JP2014012265A - 遠心分離装置 - Google Patents
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Abstract
、不要な電力を削減した省エネ操業を実現できる遠心分離装置を提供する
【解決手段】被処理液に遠心力を付与して固形物と液とを遠心分離するボウルと、前記ボ
ウル内の固形物を排出口に向けて搬送するスクリューコンベアと、前記ボウルを回転させ
る駆動モータと、前記スクリューコンベアが前記ボウルと相対的な差速をもって回転する
ようにする差速発生装置と、を備えた遠心分離装置であって、前記スクリューコンベアの
搬送トルクの変化に応じて前記ボウルの遠心力の大きさを自動制御する制御装置を備えた
構成とする。
【選択図】図1
Description
ーコンベアの搬送トルクに応じてボウルの遠心力を制御する機能を備えた遠心分離装置に
関する。
れている(例えば、特許文献1参照)。図9は、横型のデカンタの概略構造を示す。横型
のデカンタ100は、図9に示されるように、水平軸廻りに回転可能なボウル101と、
このボウル101内に同じ回転軸上に配置されたスクリューコンベア102とが、ケーシ
ング103の内部に収容されている構造である。
されている。このコニカル状に形成されている部位は、スクリューコンベア102によっ
て移送される固形物が液溜まりから離脱するビーチ部を形成しており、その先端側に固形
物出口104が形成されている。また、ボウル101の胴部は、ボウル101の内部に供
給される被処理液の液溜り(プール部)を形成しており、他端側の端面に分離液出口10
5が形成されている。一方、スクリューコンベア102の胴部には、螺旋状のスクリュー
羽根102aと、被処理液をボウル内に供給するための吐出口102bが形成されている
。
力の作用によりボウル101の周壁面に固形物が沈降する。そして、ギアボックス106
を介してボウル101とは相対的な差速をもって回転するスクリューコンベア102によ
って、固形物はビーチ部に向かって移送される。ビーチ部で液から分離された固形物は、
固形物出口104から排出される。一方、固形物が分離された液(分離液)は、分離液出
口105からオーバーフローして排出される。
ンバータ制御によってボウル101の回転速度(N)を制御する。一方、スクリューコン
ベア102は、ボウル101と相対的な差速(ΔN)をもって回転するように、ギアボッ
クス106とバック駆動モータ108によって回転速度が制御される構成になっている。
被処理液を含むボウル101を回転させると、摩擦や流体抵抗等の作用によりボウル10
1と一体となってスクリューコンベア102も同速で回転しようとする。同速では固形物
がビーチ部へ搬送されないため、スクリューコンベア102がボウル101よりも遅い速
度で回転するように、バック駆動モータ108によってブレーキをスクリューコンベア1
02に付与する。ブレーキの作用によって生成された回生電力は、主駆動モータ107で
消費し、装置の省エネ化を実現している。
うに操業されるか、或いは、特許文献2のように、スクリューコンベア102の搬送負荷
(トルク)を計測し、トルク値に応じて差速(ΔN)の大きさを制御するデカンタ100
が開示されている。すなわち、従来はボウル101の回転速度(N)を一定とした操業が
行われている。
定ではなく、変動する場合がある。特に、被処理液が下水処理等で発生する汚泥の場合、
降雨量等の諸因子によって固形分濃度(汚泥濃度)が変化する。従来においては、意図し
てボウル101の回転数を一定に設定するか、或いは、特許文献2のように一定にせざる
を得ない構造にしているので、供給する被処理液の性状(特に、固形分濃度)に不適正な
遠心力(G)で操業している場合がある。この場合、ボウル101から排出される固形物
(汚泥の場合は濃縮汚泥)の含水率が目標値から外れたり、或いは不必要に電力を消費す
ることによるランニングコスト増を招いたりする。
的は、被処理液の性状(特に、固形分濃度)が変化しても安定した操業であって、且つ、
不要な電力を削減した省エネ操業を実現できる遠心分離装置を提供することにある。
ウルと、前記ボウル内の固形物を排出口に向けて搬送するスクリューコンベアと、前記ボ
ウルを回転させる駆動モータと、前記スクリューコンベアが前記ボウルと相対的な差速を
もって回転するようにする差速発生装置と、を備えた遠心分離装置であって、前記スクリ
ューコンベアの搬送トルクの変化に応じて前記ボウルの遠心力の大きさを自動制御する制
御装置を備えたことを特徴とする。
搬送トルクが目標設定値の範囲に納まるように前記ボウルの遠心力の大きさを段階的に変
えることが好ましい。また、前記目標設定値の範囲は、上限値と下限値との差が0.5k
gf−mに設定されており、前記搬送トルクがこの範囲内に納まるように前記ボウルの遠
心力の大きさを段階的に変えることが好ましい。また、前記ボウルの遠心力は、例えば1
00G間隔で段階的に変えることが好ましい。
前記ボウル内の固形物を排出口に向けて搬送するスクリューコンベアと、前記ボウルを回
転させる駆動モータと、前記スクリューコンベアが前記ボウルと相対的な差速をもって回
転するようにする差速発生装置と、を備えた遠心分離装置において、前記スクリューコン
ベアの搬送トルクの変化に応じて前記ボウルの遠心力の大きさを自動制御する制御装置を
備えたことにより、被処理液の性状(特に、固形分濃度)の変化に応じた適正な遠心力で
遠心分離を行うことができる。その結果、固形物(汚泥の場合はケーキ)の含水率が目標
値から外れるのを抑制でき、また不要な電力を削減した省エネ操業を実現できる。
デカンタを一例に挙げて説明する。但し、以下に説明する各実施形態によって本発明の技術的範囲は何ら限定解釈されることはない。
本実施形態に従うデカンタ1は、図1に示すように、固形物出口21と分離液出口22
のそれぞれが下方に形成されているケーシング2と、ケーシング2内に配置された回転筒
状体をなすボウル3と、ボウル3内で遠心力が付与された固形物の搬送手段であるスクリ
ューコンベア4を備えている。ボウル3は、例えばケーシング2に取付けられたベアリン
グ等の軸受機構23によって支持され、スクリューコンベア4はコンベアベアリング(不
図示)によって支持されており、ボウル3とスクリューコンベア4のそれぞれが独立して
水平軸周りに回転可能となっている。
のプーリー24bに伝達されることによって、ボウル3が所定の回転速度で回転し、さら
に差速発生機構25及びスプラインシャフト26を通じてスクリューコンベア4に動力が伝達され、ボウル3とスクリューコンベア4が相対的な差速をもって回転するように構成されている。差速発生機構には、例えば、遊星ギアを用いることができる。
ズル5をさらに備えている。供給ノズル5は、例えば2重管構造であり、内側に汚泥,外
側に凝集剤の流路が割り当てられている。汚泥は、上下水、産業排水、し尿などの水処理
過程で発生する汚泥であり、95〜99.5%程度の含水率である。凝集剤は、例えば高
分子凝集剤が用いられる。
いる。そして、他端側の開口部は、フロントハブ33と称される平面が円形の部材によっ
て塞がれている。フロントハブ33と円筒部32は、ボウル3内に供給される汚泥が滞留
するプール部(液溜まり)を形成する。フロントハブ33には分離液排出口34が形成さ
れており、汚泥を連続的にボウル3内に供給することによって分離液を排出口34からオ
ーバーフローさせる。
すなわち、脱水途中の汚泥)がプール部から離脱するビーチ部を形成しており、ビーチ部
の先端側に濃縮汚泥(又は脱水汚泥)の排出口35が形成されている。ビーチ部は、その
傾斜面で濃縮汚泥をスリップさせスクリュー羽根41の圧搾力を大きく汚泥に作用させる
役割と、プール部の有効容積を大きくして汚泥滞留時間を増加させる機能がある。低動力
や高脱水型のデカンタ1においては、中央付近で傾斜角度が変わる2段構造のビーチ部と
なっている。図1のビーチ部のように先端側の傾斜角の方を急にすることには、スクリュ
ー羽根41の圧搾力と汚泥滞留時間を更に増加させる作用がある。但し、先端側の傾斜角
の方を緩やかにすることもでき、必ずしも2段構造としなくともよい。さらに、本実施形
態は、円錐部31を有さず、円筒部32のみで構成されるボウル3にも適用可能である。
部42の外周面に螺旋状に形成されている。スクリューコンベア4の胴部42は、図2に
示すように、内部に空洞(バッファ部)を有し、バッファ部内まで供給ノズル5の先端が
延設されている。そして、供給ノズル5からの汚泥がバッファ部に供給されると、胴部4
2の中央部付近に形成されているショートコーン43を介して遠心力の作用によってボウ
ル3内に汚泥が供給されるようになっている。凝集剤も、同図に示すように、汚泥とは別
経路でショートコーン43内に供給され、ショートコーン43内で汚泥と混合されてボウ
ル3内に供給される。ショートコーン43の内部領域で汚泥と凝集剤を効率良く反応させ
て遠心力場に速やかに供給できるので、凝集剤の低薬注率を達成することができる。さら
に、ショートコーン43に沿って汚泥が遠心力場に供給されるので、ボウル3内の汚泥層
を撹拌することがなく、分離性能を高めることができる。なお、凝集剤の薬注は、必ずし
も行わなくてもよく、薬注するための設備を省略することもできる。
の流れを可能にする開口部がスクリュー羽根41に設けられたアキシャルコンベアを用い
る。アキシャルコンベアを用いることにより、分離液は、スクリュー羽根41間の溝に沿
って螺旋状に流れるのではなく、開口部を通過してスクリューコンベア4の軸芯方向に沿
って直線状に流れ、分離液排出口34に向かう。このような流れを形成させることにより
、ボウル3内における分離液の線速度が低くなり、汚泥層を撹乱することなく流れること
によって低薬注率を達成できる。
に示すように、ショートコーン43から分離液排出口34側のスクリュー羽根41につい
ては、螺旋状の帯状部材41aをスクリューコンベア4の胴部から離して配置することに
よって開口部を形成し、放射状に配置される支持部材41bで螺旋状の帯状部材を固定す
ることによってスクリュー羽根41を形成している。
ク計は、一例としてインバータトルクモニタ出力を採用することができる。スクリューコ
ンベア4の搬送トルクは、ボウル3内の汚泥の濃縮状態によって変化する。より詳しくは
、濃縮が進行し過ぎのときは、ボウル3内の汚泥の含水率が低いため搬送トルクが大きく
なる。反対に、濃縮が不足し過ぎのときは、ボウル3内の汚泥の含水率が高いため搬送ト
ルクが小さくなる。ボウル3内の濃縮汚泥の状態を変える因子の一つとしては、供給する
汚泥(供給汚泥)の性状(特に、汚泥濃度)の変化がある。供給汚泥の性状は、降雨量等
に基づく下水性状の変化や、下水処理場の操業状態等によって変化する。
い汚泥を供給するとボウル3内で濃縮が進行し過ぎて搬送トルクが大きくなる。その結果
、濃縮汚泥の含水率が目標値よりも低くなり過ぎ、さらに濃縮汚泥が排出口35を閉塞さ
せる場合がある。さらに、必要以上の遠心力(G)を付与することは、必要以上の電力が
消費されていることになる。反対に、濃度が低い汚泥を供給するとボウル3内での濃縮が
不十分になって、搬送トルクが小さくなる。その結果、目標値に到達しない濃縮汚泥が機
外に排出されることになる。
濃縮状態を安定化させるために、スクリューコンベア4の搬送トルクの変化に応じて、ボ
ウル3の遠心力(G)の大きさを変える制御装置6を備えている。制御装置6は、例えば
CPUとメモリを備えたコンピュタ装置で構成することができる。制御装置6は、後述す
る遠心力(G)の自動制御を行うシーケンスプログラムをメモリに格納している。制御装
置6は、更に、デカンタ1の全体的動作を制御するシーケンスプログラムをメモリに格納
しておくことができる。
応関係を示す情報と、遠心力(G)と対応付けた差速(ΔN)の差速可動上限値の情報及び差速可動下限値の情報をメモリに格納している。遠心力(G)は、段階的に変えることが好ましいため、例えば800G〜1700Gの範囲を100G間隔で10段階に区切った遠心力(G)の設定値と、各遠心力(G)の設定値に対応付けた回転速度(N)と差速(ΔN)の差速可動上限値の情報と差速可動下限値の情報とを格納している。
報をメモリに格納している。目標設定値の範囲は、処理する汚泥の種類や目標とする含水
率等によって適宜設定することができる。好ましい一例としては、目標設定値を7.5k
gf−mとし、トルク上限設定値を7.7kgf−m、トルク下限設定値を7.2kgf−mに設定する。すなわち、トルク上限設定値とトルク下限設定値の差を0.5kgf−mとするのが好ましい。トルク上限設定値とトルク下限設定値の差を比較的狭く設定することによって、適正な遠心力(G)の傾向を把握できる利点がある。これに対し、この差が大き過ぎるとトルク変動の幅が大きく安定性を欠いた操業となる場合があり、反対に差が小さ過ぎると頻繁に遠心力(G)が変更され安定性を欠いた操業となる場合がある。
続いて、本実施形態に従うデカンタ1を用いて汚泥を遠心分離する動作について説明す
る。まず、駆動モータ24を起動し、ボウル3とスクリューコンベア4をそれぞれ所定の
回転速度で回転させながら、汚泥と凝集剤をボウル3内に供給する。ボウル3の回転速度
(N)の設定値、ボウル3とスクリューコンベア4の差速(ΔN)の差速可動上限値及び差速可動下限値は、遠心力(G)の設定値に基づいてそれぞれ決定される。一例として、供給する汚泥の濃度を予め分析し、分析結果に基づいて遠心力(G)の目標値(初期設定値)を決定し、オペレータが制御装置6に入力する。初期設定値は低めに設定しておき、自動制御によって適正な遠心力(G)に段階的に上げていくのが好ましい。初期設定値が入力された制御装置6は、初期設定値の遠心力(G)に対応する回転速度(N)の設定値と差速(ΔN)の差速可動上限値の情報と差速(ΔN)の差速可動下限値の情報とをメモリから読み出し、その回転速度(N)の設定値と差速(ΔN)の差速可動上限値と差速(ΔN)の差速可動下限値とを制御用の設定値に決定する。一例として、1600Gを初期設定値とした場合、回転速度(N)の設定値は1792min−1であり、差速(ΔN)の差速可動上限値は3.5min−1であり、差速(△N)の差速可動下限値は4.5min−1である。ボウルの回転速度(N)は、ボウル速度計が計測する回転速度が設定値と同じになるように駆動モータ24をインバータ制御する。一方、差速については、トルク出力に基づいて制御する。汚泥の供給量は、一例として2〜50m3/hとすることができる。凝集剤の添加量は、添加する凝集剤の種類、汚泥の性状や反応性などに基づいて調整することができる。
混合された汚泥は、回転するボウル3によって遠心力が付与され、ボウル3のプール部に
全周に亘って貯留された状態となり、さらに比重差によって汚泥固形分がボウル3の内周
面側に沈降した状態となる。そして、ボウル3内周面側に沈降した汚泥固形分は、回転す
るスクリューコンベア4のスクリュー羽根41によって排出口35に向かって移送されて
いき、ビーチ部に上陸することによって液から分離される。液から分離された濃縮汚泥は
、排出口35からボウル3外に排出される。一方、汚泥を連続供給することによって、分
離液排出口34から分離液がオーバーフローする。
の遠心力(G)の大きさを自動制御する制御装置6を備えたことにより、供給汚泥の性状
(固形分濃度)の変化に応じた適正な遠心力で遠心分離を行うことができる。その結果、
ボウル3内の濃縮状態を安定化することができ、ボウル3から排出される濃縮汚泥の含水
率が(指定の目標値)から外れるのを抑制することができる。また、適正な遠心力(G)
に設定することによって、不要な電力を削減した省エネ操業を実現できる。なお、上述の
実施形態では制御装置6による自動制御を採用しているが、オペレータによる手動制御を
実行してもよい。
々の置換、変形、変更等が、特許請求の範囲の記載により規定されるような本発明の精神
及び範囲から逸脱することなく行われることが可能であることは、当該技術分野における
通常の知識を有する者には明らかである。従って、本発明の範囲は、前述の実施形態及び
添付図面に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づ
いて定められるべきである。
。同図の結果から明らかなように、搬送トルクに応じて回転数(N)と差速(ΔN)が目
標とする制御設定値に沿うように自動制御されており、安定した操業を実現できた。さら
に操業期間中、濃縮汚泥の含水率も目標範囲に納まっていた。
第1実施形態では、ボウル3の遠心力(G)の大きさをスクリューコンベア4の搬送トルクの変化に応じて制御した。本実施形態では、ボウル3の遠心力(G)の大きさを搬送トルクの変化に加えて、スクリューコンベア4とボウル3との差速(ΔN)の変化に応じて制御することで、より被処理液の性状に対応して安定操業可能な、かつ省エネルギー可能な運転となっている。本実施形態では、デカンタ1の構成は第1実施形態と同様であるため、説明を繰り返さない。
差速(△N)=(N1−N2)/X・・・・・・・・・(1)
なる算出式から導出することができる。
まず、デカンタ1の起動方法について説明する。オペレータは、ボウル3に供給する汚泥の濃度を予め分析し、分析結果に基づいて遠心力(G)の目標値(初期設定値)を決定する。制御装置6は、遠心力(G)の初期設定値のオペレータによる入力を受け付ける(Act1)。本実施形態では、遠心力(G)の初期設定値を1000Gに設定したものとする。
トルク値がトルク上限設定値超、トルク上限限界値未満である場合には、汚泥の圧搾処理が進みすぎて、目標含水率を維持できなくおそれがあるから、遠心力(G)を1段階下げて、固形物を速やかにデカンタ1の外部に排出する。なお、遠心力(G)の大きさを下げる場合における差速(ΔN)の差速可動下限値継続状態の時間条件は、1段下げる場合と2段下げる場合とで変えてもよい。
2 ケーシング
3 ボウル
4 スクリューコンベア
5 供給ノズル
6 制御装置
デカンタを一例に挙げて説明する。但し、以下に説明する実施形態によって本発明の技術的範囲は何ら限定解釈されることはない。
本参考例に従うデカンタ1は、図1に示すように、固形物出口21と分離液出口22
のそれぞれが下方に形成されているケーシング2と、ケーシング2内に配置された回転筒
状体をなすボウル3と、ボウル3内で遠心力が付与された固形物の搬送手段であるスクリ
ューコンベア4を備えている。ボウル3は、例えばケーシング2に取付けられたベアリン
グ等の軸受機構23によって支持され、スクリューコンベア4はコンベアベアリング(不
図示)によって支持されており、ボウル3とスクリューコンベア4のそれぞれが独立して
水平軸周りに回転可能となっている。
すなわち、脱水途中の汚泥)がプール部から離脱するビーチ部を形成しており、ビーチ部
の先端側に濃縮汚泥(又は脱水汚泥)の排出口35が形成されている。ビーチ部は、その
傾斜面で濃縮汚泥をスリップさせスクリュー羽根41の圧搾力を大きく汚泥に作用させる
役割と、プール部の有効容積を大きくして汚泥滞留時間を増加させる機能がある。低動力
や高脱水型のデカンタ1においては、中央付近で傾斜角度が変わる2段構造のビーチ部と
なっている。図1のビーチ部のように先端側の傾斜角の方を急にすることには、スクリュ
ー羽根41の圧搾力と汚泥滞留時間を更に増加させる作用がある。但し、先端側の傾斜角
の方を緩やかにすることもでき、必ずしも2段構造としなくともよい。さらに、本参考例は、円錐部31を有さず、円筒部32のみで構成されるボウル3にも適用可能である。
濃縮状態を安定化させるために、スクリューコンベア4の搬送トルクの変化に応じて、ボ
ウル3の遠心力(G)の大きさを変える制御装置6を備えている。制御装置6は、例えば
CPUとメモリを備えたコンピュタ装置で構成することができる。制御装置6は、後述す
る遠心力(G)の自動制御を行うシーケンスプログラムをメモリに格納している。制御装
置6は、更に、デカンタ1の全体的動作を制御するシーケンスプログラムをメモリに格納
しておくことができる。
続いて、本参考例に従うデカンタ1を用いて汚泥を遠心分離する動作について説明す
る。まず、駆動モータ24を起動し、ボウル3とスクリューコンベア4をそれぞれ所定の
回転速度で回転させながら、汚泥と凝集剤をボウル3内に供給する。ボウル3の回転速度
(N)の設定値、ボウル3とスクリューコンベア4の差速(ΔN)の差速可動上限値及び差速可動下限値は、遠心力(G)の設定値に基づいてそれぞれ決定される。一例として、供給する汚泥の濃度を予め分析し、分析結果に基づいて遠心力(G)の目標値(初期設定値)を決定し、オペレータが制御装置6に入力する。初期設定値は低めに設定しておき、自動制御によって適正な遠心力(G)に段階的に上げていくのが好ましい。初期設定値が入力された制御装置6は、初期設定値の遠心力(G)に対応する回転速度(N)の設定値と差速(ΔN)の差速可動上限値の情報と差速(ΔN)の差速可動下限値の情報とをメモリから読み出し、その回転速度(N)の設定値と差速(ΔN)の差速可動上限値と差速(ΔN)の差速可動下限値とを制御用の設定値に決定する。一例として、1600Gを初期設定値とした場合、回転速度(N)の設定値は1792min−1であり、差速(ΔN)の差速可動上限値は3.5min−1であり、差速(△N)の差速可動下限値は4.5min−1である。ボウルの回転速度(N)は、ボウル速度計が計測する回転速度が設定値と同じになるように駆動モータ24をインバータ制御する。一方、差速については、トルク出力に基づいて制御する。汚泥の供給量は、一例として2〜50m3/hとすることができる。凝集剤の添加量は、添加する凝集剤の種類、汚泥の性状や反応性などに基づいて調整することができる。
(固形分濃度)の変化に応じた適正な遠心力で遠心分離を行うことができる。その結果、
ボウル3内の濃縮状態を安定化することができ、ボウル3から排出される濃縮汚泥の含水
率が(指定の目標値)から外れるのを抑制することができる。また、適正な遠心力(G)
に設定することによって、不要な電力を削減した省エネ操業を実現できる。なお、上述の
参考例では制御装置6による自動制御を採用しているが、オペレータによる手動制御を実行してもよい。
参考例では、ボウル3の遠心力(G)の大きさをスクリューコンベア4の搬送トルクの変化に応じて制御した。本実施形態では、ボウル3の遠心力(G)の大きさを搬送トルクの変化に加えて、スクリューコンベア4とボウル3との差速(ΔN)の変化に応じて制御することで、より被処理液の性状に対応して安定操業可能な、かつ省エネルギー可能な運転となっている。本実施形態では、デカンタ1の構成は参考例と同様であるため、説明を繰り返さない。
Claims (8)
- 被処理液に遠心力を付与して固形物と液とを遠心分離するボウルと、前記ボウル内の固
形物を排出口に向けて搬送するスクリューコンベアと、前記ボウルを回転させる駆動モー
タと、前記スクリューコンベアが前記ボウルと相対的な差速をもって回転するようにする
差速発生装置と、を備えた遠心分離装置であって、
前記スクリューコンベアの搬送トルクの変化に応じて前記ボウルの遠心力の大きさを自
動制御する制御装置を備えたことを特徴とする遠心分離装置。 - 前記制御装置は、前記搬送トルクの目標設定値の範囲の情報を有し、遠心分離実行時の
搬送トルクが目標設定値の範囲に納まるように前記ボウルの遠心力の大きさを段階的に変
えることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離装置。 - 前記目標設定値の範囲は、上限値と下限値との差が0.5kgf−mに設定されており
、前記搬送トルクがこの範囲内に納まるように前記ボウルの遠心力の大きさを段階的に変
えることを特徴とする請求項2に記載の遠心分離装置。 - 前記ボウルの遠心力は、100G間隔で段階的に変えることを特徴とする請求項2又は
3に記載の遠心分離装置。 - 前記制御装置は、段階的に変えられる遠心力の各々に対応付けた差速可動上限値の情報と差速可動下限値の情報とをさらに有し、前記ボウルの遠心力の大きさを段階的に変えるときに変更後の前記ボウルの遠心力に対応する差速可動上限値及び差速可動下限値に設定することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の遠心分離装置。
- 前記制御装置は、前記ボウルの遠心力を上昇させる動作を開始してから変更後の遠心力
となるまでの間、前記ボウルへの被処理液の供給を停止する制御を実行することを特徴と
する請求項2〜5のいずれか1項に記載の遠心分離装置。 - 前記制御装置は、前記搬送トルクのトルク目標設定値の範囲の情報、前記差速の差速可動範囲の情報を有し、遠心分離実行時の前記搬送トルクが前記トルク目標設定値の範囲外にあり、かつ、差速が差速可動範囲の限界値である差速可動上限値又は差速可動下限値にある状態が一定時間継続する場合には、前記搬送トルクをトルク目標設定値の範囲に収める方向に、前記ボウルの遠心力の大きさを段階的に変えることを特徴とする請求項1又は2に記載の遠心分離装置。
- 前記制御装置は、前記トルク目標設定値の範囲よりも広いトルク限界値の範囲の情報を有し、
遠心分離実行時の前記搬送トルクが前記トルク目標設定値の上限設定値と前記トルク限界値の上限値であるトルク上限限界値との間であって、かつ、前記差速が前記差速可動下限値にある状態が一定時間継続した場合には、遠心力を下げる第1の遠心力低下処理を行い、
遠心分離実行時の前記搬送トルクが前記トルク上限限界値以上であって、かつ、前記差速が前記差速可動下限値にある状態が一定時間継続した場合には、前記第1の遠心力低下処理よりも大きく遠心力を下げる第2の遠心力低下処理を行い、
遠心分離実行時の前記搬送トルクが前記トルク目標設定値の下限設定値と前記トルク限界値の下限値であるトルク下限限界値との間であって、かつ、前記差速が前記差速可動上限値にある状態が一定時間継続した場合には、遠心力を上げる第1の遠心力増加処理を行い、
遠心分離実行時の前記搬送トルクが前記下限限界値以下であって、かつ、前記差速が前記差速可動上限値にある状態が一定時間継続した場合には、第1の遠心力増加処理よりも大きく遠心力を上げる第2の遠心力増加処理を行うことを、特徴とする請求項7に記載の遠心分離装置。
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