以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
実施の形態では、感光性樹脂組成物は、以下の(A)〜(D)の各成分:(A)アルカリ可溶性高分子を、感光性樹脂組成物に含まれる全ての固形分の質量の合計(以下、「感光性樹脂組成物の全質量」という。)に対し10質量%〜90質量%;(B)エチレン性二重結合を有する化合物を感光性樹脂組成物の全質量に対し5質量%〜70質量%;(C)光重合開始剤を感光性樹脂組成物の全質量に対し0.01質量%〜20質量%;及び(D)ヒンダードフェノールを感光性樹脂組成物の全質量に対し0.001質量%〜10質量%;並びに所望により、染料又は着色物質、並びに所望により、その他の添加剤を含む。以下、各成分を順に説明する。
<(A)アルカリ可溶性高分子>
(A)アルカリ可溶性高分子はアルカリ物質に溶け易い高分子である。また、(A)アルカリ可溶性高分子に含まれるカルボキシル基の量は、酸当量で100〜600であり、好ましくは250〜450である。酸当量とは、その分子中に1当量のカルボキシル基を有する線状重合体の質量を言う。バインダー用樹脂中のカルボキシル基は、光重合性樹脂層にアルカリ水溶液に対する現像性及び剥離性を与えるために必要である。酸当量を100以上にすることは、現像耐性、解像性及び密着性を向上させる観点から好ましく、そして酸当量を250以上にすることが好ましい。一方で、酸当量を600以下にすることは、現像性及び剥離性を向上させる観点から好ましく、そして酸当量を450以下にすることが好ましい。
(A)アルカリ可溶性高分子の重量平均分子量は、5,000〜500,000である。重量平均分子量を500,000以下にすることは、解像性及び現像性を向上させる観点から好ましく、重量平均分子量を300,000以下にすることがより好ましく、200,000以下にすることが更に好ましい。一方で、重量平均分子量を5,000以上にすることは、現像凝集物の性状、並びに感光性樹脂積層体とした場合のエッジフューズ性及びカットチップ性などの未露光膜の性状を制御する観点から好ましく、重量平均分子量を10,000以上にすることがより好ましく、20,000以上にすることが更に好ましい。エッジフューズ性とは、感光性樹脂積層体としてロール状に巻き取った場合にロールの端面から感光性樹脂組成物層がはみ出す現象をいう。カットチップ性とは未露光膜をカッターで切断した場合にチップが飛ぶ現象をいう。このチップが感光性樹脂積層体の上面などに付着すると、後の露光行程などでマスクに転写して不良品の原因となる。バインダー用樹脂の分散度(分子量分布と呼ぶこともある)は1〜6程度でよく、好ましくは1〜4である。
(A)アルカリ可溶性高分子は、後述する第一の単量体の少なくとも一種以上及び後述する第二の単量体の少なくとも一種以上から成る共重合体であることが好ましい。
第一の単量体は、分子中に重合性不飽和基を一個有するカルボン酸又は酸無水物である。第一の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステル等が挙げられる。特に(メタ)アクリル酸が好ましい。本明細書では、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを示す。以下同様である。
第二の単量体は、非酸性であり、かつ分子中に重合性不飽和基を少なくとも一個有する単量体である。第二の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ビニルアルコールのエステル類、例えば、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、及びスチレン誘導体などが挙げられる。中でも、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。レジストパターンの解像性及び密着性を向上させる観点からは、スチレン及びベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、スチレンがより好ましい。
第一の単量体及び第二の単量体の共重合割合は、第一の単量体が10質量%〜60質量%であり、かつ第二の単量体が40質量%〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは第一の単量体が15質量%〜35質量%であり、かつ第二の単量体が65質量%〜85質量%である。
アルカリ可溶性高分子の合成は、第一の単量体と第二の単量体との混合物を、アセトン、メチルエチルケトン、又はイソプロパノール等の溶剤で希釈した溶液に、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を適量添加し、加熱攪拌することにより行われることが好ましい。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成を行う場合もある。反応終了後、さらに溶剤を加えて、所望の濃度に調整する場合もある。合成手段としては、溶液重合以外に、塊状重合、懸濁重合、又は乳化重合を用いてもよい。
(A)アルカリ可溶性高分子の感光性樹脂組成物の全質量に対する割合は、10質量%〜90質量%の範囲であり、好ましくは30質量%〜70質量%であり、より好ましくは40質量%〜60質量%である。感光性樹脂組成物に対するアルカリ可溶性高分子の割合を90質量%以下にすることは現像時間を制御する観点から好ましく、一方で、感光性樹脂組成物に対するアルカリ可溶性高分子の割合を10質量%以上にすることはエッジフューズ性を向上させる観点から好ましい。
<(B)エチレン性二重結合を有する化合物>
(B)エチレン性二重結合を有する化合物は、硬化性およびアルカリ可溶性高分子との相溶性の観点から分子内にアクリロイル基を有する化合物を含むことが好ましい。
例えば、ポリアルキレンオキシドの片方の末端に(メタ)アクリル酸を付加した化合物又は、片方の末端に(メタ)アクリル酸を付加し、他方の末端をアルキルエーテル又はアリルエーテル化したものなどを挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールをフェニル基に付加した化合物の(メタ)アクリレートであるフェノキシヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、又は平均2モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールと平均7モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールをノニルフェノールに付加した化合物の(メタ)アクリレートである4−ノルマルノニルフェノキシヘプタエチレングリコールジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、平均1モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールと平均5モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールをノニルフェノールに付加した化合物の(メタ)アクリレートである4−ノルマルノニルフェノキシペンタエチレングリコールモノプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。このような化合物としては、例えば、平均8モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールをノニルフェノールに付加した化合物のアクリレートである4−ノルマルノニルフェノキシオクタエチレングリコール(メタ)アクリレート(東亞合成(株)製、M−114)も挙げられる。
このような化合物としては、例えば、アルキレンオキシド鎖の両末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又はエチレンオキシド鎖とプロピレンオキシド鎖とがランダムもしくはブロックで結合したアルキレンオキシド鎖の両末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物などを挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘプタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、12モルのエチレンオキシド鎖の両末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物等のポリエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、ポリプロピレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ポリブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト等を挙げることができる。化合物中にエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基とを含むポリアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、平均12モルのプロピレンオキシドを付加したポリプロピレングリコールにエチレンオキシドをさらに両端にそれぞれ平均3モル付加したグリコールのジメタクリレート、平均18モルのプロピレンオキシドを付加したポリプロピレングリコールにエチレンオキシドをさらに両端にそれぞれ平均15モル付加したグリコールのジメタクリレート等が挙げられる。
また、ビスフェノールAをアルキレンオキシド変性することにより両末端に(メタ)アクリロイル基を有している化合物が、解像性及び密着性の観点では好ましい。アルキレンオキシド変性にはエチレンオキシド変性、プロピレンオキシド変性、ブチレンオキシド変性、ペンチレンオキシド変性、へキシレンオキシド変性などがある。ビスフェノールAをエチレンオキシド変性することにより両末端に(メタ)アクリロイル基を有している化合物が、好ましい。このような化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン(新中村化学工業(株)製NKエステルBPE−200)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン(新中村化学工業(株)製NKエステルBPE−500)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等の2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。さらに、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モルのプロピレンオキサイドと平均6モルのエチレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)クリレート、又はビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モルのプロピレンオキサイドと平均15モルのエチレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)クリレートなどのように、エチレンオキシド変性及びプロピレンオキシド変性した化合物も好ましい。ビスフェノールAをアルキレンオキシド変性することにより両末端に(メタ)アクリロイル基を有している化合物中のエチレンオキシドのモル数は、解像性、密着性及び柔軟性を向上させる観点から、10モル以上30モル以下が好ましい。
例えば、一分子中に2個を超える(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、中心骨格として分子内にアルキレンオキシド基を付加させることができる基を3モル以上有し、これにエチレンオキシド基及びプロピレンオキシド又はブチレンオキシドなどのアルキレンオキシド基を付加させ得られたアルコールを(メタ)アクリレートとすることで得られる。中心骨格になることができる化合物としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、イソシアヌレート環等を挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド(EO)3モル変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンのEO6モル変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンのEO9モル変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンのEO12モル変性トリアクリレート等を挙げることができる。このような化合物としては、例えば、グリセリンのEO3モル変性トリアクリレート(新中村化学工業(株)製A−GLY−3E)、グリセリンのEO9モル変性トリアクリレート(新中村化学工業(株)製A−GLY−9E)、グリセリンのEO6モル及びプロピレンオキシド(PO)6モル変性トリアクリレート(A−GLY−0606PE)、グリセリンのEO9モルPO9モル変性トリアクリレート(A−GLY−0909PE)などを挙げることができる。このような化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールの4EO変性テトラアクリレート(サートマージャパン(株)社製SR−494)、ペンタエリスリトールの35EO変性テトラアクリレート(新中村化学工業(株)社製NKエステルATM−35E)などを挙げることができる。
前記化合物以外にも、以下に挙げる化合物などを適宜含むことができる。例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[(4−(メタ)アクリロキシポリプロピレンオキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[(4−(メタ)アクリロキシポリブチレンオキシ)フェニル]プロパン、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルキシ)プロピルフタレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらに、(B)エチレン性二重結合を有する化合物としては、下記で示されるようなウレタン化合物も挙げられる。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート又はジイソシアネート化合物(例えば、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート)と、一分子中にヒドロキシル基と(メタ)アクリル基を有する化合物、例えば、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、オリゴプロピレングリコールモノメタクリレートとのウレタン化合物が挙げられる。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネートとオリゴプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPP1000)との反応生成物がある。また、ポリプロピレングリコール又はポリカプロラクトンにより変性したイソシアヌル酸エステルのジまたはトリ(メタ)アクリレートなども挙げられる。また、例えばジイソシアネートとポリオールとの重付加物として得られるウレタン化合物の末端とエチレン性二重結合およびヒドロキシル基を有する化合物とを反応させて得られるウレタンオリゴマーなども挙げることができる。
(B)エチレン性二重結合を有する化合物の感光性樹脂組成物の全質量に対する割合は、5質量%〜70質量%である。この割合を5質量%以上にすることは、感度、解像性及び密着性の観点から好ましく、一方で、この割合を70質量%以下にすることは、エッジフューズ及び硬化レジストの剥離遅延を抑えるという観点から好ましく、この割合を50質量%以下にすることがより好ましい。
<(C)光重合開始剤>
実施の形態では、感光性樹脂組成物は、(C)光重合開始剤としてアクリジン化合物を含むことが好ましい。これは、アクリジン化合物を用いることにより、感光性樹脂組成物の高感度化を実現できるだけでなく、解像性、現像液分散性及び色相安定性に優れた感光性樹脂積層体を得ることもできるからである。
アクリジン化合物としては、例えば、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン、9−フェニルアクリジン、9−メチルアクリジン、9−エチルアクリジン、9−クロロエチルアクリジン、9−メトキシアクリジン、9−エトキシアクリジン、9−(4−メチルフェニル)アクリジン、9−(4−エチルフェニル)アクリジン、9−(4−n−プロピルフェニル)アクリジン、9−(4−n−ブチルフェニル)アクリジン、9−(4−tert−ブチルフェニル)アクリジン、9−(4−メトキシフェニル)アクリジン、9−(4−エトキシフェニル)アクリジン、9−(4−アセチルフェニル)アクリジン、9−(4−ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9−(4−クロロフェニル)アクリジン、9−(4−ブロモフェニル)アクリジン、9−(3−メチルフェニル)アクリジン、9−(3−tert−ブチルフェニル)アクリジン、9−(3−アセチルフェニル)アクリジン、9−(3−ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9−(3−ジエチルアミノフェニル)アクリジン、9−(3−クロロフェニル)アクリジン、9−(3−ブロモフェニル)アクリジン、9−(2−ピリジル)アクリジン、9−(3−ピリジル)アクリジン、及び9−(4−ピリジル)アクリジンなどを挙げることができる。これらの中では、感度、解像性、入手性等の点で、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン又は9−フェニルアクリジンが好ましく、9−フェニルアクリジンがより好ましい。
感光性樹脂組成物は、(C)光重合開始剤として、アクリジン化合物以外の化合物を含有してもよい。アクリジン化合物以外の化合物としては、例えば、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、N−アリール−α−アミノ酸化合物、キノン類、芳香族ケトン類、アセトフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類、ベンゾイン又はベンゾインエーテル類、ジアルキルケタール類、チオキサントン類、ジアルキルアミノ安息香酸エステル類、オキシムエステル類、ピラゾリン誘導体、N−アリールアミノ酸のエステル化合物、ハロゲン化合物等が挙げられる。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルビイミダゾール、2,2’,5−トリス−(o−クロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−4’,5’−ジフェニルビイミダゾール、2,4−ビス−(o−クロロフェニル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ジフェニルビイミダゾール、2,4,5−トリス−(o−クロロフェニル)−ジフェニルビイミダゾール、2−(o−クロロフェニル)−ビス−4,5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3−ジフルオロメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,5−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール等が挙げられる。
N−アリール−α−アミノ酸化合物としては、例えば、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−フェニルグリシン等が挙げられる。特にN−フェニルグリシンは増感効果が高く好ましい。
キノン類としては、例えば、2−エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノンなどを挙げることができる。
芳香族ケトン類としては、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどを挙げることができる。
アセトフェノン類としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1などを挙げることができる。アセトフェノン類の市販品としては、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のイルガキュア−907、イルガキュア−369、及びイルガキュア−379を挙げることができる。
アシルフォスフィンオキサイド類としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンジルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフォンオキサイドなどが挙げられる。アシルフォスフィンオキサイド類の市販品としては、例えば、BASF社製のルシリンTPO、及びチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のイルガキュア−819が挙げられる。
ベンゾイン又はベンゾインエーテル類としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどを挙げることができる。
ジアルキルケタール類としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどを挙げることができる。
チオキサントン類としては、例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロルチオキサントンなどを挙げることができる。
ジアルキルアミノ安息香酸エステル類としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジエチルアミノ安息香酸エチル、エチル−p−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエートなどを挙げることができる。
オキシムエステル類としては、例えば、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシムなどが挙げられる。オキシムエステル類の市販品としては、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のCGI−325、イルガキュア−OXE01、及びイルガキュア−OXE02が挙げられる。
ピラゾリン誘導体としては、例えば、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1,5−ビス−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−ピラゾリン、1−(4−tert−オクチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−エトキシ−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1,5−ビス−(4−tert−オクチル−フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−ピラゾリン、1−(4−ドデシル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−ドデシル−フェニル)−3−(4−ドデシル−スチニル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−tert−オクチル−フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−ドデシル−フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−ドデシル−フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−tert−オクチル−フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(2,4−ジブチル−フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリンなどが挙げられる。
また、ピラゾリン誘導体としては、例えば、1−フェニル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(2,6−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(2,6−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(2,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(2,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(2,6−ジ−n−ブチル−スチリル)−5−(2,6−ジ−n−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(3,4−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−フェニル−ピラゾリン、1−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(4−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−オクチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−オクチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−ドデシル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−ドデシル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−ドデシル−スチニル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−オクチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリンなどが挙げられる。
更に、ピラゾリン誘導体としては、例えば、1−(4−(5−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−ドデシル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−ドデシル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−オクチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(4,6−ジブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(3,5−ジ−tert−ブチルスチリル)−5−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(2,6−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(2,6−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(2,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(2,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(2,6−ジ−n−ブチル−スチリル)−5−(2,6−ジ−n−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(4,6−ジ−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(4,6−ジ−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−アミノ−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−N−エチル−フェニル)−ピラゾリン、及び1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−N,N−ジエチル−フェニル)−ピラゾリンなどが挙げられる。
更に、ピラゾリン誘導体としては、例えば、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−n−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−イソブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−n−ペンチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−イソペンチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−ネオペンチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−ヘキシル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−ヘプチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−n−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−ノニル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−デシル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−ウンデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリンなどが挙げられる。
上記で列挙されたピラゾリン誘導体の中でも、密着性及びレジストパターンの矩形性の観点から、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン及び1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリンが好ましい。
N−アリールアミノ酸のエステル化合物としては、例えば、N−フェニルグリシンのメチルエステル、N−フェニルグリシンのエチルエステル、N−フェニルグリシンのn−プロピルエステル、N−フェニルグリシンのイソプロピルエステル、N−フェニルグリシンの1−ブチルエステル、N−フェニルグリシンの2−ブチルエステル、N−フェニルグリシンのtertブチルエステル、N−フェニルグリシンのペンチルエステル、N−フェニルグリシンのヘキシルエステル、N−フェニルグリシンのペンチルエステル、N−フェニルグリシンのオクチルエステル等が挙げられる。
ハロゲン化合物としては、例えば、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンジル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、クロル化トリアジン化合物、ジアリルヨードニウム化合物などが挙げられ、とりわけトリブロモメチルフェニルスルフォンが好ましい。
これらのアクリジン化合物以外の光重合開始剤は、単独で使用しても2種類以上併用してもよい。また、アクリジン化合物と併用されることができる光重合開始剤としては、感度、解像性等の点から、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、N−アリール−α−アミノ酸化合物、キノン類、ピラゾリン誘導体、及びハロゲン化合物から成る群から選択される少なくとも1つを用いることが好ましい。
(C)光重合開始剤の感光性樹脂組成物の全質量に対する割合は、0.01質量%〜20質量%である。この割合を0.01質量%以上にすることは充分な感度を得る観点から好ましく、この割合を0.1質量%以上にすることがより好ましく、0.5質量%以上にすることが更に好ましい。一方で、この割合を20質量%以下にすることは高い解像性を得て、かつ現像液中での凝集性を抑制する観点から好ましく、この割合を10質量%以下にすることがより好ましい。
感光性樹脂組成物中に(C)光重合開始剤として配合されるアクリジン化合物の割合は、感光性樹脂組成物の全質量に対して0.01質量%〜5質量%が好ましい。この配合量を0.01質量%以上にすることは、充分な感度を得るという観点から好ましく、この配合量を0.1質量%以上にすることがより好ましく、0.2質量%以上にすることが特に好ましい。一方で、この配合量を5質量%以下にすることは、矩形のレジスト形状を得て、かつ色相安定性を向上させる観点から好ましく、この配合量を3質量%以下にすることがより好ましく、2質量%以下にすることが特に好ましい。
また、(C)光重合開始剤としてヘキサアリールビイミダゾール化合物を使用する場合、ヘキサアリールビイミダゾール化合物の配合量は、感光性樹脂組成物の全質量に対して0.1質量%〜15質量%であることが好ましい。この配合量を0.1質量%以上にすることは、充分な感度を得るという観点から好ましく、この配合量を1質量%以上にすることがより好ましく、3質量%以上にすることが特に好ましい。一方で、この配合量を15質量%以下にすることは、高い解像性を得て、かつ現像液中での凝集性を抑制する観点から好ましく、この配合量を10質量%以下にすることがより好ましく、6質量%以下にすることが特に好ましい。
また、(C)光重合開始剤としてN−アリール−α−アミノ酸化合物を使用する場合、N−アリール−α−アミノ酸化合物の配合量は、感光性樹脂組成物の全質量に対して0.001質量%〜5質量%が好ましい。この配合量を0.001質量%以上にすることは、充分な感度を得るという観点から好ましく、この配合量を0.01質量%以上にすることがより好ましく、0.1質量%以上にすることが特に好ましい。一方で、この配合量を5質量%以下にすることは、高い解像性を得て、かつ色相安定性を向上させる観点から好ましく、この配合量を1質量%以下にすることがより好ましく、0.5質量%以下にすることが特に好ましい。
<(D)ヒンダードフェノール>
実施の形態では、感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物の全質量に対して0.001質量%〜10質量%の(D)ヒンダードフェノールを含む。一般に、ヒンダードフェノールとは、立体障害の大きいフェノールをいう。
感光性樹脂組成物は、(D)ヒンダードフェノールとして下記一般式(I):
{式中、R
1は、置換されていてもよい、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリール基、シクロヘキシル基、2価の連結基を介した直鎖アルキル基、2価の連結基を介した分岐アルキル基、2価の連結基を介したシクロヘキシル基又は2価の連結基を介したアリール基を表し、そしてR
2、R
3及びR
4は、各々独立に、水素、又は置換されていてもよい、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリール基、シクロヘキシル基、2価の連結基を介した直鎖アルキル基、2価の連結基を介した分岐アルキル基、2価の連結基を介したシクロヘキシル基又は2価の連結基を介したアリール基を表す。}で表される化合物を含むことが好ましい。
感光性樹脂組成物が(D)ヒンダードフェノールを含有することは、感光性樹脂組成物の解像性を向上させる観点で優れており、そして上記一般式(I)で表される化合物は、感光性樹脂組成物の解像性を向上させる観点、及び感光性樹脂組成物の感度低下を抑制する観点で好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、感光性樹脂組成物の解像性を向上させる観点、及び感光性樹脂組成物の感度低下を抑制する観点から、上記一般式(I)においてR1、R2、R3及びR4の少なくとも1つが芳香環を有していることが好ましい。同様の観点から、(D)ヒンダードフェノールの水酸基濃度は、0.10mol/100g〜0.75mol/100gであることが好ましい。
(D)ヒンダードフェノールとしては、例えば、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、スチレン化フェノール(川口化学工業(株)製、アンテージSP)、トリベンジルフェノール(川口化学工業(株)製、TBP、ベンジル基を1〜3個有するフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−エチルフェニル)メタン、トリエチレングリコール-ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール-ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート-ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等が挙げられる。
一般式(I)で表される化合物としては、例えば、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、スチレン化フェノール(川口化学工業(株)製、アンテージSP)、トリベンジルフェノール(川口化学工業(株)製、TBP、ベンジル基を1〜3個有するフェノール)等が挙げられる。
(D)ヒンダードフェノールの、感光性樹脂組成物の全質量に対する割合は、0.001質量%〜10質量%である。この割合は、解像性の向上の点で、0.001質量%以上であり、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、0.5質量%以上が特に好ましく、0.7質量%以上が最も好ましい。一方で、この割合は、感度低下が少ない点及び解像性の向上の点で、10質量%以下であり、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましく、1.5質量%以下が特に好ましい。
<染料又は着色物質>
感光性樹脂組成物は、所望により、ロイコ染料、フルオラン染料又は着色物質を含有してもよい。
着色物質としては、例えば、フクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン(保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) MALACHITE GREEN)、ベイシックブルー20、ダイアモンドグリーン(保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)が挙げられる。感光性樹脂組成物中の着色物質の含有量は、感光性樹脂組成物の全質量を100質量%としたとき、0.001質量%〜1質量%であることが好ましい。該含有量を0.001質量%以上にすることは、感光性樹脂組成物の取扱い性を向上させるという観点から好ましく、一方で、該含有量を1質量%以下にすることは、感光性樹脂組成物の保存安定性を維持するという観点から好ましい。
感光性樹脂組成物は、ロイコ染料又はフルオラン染料を含有することにより露光部分が発色するので視認性の点で好ましく、また、検査機等が露光のための位置合わせマーカーを読み取る場合、露光部と未露光部のコントラストが大きい方が認識し易く有利である。
ロイコ染料としては、例えば、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フェニルメタン[ロイコマラカイトグリーン]等が挙げられる。とりわけ、コントラストが良好となる観点から、ロイコ染料としては、ロイコクリスタルバイオレットを用いることが好ましい。感光性樹脂組成物中のロイコ染料の含有量は、感光性樹脂組成物の全質量に対して0.1質量%〜10質量%であることが好ましい。この含有量を0.1質量%以上にすることは、露光部分と未露光部分のコントラストを良好にする観点から好ましく、この含有量を0.2質量%以上にすることがより好ましく、0.4質量%以上にすることが特に好ましい。一方で、この含有量を10質量%以下にすることが保存安定性を維持するという観点から好ましく、この含有量を5質量%以下にすることがより好ましく、2質量%以下にすることが特に好ましい。
また、感光性樹脂組成物中にロイコ染料と前記ハロゲン化合物を組み合わせて用いることは、密着性及びコントラストを最適化する観点から好ましい。ロイコ染料を前記ハロゲン化合物と併用する場合には、感光性樹脂組成物中の前記ハロゲン化合物の含有量は、感光性樹脂組成物の全質量を100質量%としたとき、0.01質量%〜3質量%であることが感光層における色相の保存安定性を維持するという観点から好ましい。
<その他の添加剤>
感光性樹脂組成物は、熱安定性及び保存安定性を向上させるために、ラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾール類、及びカルボキシベンゾトリアゾール類から成る群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物をさらに含有してもよい。
ラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、塩化第一銅、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、ジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。感光性樹脂組成物の感度を損なわないために、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩が好ましい。
ベンゾトリアゾール類としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−トリルトリアゾール、ビス(N−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、4−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。
ラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾ−ル類、及びカルボキシベンゾトリアゾ−ル類の合計含有量は、感光性樹脂組成物の全質量を100質量%としたとき、好ましくは0.01質量%〜3質量%であり、より好ましくは0.05質量%〜1質量%である。該含有量を0.01質量%以上にすることは、感光性樹脂組成物に保存安定性を付与するという観点から好ましく、一方で、該含有量を3質量%以下にすることは、感度を維持し染料の脱色を抑える観点から好ましい。
実施の形態では、感光性樹脂組成物は、ビスフェノールAのエポキシ化合物類をさらに含有してもよい。ビスフェノールAのエポキシ化合物類としては、ビスフェノールAをポリプロピレングリコールで修飾し末端をエポキシ化した化合物等が挙げられる。
実施の形態では、感光性樹脂組成物は、可塑剤をさらに含有してもよい。可塑剤としては、例えば、ジエチルフレートなどのフタル酸エステル類、o−トルエンスルホン酸アミド、p−トルエンスルホン酸アミド、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリ−n−プロピル、アセチルクエン酸トリ−n−ブチル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエ−テル、ポリプロプレンレングリコールアルキルエーテル等が挙げられる。また、アデカノールSDX−1569、アデカノールSDX−1570、アデカノールSDX−1571、アデカノールSDX−479(以上旭電化(株)製)、ニューポールBP−23P、ニューポールBP−3P、ニューポールBP−5P、ニューポールBPE−20T、ニューポールBPE−60、ニューポールBPE−100、ニューポールBPE−180(以上三洋化成(株)製)、ユニオールDB−400、ユニオールDAB−800、ユニオールDA−350F、ユニオールDA−400、ユニオールDA−700 (以上日本油脂(株)製)、BA−P4Uグリコール、BA−P8グリコール(以上日本乳化剤(株)製)等のビスフェノール骨格を有する化合物も挙げられる。
感光性樹脂組成物中の可塑剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全質量に対して、好ましくは1質量%〜50質量%であり、より好ましくは1〜30質量%である。該含有量を1質量%以上にすることは、現像時間の遅延を抑え、かつ硬化膜に柔軟性を付与するという観点から好ましく、一方で、該含有量を50質量%以下にすることは、硬化不足及びコールドフローを抑えるという観点から好ましい。
実施の形態では、感光性樹脂組成物は、メルカプトチアジアゾール化合物をさらに含有してもよい。メルカプトチアジアゾール化合物としては、例えば、5−メチル−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−エチル−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−n−プロピル−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−イソプロピル−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−メトキシ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−エトキシ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−n−プロピルオキシ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−イソプロピルオキシ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−メチルチオ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−エチルチオ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−n−プロピルチオ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−イソプロピルチオ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−メチルアミノ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール等が挙げられる。
特に、5−メチルチオ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−メチルアミノ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール及び2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールは、感度、密着性及び露光直後のコントラスト性能が高いため、好ましく用いられる。これらは単独又は2種類以上組み合わせて使用できる。
感光性樹脂組成物中のメルカプトチアジアゾール化合物の含有量は、感光性樹脂組成物の全質量に対して、感度、密着性及びコントラストを向上させる観点で0.01質量%以上にすることが好ましく、0.03質量%以上にすることがより好ましく、0.05質量%以上にすることが特に好ましい。また、保存安定性を維持するという観点から、5質量%以下にすることが好ましく、1質量%以下にすることがより好ましく、0.5質量%以下にすることが特に好ましい。
<溶剤>
感光性樹脂組成物を溶解する溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)に代表されるケトン類、メタノール、エタノール又はイソプロパノールに代表されるアルコール類等が挙げられる。溶剤は、支持フィルム上に塗布する感光性樹脂組成物の溶液の粘度が25℃で500mPa・s〜4000mPa・sとなるような量で、感光性樹脂組成物に添加されることが好ましい。
<感光性樹脂積層体>
実施の形態では、上記のような感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層が支持層(例えば、支持フィルムなど)上に積層されている感光性樹脂積層体が提供される。必要により、感光性樹脂積層体は、感光性樹脂層の支持フィルム側とは反対側の表面に保護層を有してもよい。
支持フィルムとしては、露光光源から放射される光を透過する透明なものが好ましい。このような支持フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じて延伸されたものも使用可能であり、ヘーズ5以下のものであることが好ましい。フィルムの厚みは、薄いほど画像形成性及び経済性を向上させるため有利であるが、感光性樹脂積層体の強度を維持するために10μm〜30μmのものが好ましく用いられる。
感光性樹脂積層体に用いられる保護層の重要な特性は、感光性樹脂層との密着力について支持フィルムよりも保護層の方が充分小さく、容易に剥離できることである。例えば、ポリエチレンフィルム又はポリプロピレンフィルムが、保護層として好ましく使用されることができる。また、特開昭59−202457号公報に示された剥離性の優れたフィルムを用いることもできる。保護層の膜厚は10μm〜100μmが好ましく、10μm〜50μmがより好ましい。
保護層にポリエチレンを用いた場合は、ポリエチレンフィルム表面にフィッシュアイと呼ばれるゲルがあり、これが感光性樹脂層に転写することがある。フィッシュアイが感光性樹脂層に転写するとラミネート時に空気を巻き込んで空隙になることがあり、レジストパターンの欠損につながる。フィッシュアイを防ぐ観点から、保護層の材質は延伸ポリプロピレンが好ましい。具体例としては王子製紙(株)製アルファンE−200Aを挙げることができる。
感光性樹脂積層体における感光性樹脂層の厚さは、用途において異なるが、好ましくは5μm〜100μm、より好ましくは7μm〜60μmであり、薄いほど解像度は向上し、また厚いほど膜強度が向上する。
感光性樹脂積層体の製造方法について説明する。支持フィルム、感光性樹脂層、及び必要により保護層を順次積層し感光性樹脂積層体を作製する方法としては、既知の方法を採用することができる。例えば、感光性樹脂層に用いる感光性樹脂組成物を、これらを溶解する溶剤と混ぜ合わせ均一な溶液にし、まず支持フィルム上にバーコーター又はロールコーターを用いて塗布し、次いで乾燥して支持フィルム上に感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層を積層することができる。次いで必要により、感光性樹脂層上に保護層をラミネートすることにより感光性樹脂積層体を作製することができる。
<レジストパターンの製造方法>
次に、本実施の形態の感光性樹脂積層体を用いてレジストパターンを製造する方法の一例を説明する。レジストパターンとしては、例えば、プリント配線板、半導体素子、印刷版、液晶ディスプレイパネル、フレキシブル基板、リードフレーム基板、チップオンフィルム(COF)用基板、半導体パッケージ用基板、液晶用透明電極、液晶用TFT用配線、プラズマディスプレイパネル(PDP)用電極などのパターンが挙げられる。一例として、プリント配線板の製造方法を下記の通り説明する。
プリント配線板は、以下の各工程を経て製造される。
(1)ラミネート工程
感光性樹脂積層体の保護層を剥がしながら、感光性樹脂積層体を、銅張積層板、フレキシブル基板等の基板上にホットロールラミネーターを用いて密着させる工程。
(2)露光工程
所望の配線パターンを有するマスクフィルムを支持体上に密着させて活性光源を用いて露光を施す、又は所望の配線パターンを直接描画によって露光を施す工程。
(3)現像工程
露光後、感光性樹脂層上の支持体を剥離し、続いてアルカリ水溶液の現像液を用いて未露光部を現像除去してレジストパターンを基板上に形成する工程。
アルカリ水溶液としては、Na2CO3又はK2CO3の水溶液を用いる。アルカリ水溶液は、感光性樹脂層の特性に合わせて適宜選択されるが、約0.2質量%〜約2質量%の濃度、かつ約20℃〜約40℃のNa2CO3水溶液が一般的である。
上記の各工程を経てレジストパターンを得ることができるが、場合により、さらに約100℃〜約300℃の加熱工程を行うこともできる。この加熱工程を実施することにより、更なる耐薬品性向上が可能となる。加熱には熱風、赤外線、又は遠赤外線の方式の加熱炉を用いることができる。
(4)エッチング工程又はめっき工程
現像により露出した基板の銅面をエッチング又はめっきし、導体パターンを製造する。
(5)剥離
その後、レジストパターンを現像液よりも強いアルカリ性を有する水溶液により基板から剥離する。剥離用のアルカリ水溶液についても特に制限はないが、約2質量%〜約5質量%の濃度、かつ約40℃〜約70℃の温度のNaOH又はKOHの水溶液が一般に用いられる。剥離液に、少量の水溶性溶媒を加えることもできる。
本実施の形態の感光性樹脂積層体は、プリント配線板、フレキシブル基板、リードフレーム基板、COF用基板、半導体パッケージ用基板、液晶用透明電極、液晶用TFT用配線、PDP用電極等の導体パターンの製造に適した感光性樹脂積層体である。
なお、上述した各種パラメータについては特に断りの無い限り、後術の実施例における測定方法に準じて測定される。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨から逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、上記詳細な説明及び実施例中の物性は以下の方法により測定した。
<感度−1>
まず、35μm圧延銅箔を積層した0.4mm厚の銅張積層板を、スプレー圧0.2MPaで研削材(日本カーリット(株)製、サクランダムR(登録商標#220))を用いてジェットスクラブ研磨した。
次に、感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、60℃に予熱した銅張積層板に、ホットロールラミネーター(旭化成(株)社製、AL−700)により、感光性樹脂積層体をロール温度105℃でラミネートした。エアー圧は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/minとした。
次に、直接描画式露光装置(オルボテック(株)製、Paragon−9000)により、ストーファー21段ステップタブレットをマスクとして、8Wで20mJ/cm2の露光量で露光した。
更に、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、アルカリ現像機(フジ機工製、ドライフィルム用現像機)を用いて30℃の1質量%Na2CO3水溶液を所定時間に亘ってスプレーし、感光性樹脂層の未露光部分を最小現像時間の2倍の時間で溶解除去した。本明細書では、未露光部分の感光性樹脂層が完全に溶解するのに要する最も少ない時間を最小現像時間とする。実際の現像時間は最小現像時間の2倍で現像し、硬化レジストパターンを得た。
現像後の残膜限界段数を以下の基準によりランク分けした:
○:最高残膜段数が5段以上;
×:最高残膜段数が5段未満。
<解像性−1>
まず、35μm圧延銅箔を積層した0.4mm厚の銅張積層板を、スプレー圧0.2MPaで研削材(日本カーリット(株)製、サクランダムR(登録商標#220))を用いてジェットスクラブ研磨した。
次に、感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、60℃に予熱した銅張積層板に、ホットロールラミネーター(旭化成(株)社製、AL−700)により、感光性樹脂積層体をロール温度105℃でラミネートした。エアー圧は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/minとした。
次に直接描画露光機(オルボテック(株)製、Paragon−9000)により、未露光部がラインとなるパターンを8Wで露光した。このときの露光は、前記のストーファー21段ステップタブレットをマスクとして露光、現像したときの最高残膜段数が7段となる露光量で露光した。その後、最小現像時間の2倍の現像時間で現像し、未露光部のラインが正常に形成されている最小マスク幅を解像度の値とし、解像性を下記のようにランク分けした。なお、硬化レジストパターンにおいて、未露光部分の基材表面に残留レジストがなく、硬化レジスト同士の密着もない、正常に形成されている最小マスク幅を評価した:
◎:直接描画露光機のスキャン平行方向と垂直方向の解像度の値が、共に16μm以下;
○:直接描画露光機のスキャン平行方向と垂直方向の解像度の値が、共に16μmを超え、18μm以下;
△:直接描画露光機のスキャン平行方向と垂直方向の解像度の値が、一方では16μmを超え18μm以下であり、もう一方では18μmを超える;
×:解像度の値が18μmを超える
−:評価不能
<現像液分散性>
感光性樹脂層0.16m2を200mLの1質量%Na2CO3水溶液に溶解させ、ミキサー装置で1分間攪拌した。その液を回収し、200mLの規格ビンに入れて3日間放置し、吸引ろ過により液中に発生する凝集物を採取した。凝集物を乾燥させた後、質量を測り、結果を以下のようにランク分けした。
○:凝集物が150mg以下;
×:凝集物が150mgを超える
<色相安定性>
感光性樹脂積層体の630nmの透過率をUV−Vis測定装置((株)日立ハイテクノロジーズ製、U−3010形分光光度計)を用いて以下のように測定した。
(I)感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がして、630nmの透過率を測定した。
(II)感光性樹脂積層体を40℃で3日間保存した後、該感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がして630nmの透過率を測定した。
色相安定性を以下の基準によりランク分けした:
○:(I)の透過率と(II)の透過率の差の絶対値が10%未満;
×:(I)の透過率と(II)の透過率の差の絶対値が10%以上
<感度−2>
まず、35μm圧延銅箔を積層した0.4mm厚の銅張積層板を、スプレー圧0.2MPaで研削材(日本カーリット(株)製、サクランダムR(登録商標#220))を用いてジェットスクラブ研磨した。
次に、感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、60℃に予熱した銅張積層板に、ホットロールラミネーター(旭化成(株)社製、AL−700)により、感光性樹脂積層体をロール温度105℃でラミネートした。エアー圧は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/minとした。
次に、直接描画露光機(日立ビアメカニクス(株)製、DE−1DH、光源:GaN青紫ダイオード、主波長405±5nm)により、ストーファー21段ステップタブレットをマスクとして、90mWで25mJ/cm2の露光量で露光した。
更に、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、アルカリ現像機(フジ機工製、ドライフィルム用現像機)を用いて30℃の1質量%Na2CO3水溶液を所定時間に亘ってスプレーし、感光性樹脂層の未露光部分を最小現像時間の2倍の時間で溶解除去して、硬化レジストパターンを得た。
現像後の残膜限界段数を以下の基準によりランク分けした:
○:最高残膜段数が4段以上;
×:最高残膜段数が4段未満。
<解像性−2>
まず、35μm圧延銅箔を積層した0.4mm厚の銅張積層板を、スプレー圧0.2MPaで研削材(日本カーリット(株)製、サクランダムR(登録商標#220))を用いてジェットスクラブ研磨した。
次に、感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、60℃に予熱した銅張積層板に、ホットロールラミネーター(旭化成(株)社製、AL−700)により、感光性樹脂積層体をロール温度105℃でラミネートした。エアー圧は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/minとした。
次に、直接描画露光機(日立ビアメカニクス(株)製、DE−1DH、光源:GaN青紫ダイオード、主波長405±5nm)により、未露光部がラインとなるパターンを90mWで露光した。このときの露光は、前記のストーファー21段ステップタブレットをマスクとして露光、現像したときの最高残膜段数が5段となる露光量で露光した。その後、最小現像時間の2倍の現像時間で現像し、未露光部のラインが正常に形成されている最小マスク幅を解像度の値とし、解像性を下記のようにランク分けした。なお、硬化レジストパターンにおいて、未露光部分の基材表面に残留レジストがなく、硬化レジスト同士の密着もない、正常に形成されている最小マスク幅を評価した:
◎:解像度の値が28μm以下;
○:解像度の値が28μmを超え、30μm以下;
×:解像度の値が30μmを超える
−:評価不能
<解像性−3>
まず、35μm圧延銅箔を積層した0.4mm厚の銅張積層板を、スプレー圧0.2MPaで研削材(日本カーリット(株)製、サクランダムR(登録商標#220))を用いてジェットスクラブ研磨した。
次に、感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、60℃に予熱した銅張積層板に、ホットロールラミネーター(旭化成(株)社製、AL−700)により、感光性樹脂積層体をロール温度105℃でラミネートした。エアー圧は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/minとした。
次に、直接描画露光機(富士フィルム(株)製、IP−3600H)により、未露光部がラインとなるパターンを露光した。このときの露光は、前記のストーファー21段ステップタブレットをマスクとして露光、現像したときの最高残膜段数が5段となる露光量で露光した。その後、最小現像時間の2倍の現像時間で現像し、未露光部のラインが正常に形成されている最小マスク幅を解像度の値とし、解像性を下記のようにランク分けした。なお、硬化レジストパターンにおいて、未露光部分の基材表面に残留レジストがなく、硬化レジスト同士の密着もない、正常に形成されている最小マスク幅を評価した:
◎:解像度の値が24μm以下;
○:解像度の値が24μmを超え、26μm以下;
×:解像度の値が26μmを超える
−:評価不能
<重量平均分子量>
日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)[ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105)による検量線使用]によりポリスチレン換算として重量平均分子量を求められる。
[実施例1〜9及び比較例1〜5]
表1及び2に示す組成(但し、各成分の数字は固形分としての配合量(質量部)を示す。)の感光性樹脂組成物及び溶媒を十分に攪拌、混合して感光性樹脂組成物調合液を得た。
実施例1〜6及び比較例1〜3については、支持体として16μm厚のポリエチレンテレフタラートフィルムを用意して、そのフィルムの表面にバーコーターを用いて感光性樹脂組成物調合液を均一に塗布し、95℃の乾燥器中で3分30秒間に亘って乾燥して感光性樹脂層を形成した。感光性樹脂層の厚みは33μmであった。次いで、感光性樹脂層のポリエチレンテレフタラートフィルムを積層していない表面上に、保護層として19μm厚のポリエチレンフィルムを貼り合わせて感光性樹脂積層体を得た。得られた感光性樹脂積層体につき、各種評価を行った。結果を表3に示す。
実施例7〜9並びに比較例4及び5については、支持体として16μm厚のポリエチレンテレフタラートフィルムを用意して、そのフィルムの表面にバーコーターを用いて感光性樹脂組成物調合液を均一に塗布し、95℃の乾燥器中で4分間に亘って乾燥して感光性樹脂層を形成した。感光性樹脂層の厚みは38μmであった。次いで、感光性樹脂層のポリエチレンテレフタラートフィルムを積層していない表面上に、保護層として19μm厚のポリエチレンフィルムを貼り合わせて感光性樹脂積層体を得た。得られた感光性樹脂積層体につき、各種評価を行った。結果を表4に示す。
表1〜4の結果から、以下の内容が読み取れる。
実施例と比較例との対比により、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いれば、感度、解像性、現像液分散性、及び色相安定性に優れた感光性樹脂積層体を得ることができる。