JP2014020419A - 防振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動入力方向によって特性を異ならせる異方性を十分に持たせることができる防振装置を提供すること。
【解決手段】基部材A1と装着部材B1とが別体であるので、第1ゴム部材30と第2ゴム部材60とを異なる特性のゴム状弾性体から構成できる。Q2方向には、第2ゴム部材60が配設されるので、Q2方向への振動入力時には、第2ゴム部材60の特性を発揮させることができる。一方、Q1方向には、第2ゴム部材60が存在せず、第1ゴム部材30のみが配設されるので、第1方向への振動入力時には、第1ゴム部材30の特性を主に発揮させることができる。その結果、振動入力方向(Q1方向およびQ2方向)によって特性を異ならせる異方性を十分に持たせることができる。
【選択図】図4
【解決手段】基部材A1と装着部材B1とが別体であるので、第1ゴム部材30と第2ゴム部材60とを異なる特性のゴム状弾性体から構成できる。Q2方向には、第2ゴム部材60が配設されるので、Q2方向への振動入力時には、第2ゴム部材60の特性を発揮させることができる。一方、Q1方向には、第2ゴム部材60が存在せず、第1ゴム部材30のみが配設されるので、第1方向への振動入力時には、第1ゴム部材30の特性を主に発揮させることができる。その結果、振動入力方向(Q1方向およびQ2方向)によって特性を異ならせる異方性を十分に持たせることができる。
【選択図】図4
Description
本発明は、防振装置に関し、特に、振動入力方向によって特性を異ならせる異方性を十分に持たせることができる防振装置に関するものである。
内筒部材と外筒部材との間をゴム状弾性体からなるゴム部材で連結し、例えば、懸架装置に使用されるブッシュ(防振装置)では、自動車の乗り心地や走行安定性などの相反する特性を確保するために、振動入力方向(軸直角となる第1方向とその第1方向に直交する第2方向)によって特性を異ならせる(異方性を持たせる)ことが要請される。
振動入力方向によって特性を異ならせる技術としては、筒状の部材を周方向に分断した中間板をゴム部材に埋設する技術や内筒部材の外周面から膨出部を部分的に膨出させる技術などが知られている。これらの技術によれば、中間板または膨出部が介在する振動入力方向と介在しない振動入力方向とでばね定数を異ならせる(異方性を持たせる)ことができる。但し、ゴム部材が単一のゴム状弾性体からなるため、減衰特性について異方性を持たせることが困難である。
これに対し、特許文献1には、軸方向に直交するX方向(第1方向)に沿って軟質部3aが、軸方向およびX方向に直交するY方向(第2方向)に沿って硬質部3bが、それぞれ配設されるように、これら軟質部3a及び硬質部3bを同時射出成形により形成する防振装置が開示される。この防振装置によれば、軟質部3aと硬質部3bとを異なる特性のゴム状弾性体から構成できるので、減衰特性についても異方性を持たせることができる。
しかしながら、上述した従来の防振装置では、軟質部3a及び硬質部3bが同時射出成形により形成されるので、これら軟質部3a及び硬質部3bの両者(ゴム部材)の形状が、加硫金型により同時に加硫成形可能な形状(即ち、脱型可能な形状)に制限される。そのため、ゴム部材の形状の自由度が低く、振動入力方向によって特性を異ならせる異方性を十分に持たせることができないという問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、振動入力方向によって特性を異ならせる異方性を十分に持たせることができる防振装置を提供することを目的としている。
請求項1記載の防振装置によれば、内筒部材の外周面に圧入筒部材が外嵌圧入され保持され、圧入筒部材の外周面から第2ゴム部材が径方向両側へ延設されると共に、第2ゴム部材の延設先端が外筒部材の内周面に当接されるので、内筒部材の外周面と外筒部材の内周面との間が、第1ゴム部材と第2ゴム部材とにより連結される。よって、振動入力に伴い内筒部材に対して外筒部材が相対変位されると、第1ゴム部材および第2ゴム部材が弾性変形される。
この場合、第1ゴム部材および第2ゴム部材は、互いに異なるゴム状弾性体からなり、特性が異なるだけでなく、少なくとも軸方向視における形状が異なるので、軸直角方向への振動入力において、第1ゴム部材の弾性変形が支配的となる振動入力方向と、第2ゴム部材の弾性変形が支配的となる振動入力方向とを形成し、これら各方向において特性の異方性(特性比)を十分に持たせることができる。
特に、圧入筒部材を内筒部材の外周面に外嵌圧入することで第2ゴム部材を装着する構成なので、かかる第2ゴム部材を第1ゴム部材とは別に形成できる。よって、製品状態(第2ゴム部材が装着された状態)における形状を、加硫金型による加硫成形が可能な形状(即ち、脱型が可能な形状)とする必要がない。即ち、加硫金型からの脱型性を考慮せず、製品状態の形状(第1ゴム部材および第2ゴム部材が組み合わさった形状)を自由に設定することができるので、その分、特性の異方性(特性比)をより大きく持たせることができる。
なお、第2ゴム部材の延設先端が外筒部材の内周面に当接されるとは、第1ゴム部材の延設先端が外筒部材の内周面に直接当接される形態と、第2ゴム部材の延設先端が外筒部材の内周面に間接的に当接される形態とを含む。間接的に当接される形態としては、外筒部材の内周面を覆うゴム膜に第2ゴム部材の延設先端が当接される形態が例示される。以下の請求項においても同様である。
請求項2記載の防振装置によれば、請求項1記載の防振装置の奏する効果に加え、圧入筒部材の外周面からその圧入筒部材(即ち、内筒部材)を挟んで径方向両側へ延設される第2ゴム部材が、第2方向に沿う姿勢で配設されるので、第2方向への振動入力時には、第2ゴム部材の特性を少なくとも含む特性を発揮させることができる。一方、第1方向への振動入力時には、第1方向で内筒部材を挟んだ両側には第2ゴム部材が存在せず、第1ゴム部材の弾性変形が支配的となるので、第1ゴム部材の特性を主に発揮させることができる。その結果、振動入力方向(第1方向および第2方向)によって特性を異ならせる異方性を十分に持たせることができる。
請求項3記載の防振装置によれば、請求項2記載の防振装置の奏する効果に加え、圧入筒部材および第2ゴム部材からなる組を2組備えると共に、それら2組が第1ゴム部材を挟んで軸方向一端側および他端側に互いに位相を一致させた姿勢で配設されるので、1組だけが配設される場合と比較して、振動入力時の第1ゴム部材および第2ゴム部材の弾性変形がアンバランスとなることを抑制できる。
請求項4記載の防振装置によれば、請求項3記載の防振装置の奏する効果に加え、第1ゴム部材が、第2方向に沿って延設される第1ゴム第2方向脚部を更に備えるので、その分、ねじり方向のばね定数を確保することができる。一方で、このように、第2方向に沿って延設される第1ゴム第2方向脚部を備えると、第2方向への振動入力時には、第2ゴム部材だけでなく、第1ゴム第2方向脚部も同様に弾性変形されるので、第2ゴム部材の特性が支配的となり難く、特性の異方性(第1方向および第2方向での特性差)を十分に持たせることが困難となる。
この場合、請求項4によれば、第1ゴム第2方向脚部の軸方向視における脚幅寸法が、第2ゴム部材の軸方向視における脚幅寸法よりも小さくされるので、その分、第2方向への振動入力時には、第2ゴム部材の特性をより大きく発揮させることができ、特性の異方性(第1方向および第2方向での特性差)を十分に持たせることができる。
なお、このように、第1ゴム第2方向脚部の脚幅寸法を第2ゴム部材の脚幅寸法よりも小さくすることは、従来の同時射出成形を利用する技術では加硫金型からの脱型性の問題より採用することが不可能であり、本発明のように、圧入筒部材の内筒部材への外嵌圧入を利用して第2ゴム部材を装着する構造としたことで、初めて採用可能となったものである。これにより、ねじり方向のばね定数を確保しつつ、第2方向への振動入力時に第2ゴム部材の特性をより大きく発揮可能として、特性の異方性(第1方向および第2方向での特性差)を十分に持たせることができる。
請求項5記載の防振装置によれば、請求項3記載の防振装置の奏する効果に加え、第1ゴム部材が、軸方向に貫通形成されると共に第2方向に沿って内筒部材を挟んだ両側に配設される第1ゴム第2方向すぐり部を備えるので、2組の第2ゴム部材の対向間に第1ゴム部材が配設されないようにすることができる。よって、第1方向への振動入力時には、第1ゴム部材の第1ゴム第1方向脚部の弾性変形を支配的として、第1ゴム部材の特性を主に発揮させる一方、第2方向への振動入力時には、第2ゴム部材の弾性変形を支配的として、第2ゴム部材の特性を主に発揮させることができる。その結果、特性の異方性(第1方向および第2方向での特性差)を十分に持たせることができる。
なお、このように、第1ゴム部材に第1ゴム第2方向すぐり部を設ける(即ち、2組の第2ゴム部材の対向間に第1ゴム第2方向すぐり部を配設する)ことは、従来の同時射出成形を利用する技術では加硫金型からの脱型性の問題より採用することが不可能であり、本発明のように、圧入筒部材の内筒部材への外嵌圧入を利用して第2ゴム部材を装着する構造としたことで、初めて採用可能となったものである。これにより、第1方向および第2方向への振動入力時には、第1ゴム部材(第1ゴム第1方向脚部)及び第2ゴム部材の弾性変形をそれぞれ支配的とすることができ、特性の異方性(第1方向および第2方向での特性差)を十分に持たせることができる。
請求項6記載の防振装置によれば、請求項5記載の防振装置の奏する効果に加え、第2ゴム本体部の軸方向端面から軸方向へ向けて突設される第2ゴム突設部が、第1ゴム部材の第1ゴム第2方向すぐり部内に配設されるので、第1ゴム部材の第1ゴム第2方向すぐり部により形成される空間を利用して、第2ゴム部材のゴムボリュームを確保することができる。よって、第1方向への振動入力時には、第1ゴム部材の第1ゴム第1方向脚部の弾性変形を支配的として、第1ゴム部材の特性を主に発揮させる一方、第2方向への振動入力時には、第2ゴム部材(第2ゴム本体部および第2ゴム突設部)の弾性変形を支配的とすると共に、そのゴムボリュームが確保される分、第2ゴム部材の特性をより大きく発揮させることができる。その結果、特性の異方性(第1方向および第2方向での特性差)を十分に持たせることができる。
この場合、上記の通り、第2ゴム部材のゴムボリュームを増加させる第2ゴム突設部は、第1ゴム部材の第1ゴム第2方向すぐり部により形成される空間に収容されるので、デッドスペースとなる空間を有効に活用することができ、その分、第2ゴム部材のゴムボリュームを確保しつつ、防振装置全体としての小型化を図ることができる。
請求項7記載の防振装置によれば、請求項1から6のいずれかに記載の防振装置の奏する効果に加え、第2ゴム部材の延設先端が外筒部材の内周面に固着される(請求項6の第2ゴム部材では、少なくとも第2ゴム本体部の延設先端が外筒部材の内周面に固着される)ので、第2方向への振動入力時には、内筒部材が外筒部材へ近接する側に位置する第2ゴム部材部分を圧縮変形させるだけでなく、内筒部材が外筒部材から離間する方向へ側に位置する第2ゴム部材部分を引張変形させることができる。これにより、第2ゴム部材(第2ゴム本体部)の弾性変形を確保して、第2ゴム部材の特性を確実に発揮させることができる。その結果、特性の異方性(第1方向および第2方向での特性差)を十分に持たせることができる。
なお、請求項7における固着とは、圧入筒部材が内筒部材の外周面に外嵌圧入され、第2ゴム部材が装着(外筒部材の内周面に圧入)された後に行われるものであって、その固着の方法としては、例えば、高周波誘導過熱法やポストボンド法によって、外筒部材の内周面と第2ゴム部材(第2ゴム本体部)との間を接着する方法が例示される。
請求項8記載の防振装置によれば、請求項4又は6に記載の防振装置の奏する効果に加え、こじり方向のばね定数を小さくすることができる。即ち、第2ゴム部材の延設先端が前記外筒部材の内周面に非固着の状態で当接されるので、こじり方向の振動入力時、内筒部材が外筒部材へ近接する側に位置する第2ゴム部材部分は圧縮変形されるが、内筒部材が外筒部材から離間する方向へ相対変位される側に位置する第2ゴム部材部分は非拘束なので引張変形されることを抑制でき、その分、こじり方向のばね定数を小さくできる。
この場合、こじり方向への振動入力時には、第1ゴム第2方向脚部と第2ゴム部材の接触面(軸方向端面)同士、又は、第2ゴム突設部の両者の接触面(軸方向端面)同士は擦られるように滑動しつつ相対移動する。そのため、第1ゴム第2方向脚部および第2ゴム部材の両方の軸方向端面、又は、第2ゴム突設部同士の軸方向端面が全面にわたって面一に当接される構造では、抵抗が大きくなり、接触面同士が滑動できなくなるため、上記本来は引張変形が抑制されるべき部分が引張変形され、こじり方向のばね定数が大きくなる。これに対し、請求項9によれば、接触面となる軸方向端面の少なくとも一方が断面波形状に形成されるので、接触面積を小さくできるので、抵抗を小さくして、接触面同士を滑動させることができる。これにより、上記本来は引張変形が抑制されるべき部分の引張変形を抑制でき、その分、こじり方向のばね定数を小さくできる。
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、防振装置100の全体構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態における防振装置100の上面図である。なお、図1に図示するように、Q1方向は、軸O方向に直交する方向(軸O直角方向)であり、Q2方向は、軸O方向およびQ1方向に直交する方向である。図2以降においても同様である。
図1に示すように、防振装置100は、自動車のサスペンション装置(懸架装置)に使用される防振ブッシュであり、Q1方向に沿う方向への振動入力に対する特性と、Q2方向に沿う方向への振動入力に対する特性とが異なる(異方性を持つ)ように構成される。特に、防振装置100によれば、静的なばね定数だけでなく、減衰特性(静動比)についても、振動入力方向によって異なる特性を発揮する(異方性を持つ)。
防振装置100は、基部材A1と、その基部材A1に装着される一対(2組)の装着部材B1とを備える。ここで、図2を参照して、基部材A1の詳細構成について説明する。
図2(a)は、基部材A1の上面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb−IIb線における基部材A1の断面図である。
図2に示すように、基部材A1は、金属材料から筒状に形成される内筒部材10と、その内筒部材10の外周側に同心状に配設され金属材料から筒状に形成される外筒部材20と、それら内筒部材10の外周面および外筒部材20の内周面の間を連結すると共にゴム状弾性体からなる第1ゴム部材30とを備える。
第1ゴム部材30には、軸O方向に貫通される空間である4個のすぐり部30aが周方向等間隔(即ち、周方向に位相を90°異ならせた位置)に形成され、これら各すぐり部30aの間に、Q1方向に沿って延設される第1ゴム第1方向脚部31と、Q2方向に沿って延設される第1ゴム第2方向脚部32とが形成される。
第1ゴム第1方向脚部31は、内筒部材10の外周面からその内筒部材10を挟んで径方向両側(Q1方向、図2(a)上下方向)へ延設され、第1ゴム第2方向脚部32は、内筒部材10の外周面からその内筒部材10を挟んで径方向両側(Q2方向、図2(a)左右方向)へ延設される。これにより、内筒部材10と外筒部材20との間が、第1ゴム第1方向脚部31及び第1ゴム第2方向脚部32により連結される。
なお、第1ゴム部材30は、内筒部材10及び外筒部材20に加硫接着される。即ち、第1ゴム第1方向脚部31及び第1ゴム第2方向脚部32は、基部側および延設先端側が内筒部材10の外周面および外筒部材20の内周面に加硫接着される。
また、第1ゴム部材30は、各すぐり部30aが同形状に形成されると共に周方向等間隔かつ同心となる位置に配設されることで、第1ゴム第1方向脚部31と第1ゴム第2方向脚部32とがそれぞれ同形状に形成される。第1ゴム第1方向脚部31及び第1ゴム第2方向脚部32の軸O方向端面(図2(b)右側面および左側面)は、軸Oに直交する平坦面として形成される。
図1に戻って説明する。防振装置100は、装着部材B1を2組備え、各装着部材B1は、基部材A1の軸O方向一端側および他端側(図1紙面手前側および奥側)に互いに位相(第2ゴム60の回転方向位置)を一致させた姿勢で配設される。ここで、図3を参照して、装着部材B1の詳細構成について説明する。
図3(a)は、装着部材B1の上面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線における装着部材B1の断面図である。なお、図3(a)では、凹溝60aの最底部を表す実線のみが図示される。
図3に示すように、装着部材B1は、金属材料から筒状に形成される圧入筒部材50と、その圧入筒部材50の外周面に加硫接着されると共に基部材A1の第1ゴム部材30(図2参照)と異なる特性のゴム状弾性体からなる第2ゴム部材60とを備える。
本実施形態では、第2ゴム部材60には、第1ゴム部材30に対し、ゴム硬度が高く、減衰特性が高い特性のゴム状弾性体が使用される。一方、第1ゴム部材30には、第2ゴム部材60に対し、ゴム硬度が低く、減衰特性が低い特性のゴム状弾性体が使用される。
ここで、従来の同時射出成形を利用して2種類の特性のゴム部分を設ける技術では、両者の接する部分が融合状態で一体的に結合し、両者間に明瞭な界面が形成されないようにするために、同種のゴム状弾性体を使用する必要があった。即ち、同種のゴム状弾性体に充填される充填材(例えば、カーボン)の配合割合を相違させて、特性を異ならせるものであったため、十分な特性差を持たせることができなかった。特に、減衰特性についての特性差を両者に持たせることができなかった。
これに対し、本発明では、充填材の配合割合を相違させるだけでなく、ゴム状弾性体の種類自体を異ならせることができるので、その分、減衰特性においても、より大きな特性差を両者に持たせることができる。
圧入筒部材50の内径寸法は、基部材A1の内筒部材10(図2参照)の外径寸法に対し、圧入代を有する寸法に設定される。よって、圧入筒部材50は、内筒部材10の外周面に外嵌圧入されることで、その内筒部材10の外周面に保持される。
第2ゴム部材60は、一側(図3(a)紙面手前側)の軸O方向端面が軸Oに直交する平坦面として形成されると共に、他側(図3(a)紙面奥側)の軸O方向端面が、一側の軸O方向端面から離間するに従って外径寸法が小さくされる円錐面として形成される。以下においては、一側の軸O方向端面(図3(b)上側面)を「上面」と称す。
本実施形態では、第2ゴム部材60の上面と圧入筒部材50の軸O方向端面とは、軸O方向位置が一致される(即ち、両面が同一平面上に配置される)。但し、第2ゴム部材60の上面が、圧入筒部材50の軸O方向端面よりも、軸O方向(図3(b)上側)に突出されていても良い。
第2ゴム部材60は、軸Oを回転中心とする回転対称形状の対向する2ヶ所を部分的に切断することで、圧入筒部材50の外周面からその圧入筒部材50を挟んで径方向両側へQ2方向に沿って延設される形状に形成される。即ち、第2ゴム部材60の上面視形状において、図3(a)に示すように、軸Oを中心とする円形の上部および下部(図3(a)上側部分および下側部分)を2本の平行な弦により切断した形状とされる。
なお、第2ゴム部材60の脚幅寸法(図3(a)上下方向寸法、即ち、円形を切断する2本の平行な弦の対向間隔)は、第1ゴム部材30の第1ゴム第2方向脚部32(図2参照)の脚幅寸法(図2(a)上下方向寸法、即ち、隣接するすぐり部30aの対向間隔)よりも大きくされる。また、第2ゴム部材60の外径寸法は、絞り加工前の外筒部材20の内径寸法と略同一とされる。
第2ゴム部材60の上面には、複数本(本実施形態では片側に3本)の凹溝60aが凹設される。凹溝60aは、断面半円形状に形成され、上面視(軸O方向視)において、隣接する凹溝60aとの間に所定間隔を隔てつつ、軸Oを中心とする円弧状に延設される。これら各凹溝60aにより、図3(b)に示すように、第2ゴム部材60の上面が断面波形状に形成される。
図1及び図4を参照して、防振装置100の製造方法について説明する。図4(a)は、図1のIVa−IVa線における防振装置100の断面図であり、図4(b)は、図1のIVb−IVb線における防振装置100の断面図である。
基部材A1及び装着部材B1をそれぞれ加硫金型により加硫成形した後(図2及び図3参照)、基部材A1における内筒部材10の軸O方向一端側および他端側から装着部材B1(圧入筒部材50)をそれぞれ軸O方向に沿って外嵌圧入して保持させる。
各装着部材B1は、第2ゴム部材60の上面(即ち、凹溝60aが形成される側の軸O方向端面)を第1ゴム部材30側に対面させると共に、第2ゴム部材60が第1ゴム第2方向脚部31を挟み込む姿勢で装着される。即ち、各装着部材B1は、第2ゴム部材60の延設方向がQ2方向に一致される回転方向位置(位相)に位置決めされ装着される。
この場合、各装着部材B1は、図4(b)に示すように、第2ゴム部材60の上面(凹溝60aが凹設される側の軸O方向端面)が、基部材A1の第1ゴム部材30における第1ゴム第2方向脚部32の軸O方向端面(図1紙面垂直方向手前側および奥側の面)に当接される軸O方向位置まで圧入され保持される。
基部材A1に装着部材B1を装着した後は、外径寸法を縮径させる絞り加工を外筒部材20に施し、第1ゴム部材30及び第2ゴム部材60に直径方向への予備圧縮を付与する。これにより、防振装置100の製造が完了する。
図1及び図4を参照して、振動入力時の防振装置100の異方性について説明する。防振装置100によれば、第2ゴム部材60が圧入筒部材50の外周面から径方向両側へQ2方向に沿って延設されると共に、その第2ゴム部材60の延設先端(外周面)が外筒部材20の内周面に当接されるので、内筒部材10の外周面と外筒部材20の内周面との間が、第1ゴム部材30と第2ゴム部材60とにより連結される。よって、振動入力に伴い内筒部材10に対して外筒部材20が相対変位されると、第1ゴム部材30及び第2ゴム部材60が弾性変形される。
本実施形態では、上述したように、第2ゴム部材60が、ゴム硬度が高く、減衰特性が高い特性に設定される一方、第1ゴム部材30が、ゴム硬度が低く、減衰特性が低い特性に設定される。これにより、Q2方向に沿う方向の振動入力に対しては、高い減衰特性を確保できる一方で、Q1方向に沿う方向の振動入力に対しては、動的なばね定数を低く抑えることができる。
即ち、防振装置のゴム部材が1種類(単一)のゴム状弾性体からなる場合には、減衰特性を高くすると、動的なばね定数も高くなる一方、動的なばね定数を低くすると、減衰特性も低くなる。そのため、減衰特性(静動比)について異方性を持たせることが困難である。
これに対し、防振装置100によれば、第1ゴム部材30と第2ゴム部材60とが、別体として構成されるので、互いに異なる特性のゴム状弾性体から構成することができる。これにより、Q1方向に沿う方向の振動入力に対する要求特性と、Q2方向に沿う方向の振動入力に対する要求特性とに応じて、第1ゴム部材30及び第2ゴム部材60を配設し、その特性を発揮させることができるので、静的なばね定数だけでなく、減衰特性においても、より大きな異方性(特性比)を持たせることができる。
詳細には、第2ゴム部材60が、Q2方向に沿う姿勢(回転方向位置)で配設されるので、Q2方向に沿う方向(図1左右方向および図4(b)上下方向)への振動入力時には、第2ゴム部材60を弾性変形(圧縮変形)させ、その第2ゴム部材60による特性(高減衰特性)を発揮させることができる。
一方、Q1方向に沿う方向(図1上下方向および図4(a)上下方向)への振動入力時には、Q1方向で内筒部材10を挟んだ両側(即ち、図1に示す上面視において内筒部材10の上側および下側)には第2ゴム部材60が存在せず、第1ゴム部材30の第1ゴム第1方向脚部31の弾性変形(圧縮または引張変形)が支配的となる。よって、第1ゴム部材30の特性(低動ばね特性)を発揮させることができる。
このように、Q1方向に沿う方向への振動入力時には、第1ゴム部材30の特性(低動ばね特性)を主に発揮させる一方、Q2方向に沿う方向への振動入力時には、第2ゴム部材60の特性(高減衰特性)を発揮させることができ、振動入力方向(Q1方向およびQ2方向)によって特性を異ならせる異方性を十分に持たせることができる。即ち、Q1方向に沿う方向おける特性とQ2方向に沿う方向おける特性との特性比を大きくすることができる。
防振装置100は、装着部材B1を2組備えるので、第2ゴム部材60のゴムボリュームを確保でき、その分、第2ゴム部材60の特性を発揮し易くして、異方性(特性比)を大きくすることができる。2組の装着部材B1は、第1ゴム部材30を挟んで軸O方向一端側および他端側に互いに位相を一致させた姿勢(位相)で配設されるので、1組の装着部材B1のみにより第2ゴム部材60のゴムボリュームを確保する場合と比較して、振動入力時の第1ゴム部材30及び第2ゴム部材60の全体としての弾性変形がアンバランスとなることを抑制できる。
ここで、防振装置100によれば、基部材A1の第1ゴム部材30が、Q1方向に沿って延設される第1ゴム第1方向脚部31と、Q2方向に沿って延設される第1ゴム第2方向脚部32とを備えるので、その分、ねじり方向(軸Oを中心とする回転方向)のばね定数を確保することができる。一方で、このように、基部材A1の第1ゴム部材30が、Q2方向に沿って延設される第1ゴム第2方向脚部32を備える構成では、Q2方向に沿う方向への振動入力時には、装着部材B1の第2ゴム部材60だけでなく、基部材A1の第1ゴム部材30における第1ゴム第2方向脚部32も同様に弾性変形されるので、第2ゴム部材60の特性が支配的となり難く、Q1方向およびQ2方向にそれぞれ沿う方向における特性の異方性(特性比)を十分に持たせることが困難となる。
この場合、防振装置100によれば、第1ゴム部材30の第1ゴム第2方向脚部32の軸O方向視(上面視)における脚幅寸法(図1上下方向寸法)が、第2ゴム部材60の軸O方向視における脚幅寸法(図1上下方向寸法)よりも小さくされるので(図1参照)、その分、Q2方向に沿う方向への振動入力時には、第2ゴム部材60のゴムボリュームを確保して、その特性(高減衰特性)をより大きく発揮させることができ、Q1方向およびQ2方向にそれぞれ沿う方向における特性の異方性(特性比)を十分に持たせることができる。
なお、このように、第1ゴム部材30の第1ゴム第2方向脚部32の脚幅寸法を第2ゴム部材60の脚幅寸法よりも小さくすることは、従来の同時射出成形を利用する技術では加硫金型からの脱型性の問題より採用することが不可能であり、本発明のように、圧入筒部材50の内筒部材10への外嵌圧入を利用して第2ゴム部材60(装着部材B1)を基部材A1に装着する構造としたことで、初めて採用可能となったものである。
即ち、防振装置100によれば、第2ゴム部材60を第1ゴム部材30(第1ゴム部第2方向脚部32)とは別に形成できる。よって、製品状態(装着部材B1が基部材A1に装着された状態)における形状を、加硫金型による加硫成形が可能な形状(即ち、脱型が可能な形状)とする必要がなく、加硫金型からの脱型性を考慮せず、製品状態の形状(装着部材B1が基部材A1に装着され、第1ゴム部材30及び第2ゴム部材60が組み合わさった形状)を自由に設定することができる。
これにより、第1ゴム部材30の第1ゴム第2方向脚部32によりねじり方向のばね定数を確保しつつ、Q2方向に沿う方向への振動入力時に第2ゴム部材60の特性をより大きく発揮可能として、Q1方向およびQ2方向にそれぞれ沿う方向における特性の異方性(特性比)を十分に持たせることができる。
防振装置100によれば、第2ゴム部材60の延設先端(外周面、図1右側および左側)が外筒部材20の内周面に非固着の状態で当接されるので、こじり方向のばね定数を小さくすることができる。即ち、こじり方向の振動入力時(例えば、図4(b)において、内筒10の軸O方向左側端部が図4(b)上方へ移動すると共に軸O方向右側端部が図4(b)下方へ移動する場合)、内筒部材10が外筒部材20へ近接する側に位置する第2ゴム部材60部分(図4(b)において、左上側および右下側に位置する部分)は内筒部材10と外筒部材20との間で圧縮変形されるが、内筒部材10が外筒部材20から離間する方向へ相対変位される側に位置する第2ゴム部材60部分(図4(b)において、左下側および右上側に位置する部分)は非拘束なので引張変形されることを抑制でき、その分、こじり方向のばね定数を小さくできる。
ここで、こじり方向への振動入力時には、第1ゴム第2方向脚部32と第2ゴム部材60の接触面(軸O方向端面)同士は擦られるように滑動しつつ相対移動する。そのため、第1ゴム第2方向脚部32及び第2ゴム部材60の両方の軸O方向端面が全面にわたって面一に当接される構造では、抵抗が大きくなり、接触面同士が滑動できなくなるため、上記本来は非拘束であることから引張変形が抑制されるべき部分が引張変形され、こじり方向のばね定数が大きくなる。
これに対し、防振装置100によれば、第2ゴム部材60の上面(即ち、接触面となる軸O方向端面)に複数の凹溝60aが凹設され、その断面形状が断面波形状に形成される。よって、接触面積を小さくできるので、抵抗を小さくして、接触面同士を滑動させることができ、これにより、上記本来は非拘束であることから引張変形が抑制されるべき部分の引張変形を抑制でき、その分、こじり方向のばね定数を小さくできる。
次いで、図5及び図6を参照して、第2実施形態における防振装置200について説明する。第1実施形態では、第2ゴム部材60の脚幅寸法が延設方向(Q2方向)に沿って一定の脚幅寸法とされる場合を説明したが、第2実施形態における第2ゴム部材260は、延設方向(Q2方向)に沿って脚幅寸法が変化される。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図5は、第2実施形態における防振装置200の上面図である。図5に示すように、第2実施形態における防振装置200は、基部材A1と、その基部材A1に装着される一対(2組)の装着部材B2とを備え、各装着部材B2は、基部材A1の軸O方向一端側および他端側(図5紙面手前側および奥側)に互いに位相(第2ゴム部材260の回転方向位置)を一致させた姿勢で配設される。ここで、図6を参照して、装着部材B2の詳細構成について説明する。
図6(a)は、装着部材B2の上面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb−VIb線における装着部材B2の断面図である。なお、図6(a)では、凹溝60aの最底部を表す実線のみが図示される。
図6に示すように、装着部材B2は、圧入筒部材50と、その圧入筒部材50の外周面に加硫接着されると共に基部材A1の第1ゴム部材30(図5参照)と異なる特性のゴム状弾性体からなる第2ゴム部材260とを備える。なお、第2ゴム部材260に使用されるゴム状弾性体は、第1実施形態における第2ゴム部材60に使用されるゴム状弾性体と同一である。
第2ゴム部材260は、図6(a)に示す上面視形状が異なる点を除き、他の形状は第1実施形態における第2ゴム部材60と同一である。即ち、第2ゴム部材260は、図6(a)に示す上面視形状において、軸Oを中心とする円形の上部および下部(図6(a)上側部分および下側部分)を略V字状に切り欠いた形状とされる。よって、第2ゴム部材260は、圧入筒部材50の外周面からその圧入筒部材50を挟んで径方向両側へQ2方向に沿って延設されると共に、圧入筒部材50から離間されるに従って脚幅寸法(図6(a)上下方向寸法)が拡大される形状に形成される。
図5に戻って説明する。防振装置200によれば、基部材A1と一対(2組)の装着部材B2とにより、第1実施形態における防振装置100と同様の作用効果を奏する。この場合、装着部材B2の第2ゴム部材260は、圧入筒部材50から離間するに従って脚幅寸法(図5上下方向寸法)が拡大される形状(即ち、外筒部材20側ほど脚幅寸法が大きい形状)に形成されるので、振動入力の方向がQ2方向に沿う方向である場合だけでなく、その振動入力の方向がQ2方向に沿う方向からずれた場合(Q2方向に対して傾斜する方向に沿って振動入力がある場合)であっても、第2ゴム部材260の特性(高減衰特性)を発揮させることができる。
次いで、図7及び図8を参照して、第3実施形態における防振装置300について説明する。第1実施形態では、基部材A1の第1ゴム部材30が、2方向に脚部(第1ゴム第1方向脚部31及び第1ゴム第2方向脚部32)が延設される場合を説明したが、第3実施形態における基部材A3の第1ゴム部材330は、1方向のみに脚部(第1ゴム第1方向脚部31)が延設される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図7(a)は、第3実施形態における防振装置300の上面図である。図7(a)に示すように、第3実施形態における防振装置300は、基部材A3と、その基部材A3に装着される一対(2組)の装着部材B1とを備え、各装着部材B1は、基部材A3の軸O方向一端側および他端側(図7(a)紙面手前側および奥側)に互いに位相(第2ゴム部材60の回転方向位置)を一致させた姿勢で配設される。ここで、図7(b)を参照して、基部材A3の詳細構成について説明する。
図7(b)は、基部材A3の上面図である。図7(b)に示すように、第3実施形態における第1ゴム部材330には、上面視半円形状に形成されるすぐり部330aが、内筒部材10を挟んだ両側(即ち、周方向に位相を180°異ならせた位置)に対向して配設され、これら両すぐり部330aの間に、Q1方向に沿って延設される第1ゴム第1方向脚部31が形成される。即ち、第3実施形態における第1ゴム部材330は、第1実施形態における第1ゴム部材30(図2(a)参照)に対し、第1ゴム第2方向脚部32が省略された形状に形成される。
図7(a)及び図8を参照して、振動入力時の防振装置300の異方性について説明する。図8(a)は、図7(a)のVIIIa−VIIIa線における防振装置300の断面図であり、図8(b)は、図7(a)のVIIIb−VIIIb線における防振装置300の断面図である。
防振装置300によれば、基部材A3と一対(2組)の装着部材B1とにより、第1実施形態における防振装置100と同様の作用効果を奏する。この場合、基部材A3の第1ゴム部材330には、すぐり部330aがQ2方向に沿って内筒部材10を挟んだ両側(図7(a)右側および左側)に配設されるので、図8(b)に示すように、一対(2組)の装着部材B1における第2ゴム部材60の対向間に、基部材A3の第1ゴム部材330が配設されないようにすることができる。
よって、Q1方向に沿う方向(図7(a)上下方向および図8(a)上下方向)への振動入力時には、第1実施形態の場合と同様に、第1ゴム部材330の第1ゴム第1方向脚部31の弾性変形(圧縮または引張変形)を支配的として、第1ゴム部材330の特性(低動ばね特性)を発揮させることができる。一方、Q2方向に沿う方向(図7(a)左右方向および図8(b)上下方向)への振動入力時には、第2ゴム部材60の弾性変形(圧縮変形)を支配的として、第2ゴム部材60による特性(高減衰特性)を発揮させることができる。
即ち、第3実施形態における防振装置300によれば、第1実施形態における防振装置100と比較して、第1ゴム第2方向脚部32(図2(a)及び図7(b)参照)が省略される分、Q2方向に沿う方向への振動入力に対し、第2ゴム部材60の特性をより大きく発揮させる(即ち、第1ゴム部材330の特性の発揮を小さくする)ことができる。これにより、振動入力方向(Q1方向およびQ2方向)によって特性を異ならせる異方性を十分に持たせる(Q1方向に沿う方向おける特性とQ2方向に沿う方向おける特性との特性比を大きくする)ことができる。
なお、このように、一対(2組)の装着部材B1における第2ゴム部材60の対向間に第1ゴム部材330を存在させない(即ち、第1ゴム部材330において第1ゴム第2方向脚部32を省略した)形状とすることは、従来の同時射出成形を利用する技術では加硫金型からの脱型性の問題より採用することが不可能であり、本発明のように、圧入筒部材50の内筒部材10への外嵌圧入を利用して第2ゴム部材60(装着部材B1)を基部材A3に装着する構造としたことで、初めて採用可能となったものである。
即ち、防振装置300によれば、第1実施形態の場合と同様に、製品状態(装着部材B1が基部材A3に装着された状態)における形状を、加硫金型からの脱型性を考慮せず、製品状態の形状(装着部材B1が基部材A3に装着され、第1ゴム部材330及び第2ゴム部材60が組み合わさった形状)を自由に設定することができ、これにより、Q2方向に沿う方向への振動入力時に第2ゴム部材60の特性をより大きく発揮可能として、Q1方向およびQ2方向にそれぞれ沿う方向における特性の異方性(特性比)を十分に持たせることができる。
次いで、図9から図11を参照して、第4実施形態における防振装置400について説明する。第3実施形態では、一対(2組)の第2ゴム部材60の対向面(上面)が軸O方向に離間される(第1ゴム部材330のすぐり部330aが空間として存在する)場合を説明したが、第4実施形態における第2ゴム部材460は、その対向面(上面)が軸O方向において当接される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図9は、第4実施形態における防振装置400の上面図である。図9に示すように、第4実施形態における防振装置400は、基部材A3と、その基部材A3に装着される一対(2組)の装着部材B4とを備え、各装着部材B4は、基部材A1の軸O方向一端側および他端側(図9紙面手前側および奥側)に互いに位相(第2ゴム部材460の回転方向位置)を一致させた姿勢で配設される。ここで、図10を参照して、装着部材B4の詳細構成について説明する。
図10(a)は、装着部材B4の上面図であり、図10(b)は、図10(a)のXb−Xb線における装着部材B4の断面図である。なお、図10(a)では、凹溝60aの最底部を表す実線のみが図示される。
図10に示すように、第4実施形態における第2ゴム部材460は、圧入筒部材50の外周面からその圧入筒部材50を挟んでQ2方向に沿って径方向両側へ延設される第2ゴム本体部461と、その第2ゴム本体部461の軸O方向端面から軸O方向へ向けて突設される第2ゴム突設部462とを備える。
なお、第2ゴム部材460は、第1実施形態における第2ゴム部材60と同様に、軸Oを回転中心とする回転対称形状の対向する2ヶ所を部分的に切断する(上面視において、軸Oを中心とする円形の上部および下部(図10(a)上側部分および下側部分)を2本の平行な弦により切断する)ことで、圧入筒部材50の外周面からその圧入筒部材50を挟んで径方向両側へQ2方向に沿って延設される形状に形成される。
第2ゴム部材460の上面(即ち、第2ゴム突設部462の軸O方向端面)は、軸Oに直交する平坦面として形成され、上面と反対側(図10(a)紙面奥側)の軸O方向端面(即ち、第2ゴム本体部461の軸O方向端面)は、上面から離間するに従って外径寸法が小さくされる円錐面として形成される。
第2ゴム突設部462の内径寸法は、圧入筒部材50の外径寸法よりも大きくされ、第2ゴム突設部462の外径寸法は、第2ゴム本体部461の外径寸法よりも小さくされる。これにより、内筒部材10の外周面および外筒部材20の内周面を覆う第1ゴム部材330の一部(ゴム膜)を避けることができるので(図11(b)参照)、基部材A3へ装着部材B4を装着する際の作業性の向上を図ることができる。なお、第2ゴム本体部461の外径寸法は、絞り加工前の外筒部材20の内径寸法と略同一とされる。
第2ゴム部材460の上面は、図10(b)に示すように、圧入筒部材50の軸O方向端面よりも、軸O方向(図10(b)上側)に距離Sだけ突出され、この距離Sは、第1ゴム部材330の第1ゴム第1方向脚部31の軸O方向における厚み寸法W(図11(a)参照)の1/2に設定される(W=2×S)。よって、基部材A3に装着部材B4を装着した状態では、第2ゴム部材460(第2ゴム突設部462)の上面どうしが当接される(図11(b)参照)。
なお、第2ゴム部材460(第2ゴム突設部462)の上面には、複数本(本実施形態では片側に2本)の凹溝60aが凹設される。また、第2ゴム部材460に使用されるゴム状弾性体は、第1実施形態における第2ゴム部材60に使用されるゴム状弾性体と同一である。
図9及び図11を参照して、振動入力時の防振装置400の異方性について説明する。図11(a)は、図9(a)のXIa−XIa線における防振装置400の断面図であり、図11(b)は、図9(a)のXIb−XIb線における防振装置400の断面図である。
防振装置400によれば、基部材A3と一対(2組)の装着部材B4とにより、第1実施形態における防振装置100と同様の作用効果を奏する。この場合、第2ゴム部材460は、第2ゴム本体部461から第2ゴム突設部462が軸O方向へ向けて突設され、その第2ゴム突設部462が、第1ゴム部材330のすぐり部330a内に配設されるので、第1ゴム部材330のすぐり部330aにより形成される空間を利用して、第2ゴム部材460のゴムボリュームを確保することができる。
よって、Q1方向に沿う方向(図9上下方向および図11(a)上下方向)への振動入力時には、第1ゴム部材330の第1ゴム第1方向脚部31の弾性変形(圧縮または引張変形)を支配的として、第1ゴム部材330の特性(低動ばね特性)を主に発揮させる一方、Q2方向に沿う方向(図9左右方向および図11(b)上下方向)への振動入力時には、第2ゴム部材460(第2ゴム本体部461及び第2ゴム突設部462)の弾性変形(圧縮変形)を支配的として、第2ゴム部材460の特性(高減衰特性)を主に発揮させることができる。
即ち、第4実施形態における防振装置400によれば、第1実施形態における防振装置100と比較して、第1ゴム第2方向脚部32(図2(a)及び図7(b)参照)が省略されるだけでなく、さらに、第1ゴム第2方向脚部32が省略されることで形成された空間(すぐり部330a)を利用して、第2ゴム部材460(第2ゴム突設部463)のゴムボリュームが大きくされるので、その分、Q2方向に沿う方向への振動入力に対し、第2ゴム部材460の特性(高減衰特性)をより大きく発揮させることができる。これにより、振動入力方向(Q1方向およびQ2方向)によって特性を異ならせる異方性を十分に持たせる(Q1方向に沿う方向おける特性とQ2方向に沿う方向おける特性との特性比を大きくする)ことができる。
また、防振装置400によれば、上記の通り、第2ゴム部材460のゴムボリュームを増加させる第2ゴム突設部462は、第1ゴム部材330のすぐり部330aにより形成される空間に収容されるので、デッドスペースとなる空間(即ち、すぐり部330a)を有効に活用することができ、その分、第2ゴム部材460のゴムボリュームを確保しつつ、防振装置400全体としての小型化を図ることができる。
ここで、本実施形態では、図11(b)に示すように、外筒部材20に絞り加工を施した後の状態(即ち、製品状態)において、第2ゴム突設部462の内周面および外周面と、内筒部材10の外周面を覆うゴム膜(第1ゴム部材330)及び外筒部材20の内周面を覆うゴム膜(第1ゴム部材330)との間に隙間が形成される。
但し、かかる隙間が形成されないように、第2ゴム突設部462の内径寸法および外径寸法を設定しても良い。即ち、第2ゴム突設部462の内径寸法および外径寸法は、例えば、外筒部材20に絞り加工を施す前の状態において、上記隙間が形成されない寸法に設定されても良く、或いは、外筒部材20に絞り加工を施す前の状態では上記隙間が形成され、かつ、外筒部材20に絞り加工を施すことで上記隙間が消滅する寸法に設定されても良い。前者の場合は、外筒部材20に絞り加工が施されることで、第2ゴム突設部262にも直径方向への予備圧縮を付与することができる。後者の場合は、第2ゴム部材460を外筒部材20内へ挿入する作業性の向上を図りつつ、第2ゴム突設部460の内周面および外周面を内筒部材10の外周面および外筒部材20の内周面にゴム膜を介して当接させる(絞り量によっては直径方向への予備圧縮を付与する)ことができる。
防振装置400によれば、第2ゴム部材460(第2ゴム本体部461)の延設先端(外周面、図9右側および左側)が外筒部材20の内周面に非固着の状態で当接されるので、第1実施形態における防振装置100と同様に、こじり方向のばね定数を小さくすることができる。
この場合、防振装置400によれば、第2ゴム部材460の上面(即ち、接触面となる第2ゴム突設部462の軸O方向端面)に複数の凹溝60aが凹設され、その断面形状が断面波形状に形成される。よって、接触面積を小さくできるので、抵抗を小さくして、接触面同士を滑動させることができ、これにより、第1実施形態の防振装置100における第1ゴム第2方向脚部32及び第2ゴム部材60との接触面の関係と同様に、防振装置400においても、本来は非拘束であることから引張変形が抑制されるべき部分の引張変形を抑制でき、その分、こじり方向のばね定数を小さくできる。
次いで、図12から図15を参照して、第5実施形態における防振装置500について説明する。第1実施形態では、基部材A1に対し一対(2組)の装着部材B1が装着される場合を説明したが、第5実施形態における装着部材B5は、1組のみが基部材A5に装着される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図12(a)は、第5実施形態における防振装置500の上面図である。図12に示すように、第5実施形態における防振装置500は、基部材A5と、その基部材A5に装着される装着部材B5とを備える。ここで、図12(b)及び図13を参照して、基部材A5の詳細構成について説明する。
図12(b)は、基部材A5の上面図である。図13(a)は、図12(b)のXIIIa−XIIIa線における基部材A5の断面図であり、図13(b)は、図12(b)のXIIIb−XIIIb線における基部材A5の断面図である。
図12(b)及び図13に示すように、第5実施形態における基部材A5は、内筒部材10の外周面および外筒部材20の内周面の間が第1ゴム部材530により連結される。第1ゴム部材530の上面視形状は、図12(b)に示すように、第1実施形態における第1ゴム部材30と同一とされる。
即ち、第1ゴム部材530には、軸O方向に貫通される空間である4個のすぐり部530aが周方向等間隔(即ち、周方向に位相を90°異ならせた位置)に形成され、これら各すぐり部530aの間に、Q1方向に沿って延設される第1ゴム第1方向脚部531と、Q2方向に沿って延設される第1ゴム第2方向脚部532とが形成される。
これらすぐり部530a、第1ゴム第1方向脚部531及び第1ゴム第2方向脚部532は、第1実施形態におけるすぐり部30a、第1ゴム第1方向脚部31及び第1ゴム第2方向脚部32(いずれも図2参照)と同一の構成であるのでその説明を省略する。但し、第1ゴム第2方向脚部532は、第1実施形態における第1ゴム第2方向脚部32に対し、軸O方向の厚み寸法が拡大されている。
詳細には、第1ゴム第1方向脚部531は、一側および他側(図13(a)右側および左側)の軸O方向端面が軸Oに直交する平坦面として形成される一方、第1ゴム第2方向脚部32は、一側(図13(b)右側)の軸O方向端面のみが軸Oに直交する平坦面として形成され、第1ゴム第2方向脚部32の他側(図13(b)左側)の軸O方向端面は、図13(b)に示すように、一側から他側へ向かうに従って外径寸法が漸次減少する円錐面として形成される。
図12(a)に戻って説明する。防振装置500は、装着部材B5を1組のみ備え、この装着部材B5は、基部材A5の軸O方向一端側(図1紙面手前側)に所定の位相(第2ゴム60の延設方向がQ2方向に沿う方向となる姿勢)で配設される。ここで、図14を参照して、装着部材B5の詳細構成について説明する。
図14(a)は、装着部材B5の上面図であり、図14(b)は、図14(a)のXIVb−XIVb線における装着部材B5の断面図である。なお、図14(a)では、凹溝60aの最底部を表す実線のみが図示される。
図14に示すように、装着部材B5は、金属材料から筒状に形成される圧入筒部材550と、その圧入筒部材550の外周面に加硫接着されると共に基部材A5の第1ゴム部材530(図13参照)と異なる特性のゴム状弾性体からなる第2ゴム部材560とを備える。
これら圧入筒部材550及び第2ゴム部材560は、第1実施形態における圧入筒部材50及び第2ゴム部材60に対し、軸O方向における長さ寸法が拡大される点と、軸O方向における長さ寸法が拡大されることで、第2ゴム部材60の延設先端(外周面)に軸O方向に沿う断面直線状となる部分が形成される点とを除き、他はそれぞれ同一に構成されるので、その説明は省略する。
図12及び図15を参照して、防振装置500の製造方法について説明する。図15(a)は、図12のXVa−XVa線における防振装置500の断面図であり、図15(b)は、図12のXVb−XVb線における防振装置500の断面図である。
基部材A5及び装着部材B5をそれぞれ加硫金型により加硫成形した後(図13及び図14参照)、基部材A5における内筒部材10の軸O方向一端側から装着部材B5(圧入筒部材550)を軸O方向に沿って外嵌圧入して保持させる。
装着部材B5は、第2ゴム部材560の上面(即ち、凹溝60aが形成される側の軸O方向端面)を第1ゴム部材530側に対面させると共に、第2ゴム部材560の延設方向がQ2方向に一致される回転方向位置(即ち、第2ゴム部材560が第1ゴム第2方向脚部532に対面される回転方向位置、図12(a)参照)に位置決めされ装着される。この場合、第2ゴム部材560の上面が、第1ゴム部材530の第1ゴム第2方向脚部532における軸O方向端面に当接される。
基部材A5に装着部材B5を装着した後は、外筒部材20に絞り加工を施し、第1ゴム部材530及び第2ゴム部材560に直径方向への予備圧縮を付与する。これにより、防振装置500の製造が完了する。
次いで、振動入力時の防振装置500の異方性について説明する。防振装置500によれば、第2ゴム部材560が圧入筒部材550の外周面から径方向両側へQ2方向に沿って延設されると共に、その第2ゴム部材560の延設先端(外周面)が外筒部材20の内周面に当接されるので、内筒部材10の外周面と外筒部材20の内周面との間が、第1ゴム部材530と第2ゴム部材560とにより連結される。よって、振動入力に伴い内筒部材10に対して外筒部材20が相対変位されると、第1ゴム部材530及び第2ゴム部材560が弾性変形される。
この場合、防振装置500によれば、第2ゴム部材560が、Q2方向に沿う姿勢(回転方向位置)で配設されるので、Q2方向に沿う方向(図12左右方向および図15(b)上下方向)への振動入力時には、第2ゴム部材560を弾性変形(圧縮変形)させ、その第2ゴム部材560による特性(高減衰特性)を発揮させることができる。
一方、Q1方向に沿う方向(図12上下方向および図15(a)上下方向)への振動入力時には、Q1方向で内筒部材10を挟んだ両側(即ち、図12に示す上面視において内筒部材10の上側および下側)には第2ゴム部材560が存在せず、第1ゴム部材530の第1ゴム第1方向脚部31の弾性変形(圧縮または引張変形)が支配的となる。よって、第1ゴム部材530の特性(低動ばね特性)を発揮させることができる。
このように、Q1方向に沿う方向への振動入力時には、第1ゴム部材530の特性(低動ばね特性)を主に発揮させる一方、Q2方向に沿う方向への振動入力時には、第2ゴム部材560の特性(高減衰特性)を発揮させることができ、振動入力方向(Q1方向およびQ2方向)によって特性を異ならせる異方性を十分に持たせることができる。即ち、Q1方向に沿う方向おける特性とQ2方向に沿う方向おける特性との特性比を大きくすることができる。
防振装置500は、第1ゴム部材530の第1ゴム第2方向脚部532において、その軸O方向に沿う厚み寸法が拡大されているので(図15(b)参照)、第1ゴム部材530の第1ゴム第2方向脚部532と第2ゴム部材560とが軸O方向に並設される場合であっても、Q2方向に沿う方向(図15(b)上下方向)の振動入力に対し、第1ゴム部材530の第1ゴム第2方向脚部532と第2ゴム部材560との全体としての弾性変形がアンバランスとなることを抑制できる。
即ち、Q2方向に沿う方向(図15(b)上下方向)への振動入力に対しては、外筒部材20に対して内筒部材10が平行な姿勢を維持したまま軸O直角方向に相対移動するべきところ、図15(b)において軸O方向に並設される第1ゴム部材530(第1ゴム第2方向脚部532)と第2ゴム部材540との剛性(ばね定数)が異なることから、Q2方向に沿う方向への振動入力時に、ゴム硬度が低く剛性の低い(ばね定数の小さい)第1ゴム部材530側が、第2ゴム部材560側に対して弾性変形しやすくなり、外筒部材20に対して内筒部材10が傾斜して相対変位する(こじり方向に変位する)おそれがある。これに対し、防振装置500では、ゴム硬度が低くされる第1ゴム部材530(第1ゴム第2方向脚部532)の厚み寸法を拡大することで、弾性変形を均一化して、外筒部材20に対する内筒部材10の姿勢を平行に維持した状態で相対移動させやすくすることができる。
一方で、第1ゴム部材530の第1ゴム第1方向脚部531は、図15(a)に示すように、軸O方向に沿う厚み寸法が小さくされるので(即ち、厚み寸法が拡大されるのが第1ゴム第2方向脚部532のみであるので)、上述のようにQ2方向に沿う方向への振動入力時におけるアンバランスを抑制しつつ、Q1方向に沿う方向への振動入力に対し、第1ゴム部材530の特性(低動ばね特性)を効果的に発揮させることができる。
防振装置500によれば、図12(a)に示すように、軸O方向視(上面視)において、第1ゴム部材530の第1ゴム第2方向脚部32の脚幅寸法(図12(a)上下方向寸法)が、第2ゴム部材560の脚幅寸法(図12(a)上下方向寸法)よりも小さくされるので、その分、Q2方向に沿う方向(図12(a)左右方向および図15(b)上下方向)への振動入力時には、第2ゴム部材560のゴムボリュームを確保して、その特性(高減衰特性)をより大きく発揮させることができる。よって、Q1方向およびQ2方向にそれぞれ沿う方向における特性の異方性(特性比)を十分に持たせることができる。
防振装置500によれば、第2ゴム部材460の延設先端(外周面、図12(a)右側および左側)が外筒部材20の内周面に非固着の状態で当接されるので、第1実施形態における防振装置100と同様に、こじり方向のばね定数を小さくすることができる。
この場合、防振装置500によれば、第2ゴム部材560の上面(即ち、接触面となる軸O方向端面)に複数の凹溝60aが凹設され、その断面形状が断面波形状に形成される。よって、接触面積を小さくできるので、抵抗を小さくして、接触面同士を滑動させることができ、これにより、第1実施形態の防振装置100における第1ゴム第2方向脚部32及び第2ゴム部材60との接触面の関係と同様に、防振装置500においても、本来は非拘束であることから引張変形が抑制されるべき部分の引張変形を抑制でき、その分、こじり方向のばね定数を小さくできる。
次いで、図16から図19を参照して、第6実施形態における防振装置600について説明する。第1実施形態では、基部材A1の軸O方向一端側および他端側の両側から装着部材B1がそれぞれ装着される場合を説明したが、第6実施形態の装着部材B1,B6は、基部材A6の軸O方向一端側または他端側のいずれか一方から装着される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図16(a)は、第6実施形態における防振装置600の上面図であり、図16(b)は、防振装置600の分解断面図である。図16に示すように、第6実施形態における防振装置600は、基部材A6と、その基部材A6に装着される装着部材B1,B6とを備える。
図17を参照して、基部材A6の詳細構成について説明する。図17(a)は、基部材A6の上面図であり、図17(b)は、図17(a)のXVIIIb−XVIIb線における基部材A6の断面図である。
図17に示すように、第6実施形態における基部材A6は、内筒部材10の外周面および外筒部材20の内周面の間が第2ゴム部材560により連結される。第2ゴム部材660には、上面視半円形状に形成されるすぐり部660aが、内筒部材10を挟んだ両側(即ち、周方向に位相を180°異ならせた位置)に対向して配設され、これにより、第2ゴム部材660が、Q2方向に沿って延設される形状に形成される。即ち、第2ゴム部材660は、第1実施形態における第2ゴム部材60と同一の形状および同一のゴム状弾性体からなり、この第2ゴム部材60を、内筒部材10の外周面および外筒部材20の内周面の間に加硫接着したものに対応する。
よって、第2ゴム部材660は、一側(図17(b)左側)の軸O方向端面が軸Oに直交する平坦面として形成されると共に、他側(図17(b)右側)の軸O方向端面が、一側の軸O方向端面から離間するに従って外径寸法が小さくされる円錐面として形成される。また、一側の軸O方向端面には、凹溝60aが凹設され、その断面形状が断面波形状に形成される。
図18を参照して、装着部材B6の詳細構成について説明する。図18(a)は、装着部材B6の上面図であり、図18(b)は、図18(a)のXVIIIb−XVIIIb線における装着部材B6の断面図である。
図18に示すように、装着部材B6は、圧入筒部材650と、その圧入筒部材650の外周面に加硫接着される第1ゴム部材630とを備える。なお、圧入筒部材650は、第1実施形態における圧入筒部材50に対し、軸O方向長さを短縮した点のみが異なり、他は同一に構成される。
第1ゴム部材630は、内筒部材10を挟んで径方向両側へQ1方向に沿って延設される第1ゴム第1方向脚部631と、内筒部材10を挟んで径方向両側へQ2方向に沿って延設される第1ゴム第2方向脚部632とを備える。即ち、第1ゴム部材630は、第1実施形態における第1ゴム部材30と同一の形状および同一のゴム状弾性体からなり、この第1ゴム部材30を、圧入筒部材650の外周面に加硫接着したものに対応する。なお、第1ゴム第1方向脚部631及び第1ゴム第2方向脚部632の外径寸法は、絞り加工前の外筒部材20の内径寸法と略同一とされる。
図16及び図19を参照して、防振装置600の製造方法について説明する。図19(a)は、図16のXIXa−XIXa線における防振装置600の断面図であり、図19(b)は、図16のXIXb−XIXb線における防振装置600の断面図である。
基部材A6及び装着部材B1,B6をそれぞれ加硫金型により加硫成形した後(図3、図17及び図18参照)、基部材A6における内筒部材10の軸O方向一端側(図16(b)左側)から、まず、装着部材B6(圧入筒部材650)を軸O方向に沿って外嵌圧入し、次いで、装着部材B1(圧入筒部材50)を軸O方向に沿って外嵌圧入し、これら装着部材B1,B6を内筒部材10に保持させる。
装着部材B1は、第2ゴム部材60の上面(即ち、凹溝60aが形成される側の軸O方向端面)を第1ゴム部材630側に対面させる姿勢で装着される。また、装着部材B1,B6は、基部材A6の第2ゴム部材660と装着部材B1の第2ゴム部材60との間に装着部材B6の第1ゴム第2方向脚部632を挟み込む姿勢で装着される。即ち、装着部材B1,B6は、図16(a)に示すように、第1ゴム第2方向脚部632及び第2ゴム部材60の延設方向がQ2方向に一致される回転方向位置(位相)に位置決めされ装着される。
この場合、装着部材B1,B6は、図19(b)に示すように、第2ゴム部材60,660の上面(凹溝60aが凹設される側の軸O方向端面)が、装着部材B1の第1ゴム第2方向脚部632の軸O方向端面(図19(b)右側面および左側面)に当接される軸O方向位置まで圧入され保持される。
基部材A6に装着部材B1,B6を装着した後は、外径寸法を縮径させる絞り加工を外筒部材20に施し、第1ゴム部材630及び第2ゴム部材60,660に直径方向への予備圧縮を付与する。これにより、防振装置600の製造が完了する。
防振装置600によれば、基部材A6と装着部材B1,B6とにより、第1実施形態における防振装置100と同様の作用効果を奏する。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。例えば、上記各実施形態では、2本または3本の凹溝60aが形成される場合を説明したが、かかる本数は任意に設定可能であり、1本であっても良く、或いは、4本以上であっても良い。
上記各実施形態における防振装置の一部または全部を、他の実施形態における防振装置の一部または全部と組み合わせて、又は、他の実施形態における防振装置の一部または全部と置き換えて、防振装置を構成しても良い。例えば、第3実施形態の防振装置300において、装着部材B1を第2実施形態における装着部材B2に置き換えても良い。即ち、第3実施形態における基部材A3と第2実施形態における一対(2組)の装着部材B2とを組み合わせて防振装置を構成しても良い。
上記各実施の形態では、装着部材B1,B2,B4〜B6の第2ゴム部材60,260,460,560及び第1ゴム部材630の外径寸法が、絞り加工前の外筒部材20の内径寸法と同一である場合を説明したが、かかる内径寸法よりも小さくても、或いは、大きくても良い。第1実施形態を例に具体的に説明すると、第2ゴム部材60の外径寸法は、絞り加工前の外筒部材20の内径寸法より小さくても良く、或いは、絞り加工前の外筒部材20の内径寸法よりも大きくても良い。前者の場合は、外筒部材20に絞り加工が施されることで、第2ゴム部材60の外周面を外筒部材20の内周面に当接させる(絞り量によっては直径方向への予備圧縮を付与する)ことができる。後者の場合は、外筒部材20への圧入時に付与される予備圧縮のみでなく、外筒部材20の絞り加工時に付与される予備圧縮が合算されることで、第2ゴム部材60に付与される予備圧縮量を大きくできる。他の実施形態においても同様である。
上記各実施の形態では、装着部材B1,B2,B4〜B6の第2ゴム部材60,260,460,560及び第1ゴム部材630の延設先端(外周面)が外筒部材20の内周面に非固着される場合を説明したが、かかる延設先端(外周面)を外筒部材20の内周面に接着(固着)しても良い。第1実施形態を例に具体的に説明すると、外筒部材20に絞り加工を施す前または後に、第2ゴム部材60の延設先端(外周面)を外筒部材20の内周面に接着(固着)させても良い。この場合には、Q2方向に沿う方向への振動入力時には、内筒部材10が外筒部材20へ近接する側に位置する第2ゴム部材60部分(例えば、図4(b)において、内筒部材10が上方へ移動する場合には、内筒部材10よりも上方に位置する部分)を圧縮変形させるだけでなく、内筒部材10が外筒部材20から離間する側に位置する第2ゴム部材60部分(図4(b)において、内筒部材10が上方へ移動する場合には、内筒部材10よりも下方に位置する部分)を引張変形させることができる。
これにより、第2ゴム部材60の弾性変形を確保して、第2ゴム部材60の特性(高減衰特性)の発揮をさせることができる。その結果、Q1方向およびQ2方向にそれぞれ沿う方向における特性の異方性(特性比)を十分に持たせることができる。なお、接着の方法としては、例えば、高周波誘導過熱法やポストボンド法が例示される。他の実施形態においても同様である。
上記各実施形態では、凹溝60aが軸Oを中心として円弧状に湾曲して延設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものでなはく、これに代えて、或いは、これに加えて、直線状に延設される凹溝60aを形成しても良い。また、凹溝60aが凹設される対象が、第2ゴム部材60,260,560,660である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、かれに代えて、或いは、これに加えて、第1ゴム部材30,530,630に凹溝60aを凹設しても良い。
100,200,300,400,500,600 防振装置
10 内筒部材
20 外筒部材
30,330,530,630 第1ゴム部材
31,531,631 第1ゴム第1方向脚部
32,532,632 第1ゴム第2方向脚部
330a すぐり部(第1ゴム第2方向すぐり部)50,550,650 圧入筒部材
60,260,460,560,660 第2ゴム部材
461 第2ゴム本体部
462 第2ゴム突設部
O 軸
Q1 第1方向
Q2 第2方向
10 内筒部材
20 外筒部材
30,330,530,630 第1ゴム部材
31,531,631 第1ゴム第1方向脚部
32,532,632 第1ゴム第2方向脚部
330a すぐり部(第1ゴム第2方向すぐり部)50,550,650 圧入筒部材
60,260,460,560,660 第2ゴム部材
461 第2ゴム本体部
462 第2ゴム突設部
O 軸
Q1 第1方向
Q2 第2方向
Claims (8)
- 筒状の内筒部材と、
前記内筒部材の外周側に同心状に配設される筒状の外筒部材と、
前記内筒部材の外周面および外筒部材の内周面の間を連結すると共にゴム状弾性体からなる第1ゴム部材と、
前記内筒部材の外周面に外嵌圧入されて保持される筒状の圧入筒部材と、
前記圧入筒部材の外周面から前記圧入筒部材を挟んで径方向両側へ延設されると共に前記ゴム基体と異なる特性のゴム状弾性体からなる第2ゴム部材と、を備え、
前記第2ゴム部材の延設先端が前記外筒部材の内周面に当接されると共に、少なくとも第1ゴム部材および第2ゴム部材の軸方向視における形状が互いに異なることを特徴とする防振装置。 - 前記第1ゴム部材は、軸直角方向である第1方向に沿って延設される第1ゴム第1方向脚部を少なくとも備え、
前記第2ゴム部材は、その延設方向が前記第1方向に直交する第2方向に沿う姿勢で配設されること特徴とする請求項1記載の防振装置。 - 前記圧入筒部材および第2ゴム部材からなる組を2組備えると共に、それら2組が前記第1ゴム部材を挟んで軸方向一端側および他端側に互いに位相を一致させた姿勢で配設されることを特徴とする請求項2記載の防振装置。
- 前記第1ゴム部材は、前記第2方向に沿って延設される第1ゴム第2方向脚部を更に備え、
前記第1ゴム第2方向脚部の軸方向視における脚幅寸法が、前記第2ゴム部材の軸方向視における脚幅寸法よりも小さくされることを特徴とする請求項3記載の防振装置。 - 前記第1ゴム部材は、軸方向に貫通形成されると共に前記第2方向に沿って前記内筒部材を挟んだ両側に配設される第1ゴム第2方向すぐり部を備えることを特徴とする請求項3記載の防振装置。
- 前記第2ゴム部材は、
前記圧入筒部材の外周面から前記圧入筒部材を挟んで径方向両側へ延設される第2ゴム本体部と、
前記第2ゴム本体部の軸方向端面から軸方向へ向けて突設され前記第1ゴム部材の第1ゴム第2方向すぐり部内に配設される第2ゴム突設部と、を備え、
少なくとも前記第2ゴム本体部の延設先端が前記外筒部材の内周面に当接されることを特徴とする請求項5記載の防振装置。 - 前記第2ゴム部材の延設先端が前記外筒部材の内周面に固着される、又は、少なくとも前記第2ゴム部材の第2ゴム本体部の延設先端が前記外筒部材の内周面に固着されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の防振装置。
- 前記第2ゴム部材の延設先端が前記外筒部材の内周面に非固着の状態で当接され、
前記第1ゴム部材の第1ゴム第2方向脚部または第2ゴム部材の少なくとも一方もしくは両方の軸方向端面、又は、前記2組における前記第2ゴム部材の第2ゴム突設部の少なくとも一方もしくは両方の軸方向端面が断面波形状に形成されることを特徴とする請求項4又は6に記載の防振装置。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3269996A4 (en) * | 2015-03-10 | 2018-11-21 | Zhuzhou Times New Material Technology Co., Ltd. (China Corporation) | Spherical hinge type rubber elastic element |
WO2019131512A1 (ja) * | 2017-12-28 | 2019-07-04 | Toyo Tire株式会社 | 電気自動車用防振装置の配設構造 |
JP7457635B2 (ja) | 2020-11-25 | 2024-03-28 | 株式会社プロスパイラ | 防振装置 |
-
2012
- 2012-07-13 JP JP2012157848A patent/JP2014020419A/ja active Pending
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