JP2014018809A - 溶接装置、プログラム、溶接方法、および溶接構造物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶接トーチをオシレートさせ母材を溶接する溶接装置であって、溶接中のアーク電圧を測定し、測定されたアーク電圧に基づいて溶接トーチを上下動させてアーク長を制御する縦スライド制御部と、溶接トーチのオシレート動作中にて、縦スライド制御部によりアーク長が制御された溶接トーチの上昇量である実測反転高さh´を把握し、予め設定されている設定反転高さhtと比較して開先面を検知する開先面検知部251と、開先面検知部251による複数回の開先面の検知に基づいて溶接トーチのオシレート幅を算出し、算出されたオシレート幅により溶接トーチのオシレートを制御する開先幅演算部252、平均値演算部253およびオシレート制御部254と、を備える。
【選択図】図3
Description
例えば、特許文献1に記載されている溶接装置は以下のように構成されている。すなわち、溶接電源と、制御装置と、溶接トーチと、上下スライドベースと、左右スライドベースを含んで溶接装置を構成し、制御装置内には、オシレート制御装置と、左右スライドベース駆動回路と、AVC制御装置と、上下スライドベース駆動回路とを備える。オシレート制御装置は、オシレート位置検出回路と、オシレート両端電圧測定回路と、左右停止位置制御回路とから構成する。オシレート位置検出回路によってオシレート動作中の溶接トーチの左端又は右端が検出されたときは、オシレート両端電圧測定回路によって夫々の溶接アーク電圧EL,ERを測定する。溶接トーチの中央位置が検出されたときは、測定されたアーク電圧Eを基準電圧E0と比較し、AVC制御装置によるアーク長一定制御を行う。
溶接ビード外観や品質を向上させるには開先の形状に精度高く沿ったオシレート動作を行うことが重要であり、そのためには開先面の検知精度が高いことが重要である。これに対して、開先面の検知精度を高めるために、開先面付近で溶接トーチの進行速度を減速することや、制御周期が早い高価な制御装置を用いることが考えられる。しかしながら、かかる場合には、溶接速度が遅くなったり、装置が高価になったりしてしまう。
本発明は、安価な装置でもより迅速に精度高くオシレートを制御することができる溶接装置などを提供することを目的とする。
また、前記オシレート制御機能による前記オシレート幅の補正は、前記反転高さの平均値h´´と予め設定されている設定反転高さhtとの差分が予め定められている差分値よりも大きい場合に実行されるとともに、当該差分が大きければ補正量が大きくなるように補正量が決定されるとよい。これにより、頻繁に補正が実行されることを抑制するとともにより開先の形状に沿わせることが可能となる。
図1は、実施の形態に係る溶接装置1の概略構成図である。
図2は、図1に示した溶接ロボット10の溶接トーチ11の駆動部の概略構成と、コントローラ20のブロック図を示す図である。
本実施の形態に係る溶接装置1は、タングステン電極棒からアークを出し、その熱で溶接するTIG(Tungsten Inert Gas)溶接用の溶接ロボット10と、溶接ロボット10を制御するコントローラ20と、を備えている。また、溶接装置1は、溶接ロボット10に取り付けられた溶接トーチ11に電圧を印加し、アークを発生させる溶接電源30と、溶接ロボット10にて被溶接部位に送られた溶接ワイヤ131に通電するMC電源40と、溶接ロボット10内に冷却水を循環させる冷却水循環器50とを備えている。
溶接ロボット10は、溶接トーチ11と、溶接トーチ11を図1および図2における左右方向であるY軸方向、および図1では紙面に垂直な方向であり図2では上下方向であるZ軸方向にスライドさせる2軸スライダ12と、被溶接部位に溶接ワイヤ131を送給するワイヤ送給装置13と、を備えている。また、溶接ロボット10は、2軸スライダ12およびワイヤ送給装置13などを保持しつつ図1では上下方向であり図2では紙面に垂直な方向であるX軸方向に走行するキャリッジ14を備えている。また、溶接ロボット10は、キャリッジ14に保持され、2軸スライダ12、ワイヤ送給装置13およびキャリッジ14など溶接ロボット10を構成する部位とコントローラ20との間を中継する中継器15を備えている。
2軸スライダ12は、図2に示すように、Y軸方向、言い換えれば溶接の対象である母材Bの表面に平行であって被溶接部位である開先Gの幅方向(図2では横方向)に溶接トーチ11をスライドさせる横スライド部121と、Z軸方向、言い換えれば溶接の対象である母材Bの厚さ方向(図2では縦方向)に溶接トーチ11をスライドさせる縦スライド部122とを有している。横スライド部121および縦スライド部122は、モータ、このモータの動力を伝達する動力伝達機構などを有し、溶接トーチ11を、それぞれY軸方向、Z軸方向にスライドさせる。
キャリッジ14は、図1に示すように、ガイドレール141にガイドされてX軸方向、言い換えれば溶接の対象である母材Bの表面に平行に溶接線方向に走行する。これにより、溶接トーチ11、ワイヤ送給装置13などがX軸方向に移動する。
中継器15は、コントローラ20からの制御信号を2軸スライダ12、ワイヤ送給装置13およびキャリッジ14などに伝送するとともに、2軸スライダ12、キャリッジ14などからの出力信号をコントローラ20に伝送する。
コントローラ20は、図1に示すように、溶接の制御を行う際の演算処理等を行うCPU(Central Processing Unit)21と、各種データやCPU21にて実行されるプログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)22と、CPU21の作業用メモリ等として用いられるRAM(Random Access Memory)23と、内容を書き換え可能なEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory)24と、FlashROM25と、HDD(Hard Disk Drive)26などから構成される。
キャリッジ駆動制御部270は、予め定められた速度でキャリッジ14をX軸方向に移動させる。これにより、溶接トーチ11は、溶接時に、予め定められた速度でX軸方向に移動する。
縦スライド制御部260は、溶接中のアーク電圧を測定し、この電圧が一定になるように溶接トーチ11を上下動させることでアーク長を一定に制御するAVC(Arc Voltage Control)法による位置制御を行う。AVC法は、アークの長さによってTIG溶接におけるアーク電圧が変化することを利用したものである。縦スライド制御部260は、溶接中に測定した実際のアーク電圧Eを予め定められた基準電圧と比較し、測定したアーク電圧Eが基準電圧よりも小さい場合には溶接トーチ11を上昇させてアーク電圧Eを大きくし、測定したアーク電圧Eが基準電圧よりも大きい場合には溶接トーチ11を下降させてアーク電圧Eを小さくする。このように、縦スライド制御部260は、アーク長を一定に保つように溶接トーチ11の縦方向の位置を制御する。なお、縦スライド制御部260は、縦スライド駆動部220に制御指令値を出力することで、縦スライド駆動部220を介して溶接トーチ11の位置を制御する。
このように、縦スライド制御部260は、溶接中のアーク電圧を測定し、測定されたアーク電圧に基づいて溶接トーチ11を上下動させてアーク長を制御するアーク長制御手段の一例として機能する。
図3は、横スライド制御部250のブロック図を示す図である。
横スライド制御部250は、開先G(図1、図2参照)の幅方向にオシレート(揺動あるいはウィービング)するように溶接トーチ11の位置制御を行う。
横スライド制御部250は、開先Gの幅方向の端面である開先面Gf(図2参照)を検知する開先面検知部251と、両開先面Gf間の距離である開先幅Wを演算する開先幅演算部252と、開先幅演算部252が演算した開先幅Wの複数の値の平均値Waを演算する平均値演算部253と、開先Gの幅方向に溶接トーチ11をオシレートさせるオシレート制御部254と、を有している。
このように、開先面検知部251は、溶接トーチ11のオシレート動作中にて、縦スライド制御部260によりアーク長が制御された溶接トーチ11の上昇量である実測反転高さh´を把握し、予め設定されている設定反転高さhtと比較して開先面Gfを検知する開先面検知手段の一例として機能する。
ただし、オシレート制御部254は、第1の方式のオシレート制御において、予め定められた範囲内で開先面検知部251から開先面Gfを検知した旨の情報を取得しない場合には、溶接トーチ11の進行方向を強制的に切り替える。このことについては後で説明する。
図4は、オシレート制御部254が行う方式移行処理の手順を示すフローチャートである。オシレート制御部254は、溶接トーチ11をオシレートすべき旨の指令信号を、溶接装置1が内蔵する操作箱などを介して取得した場合にこの方式移行処理を実行する。
そして、溶接すべき位置の終端まで到達した場合(S404でYES)、オシレート制御を終了し(S405)、溶接すべき位置の終端まで到達していない場合(S404でNO)、そのまま第2の方式のオシレート制御を継続する。
次に、第2の方式のオシレート制御中におけるオシレート幅の補正について説明する。
オシレート制御部254は、第2の方式のオシレート制御へ移行した後、オシレート端での反転高さhに基づいて、設定されたオシレート幅を補正し、補正後のオシレート幅にてオシレート動作を行うように溶接トーチ11の位置制御を行う。
そして、オシレート制御部254は、一方側オシレート端での平均値hoa、他方側オシレート端での平均値haaそれぞれと設定反転高さhtとを比較し、差分がある場合はオシレート位置の補正を行う。
ただし、設定反転高さhtから平均値hoaを減算した値(ht−hoa)の絶対値が基準値α以内である場合(−α≦ht−hoa≦α)には、補正しない。補正処理が頻繁に発生することを防止するためである。
一方側オシレート端での反転高さhoの平均値hoaに基づいてオシレート幅を補正する処理と、他方側オシレート端での反転高さhaの平均値haaに基づいてオシレート幅を補正する処理とは、基本的に同じであるので、以下では、一方側オシレート端での反転高さhoの平均値hoaに基づいてオシレート幅を補正する処理について例示する。
オシレート制御部254は、新たな一方側オシレート端に到達したか否かを判別する(S501)。これは、開先Gの他方の開先面側から一方の開先面側への移動から、一方の開先面側から他方の開先面側への移動へと溶接トーチ11の進行方向が切り替えられたか否かを判別する処理である。そして、新たな一方側オシレート端に到達していない場合(S501でNO)、S501以降の処理を行う。他方、一方側オシレート端に到達した場合(S501でYES)、位置検出部240から取得した、今回の一方側オシレート端での反転高さhoを含めて、直近に連続する所定の複数個の反転高さhoを取得したか否かを判別する(S502)。例えば所定の複数個が4個に設定されている場合には、今回新たに到達した一方側オシレート端の反転高さhoをn個目の反転高さho(n)(ただし、nは正の整数)とし、ho(n)、ho(n−1)、ho(n−2)、ho(n−3)の値を取得し、記憶領域(RAM23またはEEPROM24)に記憶しているか否かを判別する。言い換えれば、nが4以上、あるいはn−3が1以上であるか否かを判別する。
そして、基準値αに−1を乗算した値よりも小さい場合(S506でYES)、オシレート幅を小さくするように補正する(S507)。他方、基準値αに−1を乗算した値よりも大きい場合(S506でNO)、オシレート幅を補正することなしに本処理の実行を終了する。
次に、第1の方式のオシレート制御における溶接トーチ11の移動について詳細に説明する。
オシレート制御部254は、第1の方式のオシレート制御においては、開先面検知部251が開先面を検知した場合に、溶接トーチ11の進行方向を切り替える。また、オシレート制御部254は、第1の方式のオシレート動作期間中に、開先面検知部251が検知した開先面Gfに基づいて第2の方式のオシレート動作におけるオシレート幅を設定する。ゆえに、開先面検知部251による開先面Gfの検知精度が向上すると、オシレート制御部254による溶接トーチ11のオシレート動作の精度が向上する。
図6は、オシレート幅が予め定められた幅W0以上であるときの溶接トーチ11の移動について説明する図である。幅W0は、5mmであることを例示することができる。オシレート幅は、前回のオシレート時の位置検出部240からの出力値に基づいて把握することが可能である。
オシレート制御部254は、第1の方式のオシレート制御にて、溶接トーチ11を開先Gの一方の開先面Gf側から他方の開先面Gf側へ移動させているときに、前回の他方側オシレート端よりも予め定められた距離L1手前側の位置までは設定された基本移動速度V0にて溶接トーチ11を移動させ、前回の他方側オシレート端よりも予め定められた距離L1手前側の位置を越えたら基本移動速度V0の40%の速度である移動速度V1に切り替える。前回の一方側オシレート端から、前回の他方側オシレート端よりも予め定められた距離L1手前側の位置までの距離は、前回のオシレート幅の80%であることを例示することができる。また、一方側オシレート端から前回の他方側オシレート端よりも予め定められた距離L1手前側の位置までは進行方向を切り替えることを禁止する区間である切替禁止区間とする。
そして、オシレート制御部254は、第2の方式のオシレート制御を行うときには、切替禁止区間を超えても、開先面検知部251が開先面Gfを検知するときのようには溶接トーチ11の進行速度を減速させない。それゆえ、より迅速にオシレートを行うことができる。
したがって、本実施の形態に係る溶接装置1によれば、安価な装置にてより迅速に精度高く溶接トーチ11のオシレートを制御することができる。
Claims (9)
- 溶接トーチをオシレートさせ母材を溶接する溶接装置であって、
溶接中のアーク電圧を測定し、測定されたアーク電圧に基づいて前記溶接トーチを上下動させてアーク長を制御するアーク長制御手段と、
前記溶接トーチのオシレート動作中にて、前記アーク長制御手段によりアーク長が制御された当該溶接トーチの上昇量である実測反転高さh´を把握し、予め設定されている設定反転高さhtと比較して開先面を検知する開先面検知手段と、
前記開先面検知手段による複数回の開先面の検知に基づいて前記溶接トーチのオシレート幅を算出し、算出された当該オシレート幅により当該溶接トーチのオシレートを制御するオシレート制御手段と、
を備えたことを特徴とする溶接装置。 - 前記オシレート制御手段は、前記溶接トーチのオシレート幅を算出する前には、オシレートに際して、当該溶接トーチの進行方向を切り替えない範囲として予め定められた切替禁止区間を越えると当該溶接トーチの進行速度を減速し、
前記開先面検知手段は、前記溶接トーチの進行速度を減速した状態で前記実測反転高さh´を把握して開先面を検知し、
前記オシレート制御手段は、前記溶接トーチのオシレート幅を算出した後には、前記切替禁止区間を超えても、前記開先面検知手段が前記開先面を検知するときのようには当該溶接トーチの進行速度を減速させないことを特徴とする請求項1記載の溶接装置。 - 前記オシレート制御手段は、算出された前記オシレート幅により前記溶接トーチのオシレートが制御され、前記開先面検知手段が前記開先面を検知するときのようには当該溶接トーチの進行速度を減速させずに、オシレートの両端の少なくとも何れか一方にて反転高さを複数回、把握し、把握した複数回の反転高さの平均値h´´に基づいて当該オシレート幅を補正することを特徴とする請求項2記載の溶接装置。
- 前記開先面検知手段は、把握した前記実測反転高さh´が、予め設定されている前記設定反転高さhtを上回っていれば開先面を検知するとともに、予め定められた予備設定オシレート幅に到達しても開先面を検知できない場合には、当該予備設定オシレート幅を広げて開先面を検知することを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の溶接装置。
- 溶接トーチをオシレートさせ、溶接中のアーク電圧を測定し、測定されたアーク電圧に基づいて当該溶接トーチを上下動させてアーク長を制御しながら母材を溶接する溶接装置に用いられるプログラムであって、
前記溶接トーチのオシレート動作中にて、前記溶接トーチの上昇量である実測反転高さh´を把握し、予め設定され記憶手段に記憶されている設定反転高さhtと比較して開先面を検知する開先面検知機能と、
前記開先面検知機能によってなされた連続する複数回の開先面の検知に基づいて前記溶接トーチのオシレート幅を算出し、算出された当該オシレート幅により当該溶接トーチのオシレートを制御するオシレート制御機能と
を溶接装置に実現させるプログラム。 - 前記オシレート制御機能は、算出された前記オシレート幅により前記溶接トーチのオシレートを制御している状態で、オシレートの両端の少なくとも何れか一方にて、反転高さを複数回、把握し、把握した複数回の反転高さの平均値h´´に基づいて当該オシレート幅を補正することを特徴とする請求項5記載のプログラム。
- 前記オシレート制御機能による前記オシレート幅の補正は、前記反転高さの平均値h´´と予め設定されている設定反転高さhtとの差分が予め定められている差分値よりも大きい場合に実行されるとともに、当該差分が大きければ補正量が大きくなるように補正量が決定されることを特徴とする請求項6記載のプログラム。
- 溶接トーチをオシレートさせ、溶接中のアーク電圧を測定し、測定されたアーク電圧に基づいて当該溶接トーチを上下動させてアーク長を制御しながら母材を溶接する溶接方法であって、
前記溶接トーチのオシレート動作中にて、アーク長が制御された当該溶接トーチの上昇量である実測反転高さh´を把握し、予め設定されている設定反転高さhtと比較して開先面を連続して複数回、検知し、
複数回の開先面の検知に基づいて前記溶接トーチのオシレート幅を算出し、算出された当該オシレート幅により当該溶接トーチのオシレートを制御すること
を特徴とする溶接方法。 - 溶接トーチをオシレートさせ、溶接中のアーク電圧を測定し、測定されたアーク電圧に基づいて当該溶接トーチを上下動させてアーク長を制御しながら母材を溶接して溶接構造物を製造する溶接構造物の製造方法であって、
前記溶接トーチのオシレート動作中にて、アーク長が制御された当該溶接トーチの上昇量である実測反転高さh´を把握し、予め設定されている設定反転高さhtと比較して開先面を連続して複数回、検知する工程と、
前記開先面を連続して複数回、検知する工程による複数回の開先面の検知に基づいて前記溶接トーチのオシレート幅を算出し、算出された当該オシレート幅により当該溶接トーチのオシレートを制御して溶接を行う工程と
を備えたことを特徴とする溶接構造物の製造方法。
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