JP2014021025A - 人工脂質膜形成装置および人工脂質膜形成方法 - Google Patents

人工脂質膜形成装置および人工脂質膜形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電極と顕微鏡により直接観察可能な人工脂質膜とを具備する、人工脂質膜チャンバを作製するための、簡便でスループット性を有する、人工脂質膜形成方法、および、そのような方法の実施に適した人工脂質膜の形成装置を提供する。
【解決手段】人工脂質膜形成装置を用いた人工脂質膜形成方法であって、前記装置は、疎水性層および親水性パターンを具備する基板と、前記基板の親水性パターンの上に液滴を形成するための溶液注入部と、を含むことを特徴とし、前記方法は、前記基板に、水または水溶液を注入し、親水性パターンの上に液滴を配置する、第1溶液注入工程;前記第1溶液注入工程の前または後に前記基板に脂質溶液を注入する脂質溶液注入工程;および水または水溶液を注入し、前記第1溶液注入工程によって形成された前記液滴と、を接触させる第2溶液注入工程を含む、人工脂質膜形成方法である。
【選択図】図3

Description

本発明は、イオンチャネルをはじめとする膜タンパク質解析に用いられる人工脂質膜の形成装置に関する。また、本発明は、その装置を使用した人工脂質膜形成方法に関する。
生物を構成する細胞や、細胞内に存在するミトコンドリア、ゴルジ体、小胞体等の各種オルガネラ、細胞核等は、外側が生体膜で覆われており、この生体膜は、脂質膜から構成されている。生理活性を有する様々なタンパク質、すなわち、レセプターや酵素等がこの脂質膜を貫通する形で脂質膜上に保持されている。これら膜タンパク質は、生体内で重要な役割を果たしている。特に、細胞膜上に存在する各種レセプターは、生体内に存在するリガンドと結合することにより、様々な生理学的反応を引き起こす引き金になることがわかっている。このため、医薬品を開発するためには、これら膜タンパク質の、各種リガンドや阻害剤との結合能や、それらの結合によって引き起こされる機能に関して、詳細に解析することが必要とされる。
これらの膜タンパク質を解析するためには、生体内と同じ状態、すなわち、膜タンパク質が生体膜に保持された状態で各種測定を行うことが望まれる。これを実現するための模擬生体膜として、種々の人工脂質膜形成方法が提案されており、人工脂質膜を用いた膜タンパク質の解析も既に報告されている。
これまで報告されてきた人工脂質膜を用いた膜タンパク質解析の方法は、主に以下の二つに分けられる。第一に脂質膜の両側に電圧を印加することにより、電気的に計測する方法、第二に光学顕微鏡を用いて脂質二重膜を観察しながら、蛍光検出により計測する方法である。長年これら二つの計測方法は別々に開発されてきたが、近年これら電気計測と蛍光検出を同時に行う方法が開発された(特許文献1、特許文献2、非特許文献1)。電気計測と蛍光検出は、膜タンパク質解析において互いに不足する情報を補う関係にあるため、これまで不可能であった解析が可能となり、新たな膜タンパク質の機能の解明に繋がることが期待されている。例えば、リガンドや阻害剤とリガンド結合型チャネルタンパク質の相互作用と、そのリガンド結合型チャネルタンパク質のゲーティングに伴う構造変化、の関連性等を解析することが可能となる。さらに最近では、電気計測と蛍光検出を同時に行える人工脂質膜を具備する微小なチャンバを作製することで、膜タンパク質の輸送機能も解析可能となった(非特許文献2、特許文献3)。これは、膜タンパク質による物質の輸送量は微量であるため、それらを高感度に蛍光検出するためには、微小なチャンバの作製により、チャンバ内の物質濃度を上げる必要があったためである。
非特許文献2の同時計測微小チャンバシステム、すなわち電気計測と蛍光検出を同時に行う微小チャンバを備えたシステムでは、ガラス基板上にアガロースゲル層を形成し、脂質が分散した有機溶媒中で、微小液滴と、前記アガロースゲル層と、を接触させることにより、脂質膜および微小な脂質膜チャンバを形成している。この微小な脂質膜チャンバを用いて、蛍光検出による膜タンパク質の物質輸送の解析が可能である。また、電気計測用の電極をマニピュレータなどで精密に操作しながらチャンバとなる微小液滴内に導入することにより、電気計測も可能である。
特許文献3の同時計測微小チャンバシステム、すなわち電気計測と蛍光検出を同時に行う微小チャンバを備えたシステムでは、マイクロ流体デバイスを用いており、前記マイクロ流体デバイスは体積が数pLである微小なチャンバを備えている。電気計測用の電極は予めチャンバ内となる部分の基板上にパターンされている。マイクロ流路に、水溶液、脂質溶液、水溶液の順に溶液を注入することにより、人工脂質膜チャンバを形成することができる。本システムにより形成された人工脂質膜は顕微鏡の対物レンズに対して垂直である。
特開2005―91308 特開2005―91305 特開2011―2385
T. Ide, Langmuir, 2010, 26, 8540 ―8543 O. K. Castell, et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2012, 51, 3134 ―3138
上記同時計測微小チャンバシステムに関する従来技術には以下のような課題があった。
非特許文献2記載の従来技術には次のような課題があった。第一に、利便性に欠ける点である。従来技術では、計測する際には毎回、チャンバとなる液滴毎に、電極をマニピュレータなどで精密に操作しながら液滴内に導入する必要があるので、計測のために時間と労力、技術を要する。第二に、同時計測のマルチチャネル化が困難でありスループット性に欠ける点である。非特許文献2記載の従来技術において、チャンバ毎に電極を導入する工程が必要であるため、本従来技術を用いたマルチチャネル化は現実的ではない。膜タンパク質の解析には一つのタンパク質につき多くのデータを取得する必要があるため、実用化に向けてはマルチチャネル化が望まれている。
特許文献3記載の従来技術には次のような課題があった。第一に、利便性に欠ける点である。従来技術では、人工脂質膜を形成するために、マイクロ流路中に複数種類の溶液を注入する工程を含むため、溶液を注入するためのシリンジやシリンジポンプなどの特別な装置が必要となる。第二に、形成した人工脂質膜を顕微鏡で観察できないことである。特許文献3記載の従来技術を用いて形成された人工脂質膜は、顕微鏡の対物レンズに対して垂直であるため、顕微鏡で人工脂質膜の様子を観察できない。人工脂質膜上または内部でのリガンドと膜タンパク質の結合の様子などを蛍光顕微鏡などで観察するためには、人工脂質膜を顕微鏡により直接観察できることが必要である。また、人工脂質膜が形成されているのかを確認するためにも、人工脂質膜を顕微鏡により直接観察できることが望ましい。
本発明は、上記従来の課題を解決し、
(a)電極と、
(b)顕微鏡により直接観察可能な人工脂質膜と、
を具備する、微小な人工脂質膜チャンバを作製するための、
(c)簡便で、
(d)スループット性を有する、
人工脂質膜形成方法、
および、その方法を実施するための装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、
(1)人工脂質膜形成装置において、前記装置は、疎水性層および親水性パターンを具備する基板と、前記基板の親水性パターンの上に液滴を形成するための溶液注入部と、を含むことを特徴とする。
(2)上記(1)記載の人工脂質膜形成装置において、前記親水性パターンの径が10μm以上2000μm以下であることを特徴とする。
(3)上記(1)記載の人工脂質膜形成装置において、前記基板がガラスであることを特徴とする。
(4〕上記(1)記載の人工脂質膜形成装置において、前記疎水性層がサイトップまたはパリレンであることを特徴とする。
(5)上記(1)記載の人工脂質膜形成装置において、前記親水性パターンの表面に前記基板の外部と接続される電極が配置されていることを含むことを特徴とする。
(6)上記(1)載の人工脂質膜形成装置において、前記電極が金電極または銀塩化銀電極であることを特徴とする。
(7)人工脂質膜チャンバにおいて、前記人工脂質膜チャンバは、本発明の人工脂質膜形成装置を用いて形成され、前記基板の親水性パターンの上に配置された液滴と、前記液滴の上方の水または水溶液と、の接触部分に人工脂質膜を備えることを特徴とする。
(8)人工脂質膜形成方法において、前記方法は、本発明の人工脂質膜形成装置を用いて、前記基板に、水または水溶液を注入し、親水性パターンの上に液滴を配置する、第1溶液注入工程;前記第1溶液注入工程の前または後に前記基板に脂質溶液を注入する脂質溶液注入工程;および水または水溶液を注入し、前記脂質溶液を介して、前記水または水溶液と、前記第1溶液注入工程によって形成された前記液滴と、を接触させる第2溶液注入工程を含むことを特徴とする。
(9)上記(8)記載の人工脂質膜形成方法において、前記脂質溶液は脂質を分散させたヘキサデカンまたはデカンまたはスクアレンであることを特徴とする。
(10)上記(8)記載の人工脂質膜形成方法において、前記脂質溶液に分散した脂質はアゾレクチンまたはジフィタノイルホスファチジルコリンまたはEggPCまたはDOPCであることを特徴とする。
(11)脂質膜の分析システムにおいて、前記脂質膜の分析システムは、計測部と、表示部とを含み、本発明の人工脂質膜形成方法を実行することを特徴とする。
本発明の上記目的、他の目的、特徴および利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様な説明から明らかにされる。
本発明の人工脂質膜形成方法および人工脂質膜形成装置によれば、人工脂質膜チャンバの作製にはシリンジやシリンジポンプ等の特別な装置を使用する必要がない。また、予め電極をチャンバ内部となる部分にパターンすることができるので、電極を導入する工程を含まずに、電極を具備する人工脂質膜チャンバを作製することができる。また、形成される人工脂質膜は対物レンズに対して平行となる。その結果、従来の人工脂質膜形成方法および装置よりも、簡便で、スループット性良く、電極と、顕微鏡で直接観察可能な人工脂質膜と、を具備する微小な人工脂質膜チャンバを作製することができる。
図1は、本発明の実施形態1における人工脂質膜形成装置の断面図である。 図2は、本発明の実施形態1における人工脂質膜形成装置の斜投影図である。 図3は、本発明の実施形態1における人工脂質膜形成装置の動作図である。 図4は、本発明の実施形態2における人工脂質膜形成装置の動作図である。 図5は、本発明の実施形態3における人工脂質膜形成装置の動作図である。 図6は、本発明の実施形態4における人工脂質膜形成装置の断面図である。 図7は、本発明の実施形態4における人工脂質膜形成装置の斜投影図である。 図8は、本発明の実施形態4における人工脂質膜形成装置の動作図である。 図9(a)は、本発明の実施例における人工脂質膜の顕微鏡写真である。図9(b)は、図9(a)の断面図である。 図10(a)は、本発明の実施例における、電気化学的計測中の人工脂質膜の顕微鏡写真である。図10(b)は、本発明の実施例で行った電気化学的計測の結果を示す図である。
100 人工脂質膜形成装置
101 基板
102 疎水性層
103 親水性パターン
104 親水性パターンの直径
105 溶液注入部
201 第1溶液
202 脂質溶液
203 第2溶液
301 電極
302 電極
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1および図2は、本発明の実施形態1における人工脂質膜形成装置の断面図および斜投影図である。
本実施形態において、人工脂質膜形成装置100は基板101を備えている。基板101の材料はガラスが最も好ましい。ガラスはソーダガラスでも良いし、石英、ホウケイ酸ガラス、低融点ガラス、感光性ガラスなどでも良い。基板101は、光学計測の観点から透明であることが好ましい。なお、基板101は他の親水性材料でも良い。なお本発明では、基板101の形状は限定されない。
基板101の上には疎水性層102が設けられている。疎水性層102は、基板101上に疎水性薄膜を形成することにより作製することが最も好ましい。疎水性薄膜の材料は、サイトップ(登録商標)が最も好ましいが、パリレン(登録商標)やテフロン(登録商標)などの有機ポリマーでも良い。疎水性薄膜の形成方法は、スピンコート法や、蒸着やスパッタリングによる方法を利用しても良い。また、疎水性層の作製には、シラン化などの表面処理を利用しても良い。疎水性層102の厚みは、10nm以上2μm以下であることが好ましく、100nm以上1μm以下であることが最も好ましい。
基板101の上には親水性パターン103が設けられている。親水性パターン103は、基板101にガラスなどの親水性材料を用い、基板101上の疎水性層を除去し、親水性材料を露出させることにより作製するのが最も好ましい。また、親水性パターン103は、疎水性層102上に親水性材料をパターンすることで作製しても良い。また、親水性パターン103は、疎水性層102を除去した後に、露出した基板101表面を、親水性薄膜形成または表面処理を用いて、親水性材料で被覆にすることにより作製しても良い。また、親水性パターン103は、疎水性層102上に親水性材料をパターンすることで作製しても良い。また、親水性パターン103は、疎水性層102を除去した後に、露出した基板101表面を、一般的に知られている他の親水化処理により親水化することで作製しても良い。
親水性パターン103の形状は円形が最も好ましいが、楕円形や多角形など他の形状でも良い。親水性パターン103の直径104は、1μm以上3mm以下が好ましく、10μm以上2mm以下がより好ましい。親水性パターン103は一つでも良いし、複数でも良い。図2に示した人工脂質膜形成装置100は、親水性パターン103が6つである場合のものである。
次に、人工脂質膜の形成手順を説明する。図3は本発明の実施形態1における人工脂質膜形成装置の動作図を表す。なお、図3において、図1および図2と同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
まず、図3(a)は第1溶液注入工程を表す。第1溶液注入工程では、親水性パターン103上にのみ第1溶液201をパターンする。
第1溶液201は水または水溶液である。第1溶液201には、リポソームやミセルを混合しても良い。リポソームやミセルを構成する脂質は、リン脂質であることが好ましい。なお、脂質は糖脂質でも良いし、リポ脂質でも良いし、他の脂質でも良い。脂質は、その他の天然由来の脂質であっても良いし、合成脂質でも良い。合成脂質は高純度で化学的に安定なものが得やすいのでより好ましい。具体的にはリン脂質であるジフィタノイルホスファチジルコリン、グリセルモノオレエイト、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンでも良いし、その他のリン酸脂質でも良い。
第1溶液201には、受容体、イオンチャネル、Gタンパク質などの生体膜タンパク質や分泌タンパク質を混合しても良い。第1溶液202にはグラミシジンなどのポリペプチドを混合しても良い。生体膜タンパク質や分泌タンパク質、ポリペプチドなどは、1種類だけ混合しても良いし、複数種類を混合しても良い。
第1溶液注入工程では、溶液注入部105に第1溶液201を注入し、その後余分な第1溶液201を除去することにより、親水性パターン103上にのみ第1溶液201をパターンすることが最も好ましい。前記余分な第1溶液201を除去する方法は、第1溶液201を吸い取る方法でも良いし、人工脂質膜形成装置100を傾ける方法でも良い。
また、第1溶液注入工程では、第1溶液201をピペットやキャピラリーなどを用いて、直接、親水性パターン103上にパターンしても良い。
次に、図3(b)は脂質溶液注入工程を表す。脂質溶液注入工程では、前記第1溶液注入工程によって人工脂質膜形成装置100の親水性パターン103上に形成された第1溶液201に接するように脂質溶液202を溶液注入部105に注入する。
脂質溶液注入工程では、親水性パターン103上に第1溶液201がパターンされた後で、人工脂質膜形成装置100上の溶液注入部105に適量の脂質溶液202を注入することが好ましい。
脂質溶液202は、脂質を有機溶媒に分散したものであることが好ましい。脂質はアゾレクチンまたはジフィタノイルホスファチジルコリンまたはEggPCまたはDOPCであることが最も好ましい。なお、脂質は糖脂質でも良いし、リポ脂質でも良いし、他の脂質でも良い。脂質は、天然由来の脂質であっても良いし、合成脂質でも良い。合成脂質は高純度で化学的に安定なものが得やすいのでより好ましい。具体的にはリン脂質である、グリセルモノオレエイト、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンでも良いし、その他のリン酸脂質でも良い。また脂質分子の脂肪酸部分は単独で用いても良いし、2種類以上混合して用いても良い。また有機溶媒に対する脂質の濃度は3〜50mg/mLが好ましく、4〜40mLがより好ましい。
脂質溶液202において、有機溶媒は、ヘキサデカン、デカン、スクアレンが最も好ましいが、他の炭化水素鎖を有する有機溶媒を用いても良い。
脂質溶液202には、脂質と有機溶媒のほかに、人工脂質膜に正味の表面電荷を持たせる物質を混合しても良い。人工脂質膜の表面電荷はマイナスであることが好ましい。人工脂質膜に電荷を持たせるためのホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールなどを混合しても良い。人工脂質膜に電荷を持たせるための物質は、脂質溶液注入工程の前に予め混合しても良いし、人工脂質溶液注入工程の後で混合しても良い。なお本発明では、人工脂質膜に電荷を持たせるための物質量は限定されない。
脂質溶液202には、脂質と有機溶媒のほかに、受容体、イオンチャネル、Gタンパク質などの生体膜タンパク質や分泌タンパク質を混合しても良い。脂質溶液202にはグラミシジンなどのポリペプチドを混合しても良い。生体膜タンパク質や分泌タンパク質、ポリペプチドなどは、1種類だけ混合しても良いし、複数種類を混合しても良い。生体膜タンパク質や分泌タンパク質、ポリペプチドなどは、脂質溶液注入工程の前に予め混合しても良いし、人工脂質溶液注入工程の後で混合しても良い。
次に、図3(c)は第2溶液注入工程を表す。第2溶液注入工程では、脂質溶液注入工程の後で、第2溶液203が脂質溶液202を介して第1溶液201と接触するように第2溶液203を溶液注入部105に注入する。
第2溶液203は水または水溶液である。
第2溶液203には、リポソームやミセルを混合しても良い。リポソームやミセルを構成する脂質は、リン脂質であることが好ましい。なお、脂質は糖脂質でも良いし、リポ脂質でも良いし、他の脂質でも良い。脂質は、その他の天然由来の脂質であっても良いし、合成脂質でも良い。合成脂質は高純度で化学的に安定なものが得やすいのでより好ましい。具体的にはリン脂質であるジフィタノイルホスファチジルコリン、グリセルモノオレエイト、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンでも良いし、その他のリン酸脂質でも良い。
第2溶液203には、受容体、イオンチャネル、Gタンパク質などの生体膜タンパク質や分泌タンパク質を混合しても良い。第2溶液203にはグラミシジンなどのポリペプチドを混合しても良い。生体膜タンパク質や分泌タンパク質、ポリペプチドなどは、1種類だけ混合しても良いし、複数種類を混合しても良い。
なお、人工脂質膜が形成された後で生体膜タンパク質や分泌タンパクなどを混合する場合、生体膜タンパク質や分泌タンパク質などを一旦ベシクルに組み込んで、ベシクルを人工脂質膜へ融合しても良いし、公知の混合技術を用いても良い。
第2溶液203の注入方法は、人工脂質膜形成装置100の溶液注入部105に適量の第2溶液203を注入する方法が好ましい。シャーレなどの入れ物に注がれた第2溶液203の中に人工脂質膜形成装置100を沈める方法により、溶液注入部105に第2溶液203を導入しても良い。
このようにして、第1溶液201と第2溶液203の界面に人工脂質膜が形成される。人工脂質膜は脂質二重膜であることが最も好ましい。ここでは、第2溶液203の自重により、脂質溶液202の薄膜から有機溶媒が除去される。余剰な有機溶媒は、疎水性層102に沿って除去されることが好ましい。
人工脂質膜形成工程には、人工脂質膜の形成を検出する工程を含んでいても良い。人工脂質膜の形成を検出するには、光学顕微鏡による観察でも良い。第1溶液201内部と第2溶液203内部に複数の電極を設けて、人工脂質膜の膜抵抗や膜容量、膜電流などを測定しても良いし、他の電気特性を測定しても良い。第1溶液201内部に電極を設ける方法は、親水性パターン103上に電極を予めパターンする方法が好ましい。
かかる構成と動作の手順によれば、シリンジやシリンジポンプ等の特別な装置を使用する必要がないため、簡便に、顕微鏡で直接観察可能な人工脂質膜を具備する微小な人工脂質膜チャンバを作製することができる。形成された人工脂質膜チャンバの体積は、100fL以上500nL以下であることが好ましく、100pL以上200nL以下であることが最も好ましい。
本実施形態において、第1溶液注入工程から第2溶液注入工程までの一連の工程は、20℃以上60℃以下で行うことが好ましく、25℃以上40℃以下がより好ましい。
本実施形態において、分析装置へ上述の人工脂質膜形成方法を採用することが好ましい。分析装置は、臨床検査用分析装置、電気化学分析装置、ガス分析装置、味覚分析装置、神経生理解析装置、イオンチャネル解析装置、イオンチャネル機能解析装置、ドラッグスクリーニング分析装置、バイオセンシング装置などに用いても良い。前記分析装置の計測部は、光学的に観察可能な顕微鏡や蛍光検出可能な蛍光顕微鏡や共焦点顕微鏡が好ましい。前記顕微鏡はカメラが取り付けられていることが好ましい。前記顕微鏡とカメラを備えた計測部を利用して、脂質膜の様子を観察しても良いし、膜タンパク質の物質輸送を計測しても良い。また、計測部は、電極を第1溶液201や第2溶液203に挿入したものであっても良い。電極には増幅器を接続することが好ましい。増幅器はパッチクランプアンプが最も好ましいが、電界効果トランジスタ、バイポーラトランジスタ、オペアンプ、作動アンプなどの増幅器を接続しても良い。前記電極を用いて、脂質膜の電気的特性を計測しても良いし、イオンチャネルの機能を計測しても良い。前記分析装置の表示部は、パソコンのモニターであることが好ましいが、計測した値を表示するために計測装置に付属したモニターであっても良い。
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2における人工脂質膜形成方法について、図面を参照しながら説明する。
図4は、実施形態2における人工脂質膜形成装置の動作図を表す。なお、図4において、図1〜図3と同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態と実施形態1との相違点は、第1溶液注入工程である。
図4(a)に示すように、まず、人工脂質膜形成装置100の溶液注入部105に脂質溶液202を注入し、親水性パターン103上を脂質溶液202で満たす。
次に、図4(b)に示すように、溶液注入部105に第1溶液201を注入し、親水性パターン103上に第1溶液201をパターンする。
親水性パターン103上に第1溶液201をパターンする方法は、第1溶液201を封入したキャピラリーの先端から第1溶液201を溶液注入部105に注入しながら、第1溶液201が親水性パターン103と接触するようにキャピラリーを移動する方法が最も好ましいが、脂質溶液202中で第1溶液201を親水性パターン103に接触させる他の方法でも良い。
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3における人工脂質膜形成方法について、図面を参照しながら説明する。
図5は、実施形態3における人工脂質膜形成装置の動作図を表す。なお、本実施形態において、実施形態1と同様の構成については、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施形態と実施形態1との相違点は、第2溶液注入工程である。
図5に示すように、第2溶液203は適量の液滴である。
第2溶液203は、水または水溶液である。前記液滴の体積は、10nL以上10μL以下であることが好ましい。
第2溶液203には、リポソームやミセルを混合しても良い。リポソームやミセルを構成する脂質は、リン脂質であることが好ましい。なお、脂質は糖脂質でも良いし、リポ脂質でも良いし、他の脂質でも良い。脂質は、その他の天然由来の脂質であっても良いし、合成脂質でも良い。合成脂質は高純度で化学的に安定なものが得やすいのでより好ましい。具体的にはリン脂質であるジフィタノイルホスファチジルコリン、グリセルモノオレエイト、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンでも良いし、その他のリン酸脂質でも良い。
第2溶液203には、受容体、イオンチャネル、Gタンパク質などの生体膜タンパク質や分泌タンパク質を混合しても良い。第2溶液203にはグラミシジンなどのポリペプチドを混合しても良い。生体膜タンパク質や分泌タンパク質、ポリペプチドなどは、1種類だけ混合しても良いし、複数種類を混合しても良い。
なお、人工脂質膜が形成された後で生体膜タンパク質や分泌タンパクなどを混合する場合、生体膜タンパク質や分泌タンパク質などを一旦ベシクルに組み込んで、ベシクルを人工脂質膜へ融合しても良いし、公知の混合技術を用いても良い。
第2溶液203は、第2水溶液203を封入したキャピラリーの先端から適量の第2溶液203を排出することにより形成されることが好ましいが、適量の第2溶液203を形成し、脂質溶液202を介して、第1溶液201と接触させる他の方法も用いても良い。第2水溶液203を封入したキャピラリーの先端から適量の第2溶液203を排出することにより形成した第2溶液203は、キャピラリー内に残っている第2溶液203と繋がっていても良い。
このようにして、第1溶液201と第2溶液203の界面に人工脂質膜が形成される。人工脂質膜は脂質二重膜であることが最も好ましい。ここでは、第1溶液201と第2溶液203とが接触することにより、脂質溶液202の薄膜から有機溶媒が除去される。
第1溶液201内部と第2溶液203内部に複数の電極を設けて、人工脂質膜の膜抵抗や膜容量、膜電流などを測定しても良いし、他の電気特性を測定しても良い。
第2溶液注入工程には、人工脂質膜の形成を検出する工程を含んでいても良い。人工脂質膜の形成を検出するには、光学顕微鏡による観察でも良い。第1溶液201内部と第2溶液203内部に複数の電極を設けて、人工脂質膜の膜抵抗や膜容量、膜電流などを測定しても良いし、他の電気特性を測定しても良い。第1溶液201内部に電極を設ける方法は、親水性パターン103上に電極を予めパターンする方法が好ましい。
本実施形態において、分析装置へ上述の人工脂質膜形成方法を採用することが好ましい。分析装置は、臨床検査用分析装置、電気化学分析装置、ガス分析装置、味覚分析装置、神経生理解析装置、イオンチャネル解析装置、イオンチャネル機能解析装置、ドラッグスクリーニング分析装置、バイオセンシング装置などに用いても良い。前記分析装置の計測部は、光学的に観察可能な顕微鏡や蛍光検出可能な蛍光顕微鏡や共焦点顕微鏡が好ましい。前記顕微鏡はカメラが取り付けられていることが好ましい。前記顕微鏡とカメラを備えた計測部を利用して、脂質膜の様子を観察しても良いし、膜タンパク質の物質輸送を計測しても良い。また、計測部は、電極を第1溶液201や第2溶液203に挿入したものであっても良い。電極には増幅器を接続することが好ましい。増幅器はパッチクランプアンプが最も好ましいが、電界効果トランジスタ、バイポーラトランジスタ、オペアンプ、作動アンプなどの増幅器を接続しても良い。前記電極を用いて、脂質膜の電気的特性を計測しても良いし、イオンチャネルの機能を計測しても良い。前記分析装置の表示部は、パソコンのモニターであることが好ましいが、計測した値を表示するために計測装置に付属したモニターであっても良い。
(実施形態4)
以下、本発明の実施形態4における人工脂質膜形成方法について、図面を参照しながら説明する。
図6および図7は、実施形態4における人工脂質膜形成装置の断面図および斜投影図である。また、図8は、実施形態4における人工脂質膜形成装置の動作図である。なお、本実施形態において、実施形態1と同様の構成については、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施形態と実施形態1との相違点は、親水性パターン103上に電極301を設けることである。電極301は親水性パターン103の上のみに予めパターンされていることが好ましい。
電極301とは別に、第2溶液203中に電極302を設置しても良い。電極302は電気化学測定に適した電極が好ましい。非分極性の電極であることが好ましい。電極302はAg/AgCl電極が最も好ましいが、Ag電極、Pt電極、Au電極などの金属電極でも良いし、カーボン電極、グラファイト電極、カーボンナノチューブ電極などでも良い。
本実施形態において、電極301は1つでも良いし、複数でも良い。電極301は電気化学測定に適した電極が好ましい。非分極性の電極であることが好ましい。電極301はAg/AgCl電極が最も好ましいが、Ag電極、Pt電極、Au電極などの金属電極でも良いし、カーボン電極、グラファイト電極、カーボンナノチューブ電極などでも良い。電極301と、電極302と、を用いて人工脂質膜のコンダクタンス、電気容量を測定しても良い。
また、電極301と、電極302と、を用いて、第1溶液201または第2溶液203に含まれるイオン、酵素、反応生成物、基質などの化学物質を測定しても良い。また、電極301と、電極302と、を用いて、形成された人工脂質膜に電圧を印加しても良い。
親水性パターン103の上のみに電極301がパターンされた人工脂質膜形成装置100は、フォトリソグラフィなどを利用し電極材料を親水性基板上にパターンし、その後電極材料がパターンされた親水性基板上に疎水性絶縁薄膜を形成し、その後、親水性パターン103となるべき部分の前記疎水性絶縁薄膜を除去することにより作製することが好ましい。
電極301が銀塩化銀電極の場合、上記方法により、まず電極材料の金を親水性パターン103上にパターンした基板を作製し、前記金を電気めっき法により銀めっきし、最後に前記銀を塩化物イオン存在下で還元することにより電極301が作製されることが好ましい。
かかる構成と動作の手順によれば、簡便に、スループット性良く、電極と、顕微鏡で直接観察可能な人工脂質膜と、を具備する微小な人工脂質膜チャンバを作製することができる。形成された電極301を具備する人工脂質膜チャンバの体積は、100fL以上500nL以下であることが好ましく、100pL以上200nL以下であることが最も好ましい。また、電極301の形状は特に限定されないが、倒立顕微鏡を用いて観察することを考え、電極301は、親水性パターン103の一部にパターンされていることが好ましい。電極301に透明電極を用いた場合は、親水性パターン103の全部に電極301がパターンされていても良い。電極301の寸法は親水性パターン103の径によって変化させることが好ましい。
電極301および電極302には、増幅器を接続することが好ましい。増幅器はパッチクランプアンプが最も好ましいが、電界効果トランジスタ、バイポーラトランジスタ、オペアンプ、作動アンプなどの増幅器を接続しても良い。また、これら増幅器を介して得られた信号は記録装置に記録されることが好ましい。
本実施形態において、分析装置へ上述の人工脂質膜形成方法を採用することが好ましい。分析装置は、臨床検査用分析装置、電気化学分析装置、ガス分析装置、味覚分析装置、神経生理解析装置、イオンチャネル解析装置、イオンチャネル機能解析装置、ドラッグスクリーニング分析装置、バイオセンシング装置などに用いても良い。前記分析装置の計測部は、電極301であることが最も好ましい。前記計測部は、光学的に観察可能な顕微鏡や蛍光検出可能な蛍光顕微鏡や共焦点顕微鏡であっても良い。前記顕微鏡はカメラが取り付けられていても良い。前記顕微鏡とカメラを備えた計測部を利用して、脂質膜の様子を観察しても良いし、膜タンパク質の物質輸送を計測しても良い。また、前記分析装置の表示部は、パソコンのモニターであることが好ましいが、その他の計測した値を表示するために計測装置に付属したモニターであっても良い。
1.人工脂質膜形成装置100の作製
まず、人工脂質膜形成装置100の作製方法を説明する。基板101としてガラスを用いた。まず、ガラス基板をアセトン中で5分間超音波洗浄し、イソプロパノール(IPA)によってリンスし、窒素ガスでブローした後、150℃で15分間加熱した。
次に、ガラス基板表面にスピンコート法によりサイトップ(登録商標)溶液をコートし、50℃で30分その後180℃で加熱し、ガラス基板上に、疎水性層102となるサイトップ薄膜を形成した。この時、サイトップ溶液は8w%、スピンコートの条件は3000rpmだった。
サイトップ薄膜の上に真空蒸着によりアルミ層を形成した。
アルミ層の上にポジ型のフォトレジストS1818をスピンコート、ベイクし、親水性パターン103のパターンをガラスマスクを使用し露光、現像することで、親水性パターン103となる部分の上方のアルミ層を露出させた。
混酸アルミ液を用いてアルミ層をエッチングし、親水性パターン103となる部分の上方のサイトップ薄膜を露出させた。
酸素プラズマエッチングによりサイトップ薄膜をエッチングし、親水性パターン103となる部分のガラス基板表面を露出させた。この時、酸素プラズマエッチングの条件は50W、10ml、10minだった。
その後、S1818をアセトンを用いて除去し、最後に、アルミ層を混酸アルミ液を用いて除去した。
2.親水性パターン103上に電極301を設けた人工脂質膜形成装置100の作製
次に、親水性パターン103上に電極301を設けた人工脂質膜形成装置100の作製方法を説明する。
基板101としてガラスを用いた。まず、ガラス基板をアセトン中で5分間超音波洗浄し、イソプロパノール(IPA)によってリンスし、窒素ガスでブローした。
ネガ型フォトレジストZPNをガラス基板上にスピンコート、ベイクした。
電極301のパターンをガラスマスクを使用し露光、現像することで、電極301のパターンとなる部分のガラス基板表面を露出させた。
次に、真空蒸着により金を蒸着し、アセトン中で1分程度超音波洗浄することでZPNを基板101から引き剥がし、基板101上に電極301のパターンの金薄膜を形成した。
電極301の形状に金薄膜をパターンしたガラス基板を150℃で15分間加熱した。
次に、ガラス基板表面にスピンコート法によりサイトップ(登録商標)溶液をコートし、50℃で30分その後180℃で加熱し、電極301の形状に金薄膜をパターンしたガラス基板上に、疎水性層102となるサイトップ薄膜を形成した。形成したサイトップ薄膜は絶縁膜を兼ねている。この時、サイトップ溶液は9w%、スピンコートの条件は2000rpmだった。
サイトップ薄膜の上に真空蒸着によりアルミ層を形成した。
アルミ層の上にポジ型のフォトレジストS1818をスピンコート、ベイクし、親水性パターン103のパターンをガラスマスクを使用し露光、現像することで、親水性パターン103となる部分の上方のアルミ層を露出させた。
混酸アルミ液を用いてアルミ層をエッチングし、親水性パターン103となる部分の上方のサイトップ薄膜を露出させた。
酸素プラズマエッチングによりサイトップ薄膜をエッチングし、親水性パターン103となる部分のガラス基板表面を露出させた。この時、酸素プラズマエッチングの条件は50W、10ml、10minだった。電極301の材料である金薄膜のパターンは親水性パターン103上の一部に露出した。
その後、S1818をアセトンを用いて除去し、アルミ層を混酸アルミ液を用いて除去した。結果として、電極301の材料である金薄膜のパターンは親水性パターン103上の一部に露出し、それ以外の金薄膜のパターンは疎水性絶縁膜で被覆された構造を得た。
前記金薄膜を電気めっき法により銀めっきし、最後に前記銀を塩化物イオン存在下で還元することにより電極301が銀塩化銀電極である人工脂質膜形成装置100を得た。
3.人工脂質膜形成装置を使用した人工脂質膜の形成
次に、人工脂質膜の形成手順を説明する。上記実施例において作製した人工脂質膜形成装置100を用いて、実施形態1に示す方法により人工脂質膜を形成した。
人工脂質膜形成装置100において、親水性パターン103は円形でその直径104は1mmだった。まず、第1溶液注入工程を行った。第1溶液201として純水を用いた。
次に脂質溶液注入工程を行った。脂質溶液202は20mg/mLの濃度で大豆アゾレクチンをヘキサデカンに分散させたものだった。200μLの脂質溶液202を第1溶液注入工程を実施した人工脂質膜形成装置100上に注入した。
次に第2溶液注入工程を行った。第2溶液203として純水を用いた。シャーレに第2溶液203を10mL注ぎ、そのシャーレの底に第1溶液注入工程および脂質溶液注入工程を順に実施した人工脂質膜形成装置100を沈めた。この状態で放置することにより、第1溶液201と第2溶液203が接触し、第1溶液201と第2溶液203の界面に人工脂質膜が形成された。形成された人工脂質膜の顕微鏡写真を図9(a)に示す。また、図9(b)に、図9(a)に示した顕微鏡写真の断面図を示す。
親水性パターン103が円形でその直径104が40μmの場合も、同様の方法を用いて人工脂質膜を形成することができた。
人工脂質膜形成装置100、および、親水性パターン103上に電極301を設けた人工脂質膜形成装置100、のいずれも、同様の方法で人工脂質膜を形成することができた。
4.電気化学的計測
次に、上記実施例において作製された、親水性パターン103上に電極301を設けた人工脂質膜形成装置100を用いた電気化学的計測について説明する。親水性パターン103の表面に電極301を設けた人工脂質膜形成装置100を用いた人工脂質膜形成方法において、第1溶液201には100nMのαヘモリシンを含む1MのKCl水溶液、第2溶液203には1MのKCl水溶液を用いた。脂質溶液202は20mg/mLの濃度で大豆アゾレクチンをヘキサデカンに分散させたものを用いた。電極302には銀塩化銀電極を用いた。
αヘモリシンは、生体内では生体膜中に保持されて1.5nm程度の貫通孔を形成するタンパク質であるので、脂質二重膜に適切に保持されていれば貫通孔を形成して、脂質二重膜の両側が電気的に導通される。従って、電極301および電極302を用いて、第1溶液201と第2溶液203の間に直流電圧をかけると、電流が測定される。図8に示すように、第1溶液201と第2溶液203を配線し、電流を経時的に測定した。なお、図8には示していないが、回路中には、50mVの印加電圧がかけられている。
図10(a)に、電気化学的計測中の、人工脂質膜および電極301の顕微鏡写真を示す。電気化学的計測の結果を図10(b)に示す。αヘモリシンを適切に保持する脂質二重膜が第1溶液201と第2溶液203の界面に形成されると、貫通孔が形成されるので、電流が流れる。脂質二重膜に形成された貫通孔の数が増えるごとに電流は増大するので、電流の大きさはステップ状に増大する。なお、図10に示す結果は、親水性パターン103上に電極301を設けた人工脂質膜形成装置100において、電極301に銀塩化銀電極を、親水性パターン103の直径104は1mmのものを用いた場合の結果である。
5.蛍光検出
次に、上記実施例において作製した人工脂質膜形成装置100を用いた蛍光検出について説明する。人工脂質膜形成装置100を用いた人工脂質膜形成方法において、第1溶液201には純水を、第2溶液202にはカルセインを純水に溶かしたものを用いた。
人工脂質膜形成工程を実施し人工脂質膜チャンバを作製した後で、倒立型共焦点レーザー顕微鏡を用いて人工脂質膜チャンバ内部、すなわち人工脂質膜と基板表面の間の特定領域、の蛍光強度を経時的に測定した。測定中に上記のαヘモリシンを純水に溶かした溶液を第2溶液203に添加した。
αヘモリシンが第1溶液201と第2溶液203の界面に形成された人工脂質膜に導入されると、人工脂質膜に貫通孔が形成されるので、カルセインが第2溶液203中から第1溶液201中に拡散により移動する。そのため、人工脂質膜チャンバ内部の蛍光強度の測定値は、αヘモリシンを添加する前に比べて、添加した後の方が、上昇が顕著であった。なお、本実験には、人工脂質膜形成装置100において、親水性パターン103の直径104は1mmのものを用いた。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。

Claims (11)

  1. 人工脂質膜形成装置であって、
    前記装置は、疎水性層および親水性パターンを具備する基板と、
    前記基板の親水性パターンの上に液滴を形成するための溶液注入部と、
    を含むことを特徴とする、人工脂質膜形成装置。
  2. 前記親水性パターンの径が10μm以上2000μm以下である請求項1記載の人工脂質膜形成装置。
  3. 前記基板がガラスである請求項1および請求項2のいずれか一項に記載の人工脂質膜形成装置。
  4. 前記疎水性層がサイトップまたはパリレンである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の人工脂質膜形成装置。
  5. 前記親水性パターンの表面に前記基板の外部と接続される電極が配置されていることを含む請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の人工脂質膜形成装置。
  6. 前記電極が金電極または銀塩化銀電極であることを特徴とする請求項5記載の人工脂質膜形成装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の人工脂質膜形成装置を用いて形成された人工脂質膜チャンバであって、
    前記人工脂質膜チャンバは、
    前記基板の親水性パターンの上に配置された液滴と、
    前記液滴の上方の水または水溶液と、の接触部分に人工脂質膜を備える、
    人工脂質膜チャンバ。
  8. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の人工脂質膜形成装置を用いた人工脂質膜形成方法であって、
    前記方法は、
    前記基板に、水または水溶液を注入し、親水性パターンの上に液滴を配置する、第1溶液注入工程;
    前記第1溶液注入工程の前または後に前記基板に脂質溶液を注入する脂質溶液注入工程;および
    水または水溶液を注入し、前記脂質溶液を介して、前記水または水溶液と、前記第1溶液注入工程によって形成された前記液滴と、を接触させる第2溶液注入工程
    を含む、人工脂質膜形成方法。
  9. 前記脂質溶液が脂質を分散させたヘキサデカンまたはデカンまたはスクアレンであることを特徴とする請求項8記載の人工脂質膜形成方法。
  10. 前記脂質溶液に分散した脂質がアゾレクチンまたはジフィタノイルホスファチジルコリンまたはEggPCまたはDOPCであることを特徴とする請求項8および請求項9のいずれか一項に記載の人工脂質膜形成方法。
  11. 計測部と、表示部とを含み、請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の人工脂質膜形成方法を実行することを特徴とする、脂質二重膜の分析システム。
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