JP6154997B2 - 強度およびめっき性に優れる銅合金材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
コネクタのばね接点部では、薄い板材(ばね材)を撓ませて、その反力で電気的接続に必要な接触圧を得ている。しかし、板材の厚さがより薄くなると同じ接触圧を得るためには撓み量を大きくする必要があり、そのため、板材が弾性限度を超えて塑性変形してしまうことがある。従って、板材には弾性限度の一層の向上が要求されることになる。
(1)Niを5.2〜8.0質量%、Siを1.0〜2.3質量%、並びにTi0.2質量%以下、Fe0.3質量%以下、Cr0.3質量%以下、Co0.1質量%以下、Zr0.05質量%以下、およびHf0.05質量%以下からなる群(A)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜2.0質量%、および/または、Mg0.2質量%以下、Mn0.4質量%以下、Ag0.15質量%以下からなる群(B)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金材であって、
銅合金の母相の結晶粒界に存在する粒径0.050〜3μmの化合物の粒子の数(NMO)が、5.0×103〜3.0×106個/mm2であることを特徴とする銅合金材。
(2)Niを5.2〜8.0質量%、Siを1.0〜2.3質量%、並びにTi0.2質量%以下、Fe0.3質量%以下、Cr0.3質量%以下、Co0.1質量%以下、Zr0.05質量%以下、およびHf0.05質量%以下からなる群(A)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜2.0質量%、および/または、Mg0.2質量%以下、Mn0.4質量%以下、Ag0.15質量%以下からなる群(B)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金材であって、
銅合金の母相の結晶粒界に存在する粒径0.050〜3μmの化合物の粒子の数をNMO、前記母相の結晶粒内に存在する粒径0.050〜3μmの化合物の粒子の数をNMIとしたとき、
NMOが、5.0×103〜3.0×106個/mm2、NMIとNMOの比NMI/NMOが、1/2〜10であることを特徴とする銅合金材。
(3)前記銅合金材に対し、Sn0.4質量%以下および/またはZn0.3質量%以下を合計で、0.05〜0.8質量%さらに含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の銅合金材。
(4)表面の全部または一部に銀めっきが施された(1)〜(3)のいずれか1項に記載の銅合金板材。
(5)Niを5.2〜8.0質量%、Siを1.0〜2.3質量%、並びにTi0.2質量%以下、Fe0.3質量%以下、Cr0.3質量%以下、Co0.1質量%以下、Zr0.05質量%以下、およびHf0.05質量%以下からなる群(A)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜2.0質量%、および/または、Mg0.2質量%以下、Mn0.4質量%以下、Ag0.15質量%以下からなる群(B)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなり、銅合金の母相の結晶粒界に存在する粒径0.050〜3μmの化合物の粒子の数(NMO)が、5.0×103〜3.0×106個/mm2である銅合金材の製造方法であって、
(a)前記銅合金材の合金組成を有した銅合金を溶解し、鋳造する溶解・鋳造工程、
(b)この鋳塊を1000〜1055℃の温度にて30分〜1時間加熱保持した後、1000℃未満の温度に一旦冷却し、800℃以上1000℃未満で10分〜1時間保持する均質化処理工程、
(c)熱間加工処理し、600℃以下に冷却する熱間加工工程、
(d)冷間加工する工程、
(e)930〜1055℃で5秒〜2分の保持する熱処理をした後、2段目の熱処理を600〜850℃で5秒〜20分保持し、急速に冷却する溶体化処理工程、
(f)350〜600℃で30分〜12時間加熱処理する時効処理工程、
(g)300〜550℃で5秒〜10分焼鈍する低温焼鈍工程、
をこの順で行うことを特徴とする銅合金材の製造方法。
(6)Niを5.2〜8.0質量%、Siを1.0〜2.3質量%、並びにTi0.2質量%以下、Fe0.3質量%以下、Cr0.3質量%以下、Co0.1質量%以下、Zr0.05質量%以下、およびHf0.05質量%以下からなる群(A)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜2.0質量%、および/または、Mg0.2質量%以下、Mn0.4質量%以下、Ag0.15質量%以下からなる群(B)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなり、銅合金の母相の結晶粒界に存在する粒径0.050〜3μmの化合物の粒子の数をNMO、前記母相の結晶粒内に存在する粒径0.050〜3μmの化合物の粒子の数をNMIとしたとき、NMOが、5.0×103〜3.0×106個/mm2、NMIとNMOの比NMI/NMOが、1/2〜10である銅合金材の製造方法であって、
(a)前記銅合金材の合金組成を有した銅合金を溶解し、鋳造する溶解・鋳造工程、
(b)この鋳塊を1000〜1055℃の温度にて30分〜1時間加熱保持した後、1000℃未満の温度に一旦冷却し、800℃以上1000℃未満で10分〜1時間保持する均質化処理工程、
(c)熱間加工処理し、600℃以下に冷却する熱間加工工程、
(d)冷間加工する工程、
(e)930〜1055℃で5秒〜2分の保持する熱処理をした後、2段目の熱処理を600〜850℃で5秒〜20分保持し、急速に冷却する溶体化処理工程、
(f)350〜600℃で30分〜12時間加熱処理する時効処理工程、
(g)300〜550℃で5秒〜10分焼鈍する低温焼鈍工程、
をこの順で行うことを特徴とする銅合金材の製造方法。
(7)前記(a)の工程において、前記銅合金材の合金組成に対し、Sn0.4質量%以下および/またはZn0.3質量%以下を合計で、0.05〜0.8質量%さらに含有する銅合金を溶解し、鋳造する溶解・鋳造工程を行うことを特徴とする(5)または(6)に記載の銅合金材の製造方法。
なお、本発明において、粒子の粒径とは圧延面をフィールドエミッション電子銃を搭載した走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察した場合に得られた粒子の断面積を粒子の観察視野からの断面積を画像解析より算出して、円相当径として算出したものと定義する。
本発明の銅合金の合金元素について説明する。
本発明において、Niの含有量を5.2〜8.0質量%、Siの含有量を1.0〜2.3質量%に規定する。いずれの含有量おいても、下限値未満ではJIS C 1720と同等以上の強度が得られず、何れかが上限値を超えると鋳造時で形成される晶出物が多くなり、熱間圧延前の均質化処理により未固溶の化合物が多くなり、熱間加工性が劣る。また、添加量を増してもそれに見合う強度が得られない。強度向上の点からは望ましい含有量はNiが5.4〜6.5質量%、Si含有量が1.1〜2.0質量%である。
Mgは、銅合金の母相に固溶する形態で存在し、粒界反応型析出の形成を抑制すると共に、耐応力緩和特性の改善効果がある。ただし、添加量により導電率を低下させることがある。Mgの添加量は0.05質量%以上1.0質量%以下である。0.05質量%未満ではその改善効果が期待できず、1.0質量%を超えて添加した場合は導電率を著しく低下させる。Mg、MnおよびAgを併せて、総量で1.0質量%未満に制限する。
Snは、母相に固溶する形態で存在し、粒界反応型析出の形成を抑制すると共に、耐応力緩和特性を改善する。ただし、添加量により導電率の低下、また特に熱間加工性の低下を引起すので、改善効果に見合うだけの添加量を考慮し添加しても良い。Ni−Si系の化合物で十分に目的の耐応力緩和特性が満たせるのであれば、添加しなくてもよい。Snの添加量が0.05質量%未満ではその改善効果が弱く、0.8質量%を超えて添加した場合は熱間加工性を著しく低下させる。
本発明の銅合金は、例えば、上記の成分組成の鋳塊を鋳造後、均質化処理、熱間加工(熱間圧延など)、冷間加工(冷間圧延など)、溶体化熱処理、時効熱処理、仕上げ冷間圧延、低温焼鈍等の一般的な銅合金材の製造工程を組み合わせて製造することが可能である。ただし、各工程において、以下に述べるように焼鈍条件で厳密な制御を実施することで初めて、上述の組織形態を達成し良好な特性を具備した銅合金を製造することができる。
均質化処理工程は、各粒子の制御をする熱処理の1つめのポイントとなる。まず、約1000℃以上1055℃以下の温度にて30分以上1時間以下の保持を実施した後、1000℃未満の温度に一旦冷却してから800℃以上1000℃未満で10分以上1時間以下の条件で保持する2段階の均質化処理を行う。2段階の均質化処理の1段目と2段目および熱間加工は連続で実施できる。1段目において1000〜1055℃の温度での保持をしないと、鋳塊時の偏析や、晶出で形成した大粒子が固溶されずに残存するため、後の工程での中粒子の制御が困難になる。1段目の温度が1055℃を超えると、粒界から溶融が開始するため、偏析が助長されてしまう。2段目の1000℃未満の温度に一旦冷却してからの熱処理は、800℃以上1000℃未満で10分〜1時間の保持を実施することにより、粒界の中粒子の制御を行う。温度が800℃を下回ると、後に制御しきれない中粒子が残存してしまう。2段目の熱処理は、上述の温度範囲の中で行われれば良いため、保持時間中一定の温度ではなく時間に対して温度勾配をもっていても、中粒子の組織状態が形成されれば、特性上問題は無い。1000℃以上で、熱間加工を実施すると粒界が脆化しており、熱間加工割れを引起す。
冷間加工の加工率は、5〜50%で実施する。曲げ加工性を考慮した場合には30%以下の加工率で実施することが好ましい。
表1に示す本発明規定組成の銅合金(本発明例1−1〜1−20)を、所定の原料を高周波溶解炉にて溶解後、1300℃にて5分間保持した。次いで、0.1〜100℃/秒の冷却速度で鋳造して室温とし、鋳塊を得た。これを1035℃×1時間の保持後、900℃まで冷却して30分間の保持を実施した後、連続で熱間圧延により板厚t=12mmの熱間圧延板を作製した。この熱間圧延は、600℃以上で完了して、速やかに水冷を行った。この両面を各1mm面削してt=10mmとし、次いで冷間圧延によりt=0.214mmに仕上げた。この板材を990℃にて30秒間保持した後、速やかに850℃に60秒保持して、冷却速度100℃/秒以上で水冷を実施した。次いで、全ての合金は時効熱処理を450〜500℃にて2hr実施した後、加工率30%で冷間圧延を行ってt=0.15mmの板を得た。その後400℃にて15秒間の熱処理を実施して速やかに水冷して供試材とした。本発明例1−1〜1−20の供試材について以下の特性評価を行った。
表1に示す比較例1の銅合金(比較例1−1〜1−8)も、所定の原料を高周波溶解炉にて溶解後、1300℃にて5分間保持を実施した。得られた鋳塊を上述の実施例1(本発明例1−1〜1−20)と同様の工程にて製造し、比較供試材として以下の特性評価を行った。ただし、比較例1―3(Ni, Si上限以上含有)および比較例1−5(P添加)の材料に関しては、熱間圧延時に割れが発生したので次工程以降の製造および評価は不可であった。
得られた銅合金材に関して、次のように特性評価を実施した。
a.導電率:
20℃(±0.5℃)に保たれた恒温漕中で四端子法により比抵抗を計測して導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。
圧延平行方向から切り出したJIS Z2201−13B号の試験片をJIS Z2241に準じて3本測定しその平均値を示した。
母相の結晶粒界および結晶粒内の化合物の粒子数は、めっき性を評価するためにめっきを施す圧延面にて実施した。バフ研磨にて鏡面仕上げの後、電解研磨にて表層を研磨して圧延面を観察した。観察には、フィールドエミッション電子銃を搭載した走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を使用した。観察倍率は化合物の粒子の大きさが0.05μm以上0.1μm未満の場合は10万倍、0.1〜3μmの場合には3万倍にて観察が可能である。各試料につき結晶粒界を含む視野を10視野、結晶粒内の視野を10視野観察して、サイズが0.05〜3μmの結晶粒界および結晶粒内の化合物の粒子数を数え、平均として観察視野や面積で除した粒子密度として算出した。この際に分類した粒子径は、粒子の観察視野からの断面積を画像解析より算出して、円相当径として算出した。
得られた材料に脱脂処理として、クリーナー160S(メルテックス社製)を60g/l含む脱脂液中において、液温60℃で電流密度2.5A/dm2の条件で30秒間カソード電解して行った。また、つづけて酸洗処理として、硫酸を100g/l含む酸洗液中に室温で30秒間浸漬して行った。脱脂、酸洗後、シアン化銀カリウムを55g/l、シアン化カリウムを75g/l、水酸化カリウムを10g/l、炭酸カリウムを25g/l含む銀めっき浴中において、室温で電流密度1.0A/dm2の条件でめっき厚が3μmになるように行った。銀めっき性は、めっきの整状性と、耐めっき剥離性について評価した。めっきの整状性は、銀めっき表面をマイクロスコープ(キーエンス社製)を用いて450倍に拡大観察して、銀めっきが表面に発生した突起物状の異常析出箇所の個数を数え、単位面積当たり(mm2当たり)の個数が、5個以下の場合を◎、5個を越え10個以下の場合○、10個より多い場合を×として評価した。実用ができるのは○および◎の評価のものである。めっき剥離試験はJIS H 8504に基づき、テープ引きはがし試験を行った。判定基準は、めっき剥離が生じなかった場合○、めっき剥離が生じた場合を×とした。
表1に示す特性評価結果において、本発明例1−1〜1−20では、所望の成分および、結晶粒界の数密度および、結晶粒内/結晶粒界の数密度比になっているので、強度、導電率、めっき整状性、耐めっき剥離性に優れる銅合金が得られている。
Niを5.8質量%、Siを1.32質量%、Crを0.3質量%含有し、残部がCuである銅合金を不純物の混入をなるべく少なくするように、原料を高周波溶解炉にて溶解後、1300℃にて5分間保持を実施した。これを0.1〜100℃/秒の冷却速度で鋳造して鋳塊を得た。これら成分を共通として、次工程の製造条件を変化させることで、結晶粒界および結晶粒内の粒子を制御した。
表2に示す比較例2−1〜2−6も鋳塊成分、および鋳造までの製造方法は、本発明例2−1〜2−5と共通である。比較例2−1は、得られた鋳塊を1060℃×1時間の保持後、そのまま熱間圧延を実施したが、割れが発生したので、次工程以降の製造および評価を中止した。比較例2−2は、鋳塊を1035℃×1時間の保持後、995℃まで冷却したがこれを保持しないで、連続して熱間圧延を実施し、600℃以上で完了して、速やかに水冷を行った。その両面を各1mm面削してt=10mmとし、次いで冷間圧延によりt=0.214mmに仕上げた。この板材を990℃にて30秒間保持した後、速やかに610℃にて40分間保持して、冷却速度100℃/秒以上で水冷を実施した。これ以外の工程は本発明例2−1と同様である。
得られた銅合金材に関して、上記(実施例1)と同様の特性評価を実施した。
Claims (7)
- Niを5.2〜8.0質量%、Siを1.0〜2.3質量%、並びにTi0.2質量%以下、Fe0.3質量%以下、Cr0.3質量%以下、Co0.1質量%以下、Zr0.05質量%以下、およびHf0.05質量%以下からなる群(A)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜2.0質量%、および/または、Mg0.2質量%以下、Mn0.4質量%以下、Ag0.15質量%以下からなる群(B)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金材であって、
銅合金の母相の結晶粒界に存在する粒径0.050〜3μmの化合物の粒子の数(NMO)が、5.0×103〜3.0×106個/mm2であることを特徴とする銅合金材。 - Niを5.2〜8.0質量%、Siを1.0〜2.3質量%、並びにTi0.2質量%以下、Fe0.3質量%以下、Cr0.3質量%以下、Co0.1質量%以下、Zr0.05質量%以下、およびHf0.05質量%以下からなる群(A)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜2.0質量%、および/または、Mg0.2質量%以下、Mn0.4質量%以下、Ag0.15質量%以下からなる群(B)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金材であって、
銅合金の母相の結晶粒界に存在する粒径0.050〜3μmの化合物の粒子の数をNMO、前記母相の結晶粒内に存在する粒径0.050〜3μmの化合物の粒子の数をNMIとしたとき、
NMOが、5.0×103〜3.0×106個/mm2、NMIとNMOの比NMI/NMOが、1/2〜10であることを特徴とする銅合金材。 - 前記銅合金材に対し、Sn0.4質量%以下および/またはZn0.3質量%以下を合計で、0.05〜0.8質量%さらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載の銅合金材。
- 表面の全部または一部に銀めっきが施された請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅合金板材。
- Niを5.2〜8.0質量%、Siを1.0〜2.3質量%、並びにTi0.2質量%以下、Fe0.3質量%以下、Cr0.3質量%以下、Co0.1質量%以下、Zr0.05質量%以下、およびHf0.05質量%以下からなる群(A)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜2.0質量%、および/または、Mg0.2質量%以下、Mn0.4質量%以下、Ag0.15質量%以下からなる群(B)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなり、銅合金の母相の結晶粒界に存在する粒径0.050〜3μmの化合物の粒子の数(NMO)が、5.0×103〜3.0×106個/mm2である銅合金材の製造方法であって、
(a)前記銅合金材の合金組成を有した銅合金を溶解し、鋳造する溶解・鋳造工程、
(b)この鋳塊を1000〜1055℃の温度にて30分〜1時間加熱保持した後、1000℃未満の温度に一旦冷却し、800℃以上1000℃未満で10分〜1時間保持する均質化処理工程、
(c)熱間加工処理し、600℃以下に冷却する熱間加工工程、
(d)冷間加工する工程、
(e)930〜1055℃で5秒〜2分の保持する熱処理をした後、2段目の熱処理を600〜850℃で5秒〜20分保持し、急速に冷却する溶体化処理工程、
(f)350〜600℃で30分〜12時間加熱処理する時効処理工程、
(g)300〜550℃で5秒〜10分焼鈍する低温焼鈍工程、
をこの順で行うことを特徴とする銅合金材の製造方法。 - Niを5.2〜8.0質量%、Siを1.0〜2.3質量%、並びにTi0.2質量%以下、Fe0.3質量%以下、Cr0.3質量%以下、Co0.1質量%以下、Zr0.05質量%以下、およびHf0.05質量%以下からなる群(A)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜2.0質量%、および/または、Mg0.2質量%以下、Mn0.4質量%以下、Ag0.15質量%以下からなる群(B)より選択される1種または2種以上を合計で0.05〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなり、銅合金の母相の結晶粒界に存在する粒径0.050〜3μmの化合物の粒子の数をNMO、前記母相の結晶粒内に存在する粒径0.050〜3μmの化合物の粒子の数をNMIとしたとき、NMOが、5.0×103〜3.0×106個/mm2、NMIとNMOの比NMI/NMOが、1/2〜10である銅合金材の製造方法であって、
(a)前記銅合金材の合金組成を有した銅合金を溶解し、鋳造する溶解・鋳造工程、
(b)この鋳塊を1000〜1055℃の温度にて30分〜1時間加熱保持した後、1000℃未満の温度に一旦冷却し、800℃以上1000℃未満で10分〜1時間保持する均質化処理工程、
(c)熱間加工処理し、600℃以下に冷却する熱間加工工程、
(d)冷間加工する工程、
(e)930〜1055℃で5秒〜2分の保持する熱処理をした後、2段目の熱処理を600〜850℃で5秒〜20分保持し、急速に冷却する溶体化処理工程、
(f)350〜600℃で30分〜12時間加熱処理する時効処理工程、
(g)300〜550℃で5秒〜10分焼鈍する低温焼鈍工程、
をこの順で行うことを特徴とする銅合金材の製造方法。 - 前記(a)の工程において、前記銅合金材の合金組成に対し、Sn0.4質量%以下および/またはZn0.3質量%以下を合計で、0.05〜0.8質量%さらに含有する銅合金を溶解し、鋳造する溶解・鋳造工程を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の銅合金材の製造方法。
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