JP2014015574A - ハロゲン含有ポリメタクリル酸エステルの処理方法 - Google Patents

ハロゲン含有ポリメタクリル酸エステルの処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ハロゲン原子を末端に有するポリメタアクリル酸エステルの熱安定性を向上させるための処理方法を提供する。
【解決手段】ハロゲン原子を末端に有するポリメタアクリル酸エステルを、双極子モーメントが3D以上の極性溶媒に溶解して、メルカプタンカリウム塩、カルボン酸ナトリウムなどの弱塩基を加えて加熱処理することにより末端ハロゲン原子ポリマーを選択的に末端ラクトン化ポリマーに変換することでポリメタアクリル酸エステルの熱安定性を向上させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子を末端に有するポリメタクリル酸エステルを、極性溶媒中、弱塩基化合物で処理して熱安定性を改善させたポリマーを製造する方法に関する。
近年、様々なリビングラジカル重合が開発され、多数のグループで積極的に研究がなされて来た。リビングラジカル重合の中でも、1995年、澤本らが報告した原子移動ラジカル重合(以下にATRPと略記する)は、2−ブロモイソ酪酸エチルなどのハロゲン化合物を開始剤として2,2‘-ビピリジンやその誘導体などで錯体化された臭化銅(I)を触媒として各種メタクリル酸エステル類のリビングラジカル重合に用いられ、分子量分布の狭いポリマー、ブロックポリマーなどの機能性ポリマーの重合に応用されている。また、それ以外にも、金属類を全く使用しないで有機ヨウ素化物等を重合開始剤とする可逆移動触媒重合法(以下にRTCPと略記する)も簡便なメタクリル酸エステル類のリビングラジカル重合法として紹介されている。
ハロゲン化合物を開始剤として使用するリビングラジカル重合では、得られたポリマーの成長末端に重合開始剤として使用したハロゲン化合物に由来する塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子が残存するので、ポリマーの熱分解温度が低下し、ポリマーを熱成型加工に用いた場合、加工品が着色するなどの問題があった。
特許文献1には、RTCPによるメタクリル酸エステルとアクリル酸エステルの共重合体の末端ヨウ素原子をアクリル酸カリウムで処理して末端にアクリル酸エステルの結合したポリマーを合成することが開示されているが、メタクリル酸エステルとアクリル酸エステルの共重合体であるため、耐熱分解性は低い物であった。
特開2011−74326号公報
解決しようとする課題は、ATRPやRTCPなどのリビングラジカル重合で作られる分子量分布の狭いハロゲン原子を末端に有するポリメタクリル酸エステルを、重合後、メタノールやヘキサンなどの貧溶媒に投入して再沈精製して乾燥した後の当該ポリマーの熱安定性を向上させるための処理方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、末端にハロゲン原子を有するポリメタクリル酸エステルを、双極子モーメントが3D以上の極性溶媒に溶解し、メルカプタンカリウム塩、カルボン酸ナトリウムなどの弱塩基を加えて加熱処理することにより末端ハロゲン原子ポリマーを選択的に末端ラクトン化ポリマーに変換することでポリメタクリル酸エステルの熱安定性を向上させる方法を見出し、本発明に至った。
本発明の態様は以下のようである。
態様(1)
末端にハロゲン原子を有するポリメタクリル酸エステルを双極子モーメントが3D以上の極性溶媒に溶解し、弱塩基で加熱処理してポリマー末端をラクトンに変換する処理方法。
態様(2)
前記双極子モーメントが3D以上の極性溶媒が、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドンである態様(1)の処理方法。
態様(3)
前記弱塩基が、炭素数が1から6の飽和、または不飽和のアルキルカルボン酸ナトリウム、炭素数が1から6の飽和、または不飽和のアルキルカルボン酸カリウム、ブチルメルカプタンカリウム、オクチルメルカプタンカリウム、ブチルメルカプタンナトリウム、オクチルメルカプタンナトリウムである態様(1)の処理方法。
態様(4)
前記加熱処理の温度が、70℃から130℃である態様(1)の処理方法。
本発明によれば、ハロゲン原子を末端に有するポリメタクリル酸エステルの熱分解温度が向上することで、当該ポリマーを熱成型加工に用いた場合の加工品の着色や品質低下を防ぐことが出来るという利点がある。
ATRPやRTCPによって合成された末端に塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子が結合したポリメタクリル酸エステルの場合、ハロゲン原子が三級炭素に結合しているので、二級炭素にハロゲン原子が結合しているポリアクリル酸エステルのように求核試薬による置換反応によって簡単にハロゲン原子を除去することができない。
三級炭素に結合したハロゲン原子を有する化合物にカルボン酸塩のような求核試薬を作用させた場合、先ずハロゲンイオンが脱離してカルボニウムイオンが生成し、カルボニウムイオンは溶媒和を形成するが、立体障害のために溶媒和されたカルボニウムイオンを求核試薬が攻撃してハロゲン原子との置換反応物が生成することは殆ど無く、カルボニウムイオンに隣接する炭素に水素原子を有する場合には水素イオンが脱離してエキソ、又はエンドのオレフィン化合物が生成する反応が一般的である。
しかし、例えば、ポリメタクリル酸メチル(以下PMMAと略す)の様なポリメタクリル酸エステルの場合、生成したカルボニウムイオンのβ位にエステル基があるので式1で示すようなβ位のエステルのカルボニルがカルボニウムイオンと5員環構造を取るような中間体を取りやすいので、カルボニウムイオンとβ位エステル基のカルボニルが反応
Figure 2014015574
し、次いでエステルのアルキル基が脱離することで末端にラクトン環を作りやすい構造をしている。
一方で、求核試薬の塩基性や用いる溶媒の極性によってカルボニウムイオンの安定性が左右されるので、反応条件によってはカルボニウムイオンのα位のメチレン基やメチル基から水素イオンが脱離してエンドオレフィンやエキソオレフィンのポリマーが生成する可能性もあり、求核試薬による処理条件次第でラクトン化反応とオレフィン化反応の比が変わる可能性がある。
ポリメタクリル酸エステルの末端ハロゲン原子を弱塩基などで処理してハロゲン原子を除去することで熱安定性を向上させるためには、オレフィン化反応を抑えてラクトン化反応を選択的に行うことができれば、ATRPやRTCPで合成されたポリメタクリル酸エステルの熱安定性を大幅に向上させることが期待できる。但し、ここで言うポリメタクリル酸エステルとはメタクリル酸エステルの単独重合体、或いは専らメタクリル酸エステル類の共重合体を意味し、メタクリル酸エステル以外のモノマーを含まないものである。
そこで、発明者らは、式2に示す2−ブロモ−2、4,4−トリメチルペンタンジカルボン酸ジメチルエステルを末端ハロゲン化ポリメタクリル酸エステルのモデル化合物としてハロゲン末端処理反応の条件について鋭意検討を行った結果、オレフィンポリマーの副生を抑えて選択的にラクトン化反応のみを行うことのできる末端ハロゲン処理反応の条件を見出すことができて本発明に至った。
モデル反応の結果を踏まえて本発明を以下に詳細に説明する。
Figure 2014015574
(表1)モデル化合物を用いた末端処理反応条件の検討結果
下記実施例中の参考例1〜12の検討結果を、表1に示す。
表1の反応成績体中のラクトン、エンドオレフィン、エキソオレフィンは式3、式4、式5に示した。
Figure 2014015574
Figure 2014015574
Br体、添加物、溶媒欄の数値は(g)であり、表中の略記は、それぞれ、Br体:2−ブロモ−2、4,4−トリメチルペンタンジカルボン酸ジメチルエステル、Macac:アセト酢酸メチル、KOAa:アクリル酸カリウム、C8SK:オクチルメルカプタンカリウム、Crown:C18クラウン、ATN:アセトニトリル、MEK:メチルエチルケトン、DMAc:ジメチルアセトアミド、Tn:トルエン、エンド:2、4,4−トリメチル−2−ペンテンジカルボン酸ジメチルエステル、エキソ:2−メチリデン−4,4−ジメチルペンタンジカルボン酸ジメチルエステル、DMF:ジメチルホルムアミド、DMSO:ジメチルスルホキシドである。
溶媒の極性は、便宜的に双極子モーメントの値を用いて表すことができる。代表的な溶媒の双極子モーメントの値を示すと、トルエン(0.36D)、ジクロロメタン(1.14D)、メチルエチルケトン(1.32D)、テトラヒドロフラン(1.75D)、酢酸エチル(1.88D)、メチルエチルケトン(2.76D)、メタノール(2.81D)、アセトン(2.91D)、アセトニトリル(3.44D)、ジメチルアセトアミド(3.72D)、ジメチルホルムアミド(3.86D)、ジメチルスルホキシド(4.1D)である。
何らかの理論に拘束されることを望まないが、モデル化合物を用いた処理反応の検討で、双極子モーメントが3D未満のトルエン(参考例10)やメチルエチルケトン(参考例12)などの溶媒中では、末端処理反応が進まなかった。これは、カルボニウムイオンの溶媒和による安定化が進まなかったためとも考えられるが、アクリル酸ナトリウム、オクチルメルカプタンカリウムなどの弱塩基性塩が、双極子モーメントが3D以下の非極性溶媒に溶解しにくいので末端臭素との反応が進まなかったとも考えられる。そこで、PEG400(参考例11)をアルカリ金属イオンと包接化合物を作って弱塩基の溶媒への溶解を助ける化合物を補助剤として添加して弱塩基類の溶解を助けたが、処理反応は進まなかった。従って、極性の小さい溶媒中で処理反応が行き難かったのは、溶解度が小さかったことの他に溶媒和によるカルボニウムイオンの安定化ができなかったためであると考えることができる。双極子モーメントが3D以上のアセトニトリルやジメチルホルムアミド中ではカルボニウムイオンの溶媒和による安定化に加えて、弱塩基類の溶解度が高くなるので臭素化物の反応率も高くなり、ラクトン化反応の選択率も高かった。
双極子モーメントが3D以上の極性溶媒としては、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドの他に、ジメチルスルホン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、ピリダジン、プロピオニトリル、ホルムアミド、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ベンゾニトリル、メチルホルムアミド、メチルアセトアミド、イソプロピルホルムアミド、ジブチルホルムアミド、エチルアセトアミド、イソプロピルアセトアミド、ジメチルイミダゾリン−2−オン、テトラメチル尿素、メチルプロピオンアミド、ジメチルプロピオンアミド、イソプロピルプロピオンアミド、エチルプロピオンアミド、ジエチルプロピオンアミド、エチルブタンアミド、プロピルブタンアミド、ブチルブタンアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられるが、実用的な面から考えると、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ベンゾニトリル、N−メチルピロリドンなどがより好ましい。但し、ポリマーの溶解性から見ると、ホルムアミドはポリメタクリル酸エステルの貧溶媒であるから好ましくない。
ここで言う弱塩基とは、水中でのpKaが4以上の弱酸のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の塩を意味する。pKaが4以上の弱酸とは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸などのカルボン酸類、アジ化水素酸、ホウ酸、青酸、炭酸などの無機酸類、メルカプトエタノール、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオフェール、ベンジルメルカプタンなどのメルカプタン類などが挙げられる。なお、本発明において、弱塩基は炭酸塩を含まない。アルカリ金属とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属とはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられる。
実用的な観点から鑑みると、弱塩基としては炭素数が1から6の飽和、または不飽和のアルキルカルボン酸リチウム、カルボン酸ナトリウム、カルボン酸カリウム、カルボン酸マグネシウム、カルボン酸カルシウム、炭素数が4から12のアルキルメルカプタンナトリウム、メルカプタンカリウムが好ましい。コスト面や取り扱いの容易さなどから考えると、中でも炭素数が1から6の飽和、または不飽和のアルキルカルボン酸塩としては酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウムなどが好ましく、酢酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウムなどが特に好ましく、炭素数が4から12のアルキルメルカプタン塩としては、ブチルメルカプタンナトリウム、ブチルメルカプタンカリウム、オクチルメルカプタンナトリウム、オクチルメルカプタンカリウムなどが好ましく、オクチルメルカプタンナトリウム、オクチルメルカプタンカリウムが特に好ましい。
アジ化水素酸、青酸などの無機酸塩は毒性があるので実用的ではなく、ホウ酸塩は有機溶剤に溶解しがたいので実用的ではない。
ATRPやRTCPなどで得られる末端ハロゲン原子ポリメタクリル酸エステルの場合重合中の不均化停止や脱離反応でハロゲン原子が脱離したポリマーが若干存在するので弱塩基の使用量は1当量より少なくても問題はないが、ハロゲン原子を完全に除去するという安全面から1当量以上であることが好ましい。末端処理反応は、低分子の弱塩基と高分子の末端ハロゲン原子ポリメタクリル酸エステルとの反応であるから弱塩基の使用量は多いほど反応速度が大きくなると思われるが、コスト面を考えると、弱塩基の使用量は1.2当量以下であることが好ましい。従って、弱塩基の使用量は、末端ハロゲン原子のポリメタクリル酸エステルに対して1当量から1.2当量の間であることがより好ましい。
弱塩基の溶解補助剤としてクラウンエーテル、PEG200、PEG400などを添加すると、弱塩基の溶解度が大きくなって処理反応速度を促進できるので処理時間を短縮できる利点がある。補助剤の使用量は、使用する弱塩基に対して0から100モル%の範囲で任意に設定できる。弱塩基の使用する溶媒への溶解性が高くて反応液が透明である場合には補助剤の添加を省略することができるが、弱塩基の溶媒への溶解性が低くて濁りが見える場合には補助剤を弱塩基に対して100モル%程度までの間で添加するのが好ましい。しかし、末端処理反応のコストを考慮すると、補助剤の添加量は、0から50モル%の範囲内で添加するのがより好ましい。
反応温度は、用いる溶媒の沸点なども考慮して70℃から120℃の間で任意に設定できるが、処理時間を短縮することや熱による脱離反応でのオレフィンの副反応の抑制、熱によるポリマーの着色防止などを考慮すると、処理温度は80℃から100℃の間であることがより好ましい。処理時間は、2時間から24時間の間で任意に設定できるが、実用的な処理時間ということを考えると、2時間から6時間の間で設定するのが最も好ましい。
ポリメタクリル酸エステルの極性溶媒への溶解度は、ポリマーの分子量、エステルの種類によって異なるが、ポリマーの溶解度以下であれば任意に反応の濃度を設定できる。実用的な濃度(重量/重量)は、10%から40%であることが望ましい。
処理反応は、基本的に空気中で行っても何ら問題はないが、処理時間が長くなったり、処理温度が高かったりすると、空気中の酸素によりポリマーの劣化や着色があるのでその場合には窒素雰囲気で行うこともできる。
処理反応に用いる弱塩基類、溶媒、ポリマー、添加物に水分があっても反応に問題はないが、溶媒中やポリマー中の水分が多すぎるとポリマーの溶媒への溶解度が落ちるので水分は0.1%以下であることが望ましい。
処理反応の後は、反応液をメタノール、ヘキサンなどのポリメタクリル酸エステルの貧溶媒中に投入してポリマーを沈殿させてからろ過などによりポリマーを取得することができる。取得ポリマーは、弱塩基類や添加物などを除去するために水や、水とメタノールなどアルコール類との混合溶剤で洗浄することもできる。取得したポリマーは、乾燥機で乾燥させて加熱成型などの用途に使用することができる。
以下実施例で本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(測定法1)数平均分子量(Mn)及び分子量分布(PDI)
GPC(東ソー(株)製、「HLC−8220」(商品名)、カラム:TSK GUARD COLUMN SUPER HZ−L(4.6×35mm)、TSK−GEL SUPER HZM−N(6.0×150mm)×2直列接続、溶離液:クロロホルム、測定温度:40℃、流速:0.6mL/分)を用い、ポリマーラボラトリーズ社(英国)の分子量14、500のPMMA(品番20237−2、分散1.01)、分子量55、600のPMMA(品番20233−10、分散1.02)、分子量11、100のPMMA(品番20229−9、分散1.04)、分子量1,590のPMMA(品番20225−11、分散1.1)をスタンダードとして測定した。
(測定法2)熱重量分析
TG/DTA(セイコーインスツルメンツ(株)製、「TG/DTA6300」(商品名)、測定温度:100℃〜500℃(10℃/分)、流速:空気50mL/分)を用い、1%、5%、10%及び20%の重量減少温度を測定した。
(合成例1)ATRPによるMMA200量体の重合(PMMA−A)
冷却器と温度計、窒素導入管、攪拌羽を付けた300mlの四ツ口丸底フラスコに、94g(0.94mol)のMMAと1.374g(9.6mmol)の臭化銅(I)をDMF94gに溶解し、バブリングにて窒素置換を行った。30分後に、2ml(9.6mmol)のN,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレントリアミンを注射器で投入し、70℃に加熱した。フラスコ内が所定温度に上がったら1ml(4.6mmolの)2,6−ジブロモヘプタンジカルボン酸ジメチルを注射器で投入して重合を開始した。
4時間後に重合を停止し、重合液が室温に戻ったら2N−塩酸2wt%を含有するメタノール中に滴下してポリマーを再沈した。沈殿したポリマーを80℃で減圧乾燥した後に再びアセトンに溶解して2N−塩酸を2wt%含有するメタノールにて再沈し、80℃にて真空乾燥してPMMA−Aを得た。
PMMA−Aの数平均分子量は29、000で、分子量分散は1.34であった。
(合成例2)RTCPによるMMA100量体の重合(PMMA―B)
300mlの三ツ口丸底フラスコに冷却器、温度計、アルゴン導入管、攪拌羽を付けて、MMAを100g(1mol)、ヨードイソブチロニトリル(CPIと略す)を975mg(5mmol)、N−ヨードサクシミド(NISと略す)を28mg(0.12mmol)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBNと略す)を0.41g(2.5mmol)を投入し、トルエン100gに溶解し、バブリングでアルゴン置換を30分間行った。フラスコを80℃のオイルバスに浸漬させ、重合を開始させ、3.5時間後に重合液を室温に冷却して重合を停止した。重合液をヘキサンに滴下して再沈を行い、沈殿はろ過後40℃で真空乾燥してPMMA−Bを得た。
PMMA−Bの数平均分子量は、12、800で、分子量分散は1.47であった。
参考例1
25mlの丸底フラスコで0.5g(1.8mmol)の2−ブロモ−2−メチル−4,4−ジメチルペンタンジカルボン酸ジメチルエステルを0.12g(0.9mmol)の炭酸カリウムと0.4g(3.4mmol)アセト酢酸メチルと共にジメチルアセトアミド1.5gに溶解し、ジムロート冷却器を付けて80℃のオイルバスに浸漬し、3時間反応させた。反応終了後、反応液をGLCにて分析し、2−ブロモ−2、4,4−トリメチルペンタンジカルボン酸ジメチルエステル(「Br体」と略す)、2,2、4−トリメチル−4−メトキシカルボニル−γ−ブチロラクトン(「ラクトン」と略す)、2、4,4−トリメチル−2−ペンテンジカルボン酸ジメチルエステル(「エンド」と略す)、2−メチリデン−4,4−ジメチルペンタンジカルボン酸ジメチルエステル(「エキソ」と略す)のピーク面積を合算し、各々の面積百分率を求め、その値から便宜的に転化率、選択率を以下の式で求めた。
転化率(%)={1−(Br体の面積%)}×100
選択率(%)=(ラクトンの面積%)×100/{(ラクトンの面積%)+(エンドの面積%)+(エキソの面積%)}
なお、GLCの分析条件は以下の通りである。
カラム:DB−5(0.25mm×30m)
検出器:FID
温 度:Inj;180℃、Det;220℃、カラム;50℃(5分)−8℃/分で昇温−220℃(30分)
キャリアガス:He
参考例1の条件では、転化率98.6%、選択率48.3%であった。
参考例2〜12
Br体、添加物の仕込み量を表1に掲げる値とし、溶媒を表1に掲げるものを所定量用い、反応温度を表1に掲げる温度に設定した以外、参考例1と全く同様に処理反応を行った。
反応液をGLCで分析し、その結果を表1にまとめた。
実施例1
(PMMA―Aの処理反応)
25mlのナス型フラスコに、1gのPMMA−Aと10mgのオクチルメルカプタンカリウムをアセトニトリル5mlに溶解し、空気中で80℃に加熱した。3時間後、室温に冷却してから100mlのメタノールにて再沈した。精製したポリマーをろ過後に40℃で真空乾燥してTG/DTAにて分析を行った結果、1%、5%、10%及び20%の重量減少温度は表2の様になった。
実施例2
(PMMA―Bの処理反応)
実施例1において、PMMA−Aの代わりに、PMMA−Bを用いたほかは、実施例1と同様に行った結果を表2に示す。
実施例3
(PMMA―Aの処理反応)
実施例1において、オクチルメルカプタンカリウム、アセトニトリルの代わりに、それぞれ、メタクリル酸ナトリウム(以下Maa−Naと略す)、ジメチルアセトアミドを用いたほかは、実施例1と同様に行った結果を表2に示す。
実施例4
(PMMA―Aの処理反応)
実施例1において、アセトニトリルの代わりに、ジメチルスルホキシドを用いたほかは、実施例1と同様に行った結果を表2に示す。
実施例5
(PMMA―Aの処理反応)
実施例1において、アセトニトリルの代わりに、ジメチルホルムアミドを用いたほかは、実施例1と同様に行った結果を表2に示す。
実施例6
(PMMA―Aの処理反応)
実施例1において、オクチルメルカプタンカリウム、アセトニトリルの代わりに、ブチルメルカプタンナトリウム(以下C4SNaと略す)、プロピレンカーボネート(以下PCと略す)を用いて、100℃で処理したほかは、実施例1と同様に行った結果を表2に示す。
実施例7
(PMMA―Aの処理反応)
実施例1において、オクチルメルカプタンカリウム、アセトニトリルの代わりに、メタクリル酸ナトリウム、N−メチルピロリドン(以下NMPと略す)を用いて、100℃で処理したほかは、実施例1と同様に行った結果を表2に示す。
実施例8
(PMMA―Bの処理反応)
実施例1において、PMMA−A、オクチルメルカプタンカリウム、アセトニトリルの代わりに、PMMA−B、ブチルメルカプタンカリウム(以下C4SKと略す)、γ―ブチロラクトン(以下GBLと略す)を用いたほかは、実施例1と同様に行った結果を表2に示す。
比較例1
(PMMA―Aの処理反応)
実施例1において、アセトニトリルの代わりに、メチルエチルケトンを用いたほかは、実施例1と同様に行った結果を表2に示す。
比較例2
(PMMA―Bの処理反応)
実施例1において、10mgのオクチルメルカプタンカリウム、アセトニトリルの代わりに、それぞれ、6mgの炭酸カリウム、ジメチルアセトアミドを用いたほかは、実施例1と同様に行った結果を表2に示す。
Figure 2014015574
添加物、溶媒の略語は、表1と同じである。
PMMA−Aを処理しなかった未処理品の場合、1%重量減少温度は232℃であり、急激にポリマーが熱分解していることがわかる。また、比較例1では、溶媒に双極子モーメントが3D未満のMEKを用いているので耐熱分解性が未処理品と変わらなかった。しかしながら、実施例1、3、4、5,6,7では、それぞれ数℃の耐熱分解性向上が見られ、特に実施例1、6では大幅に耐熱分解性が向上していることがわかる。
一方、末端がヨウ素である、PMMA−Bに関しては、未処理品では1%重量減少温度が132℃と非常に低く、比較例2では弱塩基ではないKCO3を使用したため、1%重量減少温度は196℃であり、やや低い結果であった。しかしながら実施例2、8で示すように、弱塩基であるオクチルメルカプタンカリウム、ブチルメルカプタンカリウムを使用し、尚且つ溶剤をアセトニトリルやγ−ブチロラクトンとして処理を行った場合、1%重量減少温度は226℃、250℃まで向上した。
本発明の処理法によりATRPやRTCPなどのリビングラジカル重合で作られる分子量分布の狭いハロゲン原子を末端に有するポリメタアクリル酸エステルの熱安定性を向上でき、ポリマーを熱成型加工に用いた場合、加工品の着色を防げられる。

Claims (4)

  1. 末端にハロゲン原子を有するポリメタクリル酸エステルを双極子モーメントが3D以上の極性溶媒に溶解し、弱塩基で加熱処理してポリマー末端をラクトンに変換する処理方法。
  2. 前記双極子モーメントが3D以上の極性溶媒が、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドンである請求項1の処理方法。
  3. 前記弱塩基が、炭素数が1から6の飽和、または不飽和のアルキルカルボン酸ナトリウム、炭素数が1から6の飽和、または不飽和のアルキルカルボン酸カリウム、ブチルメルカプタンカリウム、オクチルメルカプタンカリウム、ブチルメルカプタンナトリウム、オクチルメルカプタンナトリウムである請求項1の処理方法。
  4. 前記加熱処理の温度が、70℃から130℃である請求項1の処理方法。
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