ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション端末の構成:
(2)評価情報取得処理:
(3)評価情報表示処理:
(4)悪化原因案内処理:
(5)他の実施形態:
(1)ナビゲーション端末の構成:
図1は、車両に搭載された運転支援システムの構成を示すブロック図である。本実施形態において運転支援システムは、ナビゲーション端末10によって実現される。ナビゲーション端末10は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部20を備えており、ROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラムを実行可能である。当該ナビゲーションプログラムは、ナビゲーション端末の表示部に車両の現在位置が含まれる地図を表示し、運転者が指定した出発地から目的地までの走行予定経路を探索し、走行予定経路に沿って運転者を目的地まで案内する機能を制御部20に実現させるプログラムである。本実施形態において、当該ナビゲーションプログラムには、表示部に今回評価および過去評価を表示し、今回の走行において、過去評価が所定の評価レベルよりも悪い悪化区間に車両が接近した場合に当該悪化区間における燃費悪化の原因を案内する運転支援プログラム21が含まれている。
本実施形態にかかる車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とユーザI/F部44とを備えている。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための信号を示す信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の現在位置を取得する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ43は、車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両の向きに対応した信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の進行方向を取得する。車速センサ42およびジャイロセンサ43等は、車両の走行軌跡を特定するために利用され、本実施形態においては、車両の出発位置と走行軌跡とに基づいて現在位置が特定され、当該出発位置と走行軌跡とに基づいて特定された車両の現在位置がGPS受信部41の出力信号に基づいて補正される。
なお、制御部20は、車速センサ42が出力する信号に基づいて取得される車速に基づいて車両の加速度を取得することも可能である。制御部20は、当該車速および加速度が予め決められた判定条件に合致するか否かを判定することにより、車両において車両の燃費を悪化させる悪化原因が発生したか否かを判定することができる。なお、本実施形態においては、燃費を悪化させる走行ではない場合における車両の走行を経済走行と呼ぶ。
ユーザI/F部44は、運転者の指示を入力し、また運転者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネルディスプレイからなる表示部やスイッチ等の入力部、スピーカー等の音声出力部を備えている。ユーザI/F部44は制御信号を制御部20から受信し、各種案内を行うための画像をタッチパネルディスプレイに表示し、各種案内を行うための音声をスピーカーから出力する。
記録媒体30には地図情報30aが記録されている。地図情報30aは、車両が走行する道路の端点に対応するノードの位置等を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ等を含んでいる。また、本実施形態においては、車両が走行するたびに車両の燃費の評価を示す評価情報30bが記録される。本実施形態において評価情報30bは、単位区間内において経済走行をしていた割合を示す情報である。また、本実施形態においては、単位区間内において燃費の悪化原因が発生した場合に、当該悪化原因と悪化原因が発生していた状態で車両が走行した距離とを示す情報が評価情報30bに対応づけられて記録される。
なお、本実施形態において、目的地を設定して走行した状態で評価情報30bが記録される場合には、当該目的地と出発地とを示す情報が評価情報30bに対応付けられて記録される。また、本実施形態においては、予め想定された複数の走行シーンにおいて既定の悪化原因が発生した場合に燃費が悪化すると見なす構成となっており、複数の走行シーン毎に悪化原因が分類されている。すなわち、制御部20は、上述の車速センサ42の出力信号に基づいて取得される車速、加速度が、走行シーン毎に予め設定された判定条件に合致しているか否かを判定し、合致している場合にその走行シーンにおいて予め規定された悪化原因が発生したと見なし、当該走行シーンを示す情報と当該悪化原因が発生していた状態で車両が走行した距離とを評価情報30bに対応づけて記録する。
制御部20は、ナビゲーションプログラムに含まれる運転支援プログラム21を実行することにより、ユーザI/F部44の表示部に今回評価と過去評価とを含む地図を表示し、今回の走行において、過去評価が所定の評価レベルよりも悪い悪化区間に車両が接近した場合に当該悪化区間における燃費悪化の原因を案内する。この処理を実行するため、運転支援プログラム21は、今回走行履歴取得部21aと過去走行履歴取得部21bと悪化原因案内部21cとを備えている。
今回走行履歴取得部21aは、車両が走行する過程において後述する評価情報取得処理を実行し、単位区間(本実施形態においては、一定距離(例えば100m)の区間)毎の評価情報30bを取得し、記録媒体30に記録する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。また、今回走行履歴取得部21aは、当該評価情報30bに基づいて車両の今回の走行における燃費の評価を単位区間毎に示す今回評価を取得する機能を制御部20に実現させる。
評価情報取得処理においては、車両の車速センサ42の出力信号に基づいて取得される車速と加速度とのいずれかまたは双方と、走行シーン毎に規定された判定条件とを比較することによって悪化原因が発生したか否かが特定され、悪化原因が発生した場合には当該悪化原因を示す情報が評価情報30bに対応づけられる。なお、本実施形態においては、車両が「発進」、「加速」、「減速」、「巡航」、「高速走行」の各走行シーンである状態において悪化原因が発生したか否かを判定するように構成されており、各走行シーンについて予め判定条件が設定されている。当該評価情報取得処理の詳細は後述する。
本実施形態においては、運転者がナビゲーションプログラムの機能により、ユーザI/F部44を操作して目的地を設定し、当該目的地を設定した時点での車両の現在位置を出発地とし、当該出発地から目的地までの経路を探索して案内する。そして、現在において当該出発地から当該目的地まで走行している場合に、当該出発地から当該目的地までの走行を今回の走行とみなす。すなわち、今回走行した区間は、出発地が始点、現在位置が終点となる区間であり、車両の進行とともに車両が目的地に到達するまで今回走行した区間の総距離が大きくなる。目的地を設定した走行が行われ、車両が目的地に到達した場合、制御部20は、評価情報30bを記録する際に、出発地から目的地まで走行するまでの各単位区間についての評価情報30bと当該出発地および当該目的地とを対応付けて記録する。
以上のようにして取得された評価情報30bからは今回評価と過去評価とが生成される。制御部20は、今回走行履歴取得部21aの処理により、評価情報30bから、今回の走行に関する評価を今回評価として取得する。このために、制御部20は、出発地において車両の走行が開始された後、目的地に到達する以前において車両が今回走行した区間における単位区間毎の評価情報30bを取得する。そして、制御部20は、評価情報30bが示す単位区間毎の経済走行割合を所定の評価レベル(所定の閾値)と比較し、所定の評価レベル以上である場合に燃費の評価を「良」、当該点灯割合が所定の評価レベルよりも小さい場合に燃費の評価を「悪」とし、単位区間毎の今回評価とする。
なお、所定の評価レベルは、燃費の評価を行う際に決定されていればよく、本実施形態においては、運転者が予め設定した自身の運転技術に応じて設定される。すなわち、運転者はユーザI/F部44の入力部によって複数段階のレベルのいずれかを指定することで自身の運転技術を指定し、制御部20は、指定されたレベルが高いほど値が大きくなるように評価レベルとしての閾値を決定する。なお、本実施形態において、運転技術を示すレベルは初級、中級、上級の3段階である。
過去走行履歴取得部21bは、今回の走行よりも過去における車両の燃費の評価を単位区間毎に示す過去評価を取得する機能と、過去評価が所定の評価レベルよりも悪い単位区間である悪化区間の位置と、当該悪化区間における燃費悪化の原因である悪化原因を取得する機能とを制御部20に実現させるプログラムモジュールである。本実施形態において制御部20は、車両が今回の走行よりも過去に出発地と同一の地点から出発し、目的地と同一の地点まで走行した場合における一連の走行を過去評価の表示対象となる過去の走行と見なす。そして、制御部20は、過去の走行で車両が走行した区間の単位区間毎の評価を過去評価として取得する。
このために、制御部20は、評価情報30bから上述の今回の走行と同一の出発地、目的地が対応付けられた経済走行割合を示す情報を取得する。そして、制御部20は、経済走行割合と所定の評価レベル(所定の閾値)とを比較し、所定の評価レベル以上である場合に燃費の評価を「良」、当該点灯割合が所定の評価レベルよりも小さい場合に燃費の評価を「悪」とする。このように「悪」評価とされた単位区間が悪化区間であり、制御部20は、当該悪化区間を示す情報を図示しないメモリに記録する。なお、今回の走行と過去の走行とで出発地と目的地とが同一か否かを判定するためには、地点からの距離に所定のマージンを設け、例えば、距離が300m以内の2地点は同一と見なすような構成を採用可能である。また、過去に複数回に渡って、今回の走行と同一の出発地から同一の目的地まで走行した場合、各走行に際して記録された評価情報30bから単位区間毎に1個の情報を取得すれば良い。例えば、過去の走行のうち、最も現在に近い時刻にて走行した際の評価情報30bを取得する構成や、過去の走行のうち、最も評価が良い評価情報30bを単位区間毎に取得する構成等を採用可能である。
さらに、制御部20は、悪化区間における燃費の悪化の原因である悪化原因を取得する。本実施形態においては、評価情報30bに対応づけられた走行シーンを示す情報が悪化原因と等価であると見なして当該走行シーンを示す情報を取得する。すなわち、燃費が悪化しているか否かを判定するための判定条件は走行シーン毎に予め決められているため、走行シーンが特定されると、悪化原因が特定されることになる。
悪化原因案内部21cは、ユーザI/F部44の表示部に車両の現在位置とともに当該現在位置の周辺の地図を表示し、地図上に単位区間毎の今回評価および過去評価を表示する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。悪化原因案内部21cは当該今回評価および過去評価を表示する機能を制御部20に実現させながら、さらに、今回の走行において案内対象となる悪化区間に車両が接近した場合、当該悪化区間の悪化原因に対応した案内を行う機能を制御部20に実現させる。すなわち、制御部20は、GPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて車両の現在位置を特定し、車両の現在位置周辺における地図の表示範囲を特定し、当該表示範囲内の道路や施設等の情報を地図情報30aから抽出する。そして、制御部20は、車両の現在位置と当該現在位置の周辺における道路や施設等を示す地図を描画するための制御信号をユーザI/F部44の表示部に出力する。この結果、ユーザI/F部44の表示部は、車両の現在位置の周辺における道路や施設等を示す地図と、車両の現在位置を表示する。
さらに、制御部20は、悪化原因案内部21cの処理により、今回評価と過去評価とを地図上に描画するための制御信号をユーザI/F部44の表示部に出力する。この結果、ユーザI/F部44の表示部は、車両の現在位置の周辺の道路上に今回評価を示すアイコン(「良」あるいは「悪」を示すアイコン)と過去評価を示すアイコン(「良」あるいは「悪」を示すアイコン)とを表示する。
さらに、制御部20は、悪化原因案内部21cの処理により、案内対象となる悪化区間を特定する。すなわち、制御部20は、GPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて車両の現在位置を特定し、走行予定経路に沿った車両の前方に存在する最も近い悪化区間を案内対象として特定する。そして、制御部20は、案内対象の悪化区間の位置を取得する。
さらに、制御部20は、悪化原因案内部21cの処理により、案内対象となる悪化区間に車両が接近した場合に、当該悪化区間の悪化原因に対応した案内を行う。すなわち、制御部20は、車両の現在位置と案内対象の悪化区間の位置との距離が所定距離以下である場合、当該悪化区間の前記悪化原因に対応した案内を行う。本実施形態において悪化原因は、走行シーンを示す情報によって特定されるため、各走行シーンにおける燃費の悪化原因を解消するための音声案内を出力するための音声データが各走行シーンに対して対応づけられて予め記録媒体30に記録されている(図示せず)。
そこで、制御部20は、案内対象となる悪化区間に対応づけられた走行シーンを示す情報から出力すべき音声データを特定し、車両の現在位置と案内対象の悪化区間の位置との距離が所定距離以下となった場合に当該音声データをユーザI/F部44に対して出力する。この結果、案内対象の悪化区間の悪化原因を解消するための案内が出力される。
図5Aは、表示部に表示される地図の例を示しており、本例においては、実線の曲線によって示された道路R上に車両の現在位置を示すアイコンCが表示されている。また、図5Aに示す例においては、道路上に葉を模したアイコンによって燃費の評価を表示しており、実線のアイコンEtgによって「良」の今回評価、実線のハッチが付されたアイコンEtbによって「悪」の今回評価を示し、破線のアイコンEpgによって「良」の過去評価、破線のハッチが付されたアイコンEpbによって「悪」の過去評価(悪化区間であることを示す過去評価)を示している。なお、道路R上に記された太い線は今回の走行において出発地から目的地まで到達するための走行予定経路を示している。
さらに、図5Aは、車両の現在位置の前方に減速シーンでの悪化原因が発生していた悪化区間Z1が存在し、当該悪化区間Z1に車両が接近した場合の例である。この例において、制御部20は、車両の現在位置と悪化区間Z1の位置との距離が所定距離以下となった場合に、減速シーンの悪化原因を解消するための音声案内として「緩やかな減速を心がけましょう」という音声案内(図5Aに示す符号A)をユーザI/F部44のスピーカーに出力させる。この結果、悪化原因を解消するための運転を実行すべき段階で運転者が当該悪化原因を認識しているようにすることが可能であり、運転者は容易に燃費悪化の原因を解消することが可能である。
また、案内対象となる悪化区間に車両が接近した場合に当該悪化原因に対応した案内が行われるため、当該車両が当該悪化区間に到達するタイミングにて当該悪化原因が再発するか否かを運転者自身が容易に判断することができる。従って、当該悪化原因を解消するための運転操作を行うべきか否かを容易に判断することができる。例えば、過去の走行において、信号機の示す信号が赤であることに応じて車両を減速させる際に燃費の悪化原因が発生した場合を想定する。この場合において、今回の走行において信号機の示す信号が赤であって減速の必要があるのであれば、運転者は悪化原因を解消するための運転をすべきであると判断することができる。今回の走行において信号機の示す信号が青であって減速の必要がないのであれば、悪化原因を解消するための運転をする必要はない。
さらに、悪化原因は車両の過去の走行に基づいて特定されるため、運転者固有の燃費悪化原因を伝達することができる。このため、道路形状等から一般的に燃費向上のアドバイスを行うことが好ましいような地点であっても、運転者が当該地点において当該アドバイスに対応した悪化原因を過去の走行において発生させていなければ当該悪化原因は案内されず、運転者の運転傾向に適合した案内を行うことができる。
なお、本実施形態においては、悪化区間が連続している場合において、各悪化区間における悪化原因に対応した案内を行うことで運転中の運転者が理解困難な案内が行われることを防止するため、悪化区間が連続している場合、制御部20は、悪化原因案内部21cの処理により、連続している悪化区間の悪化原因の順列に対応した案内を行う。すなわち、制御部20は、案内対象となる悪化区間に対して走行予定経路の前方において隣接する単位区間が悪化区間であるか否かを判定する処理を、単位区間が悪化区間であると判定されなくなるまで続ける。この結果、案内対象となる悪化区間を起点として前方に連続する悪化区間が特定される。
さらに、制御部20は、案内対象となる悪化区間以降において連続する各悪化区間の悪化原因に対応する走行シーンを示す情報を取得する(詳細は後述)。本実施形態においては、悪化原因に対応した走行シーンの順列に対して各順列で悪化原因が発生した場合にこれらの悪化原因を解消するための音声案内を出力するための音声データが記録媒体30に記録されている
図示せず)。
そこで、制御部20は、当該走行シーンを示す情報の順列に対応づけられた音声データを特定し、車両の現在位置と案内対象の悪化区間の位置との距離が所定距離以下となった場合に当該音声データをユーザI/F部44に対して出力する。この結果、連続している悪化区間の悪化原因の順列に対応した複合的な悪化原因を解消するための案内が出力される。
図5Aに示す例において、区間Z2に存在する単位区間の過去評価は全て「悪」である。従って、区間Z2においては悪化区間が連続している。この場合、制御部20は、区間Z2に存在する悪化区間の全てについて悪化原因に対応する走行シーンを示す情報を取得し、走行シーンを示す情報の順列に対応づけられた音声データを特定する。そして、制御部20は、区間Z2の走行予定経路に沿って最も手前にある悪化区間の位置と車両の現在位置との距離が所定距離以下となった場合に、連続している悪化区間の悪化原因を解消するための音声案内をユーザI/F部44のスピーカーに出力させる。なお、図5Aに示す例においては、走行シーンを示す情報の順列が「減速」シーン、「発進」シーン、「加速」シーンである場合の例として、「緩やかな停止と発進を心がけましょう」(符号B)という音声案内の例を示している。
以上のように、本実施形態においては、案内対象となる悪化区間に他の悪化区間が連続して存在する場合に、連続している悪化区間の悪化原因の順列に対応した案内を行う構成を採用している。従って、全ての悪化区間の悪化原因に対応する案内を逐一行うことなく連続している悪化区間の悪化原因を運転者に伝達することができる。このため、図5Aに示す区間Z2のように、連続している悪化区間の数が多い場合であっても案内が複雑になることを防止することができ、運転者は燃費改善のための指示を容易に理解することが可能である。また、連続している悪化区間の悪化原因の順列に対応した案内を行う構成であるため、連鎖的に発生する燃費の悪化原因(先の悪化原因によって後の悪化原因が引き起こされる状況)を解消する案内を運転者に効果的に伝達することができる。
(2)評価情報取得処理:
次に、評価情報取得処理について詳細に説明する。図2は、評価情報取得処理のフローチャートであり、本実施形態において制御部20は、目的地を設定した走行が開始された後に今回走行履歴取得部21aによって評価情報取得処理を実行する。評価情報取得処理が実行される前に制御部20は、車両が単位区間の長さとして定義された一定距離を走行したか否かを判定するための累計距離と、車両が経済走行をした距離を特定するための経済走行距離と、車両が経済走行をしなかった距離を特定するための不経済走行距離とを示す変数を初期化する。なお、不経済走行距離は走行シーン毎に定義され、発進シーンでの不経済走行距離、加速シーンでの不経済走行距離、巡航(加速)シーンでの不経済走行距離、減速シーンでの不経済走行距離、巡航(減速)シーンでの不経済走行距離、高速走行シーンでの不経済距離が定義される。
評価情報取得処理が実行されると、制御部20は、車両の車速、加速度、現在位置を取得する(ステップS100)。すなわち、制御部20は、車速センサ42の出力情報に基づいて車速を特定し、車速の時間変化に基づいて加速度を取得する。さらに、制御部20は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43との出力信号に基づいて車両の現在位置を取得する。この結果、車両の位置毎の車速と加速度が特定される。
次に、制御部20は、走行距離を累計距離に加算する(ステップS105)。本実施形態において、ステップS100〜S180はループ処理となっており、ループ処理が繰り返される場合には一定の期間(例えば、100ms)毎にステップS100の処理が行われる。そこで、制御部20は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43との出力信号に基づいて、前回ステップS100が実行されてから今回ステップS100が実行されるまでの間に車両が走行した走行距離ΔLを特定し、累計距離に加算する。すなわち、制御部20は、ステップS100〜S180が繰り返されている間に車両が走行した総距離を示す値が累計距離となるように加算処理を行う。
次に、制御部20は、発進シーンでの悪化原因が発生したか否かを判定し(ステップS110)、発進シーンでの悪化原因が発生したと判定されない場合にはステップS115をスキップする。一方、ステップS110にて、発進シーンでの悪化原因が発生したと判定された場合、制御部20は、走行距離を発進シーンでの不経済走行距離に加算する(ステップS115)。すなわち、ステップS105にて累計距離に加算された上述の走行距離ΔLを発進シーンでの不経済走行距離に加算する。
なお、ステップS110においては、車両を発進させる際の燃費が基準の燃費よりも悪くなるような運転操作が発進シーンにおいて行われていたか否かを判定することができれば良く、本実施形態においては、当該判定を車速について予め規定された判定条件に基づいて実施する。すなわち、車両を発進させる際に過度の加速を行うとエネルギーが無駄に消費される。そこで、停止していると見なすことができる車両の車速が大きくなる発進シーンにおいて、車速の変化が急激である場合に発進シーンでの悪化原因が発生したと判定する構成等を採用可能である。具体的には、発進後の経過時間とともに大きくなる閾値を時刻毎に設定し、発進開始後の初期において時刻毎の車速が当該閾値を超える場合に発進シーンでの悪化原因が発生したと判定する構成や、単位時間あたりの車速の変化が所定の閾値を超える場合に発進シーンでの悪化原因が発生したと判定する構成等を採用可能である。
次に、制御部20は、加速シーンでの悪化原因が発生したか否かを判定し(ステップS120)、加速シーンでの悪化原因が発生したと判定されない場合にはステップS125をスキップする。一方、ステップS120にて、加速シーンでの悪化原因が発生したと判定された場合、制御部20は、走行距離を加速シーンでの不経済走行距離に加算する(ステップS125)。すなわち、ステップS105にて累計距離に加算された上述の走行距離ΔLを加速シーンでの不経済走行距離に加算する。
なお、ステップS120においては、車両を加速させる際の燃費が基準の燃費よりも悪くなるような運転操作が加速シーンにおいて行われていたか否かを判定することができれば良く、本実施形態においては、当該判定を車速および加速度について予め規定された判定条件に基づいて実施する。すなわち、車両を加速させる際に過度の加速を行うとエネルギーが無駄に消費される。また、車両が高速で走行している状態と低速で走行している状態とを比較すると、前者の方が後者よりも大きな加速度が必要とされるシーンが少ない。そこで、車速が大きいほど値が小さくなる閾値を予め定義しておき、車両の車速が大きくなる加速シーン(停止状態からの加速は除く)において、加速度が当該閾値を超えている場合に加速シーンでの悪化原因が発生したと判定する構成等を採用可能である。なお、閾値は、車速が大きくなるにつれて連続的に変化しても良いし段階的に変化しても良い。
次に、制御部20は、巡航シーンにおいて加速に伴う悪化原因が発生したか否かを判定し(ステップS130)、巡航シーンにおいて加速に伴う悪化原因が発生したと判定されない場合にはステップS135をスキップする。一方、ステップS130にて、巡航シーンにおいて加速に伴う悪化原因が発生したと判定された場合、制御部20は、走行距離を巡航シーンでの不経済走行距離に加算する(ステップS135)。すなわち、ステップS105にて累計距離に加算された上述の走行距離ΔLを巡航(加速)シーンでの不経済走行距離に加算する。なお、巡航シーンは、車両が一定範囲の車速で走行を継続しているシーンである。
また、ステップS130においては、車両を走行させる際の燃費が基準の燃費よりも悪くなるような加速操作が巡航シーンにおいて行われていたか否かを判定することができれば良く、本実施形態においては、当該判定を車速および加速度について予め規定された判定条件に基づいて実施する。すなわち、車両を巡航させる際に過度の加速を行うとエネルギーが無駄に消費される。そこで、制御部20は、車両が一定範囲の車速で走行する巡航走行を継続しているか否かを車速に基づいて判定し、巡航走行を継続している場合は、さらに、加速度が予め決められた閾値を超えている場合に巡航シーンでの悪化原因が発生したと判定する構成等を採用可能である。なお、巡航シーンにおいては、過度の加速のみならず過度の減速も燃費の悪化原因となるため、図2のステップS130,S135においては、巡航シーンにおいて加速されたことを判定していることを示すため、巡航(加速)シーンと表記し、S150,S155においては、巡航シーンにおいて減速されたことを判定していることを示すため、巡航(減速)シーンと表記している。
次に、制御部20は、減速シーンでの悪化原因が発生したか否かを判定し(ステップS140)、減速シーンでの悪化原因が発生したと判定されない場合にはステップS145をスキップする。一方、ステップS140にて、減速シーンでの悪化原因が発生したと判定された場合、制御部20は、走行距離を減速シーンでの不経済走行距離に加算する(ステップS145)。すなわち、ステップS105にて累計距離に加算された上述の走行距離ΔLを減速シーンでの不経済走行距離に加算する。
また、ステップS140においては、車両を減速させる際の燃費が基準の燃費よりも悪くなるような運転操作が減速シーンにおいて行われていたか否かを判定することができれば良く、本実施形態においては、当該判定を車速および加速度について予め規定された判定条件に基づいて実施する。すなわち、車両を減速させる際に過度の減速が行われた場合、減速前の車速に到達するための加速が無駄であったことになる。また、車両が高速で走行している状態と低速で走行している状態とを比較すると、前者の方が後者よりも過度に減速させた場合に無駄になるエネルギーが多い。そこで、減速させるための加速度である負の加速度について、車速が大きいほど大きくなる(負の範囲で絶対値が小さくなる)閾値を予め定義しておき、車両の車速が小さくなる減速シーンにおいて、加速度が当該閾値を下回る場合に減速シーンでの悪化原因が発生したと判定する構成等を採用可能である。なお、閾値は、車速が大きくなるにつれて連続的に変化しても良いし段階的に変化しても良い。
次に、制御部20は、巡航シーンにおいて減速に伴う悪化原因が発生したか否かを判定し(ステップS150)、巡航シーンにおいて減速に伴う悪化原因が発生したと判定されない場合にはステップS155をスキップする。一方、ステップS150にて、巡航シーンにおいて減速に伴う悪化原因が発生したと判定された場合、制御部20は、走行距離を巡航シーンでの不経済走行距離に加算する(ステップS155)。すなわち、ステップS105にて累計距離に加算された上述の走行距離ΔLを巡航(減速)シーンでの不経済走行距離に加算する。
また、ステップS150においては、車両を走行させる際の燃費が基準の燃費よりも悪くなるような減速操作が巡航シーンにおいて行われていたか否かを判定することができれば良く、本実施形態においては、当該判定を車速および加速度について予め規定された判定条件に基づいて実施する。すなわち、車両を巡航させる際に過度の減速を行うと減速前の速度に加速させるためのエネルギーが無駄であったことになる。そこで、制御部20は、車両が一定範囲の車速で走行する巡航走行を継続しているか否かを車速に基づいて判定し、巡航走行を継続している場合は、さらに、加速度が予め決められた閾値を下回る場合に巡航シーンでの悪化原因が発生したと判定する構成等を採用可能である。
次に、制御部20は、高速走行シーンでの悪化原因が発生したか否かを判定し(ステップS160)、高速走行シーンでの悪化原因が発生したと判定されない場合にはステップS165をスキップする。一方、ステップS160にて、高速走行シーンでの悪化原因が発生したと判定された場合、制御部20は、走行距離を高速走行シーンでの不経済走行距離に加算する(ステップS165)。すなわち、ステップS105にて累計距離に加算された上述の走行距離ΔLを高速走行シーンでの不経済走行距離に加算する。
また、ステップS160においては、車両を走行させる際の燃費が基準の燃費よりも悪くなるような運転操作が高速走行シーンにおいて行われていたか否かを判定することができれば良く、本実施形態においては、当該判定を車速について予め規定された判定条件に基づいて実施する。すなわち、車速を過度に大きくすると、過度にエネルギーを消費する。そこで、制御部20は、車両の車速が予め決められた閾値を超えている場合に高速走行シーンでの悪化原因が発生したと判定する構成等を採用可能である。
次に、制御部20は、悪化原因が発生しなかったか否かを判定する(ステップS170)。すなわち、ステップS110〜S160で判定したような各走行シーンでの悪化原因のいずれも発生していなかった場合、制御部20は、ステップS105にて取得された走行距離ΔLを走行する過程において、悪化原因が発生しなかったと見なす。このため、制御部20は、ステップS115,S125,S135,S145,S155,S165において各走行シーンの不経済走行距離が加算されなかった場合に、悪化原因が発生しなかったと見なす。そして、ステップS170において、悪化原因が発生しなかったと判定された場合、制御部20は、走行距離を経済走行距離に加算する(ステップS175)。すなわち、ステップS105にて累計距離に加算された上述の走行距離ΔLを経済走行距離に加算する。一方、テップS170において、悪化原因が発生しなかったと判定されなかった場合、ステップS175はスキップされる。
次に、制御部20は、累計距離が一定距離以上になったか否かを判定し(ステップS180)、ステップS180にて累計距離が一定距離以上になったと判定されるまでステップS100以降の処理を繰り返す。すなわち、制御部20は、累計距離が、単位区間の距離として予め定義された一定距離以上になった場合に、車両が単位区間を走行したと見なしてステップS100〜S180のループ処理を抜けることになる。
ステップS180にて、累計距離が一定距離以上になったと判定された場合、制御部20は、経済走行割合を経済走行距離/累計距離に設定する(ステップS185)。次に、制御部20は、経済走行割合および走行シーン毎の不経済走行距離を、累計距離の計測対象となった単位区間に対応付けて評価情報30bとして記録媒体30に記録する(ステップS190)。以上の処理によれば、単位区間毎の評価情報30bを記録媒体30に記録することができる。なお、車両の目的地が設定された状態で評価情報取得処理が実行された場合、制御部20は、ステップS190において、目的地と出発地とを示す情報を評価情報30bに対応付けて記録する。
(3)評価情報表示処理:
次に、評価情報表示処理について詳細に説明する。図3は、評価情報表示処理のフローチャートであり、本実施形態においては、運転者によって目的地が設定され、今回の走行の出発地および目的地と同一の出発地および目的地であった過去の走行についての評価情報30bが存在する場合に当該評価情報表示処理が実行される。また、制御部20は、ユーザI/F部44の表示部において所定の期間毎に地図表示を更新しており、当該更新のたびに当該評価情報表示処理が実行される。
ステップS200〜S230は過去評価を地図上に表示するためのループ処理であり、制御部20は、悪化原因案内部21cおよび過去走行履歴取得部21bの処理により、まず、過去評価の表示対象から処理対象の単位区間を選択する(ステップS200)。すなわち、制御部20は、悪化原因案内部21cの処理により、ユーザI/F部44の表示部に表示されている地図の範囲を特定する。さらに、制御部20は、過去走行履歴取得部21bの処理により、今回の走行における出発地および目的地と同一の出発地および目的地が対応付けられた評価情報30bを抽出する。さらに、制御部20は、悪化原因案内部21cの処理により、抽出された評価情報30bに対応付けられた単位区間からユーザI/F部44の表示部に表示されている地図の範囲に含まれる単位区間を表示対象として特定する。そして、表示対象の単位区間の中から過去評価を表示する処理を行っていない単位区間を処理対象の単位区間として選択する。
次に、制御部20は、過去走行履歴取得部21bの処理により、処理対象の単位区間の過去の評価情報を取得する(ステップS205)。すなわち、処理対象の単位区間の過去の走行における経済走行割合を取得する。次に、制御部20は、過去走行履歴取得部21bの処理により、処理対象の単位区間の過去の走行における経済走行割合が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS210)。ステップS210で経済走行割合が所定の閾値以上であると判定された場合、制御部20は、過去走行履歴取得部21bの処理により、処理対象の単位区間の過去評価を「良」に設定する(ステップS215)。また、ステップS210で経済走行割合が所定の閾値以上であると判定されない場合、制御部20は、過去走行履歴取得部21bの処理により、処理対象の単位区間の過去評価を「悪」に設定する(ステップS220)。なお、経済走行割合と比較される所定の閾値は上述の所定の評価レベルである。
次に、制御部20は、悪化原因案内部21cの処理により、処理対象の単位区間の過去評価を表示する(ステップS225)。すなわち、制御部20は、処理対象の単位区間の過去評価に対応したアイコンを当該単位区間に描画するための信号をユーザI/F部44の表示部に対して出力する。この結果、ユーザI/F部44の表示部は、処理対象の単位区間の過去評価に対応したアイコンを表示する。なお、ステップS220において「悪」評価とされた単位区間が悪化区間となる。
次に、制御部20は、悪化原因案内部21cの処理により、表示対象の単位区間の過去評価を表示済であるか否かを判定する(ステップS230)。すなわち、制御部20は、ステップS200にて特定された表示対象の単位区間の全てについて過去評価を表示したか否かを判定する。ステップS230にて、表示対象の単位区間の過去評価を表示済であると判定されない場合、ステップS200以降の処理を繰り返す。一方、ステップS230にて表示対象の単位区間の過去評価を表示済であると判定された場合、ステップS235以降で今回評価を表示するための処理を行う。表示対象の単位区間の過去評価を表示した時点では、図5Aに示す実線のアイコンEtg,Etb(今回評価を示すアイコン)は表示されておらず、破線で示すアイコンEpg,Epb(過去評価を示すアイコン)が表示された状態となる。なお、今回の走行と過去の走行とで経路が同一である場合、車両の現在位置よりも後方の単位区間においても過去評価が表示されるが、ステップS235以降の処理によって同一の単位区間上に今回評価が表示される場合には、今回評価が優先的に表示される。
ステップS235〜S265は今回評価を地図上に表示するためのループ処理であり、制御部20は、悪化原因案内部21cおよび今回走行履歴取得部21aの処理により、まず、今回評価の表示対象から処理対象の単位区間を選択する(ステップS235)。すなわち、制御部20は、悪化原因案内部21cの処理により、ユーザI/F部44の表示部に表示されている地図の範囲を特定する。さらに、制御部20は、今回走行履歴取得部21aの処理により、今回の走行の過程で記録媒体に記録された評価情報30bに対応付けられた単位区間からユーザI/F部44の表示部に表示されている地図の範囲に含まれる単位区間を表示対象として特定する。そして、表示対象の単位区間の中から今回評価を表示する処理を行っていない単位区間を処理対象の単位区間として選択する。
次に、制御部20は、今回走行履歴取得部21aの処理により、処理対象の単位区間の今回の評価情報を取得する(ステップS240)。すなわち、処理対象の単位区間の今回の走行における経済走行割合を取得する。次に、制御部20は、今回走行履歴取得部21aの処理により、処理対象の単位区間の今回の走行における経済走行割合が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS245)。ステップS245で経済走行割合が所定の閾値以上であると判定された場合、制御部20は、今回走行履歴取得部21aの処理により、処理対象の単位区間の今回評価を「良」に設定する(ステップS250)。また、ステップS245で経済走行割合が所定の閾値以上であると判定されない場合、制御部20は、今回走行履歴取得部21aの処理により、処理対象の単位区間の今回評価を「悪」に設定する(ステップS255)。なお、経済走行割合と比較される所定の閾値はステップS210における所定の閾値と同一である。
次に、制御部20は、悪化原因案内部21cの処理により、処理対象の単位区間の今回評価を表示する(ステップS260)。すなわち、制御部20は、処理対象の単位区間の今回評価に対応したアイコンを当該単位区間に描画するための信号をユーザI/F部44の表示部に対して出力する。この結果、ユーザI/F部44の表示部は、処理対象の単位区間の今回評価に対応したアイコンを表示する。
次に、制御部20は、悪化原因案内部21cの処理により、表示対象の単位区間の今回評価を表示済であるか否かを判定する(ステップS265)。すなわち、制御部20は、ステップS235にて特定された表示対象の単位区間の全てについて今回評価を表示したか否かを判定する。ステップS265にて、表示対象の単位区間の今回評価を表示済であると判定されない場合、ステップS235以降の処理を繰り返す。一方、ステップS265にて表示対象の単位区間の今回評価を表示済であると判定されると、制御部20は、評価情報表示処理を終了する。本実施形態において、同一の単位区間上に今回評価が表示される場合には、今回評価が優先的に表示されるため、表示対象の単位区間の今回評価が表示されると、図5Aに示す例のように、車両の現在位置以前に車両が走行した区間には実線で今回評価のアイコンEtg,Etbが表示される。また、ステップS235〜S265の処理においては車両の現在位置よりも前方の区間に今回評価は表示されないため、当該車両の現在位置よりも前方の区間においては破線で過去評価のアイコンEpg,Epbが表示される。
(4)悪化原因案内処理:
次に、悪化原因案内処理について詳細に説明する。図4は、悪化原因案内処理のフローチャートである。本実施形態において制御部20は、評価情報表示処理が終了した後に悪化原因案内部21cの処理により、悪化原因案内処理を実行する。悪化原因案内処理の実行が開始されると、制御部20は、連続している悪化区間に存在する異なる悪化原因の数を測定し、また、悪化原因を特定するための配列[悪化原因数、悪化原因]と、連続している悪化区間を特定するための区間番号とを初期化する(S300)。なお、ここで配列[悪化原因数、悪化原因]の初期値は[0,0]であり、区間番号の初期値は1である。また、区間番号の初期値である1は、案内対象の悪化区間を示す番号であり、以後、区間番号n(nは2以上の自然数)は区間番号n−1に対して車両の走行予定経路に沿って前方に隣接する単位区間を示す番号となる。
次に、制御部20は、案内対象の悪化区間を取得する(ステップS305)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、走行予定経路に沿って車両の現在位置より前方に存在する、過去評価が所定の評価レベルよりも悪い悪化区間を検出する。そして、車両の現在位置に最も近い悪化区間を案内対象として特定する。次に、制御部20は、案内対象の悪化区間まで所定距離以下であるか否かを判定する(ステップS310)。すなわち、制御部20は、案内対象の悪化区間の位置と車両の現在位置との距離を特定し、当該距離が所定距離以下であるか否かを判定する。ステップS310において制御部20は、案内対象の悪化区間まで所定距離以下であると判定されるまで待機し、案内対象の悪化区間まで所定距離以下であると判定されると、案内を行うためにステップS315以降の処理を実行する。
次に、制御部20は、案内対象の悪化区間の悪化原因を取得する(ステップS315)。すなわち、制御部20は、悪化区間の評価情報30bを参照し、走行シーン毎の不経済走行距離を特定する。当該走行シーンの不経済走行距離は、各走行シーンでの悪化原因が発生していた状態で車両が悪化区間内を走行した累計距離を走行シーン毎に示している。そこで、制御部20は、走行シーン毎の不経済走行距離を比較し、最も距離が長い走行シーンを選択する。そして、制御部20は、選択された走行シーンでの悪化原因が当該悪化区間の悪化原因であると見なす。
次に、制御部20は、上述の配列において悪化原因数をインクリメントし、悪化原因に対してステップS315で取得された悪化原因を示す数値を代入して当該配列を更新する(ステップS320)。すなわち、ステップS305の判定を経てステップS310にて案内対象の悪化区間が特定されると、配列において悪化原因数が1とされる。また、当該1個目の悪化原因数に対応する悪化原因を示す数値が配列に代入される。悪化原因を示す数値は走行シーン毎に予め決められていれば良く、ここでは、発進シーン、加速シーン、巡航(加速)シーン、減速シーン、巡航(減速)シーン、高速走行シーンのそれぞれを示す数値が1、2、3、4、5、6である例を説明する。
次に、制御部20は、区間番号をインクリメントし(ステップS325)、区間番号が示す単位区間が悪化区間であるか否かを判定する(ステップS330)。すなわち、直前に処理対象とされていた単位区間に対して走行予定経路の前方において隣接する単位区間が悪化区間であるか否かを判定する。ステップS330において、区間番号が示す単位区間が悪化区間であると判定された場合、制御部20は、悪化区間が連続している場合の処理を行うためにステップS335以降の処理を実行する。一方、ステップS330において、区間番号が示す単位区間が悪化区間であると判定されない場合、制御部20は、悪化区間が連続している場合の処理を行うことなくステップS350以降の処理を実行する。
図5B、図5C、図5Dは、単位区間Zp1〜Zp5に過去評価が表示されている例を示している。図5Bに示す例においては単位区間Zp1〜Zp5が悪化区間であり、図5Cに示す例においては単位区間Zp1が悪化区間であり、単位区間Zp2〜Zp5は悪化区間でない。図5Dに示す例においては単位区間Zp1,Zp2が悪化区間であり、単位区間Zp3〜Zp5は悪化区間でない。図5Bに示す例において、車両が悪化区間Zp1に接近すると、ステップS305において悪化区間Zp1が案内対象の悪化区間として取得され、ステップS315において悪化区間Zp1の悪化原因が減速シーンでの悪化原因であることが取得される。この結果、ステップS320においては悪化原因数が1とされ、悪化原因に減速シーンを示す4が代入される。そして、ステップS325において区間番号が2とされ、ステップS330において区間番号2である単位区間Zp2が悪化区間であると判定される。従って、図5Bに示す例においては、悪化区間が連続している場合の処理を行うためにステップS335以降の処理が実行される。図5Dに示す例においても、単位区間Zp1,Zp2の評価および悪化原因は図5Bと同様であるため、車両が悪化区間Zp1に接近すると、悪化原因数が1とされ、悪化原因に減速シーンを示す4が代入された後に区間番号が2とされて、悪化区間が連続している場合の処理を行うためにステップS335以降の処理が実行される。
一方、図5Cに示す例において、車両が悪化区間Zp1に接近すると、ステップS305において悪化区間Zp1が案内対象の悪化区間として取得され、ステップS315において悪化区間Zp1の悪化原因が減速シーンでの悪化原因であることが取得される。この結果、ステップS320においては悪化原因数が1とされ、悪化原因に減速シーンを示す4が代入される。そして、ステップS325において区間番号が2とされ、ステップS330において区間番号2である単位区間Zp2が悪化区間ではないと判定される。従って、図5Cに示す例においては、悪化区間が連続している場合の処理を行うことなくステップS350以降の処理が実行される。
次に、ステップS335以降の処理を説明する。この処理において、制御部20は、区間番号が示す単位区間の悪化原因を取得する(ステップS335)。すなわち、制御部20は、区間番号が示す悪化区間の評価情報30bを参照し、走行シーン毎の不経済走行距離を特定する。また、制御部20は、走行シーン毎の不経済走行距離を比較し、最も不経済走行距離が長い走行シーンを選択する。そして、制御部20は、選択された走行シーンでの悪化原因が当該悪化区間の悪化原因であると見なす。
次に、制御部20は、区間番号が示す単位区間と区間番号−1が示す単位区間とで悪化原因が同一であるか否かを判定する(ステップS340)。すなわち、制御部20は、隣接する単位区間で悪化原因が同一であるか否かを判定する。そして、ステップS340において、区間番号が示す単位区間と区間番号−1が示す単位区間とで悪化原因が同一であると判定されない場合、制御部20は、上述の配列において悪化原因数をインクリメントし、悪化原因に対してステップS335で取得された悪化原因を示す数値を代入して当該配列を更新する(ステップS345)。すなわち、隣接する単位区間で悪化原因が異なる場合、配列において悪化原因数が1増加し、新たな悪化原因を示す数値が配列に代入される。
一方、ステップS340において、区間番号が示す単位区間と区間番号−1が示す単位区間とで悪化原因が同一であると判定された場合、制御部20は、ステップS345をスキップする。すなわち、隣接する単位区間で悪化原因が同一である場合、配列は更新しない。そして、ステップS340あるいはステップS345の処理の後、ステップS325以降の処理を繰り返す。すなわち、ステップS325において区間番号がインクリメントされ、ステップS330において区間番号が示す単位区間が悪化区間であると判定されなくなるまでステップS335以降の処理が繰り返される。このため、案内対象の悪化区間の前方において単位区間が悪化区間でなくなるまで配列を更新するための処理が繰り返される。
具体的には、図5Bに示す例において、区間番号が2である状態でステップS335が実行されると減速シーンでの悪化原因が発生していたと見なされ、ステップS340において、区間番号2が示す単位区間Zp2と区間番号1が示す単位区間Zp1とで悪化原因は同一(双方とも減速シーンでの悪化原因)であると判定される。
一方、図5Bに示す例において、区間番号が3である状態でステップS335が実行されると発進シーンでの悪化原因が発生していたと見なされ、ステップS340において、区間番号3が示す単位区間Zp3と区間番号2が示す単位区間Zp2とで悪化原因は同一でない(単位区間Zp2は減速シーン、単位区間Zp3は発進シーンでの悪化原因)と判定される。従って、この場合、配列は更新され、悪化原因数がインクリメントされて2になるとともに、悪化原因には発進シーンを示す1が代入される。この結果、配列には[1,4]、[2,1]が代入された状態となる。以上の処理は、ステップS330にて区間番号が示す単位区間が悪化区間でないと判定されるまで繰り返され、この結果、図5Bに示す例において配列は配列には[1,4]、[2,1] 、[3,2]が代入された状態でステップS350以降の処理を実行することになる。
図5Dに示す例において、区間番号が2である状態でステップS335以降が実行されると、図5Bと同様に配列は更新されない。そして、図5Dに示す例において区間番号が3となった場合、ステップS330において区間番号が示す単位区間が悪化区間でないと判定されるため、配列に[1,4]が代入された状態でステップS350以降の処理を実行することになる。なお、図5Cに示す例においては、案内対象の悪化区間についてステップS320において配列を[1,4]と定義した後、ステップS325で区間番号が2とされると、ステップS330において区間番号が示す単位区間が悪化区間でないと判定されるため、配列に[1,4]が代入された状態でステップS350以降の処理を実行することになる。すなわち、図5Bに示す例と図5Cに示す例の双方でステップS350以降の処理を実行する際の配列の値は[1,4]であり同一である。
ステップS350において、制御部20は、配列を参照して悪化原因数が1であるか否かを判定する。ステップS350において悪化原因数が1であると判定された場合、制御部20は、案内対象の悪化区間の悪化原因に対応するアドバイスを案内する(ステップS355)。すなわち、図5Cに示す例のように、案内対象の悪化区間の前方に隣接する単位区間が悪化区間ではなかった場合、あるいは、図5Dに示す例のように、案内対象の悪化区間の前方に悪化原因が同一の悪化区間のみが連続している場合、制御部20は、案内対象の悪化区間の悪化原因に対応するアドバイスを案内する。このために、制御部20は、配列に代入された悪化原因を示す数値に対応する音声データを選択することによって、悪化原因に対応する音声データを特定し、当該音声データをユーザI/F部44に対して出力する。この結果、案内対象の悪化区間の悪化原因を解消するための音声案内がスピーカーから出力される。
なお、本実施形態においては、図5Dに示す例のように連続している悪化区間の全てにおいて悪化原因が同一である場合、連続している悪化区間の中で車両に最も近い悪化区間の悪化原因に対応した案内を行う構成となっている。すなわち、案内対象となる悪化区間を起点とし、それ以降において連続している悪化区間の全てにおいて悪化原因が同一である場合、当該悪化原因に対応した案内を行う一回行う構成とすることにより、各悪化区間について逐次悪化原因が案内されることを防止し、理解容易な案内を行うことができる。
表1は、走行シーン毎の音声案内の内容を示す例である。
同表1に示すように、発進シーンでの悪化原因が発生している場合、発進シーンにおける過度の加速を再発させないようにするため、制御部20は、「緩やかなスタートを心がけましょう」という案内内容の音声を出力させる。加速シーンでの悪化原因が発生している場合、加速シーンにおける過度の加速を再発させないようにするため、制御部20は、「緩やかな加速を心がけましょう」という案内内容の音声を出力させる。減速シーンでの悪化原因が発生している場合、減速シーンより前に行った過度の加速を再発させないようにするため、制御部20は、「緩やかな減速を心がけましょう」という案内内容の音声を出力させる。巡航(加速、減速)シーンでの悪化原因が発生している場合、巡航(加速)シーンにおける過度の加速や、巡航(減速)シーンより前に行った過度の加速を再発させないようにするため、制御部20は、「一定速度での運転を心がけましょう」という案内内容の音声を出力させる。高速走行シーンでの悪化原因が発生している場合、過度の車速で走行させないようにするため、制御部20は、「速度を抑えた運転を心がけましょう」という案内内容の音声を出力させる。
一方、ステップS350において悪化原因数が1であると判定されない場合、制御部20は、悪化原因の順列に対応するアドバイスを案内する(ステップS360)。すなわち、図5Bに示す例のように、連続する悪化区間において少なくとも2個の悪化原因が発生していた場合、制御部20は、悪化原因の順列に対応するアドバイスを案内する。このために、制御部20は、配列に代入された悪化原因を示す数値の順列に対応する音声データを選択することによって、悪化原因に対応する音声データを特定し、当該音声データをユーザI/F部44に対して出力する。この結果、案内対象の悪化区間の悪化原因を解消するための音声案内がスピーカーから出力される。例えば、図5Bに示す例において、悪化原因を示す数値の順列は4,1,2であり、制御部20は、当該順列に対応した音声データを選択する。
なお、図5Bに示す例のように、同一の悪化原因である悪化区間が隣接している場合、区間番号が増加しても配列の悪化原因数は増加しないため、複数の悪化区間に関して悪化原因が1個とカウントされるように悪化原因が統合される。すなわち、案内対象となる悪化区間以降に連続している悪化区間の中で隣接する悪化区間の悪化原因が同一である場合には、当該隣接する悪化区間の悪化原因を統合して悪化原因の順列が定義される。
表2は、走行シーン毎の音声案内の内容を示す例である。
同表2においては、左側に走行シーンの順列を例示しており、悪化原因数が2である例と3である例を示している。むろん、表2は順列の例示であり、他の任意の順列について案内内容を対応づけておくことが可能である。
本実施形態においては、悪化原因の順列に対応する案内内容を種々の指針に基づいて特定している。例えば、発進シーンでの悪化原因と加速シーンでの悪化原因とが連続している場合、停止していた車両を過度に加速させたことによって発進シーンでの悪化原因が発生し、さらに、過度の加速を続けたことによって加速シーンでの悪化原因が発生したことが推定される。そこで、発進シーンでの悪化原因を解消することによって、発進シーンでの悪化原因と加速シーンでの悪化原因とが連続して発生する状況が解消されると見なし、制御部20は、悪化原因の解消に寄与する度合いが高い走行シーンである発進シーンに対応した案内内容で案内をする。具体的には、制御部20は、「緩やかなスタートを心がけましょう」という案内内容の音声を出力させる。
加速シーンでの悪化原因と減速シーンでの悪化原因とが連続している場合、車両を過度に減速させたことによって加速シーンでの悪化原因が発生し、さらに、当該過度の加速によって減速が必要になったことが推定される。そこで、制御部20は、このような複数の悪化原因の順列が発生する状況を未然に防止するための案内内容で案内をする。具体的には、制御部20は、「先の状況をみて不要な加速を控えましょう」という案内内容の音声を出力させる。
加速シーンでの悪化原因と巡航(加速)シーンでの悪化原因とが連続している場合、車両を過度に加速させたことによって加速シーンでの悪化原因が発生し、さらに、巡航状態に移行した後にも過度の加速を続けたことによって巡航(加速)シーンでの悪化原因が発生したことが推定される。そこで、制御部20は、双方の悪化原因が解消されるような案内内容で案内をする。具体的には、制御部20は、「緩やかな加速を心がけましょう」という案内内容の音声を出力させる。
減速シーンでの悪化原因と発進シーンでの悪化原因とが連続している場合、車両を過度に減速させたことによって減速シーンでの悪化原因が発生し、さらに、停止していた車両を過度に加速させたことによって発進シーンでの悪化原因が発生したことが推定される。この場合、先の悪化原因と後の悪化原因とで因果関係が薄いと見なし、制御部20は、各悪化原因を解消させるような案内内容で案内をする。具体的には、制御部20は、「緩やかな停止と発進を心がけましょう」という案内内容の音声を出力させる。なお、減速シーンでの悪化原因と発進シーンでの悪化原因とが連続し、さらに、加速シーンでの悪化原因が連続している場合、後の2個の悪化原因はともに過度の加速を抑制することで解消する。そこで、表2に示す例においては、減速シーンでの悪化原因、発進シーンでの悪化原因、加速シーンでの悪化原因が連続している場合においても、減速シーンでの悪化原因、発進シーンでの悪化原因が連続している場合と同様に「緩やかな停止と発進を心がけましょう」という案内内容の音声が出力されるように構成されている。
減速シーンでの悪化原因と加速シーンでの悪化原因とが連続している場合、車両を過度に減速させたことによって減速シーンでの悪化原因が発生し、さらに、車両を過度に加速させたことによって加速シーンでの悪化原因が発生したことが推定される。この場合も先の悪化原因と後の悪化原因とで因果関係が薄いと見なし、制御部20は、各悪化原因を解消させるような案内内容で案内をする。具体的には、制御部20は、「緩やかな減速と発進を心がけましょう」という案内内容の音声を出力させる。
巡航(加速)シーンでの悪化原因と高速走行シーンでの悪化原因とが連続している場合、巡航走行状態において車両を過度に減速させたことによって巡航(加速)シーンでの悪化原因が発生し、当該加速の結果、過度の車速で走行したことによって高速走行シーンでの悪化原因が発生したことが推定される。そこで、制御部20は、双方の悪化原因が解消されるような案内内容で案内をする。具体的には、制御部20は、「速度を抑えて運転しましょう」という案内内容の音声を出力させる。
高速走行シーンでの悪化原因と巡航(減速)シーンでの悪化原因とが連続している場合、過度の車速で走行していたために高速走行シーンでの悪化原因が発生し、車速を抑制するために巡航状態となっても過度の減速を行ったことによって巡航(減速)シーンでの悪化原因が発生したことが推定される。そこで、制御部20は、双方の悪化原因が解消されるような案内内容で案内をする。具体的には、制御部20は、「速度を抑えて運転しましょう」という案内内容の音声を出力させる。
なお、本実施形態においては図5Bのように悪化区間が連続している場合、悪化原因の順列に対応した音声案内を実行することとし、連続している悪化区間の中で車両に最も近い悪化区間よりも前方に連続している悪化区間を新たな案内対象としないように構成している。すなわち、今回の走行において車両に近い悪化区間から順に案内対象としていく構成において、悪化区間が連続している場合には、連続している悪化区間の中で車両に最も近い悪化区間を案内対象とし、他は案内対象としない。この結果、悪化区間が連続している場合に、車両の走行とともに連続している悪化区間のそれぞれが逐次案内対象となっていくことを防止することできる。
(5)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、今回の走行において車両が悪化区間に接近した場合に当該悪化区間における燃費の悪化原因を案内する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、今回評価や過去評価、悪化原因は、車両に搭載されていない装置、例えば、情報管理センターから取得しても良い。むろん、ナビゲーション端末10は、車両に固定的に搭載されていても良いし、持ち運び可能なナビゲーション端末10が車両内に持ち込まれて利用される態様であっても良い。さらに、上述の車両は内燃機関によって駆動される車両であるが、適用対象の車両はこのような車両に限定されず、ハイブリッド車や電気自動車にて燃費(電気自動車の場合には単位距離あたりの消費電力量)の悪化原因を案内する構成であっても良い。
悪化原因は、運転者に通知することによって燃費の改善を期待し得る原因であればよく、上述の実施形態のように車速および加速度に基づいて特定する構成の他にも種々の構成を採用可能である。例えば、アクセルペダルの操作やシフトレバーの操作、走行モード(通常走行モードやトルクを最大化するパワーモード等)等に基づいて悪化原因が発生したことを特定しても良いし、消費燃料の計測結果等に基づいて悪化原因が発生したことを特定しても良い。なお、1個の単位区間において複数の悪化原因が存在した場合、最も燃費を悪化させる原因を悪化原因としてもよいし、燃費を悪化させる度合いが大きいn個(nは2以上の整数)の原因を悪化原因としてもよく、種々の構成を採用可能である。
なお、悪化原因に対応した案内は、当該案内によって運転者が当該悪化原因を解消するための運転操作を実施できるような案内であればよく、案内は音声出力によって行われてもよいし、画像出力によって行われてもよい。案内は、悪化区間の悪化原因を解消するための案内に限定されず、悪化区間の悪化原因の内容を示す案内であってもよい。
さらに、今回の走行において車両が悪化区間に接近したか否かは、車両が悪化区間に近づいたか否かを今回の走行における車両の位置と悪化区間の位置とに基づいて判定することができれば良い。従って、当該接近の判定が車両の位置と悪化区間の位置との距離によって実施される構成に限定されず、案内後に運転者が当該案内を忘れることなく当該案内に応じた運転操作をすることができるような時間等に基づいて行ってもよいし、悪化原因が再発するか否かを案内後に運転者自身が判断できるような時間等に基づいて行ってもよい。また、音声による経路案内を行う構成において、経路案内のための音声出力の合間に悪化区間の悪化原因に対応した案内を行う構成としても良い。この構成によれば、他の案内と重複することなく悪化区間の悪化原因に対応した案内を行うことが可能である。
さらに、今回の走行において車両が案内対象となる悪化区間に到達する前に、当該悪化区間の悪化原因に対応した案内を行うように構成しても良い。例えば、図5Cに示す例において、車両が単位区間Zp1に到達する前に悪化原因に対応した案内を行う。この構成によれば、悪化区間に到達する前に悪化原因に対応した運転操作を行うための準備を行うことが可能であり、悪化区間到達後に確実に悪化原因に対応した運転操作を開始することが可能になる。
さらに、案内対象となる悪化区間に車両が進入する前に、悪化区間の悪化原因に対応した音声案内が終了するように案内を行う構成であってもよい。例えば、図5Cに示す例において、車両が単位区間Zp1に進入する前に悪化原因に対応した音声案内が終了するようなタイミングで案内を開始する。すなわち、音声によって悪化原因を案内する場合、案内開始後、案内完了までに所定の期間が必要になる。そして、案内が完了していれば、運転者に案内内容の全てが伝達されたと見なすことができる。そこで、案内対象となる悪化区間に車両が進入する前に、悪化区間の悪化原因に対応した音声案内が終了するように案内を行うように構成すれば、案内内容の全てが運転者に伝達される前に車両が悪化区間に到達することを防止することが可能である。
さらに、ユーザが指定した悪化区間を案内対象として特定する構成を採用しても良い。この構成によれば、ユーザ所望の悪化区間についての悪化原因に対応した案内を行うことができる。この場合、案内対象となる悪化区間の前方、後方のいずれにも悪化区間が連続し得るが、ユーザによって指定された悪化区間に対して道路上の車両進行方向前方に連続する悪化区間のみを悪化原因の組み合わせの解析対象としても良いし、道路上の車両進行方向後方に連続する悪化区間のみを悪化原因の組み合わせの解析対象としても良いし、双方を悪化原因の組み合わせの解析対象としても良い。
さらに、案内対象となる悪化区間に他の悪化区間が連続して存在する場合に、連続している悪化区間の悪化原因の組み合わせに対応した案内を行っても良い。すなわち、悪化原因の順序は考慮せず、発生した悪化原因に応じて案内内容を決定しても良い。例えば、表2において、巡航(加速)と巡航(減速)とを区別せず、双方ともに巡航シーンでの悪化原因であると見なせば、表2の最下段の例と下から2番目の例とは同一の案内内容となり、巡航シーンの悪化原因と高速走行シーンの悪化原因との双方発生した場合に共通の案内内容とする構成(すなわち、悪化原因の順序を問わず組み合わせに基づいて案内内容を決定する)とすることが可能である。
さらに、悪化原因の組み合わせを解析する際には種々の解析を行うことが可能であり、複数個の悪化区間に対応する複数個の悪化原因の組み合わせから案内内容を特定しても良い(悪化原因を統合せずに案内内容を特定しても良い)。
さらに、特定の条件下において案内が行われるように構成しても良い。例えば、悪化原因ごとに案内を行う条件である案内実行条件を予め定義し、記録媒体30に対して予め記録する構成とする。そして、案内対象となる悪化区間に車両が接近した場合、制御部20が記録媒体30を参照して当該悪化区間に対応づけられた案内実行条件を特定し、当該案内実行条件が満たされている場合に悪化原因に対応した案内を行う構成とする。
ここで、案内実行条件は、案内を行うことによって効果的に悪化原因を解消することができるように予め定義されていれば良い。例えば、上述の実施形態のように、走行シーン毎に燃費の悪化原因が発生したか否か判定される構成においては、ある走行シーンの悪化原因に対して当該ある走行シーンが再現し得る状態を案内実行条件として対応づけておけば、当該案内実行条件が満たされた場合に案内を行うことで効果的に悪化原因を解消することができる。
より具体的には、発進シーンでの悪化原因に対して、車両が停止している(例えば、車速が0km/hである)という案内実行条件を対応づけておけば、発進シーンでの悪化原因が発生した悪化区間に車両が接近し、かつ、車両が停止している場合に案内が行われることになる。従って、発進時に発進シーンでの悪化原因を再発させないように促すことができ、発進シーンでの悪化原因を解消する可能性を高めることができる。
また、加速シーンでの悪化原因に対して、車両の車速が加速し得る車速域である(例えば、車速が20km/h以上60km/h未満である)という案内実行条件を対応づけておけば、加速シーンでの悪化原因が発生した悪化区間に車両が接近し、かつ、車両の車速が加速し得る車速域である場合に案内が行われることになる。従って、車両の車速が加速し得る車速域である場合に加速シーンでの悪化原因を再発させないように促すことができ、加速シーンでの悪化原因を解消する可能性を高めることができる。
さらに、減速シーンでの悪化原因に対して、車両の周囲に減速を誘発する要因が存在する(例えば、案内対象の悪化区間の前方所定距離(100m等)以内に停止要因(一時停止線、交差点、渋滞等)が存在する)という案内実行条件を対応づけておけば、減速シーンでの悪化原因が発生した悪化区間に車両が接近し、かつ、車両の周囲に減速を誘発する要因が存在する場合に案内が行われることになる。従って、車両の周囲に減速を誘発する要因が存在する場合に減速シーンでの悪化原因を再発させないように促すことができ、減速シーンでの悪化原因を解消する可能性を高めることができる。
さらに、巡航(加速、減速)シーンでの悪化原因に対して、車両が巡航走行中である(例えば、車速が60km/h以上100km/h未満である)という案内実行条件を対応づけておけば、巡航(加速、減速)シーンでの悪化原因が発生した悪化区間に車両が接近し、かつ、車両が巡航走行中である場合に案内が行われることになる。従って、車両が巡航走行中である場合に巡航(加速、減速)シーンでの悪化原因を再発させないように促すことができ、巡航(加速、減速)シーンでの悪化原因を解消する可能性を高めることができる。
さらに、高速走行シーンでの悪化原因に対して、車両が高速走行中である(例えば、車速が100km/h以上である)という案内実行条件を対応づけておけば、高速走行シーンでの悪化原因が発生した悪化区間に車両が接近し、かつ、車両が高速走行中である場合に案内が行われることになる。従って、車両が高速走行中である場合に高速走行シーンでの悪化原因を再発させないように促すことができ、高速走行シーンでの悪化原因を解消する可能性を高めることができる。
なお、以上の例においては、発進シーン、加速シーン、巡航シーン、高速走行シーンに対して車速によって規定された案内実行条件を対応付け、減速シーンに対して車両の周囲の地物によって規定された案内実行条件を対応づけているが、むろん、他の要素によって案内実行条件を規定しても良く、種々の条件を採用可能である。
以上のようにして取得された評価情報30bからは今回評価と過去評価とが生成される。制御部20は、今回走行履歴取得部21aの処理により、評価情報30bから、今回の走行に関する評価を今回評価として取得する。このために、制御部20は、出発地において車両の走行が開始された後、目的地に到達する以前において車両が今回走行した区間における単位区間毎の評価情報30bを取得する。そして、制御部20は、評価情報30bが示す単位区間毎の経済走行割合を所定の評価レベル(所定の閾値)と比較し、所定の評価レベル以上である場合に燃費の評価を「良」、当該経済走行割合が所定の評価レベルよりも小さい場合に燃費の評価を「悪」とし、単位区間毎の今回評価とする。
このために、制御部20は、評価情報30bから上述の今回の走行と同一の出発地、目的地が対応付けられた経済走行割合を示す情報を取得する。そして、制御部20は、経済走行割合と所定の評価レベル(所定の閾値)とを比較し、所定の評価レベル以上である場合に燃費の評価を「良」、当該経済走行割合が所定の評価レベルよりも小さい場合に燃費の評価を「悪」とする。このように「悪」評価とされた単位区間が悪化区間であり、制御部20は、当該悪化区間を示す情報を図示しないメモリに記録する。なお、今回の走行と過去の走行とで出発地と目的地とが同一か否かを判定するためには、地点からの距離に所定のマージンを設け、例えば、距離が300m以内の2地点は同一と見なすような構成を採用可能である。また、過去に複数回に渡って、今回の走行と同一の出発地から同一の目的地まで走行した場合、各走行に際して記録された評価情報30bから単位区間毎に1個の情報を取得すれば良い。例えば、過去の走行のうち、最も現在に近い時刻にて走行した際の評価情報30bを取得する構成や、過去の走行のうち、最も評価が良い評価情報30bを単位区間毎に取得する構成等を採用可能である。
次に、制御部20は、悪化原因が発生しなかったか否かを判定する(ステップS170)。すなわち、ステップS110〜S160で判定したような各走行シーンでの悪化原因のいずれも発生していなかった場合、制御部20は、ステップS105にて取得された走行距離ΔLを走行する過程において、悪化原因が発生しなかったと見なす。このため、制御部20は、ステップS115,S125,S135,S145,S155,S165において各走行シーンの不経済走行距離が加算されなかった場合に、悪化原因が発生しなかったと見なす。そして、ステップS170において、悪化原因が発生しなかったと判定された場合(S170:Y)、制御部20は、走行距離を経済走行距離に加算する(ステップS175)。すなわち、ステップS105にて累計距離に加算された上述の走行距離ΔLを経済走行距離に加算する。一方、ステップS170において、悪化原因が発生しなかったと判定されなかった場合(S170:N)、ステップS175はスキップされる。
図5Dに示す例において、区間番号が2である状態でステップS335以降が実行されると、図5Bと同様に配列は更新されない。そして、図5Dに示す例において区間番号が3となった場合、ステップS330において区間番号が示す単位区間が悪化区間でないと判定されるため、配列に[1,4]が代入された状態でステップS350以降の処理を実行することになる。なお、図5Cに示す例においては、案内対象の悪化区間についてステップS320において配列を[1,4]と定義した後、ステップS325で区間番号が2とされると、ステップS330において区間番号が示す単位区間が悪化区間でないと判定されるため、配列に[1,4]が代入された状態でステップS350以降の処理を実行することになる。すなわち、図5Cに示す例と図5Dに示す例の双方でステップS350以降の処理を実行する際の配列の値は[1,4]であり同一である。
減速シーンでの悪化原因と加速シーンでの悪化原因とが連続している場合、車両を過度に減速させたことによって減速シーンでの悪化原因が発生し、さらに、車両を過度に加速させたことによって加速シーンでの悪化原因が発生したことが推定される。この場合も先の悪化原因と後の悪化原因とで因果関係が薄いと見なし、制御部20は、各悪化原因を解消させるような案内内容で案内をする。具体的には、制御部20は、「緩やかな減速と加速を心がけましょう」という案内内容の音声を出力させる。