ピット列A→ピット列B→ピット列C・・・などのように順次外周側に隣接するピット列に切り換えていくことが必要となる。
このようにサーボ対象とするピット列を順次切り換えていくという動作を実現するためには、A〜Fの各位相によるピット列についてのトラッキング誤差信号が、それぞれ個別に得られるようにすることが必要となる。A〜Fの各ピット列に対するトラッキング誤差信号を区別できなければ、そもそもサーボ対象とするピット列を切り換えるということはできないためである。
図10は、多層記録媒体1の回転に伴い基準面Ref上を基準面用レーザ光のスポットが移動する様子と、その際に得られるSUM信号、SUM微分信号、及びP/P信号(プッシュプル信号)の波形との関係を模式的に示している。
なお、SUM微分信号は、基準面用レーザ光の反射光に基づき得られるSUM信号を微分して得られる信号である。
ここで、この図10では説明の便宜上、図中の各ピット形成可能位置の全てにピットが形成されているものとしている。
図示するように、多層記録媒体1の回転に伴い基準面用レーザ光のビームスポットが移動することに伴っては、SUM信号は、A〜Fの各ピットのピット列形成方向における配置間隔に応じた周期でその信号レベルがピークを迎えることになる。つまりこのSUM信号は、A〜Fの各ピットのピット列形成方向における間隔(形成周期)を表していることになる。
ここで、この図の例ではビームスポットがピット列A上に沿って移動するものとしているので、SUM信号は、ピット列形成方向におけるピットAの形成位置の通過時にピーク値が最大となり、またピットB〜ピットDの各形成位置にかけて徐々にピーク値が減少していく傾向となる。そしてその後、ピットEの形成位置→ピットFの形成位置の順でピーク値は上昇傾向に転じ、再びピットAの形成位置に至ることでピーク値が最大となる。すなわち、ピット列形成方向における上記ピットE、Fの形成位置においては、内周側に隣接するピット列E、Fにおけるピットの影響を受けるので、SUM信号のピーク値はピットE、Fの形成位置ごとで順に上昇することになる。
また、SUM微分信号、及びトラッキング誤差信号としてのP/P信号としては、それぞれ図示するような波形が得られる。
ここで注目すべきは、トラッキング誤差信号としてのP/P信号は、所定の間隔nずつ離間されたA〜Fの各ピット形成可能位置ごとに、ビームスポットとピット列との相対的な位置関係を表すようにして得られるという点である。
また、SUM微分信号は、各ピット列A〜Fのピット形成位置(厳密にはピット形成可能位置である)のピット列形成方向における間隔を表すものとなる。
従ってこのSUM微分信号に基づき、ピット列形成方向における各ピット列A〜Fのピット形成可能位置の間隔を表すクロックCLKを得ることができる。
具体的に、この場合のクロックCLKは、各ピットのセンター位置(ピークポジション)に相当する位置(タイミング)を立ち上がり位置(タイミング)とする信号となる。
図11は、クロックCLKと、該クロックCLKに基づき生成される各selector信号の波形と、基準面Refに形成された各ピット列(の一部)との関係を模式化して示している。
この図に示すように、クロックCLKとしては、各ピット(ピット形成可能位置)のピークポジションに対応したタイミングで立ち上がり、且つ各立ち上がり位置間の中間点が立ち下がり位置とされた信号となる。
このようなクロックCLKは、SUM微分信号から生成されるタイミング信号(SUM微分信号のゼロクロスタイミングを表す)を入力信号(基準信号)としたPLL(Phase Locked Loop)処理で生成できる。
そして、このようにピットA〜Fの形成間隔に応じた周期を有するクロックCLKから、A〜Fの個々のピット形成可能位置のタイミングを表す6種のselector信号を生成する。具体的にこれらselector信号としては、それぞれクロックCLKを1/6に分周して生成されたものとなっており、且つそれぞれの位相が1/6周期ずつずらされたものとなっている。換言すれば、これら各selector信号は、それぞれの立ち上がりタイミングが1/6周期ずつずれたものとなるように、クロックCLKをそれぞれのタイミングで1/6に分周して生成されるものである。
これらselector信号は、それぞれ、A〜Fの対応するピット列のピット形成可能位置のタイミングを表す信号となる。本例では、これらselector信号を生成した上で、任意のselector信号を選択し、該選択したselector信号が表す期間内におけるP/P信号に従ってトラッキングサーボ制御を行うことで、A〜Fのピット列のうちの任意のピット列上に基準面用レーザ光のビームスポットをトレースさせる。つまりこのようにすることで、A〜Fの各ピット列のうちから、サーボ対象とするピット列を任意に選択できるものである。
このようにして、A〜Fの対応するピット列のピット形成可能位置のタイミングを表す各selector信号を生成し、これらのうち任意のselector信号を選択し、該選択したselector信号が表す期間内のトラッキング誤差信号(P/P信号)に基づいてトラッキングサーボ制御を行うことで、A〜Fのうちの任意のピット列を対象としたトラッキングサーボを実現できる。つまり、上記selector信号の選択により、サーボ対象とするピット列についてのトラッキング誤差信号の切り換えを行うことができ、これによってサーボ対象とするピット列の切り換えが実現されるものである。
図12は、任意ピッチによるスパイラル移動実現のための具体的な手法についての説明図として、トラッキングエラー信号TE-refに対して与えるオフセットと、基準面Refにおけるビームスポットの移動軌跡との関係を示している。
なお、ここで言うトラッキングエラー信号TE-refは、先に説明したselector信号に基づきP/P信号をサンプルホールドして得られる信号を意味する。すなわち、サーボ対象とするピット列についてのP/P信号(トラッキング誤差信号)を表すものである。
この図12では、オフセットの付与によって、ビームスポットがピット列A→ピット列Bを渡っていく様子を例示している。
先ず、任意ピッチによるスパイラル移動を実現するにあたりサーボ対象のピット列を順次切り換えていくという手法を採る場合、その切り換え位置(タイミング)を予め定めておくことになる。この図の例では、このようなサーボ対象ピット列の切り換え位置を、隣接関係にあるピット列との間の中間点となる位置(半径方向における)に設定するものとしている。
ここで、或るスパイラルピッチを実現しようとしたとき、そのスパイラルピッチの実現のためにビームスポットをディスク上のどの位置を通過させていけばよいかは、基準面Refのフォーマットから予め計算により求めておくことができる。つまりこのことからも理解されるように、上記のようにビームスポットが隣接ピット列との間の中間点に至る位置は、予め計算によって求めておくことができるものである。
このように、予め計算などにより求められた上記中間点としての位置(どのアドレスブロックの何クロック目)に至ったことに応じて、サーボ対象とするピット列をそれまで対象としていたピット列の外側に隣接するピット列に順次切り換えていくことになる。
一方で、ビームスポットを半径方向に移動させるためには、トラッキングエラー信号TE-refに対し、図示するような鋸歯状波によるオフセットを与える。このオフセットの傾きの設定により、スパイラルピッチを任意のピッチに設定できる。
ここで、任意のスパイラルピッチの実現のために与えるオフセットは、上述のようにビームスポットが隣接ピット列との間の中間点に至るタイミングで順次サーボ対象ピット列の切り換えを行う関係から、上記中間点ごとに極性が変化する波形となる。つまり、上記中間点となる位置にビームスポットを移動させるために必要なオフセット量は、例えばピット列Aを対象としたサーボ時には「+α」、隣接するピット列Bを対象としたサーボ時には「−α」となるので、上記中間点に至るタイミングとしてのサーボ対象ピット列の切り換えタイミングにおいては、上記オフセットの極性を反転させる必要がある。この点から、この場合において与えるべきオフセットの波形は、上記のように鋸歯状波による波形となるものである。
確認のために述べておくと、このようなオフセットの波形としても、実現しようとするスパイラルピッチの情報と、基準面Refのフォーマットの情報とに基づき予め計算などにより求めておくことができる。
このように、予め定められた鋸歯状波によるオフセットをトラッキングエラー信号TE-refに対して与えつつ、ビームスポットが上記中間点としての予め定められた隣接ピット列との間の所定位置に至るタイミングごとにトラッキングサーボの対象とするピット列をそれまで対象としていたピット列の外側に隣接するピット列に切り換える。
このことで、任意ピッチによるスパイラル移動を実現することができる。
なお、上記説明では、トラッキングサーボの対象とするピット列についてのトラッキングエラー信号TE-refを、P/P信号に基づき生成するものとしたが、例えば先の参考文献2等にも開示されているように、トラッキングエラー信号TE-refは、トラッキング誤差の検出対象としたいピット列に対して位相差が等しい2つのピット列のそれぞれについてのSUM信号の差分を計算して求めることもできる。
また、ピット列の位相は6相に限定されるべきものではない。
[1-4.実施の形態の記録装置の構成]

以上の前提を踏まえた上で、図13及び図14を参照して、本技術に係る実施の形態としての記録装置の構成について説明する。
ここで、実施の形態の記録装置は、多層記録媒体1についての記録機能と共に再生機能も有する。この意味で、実施の形態の記録装置については、以下、記録再生装置とも表記する。図13及び図14で説明する第1の実施の形態の記録再生装置は、記録再生装置10と表記する。
図13は、記録再生装置10が備える主に光学系の構成についての説明図であり、具体的には、記録再生装置10が備える光ピックアップOPの内部構成を主に示している。
先ず、記録再生装置10に装填された多層記録媒体1は、当該記録再生装置10における所定位置においてそのセンターホールがクランプされるようにしてセットされ、図中のスピンドルモータ30による回転駆動が可能な状態とされる。
記録再生装置10には、スピンドルモータ(SPM)30により回転駆動される多層記録媒体1に対して記録再生のためのレーザ光を照射するための構成として、光ピックアップOPが設けられる。
光ピックアップOP内には、先に説明した記録用レーザ光の光源である記録用レーザ11-1と、ATS・再生時用レーザ光の光源であるATS・再生時用レーザ11-2とが設けられる。
また、基準面Refに形成された位置案内子を利用した位置制御を行うための光である基準面用レーザ光の光源として、基準面用レーザ24が設けられる。
また、光ピックアップOPには、記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光と基準面用レーザ光の多層記録媒体1への出力端となる対物レンズ20が設けられ、さらに、ATS・再生時用レーザ光の多層記録媒体1からの反射光を受光するための記録層用受光部23と、基準面用レーザ光の多層記録媒体1からの反射光を受光するための基準面用受光部29とが設けられる。
そして、光ピックアップOPにおいては、記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光を対物レンズ20に導くと共に、該対物レンズ20に入射した多層記録媒体1からの反射光を記録層用受光部23に導くための光学系が形成される。
具体的に、記録用レーザ11-1より出射された記録用レーザ光、及びATS・再生時用レーザ11-2より出射されたATS・再生時用レーザ光は、図のようにコリメートレンズ12を介して平行光となるように変換された後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
偏光ビームスプリッタ13は、このように光源側から入射した記録用レーザ光、ATS・再生時用レーザ光については透過するように構成されている。
偏光ビームスプリッタ13を透過した記録用レーザ光、ATS・再生時用レーザ光は、固定レンズ14、可動レンズ15、及びレンズ駆動部16を有して構成されるフォーカス機構に入射する。このフォーカス機構は、記録層用レーザ光としての記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光についての合焦位置の調整のために設けられたものであり、これらのレーザ光の光源に近い側が固定レンズ14とされ、該光源から遠い側に可動レンズ15が配置され、レンズ駆動部16によって可動レンズ15側がレーザ光軸に平行な方向に駆動されるように構成されている。
上記フォーカス機構を形成する固定レンズ14及び可動レンズ15を介した記録用レーザ光、ATS・再生時用レーザ光は、図のようにミラー17にて反射された後、1/4波長板18を介してダイクロイックプリズム19に入射する。
ダイクロイックプリズム19は、その選択反射面が、記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するように構成されている。従って上記のように入射した記録用レーザ光、ATS・再生時用レーザ光は、ダイクロイックプリズム19にて反射される。
ダイクロイックプリズム19で反射された記録用レーザ光、ATS・再生時用レーザ光は、図示するように対物レンズ20を介して多層記録媒体1(所要の記録層3)に対して照射(合焦)される。
対物レンズ20に対しては、該対物レンズ20をフォーカス方向(多層記録媒体1に対して接離する方向)、及びトラッキング方向(上記フォーカス方向に直交する方向:ディスク半径方向)に変位可能に保持する2軸アクチュエータ21が設けられる。
2軸アクチュエータ21には、フォーカスコイル、トラッキングコイルが備えられ、それぞれに駆動信号(後述するドライブ信号FD、TD)が与えられることで、対物レンズ20をフォーカス方向、トラッキング方向にそれぞれ変位させる。
なお、対物レンズ20のアクチュエータとしては、チルト調整も可能な3軸アクチュエータを用いることもできる。
ここで、上記のように多層記録媒体1に対してATS・再生時用レーザ光が照射されることに応じては、該多層記録媒体1(再生対象とする記録層3)よりATS・再生時用レーザ光の反射光が得られる。
このように得られたATS・再生時用レーザ光の反射光は、対物レンズ20を介してダイクロイックプリズム19に導かれ、該ダイクロイックプリズム19にて反射される。
ダイクロイックプリズム19で反射されたATS・再生時用レーザ光の反射光は、1/4波長板18→ミラー17→フォーカス機構(可動レンズ15→固定レンズ14)を介した後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
このように偏光ビームスプリッタ13に入射するATS・再生時用レーザ光の反射光は、往路と復路とで1/4波長板18を2回通過することで、往路光との比較でその偏光方向が90度回転していることになる。この結果、上記のように入射したATS・再生時用レーザ光の反射光は、偏光ビームスプリッタ13にて反射される。
偏光ビームスプリッタ13にて反射されたATS・再生時用レーザ光の反射光は、集光レンズ22を介して記録層用受光部23の受光面上に集光する。
ここで、記録層用受光部23がATS・再生時用レーザ光の反射光を受光して得られる受光信号のことを、以下、受光信号DT-wrと表記する。
また、光ピックアップOP内には、基準面用レーザ24より出射された基準面用レーザ光を対物レンズ20に導き且つ、該対物レンズ20に入射した多層記録媒体1からの基準面用レーザ光の反射光を基準面用受光部29に導くための光学系が形成される。
図示するように、基準面用レーザ24より出射された基準面用レーザ光は、コリメートレンズ25を介して平行光となるように変換された後、偏光ビームスプリッタ26に入射する。偏光ビームスプリッタ26は、このように基準面用レーザ24側から入射した基準面用レーザ光(往路光)は透過するように構成される。
偏光ビームスプリッタ26を透過した基準面用レーザ光は、1/4波長板27を介してダイクロイックプリズム19に入射する。
先に述べたように、ダイクロイックプリズム19は記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光と同波長帯の光は反射しそれ以外の波長による光は透過するように構成されているため、基準面用レーザ光はダイクロイックプリズム19を透過し、対物レンズ20を介して多層記録媒体1(基準面Ref)に照射される。
また、このように多層記録媒体1に基準面用レーザ光が照射されたことに応じて得られる基準面用レーザ光の反射光(基準面Refからの反射光)は、対物レンズ20を介した後ダイクロイックプリズム19を透過し、1/4波長板27を介して偏光ビームスプリッタ26に入射する。
先のATS・再生時用レーザ光の場合と同様に、このように多層記録媒体1側から入射した基準面用レーザ光の反射光は往路と復路とで1/4波長板27を2回通過しているためその偏光方向が往路光との比較で90度回転しており、従って上記基準面用レーザ光の反射光は偏光ビームスプリッタ26にて反射される。
偏光ビームスプリッタ26にて反射された基準面用レーザ光の反射光は、集光レンズ28を介して基準面用受光部29の受光面上に集光する。
ここで、基準面用受光部29が基準面用レーザ光の反射光を受光して得られる受光信号については、受光信号DT-refと表記する。
ところで、先の図1に示したように多層記録媒体1は、記録層形成領域5の下層側に対して基準面Refが設けられるので、記録時には、このように記録層形成領域の下層側に設けられた基準面Refに対して基準面用レーザ光が合焦するように対物レンズ20のフォーカスサーボ制御が行われ、且つ記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光については、ATS・再生時用レーザ光の反射光に基づくフォーカスサーボ制御によって先のフォーカス機構(レンズ駆動部16)を駆動することで、記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光が基準面Refよりも上層側に形成された記録層3に合焦するように対物レンズ20に入射する記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光のコリメーション状態が調整されることになる。
また、再生時におけるATS・再生時用レーザ光のトラッキングサーボ制御については、該ATS・再生時用レーザ光のスポットを、再生対象とする記録層3に形成されたマーク列に追従させるようにして行う。すなわち、再生時におけるATS・再生時用レーザ光についてのトラッキングサーボ制御は、当該ATS・再生時用レーザ光の反射光に基づき対物レンズ20の位置を制御することで実現できる。
なお、再生時のフォーカスサーボ制御は、記録時と同様でよい。
図14は、記録再生装置10の全体的な内部構成を示している。
なお図14において、光ピックアップOPの内部構成については、図13に示した構成のうち記録用レーザ11-1、ATS・再生時用レーザ11-2、レンズ駆動部16、及び2軸アクチュエータ21のみを抽出して示している。
またこの図では、図13に示したスピンドルモータ30の図示は省略している。
図14において、記録再生装置10における光ピックアップOPの外部には、多層記録媒体1における記録層3を対象とした記録/再生や、記録層3からの反射光に基づくフォーカス/トラッキングの位置制御を行うための構成として、記録処理部31、発光駆動部32、発光駆動部33、信号生成回路34、再生処理部35、記録層用サーボ回路36、フォーカスドライバ37、及び2軸ドライバ42が設けられている。
記録処理部31は、入力される記録データに応じた記録変調符号を生成する。具体的に記録処理部31は、入力される記録データに対してエラー訂正符号の付加や所定の記録変調符号化処理を施すなどして、記録層3を対象として実際に記録されるべき例えば「0」「1」の2値データ列である記録変調符号列を得る。
このとき、記録処理部31は、後述するコントローラ45からの指示に応じて、記録データに対するアドレス情報(記録層アドレスAD_wr)の付加処理も行う。
記録処理部31は、生成した記録変調符号列に基づく記録信号WRSを発光駆動部32に与える。
発光駆動部32は、記録時において記録処理部31より入力される記録信号WRSに基づくレーザ駆動信号D-1を生成し、該駆動信号D-1に基づき記録用レーザ11-1を発光駆動する。これにより記録層3に対し記録データに応じたマーク列を記録できる。
発光駆動部32は、記録時においては、コントローラ45からの指示に応じたレーザパワーにより記録用レーザ11-1を発光駆動する。
発光駆動部33は、図中のレーザ駆動信号D-2により、ATS・再生時用レーザ11-2を再生パワーにより連続発光させる。
信号生成回路34は、先の図13に示した記録層用受光部23としての複数の受光素子からの受光信号DT-wr(出力電流)に基づき、必要な各種の信号を生成する。
具体的に信号生成回路34は、RF信号(再生信号)、フォーカスエラー信号FE-wr、トラッキングエラー信号TE-wrを生成する。
フォーカスエラー信号FE-wrは、記録/再生対象とされた記録層3に対するATS・再生時用レーザ光のフォーカス誤差を表す信号となる。またトラッキングエラー信号TE-wrは、記録層3に形成されたトラックに対するATS・再生時用レーザ光のスポット位置の半径方向における位置誤差を表す信号となる。
なお、先の説明からも理解されるように、本例では記録層用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御は、記録時/再生時ともにATS・再生時用レーザ光の反射光に基づき行われるので、フォーカスエラー信号FE-wrについては、記録時と再生時の双方において利用されるものとなる。
トラッキングエラー信号TE-wrは、記録時にはATSとしてのトラッキングサーボ制御、再生時にはATS・再生時用レーザ光を記録層3上の再生対象マーク列に追従させるためのトラッキングサーボ制御に利用されることになる。
また、信号生成回路34は、β値としての評価信号を生成する。なお確認のため述べておくと、周知のようにβ値は、再生信号(RF信号)の非対称性を表すものであり、再生信号のエンベロープのトップレベルをTop Lv、ボトムレベルをBottom Lvとしたとき、

β=(Top Lv+Bottom Lv)/(Top Lv−Bottom Lv)

により計算されるものである。
このβ値は、後述する記録レーザパワーの調整処理において用いられる。
信号生成回路34で得られたRF信号は再生処理部35に、またフォーカスエラー信号FE-wr、トラッキングエラー信号TE-wrは記録層用サーボ回路36にそれぞれ供給される。
また本実施の形態の場合、トラッキングエラー信号TE-wrはコントローラ45にも供給される。
また、β値はコントローラ45に供給される。
再生処理部35は、RF信号に対する2値化処理、及び記録変調符号の復号化やエラー訂正処理等の所定の復調処理を施すことで、先の記録データを復元した再生データを得る。
また、再生処理部35では、記録データ中に挿入された記録層アドレスAD_wrの再生(検出)処理も行う。再生処理部35で検出された記録層アドレスAD_wrは、コントローラ45に供給される。
記録層用サーボ回路36は、フォーカスエラー信号FE-wr、トラッキングエラー信号TE-wrに対するサーボ演算処理を行ってフォーカスサーボ信号FS-wr、トラッキングサーボ信号TS-wrをそれぞれ生成する。
トラッキングサーボ信号TS-wrは、後述するセレクタ41に対して供給される。
また、フォーカスサーボ信号FS-wrは、図のようにフォーカスドライバ37に供給される。フォーカスドライバ37は、フォーカスサーボ信号FS-wrに基づくフォーカスドライブ信号FD-wrを生成し、該フォーカスドライブ信号FD-wrに基づきレンズ駆動部16を駆動する。
これにより、記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御(記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光を対象とする記録層3に合焦させるフォーカスサーボ制御)が実現される。
また、記録層用サーボ回路36は、スライド駆動部44による光ピックアップOPのスライド移動についての制御を行うことが可能に構成される。
スライド駆動部44は、光ピックアップOP全体をトラッキング方向にスライド駆動可能に保持する。
記録層用サーボ回路36は、トラッキングエラー信号TE-wrの低域成分を抽出してスライドエラー信号を生成し、該スライドエラー信号に基づくスライドサーボ信号を生成する。そして、該スライドサーボ信号をスライドドライバ43に与えてスライド駆動部44を駆動させることで、光ピックアップOPのスライドサーボ制御を実現する。
また、記録層用サーボ回路36は、コントローラ45からの指示に応じた制御信号をスライドドライバ43に与えることで、スライド駆動部44による光ピックアップOPの所要のスライド移動を実現させる。
ここで、上記のようなスライドサーボ信号やコントローラ45からの制御信号に応じてスライドドライバ43がスライド駆動部44に与える駆動信号のことを、スライド駆動信号SDと表記する。
また、記録層用サーボ回路36は、コントローラ45からの指示に応じ、トラッキングサーボをオフとしてATS・再生時用レーザ光のスポットを他のトラックにジャンプさせるトラックジャンプ動作の実行制御も行う。
また、記録再生装置10には、基準面用レーザ光の反射光についての信号処理系として、基準面移動制御・アドレス検出部38、フォーカスエラー信号生成部39、及びフォーカスサーボ回路40が設けられる。
フォーカスエラー信号生成部39は、図13に示した基準面用受光部29における複数の受光素子からの受光信号DT-refに基づき、基準面Ref(反射膜7の反射面)に対する基準面用レーザ光のフォーカス誤差を表すフォーカスエラー信号FE-refを生成する。
フォーカスサーボ回路40は、フォーカスエラー信号生成部39が生成したフォーカスエラー信号FE-refに対するサーボ演算処理を行ってフォーカスサーボ信号FS-refを生成する。
フォーカスサーボ回路40が生成したフォーカスサーボ信号FS-refは、2軸ドライバ42に供給される。
2軸ドライバ42は、フォーカスサーボ信号FS-refに基づくフォーカスドライブ信号FDを生成し、該フォーカスドライブ信号FDに基づき2軸アクチュエータ21のフォーカスコイルを駆動する。
これにより、基準面用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御(基準面用レーザ光を基準面Refに合焦させるフォーカスサーボ制御)が実現される。
基準面移動制御・アドレス検出部38は、基準面用受光部29により得られた受光信号DT-refに基づき、基準面移動制御(基準面Ref上における基準面用レーザ光のスポット位置についての移動制御)、及び基準面Refに記録された基準面アドレスAD_refの検出を行う。
具体的に、上記基準面移動制御としては、前述した基準面シーク(基準面アドレスAD_refに基づくシーク)を実現するための制御や、先に説明した任意ピッチスパイラル移動制御を行う。
先の説明からも理解されるように、任意ピッチスパイラル移動制御では、受光信号DT-refに基づくP/P信号、selector信号、クロックCLKの生成や、それらに基づくトラッキングエラー信号TE-refの生成を行う。また、トラッキングエラー信号TE-refに対する鋸歯状波状オフセットの付与も行う。
なお、任意ピッチスパイラル移動制御を実現するための具体的な構成については先の参考文献1や参考文献2に開示されたものと同様の構成を採ればよく、ここでの図示による説明は省略する。
また、基準面Refのシーク動作制御としては、コントローラ45からの指示に基づき、スライドドライバ43に制御信号を与えて光ピックアップOPのスライド移動を実行させたり、トラッキングサーボをオフとして基準面用レーザ光のスポットを他のトラック(この場合はピット列となる)にジャンプさせるトラックジャンプ動作を実現するための制御等を行う。
基準面移動制御・アドレス検出部38は、トラッキングエラー信号TE-refに対するサーボ演算処理を施すことで、基準面用レーザ光のビームスポットを基準面Ref上の所定のピット列(A〜Fの何れか)に追従させるためのトラッキングサーボ信号TS-refを生成する。
なお、基準面アドレスAD_refの検出については、先の図9にて説明した手法により行えばよい。
基準面アドレスAD_refの検出のための構成については参考文献1や参考文献2に開示されたものと同様の構成を採ればよく、ここでの図示による説明は省略する。
基準面移動制御・アドレス検出部38で検出された基準面アドレスAD_refは、コントローラ45に供給される。
また、基準面移動制御・アドレス検出部38で生成されたトラッキングサーボ信号TS-refは、セレクタ41に供給される。
ここで、セレクタ41には、上記説明からも理解されるように、記録層用サーボ回路36による出力信号と基準面移動制御・アドレス検出部38による出力信号とが入力される。 このセレクタ41は、コントローラ45からの指示に基づき、これら2系統の入力信号のうち1つを択一的に出力する。
セレクタ41による出力信号は、2軸ドライバ42に供給される。
2軸ドライバ42は、セレクタ41による出力信号に基づくトラッキングドライブ信号TDを生成し、該トラッキングドライブ信号TDに基づき、2軸アクチュエータ21のトラッキングコイルを駆動する。
ここで、これまでの説明からも理解されるように、多層記録媒体1に対する記録/再生を行う際に対応して行われる位置制御の態様としては、以下の4つに大別できる。

・基準面シーク時
→スライド移動制御や基準面Ref上でのトラックジャンプ(ピット列ジャンプ)制御
・記録時(記録中:但しATSガイド用トラックの記録は除く)
→ATS(本例では任意ピッチスパイラル移動制御を伴う)
・記録層シーク(基準面シーク後に記録層用レーザ光を用いて行うシーク:補正シーク)時
→少なくとも記録層3上でのトラックジャンプ制御
・再生時(再生中)
→トラッキングサーボ信号TS-wrによるトラッキングサーボ制御(ATS・再生時用レーザ光を記録層3上のトラックに追従させるサーボ制御)
セレクタ41は、これら4つの各態様に応じて、2軸ドライバ43への出力信号を切り換えるために設けられたものとなる。
具体的に、セレクタ41は、記録時には、コントローラ45からの指示に基づき、ATSが実行されるべく記録層用サーボ回路36からの入力信号(トラッキングサーボ信号TS-wr)を選択するようにされる。
また再生時においても、コントローラ45からの指示に基づき、記録層用サーボ回路36からの入力信号(トラッキングサーボ信号TS-wr)を選択するようにされる。
また基準面シーク時には、コントローラ45からの指示に基づき、基準面移動制御・アドレス検出部38からの入力信号(トラックジャンプ信号等となる)を選択するようにされる。
さらに、記録層シーク時には、コントローラ45からの指示に基づき、記録層用サーボ回路36からの入力信号(トラックジャンプ信号等となる)を選択するようにされる。
このような切り換え制御が行われることで、上記の基準面シーク時、記録時、記録層シーク時、再生時の各場合に対応した態様による位置制御が実現される。
コントローラ45は、例えばCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリ(記憶装置)を備えたマイクロコンピュータで構成され、例えば上記ROM等に記憶されたプログラムに従った制御・処理を実行することで、記録再生装置10の全体制御を行う。
例えばコントローラ45は、基準面移動制御・アドレス検出部38より入力される基準面アドレスAD_refに基づいて基準面移動制御・アドレス検出部38に対する指示を行って、基準面用レーザ光のスポット位置を所定の基準面アドレスAD_refに移動させるシーク動作制御(基準面シーク動作制御)を行う。
またコントローラ45は、再生処理部35より入力される記録層アドレスAD_wrに基づいて記録層用サーボ回路36に対する指示を行って、ATS・再生時用レーザ光のスポット位置を所定の記録層アドレスAD_wrに移動させるシーク動作制御(記録層シーク動作制御)を行う。
なお先の説明からも理解されるように、コントローラ45は、上記基準面シーク動作制御時には、セレクタ41に基準面移動制御・アドレス検出部38からの入力信号を選択させ、上記記録層シーク動作制御時には、セレクタ41に記録層用サーボ回路36からの入力信号を選択させる。
またコントローラ45は、記録時に対応しては、ATSによるトラッキングサーボ制御が実行されるべく、セレクタ41に記録層用サーボ回路36からのトラッキングサーボ信号TS-wrを選択させる。
またコントローラ45は、再生時に対応しては、トラッキングサーボ信号TS-wrによるトラッキングサーボ制御が実行されるべく、セレクタ41に記録層用サーボ回路36からの入力信号を選択させる。
ここで、記録層3に対する記録開始時において、先の図6に示したようなガイド用トラックの形成が必要とされた場合は、基準面シークが行われた後に、該ガイド用トラックを形成してからATSをかけることになる。
このように基準面シーク後にガイド用トラックの形成が必要とされる場合、コントローラ45は、基準面シークの完了に応じ、基準面移動制御・アドレス検出部38、記録処理部31に対する指示を行って、所定のピッチによるスパイラルの記録を開始させる。
その後、所定周回数分のスパイラルの記録が進行したことに応じ、基準面移動制御・アドレス検出部38に対する指示を行って、スパイラルのピッチを狭めさせ、またこれと共にトラッキングエラー信号TE-wrの振幅についてのモニタを開始する。
このモニタの結果、トラッキングエラー信号TE-wrの振幅がトラッキングサーボの引き込みができるとみなすことのできる所定の態様で得られた(例えばゼロクロスなど)と判別されるに至った場合は、セレクタ41に対し、それまでのトラッキングサーボ信号TS-refの選択状態から、トラッキングサーボ信号TS-wrの選択状態への切り換えが行われるように指示を行う。
これにより、ATSによる記録が開始される。
また、記録開始にあたりガイド用トラックの形成が不要とされる場合(つまり既存のスパイラルの続き部分を記録する場合)、コントローラ45は、基準面シークの完了に応じて、ATSへのサーボ切り換えが行われるべく、セレクタ41に対し、それまでのトラッキングサーボ信号TS-refの選択状態からトラッキングサーボ信号TS-wrの選択状態に切り換えが行われるように指示を行う。そしてこの切り換えに応じてトラッキングサーボの引き込みが行われた後、必要に応じ、記録層用サーボ回路36に指示を行って記録層シーク動作を実行させ、所定の記録開始位置からの記録が開始されるようにする。
また、再生開始時には、コントローラ45は、基準面シークの完了に応じて、トラッキングサーボ信号TS-wrによるサーボ制御への切り換えが行われるべく、セレクタ41に対し、それまでのトラッキングサーボ信号TS-refの選択状態から、トラッキングサーボ信号TS-wrの選択状態に切り換えが行われるように指示を行う。そしてこの切り換えに応じてトラッキングサーボの引き込みが行われた後、必要に応じ、記録層用サーボ回路36に指示を行って記録層シーク動作を実行させ、所定の再生開始位置からの再生が開始されるようにする。
また、コントローラ45は、後の図16により示す処理を実行することで、第1の実施の形態としての調整動作を実現するが、これについては以下で詳述する。
[1-5.第1の実施の形態の記録手法]

ここで、本実施の形態では、上記のようにATSによる記録を行うものとした上で、記録トラックを追従するサーボ光(隣接トラックサーボ用スポットSatsを形成する光)によって、記録信号の品質を評価し、その結果に基づき記録パワーの調整を行う。
図15は、第1の実施の形態としての調整手法についての説明図である。
図15Aでは、ATSによる記録を開始した後、一定区間分の記録が進行した位置を実線で示している。
本実施の形態では、このようにATSによる記録を開始した後、一定区間分の記録が進行したことに応じて、図15Bに示すように、隣接トラックサーボ用スポットSatsによるβ値の測定を開始する。そして、このβ値の測定結果に基づき、記録用レーザ光のパワーを調整する。
ここで、上記では図示の都合から、記録開始直後の挙動のみを説明したが、本実施の形態では、一定区間分の記録が進行するごとに、上記のようなβ値の測定及び記録パワーの調整を行うものである。
ここで、ATSによる記録下では、記録の進行中において、隣接トラックサーボ用スポットSatsが最新の記録トラックの1本手前の記録トラックをトレースする。
このことで、記録を中断せず、リアルタイムに記録用スポットSwrが記録した信号の品質評価を行うことができ、その評価結果に基づき、リアルタイムに記録パワーの調整を行うことができる。
この結果、適宜記録を中断してβ値の測定を行う従来のウォーキングOPC(Optimum Power Control)を採用する場合のように、記録レートが低下してしまうという問題の発生を効果的に防止できる。
また、本実施の形態では、ATS光によって記録信号の品質評価を行うものとしているが、このATS光の照射/受光信号処理系は、記録を行わない再生専用の系となる。
このため、信号品質評価に通常の記録/再生系を用いる場合とは異なり、評価時に記録動作と再生動作との切り換え(特にデータパスの切り換え)を行う必要はなく、制御や回路構成が煩雑化してしまうことの防止が図られる。
ここで、本例では、記録パワーの調整処理を、具体的に次のように行う。
先ず、隣接トラックサーボ用スポットSatsを用いた記録品質の評価は、信号生成回路34で適宜測定(算出)されるβ値の区間平均値を用いて行うものとしている。
具体的にコントローラ45は、一定区間分の記録が進行するごとに、所定長の評価区間内で信号生成回路34から適宜取得されるβ値の平均値を、評価結果値として算出する。
なお確認のため述べておくと、このような区間平均値を用いることで、ノイズ耐性を高めることができる。
そして、記録パワーの調整は、上記のように算出したβ値の区間平均値と、予め設定された目標β値(目標値β_TG)との差分に応じて行う。具体的にコントローラ45は、算出したβ値の区間平均値と、目標値β_TGとの差分に応じて、発光駆動部32に現在設定中の記録パワー指示値を補正し、該補正後の記録パワー指示値を発光駆動部32に新たに設定する。
なお、上記「一定区間」の設定手法としては、種々考えられる。
例えば記録中において定常的に記録パワー補正が行われるようにするのであれば、該「一定区間」と上記「評価区間」の長さを同じとして、β値の区間平均値の算出処理が連続的に行われるようにすればよい。
また、処理負担の軽減等を図るとした場合には、β値の区間平均値の算出処理が離散的に行われるようにすべく、上記「一定区間」の長さを上記「評価区間」よりも長めに設定するものとすればよい。
例えば従来のウォーキングOPCでは記録パワーを補正する間隔が半径1mm程度ごとなどとされており、これに倣い、上記「一定間隔」を半径1mm程度に設定してもよい。
[1-6.処理手順]

図16は、上記により説明した第1の実施の形態としての調整手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
なお、この図16に示す処理は、図14に示したコントローラ45が例えば前述したROM等に格納されたプログラムに従って実行するものである。
またこの図に示す処理が実行されるにあたっては、既にATSによる記録が開始されているものとする。
図16において、図中のステップS101、及びステップS105の処理によっては、一定区間記録が進行するか、或いは全データの記録が完了したかの何れかの条件が成立するまで待機するようにされる。
ここで、ステップS101の処理において、一定区間の記録が進行したか否かは、再生処理部53で検出される記録層アドレスAD_wrの情報(つまり隣接トラックサーボ用スポットSatsの位置)に基づき判別できる。或いは、記録中のデータに付している記録層アドレスAD_wrの情報(つまり記録用スポットSwrの位置)に基づき判別することもできる。
またステップS105において、上記「全データ」とは、ホスト機器側からのライトコマンドで記録が指示された全データを意味するものである。
ステップS101において、一定区間記録が進行したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS102に進み、ATS光の受光信号に基づく記録信号品質評価を行う。具体的に本例では、前述した所定長の評価区間内で信号生成回路34から適宜取得されるβ値の平均値を、評価結果値として算出する。
ステップS102の評価処理を行った後は、ステップS103において、評価結果に基づき最適とされる記録パワーを算出する。具体的に本例では、ステップS102で算出したβ値の区間平均値と、予め設定された目標値β_TGとの差分に応じて、最適とされる記録パワーの値(記録パワー指示値)を算出する。
ステップS103で最適とされる記録パワーの算出を行った後は、ステップS104において、記録パワー設定更新処理を行う。すなわち、発光駆動部32に、ステップS103で算出した記録パワー指示値を新たに設定する。
ステップS104で記録パワー設定更新処理を行った後は、先のステップS101に戻る。これにより、全データの記録が完了するまでの間、一定区間ごとに記録信号品質の評価及びその評価結果に基づく記録パワーの補正が繰り返し実行されることになる。
ステップS105において、全データの記録が完了したとの肯定結果が得られた場合は、この図に示す処理動作は終了となる。
<2.第2の実施の形態>

続いて、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、記録中においてレーザパワーを複数点に振り、それらのパワー設定下で記録された信号の品質をそれぞれ評価した結果に基づき、記録パワーの補正を行うものである。
なお、第2の実施の形態の記録装置の構成は、第1の実施の形態の記録再生装置10と同様となることから、改めての図示による説明は省略する。第2の実施の形態では、コントローラ45が記録パワー調整のために実行する処理が第1の実施の形態の場合とは異なるものとなる。
図17は、第2の実施の形態としての調整手法についての説明図である。
先ず、第2の実施の形態では、記録中の記録パワー補正を行うとしたときは、図17Aに示すように、パワー摂動記録を開始する。具体的には、ライトコマンドで指示されたデータの記録中において、記録パワーを複数点に振るものである。
この場合のパワー摂動記録では、その開始直前の時点で設定中であった記録パワーを中心とした所定の振り幅で、記録パワーを複数点に振るものとする。
ここで、上記記録パワーの振り幅は、記録した信号の再生が不能となってしまうことがないよう、比較的小さな振り幅に設定する。
ATSによる記録下では、上記のようなパワー摂動記録を開始した後、ディスク1周後に隣接トラックサーボ用スポットSatsが該パワー摂動記録の開始位置に到達する。
このように隣接トラックサーボ用スポットSatsがパワー摂動記録開始位置に到達したことに応じて、該隣接トラックサーボ用スポットSatsにより、パワー摂動記録区間の信号品質評価を行う。そしてその結果に基づき、最適とされる記録パワーを求め、記録パワーの補正(更新)を行う。
この場合における最適とされる記録パワーの導出は、例えば次のようにして行う。
先ず、この場合も品質評価値としてはβ値を用いる。すなわち、それぞれのパワーを設定して記録を行った区間ごとに、β値を取得する。
このように各パワーごとのβ値を取得した上で、β値が目標値β_TGと一致する記録パワーを求める。その上で、該求めた記録パワーに対して所定の係数ρを乗じた値を、最適とされる記録パワーとするものである。
なお本例において、各パワーごとのβ値としては、そのパワーで記録を行った区間の区間平均値を用いる。
ここで、この場合のコントローラ45は、上記のような最適記録パワーの導出過程において、パワー摂動記録区間で取得したβ値が、どのパワーに対応するものであるかを把握できるようにするため、パワー摂動記録を行う際に、次の図18に示すような対応関係情報を作成するものとしている。
図18に示すように、この対応関係情報としては、パワー摂動記録の際に設定した各パワーの値と、そのパワーで記録を行った区間のアドレス情報(記録層用アドレスAD_wr)とを対応づけた情報となる。
このような対応関係情報を作成しておくことで、β値を取得した区間のアドレス情報に基づき、そのβ値に対応する記録パワーの値を知ることができる。
上記のような第2の実施の形態の調整手法によっても、第1の実施の形態の場合と同様に、記録を中断せずに記録パワーをリアルタイムに補正することができ、記録レートの低下を防止できる。
その上で第2の実施の形態では、記録パワーを変化させて実際に記録を行った結果に基づき記録パワーの補正を行うものとしている。
このような手法とすることで、より正確な記録パワー補正(つまり最適記録パワーとの乖離の補償)を実現できる。
図19は、上記により説明した第2の実施の形態としての調整手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
なお、この図19に示す処理は第2の実施の形態としての記録再生装置が備えるコントローラ45が例えば所定のROM等に格納されたプログラムに従って実行するものである。
ここで、この図19に示すフローチャートを始めとして以降で説明する各フローチャートにおいては、既に説明済みとなった処理と同様となる処理については同一のステップ番号を付して説明を省略する。
また、この図19に示す処理についても、その実行前に既にATSによる記録が開始されているものとする。
図19において、この場合も、ATSによる記録が開始された後には、ステップS101及びステップS105の処理によって、一定区間記録が進行するか、或いは全データの記録が完了したかの何れかの条件が成立するまで待機するようにされる。
そして、ステップS101にて一定区間記録が進行したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS201に進み、記録パワーを段階的に変化させると共に、各パワー設定下で記録された信号の品質を評価する。
すなわち、前述したパワー摂動記録として、本例の場合は、それまで設定中であった記録パワーを中心とした所定の振り幅で記録パワーが複数点に振られるように発光駆動部32に対する制御を行う。そして、この一方で、隣接トラックサーボ用スポットSatsがパワー摂動記録の開始位置に到達したことに応じ、信号生成回路34で得られるβ値の取得を開始する。つまりこれにより、各パワーで記録された信号ごとのβ値が取得される。
このとき、コントローラ45は、各パワーごとのβ値として、前述のようにそのパワーで記録を行った区間の区間平均値を計算する。
また、コントローラ45は、取得したβ値とパワーとの対応関係が把握可能となるように、上記のパワー摂動記録時において、設定パワーとそのパワーで記録を行った区間の記録層アドレスAD_wrの情報とを対応づけた前述の対応関係情報の生成を行う。この対応関係情報に基づき、各設定パワーと取得したβ値との対応関係を把握できる。
ステップS201の評価処理を実行した後は、ステップS202において、評価結果に基づき最適記録パワーを算出する。具体的に本例の場合は、ステップS201で得られた各パワーごとのβ値に基づき、β値が目標値β_TGと一致する記録パワーを求めた上で、該求めた記録パワーに対して所定の係数ρを乗じた値を、最適とされる記録パワーとして算出する。
ステップS202で最適記録パワーを算出した後は、ステップS104において記録パワー設定更新処理を実行した後、先のステップS101に戻る。
これにより、パワー摂動記録で記録した信号の品質評価結果に基づく記録パワーの補正が、一定区間ごとに繰り返し実行されることになる。
また、ステップS105において、全データの記録が完了したとの肯定結果が得られた場合は、この図に示す処理動作は終了となる。
<3.第3の実施の形態>

ここで、先の第1,第2の実施の形態では、多層記録媒体1に対しシングルスパイラル記録を行う場合を例示したが、以下、第3,第4の実施の形態では、多層記録媒体1に2本のスパイラルを同時記録するダブルスパイラル記録を行う場合について説明する。
具体的に、第3の実施の形態は、ダブルスパイラル記録を行う場合において、第1の実施の形態と同様の手法で記録中における記録パワー調整を行うものである。
[3-1.ダブルスパイラル記録手法について]

図20は、ダブルスパイラル記録を実現するための構成の概要を示している。
図示するように、この場合の記録再生装置には、それぞれが記録再生ヘッドとして機能する2つの光ピックアップOP#0、OP#1が設けられる。これら光ピックアップOP♯0、OP♯1は、それぞれ、前述の基準面用レーザ光、記録用レーザ光、及びATS・再生時用レーザ光を共通の対物レンズ20を介して多層記録媒体1に対して照射するように構成されている。
図20A、図20Bではそれぞれ多層記録媒体1の断面方向、平面方向における光ピックアップOP#0,OP#1の配置状態を示しているが、図のように本例では、光ピックアップOP#0,OP#1は、多層記録媒体1の中心に対して180°異なる回転角度位置に配置するものとしている(対向配置)。
これら光ピックアップOP#0,OP#1により、図20Aに示すスピンドルモータ30によって回転駆動される多層記録媒体1に対してそれぞれ独立して記録/再生を行うことが可能とされる。
ここで、以下の記録手法についての説明においては、光ピックアップOP♯1が照射する記録用レーザ光のビームスポットのことを、第1記録用スポットSwr♯1と表記する。
また、光ピックアップOP♯1が照射するATS・再生時用レーザ光のビームスポットのことを、第1ATSスポットSats♯1と表記する。
また、光ピックアップOP♯0が照射する記録用レーザ光のビームスポットについては第2記録用スポットSwr♯0と表記し、光ピックアップOP♯0が照射するATS・再生時用レーザ光のビームスポットについては第2ATSスポットSats♯0と表記する。
図21は、本実施の形態で前提とするダブルスパイラル記録手法についての説明図である。
この図21に示すように、本例では、第1記録用スポットSwr♯1によって記録された第1スパイラル(図中、黒色線)を対象として第2ATSスポットSats♯0によるトラッキングサーボがかけられ、且つ第2記録用スポットSwr♯0によって記録された第2スパイラル(図中、灰色線)を対象として第1ATSスポットSats♯1によるトラッキングサーボがかけられた状態で、第1記録用スポットSwr♯1と第2記録用スポットSwr♯0とによる記録を実行する。
すなわち、♯1側と♯0側とで、互いに他方の側が記録したスパイラルに対してトラッキングサーボをかけ合う(以下、ATSをかけ合うとも言う)ものである。
このように互いにATSをかけ合う状態とすることで、第1記録用スポットSwr♯1が形成する第1スパイラルと、第2記録用スポットSwr♯0が形成する第2スパイラルのピッチを一定に保ち続けることができる。
また、上記のように互いにATSをかけ合うようにすることで、両記録用スポットSwrで信号を記録中において、第1記録用スポットSwr♯1で書いた信号については第2ATSスポットSats♯0がこれをトレースし、第2記録用スポットSwr♯0で書いた信号については第1ATSスポットSats♯1がこれをトレースする状態を得ることができる。
図22〜図26を参照して、上記のようにATSを互いにかけ合う状態を得るための書き出し手法の例を説明する。
先ず、書き出し時には、図22に示すように、一方の光ピックアップOPにより、基準面サーボ制御下、疎ピッチで記録を開始する(<1>)。これは、前述のガイド用トラックの形成開始に相当するものである。
具体的に、一方の光ピックアップOPにおいて、基準面用レーザ光による対物レンズのトラッキングサーボ制御を実行しつつ、記録用スポットSwrによりデータ記録を開始する。
このとき、スポット位置ずれに伴う記録トラックの交差等の防止のため、ガイド用トラックのピッチは記録層3に設定されるトラックピッチTPよりも十分に大とする(疎ピッチ)。
なお、上記のようにガイド用トラックのピッチを基準面Refのトラックピッチに依存せず疎ピッチとするための手法は、先の図12等で説明した手法(可変トラックピッチ制御)と同様である。
ここで、本例においては、ガイド用トラックの記録を行う光ピックアップOPが、図のように光ピックアップOP♯1であるものとして以下の説明を続ける。
上記<1>により一方の光ピックアップOP側でガイド用トラックの記録を開始した後は、図23に示すように、一方の光ピックアップOP(♯1)が記録した最新周回トラック上に対して、他方の光ピックアップOP(♯0)のATSスポットSatsによるトラッキングサーボ(以下、Tサーボとも略称する)をかける。
ここで、前述のようにガイド用トラックは基準面サーボ制御下で記録されるので、該ガイド用トラックを記録している間は、基準面Refのアドレス情報(少なくとも半径位置情報)を得ることができる。この基準面Refのアドレス情報を参照することで、ガイド用トラックの最新周回位置(半径位置)を特定することができ、この特定された半径位置(基準面アドレス)を目標アドレスとして光ピックアップOP♯0側がシークを行うことで、該光ピックアップOP♯0により形成される第2ATSスポットSatsをガイド用トラックの最新周回位置近傍に位置させることができる。
ガイド用トラックへのトラッキングサーボの引き込みを行うにあたっては、上記の基準面シークの完了に応じて、光ピックアップOP♯0において、対物レンズについてのトラッキングサーボ制御状態(基準面用レーザ光の反射光に基づくトラッキングサーボ制御状態)を解除する。
このように基準面サーボをオフして第2ATSスポットSats♯0の反射光に基づき生成されるトラッキングエラー信号をモニタすると、ディスク偏芯等の影響で該第2ATSスポットSatsをガイド用トラックが横切ることに応じた振幅が得られる。このように振幅が得られたタイミングを捉えてトラッキングサーボの引き込みを行うことで、ガイド用トラックの最新周回トラック或いはその近傍のトラックに対してトラッキングサーボをかけることができる。
このように第2ATSスポットSats♯0によるトラッキングサーボがかかれば、ガイド用トラック上のアドレス情報を読むことで最新周回トラックであるか否かの判定ができる。最終周回トラックでなければトラックジャンプを行って最新周回トラックに移動する。
例えばこのような手法により、ガイド用トラックの最新周回トラックに対してATSとしてのTサーボがかけられた状態を得ることができる。
上記のように、光ピックアップOP♯1側が記録したガイド用トラックの最新周回トラックにトラッキングサーボがかけられた状態が得られれば、その状態にて、図24中の<3>と示すように第2記録用スポットSwr♯0による記録を開始することで、前述のように、該ガイド用トラック(第1スパイラル)に対して一定ピッチとなる第2スパイラルを形成していくことができる。
このように第2スパイラルの記録を開始した後は、図25に示されるように、他方の光ピックアップOP(OP♯0)側の記録開始角度と同角度に至った後、一方の光ピックアップOP(OP♯1)の記録用スポットSwr(Swr♯1)を他方の光ピックアップOP(OP♯0)の記録トラック側に幅寄せする(<4>)。
ここで、先に述べたように、基準面Refには、アドレス情報として絶対位置情報(半径位置情報及び回転角度情報)が記録されている。上記<4>の動作の実現にあたっては、先ず前提として、先の<3>により第2スパイラルの記録を開始したときの基準面Refのアドレス(少なくとも回転角度情報)を取得しておくことになる。
そして、光ピックアップOP♯1側の基準面用レーザ光の反射光を受光して検出される基準面Refのアドレス情報を参照し、該検出される基準面アドレスから特定される回転角度が、<3>で取得しておいた第2スパイラルの記録開始位置の回転角度と一致した以降に、幅寄せを開始する。
確認のため述べておくと、光ピックアップOP♯1側は先の<1>より基準面サーボ状態を継続しているので、上記のように基準面アドレスを読むことができる。
ここで、上記「幅寄せ」についても、先に説明した可変トラックピッチ制御により行うことができるものである。具体的には、トラッキングサーボループに対してオフセットを与えて、対物レンズを記録進行半径方向(半径方向において記録が進行する方向)とは逆側に強制的に移動させることで実現できる。
ここで、第2スパイラルの記録開始角度に至った以降に幅寄せを開始するものとしているのは、該記録開始角度に至る前に幅寄せを開始すると、第2スパイラルとのトラックの交差が生じてしまう虞があり、それを確実に防止するためである。
上記<4>により開始した幅寄せにより、一方の光ピックアップOP(OP♯1)のATSスポットSats(Sats♯1)が他方の光ピックアップOP(OP♯0)の記録トラックの近傍に至ったら、図26に示すように、Tサーボ引き込みを実行する(<5>)。
すなわち、光ピックアップOP♯1側において、第1ATSスポットSats♯1の反射光を受光して得られるトラッキングエラー信号の振幅をモニタし、該振幅が、トラッキングサーボの引き込みが可能なものとして予め定められた所定の態様(例えばゼロクロスなど)で得られたことに応じて、対物レンズについてのトラッキングサーボ制御を、それまでの基準面用レーザ光に基づくサーボ制御から、ATS・再生時用レーザ光に基づくトラッキングサーボ制御に切り換える。
これにより以降、光ピックアップOP♯1側についてもATS制御状態に移行することになる。
すなわち以降は、一定のピッチとされた第1スパイラルと第2スパイラルとのスパイラルセットを、一定のピッチで形成していくことができ、且つ、互いが記録した信号を互いにトレースし合う状態を得ることができる。
[3-2.第3の実施の形態の記録装置の構成]

図27は、上記のようなダブルスパイラル記録手法の実現を可能とする第3の実施の形態の記録再生装置(以下、記録再生装置50とする)の内部構成についての説明図である。
なおこの図27において、既にこれまでで説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
またこの図では、先の図20Aに示したスピンドルモータ30の図示は省略している。
図のように第3の実施の形態の記録再生装置50は、信号処理部46(先の図14にて一点鎖線で囲んだ部分)、及びスライド駆動部44、及び光ピックアップOPとして、それぞれ♯1側と♯0側の各2つを備える。
ここで、♯1側の信号処理部46については信号処理部46♯1、♯0側の信号処理部46は信号処理部46♯0と表記する。
また、♯1側のスライド駆動部44はスライド駆動部44♯1、♯0側のスライド駆動部44はスライド駆動部44♯0と表記する。
なお前述のように♯1側の光ピックアップOPは光ピックアップOP♯1、♯0側の光ピックアップOPは光ピックアップOP♯0である。
また確認のため述べておくと、信号処理部46は、先の図14にて説明した発光駆動部32,33、信号生成回路34、記録層用サーボ回路36、フォーカスドライバ37、基準面移動制御・アドレス検出部38、フォーカスエラー信号生成部39、フォーカスサーボ回路40、セレクタ41、2軸ドライバ42、及びスライドドライバ43で構成されるものである。
ここで、信号処理部46♯1と光ピックアップOP♯1との間、信号処理部46♯1とスライド駆動部44♯1との間、及び信号処理部46♯0と光ピックアップOP♯0との間、信号処理部♯0とスライド駆動部44♯0との間でそれぞれやりとりされる信号は、図14に示した信号処理部46と光ピックアップOPとの間、信号処理部46とスライド駆動部44との間でやりとりされる信号とそれぞれ同様となる。
また、記録再生装置50は、上記の構成に加え、記録処理部51、再生処理部52、及びコントローラ53も備える。
記録処理部51は、入力される記録データに基づき、♯1側の記録トラックとしての第1スパイラル、♯0側の記録トラックとしての第2スパイラルにそれぞれ記録されるべき記録信号WRS♯1、記録信号WRS♯0を生成する。
ここで、記録データを所定のデータ単位で順次分割して得られる各データを順にD0,D1,D2,D3,D4,D5・・・とすると、本例では、第1スパイラルにはD0,D2,D4・・・が順に記録され、第2スパイラルにはD1,D3,D5・・・が順に記録されるというように、第1スパイラルと第2スパイラルとに連続するデータが交互に配置されるように記録が行われるものとする。
このことに対応し、この場合の記録処理部51は、入力される記録データを所定のデータ単位で♯1側用のデータと♯0側用のデータとに交互に振り分け、それにより得られる♯1側用のデータ、♯0側用のデータのそれぞれについて、所定の記録変調符号化や記録層アドレスAD_wrの付加等を行って、♯1側用の記録信号WRS♯1、♯0側用の記録信号WRS♯0をそれぞれ生成する。
記録信号WRS♯1は、信号処理部46♯1内の発光駆動部32に、記録信号WRS♯0は信号処理部46♯0内の発光駆動部32にそれぞれ供給される。
再生処理部52には、信号処理部46♯1内の信号生成回路34で得られるRF信号(再生信号RF♯1とする)と、信号処理部46♯0内の信号生成回路34で得られるRF信号(再生信号RF♯0とする)とが入力される。
再生処理部52は、これら再生信号RF♯1と再生信号RF♯0とに基づき、前述の記録データを再生すると共に、記録層アドレスAD_wrの再生を行う。
具体的に本例では、再生信号RF♯1としてはD0,D2,D4・・・についての再生信号が得られ、再生信号RF♯0としてはD1,D3,D5・・・についての再生信号が得られるので、D0,D1,D2,D3,D4,D5・・・の正しい順で再生データが出力されるように再生処理を行う。
ここで、再生処理部52が再生信号RF♯1に基づき得た記録層アドレスAD_wrを記録層アドレスAD_wr♯1とし、再生信号RF♯0に基づき得た記録層アドレスAD_wrを記録層アドレスAD_wr♯0とする。
コントローラ53は、先のコントローラ45と同様に、CPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータで構成され、記録再生装置50の全体制御を行う。
このコントローラ53は、信号処理部46♯1,♯0のそれぞれに対し、コントローラ45が信号処理部46に対して行っていた制御と同様の制御を行う。すなわち、前述した基準面シーク動作制御や記録層シーク動作制御、セレクタ41の切り換え制御等である。
具体的にコントローラ53は、信号処理部46♯1内の基準面移動制御・アドレス検出部38で得られる基準面アドレスAD_ref(基準面アドレスAD_ref♯1)に基づき、該信号処理部46♯1内の基準面移動制御・アドレス検出部38に指示を行うことで、♯1側の基準面シーク動作を実現する。またコントローラ53は、記録層アドレスAD_wr♯1に基づき信号処理部46♯1内の記録層用サーボ回路36に対する指示を行うことで、♯1側の記録層シーク動作を実現する。
また、コントローラ53は、信号処理部46♯0内の基準面移動制御・アドレス検出部38で得られる基準面アドレスAD_ref(基準面アドレスAD_ref♯0)に基づき、該信号処理部46♯0内の基準面移動制御・アドレス検出部38に指示を行うことで、♯0側の基準面シーク動作を実現し、また記録層アドレスAD_wr♯0に基づき信号処理部46♯0内の記録層用サーボ回路36に対する指示を行うことで、♯0側の記録層シーク動作を実現する。
なおこの図では、コントローラ53から信号処理部46♯1,46♯0の内部の各部に配される制御線(例えば基準値移動制御部38や記録層用サーボ回路36、発光駆動部32等への制御線)を、それぞれ「CNT♯1」「CNT♯0」として包括的に表している。
ここで、この場合のコントローラ53は、書き出し時の制御として、ダブルスパイラル記録が実現されるべく、先の図22〜図26にて説明した動作が実行されるように制御を行う。この点についてはコントローラ45の場合と異なるものとなる。
また、コントローラ53は、信号処理部46♯1内の信号生成回路34が生成するβ値(評価値β♯1とする)、信号処理部46♯0内の信号生成回路34が生成するβ値(評価値β♯0とする)に基づき、♯1側の記録パワー調整、♯0側の記録パワー調整を行うが、これについては以下で詳述する。
[3-3.第3の実施の形態の調整手法]

図28は、第3の実施の形態としての調整手法についての説明図である。
この図28に示すように、第3の実施の形態では、先の図21にて説明したダブルスパイラル記録の実行中にあって、第1記録用スポットSwr♯1による記録トラックを第2ATSスポットSats♯0がトレースし、第2記録用スポットSwr♯0による記録トラックを第1ATSスポットSats♯1がトレースしている状態において、図中<1>と示すように、第1ATSスポットSats♯1によって♯0側の記録信号についてのβ値を測定し、その測定結果に基づき♯0側の記録パワーを補正する。
またこれと並行して、図中<2>と示すように、第2ATSスポットSats♯0によって♯1側の記録信号についてのβ値を測定し、その測定結果に基づき♯1側の記録パワーを補正する。
なお、♯0側、♯1側のそれぞれの記録パワー補正の具体的な手法としては、この場合も第1の実施の形態の場合と同様の手法を採ればよい。すなわち、評価対象とする信号について一定区間分の記録が進行するごとに、所定長の評価区間内で信号生成回路34から適宜取得されるβ値の平均値を算出し、該算出したβ値の区間平均値と、予め設定された目標β値(目標値β_TG)との差分に応じて、評価対象とする信号を記録する側の発光駆動部32に現在設定中である記録パワー指示値を補正し、該補正後の記録パワー指示値を当該発光駆動部32に新たに設定するものである。
上記のような第3の実施の形態の調整手法によれば、ダブルスパイラル記録を行う場合において、それぞれのスパイラルの記録を中断せずにリアルタイムに記録パワーの調整を行うことができ、結果、記録レートの低下防止が図られる。
[3-4.処理手順]

図29は、上記により説明した第3の実施の形態としての調整手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
なお、この図29に示す処理は、図27に示したコントローラ53が例えば前述したROM等に格納されたプログラムに従って実行するものである。
また、この図に示す処理が実行されるにあたっては、図21にて説明したダブルスパイラル記録が既に開始されているものとする。
ここで、以下の説明では、代表して♯0側の記録パワーを調整するための処理について説明するが、コントローラ53は、♯1側の記録パワーを調整するための処理も並行して行うものである。
図29において、先の図21にて説明したダブルスパイラル記録が開始された後には、図中のステップS101及びステップS105の処理によって、一定区間記録が進行するか、或いは全データの記録が完了したかの何れかの条件が成立するまで待機するようにされる。すなわち、♯0側の記録に関して、一定区間記録が進行するか、或いは全データの記録が完了したかの何れかの条件が成立するまで待機するものである。
ステップS101にて一定区間記録が進行したとの肯定結果が得られた場合は、ステップS301に進み、評価値β♯1に基づく記録信号品質評価を行う。具体的に本例では、前述した所定長の評価区間内にて信号処理部46♯1内の信号生成回路34から適宜取得される評価値β♯1の平均値を、評価結果値として算出する。
ステップS301の評価処理を行った後は、ステップS302において、評価結果に基づき最適とされる記録パワーを算出する。具体的にこの場合は、ステップS301で算出した評価値β♯1の区間平均値と、予め設定された目標値β_TGとの差分に応じて、最適とされる記録パワーの値(記録パワー指示値)を算出する。
ステップS302で最適とされる記録パワーの算出を行った後は、ステップS303において、♯0側の記録パワー設定更新処理を行う。すなわち、信号処理部46♯0内の発光駆動部32に、ステップS302で算出した記録パワー指示値を新たに設定する。
ステップS303で♯0側の記録パワー設定更新処理を行った後は、ステップS101に戻る。これにより、♯0側について、全データの記録が完了するまでの間、一定区間ごとに記録信号品質の評価及びその評価結果に基づく記録パワーの補正が繰り返し実行されることになる。
またステップS105において、全データの記録が完了したとの肯定結果が得られた場合は、この図に示す処理動作は終了となる。
ここで、上記では♯0側についての記録パワー調整処理のみを説明したが、コントローラ53は、この図に示した処理と並行して、♯1側についても同様の記録パワー調整処理を実行する。その処理内容は、図中に括弧書きで示したように、ステップS301の処理において評価値β♯1でなく評価値β♯0に基づく品質評価を行って、ステップS302で該評価値β♯0に基づく品質評価結果に基づき♯1側についての最適記録パワーの算出を行うようにし、またステップS303では♯1側の記録パワー設定更新処理を行うものとなる。
<4.第4の実施の形態>

第4の実施の形態は、ダブルスパイラル記録を行う場合において、先の第2の実施の形態と同様にパワー摂動記録した信号の品質を評価した結果に基づき記録パワー調整を行うものである。
なお、第4の実施の形態の記録再生装置の構成は、図27に示した記録再生装置50と同様となることから、改めての図示による説明は省略する。第4の実施の形態では、コントローラ53が記録パワー調整のために実行する処理が第3の実施の形態の場合とは異なるものである。
図30及び図31は、第4の実施の形態としての調整手法についての説明図である。
先ず図30において、第4の実施の形態では、先の図21に示したダブルスパイラル記録の実行中において、図中の<1-1><1-0>と示すように第1記録用スポットSwr♯1、第2記録用スポットSwr♯0のそれぞれが一定区間記録が進行したことに応じ、図中<2-1><2-0>と示すように、第1記録用スポットSwr♯1、第2記録用スポットSwr♯0のそれぞれによるパワー摂動記録を開始する。
そして、これらパワー摂動記録を開始した後、図31に示すように第1ATSスポットSats♯1が第2記録用スポットSwr♯0によるパワー摂動記録開始位置に、また第2ATSスポットSats♯0が第1記録用スポットSwr♯1によるパワー摂動記録開始位置に至ったことに応じ、第1ATSスポットSats♯1、第2ATSスポットSats♯0によるβ値の測定をそれぞれ開始する(図中<3-1><3-0>)。
その後、第1ATSスポットSats♯1によるβ値の測定結果に基づき、♯0側の記録パワーを補正し(図中<4-1>)、また第2ATSスポットSats♯0によるβ値の測定結果に基づき、♯1側の記録パワーを補正する(図中<4-0>)。
なおこの場合も、それぞれのパワー摂動記録においては、その開始直前の時点で設定中であった記録パワーを中心とした所定の振り幅で、記録パワーを複数点に振るものとする。
また、それぞれの記録パワー補正の具体的な手法としては、この場合も第2の実施の形態の場合と同様の手法を採ればよい。すなわち、各パワーごとのβ値を取得し、β値が目標値β_TGと一致する記録パワーを求める。その上で、該求めた記録パワーに対して所定の係数ρを乗じた値を、最適とされる記録パワーとし、該最適とされる記録パワーが調整対象とする側の発光駆動部32に設定されるようにするものである。
またこの場合も、パワー摂動記録区間において取得したβ値とパワーとの対応関係が把握可能となるように、コントローラ53は、パワー摂動記録時において、設定パワーとそのパワーで記録を行った区間の記録層アドレスAD_wrの情報とを対応づけた対応関係情報の生成を行うようにする。
上記のような第4の実施の形態の調整手法によれば、ダブルスパイラル記録を行う場合において、それぞれのスパイラルの記録を中断せずにリアルタイムに記録パワーの調整を行うことができ、記録レートの低下防止を図ることができると共に、第3の実施の形態に比べより正確な記録パワー補正を実現できる。
図32は、上記により説明した第4の実施の形態としての調整手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
なお、この図32に示す処理は、第4の実施の形態の記録再生装置が備えるコントローラ53が例えば所定のROM等に格納されたプログラムに従って実行するものである。
また、この図に示す処理が実行されるにあたっては、図21にて説明したダブルスパイラル記録が既に開始されているものとする。
ここで、以下の説明では代表して♯0側の記録パワーを調整するための処理について説明するが、この場合のコントローラ53としても、♯1側の記録パワーを調整するための処理を並行して行うものとなる。
図32において、先の図21にて説明したダブルスパイラル記録が開始された後には、図中のステップS101及びステップS105の処理によって、一定区間記録が進行するか、或いは全データの記録が完了したかの何れかの条件が成立するまで待機するようにされる。すなわち、♯0側の記録に関して、一定区間記録が進行するか、或いは全データの記録が完了したかの何れかの条件が成立するまで待機する。
ステップS101にて一定区間記録が進行したとの肯定結果が得られた場合は、ステップS401に進み、♯0側の記録パワーを段階的に変化させると共に、各パワー設定下で記録された信号について評価値β♯1に基づく品質評価を行う。
つまり本例の場合は、♯0側に関して先に説明したパワー摂動記録を実行させると共に、第1ATSスポットSats♯1が該パワー摂動記録の開始位置に至ったことに応じ評価値β♯1の取得を開始して、先に説明したように各パワーごとの評価値β♯1を得る。
ステップS401の評価処理を行った後は、ステップS202において、評価結果に基づき最適とされる記録パワーを算出する。具体的にこの場合は、ステップS401で得られた各パワーごとの評価値β♯1に基づき、評価値β♯1の値が目標値β_TGと一致する記録パワーを求めた上で、該求めた記録パワーに対して所定の係数ρを乗じた値を、♯0側についての最適とされる記録パワーの値(記録パワー指示値)として求めるものである。
ステップS202で最適とされる記録パワーの算出を行った後は、ステップS303において、♯0側の記録パワー設定更新処理を行う。すなわち、信号処理部46♯0内の発光駆動部32に、ステップS302で算出した記録パワー指示値を新たに設定する。
ステップS303で♯0側の記録パワー設定更新処理を行った後は、ステップS101に戻る。これにより、♯0側について、パワー摂動記録で記録した信号の品質評価結果に基づく記録パワーの補正が、一定区間ごとに繰り返し実行されることになる。
またステップS105において、全データの記録が完了したとの肯定結果が得られた場合は、この図に示す処理動作は終了となる。
なお、コントローラ53は、上記で説明した♯0側の記録パワー調整のための処理と並行して、♯1側についても同様の記録パワー調整処理を実行する。その処理内容は、図中に括弧書きで示したように、ステップS401の処理において♯1側の記録パワーを段階的に変化させ且つ評価値β♯0に基づく品質評価を行い、またステップS202で該評価値β♯0に基づく品質評価結果に基づき♯1側についての最適記録パワーの算出を行うようにし、またステップS303では♯1側の記録パワー設定更新処理を行うものとなる。
<5.変形例>

以上、本技術に係る実施の形態について説明してきたが、本技術はこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、記録レートの向上を図る上で、ダブルスパイラル記録を行う場合を例示したが、本技術は、3重以上のスパイラルを同時記録する場合にも好適に適用できるものである。
図33は、3重以上のスパイラルを同時記録する手法の具体例として、3つのスパイラルを同時記録する場合の手法を示している。
この図33に示すように、3重スパイラルを同時記録する場合は、記録用スポットSwrとATSスポットSatsの組を3組用いる。これらを図のように第1記録用スポットSwr♯1、第1ATSスポットSats♯1の組、第2記録用スポットSwr♯0、第2ATSスポットSats♯0の組、第3記録用スポットSwr♯2、第3ATSスポットSats♯2の組とおく。
3重スパイラルを同時記録するとした場合は、図のように、第1記録用スポットSwr♯1による記録トラックを第2ATSスポットSats♯0がトレースし、第2記録用スポットSwr♯0による記録トラックを第3ATSスポットSats♯2がトレースし、第3記録用スポットSwr♯2による記録トラックを第1ATSスポットSats♯1がトレースするように、各ATSスポットSatsについてのトラッキングサーボをかけつつ、第1記録用スポットSwr♯1、第2記録用スポットSwr♯0、及び第3記録用スポットSwr♯2による信号記録が行われるようにする。
換言すれば、♯1、♯0、♯2の全ての組のATSスポットSatsにより、それぞれ別の組の記録用スポットSwrによる記録トラックに重複なくトラッキングサーボがかけられた状態で、各記録用スポットSwrによるユーザデータの記録が実行されるようにするものである。
これにより、一定ピッチを有する3重スパイラルが一定ピッチによって形成されていくようにでき、且つ、形成される全てのスパイラルについて、対応するATSスポットSatsがトレースする状態を得ることができる。
ここで、図33に示す状態を得るための書き出し手法は、具体的には以下のようになる。
すなわち先ず、♯1の組が疎ピッチでガイド用トラックを形成する。
そして、♯0の組が、♯1の組が記録したガイド用トラックの最新周回トラックにTサーボをかけ、記録を開始する。
次いで、♯2の組が、♯0の組による記録トラックの最新周回トラックにTサーボをかけ、記録を開始する。
ここまでで、♯0の組及び♯2の組はATS制御状態となる。
その後、♯1の組が、♯2の組による記録トラックの側に幅寄せを行う。そして、♯2の組による記録トラックに対する引き込み可能範囲に至ったら、♯1の組がTサーボ引き込みを行う。
これにより、図33に示したように、♯1、♯0、♯2の全ての組のATSスポットSatsにより、それぞれ別の組の記録用スポットSwrによる記録トラックが重複なくトレースされる状態を得ることができる。
また、同時記録スパイラル数を3からさらに増加させて4以上とする場合は、ガイド用トラックの記録を担当する光ピックアップOP(対物レンズ)が幅寄せを開始するまでの間に、増加した分のビームの組が順次、その直前にATSをかけて記録を開始した組による記録トラックにATSをかけて記録を開始するようにすればよい。
具体的に、4重以上のスパイラルを同時記録するとした場合は、該4重以上のスパイラルを形成するために照射する4組以上の記録用レーザ光とATS・再生時用レーザ光の組について、それらの組の1つを第1の組、他の組を第2の組、さらに他の組を第mの組としたとき、以下のような手順を踏めばよい。
先ず、第1の組により、疎ピッチによるガイド用トラックの記録を開始する。
その後第2の組により、上記ガイド用トラックの最新周回トラックにATS・再生時用レーザ光によるトラッキングサーボをかけ、その後に記録用レーザ光による記録を開始する。
そして、上記第1、第2、第mの組以外の組については、順次、そのATS・再生時用レーザ光により、直前に既記録トラックの最新周回トラックにトラッキングサーボをかけて記録を開始した組による記録トラックの最新周回トラックに対してトラッキングサーボをかけ、その後に記録用レーザ光による記録を開始していく。
上記第1、第2、第m以外の組の全てが記録を開始した後は、上記第mの組により、その直前に既記録トラックの最新周回トラックにトラッキングサーボをかけて記録を開始した組の記録トラックの最新周回トラックに対してATS・再生時用レーザ光によるトラッキングサーボをかけ、その後に記録用レーザ光による記録を開始する。
そして、この第mの組による記録の開始の後、上記第1の組の対物レンズ20を記録進行半径方向とは逆側に移動させる(すなわちガイド用トラックのピッチを狭める)ことで該第1の組のビームスポットを上記第mの組による記録トラック側に幅寄せさせた後、この第mの組の記録トラックを対象として、第1の組のATS・再生時用レーザ光によるトラッキングサーボの引き込みを実行する。
このような手順を踏むことで、4重以上のスパイラルを記録する場合において、全ての組のATS・再生時用レーザ光によりそれぞれ別の組の記録用ビームによる記録トラックに重複なくトラッキングサーボがかけられた状態を得ることができる。換言すれば、同時記録される全スパイラルについて、それぞれのスパイラルに必ず1つのATS・再生時用レーザ光がトレースしている状態を得ることができる。
このように、3重以上のスパイラルを同時記録する場合にも、先に説明したダブルスパイラル記録の場合と同様に、形成される各スパイラルに、必ず1つのATS・再生時用レーザ光がトレースする状態を得ることができる。
従ってこの場合も、記録中において、各ATS・再生時用レーザ光によって対象とするスパイラルの記録信号についての品質評価をリアルタイムに行うことができ、その結果に基づき、各スパイラルを記録する記録用レーザ光についてのパワー調整を、記録を中断せずにリアルタイムに行うことができる。
なお、3重以上のスパイラルを同時記録する場合においても、パワー調整の具体的な手法としては第1の実施の形態の手法又は第2の実施の形態の手法の何れを採用することもできる。
また、これまでの説明では、記録パワー調整処理を記録が一定区間進行するごとに実行する場合を例示したが、例えば記録位置が所定の半径位置を超えたタイミングや、温度変化量が所定変化量以上となったタイミングで記録パワー調整処理を実行するなど、他の手法を採ることもできる。
また、これまでの説明では、本技術が記録パワーの調整に適用される場合を例示したが、本技術は記録パワーの調整以外にも、例えばライトストラテジ調整やチルト調整、球面収差補正値の調整など、記録光についての調整に広く好適に適用可能なものである。
また、これまでの説明では、記録対象とする光記録媒体が多層光記録媒体とされる場合を例示したが、本技術は記録層が単層である光記録媒体に対しても好適に適用できる。
また、本技術はディスク状の光記録媒体を対象とする以外にも、例えばカード型等の他の形状による光記録媒体を対象とする場合にも好適に適用できるものである。
また、本技術は以下に示す構成を採ることもできる。
(1)
光記録媒体に対して記録を行うための記録光と、該記録光の照射により上記光記録媒体に形成される記録トラックを対象として隣接トラックサーボとしてのトラッキングサーボをかけるためのサーボ光とを上記光記録媒体に照射すると共に、上記サーボ光の反射光を受光する光照射・受光部と、
上記記録光についての調整を行う調整部と、
上記光照射・受光部で得られる上記サーボ光についての受光信号に基づいて上記記録光により記録された信号の品質評価を行った結果に基づき、上記記録光についての調整値を求め、該調整値に基づく上記記録光の調整が為されるように上記調整部を制御する調整制御部と
を備える記録装置。
(2)
上記調整制御部は、
上記調整値を複数点に振った記録を実行させ、それらの調整値の設定下で記録された信号について品質評価を行った結果に基づき、上記記録光についての調整値を求める
上記(1)に記載の記録装置。
(3)
上記調整制御部は、
上記調整部に設定中であった調整値を中心として上記調整値を複数点に振る
上記(2)に記載の記録装置。
(4)
上記調整制御部は、
上記受光信号に基づき順次測定される評価値の平均値を上記品質評価の結果とする
上記(1)乃至(3)何れかに記載の記録装置。
(5)
上記光照射・受光部は、
上記記録光と上記サーボ光とを共通の対物レンズを介して所定のスポット間隔で照射するように構成されており、
上記サーボ光の照射スポットが上記記録光により形成された記録トラックに追従するように上記対物レンズのトラッキングサーボ制御が実行されることで、上記光記録媒体に対してシングルスパイラル記録が行われる
上記(1)乃至(4)何れかに記載の記録装置。
(6)
上記光照射・受光部は、
n個(nは2以上の自然数)の対物レンズを有し、それぞれn本の上記記録光及び上記サーボ光を生成すると共に、それぞれの上記対物レンズが、各1本の上記記録光及び上記サーボ光を所定のスポット間隔で上記光記録媒体に照射するように構成されており、
各上記記録光により形成された各記録トラックに、その記録光を照射する対物レンズとは別の対物レンズによって照射されるサーボ光の照射スポットがそれぞれ重複なく追従するように該サーボ光を照射する対物レンズについてのトラッキングサーボ制御が実行されて、上記光記録媒体にn本のスパイラルの同時記録が行われるものとされ、
上記調整部は、
各上記記録光のそれぞれについての調整を行うように構成され、
上記調整制御部は、
各上記サーボ光についての受光信号に基づいて、各上記記録光により記録された信号のそれぞれの品質評価を行った結果に基づき、各上記記録光についての調整値をそれぞれ求め、それら調整値に基づく各上記記録光の調整が為されるように上記調整部を制御する
上記(1)乃至(4)何れかに記載の記録装置。
(7)
上記調整部は上記記録光のパワーを調整するように構成され、上記調整値が上記記録光についてのパワー指示値とされる
上記(1)乃至(6)何れかに記載の記録装置。
1 多層記録媒体、2 カバー層、3 記録層、4 中間層、5 記録層形成領域、6 接着層、7 反射膜、8 基板、10,50 記録再生装置、11-1 記録用レーザ、11-2 ATS・再生時用レーザ、12,25 コリメートレンズ、13,26 偏光ビームスプリッタ、14 固定レンズ、15 可動レンズ、16 レンズ駆動部、17 ミラー、18,27 1/4波長板、19 ダイクロイックプリズム、20 対物レンズ、21 2軸アクチュエータ、22,28 集光レンズ、23 記録層用受光部、24 基準面用レーザ、29 基準面用受光、30 スピンドルモータ(SPM)、31,51 記録処理部、32,33 発光駆動部、34 信号生成回路、35,52 再生処理部、36 記録層用サーボ回路、37 フォーカスドライバ、38 基準面移動制御・アドレス検出部、39 フォーカスエラー信号生成部、40 フォーカスサーボ回路、41 セレクタ、42 2軸ドライバ、43 スライドドライバ、44,44♯0,44♯1 スライド駆動部、45,53 コントローラ、46,46♯0,46♯1 信号処理部、OP 光ピックアップ

Claims (8)

  1. 光記録媒体に対して記録を行うための記録光と、該記録光の照射により上記光記録媒体に形成される記録トラックを対象として隣接トラックサーボとしてのトラッキングサーボをかけるためのサーボ光とを上記光記録媒体に照射すると共に、上記サーボ光の反射光を受光する光照射・受光部と、
    上記記録光についての調整を行う調整部と、
    上記光照射・受光部で得られる上記サーボ光についての受光信号に基づいて上記記録光により記録された信号の品質評価を行った結果に基づき、上記記録光についての調整値を求め、該調整値に基づく上記記録光の調整が為されるように上記調整部を制御する調整制御部と
    を備える記録装置。
  2. 上記調整制御部は、
    上記調整値を複数点に振った記録を実行させ、それらの調整値の設定下で記録された信号について品質評価を行った結果に基づき、上記記録光についての調整値を求める
    請求項1に記載の記録装置。
  3. 上記調整制御部は、
    上記調整部に設定中であった調整値を中心として上記調整値を複数点に振る
    請求項2に記載の記録装置。
  4. 上記調整制御部は、
    上記受光信号に基づき順次測定される評価値の平均値を上記品質評価の結果とする
    請求項1に記載の記録装置。
  5. 上記光照射・受光部は、
    上記記録光と上記サーボ光とを共通の対物レンズを介して所定のスポット間隔で照射するように構成されており、
    上記サーボ光の照射スポットが上記記録光により形成された記録トラックに追従するように上記対物レンズのトラッキングサーボ制御が実行されることで、上記光記録媒体に対してシングルスパイラル記録が行われる
    請求項1に記載の記録装置。
  6. 上記光照射・受光部は、
    n個(nは2以上の自然数)の対物レンズを有し、それぞれn本の上記記録光及び上記サーボ光を生成すると共に、それぞれの上記対物レンズが、各1本の上記記録光及び上記サーボ光を所定のスポット間隔で上記光記録媒体に照射するように構成されており、
    各上記記録光により形成された各記録トラックに、その記録光を照射する対物レンズとは別の対物レンズによって照射されるサーボ光の照射スポットがそれぞれ重複なく追従するように該サーボ光を照射する対物レンズについてのトラッキングサーボ制御が実行されて、上記光記録媒体にn本のスパイラルの同時記録が行われるものとされ、
    上記調整部は、
    各上記記録光のそれぞれについての調整を行うように構成され、
    上記調整制御部は、
    各上記サーボ光についての受光信号に基づいて、各上記記録光により記録された信号のそれぞれの品質評価を行った結果に基づき、各上記記録光についての調整値をそれぞれ求め、それら調整値に基づく各上記記録光の調整が為されるように上記調整部を制御する
    請求項1に記載の記録装置。
  7. 上記調整部は上記記録光のパワーを調整するように構成され、上記調整値が上記記録光についてのパワー指示値とされる
    請求項1に記載の記録装置。
  8. 光記録媒体に対して記録を行うための記録光と、該記録光の照射により上記光記録媒体に形成される記録トラックを対象として隣接トラックサーボとしてのトラッキングサーボをかけるためのサーボ光とを上記光記録媒体に照射すると共に、上記サーボ光の反射光を受光する光照射・受光部と、上記記録光についての調整を行う調整部とを備える記録装置における調整方法であって、
    上記光照射・受光部で得られる上記サーボ光についての受光信号に基づいて上記記録光により記録された信号の品質評価を行った結果に基づき、上記記録光についての調整値を求め、該調整値に基づく上記記録光の調整が為されるように上記調整部を制御する
    調整方法。
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