JP2014019888A - 高強度銅合金材およびその製造方法 - Google Patents

高強度銅合金材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】950MPa以上の引張強度を有し、導電率を高水準で保持し、これに加え、NiおよびSiの高濃度である上に、銅合金材料の強度が、全体に均一で局部的に強弱ができないNi−Si系銅合金を提供する。
【解決手段】Niを5.2〜8.0質量%、Siを1.0〜2.3質量%、並びにTi、Fe、Cr、Co、Zr、およびHfからなる群(A)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜2.0質量%、および/または、Mg、Mn、Agからなる群(B)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金材であって、
母相の結晶粒界に存在する粒径0.050〜3μmの粒子の数をNMO、前記母相の結晶粒内に存在する粒径0.050〜3μmの粒子の数をNMIとしたとき、
MOが、5.0×10〜3.0×10個/mm、NMIとNMOの比NMI/NMOが、1/10〜1/2であることを特徴とする銅合金材。
【選択図】なし

Description

本発明は、端子、コネクタ、スイッチ、リードフレームなどの電気・電子機器の材料として好適な高強度銅合金とその製造方法に関する。
近年の電気・電子機器の小型化および高性能化に伴って、そこに用いられるコネクタなどの材料にも、より高水準の厳しい特性が要求されるようになってきている。具体的には、例えば、コネクタのばね接点部に使用される板材の厚さが薄くなり接触圧力の確保が難しくなってきている。
コネクタのばね接点部では、薄い板材(ばね材)を撓ませて、その反力で電気的接続に必要な接触圧を得ている。しかし、板材の厚さがより薄くなると同じ接触圧を得るためには撓み量を大きくする必要があり、そのため、板材が弾性限度を超えて塑性変形してしまうことがある。こうして、板材には弾性限度の一層の向上が要求されることになる。
コネクタのばね接点部の材料には耐応力緩和特性、熱伝導性、曲げ加工性、耐熱性、めっき密着性、耐マイグレーション特性など多岐に渡る特性が要求されている。従来、高強度が必要な用途には、CDA合金ベリリウム銅(JIS C 1720合金)が使用されてきたが、金属ベリリウムの毒性から、近年、代替合金の開発が強く望まれてきた。
このため、前記接点部材料には、ベリリウム銅と同等の特性を有し、かつ安価で、安全性の高い材料が強く望まれるようになり、多くの材料の中から比較的強度の高いCu−Ni−Si系銅合金が研究され多数の発明がなされている。Cu−Ni−Si系銅合金は、JIS C 1720合金に対して導電率で優位性がある。しかし、材料の0.2%耐力が1000MPaに近い高強度が要求されるような用途では、開発されているCu−Ni−Si系銅合金は、いまだベリリウム銅の代替材には成り得ていない。その理由として、まず、強度が不足していることがあげられ、特に、JIS C 1720合金において、JIS H 3130に記載の時効処理材やミルハードン材には到達できていない。また、強度を向上させた場合に相反する特性(例えば曲げ加工性、製造性)との両立が成され得ないからである。
Cu−Ni−Si系銅合金において、NiおよびSiの濃度を向上させた場合、得られる銅合金材料の強度が向上することは従来から知られている。しかしながら、NiおよびSi濃度の向上は、強度と相反する特性(例えば曲げ加工性、製造性)の劣化および製造適性の著しい劣化をもたらす。
特許文献1は、Ni濃度を8.0質量%、Si濃度を2.0質量%まで向上させた合金において、NiとSiからなる化合物のサイズを、0.003μm以上0.03μm未満の粒径の化合物を小粒子、0.03μm〜100μmの粒径の化合物を大粒子として、その小粒子/大粒子の数の比を1.5以上にすることでせん断加工性を向上させる技術を開示している。特許文献1の発明に基づけば、Agめっきでのめっき面に突起は無く、せん断加工性に優れる銅合金が製造できるが、引張強度が950MPa以上には到達していない。そのため、ベリリウム銅合金の時効処理材に相当する材料としての適用は難しい。
特許文献2には、Ni濃度を8.0質量%、Si濃度を2.0質量%まで向上させた合金において、銅合金素材中の酸化物、晶出物および析出物の抽出残渣中のNi濃度を80%以下にすることで、強度と曲げ加工性を両立させる技術を開示している。特許文献2の発明に基づけば、強度、曲げ加工性に優れる銅合金が製造できるが、引張強度が、950MPa以上には到達しておらず、ベリリウム銅合金の時効処理材の代替材料としての適用は難しい。
特許文献3には、Ni濃度を6.0質量%、Si濃度を1.2質量%まで向上させた合金において、銅合金素材の母相の平均結晶粒径を10μm以下として、Cube方位{001}<100>の割合が50%以上である集合組織を有し、層状組織を有さないことにより、強度、曲げ加工性に優れる銅合金の技術を開示している。特許文献3の発明に基づけば、強度、曲げ加工性に優れる銅合金が製造できるが、導電率が20%IACSと一般的な22%IACSよりも低く、ベリリウム銅合金の時効処理材の代替材とする利点が少ない。
特許文献4は、Ni濃度を7.03質量%、Si濃度を0.62質量%まで向上させた銅合金の技術を開示している。特許文献4の発明に基づけば、強度、導電率に優れる銅合金が製造できるが、引張強度が、950MPa以上には到達しておらず、ベリリウム銅合金の時効処理材の代替材としての適用は難しい。
特許文献5には、Ni濃度を6.50質量%、Si濃度を0.56質量%まで向上させた銅合金において、Mgを添加することでめっきの耐熱剥離性を改善する技術が開示されている。特許文献5の発明に基づけば、強度、導電率、めっき耐熱剥離性に優れる銅合金が製造できるが、引張強度が、950MPa以上には到達しておらず、ベリリウム銅合金の時効処理材に相当する材料としての適用は難しい。
特許文献6には、Ni濃度を8.37質量%、Si濃度を2.08質量%まで向上させた銅合金において、析出する介在物の大きさを10μm以下にすることで、引張強度と導電率の両立を達成する技術が開示されている。特許文献6の発明に基づけば、引張強度1007MPa、導電率33%IACSの銅合金を製造できるが、めっき密着性を改良するものであり、結晶粒界と粒内の析出粒子の粒径を制御することの記載はない。
特許文献7〜9には、Ni濃度を7.0質量%、Si濃度を1.96質量%まで向上させた銅合金において、Sの添加による硫化物や、金属間化合物等の分散を規定することで、引張強度と被削性の両立を達成する技術が開示されている。特許文献7〜9の発明に基づけば、引張強度が1000MPaを超え、被削性に優れる合金が製造できるが、被削性に優れることは、材料の曲げ成型加工性を劣化させることに繋がるため、コネクタ等、プレス加工にて微細構造物を成型する用途には、不向きな点がある。
特許文献10には、Ni濃度を5.2質量%、Si濃度を1.17質量%まで向上させた銅合金において、粒界反応型析出のノジュール組織を抑制することで、強度、導電率、曲げ加工性に優れる銅合金の発明が開示されている。特許文献10の発明に基づけば、強度、導電率、曲げ加工性に優れる銅合金が製造できるが、引張強度が、950MPa以上には到達しておらず、ベリリウム銅合金の時効処理材と同様の適用は難しい。
特許文献11は、Ni濃度を5.50質量%、Si濃度を1.32質量%まで向上させた銅合金において、特許文献1から発展させこれと同様に、NiとSiからなる化合物の粒径が、0.01μm以上0.05μm未満の大きさの化合物を小粒子、粒径が0.05μm以上、5μm未満のものを大粒子として、その小粒子/大粒子の数の比のみでなく、各々の粒子の数密度も制御することで、強度、導電率、加工性に優れる銅合金の発明を開示している。しかし、薄化銅合金材の局所的な強度ムラ(強度変動)については記載がない。また特許文献11の発明に基づけば、強度、導電率、曲げ加工性に優れる銅合金が製造できるが、引張強度が、950MPa以上には到達しておらず、ベリリウム銅合金の時効処理材の代替材としての適用は難しい。
特許文献12には、Ni濃度を5.39質量%、Si濃度を1.35質量%まで向上させた銅合金において、引張強度1014MPa、導電率を34%IACSまで向上させた発明が開示されている。
特許第3797736号公報 特許第4209749号公報 特許第4584692号公報 特開平1−263243公報 特開平2−301535号公報 特開2010−242154号公報 特開2010−106363号公報 特許第4630387号公報 特許第4824124号公報 特開2007−169764号公報 特開2009−242926号公報 特開2011−508081号公報
このように従来の技術においては、NiおよびSi濃度の向上により強度の向上を図ることができる。しかし、強度向上が高度なベリリウム銅(JIS−C1720合金)の水準まで、具体的には引張強度950MPa以上までの改善が成されていない場合が多い。また、強度を向上させようとするとした場合、導電率の低下を招くことになる。
さらに、上記銅合金材料を端子材等にプレス加工しようとする場合に次のような問題を生ずる。NiおよびSiの高濃度に起因して、Ni−Si系化合物(析出物)の粒子の大きさと分布が変動しやすいためか、銅合金材料の強度が、全体に均一でなく不均一になりやすく、局部的に強度に強弱ができる。すなわち、局所的に強度の高低ができ、端子材に加工するときに局所的な強度の変動が顕在化する。この、局所的な強度変動はプレス加工時にプレス精度の低下や、成型した端子のばね力の均一度を大きく損なう等の問題を生じる。そのため、薄化、小型化した端子材やリードフレーム材に根本的に要求される、機能の高度の信頼性を損なう恐れがあり、重要な解決すべき課題となる。
本発明はこれらの従来の銅合金材の問題を解決した銅合金材およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明の課題は、下記の手段により達成された。
<1>Niを5.2〜8.0質量%、Siを1.0〜2.3質量%、並びにTi、Fe、Cr、Co、Zr、およびHfからなる群(A)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜2.0質量%、および/または、Mg、Mn、Agからなる群(B)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金材であって、
母相の結晶粒界に存在する粒径0.050〜3μmの粒子の数をNMO、前記母相の結晶粒内に存在する粒径0.050〜3μmの粒子の数をNMIとしたとき、
MOが、5.0×10〜3.0×10個/mm、NMIとNMOの比NMI/NMOが、1/10〜1/2であることを特徴とする銅合金材。
<2>前記銅合金材に対し、Snおよび/またはZnを合計で、0.05〜0.8質量%さらに含有することを特徴とする<1>に記載の銅合金材。
<3>Niを5.2〜8.0質量%、Siを1.0〜2.3質量%、並びにTi、Fe、Cr、Co、Zr、およびHfからなる群(A)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜2.0質量%、および/または、Mg、Mn、Agからなる群(B)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなり、母相の結晶粒界に存在する粒径0.050〜3μmの粒子の数をNMO、前記母相の結晶粒内に存在する粒径0.050〜3μmの粒子の数をNMIとしたとき、NMOが、5.0×10〜3.0×10個/mm、NMIとNMOの比NMI/NMOが、1/10〜1/2である銅合金材の製造方法であって、
(a)前記銅合金材の合金組成を有した銅合金を溶解し、鋳造する溶解・鋳造工程、
(b)この鋳塊を1000〜1055℃の温度にて30分〜1時間加熱保持した後、800〜1000℃で1〜4時間保持する均質化処理工程、
(c)熱間加工処理し、600℃以下に冷却する熱間加工工程、
(d)冷間加工する工程、
(e)930〜1055℃で5秒〜2分の保持する熱処理をした後、2段目の熱処理を850〜930℃で5秒〜20分保持し、急速に冷却する溶体化処理工程、
(f)350〜600℃で30分〜12時間加熱処理する時効処理工程、
(g)300〜550℃で5秒〜10分焼鈍する低温焼鈍工程、
をこの順で行うことを特徴とする銅合金材の製造方法。
<4>前記(a)の工程において、前記銅合金材の合金組成に対し、Snおよび/またはZnを合計で、0.05〜0.8質量%さらに含有する銅合金を溶解し、鋳造する溶解・鋳造工程を行うことを特徴とする<3>に記載の銅合金材の製造方法。
本発明において、粒子の粒径とは圧延面をフィールドエミッション電子銃を搭載した走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察した場合に得られた粒子の断面積を粒子の観察視野からの断面積を画像解析より算出して、円相当径として算出したものと定義する。本発明において銅合金材とは、その形状を制限するものではなく、板、条などを包含する意味である。
本発明のNi−Si系銅合金は、950MPa以上の引張強度を有し、導電率も高水準で保持する。これに加え、この銅合金は、NiおよびSiの高濃度である上に、銅合金材料の強度が、全体に均一で局部的に強弱ができないという優れた効果を奏する。本発明の銅合金材は、薄化、小型化する端子材やリードフレーム材にも根本的に要求される、機能の高度の信頼性を実現する。この銅合金材は小型端子、コネクタ、スイッチ、その他スイッチ、リレーなどの電子・電気機器の部材に好適であり、工業上顕著な効果を奏するものである。
本発明の好ましい実施形態を以下に説明する。
[銅合金の組成]
本発明の銅合金の合金元素について説明する。
本発明において、Niの含有量を5.2〜8.0質量%、Siの含有量を1.0〜2.3質量%に規定する。いずれの含有量おいても、下限値未満ではJIS C 1720と同等以上の強度が得られず、何れかが上限値を超えると鋳造時で形成される晶出物が多くなり、熱間圧延前の均質化処理により未固溶の化合物が多くなり、熱間加工性が劣る。また、添加量を増してもそれに見合う強度が得られない。強度向上の点からは望ましい含有量はNiが5.4〜6.5質量%、Si含有量が1.1〜2.0質量%である。
Ti、Fe、Cr、Co、ZrおよびHfは、Siとケイ化物を形成し、X−SiおよびNi−X−Si(ここでのXはTi、Fe、Cr、Co、ZrおよびHfからなる群(A)より選択されるいずれかの元素又はこれらの元素から選択される複数の元素を含む)の2元および、多元系の形でケイ化物形成し、後述する、本発明における中サイズの粒子および大サイズの粒子に含有される。X−SiおよびNi−X−Si化合物は、溶体化処理時に粒界の移動を抑制して母相結晶粒径を微細にすると共に、粒界反応型析出の抑制に寄与する。Ti、Fe、Cr、Co、ZrおよびHfを総量にて0.05〜2.0質量%に制御する。この総量が、0.05質量%未満であるとその粒界移動および粒界反応型析出抑制の効果が得られないからである。2.0質量%を超えて添加した場合には、強度にも、粒界移動および粒界反応型析出抑制にも寄与しない、粗大な粒子の数が増加し、強度が劣化するからである。
本発明は、Mg、Mn、Agからなる群(B)よりより選択される1種または2種以上を合計で0.05〜1.0質量%含有する態様を包含する。
Mgは、銅合金の母相に固溶する形態で存在し、粒界反応型析出の形成を抑制すると共に、耐応力緩和特性の改善効果がある。ただし、添加量により導電率を低下させることがある。Mgの添加量は0.05〜1.0質量%である。0.05質量%未満ではその改善効果が期待できず、1.0質量%を超えて添加した場合は導電率を著しく低下させる。Mg、MnおよびAgを併せて、総量で1.0質量%未満に制限する。
Mnは、母相に固溶する形態で存在し、粒界反応型析出の形成を抑制すると共に、熱間加工性の改善効果がある。ただし、添加量により導電率を低下させることがある。Mnの添加量は0.05〜1.0質量%である。0.05質量%未満ではその改善効果が期待できず、1.0質量%を超えて添加した場合は導電率を著しく低下させる。
Agは、母相に固溶もしくはAg単体の形態で存在し、粒界反応型析出の形成を抑制、強度向上および熱間加工性の改善効果がある。ただし、この改善効果以上の量を添加しても、いたずらにコストを高くするので、好適な添加量が存在する。0.05質量%未満ではその改善効果が期待できず、1.0質量%を超えて添加した場合はコスト高になる。
本発明において、上記の銅合金に、さらにSnまたはZnを適宜添加すれば耐応力緩和特性などを改善することもできる。
Snは、母相に固溶する形態で存在し、粒界反応型析出の形成を抑制すると共に、耐応力緩和特性を改善する。ただし、添加量により導電率の低下、また特に熱間加工性の低下を引起すので、改善効果に見合うだけの添加量を考慮し添加しても良い。Ni−Si系の化合物で十分に目的の耐応力緩和特性が満たせるのであれば、添加しなくてもよい。Snの添加量が0.05質量%未満ではその改善効果が弱く、0.8質量%を越えて添加した場合は熱間加工性を著しく低下させる。
Znは、母相に固溶する形態で存在し、粒界反応型析出を助長させる効果があり、また導電率を低下させる。このため、改善効果に見合うだけの添加量を考慮し添加しても良い。添加量が0.05質量%未満ではその改善効果が弱く、0.8質量%を超えて添加した場合は導電率を低下させ、また粒界反応型析出を助長させ、強度が低下する。
本発明の合金組成に対し、P、As、Sb、BiおよびPbを含有すると、銅合金の結晶粒界を脆弱にして、熱間加工および冷間加工性を著しく低下させるので、極力抑制することが望ましい。そのため、これらは総量で、0.001質量%未満に押さえるのがよい。
本発明の銅合金の良好な組織形態について説明する。
銅合金中の化合物はサイズの違いにて、強度を向上させる、粒径0.01μm以上0.05μm未満の小粒子、強度にはあまり寄与しないが結晶粒微細化に寄与する粒径0.05μm以上3μm未満の中粒子、強度特性に寄与せずにめっき性等の特性に悪影響及ぼす粒径3μm以上の大粒子にて分類できる。
銅合金材の局所的な強度変動は、特に強度を向上させる、粒径0.01μm以上0.05μm未満の小粒子の変動で生じる。NiおよびSi濃度が高くなるにつれ、Ni−Si系化合物の析出速度が速くなるため、局所的に小粒子の析出密度にムラを生じやすい。
本発明者らは、上述の強度変動の要因である小粒子の析出密度のムラは、上述の中粒子の粒界および粒内の分散を制御することで均一にできることを見出した。結晶粒界上の粒径0.05μm〜3μmの粒子の数をNMOとした場合、NMOを5.0×10〜3.0×10個/mmにすることが必要である。また併せて、結晶粒内の粒径0.05〜3μmの粒子の数をNMIとした場合、NMIとNMOの比をNMI/NMOを1/10〜1/2にすることが必要である。NMOが3.0×10個/mmを超えて存在した場合、所望の強度が得られない。NMOを5.0×10個/mm未満の場合、溶体化時に結晶粒が粗大化しており、強度特性が劣ると共に曲げ加工性が劣る。NMI/NMOが1/10より小さい場合、粒内での強化量が少なく所望の強度が得られない。NMI/NMOが1/2を越えて大きい場合、局所的強度変動が大きい。
[銅合金の製造方法]
本発明の銅合金は、例えば、上記の成分組成の鋳塊を鋳造後、均質化処理、熱間加工(熱間圧延など)、冷間加工(冷間圧延など)、溶体化熱処理、時効熱処理、仕上げ冷間圧延、低温焼鈍等の一般的な銅合金材の製造工程を適宜に組み合わせて製造することが可能である。ただし、各工程において、以下に述べるように焼鈍条件で厳密な制御を実施することで初めて、上述の組織形態を達成し良好な特性を具備した銅合金を製造することができる。
本発明では、高強度を達成するために、従来のコルソン合金と比較して高濃度のNiおよびSiを添加しているので、鋳造段階において、偏析等の顕在化が起こり易い。冷却方式の制御等で偏析をなるべく除去することが望ましい。この偏析等の防止は、次に記載する均質化処理工程の採用で実施できる。
次に本発明の製造方法の好ましい実施の形態を説明する。なお、以下に述べた処理工程以外は通常の処理工程を採用できる。
均質化処理工程は、各粒子の制御をする熱処理の1つめのポイントとなる。まず、約1000℃以上1055℃以下の温度にて30分以上1時間以下の保持を実施した後、1000℃未満の温度に一旦冷却してから800以上1000℃未満で1時間超4時間以下の温度に保持する2段階の均質化処理を行う。2段階の均質化処理の1段目と2段目および熱間加工は連続で実施できる。1段目において1000〜1055℃の温度での保持をしないと、鋳塊時の偏析や、晶出で形成した大粒子が固溶されずに残存するため、後の工程での中粒子の制御が困難になる。1段目の温度が1055℃を超えると、粒界から溶融が開始するため、偏析が助長されてしまう。2段目の1000℃未満の温度に一旦冷却してからの熱処理は、800〜1000℃の間で1時間を越えて4時間以内の保持を実施することにより、粒界の中粒子の制御を行う。温度が800℃を下回ると、後に制御しきれない中粒子が残存してしまう。1000℃を超えた状態で、熱間加工を実施すると粒界が脆化しており、熱間加工割れを引起す。保持時間は、この温度域で長時間の実施ほど、粒界上の粒子の形成量が多くなる傾向にあるが、4時間を越えると粒子の形成量が多すぎ強度低下をもたらす。
熱間加工処理工程は、板・条製品を製造する場合は熱間圧延が好ましいが、熱間押出、熱間鍛造等の方式による処理を排除するものではない。熱間加工処理は、600℃までの温度で終了することが望ましい。600℃を下回ると、強度を向上させる小粒子の存在が多くなるため、熱間加工処理での変形抵抗が高くなり、加工ができなくなる。熱間加工処理終了後は速やかに水冷にて材料全体を均一に冷却する。
熱間加工処理工程後、板厚の調整などを目的として冷間圧延を行う。
冷間圧延後の溶体化処理は、各粒子の制御をする熱処理の2つめのポイントとなる。結晶粒界と結晶粒内の中粒子は前述の均質化処理と併せて、この溶体化処理工程にて制御できる。上述の中粒子の状態を制御するためには、例えば、次のように溶体化処理を階段状に実施することが挙げられる。一例として、最高到達温度を930℃以上1055℃以下にて実施した後、850℃超930℃未満の温度範囲で一度保持を入れた後、急速に冷却をする。本発明において、急冷却の速度は30〜500℃/秒とするのが好ましい。最高到達温度が930℃を下回ると、次の時効工程にて小粒子の形成が少なくなるので、強度が出ない。最高到達温度1055℃を超えると粒界が一部溶解する。2段目の熱処理が850℃以下では、粒内への形成が促されるので、NMI/NMOが規定の値にならない。930℃以上では、中粒子の形成ができない。1段目の熱処理の保持時間は5秒〜2分程度が良い。2段目の熱処理の保持時間は5秒〜20分が良い。熱処理後の急速冷却は冷却中に、小粒子が局所的に形成しないように、冷却速度を向上させ、また、部位毎に均一に冷却する必要があるが、中粒子の形成が良好であれば、ある程度の冷却速度幅は許容される。30℃/秒未満では、冷却速度不足である。500℃/秒を超えると、板の形状が悪くなる。溶体化処理工程における中粒子の制御方法は本方式に限定するものではなく、走間炉、バッチ炉等で実施することが可能である。
時効処理工程は、350℃以上600℃以下にて実施して、小粒子を形成して強度および導電率を向上させる。処理温度は低温のほうが、より微細な小粒子が数多く形成するが処理時間が長時間必要である。350℃未満で実施した場合には強度が十分に得られない。600℃以上で実施した場合には、小粒子が形成せずに、強度が十分に得られない。350℃〜600℃の中でも、500℃を超えて実施した場合には粒界反応型析出の進行が顕著になりやすいので、より好ましくは350℃以上500℃以下である。処理時間は、30分〜12時間が好ましい。時効処理の前に適宜に冷間圧延を施すことで強度をより向上させることができる。
時効処理の後、冷間加工を施し強度を調整することができる。冷間加工の加工率は、5〜50%で実施する。曲げ加工性を考慮した場合には30%以下の加工率で実施することが好ましい。
冷間加工の後は、低温焼鈍にて強度の調整と延性の回復を行う。低温焼鈍の温度は300〜550℃で比較的短時間、5秒〜10分程度実施するのが好ましい。
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
(実施例1)
表1に示す本発明規定の銅合金(本発明例1−21)組成になるよう、所定の原料を高周波溶解炉にて溶解後、1300℃にて5分間保持した。次いで、0.1〜100℃/秒の冷却速度で鋳造して室温まで冷却し、鋳塊を得た。これを1035℃×1時間の保持後、860℃まで冷却して2時間の保持を実施した後、連続で熱間圧延により板厚t=12mmの熱間圧延板を作製した。この熱間圧延は、600℃以上で完了して、速やかに水冷を行った。この両面を各1mm面削してt=10mmとし、次いで冷間圧延によりt=0.214mmに仕上げた。この板材を990℃にて30秒間保持した後、速やかに880℃に60秒間保持して、冷却速度100℃/秒以上で水冷を実施した。次いで、全ての合金は時効熱処理を450〜500℃にて2時間実施した後、加工率30%で冷間圧延を行ってt=0.15mmの板を得た。その後400℃にて15秒間の熱処理を実施して速やかに水冷して供試材とした。この供試材について以下の特性評価を行った。また、表1に示す比較例の銅合金(比較例1〜7)も、所定の原料を高周波溶解炉にて溶解後、1300℃にて5分間保持を実施した。得られた鋳塊を上述の本発明例1〜21と同様の工程にて製造し、比較供試材として以下の特性評価を行った。ただし、比較例3および5の材料に関しては、熱間圧延時に割れが発生したため、次工程以降の製造および評価は不可であった。
得られた銅合金材に関して、次のように評価試験を実施し、その結果を表1に示した。
a.導電率:
20℃(±0.5℃)に保たれた恒温漕中で四端子法により比抵抗を計測して導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。
b.引張強度:
圧延平行方向から切り出したJIS Z 2201−13B号の試験片をJIS Z 2241に準じて3本測定しその平均値を示した。
c.母相の結晶粒界上および結晶粒内の化合物粒子数の測定:
母相の結晶粒界上および結晶粒内の粒子数は、めっき性を評価するために、めっきを施す圧延面にて実施するのがよい。バフ研磨にて鏡面仕上げの後、電解研磨にて表層を研磨して圧延面を観察した。観察には、フィールドエミッション電子銃を搭載した走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を使用した。観察倍率は化合物の大きさが0.05μm以上0.1μm未満の場合は10万倍、0.1〜3μmの場合には3万倍にて観察が可能である。各試料につき粒界を含む視野を10視野、粒内の視野を10視野観察して、サイズが0.05〜3μmの粒界上および粒内の化合物粒子数を数え、平均として観察視野面積で除した粒子密度として算出した。この際に分類した粒子径は、粒子の観察視野からの断面積を画像解析より算出して、円相当径として算出した。
d.局所強度変動
局所強度変動は得られた材料の任意の10箇所より、20mm×20mmのサイズをサンプリングして、そのサンプリング板にて圧延面10点のマイクロビッカース硬さを測定して評価した。1材料につき100点の硬さの標準偏差σが4Hv以内で変動が少ないものを「○」、4Hvを超えて大きく変動が大きいものを「×」として評価した。硬さの変動は強度の変動に相関する。
試験結果を表1に示した。
Figure 2014019888
表1の発明例1〜21では、所望の成分および、粒界上の数密度および、粒内/粒界上の数密度比になっているので、強度、導電率に優れ、局所強度変動の少ない銅合金が得られている。
比較例1ではNiの量が規定量よりも下回ったため強度が出なかった。比較例2ではSiの量が規定量よりも下回ったため強度が出なかった。比較例3ではNiおよびSiがともに規定量を超えたため、熱間圧延で割れが発生した。比較例4では、副成分の添加元素を含まないため、時効過程において粒界反応型析出によるノジュール領域が広がり、粒子状の化合物が断定できず、また、強度が低下した。比較例5は添加元素にPを含有したため、熱間圧延で割れが発生した。比較例6および7では各々ZnとSnが規定量を超えて含有したため、導電率が低下した。
(実施例2)
Niを5.8質量%、Siを1.32質量%、Crを0.3質量%含有し、残部がCuである銅合金を不純物の混入をなるべく少なくするように、原料を高周波溶解炉にて溶解後、1300℃にて5分間保持を実施した。これを0.1〜100℃/秒の冷却速度で鋳造して鋳塊を得た。これら成分を共通として、次工程の製造条件を変化させることで、粒界上および粒内の粒子を制御した。
その実験条件を表2に示した。
<本発明例>
発明例2−1は表1の発明例1と同じものである。
発明例2−2は鋳塊を1035℃×1時間の保持後、820℃まで冷却して2時間の保持を実施した。それ以外の工程は発明例2−1と同様である。
発明例2−3は、鋳塊を1035℃×1時間の保持後、800℃まで冷却して3時間の保持を実施した。連続して熱延は、600℃以上で完了して、速やかに水冷を行った。その両面を各1mm面削してt=10mmとし、次いで冷間圧延によりt=0.214mmに仕上げた。その板材を990℃にて30秒間保持した後、速やかに855℃にて15秒間保持して、冷却速度100℃/秒以上で水冷を実施した。それ以外の工程は発明例2−1と同様である。
発明例2−4は、鋳塊を1035℃×1時間の保持後、830℃まで冷却して2時間の保持を実施した。連続して熱延は、600℃以上で完了して、速やかに水冷を行った。その両面を各1mm面削してt=10mmとし、次いで冷間圧延によりt=0.214mmに仕上げた。その板材を990℃にて30秒間保持した後、速やかに880℃にて120秒間保持して、冷却速度100℃/秒以上で水冷を実施した。それ以外の工程は発明例2−1と同様である。
発明例2−5は、鋳塊を1035℃×1時間の保持後、900℃まで冷却して4時間の保持を実施した。連続して熱延は、600℃以上で完了して、速やかに水冷を行った。その両面を各1mm面削してt=10mmとし、次いで冷間圧延によりt=0.214mmに仕上げた。その板材を990℃にて30秒間保持した後、速やかに895にて10分間保持して、冷却速度100℃/秒以上で水冷を実施した。それ以外の工程は発明例2−1と同様である。
<比較例>
比較例も鋳塊成分、および鋳造までの製造方法は共通である。比較例2−1は、得られた鋳塊を1060℃×1時間の保持後、そのまま熱間圧延を実施したが、割れが発生したので、次工程以降の製造および評価を中止した。
比較例2−2は、鋳塊を1035℃×1時間の保持後、995℃まで冷却して保持しないで、連続して熱間圧延を実施し600℃以上で完了して、速やかに水冷を行った。その両面を各1mm面削してt=10mmとし、次いで冷間圧延によりt=0.214mmに仕上げた。その板材を990℃にて30秒間保持した後、速やかに610℃にて40分間保持して、冷却速度100℃/秒以上で水冷を実施した。それ以外の工程は発明例2−1と同様である。
比較例2−3は鋳塊を1035℃×1時間の保持後、760℃まで冷却して2時間の保持を実施した。連続して熱延は、600℃以上で完了して、速やかに水冷を行った。その両面を各1mm面削してt=10mmとし、次いで冷間圧延によりt=0.214mmに仕上げた。その板材を990℃にて30秒間保持した後、速やかに670℃にて2分間保持して、冷却速度100℃/秒以上で水冷を実施した。それ以外の工程は発明例2−1と同様である。
比較例2−4は鋳塊を1035℃×1時間の保持後、900℃まで冷却して30分間の保持を実施した後、熱間圧延により板厚t=12mmの熱延板を作製した。熱延は、600℃以上で完了して、速やかに水冷を行った。その両面を各1mm面削してt=10mmとし、次いで冷間圧延によりt=0.214mmに仕上げた。これをその板材を1060℃にて30秒間保持した後、速やかに冷却速度100℃/秒以上で水冷を実施した。次いで、全ての合金は時効熱処理を450〜500℃にて2hr実施した後、冷間圧延を行ったところ、冷間圧延で割れが発生した。
比較例2−5は鋳塊を1035℃×1時間の保持後、900℃まで冷却して30分間の保持を実施した後、熱間圧延により板厚t=12mmの熱延板を作製した。熱延は、600℃以上で完了して、速やかに水冷を行った。その両面を各1mm面削してt=10mmとし、次いで冷間圧延によりt=0.214mmに仕上げた。これをその板材を830℃にて30秒間保持した後、速やかに冷却速度100℃/秒以上で水冷を実施した。それ以外の工程は発明例2−1と同様である。
得られた銅合金材に関して、(実施例1)と同様の評価試験を実施し、その結果を表2に示した。
Figure 2014019888
表2に示すように、本発明例2−1〜2−5は所望の成分および、粒界上の数密度および、粒内/粒界上の数密度比になっているので、強度、導電率に優れ、局所強度変動も少ない銅合金が得られている。
比較例2−1では熱間圧延温度を1060℃で実施したため、熱間圧延割れが発生した。比較例2−2では、粒内と粒界の中粒子の数密度の比が規定よりも大きかったので局所的に強度が変動した。比較例2−3および2−5は中粒子の数密度および比が規定の値よりを外れているので、局所強度変動が発生したり、強度が足りなかった。比較例2−4は溶体化の最高到達温度が1060℃であったため、次々工程の冷間圧延にて割れが生じた。

Claims (4)

  1. Niを5.2〜8.0質量%、Siを1.0〜2.3質量%、並びにTi、Fe、Cr、Co、Zr、およびHfからなる群(A)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜2.0質量%、および/または、Mg、Mn、Agからなる群(B)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金材であって、
    母相の結晶粒界に存在する粒径0.050〜3μmの粒子の数をNMO、前記母相の結晶粒内に存在する粒径0.050〜3μmの粒子の数をNMIとしたとき、
    MOが、5.0×10〜3.0×10個/mm、NMIとNMOの比NMI/NMOが、1/10〜1/2であることを特徴とする銅合金材。
  2. 前記銅合金材に対し、Snおよび/またはZnを合計で、0.05〜0.8質量%さらに含有することを特徴とする請求項1記載の銅合金材。
  3. Niを5.2〜8.0質量%、Siを1.0〜2.3質量%、並びにTi、Fe、Cr、Co、Zr、およびHfからなる群(A)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜2.0質量%、および/または、Mg、Mn、Agからなる群(B)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなり、母相の結晶粒界に存在する粒径0.050〜3μmの粒子の数をNMO、前記母相の結晶粒内に存在する粒径0.050〜3μmの粒子の数をNMIとしたとき、NMOが、5.0×10〜3.0×10個/mm、NMIとNMOの比NMI/NMOが、1/10〜1/2である銅合金材の製造方法であって、
    (a)前記銅合金材の合金組成を有した銅合金を溶解し、鋳造する溶解・鋳造工程、
    (b)この鋳塊を1000〜1055℃の温度にて30分〜1時間加熱保持した後、800〜1000℃で1〜4時間保持する均質化処理工程、
    (c)熱間加工処理し、600℃以下に冷却する熱間加工工程、
    (d)冷間加工する工程、
    (e)930〜1055℃で5秒〜2分の保持する熱処理をした後、2段目の熱処理を850〜930℃で5秒〜20分保持し、急速に冷却する溶体化処理工程、
    (f)350〜600℃で30分〜12時間加熱処理する時効処理工程、
    (g)300〜550℃で5秒〜10分焼鈍する低温焼鈍工程、
    をこの順で行うことを特徴とする銅合金材の製造方法。
  4. 前記(a)の工程において、前記銅合金材の合金組成に対し、Snおよび/またはZnを合計で、0.05〜0.8質量%さらに含有する銅合金を溶解し、鋳造する溶解・鋳造工程を行うことを特徴とする請求項3に記載の銅合金材の製造方法。
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