JP2014017241A - 薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法、薄膜硫黄被覆導電性カーボン、正極合材及び全固体型リチウム硫黄電池 - Google Patents

薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法、薄膜硫黄被覆導電性カーボン、正極合材及び全固体型リチウム硫黄電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、硫黄の持つ優れた物性を最大限に活かし、優れた放電容量とレート特性を有する全固体型リチウム硫黄電池の正極合材に好適に用いることができる薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法は、全固体型リチウム硫黄電池の正極合材に用いる、表面が硫黄薄膜で被覆された導電性カーボンを製造する方法であって、硫黄溶液にBET比表面積が500m/g以上の導電性カーボンを浸漬し、上記導電性カーボンの表面を硫黄で被覆する工程(a)、及び、上記工程(a)において表面が硫黄で被覆された導電性カーボンを上記硫黄溶液から分離する工程(b)を含む、ことを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法、薄膜硫黄被覆導電性カーボン、正極合材及び全固体型リチウム硫黄電池に関する。
硫黄は、理論容量が約1672mAh/gと非常に高いことが知られており、硫黄を正極活物質として使用したリチウム硫黄電池の研究が盛んに行われている。
リチウム硫黄電池は、電解質として液体電解質を用いた液体型リチウム硫黄電池と、固体電解質を用いた全固体型リチウム硫黄電池とに大別される。
液体型リチウム硫黄電池においては、リチウムイオンと硫黄との反応により生成した多硫化リチウムが電解質溶液中に溶け出し、電池の充放電容量や寿命に悪影響を与えることが問題となっていた。この問題を改善するために、スルファがコーティングされた多孔性導電材を含むカソード電極を用いた液体型リチウム硫黄電池が開示されている(特許文献1)。
一方、全固体型リチウム硫黄電池は、多硫化リチウムが電解質溶液に溶け出す問題が生じないため、電池の充放電容量の維持や長寿命化に適している。また、可燃性の有機溶媒を含まないため液漏れや発火のおそれがなく安全性を確保できる点や、セパレータが不要である点からは、液体型リチウム硫黄電池よりも全固体型リチウム硫黄電池が好ましい。
しかしながら、従来の全固体型リチウム硫黄電池では、正極活物質である硫黄が電気絶縁性であるため、硫黄粒子、あるいは硫黄薄膜の内部は、リチウムイオン伝導性及び電子伝導性が乏しく、十分に電池反応(酸化還元反応)が起こらないという課題があった。
特許文献2では、上記課題を鑑み、硫黄及び炭素系導電剤に、電極触媒として金属銅、金属鉄、硫化銅、硫化鉄、又は硫化セリウムを添加した正極合材が提案されている。
特開2003−197196号公報 特開2004−95243号公報
本発明は、硫黄の持つ優れた物性を最大限に活かし、優れた放電容量とレート特性を有する全固体型リチウム硫黄電池の正極合材に好適に用いることができる薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法を提供することを目的とする。また、上記製造方法により製造された薄膜硫黄被覆導電性カーボン、上記薄膜硫黄被覆導電性カーボンを含む正極合材、及び、上記正極合材を含む全固体型リチウム硫黄電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の末、BET比表面積が500m/g以上の導電性カーボンの表面を硫黄薄膜で被覆したもの(薄膜硫黄被覆導電性カーボン)が、優れた放電容量を有する全固体型リチウム硫黄電池の正極合材に好適であることを突き止め、このような薄膜硫黄被覆導電性カーボンを製造するのに適した方法を見出し、本発明を完成した。
なお、特許文献2は、導電性カーボンの表面を硫黄薄膜で被覆することを一切開示していない。
本発明の薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法は、
全固体型リチウム硫黄電池の正極合材に用いる、表面が硫黄薄膜で被覆された導電性カーボンを製造する方法であって、
硫黄溶液にBET比表面積が500m/g以上の導電性カーボンを浸漬し、上記導電性カーボンの表面を硫黄で被覆する工程(a)、及び、
上記工程(a)において表面が硫黄で被覆された導電性カーボンを上記硫黄溶液から分離する工程(b)を含む、ことを特徴とする。
上記薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法は、上記工程(b)において分離された、上記表面が硫黄で被覆された導電性カーボンを加熱処理する工程(c)をさらに含むことが好ましい。
上記薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法において、上記工程(c)における加熱処理の温度は、60℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。
また、上記薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法において、上記硫黄薄膜の膜厚は、0.4〜5.0nmであることが好ましく、1.0〜2.5nmであることがより好ましい。
本発明の薄膜硫黄被覆導電性カーボンは、本発明の薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法により製造されたものであることを特徴とする。
本発明の正極合材は、全固体型リチウム硫黄電池に用いるものであり、本発明の薄膜硫黄被覆導電性カーボン及び固体電解質を含むことを特徴とする。
本発明の全固体型リチウム硫黄電池は、本発明の正極合材を含む正極合材層、固体電解質層、負極及び集電体を備えることを特徴とする。
本発明の薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法は、BET比表面積が500m/g以上の導電性カーボンの表面を所定の工程を経て硫黄薄膜で被覆するため、上記導電性カーボンの表面が硫黄薄膜で均一に被覆された薄膜硫黄被覆導電性カーボンを簡便に製造することができる。
また、上記製造方法で製造された本発明の薄膜硫黄被覆導電性カーボンは、その硫黄内部において電子及びリチウムイオンの拡散が起こりやすいとの特性を有する。そのため、上記薄膜硫黄被覆導電性カーボンを全固体型リチウム硫黄電池の正極合材に用いることにより、正極合材層当たりの放電容量が大きく、レート特性に優れる全固体型リチウム硫黄電池を提供することができる。
また、本発明の正極合材は、上記薄膜硫黄被覆導電性カーボンを用いているため、放電容量が大きく、レート特性に優れる正極合材層を形成するのに好適である。
更に、本発明の全固体型リチウム硫黄電池は、本発明の正極合材を用いた正極合材層を備えるため、放電容量及びレート特性に優れる。
本発明の全固体型リチウム硫黄電池の実施形態の一例を模式的に表した断面図である。
<<薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法>>
まず、本発明の薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法について説明する。
本発明の薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法は、
全固体型リチウム硫黄電池の正極合材に用いる、表面が硫黄薄膜で被覆された導電性カーボンを製造する方法であって、
硫黄溶液にBET比表面積が500m/g以上の導電性カーボンを浸漬し、上記導電性カーボンの表面を硫黄で被覆する工程(a)、及び、
上記工程(a)において表面が硫黄で被覆された導電性カーボンを上記硫黄溶液から分離する工程(b)を含む、ことを特徴とする。
<工程(a)>
本発明の製造方法では、まず、硫黄溶液にBET比表面積が500m/g以上の導電性カーボンを浸漬し、上記導電性カーボンの表面を硫黄で被覆する工程(a)を行う。
そのため、まずは硫黄溶液を調製する。
上記硫黄溶液としては、硫黄が溶媒に溶解したものであれば特に限定されず、上記溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、二硫化炭素等を用いることができる。
これらの溶媒は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
これらの溶媒のうち、使用温度における硫黄の溶解度が、1〜10重量%であるものを用いることが好ましい。上記溶解度が1重量%未満である溶媒では、導電性カーボンを被覆する硫黄の量が少なくなる場合があり、一方、上記溶解度が10重量%を超える溶媒では、硫黄が溶媒に極めて溶解しやすく、相対的に導電性カーボンに吸着しにくくなるため、かえって導電性カーボンを被覆する硫黄の量が少なくなる場合があるからである。
これらのことを考慮すると、上記硫黄(単体硫黄又は硫黄含有化合物)の種類により使用温度における硫黄の溶解度が異なるため一概には言えないが、上記溶媒としてシクロヘキサンを用いることが好ましい。
また、上記硫黄溶液としては、硫黄の溶解度を上げるために加温した溶媒に硫黄を溶解させて得た硫黄溶液を用いても良いし、溶媒に硫黄を溶解させて得た硫黄溶液を加温したものを用いても良い。
また、上記硫黄溶液の調製に用いる硫黄としては、単体の硫黄を用いてもよいし、硫黄含有化合物を用いてもよい。
上記硫黄含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、Li、Li、Liなどの多硫化リチウム、硫化リチウム(LiS)等を用いることができる。
これらの化合物は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良く、更には単体の硫黄と併用してもよい。
本工程(a)では、上記硫黄溶液にBET比表面積が500m/g以上の導電性カーボンを浸漬し、上記導電性カーボンの表面を硫黄で被覆する。
上記導電性カーボンは、全固体型リチウム硫黄電池の正極合材において、電子伝導体として機能する。
上記導電性カーボンとしては、BET比表面積が500m/g以上のものであれば特に限定されず、例えば、アセチレンブラック、活性炭、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン等を用いることができる。
上記導電性カーボンは、ファーネスブラック、活性炭及びアセチレンブラックからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。その理由は、BET比表面積が大きく、且つ、正極合材層中の導電経路確保に有利であるためである。
また、上記導電性カーボンは、中空シェル構造を有するファーネスブラックであることがより好ましい。その理由は、中空シェル構造を有するためBET比表面積が非常に大きく、かつ、ファーネスブラックはストラクチャーが発達しているため、正極合材層中の導電経路形成により有利だからである。
上記中空シェル構造を有するファーネスブラックとは、導電性ファーネスブラックの一種であり、空隙率が60〜80%程度の中空シェル状の構造を持つものをいう。ここで「中空シェル構造」とは、黒鉛結晶が薄く寄り集まって粒子形態の外殻を形成し、外殻の内側に空隙を有する構造をいう。上記中空シェル構造を有するファーネスブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック(ライオン社製)等が挙げられる。
上記導電性カーボンは、BET比表面積が500m/g以上である。
上記BET比表面積が500m/g未満であると、導電性カーボンの表面を被覆する硫黄の量が少なく、その結果、正極合材に用いた際に、正極合材中の硫黄の充填率が低くなるからである。
上記BET比表面積は、750m/g以上が好ましく、1000m/g以上がより好ましい。
本明細書において、BET比表面積とは、Brenauer−Emmet−Telle(BET)法により求めた比表面積をいい、具体的には、導電性カーボンのサンプルを液体窒素温度下において、サンプルに窒素ガスを吸着して得られる窒素吸着等温線を用いて求めた比表面積をいう。
上記BET比表面積を求めるための測定装置としては、例えば、自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル株式会社製、BELSORP−miniII)を用いることができる。
本工程(a)において、上記導電性カーボンを浸漬する際の導電性カーボンと硫黄溶液との重量比は、硫黄溶液の溶媒として、上述したような使用温度における硫黄の溶解度が1〜10重量%である溶媒を使用した場合には、1:10〜1:1000が好ましい。
その理由は、1:10より硫黄溶液が少ないと硫黄の吸着量が不十分になる場合があるためである。一方、1:1000より硫黄溶液を多くしても硫黄の吸着量は殆ど変わらず、硫黄溶液が無駄になるからである。
本工程(a)において、上記導電性カーボンを浸漬する際の硫黄溶液の液温度や、浸漬時間は特に限定されないが、液温度は使用する溶媒の融点より高く、沸点以下の範囲であり、浸漬時間は10分間〜500時間であることが好ましい。
液温度が溶媒の融点以下では、凍ってしまう場合があり、一方、溶媒沸点より高い温度では、それ以上硫黄の溶解度が上がるなどの利点がない。
また、浸漬時間が10分間未満では、硫黄の被覆量が不十分となることがあり、一方、500時間を超えてもそれ以上硫黄の被覆量は上がらない。
また、本工程(a)では、上記導電性カーボンを浸漬しつつ、必要に応じて、超音波処理、撹拌処理等の処理を行っても良い。これにより、上記導電性カーボンの表面全体をより確実かつ均一に硫黄で被覆することができるからである。
上記超音波処理の条件は、特に限定されないが、例えば、発振周波数20〜50Hzの条件下、1〜500分間行うことができる。
上記撹拌処理は、特に限定されないが、例えば、マグネチックスターラー、メカニカルスターラー、振とう機等を用いて、使用する溶媒の融点より高く、沸点以下の温度範囲で10分間〜500時間の条件で行うことができる。
また、硫黄の被覆量を増やすためには、本工程(a)では、初めは温度を高くして硫黄溶液の濃度を高めておき、導電性カーボンへの硫黄の吸着に伴い硫黄溶液の濃度が低下するに従い、硫黄の飽和濃度を超えないように注意しながら、徐々に温度を下げてもよい。
本発明において、導電性カーボンの「表面」とは、BET法により比表面積を測定する際に、窒素ガスが吸着する部分をいい、「被覆する」とは、この窒素ガスが吸着する部分に硫黄が付着することをいう。
<工程(b)>
本発明の製造方法では、次に、上記工程(a)において表面が硫黄で被覆された導電性カーボンを上記硫黄溶液から分離する工程(b)を行う。
本工程(b)において、上記表面が硫黄で被覆された導電性カーボンを分離する方法としては、特に限定されないが、濾過、遠心分離、デカンテーション等の公知の方法を用いることができる。
上記濾過としては、特に限定されないが、例えば、自然濾過、吸引濾過(減圧濾過)、加圧濾過、遠心濾過等を採用することができる。
このような工程(b)を経ることより、表面が硫黄薄膜で被覆された導電性カーボン(薄膜硫黄被覆導電性カーボン)を得ることができる。
<工程(c)>
本発明の製造方法では、上記工程(b)を経て分離された、表面が硫黄で被覆された導電性カーボンを加熱処理する工程(c)を行うことが好ましい。
上記工程(c)を行うことにより、上記表面が硫黄で被覆された導電性カーボンに残存する溶媒をより確実に除去することができるからである。また、導電性カーボンの表面を被覆する硫黄薄膜を導電性カーボンの表面により強固に密着させることができ、固体界面の抵抗(硫黄薄膜と導電性カーボンとの間の抵抗)を低減できる。
なお、本工程(c)においては、複数回の加熱処理を、温度条件を変えながら段階的に行っても良い。
本工程(c)における加熱処理は、特に限定されないが、例えば、アルゴン、窒素、空気等の雰囲気下、1秒間〜50時間の条件で行えばよい。また、硫黄が昇華しない条件で、減圧して行っても良い。
本工程(c)において、加熱処理(本工程(c)において、複数回の加熱処理を温度条件を変えながら段階的に行う場合には、最後の加熱処理)の温度は、特に限定されないが、60℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。その理由は、上述の界面抵抗低減効果をより確実に享受することができるためである。
一方、加熱処理の温度の上限は特に限定されないが、250℃とすることが好ましい。その理由は、温度を250℃より高くしても、上述の界面抵抗低減効果はそれ以上向上しないため、加熱に要するエネルギーが無駄になるからである。
なお、上記加熱処理は、従来公知の乾燥装置を用いて行えばよく、具体的には、例えば、定温乾燥機、送風乾燥機、減圧乾燥機、赤外線乾燥機等を用いて行えばよい。
上記薄膜硫黄被覆導電性カーボンにおいて、上記硫黄薄膜は、膜厚が0.4〜5.0nmであることが好ましい。上記膜厚が0.4nmより薄いと、薄膜硫黄被覆導電性カーボン中の硫黄の量が少なくなり正極合材に対する硫黄の充填率が低くなる。また、上記膜厚が5.0nmを超えると、硫黄薄膜内部の拡散抵抗が増大し、放電容量が低下したり、レート特性が悪化したりする場合がある。
上記硫黄薄膜は、膜厚が1.0〜2.5nmであることがより好ましい。
なお、上記硫黄薄膜の膜厚は、上記薄膜硫黄被覆導電性カーボン中に占める導電性カーボン及び硫黄のそれぞれの重量、並びに、導電性カーボンのBET比表面積と硫黄の比重に基づいて算出すればよい。
上記製造方法において、上記硫黄薄膜の膜厚は、導電性カーボンの種類と量、溶媒の種類と量、硫黄溶液の濃度と温度、導電性カーボンの硫黄溶液への浸漬時間、撹拌条件等を調整することにより制御することができる。
上記薄膜硫黄被覆導電性カーボンにおいて、上記硫黄の含有量は、薄膜硫黄被覆導電性カーボン中に、20〜95重量%含有されていることが好ましく、50〜90重量%含有されていることがより好ましい。
上記硫黄の含有量が95重量%を超えると、硫黄薄膜の膜厚が厚くなり硫黄内部の拡散抵抗が高くなりすぎる場合があり、一方、上記硫黄の含有量が20重量%未満では、硫黄の量が少なくなり正極合材中の硫黄の充填率が低くなる場合があるからである。
このような本発明の薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法によれば、BET比表面積が500m/g以上の導電性カーボンに、均一な硫黄薄膜が形成された薄膜硫黄被覆導電性カーボンを製造することができる。
また、本発明の製造方法により製造された薄膜硫黄被覆導電性カーボンも本発明の1つである。
そして、上記薄膜硫黄被覆導電性カーボンは、硫黄内部の電子及びリチウムイオンの拡散が起こりやすいとの特性を有するため、上記薄膜硫黄被覆導電性カーボンを全固体型リチウム硫黄電池の正極合材に用いることにより、正極合材層当たりの放電容量が大きく、レート特性に優れる全固体型リチウム硫黄電池を提供することができる。
<<正極合材>>
次に、本発明の正極合材について説明する。
上記正極合材は、本発明の製造方法により製造された薄膜硫黄被覆導電性カーボン及び固体電解質を含む、全固体型リチウム硫黄電池に用いるものであり、正極合材層を形成するための材料である。
上記正極合材において、上記薄膜硫黄被覆導電性カーボンの含有量は、特に限定されないが、上記正極合材中に、40〜70重量%含有されていることが好ましい。
上記薄膜硫黄被覆導電性カーボンの含有量が40重量%未満であると、正極合材中の硫黄の充填率が低くなり、正極合材層当たりの放電容量が小さくなる場合があり、一方、上記薄膜硫黄被覆導電性カーボンの含有量が70重量%を超えると、固体電解質の充填率が下がることにより正極合材層のイオン伝導率が低下し、正極合材層当たりの放電容量が小さくなる場合がある。
<固体電解質>
上記固体電解質としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖及びポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種を含む高分子化合物等の高分子固体電解質等を用いることができる。
また、硫化物系固体電解質及び/又は酸化物系固体電解質等の無機固体電解質を用いることができる。
上記酸化物系固体電解質としては、例えば、リン及び酸素の少なくとも1種とリチウムとを含む無機固体電解質を好適に用いることができる。より具体的には、例えば、LiO−P、LiO−SiO、LiO−Nb、LiO−P−SiO、LiO−SiO−B、LiO−Al−GeO−P、LiO−Al−TiO−P等を用いることができる。
上記硫化物系固体電解質としては、例えば、リン及び硫黄の少なくとも1種とリチウムとを含む無機固体電解質を好適に用いることができる。より具体的には、例えば、LiS−P、LiS−P−P、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−LiBr、LiS−SiS−LiSiO等を用いることができる。
これらの固体電解質は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記固体電解質の含有量は、特に限定されないが、上記正極合材中に、30〜60重量%含有されていることが好ましい。
上記固体電解質の含有量が30重量%未満であると、正極合材層中のリチウムイオン伝導率が低下し、正極合材層当たりの放電容量が小さくなったり、レート特性が悪くなったりする場合があり、一方、上記固体電解質の含有量が60重量%を超えると、正極合材中の硫黄の充填率が低くなり、正極合材層当たりの放電容量が小さくなる場合がある。
上記正極合材は、必要に応じて、バインダー、溶媒等の任意成分を含んでいても良い。
<バインダー>
上記バインダーとしては、特に限定されないが、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等を用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
これらのバインダーは、単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
上記バインダーの含有量は、特に限定されないが、上記正極合材中に、0.01〜10重量%含有されていることが好ましい。
<溶媒>
上記溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N―ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン等のアミン系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸メチル等のエステル系溶媒、ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記溶媒の含有量は、特に限定されないが、上記正極合材中に、10〜99重量%含有されていることが好ましい。
上記溶媒を含有する正極合材を用いることにより、正極合材層を作製しやすくすることができる。上記溶媒は、正極合材層の作製後、乾燥により除去される。
<正極合材の作製方法>
上記正極合材は、薄膜硫黄被覆導電性カーボン及び固体電解質、更には、必要に応じてバインダーや溶媒等の任意成分を混合することにより得ることができる。
これらを混合する方法としては、特に限定されず従来公知の方法を用いることができるが、例えば、遊星ボールミル(フリッチュ社製)、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所社製)、コスモス(川崎重工業社製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、メカノミル(岡田精工社製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)、ナノソニックミル(井上製作所社製)、ニーダー(井上製作所社製)、スーパーマスコロイダー(増幸産業社製)、ナノメック・リアクター(テクノアイ社製)、コーネルデスパ(浅田鉄工所社製)、プラネタリミキサ(浅田鉄工所社製)等を用いて混合する方法が挙げられる。
上記正極合材の作製においては、各成分を混合した後、加熱処理を行うことが好ましい。
この理由は、正極合材に含まれる硫黄、導電性カーボン及び固体電解質の接触界面を強固にすることができ、界面抵抗を低減することができるからである。
上記加熱処理は、本発明の薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法における工程(c)の加熱処理条件と同様の条件で行えばよい。
このような加熱処理は、上記正極合材の作製に用いた上記薄膜硫黄被覆導電性カーボンとして、上述の薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法において、上記工程(c)を行うことなく製造した上記薄膜硫黄被覆導電性カーボンを用いる場合に行うのが特に好適である。
正極合材の作製時に加熱処理を行う効果、即ち、正極合材に含まれる硫黄、導電性カーボン及び固体電解質の界面抵抗低減の効果を特に顕著に享受することができるからである。
<<全固体型リチウム硫黄電池>>
次に、本発明の全固体型リチウム硫黄電池について、図面を参照しながら説明する。
上記全固体型リチウム硫黄電池は、本発明の正極合材を含む正極合材層、固体電解質層、負極及び集電体を備えた全固体型リチウム硫黄電池である。
本明細書において、「全固体型」とは、電解質として高分子固体電解質及び/又は無機固体電解質を用いたものであり、負極、固体電解質層及び正極合材層に実質的に溶媒を含有しないものをいう。
なお、本明細書において、「実質的に溶媒を含有しない」とは、溶媒が微量に残存しても良いことを意味する。
図1は、全固体型リチウム硫黄電池の実施形態の一例を模式的に表した断面図である。
図1に示すように、全固体型リチウム硫黄電池10は、負極2、固体電解質層3、正極合材層4が順に積層され、その両側に集電体(負極集電体1、正極集電体5)が配置された構造を備える。
以下、集電体(負極集電体、正極集電体)、負極、固体電解質層、正極合材層のそれぞれについて順に説明する。
<集電体>
上記集電体としては、特に限定されないが、例えば、Al、Cu、Ni、ステンレス等を用いることができる。
負極集電体としては、リチウムと合金を作り難い点、及び、薄膜に加工しやすい点から、Cuを用いることが好ましい。
正極集電体としては、薄膜に加工しやすく、安価であるという点でAlを用いることが好ましい。
<負極>
上記負極としては、リチウムイオンを吸蔵放出する材料を負極活物質として含んでいるものであれば、特に限定されるものではない。ここで、リチウムイオンを吸蔵放出する材料としては、例えば、金属リチウム、リチウム合金、金属酸化物、金属硫化物、リチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物質等が挙げられる。
上記リチウム合金としては、例えば、アルミニウム、シリコン、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム等とリチウムとの合金が挙げられる。上記金属酸化物としては、例えば、スズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物等が挙げられる。上記金属硫化物としては、例えば、スズ硫化物やチタン硫化物等が挙げられる。上記リチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物質としては、例えば、黒鉛、コークス、メソフェーズピッチ系炭素繊維、球状炭素、樹脂焼成炭素等が挙げられる。
上記負極を得る方法としては、特に限定されないが、上記リチウムイオンを吸蔵放出する材料をプレスする方法、上記リチウムイオンを吸蔵放出する材料と溶媒とを含む負極前駆体分散液を負極集電体に塗布、乾燥後プレスする方法等が挙げられる。
上記負極前駆体分散液に含まれる溶媒としては、上述の正極合材に用いられるものと同様のものを用いることができる。
なお、溶媒は負極前駆体分散液の塗布を助けるために使用され、塗布後は乾燥により除去される。
<固体電解質層>
上記固体電解質層は、上記固体電解質を加圧成形する方法、上記固体電解質を溶媒に分散させた後塗布・乾燥させる方法等により得ることができる。
これらの方法により固体電解質層を得る際、固体電解質層の界面抵抗の低減、及び、緻密性の向上を目的に、任意のタイミングで加熱処理を行っても良い。
上記固体電解質を加圧成形する方法としては、特に限定されないが、例えば、負極集電体と正極集電体とで固体電解質を挟み込んでプレスする方法、加圧成形機の治具でプレスする方法等が挙げられる。
上記固体電解質を溶媒に分散させた後塗布・乾燥させる方法により固体電解質層を得る場合には、乾燥後の固体電解質層を上記と同様の方法でプレスしてもよい。
<正極合材層>
上記正極合材層は、例えば、正極集電体に上記正極合材を担持させる方法、上記正極合材を加圧成形する方法等により得ることができる。
正極集電体に上記正極合材を担持させる方法としては、特に限定されないが、例えば、加圧成型する方法、有機溶媒等を用いてペースト化した正極合材を正極集電体に塗布、乾燥後プレスするなどして固着する方法等が挙げられる。
正極合材を正極集電体に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法、静電スプレー法等が挙げられる。
上記正極合材を加圧成形する方法としては、特に限定されないが、例えば、負極集電体及び固体電解質層と、正極集電体との間に正極合材を挟み込んでプレスする方法、加圧成形機の治具でプレスする方法等が挙げられる。
これらの方法により正極合材層を得る際、正極合材層の界面抵抗の低減、及び、緻密性の向上を目的に、任意のタイミングで加熱処理を行っても良い。
上記全固体型リチウム硫黄電池は、上述の負極集電体、負極、固体電解質層、正極合材層、正極集電体のほか、セパレータ等を有していても良い。
<全固体型リチウム硫黄電池の作製方法>
上記全固体型リチウム硫黄電池の作製方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法等が挙げられる。
まず、負極集電体と正極集電体とで固体電解質を挟み込んでプレスし、固体電解質層を作製する。次に、一旦、正極集電体を取り除き、固体電解質層の片側に正極合材を堆積し、その両端を集電体(固体電解質層側に負極集電体、正極合材側に正極集電体)で挟み込んでプレスし、固体電解質層の一方の面に正極合材層と正極集電体とを積層し、固体電解質層のもう一方の面に負極集電体を積層する。最後に、一旦、負極集電体を取り除き、固体電解質層の正極合材層側と反対側に負極を入れ、さらに、負極側に負極集電体を入れてプレスし、固体電解質層の他方の面に負極と負極集電体とを積層する。また、上記のように一層ずつプレスしても良いし、二層以上を堆積させて、複数層をまとめてプレスして積層させても良い。このような方法により、全固体型リチウム硫黄電池を作製することができる。
上記全固体型リチウム硫黄電池の形状は、特に限定されないが、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型等が挙げられる。
<全固体型リチウム硫黄電池の用途>
上記全固体型リチウム硫黄電池の用途としては、特に限定されないが、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等、高いエネルギー密度が要求される電気製品に好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
1.使用原料
以下の実施例及び比較例においては、以下の材料を使用した。
1−1.正極活物質
硫黄(Aldrich社製、比重2g/cm
1−2.導電性カーボン
活性炭(クラレケミカル社製、YP−80F(BET比表面積:1,933m/g))
中空シェル構造を有するファーネスブラック(ライオン社製、ケッチェンブラックEC−600JD(BET比表面積:1,156m/g))
アセチレンブラック(電気化学工業社製、OSAB(BET比表面積:850m/g))
アセチレンブラック(Strem Chemicals社製、アセチレンカーボンブラック(BET比表面積:75m/g))
1−3.負極材料
リチウムシート(フルウチ化学社製、厚さ0.25mm)
インジウムシート(フルウチ化学社製、厚さ0.30mm)
1−4.薄膜硫黄被覆導電性カーボン作製用の有機溶媒
シクロヘキサン(和光純薬工業社製、試薬特級)
1−5.固体電解質作製用の原料
硫化リチウム(フルウチ化学社製、LiS)
五硫化二りん(Aldrich社製、P
2.固体電解質の作製方法
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス(美和製作所社製、MDB−1KP型)内で、硫化リチウム0.453gと五硫化二りん0.547gを乳鉢で混合したものと4mmΦのジルコニアボール180gとを容量80mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度250rpm、公転速度500rpm(自転と逆回転)で10時間処理した後、アルゴン雰囲気で220℃、2時間加熱して、固体電解質を作製した。
3.全固体型リチウム硫黄電池の作製方法
下記の電池作製は、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
ポリカーボネート製の円筒管治具(内径10mmΦ、外径23mmΦ、高さ20mm)の下側から負極集電体としてSUS304製の円筒治具(10mmΦ、高さ10mm)を差し込み、ポリカーボネート製の円筒管治具の上側から固体電解質70.0mgを入れて、さらに正極集電体としてSUS304製の円筒治具(10mmΦ、高さ15mm)をポリカーボネート製の円筒管治具の上側から差し込んで固体電解質を挟み込み、200MPaの圧力で1分間プレスすることにより直径10mmΦ、厚さ約0.6mmの固体電解質層を作製した。
次に、上側から差し込んだSUS304製の円筒治具(正極集電体)を一旦抜き取り、ポリカーボネート製の円筒管内の固体電解質層の上に正極合材15.0mgを入れ、再び上側からSUS304製の円筒治具(正極集電体)を差し込み、200MPaの圧力で3分間プレスすることで、直径10mmΦ、厚さ約0.1mmの正極合材層を形成した。
次に、下側から差し込んだSUS304製の円筒治具(負極集電体)を抜き取り、負極としてリチウムシートを穴あけポンチで直径8mmΦに打ち抜いたものとインジウムシートを穴あけポンチで直径9mmΦに打ち抜いたものを重ねてポリカーボネート製の円筒管治具の下側から入れて、再び下側からSUS304製の円筒治具(負極集電体)を差し込み、80MPaの圧力で3分間プレスすることでリチウム−インジウム合金負極を形成した。
以上のようにして、下側から順に、負極集電体、リチウム−インジウム合金負極、固体電解質層、正極合材層、正極集電体が積層された全固体型リチウム硫黄電池を作製した。
4.評価方法
下記の実施例及び比較例においては、以下の評価を実施した。
(a)BET比表面積
自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル株式会社製、BELSORP−mini II)を用いて測定し、BET法により測定した。
(b)放電容量
充放電試験装置(アスカ電子社製、ACD−M01A)を用いて、0.20mA(0.25mA/cm)の電流値で充放電を繰り返し、3サイクル目の放電容量を測定した。
測定した放電容量を、正極合材中の薄膜硫黄被覆導電性カーボン(比較例3、4にあっては、硫黄と導電性カーボンの混合物)に含まれる硫黄の重量(g)で除して得た数値を硫黄当たりの放電容量とし、正極合材層の重量(0.015g)で除して得た数値を正極合材層当たりの放電容量とした。
なお、下記表1において、硫黄当たりの放電容量が、理論容量である約1672mAh/gよりも高くなっている実施例がいくつか存在するが、これは、正極合材中の固体電解質に残存する硫化リチウム(LiS)の一部も正極活物質として働いているためと考えられる。
(比較例1)
硫黄200mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に活性炭100mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、活性炭を分散させた。続いて、25℃で48時間、マグネチックスターラーで撹拌して活性炭に硫黄を吸着させることにより、硫黄で活性炭を被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により表面が硫黄で被覆された活性炭を沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、0.63wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は0.99wt%であるので、73.0mgの硫黄が100mgの活性炭を被覆したことになる。従って、表面が硫黄で被覆された活性炭中の硫黄は42.2wt%(表1)になる。用いた活性炭のBET比表面積は1,933m/gなので、比重2g/cmの硫黄は0.19nmの厚みで被覆されていることとなる。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、表面が硫黄で被覆された活性炭を硫黄溶液から分離し、70℃で1時間加熱処理することにより、160.9mg(収率93%)の薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭100mgと固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、140mg(収率70%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例1)
硫黄500mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、50℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に活性炭100mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、活性炭を分散させた。続いて、50℃で1時間マグネチックスターラーを用いて撹拌した後、3時間かけて25℃まで下げ、その後、25℃で48時間撹拌して活性炭に硫黄を吸着させることにより、硫黄で活性炭を被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により表面が硫黄で被覆された活性炭を沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、0.78wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は2.44wt%であるので、343.5mgの硫黄が100mgの活性炭を被覆したことになる。従って、表面が硫黄で被覆された活性炭中の硫黄は77.5wt%(表1)になる。用いた活性炭のBET比表面積は1,933m/gなので、比重2g/cmの硫黄は0.89nmの厚みで被覆されていることとなる。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、表面が硫黄で被覆された活性炭を硫黄溶液から分離し、70℃で1時間加熱処理することにより、418.8mg(収率94%)の薄膜硫黄被覆活性炭を得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆活性炭100mgと固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、140mg(収率70%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(比較例2)
硫黄200mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液にアセチレンブラック(BET比表面積:75m/g)100mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、アセチレンブラックを分散させた。続いて、25℃で48時間、マグネチックスターラーで撹拌してアセチレンブラックに硫黄を吸着させることにより、硫黄でアセチレンブラックを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により表面が硫黄で被覆されたアセチレンブラックを沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、0.94wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は0.99wt%であるので、11.2mgの硫黄が100mgのアセチレンブラックを被覆したことになる。従って、表面が硫黄で被覆されたアセチレンブラック中の硫黄は10.1wt%(表1)になる。用いたアセチレンブラックのBET比表面積は75m/gなので、比重2g/cmの硫黄は0.75nmの厚みで被覆されていることとなる。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、表面が硫黄で被覆されたアセチレンブラックを硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、102.1mg(収率92%)の薄膜硫黄被覆アセチレンブラックを得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆アセチレンブラック100mgと固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、143mg(収率72%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(比較例3)
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと硫黄68.4mgとアセチレンブラック(BET比表面積:850m/g)31.6mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で1時間処理し、その後25℃で1時間加熱処理し、続いて固体電解質100mgを加えて、さらに遊星ボールミルで、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、142mg(収率71%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(比較例4)
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと硫黄68.4mgとアセチレンブラック(BET比表面積:850m/g)31.6mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で1時間処理し、その後160℃で1時間加熱処理し、続いて固体電解質100mgを加えて、さらに遊星ボールミルで、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、142mg(収率71%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例2)
硫黄400mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、50℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液にアセチレンブラック(BET比表面積:850m/g)100mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、アセチレンブラックを分散させた。続いて、50℃で1時間マグネチックスターラーを用いて撹拌した後、3時間かけて25℃まで下げ、その後、25℃で48時間撹拌してアセチレンブラックに硫黄を吸着させることにより、硫黄でアセチレンブラックを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により表面が硫黄で被覆されたアセチレンブラックを沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、0.91wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は1.96wt%であるので、216.8mgの硫黄が100mgのアセチレンブラックを被覆したことになる。従って、表面が硫黄で被覆されたアセチレンブラック中の硫黄は68.4wt%(表1)になる。用いたアセチレンブラックのBET比表面積は850m/gなので、比重2g/cmの硫黄は1.28nmの厚みで被覆されていることとなる。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、表面が硫黄で被覆されたアセチレンブラックを硫黄溶液から分離し、25℃で1時間加熱処理することにより、298.2mg(収率94%)の薄膜硫黄被覆アセチレンブラックを得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆アセチレンブラック100mgと固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、138mg(収率69%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例3)
実施例2と同じ方法で、硫黄でアセチレンブラックを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により表面が硫黄で被覆されたアセチレンブラックを沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、0.91wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は1.96wt%であるので、216.8mgの硫黄が100mgのアセチレンブラックを被覆したことになる。従って、表面が硫黄で被覆されたアセチレンブラック中の硫黄は68.4wt%(表1)になる。用いたアセチレンブラックのBET比表面積は850m/gなので、比重2g/cmの硫黄は1.28nmの厚みで被覆されていることとなる。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、表面が硫黄で被覆されたアセチレンブラックを硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、295.2mg(収率93%)の薄膜硫黄被覆アセチレンブラックを得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆アセチレンブラック100mgと固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、140mg(収率70%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(比較例5)
硫黄200mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に中空シェル構造を有するファーネスブラック(BET比表面積:1,156m/g)100mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、ファーネスブラックを分散させた。続いて、25℃で48時間、マグネチックスターラーで撹拌してファーネスブラックに硫黄を吸着させることにより、硫黄でファーネスブラックを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により表面が硫黄で被覆されたファーネスブラックを沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、0.78wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は0.99wt%であるので、43.2mgの硫黄が100mgのファーネスブラックを被覆したことになる。従って、表面が硫黄で被覆されたファーネスブラック中の硫黄は30.2wt%(表1)になる。用いたファーネスブラックのBET比表面積は1,156m/gなので、比重2g/cmの硫黄は0.19nmの厚みで被覆されていることとなる。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、表面が硫黄で被覆されたファーネスブラックを硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、132.1mg(収率92%)の薄膜硫黄被覆ファーネスブラックを得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆ファーネスブラック100mgと固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、140mg(収率70%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例4)
硫黄275mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、50℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に中空シェル構造を有するファーネスブラック(BET比表面積:1,156m/g)100mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、ファーネスブラックを分散させた。続いて、50℃で1時間マグネチックスターラーを用いて撹拌した後、3時間かけて25℃まで下げ、その後、25℃で48時間撹拌してファーネスブラックに硫黄を吸着させることにより、硫黄でファーネスブラックを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により表面が硫黄で被覆されたファーネスブラックを沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、0.84wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は1.36wt%であるので、106.0mgの硫黄が100mgのファーネスブラックを被覆したことになる。従って、表面が硫黄で被覆されたファーネスブラック中の硫黄は51.5wt%(表1)になる。用いたファーネスブラックのBET比表面積は1,156m/gなので、比重2g/cmの硫黄は0.46nmの厚みで被覆されていることとなる。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、表面が硫黄で被覆されたファーネスブラックを硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、193.5mg(収率94%)の薄膜硫黄被覆ファーネスブラックを得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆ファーネスブラック100mgと固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、139mg(収率70%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例5)
硫黄500mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、50℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に中空シェル構造を有するファーネスブラック(BET比表面積:1,156m/g)100mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、ファーネスブラックを分散させた。続いて、50℃で1時間マグネチックスターラーを用いて撹拌した後、3時間かけて25℃まで下げ、その後、25℃で48時間撹拌してファーネスブラックに硫黄を吸着させることにより、硫黄でファーネスブラックを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により表面が硫黄で被覆されたファーネスブラックを沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、1.09wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は2.44wt%であるので、280.1mgの硫黄が100mgのファーネスブラックを被覆したことになる。従って、表面が硫黄で被覆されたファーネスブラック中の硫黄は73.7wt%(表1)になる。用いたファーネスブラックのBET比表面積は1,156m/gなので、比重2g/cmの硫黄は1.21nmの厚みで被覆されていることとなる。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、表面が硫黄で被覆されたファーネスブラックを硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、357.2mg(収率94%)の薄膜硫黄被覆ファーネスブラックを得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆ファーネスブラック100mgと固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、139mg(収率70%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例6)
硫黄1,000mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、50℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に中空シェル構造を有するファーネスブラック(BET比表面積:1,156m/g)145mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、ファーネスブラックを分散させた。続いて、50℃で1時間マグネチックスターラーを用いて撹拌した後、3時間かけて25℃まで下げ、その後、25℃で48時間撹拌し、続いて3時間かけて15℃まで下げ、その後、15℃で48時間撹拌してファーネスブラックに硫黄を吸着させることにより、硫黄でファーネスブラックを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により表面が硫黄で被覆されたファーネスブラックを沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、0.92wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は4.76wt%であるので、814.3mgの硫黄が145mgのファーネスブラックを被覆したことになる。従って、表面が硫黄で被覆されたファーネスブラック中の硫黄は84.9wt%(表1)になる。用いたファーネスブラックのBET比表面積は1,156m/gなので、比重2g/cmの硫黄は2.43nmの厚みで被覆されていることとなる。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、表面が硫黄で被覆されたファーネスブラックを硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、911.9mg(収率95%)の薄膜硫黄被覆ファーネスブラックを得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆ファーネスブラック100mgと固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、143mg(収率72%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例7)
硫黄1,000mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、50℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に中空シェル構造を有するファーネスブラック(BET比表面積:1,156m/g)105mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、ファーネスブラックを分散させた。続いて、50℃で1時間マグネチックスターラーを用いて撹拌した後、3時間かけて25℃まで下げ、その後、25℃で48時間撹拌し、続いて3時間かけて15℃まで下げ、その後、15℃で48時間撹拌してファーネスブラックに硫黄を吸着させることにより、硫黄でファーネスブラックを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により表面が硫黄で被覆されたファーネスブラックを沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、1.02wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は4.76wt%であるので、793.9mgの硫黄が105mgのファーネスブラックを被覆したことになる。従って、表面が硫黄で被覆されたファーネスブラック中の硫黄は88.3wt%(表1)になる。用いたファーネスブラックのBET比表面積は1,156m/gなので、比重2g/cmの硫黄は3.27nmの厚みで被覆されていることとなる。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、表面が硫黄で被覆されたファーネスブラックを硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、855.3mg(収率95%)の薄膜硫黄被覆ファーネスブラックを得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆ファーネスブラック100mgと固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、142mg(収率71%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例8)
硫黄1,000mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、50℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に中空シェル構造を有するファーネスブラック(BET比表面積:1,156m/g)70mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、ファーネスブラックを分散させた。続いて、50℃で1時間マグネチックスターラーを用いて撹拌した後、3時間かけて25℃まで下げ、その後、25℃で48時間撹拌し、続いて3時間かけて15℃まで下げ、その後、15℃で48時間撹拌してファーネスブラックに硫黄を吸着させることにより、硫黄でファーネスブラックを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により表面が硫黄で被覆されたファーネスブラックを沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、1.05wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は4.76wt%であるので、787.8mgの硫黄が70mgのファーネスブラックを被覆したことになる。従って、表面が硫黄で被覆されたファーネスブラック中の硫黄は91.8wt%(表1)になる。用いたファーネスブラックのBET比表面積は1,156m/gなので、比重2g/cmの硫黄は4.87nmの厚みで被覆されていることとなる。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、表面が硫黄で被覆されたファーネスブラックを硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、813.4mg(収率95%)の薄膜硫黄被覆ファーネスブラックを得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆ファーネスブラック100mgと固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、139mg(収率70%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(比較例6)
硫黄1,000mgとシクロヘキサン20gを50mlのスクリュー管に入れて、50℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に中空シェル構造を有するファーネスブラック(BET比表面積:1,156m/g)60mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、ファーネスブラックを分散させた。続いて、50℃で1時間マグネチックスターラーを用いて撹拌した後、3時間かけて25℃まで下げ、その後、25℃で48時間撹拌し、続いて3時間かけて15℃まで下げ、その後、15℃で48時間撹拌してファーネスブラックに硫黄を吸着させることにより、硫黄でファーネスブラックを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により表面が硫黄で被覆されたファーネスブラックを沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、1.10wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は4.76wt%であるので、777.6mgの硫黄が60mgのファーネスブラックを被覆したことになる。従って、表面が硫黄で被覆されたファーネスブラック中の硫黄は92.8wt%(表1)になる。用いたファーネスブラックのBET比表面積は1,156m/gなので、比重2g/cmの硫黄は5.61nmの厚みで被覆されていることとなる。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、表面が硫黄で被覆されたファーネスブラックを硫黄溶液から分離し、160℃で1時間加熱処理することにより、792.6mg(収率95%)の薄膜硫黄被覆ファーネスブラックを得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆ファーネスブラック100mgと固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、142mg(収率71%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例9)
硫黄900mgとシクロヘキサン24gを50mlのスクリュー管に入れて、50℃に加熱しながら、マグネチックスターラーで撹拌して硫黄を溶解させた。次に、この硫黄のシクロヘキサン溶液に中空シェル構造を有するファーネスブラック(BET比表面積:1,156m/g)174mgを浸漬し、超音波処理(出力100W、発振周波数28Hz、40分間)を行い、ファーネスブラックを分散させた。続いて、50℃で1時間マグネチックスターラーを用いて撹拌した後、3時間かけて25℃まで下げ、その後、25℃で48時間撹拌し、続いて3時間かけて15℃まで下げ、その後、15℃で48時間撹拌してファーネスブラックに硫黄を吸着させることにより、硫黄でファーネスブラックを被覆した。
硫黄被覆後の分散液の内、約2gを抜き取り遠心分離により表面が硫黄で被覆されたファーネスブラックを沈降させ、上澄みの硫黄溶液の固形分含有率を測定したところ、0.97wt%であった。もとの硫黄溶液の濃度は3.61wt%であるので、664.9mgの硫黄が174mgのファーネスブラックを被覆したことになる。従って、表面が硫黄で被覆されたファーネスブラック中の硫黄は79.3wt%(表1)になる。用いたファーネスブラックのBET比表面積は1,156m/gなので、比重2g/cmの硫黄は1.65nmの厚みで被覆されていることとなる。
硫黄の被覆量及び膜厚計算のために抜き取った約2g以外の残り全量を吸引ろ過することにより、表面が硫黄で被覆されたファーネスブラックを硫黄溶液から分離し、25℃で1時間加熱処理することにより、792.2mg(収率94%)の薄膜硫黄被覆ファーネスブラックを得た。
次に、露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと薄膜硫黄被覆ファーネスブラック100mgと固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、143mg(収率72%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例10)
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと、実施例9で得た薄膜硫黄被覆ファーネスブラック100mgをさらに40℃で1時間加熱処理したものと、固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、142mg(収率71%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例11)
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと、実施例9で得た薄膜硫黄被覆ファーネスブラック100mgをさらに60℃で1時間加熱処理したものと、固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、143mg(収率72%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例12)
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと、実施例9で得た薄膜硫黄被覆ファーネスブラック100mgをさらに80℃で1時間加熱処理したものと、固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、140mg(収率70%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例13)
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと、実施例9で得た薄膜硫黄被覆ファーネスブラック100mgをさらに100℃で1時間加熱処理したものと、固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、141mg(収率71%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例14)
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと、実施例9で得た薄膜硫黄被覆ファーネスブラック100mgをさらに160℃で1時間加熱処理したものと、固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、138mg(収率69%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
(実施例15)
露点温度が−70℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mmΦのジルコニアボール40gと、実施例9で得た薄膜硫黄被覆ファーネスブラック100mgをさらに250℃で1時間加熱処理したものと、固体電解質100mgを容量45mlのジルコニア製容器(フリッチュ社製、Premium line P−7用)に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P−7)で、自転速度185rpm、公転速度370rpm(自転と逆回転)で2時間処理することにより、139mg(収率70%)の正極合材を得た。
この正極合材を用いて、上述した電池作製方法に従い電池を作製し、放電容量を測定した。
比較例1〜6及び実施例1〜15における、導電性カーボンの種類及びBET比表面積、硫黄被覆の有無、膜厚、表面が硫黄で被覆された導電性カーボン(比較例3、4にあっては、硫黄と導電性カーボンの混合物)中の硫黄及び導電性カーボンの重量比、加熱処理温度(1回目・2回目)、並びに、硫黄1g当たりの放電容量及び正極合材層1g当たりの放電容量を表1に示す。
また、比較例1〜6及び実施例1〜15で作製した正極合材中に含まれる、導電性カーボン、硫黄及び固体電解質の量を表2に示す。
Figure 2014017241
Figure 2014017241
実施例1の正極合材層当たりの放電容量が670mAh/gであるのに対し、比較例1の正極合材層当たりの放電容量が128mAh/gと小さいのは、薄膜硫黄被覆活性炭の硫黄薄膜の膜厚が0.19nmと薄いためである。
実施例2の正極合材層当たりの放電容量が496mAh/gであるのに対し、比較例2の正極合材層当たりの放電容量が83mAh/gと小さいのは、薄膜硫黄被覆アセチレンブラックに用いたアセチレンブラックのBET比表面積が75m/gと小さく、正極合材中の硫黄の含有量が少なくなるためである。
比較例3の正極合材層当たりの放電容量が451mAh/gであるのに対し、実施例2の正極合材層当たりの放電容量は496mAh/gと大きくなっている。これは、絶縁性である硫黄を薄膜化することにより、硫黄内部の拡散距離が短くなり拡散抵抗が低減されたためと考えられる。
比較例3では硫黄とアセチレンンブラックとの混合物を25℃で加熱処理したのに対し、比較例4では160℃で加熱処理した。しかしながら、比較例3の正極合材層当たりの放電容量が451mAh/gであるのに対し、比較例4の正極合材層当たりの放電容量は462mAh/gと、ほとんど変わらなかった。
一方、実施例2では表面が硫黄で被覆されたアセチレンブラックを25℃で加熱処理したのに対し、実施例3では160℃で加熱処理したところ、正極合材層当たりの放電容量が496mAh/gから568mAh/gへと顕著に増加した。
以上のことから、遊星ボールミルで処理した硫黄とアセチレンブラックの混合物は加熱処理の温度を上げても正極合材層当たりの放電容量はほとんど変わらないのに対し、表面が硫黄で被覆されたアセチレンブラックの加熱処理温度を上げると、正極合材層当たりの放電容量が顕著に増加することがわかる。
比較例5、6及び実施例4〜8では、ファーネスブラックに被覆した硫黄薄膜の膜厚を変化させているが、硫黄薄膜の膜厚が0.19nmと薄い比較例5の正極合材層当たりの放電容量は、108mAh/gと小さく、また、硫黄薄膜の膜厚が5.61nmと厚い比較例6の正極合材層当たりの放電容量も255mAh/gと小さい。一方、硫黄薄膜の膜厚範囲が0.4〜5.0nmの実施例4〜8では、正極合材層当たりの放電容量は、何れも470mAh/g以上と大きくなっている。特に、硫黄薄膜の膜厚範囲が1.0〜2.5nmの実施例5、6では、正極合材層当たりの放電容量は650mAh/g以上と非常に大きくなっている。
これらのことから、硫黄薄膜の膜厚が薄すぎると正極合材中の硫黄の含有量が少なくなり、結果として正極合材層当たりの放電容量が小さくなる一方、硫黄薄膜の膜厚が厚すぎるとリチウムイオン及び電子の拡散距離が長くなることにより拡散抵抗が増大して、正極合材内の抵抗が増加し、結果として正極合材層当たりの放電容量が減少すると考えられる。
実施例9では、表面が硫黄で被覆されたファーネスブラックを25℃で1回のみ加熱処理を行ったのに対し、実施例10〜15では25℃で1回目の加熱処理を行った後、さらに40〜250℃で2回目の加熱処理を行った。その結果、正極合材層当たりの放電容量は、実施例9では404mAh/gであるのに対し、実施例10では458mAh/g、実施例11では642mAh/g、実施例12では662mAh/g、実施例13では710mAh/g、実施例14では751mAh/gと段階的に増加した。実施例15では、正極合材層当たりの放電容量は753mAh/gであり、実施例14の正極合材層当たりの放電容量とほとんど変わらなくなった。
1 負極集電体
2 負極
3 固体電解質層
4 正極合材層
5 正極集電体
10 全固体型リチウム硫黄電池

Claims (9)

  1. 全固体型リチウム硫黄電池の正極合材に用いる、表面が硫黄薄膜で被覆された導電性カーボンを製造する方法であって、
    硫黄溶液にBET比表面積が500m/g以上の導電性カーボンを浸漬し、前記導電性カーボンの表面を硫黄で被覆する工程(a)、及び、
    前記工程(a)において表面が硫黄で被覆された導電性カーボンを前記硫黄溶液から分離する工程(b)を含む、
    薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法。
  2. 前記工程(b)において分離された、前記表面が硫黄で被覆された導電性カーボンを加熱処理する工程(c)をさらに含む、
    請求項1記載の薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法。
  3. 前記工程(c)において、加熱処理の温度は60℃以上である、請求項2記載の薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法。
  4. 前記工程(c)において、加熱処理の温度は100℃以上である、請求項2記載の薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法。
  5. 前記硫黄薄膜は膜厚が0.4〜5.0nmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法。
  6. 前記硫黄薄膜は膜厚が1.0〜2.5nmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の薄膜硫黄被覆導電性カーボンの製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により製造された薄膜硫黄被覆導電性カーボン。
  8. 請求項7に記載の薄膜硫黄被覆導電性カーボン及び固体電解質を含む、全固体型リチウム硫黄電池に用いる正極合材。
  9. 請求項8に記載の正極合材を含む正極合材層、固体電解質層、負極及び集電体を備えた全固体型リチウム硫黄電池。
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