JP2014012343A - 樹脂成形品のリブ構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形時における樹脂材料の流動速度差を抑制して、樹脂材料の流動の乱れに起因する樹脂成形品の外観不具合を防止できること。
【解決手段】成形品本体11の裏面11Bからリブ12が一体に突設された樹脂成形品10において、前記リブ12には、一側面12Aとこの一側面12Aの反対側の他側面12Bとの少なくとも一方に窪み部13が形成され、この窪み部13は楕円形状、円形状または多角形状に形成され、多角形状の角部15が湾曲に面取り加工されたものである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、成形品本体の裏面にリブを備えた樹脂成形品のリブ構造に関する。
成形型を用いて射出成形される樹脂成形品には、成形品本体からブラケット(またはフランジ)やリブが一体に突設されているものがある。
特許文献1には、成形品本体であるロアカバーからブラケットが一体に突設された樹脂成形品が開示されている。また、図9には、樹脂成形品100における成形品本体101の裏面からリブ102が一体に突設されたものを示す。
特開平9−38989号公報
ところが、上述の樹脂成形品、特に図9に示す樹脂成形品100を成形する、図10及び図11に示す成形型103のキャビティ104においては、リブ成形部分107の流路断面積が、成形品本体成形部分106の流路断面積よりも大きい。このため、キャビティ104内を溶融状態の樹脂材料105が流動する際に、リブ成形部分107内を流動する樹脂材料105の流動速度V2が、成形品本体成形部分106内を流れる樹脂材料105の流動速度V1よりも大きくなる(V2>V1)。
従って、成形型103のキャビティ104を流れる樹脂材料105は、リブ成形部分107下流側の成形品本体成形部分106において流動状態に乱れ108が生じ、成形された樹脂成形品100の成形品本体101において、流動速度差による乱流痕109を原因とする外観不具合が発生してしまう。この外観不具合は、樹脂材料105中に光輝材などの添加物が添加されている場合には、添加物の配向に乱れが生ずることで顕著になる。
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、成形時における樹脂材料の流動速度差を抑制して、樹脂材料の流動の乱れに起因する樹脂成形品の外観不具合を防止できる樹脂成形品のリブ構造を提供することにある。
本発明は、成形品本体の裏面からリブが一体に突設された樹脂成形品において、前記リブには、一側面とこの一側面の反対側の他側面との少なくとも一方に、窪み部が形成されたことを特徴とするものである。
本発明によれば、樹脂成形品を成形する成形型のキャビティにおけるリブ成形部分は、キャビティにおける成形品本体成形部分よりも流路断面積が大きいが、このリブ成形部分に、リブの窪み部を形成するための膨出部が設けられることで、樹脂の流動が阻害されることになる。このため、成形時に、樹脂材料は、成形型におけるキャビティの成形品本体成形部分を流れるときの流動速度と、キャビティのリブ成形部分を流れて成形品本体成形部分に合流するときの流動速度とが略同一になる。この結果、成形時における樹脂材料の流動速度差が抑制されて、樹脂材料の流動の乱れに起因する樹脂成形品の外観不具合を防止できる。
本発明に係る樹脂成形品のリブ構造における一実施形態が適用された樹脂成形品を示し、(A)は表面図、(B)は裏面図、(C)は図1(A)のIC矢視図。 (A)は図1(C)のIIA矢視図、(B)、(C)、(D)は図2(A)のIIB−IIB線、IIC−IIC線、IID−IID線にそれぞれ沿う断面図、(E)は、リブの変形形態を示す図2(D)に対応する断面図。 (A)は図1及び図2の樹脂成形品を成形する成形型の部分平断面図、(B)は図3(A)の一部を拡大して示す拡大図。 (A)、(B)は図3(A)のIVA−IVA線、IVB−IVB線にそれぞれ沿う断面図。 図1及び図2の樹脂成形品を構成する樹脂材料(基材樹脂及び添加物)の諸元を示す図表。 リブにおける窪み部の位置と外観不具合との関係を示す図表。 本発明に係る樹脂成形品のリブ構造における第2実施形態が適用された樹脂成形品であり、(A)は図2(A)に対応する側面図、(B)、(C)、(D)は図7(A)のVIIB−VIIB線、VIIC−VIIC線、VIID−VIID線にそれぞれ沿う断面図。 (A)は、本発明に係る樹脂成形品のリブ構造における第3実施形態が適用された樹脂成形品を示し、図2(A)に対応する側面図、(B)、(C)は、図8(A)の樹脂成形品の第1変形形態、第2変形形態をそれぞれ示す側面図。 従来の樹脂成形品を示し、(A)は側面図、(B)、(C)は図9(A)のそれぞれIXB矢視図、IXC矢視図。 (A)は図9の樹脂成形品を成形する成形型の部分平断面図、(B)は図10(A)を一部拡大して示す拡大図。 (A)、(B)は、図10(A)のXIA−XIA線、XIB−XIB線にそれぞれ沿う断面図。
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。
[A]第1実施形態(図1〜図6)
図1は、本発明に係る樹脂成形品のリブ構造における一実施形態が適用された樹脂成形品を示し、(A)は表面図、(B)は裏面図、(C)は図1(A)のIC矢視図である。図2は、(A)は図1(C)のIIA矢視図、(B)、(C)、(D)は図2(A)のIIB−IIB線、IIC−IIC線、IID−IID線にそれぞれ沿う断面図である。
図1及び図2に示す樹脂成形品10は、略平板形状の成形品本体11の裏面11Bの幅方向及び長手方向略中央位置からリブ12が、直交して一体に突設されて構成されたものである。但し、リブ12の位置は、裏面11Bの中央に限定されるものではなく、また、直交でなくとも良い。尚、成形品本体11の表面11Aは意匠面として構成される。そして、リブ12の一側面12Aと、この一側面12Aの反対側の他側面12Bの少なくとも一方(本実施形態では一側面12A)に、窪み部13(図2)が形成されている。
この窪み部13は、多角形状(本実施形態では四角形状)に形成され、リブ12の長手方向に沿って複数設けられる。また、この窪み部13は、その下縁13Bがリブ12の下縁14と一致してアンダーカットなしに形成されると共に、窪み部13の上縁13Aと成形品本体11の裏面11Bとの距離Lが、0.3mm未満、好ましくは0.2mmに設定される。更に、窪み部13は、上縁13A側の角部15が湾曲(例えば、曲率半径が1mm以上)に面取り加工されている。尚、窪み部13は、図2(E)に示すように、リブ12の側縁部16を含めたリブ12の一側面12Aに形成されてもよい。
ところで、上述のような樹脂成形品10を成形する成形型17のキャビティ18は、図3及び図4に示すように、樹脂成形品10の成形品本体11を成形するための成形品本体成形部分19と、樹脂成形品10のリブ12を成形するためのリブ成形部分20とを有している。
成形品本体成形部分19の流路断面積とリブ成形部分の流路断面積(リブ12の突設方向においてリブ成形部分20に連続する成形品本体成形部分19を含めた流路断面積)とを比較すると、リブ成形部分20の流路断面積が成形品本体成形部分19の流路断面積よりも大きい。但し、リブ成形部分20には、窪み部13を成形するための膨出部21が形成されている。このため、リブ成形部分20内を流れる溶融状態の樹脂材料は、膨出部21によってその流動が阻害されることになる。
従って、樹脂成形品10の成形時に、図示しない射出成型機から成形型17のキャビティ18内に充填された溶融状態の樹脂材料1は、キャビティ18の成形品本体成形部分19を流れるときの流動速度をV1としたとき、リブ成形部分20に流入し始めたときの流動速度V2は流動速度V1よりも大きくなるが(V2>V1)、リブ成形部分20内を流れる間に膨出部21により流れが阻害されて流動速度V3と減速され(V3<V2)、更に、リブ成形部分20内を流れて成形品本体成形部分19に合流する直前の流動速度V4は、成形品本体成形部分19内を流れる流動速度V1と略同一になる(V4≒V1)。
このように、リブ成形部分20内を流れて成形品本体成形部分19に合流した樹脂材料1と、成形品本体成形部分19のみを流れた樹脂材料1とは、その流動速度差が抑制されるので、リブ成形部分20下流側の成形品本体成形部分19において樹脂材料1の流動の乱れの発生が防止されることになる。従って、この樹脂材料1の流動の乱れに起因して樹脂成形品10の成形品本体11に発生する外観不具合(乱流痕)を防止することが可能になる。この外観不具合の防止効果は、樹脂材料として、基材樹脂に光輝材や顔料などの添加物が含まれる場合に、その配向の乱れの発生が回避されることで顕著になる。
ここで、基材樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの結晶性の熱可塑性樹脂や、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリルニトリル・エチレンプロピレンジエン・スチレン共重合体(AES)などの非晶性の熱可塑性樹脂である。
また、光輝材としては、例えばアルミニウム粉、マイカ、ガラス粉などがある。これらの光輝材は一般的に鱗片形状であり、光の反射、透過、屈折などの作用で樹脂成形品10に光輝感を与えるものである。また、顔料としては、例えばフタロシアニンブルーやフタロシアニングリーンなどがある。これらの顔料は針形状であり、光の反射、透過、屈折などの作用で樹脂成形品10に色味を与えるものである。
本実施形態では、図5に示すように、基材樹脂としてアクリルニトリル・エチレンプロピレンジエン・スチレン共重合体(AES)が用いられ、添加物として光輝材が用いられている。光輝材のアスペクト比(厚さに対する長さの比)が高いほど、外観不具合が発生し易いことが分かる。従って、この光輝材の配向の乱れが回避されることで、樹脂成形品10の成形品本体11に発生する外観不具合(乱流痕)が防止されることになる。
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば、次の効果(1)〜(3)を奏する。
(1)樹脂成形品10における成形品本体11の裏面11Bから突設されるリブ12の一側面12Aに窪み部13が形成されている。従って、この樹脂成形品10を成形する成形型17のキャビティ18におけるリブ成形部分20は、キャビティ18における成形品本体成形部分19よりも流路断面積が大きいが、このリブ成形部分20に、リブ12の窪み部13を形成するための膨出部21が設けられることで、リブ成形部分20を流れる樹脂材料1の流動が阻害されることになる。
このため、樹脂成形品10の成形時に、樹脂材料1は、成形型17におけるキャビティ18の成形品本体成形部分19を流れるときの流動速度V1と、キャビティ18のリブ成形部分20を流れて成形品本体成形部分19に合流するときの流動速度V4とが略同一になる。この結果、成形時における樹脂材料1の流動速度差が抑制されて、樹脂材料1の流動の乱れに起因する樹脂成形品10の外観不具合(乱流痕)を防止できる。
特に、樹脂成形品1に光輝材や顔料などの添加物が含まれている場合には、樹脂成形品1の流動の乱れが抑制されることで添加物の配向の乱れが回避されるので、樹脂成形品10における外観不具合(乱流痕)の防止効果が顕著になる。
これらの結果、樹脂成形品10の上記外観不具合を隠すために、樹脂成形品10に塗装を施す必要がなくなる。このように樹脂成形品10を無塗装化できることで、塗装工程を廃止してコストを低減できると共に、塗装による環境負荷物質の大気中への排出を防止できる。
(2)樹脂成形品10では、リブ12に形成される窪み部13の上縁13Aと成形品本体11の裏面11Bとの距離Lが0.3mm未満に設定されている。従って、図6に示すように、光輝材を含む樹脂材料1から成形された樹脂成形品10の何れにおいても、樹脂成形品1の流動速度差に起因する外観不具合(乱流痕)の発生を防止することができる。
(3)樹脂成形品10におけるリブ12の窪み部13は四角形状に形成されるが、その上縁13A側の角部15が湾曲に面取り加工されている。このため、樹脂成形品10では、窪み部13の角部15を起点して応力集中が発生せず、従って、この応力集中に起因するリブ12の破損を確実に防止できる。また、角部15に生じる樹脂の流れの乱れに起因する乱流痕も防止できる。
[B]第2実施形態(図7)
図7は、本発明に係る樹脂成形品のリブ構造における第2実施形態が適用された樹脂成形品であり、(A)は図2(A)に対応する側面図、(B)、(C)、(D)は図7(A)のVIIB−VIIB線、VIIC−VIIC線、VIID−VIID線にそれぞれ沿う断面図である。この第2実施形態において、前記第1実施形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
本第2実施形態の樹脂成形品25が前記第1実施形態の樹脂成形品10と異なる点は、リブ12に形成される窪み部26の形状である。
つまり、この窪み部26は四角形状であるが、樹脂成形品25におけるリブ12の一側面12Aと他側面12Bの少なくとも一方(本実施形態では一側面12A)に、リブ12の長手方向に延びて形成される。更に、窪み部26は、その上縁26Aが成形品本体11の裏面11Bと距離L(0.3mm未満、好ましくは0.2mm)に設定されると共に、窪み部26の下縁26Bが、リブ12の下縁14よりも成形品本体11側に離間して設定されてアンダーカットをもって形成される。また、四角形状の各角部15は、第1実施形態と同様に湾曲に面取り加工が施されている。
従って、本第2実施形態においても、前記第1実施形態の効果(1)〜(3)と同様な効果を奏する。
[C]第3実施形態(図8)
図8は、(A)は、本発明に係る樹脂成形品のリブ構造における第3実施形態が適用された樹脂成形品を示し、図2(A)に対応する側面図、(B)、(C)は、図8(A)の樹脂成形品の第1変形形態、第2変形形態をそれぞれ示す側面図である。この第3実施形態、第1及び変形形態において、前記第1実施形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
本第3実施形態の樹脂成形品30、第3実施形態の第1変形形態における樹脂成形品31、第3実施形態の第2変形形態における樹脂成形品32が前記第1及び第2実施形態と異なる点は、それぞれの窪み部33、34、35の形状である。
つまり、樹脂成形品30のリブ12に形成される窪み部33は、長軸がリブ12の長手方向に延びる楕円形状の1つの窪み部である。また、樹脂成形品31のリブ12に形成される窪み部34は、リブ12の長手方向に沿って複数設けられた円形状の窪み部である。更に、樹脂成形品32のリブ12に形成される窪み部35は、リブ12の長手方向に沿って複数設けられた三角形状の窪み部である。この窪み部35の角部15のうち、リブ12の下縁14に接していない樹脂成形品11側の角部15は、第1実施形態と同様に湾曲に面取り加工されている。
従って、本第3実施形態においても、前記第1実施形態の効果(1)〜(3)と同様な効果を奏する。
以上実施形態について説明してきたが、本発明は、上述したような実施形態の具体的構成に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することができる。例えば、成形品本体11の縁から一体に突設されるフランジに対して本発明を適用してもよい。
1 樹脂材料
10 樹脂成形品
11 成形品本体
11B 成形品本体の裏面
12 リブ
13 窪み部
13A 窪み部の上縁
15 窪み部の角部
25、30、31、32 樹脂成形品
26、33、34、35 窪み部
L 距離

Claims (4)

  1. 成形品本体の裏面からリブが一体に突設された樹脂成形品において、
    前記リブには、一側面とこの一側面の反対側の他側面との少なくとも一方に、窪み部が形成されたことを特徴とする樹脂成形品のリブ構造。
  2. 前記リブの窪み部は、この窪み部の上縁が成形品本体の裏面と0.3mm未満の距離に設定されたことを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品のリブ構造。
  3. 前記リブの窪み部は、楕円形状、円形状または多角形状に形成され、前記多角形状の角部が湾曲に面取り加工されたことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂成形品のリブ構造。
  4. 前記リブの窪み部は、前記リブの長手方向に沿って複数形成され、または前記長手方向に延びて形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の樹脂成形品のリブ構造。
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