特許文献1に係る内燃機関は、両バンクに形成された冷却水通路を通過し、リアウォータジョイントにて集合された後の水を他のデバイスに供給するため、それぞれのバンクを通過した水の温度に差がある場合には、リアウォータジョイントにて集合されることによって水温が平均化される。例えば、一方のバンクに、内燃機関の状態に応じて稼働又は休止が選択される休止可能気筒が含まれる場合には、そのバンクを休止時に通過した水の温度は、内燃機関の稼動中に常に稼働する常時稼働気筒からなる他方のバンクを通過した水の温度よりも低くなるため、集合した後の水の温度は他方のバンクを通過した直後の水の温度よりも低くなり、昇温に不利となる。
本発明は、以上の背景を鑑みてなされたものであって、休止可能気筒を含む内燃機関において、昇温が行われ得るデバイスに高温の水を供給することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、内燃機関(1)の状態に応じて稼働又は休止が選択される休止可能気筒(18)を少なくとも1つ含む休止可能気筒群(19)と、前記内燃機関の稼動中に常に稼働する常時稼働気筒(15)からなる常時稼働気筒群(16)とを有する内燃機関であって、前記休止可能気筒群の周囲に設けられた第1水通路(21)と、前記常時稼働気筒群の周囲に設けられた第2水通路(22)と、上流側においてポンプ(24)に連通する一方、下流側が前記第1水通路及び前記第2水通路の上流側に連通する上流側集合水通路(23)と、上流側が分岐して前記第1水通路及び前記第2水通路の下流側に連通し、中間部に合流部(41)を有し、下流側がラジエータ(52)に連通する下流側集合水通路(31)と、前記ラジエータと前記ポンプとを連通する連結通路(33、34、53、54)と、前記下流側集合水通路における前記第2水通路側の上流端と前記合流部との間の部分と、前記連結通路とを繋ぐ第3水通路(32、58、57、59、35、60)と、前記第3水通路を流れる水との間で熱交換するように、前記第3水通路の少なくとも一部に隣接して配置されたデバイス(56)とを有することを特徴とする。ここで、デバイスとは昇温され得る、又は昇温されることが好ましいデバイスであり、例えば、トランスミッションやスロットルバルブ、空調装置のためのヒータコア等を含む。
この構成によれば、下流側集合水通路における第2水通路側の上流端と合流部との間の部分から第3通路を形成したため、第3通路には第2水通路を通過した水が流入し易くなり、第1水通路を通過した水が流入し難くなる。そのため、休止可能気筒が休止し、第1水通路における水温が、第2水通路における水温より低くなったとしても、第3水通路にはより高温である水が供給され、デバイスの昇温の効率が向上する。
上記の発明において、前記常時稼働気筒及び前記休止可能気筒の少なくとも一方に連通した排気通路(47、37、44、38、48、46)を有し、前記排気通路を流れる排気と前記第3水通路を流れる水との間で熱交換するように、前記排気通路の一部(38)が前記第3水通路に隣接して配置されていることが好ましい。
この構成によれば、第3水通路を流れる水は、排気通路を流れる排気によって昇温されるため、デバイスの昇温の効率が一層向上する。
上記の発明において、前記排気通路の前記一部は、排気を当該内燃機関の吸気系に導入するEGR通路であってよい。
この構成によれば、第3通路を流れる水との熱交換によって、EGRガスの温度を低下させることができ、吸気の充填効率を高めることができる。
上記の発明において、前記第3水通路の一部と前記EGR通路は、1つの成形体に形成されていてよい。
この構成によれば、EGR通路を流れるEGRガスと第3水通路を流れる水との間の熱交換効率が向上すると共に、部品点数を削減することができる。
上記の発明において、当該内燃機関は、2つのバンク(4、5)を有し、前記休止可能気筒群及び前記第1水路は、一方のバンクに形成され、前記常時稼働気筒群及び前記第2水路は、他方のバンクに形成されていてよい。
この構成によれば、休止可能気筒群及び常時稼働気筒群が互いに離間して配置されるため、第1水通路及び第2水通路を通過する水の間で熱交換が発生し難くなり、気筒休止時において第2水通路を通過する水の温度が第1水通路を通過する水よりも一層高温に維持される。そのため、第3水通路に流れる水が一層高温に維持される。
上記の発明において、前記下流側集合水通路の前記合流部よりも下流側の部分、又は前記連結通路の前記第3水通路が連通する部分よりも上流側の部分に、前記ラジエータへの水の流通を制御する開閉弁(43)が設けられていてもよい。
この構成によれば、開閉弁によってラジエータに流通させる水を制御することができる。
以上の構成によれば、休止可能気筒を含む内燃機関において、昇温が行われ得るデバイスに高温の水を供給することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係る内燃機関の第1実施形態について詳細に説明する。以下の説明では、内燃機関が搭載される車両の前進方向を前方として各方向を定める。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る内燃機関1は、自動車用のV型内燃機関であり、クランクシャフト(図示しない)が車幅方向に延在するように、車体に対して横置きに搭載される。内燃機関1は、シリンダブロック2と、前後一対のシリンダヘッド3とを有し、シリンダブロック2とシリンダヘッド3とによって前後一対のバンク4、5が形成されている。シリンダブロック2の各バンク4、5に対応する部分には、車幅方向に列設された複数の気筒6が形成されている。本実施形態では、各バンク4、5に気筒6は3つずつ形成されている。シリンダヘッド3の各気筒6に対応する部分は、気筒6と共に燃焼室を画成している。
各シリンダヘッド3には、各燃焼室に連通する吸気ポート及び排気ポートが形成されている。各吸気ポートは、前後のシリンダヘッド3が互いに対向する側の側面に開口し、各排気ポートは、各吸気ポートが開口する側の側面と相反する側の側面に開口している。各吸気ポートには、各吸気ポートに対応して分岐した吸気集合管8が連通している。吸気集合管8は、その上流側がスロットルバルブやエアフィルタを介してエアインレットに連通し、吸気系9を構成している。各排気ポートには、各排気ポートに対応して分岐した排気集合管11が連通している。排気集合管11は、その下流側が3元触媒やマフラーを介して大気に開放され、排気系12を構成している。
各燃焼室には、吸気ポート及び排気ポートを開閉する吸気バルブ及び排気バルブが設けられている。吸気バルブ及び排気バルブは、バルブスプリングによって常時閉位置へと付勢されている。シリンダヘッド3には、クランクシャフトに調時して回転するカムシャフトが回転自在に支持されていると共に、ロッカアームを揺動可能に支持するロッカシャフトが支持されている。カムシャフトが回転することによって、カムシャフトに押圧されたロッカアームがバルブスプリングの付勢力に抗して変位し、ロッカアームが吸気バルブ及び排気バルブを開方向に押圧することによって、吸気ポート及び排気ポートが開かれる。
内燃機関1の前側に配置されたバンク4、5の気筒群は、内燃機関1の運転時、常に所定のタイミングで燃焼を行う常時稼働気筒15のみから構成された常時稼働気筒群16となっている。一方、内燃機関1の後側に配置されたバンク4、5の気筒群は、内燃機関1の状態に応じて燃焼の有無が選択される、すなわち稼働又は休止が選択される休止可能気筒18を少なくとも1つ含み、他の気筒6が常時稼働気筒15から構成された休止可能気筒群19となっている。本実施形態では、休止可能気筒群19を構成する全ての気筒6は、休止可能気筒18から構成されている。休止可能気筒18は、対応するロッカアームが休止機構を有している。休止機構を有するロッカアームは、ロッカシャフトにそれぞれ支持された駆動ロッカアーム及び従動ロッカアームと、油圧によって駆動され、駆動ロッカアームと従動ロッカアームとを選択的に連結、解除する連結ピンとを有している。駆動ロッカアームは、カムシャフトによって押圧され、揺動する。従動ロッカアームは、揺動することによってバルブスプリングの付勢力に抗して吸気バルブ及び排気バルブを押圧し、吸気ポート及び排気ポートを開く。休止機構を有するロッカアームは、気筒6の稼働時には突出した連結ピンによって駆動ロッカアーム及び従動ロッカアームが連結されて一体に揺動し、カムシャフトの回転に応じて吸気バルブ及び排気バルブを開く。一方、気筒6の休止時には、連結ピンが駆動ロッカアーム又は従動ロッカアームに没入することによって、駆動ロッカアームと従動ロッカアームとの連結が解除され、駆動ロッカアームがカムシャフトに駆動されても、従動ロッカアームが揺動せず、吸気バルブ及び排気バルブが閉じた状態を維持する。また、休止時には、燃焼室へのインジェクタによる燃料噴射が停止される。このような休止可能気筒18の休止は、内燃機関1の冷却水温、エンジンの要求トルク、エンジン回転数及び車両の加減速状態等に応じて選択される。
後側バンク5を構成するシリンダブロック2及びシリンダヘッド3には、休止可能気筒群19の各気筒18を囲むように第1水通路21が形成されている。一方、前側バンク4を構成するシリンダブロック2及びシリンダヘッド3には、常時稼働気筒群16の各気筒15を囲むように第2水通路22が形成されている。第1水通路21及び第2水通路22は、クランク軸線方向における各バンク4、5のシリンダヘッド3の一端面(右端面)及び他端面(左端面)に開口し、一端面側を上流側として、下流側である他端面側へと水が流れるようになっている。
図2に示すように、各シリンダヘッド3のクランク軸線方向における一端面には、第1水通路21及び第2水通路22の上流端に連通する上流側集合水管23が締結されている。上流側集合水管23は、上流側が単一の通路を構成し、中間部において二股に分岐し、下流側が2つの通路を構成している。上流側集合水管23の各下流端は、第1水通路21又は第2水通路22に連通している。上流側集合水管23の上流端は、水ポンプ24に締結されている。
図3〜図5に示すように、各シリンダブロック2のクランク軸線方向における他端面(左端面)には、単一の管ユニット27が締結されている。管ユニット27は、例えば金属を鋳造することによって、或いは樹脂を射出成形することによって一体に成形されている。管ユニット27は、下流側集合水通路31と、上流側昇温用水通路32と、バルブケース33と、連結通路34と、下流側昇温用水通路35と、第1EGR通路37と、第2EGR通路38とを一体に有している。
下流側集合水通路31は、中間部の合流部41から上流側が二股に分岐し、下流側が1つの通路となっている。下流側集合水通路31の2つの上流端は、管ユニット27のシリンダヘッド3との締結面に開口し、第1水通路21又は第2水通路22の下流端に連通している。下流側集合水通路31の下流端は、管ユニット27の外面に開口している。
上流側昇温用水通路32は、下流側集合水通路31の第2水通路22と連通する上流端と合流部41との間の部分に一端が連通し、他端が管ユニット27の外面に開口している。バルブケース33は、管ユニット27の外面に凹設された凹部であり、図2に示すように内部に開閉弁であるサーモスタット43を収容する。他の実施形態では、サーモスタット43に代えて電磁弁を使用してもよい。連結通路34は、一端がバルブケース33に連通する一方、他端が管ユニット27の外面に開口している。下流側昇温用水通路35は、一端が連結通路34に連通する一方、他端が管ユニット27の外面に開口している。
図3に示すように、管ユニット27の外面の一部には、電磁弁であるEGRバルブ44を締結するためのEGRバルブ締結面45が形成されている。図1〜図5に示すように、第1EGR通路37及び第2EGR通路38は、排気集合管11から吸気集合管8へと延びるEGR通路46の一部をなし、それぞれの一端がEGRバルブ締結面45に開口する一方、他端が管ユニット27の外面に開口している。第1EGR通路37の他端は、排気集合管11に連通する排気側EGR管47に連通している。第2EGR通路38の他端は、吸気集合管8に連通する吸気側EGR管48に連通している。これにより、排気集合管11を流れる排気の一部は、排気側EGR管47、第1EGR通路37、EGRバルブ締結面45に締結されたEGRバルブ44内、第2EGR通路38、吸気側EGR管48を順に通過して吸気集合管8に導入される。第2EGR通路38の一部は、下流側集合水通路31の第2水通路22と連通する上流端と合流部41との間の部分、及び上流側昇温用水通路32に近接して配置されている。特に、第2EGR通路38は、上流側昇温用水通路32と下流側集合水通路31との連結部に近接して配置されている。なお、他の実施形態では、第1EGR通路37を、下流側集合水通路31の第2水通路22と連通する上流端と合流部41との間の部分、及び上流側昇温用水通路32に近接して配置してもよい。
図2に示すように、下流側集合水通路31の下流端は、配管51を介してラジエータ52の入口に連通している。ラジエータ52の出口は、第1連結管53を介してバルブケース33に連通している。バルブケース33は、第1連結管53を管ユニット27に締結することによって閉塞される。連結通路34のバルブケース33側と相反する他端の開口端は、第2連結管54を介して水ポンプ24に連通している。
上流側昇温用水通路32の下流側集合水通路31側と相反する側の端部は、一端がトランスミッション56のハウジングに形成されたウォータジャケット57の入口に連通する上流側昇温用配管58の他端に連通している。ウォータジャケット57は、トランスミッション56内に保持されたオイルと熱交換し、昇温するオイルウォーマーとして機能する。なお、他の実施形態では、トランスミッション56のハウジングに形成されたウォータジャケット57に代えて、スロットルバルブのハウジングに形成されたウォータジャケットや、ISCバルブ(アイドルスピードコントロールバルブ)のハウジングに形成されたウォータジャケット、空調装置のヒータコア等の昇温を必要とする装置に形成された水通路としてもよい。ウォータジャケット57の出口は、下流側昇温用配管59を介して下流側昇温用水通路35の開口端に連通している。直列に配列された上流側昇温用水通路32、上流側昇温用配管58、ウォータジャケット57、下流側昇温用配管59及び下流側昇温用水通路35は、ラジエータ52を迂回する1つのバイパス通路(第3通路)60を構成している。
図1、図4及び図5に示すように、本実施形態では、下流側集合水通路31の第1水通路21側の上流端と合流部41の間の部分から予備水通路62が延出している。予備水通路62の一端は、管ユニット27の外面に開口し、ヒータコア等の他の装置に形成された水通路に連通している。予備水通路62は、必須の構成ではなく、他の実施形態では省略してもよい。
以上のように構成した内燃機関1では、水ポンプ24から圧送される水は、上流側集合水管23で分岐されて、並列回路を構成するように配置された第1水通路21及び第2水通路22のそれぞれに供給され、下流側集合水通路31にて再び合流し、配管51、ラジエータ52、第1連結管53、バルブケース33、連結通路34及び第2連結管54を順に通過して水ポンプ24に戻る。また、水は、下流側集合水通路31の第2水通路22側の上流端と合流部41との間の部分から分岐して、ラジエータ52を迂回する、すなわち下流側集合水通路31の下流側部分、配管51、ラジエータ52、第1連結管53、バルブケース33から構成される通路に対して並列回路を形成するように配置されたバイパス通路60を通過する。サーモスタット43は、水温が所定値以下の場合にバルブケース33が形成する通路を閉じて、ラジエータ52への水の供給を遮断する。本実施形態では、サーモスタット43は、水温が82℃以上で開き、ラジエータ52への水の供給が可能になる。水温が82℃より低い場合にはサーモスタット43が通路を遮断し、第1水通路21及び第2水通路22を通過して下流側集合水通路31にて合流した水は、全てバイパス通路60を通過して水ポンプ24に循環する。
以上のように構成した内燃機関1の作用について、図6を参照して説明する。本実施形態に係る内燃機関1は、第2水通路22の下流端付近に設けられ、内部の水温(内燃機関水温Tw1)を測定する第1温度センサと、ラジエータ52の上流端付近に設けられ、内部の水温(ラジエータ水温Tw2)を測定する第2温度センサと、内燃機関1のオイルパン内に貯留されたエンジンオイルの温度(エンジン油温To1)を測定する第3温度センサと、トランスミッション内に設けられ、内部に貯留されたオイルの温度(トランスミッション油温To2)を測定する第4温度センサとを有している。内燃機関1は、内燃機関水温Tw1が60℃以上になると、休止可能気筒18の全てを休止するように制御されている。また、内燃機関水温Tw1が82℃以上になると、サーモスタット43が開き、ラジエータ52への水の流通が可能になる。
図6に示すように、時間t=0において内燃機関1を始動する前には、内燃機関水温Tw1、ラジエータ水温Tw2、エンジン油温To1及びトランスミッション油温To2は、外気温度と等しく、約25℃となっている。
内燃機関1の始動直後は、内燃機関水温Tw1が60℃より低いため、サーモスタット43が通路を遮断してラジエータ52への水の流通を禁止すると共に、休止可能気筒18は全て稼働している。そのため、水ポンプ24から圧送される水は、第1水通路21及び第2水通路22を通過して、各気筒15、18と熱交換をしてそれぞれ昇温され、下流側集合水通路31、上流側昇温用水通路32、上流側昇温用配管58、ウォータジャケット57、下流側昇温用配管59、下流側昇温用水通路35、連結通路34及び第2連結管54を順に通過して水ポンプ24に戻る。この状態では、循環する水は、第1水通路21及び第2水通路22において昇温されるため、時間の経過と共に内燃機関水温Tw1が上昇する。また、エンジン油温To1も、内燃機関1の稼働によって、時間の経過と共に上昇する。トランスミッション油温To2は、ウォータジャケット57を通過する水から熱量を受けることによって、内燃機関水温Tw1及びエンジン油温To1よりも緩やかであるものの時間の経過と共に上昇する。ラジエータ水温Tw2は、サーモスタット43によってラジエータ52への水の流入が禁止されているため、変化しない。
始動から約90秒が経過し、内燃機関水温Tw1が60℃に達すると、全ての休止可能気筒18が休止する。これにより、第1水通路21を通過する水は昇温されなくなるため、内燃機関水温Tw1の上昇速度が低下する。更に、始動から約240秒が経過し、内燃機関水温Tw1が82℃に達すると、サーモスタット43が通路を開き、ラジエータ52への水の流入が許容される。ラジエータ52で放熱し、温度が低下した水が水ポンプ24へと戻されることによって、内燃機関水温Tw1の温度上昇は著しく低下する。また、ラジエータ52に第1水通路21及び第2水通路22を通過した水が流通することによって、ラジエータ水温Tw2は時間と共に上昇する。
内燃機関水温Tw1が82℃に達し、サーモスタット43が通路を開く時点(始動から約240秒後)において、トランスミッション油温To2は約35℃であり、昇温(暖機)は、未だ十分な状態ではない。そのため、ウォータジャケット57により高温の水を供給し、トランスミッション56に熱量を与える必要がある。気筒休止が実行された後は、第1水通路21を通過する水の温度が、常時稼働気筒群16の周囲に設けられた第2水通路22を通過する水の温度よりも低くなる。そのため、第1水通路21を通過した水と第2水通路22を通過した水とが混合される前の、下流側集合水通路31の第2水通路22側の上流端と合流部41と間の部分に上流側昇温用水通路32を設けることによって、ウォータジャケット57により高温の水を供給して、トランスミッション油温To2の温度上昇を促進することができる。
以上のように、本実施形態に係る内燃機関1は、暖機を要する装置の暖機(昇温)が完了する前に、気筒休止が実行される場合に、暖機の効率を高めることができる。また、本実施形態に係る内燃機関1では、上流側昇温用水通路32が第2EGR通路38と一体の部材から形成され、互いに近接して配置されているため、第2EGR通路38を通過するEGRガスから熱量を受けて上流側昇温用水通路32を通過する水の温度を上昇させ、ウォータジャケット57により高温の水を供給し、トランスミッション56により多くの熱量を与えることができる。
次に、図7を参照して上記の第1実施形態に係る内燃機関1の一部を変形した一部変形例を説明する。図7に示すように、一部変形例では、第2EGR通路38が上流側昇温用水通路32と近接し、かつ互いに沿って延在するように形成されている。第2EGR通路38は、上流側昇温用水通路32の下流側集合水通路31側の端部から、上流側昇温用水通路32の長手方向における中間部まで沿って延在した後、屈曲して上流側昇温用水通路32及び下流側集合水通路31の上方を跨ぎ、管ユニット27の外面に開口している。このように、第2EGR通路38と上流側昇温用水通路32とが互いに沿う距離を長くすることによって、EGRガスを利用して上流側昇温用水通路32を流れる水を昇温することができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、バルブケース33、連結通路33、下流側昇温用水通路35、第1EGR通路37及び第2EGR通路38は選択的な構成であるため、他の実施形態では省略してもよい。また、本実施形態では、V型内燃機関とし、常時稼働気筒群16及び休止可能気筒群19を別々のバンク4、5に設ける構成としたが、直列エンジンとして、1つのバンクに常時稼働気筒群16及び休止可能気筒群19を設ける構成としてもよい。また、休止可能気筒18を休止可能にする休止機構の構成は、公知の様々な技術を適用することができる。また、サーモスタット43は、上記の実施形態での位置に限られず、ラジエータ52への水の流通を制御できる位置であればよく、下流側集合水通路31の合流部41からラジエータ52の入口までの、下流側集合水通路31又は配管51に配置してもよい。