JP7093138B1 - 木質ボード - Google Patents

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Abstract

【課題】ヤシの樹幹を活用して環境負荷を抑えた木質ボードを提供する。【解決手段】木質ボード1は、ヤシの樹幹を破砕して得たエレメントEの集積体を熱圧成形してなり、熱圧成形によりエレメントEに含有する接着成分のみでエレメントE同士が接着されたものである。【選択図】図3

Description

本発明は、廃材となっているオイルパーム等のヤシを活用した木質ボードであって、特に、ヤシを粉砕して得たエレメントの集積体をヤシが有している成分の接着力によって固化した木質ボードに関するものである。
一般に、ヤシの一種であるオイルパームの成木は単一の幹からなり高さ5~6mから大きいものでは10m以上に達する。果実は油分の多い多肉質の果肉(中果皮)と、同じく油分に富んだ1つの種子からなり、果肉と種子からは植物性油脂のヤシ油(palm oil)が取れ、単位面積当たり得られる油脂の量は他の植物より群を抜いていることから、商業作物としてマレーシア、インドネシア等の東南アジア諸国を中心に大規模なプランテーション農業が行われている。このオイルパームから採れる植物性油脂のヤシ油(palm oil)は、大豆や菜種等他の植物性油脂よりも生産性が高く、安価であることから、マーガリン、揚げ物用の油等の食用に使用され、また、石鹸、洗剤、化粧品等にも多用されており、オイルパームは、今や世界最大の植物油脂資源である。
オイルパームは、永年作物であるが、樹高が大きくなり過ぎると果房の収穫量や収穫作業効率が低下することもあり生産性維持のため、植え付け後25年~30年の間に伐採されるのが一般的である。伐採されたオイルパームの樹幹は、オイルパーム全体の容積率の大部分を占めるものであるにも関わらず、水分を多く含み(全体の6~7割は水分である)脆弱で腐朽しやすいことでそのままでは木材、建材としての利用が困難であり、切断され或いはそのままの状態でプラテーション内に放置されて、または、スライスして土の中に埋められる。しかし、伐採されたオイルパームの樹幹においても、水分、澱粉、糖類を多く含有していることで急速に腐朽しやすいことから、病害虫の温度床となり、病害虫による被害、土壌汚染や、腐敗時にメタンガス等の温室効果ガスを放出する等の問題が生じている。そこで、病害虫の発生を防止するために、樹幹を焼却処分したり、薬剤の注入により立ち枯れ処分したりすることも行われているが、焼却や薬剤注入には多大な費用が掛かるうえ、焼却による大気汚染、温室効果ガス放出等の環境汚染、健康被害や薬剤による土壌汚染、地下水等の水質汚染の問題が懸念されている。このため、環境負荷を軽減するためにもこのオイルパームの廃棄樹幹を有効に利活用する方法が望まれている。
そこで、本出願人は、先に、オイルパームの幹を活用する技術として、例えば、特許文献1乃至特許文献5の発明を提供した。
特許文献1及び特許文献2は、オイルパームの幹をその外周からロータリーレースで所定の厚みに剥いでなるオイルパーム板を複数枚積層し、その積層方向に所定条件で加熱圧縮し、固定化する技術を開示する。また、特許文献3は、オイルパームの幹から所定の幅、厚み、長さで切り出したオイルパーム基材を所定条件で加熱圧縮し、固定化する技術を開示する。
一方、特許文献4では、ヤシ材の樹幹部や茎葉部を維管束と柔細胞とに分離し、分離した維管束と柔細胞とをそれぞれ別の目的に利用すること提案している。
更に、特許文献5は、ヤシ樹幹から維管束と柔細胞を量産的に分別できる分別方法及び分別装置の技術を開示する。
特許第6086521号公報 特許第5963195号公報 特許第6086523号公報 WO2018/216682号公報 特許第6699040号公報
一方、従来、建材や家具等に広く使用されている合板、パーティクルボード、繊維板といった木質ボードにあっては、フェノール、ユリア、イソシアネート系等の石油化学由来の合成樹脂接着剤を用いて成形されており、それらがシックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドや他の揮発性有機化合物を放散し、環境に負荷を与えることが問題となっている。したがって、このような接着剤を使用せずに成形する技術が望まれている。
そこで、本発明は、ヤシの樹幹を活用し環境負荷を抑えた木質ボードの提供を課題とするものである。
請求項1の発明の木質ボードは、ヤシの樹幹を破砕してなるエレメントの集積体の熱圧成形(加熱加圧成形)により、前記エレメントに含有する接着成分のみで前記集積体の前記エレメント同士が接着されてなるものである。
ここで、上記エレメントとは、ヤシの樹幹を、例えば、ロータリーレースによるかつら剥き等で薄く切り出し、その切り出した薄板を破砕して得た破砕片であってヤシの樹幹を構成する維管束や柔細胞の細片であり、維管束や柔細胞が粒状、粉状、針状(繊維状)にされたものである。
上記破砕は、ヤシの樹幹を構成する維管束と柔組織を分断、解繊できる外力(例えば、圧縮、剪断、衝撃、摩擦)を加えて細かくすることを意味し、粉砕を含む概念である。
上記エレメントに含有する接着成分とは、ヤシの樹幹を構成する維管束や柔細胞に含まれている成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニン等の樹脂成分や、スクロース、グルコース、フルクトース等の遊離糖類等の糖成分や、澱粉等の成分を示すものであるが、ヤシの樹幹を構成する維管束や柔細胞に本来的に含有している成分のみならず、その本来的に有している成分が化学変化等した変性成分も接着成分に含む概念である。即ち、ヤシの樹幹の構成成分由来が接着成分としてエレメント同士を接着したものである。
そして、上記接着成分によってエレメント同士が接着とは、ヤシの樹幹を破砕してなるエレメントの集積体を熱圧することによりエレメントに含有していた成分が接着成分として機能してエレメント間を接合することによって固化されたことを意味する。
なお、ヤシ(椰子)は、単子葉植物ヤシ目ヤシ科に属する植物の総称であり、例えば、オイルパーム(アブラヤシ)や、ココヤシがある。
請求項2の発明の木質ボードの前記エレメントの集積体は、粉粒物と針状物との混在であり、維管束と柔細胞とが混在したものである。
上記粉粒物は、ヤシの樹幹の破砕によって維管束と分断された柔組織の分解物である柔細胞の細片や、ヤシの樹幹の破砕によって柔組織と分断された維管束の長さが切断された維管束の細片である。
また、上記針状物は、ヤシの樹幹の破砕によって柔組織と分断された維管束の長さが切断された細片、即ち、維管束の細片である。
請求項3の発明の木質ボードの前記エレメントは、好ましくは、目開きが8mm以下、より好ましくは、4mm以下、更に、好ましくは、2mm以下、特に好ましくは1mm以下の篩を通過したものである。
ここで上記目開きが8mm以下の篩を通過したものとは、振動篩において目開きが8mm以下のメッシュパスであるが、目開き精度、振動等による篩分けの誤差からからすれば、ボートを構成するエレメントの最大分布が、目開きが8mm以下のメッシュアンダーにあればよい。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、篩の目開きはJIS Z8801-1規格における公称目開きである。
請求項4の発明の木質ボードの前記エレメントは、目開きが8mmの篩を通過し、かつ、目開きが250μmの節を通過しないエレメントを50%質量以上含有したものである。
上記目開きが8mmの篩を通過し、かつ、目開きが250μmの節を通過しないエレメントとは、振動篩において目開きが8mm以下のメッシュパスであるが、目開きが250μm以下のメッシュオーバーのもので、目開きが8mmの篩を通過し、かつ、目開きが250μmの節を通過しないエレメントの集合体では維管束の長尺の針状または粒状の細片を多く含むものである。
請求項5の発明の木質ボードの前記エレメントは、目開きが180μmの篩を通過するエレメントが3質量%以上含有したものである。
上記目開きが180μmの篩を通過するエレメントとは、振動篩において目開きが180μmのメッシュパスでのもので主に柔細胞の粉粒物であり、目開きが180μmの篩を通過するエレメントの集合体では柔細胞の細片を多く含むものである。
請求項6の発明の木質ボードは、厚みの中央側(内層側)よりも表面側(表裏面側、外層側)で前記エレメントの分布が緻密にあるもの、即ち、厚みの中央側で前記エレメントの密度分布が相対的に粗く、表裏面側で前記エレメントの密度分布が細かいものであり、内層側が粗で表層側が密の3層または多層構造となっているものである。
請求項7の発明の木質ボードは、厚みの中央側(内層側)に分布する前記エレメントよりも表面側(表裏面側、外層側)に分布する前記エレメントの方が細かいもの、即ち、厚みの中央側で相対的に粗大、長尺なエレメントの含有が多く、表裏面側で相対的に細かい、短尺なエレメントの含有が多いものであり、内外層のエレメントの大きさの相違によるエレメントの充填性、即ち、エレメント間の空隙率の相違により、内層側が粗で表層側が密の3層または多層構造となっているものである。
請求項8の発明の前記木質ボードは、その密度が、0.5~1.2g/cm3の範囲内、好ましくは、0.5~1.1g/cm3の範囲内、より好ましくは、0.6~1.1g/cm3の範囲内であるものである。
なお、上記密度は、JIS A 5905(2014)に準拠して測定することができる。
請求項9の発明の木質ボードは、長さが1mm以上、80mm以下、より好ましくは、1mm以上、60mm以下、更に好ましくは、2mm以上、50mm以下の針状のエレメントの含有量が30質量%以上、90質量%以下、より好ましくは、30質量%以上、85質量%以下、更に好ましくは、30質量%以上、80質量%以下のものである。
上記長さが1mm以上、80mm以下の針状のエレメントは、主に維管束の長さが切断された維管束の細片である。
請求項1の発明に係る木質ボードによれば、ヤシの樹幹を破砕して得たエレメントの集積体の熱圧成形により前記エレメントに含有する成分のみで前記エレメント同士が接着されたものであり、ヤシの樹幹にはセルロース、ヘミセルロース、リグニン等の樹脂成分やスクロース、グルコース、フルクトース等の遊離糖類等の糖成分や澱粉等が多く含まれていることで、エレメント集積体の加熱加圧により、それらが接着成分となってエレメント同士を接着したものである。したがって、エレメント同士の接着がヤシの樹幹の構成成分由来を接着成分としているから、石油化学由来等の合成樹脂系接着剤を添加したものとは相違してシックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドや揮発性有機化合物等の放出を少なくでき、環境負荷を与え難く環境に優しいものとなる。
請求項2の発明に係る木質ボードによれば、前記エレメントの集積体は、粉粒状のエレメントと針状のエレメントとの混在であるから、粉粒物と針状物の取り合わせで、維管束の強靭性により高い機械的強度が得られると共に、緻密性を高めて十分な接着を可能とする。よって、請求項1に記載の効果に加えて、機械的強度が高く、かつ、接着強度が高いものである。
請求項3の発明に係る木質ボードによれば、前記エレメントは、目開きが8mm以下の篩を通過したものであるから、エレメントが細かいことで、エレメント間を緻密にでき、また、エレメントの接着成分が染み出しやすく、エレメント間の接着点も多くできるから、エレメント間の接着のバラつきも少ないものである。したがって、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、強固な接着が得られ機械的強度を高めることができる。また、エレメントの緻密な集積により表面平滑性が高いものとなる。
請求項4の発明に係る木質ボードによれば、前記エレメントは、目開きが8mmの篩を通過し、かつ、目開きが250μmの節を通過しないエレメントを50質量%以上含有したものであるから、比較的長尺な維管束の針状物の含有量が多いことにより、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、機械的強度をより高めることができる。
請求項5の発明に係る木質ボードによれば、前記エレメントは、目開きが180μmの篩を通過するエレメントを3質量%以上含有したものであるから、細かい柔細胞の粉粒物の含有量が多いことにより、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、表面平滑性を高めることができる。
請求項6の発明に係る木質ボードによれば、厚みの中央側よりも表面側で緻密であるから、表面側が密とし内側を粗にすることで、側請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、軽量性と機械的強度とを両立できる。
請求項7の発明に係る木質ボードによれば、厚み方向の中央側に分布する前記エレメントよりも表面側に分布する前記エレメントの方が細かいから、表面側で充填性、緻密性が高くなることにより、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、表面平滑性と機械的強度とを両立できる。
請求項8の発明に係る木質ボードによれば、前記木質ボードの密度が、0.5~1.2g/cm3の範囲内であるから、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の効果に加えて、軽くて、機械的強度が高いものである。
請求項9の発明に係る木質ボードによれば、長さが1mm以上、80mm以下の針状の前記エレメントの含有量が30質量%以上、95質量%以下であることで、請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載の効果に加えて、接着のバラつきが少なく接着力不足による破損、亀裂等がより生じ難いものであり、また、高い機械的強度と表面平滑性が得られものである。
図1は、本発明の実施の形態の木質ボードの製造工程の概要を説明する説明図である。 図2は、本発明の実施の形態の木質ボードに使用するオイルパーム樹幹の断面の電子顕微鏡写真である。 図3は、本発明の実施の形態の一実施例の木質ボードの写真であり、(a)は正面図及びその一部拡大図、(b)は側面図及びその一部拡大図である。 図4は、本発明の実施の形態の木質ボードに使用するオイルパーム樹幹を破砕して得たエレメントの一例としての粗大片の集合体の写真である。 図5は、本発明の実施の形態の木質ボードに使用するオイルパーム樹幹を破砕して得たエレメントの一例としての細小片の集合体の写真である。 図6は、本発明の実施の形態の木質ボードに使用するオイルパーム樹幹を破砕して得たエレメントの一例としての微細片の集合体の写真である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、実施の形態において、図示の同一の記号及び同一の符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
[実施の形態]
本発明の実施の形態に係る木質ボード1について、図1乃至図6を参照して説明する。
本実施の形態に係る木質ボード1は、ヤシの樹幹を破砕・粉砕してなるエレメントEの集積体を熱圧成形してなるものである。
本実施の形態では、ヤシの樹幹としてオイルパーム(アブラヤシ)の樹幹を使用し、オイルパーム樹幹を破砕・粉砕して得た粉粒状や針状のエレメンEを集積し、それを熱圧成形して作製した木質ボード1の例で説明する。
なお、通常、学術的にはオイルパームは、ヤシ科アブラヤシ属に分類される植物の総称で、ヤシ科の単子葉植物であり、西アフリカ原産のギニアアブラヤシ(Elaeis guineensis)と、中南米原産のアメリカアブラヤシ(Elaeis oleifera)の2種類が有名であり、栽培品種の中にはギニアアブラヤシとアメリカアブラヤシの交配品種も存在する。本発明においては、果肉と種子から取れる油脂のオイルパームを意味するものではなく、アブラヤシの個体全体をオイルパームと呼ぶこととする。
ここで、図2において、伐採したオイルパーム樹幹の断面の電子顕微鏡写真を示す。オイルパームは、単子葉植物であり、その樹幹は、維管束Vbと柔細胞Pcからなる柔組織とから構成されているものであり、導管A、師部B及び繊維Cからなる維管束Vbが幹中に散在し、その間を柔細胞Pcが埋めていて維管束Vbが柔細胞Pcからなる柔組織で囲まれた構成となっている。
なお、オイルパーム樹幹では、維管束Vbの直径は約0.4~1.3mm程度であるが、維管束Vbの分布、径(太さ)は部位によって相違し、樹幹の外側で個々の維管束Vbの断面の径が小さく繊維細胞壁が厚壁で維管束Vbの分布密度が高くなっているのに対し、内側ほど維管束Vbの断面径が拡大し繊維細胞壁が薄壁で、維管束Vbの分布が粗くなっている。また、根元(基部)側で維管束Vbの断面の径が大きく、上側では径が小さくなっている。因みに、こうしたオイルパームの維管束Vbの繊維方向は幹の長さ方向に延びたものである。
そして、導管A、師部B及び繊維Cからなる維管束Vbでは、柔細胞Pcよりも硬い細胞壁を有する細胞を含み、その外周にはシリカの結晶を内包する細胞群が配列していることもあって、澱粉粒を多く含有している柔細胞Pcよりも構造的に硬いことから、即ち、これら維管束Vbの組織と柔細胞Pcからなる柔組織とはその構造強度等を相違していることにより、以下で説明するように、樹幹の破砕等によって、オイルパーム樹幹の維管束Vbと柔細胞Pcからなる柔組織とは分断される。特に、維管束Vbは、リグノセルロースを主成分とし、シリカの結晶を内包する細胞群が外周に配列し、また、組織Cが複雑に絡合していることもあって強靭で破壊され難い一方、柔細胞Pcからなる柔組織は、維管束Vbよりも多く澱粉や遊離糖類が含まれ、柔らかいものであるから分解されやすいものである。
したがって、オイルパーム樹幹を破砕(粉砕も含む)すると、維管束のVbの粒状や針状の細片と柔細胞Pcの粉粒状の細片が得られ、本実施の形態では、それら維管束のVbの粒状や針状の細片や柔細胞Pcの粉粒状の細片をエレメントEとして用い、そのエレメントEの集積体を熱圧成形して木質ボード1を形成する。
オイルパーム樹幹を破砕して木質ボード1を形成する粉粒状や針状のエレメントEを得るには、まず、オイルパームの樹幹を所定長で切断して、所定長のオイルパーム丸太WDとし、大根のかつら剥きと同様の周方向の剥きを行うロータリーレースと呼ばれる装置で所定長のオイルパーム丸板WDを周方向に連続的にかつら剥きを行う。即ち、図1に示すように、所定長のオイルパーム丸太WDをその中心が軸芯となるように周方向に回転させながら、所定幅の刃物CTによって外周側から所定の厚み(3~6mm程度)に、所謂、かつら剥きと同様に剥ぐ。これより、オイルパーム丸太WDから大根のかつら剥きのように所定の厚みで連続した薄板が削り出されて、連続的な薄板UWDが形成される。
なお、樹齢20年~30年のオイルパーム樹幹は、例えば、直径30cm~60cm、長さが10m~12m程度、重量が1t程度であるが、通常、樹皮を剥がした内層が使用される。
ロータリーレースによってオイルパーム丸太WDをかつら剥きして得た連続薄板UWDは、切断して薄板(単板)Wとし、また、乾燥装置(図示せず)で乾燥させてから、破砕される。
このとき、連続薄板UWDを切断し、薄板Wを形成してから乾燥させてもよいし、連続薄板UWDを乾燥させてから薄板Wに切断してもよく、乾燥、切断の順序は問われない。
通常、オイルパームの樹幹のかつら剥き、乾燥、切断は流れ作業で行われ、連続薄板UWDを切断する切断の効率、切断手段への負荷を考慮すると、連続薄板UWDを乾燥させてから所定長に切断するのが好ましいが、連続薄板UWDの切断時にその端部の切り屑の発生を少なくすることを考慮する場合には、乾燥前に切断するのが好ましい。
何れにせよ、乾燥装置では、連続薄板UWDまたは薄板Wが5~15%程度、好ましくは、5%~10%の含水率となるまで乾燥されるのが好ましい。含水率が高すぎると、耐腐朽性に欠け、また、破砕手段に負荷がかかる一方、含水率を低く設定すると乾燥時間がかかり、生産性が低下する。
このように、本実施の形態では、オイルパーム丸太WDからかつら剥きされた連続薄板UWDは、所定長に切断されて所定寸法の薄板Wとしてから、また、乾燥させてから、次工程の破砕処理に供給される。
なお、ここでは、連続薄板UWDまたは薄板Wの全面を均一な乾燥状態としてから破砕を行う説明とするが、本発明を実施する場合には、破砕工程の後に乾燥を行ってもよい。即ち、耐腐朽性や、破砕の効率や、破砕手段への負荷を考慮すると、連続薄板UWDまたは薄板Wの全面を均一な乾燥状態としてから破砕した方が好ましいが、オイルパーム農園で伐採されたオイルパーム樹幹をその場で処理する場合には、破砕後に乾燥を行ってもよい。
そして、このようにオイルパームの樹幹をかつら剥きし、乾燥し、また、切断して得られた薄板Wを破砕(粉砕、細断を含む)することで、維管束のVbの粒状、針状の細片や柔細胞Pcの粉粒状の細片である細かいエレメントEを得る。このときの破砕装置は、所定サイズの細かいエレメントEを得ることができれば特に限定されないが、ここでは、便宜的にサイズの異なるエレメントEを所望の比率で取り合わせて木質ボード1を作製する場合を考慮し、破砕機(粉砕機)、サイクロン、重力分級、篩機等を使用した分別装置の例で説明する。
即ち、オイルパームの樹幹をかつら剥きし、乾燥し、切断して得た薄板Wを、まず粗破砕機(一次破砕機、シュレッダー等)で所定長(例えば、20mm~200mm)の破砕片に粗破砕してから、続く細破砕機(二次破砕機)で細破砕する。粗破砕機や細破砕機は、所定の目開きのスクリーン(篩)を有し、スクリーンの穴を通過するサイズまで細かく破砕する。このときの粗破砕機のスクリーン(篩)は、例えば、その目開き(穴の直径)が、2.8mm以上、8mm以下の範囲内、好ましくは、4mm以上、8mm以下の範囲内のものが使用され、また、細破砕機のスクリーン(篩)は、例えば、その目開き(穴の直径)が、2mm以上、6.7mm以下の範囲内、より好ましくは、2mm以上、4.75mm以下の範囲内のものが使用される。これにより、薄板Wから長さが約100mm以下の破砕片を得る。
本実施の形態では、このようなハンマークラッシャー及びスクリーンを使用した破砕機によって、薄板Wが破砕され、その破砕片においては、細かくされた維管束Vbの細片及び柔細胞Pcの細片が混在する。特に、こうしたクラッシャー及びスクリーン等を使用した破砕手段では、薄板Wを構成していた維管束Vbと柔細胞Pcからなる柔組織が分断され、薄板Wを構成していた柔組織は分解されて粉状や粒状の細片となり、また、薄板Wを構成していた維管束Vbはその長さが切断、細断され、針状または粒状の細片となり、不均一な長さ、即ち、長さの異なる維管束Vbの針状または粒状の細片と、柔細胞Pcの粉状や粒状の細片とが混在した破砕片が得られる。
なお、本実施の形態では、このように薄板Wを一次破砕機で粗破砕した後、更に、二次破砕機で細破砕とする構成により、破砕手段への負荷を軽減できると共に、効率的な細破砕を可能とし、その後の重力分級も効率的にできる。しかし、本発明を実施する場合には、1台の破砕機の使用としてもよいし、1台の破砕機の使用で破砕回数を増やしても良いし、順に細かくする破砕機を2台以上使用してもよい。
薄板Wを粗破砕してから細破砕して得られた破砕片は、次に、サイクロンで粉塵が分離される。破砕片から分離された粉塵は、主に柔細胞Pcの粉粒物であり、サイクロンによる分級で、主に柔細胞Pcの粉粒物を分別する。なお、サイクロンによって破砕片から分離された粉塵、即ち、主に柔細胞Pcの粉粒物は、サイクロンの上方からバグフィルタ(集塵機)に送り、バグフィルタによる捕集で回収することができる。このように重力分級の前に薄板Wの破砕片からサイクロンで粉塵を除去することで、次の重力分級の負担を軽減できる。
粉塵が分離された残りの破砕片は、サイクロンの下方から重力分級機へ送られ、そこで、更に、重量物と軽量物に分級する。
重力分級機としては、例えば、垂直上昇流の通路をジグザグにし衝突や渦流による再分散と上昇流による分級を繰り返し行う多段階屈曲型のジグザク分級機を使用できる。
重力分級機で分級された軽量物は、主に柔細胞Pcの粉粒物であり、この重量分級でも、主に柔細胞Pcの粉粒物を分別する。なお、重力分級機で分級された軽量物、即ち、主に柔細胞Pcの粉粒物は、上記粉塵と同様にバグフィルタに送り、バグフィルタによる捕集で回収することができる。
即ち、サイクロンで分離された粉塵や重力分散機で分離された軽量物が送られてきたバグフィルタでは、サイクロンで分離された粉塵や重力分散機で分離された軽量物に含まれる主に柔細胞Pcの粉粒物がフィルタ(ろ布)で捕集され、回収される。こうしたバグフィルタ(集塵機)による粉粒物の捕集によれば、主に柔細胞Pcの粉粒物を効率的に回収することができる。こうして回収された柔細胞Pcの粉粒物は、後述の維管束Vbの針状物や粒状物と共に、木質ボード1を構成するエレメントEとして使用することができる。
一方、重力分級機で分級された残りの重量物は、維管束Vbの針状物や粒状物が多く含まれ、サイズの異なる細片が混在することから、所望比での取り合わせを考慮する場合には、更に篩機で篩分けによる分級を行うことができる。
篩機としては、例えば、振動式篩機が使用され、所定の目開きの篩(スクリーン)上で上記重量分級された重量物を振動させることでサイズ分別する。このとき節機で使用する篩の目開きの大きさによって、針状体や粒状体を分別する大きさを決定できる。
例えば、目開きの大きい粗目の篩と、その下段(下流)に配置される目開きの小さい細目の篩とを使用し、一次分級、二次分級を行った場合には、上記重量物を粗大片Lと、細小片Sと、微細片SSとに分級することができる(図4乃至図6参照)。
即ち、一次分級において粗目の篩を通過することなく粗目の篩上に残留したものを相対的に長尺の針状物の多い粗大片Lとし、一次分級で粗目の篩を通過するも二次分級で細目の篩を通過することなく細目の篩上に残留したものを相対的に短尺の針状物や粒状物の多い細小片Sとし、更に、一次分級で粗目の篩を通過し更に二次分級で細目の篩を通過したものを、微細な針状物や粒粉状物が多い微小片SSとした分級を行うことができる。
このように一次分級、二次分級を行って粗大片Lと細小片Sと微細片SSとに分別した場合においては、上述したように、維管束Vbが強靭である一方、柔細胞Pcからなる柔組織は維管束Vbよりも分解されやすく粉粒状に細かくなることで、粗大片L、細小片S、微細片SSの順に柔細胞Vbの含有率が高いものとなる。換言すれば、微細片SS、細小片S、粗大片Lの順に維管束Vbの含有率が高いものとなっている。
ここでは、篩分けによって粗大片Lと細小片Sと微細片SSを分別したものを便宜的に得て、後述するように、エレメントEのサイズが異なる種々の木質ボード1を作製し、その特性の比較検討を行っている。しかし、本発明を実施する場合には、必ずしも上記重量分級された重量物を篩分けして分級したエレメントEの集積体による木質ボード1の形成である必要はなく、分級することなくサイズ分布の大きなエレメントEの集積体で木質ボード1を形成してもよい。
特に、本発明者らの実験研究によれば、好ましくは、目開きが8mm以下、より好ましくは、4mm以下、更に好ましくは、2mm以下、特に好ましくは1mm以下の篩を通過したエレメントEであれば、エレメントEが細かくてその集積体を緻密にでき、他の接着剤を添加することなくエレメントE間をバラつきなく十分に強固に接着して一体化することが可能である。
したがって、重量分級後の篩分けを行わない場合には薄板Wを破砕するときの一次または二次破砕時の篩(スクリーン)に目開きが8mm以下、より好ましくは、4mm以下、更に好ましくは、2mm以下、特に好ましくは1mm以下のものを使用し、或いは、重量分級後に篩分けする場合には、その篩に目開きが8mm以下、より好ましくは、4mm以下、更に好ましくは、2mm以下、特に好ましくは1mm以下のものを使用し、そのメッシュパスのものを木質ボード1を形成するエレメントEとして使用するのが好ましい。
こうして、オイルパームの樹幹をかつら剥きし、乾燥し、切断してなる薄板Wを破砕等することによって、維管束Vbの針状または粒状の細片や、柔細胞Pcの粉状や粒状の細片であるエレメントEが得られる。
即ち、オイルパーム樹幹からかつら剥きして得た薄板Wをクラッシャー及びスクリーン等を使用した破砕や、サイクロン、重力分級機での風圧、衝突等によって、維管束Vbと柔細胞Pcからなる柔組織が分断して細かくされることで、柔組織の分解物である柔細胞Pcの粉状や粒状の細片や、維管束の切断・細断物である針状または粒状の細片であるエレメントEが得られる。
特に、オイルパーム樹幹からかつら剥きして得た薄板Wをクラッシャー及びスクリーン等を使用した破砕や、遠心力、重力及び篩による分級を行っても、維管束Vbのシリカ結晶によりまた繊維Cの複雑な絡合により、維管束Vbの針状または粒状の細片であるエレメントEは硬く強靭である。こうした針状または粒状のエレメントEは、本来の0.4~1.3mm径の維管束Vbが破壊されずに、本来の維管束Vbが縮径することなく、その長さのみが薄板Wの維管束Vbよりも切断、細断されたものが多いものと考えられる。即ち、維管束Vbの針状または粒状の細片のエレメントEは、維管束Vbを構成する繊維Cが剥離したり、維管束Vbを構成する細胞壁が破壊されたり、繊維C間の結合、絡合性が弱まったりすることなく、つまり、元の維管束Vbの断面強度が極度に弱まることなく、比較的強いままにあると考えられる。
そして、本実施の形態では、こうしてオイルパームの樹幹を破砕して得た針状または粒状の維管束Vbの細片や、柔細胞Pcの粉状や粒状の細片が混在したエレメントEの集積体を、熱圧成形することで、エレメントEに含有する接着成分によって、即ち、元のオイルパーム樹幹に含有していた樹脂成分、糖成分、澱粉等の接着成分によって、エレメントE同士が接着されてなる木質ボード1を得る。
ここで、針状または粒状の維管束Vbの細片や柔細胞Pcの粉状や粒状の細片であるエレメントEを集合、堆積してその集積体を加熱加圧することにより熱圧成形するが、熱圧成形するエレメントEの集積体は、単層構造としてもよいし、表裏面層を相対的に細かいエレメントEの集積とし、内層に相対的に粗いエレメントEの集積とする3層構造としてもよいし(図3参照)、表面から中心に向かってエレメントEを連続的に細かいものから粗いものの分布とする多層構造としてもよい。
特に、内側(中心側)よりも外側の表裏層側で細かいエレメントEを配置する3層構造や多層構造のものでは、熱圧成形によって内側(中心側)よりも外側の表裏層側で緻密になることで、全体の密度を高めることなく、表面の硬度や強度を高めることができ、軽量化と高い硬度・強度とを両立できる。更に、このように軽量で硬度・強度を高めることができるうえ、表面の平滑性を高めることもできるため、その表面に化粧材等を接合したり塗装したりする場合でも、それら化粧材等との接合性や塗装性がよく、二次加工性を良くできる。
このとき、エレメントEの集積が目開き8mm以下の篩を通過した維管束Vbの針状または粒状の細片や柔細胞Pcの粉粒状の細片の混在であれば、針状物を特定の配向で堆積するにも手間を要するから、エレメントEの集積はランダムな配向(無配向)とする。しかし、本発明を実施する場合には、機械的や電気的手段で方向性を与え特定の配向の堆積としてもよく、3層構造や多層構造の場合には、それら層を構成する針状物のエレメントEの配向性を統一してもよいし、互いに直交するような配向としてもよい。
エレメントEの集積体は、通常、ホットプレス機により圧縮成形される。例えば、図1に示すようにホットプレス機HPの1対の上下プレス盤P1,P2間にエレメント集積体EAを配置し、加温した1対の上下プレス盤P1,P2でエレメント集積体EAを挟んで、その表裏の面に対して垂直方向にエレメント集積体EAに圧力を加え、エレメント集積体EAをその厚み方向に加熱圧縮する。
なお、本発明を実施する場合には、熱圧成形するときの上下プレス盤P1,P2を加熱する熱板加熱の手段は、特に限定されず、電熱加熱や、スチーム加熱、誘電加熱等が可能である。
エレメントEの集積体を熱圧成形するときの熱圧条件は、上下プレス盤P1,P2の圧締圧が1~10MPa、好ましくは、1.5~5MPa、加熱温度が140℃~220℃、好ましくは、150℃~200℃、より好ましくは、155℃~185℃、処理時間が5分~40分、好ましくは、20分~30分であるが、エレメントEのサイズや、目的とする木質ボード1の厚み、密度(比重)、物性等によって適宜設定される。
なお、通常、ホットプレス機HPにおいては、ディスタンスバを用い、エレメント集積体EAを加熱加圧してなる木質ボード1の仕上げ厚みが、例えば、5mm~40mm、好ましくは、8mm~35mm、更に好ましくは、10mm~30mmになる設定で1対の上下プレス盤P1,P2の間隔が設定される。また、ホットプレス機HPの1対の上下プレス盤P1,P2間にセットされるエレメント集積体EAに対し、圧縮力を加える上下方向に対して直角な左右方向でスペーサSを配置し、スペーサSにより圧縮力を加える面に対して直角方向でエレメント集積体EAが流動するのを規制して、厚みの薄い箇所と厚い箇所が生じ難いように、厚みの不均一性を防止する。即ち、エレメント集積体EAが圧縮力の方向に対する直角方向に流動するのを、エレメント集積体EAの外周に配置するスペーサSによって規制する。図1においては、スペーサSはディスタンスバも兼ねているものである。なお、エレメント集積体EAの形成、熱圧成形は、バッチ式、連続式を問わない。
こうして、バッチ式または連続式のホットプレス機HPの1対の上下プレス盤P1,P2間にセットされたエレメント集積体EAは、上下の熱板であるプレス盤P1,P2により加温され、また、厚み方向に所定の圧力が加えられることで圧縮される。更に、このときの圧力が維持された状態で昇温され、所定の加熱温度で所定の処理時間維持されることで加熱加圧成形される。
そして、所定時間の加熱加圧が終了したら、成形状態が維持されるように所定の温度まで温度降下(冷却)させて固定化(硬化)してから、解圧して、上下プレス盤P1,P2間から取り出される。これにより圧縮を解除したときの膨らみ変形やパンクと呼ばれる表面割れが生じ難い安定した品質のものが得られる。
こうした熱圧成形により、熱プレスの加圧によってエレメントE同士が互いに密着しエレメント集積体EAが緻密化していくのと同時に、熱プレスからの熱によってエレメントEに含有していたセルロース、ヘミセルロース、リグニン等の樹脂や、スクロース、グルコース、フルクトース等の遊離糖類や、澱粉等が染み出して(流動、溶出して)接着成分として、或いは、それらの変性物(加水分解部、脱水縮合物、縮合型等)が染み出して接着成分としてエレメントE間を結び、その接着成分が熱硬化することで、エレメントE同士が強固に接着してエレメント集積体EAが一体に固化し、板状に成形される。
これは、エレメントEの集積体には、柔組織の分解物である柔細胞Pcの粉状や粒状の細片が混在し、その柔細胞Pcには、澱粉や遊離糖等の接着成分が豊富にあることで、また、柔組織の分解物の分解物が粉状や粒状の細片であることで、所定の加熱加圧により、主に柔細胞Pcに含まれていた接着成分が染み出して、エレメントE同士を接着したものと推測される。特に、細胞壁の骨格を構成するセルロースやヘミセルロースを接着する機能を有するリグニンが接着成分として作用していることも考えられるし、オイルパームの柔細胞Pcでは、維管束Vbよりも、また他の樹種よりもスクロース等の遊離糖及び澱粉を多く含有することにより、それらが複合的に作用し、他の接着剤を添加しなくともエレメントE間を強固に接着(自己接着)できるものと考えられる。エレメントE間を接着する接着成分としては、エレメントEに含有していたセルロース、ヘミセルロース、リグニン等の樹脂や、スクロース、グルコース、フルクトース等の遊離糖類や、澱粉等の本来的な成分が接着成分として機能したことも考えられるが、加熱によってヘミセルロース、糖類、澱粉等が加水分解や脱水縮合等されて変性したり、リグニンが縮合型に変性したり、或いはそれら成分が他の成分と結合したりして、それらが接着成分として機能したことも考えられる。例えば、糖類では、スクロースの加水分解でも生じるフルクトースが、脱水反応によりフルフラールとなり、それが更に熱によってフラン樹脂になることで、そのフラン樹脂が接着成分として機能することも考えられるし、スクロースの加水分解でも生じるグルコースが脱水縮合されて糖エステルポリマーとなり、それが接着成分として機能することも考えられる。
特に、本実施の形態では、エレメントEの集積体が維管束Vbの針状または粒状の細片と柔細胞Pcの粉状や粒状の細片との混在であり、それらが目開き8mm以下の篩を通過した細かなエレメントEであると、柔細胞Pcの接着成分が豊富であることに加え、その集積体を緻密にでき、更に、熱伝導性もよくなることで、他の接着剤を添加しなくとも加熱加圧によりエレメントEに含有した接着成分のみでエレメントE同士が十分強固に接着されるものと考える。
そして、目開き8mm以下の篩を通過した細かなエレメントEの集積体では、上記の乾燥工程で乾燥したときの含水率、即ち、5~15%、好ましくは、5~10%の含水率でも、加熱加圧すれば、エレメントEに含有した接着成分のみでエレメントE同士が十分に接着されるものである。即ち、目開き8mm以下の篩を通過した細かなエレメントEでは柔細胞Pcに接着成分が豊富にあり、また、エレメントE同士を緻密にでき、熱伝導性も良好となることで、5%~15%、好ましくは、5%~10%の含水率でも、140~200℃の比較的低温で短時間の加熱加圧成形で、エレメントE同士が十分に接着される。特に、水蒸気の存在下で加熱加圧する必要も、高熱の加熱加圧も必要ないから、特殊なプレス装置を必要とすることもなく、安価に製造できる。更に、従来の木質ボードのように接着剤を付加するものでもないから、成形工程が簡易化される。
こうして、本実施の形態の木質ボード1は、所定長のオイルパームの幹をその周方向に回転させながら外周をロータリーレースで所定の厚みに剥いて薄板Wを作製し、その薄板Wを乾燥させたのち、破砕して、維管束Vbの針状または粒状の細片や柔細胞Pcの粉状や粒状の細片であるエレメントEを得て、その集積体を圧縮成形することで、エレメントEに含まれている樹脂成分、糖成分、澱粉等の接着成分によってエレメントE間を接着してなるものである。
こうした維管束Vbの針状または粒状の細片と柔細胞Pcの粉状や粒状の細片が混在したエレメントEの集積体を熱圧成形してなる木質ボード1では、接着剤を付加することなくエレメントEに含まれていた接着成分のみで十分にエレメントE同士が強固に接着され、曲げ強度や剛性(曲げヤング係数)等の実用的な機械的強度を有する。
特に、維管束Vbの針状または粒状の細片が含まれていることで、維管束Vbのシリカ結晶により、また、維管束Vbの繊維Cの複雑な絡合性により、元の維管束Vbの強靭性が生かされた高い機械的強度が得られる。
即ち、オイルパーム樹幹からかつら剥きして得た薄板Wをクラッシャー等の破砕手段によって細かく破砕したエレメントEは、維管束Vbの針状または粒状の細片や、柔細胞Pcの粉状や粒状の細片であるが、サイクロン、重力分級機での風圧、衝突等の外力を受けていても、維管束Vbの針状または粒状の細片においては、維管束Vbの周囲にシリカ結晶が付着していることで本来の維管束Vbが破壊されることなく、元の維管束Vbの断面強度が維持されたまま、その長さのみが薄板Wの維管束Vbよりも切断、細断されたものが多いと推測され、維管束Vbの強靭性が維持されていることにより、曲げ強度や剛性等の機械的強度が高い木質ボード1が得られる。
また、目開き8mm以下の篩を通過した細かなエレメントEの集積体では、エレメントE間の隙間を少なくしてエレメントE同士を密着させて緻密にでき、熱伝導性もよいうえ、柔細胞Pcの接着成分が豊富にあることで、内部の接着力のバラつきが少ないものとなり、200℃を超える高温の加熱条件としなくとも、エレメントE同士が強固に接着されるから、エレメントEの成分の高熱による熱劣化が抑えられ、そのことによっても機械的強度が高くなっていると推測される。
こうして、維管束Vbの繊維Cの長さ方向に切断、細断された維管束Vbの針状や粒状の細片と柔細胞Pcの粉状や粒状の細片が混在し、目開き8mm以下の篩を通過した細かなエレメントEの集積体では、柔細胞Pcの接着成分が豊富にあり、また、緻密性を高くできることで、熱圧成形時の熱伝導もよく、他の接着剤を添加しなくとも熱圧成形によりエレメントEに含まれていた接着成分のみでエレメントE同士を十分に接着でき、全体が均一に接着されて固化され実用的な機械的強度が得られる。特に、維管束Vbの強靭性によっても高い機械的強度が得られる。なお、薄板Wを切削して得た維管束Vbの針状や粒子状の細片のエレメントEは、比較的ざらついて凹凸のある粗い表面であり、所謂、アンカー効果によっても、エレメントE同士の接着力が高くなっていることも推測される。
加えて、目開き8mm以下の篩を通過した細かなエレメントEの集積体を熱圧成形してなる木質ボード1では、緻密性が高いことで、表面平滑性が高く、その表面に化粧材等を接着したり、塗装したりする二次加工性に優れるものである。また、緻密性が高いことで、吸水速度も遅いものである。
そして、このようにオイルパームの樹幹を破砕して得たエレメントEの集積体を加熱加圧することによりエレメントEが含有する樹脂成分、糖成分、澱粉等の接着成分によってエレメントE同士が接着されてなる木質ボード1は、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤(例えば、フェノール樹脂やユリア樹脂)等の接着剤を添加することなしに、エレメントEが有する接着成分のみでエレメントE同士が一体に接合されて固化されたものであるから、環境への負荷も少なく、安全性の高いものである。特に、今まで活用されることなく放置されていたオイルパームの樹幹を破砕して得たエレメントEを集積して熱圧成形することで、オイルパームが有している成分を利用し実用的な強度にしたものであり、オイルパーム樹幹を無駄なく有効活用できるうえ、他の接着剤の添加も必要なく製造ラインを単純化でき、更に、上述したように高熱の加熱加圧を要さないことで熱圧成形する装置も高価な装置を要することなく、従来の木質ボードの熱圧成形時と同様の装置を使用して製造することができるから、安価に製造できる。
また、オイルパームの樹幹を破砕して得た維管束Vbの針状または粒状の細片と柔細胞Pcの粉状や粒状の細片が混在したエレメントEを集積して、熱圧成形することにより、エレメントEが含有する接着成分でエレメントE間を接着してなる木質ボード1では、柔細胞Pcの粉粒状のエレメントEのみならず、維管束Vbの針状または粒状のエレメントEも混在していることで、上述したように、維管束Vbの強靭性により高い機械的強度をとなるうえ、粉体のみからなる場合と比較して、耐水性が高く(吸水性が低く)、カビ細菌も繁殖し難く、腐敗し難いものとなる。特に、緻密であるうえ、加熱によって糖類や澱粉が変性していることでもカビ細菌が繁殖し難く、腐敗し難いことも考えられる。
このようにオイルパームの樹幹を破砕して得たエレメントEの集積体を熱圧成形し、エレメントEが含有する樹脂成分、糖成分、澱粉等の接着成分でエレメントE間を接着した木質ボード1は、その密度が、好ましくは、0.5~1.2g/cm3の範囲内、より好ましくは、0.5~1.1g/cm3の範囲内とするものが好ましい。密度が小さすぎるものは、脆弱で実用的な用途に乏しくなる一方、密度が大きすぎるものは、重量が重くなり、切削刃物の寿命が短くなるなど、加工時の取り扱いが困難となる。木質ボード1の密度が0.5~1.2g/cm3の範囲内であれば、安定した機械的強度が得られ、軽量性とも両立する。
ここで、本実施の形態の木質ボード1の実施例として、オイルパーム樹幹を使用し表1の内容で作製した木質ボード1について説明する。
Figure 0007093138000002
ここでは、上述したように、オイルパーム樹幹からかつら剥きして得た薄板Wをハンマークラッシャー及びスクリーンを使用した破砕装置によって破砕し、その破砕片をサイクロン及び重力分級機によって分級して、破砕片から軽量物(主に柔細胞Pcの粒粒物)を分別したのち、残りの重量物について、粗目の篩とその下流の細目の篩とによって篩分けし、即ち、一次分級、二次分級を行い、粗大片Lと、細小片Sと、微細片SSとに分級し、それらをエレメントEとして使用した。
なお、ここでは、サイクロン及び重力分級機によって分級した軽量物(主に柔細胞Pcの粒粒物)はエレメントEとして使用していないが、本発明を実施する場合には、サイクロン及び重力分級機によって分級した軽量物(主に柔細胞Pcの粒粒物)も、維管束Vbの針状または粒状の細片と共に、エレメントEとして使用できる。
詳細には、粗大片Lは、目開き1mmの粗目の篩を通過せずに目開き1mmの粗目の篩で捕集されたものであり、細小片Sは、目開き1mmの粗目の篩を通過するも、目開き355mmの細目の篩を通過することなく、目開き355μmの細目の篩で捕集されたものであり、微細片SSは、目開き1mmの粗目の篩と目開き355μmの細目の篩とを通過したものである。
なお、目開き1mmの粗目の篩で捕集された粗大片Lの集合体について、更に再度篩分けしてその分布を詳しく調べると、目開き2mmのメッシュオーバーのものが1.1%、目開き2mmのメッシュアンダー(メッシュパス)、かつ、目開き1mmのメッシュオーバーのものが62.9%、目開き1mmのメッシュアンダー、かつ、目開き355μmのメッシュオーバーのものが31.1%、目開き355μmのメッシュアンダー、かつ、目開き250μmのメッシュオーバーのものが1.7%、目開き250μmのメッシュアンダー、かつ、目開き180μmのメッシュオーバーのものが1.0%、目開き180μmのメッシュアンダーのものが2.2%の各含有率であり、目開き1mmのメッシュオーバーのものが50%以上の含有率であれば、誤差内にあり精度的に問題ないものと判断している。
この粗大片Lの集合体は、図4に示すように、粒粉状の細片も含まれているが、視認では、相対的に長尺な維管束Vbの針状の細片が主に含まれ、その維管束Vbの針状の細片の長さは、最長でも約50mm程度であり、10mm~40mm程度のものが多く含まれている。
また、目開き355μmの細目の篩で捕集された細小片Sの集合体については、その分布が、目開き1mmのメッシュアンダー、かつ、目開き355μmのメッシュオーバーのものが65.2%、目開き355μmのメッシュアンダー、かつ、目開き250μmメッシュオーバーのものが16.5%、目開き250μmのメッシュアンダー、かつ、目開き180μmのメッシュオーバーのものが10.9%、目開き180μmのメッシュアンダーのものが7.4%の含有率であり、目開き355μmメッシュオーバーのものが50%以上の含有率であれば、誤差内にあり精度的に問題ないものと判断している。
この細小片Sの集合体は、図5に示すように、粉状の細片も含まれているが、視認では、粗大片Lの集合体のものよりも相対的に短尺な針状や粒状の細片が主に含まれ、その針状や粒状の細片の長さは、最長でも約15mm程度であり、2mm~10mm程度のものが多く含まれている。
更に、目開き1mmの粗目の篩と目開き355μmの細目の篩を通過した微細片SSの集積体については、その分布が、目開き1mmのメッシュアンダー、かつ、目開き355μmのメッシュオーバーのものが3.0%、目開き355μmのメッシュアンダー、かつ、目開き250μmのメッシュオーバーのものが12.7%、目開き250μmのメッシュアンダー、かつ、目開き180μmのメッシュオーバーのものが24.1%、目開き180μmのメッシュアンダーのものが60.3%であった。
この微細片SSの集合体は、図6に示すように、粒状や針状の細片も含まれているが、視認では、粗大片Lの集合体や細小片Sの集合体のものよりも更に細かい粉粒状の細片が主に含まれている。
そして、実施例1乃至実施例7においては、エレメントEとして、粗大片Lと細小片Sを使用して木質ボード1を作製した。
具体的には、実施例1では、エレメントEとしての細小片Sを100g集積し、その上に、エレメントEとしての粗大片Lを400g集積、積層し、更にその上に、エレメントEとしての細小片Sを100g集積、積層した3層構造のエレメント集積体EA(エレメントEの集積はランダム(無配向)である)をその積層方向(厚み方向)でホットプレス機Hの1対の上下プレス盤P1,P2で挟み、180℃、30分の条件で熱圧成形することによって、エレメントE間が接着され固化した木質ボード1を得た。なお、実施例1の木質ボード1は、厚みが約1cm、密度が0.61g/cm3である。
実施例2では、エレメントEとしての細小片Sを100g集積し、その上に、エレメントEとしての粗大片Lを500g集積、積層し、更にその上に、エレメントEとしての細小片Sを100g集積、積層した3層構造のエレメント集積体EA(エレメントEの集積はランダムである)をその積層方向でホットプレス機Hの1対の上下プレス盤P1,P2で挟み、160℃、20分の条件で熱圧成形することによって、エレメントE間が接着され固化した木質ボード1を得た。なお、実施例2の木質ボード1は、厚みが約1cm、密度が0.59g/cm3である。この実施例2は、実施例1よりも粗大片Lの配合量を多くするも、熱圧成形時の加熱温度条件を低くし、加熱時間も短くしたものである。
実施例3では、エレメントEとしての細小片Sを100g集積し、その上に、エレメントEとしての粗大片Lを500g集積、積層し、更にその上に、エレメントEとしての細小片Sを100g集積、積層した3層構造のエレメント集積体EA(エレメントEの集積はランダムである)をその積層方向でホットプレス機Hの1対の上下プレス盤P1,P2で挟み、160℃、30分の条件で熱圧成形することによって、エレメントE間が接着され固化した木質ボード1を得た。なお、実施例3の木質ボード1は、厚みが約1cm、密度が0.63g/cm3である。この実施例3の木質ボードは、実施例2よりも熱圧成形時の加熱時間を長くしたものである。
実施例4では、エレメントEとしての細小片Sを100g集積し、その上に、エレメントEとしての粗大片Lを700g集積、積層し、更にその上に、エレメントEとしての細小片Sを100g集積、積層した3層構造のエレメント集積体EA(エレメントEの集積はランダムである)をその積層方向でホットプレス機Hの1対の上下プレス盤P1,P2で挟み、160℃、30分の条件で熱圧成形することによって、エレメントE間が接着され固化した木質ボード1を得た。なお、実施例4の木質ボード1は、厚みが約1cm、密度が0.77g/cm3である。この実施例4は、実施例2及び実施例3よりも粗大片Lの配合量を更に多くし、また、実施例1よりも熱圧成形時の加熱温度条件を低くしたものである。
実施例5では、エレメントEとしての細小片Sを100g集積し、その上に、エレメントEとしての粗大片Lを700g集積、積層し、更にその上に、エレメントEとしての細小片Sを100g集積、積層した3層構造のエレメント集積体EA(エレメントEの集積はランダムである)をその積層方向でホットプレス機Hの1対の上下プレス盤P1,P2で挟み、180℃、30分の条件で熱圧成形することによって、エレメントE間が接着され固化した木質ボード1を得た。なお、実施例5の木質ボード1は、厚みが約1cm、密度が0.80g/cm3である。この実施例5は、実施例4よりも熱圧成形時の加熱温度条件を高くしたものである。
実施例6では、エレメントEとしての細小片Sを200g集積し、その上に、エレメントEとしての粗大片Lを500g集積、積層し、更にその上に、エレメントEとしての細小片Sを200g集積、積層した3層構造のエレメント集積体EA(エレメントEの集積はランダムである)をその積層方向でホットプレス機Hの1対の上下プレス盤P1,P2で挟み、160℃、30分の条件で熱圧成形することによって、エレメントE間が接着され固化した木質ボード1を得た。なお、実施例6の木質ボード1は、厚みが約1cm、密度が0.80g/cm3である。この実施例6は、実施例2及び実施例3より細小片Sの配合量を多くしたものである。
実施例7では、エレメントEとしての細小片Sを200g集積し、その上に、エレメントEとしての粗大片Lを500g集積、積層し、更にその上に、エレメントEとしての細小片Sを200g集積、積層した3層構造のエレメント集積体EA(エレメントEの集積はランダムである)をその積層方向でホットプレス機Hの1対の上下プレス盤P1,P2で挟み、180℃、30分の条件で熱圧成形することによって、エレメントE間が接着され固化した木質ボード1を得た。なお、実施例7の木質ボード1は、厚みが約1cm、密度が0.78g/cm3である。この実施例7は、実施例6より熱圧成形時の加熱温度条件を高くしたものである。
実施例8では、エレメントEとして、粗大片Lと微細片SSを使用して木質ボード1を作製した。具体的には、エレメントEとしての微細片SSを200g集積し、その上に、エレメントEとしての粗大片Lを500g集積、積層し、更にその上に、エレメントEとしての微細片SSを200g集積、積層した3層構造のエレメント集積体EA(エレメントEの集積はランダムである)をその積層方向でホットプレス機Hの1対の上下プレス盤P1,P2で挟み、160℃、30分の条件で熱圧成形することによって、エレメントE間が接着され固化した木質ボード1を得た。なお、実施例8の木質ボード1は、厚みが約1cm、密度が0.78g/cm3である。この実施例8は、実施例6と同じ全体配合量及び熱圧成形条件で、実施例1乃至実施例7の細小片Sに替えて微細片SSを使用したものである。
実施例9では、エレメントEとして細小片Sのみ使用して木質ボード1を作製した。具体的には、エレメントEとしての細小片Sを600g集積したエレメント集積体EA(エレメントEの集積はランダムである)をその厚み方向でホットプレス機Hの1対の上下プレス盤P1,P2で挟み、180℃、30分の条件で熱圧成形することによって、エレメントE間が接着され固化した木質ボード1を得た。なお、実施例9の木質ボード1は、厚みが約1cm、密度が0.52g/cm3である。
実施例10及び実施例11では、エレメントEとして粗大片Lのみ使用して木質ボード1を作製した。具体的には、実施例10では、エレメントEとしての粗大片Lを600g集積したエレメント集積体EA(エレメントEの集積はランダムである)をその厚み方向でホットプレス機Hの1対の上下プレス盤P1,P2で挟み、160℃、30分の条件で熱圧成形することによって、エレメントE間が接着され固化した木質ボード1を得た。なお、実施例10の木質ボード1は、厚みが約1cm、密度が0.58g/cm3である。
実施例11では、エレメントEとしての粗大片Lを700g集積したエレメント集積体EA(エレメントEの集積はランダムである)をその厚み方向でホットプレス機Hの1対の上下プレス盤P1,P2で挟み、160℃、30分の条件で熱圧成形することによって、エレメントE間が接着され固化した木質ボード1を得た。なお、実施例11の木質ボード1は、厚みが約1cm、密度が0.65g/cm3である。
そして、このようにして作製した実施例1乃至実施例11の木質ボード1について、その曲げ強度及び曲げヤング係数を測定したところ、表1に示す結果となった。なお、このときの測定には、厚さが約10mm~12mm、幅が約25cm、長さが約25cm程度の試験片を使用した。
ここで、曲げ強度〔N/mm2〕及び曲げヤング係数〔N/mm2〕は、JIS A 5905(2014)に準じて測定したものである。測定装置としてオートグラフ(登録商標;(株)島津製作所製)を使用し、スパン長260mm、平均荷重速度(ヘッドスピード)10mm/分の条件で測定した。なお、測定環境は、室温20℃、相対湿度65%の恒温恒湿室内とした。
曲げ強度は、試験片の表面から上記ヘッドスピードで荷重を加え、その最大荷重Pを測定し、次式で算出した。
σ=3PL/2bt2
σ:曲げ強さ(MOR)〔N/mm2
P:最大荷重〔N〕
L:スパン〔mm〕
b:試験片の幅〔mm〕
t;試験片の厚さ〔mm〕
また、曲げヤング係数〔N/mm2〕は、上記試験片の加力中に、試験片の中央部の撓み量を0.1mm以上の精度を有するダイヤルゲージまたは電気式変位計で測定し、荷重-撓み曲線の直線部分から次式で算出した。
E=ΔP・L3/48・I・Δy
E:曲げヤング係数(MOEk)〔N/mm2
ΔP(P2-P1):比例域における上限荷重と下限荷重との差〔N〕(直線部分の荷重の増加量〔N〕)
Δy:ΔPに対応するスパン中央のたわみ〔mm〕(ΔPに対応した直線部分のたわみの増加量)
I:断面2次モーメントI=bt3/12〔mm4
L:スパン〔mm〕
b:試験体の幅〔mm〕
t:試験体の厚さ〔mm〕
なお、ここでは常態の試験による結果を表1に示す。
実施例1乃至実施例11の木質ボード1は、接着剤を付加することなしに、熱圧成形によって、パームホルツ樹幹に含有していた樹脂成分、糖成分、澱粉等の接着成分によりエレメントE同士が接着されたものであり、表1に示したように、何れも、その曲げ強度が1.5N/mm2以上、曲げヤング係数が500N/mm2以上の実用的強度が得られたものである。
特に、実施例1乃至実施例4、実施例9乃至実施例11の木質ボード1は、その曲げ強度が1.5N/mm2以上、5N/mm2未満、曲げヤング係数が500N/mm2以上、1500N/mm2未満であるから、JIS A 5905で示されているファイバーボードのインシュレンボード(タタミボード)の性能と同等以上の強度、剛性を有する。
また、実施例5及び実施例6の木質ボード1は、その曲げ強度が5N/mm2以上、10N/mm2未満、曲げヤング係数が1500N/mm2以上、2000N/mm2未満であるため、JIS A 5905で示されているファイバーボードのインシュレンボードやMDF(中密度繊維板)の性能と同等以上の強度、剛性を有する。
更に、実施例7及び実施例8の木質ボード1は、その曲げ強度が8N/mm2以上で、曲げヤング係数が2000N/mm2以上あるため、JIS A 5908で示されているパーティクルボードの性能と同等以上の強度、剛性を有する。
なお、オイルパーム樹幹では、密度が約0.2~0.4g/cm3において、曲げ強度が約5~20N/mm2、曲げヤング係数が約500~3000N/mm2であることからすると、実施例4乃至実施例8では、いずれもオイルパーム樹幹の性能よりも向上しており、オイルパーム樹幹に含有する接着成分のみでのエレメントE同士の接着でも十分に優れた強度、剛性を有するものである。
こうして実施例1乃至実施例11の木質ボード1は、オイルパーム樹幹からかつら剥きして得た薄板Wを破砕して目開き8mm以下の篩を通過させて得たエレメントEの集積体がエレメントEの含有する接着成分によるエレメントE同士の接着で固化したものである。このように目開き8mm以下の篩を通過させたエレメントEの集積体を熱圧成形してなる木質ボード1は、維管束Vbの針状または粒状の細片であるエレメントEや柔細胞Pcの粉状や粒状の細片であるエレメントEが混在し密に充填できる細かなエレメントEの集積体であり、その集積体は熱圧成形によりエレメントE間の空隙が少なくて緻密性が高く、また、表面平滑性に優れるものである。よって、その素地のまま使用することも可能であるが、表面にシート等を接着又は印刷したり、塗料を印刷又は塗装したりして、化粧や表面加工を施して製品化する場合でも、それら接着性や塗装性等の加工性がよく、意匠面に優れるものとなる。
このような木質ボード1は、例えば、建築構造用、家具、家電、電気機器、住設機器、自動車等の車両用の内装、玩具等の幅広い用途に使用可能である。
ところで、実施例1と実施例9との比較から分かるように、細小片Sのみの集積体からなる実施例9とエレメントEの全体重量が同じでも、粗大片Lを内層に集積し、細小片Sを表層側に集積した実施例1では、曲げヤング係数の増大が見られる。
これは、実施例1の木質ボード1では、エレメントEとして、細小片Sの集合体より長尺な維管束Vbの針状の細片を多く含む粗大片Sの集合体が使用され、その長尺な維管束Vbの強靭性、剛性が発揮されたものと推測できる。
一方で、実施例3と実施例11との比較では、粗大片Lのみの集積体からなる実施例11とエレメントEの全体重量が同じでも、粗大片Lを内層に集積し、細小片Sを表層側に集積した実施例3では、曲げヤング係数の増大が見られる。
これは、実施例3の木質ボード1では、エレメントEとして、細小片Sの集合体の配合により、維管束Vbよりも澱粉や糖類等を多く含み接着成分が染み出しやすいと考えられる柔細胞Pcの含有量、含有率が増大したことでエレメントE間の接着性や接着の均一性が向上したことや、エレメントEの密な充填による緻密性の向上によって表面硬度や接着性や接着の均一性が向上したことや、また、内層には剛性の高い長尺の維管束Vbの針状の細片が多く分布していることによって、全体としての剛性が高まったものと推測できる。
実施例5と実施例7との比較からも同様のことが分かる。即ち、実施例5と実施例7ではエレメントEの全体重量が同じであるも、実施例5よりも粗大片Lの配合量が少なく細小片Sの配合量が多い実施例7の木質ボード1では、その密度が実施例5よりも若干小さいにも関わらず、実施例5よりも高い曲げ強度及び曲げヤング係数が得られた。
実施例5の木質ボード1でも、エレメントEとして、細小片Sの集合体の含有量、含有率の増大により、維管束Vbよりも澱粉や糖類等を多く含み接着成分が染み出しやすいと考えられる柔細胞Pcの含有量、含有率が増大したことで、エレメントE間の接着性や接着の均一性が向上したことや、エレメントEの密な充填による緻密性の向上によって表面硬度や接着性や接着の均一性が向上したことや、また、内層には剛性の高い長尺の維管束Vbの針状の細片が多く分布していることによって、全体として強度、剛性が高まったものと推測できる。
特に、これら実施例3と実施例11との比較や、実施例5と実施例7との比較から、表層における細小片Sの集合体の含有量、含有率の増大や、維管束Vbよりも澱粉や糖類等を多く含み接着成分が染み出しやすいと考えられる柔細胞Pcの含有量、含有率の増大により、エレメントE間の緻密性や接着性が高まると共に、内層に剛性の高い維管束Vbの細片が分布することで、小さい密度でも、高い曲げ強度及び曲げヤング係数が得られ、強度、剛性に優れるものとなっている。更に、表面の緻密性も高いことで、表面平滑性にも優れるものである。
更に、実施例5と実施例8との比較、実施例7と実施例8との比較も同様である。
即ち、実施例5と実施例8ではエレメントEの全体重量が同じであるも、実施例5よりも粗大片Lの配合量が少なく微細片SSの配合量が多い実施例8の木質ボード1では、その密度が実施例5よりも若干小さくなっているのにも関わらず、更には、実施例5よりも熱圧成形の温度が低いにも関わらず、実施例5よりも曲げ強度及び曲げヤング係数が高いものとなった。
また、実施例7と実施例8ではエレメントEの全体重量が同じで粗大片Lの配合量も同じであるが、実施例7の細小片Sと同一の配合量で細小片Sよりも更に細かな微細片SSを使用した実施例8の木質ボード1では、その密度が実施例7と同等であるにも関わらず、更には、実施例7よりも熱圧成形の温度が低いにも関わらず、実施例7よりも曲げ強度及び曲げヤング係数が高いものとなった。
したがって、実施例8の木質ボード1でも、エレメントEとして、細小片Sの集合体よりも柔細胞Pcの含有量、含有率の高い微細片SSを配合したことで、維管束Vbよりも澱粉や糖類等を多く含み接着成分が染み出しやすいと考えられる柔細胞Pcの含有量、含有率が増大し、エレメントE間の接着性や接着の均一性が向上したことや、エレメントEの密な充填による緻密性の向上によって表面硬度や接着性や接着の均一性が向上したことや、また、内層に剛性の高い長尺の維管束Vbの針状の細片が分布することで、全体として強度、剛性が高まったものと推測できる。
そして、このように、粉粒物が多い細小片Sの集合体や微細片SSの集合体の含有量、含有率を高めることで、曲げ強度や曲げヤング係数の増大が見られることから、エレメントEの接着成分は、主には柔細胞Pcの接着成分によるものと考えており、柔細胞Pcの粉状または粒状の細片であるエレメント1の含有量、含有率を高めることで、熱圧成形時の加熱圧縮の条件、即ち、加熱温度、加熱時間、加圧力等を緩やかにしても、十分な接着性が得られるものと考えられる。但し、柔細胞Pcは、破砕、分解された粉粒状のエレメント1に限られず、針状または粒状の維管束Vbに残存付着しているものもあると考えられ、熱圧により、柔細胞Pcの粉粒状の細片からの接着成分に限らず、維管束Vbの針状または粒状の細片に付着している柔細胞Pcからの接着成分も染み出し、エレメントE同士を接着していることも考えられる。更には、維管束Vbに含まれた接着成分によってもエレメントE同士を接着することも考えられる。なお、低い加熱温度等の低負荷な熱圧条件によって維管束Vbや柔細胞Pcの成分の劣化が抑えられることも高い強度、剛性が得られる一因であると考えることもできる。
なお、実施例1乃至実施例11の木質ボード1について、JIS A 5905に準拠したホルムアルデヒドの揮発量を測定したところ、何れも10μg/L以下のホルムアルデヒドの揮発量であり、ホルムアルデヒドの放出も非常に少ないことを確認している。
こうして、本実施の形態の木質ボード1では、オイルパームの樹幹を破砕し、目開き8mm以下の篩を通過して得た維管束Vbの針状または粒状の細片と柔細胞Pcの粉状や粒状の細片が混在したエレメントEの集積体を熱圧成形することにより、エレメントEの接着成分、主には柔細胞Pcの接着成分によるエレメント1同士の接着と、所定サイズの目開きを通過した細かなエレメント1による高い充填性、緻密性及びそれによる多数の接着点、高い熱伝導性等によって、他に接着剤を付加しなくてもエレメント間1が強固に接着されて一体に固化されたものであり、エレメントEの接着成分、主には柔細胞Pcの接着成分によるエレメント間1の強固な接着性や、所定サイズの目開きを通過した細かなエレメント1による高い充填性、緻密性及びそれによる多数の接着点や、更には、維管束Vbの針状または粒状の細片の強靭性により、実用的な機械的強度を有するものである。
特に、目開き8mm以下の篩を通過した維管束Vbの針状または粒状の細片と柔細胞Pcの粉状または粒状の細片との取り合わせで、他に接着剤を付加しなくても、主に柔細胞Pcの接着成分により高い接着性が得られると共に、維管束Vbの針状または粒状の細片の強靭性が発揮され、熱圧成形するときの温度、圧力、処理時間が低負荷、低いエネルギ消費量でも、高い強度、剛性の木質ボード1となる。更には、緻密性も高いことで、表面平滑性にも優れるものである。
ここで、本発明者らの実験研究によれば、木質ボード1は、好ましくは、目開きが8mmの篩を通過し、かつ、目開きが250μmの篩を通過しないエレメントEが50質量%以上、より好ましくは、55質量%以上、更に好ましくは、60質量%以上含有したものである。目開きが8mmの篩を通過し、かつ、目開きが250μmの篩を通過しないエレメントEの集合体においては、維管束Vbの針状のエレメントEが多く含まれることで、維管束Vbの強靭性が発揮され機械的強度(曲げ強度、曲げヤング係数等)に優れる。
更に、好ましくは、目開きが180μmの篩を通過するエレメントEが2質量%以上、より好ましくは、3質量%以上、更に好ましくは、20質量%以上、特に好ましくは25質量%以上含有したものである。目開きが180μmの篩を通過するエレメントEの集合体においては、柔細胞Pcの粉粒状のエレメントEが多く含まれることで、接着性を高めることができ、また、エレメントEの充填性を高めエレメントE間を緻密にできることで、軽量でも機械的強度(曲げ強度、曲げヤング係数等)に優れるものとなる。更に、熱圧成形時に低負荷の加熱温度、加熱時間、加圧力等としても、機械的強度(曲げ強度、曲げヤング係数等)に優れるものとなり、低負荷、低いエネルギ消費量での熱圧成形を可能とする。更には、エレメントE間の空隙を少なくして緻密にできることで、表面の平滑性も高いものとなる。
また、好ましくは、長さが1mm以上、80mm以下、より好ましくは、1mm以上、60mm以下、更に好ましくは、2mm以上、50mm以下の針状のエレメントEの含有量が、好ましくは、30質量%以上、90質量%以下、より好ましくは、30質量%以上、85質量%以下、更に好ましくは、30質量%以上、80質量%以下であることでも、接着のバラつきが少なく接着力不足による破損、亀裂等がより生じ難いものであり、また、高い機械的強度と表面平滑性が得られものである。
特に、実施例1乃至実施例8で示したように、内層側を構成するエレメントEよりも表層側を構成するエレメントEを細かいものしてエレメントE間の緻密性を高めたものでは、重量の増大を抑えて、曲げ強度、曲げヤング係数を高めることができる。また、表面が緻密になることで、表面平滑性を高めることができ、更に、表面硬度や剥離強さも高いものとなる。
本発明者らの実験研究によれば、目開きが8mmの篩を通過し、かつ、目開きが250μmの篩を通過しないエレメントEが50質量%以上、好ましくは、55質量%以上、より好ましくは、60質量%以上含有した集積体を内層とし、目開きが180μmの篩を通過するエレメントEが2質量%以上、好ましくは、3質量%以上、より好ましくは、20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上含有した集積体を表層(外層)とした3層構造とすることで、内層の比較的長尺な維管束Vbの針状のエレメントEによって強靭性が発揮され、また、表層の比較的細かなエレメントEによる緻密性によって、軽量でも高い機械的強度(曲げ強度、曲げヤング係数等)となり、表面硬度や剥離強さも高い木質ボード1が得られる。
そして、本実施の形態の木質ボード1においては、エレメントEのサイズ、取り合わせや、配合量や、圧熱成形の加熱条件、処理時間等によってエレメントE間を接着する接合力を変化させることができ、エレメントEの取り合わせや、配合量や、圧熱成形の加熱条件(温度、加圧力、処理時間等)の制御によって木質ボード1の物性の制御が可能であり、木質ボード1の使用目的、使途に合わせた任意の機械的強度等に設定することも可能である。
こうして本実施の形態の木質ボード1は、オイルパーム樹幹を破砕してなる維管束Vbの針状または粒状の細片であるエレメントEや柔細胞Bcの粉粒状の細片であるエレメントEが混在した集積体を熱圧成形することよりエレメントEが含有する接着成分のみでエレメントE同士が接着されてなるものである。このようにオイルパームの樹幹が有している成分を接着成分としたものでは、エレメントE及び接着成分の凝集力にも優れるものと思われる。更に、従来の木質ボード1では、ホルムアルデヒド系接着剤等の接着剤を繊維等に浸透させることから、繊維内部に接着剤が浸透し、そこで硬化することで、繊維が脆くなり、繊維本来の性質を活かせないものとなるが、本実施の形態の木質ボード1では、オイルパーム樹幹が有する接着成分で接着するものであるから、維管束Vb自体が有する強靭性を生かした強度が得られる。
そして、本実施の形態の木質ボード1では、ホルムアルデヒド等の有害な成分を含有するユリア樹脂、フェノール樹脂等の石油系合成樹脂を使用することなく、オイルパーム樹幹が有する接着成分によってエレメントE同士を接着し、エレメント集積体EAを固化するから、環境への負荷が少なく、安全性が高くて、環境に優しいものとなる。即ち、ホルムアルデヒド等の有害な成分の揮発も少なくて、環境の負荷も少なく、住宅等の内装材に使用する場合も、居住者の健康に悪影響を与える恐れがない。焼却処分する場合でも有害ガスの発生、公害の発生が抑えられるものである。特に、合成樹脂接着剤の燃焼においては二酸化炭素量の増大を招くが、そのような接着剤の使用をしていないことで、二酸化炭素量増大の問題も生じ難いものである。また、リサイクルする場合でも、合成樹脂接着剤とは異なり接着阻害を生じ難いものであるから、強度を損なうことないリサイクルボードの形成を可能とし、リサイクルにも適する。加えて、廃材であったヤシの樹幹を破砕し、その破砕片を無駄なく使用し、樹幹が有する接着成分で接着するから、廃材が放置されて腐敗することで生じる温室効果ガスの削減を可能とし、また、新たな産業廃棄物を生じさせることもなく、他の接着剤を付加する工程も不要であるから、製造コストや、エネルギや、接着剤材料が節減でき、安価に製造できる。そして、ヤシの樹幹を構成する維管束及び柔細胞を共に使用し、それらが有する接着成分でエレメントE同士を接着するものであり、ヤシの樹幹を構成する成分を無駄なく有効活用することで、歩留まりの高いものでもある。
特に、目開きが8mmの篩を通過するエレメントEの集積体では、エレメントE同士の充填性を高くでき、緻密性を高くできることによって、熱圧成形時の熱伝導を良くでき、また、接着点が多くでき、接着性のバラつきを抑えることができるうえ、主に粉粒状の細片の柔細胞Bcや針状または粒状細片の維管束Vcの周囲に残存付着している柔細胞Bcの含有が多く、それら柔細胞Bcの接着成分が浸出しやすいことで、その接着成分によりエレメントE間が強固に接着され、薄い厚みで実用的な機械的強度であり、かつ、表面平滑性が高い木質ボード1となる。更に、こうしてエレメントE間が緻密で接着されやすいことで、高温高圧の熱圧条件としなくとも、150℃~180℃の比較的低い温度条件や、短時間の加熱加圧処理時間等でも、エレメントE間を十分強固に接着させることができ、熱圧成形時のエネルギ負荷を少なくできるうえ、エレメントE成分の劣化も少なく、曲げ強度等の力学的強度も高くできる。高温高圧の熱圧成形の必要がないことで、省エネ化を図ることが可能であるうえ、当然、高価な加熱プレス装置を必要としないものでもある。更に、熱圧成形時の臭気の発生や変色を抑えることも可能となり、またエレメントE間の緻密性が高いことで外観性も一様化できる。そして、エレメントE間の緻密性が高く空隙が少ないことで、外観性も良く、表面硬度や剥離強さが高いものであり、更に、表面平滑性が高いことで、化粧材等を接合したり塗装したりする場合でも、それら化粧材等との接合性や塗装性がよく、二次加工性に優れるものである。加えて、エレメントE間が緻密であるから、吸水速度が遅く、また、害虫の浸食を防止できる。
更に、本実施の形態の木質ボード1において、内層側に相対的に粗い長尺なエレメントEを使用し、表層側(外層側)に相対的に細かなエレメントEを使用して、内層側よりも外側のエレメントE間の充填性を高めて緻密にしたものでは、軽量でありながら、曲げ強度等の機械的強度や、表面平滑性を高めることができる。そして、表面平滑性が高いと、表面へのシート接着や塗装等の二次加工性が良くなる。また、内層側よりも外側のエレメントE間の充填性を高めて緻密にしたものでは、熱圧による温度分布が均一になりやすく、均一な接着性が得られやすいから、バラつきの少ない接着性によって安定した機械的強度、表面硬度、剥離強度が得られる。
特に、木質ボード1の密度が、0.5~1.2g/cm3の範囲内、好ましくは、0.5~1.1g/cm3の範囲内であれば、軽くて、機械的強度が高いものとなる。
ところで、上記実施の形態においては、ヤシの樹幹からロータリーレースで切り出した薄板Wを破砕する説明としたが、本発明を実施する場合には、スライサー等の切削手段で切削してから破砕してもよいし、所定の寸法に製材したものを破砕してもよく、ヤシの樹幹を所定の寸法の板状とする切り出し手段は特に問われない。
また、ヤシの樹幹からロータリーレースで切り出した薄板Wをクラッシャー等の破砕手段を有する破砕装置によって破砕し、その破砕片を、木質ボード1を形成するエレメントEとして使用したものであるが、本発明を実施する場合には、ハンマーミル等のミル、チッパー、シュレッダー等の破砕手段で破砕しても良いし、例えば、ゼファー化装置等の圧潰手段や、水蒸気爆砕装置等を用いて高温・高圧で蒸煮して爆砕する爆砕手段や、水流高圧噴射手段等によって破砕してもよい。何れにせよ、ヤシ樹幹を破砕してヤシ樹幹を構成する維管束Vbと柔細胞Pcからなる柔組織が分断され、柔組織が分解されて柔細胞の粉粒状の細片とされ、また、長い維管束Vbの長さが切断、細断、分割されて短尺化(細片化)された針状または粒状にできるものであればよい。
以上説明してきたように、本実施の形態の木質ボード1は、ヤシの樹幹を破砕して得たエレメント集積体EAを熱圧成形してなる木質ボード1であって、熱圧成形によりエレメントEに含有する接着成分のみでエレメントE同士が接着されたものである。即ち、ヤシの樹幹にはセルロース、ヘミセルロース、リグニン等の樹脂成分やスクロース、グルコース、フルクトース等の遊離糖類等の糖成分や澱粉等が多く含まれていることで、それらヤシ樹幹を粉砕してなるエレメント集積体の加熱加圧により、それらが接着成分となってエレメント同士が接着されたものである。したがって、エレメント同士の接着がヤシの樹幹の構成成分由来を接着成分としているから、石油化学由来等の合成樹脂系接着剤を添加したものとは相違してシックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド等の放出を少なくでき、環境負荷を与え難く環境に優しいものである。即ち、ヤシの樹幹を活用し環境負荷を抑えたものである。
また、本実施の形態の木質ボード1は、エレメントEの集積体が、柔細胞や維管束の粉粒物と、維管束の針状物との混在であるから、それら粉粒物と針状物の取り合わせで維管束の強靭性により高い機械的強度が得られると共に、緻密性を高めて十分な接着を可能とする。よって、機械的強度が高く、かつ、接着強度が高いものである。更に、粉粒物と針状物の取り合わせで、緻密性を良くできるから、表面平滑性も良好となり、化粧材等を接合したり塗装したりする場合でも、それら化粧材等との接合性や塗装性がよく、二次加工性を良くできる。
更に、本実施の形態の木質ボード1によれば、エレメントEは目開きが8mm以下の篩を通過したものであるから、エレメントEが細かいことで緻密にでき、また、エレメントEの接着成分が染み出しやすく、エレメントE間の接着点も多くできるから、エレメントE間の接着のバラつきも少ないものである。したがって、強固な接着が得られ機械的強度を高めることができる。また、接着力不足による破損、亀裂等が生じ難いものであり、使用時に木屑、破片等が生じ難いものである。更に、エレメントの緻密な集積により表面平滑性が高いものとなる。
特に、本実施の形態の木質ボード1において、エレメントEは、目開きが8mmの篩を通過し、かつ、目開きが250μmの節を通過しないエレメントを50%質量以上含有することにより、比較的長尺状の維管束の針状物の含有量が多いことで、機械的強度を高めることができる。
また、前記エレメントは、目開きが180μmの篩を通過するエレメントEを3%質量以上含有することで、柔細胞の粉粒物の含有量が多いことにより、表面平滑性が向上する。更に、バラつきの少ない安定した接着性が得られ、接着力不足による破損、亀裂等がより生じ難いものとなり、使用時に木屑、破片等がより生じ難いものとなる。
長さが1mm以上、80mm以下の針状のエレメントEの含有量が30質量%以上、90質量%以下であることでも、接着のバラつきが少なく接着力不足による破損、亀裂等がより生じ難いものであり、また、高い機械的強度と表面平滑性が得られものである。
ここで、本実施の形態の木質ボード1において、厚みの中央側よりも表面側で緻密であると、重量を抑えながら、機械的強度を高くすることができる。即ち、表面側を密にし、内部側を粗にするものでは、表裏側の緻密性と、内部側の長尺状の針状の維管束の含有が多いことによる長尺状の針状の維管束の強靭性が生かされ、高い機械的強度を確保できる一方、内部側の空隙率を高くできることで、軽量性と機械的強度とを両立できる。更に、表面平滑性と機械的強度との両立もできる。
また、本実施の形態の木質ボード1において、厚み方向の中央側に分布するエレメントEよりも表面側の分布するエレメントEの方が細かいものでは、表面側でエレメントEの充填性を高く緻密にできる一方で、内部側の長尺状の針状の維管束の含有が多いことによる長尺状の針状の維管束の強靭性が生かされるから、表面平滑性と機械的強度とを両立できる。
更に、本実施の形態の木質ボード1において、密度が、0.5~1.2g/cm3の範囲内であれば、軽くて、機械的強度が高いものとなる。
こうした、ヤシ樹幹を活用した木質ボード1は、産業資材から建築内装材、家具などに広く使用できるものである。例えば、家屋の床材及び壁材、隔壁材等の建築材料、家具材料、ボートを含む船舶、海上コンテナ、鉄道コンテナ等の輸送コンテナの床材、トラック車両床材、その他の屋内・屋外のデッキ及び遊具、車両のボディ本体の外装及び内装、等に使用できるものである。
なお、本発明者らは、ヤシの樹幹に含まれるセルロース、ヘミセルロース、リグニン等の樹脂成分、スクロース、グルコース、フルクトース等の遊離糖類等の糖成分や、澱粉等がその変性物も含めて接着の主となる組成物と認識しているが、分析能力が向上すると他の成分の関与が否定できなくなる可能性がある。少なくても、接着に寄与する成分が他にも存在する可能性は否定できない。
なお、本発明を実施するに際しては、木質ボード1の製造方法等については、上記実施例に限定されるものではない。また、本発明の実施の形態で挙げている数値は、その全てが臨界値を示すものではなく、ある数値は製造コスト、製造が容易な形態等から決定した値であり、実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を許容値内で若干変更してもその実施を否定するものではない。
1 木質ボード
E エレメント

Claims (9)

  1. ヤシの樹幹を破砕して得たエレメントの集積体を熱圧成形してなる木質ボードであって、
    前記熱圧成形により前記エレメントに含有する接着成分のみで前記エレメント同士が接着されたことを特徴とする木質ボード。
  2. 前記エレメントの集積体は、粉粒物と針状物との混在であることを特徴とする請求項1に記載の木質ボード。
  3. 前記エレメントは、目開きが8mm以下の篩を通過したものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の木質ボード。
  4. 前記木質ボードは、目開きが8mmの篩を通過し、かつ、目開きが250μmの篩を通過しないエレメントを50質量%以上含有したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の木質ボード。
  5. 前記木質ボードは、目開きが180μmの篩を通過するエレメントを10質量%以上含有したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の木質ボード。
  6. 前記木質ボードは、厚みの中央側よりも表面側で緻密であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の木質ボード。
  7. 前記木質ボードは、厚みの中央側に分布する前記エレメントよりも表面側に分布する前記エレメントの方が細かいものであることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の木質ボード。
  8. 前記木質ボードは、密度が、0.5~1.2g/cm3の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の木質ボード。
  9. 前記木質ボードは、長さが1mm以上、80mm以下の針状の前記エレメントの含有量が30質量%以上、90質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載の木質ボード。
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