JP2014011307A - 薄膜太陽電池およびその製造方法、薄膜太陽電池モジュール - Google Patents

薄膜太陽電池およびその製造方法、薄膜太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】光を散乱させる構造に起因した発電特性の低下が防止され、光電変換効率に優れた薄膜太陽電池およびその製造方法、薄膜太陽電池モジュールを得ること。
【解決手段】一面側の表面に凹凸形状を有する透光性基板と、前記透光性基板の凹凸形状の上に透光性を有する導電膜からなる透明導電性電極と薄膜半導体膜からなる発電層とがこの順で積層された薄膜太陽電池であって、前記透明導電性電極は、前記透明導電性電極の形成領域における前記凹凸形状の凸頂部のうち最も高い前記凸頂部よりも高い位置まで前記凹凸形状を被覆して設けられ、前記発電層側の面の算術平均粗さが前記凹凸形状の算術平均粗さよりも小さい。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜太陽電池およびその製造方法、薄膜太陽電池モジュールに関する。
光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換装置として、基板上に、第1導電層、光電変換層、第2導電層が順に積層された薄膜太陽電池が知られている。光電変換層は半導体からなり、p型層、反対側にn型層、その間を高抵抗のi層を有するpinダイオード構造のものが用いられる。光電変換層の半導体材料としては、シリコンを主成分とするアモルファスシリコンや微結晶シリコン、シリコン−ゲルマニウムの混合材料などがある。これらの膜の光電変換層は、たとえばシランガスなどシリコンを含む原料ガスを用いるプラズマCVD法などで形成することができる。また、シリコン半導体材料だけでなく化合物半導体材料も用いられる。
光電変換層と基板との配置によって、光が入射する側を基板とするスーパーストレート構造と、光が入射する側を第2導電層とするサブストレート構造とがある。スーパーストレート構造の場合は、透明な絶縁材料としてガラスを用いた基板が一般に使用される。
第1導電層と第2導電層とは、光電変換層が変換した電力を取り出す電極となる。第1導電層と第2導電層とのうち、光が入射する側にある表面電極は透明導電材料などからなる透明電極とするのが一般的である。また、第1導電層と第2導電層とのうち、光が入射する側と反対側にある裏面電極は光を光電変換層側に反射させる高反射率の金属材料などが用いられる。
また、薄膜太陽電池では、基板上の光電変換層は溝などで複数の単位セルごとに分割された集積型構造が用いられる。光電変換層や電極を分割する溝はレーザビームを照射して、その熱で照射部の光電変換層や電極を除去させるレーザースクライブ法などを用いて形成される。集積型構造では、溝によって分割された薄膜太陽電池の素子の第1導電層と、その隣の素子の第2導電層とが光電変換層に形成された溝内で直列に接続される構造が一般的である。
このような集積型薄膜太陽電池の発電層は、その発電効率を高めるために、散乱された光が発電層に入射するように、微細な凹凸からなるテクスチャ構造を有する例えば酸化亜鉛(ZnO)系や酸化スズ(SnO)系の透明導電性膜上に形成される。これらの凹凸を有する透明導電性膜は、一般的には平坦な透明ガラス基板上に、CVD法による成膜や、スパッタリング法で成膜した後にエッチングを行なうことで形成することができる。
また、表面が凹凸を有する透明導電性膜は、例えば特許文献1や特許文献2に示されるようにガラス基板の表面をサンドブラストで粗面化し、その上に透明導電性膜をスパッタリング法等で成膜することにより、ガラス基板の凹凸形状を反映した表面の凹凸構造を有する透明導電性膜を形成することができる。これらの特許文献1や特許文献2に示されている薄膜太陽電池はサブストレート型であるが、スーパーストレート型の薄膜太陽電池にも応用できる。
特開2003−69059号公報 特開2004−82285号公報
しかしながら、表面に凹凸構造を有する透明導電膜上に発電層を形成した場合には、その凹凸形状に起因して発電層に欠陥が発生し、発電特性が低下する場合がある。また、凹凸形状を有するガラス基板上に透明導電性膜を形成した場合には、光の散乱特性を改善するためにガラス基板の凹凸形状を大きくする必要がある。そして、凹凸形状を有するガラス基板上にスパッタリング法等により透明導電性膜が一様に形成された場合には、透明導電性膜の表面にはガラス基板の凹凸形状を反映して大きな凹凸形状が形成されるため、透明導電性膜の凹部、凸部上に形成される発電層に欠陥が発生して発電特性が低下する場合がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光を散乱させる構造に起因した発電特性の低下が防止され、光電変換効率に優れた薄膜太陽電池およびその製造方法、薄膜太陽電池モジュールを得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる薄膜太陽電池は、一面側の表面に凹凸形状を有する透光性基板と、前記透光性基板の凹凸形状の上に透光性を有する導電膜からなる透明導電性電極と薄膜半導体膜からなる発電層とがこの順で積層された薄膜太陽電池であって、前記透明導電性電極は、前記透明導電性電極の形成領域における前記凹凸形状の凸頂部のうち最も高い前記凸頂部よりも高い位置まで前記凹凸形状を被覆して設けられ、前記発電層側の面の算術平均粗さが前記凹凸形状の算術平均粗さよりも小さいこと、を特徴とする。
本発明によれば、光を散乱させる構造に起因した発電特性の低下が防止された、光電変換効率に優れた薄膜太陽電池が得られる、という効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池の概略構成を示す断面図である。 図2は、ガラステクスチャを用いた従来の薄膜太陽電池の概略構成を示す断面図である。 図3は、透明導電性電極テクスチャを用いた従来の薄膜太陽電池の概略構成を示す断面図である。 図4は、図2に示した薄膜太陽電池(サンプル1)と図3に示した薄膜太陽電池(サンプル2)との発電層中での光の散乱状態(ヘイズ率)の、ガラステクスチャの算術平均粗さRagによる変化を示す特性図である。 図5は、本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池における発電層中のヘイズ率の、ガラステクスチャの算術平均粗さRagによる変化を示す特性図である。 図6は、実施の形態1にかかる薄膜太陽電池における発電層3中の波長800nmの光におけるヘイズ率の、ガラステクスチャの算術表面粗さRagによる変化を示す特性図である。 図7は、本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池に入射する光のガラステクスチャ基板から発電層への進行方向の変化を示す模式図である。 図8は、光散乱構造の異なる薄膜太陽電池の特性を示す図である。 図9は、本発明の実施の形態2にかかる薄膜太陽電池の概略構成を示す断面図である。 図10は、本発明の実施の形態2にかかる薄膜太陽電池における発電層中のヘイズ率の、透明導電性電極の算術表面粗さRatによる変化を示す特性図である。 図11は、本発明の実施の形態2にかかる薄膜太陽電池における発電層中のヘイズ率の、透明導電性電極の算術表面粗さRatによる変化を示す特性図である。 図12は、本発明の実施の形態2にかかる薄膜太陽電池に入射する光のガラステクスチャ基板から発電層への進行方向の変化を示す模式図である。 図13は、透明導電性電極とシリコンからなる発電層との界面での光の反射率の、透明導電性電極の算術表面粗さRatによる変化を示す特性図である。 図14は、光散乱構造の異なる薄膜太陽電池の特性を示す図である。
以下に、本発明にかかる薄膜太陽電池およびその製造方法、薄膜太陽電池モジュールの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池の概略構成を示す断面図である。この薄膜太陽電池は、光散乱構造として表面に凹凸形状(テクスチャ)を有するガラス基板1(以下、ガラステクスチャ基板1と呼ぶ)の凹凸形状上に透明導電性電極2、シリコン(Si)薄膜からなる発電層3、裏面電極4が順次積層されて構成されている。なお、以下ではガラステクスチャ基板1の表面の凹凸形状(テクスチャ)をガラステクスチャと呼ぶ場合がある。
透明導電性電極2は、酸化亜鉛(ZnO)系や酸化スズ(SnO)系等の透光性を有する導電膜からなり、透明導電性電極2のけ形成領域におけるガラステクスチャの凹凸の凸頂部のうち最も高い凸頂部よりも高い位置までガラステクスチャの全面を被覆して設けられている。ここでの凸頂部の高さは、ガラステクスチャ基板1側を下、発電層3側を上とした場合の高さである。また、透明導電性電極2の発電層3側の面の算術平均粗さRatは、ガラステクスチャの算術平均粗さRagよりも小さくされている。この薄膜太陽電池では、透明導電性電極2の発電層3側の面は、平坦(算術表面粗さRatが10nm以下)な面とされている。以下、ガラステクスチャの算術表面粗さRaをRagと呼び、透明導電性電極の発電層3側の面の算術表面粗さRaをRatと呼ぶ。
このように透明導電性電極2の発電層3側の面の算術平均粗さRatをガラステクスチャの算術平均粗さRagよりも小さくし、該透明導電性電極2の上に発電層3を形成することにより、透明導電性電極2上に形成された発電層3に生じる欠陥を抑制することができる。これにより、この薄膜太陽電池では、下地形状の影響により発電層3に生じる欠陥に起因した薄膜太陽電池の発電特性の劣化を防ぐことができ、良好な光電変換効率が実現されている。
このような薄膜太陽電池は以下のようにして作製される。まず両面が平坦なガラス基板の一面側をサンドブラスト処理やフッ酸処理などにより粗面化してガラステクスチャを形成し、ガラステクスチャ基板1を形成する。
次に、ガラステクスチャ基板1のガラステクスチャ形成面上に、例えばSnO膜やZnO系膜などの透明導電性膜からなり表面が平坦な透明導電性電極2を成膜する。ここで、透明導電性電極材料を含むペーストをスリットコート、スピンコート、スクリーン印刷等により塗布した後、乾燥・焼成することにより、表面が平坦な透明導電性電極2を得ることができる。塗布以外の方法としては、スパッタリング法やCVD法を用いてガラステクスチャ基板1上に透明導電性膜を成膜し、その後、透明導電性膜の表面を研磨して平坦な透明導電性電極2を形成する方法等がある。なお、現実の製造において、平坦な透明導電性電極2の表面の算術表面粗さRatの下限値は3nm程度である。
透明導電性電極2は、透明導電性電極2の形成領域におけるガラステクスチャの凹凸の凸頂部のうち最も高い凸頂部よりも高い位置までガラステクスチャを被覆して形成される。また、透明導電性電極2の発電層3側の面の算術平均粗さRatは、ガラステクスチャの算術平均粗さRagよりも小さくされ、平坦(Ratが10nm以下)な面とされる。
つぎに、薄膜半導体材料からなる発電層3を例えばCVD法により透明導電性電極2上に形成する。この発電層3は、シリコン膜からなる第1導電層、光電変換層、第2導電層が順次積層されて構成される単位構成要素を少なくとも1つ以上含んでいる。また、各単位構成要素間には、光閉じ込めの効果を有するSiOx等の中間膜が形成されていてもよい。
つぎに、裏面電極4として、例えば透明導電性膜と銀(Ag)等の金属膜との積層膜を発電層3上に形成する。以上のようにして、実施の形態1にかかる薄膜太陽電池が得られる。なお、ガラステクスチャ基板1の代わりに、該ガラステクスチャ基板1と同様の光散乱機能を有するテクスチャ付き透光性絶縁基板を用いることも可能である。
次に、比較のため、従来の薄膜太陽電池について説明する。図2は、ガラステクスチャを用いた従来の薄膜太陽電池の概略構成を示す断面図である。この薄膜太陽電池は、光散乱構造として表面に凹凸形状を有するガラステクスチャ基板1上に形成されている。そして、ガラステクスチャ基板1のガラステクスチャ上に、スパッタリング法等の成膜方法により酸化亜鉛(ZnO)系や酸化スズ(SnO)系等の透明導電性電極12が一様に形成されている。
透明導電性電極12上には、シリコン(Si)、テルル化カドミウム(CdTe)やCIGS(Copper Indium Gallium di-Selenide)等の化合物からなる発電層3、透明導電性膜と銀(Ag)等の金属膜との積層膜からなる裏面電極4が形成されて薄膜太陽電池が構成されている。透明導電性電極12は、発電層3側の面が凹凸形状とされており、この面の凹凸形状はガラステクスチャ基板1のガラステクスチャの形状をなぞる形となっている。
このように構成された薄膜太陽電池は、光をガラステクスチャ基板1側から入射させて利用されるが、発電電流を増加させるための光散乱構造として上述したようにガラス基板の表面に凹凸形状を設けている。
次に、比較のため、従来の他の薄膜太陽電池について説明する。図3は、透明導電性電極テクスチャを用いた従来の薄膜太陽電池の概略構成を示す断面図である。この薄膜太陽電池は、光散乱構造として、平坦なガラス基板11上にSnOなどが熱CVD法等で形成されて凹凸形状を有する透明導電性電極22を備える。なお、透明導電性電極22の凹凸形状(テクスチャ)を透明導電性電極テクスチャと呼ぶ場合がある。
透明導電性電極22上には、シリコン(Si)、テルル化カドミウム(CdTe)やCIGS等の化合物からなる発電層3、透明導電性膜と銀(Ag)等の金属膜との積層膜からなる裏面電極4が形成されて薄膜太陽電池が構成されている。
図4は、図2に示した薄膜太陽電池(サンプル1)と図3に示した薄膜太陽電池(サンプル2)との発電層3中での光の散乱状態(ヘイズ率)の、ガラステクスチャの算術平均粗さRagによる変化を示す特性図である。図4において、横軸は光の波長(nm)を示し、縦軸はシリコン薄膜からなる発電層3中のヘイズ率を示す。ここで発電層3中のヘイズ率は、ガラステクスチャ基板1側または平坦なガラス基板11側から入射して発電層3中に透過した光のヘイズ率である。
サンプル1の薄膜太陽電池では、光の散乱を大きくするために、ガラステクスチャ基板1のガラステクスチャの算術表面粗さRagを400nm程度に大きくしている。また、サンプル2の薄膜太陽電池では、透明導電性電極テクスチャの凹凸状態を、一般的に得られる凹凸状態である算術表面粗さRatが200nm程度の状態としている。
図4から、図2に示したサンプル1の薄膜太陽電池の方が図3に示したサンプル2の薄膜太陽電池よりもほぼすべての光の波長帯でヘイズ率が大きいこと、すなわち光の散乱される度合いが大きいことがわかる。これは、ガラステクスチャを用いた方が、透明導電性電極テクスチャを用いた場合と比較して大きな凹凸形状を形成することができるためである。この結果は、ガラステクスチャ上に形成された発電層3を通過する光の光路長が、透明導電性電極テクスチャ上に形成された発電層3を通過する光の光路長よりも長くなり、発電電流が大きくなることを意味している。
しかしながら、図2に示したような大きな凹凸形状を有するガラステクスチャ基板1上に透明導電性電極12を介して形成された薄膜太陽電池の発電層3においては、ガラステクスチャ基板1の凹凸形状に起因した成長欠陥が発生し、薄膜太陽電池の発電特性である開放電圧やフィルファクターが低下する影響が大きく、発電効率が低下する。なお、図4は、発電層3がシリコンからなる場合について示しているが、他種の半導体材料からの発電層の場合においても同様の傾向を示す。
以下、本実施の形態にかかる薄膜太陽電池について従来の薄膜太陽電池と比較してさらに詳細に説明する。図5は、実施の形態1にかかる薄膜太陽電池における発電層3中のヘイズ率の、ガラステクスチャの算術平均粗さRagによる変化を示す特性図である。図5において、横軸は光の波長(nm)を示し、縦軸はシリコン薄膜からなる発電層3中のヘイズ率を示す。
図5では、ガラステクスチャの算術表面粗さRagを400nm(サンプル3)、800nm(サンプル4)、1600nm(サンプル5)と変化させた場合について示している。また、比較のため、平坦なガラス基板上に熱CVD法等で形成されて凹凸構造を有する透明導電性電極22(透明導電性電極テクスチャ)を備えた薄膜太陽電池(上記図4におけるサンプル2、Rat:200nm)の発電層3中のヘイズ率を図5に併せて示す。
ガラステクスチャの算術表面粗さRagが400nmのサンプル3は、発電層3中のヘイズ率は透明導電性電極テクスチャを用いたサンプル2よりも低い。しかし、ガラステクスチャの算術表面粗さRagが大きくなるに従ってヘイズ率は増大し、算術表面粗さRagが800nmのサンプル4および1600nmのサンプル5では、ほぼすべての光の波長領域でヘイズ率が透明導電性電極テクスチャを用いたサンプル2より大きくなる。
このことより、ガラステクスチャ基板1上の平坦な透明導電性電極2上に形成された発電層3中でのヘイズ率を透明導電性電極テクスチャ上に形成された発電層3中のヘイズ率より大きくするためには、ガラステクスチャの算術表面粗さRagを透明導電性電極テクスチャの算術表面粗さRat:200nmより2倍以上大きくする必要がある。
図6は、実施の形態1にかかる薄膜太陽電池における発電層3中の波長800nmの光におけるヘイズ率の、ガラステクスチャの算術表面粗さRagによる変化を示す特性図である。図6において、横軸はガラステクスチャの算術表面粗さRagを示し、縦軸はシリコン薄膜からなる発電層3中のヘイズ率を示す。
図6からわかるように、ガラステクスチャの算術表面粗さRagが増大するに従ってヘイズ率は増大する。そして、Ragが500nm以上になると、ヘイズ率は透明導電性電極テクスチャを備えた薄膜太陽電池(上記図4におけるサンプル2)の発電層3中のヘイズ率よりも大きくなる。このようにガラステクスチャの算術表面粗さRagが大きくなるに従って発電層3中のヘイズ率は大きくなる。したがって、実施の形態1にかかる薄膜太陽電池におけるガラステクスチャの算術表面粗さRagは、500nm以上であることが好ましい。
しかしながら、透明導電性電極2の表面を平坦にするためには、ガラステクスチャの谷部に形成される膜厚が、ガラステクスチャの山部の高さより厚くなるように透明導電性電極2を成膜する必要がある。ガラステクスチャの凹凸の山と谷の高さの差はガラステクスチャの算術表面粗さRagのおよそ2倍程度となるため、ガラステクスチャの算術表面粗さRagが2000nmの場合には最大膜厚が4000nm以上となるように透明導電性電極2を成膜する必要がある。
しかしながら、4000nm以上の膜厚の透明導電性電極2をスパッタリング法で成膜する場合には、厚膜化による内部応力に起因した膜剥離が発生する。また、4000nm以上の膜厚の透明導電性電極2を塗布法で形成する場合には、ガラスと透明導電性電極2との熱膨張差に起因する焼成後のクラックが透明導電性電極2に発生する。このため、4000nm以上の膜厚の透明導電性電極2を形成する場合には、薄膜太陽電池を形成することが困難となる。したがって、したがって、実施の形態1にかかる薄膜太陽電池におけるガラステクスチャの算術表面粗さRagは、500nm以上、2000nm未満であることが好ましい。
図7は、実施の形態1にかかる薄膜太陽電池に入射する光Lのガラステクスチャ基板1から発電層3への進行方向の変化を示す模式図である。ガラステクスチャ基板1の平坦面側から入射した光Lは、ガラステクスチャ基板1中を直進した後にガラステクスチャの表面と透明導電性電極2との界面で、両者の屈折率差によりガラステクスチャ基板1の面方向に広がる方向に曲げられる。さらに透明導電性電極2と発電層3との間にも屈折率に差があるため、透明導電性電極2と発電層3との界面でも屈折が起こるが、この場合にはガラステクスチャ基板1の面方向への光の広がりが狭まる方向に曲がることになる。したがって、発電層3内での光Lの広がりを大きくする(ヘイズ率を大きくする)ためには、ガラステクスチャの表面と透明導電性電極2との界面での光の広がりを大きくする必要があり、このためにはガラステクスチャの凹凸を大きくする(ガラステクスチャの算術表面粗さRagを大きくする)必要がある。
図8は、光散乱構造の異なる薄膜太陽電池の特性を示す図である。図8では、透明導電性電極テクスチャを用いて形成された薄膜太陽電池(上記サンプル2、Rat:200nm)と、ガラステクスチャを用いて形成された従来の薄膜太陽電池(上記サンプル1、Rag:400nm)と、ガラステクスチャを用いて形成された実施の形態1にかかる薄膜太陽電池(上記サンプル4、Rag:800nm)との発電特性を、サンプル2の発電特性を基準にして規格化した結果の例を示している。
ガラステクスチャを用いて形成された従来の薄膜太陽電池であるサンプル1の薄膜太陽電池においては、図4に示したように光の散乱特性が改善するため、規格化短絡電流Jscは1.20に増大する。しかし、ガラステクスチャの凹凸形状を反映した透明導電性電極の凹凸に起因する発電層の欠陥により、規格化開放電圧Vocは0.90に減少し、規格化フィルファクターFFは0.80に減少し、それぞれ透明導電性電極テクスチャを用いて形成されたサンプル2の薄膜太陽電池より小さくなる。このため、規格化光電変換効率は規格化短絡電流Jscが増大しているにもかかわらず0.86に低下する。
一方、ガラステクスチャを用いて形成された実施の形態1にかかる薄膜太陽電池であるサンプル4の薄膜太陽電池においては、ヘイズ率の増大に伴って規格化短絡電流Jscが1.08まで増大するばかりではなく、規格化開放電圧Vocおよび規格化フィルファクターFFに関してもわずかではあるが増大し、規格化光電変換効率が1.15に改善する。
このように、実施の形態1にかかる薄膜太陽電池では、規格化開放電圧Vocと規格化フィルファクターFFとの低下が抑制された状態で規格化短絡電流Jscが向上するため、規格化光電変換効率が向上する。
透明導電性電極テクスチャを用いて形成されたサンプル2の薄膜太陽電池の規格化開放電圧Vocおよび規格化フィルファクターFFが実施の形態1にかかる薄膜太陽電池であるサンプル4の薄膜太陽電池の規格化開放電圧Vocおよび規格化フィルファクターFFと比較して低下する理由は、透明導電性電極テクスチャ上においてもその凹凸形状に起因した発電層の欠陥が発生するためである。
上述したように、実施の形態1にかかる薄膜太陽電池においては、透明導電性電極2の発電層3側の面の算術平均粗さRatをガラステクスチャの算術平均粗さRagよりも小さくし、該透明導電性電極2の上に発電層3を形成することにより、透明導電性電極2上に形成された発電層3に生じる欠陥を抑制することができる。これにより、実施の形態1にかかる薄膜太陽電池によれば、下地形状の影響により発電層3に生じる欠陥に起因した薄膜太陽電池の発電特性の劣化を防ぐことができ、良好な光電変換効率を備えた薄膜太陽電池が実現できる。
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2にかかる薄膜太陽電池の概略構成を示す断面図である。実施の形態2にかかる薄膜太陽電池が実施の形態1にかかる薄膜太陽電池と異なる点は、透明導電性電極2の代わりに透明導電性電極32を備えることである。すなわち、実施の形態2にかかる薄膜太陽電池は、光散乱構造として表面に凹凸形状(テクスチャ)を有するガラステクスチャ基板1の凹凸形状上に、発電層3側の面に微細な凹凸形状を有する透明導電性電極32、発電層3、裏面電極4が順次積層されて構成されている。
透明導電性電極32は、透明導電性電極2と同様に酸化亜鉛(ZnO)系や酸化スズ(SnO)系等の透明導電性膜からなり、ガラステクスチャの凹凸の凸頂部のうち最も高い凸頂部よりも高い位置までガラステクスチャの全面を被覆して設けられている。また、透明導電性電極2と同様に、透明導電性電極32の発電層3側の面の算術平均粗さRatは、ガラステクスチャの算術平均粗さRagよりも小さくされている。これにより、透明導電性電極32は、透明導電性電極2と同様に透明導電性電極32上に形成された発電層3に生じる欠陥を抑制することができる。これにより、下地形状の影響により発電層3に生じる欠陥に起因した薄膜太陽電池の発電特性の劣化を防ぐことができるという効果が得られる。
また、実施の形態2にかかる薄膜太陽電池では、透明導電性電極32の発電層3側の面に微細な凹凸形状を備えることで光の散乱角を広げること(ヘイズ率の増大)が可能となり、発電層3中を横切る光路長が長くなるため発電電流が増大し、薄膜太陽電池の特性がより改善される。
さらに、実施の形態2にかかる薄膜太陽電池では、透明導電性電極32の発電層3側の面に微細な凹凸形状を備えることで、透明導電性電極32と発電層3との界面での光の反射が低減されるので、発電電流がさらに増大する。
このような透明導電性電極32は、例えばZnO系の透明導電性膜を減圧CVD法で成膜する方法や、スパッタリング法等により成膜した透明導電性膜を研磨により平坦化した後に0.5%程度の希塩酸で透明導電性膜の表面を20秒程度エッチングする方法などにより形成できる。
図10は、実施の形態2にかかる薄膜太陽電池における発電層3中のヘイズ率の、透明導電性電極32の算術表面粗さRatによる変化を示す特性図である。図10において、横軸は光の波長(nm)を示し、縦軸はシリコン薄膜からなる発電層3中のヘイズ率を示す。図10では、ガラステクスチャ基板1のガラステクスチャの算術表面粗さRagが800nmの場合の結果を示しており、ガラステクスチャ上に形成される透明導電性電極32の算術表面粗さRatを50nm(サンプル6)、400nm(サンプル7)と変化させた際の結果を示している。
また、比較のため、平坦な透明導電性電極2を有する実施の形態1にかかる薄膜太陽電池(Rat:0nm、上記サンプル4)、透明導電性電極12がガラステクスチャ上に一様に形成されて透明導電性電極12の発電層3の面の凹凸形状がガラステクスチャの表面形状をなぞった形状を有する従来の薄膜太陽電池(上記サンプル1、Rag:400nm)の発電層3中のヘイズ率を図10に併せて示す。
図10に示されるように、透明導電性電極の発電層3側の面に微細な凹凸を有することによりヘイズ率がより増大し、特に長波長側のヘイズ率がより増大するという効果が得られる。そして、透明導電性膜32の算術表面粗さRatが大きくなるに従ってヘイズ率は増大し、算術表面粗さRatが400nmまで増大すると、従来型の透明導電性電極12がガラステクスチャの形状をなぞった形状にガラステクスチャ上に一様に形成される上記サンプル1の場合と同レベルのヘイズ率を示すようになる。
図11は、実施の形態2にかかる薄膜太陽電池における発電層3中のヘイズ率の、透明導電性電極32の算術表面粗さRatによる変化を示す特性図である。図11において、横軸は微細な凹凸形状を有する透明導電性電極32の算術表面粗さRatを示し、縦軸はシリコン薄膜からなる発電層3中のヘイズ率を示す。また、図11においては、光の波長が800nmの場合のヘイズ率と光の波長が1000nmの場合のヘイズ率を示している。なお、ガラステクスチャ基板1のガラステクスチャの算術表面粗さRagは800nmである。
図11に示されるように、波長が800nmの光におけるヘイズ率は、透明導電性電極32の算術表面粗さRatが略50nmまでは算術表面粗さRatの増大に伴って増大し、算術表面粗さRatが略50nm以上では、ほぼ1となる。また、波長が1000nmの光におけるヘイズ率は、透明導電性電極32の算術表面粗さRatが略100nmまでは、算術表面粗さRatの増大に伴って増大するが、それ以上の算術表面粗さRatでは増大が緩やかとなり、算術表面粗さRatが200nm以上でほぼ飽和する傾向にある。
図12は、実施の形態2にかかる薄膜太陽電池に入射する光Lのガラステクスチャ基板1から発電層3への進行方向の変化を示す模式図である。ガラステクスチャ基板1の平坦面側から入射した光Lがガラステクスチャ基板1中を直進した後に、ガラステクスチャの表面と透明導電性電極32との界面で両者の屈折率差によりガラステクスチャ基板1の面方向に広がる方向に曲げられる点に関しては、実施の形態1で示した平坦な透明導電性電極2の場合と同じである。
しかし、その後に光Lが透明導電性電極32と発電層3との界面で屈折する際には、光Lは透明導電性電極32に形成された微細な凹凸の影響を受けて、ガラステクスチャ基板1の面方向にさらに広がる方向に屈折する。これにより、発電層3側の面に微細な凹凸形状を有する透明導電性電極32を備える実施の形態2にかかる薄膜太陽電池では、ヘイズ率がより改善する。
さらに、たとえばZnO等からなる透明導電性電極32の屈折率が約1.9であり、シリコン(Si)からなる発電層3の屈折率が約4.0である場合には、両者の屈折率に大きな差がある。したがって、透明導電性電極32から発電層3に入射する光の一部は透明導電性電極32と発電層3との界面で反射されるため発電層3に届かなくなる。このため、反射が大きいと一部の光が有効に使われずに発電電流が低下する場合がある。
図13は、透明導電性電極とシリコンからなる発電層3との界面での光の反射率の透明導電性電極の算術表面粗さRatによる変化を示す特性図である。図13において、横軸は光の波長(nm)を示し、縦軸は透明導電性電極とシリコンからなる発電層3との界面での光の反射率を示す。図13では、透明導電性電極2および透明導電性電極32の発電層3側の面に微細な凹凸形状を形成した場合(透明導電性電極32)について示しており、透明導電性電極の算術表面粗さRatを0nm(サンプル4)、15nm(サンプル8)、30nm(サンプル9)、45nm(サンプル10)、90nm(サンプル11)と変化させた場合について示している。なお、ガラステクスチャ基板1のガラステクスチャの算術表面粗さRagは800nmである。
透明導電性電極とシリコンからなる発電層3との界面での光の反射率は光の波長により変化するが、透明導電性電極の発電層3側の面が平坦な場合には(Rat:0nm、サンプル4)、波長400nm近傍の短波長領域での光の反射率が略0.2、波長1000nm近傍の長波長領域での光の反射率が略0.13であり、波長400nm近傍の光は入射した光のうち20%近くの光が有効に使用されない。しかしながら、透明導電性電極の発電層3側の面に微細な凹凸を形成することで光の反射率は低減する。波長400nmの光の反射率は、透明導電性電極32の算術表面粗さRatが15nm(サンプル8)で略0.1、30nm(サンプル9)で略0.07、それ以上の45nm(サンプル10)、90nm(サンプル11)で略0.05程度まで低下する。
発電層3側の面が平坦な透明導電性膜2の場合には、透明導電性電極の膜厚方向で急激に屈折率が変化する。一方、発電層3側の面に微細な凹凸形状を有する透明導電性膜32場合には、この微細な凹凸形状が形成されている領域において透明導電性膜の膜厚方向と垂直な水平方向に膜を切った断面(水平断面)を考えた場合に、この水平断面内での屈折率は、透明導電性膜32がある領域と発電層3がある領域とで異なっている。そして、この水平断面の見かけ上の屈折率は、その水平断面内の透明導電性電極32の屈折率と発電層3の屈折率との面積平均とみなすことができる。面積平均は、透明導電性電極32と発電層3との面積比率に応じた屈折率の平均である。
さらに、この水平断面を透明導電性電極32側から発電層3側に向かって移動させた場合に、透明導電性電極32から発電層3に向かって水平断面上の発電層3の割合が多くなる。このため、水平断面の見かけ上の屈折率は、透明導電性電極32の屈折率から発電層3の屈折率に徐々に変化することになる。光の反射率は、屈折率が急激に変化する界面で大きくなるが、透明導電性電極の発電層3側の面に凹凸形状が存在すると該凹凸形状の部分での屈折率変化が緩やかになるため、透明導電性電極と発電層3との界面での光の反射率は小さくなる。さらに、透明導電性電極32の発電層3側の面の凹凸形状の算術表面粗さRatが大きくなると屈折率の変化する領域が長くなるため、屈折率変化の割合がより緩やかとなる。しかしながら、実際には図13に示したように透明導電性電極32の算術表面粗さRatが45nm以上においては、反射率低下効果がほぼ飽和する傾向にある。
以上のように、透明導電性膜の発電層3側の面に微細な凹凸形状を形成することで、発電層3中のヘイズ率が向上し、透明導電性電極32と発電層3との界面での光の反射が低下する。これは、透明導電性膜の発電層3側の面に微細な凹凸形状を形成することで、発電電流が増大することを示している。
しかしながら、透明導電性電極の発電層3側の面の算術表面粗さRatが透明導電性テクスチャと同程度の200nm以上となると透明導電性電極の凹凸形状に起因する開放電圧Voc、フィルファクターFFの低下が発生するので、透明導電性電極の発電層3側の面の凹凸形状の算術表面粗さRatは200nm未満であることが好ましい。
図14は、光散乱構造の異なる薄膜太陽電池の特性を示す図である。図14では、透明導電性電極テクスチャを用いて形成された従来の薄膜太陽電池(上記サンプル2、Rat:200nm)と、ガラステクスチャを用いて形成された実施の形態1にかかる薄膜太陽電池(上記サンプル4、Rag:800nm)と、ガラステクスチャを用いて形成された実施の形態2にかかる薄膜太陽電池(サンプル12、Rag:800nm、Rat:100nm)との発電特性を、サンプル2の発電特性を基準にして規格化した結果の例を示している。実施の形態1にかかる薄膜太陽電池の結果は図8で示した結果と同一である。
図14に示されるように、ガラステクスチャ上に設けられて微細な凹凸形状を有する透明導電性電極32上に発電層3が形成された実施の形態2にかかる薄膜太陽電池であるサンプル12の規格化短絡電流Jscは、ガラステクスチャ上に設けられて発電層3側の面が平坦な透明導電性電極2上に発電層3が形成された実施の形態1にかかる薄膜太陽電池よりもさらに増大し、1.18に増大する。これは、実施の形態2にかかる薄膜太陽電池は、実施の形態1にかかる薄膜太陽電池に比べて光の散乱が増大すること、および透明導電性電極と発電層3との界面での光の反射が減ることに因る。
また、規格化開放電圧Vocおよび規格化フィルファクターFFに関しては、実施の形態2にかかる薄膜太陽電池であるサンプル12では、発電層3が微細な凹凸有する透明導電性電極32上に形成されているため、実施の形態1にかかる平坦な透明導電性電極上に形成した薄膜太陽電池よりはわずかではあるが低下しているが、透明導電性電極テクスチャを用いて形成された従来の薄膜太陽電池であるサンプル2よりも高く、規格化開放電圧Vocおよび規格化フィルファクターFFともに1.02となっている。
このように、実施の形態2にかかる薄膜太陽電池においては、規格化開放電圧Vocと規格化フィルファクターFFとの低下が抑制された状態で規格化短絡電流Jscがより増大するため、規格化光電変換効率が1.23まで向上する。
上述したように、実施の形態2にかかる薄膜太陽電池においては、透明導電性電極32の発電層3側の面の算術平均粗さRatをガラステクスチャの算術平均粗さRagよりも小さくし、該透明導電性電極32の上に発電層3を形成することにより、透明導電性電極2上に形成された発電層3に生じる欠陥を抑制することができる。これにより、実施の形態2にかかる薄膜太陽電池によれば、下地形状の影響により発電層3に生じる欠陥に起因した薄膜太陽電池の発電特性の劣化を防ぐことができ、良好な光電変換効率を備えた薄膜太陽電池が実現できる。
また、実施の形態2にかかる薄膜太陽電池においては、透明導電性電極32の発電層3側の面に微細な凹凸形状を備えることにより、ガラステクスチャ基板1側より発電層3に入射する光の透明導電性電極32と発電層3との界面での散乱角を広げることが可能となり、発電層3中を横切る光路長が長くなるため発電電流が増大し、薄膜太陽電池の特性がより改善される。
さらに、実施の形態2にかかる薄膜太陽電池においては、透明導電性電極32の発電層3側の面に微細な凹凸形状を備えることで、透明導電性電極32と発電層3との界面での光の反射が低減されるので、発電電流がさらに増大する。
したがって、実施の形態2にかかる薄膜太陽電池によれば、下地形状の影響により発電層3に生じる欠陥に起因した薄膜太陽電池の発電特性の劣化を防ぐことができ、より良好な光電変換効率を備えた薄膜太陽電池が実現できる。
なお、上述した実施の形態におけるガラステクスチャおよび透明導電性電極2および透明導電性電極32は、透明導電性電極が形成される領域の全体に適用される場合に最も効果が得られるが、透明導電性電極が形成される領域の一部に適用された場合においても上述した実施の形態の効果が得られることは勿論である。
また、上記の実施の形態で説明した構成を有する薄膜太陽電池セルをガラステクスチャ基板1上に複数形成し、隣接する薄膜太陽電池セル同士を電気的に接続することにより、良好な光閉じ込め効果を有し、信頼性、光電変換効率に優れた薄膜太陽電池モジュールが実現できる。この場合は、隣接する薄膜太陽電池セルの一方の透明導電性電極2と他方の裏面電極4とを電気的に接続すればよい。
以上のように、本発明にかかる薄膜太陽電池は、光を散乱させる構造に起因した発電特性の低下が防止された光電変換効率に優れた薄膜太陽電池の実現に有用である。
1 表面に凹凸形状(テクスチャ)を有するガラス基板(ガラステクスチャ基板)
2 透明導電性電極
3 発電層
4 裏面電極
11 平坦なガラス基板
12 透明導電性電極
22 透明導電性電極
32 透明導電性電極
L 光

Claims (7)

  1. 一面側の表面に凹凸形状を有する透光性基板と、
    前記透光性基板の凹凸形状の上に透光性を有する導電膜からなる透明導電性電極と薄膜半導体膜からなる発電層とがこの順で積層された薄膜太陽電池であって、
    前記透明導電性電極は、前記透明導電性電極の形成領域における前記凹凸形状の凸頂部のうち最も高い前記凸頂部よりも高い位置まで前記凹凸形状を被覆して設けられ、前記発電層側の面の算術平均粗さが前記凹凸形状の算術平均粗さよりも小さいこと、
    を特徴とする薄膜太陽電池。
  2. 前記凹凸形状の算術平均粗さが500nm以上、2000nm未満であり、
    前記透明導電性電極の前記発電層側の面の算術平均粗さが200nm未満であること、
    を特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池。
  3. 前記透明導電性電極の前記発電層側の面に凹凸を有し、前記透明導電性電極の前記発電層側の面の算術平均粗さが50nm以上であること、
    を特徴とする請求項2に記載の薄膜太陽電池。
  4. 透光性基板の一面側の表面に凹凸形状を形成する第1工程と、
    前記透光性基板の凹凸形状の上に、表面の算術平均粗さが前記凹凸形状の算術平均粗さよりも小さい透光性を有する導電膜を前記透明導電性電極の形成領域における前記凹凸形状の凸頂部のうち最も高い前記凸頂部よりも高い位置まで積層して透明導電性電極を形成する第2工程と、
    前記透明導電性電極上に、薄膜半導体膜を積層して発電層を形成する第3工程と、
    前記発電層上に裏面電極を形成する第4工程と、
    を含むことを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
  5. 前記第1工程では、前記凹凸形状の算術平均粗さを500nm以上、2000nm未満とし、
    前記第2工程では、前記透明導電性電極の表面の算術平均粗さを200nm未満とすること、
    を特徴とする請求項4に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  6. 前記第2工程では、前記透明導電性電極の前記発電層側の面に凹凸を形成し、前記透明導電性電極の表面の算術平均粗さを50nm以上とすること、
    を特徴とする請求項5に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜太陽電池の少なくとも2つ以上が電気的に直列または並列に接続されてなること、
    を特徴とする薄膜太陽電池モジュール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110739353A (zh) * 2018-07-02 2020-01-31 北京汉能光伏投资有限公司 膜层结构、太阳能组件及太阳能组件的制备方法
JP2020204057A (ja) * 2019-06-14 2020-12-24 株式会社アルバック 透明導電性酸化物膜の形成方法、スパッタ装置、および、太陽電池

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