JP2014011198A - 光起電力装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力特性のより高い光起電力装置を得ること。
【解決手段】一導電型の単結晶シリコン基板11上に、受光面側真性半導体層12と、不純物がドープされた導電性非晶質シリコン層13と、透光性導電膜14とがこの順で積層された光起電力装置(太陽電池セル)10であって、前記受光面側真性半導体層12は、単結晶シリコン基板側から順に、受光面側エピタキシャル成長層121、受光面側真性非晶質酸素含有シリコン層122、受光面側真性非晶質非酸素含有シリコン層123から構成される。
【選択図】図1−2

Description

本発明は、光起電力装置およびその製造方法に係り、特に結晶系半導体基板を用いた結晶系太陽電池において高効率化が可能なヘテロ接合太陽電池およびその製造方法に関する。
現在の一般的な結晶系太陽電池の形成においては、結晶シリコン系基板が用いられることが多い。結晶シリコン系基板を用いた結晶シリコン系太陽電池では、例えば、厚さが200μm程度のp型結晶シリコン基板の受光面側に、n型不純物拡散層、反射防止膜および表面電極(例えば、櫛型銀(Ag)電極)が順次形成される。なお、このp型結晶シリコン基板表面には、光吸収率を高めるための表面テクスチャーが形成されている。また、裏面電極(例えば、アルミニウム(Al)電極)がスクリーン印刷によって該p型結晶シリコン基板の非受光面側(裏面側)に形成される。そして、これらの電極を焼成することによって結晶シリコン系太陽電池が製造されている。
この焼成では、表面電極および裏面電極の溶媒分が揮発すると共に、該p型結晶シリコン基板の受光面側において櫛型Ag電極が反射防止膜を突き破ってn型不純物拡散層に接続される。また、この焼成において、該p型結晶シリコン基板の非受光面側においてAl電極の一部のAlが該p型結晶シリコン基板に拡散して裏面電界層(BSF層:Back Surface Field)が形成される。
このBSF層は、p型結晶シリコン基板との接合面で内部電界を形成して、該BSF層近傍で発生した少数キャリアをp型結晶シリコン基板内部へ押し戻し、Al電極近傍でのキャリア再結合を抑制する効果を有する。しかし、この拡散により形成されるBSF層の膜厚は、熱プロセスを用いて形成すると数百nm〜数μmの厚い膜厚となり、BSF層内での再結合による開放電圧低下、光吸収による短絡電流の低下を生じる。
たとえば特許文献1〜特許文献3には、p型結晶シリコン基板などの結晶シリコン系基板に薄い真性半導体薄膜(i層)を介して薄膜の不純物ドープシリコン層からなる接合或いはBSF層を形成するヘテロ接合太陽電池の技術が開示されている。不純物ドープシリコン層を薄膜で形成することにより、不純物ドープシリコン層の不純物濃度分布を自由に設定できる。また、不純物ドープシリコン層が薄いため膜中でのキャリアの再結合や光吸収を抑制することができ、大きい短絡電流が得られる。また、結晶シリコン系基板と不純物ドープシリコン層との間に挿入した真性半導体薄膜はヘテロ接合間の不純物拡散を抑制し、急峻な不純物プロファイルをもつ接合を形成することができるため、良好な接合界面を形成することにより高い開放電圧を得ることができる。さらに真性半導体薄膜および不純物ドープシリコン層は200℃程度以下の低温で形成できるため、結晶シリコン系基板の厚みが薄い場合においても、熱により結晶シリコン系基板に生じるストレスや、結晶シリコン系基板の反りを低減することができる。
ところで、太陽電池用の基板としては、CZ(チョクラルスキー)法によって得られる単結晶シリコンインゴットをスライスすることで得られる単結晶シリコン基板を用いることが多い。CZ法では石英るつぼでシリコン原料を溶融するため、この単結晶シリコン基板中には、酸素が飽和濃度まで含まれることが多い。このため、電極焼成に際し、高温で熱処理を行なうと、酸素原子に誘起された積層欠陥が発生し基板の品質を低下させる。ヘテロ接合太陽電池は、電極焼成温度を低温にするなど、電極形成を低温下で行なえるようにすれば、真性半導体薄膜および不純物ドープシリコン層などの機能膜の形成を200℃程度の低温プロセスで実現することができるため、基板の品質を低下させることはない。従って、熱により劣化しやすい結晶シリコン系基板に対しても基板品質の低下を抑制できることが期待できる。
上記のヘテロ接合太陽電池において、特許文献4には、真性半導体層であるa−Si(i)を形成するに先立ち、結晶系シリコン半導体(結晶シリコン系基板)上に水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマを照射し、結晶シリコン系基板とa−Si(i)層との界面近傍に酸素原子を介在させることによって、界面の欠陥密度を低減しキャリア再結合を抑制する技術が開示されている。
特公平07−95603号公報 特許第2614561号公報 特許第3469729号公報 特開2003−258287号公報
しかしながら、特許文献4では、結晶シリコン系基板上に、直接、水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマを照射しているため、結晶シリコン系基板中への酸素原子の取り込み効率が悪く界面の欠陥密度の低減が十分ではなかった。また、水素プラズマによる結晶シリコン系基板へのプラズマダメージの影響も大きく、結晶シリコン系基板の表面に欠陥が発生するという問題もあった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光電変換効率に優れた光起電力装置およびその製造方法を得ることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は一導電型の結晶系半導体基板の片面に接するように、真性半導体層と、不純物がドープされた導電性非晶質半導体層と、透光性導電膜とがこの順で積層された光起電力装置であって、前記真性半導体層は、前記結晶系半導体基板側から順に、エピタキシャル成長層、酸素を含有する真性非晶質半導体層、酸素を含有しない真性非晶質半導体層から構成されることを特徴とする。
本発明によれば、光電変換効率に優れた光起電力装置が得られる、という効果を奏する。
図1−1は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの模式的断面構造を示す図である。 図1−2は、太陽電池セルの受光面側要部構成を模式的に示す要部拡大断面図である。 図1−3は、太陽電池セルの裏面側要部構成を模式的に示す要部拡大断面図である。 図2−1は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造方法の要部を示す工程断面図である。 図2−2は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造方法の要部を示す工程断面図である。 図2−3は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造方法の要部を示す工程断面図である。 図2−4は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造方法の要部を示す工程断面図である。 図2−5は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造方法の要部を示す工程断面図である。 図3は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャートである。 図4は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池セルの受光面側要部構成を模式的に示す要部拡大断面図である。 図5−1は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造方法の要部を示す工程断面図である。 図5−2は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造方法の要部を示す工程断面図である。 図5−3は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造方法の要部を示す工程断面図である。 図5−4は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造方法の要部を示す工程断面図である。 図6は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャートである。 図7は、比較例1にかかる太陽電池セルの、要部の模式的断面構造を示す図である。 図8は、比較例1にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャートである。 図9は、比較例2にかかる太陽電池セルの、要部の模式的断面構造を示す図である。 図10は、比較例2にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャートである。 図11は、比較例3にかかる太陽電池セルの、要部の模式的断面構造を示す図である。 図12は、比較例3にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャートである。
以下に、本発明にかかる光起電力装置およびその製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。
実施の形態1.
図1−1は、実施の形態1にかかる光起電力装置であるヘテロ接合太陽電池セル(以下、太陽電池セルと呼ぶ場合がある)の構成を模式的に示す断面図である。図1−2および図1−3は、それぞれ同太陽電池セルの受光面側および裏面側の要部構成を模式的に示す要部拡大断面図である。この太陽電池セル10は、n型単結晶シリコン基板11と、このn型単結晶シリコン基板11の受光面側の直上に順次積層された、受光面側真性半導体層12、導電性非晶質層として不純物がドープされたp型非晶質シリコン層13、受光面側透光性導電膜14、および受光面側集電極15を備える。そしてこの受光面側真性半導体層12は、図1−2に示すように、n型単結晶シリコン基板11側から順に、受光面側エピタキシャル成長層121、酸素を含有する受光面側真性非晶質シリコン層122(以下、受光面側真性非晶質酸素含有シリコン層:a−SiO(i)層122と呼ぶこともある)、酸素を含有しない受光面側真性非晶質シリコン層123(以下、受光面側真性非晶質非酸素含有シリコン層:a−Si(i)層123と呼ぶこともある)から構成される。
また、太陽電池セル10は、n型単結晶シリコン基板11の受光面側とは反対側(裏面)の表面に順次積層された真性半導体層としての裏面側真性半導体層16、導電性非晶質シリコン層として不純物が高濃度にドープされたn型非晶質シリコン層17、裏面側透光性導電膜18、および裏面側集電極19を備える。そしてこの裏面側真性半導体層16は、図1−3に示すように、単結晶シリコン基板11側から順に、エピタキシャル成長層161、酸素を含有する裏面側真性非晶質シリコン層162(以下、裏面側真性非晶質酸素含有シリコン層:a−SiO(i)層162と呼ぶこともある)、酸素を含有しない裏面側真性非晶質シリコン層(以下、裏面側真性非晶質非酸素含有シリコン層:a−Si(i)層163と呼ぶこともある)163から構成される。なお、本実施の形態における真性非晶質酸素含有シリコン層をはじめとする、非晶質シリコン層は、微結晶シリコン層も含む広い概念を指すものとする。受光面側透光性導電膜14および裏面側透光性導電膜18はそれぞれ受光面側電極および裏面側電極としての役割を担い、それぞれ受光面側集電極15および裏面側集電極19によって外部取り出しが行なわれる。
n型単結晶シリコン基板11とp型非晶質シリコン層13との間に挿入した受光面側真性半導体層12は、ヘテロ接合間の不純物拡散を抑制し、急峻な不純物プロファイルをもつ接合を形成することができるため、良好な接合界面形成により高い開放電圧を得ることができる。また、p型非晶質シリコン層13を薄膜で形成することにより、p型非晶質シリコン層13の不純物濃度分布を自由に設定することができる。また、p型非晶質シリコン層13が薄いため膜中でのキャリアの再結合や光吸収を抑制することができ、短絡電流の増大をはかることができる。
また、受光面側真性半導体層12、およびp型非晶質シリコン層13は200℃程度以下の低温で形成できるため、n型単結晶シリコン基板11の厚みが薄い場合においても、熱によりn型単結晶シリコン基板11に生じるストレスや、n型単結晶シリコン基板11の反りを低減することができる。またチョクラルスキー引き上げ法で形成したn型単結晶シリコン基板11の場合、前述したように、酸素を大量に含んだ基板となっているが、受光面側真性非晶質酸素含有シリコン層122、裏面側真性非晶質酸素含有シリコン層162が介在しているため、確実かつ均一に酸素リッチな表面状態を形成しており、基板からの酸素の脱離による欠陥の発生を抑制することができる。このようにして、熱により劣化しやすいn型単結晶シリコン基板11に対しても基板品質の低下を抑制できる。
以下、この太陽電池セル10について、図1−2および図1−3を参照しつつ詳細に説明する。この太陽電池セル10では、n型単結晶シリコン基板11の表面に順次積層された、受光面側真性半導体層12、p型非晶質シリコン層13、受光面側透光性導電膜14を備える。受光面側真性半導体層12は、n型単結晶シリコン基板11側から順に、受光面側エピタキシャル成長層121、受光面側真性非晶質酸素含有シリコン層122、酸素を含有しない受光面側真性非晶質シリコン層123から構成される。受光面側エピタキシャル成長層121は、200℃程度以下の低温で形成され、下地のn型単結晶シリコン基板11の結晶格子配列を反映することによってエピタキシャル成長する。a−SiO(i)層122は、水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマ雰囲気に曝してエピタキシャル成長層121の表面をエッチバックするとともに酸化し非晶質化することによって形成されたものである。このときの表面状態は、ラマン分光法を用いて、結晶成分ピークIc(520cm−1)と非晶質成分ピークIa(480cm−1)の比で表わされる結晶化度(Ic/Ia)を評価することができる。エピタキシャル成長した表面は、結晶化度が2〜5程度と大きく、また、その表面に、水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマ雰囲気を曝した表面は、0.5〜2程度と結晶化度が小さいことが確認された。
一方、裏面側では、n型単結晶シリコン基板11の裏面に順次積層された、裏面側真性半導体層16、n型非晶質シリコン層17、裏面側透光性導電膜18を備える。裏面側真性半導体層16は、n型単結晶シリコン基板11側から順に、裏面側エピタキシャル成長層161、裏面側真性非晶質酸素含有シリコン層162、裏面側真性非晶質非酸素含有シリコン層163から構成される。ここでもエピタキシャル成長層161は、受光面側と同様、200℃程度以下の低温で形成され、下地のn型単結晶シリコン基板11の結晶格子配列を反映することによってエピタキシャル成長する。a−SiO(i)層162は、水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマ雰囲気に曝してエピタキシャル成長層161の表面をエッチバックするとともに酸化し非晶質化することによって形成されたものである。
次に、本実施の形態1の太陽電池セル10の製造方法について説明する。図2−1〜図2−5は、同太陽電池セル10の製造工程の要部を示す工程断面図である。また図3は同太陽電池セルの製造方法を示すフローチャートである。
まず、チョクラルスキー引き上げ法で形成したn型単結晶シリコンインゴットをスライスすることにより、主面の面方位が(100)で、リン(P)を含有するn型単結晶シリコン基板11を用意した(図2−1)。このn型単結晶シリコン基板11の大きさは、10cm×10cm〜20cm×20cm程度で、厚みが130〜200μm程度である。アルカリ溶液中に浸漬してn型単結晶シリコン基板11の表面をエッチングし、スライス時のワイヤーソーダメージを除去する。断面には結晶のひずみが残っているため、HF+HNO、NaOHなどを用いて表面を10〜20μm程度エッチングする。
また、ゲッタリングにより基板内の不純物を除去した後、光閉じ込め構造により反射損失を低減するため、テクスチャー構造の凹凸が形成される。テクスチャー構造の凹凸を形成する方法としてイソプロピルアルコールを含有したアルカリ溶液を用いる(ステップS1)。
また、ここではワイヤーソーダメージにおける金属汚染の影響を減らすためにワイヤーソーダメージ除去工程後にテクスチャーを形成したが、ワイヤーソーにおける金属汚染の影響が少ない場合には、ワイヤーソーダメージの除去とテクスチャーの形成とを兼ねてもよい。この場合は、ワイヤーソーダメージ除去を行うことなくn型単結晶シリコン基板11を、イソプロピルアルコールを含有したアルカリ溶液でエッチングを行うことにより、ワイヤーソーダメージの除去とテクスチャーの形成とを兼ねることができる。また、テクスチャー構造の形成方法としては、反応性イオンエッチング(RIE)法等のドライエッチングによって形成してもよい。
次に、n型単結晶シリコン基板11をRCA洗浄によりクリーニングし、成膜直前に希フッ酸で表面酸化膜除去を施し、13.56〜60MHzのプラズマCVDチャンバで、プラズマCVD法により、受光面側エピタキシャル成長層121を形成する(図2−2:ステップS2)。このとき、受光面側エピタキシャル成長層121は、下地のn型単結晶シリコン基板11の結晶格子配列を反映することによってエピタキシャル成長する。エピタキシャル成長層は、一般に800〜1100℃の高温で形成される場合が多いが、本実施の形態で形成する受光面側エピタキシャル成長層121は200℃程度という低い温度で形成する。これにより、水素が脱離する温度以下となる200℃程度で形成されるので、高温で形成したエピタキシャル成長層と比較して水素原子を多く含み、高温で形成するエピタキシャル成長層と比較して構造柔軟性を有する。次工程において水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマ処理を受光面側エピタキシャル成長層121に施すことによって、受光面側エピタキシャル成長層121の表面側を効果的に酸化でき、受光面側a−SiO(i)層122を形成することができる。
このような受光面側エピタキシャル成長層121を形成するには、シランガスに対する水素ガスの希釈比率(以下、水素希釈比率:水素/SiH4)を5〜30、さらに望ましくは10〜20で形成するのが望ましい。この範囲以下、すなわち水素希釈比率が5に満たなくなると、下地となるn型単結晶シリコン基板11と受光面側エピタキシャル成長層121の格子不整合が大きくなるため、格子緩和が生じる閾値膜厚が小さくなり、受光面側エピタキシャル成長層121の厚みが薄くなる。このような状態では、結晶層から非晶質層へ遷移する勾配が急となり、受光面側エピタキシャル成長層121内部の歪みに起因した欠陥を含有しやすくなるため好ましくない。また、この範囲、すなわち水素希釈比率が30を超えると、水素ガスが雰囲気の大部分を占めるので、n型単結晶シリコン基板11表面に、水素プラズマ照射によって結晶欠陥等のダメージが形成されやすくなるため好ましくない。ここでは、受光面側エピタキシャル成長層121の膜厚は5〜10nm程度となるように厚く成膜され、水素プラズマによりエッチバックおよび酸化され、最終的には、受光面側エピタキシャル成長層121の膜厚は1〜4nm程度となるようにしている。
また、基板温度は100〜300℃、望ましくは150〜200℃で形成するのが望ましい。この範囲に満たない場合、すなわち、基板温度が100℃に満たない場合は、下地となるn型単結晶シリコン基板11と受光面側エピタキシャル成長層121の結晶の格子不整合が大きいため、格子緩和が生じる閾値膜厚が小さくなり、受光面側エピタキシャル成長層121の厚みが薄くなる。このような状態では、結晶層から非晶質層へ遷移する勾配が急となり、受光面側エピタキシャル成長層内部の歪みに起因した欠陥を含有しやすくなるため好ましくない。また、この範囲を超えた場合、すなわち、基板温度が300℃を超えた場合は、水素原子が脱離するので、受光面側エピタキシャル成長層121は水素をほとんど含まず、この受光面側エピタキシャル成長層121は、結晶性が高い。このため、水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマ処理を施す場合、水素ガスのプラズマによるエッチングがほとんどなされず、また炭酸ガスを添加することによる酸化もほとんど起きないため好ましくない。
次に、受光面側エピタキシャル成長層121の表面を、炭酸ガスを添加した水素プラズマに曝露する。炭酸ガスは、酸素原子を供給するための原料ガスである。水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマへの曝露によって、受光面側エピタキシャル成長層121の最表面は、高濃度の酸素原子を含み非晶質化された受光面側a−SiO(i)層122が形成される(図2−3:ステップS3)。
ついで、プラズマCVD法により、受光面側a−Si(i)層123を形成する(図2−4:ステップS4)。なお、このときの膜厚は5nm〜10nm程度が好ましい。このとき、受光面側a−SiO(i)層122を、受光面側エピタキシャル成長層121と受光面側a−Si(i)層123との間に挿入することにより、受光面側エピタキシャル成長層121との界面欠陥密度を大幅に低減するとともに、受光面側a−Si(i)層123がエピタキシャル成長するのを抑制する効果を奏する。従って、受光面側a−Si(i)層123の成膜条件において、エピタキシャル成長を抑制するための制限がなくなるので、パッシベーション効果の高い受光面側a−Si(i)層123を適用することができる。
このようにして、最終形態としては、n型単結晶シリコン基板11から順に、受光面側エピタキシャル成長層121、受光面側a−SiO(i)層122、受光面側a−Si(i)層123が形成された構造を得ることができる。
そして、こののち、プラズマCVD法により、p型非晶質シリコン層13を形成する(ステップS5)。なお、p型非晶質シリコン層13の膜厚は1nm以上10nm以下が好ましい。光吸収を減らすためにp型非晶質シリコン層の膜厚は、VOC、フィルファクターFFを低下させずに薄くすることが好ましい。
そして裏面側についても受光面側と同様にして裏面側エピタキシャル成長層161(ステップS6)、裏面側真性非晶質酸素含有シリコン層162(ステップS7)、裏面側真性非晶質非酸素含有シリコン層163(ステップS8)を順次形成する。そしてさらに、n型非晶質シリコン層17を形成する(ステップS9)。n型非晶質シリコン層17は、プラズマCVD法により、形成され、膜厚は1nm〜40nmの範囲が好ましい。
そしてフォーミングガスアニールを行なう(ステップS10)。このフォーミングガスアニールは、p型非晶質シリコン層13、およびn型非晶質シリコン膜17を形成した温度以下でアニールする工程であり、この工程により、n型単結晶シリコン基板11の基板界面における水素による再結合抑制効果を向上させることができる。そして最後に受光面側および裏面側に受光面側透光性導電膜14および裏面側透光性導電膜18を形成する(ステップS11)。この後、受光面側集電極(グリッドAg電極)15をスクリーン印刷法により形成し(ステップS12)、最後に裏面側集電極(裏面グリッドAg電極)19をスクリーン印刷法により形成し(ステップS13)、図1−1に示した太陽電池セル10が形成される。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係る太陽電池セル20について説明する。図4は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池セルの受光面側要部構成を模式的に示す要部拡大断面図である。図5−1〜図5−4は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造方法の要部を示す工程断面図である。図6は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャートである。
実施の形態1では、受光面側a−SiO(i)層122は、受光面側エピタキシャル成長層121の表面を、水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマを照射することによって形成したが、実施の形態2では、CVD法により受光面側a−SiO(i)層201を形成する。つまり、受光面側エピタキシャル成長層121の表面をプラズマ照射によってエッチバックするとともに酸化および非晶質化することで形成した受光面側a−SiO(i)層122に代えて、プラズマCVDによる薄膜形成によって受光面側a−SiO(i)層201を形成する(図5−3:ステップS3S)点で、実施の形態1とは異なる。つまり、受光面側a−SiO(i)層201はプラズマCVDによって形成した膜であって、受光面側エピタキシャル層121の表面を酸化および非晶質化することで形成した受光面側a−SiO(i)層122ではない。
本実施の形態の太陽電池セル20でも、n型単結晶シリコン基板11の表面に順次積層された、受光面側真性半導体層12、p型非晶質シリコン層13、受光面側透光性導電膜14を備える。受光面側真性半導体層12は、n型単結晶シリコン基板11側から順に、受光面側エピタキシャル成長層121と受光面側a−SiO(i)層201、受光面側a−Si(i)層123から構成される。裏面側については省略しているが裏面側真性シリコン層(図示せず)についても、n型単結晶シリコン基板11側から順に、裏面側エピタキシャル成長層と裏面側a−SiO(i)層と、裏面側a−Si(i)層とから構成される。
製造工程を示すフローチャートについても図3に示した前記実施の形態1と同様であるが、受光面側に受光面側a−SiO(i)層201を形成する工程であるステップS3Sと、裏面側に裏面側a−SiO(i)層(図示せず)を形成する工程であるステップS7Sのみが前記実施の形態1と異なっている。正確に言うと、これらの前の工程であるエピタキシャル成長層を形成する工程ステップS2、S6では、水素と炭酸ガスの混合ガスプラズマによるエッチバック分を含めて膜厚が5〜10nm程度となるように厚く成膜されていたのに対し、本実施の形態では、1〜4nm程度となっている。
受光面側a−SiO(i)層201を形成する原料ガスとして、シランガスと水素ガスに、炭酸ガスを添加した混合ガスを使用し、プラズマCVDによって所望の厚さに成膜する。ただし、受光面側a−SiO(i)層201がエピタキシャル成長層121上にエピタキシャル成長しないことが必要条件となる。酸素原子が添加された受光面側a−SiO(i)層201は、受光面側a−Si(i)層123と比べて、受光面側エピタキシャル成長層121との格子不整合が大きいため、受光面側a−Si(i)層123よりもエピタキシャル成長を抑制しやすい特徴がある。受光面側a−SiO(i)層201の成膜条件は、シランガスに対する炭酸ガスの流量を増やすか、あるいは、成膜温度を下げることによって、受光面側a−SiO(i)層201がエピタキシャル成長するのを抑制できる。シランガスに対する炭酸ガスの流量比率(炭酸ガス/シランガス)は0.05〜2.0、さらに望ましくは0.2〜0.8である。この範囲を超えると、酸素原子が高濃度となりすぎることにより、受光面側a−SiO(i)層201中に欠陥密度が生じやすくなるため好ましくない。また、この範囲に満たないと、酸素原子の密度の低下に伴い、受光面側エピタキシャル成長層121とn型単結晶シリコン基板11の格子不整合が小さくなり、エピタキシャル成長しやすくなるため好ましくない。
<実施例1>
実施例1においては、上記実施の形態1の方法で太陽電池セル10を作製した。このような太陽電池セル10の製造方法について図3を参照して説明する。図3は、実施例1にかかる太陽電池セル10の製造方法を示すフローチャートである。また、表1に、実施例1におけるプラズマCVDの成膜条件の詳細を示す。
Figure 2014011198
抵抗率が1Ωcmであり主面の面方位が(100)で、Pを含有するn型単結晶シリコン基板11を用意した。n型単結晶シリコン基板11の大きさは、10cm×10cm〜20cm×20cm程度で、厚みが150〜200μm程度である。アルカリ溶液中に浸漬してn型単結晶シリコン基板11の表面をエッチングし、スライス時のワイヤーソーダメージが除去される。その後、光閉じ込め構造により反射損失を低減するため、テクスチャー構造の凹凸が形成される。テクスチャー構造の凹凸を形成する方法としてイソプロピルアルコールを含有したアルカリ溶液を用いる(ステップS1)。また、ここではワイヤーソーダメージにおける金属汚染の影響を減らすためにワイヤーソーダメージ除去工程後にテクスチャーを形成したが、ワイヤーソーにおける金属汚染の影響が少ない場合には、ワイヤーソーダメージ除去を行わずにn型単結晶シリコン基板11を、イソプロピルアルコールを含有したアルカリ溶液でエッチングを行うことにより、ワイヤーソーダメージの除去とテクスチャーの形成とを兼ねてもよい。また、テクスチャー構造の形成方法としては、反応性イオンエッチング(RIE)法等のドライエッチングによって形成してもよい。
次に、n型単結晶シリコン基板11をRCA洗浄によりクリーニングし、成膜直前に希フッ酸で表面酸化膜除去を施し、プラズマCVDチャンバで、RF出力50mW/cm、ガス圧500Paの雰囲気下で、受光面側エピタキシャル成長層121を受光面側に形成した。シランガスに対する水素希釈比率を10〜20になるように、モノシラン10sccm、水素300sccm流し、成膜基板温度は200℃とした(図2−2:ステップS2)。
次に、受光面側エピタキシャル成長層121上へ、水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマ照射を行なった。水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマ照射は、プラズマCVDチャンバで、RF出力50mW/cm、基板温度200℃、ガス圧200Paの雰囲気化で、水素1000sccm、炭酸ガス15sccmを流して処理をした。受光面側エピタキシャル成長層121の表面側には、炭酸ガスの分解によって生成した酸素原子が高濃度に含まることによって非晶質化した、受光面側a−SiO(i)層122が形成される(図2−3:ステップS3)。
実施の形態1においては、水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマ照射により受光面側a−SiO(i)層122を形成したが、他の方法として、フッ酸と硝酸の混合液のウェット処理によって受光面側エピタキシャル成長層121の表層を非晶質化し、受光面側a−SiO(i)層122を形成しても良い。
次に、プラズマCVDチャンバで約4nm以下の受光面側a−Si(i)層123を形成した。成膜条件はRF出力20mW/cm2、基板温度160℃、ガス圧500Paの雰囲気下で、モノシラン30sccm、水素500sccm流して成膜した(図2−4:ステップS4)。
次に、a−Si(i)層123の上に、プラズマCVDチャンバで約20nmのp型非晶質シリコン層13を形成した。成膜条件はRF出力50mW/cm2、基板温度140℃、ガス圧500Paの雰囲気下で、モノシラン10sccm、水素500sccm、1%に水素希釈したジボラン10sccm流して成膜した。(図2−5:ステップS5)。
次に、基板の反対側の面に、受光面側と同様に裏面側エピタキシャル成長層161を形成後、水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマを照射し、裏面側エピタキシャル成長層161の表面に裏面側a−SiO(i)層162を形成し、その上に裏面側a−Si(i)層163を形成した。各処理条件は、受光面で形成した成膜条件、水素プラズマ条件と同一条件で形成した(ステップS6、7、8)。
次に、プラズマCVDチャンバで約20nmのn型非晶質シリコン膜17を成膜し、基板の裏面側にBSF構造を形成した。成膜条件はRF出力40mW/cm2、基板温度140℃、ガス圧500Paの雰囲気下で、モノシラン10sccm、水素200sccm、1%に水素希釈したホスフィン20sccmとした(ステップS9)。
次に、水素を5%含む不活性ガス雰囲気下で、200℃で10分間、アニール(フォーミングガスアニール)を行なう。裏面側a−SiO(i)層162、p型非晶質シリコン層13、およびn型非晶質シリコン膜17を形成した温度以下でアニールすることにより、n型単結晶シリコン基板11の基板界面における水素による再結合抑制効果を向上させることができる(ステップS10)。
次に、膜厚約70nm〜90nmの酸化インジウム錫(ITO)からなる受光面側透光性導電膜14をスパッタリング法によりp型非晶質シリコン層13上の全面に形成する。また、スパッタリング法により膜厚約70nm〜90nmの酸化インジウム錫(ITO)からなる裏面側透光性導電膜18をスパッタリング法によりn型非晶質シリコン層17上の全面に形成する(ステップS11)。
ついで、受光面側透光性導電膜14上に銀(Ag)電極をスクリーン印刷により形成し、加熱焼成して受光面側集電極15を形成する(ステップS12)。また、裏面側透光性導電膜18上の全面に銀(Ag)電極をスクリーン印刷により形成し加熱焼成して裏面側集電極19を形成する(ステップS13)。
以上の工程を実施することにより、実施の形態1に対応したヘテロ接合太陽電池セル10が作製される。このようにして作製した太陽電池セルについて、AM1.5のスペクトルで100mW/cmの光照射によって電流−電圧特性を評価した。
<実施例2>
実施例2においては、上記実施の形態2にかかる太陽電池セル20を作製した。このような太陽電池セル20の製造方法について、図5−1〜図5−4および図6を参照して説明する。図6は、実施例2にかかる太陽電池セル20の製造方法を示すフローチャートである。
太陽電池セル20は、受光面側a−SiO(i)層201をプラズマCVDによる薄膜で形成する以外は、実施例1で示した太陽電池セル10の製造方法と共通である。従って、受光面側a−SiO(i)層201の形成工程についてのみ下記に詳述する。
受光面側エピタキシャル成長層121の上に、プラズマCVDチャンバで約4nm以下の受光面側a−SiO(i)層201を形成した。成膜条件はRF出力25mW/cm2、基板温度150℃、ガス圧500Paの雰囲気下で、モノシラン50sccm、水素500sccm、炭酸ガス15sccmを流して成膜した(ステップS3S)。
その他のプロセスは、実施例1による太陽電池セル10と同様である。以上の工程を実施することにより、実施の形態2にかかるヘテロ接合太陽電池セル20が作製される。このようにして作製した太陽電池セルについて、AM1.5のスペクトルで100mW/cmの光照射によって電流−電圧特性を評価した。
<比較例1>
比較のため、エピタキシャル成長層121形成後に、水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマ照射を行わずに作製した太陽電池セル100を、比較例1として作製した。それ以外のプロセスは、実施例1で示したフローチャートと同じである。つまり図3のフローチャートの受光面側および裏面側の炭酸ガス/水素プラズマ照射ステップS3およびS7を行なわないものであり、受光面側a−SiO層122、裏面側a−SiO層162が形成されない他は、実施例1の太陽電池セル10と同様である。
図7は、比較例1にかかる光起電力装置であるヘテロ接合太陽電池セル100の構成を模式的に示す要部断面図である。太陽電池セル100では、n型単結晶シリコン基板11の表面に順次積層された、受光面側真性半導体層12、p型非晶質シリコン層13、受光面側透光性導電膜14を備える。受光面側真性半導体層12は、n型単結晶シリコン基板11側から順に、受光面側エピタキシャル成長層121と受光面側a−Si(i)層123から構成される。図8は、比較例1にかかる太陽電池セル100の製造方法を示すフローチャートである。
このようにして作製した太陽電池セルについて、AM1.5のスペクトルで100mW/cmの光照射によって電流−電圧特性を評価した。
<比較例2>
比較のため、受光面側エピタキシャル成長層121を形成せず、n型単結晶シリコン基板11上に水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマ照射を行って作製した太陽電池セル200を、比較例2として作製した。それ以外のプロセスは、実施例1で示したフローチャートと同じである。
図9は、比較例2にかかる光起電力装置であるヘテロ接合太陽電池セル200の構成を模式的に示す要部断面図である。太陽電池セル200では、n型単結晶シリコン基板11の表面に順次積層された、受光面側真性半導体層12、p型非晶質シリコン層13、受光面側透光性導電膜14を備える。受光面側真性半導体層12は、n型単結晶シリコン基板11側から順に受光面側a−SiO(i)層201と受光面側a−Si(i)層123から構成される。
図10は、比較例2にかかる太陽電池セル200の製造方法を示すフローチャートである。比較例2は、実施の形態1に対し、受光面側エピタキシャル成長層121の形成を行わない以外は、実施例1による太陽電池セル10と同様である。
このようにして作製した太陽電池セルについて、AM1.5のスペクトルで100mW/cmの光照射によって電流−電圧特性を評価した。
<比較例3>
比較のため、受光面側エピタキシャル成長層121を形成せず、水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマ照射も行わずに作製した太陽電池セル300を、比較例3として作製した。それ以外のプロセスは、実施例1で示したフローチャートと同じである。
図11は、比較例3にかかる光起電力装置であるヘテロ接合太陽電池セル300の構成を模式的に示す要部断面図である。太陽電池セル300では、n型単結晶シリコン基板11の表面に順次積層された、受光面側a−SiO(i)層123、p型非晶質シリコン層13、受光面側透光性導電膜14を備える。
図12は、比較例3にかかる太陽電池セル300の製造方法を示すフローチャートである。比較例3は、実施の形態1に対し、受光面側エピタキシャル成長層121を形成せず、水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマ照射も行わない以外は、実施例1による太陽電池セル10と同様である。
このようにして作製した太陽電池セルについて、AM1.5のスペクトルで100mW/cmの光照射によって電流−電圧特性を評価した。
<実施例と比較例の比較>
上述の5種類の太陽電池セル(実施例1、実施例2、比較例1、比較例2、比較例3)について、AM1.5のスペクトルで100mW/cmの光照射によって電流−電圧特性を評価した結果を表2に示す。なお、表2に示した値は、従来の標準的なプロセスである比較例3について得られた太陽電池セルの特性値を1.00として、規格化したものである。
Figure 2014011198
表1を参照して表2を考察すると、実施例1および実施例2ともに、従来の標準的な作製方法である比較例3と比較して、顕著に高い変換効率が得られたことを示している。実施例1と比較例1の特性値を比較すると、比較例1の開放電圧が顕著に低いが、水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマ照射による、受光面側a−SiO(i)層122が形成されなかったために、パッシベーション効果が低下したためと考えられる。同時に、エピタキシャル成長し易い受光面側a−Si(i)層123が、直接受光面側エピタキシャル成長層121上に形成されたことによって受光面側a−Si(i)層123内部に欠陥を生成し、変換効率が低下したためと考えられる。また曲線因子(fill factor;FF)も向上している。FFは、理論出力に対する最大出力の割合を表す数値であって、太陽電池モジュールの品質の目安の一つとされている。理論出力は、開放電圧および短絡電流の積に相当する。FFは、最大出力が理論出力と同一である場合を最大値1とし、数値が1に近いほど発電効率が高いことを表す。
同様に、比較例2は実施例1と比較して顕著に開放電圧が低いが、これは受光面側エピタキシャル成長層121が形成されていないがために、n型単結晶シリコン基板11上へ直接、水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマ照射を行っても、パッシベーション効果の高い受光面側a−SiO(i)層122が形成されなかったことによる影響と考えられる。これは、n型単結晶シリコン基板11上に直接、水素ガスと炭酸ガスの混合ガスのプラズマを照射したことによって、プラズマダメージによって結晶シリコン基板への欠陥が生成した影響と同時に、結晶シリコン基板中への酸素原子の取り込み効率が悪かったために、受光面側a−Si(i)層123とn型単結晶シリコン基板11の界面欠陥密度が十分に低減されなかったためと推察される。
なお、前記実施の形態1,2および実施例1、2では両面に真性シリコン薄膜層と導電性シリコン薄膜層とが形成された構造について説明したが、真性シリコン薄膜層と導電性シリコン薄膜層とが受光面側、裏面側いずれかの片面のみにある構成としても有効である。
また、前記実施の形態では、結晶系半導体基板として、n型単結晶シリコン基板を用いたが、n型に限定されることなくp型にも適用可能であることはいうまでもないが、多結晶シリコン基板、あるいはゲルマニウム、シリコンカーバイド結晶基板など、他の結晶系半導体基板にも適用可能である。さらにまた、真性半導体薄膜あるいは導電性半導体薄膜についても、シリコン薄膜に限定されることなく、他の半導体薄膜にも適用可能である。
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これら実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以上のように、本発明にかかる光起電力装置は、単結晶シリコン基板などの結晶シリコン系基板上に非晶質薄膜を形成した薄膜太陽電池に有用であり、特に、非晶質シリコン薄膜太陽電池に適している。
10、20、100、200、300 太陽電池セル
11 n型単結晶シリコン基板
12 受光面側真性半導体層
13 p型非晶質シリコン層
14 受光面側透光性導電膜
15 受光面側集電極
16 裏面側真性半導体層
17 n型非晶質半導体層
18 裏面側透光性導電膜
19 裏面側集電極
121 受光面側エピタキシャル成長層
122、201 受光面側真性非晶質酸素含有シリコン(a−SiO(i))層
123 受光面側真性非晶質非酸素含有シリコン(a−Si(i))層
161 裏面側エピタキシャル成長層
162 裏面側真性非晶質酸素含有シリコン(a−SiO(i))層
163 裏面側真性非晶質非酸素含有シリコン(a−Si(i))層

Claims (13)

  1. 一導電型の結晶系半導体基板の片面に接するように、真性半導体層と、不純物がドープされた導電性非晶質半導体層と、透光性導電膜とがこの順で積層された光起電力装置であって、
    前記真性半導体層は、前記結晶系半導体基板側から順に、エピタキシャル成長層、酸素を含有する真性非晶質半導体層、酸素を含有しない真性非晶質半導体層から構成されることを特徴とする光起電力装置。
  2. 前記不純物がドープされた導電性非晶質半導体層は、前記結晶系半導体基板とは逆導電型を有し、
    前記透光性導電膜を受光面側電極とすることを特徴とする請求項1に記載の光起電力装置。
  3. 前記不純物がドープされた導電性非晶質半導体層は、前記結晶系半導体基板とは同一導電型を有し、
    前記透光性導電膜を裏面側電極とすることを特徴とする請求項1または2に記載の光起電力装置。
  4. 前記酸素を含有する真性非晶質半導体層は、前記エピタキシャル成長層の表面を酸素含有プラズマによってエッチングして形成された層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光起電力装置。
  5. 前記酸素を含有する真性非晶質半導体層は、前記エピタキシャル成長層上に、CVD法によって形成された層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光起電力装置。
  6. 前記エピタキシャル成長層は、200℃程度以下の低温で形成された膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光起電力装置。
  7. 前記結晶系半導体基板は、単結晶シリコン基板であり、
    前記真性非晶質半導体層は、真性非晶質シリコン層であり、
    前記不純物がドープされた導電性非晶質半導体層は、不純物ドープされた非晶質シリコン層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光起電力装置。
  8. 一導電型の結晶系半導体基板の片面に接するように、真性半導体層を成膜する工程と、
    前記真性半導体層上に、不純物がドープされた導電性非晶質半導体層を成膜する工程と、
    前記不純物がドープされた導電性非晶質半導体層上に透光性導電膜を積層する工程とを含み、
    真性半導体層と、不純物がドープされた導電性非晶質半導体層と、透光性導電膜とがこの順で積層される光起電力装置の製造方法であって、
    前記真性半導体層を成膜する工程は、
    前記結晶系半導体基板上に、エピタキシャル成長層を成膜する工程と、
    酸素を含有する真性非晶質半導体層を形成する工程と、
    酸素を含有しない真性非晶質半導体層を形成する工程とを含むことを特徴とする光起電力装置の製造方法。
  9. 前記酸素を含有する真性非晶質半導体層を形成する工程は、
    前記エピタキシャル成長層の表面に酸素含有プラズマを照射する工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の光起電力装置の製造方法。
  10. 前記酸素含有プラズマを照射する工程は、
    前記エピタキシャル成長層の表面を、炭酸ガスと水素ガスの混合ガスのプラズマに曝露する工程であることを特徴とする請求項9に記載の光起電力装置の製造方法。
  11. 前記酸素を含有する真性非晶質半導体層を形成する工程は、
    前記エピタキシャル成長層上に、CVD法によって前記酸素を含有する真性非晶質半導体層を形成する工程であることを特徴とする請求項8に記載の光起電力装置の製造方法。
  12. 前記エピタキシャル成長層を成膜する工程は、200℃程度以下の低温下で実施されることを特徴とする請求項8に記載の光起電力装置の製造方法。
  13. 前記結晶系半導体基板は、単結晶シリコン基板であり、
    前記真性非晶質半導体層は、真性非晶質シリコン層であり、
    前記不純物がドープされた導電性非晶質半導体層は、不純物ドープされた非晶質シリコン層であることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の光起電力装置の製造方法。
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