JP2014019852A - 樹脂組成物、および、該樹脂組成物を成形してなる成形品 - Google Patents

樹脂組成物、および、該樹脂組成物を成形してなる成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】外観に優れ、剛性と耐衝撃性の機械的特性がバランスするとともに、適度な生分解性を有する樹脂組成物、および、当該樹脂組成物を成形してなる成形品を提供する。
【解決手段】脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)とを含有してなり、前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対し、前記α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)が0.01重量部以上0.1重量部未満であることを特徴とする樹脂組成物、および、これを成形してなる成形品とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、外観に優れ、剛性と耐衝撃性の機械的特性がバランスするとともに、適度な生分解性を有することを特徴とする樹脂組成物、および、該組成物を成形してなる成形品に関する。
近年、廃棄物処理の問題から生分解性樹脂は世界的に大きく注目さており、各種生分解性樹脂が製品化されている。中でもポリ乳酸は最も多用されている生分解性樹脂であるが、結晶化速度が遅く成形性に問題があり、剛性に優れるものの耐衝撃性に劣り、生分解性が遅い傾向にある。
上記問題を解決すべく、様々な検討が行われており、例えば、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の芳香族脂肪族共重合ポリエステル系樹脂を用いることが提案されているが、耐衝撃性に優れるものの、剛性が低く生分解性が遅い傾向にある(例えば、特許文献1参照)。
一方、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート等の脂肪族ポリエステル系樹脂も生分解性樹脂として知られているが、生分解性がポリ乳酸系樹脂より早い傾向にある。
そこで、脂肪族ポリエステル系樹脂に対してポリ乳酸系重合体を特定量含有する生分解性樹脂組成物が提案されているが、生分解性は脂肪族ポリエステル系樹脂より遅くなるものの耐衝撃性が低下し、剛性と耐衝撃性の機械的特性のバランスが不十分である(例えば、特許文献2参照)。
また、ポリ乳酸とポリ乳酸以外の脂肪族ポリエステルと特定添加量の変性ポリオレフィンとからなる、強度と耐衝撃性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物が提案されているが、外観が不良で本来生分解性でない変性ポリオレフィンの添加量が多いため生分解性の付与も非常に難しい傾向にある(例えば、特許文献3参照)。
特表2001−500907号公報 国際公開第2002/094935号パンフレット 特開2001−123055号公報
このように従来において、外観に優れ、剛性と耐衝撃性の機械的特性がバランスするとともに、適度な生分解性を有する樹脂組成物や成形品を得ることは非常に困難であった。
本発明は、外観に優れ、剛性と耐衝撃性の機械的特性がバランスするとともに、適度な生分解性を有することを特徴とする樹脂組成物、および、該組成物を成形してなる成形品を提供することを課題とする。
一般に「生分解性」とは微生物が関与した分解とされているが、ここでは、特定条件で土壌中に埋設して取り出した時に重量損失が認められる特性のことをいい、特定条件については後述する。
なお、適度な生分解性とは、生分解性が早くも遅くもないことであり、生分解性が早いことは耐久性の観点から問題であり、生分解性が遅いことは廃棄物処理の観点から問題である。また、生分解性は土壌の温度や含水率などの外部因子の影響を受けることが知られている。
本願において「適度な生分解性」とは、特定条件において特定土壌に埋設して取り出し、外観変化を後述の基準で評価したときの生分解性が7〜28日であることをいう。ここで、特定条件とは、土壌の温度40℃であり土壌の含水率20重量%である。特定土壌とは、三菱化学(株)四日市事業所内の土中である。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、脂肪族ポリエステル系樹脂とα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体とを特定量含有させることによって、外観に優れ、剛性と耐衝撃性の機械的特性がバランスするとともに、適度な生分解性を有する樹脂組成物、および、当該樹脂組成物を成形してなる成形品を提供することができることを見出した。
すなわち、本発明は以下を要旨とする。
[1]
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)とを含有してなり、前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対し、前記α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)が0.01重量部以上0.1重量部未満であることを特徴とする樹脂組成物。
[2]
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)が、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位とを含んでなることを特徴とする[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
脂肪族ジオール単位が1,4−ブタンジオールで、脂肪族ジカルボン酸単位がコハク酸であることを特徴とする[2]に記載の樹脂組成物。
[4]
脂肪族ジオール単位が1,4−ブタンジオールで、脂肪族ジカルボン酸単位がコハク酸とアジピン酸であることを特徴とする[2]に記載の樹脂組成物。
[5]
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)のコハク酸単位の含有量が、全脂肪族ジカルボン酸単位中50モル%以上95モル%以下であることを特徴とする[3]又は[4]に記載の樹脂組成物。
[6]
[1]から[5]のいずれかに記載の樹脂組成物を成形して得られる成形品。
[7]
[1]から[5]のいずれかに記載の樹脂組成物を成形して得られるフィルム。
本発明によれば、外観に優れ、剛性と耐衝撃性の機械的特性がバランスするとともに、適度な生分解性を有する樹脂組成物、および、当該樹脂組成物を成形してなる成形品を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
1.樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)とを含有してなる樹脂組成物である。
本発明の樹脂組成物で、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)の含有比率は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の100重量部に対して、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)が0.01重量部以上0.1重量部未満であり、下限が好ましくは0.02重量部以上、より好ましくは0.03重量部以上、さらに好ましくは0.04重量部以上であり、上限が好ましくは0.09重量部未満、より好ましくは0.08重量部未満、さらに好ましくは0.07重量部未満である。
上記α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)の含有割合が0.01重量部未満であると、剛性と耐衝撃性の機械的バランスが得難い傾向にあり、一方、上記α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)の含有割合が0.1重量部以上であると、外観が劣る傾向にあり、いずれも好ましくない。
1.1. 脂肪族ポリエステル系樹脂
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位とを含んでなる脂肪族ポリエステル系樹脂であることが好ましい。
より具体的には、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、下記式(1)で表される脂肪族ジオール単位、および下記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位を含んでなる脂肪族ポリエステル系樹脂であることが好ましい。
−O−R−O− (1)
−OC−R−CO− (2)
式(1)中、Rは、2価の脂肪族炭化水素基を表す。上記式(2)中、Rは、2価の脂肪族炭化水素基を表す。
式(1)のジオール単位を与える脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、成形性や機械強度の観点から、炭素数が2以上10以下の脂肪族ジオールが好ましく、炭素数4以上6以下の脂肪族ジオールが特に好ましい。例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、中でも1,4−ブタンジオールが特に好ましい。上記脂肪族ジオールは2種類以上を用いることもできる。
式(2)のジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分としては、特に限定されないが、炭素数が2以上40以下の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、炭素数が4以上10以下の脂肪族ジカルボン酸が特に好ましい。例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等が挙げられ、中でもコハク酸、アジピン酸、セバシン酸が好ましく、コハク酸とアジピン酸が特に好ましい。上記脂肪族ジカルボン酸は2種類以上を用いることもできる。
脂肪族ジカルボン酸単位がコハク酸である場合、コハク酸由来の構造単位量を所定範囲内とすることで、通常の条件における適度な生分解性が可能となる。全脂肪族ジカルボン酸単位中のコハク酸由来の構造単位の割合は、好ましくは50〜95モル%、より好ましくは55〜90モル%、さらに好ましくは60〜87モル%である。
また、脂肪族ジカルボン酸単位がコハク酸とアジピン酸である場合、コハク酸由来とアジピン酸由来の構造単位量を所定範囲内とすることで、通常の条件における適度な生分解性が可能で、耐衝撃性の付与がより容易となる。全脂肪族ジカルボン酸単位中のコハク酸由来の構造単位の割合は、好ましくは50〜95モル%、より好ましくは60〜93モル%、さらに好ましくは70〜90モル%で、全脂肪族ジカルボン酸単位中のアジピン酸由来の構造単位の割合は、好ましくは5〜50モル%、より好ましくは7〜40モル%、さらに好ましくは10〜30モル%ある。
さらに、本発明における脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、脂肪族オキシカルボン酸に由来する繰返し単位(脂肪族オキシカルボン酸単位)を有していてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等、またはこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステルが挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液であってもよい。これらの中で特に好ましいものは、乳酸またはグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
上記脂肪族オキシカルボン酸単位の量は、成形性の観点から脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の全脂肪族ジカルボン酸単位中、20モル%以下であることが好ましく、より好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下である。
また、本発明における脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、カップリング剤等により鎖長延長されたものであってもよい。
カップリング剤としては、ジイソシアネート、オキサゾリン、ジエポキシ化合物、酸無水物等が挙げられ、具体的には、2,4−トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナート、水素化キシリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等が挙げられる。これらの添加量は脂肪族ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して0.1〜5重量部であることが好ましい。
本発明で使用する脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、公知の方法で製造することができる。例えば、上記の脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのエステル化反応および/またはエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができるが、経済性や製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合で製造する方法が好ましい。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することが可能であり、ポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量が、好ましくは10,000以上1,000,000以下であるが、成形性と機械強度の点において有利なため、さらに好ましくは20,000以上500,000以下、より好ましくは50,000以上400,000以下である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kgで測定した場合、好ましくは0.1g/10分以上100g/10分以下である。成形性と機械強度の観点から、さらに好ましくは50g/10分以下、特に好ましくは30g/10分以下である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の融点の下限については、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは75℃以上であり、当該上限については好ましくは170℃以下で、さらに好ましくは119℃以下、最も好ましくは100℃未満である。融点が複数存在する場合には、少なくとも1つの融点が上記範囲内にあることが好ましい。
1.2. α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体
本発明において用いられるα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)は、下式A、BおよびCで示される繰り返し単位からなり、これらの単位のモル比A:B:Cが10〜50:40〜60:5〜40であって、重量平均分子量が1,000〜50,000である共重合体である。
Figure 2014019852
(式中、Rは炭素数が18〜98の直鎖または分岐のアルキル基を、Rは炭素数が2〜10の直鎖または分岐のアルキル基を、Rは炭素数が1〜3のアルキル基またはアシル基を示す。nは1〜100の整数を示す。)
式Aで示される繰り返し単位源としてはα−オレフィンが使用される。このα−オレフィンは、平均炭素数が20〜100、好ましくは28〜65の、α−位に二重結合を有するオレフィン系不飽和化合物である。これらα−オレフィンは単品であっても異なる炭素原子数を有するα−オレフィンの混合物であってもよい。
式Cで示される繰り返し単位源としては、下記一般式(3)で示されるポリオキシアルキレンアリルエーテルが使用される。
CH2 =CHCH2 O(RO) (3)
(ただし、Rは炭素数が2〜10の直鎖または分岐のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜3のアルキル基またはアシル基を示し、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で1〜100である。)
ポリオキシアルキレンアリルエーテルのROで示される炭素数2〜10のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基、オキシデセン基等が挙げられるが、炭素数2〜4のものがより好ましく、炭素数2のものがさらに好ましい。Rで示される炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等があり、また炭素数1〜3の飽和アシル基としてはアセチル基、プロピオニル基等があるが、アルキル基を用いるのがより好ましく、メチル基がさらに好ましい。なお、Rが水素原子の場合には無水マレイン酸と共重合反応する際にポリオキシアルキレンアリルエーテルの水酸基と無水マレイン酸の酸無水物基とがエステル化反応をおこしてポリエステル構造となるため分子量の調整が困難になり好ましくない。nは、平均付加モル数で1〜100、好ましくは2〜20、特に好ましくは2〜15である。また、α−オレフィン、無水マレイン酸、とポリオキシアルキレンアリルエーテルのモル比は10〜50:40〜60:5〜40、好ましくは20〜40:45〜55:10〜30、より好ましくは20〜30:45〜55:20〜30であり、共重合体の重量平均分子量は、1,000〜50,000、好ましくは1,000〜10,000である。
これら3種のモノマーの重合反応は、ラジカル開始剤の存在下に塊状重合、溶液重合などの方法により共重合させて得られる。重合開始剤としてはベンゾイルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオクトエートなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物などがあり、溶液重合に用いる溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。重合条件としては、60〜180℃、3〜10時間が適当である。重合反応終了後、例えば反応混合物から溶媒を蒸留法により分離することによって容易に目的の共重合体が得られる。
1.3.その他の成分
本発明に係る樹脂組成物には、滑剤、フィラー(充填剤)、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、加水分解防止剤等の各種添加剤や、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル等の合成樹脂や、澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末、或いはこれらの混合物が「その他の成分」として含まれていてもよい。これらは、本発明の効果を損なわない範囲で任意に使用できる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。これら添加剤の添加量は、通常、樹脂組成物の物性を損なわないように、混合する化合物の総量が、樹脂組成物の総量に対して、0.01重量%以上40重量%以下であることが好ましい。
1.3.1.滑剤
例えば、本発明に係る樹脂組成物に滑剤を含ませると、樹脂組成物の成形性を向上させることができる。
滑剤としては、公知のものを特に限定されることなく用いることができる。具体的には、パラフィン油、固形パラフィン等のパラフィン、ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸の金属塩、ステアリン酸ブチル、グリセリンモノステアレート、ジエチレングリコールモノステアレート等の脂肪酸エステル、ステアロアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、オキシステアリン酸のエチレンジアミド、メチロールアミド、オレイルアミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等の脂肪酸アミド等、カルナウバワックス、モンタンワックス等のワックス類などが挙げられる。なお、滑剤やワックス類は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率および組み合わせで用いてもよい。この中でもエルカ酸アミドが特に好ましい。これらの滑剤の含有量は、通常樹脂組成物中0.01〜2重量%であり、好ましくは0.05〜0.5重量%の範囲である。
1.3.2.フィラー
本発明に係る樹脂組成物にフィラーを含ませると、樹脂組成物の剛性を向上させることができる。また、樹脂組成物をフィルムとした場合にはフィルム同士のブロッキングを防止することができる。或いは、フィルムを袋に成形した場合に袋の口を開き易くすることもできる。さらに、フィルムや袋を着色し、遮光性や光反射性を向上させることもできる。
フィラーは、その形状により繊維状、粉粒状、板状のものがあり、特に粉粒状、板状のものが好ましい。粉粒状フィラーとしては、タルク、ゼオライト、ケイソウ土、カオリン、クレー、シリカ、石英粉末等の鉱物粒子、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重質炭酸カルシウム等の金属炭酸塩粒子、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属珪酸塩粒子、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物粒子、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物粒子、カーボンブラック等の炭素粒子等が挙げられる。また板状フィラーとしては、マイカが挙げられる。袋の口を開き易くするとともにブロッキングを防止する観点からは、タルク、炭酸カルシウム、或いはシリカを用いるとよく、また、フィルムや袋を着色するとともに、遮光性或いは光反射性を向上させる観点からは、カーボンブラックや酸化チタンを用いるとよい。フィルム等の成形体或いは樹脂組成物中におけるフィラーの分散状態は、数平均粒径で0.08〜25μmであり、より好ましくは0.1μm〜5μmである。この範囲からはずれると、上記フィラーの添加効果が低くなる。フィラーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのフィラーは樹脂組成物中、通常0.05〜40重量%の範囲で使用される。
1.3.3.可塑剤
なお、樹脂組成物の流れ性が悪い場合は可塑剤を加えるとよい。特に、樹脂組成物にフィラーを含ませた場合には、樹脂組成物の粘度が上昇して樹脂組成物の流れ性が悪くなる場合があり、樹脂組成物に可塑剤を加えることによって、これを改善することができる。
可塑剤としては、公知のものを特に限定されることなく用いることができる。例えば、メチルアジペート、ジエチルアジペート、ジイソプロピルアジペート、ジ−n−プロピルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシレート等の脂肪酸エステル、トリアセチン等のグリセリンエステル、ジエチルマレエート、ジブチルマレエート、ジオクチルマレエート、ジブチルフマレート、ジオクチルフマレート等のマレイン酸およびフマル酸エステル、アジピン酸−1,3−ブチレングリコール、エポキシ化大豆油等のポリエステル・エポキシ化エステル、トリオクチルトリメリテート等のトリメリット酸エステル、トリエチレングリコールジアセテート、アセチルクエン酸トリブチル、グリセリンジアセトモノプロピオネート、グリセリンジアセトモノカプリレート、グリセリンジアセトモノカプレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンモノアセトモノベヘネート、グリセリンモノアセトモノステアレート等のアセチル化モノグリセライド、ジグリセリンアセテート、デカグリセリンプロピオネート、テトラグリセリンカプリレート、デカグリセリンラウレート、デカグリセリンオレート、デカグリセリンベヘネート等のポリグリセリン脂肪酸エステル、ロジン誘導体等が挙げられる。これらの可塑剤は、樹脂組成物中に、0.05〜10重量%の範囲で使用されることが好ましい。
1.3.4.帯電防止剤
また、本発明に係る樹脂組成物には、帯電防止剤を含ませることもできる。帯電防止剤としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。具体例としては、界面活性剤型のノニオン系、カチオン系、アニオン系が好ましい。
ノニオン系の帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステルアルキルジエタノールアマイド類等が挙げられる。中でもアルキルジエタノールアミン類等が好ましい。
カチオン系の帯電防止剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
アニオン系の帯電防止剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルホスフェート等が挙げられる。中でも、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。樹脂との混練性がよく、帯電防止効果も高いためである。
帯電防止剤の使用量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、生分解性樹脂組成物に対して、下限が好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上であり、上限が好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下である。上記範囲を上回ると、生分解性樹脂組成物の表面べたつきが発生し、製品価値が低下する傾向がある。また、上記範囲を下回ると、帯電防止性向上効果が低減する傾向がある。
1.3.5.その他添加剤
本発明の樹脂組成物は上記に記載した添加剤の他に、澱粉、耐光剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、末端封止剤などを含有させることもできる。
澱粉としては、具体的にはコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、エンドウ澱粉等が挙げられ、これらは未変性品、変性品どちらも使用できる。変性とは化学的、物理的、生物学的等のあらゆる変性方法を含み、化学的変性としては、炭水化物(多糖類)の構成単位の一部または全部をエステル化、エーテル化、酸化、還元、カップリング、脱水、加水分解、脱水素、ハロゲン化等の化学反応により変性することを示し、特には、水酸基をエーテル化、エステル化することを示す。また、物理的変性は、結晶化度を変化させること等、物理的性質を変化させることを示す。また、生物学的変性は、生物を用いて化学構造等を変化させることを示す。
耐光剤としては、デカンニ酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系安定剤等が挙げられる。耐光剤は、紫外線吸収剤と組み合わせて用いることが好ましく、ヒンダードアミン系安定剤と紫外線吸収剤との組み合わせが有効である。
耐光剤を混合する量は、生分解性樹脂組成物に対して、重量基準で下限が好ましくは100ppm以上、さらに好ましくは200ppm以上であり、上限が好ましくは5重量部以下、より好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.5重量部以下である。この範囲を下回ると耐光剤の効果が小さくなる傾向がある。また、この範囲を上回ると製造費が高くなる傾向があり、生分解性樹脂組成物の耐熱性が劣ったり、耐光剤のブリードアウトが生じたりする傾向がある。
紫外線吸収剤としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール等が挙げられる。紫外線吸収剤は、特に異なる種類の紫外線吸収剤を2種以上組み合わせて用いることが好ましい。
紫外線吸収剤を混合する量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、生分解性樹脂組成物に対して、重量基準で下限が好ましくは100ppm以上、さらに好ましくは200ppm以上であり、上限が好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。この範囲を下回ると紫外線吸収剤の効果が低下する傾向がある。また、この範囲を上回ると製造費が高くなりすぎたり、生分解性樹脂組成物の耐熱性が劣ったり、紫外線吸収剤のブリードアウトが生じたりする傾向ある。
熱安定剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、カルシウムジエチルビス[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、ビス(2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルフェニル)エタン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド等のヒンダードフェノール系熱安定剤;トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジファスファイト等のリン系熱安定剤;3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとキシレンの反応性生物等のラクトン系熱安定剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤;等が挙げられる。
熱安定剤を混合する量は、生分解性樹脂組成物に対して、重量基準で下限が好ましくは100ppm以上、さらに好ましくは200ppm以上であり、上限が好ましくは5重量部以下、より好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.5重量部以下である。この範囲を下回ると熱安定剤の効果が小さくなる傾向がある。一方、この範囲を上回ると、製造費が高くなる傾向があり、熱安定剤のブリードアウトが生じたりする可能性がある。
末端封止剤は、主に大気中の水分等による加水分解を抑制する目的で用いられ、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられるが、上記のカルボジイミド化合物の内、モノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド等を例示することができる。これらの中では、工業的に入手が容易であるので、ジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドが好ましい。
ポリカルボジイミド化合物としては、例えば米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.Org.Chem.28巻、p2069−2075(1963)、およびChemicalReview1981、81巻、第4号、p.619−621等に記載された方法により製造したものを用いることができる。
ポリカルボジイミド化合物の製造原料である有機ジイソシアネートとしては、例えば芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物を挙げることができ、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等を例示することができる。
有機ジイソシアネートの脱炭酸縮合反応に用いられるカルボジイミド化触媒としては、有機リン系化合物や一般式M(OR)で示される有機金属化合物(但し、Mはチタン、ナトリウム、カリウム、バナジウム、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、鉛、マンガン、ニッケル、カルシウムやバリウム等の金属原子を、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基または炭素原子数6〜20のアリール基を示し、xは金属原子Mが取り得る原子価を示す)が好適である。中でも、有機リン系化合物ではホスフォレンオキシド類が、有機金属化合物ではチタン、ハフニウム、またはジルコニウムのアルコシド類が活性が高く好ましい。
ホスフォレンオキシド類の具体例としては、3−メチル−1−フェニル−2−ホスフォレン−1−オキシド、3−メチル−1−エチル−2−ホスフォレン−1−オキシド、1,3−ジメチル−2−ホスフォレン−1−オキシド、1−フェニル−2−ホスフォレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスフォレン−1−オキシド、1−メチル−2−ホスフォレン−1−オキシドおよびこれらの二重結合異性体を例示することができる。中でも工業的に入手が容易な3−メチル−1−フェニル−2−ホスフォレン−1−オキシドが特に好ましい。
これらのポリカルボジイミド化合物の合成時には、モノイソシアネートやその他の末端イソシアネート基と反応可能な活性水素含有化合物を用いて、所望の重合度に制御することもできる。このような目的に用いられる化合物としては、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等のモノイソシアネート化合物、メタノール、エタノール、フェノール、シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル等の水酸基含有化合物、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、β−ナフチルアミン、シクロヘキシルアミン等のアミノ基含有化合物、コハク酸、安息香酸、シクロヘキサン酸等のカルボキシル基含有化合物、エチルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオフェノール等のメルカプト基含有化合物、および種々のエポキシ基含有化合物等を例示することができる。
これらのカルボジイミド化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いてもよい。本発明においては、特に、ポリカルボジイミド化合物を用いることが好ましく、その重合度は、下限が2以上、好ましくは4以上であり、上限が通常40以下、好ましくは20以下である。これら、カルボジイミドの使用量は、樹脂組成全体に対して通常0.1〜5重量%である。
これらの他、公知の表面ぬれ改善剤、難燃剤、離型剤、焼却補助剤、顔料、分散助剤、界面活性剤、加水分解防止剤、結晶核剤、相溶化剤等が含まれていてもよい。
2.樹脂組成物の製造方法
本発明に係る樹脂組成物の製造方法としては、公知の手法を適用することができる。例えば、ブレンドした脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)の原料を同一の押出機で溶融混合する方法、各々別々の押出機で溶融させた後に混合する方法等が挙げられる。押出機としては、単軸または2軸押出機が利用できる。また、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)を混合して加熱溶融させたところに、その他成分を添加して配合することもできる。この際、その他成分を均一に分散させる目的で、ブレンド用オイル等を使用することもできる。
3.樹脂成形品
本発明の樹脂組成物から成形品を得る方法は、特に限定されることはなく、通常熱可塑性樹脂に採用されている各種成形方法を適用することができ、射出成形、射出吹込成形、射出圧縮成形、発泡成形などの射出成形法;パイプ・チューブ、異型品、電線被覆、Tダイ法フィルム・シート、インフレーションフィルム、ラミネート加工、モノフィラメントなどの押出成形法;ブロー成形法、真空成形法、カレンダー成形法、圧縮成形法などを挙げることができる。
4.フィルム
本発明の樹脂成形品は、外観に優れ、剛性と耐衝撃性の機械的特性がバランスするとともに、適度な生分解性を有するという効果をより有効に活用するために、フィルムであることが好ましい。
この際、本発明の効果を阻害しない範囲で、数種の組成物を積層させた積層フィルムとすることも可能である。
得られたフィルム状成形体は、その後、ロール法、テンター法、チューブラー法等によって一軸または二軸延伸を施してもよい。延伸する場合は、延伸温度は通常30℃〜110℃の範囲で、延伸倍率は縦、横方向、それぞれ0.6〜10倍の範囲で行われる。また、延伸後、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法、ヒートロール上に接触させる方法等によって熱処理を施してもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその趣旨に反しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<物性の評価>
・MFR値の測定
MFR値は、JIS K7210に基づき、メルトインデクサーを用いて190℃、荷重2.16kgにて測定した。
H−NMRの測定
H−NMRの測定では、試料約30mgを外径5mmのNMR試料管に量り取り、重クロロホルム0.75mLに加えて溶かした後に、Bruker社製AVANCE400分光計を用い、室温でH−NMRスペクトルを測定した。化学シフトの基準は、テトラメチルシラン(TMS)を0.00ppmとした。
・融点の測定
融点の測定は、パーキンエルマー(株)製示差走査熱量計,製品名:DSC7を用い、10mgのサンプルを流量50mL/分の窒素気流下で加熱溶融させた後、10℃/分の速度で冷却後、引き続き10℃/分の速度で昇温する際の融解ピーク温度を使用した。
[脂肪族ポリエステル系樹脂の製造]
製造例1
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計および減圧用排気口を備えた反応容器に、原料としてコハク酸100重量部、1,4−ブタンジオール99.2重量部、リンゴ酸0.24重量部、酸化ゲルマニウムを予め1重量%溶解させた90%DL乳酸水溶液7.0重量部を仕込んだ。容器内容物を攪拌下、窒素ガスを導入し、窒素ガス雰囲気下120℃から反応を開始し、1時間40分かけて200℃まで昇温した。引き続き、1時間25分かけて230℃に昇温すると同時に1mmHg(133Pa)まで減圧し、230℃、1mmHg(133Pa)にて4時間重合を行い、脂肪族ポリエステル系樹脂を得た。以下、この脂肪族ポリエステル系樹脂を「樹脂1」と呼ぶことがある。
得られた脂肪族ポリエステル系樹脂の融点は114℃で、MFR値は4.4g/10分であり、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する全脂肪族ジカルボン酸単位中のコハク酸単位は100モル%であった。
製造例2
製造例1において、コハク酸100重量部、アジピン酸31.0重量部、1,4−ブタンジオール143重量部、リンゴ酸0.345重量部とした以外は製造例1と同様に重合を行い、ポリエステル樹脂を得た。以下、このポリエステル樹脂を「樹脂2」と呼ぶことがある。
得られたポリエステル樹脂の融点は91℃で、MFR値は3.7g/10分、ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸単位中のコハク酸単位は80モル%であった。
実施例1〜4、比較例1〜4
製造例1と2で製造した樹脂1、樹脂2と、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)に該当する以下に示す「ダイヤカルナ 30」を用いて、下記表1に記載の含有比となるように配合し、設定温度200℃で二軸混練機(池貝鉄鋼社製PCM30)にて混練してペレット上の樹脂チップを得た。当該樹脂ペレットを用いて175℃でインフレーション成形し、21μm厚みのフィルムを作成した。
「ダイヤカルナ 30」:三菱化学社製のα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(α−オレフィンの平均炭素数48、重量平均分子量9,000、ケン化価約120mgKOH/g)
得られた樹脂ペレットとフィルムについて、以下の評価を実施した。
<外観>
フィルムを20cm角に5枚切り出し、拡大鏡を使用して目視にて以下の基準に従って外観の評価を行った。100cm当りの異物の数が20個未満を合格とした。
○:100cm当りの異物の数が5個未満であった。
△:100cm当りの異物の数が5個以上20個未満であった。
×:100cm当りの異物の数が20個以上であった。
<剛性>
成形して得られたフィルムについて、JIS K7127に記載されている「試験片タイプ2」の試験片を打ち抜き刃にて打ち抜き、JIS K7127に準拠して、フィルム成形時のフィルム流れに平行な方向とフィルム流れに垂直な方向の引張弾性率を測定した。当該弾性率の値が大きいほど剛性が高いことを表す。
<耐衝撃性>
東洋精機社製フィルムインパクトテスターを用い、直径50mmのフィルムの打ち抜き衝撃強度をJIS P8134に準じて測定した。なお、インパクトテスター打ち抜き部先端には直径25.4mmの半球状金属製治具を取り付けて評価を行った。当該打ち抜き衝撃強度の値が大きいほど耐衝撃性が高いことを表す。
<剛性と耐衝撃性の機械的特性のバランス>
剛性と耐衝撃性の機械的特性のバランスは、剛性と耐衝撃性が一般にトレードオフの関係にあるため両者の積の大小で判断することができる。本発明では上記の引張弾性率をMPaの単位で表したときの値と、上記打ち抜き衝撃強度をkJ/mの単位で表したときの値との積が、2000以上であるときに機械的特性がバランスしていると判断する。当該積の値が大きいほど機械的特性のバランスに優れることを意味する。
<生分解性>
成形して得られたフィルムについて、JIS K7127に記載されている「試験片タイプ2」の試験片を打ち抜き刃にて打ち抜き、水分量を20重量%に調整した三菱化学(株)四日市事業所内の土中に該フィルムを埋没させた。生分解試験の温度条件は40℃で、埋設期間は7日、14日、21日、28日で、該フィルムを土中から取り出して外観を観察して、以下の基準に従って生分解性の程度を評価した。△が7日〜28日の間に現れるものを合格とした。
○:フィルムの外観に変化がなかった。
△:フィルムの外観に亀裂や細孔などの変化があった。
×:フィルムが元の形状を留めないほど大きく変化していた。
評価結果を下記表1に示す。
Figure 2014019852
表1から明らかなように、実施例1〜4に係る樹脂組成物から得られたフィルムは、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)に対するα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)の含有比率が本発明に規定された範囲内にあることによって、外観に優れ、剛性と耐衝撃性の機械的特性がバランスするとともに、適度な生分解性を有することが分かる。一方、比較例1と2に係る樹脂組成物から得られたフィルムは、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)に対するα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)の含有比率が本発明に規定された範囲内より多すぎるために、外観に劣り、剛性と耐衝撃性の機械的特性がバランスしないことが分かる。また、比較例3と4に係る樹脂組成物から得られたフィルムは、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)を含まないために、剛性と耐衝撃性の機械的特性がバランスしないことが分かる。

Claims (7)

  1. 脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)とを含有してなり、前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対し、前記α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(B)が0.01重量部以上0.1重量部未満であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)が、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位とを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記脂肪族ジオール単位が1,4−ブタンジオールで、前記脂肪族ジカルボン酸単位がコハク酸であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記脂肪族ジオール単位が1,4−ブタンジオールで、前記脂肪族ジカルボン酸単位がコハク酸とアジピン酸であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
  5. 前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)のコハク酸単位の含有量が、全脂肪族ジカルボン酸単位中50モル%以上95モル%以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の樹脂組成物を成形して得られる成形品。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の樹脂組成物を成形して得られるフィルム。
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