JP2014015341A - アンモニア及びメタノールの製造システム - Google Patents

アンモニア及びメタノールの製造システム Download PDF

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Abstract

【課題】アンモニア及びメタノールの製造コストの増大を抑制しつつ、両方の生産効率を向上させることができるアンモニア及びメタノールの製造システムを提供する。
【解決手段】本発明に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10は、天然ガス21中の炭化水素をCO、CO2の何れか一方両方に改質し、改質ガス22を生成する改質装置11と、改質ガス22中のCOをCO2に転化し、CO2を含むシフトガス31を生成するCOシフト反応装置12と、改質ガス22から一部のH2を分離する水素分離装置13と、シフトガス31中のCO2を除去する炭酸ガス除去装置14と、CO2除去ガス33中のCO2をメタン化するメタン化装置15と、アンモニア37を製造するアンモニア合成塔17と、水素分離装置13で分離されたH2と炭酸ガス除去装置14で分離されたCO2とを原料としてメタノールを合成するメタノール合成塔18と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、天然ガス、LPG、ブタンあるいはナフサ等他の炭化水素から得られる合成ガスからメタノールおよびアンモニアを製造するアンモニア及びメタノールの製造システムおよびアンモニア及びメタノールの製造方法に関する。
メタノールおよびアンモニアを製造する技術はいずれも水素(H2)を主原料とし、メタノールおよびアンモニアを製造する際には水素と一酸化炭素(CO)とからなる合成ガスを製造する技術が必要である。
アンモニアの製造は、メタノールを合成する際に用いる原料と類似の原料を改質して合成ガスを生成する工程に、生成した合成ガス中の一酸化炭素を水蒸気改質、空気改質によりCOをCO転化させて二酸化炭素(CO2)と水素とを発生させる工程と、合成ガス中のCOをCO2に転化したことで増量したCO2を除去する工程と、微量に残存しているCO及びCO2を除去する工程とを含み、更に合成ガスからアンモニア合成用の原料として用いる水素を得る圧縮工程とを含むものである。
そのため、メタノールおよびアンモニアを製造する際には、天然ガス等の一次改質または二次改質した合成ガスを共通に利用できることから、従来からメタノールおよびアンモニアの種々の併産方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1では、天然ガスからアンモニア用合成ガスを製造する際に、CO2除去(炭酸ガス除去)工程の後にメタノール合成工程を設け、その後、アンモニア合成工程を設けることにより、メタノール及びアンモニアを併産する方法を開示している。
特許文献2では、天然ガスからアンモニアを製造する工程において、合成ガス中に含まれるCO2をメタンに生成した後、圧縮する際に、合成ガス中の水素対窒素の比を3より大きくなるように圧縮工程中段において合成ガスを抜き出す。そして、抜き出した合成ガスからメタノール合成のための水素を膜等により分離抽出し、この抽出した水素を合成ガスから分離して得られたCO2と混合してメタノールを合成することによりメタノール及びアンモニアを併産する方法を開示している。
特許第4168210号公報 特開平6−234517号公報
しかしながら、上記従来技術には、次のような問題点がある。
特許文献1のように、従来から用いられているメタノールおよびアンモニアの製造方法を用いた場合、メタノールの併産量に応じて、合成ガス中の一酸化炭素を水蒸気改質、空気改質によりCOをCO転化させる際の合成ガスに供給する導入空気量、合成ガスがCO2(炭酸ガス)を除去する工程をバイパスするバイパス率を併産量ごとに調整する必要があるため、メタノールおよびアンモニアの製造システムの運転が困難となる。
また、特許文献1では、メタノール合成塔の後流側にメタネーション反応器(メタネータ)を設置する必要があるので、メタネータの運転圧力がメタノール合成塔と同程度の高圧となってしまい、メタネータが耐圧性を有するため、メタネータの肉厚を大きくする必要がある。
また、特許文献1では、メタノールの併産量を増大すると、未反応のCO、CO2が増大し、メタネータのメタネーション温度が上昇してしまうため、メタネータ内に充填されているメタネータ触媒の負荷が上昇し、メタノールの併産量に限界がある。
さらに、特許文献1では、合成ガス中にアンモニアの原料となるN2が存在するため、H2、CO、CO2のそれぞれの分圧が低下し、メタノール合成が不利な反応条件となる場合がある。
また、特許文献2のように、従来から用いられているメタノールおよびアンモニアの製造方法において、合成ガス中の水素の分離に水素透過性機能膜を用いた場合、水素透過性機能膜の設置箇所の温度が低いため、水素透過性機能膜を通過する水素透過速度が低く、必要な膜面積が大きくなる。
また、水素透過性機能膜を用いた場合、水素透過性機能膜の設置場所の圧力が高いため、その分、水素透過性機能膜を備えた容器の耐圧性を高めるため必要があり、水素透過性機能膜を備えた容器の肉厚を大きくする必要がある。
また、特許文献1、2のようなメタノールおよびアンモニアの併産方法では、合成ガス中のCO2を分離する際に、脱炭酸するガスの通過量が大きいため、脱炭酸装置の大きさを大きくする必要がある。
このように、特許文献1、2のように従来から用いられているメタノールおよびアンモニアの製造方法を用いた場合、上記のような問題点があることから、アンモニア及びメタノールを製造するにあたり、アンモニア及びメタノールの製造コストの増大を抑制しつつ、両方の生産効率を向上させることができるアンモニア及びメタノールの製造システムが求められている。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであって、アンモニア及びメタノールの製造コストの増大を抑制しつつ、アンモニア及びメタノールの生産効率を向上させることができるアンモニア及びメタノールの製造システムを提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係るアンモニア及びメタノールの製造システムは、炭化水素を含む原料ガスに水蒸気を供給して一次改質した後、空気を供給して二次改質を行い、前記炭化水素をCO、CO2の何れか一方両方に改質し、CO、CO2の何れか一方両方を含む改質ガスを生成する改質部と、前記改質ガス中のCOをCO2に転化し、CO2を含むシフトガスを生成するCOシフト反応部と、前記改質ガスから一部のH2を分離する水素分離部と、前記シフトガス中のCO2を除去する炭酸ガス除去部と、前記炭酸ガス除去部でCO2が除去されたCO2除去ガス中のCO2をメタン化してメタンを生成するメタン化部と、前記メタン化部でメタン化した後、アンモニアを製造するアンモニア合成部と、前記水素分離部で分離されたH2と前記炭酸ガス除去部で分離されたCO2とを原料としてメタノールを合成するメタノール合成部と、を有することを特徴とする。
本発明においては、前記水素分離部が、水素分離膜を備えた膜分離装置であることが好ましい。
本発明においては、前記メタン化部と前記アンモニア合成部との間に、前記CO2除去ガスを圧縮する圧縮部を有することが好ましい。
本発明に係る尿素及びメタノールの製造システムは、上記何れか1つのアンモニア及びメタノールの製造システムと、前記アンモニア合成部で得られたアンモニアを用いて尿素を合成する尿素合成部と、前記炭酸ガス除去部から前記メタノール合成部に供給されるCO2の一部を前記尿素合成部に供給する炭酸ガス分岐供給ラインと、を有することを特徴とする。
本発明に係るアンモニア及びメタノールの製造方法は、炭化水素を含む原料ガスに水蒸気を供給して一次改質した後、空気を供給して二次改質を行い、前記炭化水素をCO、CO2の何れか一方両方に改質し、CO、CO2の何れか一方両方を含む改質ガスを生成する改質工程と、前記改質ガス中のCOをCO2に転化し、CO2を含むシフトガスを生成するCOシフト反応工程と、前記改質ガスから一部のH2を分離する水素分離工程と、前記シフトガス中のCO2を除去する炭酸ガス除去工程と、前記炭酸ガス除去工程でCO2が除去されたCO2除去ガス中のCO2をメタン化してメタンを生成するメタン化工程と、前記メタン化工程でメタン化した後、アンモニアを製造するアンモニア合成工程と、前記水素分離工程で分離されたH2と前記炭酸ガス除去工程で分離されたCO2とを原料としてメタノールを合成するメタノール合成工程と、を有することを特徴とする。
本発明においては、前記水素分離工程が、水素分離膜を備えた膜分離装置を用いることが好ましい。
本発明においては、前記メタン化工程と前記アンモニア合成工程との間に、前記CO2除去ガスを圧縮する圧縮工程を含むことが好ましい。
本発明に係る尿素及びメタノールの製造方法は、上記何れか1つのアンモニア及びメタノールの製造工程と、前記アンモニア合成工程で得られたアンモニアと前記炭酸ガス除去工程から前記メタノール合成工程に供給されるCO2の一部を用いて尿素を合成する尿素合成工程を含むことを特徴とする。
本発明によれば、アンモニア及びメタノールの製造コストの増大を抑制しつつ、アンモニア及びメタノールの生産効率を向上させることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システムの概略図である。 図2は、メタン化装置の一例を示す図である。 図3は、メタノールの生産量とメタネータのCO2除去ガスの出口ガス温度との関係を示す図である。 図4は、本発明の第2の実施形態に係る尿素及びメタノールの製造システムの概略図である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
[第1の実施形態]
<アンモニア及びメタノールの製造システム>
本発明の第1の実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システムについて、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システムの概略図である。図1に示すように、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10は、改質装置(改質部)11と、COシフト反応装置(COシフト反応部)12と、水素分離装置(水素分離部)13と、炭酸ガス除去装置(炭酸ガス除去部)14と、メタン化装置(メタン化部)15と、圧縮機16、アンモニア合成塔(アンモニア合成部)17と、メタノール合成塔(メタノール合成部)18と、を有するものである。
なお、本実施形態では、炭化水素を含む原料ガスとして、天然ガス21を用いているが、これに限定されるものではなく、炭化水素を含む原料ガスであればよく、例えば、LPG、ブタンあるいはナフサ等他の炭化水素から得られる合成ガス、原油や天然ガスの生産に随伴して生産される天然ガス液(NGL:Natural Gas Liquid)、メタンハイドレートなどが挙げられる。
(改質部)
改質装置(リフォーマ)11は、天然ガス21中の炭化水素をCO、CO2の何れか一方両方に改質し、CO、CO2の何れか一方両方を含む改質ガス22を生成するものである。改質装置11は、第1改質装置(第1リフォーマ)11−1と、第2改質装置(第2リフォーマ)11−2とを備える。
第1リフォーマ11−1は、天然ガス21に水蒸気23を供給して、天然ガス21中の炭化水素をCO、CO2の何れか一方両方に一次改質するものである。第1リフォーマ11−1は、水蒸気供給ラインL11と連結されており、第1リフォーマ11−1内には水蒸気供給部24から水蒸気23が水蒸気供給ラインL11を通って供給される。
第2リフォーマ11−2は、一次改質後の天然ガス21に空気25を供給して、天然ガス21中の炭化水素をCO、CO2の何れか一方両方に二次改質するものである。第2リフォーマ11−2は、空気供給ラインL12と連結されており、第2リフォーマ11−2内には空気供給部26から空気25が空気供給ラインL12を通って供給される。
改質装置11では、第1リフォーマ11−1において、天然ガス21に水蒸気23を供給して、下記式(1)、(2)のように、天然ガス21中の炭化水素をCO、CO2に一次改質する。その後、第2リフォーマ11−2において空気25を供給して、下記式(1)、(2)のように、天然ガス21中に残存する炭化水素をCO、CO2に二次改質し、CO、CO2を含む改質ガス22を生成する。また、改質ガス22のガス温度は、例えば400℃〜1000℃の範囲内になっている。
CH4 + H2O →CO + 3H2 ・・・(1)
CH4 + 2H2O → CO2 + 4H2 ・・・(2)
(COシフト反応装置)
COシフト反応装置12は、改質ガス22中のCOをCO2に転化(シフト)し、CO2を含むシフトガス31を生成するものである。COシフト反応装置12は、例えば、COをCO2に転化(シフト)するCOシフト反応用触媒を充填した充填部を備えるCOシフト反応器などが用いられる。
COシフト反応装置12では、下記式(3)のように、改質ガス22中のCOをCO2に転化し、CO2を含むシフトガス31を生成する。また、シフトガス31のガス温度は、例えば150℃〜1000℃の範囲内になっている。
CO + H2O → CO2 + H2 ・・・(3)
(水素分離装置)
水素分離装置13は、シフトガス31からシフトガス31に含まれる一部のH2を分離するものである。本実施形態では、水素分離装置13は、水素透過性機能膜を備えた膜分離装置である。なお、本実施形態において、水素透過性機能膜とは、ガス中に含まれる少なくとも一部のH2を分離するための膜である。
水素透過性機能膜としては、例えば、パラジウム(Pd)膜、ポリスルフォン、ポリアミド、ポリイミド等の高分子膜や、中空糸状に成形されたものを多数束ねたものを使用することが好ましい。水素透過性機能膜は、材質、使用条件、寿命、水素透過係数、選択率を基に適宜最適な設計とすることができる。
水素分離装置13で、シフトガス31は水素透過性機能膜を透過することで、シフトガス31に含まれるH2は水素透過性機能膜で分離される。水素分離装置13でH2が分離されたシフトガス32は、水素分離装置13から排出される。
水素分離装置13は、水素供給ラインL13と連結されており、水素分離装置13においてシフトガス31から分離されたH2の一部は、水素供給ラインL13を通ってメタノール合成塔18に供給され、メタノール合成用のガスとして用いられる。
なお、本実施形態において、水素分離装置13として、水素透過性機能膜を備えた膜分離装置を用いているが、これに限定されるものではなく、シフトガス31中に含まれる少なくとも一部のH2を分離できる装置であればよい。
(炭酸ガス除去装置)
炭酸ガス除去装置14は、シフトガス31中の炭酸ガス(CO2)を除去するものである。炭酸ガス除去装置14としては、例えば、アミン溶剤などCO2吸収液を用いて化学吸着を利用して、シフトガス31中のCO2を除去する装置、物理吸着を利用してシフトガス31中のCO2を除去する装置、CO2を除去する触媒を備えた反応容器やガス中からCO2を分離する分離膜を備えた膜分離装置などが用いられる。炭酸ガス除去装置14で、シフトガス31中のCO2を除去して、CO2とCO2が除去されたCO2除去ガス33とを生成する。また、CO2除去ガス33のガス温度は、例えば50℃程度である。
炭酸ガス除去装置14は、炭酸ガス供給ラインL14と連結されており、炭酸ガス除去装置14でシフトガス31から分離されたCO2は、炭酸ガス供給ラインL14を通ってメタノール合成塔18に供給され、メタノール合成用のガスとして用いられる。
(メタン化装置)
メタン化装置15は、炭酸ガス除去装置14でCO2が除去されたCO2除去ガス33中のCO2をメタン化するものである。メタン化装置15は、例えば、図2に示すように、メタネーション触媒を充填した触媒部35を備えたメタネーション反応器(メタネータ)36などが用いられる。この場合、触媒部35での反応温度(メタネーション温度)は、メタネーション触媒が使用できる限界温度の観点から、220℃以上450℃以下であることが好ましく、より好ましくは290℃以上350℃以下である。
メタン化装置15では、下記式(4)のように、CO2除去ガス33中のCO2をメタン化し、メタンを含むCO2除去ガス34を生成する。
CO2 + 4H2 → CH4 + 2H2O ・・・(4)
(圧縮器)
圧縮機16は、CO2除去ガス33を圧縮するためのものである。圧縮機16でCO2除去ガス34の圧力をアンモニア合成に好適な圧力に適宜調整される。本実施形態では、圧縮機16は一段としているが、これに限定されるものではなく、低圧圧縮機と高圧圧縮機との二段としてもよいし、低圧圧縮機と中圧圧縮機と高圧圧縮機との三段とするなど複数段としてもよい。
(アンモニア合成塔)
アンモニア合成塔17は、メタン化装置15でCO2除去ガス33中のCO2をメタン化した後、アンモニア(NH3)を製造するものである。アンモニア合成塔17は、従来より一般的に用いられているものを用いることができ、例えば、反応器内の1つ以上の床に触媒を配置したアンモニア合成反応器などが挙げられる。このアンモニア合成反応器に、窒素(N2)および水素(H2)を含有する合成ガスとしてCO2除去ガス33を流してNH3を合成する方法などが用いられる。
アンモニア合成塔17では、下記式(5)のように、CO2除去ガス33中の窒素と水素とが反応して、アンモニア37を生成する。
2 + 3H2 → 2NH3 ・・・(5)
(メタノール合成塔)
メタノール合成塔18は、水素分離装置13で分離されたH2と炭酸ガス除去装置14で分離されたCO2とを原料としてメタノール38を合成するものである。メタノール合成塔18は、従来より一般的に用いられているものを用いることができ、例えば、触媒反応器を有するメタノール合成装置などが用いられる。
メタノール合成塔18では、下記式(6)のように、CO2除去ガス33中の水素とCOとが反応して、メタノール38を生成する。
2H2 + CO → 2CH3OH ・・・(6)
このように、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10は、アンモニア及びメタノールを並列して製造することができる。
次に、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10を用いたアンモニア及びメタノールを製造する方法について説明する。
まず、天然ガス21をリフォーマ11に供給して、天然ガス21中の炭化水素をCO、CO2の何れか一方両方に改質し、CO、CO2の何れか一方両方を含む改質ガス22を生成する(改質工程)。
リフォーマ11は、第1リフォーマ11−1と第2リフォーマ11−2とを備えている。天然ガス21を第1リフォーマ11−1に供給する。第1リフォーマ11−1で、天然ガス21に水蒸気供給部24から水蒸気供給ラインL11を通って供給される水蒸気23を混合して、下記式(1)、(2)のように、天然ガス21中の炭化水素をCO、CO2の何れか一方両方に一次改質する。
CH4 + H2O →CO + 3H2 ・・・(1)
CH4 + 2H2O → CO2 + 4H2 ・・・(2)
次に、天然ガス21を第2リフォーマ11−2に供給する。第2リフォーマ11−2で、天然ガス21に空気供給部26から空気供給ラインL12を通って供給される空気25を混合して、上記式(1)、(2)のように、二次改質を行う。これにより、CO、CO2を含む改質ガス22を生成する。
リフォーマ11で天然ガス21を改質して得られた改質ガス22は、リフォーマ11から排出され、COシフト反応装置12に供給される。
COシフト反応装置12では、下記式(3)のように、改質ガス22中のCOをCO2に転化し、CO2を含むシフトガス31を生成する(COシフト反応工程)。
CO + H2O → CO2 + H2 ・・・(3)
COシフト反応装置12で生成されたシフトガス31は、COシフト反応装置12から排出され、水素分離装置13に供給される。
水素分離装置13では、シフトガス31からシフトガス31に含まれる一部のH2を分離する(水素分離工程)。シフトガス31が水素分離装置13内に備えている水素透過性機能膜を透過することで、シフトガス31に含まれるH2は水素透過性機能膜で分離される。水素分離装置13でH2が分離されたシフトガス32は、水素分離装置13から排出される。
水素分離装置13から排出されたシフトガス32は、炭酸ガス除去装置14に供給される。
炭酸ガス除去装置14では、シフトガス31中のCO2を除去して、CO2とCO2が除去されたCO2除去ガス33とを生成する(炭酸ガス除去工程)。
炭酸ガス除去装置14から排出されたCO2除去ガス33は、メタン化装置15に供給される。
メタン化装置15は、上記のように図2に示すようなメタネーション触媒を充填した触媒部35を備えたメタネーション反応器(メタネータ)36などである。メタン化装置15では、下記式(4)のように、炭酸ガス除去装置14でCO2が除去されたCO2除去ガス33中のCO2をメタン化し、メタンを含むCO2除去ガス34を生成する(メタン化工程)。
CO2 + 4H2 → CH4 + 2H2O ・・・(4)
メタン化装置15から排出されたCO2除去ガス34は、圧縮機16に供給される。圧縮機16でCO2除去ガス34の圧力をアンモニア合成に好適な圧力に適宜調整される。その後、CO2除去ガス34は、アンモニア合成塔17に供給される。
次いで、アンモニア合成塔17で、下記式(5)のように、CO2除去ガス33中の窒素と水素とが反応して、アンモニア37を生成する(アンモニア合成工程)。
2 + 3H2 → 2NH3 ・・・(5)
また、水素分離装置13で分離された水素(H2)は水素供給ラインL13を通り、炭酸ガス除去装置14で分離されたCO2は炭酸ガス供給ラインL14を通り、水素分離装置13で分離された水素(H2)及び炭酸ガス除去装置14で分離されたCO2は、メタノール合成塔18に供給される。
メタノール合成塔18では、下記式(6)のように、CO2除去ガス33中の水素とCOとが反応して、メタノール38を生成する(メタノール合成工程)。
2H2 + CO → 2CH3OH ・・・(6)
このようにして、アンモニア37及びメタノール38を製造することができる。
[試験例]
次に、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10を用いて行った試験結果について説明する。なお、実施例1は、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10であり、比較例1は、従来の特許文献1におけるメタノール及びアンモニアを併産する方法を用いたアンモニア及びメタノールの製造システムであり、比較例2は、従来の特許文献2におけるメタノール及びアンモニアを併産する方法を用いたアンモニア及びメタノールの製造システムである。
(メタノールを生産した時の第2リフォーマ11−2に供給する空気25の導入量、COシフト反応装置12でのCOシフト率、炭酸ガス除去装置14での脱炭酸率の低減の検討)
アンモニアを単一生産(生産量:2050MTPD)している時の比較例1、実施例1のそれぞれの空気導入量、COシフト率、脱炭酸率を100として、メタノールを生産した時の比較例1、実施例1の改質装置11の第2リフォーマ11−2に供給する空気25の導入量、COシフト反応装置12におけるCOシフト率、炭酸ガス除去装置14における脱炭酸率の相対割合をそれぞれ求めた。それぞれの試験結果を表1に示す。なお、MTPD(metric ton per day)は、メタノール及びアンモニアの1日あたりの生産量を示す。
Figure 2014015341
表1に示すように、比較例1では、メタノール38を生産する場合、メタノールの生産量に伴い、COシフト反応装置12におけるCOシフト率および炭酸ガス除去装置14における脱炭酸率を調整する必要があることが確認された。これに対し、実施例1では、アンモニアのみを単一生成している場合と同様に、COシフト反応装置12におけるCOシフト率および炭酸ガス除去装置14における脱炭酸率を100%の状態で、メタノールの生産量に応じて水素分離装置13で抜き出す水素の量を調整するだけで、アンモニア合成塔17でのアンモニアの生産量を調整することができる。
よって、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10を用いれば、アンモニア37の他に更にメタノール38を生産する場合でも、システムの運転を容易に行うことができることが確認された。また、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10は、既存のアンモニア製造装置に、水素分離装置13とメタノール合成塔18を設けるだけで容易にメタノールを製造しつつアンモニアを製造することもできる。
(メタン化装置15の反応器の肉厚の減容化の検討)
メタン化装置15の反応器の肉厚の減容化について検討した。本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10のメタン化装置15と、比較例1のメタン化装置とは、図2に示すように、メタネーション触媒を充填した触媒部35を備えたメタネータ36を用いて行った。また、メタネータ36は円筒形状とした。
このとき、メタネータ36の円筒の肉厚は、簡易的には下記式(I)のように表されるので、メタネータ36の肉厚は圧力に対して比例の関係がある。
t=(P×r)/σmax ・・・(I)
(tは肉厚、Pは圧力、rは半径、σmaxは最大許容圧力をそれぞれ示す。)
上記式(I)から、比較例1ではメタネータ36の圧力は86k/Gであり、実施例1ではメタネータ36の圧力は27k/Gであった。比較例1では、メタン化装置が圧縮器の後流側に位置するため、メタン化装置のメタネータの圧力が高圧になってしまい、メタネータの肉厚が厚くなってしまう。これに対し、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10では、メタン化装置15が圧縮機16の前流側に位置するため、メタネータの圧力は低圧となり、メタネータの肉厚が薄くなる。
よって、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10を用いれば、比較例1のような従来のアンモニア及びメタノールの製造システムに用いられているメタン化装置のメタネータ36の肉厚を約67%(=1−(27+1.03)/(86+1.03))低減することができる。なお、メタネータ36の肉厚を測定する際には、ゲージ圧(単位:kg/cm2G(=K/G))で測定している。ゲージ圧は絶対圧力と大気圧の差であり、ゲージ圧を絶対圧に変換するため、大気圧である1.03kg/cm2を加えて絶対圧として評価している。
(メタン化装置15における反応温度(メタネーション温度)の検討)
メタン化装置15における反応温度(メタネーション温度)について検討した。上記表1において比較例1および実施例1でアンモニアのみを生産(2050MTPD)した時をベースとしてメタノールの生産量を変化させ、メタネータ36のCO2除去ガス34の出口ガス温度を測定した。
メタノールの生産量とメタネータ36のCO2除去ガス34の出口ガス温度との関係を図3に示す。なお、メタン化装置15は、上記図2に示すメタネーション触媒を充填した触媒部35を備えたメタネータ36を用いた。また、メタネーション触媒を用いることができる限界温度は、400℃とした。図3に示すように、比較例1では、メタネータ36の出口のCO2除去ガス34のガス温度が400℃程度のとき、メタノール生産量は1100MTPD程度であった。一方、実施例1では、メタノール生産量が1300MTPD程度であってもメタネータ36の出口のCO2除去ガス34のガス温度は330℃以下であった。
一般にメタネーション触媒を使用できる限界温度は400℃程度であり、比較例1ではメタノールの増産時にメタノール合成塔18での未反応のCO、CO2によりメタネーション温度が上がってしまい、増産量に限界がある。一方、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10では、メタノール生産量の増減に関係なくメタネーション温度をほぼ一定に維持することができる。そのため、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10では、メタン化装置15が内部に備えたメタネーション触媒のメタネーション温度の上昇に起因して生じるメタノールの増産量の限界がなくなり、メタノールの増産を安定して行うことが可能である。
よって、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10を用いれば、比較例1のような従来のアンモニア及びメタノールの製造システムに用いられているメタン化装置よりも少なくとも15%(=1300MTPD/1100MTPD)以上のメタノールの増産を図ることができる。
(メタノール合成塔18における圧力低減の検討)
メタノール合成塔18における圧力低減について検討した。実施例1および比較例1でメタノールア成塔18での分圧状態を表2に示す。
Figure 2014015341
表2に示すように、比較例1では、ガス成分として、CO、CO2、H2、N2、CH4、その他の不活性成分が含まれているが、実施例1では、ガス成分として、CO2、H2のみであり、CO、N2、CH4、他の不活性成分は含まれていない。
比較例1では、CO2、H2以外の成分が含まれているが、これはメタノールの合成がアンモニアの合成よりも前流側で行われるため、後流側のアンモニアの合成に必要なN2が含まれていることが必要である。一方、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10では、メタノール合成塔18がアンモニア合成塔17と並列に存在するため、CO2、H2以外にN2やその他の不活性成分などが含まれていない。
本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10が、比較例1のアンモニア及びメタノールの製造システムと同等の反応が進行したと仮定した場合、比較例1でメタノール合成時に用いるガス成分の全圧が86.2kg/cm2であった時、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10では、メタノール合成塔18に供給される水素とCO2との混合ガスの全圧は70kg/cm2程度となり、圧力を約16.2kg/cm2低減することができる。よって、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10は、比較例1のアンモニア及びメタノールの製造システムに比べ、15%以上圧力を低減できる。
したがって、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10によれば、従来よりメタノールの合成に必要な圧力を低減できる。
(水素分離装置13で用いる水素透過性機能膜の膜面積の検討)
水素分離装置13が水素透過性機能膜を備えた膜分離装置である場合に、水素分離装置13で用いる水素透過性機能膜の膜面積について検討した。比較例2では、水素透過温度が50℃〜200℃と低く、水素透過性機能膜を用いて水素とガスとを分離した場合、水素透過速度は低い。一方、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10では、水素分離装置13にはガス温度が高温(例えば360℃以上、好適は431℃)のガスが通過するため、水素透過速度が上昇し、膜面積が低減する。
よって、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10の水素分離装置13の水素透過性機能膜は比較例2のアンモニア及びメタノールの製造システムで用いる水素透過性機能膜よりも高い水素透過速度を有している。そのため、水素分離装置13の水素透過性機能膜は、比較例2のアンモニア及びメタノールの製造システムで用いる水素透過性機能膜の膜面積よりも膜面積を低減できる。
水素透過性機能膜の水素透過速度は、例えば、下記式(II)に基づいて評価できる。ここで、Qは水素透過速度であり、KKは透過係数であり、Aは膜面積であり、Eは活性化エネルギーであり、Rはガス定数であり、PHは一次側水素分圧であり、PLは二次側水素分圧である。
Q = KK×A×EXP(−E/RT)(PH0.5−PL0.5) ・・・(II)
透過係数KKを200(Ncc−H2/cm2・min・atm0.5)とし、膜面積Aを178.02(cm2)とし、活性化エネルギーEを2250(cal/mol)とし、ガス定数Rを1.987(cal/(mol・K))とし、比較例2における水素透過温度を200℃とし、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10における水素分離装置13の水素透過温度を431℃とする。本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10の水素分離装置13の水素透過性機能膜と比較例2のアンモニア及びメタノールの製造システムで用いる水素透過性機能膜とを、上記式(II)に当てはめると、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10は、比較例2のアンモニア及びメタノールの製造システムの水素分離装置13での水素透過速度を2.2倍以上とすることができる。この場合には、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10は、比較例2のアンモニア及びメタノールの製造システムで用いる水素透過性機能膜の膜面積を半分以下にすることができる。
(水素分離装置13で肉厚の減容化の検討)
水素分離装置13が水素透過性機能膜を備えた膜分離装置である場合に、膜分離装置の肉厚の減容化について検討した。比較例2では水素透過性機能膜が適用される場所のガスの圧力は40k/G〜180K/Gと高い。これに対し、実施例1では水素分離装置13に供給されるシフトガス31の圧力は最大でも35K/Gである。比較例2で用いる水素透過性機能膜の圧力は、少なくとも実施例1で用いられる水素分離装置13内の圧力よりも高くなる。そのため、水素分離装置13が水素透過性機能膜を備えた膜分離装置である場合、膜分離装置の外部ケーシング(Outer shell)の肉厚を薄くできる。
このとき、水素分離装置13が円筒形状の場合、膜分離装置の円筒の肉厚は、簡易的には下記式(III)のように表されるので、肉厚は圧力に対して比例の関係がある。
メタネータ36の肉厚は圧力に対して比例の関係がある。
t=(P×r)/σmax ・・・(III)
(tは肉厚、Pは圧力、rは半径、σmaxは最大許容圧力をそれぞれ示す。)
比較例2の水素分離装置の圧力を40k/Gとし、実施例1の水素分離装置13の圧力を35k/Gとした場合、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10を用いれば、水素透過性機能膜を備える膜分離装置の外部ケーシングの肉厚を約12%(=1−(35+1.03)/(40+1.03))低減することができる。
よって、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10を用いれば、水素透過性機能膜を備える膜分離装置の外部ケーシングの肉厚を薄くすることができる。
(炭酸ガス除去装置14へのガス流通量の検討)
炭酸ガス除去装置14へのガス流通量について検討した。実施例1、比較例1、比較例2のそれぞれの炭酸ガス除去装置14へのガス供給量、アンモニア生産量を表3に示す。なお、表3中、比較例2の脱炭酸ガス供給量の厳密な値は不明であるが、定性的には、比較例1とほぼ同様の量となる。
Figure 2014015341
比較例1における炭酸ガス除去装置14へのガス供給量が381820Nm3/hであり、実施例1において炭酸ガス除去装置14へのガス供給量が345176Nm3/hである場合、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10を用いれば、炭酸ガス除去装置14へのガス供給量を約10%(=1−345176/381820)低減することができる。
よって、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10を用いれば、炭酸ガス除去装置14の前流側の水素分離装置13においてメタノール合成用の水素を取り出しているため、炭酸ガス除去装置14へのガス供給量を低減することができる。これにより、炭酸ガス除去装置14の大きさのサイズダウンを図ることができる。
このように、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10は、改質装置11から排出される高温状態の改質ガス22やCOシフト反応装置12から排出される高温状態のシフトガス31のガス温度を有効利用して、アンモニア37の生産状態をより効率良く維持しつつ、メタノール38を更に効率よく生産できるため、アンモニア及びメタノールの製造コストの増大を抑制しつつ、アンモニア及びメタノールの生産効率を向上させることができる。
すなわち、特許文献1のような従来から用いられているメタノールおよびアンモニアの併産方法では、メタノールの生産量を変化させる場合、CO、CO2はメタノールの原料であるため、メタノールの生産量に伴い、第2リフォーマ11−2に供給する空気25の導入空気量、COシフト反応装置12でのCOシフト率、炭酸ガス除去装置14での脱炭酸率を調整する必要がある。第2リフォーマ11−2に供給する空気25の導入空気量はアンモニアのN分により決定されるが、メタノールの生産量を増大すると、その分、生産できるアンモニア量は少なくなるため、導入空気量をメタノール併産量に応じて調整する必要がある。また、COシフト反応は上記記式(6)のようにCOが酸化してCO2となるため、メタノールの原料となるCOを消費してしまう。そのため、メタノールの生産量を増大する際にはCOシフト反応器をバイパスするガス量を最適化する必要がある。特許文献1のような従来から用いられているメタノールおよびアンモニアの併産方法では、CO2を炭酸ガス除去装置で回収するがCO2はメタノールの原料であるため、メタノールの生産量を増大する際には炭酸ガス除去装置のバイパス量を調整する必要がある。これに対し、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10では、アンモニアのみを生成する場合と同様に、COシフト反応装置12でのCOシフト率、炭酸ガス除去装置14での脱炭酸率が100%の状態で、メタノールの生産量に応じて水素分離装置13で抜き出す水素の量を調整するだけでメタノールの生産量を調整することができるので、システム10全体の運転の調整は不要であり、運転を容易に行うことができる。
また、特許文献1のような従来から用いられているメタノールおよびアンモニアの併産方法では、メタン化装置が圧縮機の後流側に位置するため、メタネータに供給されるガスの圧力が高圧になってしまい、メタネータの肉厚は厚くなっていた。これに対し、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10では、メタン化装置15が圧縮機16の前流側に位置するため、メタネータに供給されるCO2除去ガス33の圧力は低圧となり、メタネータの肉厚を薄くすることができる。
また、メタン化装置15がメタネーション触媒を充填した触媒部35を備えたメタネータ36である場合、一般にメタネーション触媒を用いることができる限界温度は、上述のように、400℃程度である。このとき、特許文献1のように従来から用いられているメタノールおよびアンモニアの併産方法では、メタノールの増産時に、メタノール合成塔の未反応のCO、CO2によりメタネーション温度が上がってしまう。そのため、メタノールの増産量には限界がある。これに対し、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10では、メタノールの生産量によらずメタネーション温度をほぼ一定に保てるため、メタネーション温度に起因する増産量の限界がなくなる。
さらに、特許文献1のように従来から用いられているメタノールおよびアンモニアの併産方法では、メタノール合成塔がアンモニア合成塔の前流側に位置するため、メタノール合成塔に供給されるガス成分にはアンモニアの合成に必要なN2が含まれている。これに対し、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10では、メタノール合成塔18がアンモニア合成塔17と並列して設けられているため、メタノール合成塔18に供給されるガス成分には、N2は含まれていない。よって、メタノール合成塔18に供給されるガスの圧力を低減できる。
また、特許文献2のように従来から用いられているメタノールおよびアンモニアの併産方法では、水素透過温度が例えば50℃〜200℃と低く、圧縮機に水素透過性機能膜を備えた場合、水素透過性機能膜を通過するガスの水素透過速度は低い。これに対し、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10では、シフトガス31のガス温度は360℃以上であるため、水素分離装置13内に備えた水素透過性機能膜を通過する水素透過速度が上昇し、膜面積を低減することができる。
また、特許文献2のように従来から用いられているメタノールおよびアンモニアの併産方法では、水素透過性機能膜に供給されるガスの圧力は高圧(例えば40K〜180K)である。これに対し、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10では、水素分離装置13に供給されるシフトガス31の圧力は最大でも35K/Gである。そのため、水素分離装置13が水素透過性機能膜を備えた膜分離装置であっても、膜分離装置の外部ケーシング(Outer shell)の肉厚を薄くできる。
また、特許文献1のように従来から用いられているメタノールおよびアンモニアの併産方法では、脱炭酸ガスの通過量が大きいため、炭酸ガス除去装置のサイズが大きくなる。これに対し、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10では、炭酸ガス除去装置の前流側の水素分離装置13においてメタノール合成用の水素を取り出すため、炭酸ガス除去装置14へのガス供給量を低減することができ、炭酸ガス除去装置14のサイズダウンを図ることができる。
したがって、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10を用いれば、アンモニア合成塔17およびメタノール合成塔18をガス流れ方向に対して並列に設け、それぞれ別のガス流路で各装置に加わる付加を軽減しつつアンモニア37及びメタノール38を製造できるため、アンモニア37及びメタノール38の製造コストの増大を抑制しつつ、それぞれの生産効率を向上させることができる。これにより、本実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10は、従来から用いられているようなアンモニア及びメタノールの併産方法を用いた装置に比べ、アンモニア37及びメタノール38を同時にはるかに効率良く安定して生産することができる。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る尿素及びメタノールの製造システムについて、図面を参照して説明する。図4は、本発明の第2の実施形態に係る尿素及びメタノールの製造システムの概略図である。図1に示すように、本実施形態に係る尿素及びメタノールの製造システム40は、図1に示す第1の実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10のアンモニア合成塔17のアンモニア流れ方向の後流側に尿素合成塔(尿素合成部)41を有するものである。尿素合成塔41は、アンモニア合成塔17で得られたアンモニア37を用いて尿素42を合成するものである。また、本実施形態に係る尿素及びメタノールの製造システム40は、炭酸ガス除去装置14からメタノール合成塔18にCO2を供給する炭酸ガス供給ラインL14から分岐し、尿素合成塔41と連結する炭酸ガス分岐供給ラインL15を有する。
図1に示す第1の実施形態に係るアンモニア及びメタノールの製造システム10と同様の構成については同一であるため、重複した説明は省略する。
アンモニア合成塔17で得られたアンモニア37は、尿素合成塔41に供給される。また、炭酸ガス除去装置14から炭酸ガス供給ラインL14を通ってメタノール合成塔18に供給されるCO2の一部は、炭酸ガス分岐供給ラインL15から尿素合成塔41に供給される。
尿素合成塔41は、従来より一般に用いられているものを用いることができ、例えば、アンモニアとCO2とを管内で反応させる尿素合成管などが挙げられる。尿素合成塔41で、アンモニア合成塔17で得られたアンモニア37と、炭酸ガス除去装置14で分離されたCO2とは、下記反応式(7)のように反応して、尿素(NH2(CO)NH2)を合成している。
2NH3+CO2→NH2(CO)NH2+H2 ・・・(7)
よって、本実施形態に係る尿素及びメタノールの製造システム40は、アンモニア合成塔17で得られたアンモニア37と、アンモニア合成の際に炭酸ガス除去装置14で分離されたCO2とを用いて、尿素42を製造すると共にメタノール38を同時に製造することができる。これにより、尿素42の合成まで含めたシステム全体のアンモニア37及びメタノール38の生産を効率良く行うことができ、尿素42の収率の向上を図ることができる。
したがって、本実施形態に係る尿素及びメタノールの製造システム40によれば、尿素42及びメタノール38の製造コストの増大を抑制しつつ、尿素42及びメタノール38の生産効率を向上させることができる。
なお、上記各実施形態においては、アンモニア及びメタノールを製造する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、アンモニアと他の炭化水素などを並列に同時に製造する場合においても同様に用いることができる。
10 アンモニア及びメタノールの製造システム
11 改質装置(改質部)
11−1 第1改質部(第1リフォーマ)
11−2 第2改質部(第2リフォーマ)
12 COシフト反応装置(COシフト反応部)
13 水素分離装置(水素分離部)
14 炭酸ガス除去装置(炭酸ガス除去部)
15 メタン化装置(メタン化部)
16 圧縮機
17 アンモニア合成塔(アンモニア合成部)
18 メタノール合成塔(メタノール合成部)
21 天然ガス
22 改質ガス
23 水蒸気
24 水蒸気供給部
25 空気
26 空気供給部
31、32 シフトガス
33、34 CO2除去ガス
35 触媒部
36 メタネーション反応器(メタネータ)
37 アンモニア
40 尿素及びメタノールの製造システム
41 尿素合成塔
42 尿素
L11 水蒸気供給ライン
L12 空気供給ライン
L13 水素供給ライン
L14 炭酸ガス供給ライン
L15 炭酸ガス分岐供給ライン

Claims (8)

  1. 炭化水素を含む原料ガスに水蒸気を供給して一次改質した後、空気を供給して二次改質を行い、前記炭化水素をCO、CO2の何れか一方両方に改質し、CO、CO2の何れか一方両方を含む改質ガスを生成する改質部と、
    前記改質ガス中のCOをCO2に転化し、CO2を含むシフトガスを生成するCOシフト反応部と、
    前記改質ガスから一部のH2を分離する水素分離部と、
    前記シフトガス中のCO2を除去する炭酸ガス除去部と、
    前記炭酸ガス除去部でCO2が除去されたCO2除去ガス中のCO2をメタン化してメタンを生成するメタン化部と、
    前記メタン化部でメタン化した後、アンモニアを製造するアンモニア合成部と、
    前記水素分離部で分離されたH2と前記炭酸ガス除去部で分離されたCO2とを原料としてメタノールを合成するメタノール合成部と、
    を有することを特徴とするアンモニア及びメタノールの製造システム。
  2. 請求項1において、
    前記水素分離部が、水素透過性機能膜を備えた膜分離装置であることを特徴とするアンモニア及びメタノールの製造システム。
  3. 請求項1又は2において、
    前記メタン化部と前記アンモニア合成部との間に、前記CO2除去ガスを圧縮する圧縮部を有することを特徴とするアンモニア及びメタノールの製造システム。
  4. 請求項1乃至3の何れか1つのアンモニア及びメタノールの製造システムと、
    前記アンモニア合成部で得られたアンモニアを用いて尿素を合成する尿素合成部と、
    前記炭酸ガス除去部から前記メタノール合成部に供給されるCO2の一部を前記尿素合成部に供給する炭酸ガス分岐供給ラインと、
    を有することを特徴とする尿素及びメタノールの製造システム。
  5. 炭化水素を含む原料ガスに水蒸気を供給して一次改質した後、空気を供給して二次改質を行い、前記炭化水素をCO、CO2の何れか一方両方に改質し、CO、CO2の何れか一方両方を含む改質ガスを生成する改質工程と、
    前記改質ガス中のCOをCO2に転化し、CO2を含むシフトガスを生成するCOシフト反応工程と、
    前記改質ガスから一部のH2を分離する水素分離工程と、
    前記シフトガス中のCO2を除去する炭酸ガス除去工程と、
    前記炭酸ガス除去工程でCO2が除去されたCO2除去ガス中のCO2をメタン化してメタンを生成するメタン化工程と、
    前記メタン化工程でメタン化した後、アンモニアを製造するアンモニア合成工程と、
    前記水素分離工程で分離されたH2と前記炭酸ガス除去工程で分離されたCO2とを原料としてメタノールを合成するメタノール合成工程と、
    を有することを特徴とするアンモニア及びメタノールの製造方法。
  6. 請求項5において、
    前記水素分離工程が、水素透過性機能膜を備えた膜分離装置を用いることを特徴とするアンモニア及びメタノールの製造方法。
  7. 請求項5又は6において、
    前記メタン化工程と前記アンモニア合成工程との間に、前記CO2除去ガスを圧縮する圧縮工程を含むことを特徴とするアンモニア及びメタノールの製造方法。
  8. 請求項5乃至7の何れか1つのアンモニア及びメタノールの製造方法と、
    前記アンモニア合成工程で得られたアンモニアと前記炭酸ガス除去工程から前記メタノール合成工程に供給されるCO2の一部を用いて尿素を合成する尿素合成工程を含むことを特徴とする尿素及びメタノールの製造方法。
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