JP2014019030A - オイルパーム圧密材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に回転させながらロータリーレースで所定の厚みに剥いてなる剥離板W、所定長のオイルパーム幹WDから所定の幅及び厚み、長さの板取りを木材と同様に行った製材板において、剥離板W及び/または製材板を複数枚オイルパーム幹WD自体が含有する樹脂成分及び糖成分によって接合するために、所定の厚みに剥いた剥離板Wの面を、接着機能を有する接合面とし、剥離板W及び/または製材板の温度及び圧縮力の制御によって複数枚の剥離板Wを1mmの厚み程度まで圧密加工して得られるリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類成分で接合する。
【選択図】図1
Description
なお、一般に「板」とは、広辞苑によれば「材木を薄く平たくひきわったもの」、「金属や石などを薄く平たくしたもの」等として説明されるが、ここでは、オイルパームが木材の性状を有するものではなく、竹材に近い性状もつものであるが、オイルパームにおいても「薄く平たくしたもの」を「剥離板」と呼ぶこととする。また、オイルパームの材料を仔細に呼称する用語がないので、木材と同様の概念で呼ぶこととする。そして、建築材料とは、建築物に使用される平板状の形態の材料及び家財道具の材料を意味し、オイルパーム圧密材とは少なくともオイルパームを使用した建築及び家財に使用される形態の材料を意味する。
即ち、オイルパームは、果肉と種子から油脂が取れ、単位面積当たり得られる油脂の量は他の植物を群を抜いていることから、商業作物としてマレーシア等の東南アジア諸国を中心に大規模なプランテーション農業が行われているので、油脂の方を「オイルパーム」と呼ぶ方が著名になりつつあるかもしれない。
しかし、本発明においては、果肉と種子から取れる油脂のオイルパームを意味するものではなく、油椰子の幹自体または植物の個体全体をオイルパームと呼ぶこととする。
したがって、オイルパームの空果房を解繊して得た油ヤシ繊維は、例えば、ココヤシ繊維等の他のヤシ繊維に比して、繊維表面にパームオイルが付着しているために繊維の撥水性が優れていると共に、繊維中に含まれるセルロース及びリグニンの量が相対的に多いので、耐水性に優れる。加えて、油ヤシ繊維は、ココヤシ繊維等の他のヤシ繊維に比して、繊維強度が大であると共に、繊維径が大きく、かつ、繊維長が長いので、寸法安定性が優れている。また、油ヤシ繊維は、その表面の凹凸が大きいと共に屈曲の強度が大きくて繊維同士のからみあいが大きいから、このことによっても寸法安定性が高められる。そのため、この板状体または成形体は、吸水、吸湿時における寸法安定性が優れている。
そして、油ヤシ繊維表面の凹凸が大きいので、ゴム状弾性を示す樹脂が油ヤシ繊維の表面の空隙に侵入して固化又は硬化し、これが釘または楔のように作用して、所謂、アンカー効果を発揮するから、油ヤシ繊維はゴム状弾性を示す樹脂により強く結合する。このことも吸水、吸湿時における寸法安定性の向上に寄与していると考えられる。
この板状体または成形体では、油ヤシ繊維を使用するから、他の種類のヤシ繊維に比して解繊等に要する労力が少なく、そのため、製造コスト及びエネルギーが節減でき、製品が安価となる。例えば、ココヤシ繊維では、ヤシ殻を軟化させるために長期間水中に浸漬し、その後に機械的に繊維状に解繊するために長期間多大のエネルギーを必要とする。これに対してオイルパームは、もともと繊維状のままで集合体となっている空果房を解繊するから、水中浸漬の必要はなく、解繊のために要するエネルギーも非常に少なくて済む。また、油ヤシ繊維はココヤシ繊維に比して発塵性が少なく、その取り扱いにおいて作業環境の悪化が避けられる。
更に、油ヤシ繊維の繊維間に大きな隙間が形成されるので、噴霧または浸漬によりゴム状弾性を示す樹脂を供給したときには、樹脂が上記隙間を介して全繊維に均等に付着し、強度分布が均一になるという板状態が得られる。
特許文献3に係るパーム合板は、樹脂接着剤で貼り合わされた複数の単板を備え、複数の単板のうちの最も外側の少なくとも1枚の単板は、パーム単板であり、パーム単板の表面に露出しているパーム繊維に樹脂接着剤が浸透させたものである。これにより、品質が比較的良好な樹木の単板をフェイスとバックとして使用せずに、安価な廃棄材のヤシの幹から製造可能なパーム単板を使用して表面を樹脂接着剤で処理することで、低コストで合板を製造する。
また、特許文献3のパーム合板は、複数の単板を全てパーム単板とし、安価な廃棄材のヤシの幹から製造可能なパーム単板のみを使用し、互いを樹脂接着剤で接着してもよい。このときのパーム繊維に浸透させてある樹脂接着剤は、複数の単板を貼り合わせる樹脂接着剤と同系のものである。樹脂接着剤が同系であるため、安価に合板を製造することができる。なお、ここで、同系とは、同一の樹脂接着剤、配合(例えば、配合比率)を変えたものを含む。
このように、特許文献3によれば、品質が比較的良好な樹木の単板をフェイスとバックとして使用せずに、低いコストで製造が可能な合板及びパーム合板、合板製造方法が開示されている。
特に、マレーシア等の東南アジア等では、パームオイルの生産のためにオイルパームが栽培されているが、パームオイル採取後の空果房には繊維等が多く含まれていることから、その空果房は繊維ボード等種々の用途に活用されている。しかし、毎年伐採されているヤシの幹は有効に活用されておらず、廃棄処分されているのが現状である。
また、特許文献3には、最も外側の少なくとも1枚の単板がパーム単板を複数樹脂接着剤で貼り合わせる工程と、パーム単板の表面であり、露出しているパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させる面を研磨する工程と、研磨した面に樹脂接着剤を塗布してパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させる工程と、樹脂接着剤を乾燥させる工程とを備えた合板製造方法を開示している。しかし、パーム単板に如何に樹脂接着剤を塗布するか、露出しているパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させるかについては説明されておらず不明であり、具体的な合板の製造方法が不明である。少なくとも、パーム単板を複数樹脂接着剤で貼り合わせるという樹脂接着剤の使用を前提としている。
ここで、所定長のオイルパームの幹、即ち、オイルパーム幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで所定の厚みに剥いて剥離板を形成するのは、薄い板としてロータリーレースで所定の厚みに剥いて剥離した板を使用することを意味する。
また、前記剥離板の温度を上昇させ、かつ、前記剥離板を前記剥離板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて圧縮し、前記合板に一体に接合する際の前記剥離板の温度上昇は、スチーム加熱または熱板加熱の何れでもよいし、両者の同時使用も可能であり、また、圧縮圧力は、接合面に前記オイルパーム幹自体が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類を導くことができればよい。
なお、ここにおける接合には、オイルパーム幹の剥離板は凹凸面に対して逆の凸凹面に成型する能力があることから、その成形能力を利用した機械的接合も含まれている。
本発明を実施する場合、複数の前記剥離板及び/または前記製材板を重ねて圧密加工して、柱状または板状のオイルパーム圧密材とすることができる。
例えば、圧縮前の厚みが2.5mmで圧縮率65%とすると、圧密加工された材料は0.88mmとなる。しかし、この状態では、オイルパームの繊維が直径0.2〜1.0mmと太く、かつ、強く接合面積に空隙が形成される等の要因により、長寿命のオイルパーム圧密材とならない。しかし、これを圧縮前の厚みが3mmで圧縮率65%とすると、圧密加工された材料は1.05mmとなる。この状態になると、オイルパームの繊維が直径0.2〜1.0mmと太く、かつ、強くても、圧密加工前の厚みが3mmの剥離板側から接合面積にリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類が供給され、空隙が形成されることがなくなり、長寿命のオイルパーム圧密材となる。したがって、前記剥離板及び/または前記製材板の厚みは、圧密加工された状態で1mm以上の厚みからなるものであればよい。
なお、ここで圧密加工とは、前記剥離板及び/または前記製材板を所定の温度で圧縮し、その圧縮状態を維持させるように冷却して固定化したものを意味し、圧縮は単に圧力を加える状態を意味する。
特に、圧縮する環境温度は、120〜210℃の範囲で、圧縮力は最終厚さを設定し、それ以上の圧縮限界を設定したものであれば、その圧縮速度のみの制御でよい。例えば、圧縮速度は、圧密加工開始から終了までを5〜40〔min〕の範囲として使用できる。オイルパームの樹齢、乾燥度、その厚み等によってその処理時間が変化する。しかし、一般的にオイルパーム圧密材では、5〜20〔min〕の範囲で処理可能である。これに、冷却を行って圧縮状態を維持する固定化する固定工程が5〜10〔min〕付加される。
したがって、所定の厚みに剥いた前記剥離板の面を、接着機能を有する接合面とし、前記剥離板及び/または前記製材板の温度及び圧縮力の制御によって前記複数枚の剥離板を前記オイルパーム幹自体が含有する圧密加工で1mm以上の厚み程度まで圧密加工して得られるリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類成分で接合したものである。
また、広い平面板を形成する場合も、前記剥離板及び/または前記板材を横に接続することにより、広い板が得られる。
そして、前記剥離板の温度を上昇させ、かつ、前記剥離板及び/または前記板材の面に対して直角方向の圧縮力を加えて圧縮し、前記積層合板に一体に接合する際の前記剥離板の温度上昇は、スチーム加熱または熱板加熱の何れでもよいし、両者の同時使用も可能であり、また、圧縮圧力は、接合面に前記オイルパームの幹自体が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類を導くことができればよいので製造自由度が高い。
なお、ここにおける接合には、オイルパーム幹の剥離板は凹凸面に対して逆の凸凹面に成型する能力があることから、その成形能力を利用した機械的接合も含まれている。
まず、本発明の実施の形態で使用するオイルパーム幹は、図8に示すように、木材の板目と柾目を製材するように板取りを行うと、何れも柾目状に繊維が並ぶ面になる。即ち、国産材の桧や杉のように年輪がなく、畳表の藺草のように繊維が、直径0.2〜1.0mmと太く、かつ、強度的に強く、オイルパーム幹の長さ方向に延びている。
視認できる直径0.2〜1.0mmの繊維と繊維の間は、リグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類、空孔等によって形成されている。
オイルパーム剥離板Wは、20年から30年以上の成長した単一の幹を所定長のオイルパーム幹WDとして切断し、それを大根のかつら剥きと同様の周方向の剥きを行うロータリーレースと呼ばれる装置にセットする。そして、オイルパーム幹WDを回転させ刃物CTによって周方向の剥きを行う。これは、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて複数枚の剥離板Wに形成する剥離板工程となる。
なお、オイルパームの葉、空果房、根等は、チップ状に裁断され、好気性細菌処理によってコンポスト化(堆肥化)する有機廃棄物発酵処理方法によって処理される。特に、空果房は他の実用性のある処理を行ってもよい。また、細かく破砕し、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等の成分抽出を行ってもよい。
この切断は、図2(a)に示すかつら剥きされた連続剥離板UWDの供給方向に短い辺の剥離板W1,W3,W5と、図2(b)に示す連続剥離板UWDの供給方向に長い辺の剥離板W2,W4が形成される。
この5枚の所定面積、所定厚さの剥離板W1,・・・,W5は、裁断によって形成してもよいし、鋸の切断によって形成してもよい。オイルパームの性質上何れでもよいが、裁断の方が作業性からみると効率的である。
勿論、図3に示す連続剥離板UWDの供給方向に短い辺の剥離板W1,W3,W5と、連続剥離板UWDの供給方向に長い辺の剥離板W2,W4を繊維の長さ方向が直角になるように積載すれば、連続剥離板UWDの供給方向に短い辺の剥離板W1,W3,W5を2枚、連続剥離板UWDの供給方向に長い辺の剥離板W2,W4を3枚の組み合わせとすることもできる。
このように、前記乾燥工程で乾燥させた剥離板Wを所定の状態に複数枚積層する工程を、ここでは積層工程と呼ぶ。
即ち、加熱工程によって加熱した積層された剥離板Wに、その剥離板Wの面に対して直角方向の圧縮力を加える押圧工程を行い、その押圧工程で所定の温度で所定時間押圧した後、加熱工程で供給していた温度を降下させる固定工程を経て、合板PWを得るものである。
本実施の形態1では、プレス盤10の上プレス盤10A及び下プレス盤10Bで形成される内部空間IS及び位置決め孔18内を加熱するためにバルブV4に接続された配管12を用いて高温の水蒸気を導入しているが、この他、高周波加熱、マイクロ波加熱等を用いることも可能である。特に、木材に対する高周波加熱は、マイクロ波による誘電過熱よりも、マイクロ波よりも若干周波数の低い高周波で、木材の中心から加熱する方法が好適である。
勿論、本発明を実施する場合には、プレス盤10にてプレス圧縮される方向は、加圧前多層材NWの5枚の剥離板W1,・・・,W5の面に対して直角方向に圧縮力が加えられる。
ここで、本実施の形態においては、合板PWの原材料となる加圧前多層材NWは、所定の寸法(厚み・幅・長さ)に形成されたものであり、5枚の剥離板W1,・・・,W5の面側をプレス盤10の上プレス盤10A及び下プレス盤10Bに対向させ、下プレス盤10Bの位置決め孔18に載置した。
なお、このように、本実施の形態においては、加圧前多層材NWの表裏面に上プレス盤10A及び下プレス盤10Bが面接触し、密閉状態の内部空間IS及び位置決め孔18に保持されるため、加圧前多層材NWは、厚み全体が十分に加熱され、効率よく圧縮変形されることになる。
そして、最後に、図6(f)に示すように、固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aを上昇させ、内部空間IS及び位置決め孔18から仕上がり品である合板PWが取出されることで一連の処理工程が終了する。
下プレス盤10Bのベース板25に同一高さの外側下プレス盤10Ba及び内側下プレス盤10Bbを配設し、その間に枠体溝21を形成する。枠体溝21のベース板25側には複数のコイルスプリング22が配設され、その上部に四角の可動枠23が配設されている。可動枠23の内面には、切欠きが形成されていて加圧前多層材NWの側面からの水蒸気等の流体を導く流体路24となっている。四角の可動枠23の内周は加圧前多層材NWの外周に略等しくなっており、四角の可動枠23に加圧前多層材NWが入ると各剥離板W1,・・・,W5に位置ずれが生じないようになっている。したがって、上プレス盤10Aが下降した時、それが下プレス盤10Bの寸法以上の広さを有していても、可動枠23と当接すると、可動枠23が複数のコイルスプリング22の弾性に抗して下降し、加圧前多層材NWの圧縮に応答する。そして、複数のコイルスプリング22の移動限界で加圧前多層材NWの圧縮が終了する。勿論、下プレス盤10Bの可動枠23に対して上プレス盤10Aが挿入される構造である場合には、下プレス盤10Bに可動枠23を固定配置とすることができる。
なお、本実施の形態においては、蒸気圧を制御した後、徐々に解圧して内部蒸気圧を開放し、また、冷却によって加圧前多層材NW内の水蒸気圧を下げて定着させるので、冷却圧縮を解除したときに膨らみ変形やパンクと呼ばれる表面割れのない合板PWを形成できる。即ち、本実施の形態で製造した合板PWは、圧縮解除後に膨らみ変形や表面割れを生じることがなく、安定した品質が確保されている。本実施の形態では、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bを用いて圧縮し、定着して合板PWを得ているが、本発明を実施する場合には、通常の電子レンジが使用するマイクロ波の周波数帯域よりも若干周波数の低い高周波で誘電加熱して加圧前多層材NWを加熱圧縮し、定着しても、合板PWを得ることができる。
前者と同様に、基本的に圧縮前の加圧前多層材NWの厚み7.5〜30mmに対して、3〜10mmの圧密加工を行った合板PWを得た。供給する水蒸気の温度は、110℃から210度に上昇させ、その間に加えた圧縮力は20〜50kg/cm2である。
「交差接合状態」の1.5mmと2.0mmの積層合板PWでは、直径0.2〜1.0mmの繊維が交差すると、その交差位置では、ヘミセルロースがリグニンとセルロースとの結び付きを行っても、所定の温度及び圧縮力で得られる絶対的ヘミセルロース及びリグニン、セルロースの総量が少なく、接合が完全に行われていないと推定される。
合板Aは4枚の剥離板Wからなり、その剥離板Wの厚みを3.0mmとしたものである。また、合板Bは4枚の剥離板Wからなり、その剥離板Wの厚みを2.5mm+3.0mm+2.5mm+3.0mmとしたものである。合板Cは3枚の剥離板Wからなり、その剥離板Wの厚みを2.5mm+3.0mm+2.5mmとしたものである。合板Dは3枚の剥離板Wからなり、その剥離板Wの厚みを3.0mm+3.0mm+3.0mmとしたものである。
加圧前多層材NWと積層合板PWの圧縮率は、式
(加圧前多層材NWの厚み−合板PWの厚み)/加圧前多層材NWの厚み
で算出した。
また、合板Cでは、30℃の湯につけても30分で積層面が軟化した。即ち、これはヘミセルロースの反応開始温度の60℃以上の問題ではなく、圧縮力の影響が出ていると推定できる。圧縮力を大きくすると合板Cの内部の空気がなくなり、緻密な接合が行われるものの、圧縮力が弱いと繊維を潰すことなく形式的な接合が行われているに過ぎないので、そこに湯が入り全体が軟化したものと推定される。当然、60℃の湯につけても15分で積層面が軟化した。
特に、自然界で30℃の湯中に積層合板PWが浸漬される条件は皆無であるが、それでも、剥離板Wの厚みは2.5mm、圧縮率が65%以上であれば、使用できることを示している。
また、60℃の湯中に合板PWが浸漬される条件は、ヘミセルロースがリグニンとセルロースとの結付きを阻害する可能性を確認するものであるが、圧縮率が65%以上であれば、それも現れ難いことを示している。
しかし、圧縮率の境界線が65%程度にあることを意味するものであるから、大量生産する場合には、望ましくは65%以上であり、また、剥離板Wの厚みも3.0mm以上が望ましい。
図10は所定長のオイルパーム幹WDから、図8に示す所定の幅及び厚み、長さの板取りを行った製材板Zを説明するものである。
オイルパーム幹WDから木材の製材同様に柾目及び板目を得られるように切断しても、図8(c)のように、年輪がなく、図8(b)のように、オイルパーム幹WDの長さ方向に繊維の束が形成されているだけであるから、何れで板取りしても、図8(c)のように、柾目状の製材板Z(Z1,・・・Z5)となる。この種の製材板は、意匠面として露出面に使用されるので、通常、圧密加工前の厚み3mm以上に形成される。ここでも、圧縮率が65%以上で圧縮することが望ましいが、繊維方向に乱れが入っていないから、圧縮率が60%以上であれば、接合が良好に行われる。
図9は、製材板Zは、製材板Z1と製材板Z2の互いの端部を傾斜させた傾斜部M2と、その端部位置に形成した数mm程度の段差部M1と段差部M3から形成されている。ここで製材板Z1及び製材板Z2の面に対して垂直方向の圧縮力を加えると、傾斜部M2相互間及び段差部M1と段差部M3相互間が接合し、一枚ものになる。特に、オイルパーム幹WDの色は乾燥状態、加熱温度等で若干の違いがあるが、成長年数及び加熱温度を揃えるだけで接続部分のない一枚板が形成される。
また、図10はその他の例で、図10(a)は合板PWの片側上面の剥離板W1の位置で、製材板ZUを接合したもの、図10(b)は合板PWの両側の面の剥離板W1に製材板ZUと剥離板W5の位置で製材板ZDとを接合したものである。これによって、製材板ZUと製材板ZDの一方を意匠性の良いものとし、他方を機械的強度等の物性を異にして使用することができる。
特に、ヘミセルロースはリグニンとセルロースとの結び付ける機能を有しており、オイルパーム幹WDの自然栽培されている状態では、互いにどれだけ干渉し合っているかは不明である。しかし、所定の温度、例えば、リグニンの反応開始温度の80度以上に温度を上げることにより、ヘミセルロースの反応開始温度の60度以上となり、互いに反応し、堅固な特性となることが確認された。
したがって、所定の厚みに剥いた剥離板Wの面を、接着機能を有する接合面とし、剥離板W及び/または製材板Zの温度及び圧縮力の制御によって複数枚の剥離板Wをオイルパーム幹WD自体が含有する圧密加工で1mmの厚み程度まで圧密加工して得られるリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類成分で接合したものである。
そして、剥離板Wの温度を上昇させ、かつ、剥離板W及び/または製材板Zの面に対して直角方向の圧縮力を加えて圧縮し、合板PWに一体に接合する際の剥離板Wの温度上昇は、スチーム加熱または熱板加熱の何れでもよいし、両者の同時使用も可能であり、また、圧縮圧力は、接合面に前記オイルパームの幹自体が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類を導くことができればよいので製造自由度が高い。
そして、乾燥させた剥離板Wを所定の状態に複数枚加圧前多層材NWとして積層する工程は、通常、2枚乃至5枚の単位で積層して使用されるが、原理的には、2枚以上の積層であればよく、これを積層工程とすることができる。
加えて、前記押圧工程で所定時間押圧した後、前記加熱工程で供給していた温度を降下させ、合板PWの圧縮状態を固定し、所定の圧縮率で圧縮していた圧縮力を解圧するものであり、これを積層合板PWから捉えて固定工程とすることができる。
勿論、オイルパーム剥離板W1,・・・,W5以外の木材等からなる製材板ZU及び/または製材板ZDをラワン材とすることもできる。また、ベニヤ板と同様に、所定長のラワン材の幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いた剥離板Wをオイルパーム剥離板W以外の木材からなる製材板ZU及び/または製材板ZDとすることができる。
なお、ここにおける接合には、オイルパーム幹の剥離板は凹凸面に対して逆の凸凹面に成型する能力があることから、その成形能力を利用した機械的接合も含まれている。
このとき、前記オイルパーム幹WDの維管束Aは、図12(a)に示すように、ほぼ円形で(最大長+最小長)/2で算出した維管束Aの平均径(相加平均=算術平均)は、0.4〜1.2mmの太さであり、その中に導管Bも形成されている。維管束Aの太さは、オイルパーム幹WDの位置によって大きく変化し、図11に示すように一般に、上側では細く、根元側では太くなっている。また、オイルパーム幹WDの切断面の位置からすれば、外周側の維管束Aの断面は細く、中心に向かって徐々に太くなっている。
このオイルパーム薄板Wの維管束Aが破壊されると、ささくれた(棘が刺さり易い)表面となり、表面的には圧密加工しない状態の表面との違いがなくなる。特に、維管束Aの破壊は通常よりも硬いささくれが立つので、その取扱いが危険になる。そこで、硬いささくれが立たない状態を図12(b)に示すような1mm以上と特定したものである。
しかし、維管束Aが破壊される圧力で圧縮したときには、機械的強度が変化しないか、或いは、機械的強度が降下するので圧密加工したオイルパーム薄板Wの厚みは、少なくとも1.0mmは必要となる。例えば、圧密加工したオイルパーム薄板Wの厚みが0.8mm以下の厚みでは、0.4mmの維管束Aは安全であるが、維管束Aの1.2mmのものが多少縮径されたとしても破壊される可能性がある。そこで、圧密加工したオイルパーム薄板Wの厚みが1.0mm以上とすれば、維管束Aが多少は縮径されることは当然であるから、破壊されたり、切断されたりすることがなくなる。
このようにして、圧密加工したオイルパーム薄板Wの厚みは1.0mm以上としたものである。
CT 刃物
W、W1,・・・,W5 剥離板
UWD 連続薄板
PW 合板
NW 加圧前多層材
MC 圧密加工材製造装置
IS 内部空間
10 プレス盤
10A 上プレス盤
10B 下プレス盤
18 位置決め孔
20 枠体
ZU 製材板
ZD 製材板
Claims (2)
- 所定長のオイルパームの幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて形成した剥離板または所定長のオイルパームの幹から所定の幅及び厚み、長さの板取りを行った製材板において、
前記剥離板及び/または前記製材板を、複数枚圧密加工した後の各板の厚みを1mm以上の厚みとし、前記オイルパームの幹自体が含有する樹脂成分及び糖成分によって接合したことを特徴とするオイルパーム板材料。 - 前記剥離板及び/または前記製材板において、温度を120度以上の環境で1〜100kg/cm2以上の圧縮力を付与し、前記剥離板及び/または前記製材板の圧密加工後の各板厚が1mm以上として複数枚接合されていることを特徴とする請求項1に記載のオイルパーム板材料。
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