以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
<1.第1の実施の形態>
<1−1.システム構成>
図1は、本実施の形態に係る情報提供システム100の概要を示す図である。情報提供システム100は、車両用装置1と、携帯端末2と、センター3とを備えている。情報提供システム100は、センター3が気象情報等に基づいて判断した道路状況について、携帯端末2を介して取得して車両用装置1に表示すると共に、車両用装置1から音声で出力するシステムである。各部の詳細は後に説明する。なお、以下においては、車両の運転者を含む乗員や、車両用装置1及び携帯端末2を操作する者を「ユーザ」という場合がある。
車両用装置1は、車両内で使用され、少なくとも表示部を有する電子機器である。車両用装置1は、車両のダッシュボードの開口部に設置して使用する、いわゆる嵌め込み型の電子機器や、ダッシュボード上に設置部材を用いて設置して使用する電子機器等、車両に乗車しているユーザが、表示部に表示された画像を視認可能な電子機器であればよい。車両用装置1は、ナビゲーション画像を表示部に表示し、また、携帯端末2と通信可能に接続されており、携帯端末2から取得した画像を表示部に表示する。
携帯端末2は、ユーザが所持する可搬型の電子機器であり、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等である。携帯端末2は、車両用装置1及びセンター3と通信可能に構成されており、車両用装置1及びセンター3と各種情報を送受信する。例えば、携帯端末2は、センター3に対して車両の位置情報を送信し、センター3から走行注意情報を受信する。走行注意情報とは、気象状況に起因して、車両の走行が困難又は注意すべき状況になっている道路又は領域に関する情報である。例えば、走行注意情報には、著しい気象現象によって発生する道路の冠水ポイントや、土砂災害又は津波等の危険領域に関する情報が含まれる。なお、著しい気象現象とは、異常気象や、異常気象以外の集中豪雨等の地象及び水象等である。
また、携帯端末2は、車両用装置1から車両の位置情報を受信し、走行注意情報に基づいて車両用装置1で表示するための画像(以下「走行注意画像」という)の情報を生成し、車両用装置1に対して送信する。なお、走行注意情報及び走行注意画像の詳細は後述する。
携帯端末2には、走行注意情報の取得や、走行注意画像を作成するための情報(以下「画像情報」という)の作成等を実行するためのアプリケーション(以下「アプリ」という)が格納されている。ユーザが、携帯端末2に格納されたアプリを操作して実行することにより、携帯端末2は、センター3との間で車両の位置情報や走行注意情報の送受信、及び受信した走行注意情報に基づいた画像情報の作成処理を実行する。
センター3は、携帯端末2と通信可能に接続されており、気象情報や走行注意情報を携帯端末2に送信するサーバとしての機能を有している。また、センター3は、他のサーバとも通信可能に接続されており、この他のサーバから気象情報を取得し、その取得した気象情報に基づいて走行注意情報を生成する制御も行っている。
このように、本実施の形態に係る情報提供システム100は、車両の現在位置周辺の気象情報及び道路状況の情報をセンター3から取得し、車両用装置1を用いてユーザに報知することにより、災害時等においてユーザが適切な経路を選択することを可能にするシステムである。以下、情報提供システム100の構成及び処理について説明する。
<1−2.車両用装置の構成>
まず、車両用装置1の構成について説明する。図2は、車両用装置1の概要を示すブロック図である。図2に示すように、車両用装置1は、制御部11と、記憶部12と、位置情報取得部13と、通信部14と、表示部15と、音声出力部16と、操作部17とを備えている。
制御部11は、ナビゲーション部11aと、表示制御部11bと、音声制御部11cと、操作判定部11dとを備えており、また、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部11は、車両用装置1が備える記憶部12や通信部14等と接続され、記憶部12に記憶されたプログラム12aに基づいて情報の送受信を行い、車両用装置1の全体を制御する。記憶部12に記憶されたプログラム12aにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、ナビゲーション部11aや表示制御部11b等を含めた制御部11の各種機能が実現される。
ナビゲーション部11aは、車両の現在位置から目的地までの経路を探索して誘導を行う。ナビゲーション部11aは、位置情報取得部13が取得した現在の位置情報と、記憶部12に記憶されている地図情報12cとを取得する。そして、ナビゲーション部11aは、これら位置情報及び地図情報に基づいて車両の現在位置を周辺地図に表示したナビゲーション画像を作成する。また、目的地が設定されている場合には、ナビゲーション部11aは目的地までの経路を探索し、前記ナビゲーション画像に目的地までの経路を強調表示したナビゲーション画像を作成する。
なお、ナビゲーション部11aは、所定のタイミング(例えば、30フレーム/秒)でナビゲーション画像を作成している。すなわち、ナビゲーション部11aは、ナビゲーション画像を作成するタイミング毎に現在の位置情報と、その位置情報に応じた地図情報とを取得してナビゲーション画像を作成する。
表示制御部11bは、ナビゲーション部11aで生成されたナビゲーション画像を、車両用装置1の表示部15に表示させる制御を行う。また、携帯端末2から画像情報を取得している場合には、表示制御部11bは、走行注意画像を作成し、ナビゲーション画像に重畳して表示させる制御を行う。なお、走行注意画像は、車両のユーザに対して、走行が困難又は注意すべき情報にある場合に、注意喚起を促すための画像である。
音声制御部11cは、携帯端末2から取得した出力音声情報に基づいて、出力用の音声(以下「出力音声」という)を作成し、この出力音声を音声出力部16から出力させる制御を行う。音声制御部11cは、取得した音声情報に所定の処理を施して出力音声を作成する。所定の処理とは、例えば取得した出力音声情報が符号化されたデータである場合に、その出力音声情報を復号する処理等である。なお、出力音声情報とは、携帯端末2から送信された情報であり、走行注意情報や気象情報の内容を示す音声情報である。
操作判定部11dは、ユーザが車両用装置1の操作部17を操作することによって、ナビゲーションの各種操作や表示設定等の操作があった場合に、その操作内容を判定する。ナビゲーションの各種操作とは、例えば目的地設定や経路の選択等の操作であり、表示設定の操作とは、例えば走行注意画像の表示又は非表示の設定、音声の出力又は停止等の操作である。
記憶部12は、プログラム12a、位置情報12b、及び地図情報12cを記憶している。本実施の形態における記憶部12は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されていてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリである。記憶部12としては、例えば、EEPROM(Electrical Erasable Programmable Read-Only memory)やフラッシュメモリを用いることができる。ただし、他の記憶媒体を用いてもよく、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。
プログラム12aは、制御部11により読み出され、制御部11が車両用装置1を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。位置情報12bは、位置情報取得部13にて取得した車両の位置を示す情報である。また、地図情報12cは、全国又は一定の広域の道路情報及び交通情報である。ナビゲーション画像には地図情報12cの一部を利用した地図画像が用いられる。
位置情報取得部13は、車両用装置1の現在位置を示す情報としての位置情報を取得する。位置情報取得部13としては、例えば、GPS(Global positioning system:全地球測位システム)を用いることができる。また、位置情報は、緯度情報及び経度情報を含む情報である。なお、位置情報取得部13は車両用装置1に備えられているため、位置情報取得部13が取得する位置情報は車両用装置1の位置を示す情報となるが、車両用装置1は車両に搭載されていることから、位置情報取得部13が取得した位置情報が車両の位置を示す情報となる。
通信部14は、携帯端末2と通信可能に接続され、携帯端末2との間で情報の送受信を行う。通信部14は、位置情報取得部13で取得した車両の位置情報を携帯端末2に対して送信し、携帯端末2から画像情報や出力音声情報を受信する。なお、車両用装置1と携帯端末2との通信は、ケーブルを直接接続した有線による通信でもよく、無線通信でもよい。無線通信の場合における通信方法は特に限定されるものではないが、例えばブルートゥース(Bluetooth;登録商標)や、Wi−Fi(ワイファイ:登録商標)、ZigBee(ジグビー:登録商標)等の無線通信規格を用いることができる。
表示部15は、ナビゲーション画像や、走行注意画像等を表示する表示装置であり、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。
音声出力部16は、出力音声を出力するものであり、例えばスピーカ等である。なお、音声出力部16は、車両用装置1の外部に設けられていてもよい。
操作部17は、機械式のボタンやタッチパネルを備えた情報の入力装置である。ユーザは、操作部17を操作することによって、ナビゲーションに関する各種操作や、表示設定等の操作を行うことができる。なお、操作部17は、表示部15と一体として構成してもよい。
<1−3.携帯端末の構成>
次に、携帯端末2の構成について説明する。図3は、携帯端末2の概要を示すブロック図である。図3に示すように、携帯端末2は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、表示部24と、操作部25とを備えている。
制御部21は、操作判定部21aと、情報判定部21bと、優先度判定部21cと、画像作成部21dと、音声作成部21eとを備えており、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部21は、携帯端末2が備える記憶部22や通信部23等と接続され、記憶部22に記憶されたプログラム22aに基づいて情報の送受信を行い、携帯端末2の全体を制御する。記憶部22に記憶されたプログラム22aにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、画像作成部21dや音声作成部21e等の制御部21の機能が実現される。
操作判定部21aは、ユーザが携帯端末2の操作部25を操作した際の、操作内容を判定する。操作判定部21aは、例えば、ユーザがアプリを起動させる操作を行った場合や、アプリ内の各種設定や携帯端末2の各種設定等の操作を行った場合には、各々の操作内容を判定する。
情報判定部21bは、センター3からの情報の受信の有無と、受信した情報の内容を判定する。携帯端末2は、センター3から種々の情報を受信する構成であり、情報の受信があったか否かを定期的に監視している。そして、情報の受信があった場合には、情報判定部21bがどのような情報を受信したかを判定する。
例えば、情報判定部21bは、センター3から受信した情報に走行注意情報が含まれているか否かを判定する。センターから受信する情報には走行注意情報の有無を示すステータス情報が含まれており、情報判定部21bは、このステータス情報に基づいて走行注意情報の有無を判定する。なお、走行注意情報には、車両用装置1で出力する走行注意画像及び出力音声を作成するための各種情報が含まれており、これら各種情報は後述する画像作成及び音声作成の処理に用いられる。走行注意情報に含まれる各種情報とは、例えば、表示画面や文字、出力音声の種類及びその内容等に関する情報である。なお、センター3から受信した情報に走行注意情報が含まれていない場合には、制御部21は受信した情報を破棄する。
また、センター3から受信した情報には、センター3の処理が正常であったか異常であったかを示す情報(以下「処理情報」という)や、情報の内容に応じて付与された優先度を示すフラグ(以下「優先度フラグ」という)が含まれている。情報判定部21bは、このような情報を受信した場合にも、その内容を判定する。
優先度判定部21cは、受信した情報を出力する際の優先度を判定する。センター3から受信した情報が複数ある場合に、複数の情報を同時に出力することはできないため、いずれの情報の出力を優先するかを決めるための処理である。上述のようにセンター3から受信する情報には優先度フラグが含まれており、優先度判定部21cは、この優先度フラグに基づいて当該情報の優先度を判定する。また、優先度判定部21cは、優先度に応じた情報の出力制御を行う。
画像作成部21dは、センター3から取得した走行注意情報に基づいて、ナビゲーション画像に重畳して表示する走行注意画像を作成するための画像情報を作成する。画像作成部21dは、走行注意情報に含まれる表示画像や表示文字等の各種情報に対応付けられたデータをアプリのDBから抽出し、抽出したデータに基づいて画像情報を作成する。
音声作成部21eは、センター3から取得した走行注意情報に基づいて、車両用装置1から出力する音声を作成するための出力音声情報を作成する。この出力音声情報を基に作成された出力音声は、走行注意画像をナビゲーション画像に重畳表示する際に、同時に車両用装置1から出力される。音声作成部21eは、走行注意情報に含まれる音声情報に対応付けられたデータをアプリのDBから抽出して、抽出したデータに基づいて出力音声情報を作成する。
記憶部22は、プログラム22a、アプリ22b、位置情報22cを記憶している。本実施の形態における記憶部22は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリを用いることができる。記憶部22としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリを用いることができる。ただし、他の記憶媒体を用いてもよく、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。
プログラム22aは、制御部21により読み出され、制御部21が携帯端末2を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。位置情報22cは、車両の存在位置を示す情報であり、車両用装置1から取得する。
アプリ22bは、気象情報や走行注意情報の取得、画像情報や出力音声情報の作成処理を実行するためのアプリケーションである。アプリ22bには、これら取得処理や作成処理を実行するプログラムが格納されており、制御部21の指示によりこのプログラム22aが実行される。また、アプリ22bはDB22dを有しており、このDB22dには画像情報や出力音声情報の作成処理の際に使用する画像データや文字データ、音声データ等が格納されている。画像データ及び文字データとは、例えば、走行の注意を促す画像及び文字であり、事象に応じて複数種類記憶されている。また、音声データとは、例えば、走行の注意を促す音声であり、表示する画像及び文字に対応している。さらに、アプリには、ユーザID22eが格納されている。ユーザID22eは、アプリ毎に付与されたユーザを特定するための固有の情報である。これら各データについては後述する。
通信部23は、車両用装置1及びセンター3と通信可能に接続され、車両用装置1及びセンター3との間で情報の送受信を行う。通信部23は、例えば、車両用装置1に対して、作成した画像情報を送信し、車両用装置1から車両の位置情報を受信する。また、通信部23は、例えば、センター3に対して車両の位置情報を送信し、センター3から走行注意情報を受信する。なお、携帯端末2と車両用装置1との通信は、ケーブルを直接接続した有線による通信でもよく、無線通信でもよい。無線通信の場合には、上述した無線通信規格を用いることができる。また、携帯端末2とセンター3との通信は、インターネット通信が可能な方法であればよく、例えば、いわゆる携帯電話網を利用した通信や、無線LANを利用して通信を行うことができる。
表示部24は、アプリ22bの操作画面等を表示する表示装置であり、例えば液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等である。
操作部25は、機械式のボタンやタッチパネルを備えた情報の入力装置である。ユーザは、操作部25を操作することによって、アプリ22bに関する各種操作や設定等の操作を行うことができる。なお、操作部25は、表示部24と一体として構成されていてもよい。
<1−4.センターの構成>
次に、センター3の構成について説明する。図4は、センター3の概要を示すブロック図である。図4に示すように、センター3は、制御部31と、記憶部32と、通信部33とを備えている。
制御部31は、情報判定部31aと、判断部31bと、認証部31cと、データ作成部31dとを備えており、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部31は、センター3が備える記憶部32や通信部33と接続され、記憶部32に記憶されたプログラム32aに基づいて情報の送受信を行い、センター3の全体を制御する。記憶部32に記憶されたプログラム32aにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、判断部31bや認証部31c等の制御部31の機能が実現される。
情報判定部31aは、携帯端末2からの情報の受信の有無と、受信した情報の内容を判定する。センター3は、携帯端末2から種々の情報を受信する構成であり、情報の受信があったか否かを定期的に監視している。そして、情報の受信があった場合には、情報判定部31aがどのような情報を受信したかを判定する。例えば、情報判定部31aは、携帯端末2から受信した情報に現在地情報が含まれているか否かを判定する。
判断部31bは、気象状況に起因して車両の走行が困難な状況になっている道路又は領域、若しくは、注意すべき状況にある道路又は領域(以下「走行注意領域」という)があるか否かを判断する。判断部31bは、記憶部32に記憶された位置情報32dと地図情報32cとから車両の現在位置とその周辺の道路状況を取得する。また、判断部31bは、車両の現在位置とその周辺の気象情報32bを記憶部32から取得する。そして、判断部31bは、これら各情報に基づいて、走行注意領域があるか否かを判断する。
認証部31cは、携帯端末2の認証を行う。携帯端末2に格納されているアプリ22bにはアプリ毎に異なる個別のユーザIDが付与されており、携帯端末2から取得したユーザID22eに基づいてユーザの認証を行う。これにより、アプリ22bを使用しているユーザの識別を行うことが可能になる。
データ作成部31dは、判断部31bにより走行注意領域があると判断された場合に、携帯端末2に送信する走行注意情報を作成する。この走行注意情報は、上述した、画像情報及び出力音声情報を作成するための各種情報を含んでいる。すなわち、データ作成部31dは、走行注意領域及びその具体的な状況に基づいて、ユーザに報知すべき表示画像及び出力音声を決定する。そして、データ作成部31dは、決定した表示画像及び出力音声に対応する各種情報を用いて走行注意情報を作成する。
また、データ作成部31dは、走行注意情報を作成する際に、その内容に応じた優先度を判定して優先度フラグを付与する。さらに、データ作成部31dは、走行注意領域がある場合とない場合とを含めて上述したステータス情報も作成する。また、制御部31は、一連の処理が正常に終了したか異常終了したかを監視しており、データ作成部31dは、その監視結果に基づいて上述の処理情報を作成する。
記憶部32は、プログラム32aと、気象情報32bと、地図情報32cと、位置情報32dと、ユーザID32eとを記憶している。本実施の形態における記憶部32は、上述と同様に不揮発性の半導体メモリを用いることができるが、ハードディスクドライブで構成することもできる。
プログラム32aは、制御部31により読み出され、制御部31がセンター3を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。気象情報32bは、複数地点における現在の気象情報及び将来の気象予測情報である。センター3は、通信部33を介して外部のサーバと接続されており、外部の気象情報を配信するサーバ等から気象情報32bを取得している。地図情報32cは、全国又は一定の広域の地図及び道路情報である。位置情報32dは、車両の位置を示す情報であり、携帯端末2を介して車両用装置1から取得する。また、ユーザID32eは、携帯端末2から取得したユーザIDであり、携帯端末2から情報を受信した際や、走行注意情報の作成及び送信する際に、ユーザを識別するために用いられる。
通信部33は、携帯端末2と通信可能に接続され、携帯端末2との間で情報の送受信を行う。通信部33は、例えば、走行注意情報を携帯端末2に送信し、携帯端末2から車両の位置情報を受信する。なお、センター3と携帯端末2との通信は、上述のように、インターネット通信が可能な方法であればよく、例えば、携帯電話網や無線LANを利用して通信を行うことができる。
また、センター3は気象情報を発信する外部サーバだけでなく、施設情報やグルメ情報といった気象情報とは異なるサービスを発信する外部サーバと接続されていてもよい。この場合、制御部31は、通信部33を介して外部サーバから施設情報やグルメ情報等の各種情報を受信して、携帯端末2のユーザに適した情報を送信する。
<1−5.車両用装置の処理>
次に、車両用装置1の処理について説明する。図5は、車両用装置1の処理を示すフローチャートである。
車両用装置1の処理は、車両用装置1の起動により開始する。車両用装置1が起動すると、位置情報取得部13が現在地の位置情報(以下「現在地情報」という)を取得する(ステップS501)。その後、位置情報取得部13は、定期的に現在地情報を取得する。取得するタイミングは、特に限定されるものではなく、適宜設定すればよい。例えば、本実施の形態では1秒毎としている。
そして、制御部11は、取得した現在地情報を位置情報12bとして記憶部12に記憶する。取得した現在地情報には、緯度情報及び経度情報が含まれている。また、制御部11は、通信部14を介して現在地情報を携帯端末2に送信する(ステップS502)。なお、車両用装置1から携帯端末2に対して現在地情報を送信するタイミングは、特に限定されるものではなく、適宜設定すればよい。例えば、本実施の形態では、位置情報取得部13が現在地情報を取得した直後としている。
次に、制御部11は、取得した現在地情報に対応する地図を記憶部12に記憶されている地図情報12cから取得する(ステップS503)。現在地情報に対応する地図とは、現在地及びその周囲の地図のことであり、具体的には、現在地を基点にして一定の範囲を含む地図である。一定の範囲とは、例えば、地図を表示部15に表示する際に表示される範囲である。そして、ナビゲーション部11aが、取得した現在地情報及び対応する地図に基づいてナビゲーション画像を作成する(ステップS504)。
次に、制御部11は、携帯端末2から画像情報や出力音声情報を受信したか否かを判断する(ステップS505)。具体的には、制御部11は、携帯端末2からの情報の受信の有無を定期的に監視しており、携帯端末2から情報を受信した際には、その情報に画像情報や出力音声情報が含まれているか否かを判断する。なお、携帯端末2から受信した情報には、画像情報と出力音声情報との双方が含まれている場合や、いずれか一方のみが含まれている場合、いずれも含まれておらず他の情報が含まれている場合がある。したがって、制御部11は、受信したデータが何であるかを判断している。
携帯端末2から受信した情報に画像情報及び出力音声情報のいずれもが含まれていない場合には(ステップS505でNo)、制御部11は、表示部15にナビゲーション画像を表示する処理を行う(ステップS508)。すなわち、表示制御部11bが、ナビゲーション部11aで作成したナビゲーション画像を表示部15に表示する制御を行う。この場合、走行注意画像が重畳された画像は表示されず、ナビゲーション画像のみが表示されることになる。なお、ナビゲーション部11aは所定の周期でナビゲーション画像を作成しており、ナビゲーション画像の表示もこれに同期して行われる。
ここで、表示部15にナビゲーション画像のみが表示された例を説明する。図6は、表示部15にナビゲーション画像のみが表示された例を示す図である。図6に示すように、表示部15に表示されたナビゲーション画像は、現在地周辺の地図に車両の位置を示す表示が重畳表示されている画像である。なお、目的地が設定されている場合には、ナビゲーション画像は、地図画像に目的地までの経路を強調表示した画像となる。
図5に戻り、携帯端末2から受信した情報に画像情報及び出力音声情報が含まれている場合には(ステップS505でYes)、表示制御部11bは、ナビゲーション画像に走行注意画像が重畳された重畳画像を作成する(ステップS506)。すなわち、表示制御部11bは、携帯端末2から取得した画像情報に基づいて走行注意画像を作成し、この走行注意画像とナビゲーション画像とに基づいて重畳画像を作成する。なお、携帯端末2から受信した情報に出力音声情報のみが含まれている場合には、本ステップ506の処理は省略される。
ここで、走行注意画像及び重畳画像の例について説明する。図7は、走行注意画像の例を示す図であり、図8は、重畳画像の例を示す図である。図7は、大雨により道路が冠水した場合又は冠水するおそれがある場合の走行注意画像である。すなわち、携帯端末2から受信した画像情報に基づいて図7に示す走行注意画像を作成した場合には、表示制御部は、この走行注意画像をナビゲーション画像に重畳表示させて図8に示す重畳画像を作成する。図7及び図8では、大雨による道路冠水を注意喚起する画像を例に説明したが、走行注意画像はこれに限らず、例えば、暴風、大雪、津波等に対して注意喚起する画像などが用いられる。
再び図5に戻り、次に、音声制御部11cは、重畳画像を表示する際に出力する出力音声を作成する(ステップS507)。具体的には、音声制御部11cは、受信した走行注意情報に含まれる出力音声情報に所定の処理を施して出力音声を作成する。所定の処理とは、上述のように、例えば、取得した出力音声情報が符号化された情報である場合には、その出力音声情報を復号する等の処理である。また、携帯端末2から受信した情報に画像情報のみが含まれている場合には、本ステップ507の処理は省略される。
その後、表示制御部11bは、作成した重畳画像を表示部15に表示すると共に、音声制御部11cは、出力音声を音声出力部16から出力して(ステップS508)、処理を終了する。なお、出力音声は、重畳画像の表示と共に自動的に出力する構成としてもよく、ユーザが走行注意画像の「読上げ」ボタンを押下した際に出力する構成としてもよい。また、表示部15に表示された重畳画像は、所定時間表示した後に自動的に消去する構成としてもよく、ユーザが「完了」ボタンを押下した際に消去する構成としてもよい。
また、携帯端末2から受信した情報が画像情報のみである場合には、ステップS508においては重畳画像の表示のみを行い音声出力は行わない。さらに、携帯端末2から受信した情報が出力音声情報のみである場合には、同様に音声出力のみ行い重畳画像の表示は行わない。この場合、表示部15にはナビゲーション画像のみが表示される。なお、ステップS501〜ステップS508までの処理は所定の間隔で定期的に実行される。
<1−6.携帯端末の処理>
次に、携帯端末2の処理について説明する。図9及び図10は、携帯端末2の処理を示すフローチャートである。
携帯端末2の処理は、記憶部22に格納されているアプリ22bを起動することにより開始する。制御部21は、アプリ22bが起動すると、車両用装置1から現在地情報を取得したか否かを監視する(ステップS901)。この監視は、通信部23を介して受信した情報に位置情報(緯度情報及び経度情報)が含まれているか否かを監視することにより行われる。制御部31は、現在地情報を取得していないと判断した場合には(ステップS901でNo)、所定の時間経過後に再度現在地情報の取得の有無を判断する。一方、制御部21は、現在地情報を取得していると判断した場合には(ステップS901でYes)、取得した現在地情報を記憶部22に記憶する(ステップS902)。
そして、制御部21は、取得した現在地情報に基づいて車両が5km走行したか否かを判断する(ステップS903)。携帯端末2は、車両が所定距離を走行する毎にセンター3に対して現在地情報を送信するようになっている。このため、制御部21は、車両用装置1から現在地情報を取得すると、前回センター3に送信した位置情報と比較して所定距離以上離れているか否かを判断し、離れていると判断した場合に、取得した最新の現在地情報をセンター3に送信する。本実施の形態では、この所定距離を直線距離で5kmとしている。このため、制御部21は、現在地情報を取得すると車両が5km走行したか否かを判断している。なお、所定距離は5kmに限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
具体的には、制御部21は、車両用装置1から現在地情報を取得すると、前回センター3に送信した位置情報を記憶部22から取得し、これら各位置情報を比較する。そして、各位置情報の位置から直線距離を算出し、算出した距離が5km以上離れているか否かを判断する。制御部21は、5km以上離れていないと判断した場合には(ステップS903でNo)、何も処理は行わずに、再度現在地情報の取得の有無の判断処理を実行する(ステップS901)。一方、制御部21は、5km以上離れていると判断した場合には(ステップS903でYes)、取得した現在地情報をセンター3に送信する(ステップS904)。
なお、本実施の形態では、携帯端末2は、センター3に現在地情報を送信すると、その位置に関する気象情報や走行注意情報等の情報をセンター3から取得する構成となっている。そのため、情報判定部21bは、センター3から情報を取得しているか否かを判断する(ステップS905)。情報判定部21bは、センター3から情報を取得していないと判断した場合には(ステップS905でNo)、所定時間経過後に再度センター3からの情報取得の有無を判断する。一方、情報判定部21bは、センター3から情報を取得していると判断した場合には(ステップS905でYes)、次の処理に進む(図9のA)。
次に、情報判定部21bは、センター3の処理が正常終了したか又は異常終了したかを判断する(ステップS1001)。センター3から送信される情報には、センターの処理の正常又は異常を示す処理情報が含まれており、情報判定部21bは、この情報に基づいて正常又は異常を判断する。処理情報が、異常終了である旨の情報(異常情報)である場合には(ステップS1001でNo)、センター3側で何らかのトラブルがあったとして、制御部21は、センター3から受信した情報には何の処理も行わずに終了する。
一方、処理情報が正常終了である旨の情報である場合には(ステップS1001でYes)、情報判定部21bは、センター3から受信した情報に走行注意情報が含まれているか否かを判断する(ステップS1002)。センター3から受信した情報には、走行注意情報の有無を示すステータス情報が含まれており、情報判定部21bは、このステータス情報に基づいて走行注意情報の有無を判断する。
センター3から受信した情報に走行注意情報が含まれていない場合には(ステップS1002でNo)、ユーザに報知すべき走行に関する緊急情報はないとして処理を終了する。一方、走行注意情報が含まれている場合には(ステップS1002でYes)、情報判定部21bは、車両に送信すべき他の送信情報があるか否かを判断する(ステップS1003)。
携帯端末2がセンター3から受信する情報には、走行注意情報の他に施設等の情報もあり、携帯端末2はそのような情報も車両用装置1に表示用の情報として送信する場合がある。他の送信情報とは、走行注意情報以外に車両用装置1で表示するための情報である。携帯端末2から車両用装置1に送信する情報の種類が複数ある場合には、これらの情報を送信するタイミングが重なる場合がある。このように送信する情報が競合する場合に、いずれの情報を送信するか等を決める必要があるため、他の送信情報の有無を判断している。
他の送信情報がない場合には(ステップS1003でNo)、競合する送信情報はないため走行注意情報を車両用装置1に送信するための処理に進む(ステップS1005以降)。一方、他の送信情報がある場合には(ステップS1003でYes)、競合する送信情報の優先度を比較する(ステップS1004)。そして、比較結果に応じて、車両用装置1に送信する情報についての送信処理を実行する(ステップS1005以降)。
ここで、優先度の比較処理について図11を用いて具体的に説明する。センター3から受信した種々の情報にはその内容に応じて決められた優先度を示す優先度フラグが付与されている。図11は、2種類の情報を受信した場合における優先度毎の処理内容を示す図である。図11において、情報1は先に受信した情報のことであり、情報2は後に受信した情報のことである。また、フラグ1〜3は、優先度を3段階表示した優先度フラグのことであり、フラグ3が最も優先度が高く、フラグ1が最も優先度が低い。
まず、先に受信した情報(情報1)のフラグが1の場合について説明する。後に受信した情報(情報2)のフラグが1の場合には、優先度が同じであるため先に受信した情報1を優先して送信処理を実行する(先勝ち)。この場合、情報2は破棄する。情報2のフラグが2の場合には、情報2の優先度の方が高いものの、最優先の情報ではないため、情報1の送信処理を実行した後に(先勝ち)、情報2の送信処理を実行する(後付け)。情報2のフラグが3の場合には、情報2が最優先の情報であるため、情報1の送信処理を実行しない、又は、実行中の場合には停止して、情報2の送信処理を実行する(後勝ち)。
次に、情報1のフラグが2の場合について説明する。情報2のフラグが1の場合には、情報2の優先度が低いため、情報1の送信処理を実行し(先勝ち)、情報2は破棄する。情報2のフラグが2の場合には、優先度が同じであり、共に中程度の優先度であるため、情報1の送信処理を実行した後に(先勝ち)、情報2の送信処理を実行する(後付け)。情報2のフラグが3の場合には、情報2が最優先の情報であるため、情報1の送信処理を実行しない、又は、実行中の場合には停止して、情報2の送信処理を実行する(後勝ち)。
次に、情報1のフラグが3の場合について説明する。情報2のフラグが1の場合には、情報2の優先度が低いため、情報1の送信処理を実行し(先勝ち)、情報2は破棄する。情報2のフラグが2の場合には、情報2は情報1よりも優先度は低いものの、中程度の優先度であるため、情報1の送信処理を実行した後に(先勝ち)、情報2の送信処理を実行する(後付け)。情報2のフラグが3の場合には、共に最優先の情報であるため、情報1の送信処理を実行した後に(先勝ち)、情報2の送信処理を実行する(後付け)。
図10に戻り説明する。次に、優先度の比較結果に応じて、車両用装置1に送信することになった情報の作成処理を実行する(ステップS1005)。具体的には、画像作成部21d及び音声作成部21eが、センター3から受信した走行注意情報に基づいて画像情報及び出力音声情報を作成する。走行注意情報には、表示用の画像情報や文字情報に対応するIDが含まれており、画像作成部21dは、記憶部22のDB22dからIDに対応する画像データや文字データ等を抽出して、これら各データに基づいて画像情報を作成する。また、走行注意情報には、出力用の音声に対応するIDが含まれており、音声作成部21eは、記憶部22のDB22dからIDに対応する音声データを抽出して、出力音声情報を作成する。
ここで、画像情報の作成について具体的に説明する。図12(a)は、画像情報を作成するためにDB22dに記憶されている画像データの例を示す図である。図12(a)の例では、大雨により道路が冠水する旨を注意喚起する例を示している。DB22dには、表示画像としてのアイコンと、アイコンを特定するためのアイコンIDが対応付けられている。
すなわち、センター3から受信した走行注意情報には、アイコンIDが含まれており、画像作成部21dは、このアイコンIDに基づいてアイコンを抽出する。例えば、道路冠水注意の大雨の場合には、走行注意情報にアイコンIDとして「A001」が含まれている。そこで、画像作成部21dは、A001に対応するアイコンを抽出する。
また、図示しないが、表示する文字や、使用するテンプレート、画像及び文字の配置等についても同様にIDと各データが対応付けて記憶されている。画像作成部21dは、これら文字等についても走行注意情報に含まれるIDに基づいて文字等を抽出する。そして、画像作成部21dは、抽出した各データを用いて画像情報を作成する。
また、図12(b)は、出力音声情報を作成するためにDB22dに記憶されている音声ガイドの例を示す図である。図12(b)の例では、大雨により道路が冠水する旨を注意喚起する2つの例と、強雨、強風の例を示している。図12(b)に示すように、各々の状況に応じて出力する音声ガイドが対応付けられている。
センター3から受信した走行注意情報には、音声IDが含まれており、音声作成部21eは、この音声IDに基づいて音声ガイドを抽出する。例えば、道路冠水注意の大雨の場合にはその状況に応じて「10000001」又は「10000002」が含まれている。音声作成部21eは、音声IDとして「10000001」を受信した場合には、それに対応する音声ガイドを抽出して出力音声情報を作成する。
図10に戻り、その後、携帯端末2は、作成した画像情報及び出力音声情報を車両用装置1に送信して(ステップS1006)、処理を終了する。なお、走行注意情報に画像情報及び出力音声情報のいずれか一方のみが含まれている場合には、画像作成部21d又は音声作成部21eが、対応する画像情報又は出力音声情報のみを作成することになる。
<1−7.センターの処理>
次に、センター3の処理について説明する。図13は、センター3の処理を示すフローチャートである。
センター3は、システムの起動により処理を開始する。センター3は起動すると、情報判定部31aが、携帯端末2から何らかの情報を取得しているか否かを定期的に監視しており、情報を受信した際には、その情報の内容を判断する。例えば、情報判定部31aは、携帯端末2から現在地情報を取得したか否かを判断する(ステップS1301)。
情報判定部31aは、現在地情報を取得していないと判断した場合には(ステップS1301でNo)、再度取得の監視を行う。一方、情報判定部31aが現在地情報を取得したと判断した場合には(ステップS1301でYes)、同時に取得したユーザIDと対応付けて現在地情報を記憶部32に記憶し、走行注意領域の有無判断処理を行う(ステップS1302)。
具体的には、まず、判断部31bは、記憶部32から現在地及びその周辺の気象情報と地図情報とを取得する。そして、判断部31bは、これら各情報に基づいて、車両の走行が困難な道路又は注意すべき道路が存在するか否かを判断する。そのような道路が存在する場合には、走行注意領域が有ると判断され、存在しない場合には走行注意領域は無いと判断される。なお、判断部31bは、現在地から所定距離以内に走行注意領域があるか否かを判断する。所定距離以内の範囲とは、特に限定されるものではないが、例えば、車両用装置1の表示部15に表示する地図領域とすることができる。また、目的地が設定され経路案内を行っている場合には、進行方向の経路に沿った領域としてもよい。
走行注意領域が有ると判断された場合には(ステップS1302でYes)、データ作成部31dが、走行注意情報を作成する(ステップS1303)。データ作成部31dは、上述のように、ユーザに報知すべき表示画像及び音声に対応するIDを用いて走行注意情報を作成する。すなわち、データ作成部31dは、判断された走行注意領域の状況に応じて、表示画像用のアイコンや出力用の音声ガイドを選択し、それらに対応するIDを用いて走行注意情報を作成する。例えば、道路冠水注意の大雨の場合には、「A001」と「10000001又は10000002」とを用いることになる。また、データ作成部31dは、走行注意情報に優先度フラグを付与し、走行注意情報が有る旨のステータス情報も作成する。
一方、走行注意領域が無いと判断された場合には(ステップS1302でNo)、データ作成部31dは、走行注意領域が存在しない旨のステータス情報(以下「無し情報」という)を作成する(ステップS1304)。この場合、走行注意情報は作成されない。
次に、制御部31は、一連の処理が正常に終了したか否かを判断する(ステップS1305)。センター3が何らかの原因で異常な処理をした場合に、その結果を携帯端末2及び車両用装置1に報知することを回避するためである。したがって、処理が異常終了したと判断された場合には(ステップS1305でNo)、データ作成部31dは、処理が異常であった旨の情報(異常情報)を作成して、この異常情報を携帯端末2に送信し(ステップS1306)、処理を終了する。この場合、走行注意情報又は無し情報は送信されない。
一方、処理が正常終了したと判断された場合には(ステップS1305でYes)、データ作成部31dは、処理が正常であった旨の情報(正常情報)を作成する。そして、制御部31は、正常情報と共に、走行注意情報又は無し情報とステータス情報とを携帯端末2に送信し(ステップS1307)、処理を終了する。なお、制御部31は、現在地情報を取得した際に同時に取得したユーザIDに対応付けられた携帯端末2に対して上記各情報を送信する。
なお、車両用装置1が走行注意情報のみならず他の情報(例えば、施設情報等)も表示する構成となっている場合には、図13のフローチャートには図示していないが、センター3は、外部のサーバから他の情報を取得し、この他の情報に優先度フラグを付与した状態で携帯端末2に送信するようになっている。
また、本実施の形態では、センター3が現在地情報を取得する毎に、走行注意情報の送信処理を実行しているが、走行注意情報が前回送信した内容と同じである場合には、送信しない構成としてもよい。これにより、状況に変化がない場合に、繰り返して同じ内容を報知することを回避できる。
また、本実施の形態では、走行注意画像を表示する構成としているが、実際に車両が走行注意領域に入った際に、その旨を表示又は音声でユーザに報知してもよい。また、走行注意領域を走行中に、所定時間毎に注意を喚起するコメントを表示又は音声でユーザに報知してもよい。また、走行注意領域は、地図情報及び道路情報に基づいて正確な道路の領域として定めてもよいが、地図をメッシュ状に分けて走行が困難又は注意すべき道路が存在するメッシュの領域を走行注意領域としてもよい。
このように、本実施の形態では、センター3が、車両の現在地情報と気象情報とに基づいて車両の走行が困難な道路や注意を要する道路の有無を判断し、携帯端末2を介して車両用装置1に表示させることにより、ユーザは、車両の走行中に急に危険な状況が発生した場合であっても事前に把握することが可能になる。
なお、本実施の形態では、携帯端末2に格納されたアプリ22bを用いて実行する場合について説明したが、車両用装置1が同様のアプリを有している場合には、携帯端末2を用いることなく、車両用装置1がセンター3と直接通信することで同様の処理を実行することができる。また、ユーザが車両内に持ち込む携帯型の端末が、上述した車両用装置1と携帯端末2との双方の機能を有している場合には、ユーザがその携帯端末を持ち込んで上述した車両用装置1と携帯端末2との両方の機能を実現することで、車両用装置1を用いることなく携帯端末のみで同様の処理を実行することができる。すなわち、本実施の形態は、車両用装置1と携帯端末2とによって実現することができ、車両用装置1のみで実現することもでき、携帯端末2のみで実現することもできる。
<1−8.システムのシーケンス>
次に、上記で説明した各構成の処理の流れの概略をシステム全体の動作順序に沿って説明する。図14は、情報提供システム100のシーケンスを示す図である。
まず、車両用装置1が、1秒間隔で現在地情報を取得し、携帯端末2に送信する。これは、ステップS501〜ステップS502に相当する処理である。そして、携帯端末2は、受信した現在地情報を記憶し、5km間隔でセンター3に現在地情報を送信する。これは、ステップS901〜ステップS904に相当する処理である。
その後、センター3の処理が正常に終了した場合は、センター3が、走行注意情報の有無を判断し、有る場合には、走行注意情報等の所定の情報を携帯端末2に送信する。一方、センター3の処理が異常終了した場合は、センター3が、異常である旨の処理情報を携帯端末2に送信する。これらは、ステップS1301〜ステップS1307に相当する処理である。
そして、正常終了の場合は、携帯端末2が、センター3から受信した情報の有無の判断と、優先度判定と、画像情報等の作成を行い、車両用装置1に画像情報等を送信する。異常終了の場合は、携帯端末2は、エラー表示は行わない。これらは、ステップS905〜ステップS1006に相当する処理である。その後、車両用装置1が、走行注意画像等を作成して出力する。これは、ステップS505〜508に相当する処理である。
このようにして、本実施の形態における情報提供システム100は、車両用装置1、携帯端末2及びセンター3が、相互に情報の送受信を行うと共に各々の処理を実行することで、ユーザに対して走行する際に注意すべき状況を報知することができる。
<1−9.変形例>
以上の説明では、携帯端末2にて画像情報を作成し、車両用装置1でナビゲーション画像に走行注意画像を重畳表示した例について説明したが(図8参照)、これに限定されるものではなく他の表示も可能である。他の表示の例について、図15を用いて説明する。図15は、走行注意画像を表示する他の例を示す図である。
図15に示すように、走行が困難又は注意を要する領域18を地図上に表示することで、ユーザに報知することができる。この場合、センター3が、現在地情報及び気象情報等に基づいて、走行注意領域の有無とその領域の範囲とを判断し、判断された走行注意領域の情報を含んだ走行注意情報を携帯端末2に送信する。携帯端末2は、画像情報に代えて領域情報を車両用装置1に送信する。領域情報は、領域の境界を示す情報(例えば、緯度情報及び経度情報)からなり、車両用装置1では、領域情報に基づいて決められた地図上の領域を強調表示したナビゲーション画像を作成して表示する。また、出力用の音声情報がある場合には上記と同様にして音声を出力する。
なお、この場合、車両が領域18内に入った際に、その旨を表示又は音声でユーザに報知してもよい。また、領域18内を走行中においては、所定時間毎に注意を喚起するコメントを表示又は音声でユーザに報知してもよい。また、領域を決める際には、領域の境界を示す情報として緯度情報及び経度情報を用いて詳細に定めてもよいが、地図をメッシュ状に分けてメッシュ単位で領域を決めてもよい。
これにより、ユーザは、走行する際に注意すべき状況が発生したことを知ることができるのみならず、その領域も理解することができるため、例えば、走行経路を変更する等の対応を取ることも可能になる。
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、車両の現在地及びその周辺地域における情報を提供する内容について説明したが、第2の実施の形態では、車両の目的地における情報を提供する内容について説明する。以下、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。
<2−1.システム構成>
本実施の形態の情報提供システム200は、図1に示す第1の実施の形態の情報提供システム100と基本的な構成は同様であり、車両用装置4、携帯端末5、及びセンター6を備えている。ただし、本実施の形態では、車両の現在地情報ではなく目的地の位置情報(以下「目的地情報」という)をもとにして情報を提供する点で第1の実施の形態と相違する。このため、第1の実施の形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する場合がある。以下、情報提供システム200の構成及び処理について説明する。
<2−2.車両用装置の構成>
まず、車両用装置4の構成について説明する。図16は、車両用装置4の概要を示すブロック図である。図16に示すように、車両用装置4は、制御部41と、記憶部12と、位置情報取得部13と、通信部14と、表示部15と、音声出力部16と、操作部17とを備えている。
制御部41は、ナビゲーション部41aと、表示制御部41bと、音声制御部41cと、操作判定部41dとを備えており、また、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。すなわち、制御部41は、主として以下に示す点が相違するものの、第1の実施の形態における制御部11と基本的な構成は同様である。
ナビゲーション部41aは、車両の現在位置の表示や目的地までの経路を探索して誘導を行うものである。なお、本実施の形態は、目的地が設定されていることが前提であるため、ナビゲーション部41aは、目的地までの経路を探索し、地図上に目的地までの経路を強調表示したナビゲーション画像を作成する。
表示制御部41bは、ナビゲーション部41aで生成されたナビゲーション画像を、表示部15に表示させる制御を行う。また、携帯端末5から天気画像情報を取得している場合には、表示制御部41bは、天気画像を作成すると共に、ナビゲーション画像に重畳させて表示させる制御を行う。なお、天気画像とは、目的地周辺の天気を表した画像である。また、天気画像情報とは、携帯端末2にて作成された、天気画像を作成するための情報である。
音声制御部41cは、携帯端末5から取得した音声情報に基づいて出力音声を作成し、この出力音声を音声出力部16から出力させる制御を行う。音声情報とは、天気画像の内容を音声で示した情報である。なお、音声制御部41cは、取得した音声情報に所定の処理を施して出力音声を作成する。所定の処理は、第1の実施の形態と同様である。
操作判定部41dは、ユーザが操作部17を操作することによって、ナビゲーションの各種操作や表示設定等の操作があった場合に、その操作内容を判定する。ナビゲーションの各種操作とは、例えば目的地設定や経路の選択等の操作であり、表示設定の操作とは、例えば天気画像の表示又は非表示の設定、音声の出力又は停止等の操作である。
記憶部12、位置情報取得部13、通信部14、表示部15、音声出力部16及び操作部17は、第1の実施の形態における各部と基本的な構成は同様である。なお、本実施の形態においては、通信部14は、携帯端末5に対して車両の位置情報の他にも目的地情報を送信し、携帯端末5から天気画像情報や音声情報を受信する。
<2−3.携帯端末の構成>
次に、携帯端末5の構成について説明する。図17は、携帯端末5の概要を示すブロック図である。図17に示すように、携帯端末5は、制御部51と、記憶部22と、通信部23と、表示部24と、操作部25とを備えている。
制御部51は、操作判定部21aと、情報判定部51bと、優先度判定部21cと、画像作成部51dと、音声作成部51eと、距離算出部51fと、到着時間算出部51gとを備えており、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。すなわち、制御部51は、主として以下に示す点が相違するものの、第1の実施の形態における制御部21と基本的な構成は同様である。
情報判定部51bは、センター6から受信した情報に天気情報が含まれているか否かを判定する。天気情報とは、目的地周辺の天気及び気温を示す情報であり、天気画像情報及び出力音声情報を作成するための各種情報が含まれている。これら各種情報とは、例えば、車両用装置4に表示する画面や文字、出力する音声に関する情報である。また、センター6から受信する情報には天気情報の有無を示すステータス情報が含まれており、情報判定部51bは、このステータス情報に基づいて天気情報の有無を判定する。なお、センター6から受信した情報に天気情報が含まれていない場合には、制御部51は受信した情報を破棄する。
また、センター6から受信した情報には、センター6の処理が正常であったか異常であったかを示す情報(処理情報)や、情報の内容に応じて付与された優先度を示すフラグ(優先度フラグ)が含まれている。情報判定部51bは、このような情報を受信した場合にも、その内容を判定する。
画像作成部51dは、センター6から取得した天気情報に基づいて、車両用装置4がナビゲーション画像に重畳して表示する天気画像を作成するための天気画像情報を作成する。画像作成部51dは、天気情報に含まれる表示画像や表示文字等の各種情報に対応付けられたデータをアプリ52bのDB52cから抽出し、抽出したデータに基づいて天気画像情報を作成する。
音声作成部51eは、センター6から取得した天気情報に基づいて、車両用装置4から出力する音声を作成するための出力音声情報を作成する。この出力音声情報に基づいて作成された出力音声は、天気画像をナビゲーション画像に重畳表示する際に、同時に車両用装置4から出力される。音声作成部51eは、天気情報に含まれる音声情報に対応付けられたデータをアプリ52bのDB52cから抽出して、抽出したデータに基づいて出力音声情報を作成する。
距離算出部51fは、現在地と目的地との間の距離を算出するものである。距離算出部51fは、目的地情報を受信すると、記憶部22の位置情報22eから現在地情報を取得する。そして、各位置情報に基づいて直線距離を算出する。これにより現在地と目的地との間の直線距離を算出することができる。
到着時間算出部51gは、目的地の到着予測時間を算出するものである。到着時間算出部51gは、車両用装置4から目的地情報を受信すると、目的地に到着する時間を算出する。具体的には、到着時間算出部51gは、距離算出部51fで算出した目的地までの距離と、予想される車両の平均速度とに基づいて算出する。例えば、以下の式により算出することができる。
所要時間(h)=走行距離(km)÷速度(km/h)+補正値(h)
なお、補正値とは、車両の運転を長時間行う場合には、定期的に休憩を取ることが考えられるため、2時間経過毎に30分の休憩を取ると想定した値である。この補正値は以下の式により算出することができる。
補正値(h)=(走行距離(km)÷速度(km/h))÷2(h)×0.5(h)
そして、到着時間算出部51gは、算出された所要時間と現在時刻とに基づいて到着予測時間を算出する。
なお、本実施の形態では、携帯端末5が目的地までの到着予測時間を算出しているが、車両用装置4が目的地までの経路探索をする際に、到着予測時間も算出している場合には、その情報を取得してもよい。
記憶部22、通信部23、表示部24及び操作部25は、第1の実施の形態における各部と基本的な構成は同様である。なお、本実施の形態におけるアプリ52bは、天気情報の取得、天気画像情報や出力音声情報の作成処理を実行するためのアプリケーションである。アプリ52bには、これら取得処理や作成処理を実行するプログラムが格納されており、制御部51の指示によりこのプログラムが実行される。また、アプリ52bはDB52cを有しており、このDB52cには天気画像情報や出力音声情報の作成処理の際に使用する画像データや文字データ、音声データ等が格納されている。画像データ及び文字データは、例えば、目的地周辺の天気及び気温を表す画像及び文字であり、事象に応じて複数種類記憶されている。また、音声データは、例えば、目的地周辺の天気及び気温を表す音声であり、表示する画像及び文字に対応している。さらに、アプリ52bには、ユーザID22dが格納されている。ユーザID22dは、アプリ毎に付与されたユーザを特定するための固有の情報である。
また、通信部23は、本実施の形態においては、例えば、車両用装置4に対して、作成した天気画像情報を送信し、車両用装置4から車両の現在地情報及び目的地情報を受信する。また、通信部23は、例えば、センター4に対して車両の現在地情報、目的地情報及び到着予測時間を送信し、センター6から天気情報を受信する。
<2−4.センターの構成>
次に、センター6の構成について説明する。図18は、センター6の概要を示すブロック図である。図18に示すように、センター6は、制御部61と、記憶部32と、通信部33とを備えている。
制御部61は、情報判定部61aと、天気取得部61bと、認証部31cと、データ作成部61dとを備えており、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。すなわち、制御部61は、主として以下に示す点が相違するものの、第1の実施の形態における制御部31と基本的な構成は同様である。
情報判定部61aは、携帯端末5からの情報の受信の有無と、受信した情報の内容を判定するものであり、例えば、携帯端末5から受信した情報に目的地情報及び到着予測時間が含まれているか否かを判定する。
天気取得部61bは、受信した目的地情報及び到着予測時間と、記憶部32に記憶されている気象情報32bとに基づいて、到着予測時間における目的地の天気を取得する。具体的には、天気取得部61bは、気象情報32bの中から、目的地及び到着予測時間に対応する天気の情報(天気予報)を取得する。
データ作成部61dは、天気取得部61bにより取得された目的地の天気予報に基づいて、携帯端末5に送信する天気情報を作成する。この天気情報は、上述した、携帯端末5にて天気画像情報及び出力音声情報を作成するための各種情報を含んでいる。すなわち、データ作成部61dは、目的地の天気予報に基づいて、ユーザに報知すべき表示画像及び出力音声を決定する。そして、データ作成部61dは、決定した表示画像及び出力音声に対応する各種情報を用いて天気情報を作成する。なお、この場合における各種情報も、携帯端末5のDB52cに記憶されている天気画像情報及び出力音声情報に対応するIDを含んでいる。
また、データ作成部61dは、天気情報を作成する際に、その内容に応じた優先度を判定して優先度フラグを付与する。さらに、データ作成部61dは、天気情報の有無を示すステータス情報も作成する。また、制御部61は、一連の処理が正常に終了したか異常終了したかを監視しており、データ作成部61dは、その監視結果に基づいて上述の処理情報を作成する。
記憶部32及び通信部33は、第1の実施の形態における各部と基本的な構成は同様である。なお、本実施の形態においては、通信部33は、携帯端末5に対して天気情報を送信し、携帯端末5から車両の現在地情報の他に目的地情報及び到着予測時間を受信する。
また、センター6は、施設情報やグルメ情報といった天気情報とは異なるサービスを発信する外部サーバと接続されていてもよい。この場合、第1の実施の形態と同様に、制御部61は、通信部33を介して外部サーバから各種情報を受信して、携帯端末5のユーザに適した情報を送信する。
<2−5.車両用装置の処理>
次に、第2の実施の形態における車両用装置4の処理について説明する。図19は、車両用装置4の処理を示すフローチャートである。第1の実施の形態と相違する点を主として説明する。
車両用装置4の処理は、車両用装置4の起動により開始する。車両用装置4が起動すると、位置情報取得部13が現在地情報を取得する(ステップS1901)。そして、制御部41は、通信部14を介して現在地情報を携帯端末5に送信する(ステップS1902)。これらステップS1901及びステップS1902は、上述したステップS501及びステップS502と同様の処理である。
次に、ナビゲーション部41aは、目的地を設定する(ステップS1903)。これは、ユーザの入力操作によって行われる。また、制御部41は、設定された目的地に対応する目的地情報を携帯端末5に送信する(ステップS1904)。目的地情報は、緯度情報及び経度情報を含む位置情報である。
次に、ナビゲーション部41aは、ナビゲーション画像を作成する(ステップS1905)。ナビゲーション部41aは、記憶部12の地図情報12cに基づいて、現在地から目的地までの経路を探索し、経路を強調表示した地図画像としてのナビゲーション画像を作成する。
その後、制御部41は、携帯端末5から天気画像情報及び出力音声情報を受信したか否かを判断する(ステップS1906)。具体的には、制御部41は、携帯端末5からの情報の受信の有無を定期的に監視しており、携帯端末5から情報を受信した際には、その情報に天気画像情報及び出力音声情報が含まれているか否かを判断する。なお、携帯端末5から受信した情報には、天気画像情報と出力音声情報との双方が含まれている場合や、いずれか一方のみが含まれている場合、いずれも含まれておらず他の情報が含まれている場合がある。したがって、制御部41は、受信したデータが何であるかを判断している。
携帯端末5から受信した情報に天気画像情報及び出力音声情報のいずれもが含まれていない場合には(ステップS1906でNo)、表示制御部41bは、表示部15にナビゲーション画像を表示する処理を行う(ステップS1909)。この場合、天気画像が重畳された画像は表示されず、ナビゲーション画像のみが表示されることになる。なお、ナビゲーション部41aは所定の周期でナビゲーション画像を作成しており、ナビゲーション画像の表示もこれに同期して行われる。
ここで、表示部15にナビゲーション画像のみが表示された例を説明する。図20は、表示部15にナビゲーション画像のみが表示された例を示す図である。図20に示すように、表示部15に表示されたナビゲーション画像は、現在地周辺の地図に車両の位置が表示されていると共に、目的地までの経路が強調表示されている画像である。
図19に戻り、携帯端末5から受信した情報に天気画像情報及び出力音声情報が含まれている場合には(ステップS1906でYes)、表示制御部41bは、ナビゲーション画像に天気画像が重畳された重畳画像を作成する(ステップS1907)。すなわち、表示制御部41bは、携帯端末5から取得した天気画像情報に基づいて天気画像を作成し、この天気画像とナビゲーション画像とに基づいて重畳画像を作成する。なお、携帯端末5から受信した情報に出力音声情報のみが含まれている場合には、本ステップ1907の処理は省略される。
ここで、天気画像及び重畳画像の例について説明する。図21は、天気画像の例を示す図であり、図22は、重畳画像の例を示す図である。図21は、目的地を奥多摩に設定した場合における天気画像である。天気画像には、目的地への到着予測時間における天気と気温が表示されている。表示制御部41bは、携帯端末5から受信した天気画像情報を基に図21に示す天気画像を作成した場合には、この天気画像をナビゲーション画像に重畳表示させて図22に示す重畳画像を作成する。
図19に戻り、次に、音声制御部41cは、重畳画像を表示する際に出力する出力音声を作成する(ステップS1908)。具体的には、音声制御部41cは、受信した天気情報に含まれる出力音声情報に所定の処理を施して出力音声を作成する。所定の処理とは、上述した処理と同様である。また、携帯端末5から受信した情報に天気画像情報のみが含まれている場合には、本ステップ1908の処理は省略される。
その後、表示制御部41bは、作成した重畳画像を表示部15に表示すると共に、音声制御部41cは、出力音声を音声出力部16から出力して(ステップS1909)、処理を終了する。なお、出力音声は、重畳画像の表示と共に自動的に出力する構成としてもよく、ユーザが天気画像の「読上げ」ボタンを押下した際に出力する構成としてもよい。また、表示部15に表示された重畳画像は、所定時間表示した後に自動的に消去する構成としてもよく、ユーザが「完了」ボタンを押下した際に消去する構成としてもよい。また、携帯端末5から受信した情報が天気画像情報のみである場合には、重畳画像の表示のみを行い音声出力は行わない。さらに、携帯端末5から受信した情報が出力音声情報のみである場合には、音声出力のみ行い重畳画像の表示は行わない。この場合、表示部15にはナビゲーション画像のみが表示される。
なお、本実施の形態においては、センター6での処理が異常終了した際には、その旨を示す画像を表示すると共に音声で出力する構成としている。すなわち、携帯端末5から天気画像情報等を受信する処理において、センター6が異常終了した旨の画像の情報(以下「エラー画像情報」という)及び出力音声情報を受信した場合には、表示制御部41bは、ナビゲーション画像上にエラー画像情報を基に作成したエラー画像を重畳表示した重畳画像を作成して表示し、音声制御部41cは、出力音声を作成して出力する(ステップS1906〜ステップS1909)。
これは、ユーザが目的地を設定した際には、到着予測時間における目的地の天気画像が表示されることを期待していると考えられるため、何らかの表示をしないとユーザは車両用装置4又は携帯端末5が故障していると間違える可能性があるためである。なお、エラーの報知は、エラー画像の表示及び音声出力の双方を行うのみならず、いずれか一方のみ行う構成であってもよい。
なお、ステップS1901〜ステップS1909までの処理は、目的地設定時又は再設定時に実行され、目的地設定後には所定の間隔で定期的に実行される。本実施の形態では、後述するように、到着予測時間が1時間以上変化した場合には、目的地の天気予報の変化の有無を確認するようになっている。また、目的地まで所定値以下になった場合にも、目的地の天気予報の変化の有無を確認するようになっている。このため、車両用装置4の現在地情報及び目的地情報を携帯端末5に定期的に送信することで、到着予測時間の変換や天気予報の変化が確認できるようにしている。
<2−6.携帯端末の処理>
次に、携帯端末5の処理について説明する。図23は、携帯端末5の処理を示すフローチャートである。第1の実施の形態と相違する点を主として説明する。
携帯端末5の処理は、記憶部22に格納されているアプリ52bを起動することにより開始する。制御部51は、アプリ52bが起動すると、車両用装置4から現在地情報を取得したか否かを監視する(ステップS2301)。制御部51は、現在地情報を取得していないと判断した場合には(ステップS2301でNo)、所定時間経過後に再度現在地情報の取得の有無を判断する。一方、制御部51は、現在地情報を取得していると判断した場合には(ステップS2301でYes)、取得した現在地情報を記憶部に記憶する(ステップS2302)。これらステップS2301〜ステップS2302は、第1の実施の形態におけるステップS901〜ステップS902と同様の処理である。
次に、制御部51は、車両用装置4から目的地情報を取得したか否かを監視する(ステップS2303)。この監視は、車両用装置4から受信した情報に、目的地として設定された位置情報(緯度情報及び経度情報)が含まれているか否かを判断することにより行われる。制御部51は、目的地情報を取得していないと判断した場合には(ステップS2303でNo)、再度現在地情報の取得の有無を判断する。一方、制御部51は、目的地情報を取得していると判断した場合には(ステップS2303でYes)、取得した目的地情報を記憶部22に記憶する(ステップS2304)。
そして、距離算出部51fが、目的地までの距離を算出する(ステップS2305)。具体的には、距離算出部51fは、記憶部22の位置情報22eから現在地情報及び目的地情報における各々の緯度情報及び経度情報を読み出し、これら各情報に基づいて、現在地から目的地までの直線距離を算出する。
そして、距離算出部51fは、算出した距離が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS2306)。目的地が現在地とあまり離れていない場合には、目的地の天候は現在地の天候と変わらないことが多く、ある程度予測もできる。このため、天気情報の報知対象とはせずに、目的地が現在地から一定距離以上離れている場合に、目的地の天気情報を報知する対象としているためである。なお、所定値とは、例えば、30km、40km、50km、60km等であり、適宜設定可能である。
目的地までの距離が所定値未満である場合には(ステップS2306でNo)、天気情報の報知対象ではないため処理を終了する(図23のB)。一方、目的地までの距離が所定値以上である場合には(ステップS2306でYes)、到着時間算出部51gが、目的地に到着すると予測される時間を算出する(ステップS2307)。算出の方法は、上述のとおりである。そして、制御部51は、目的地情報及び到着予測時間をセンター6に送信して(ステップS2308)、次の処理に進む(図23のC)。
なお、本実施の形態では、携帯端末5は、センター6に目的地情報及び到着予測時間を送信すると、その位置に関する天気情報等をセンター6から取得する構成となっている。そのため、まず、情報判定部51bは、センター6から何らかの情報を取得しているか否かを判断する(ステップS2401)。情報判定部51bは、センター6から情報を取得していないと判断した場合には(ステップS2401でNo)、所定時間経過後に再度センター6からの情報取得の有無を判断する。一方、情報判定部51bは、センター6から情報を取得していると判断した場合には(ステップS2401でYes)、センター6の処理が正常終了したか又は異常終了したかを判断する(ステップS2402)。
センター6から送信される情報には、センター6の処理の正常又は異常を示す処理情報が含まれており、情報判定部51bは、この情報に基づいて正常又は異常を判断する。処理情報が、異常終了である旨の情報(異常情報)である場合には(ステップS2402でNo)、センター6側で何らかのトラブルがあったとして、画像作成部51d及び音声作成部51eは、エラー画像情報及び出力音声情報を作成する(ステップS2403)。
センター6から受信した情報の中にエラー画像情報及び出力音声情報の基になる情報が含まれている場合には、画像作成部51d及び音声作成部51eは、これらのデータを用いてエラー画像情報及び出力音声情報を作成すればよい。また、携帯端末5に予め定型のエラー画像情報及び出力音声情報が記憶されている場合には、画像作成部51d及び音声作成部51eは、異常情報を受信した際にこれらの定型の画像等を用いてエラー画像情報及び出力音声情報を作成すればよい。
その後、制御部51は、エラー画像情報及び出力音声情報を車両用装置4に送信して(ステップS2404)、処理を終了する。
一方、処理情報が正常終了である旨の情報である場合には(ステップS2402でYes)、情報判定部51bは、センター6から受信した情報に天気情報が含まれているか否かを判断する(ステップS2405)。センター6から受信した情報には、天気情報の有無を示すステータス情報が含まれており、センター6は、このステータス情報に基づいて天気情報の有無を判断する。
センター6から受信した情報に天気情報が含まれていない場合には(ステップS2405でNo)、ユーザに報知すべき天気情報はないとして処理を終了する。一方、天気情報が含まれている場合には(ステップS2405でYes)、情報判定部51bは、車両用装置4に送信すべき他の送信情報があるか否かを判断する(ステップS2406)。
携帯端末5がセンター6から受信する情報には、天気情報の他に施設等の情報もあり、携帯端末5はそのような情報も車両用装置4に表示用の情報として送信する場合がある。他の送信情報とは、このような天気情報以外の車両用装置4の表示用情報である。携帯端末5から車両用装置4に送信する情報の種類が複数ある場合には、これらの情報を送信するタイミングが重なる場合がある。このように送信する情報が競合する場合に、いずれの情報を送信するか等を決める必要があるため、他の送信情報の有無を判断している。
他の送信情報がない場合には(ステップS2406でNo)、競合する送信情報はないため天気情報を車両用装置4に送信するための処理に進む(ステップS2408以降)。一方、他の送信情報がある場合には(ステップS2406でYes)、競合する送信情報の優先度を比較する(ステップS2407)。優先度の比較処理は、第1の実施の形態と同様である。
そして、比較結果に応じて、車両用装置4に送信する情報についての送信処理を実行する。具体的には、画像作成部51d及び音声作成部51eが、センター6から受信した天気情報に基づいて天気画像情報及び出力音声情報を作成する(ステップS2408)。天気情報には、表示用の画像情報や文字情報に対応するIDが含まれており、画像作成部51dは、記憶部22のDB52cからIDに対応する画像データや文字データ等を抽出して、これら各データに基づいて天気画像情報を作成する。また、天気情報には、出力音声情報に対応するIDが含まれており、音声作成部51eは、記憶部22のDB52cからIDに対応する音声データを抽出して、出力音声情報を作成する。
ここで、天気画像情報の作成について具体的に説明する。図25は、天気画像情報を作成するためのDB52dに記憶されている画像データの例を示す図である。図25の例では、晴れ、晴れ/雨、晴れ/雪、及び曇りの例を示している。DB52dには、表示画像としてのアイコンと、アイコンを特定するためのアイコンIDが対応付けられている。
すなわち、センター6から受信した天気情報には、アイコンIDが含まれており、画像作成部51dは、このアイコンIDに基づいてアイコンを抽出する。例えば、天気が晴れの場合には、天気情報にアイコンIDとして「B001」が含まれている。そこで、画像作成部51dは、B001に対応するアイコンを抽出する。
また、図示しないが、表示する文字や、使用するテンプレート、気温、画像及び文字の配置等についても同様にIDと各データが対応付けられて記憶されている。画像作成部51dは、これら文字等についても天気情報に含まれるIDに基づいて文字等を抽出する。そして、画像作成部51dは、抽出した各データを用いて天気画像情報を作成する。
また、図26は、出力音声情報を作成するためにDB52dに記憶されている音声ガイドの例を示す図である。図26の例では、単語又は短い文節に複数分けられており、これら各音声ガイドに音声IDが対応付けられ、IDに対応付けられた音声ガイドを組み合わせることで出力音声情報を作成するようになっている。
センター6から受信した天気情報には、音声IDが含まれており、音声作成部51eは、この音声IDに基づいて音声ガイドを抽出する。例えば、センター6から受信した天気情報の音声IDが「20000011+20000012+20000018+20000019+20000021+20000022+20000034」である場合には、「目的地の天気が、雨に変わりました。このあと、午後1時頃には天気は回復してきます。」という出力音声情報となる。
図24に戻り、携帯端末5は、作成した天気画像情報や出力音声情報を車両用装置4に送信して(ステップS2409)、処理を終了する。なお、天気情報に表示用の画像情報又は出力用の音声情報のいずれか一方のみが含まれている場合には、画像作成部51d又は音声作成部51eが、対応する天気画像情報又は出力音声情報のみを作成することになる。
このように、ユーザは、目的地の設定時には、到着予測時間に基づいた目的地の天気情報又はセンター6側で異常があった旨の情報を取得することができる。
なお、車両の走行状況によっては、目的地への到着予測時間が変化する場合があり、到着予測時間の変化に伴って目的地の予測される天候が変化する場合がある。このため、本実施の形態では、携帯端末5は、定期的に到着予測時間を算出して一定時間以上変化する場合には、再度目的地の天気情報を取得する処理を実行する。以下、その処理について説明する。図27は、携帯端末5の処理を示すフローチャートである。
まず、車両の走行中、到着時間算出部51gが、定期的に到着予測時間を算出する(ステップS2701)。到着時間算出部51gは、算出した最新の到着予測時間と、前回算出した到着予測時間とを比較して、1時間以上変化しているか否かを判断する。1時間以上変化していない場合には(ステップS2701でNo)、所定時間経過後に算出処理を実行する。
一方、1時間以上変化している場合には(ステップS2701でYes)、制御部51は、目的地情報と算出した最新の到着予測時間とをセンターに送信する(ステップS2702)。その後、センター6から情報を取得したか否かを判断する(ステップS2703)。この処理は、上述したステップS2401と同様にして行うことができる。
次に、情報判定部51bは、センター6の処理が正常終了したか又は異常終了したかを判断する(ステップS2704)。この処理は、上述したステップS2402と同様にして行うことができる。処理情報が異常情報である場合には(ステップS2704でNo)、制御部51は処理を終了する。この処理は、ユーザが目的地を設定した場合と異なり、ユーザの知らないうちに携帯端末5内部で行っている動作であり、ユーザは何らかの表示を期待していることはないため、エラー画像の表示等は行わない。なお、センター6の異常が偶然である可能性もあるため、携帯端末5は、異常情報を受信した後に、センター6に対してリトライを実行する構成としてもよい。
一方、処理情報が正常情報である場合には(ステップS2704でYes)、新たに天気情報を受信したか否かの判断や、天気画像情報等の作成及び送信の処理を実行する(ステップS2705〜ステップS2709)。これら各処理は、上述したステップS2405〜ステップS2409と同様にして行うことができる。
このように、到着予測時間が一定時間以上変化した場合において、目的地の天気情報に変化がある場合には、新たに算出された到着予測時間に対応する天気情報を取得することができるため、ユーザに対して適切な天気情報を報知することが可能になる。
また、本実施の形態においては、車両が目的地の近辺まで走行した場合には、目的地の天気情報は不要となる場合がある。このため、車両が目的地に近づく際の処理について説明する。図28は、携帯端末5の処理を示すフローチャートである。
まず、車両の走行中、制御部51は、車両が5km走行したか否かを判断し(ステップS2801)、車両が5km走行する毎に、現在地情報及び目的地情報をセンターに送信する(ステップS2802)。これら各処理は、上述したステップS903及びステップS904と同様にして行うことができる。
また、情報判定部51bがセンター6からの情報の受信の有無を判断し(ステップS2803)、天気情報等を受信している場合には車両用装置4に対して送信する天気画像情報等の作成及び送信などの一連の処理を実行する(ステップS2804〜ステップS2902)。これら各処理は、上述したステップS2704〜ステップS2709と同様にして行うことができる。
その後、距離算出部51fが、目的地までの距離を算出し(ステップS2903)、目的地までの距離が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS2904)。目的地までの距離が所定値以下でない場合には(ステップS2904)、車両はまだ目的地の近辺まで来ていないため、処理を終了し、ステップS2801からの処理を繰り返す。なお、所定値とは、例えば、20km、10km、5km等であり、適宜設定可能である。
一方、目的地までの距離が所定値以下である場合には(ステップS2904でYes)、制御部51は、センター6に対する目的地情報の送信処理を停止して(ステップS2905)、処理を終了する。目的地近辺まで来ているため、もはや天気情報等を受信する必要はないためである。
なお、ステップS2804において、処理情報が異常情報である場合であって(ステップS2804でNo)、目的地までの距離を算出して所定値以下である場合にのみ、センター6に対してリトライを実行してもよい。リトライの結果、さらに異常情報を受信した場合には、次回の現在地情報の送信の際に目的地情報を除外する。これにより、目的地までの距離が所定値以下になった際に、センターの正常又は異常に関わらず、目的地情報の送信が停止される。
このようにして、本実施の形態では、車両が目的地から離れた場所にある場合には、到着予測時間における目的地の天気情報の取得を行い、目的地周辺にある場合には取得を止める構成としている。これにより、ユーザの必要なときにだけ天気情報を受信することが可能になる。
<2−7.センターの処理>
次に、センターの処理について説明する。図30は、センター6の処理を示すフローチャートである。第1の実施の形態と相違する点を主として説明する。
センター6は、システムの起動により処理を開始する。センター6は起動すると、情報判定部61aが、携帯端末5から何らかの情報を取得しているか否かを定期的に監視しており、情報を受信した際には、その情報の内容を判断する。例えば、情報判定部61aは、携帯端末5から目的地情報及び到着予測時間を取得したか否かを判断する(ステップS3001)。
情報判定部61aは、目的地情報及び到着予測時間を取得していないと判断した場合には(ステップS3001でNo)、再度取得の監視を行う。一方、情報判定部61aが目的地情報及び到着予測時間を取得したと判断した場合には(ステップS3001でYes)、制御部61は、目的地の天気予報を確認する(ステップS3002)。これは、制御部61が、記憶部32に記憶された気象情報32bから、到着予測時間における目的地の天気予報を確認することにより行われる。
そして、制御部61は、天気予報を取得できた場合には天気情報を作成し、天気予報を取得できなかった場合にはその旨を示すステータス情報(無し情報)を作成する。天気情報は、上述と同様にして作成される。また、天気情報が有る場合には、その旨を示すステータス情報も作成される。
次に、制御部61は、一連の処理が正常に終了したか否かを判断する(ステップS3004)。この処理は、上述したステップS1305と同様にして行うことができる。処理が異常終了したと判断された場合には(ステップS3004でNo)、制御部61は、異常情報を携帯端末5に送信して(ステップS3005)、処理を終了する。この場合、天気情報又は無し情報は送信されない。
一方、処理が正常終了したと判断された場合には(ステップS3004でYes)、制御部61は、処理が正常であった旨の情報(正常情報)を作成し、正常情報と共に、天気情報又は無し情報とステータス情報とを携帯端末5に送信して(ステップS3006)、処理を終了する。なお、制御部61は、現在地情報を取得した際に同時に取得したユーザIDに対応付けられた携帯端末5に対して上記各情報を送信する。
なお、車両用装置4が天気情報のみならず他の情報(例えば、施設情報等)も表示する構成となっている場合には、図30のフローチャートには図示していないが、センター6は、外部のサーバから他の情報を取得し、この他の情報に優先度フラグを付与した状態で携帯端末5に送信するようになっている。
このように、ユーザが目的地を設定した際に、センター6が到着予測時間における目的地の天気情報を配信することで、ユーザは目的地設定時において目的地の天気及び気温を知ることができる。
なお、車両の走行状況によって到着予測時間に変化があった場合には、目的地の天気予報も変化する可能性がある。このため、センター6は、到着予測時間に変化があった旨の情報を携帯端末5から受信した際には、目的地の天気予報の変化の有無を確認する。以下、この処理について説明する。図31は、センター6の処理を示すフローチャートである。
まず、情報判定部61aは、携帯端末5から目的地情報及び到着予測時間を取得したか否かを判断する(ステップS3101)。この処理は、上述したステップS3001と同様にして行うことができる。
そして、到着予測時間に変化があった場合には、制御部61は、最新の到着予測時間における目的地の天気予報を確認する(ステップS3102)。ここで、前回の到着予測時間における天気予報と、最新の到着予測時間における天気予報とに変化がある場合には、最新の天気情報を作成して携帯端末5に送信する処理を実行する。すなわち、天気情報又は無し情報の作成から天気情報、無し情報又は異常情報の送信までの処理を実行する(ステップS3103〜ステップS3106)。これら各処理は、上述したステップS3003〜ステップS3006と同様にして行うことができる。
これにより、到着予測時間の変化に伴って目的地の天気予報に変化があった場合においても、最新の天気情報が送信されるため、ユーザは、常に最新の天気情報を取得することができる。
また、本実施の形態においては、上述のように、車両が目的地の近辺まで走行した場合には、目的地の天気情報は不要となる場合がある。このため、車両が目的地に近づいた場合の処理について説明する。図32は、センター6の処理を示すフローチャートである。
まず、上記ステップS3101と同様に、目的地情報及び到着予測時間の取得の有無を判断する(ステップS3201)。目的地情報及び到着予測情報を取得していない場合には(ステップS3201でNo)、再度取得の有無を監視する。一方、目的地情報及び到着予測時間を取得した場合には(ステップS3201でYes)、目的地までの距離を算出し、目的地までの距離が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS3202)。所定値とは、例えば、20km、10km、5km等であり、適宜設定可能である。
目的地までの距離が所定値以下でないと判断した場合には(ステップS3202でNo)、再度目的地情報等の取得の有無の判断処理を実行する。一方、目的地までの距離が所定値以下であると判断した場合ににおいて(ステップS3202でYes)、目的地の最新の天気予報と、前回の天気予報とに変化がある場合には、最新の天気情報を作成して携帯端末に送信する処理を実行する。すなわち、上記と同様に、天気情報又は無し情報の作成から天気情報等の送信までの処理を実行する(ステップS3203〜ステップS3206)。これら各処理は、ステップS3103〜ステップS3106と同様にして行うことができる。
これにより、目的地までの距離が所定値以下になると、携帯端末5から目的地情報が送信されてこなくなり、その後の天気予報の変化の確認を行う機会がなくなるものの、その前に最新の天気情報を取得しておくことができる。
このように、本実施の形態では、目的地情報及び到着予測時間に基づいて、到着予測時間における目的地の天気情報を取得することができるため、ユーザは目的地が現在地と離れた位置にあって、到着するのに時間を要する場合であっても、目的地を設定した時点で、目的地にて予測される天気を把握することが可能になる。
また、車両の走行状況によって到着予測時間に変化があった場合や、目的地に近づいて天気情報が不要になった場合等においても、最新の天気情報を取得することができるため、走行状況に応じた適切な天気予報を把握することが可能になる。
なお、本実施の形態では、携帯端末5に格納されたアプリ52bを用いて実行する場合について説明したが、車両用装置4が同様のアプリを有している場合には、携帯端末5を用いることなく、車両用装置4がセンター6と直接通信することで同様の処理を実行することができる。
<2−8.システムのシーケンス>
次に、上記で説明した第2の実施の形態における、各構成の処理の流れの概略をシステム全体の動作順序に沿って説明する。図33〜図35は、情報提供システム200のシーケンスを示す図である。
まず、目的地設定又は再設定時について図33に基づいて説明する。車両用装置4が、1秒間隔で現在地情報を取得し、携帯端末5に送信する。また、目的地設定又は再設定がされると、車両用装置4は目的地情報を携帯端末5に送信する。これは、ステップS1901〜ステップS1904に相当する処理である。そして、携帯端末5は、受信した現在地情報及び目的地情報を記憶し、目的地までの距離を算出する。携帯端末5は、目的地までの距離が所定値以上であるか否かを判断し、所定値以上の場合には、目的地への到着予測時間を算出して、到着予測時間をセンター6に送信する。これらは、ステップS2301〜ステップS2308に相当する処理である。
その後、センター6の処理が正常に終了した場合には、センター6が、到着予測時間における目的地の天気予報を確認し、天気情報等の所定の情報を携帯端末5に送信する。一方、センター6の処理が異常終了した場合は、センター6が、異常である旨の処理情報を携帯端末5に送信する。これらは、ステップS2901〜ステップS2906に相当する処理である。
そして、正常終了の場合は、携帯端末5が、センター6から受信した情報の有無の判断と、優先度判定と、画像情報等の作成を行い、車両用装置4に画像情報等を送信する。異常終了の場合は、携帯端末5は、エラー画像情報等を作成して、車両用装置4に送信する。これらは、ステップS2401〜ステップS2409に相当する処理である。その後、車両用装置4が、天気画像又はエラー画像と出力音声を出力する。これは、ステップS1906〜1909に相当する処理である。また、異常終了の場合、携帯端末5は必要に応じてリトライの処理を実行する。
次に、到着予測時間が1時間以上変化した場合について図34に基づいて説明する。携帯端末5は車両用装置4から受信した現在地情報及び目的地情報に基づいて到着予測時間を算出し、1時間以上変化があるか否かを判断している。そして、1時間以上の変化があった場合には、センター6に対して目的地情報及び到着予測時間を送信する。これは、ステップS2701〜ステップS2702に相当する処理である。
そして、センター6の処理が正常に終了した場合には、センター6が、最新の到着予測時間における目的地の天気予報を確認し、天気予報に変化がある場合には、天気情報等の所定の情報を携帯端末5に送信する。一方、センター6の処理が異常終了した場合は、センター6が、異常である旨の処理情報を携帯端末5に送信する。これらは、ステップS3001〜ステップS3006に相当する処理である。その後の携帯端末5及び車両用装置4の処理は、正常終了の場合は上記の目的地設定時の処理と同様であり、異常終了の場合は、携帯端末5によるエラー画像情報の作成等の処理は行われず(ステップS2704でNoに相当)、必要に応じてリトライの処理が実行される。
次に、車両が目的地に近づいた場合について図35に基づいて説明する。携帯端末5は、車両の走行距離が5km間隔でセンター3に現在地情報及び目的地情報を送信する。これは、ステップS2701〜ステップS2702に相当する処理である。そして、センター6の処理が正常に終了した場合には、センター6が、現在地から目的地までの距離を算出し、所定値以下であるか否かを判断する。所定値以下の場合には、目的地の天気予報を確認して、変化がある場合には、天気情報等の所定の情報を携帯端末5に送信する。一方、センター6の処理が異常終了した場合には、センター6が、異常である旨の処理情報を携帯端末5に送信する。これらは、ステップS3101〜ステップS3107に相当する処理である。その後の携帯端末5及び車両用装置4の処理は、上記の到着予測時間が1時間以上変化した場合の処理と同様である。
このようにして、本実施の形態における情報提供システム200は、車両用装置4、携帯端末5及びセンター6が、相互に情報の送受信を行うと共に各々の処理を実行することで、ユーザに対して常に最新の目的地の天気予報を報知することができる。
<3.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。第1及び第2の実施の形態では、車両の現在地情報又は目的地情報を基にして情報を提供する内容について説明した。特に第1の実施の形態では、気象情報に基づいた走行注意情報をユーザに報知する内容について説明したが、第3の実施の形態では、気象情報又は災害情報に基づいた車両の避難経路等を提供する内容について説明する。
<3−1.システム構成>
図36は、本実施の形態に係る情報提供システム300の概要を示す図である。情報提供システム300は、車両用装置7a、7b、7c・・・と、避難者用端末81a、81b、81c・・・と、救援者用端末85a、85b・・・と、センター9とを備えている。本実施の形態は、複数の車両用装置と避難者用端末と救援者用端末とがセンターを介して情報の授受を行っており、センターが複数の装置等から受信した情報を総合的に判断することで各装置等の各々に適した情報を作成し、各装置等に対して提供するシステムである。なお、以下においては、車両用装置7a、7b、7c・・・を総称して、又は任意の1つの装置を称して車両用装置7と記載する場合がある。同様に、避難者用端末81a、81b、81c・・・についても避難者用端末81と記載する場合があり、救援者用端末85a、85b・・・についても救援者用端末85と記載する場合がある。
情報提供システム300は、センター9が気象情報や災害情報等に基づいて判断した避難経路を車両用装置7に送信し、車両用装置7は、取得した避難経路に基づいて経路案内を行うシステムである。また、センター9が、避難情報及び救援情報を車両用装置7又は救援者用端末85に送信し、これらの者が避難活動又は救援活動を実施できるようにするシステムである。各部の詳細は後に説明する。
車両用装置7は、車両内で使用され、少なくとも表示部を有する電子機器である。車両用装置7は、車両のダッシュボードの開口部に設置して使用する、いわゆる嵌め込み型の電子機器や、ダッシュボード上に設置部材を用いて設置して使用する電子機器等、車両に乗車しているユーザが、表示部に表示された画像を視認可能な電子機器であればよい。車両用装置7は、ナビゲーション画像を表示部に表示し、また、センター9と通信可能に接続されており、センター9から受信した避難経路に基づいて経路案内を行う。また、センター9から避難支援要請を取得した場合には、車両用装置7はその情報を表示する。
避難者用端末81は、避難者が所持する可搬型の電子機器であり、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話、PDA等である。避難者用端末81は、センター9と通信可能に構成されており、センター9に対して現在地情報及び個人情報を含む避難情報を送信する。また、避難支援又は救援が必要な場合には避難支援要請又は救援要請を送信することもできる。
なお、本実施の形態において、避難支援要請とは、避難支援を要請するための情報であり、救援要請とは、救援を要請するための情報である。また、避難支援とは、著しい気象現象又は災害が発生したことにより、危険な状況が迫っている際の避難を支援することを意味する。また、救援とは、危険な状況にある者又は危険な状況が過ぎ去った後に自力で脱出できない状況に置かれている者を救援又は救助することを意味する。
救援者用端末85は、救援活動を行う者が所持する電子機器であり、上記可搬型の電子機器やパソコン等である。救援者用端末85は、センター9と通信可能に接続されており、センター9から救援要請を受信して、救援要請者に関する情報を表示する。
センター9は、気象情報や災害情報に基づいて危険の及ぶ可能性のある範囲(以下「危険地域」又は「危険領域」という)及びその危険の発生時刻(以下「危険時刻」という)を推定し、これらの情報を提供すると共に、これらの情報に基づいて車両の避難経路の算出を行う。また、センター9は、車両用装置7、避難者用端末81、及び救援者用端末85と通信可能に接続されており、各種情報の送受信を行っている。例えば、センター9は、車両用装置7に避難経路を送信し、車両用装置7又は救援者用端末85に避難支援要請又は救援要請を送信する。
このように、本実施の形態に係る情報提供システム300は、著しい気象現象や災害等が発生し、緊急的な避難や救助を要する場合においても、車両による避難、避難支援要請者の避難支援及び救援要請者の救援活動を円滑に行うことを可能にするシステムである。以下、情報提供システム300の構成及び処理について説明する。
<3−2.車両用装置の構成>
まず、車両用装置7の構成について説明する。図37は、車両用装置7の概要を示すブロック図である。図37に示すように、車両用装置7は、制御部71と、記憶部72と、位置情報取得部73と、通信部74と、表示部75と、操作部76とを備えている。
制御部71は、ナビゲーション部71aと、表示制御部71bと、操作判定部71cとを備えており、また、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部71は、車両用装置7が備える記憶部72や通信部74等と接続され、記憶部72に記憶されたプログラム72aに基づいて情報の送受信を行い、車両用装置7の全体を制御する。記憶部72に記憶されたプログラム72aにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、ナビゲーション部71aや表示制御部71b等を含めた制御部71の各種機能が実現される。
ナビゲーション部71aは、車両の現在位置から目的地までの経路を探索して誘導を行う。ナビゲーション部71aは、位置情報取得部73が取得した現在の位置情報72bと、記憶部72に記憶されている地図情報72cとを取得する。そして、ナビゲーション部71aは、これら位置情報72b及び地図情報72cに基づいて車両の現在位置を周辺地図に表示したナビゲーション画像を作成する。また、目的地が設定されている場合には、ナビゲーション部71aは目的地までの経路を探索し、前記ナビゲーション画像に目的地までの経路を強調表示したナビゲーション画像を作成する。また、センター9から避難経路を取得した場合には、取得した避難経路に基づいて経路案内を行う。
なお、ナビゲーション部71aは、所定のタイミング(例えば、30フレーム/秒)でナビゲーション画像を作成している。すなわち、ナビゲーション部71aは、ナビゲーション画像を作成するタイミング毎に現在の位置情報と、その位置情報に応じた地図情報とを取得してナビゲーション画像を作成する。
表示制御部71bは、ナビゲーション部71aで生成されたナビゲーション画像を、車両用装置7の表示部75に表示させる制御を行う。また、センター9から危険地域及び危険時刻の情報を取得した場合には、表示制御部71bは、危険地域及び危険時刻をナビゲーション画像に重畳表示させる制御を行う。また、センター9から避難支援要請を取得した場合には、表示制御部71bは、避難支援要請をナビゲーション画像に重畳して、又はナビゲーション画像に代えて表示させる制御を行う。なお、避難支援要請とは、避難支援を必要とする者の位置情報及び個人情報(氏名、性別、年齢等)である。避難支援を必要とする者とは、例えば、避難支援を要請した者や、避難困難者である。避難困難者とは、緊急時に即座に避難することが困難な状況にある者である。
操作判定部71dは、ユーザが車両用装置7の操作部76を操作することによって、ナビゲーションの各種操作や表示設定等の操作があった場合に、その操作内容を判定する。ナビゲーションの各種操作とは、例えば目的地設定や経路の選択等の操作であり、表示設定の操作とは、例えば避難支援要請の表示又は表示停止等の操作である。
記憶部72は、プログラム72a、位置情報72b、及び地図情報72cを記憶している。本実施の形態における記憶部72は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されていてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリである。記憶部72としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリを用いることができる。ただし、他の記憶媒体を用いてもよく、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。
プログラム72aは、制御部71により読み出され、制御部71が車両用装置7を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。位置情報72bは、位置情報取得部73にて取得した車両の位置を示す情報である。また、地図情報72cは、全国又は一定の広域の道路情報及び交通情報である。ナビゲーション画像には地図情報72cの一部を利用した地図画像が用いられる。
位置情報取得部73は、車両用装置7の現在位置を示す情報としての位置情報(現在地情報)を取得する。位置情報取得部73としては、例えば、GPSを用いることができる。また、位置情報72bは、緯度情報及び経度情報を含む情報である。なお、位置情報取得部73は車両用装置7に備えられているため、位置情報取得部73が取得する位置情報は車両用装置7の位置を示す情報となるが、車両用装置7は車両に搭載されていることから、位置情報取得部73が取得した位置情報が車両の位置を示す情報となる。
通信部74は、センター9と通信可能に接続され、センター9との間で情報の送受信を行う。通信部74は、位置情報取得部73で取得した車両の位置情報をセンター9に対して送信し、センター9から避難支援要請を受信する。なお、車両用装置7とセンター9との通信は、インターネット通信を採用することができ、例えば、いわゆる携帯電話網を利用した通信や、無線LANを利用して通信を行うことができる。
表示部75は、ナビゲーション画像及び避難支援要請を表示する表示装置であり、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等である。
操作部76は、機械式のボタンやタッチパネルを備えた情報の入力装置である。ユーザは、操作部76を操作することによって、ナビゲーションに関する各種操作や、表示設定等の操作を行うことができる。なお、操作部76は、表示部75と一体として構成してもよい。
<3−3.避難者用端末の構成>
次に、避難者用端末81の構成について説明する。図38は、避難者用端末81の概要を示すブロック図である。図38に示すように、避難者用端末81は、制御部811と、記憶部812と、位置情報取得部813と、通信部814と、表示部815と、操作部816とを備えている。
制御部811は、操作判定部811aと、情報作成部811bとを備えており、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部811は、避難者用端末81が備える記憶部812や通信部814等と接続され、記憶部812に記憶されたプログラム812aに基づいて情報の送受信を行い、避難者用端末81の全体を制御する。記憶部812に記憶されたプログラム812aにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、操作判定部811aや情報作成部811b等の制御部811の機能が実現される。
操作判定部811aは、避難者用端末81の操作部816が操作された際に、その操作内容を判定する。操作判定部811aは、例えば、避難支援又は救援の要請を行った場合や、避難者用端末81の各種設定等の操作を行った場合には、各々の操作内容を判定する。
情報作成部811bは、センター9に送信する情報を作成する。例えば、災害が発生した際に、避難者用端末81の所有者の避難状況を示す避難情報を作成する。また、避難者が避難支援を要請した場合には、情報作成部811bは避難支援要請を作成する。具体的には、避難支援要請は、上述のように避難支援要請者の位置情報及び個人情報を含んでおり、情報作成部811bは、記憶部812に記憶された個人情報812b及び位置情報812cを取得して避難支援要請を作成する。また、避難者が救援を要請した場合においても同様に、記憶部812から位置情報812c及び個人情報812bを取得して救援要請を作成する。
記憶部812は、プログラム812a、個人情報812b、及び位置情報812cを記憶している。本実施の形態における記憶部812は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリを用いることができる。記憶部812としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリを用いることができる。ただし、他の記憶媒体を用いてもよく、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。
プログラム812aは、制御部811により読み出され、制御部811が避難者用端末81を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。個人情報812bは、避難者用端末81の所有者を識別するための情報であり、例えば、所有者の氏名、性別、年齢、住所等である。位置情報812cは、避難者用端末81の現在地を示す位置情報であり、位置情報取得部813から取得する。
位置情報取得部813は、避難者用端末81の現在地情報を取得する。位置情報取得部813としては、例えば、GPSを用いることができる。また、避難者用端末81の現在地情報は、緯度情報及び経度情報を含む位置情報である。
通信部814は、センター9と通信可能に接続され、センター9に対して、避難支援要請又は救援要請を送信する。なお、避難者用端末81とセンター9との通信は、インターネット通信が可能な方法を採用することができ、例えば、いわゆる携帯電話網を利用した通信や、無線LANを利用して通信を行うことができる。
表示部815は、避難支援や救援を要請する操作画面等を表示する表示装置であり、例えば液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等である。
操作部816は、機械式のボタンやタッチパネルを備えた情報の入力装置である。ユーザは、操作部816を操作することによって、避難者用端末81の各種操作や設定等の操作を行うことができる。なお、操作部816は、表示部815と一体として構成されていてもよい。
<3−4.救援者用端末の構成>
次に、救援者用端末85の構成について説明する。図39は、救援者用端末85の概要を示すブロック図である。図39に示すように、救援者用端末85は、制御部851と、記憶部852と、位置情報取得部853と、通信部854と、表示部855と、操作部856とを備えている。
制御部851は、操作判定部851aと、情報判定部851bと、画像作成部851cとを備えており、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部851は、救援者用端末85が備える記憶部852や通信部854等と接続され、記憶部852に記憶されたプログラム852aに基づいて情報の送受信を行い、救援者用端末85の全体を制御する。記憶部852に記憶されたプログラム852aにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、操作判定部851aや情報判定部851b等の制御部851の機能が実現される。
操作判定部851aは、救援者用端末85の操作部856が操作された際に、その操作内容を判定する。操作判定部851aは、例えば、救援要請を受信した際の表示操作を行った場合や、救援者用端末85の各種設定等の操作を行った場合には、各々の操作内容を判定する。
情報判定部851bは、センター9から受信した情報の有無、及びその内容を判定する。救援者用端末85は、災害等の発生時にセンター9から救援要請を受信する場合があり、情報判定部851bは、センター9から救援要請の受信があったか否か、また、受信した場合には救援要請者の現在地情報及び個人情報の内容を判定する。
画像作成部851cは、表示部855に表示する画像を作成する。例えば、救援要請者の現在地情報及び個人情報が表示された画像や、現在地情報が地図上に表示された画像等を作成する。
記憶部852は、プログラム852aと、救援要請者情報852bとを記憶している。本実施の形態における記憶部852は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリを用いることができる。記憶部852としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリを用いることができる。ただし、他の記憶媒体を用いてもよく、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。
プログラム852aは、制御部851により読み出され、制御部851が救援者用端末85を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。救援要請者情報852bは、救援を要請した者の、現在地情報及び個人情報である。個人情報には、例えば、氏名、電話番号等が含まれる。
位置情報取得部853は、救援者用端末85の現在地情報を取得する。位置情報取得部853としては、例えば、GPSを用いることができる。また、救援者用端末85の現在地情報は、緯度情報及び経度情報を含む位置情報である。救援者用端末85の現在地情報は、救援者が救援要請者の救助に向かった際に、各者の位置関係を把握するために用いられる。
通信部854は、センター9と通信可能に接続され、センター9から救援要請を受信する。また、通信部854は、救援が完了した際には、その旨を示す救援完了情報をセンター9に送信する。救援者用端末85とセンター9との通信は、インターネット通信が可能な方法を採用することができ、例えば、いわゆる携帯電話網を利用した通信や、無線LANを利用して通信を行うことができる。
表示部855は、画像作成部851cで作成された画像を表示する表示装置であり、例えば液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等である。
操作部856は、機械式のボタンやタッチパネルを備えた情報の入力装置である。ユーザは、操作部856を操作することによって、救援者用端末85の各種操作や設定等の操作を行うことができる。なお、操作部856は、表示部855と一体として構成されていてもよい。
<3−5.センターの構成>
次に、センター9の構成について説明する。図40は、センター9の概要を示すブロック図である。図40に示すように、センター9は、制御部91と、記憶部92と、通信部93とを備えている。
制御部91は、情報判定部91aと、危険推定部91bと、経路算出部91cと、避難状況判断部91dと、支援者判断部91eとを備えており、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部91は、センター9が備える記憶部92や通信部93と接続され、記憶部92に記憶されたプログラム92aに基づいて情報の送受信を行い、センター9の全体を制御する。記憶部92に記憶されたプログラム92aにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、情報判定部91aや危険推定部91b等の制御部91の機能が実現される。
情報判定部91aは、車両用装置7、避難者用端末81、及び救援者用端末85からの情報の受信の有無と、受信した情報の内容を判定する。センター9は、車両用装置7、避難者用端末81、及び救援者用端末85から種々の情報を受信する構成であり、情報の受信があったか否かを定期的に監視している。そして、情報の受信があった場合には、情報判定部91aがどのような情報を受信したかを判定する。例えば、情報判定部91aは、避難者用端末81から受信した情報に避難支援要請が含まれているか否かを判定する。
危険推定部91bは、著しい気象現象や災害が発生した際に、避難を要する危険の発生の有無と、その範囲と、発生時刻の推定とを行う。すなわち、危険地域及び危険時刻の推定を行う。例えば、大地震が発生した場合には、津波がいつ頃どこまで到達するかを推定し、ゲリラ豪雨又は大雨が発生した場合には、いつ頃どの場所で河川が氾濫するか、道路が冠水するか又は土砂崩れが発生するかとったことを推定する。センター9は、外部のサーバとも接続されており、著しい気象現象や災害が発生すると、その内容を外部サーバから取得する。危険推定部91bは、取得した災害等の内容と、記憶部92に記憶されている地図情報92cとに基づいて危険地域等を推定する。これら危険地域及び危険時刻の情報を提供する場合には、車両用装置7に送信する。
経路算出部91cは、避難を要する危険が発生すると判断された場合に、危険地域内及びその周辺に存在する車両の避難経路の探索を行う。大規模な自然災害が発生すると、危険地域も広大となるため、適切な避難経路の把握が困難となる。また、避難する車両も非常に多くなるため、渋滞が発生し避難できない可能性がある。そこで、本実施の形態では、経路算出部91cが、避難を要する地域に存在する各車両の避難経路を集中的に探索するようにしている。これにより、各車両が他車両とは無関係に避難してしまい、適切でない地域に非難したり、渋滞が発生したりすることを回避できる。
避難状況判断部91dは、避難者の避難状況を判断する。すなわち、センター9は、各避難者用端末81から送信される避難情報に基づいて、各々の避難者の避難の可否、避難場所等を判断する。例えば、地図情報92cには予め指定された避難場所が記憶されており、避難者の現在地情報が避難場所と一致している場合には、その避難者は無事に避難できたと判断する。また、現在地情報が避難場所に向かって移動している場合には、避難中であると判断する。さらに、現在地情報が危険地域内で移動しない場合には、避難困難者であると判断することもできる。
避難状況判断部91dによって判断された各避難者の避難状況は、記憶部92の避難DB92eに格納される。避難DB92eは、各避難者の安否情報としても用いられる。
支援者判断部91eは、避難困難者又は避難支援要請者の避難支援が可能な者を判断する。例えば、支援者判断部91eは、避難困難者等の現在地付近を避難中の車両を支援可能な者として判断する。
記憶部92は、プログラム92aと、災害情報92bと、地図情報92cと、位置情報92dと、避難DB92eとを記憶している。本実施の形態における記憶部92は、上述と同様に不揮発性の半導体メモリを用いることができるが、ハードディスクドライブで構成することもできる。
プログラム92aは、制御部91により読み出され、制御部91がセンター9を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。災害情報92bは、発生した著しい気象現象や災害に関する情報である。センター9は、外部の著しい気象現象や災害の発生及びその内容を配信するサーバから災害情報92bを取得している。地図情報92cは、全国又は一定の広域の地図及び道路情報である。位置情報92dは、車両用装置7、避難者用端末81、及び救援者用端末85の位置を示す情報である。また、避難DB92eは、避難者の避難状況を格納したデータベースである。避難DB92eには、避難者の個人情報や、非難の完了/未完了、避難場所などが格納されている。
通信部93は、車両用装置7、避難者用端末81、及び救援者用端末85と通信可能に接続され、各々との間で情報の送受信を行う。通信部93と各装置又は端末との通信は、上述のように、インターネット通信が可能な方法を採用することができ、例えば、携帯電話網や無線LANを利用して通信を行うことができる。
<3−6.車両用装置の処理>
次に、車両用装置7の処理について説明する。図41は、車両用装置7の処理を示すフローチャートである。
車両用装置7の処理は、著しい気象現象や災害が発生し、緊急放送を受信した場合又はユーザがマニュアル操作することによって開始する。車両用装置7が処理を開始すると、位置情報取得部73が現在地情報を取得する(ステップS4101)。その後、位置情報取得部73は、定期的に現在地情報を取得する。取得するタイミングは、特に限定されるものではなく、適宜設定すればよい。例えば、本実施の形態では1秒毎としている。
そして、制御部71は、取得した現在地情報を位置情報72bとして記憶部72に記憶し、通信部74を介して現在地情報をセンター9に送信する(ステップS4102)。なお、取得した現在地情報には、緯度情報及び経度情報が含まれている。また、車両用装置7からセンター9に対して現在地情報を送信するタイミングは、特に限定されるものではなく、適宜設定すればよい。例えば、本実施の形態では、位置情報取得部73が現在地情報を取得した直後としている。
次に、制御部71は、センター9から避難経路を受信する(ステップS4103)。車両用装置7が現在地情報をセンター9に送信すると、センター9は各車両の現在地情報及び進路等に基づいて、各車両の最適な避難経路を算出し、各車両に対して避難経路を送信するようになっている。この避難経路は、各車両毎の最適な避難経路であり、ナビゲーション部71aは、取得した避難経路に基づいてナビゲーション画像を作成して表示し(ステップS4104)、経路案内を実行する(ステップS4105)。
なお、センター9から危険地域及び危険時刻に関する情報も受信している場合には、ステップS4104にて、危険地域及び危険時刻をナビゲーション画像に重畳して表示する。この場合、危険度合いに応じて表示方法を変えてもよい。例えば、津波の到達点が高い範囲を赤色表示し、到達点が低い範囲を黄色表示し、安全な範囲を緑色表示する等である。また、ゲリラ豪雨の場合にも同様に、河川の氾濫や道路の冠水レベルの高い範囲を赤色表示、レベルの低い範囲を黄色表示し、安全な範囲を緑色表示する等である。
また、ゲリラ豪雨の場合には、走行自体が困難となり停車する場合もあるため、停車位置の危険度に応じて表示方法を変更してもよい。例えば、危険な位置は赤色表示し、できれば避けたい又は少し心配な位置は黄色表示、安全な位置は緑色表示(道路の場合は緑線表示)する等である。
その後、制御部71は、避難支援要請を受信したか否かを判断する(ステップS4106)。避難支援要請を受信した場合には(ステップS4106でYEs)、受信した避難支援要請を表示する(ステップS4107)。避難支援要請は、車両で避難しているユーザの避難経路付近に避難困難者や避難支援要請者がいる場合に、それらの者を示す情報である。本実施の形態では、避難支援要請を表示することで、避難支援要請を受信したユーザに対して、避難困難者や避難支援要請者の避難支援を促している。一方、避難支援要請を受信していない場合には(ステップS4106でNo)、車両用装置7は、避難支援要請に関する処理は行わずに終了する。なお、ステップS4101〜ステップS4107までの処理は所定の間隔で定期的に実行される。
<3−7.避難者用端末の処理>
次に、避難者用端末81の処理について説明する。図42は、避難者用端末81の処理(避難時)を示すフローチャートであり、図43は、避難者用端末81の処理(救援要請時)を示すフローチャートである。
まず、避難時について説明する。避難者用端末81の処理は、著しい気象現象や災害が発生し、緊急放送を受信した場合又は避難者がマニュアル操作することによって開始する。避難者用端末81が処理を開始すると、位置情報取得部813が現在地情報を取得する(ステップS4201)。そして、情報作成部811bは、取得した現在地情報と個人情報とに基づいて避難情報を作成し、センター9に送信する(ステップS4202)。情報作成部811bは、記憶部812に記憶されている個人情報812bの中から、氏名、性別、年齢、住所等の個人を特定できる情報を取得し、現在地情報と併せて避難情報を作成する。
次に、制御部811は、避難者用端末81の所有者が避難を完了したか否かを判断する(ステップS4203)。これは、例えば、制御部811が、定期的に取得する現在地情報と、地図情報に含まれている避難場所とが一致するか否か等を比較することによって判断する。また、避難者自身が避難を完了した旨の入力をしてもよい。避難が完了してない場合には(ステップS4203でNo)、所定時間経過後に再度避難が完了したか否かを判断する。一方、避難が完了した場合には(ステップS4203でYes)、情報作成部811bは、避難が完了した旨の情報(避難完了情報)を作成して、センター9に送信し(ステップS4204)、処理を終了する。
このように、避難者が避難を完了していない場合には、その避難者が避難困難者の可能性がある。このため、引き続いて避難が完了したか否かの監視を行う必要があるため、避難情報の送信を継続している。一方、避難者が避難を完了した場合には、その避難者の安否が確認されたこととなるため、その後の避難支援等の対象から除外できる。
次に、救援要請時について説明する。避難者用端末81の処理は、避難者が避難を完了しなかった場合に自動的に、又は、避難者がマニュアル操作することによって手動で開始する。避難者用端末81が処理を開始すると、位置情報取得部813が現在地情報を取得する(ステップS4301)。そして、情報作成部811bは、取得した現在地情報と個人情報とに基づいて救援要請を作成し、センターに送信する(ステップS4302)。情報作成部811bは、上述と同様に、記憶部812に記憶されている個人情報812bの中から、氏名等の個人を特定できる情報を取得し、現在地情報と併せて救援要請を作成する。
次に、制御部811は、救援者が接近しているか否かを判断する(ステップS4303)。救援要請を送信すると、センター9では救援者に対して救援要請を送信すると共に、救援者の位置情報と救援要請者の位置情報とを比較している。そして、避難者用端末81は、救援者が接近してきた場合にはその旨を示す情報をセンター9から受信するようになっている。このため、制御部811は、救援者が接近してきた旨の情報を取得したか否かを判断することで救援者の接近の有無を判断している。なお、救援者が接近しているとは、例えば、救援者が、救援要請者から直線距離で500m以内に近づいた場合等である。ただし、この距離は100mでも、1kmでもよく、適宜設定可能である。
救援者が接近していないと判断された場合には(ステップS4303でNo)、再度救援者の接近を確認する。一方、救援者が接近してきたと判断された場合には(ステップS4303でYes)、救援者に対して、避難者用端末81の存在を報知する処理を行う(ステップS4304)。これは、救援要請者が瓦礫の中に埋まっている場合等、救援者の居場所が分かりにくい場合であっても、その存在を報知することで救援者が発見しやすくするためである。報知の仕方は、例えば、避難者用端末81から着呼音やフラッシュライト等を用いて音や光を出力する方法が挙げられる。
その後、制御部811は、救援が完了したか否かを判断する(ステップS4305)。これは、制御部811が、定期的に取得する現在地情報と地図情報に含まれている避難場所と比較したり、現在地情報と救援要請者の収容場所(例えば、病院等)とを比較して判断される。また、救援要請者自身が救援が完了した旨の入力をしてもよい。
救援が完了していない場合には(ステップS4305でNo)、所定時間経過後に再度救援が完了したか否かを判断する。一方、救援が完了した場合には(ステップS4305でYes)、情報作成部811bは、救援が完了した旨の情報(救援完了情報)を作成して、センター9に送信し(ステップS4306)、処理を終了する。
<3−8.救援者用端末の処理>
次に、救援者用端末85の処理について説明する。図44は、救援者用端末85の処理を示すフローチャートである。
救援者用端末85の処理は、著しい気象現象や災害が発生し、緊急放送を受信した場合又は救援者がマニュアル操作することによって開始する。救援者用端末85が処理を開始すると、情報判定部851bは、救援要請を受信したか否かを判断する(ステップS4401)。具体的には、情報判定部851bが、センター9から情報を受信したか否か、及び、受信した情報に救援要請が含まれているか否かを判断する。
救援要請が含まれていない場合には(ステップS4401でNo)、所定時間経過後に再度確認する。一方、救援要請が含まれている場合には(ステップS4401でYes)、位置情報取得部853が、救援者用端末85の現在地情報を取得し、センター9に送信する(ステップS4402)。これは、センター9にて救援者の位置と救援要請者の位置とを比較するためである。
そして、画像作成部851cは、受信した救援要請に基づいて表示部855に表示する画像を作成する(ステップS4403)。作成する画像には、救援要請者の氏名、電話番号、位置情報等が含まれている。
その後、制御部851は、救援が完了したか否かを判断する(ステップS4404)。この処理は、救援者が、救援者用端末85を操作して救援が完了した旨を入力することにより行われる。制御部851は、救援が完了していないと判断した場合には(ステップS4404でNo)、所定時間経過後に再度確認する。一方、制御部851は、救援が完了したと判断した場合には(ステップS4404でYes)、救援が完了した旨の情報(救援完了情報)をセンター9に送信して(ステップS4405)、処理を終了する。
<3−9.センターの処理>
次に、センター9の処理について説明する。図45〜47は、センター9の処理を示すフローチャートである。
センター9は、システムの起動により処理を開始する。センター9は起動すると、情報判定部91aが、気象情報又は災害情報を取得しているか否かを定期的に監視する(ステップS4501)。これら情報を取得していないと判断した場合には(ステップS4501でNo)、所定時間経過後に再度監視する。
一方、気象情報又は災害情報を取得した場合には(ステップS4501でYes)、危険推定部91bは、危険地域及び危険時刻の推定処理を行う(ステップS4502)。具体的には、危険推定部91bは、発生した著しい気象現象又は災害の内容と地図情報を基に、避難を要する危険が発生する範囲(危険地域)及び発生時刻(危険時刻)を推定する。例えば、上述のように、大地震が発生した場合には、津波の到達範囲及び到達時間を推定し、ゲリラ豪雨が発生した場合には、河川の氾濫箇所又は道路の冠水箇所とその発生時間とを推定する。なお、危険地域及び危険時刻の情報を提供する場合には、センター9はこれら各情報を車両用装置7に送信する。
次に、センター9は、車両の位置情報を取得する(ステップS4503)。具体的には、危険推定部91bによって推定された危険地域内及びその周辺に存在する各車両の現在地情報を取得する。そして、経路算出部91cは、現在地情報を取得した各車両の避難経路を探索する(ステップS4504)。具体的には、経路算出部91cは、各車両の位置、走行速度、及び進行方向に基づいて各車両の動向を把握する。そして、経路算出部91cは、各車両の動向と、危険地域及び危険時刻とに基づいて(例えばマッチング処理を行って)、各車両が危険時刻までに危険地域を脱出できる経路を探索する。各車両が同じ時間帯に同じ道を走行することとなると、渋滞が発生し避難が円滑にできないが、センター9が全ての車両を最適分散処理にて集中制御して避難経路を探索することで、全車両の確実な避難が可能となる。そして、センター9は、各車両に対して、探索した避難経路を送信して(ステップS4505)、次の処理に進む(図45のF)。
次に、センター9は、避難情報を受信する(ステップS4601)。災害等が発生した際には、各避難者用端末81から避難情報が送信されているため、センター9は、これを受信する処理を行っている。そして、避難状況判断部91dは、受信した避難情報に基づいて、各避難者の避難状況を判断し、その結果に基づいて避難DB92eを作成する(ステップS4602)。避難DB92eには、避難者の個人情報や位置情報と、各避難者の避難状況(避難完了/未完了)とが対応付けられて記憶されており、各避難者の安否情報としても用いられる。
そして、支援者判断部91eは、避難DB92eの情報及び車両の位置情報に基づいて、避難支援者を決定する(ステップS4603)。これは、避難の支援を必要とする者がいる場合に、それらの者の避難支援が可能な者を決定する処理である。避難の支援を必要とする者とは、例えば、避難情報に避難困難者であることが登録されている避難者、避難情報から避難が困難な状況であると推定された避難者、及び、避難支援要請を送信した避難者等が挙げられる。
具体的には、支援者判断部91eは、避難DB92eの中から避難支援を必要とする者を抽出すると共に、その者が存在する位置付近を避難経路とする車両を抽出する。そして、支援者判断部91eは、それらの情報からマッチング処理を行い、避難支援可能者として抽出された車両に対して避難支援情報を送信する(ステップS4604)。送信する避難支援情報は、避難支援を必要とする者の個人情報(氏名、性別、電話番号等)と位置情報とを含んでおり、車両用装置7の表示部75に表示している地図上に重畳表示可能なデータである。
その後、センター9は、避難完了情報を取得して(ステップS4605)、次に進む(図46のG)。すなわち、センター9は、避難支援を必要とする者が避難を完了した場合には、その旨の情報を避難者用端末81から取得する。なお、避難支援を必要とする者が避難を完了していない場合には、その旨の情報は受信しない。
次に、情報判定部91aは、救援要請を受信したか否かを判断する(ステップS4701)。避難を要する危険な状況が過ぎた後においても、自力で避難できない者が救援要請を送信する場合がある。センター9は、このような場合に救援要請を取得することがあるためである。救援要請を受信していない場合には(ステップS4701でNo)、所定時間経過後に再度確認する。一方、救援要請を受信した場合には(ステップS4701でYes)、センター9は、受信した救援要請を救援者に送信する(ステップS4702)。救援者に送信する情報は、救援要請者の個人情報(氏名、性別、電話番号等)と位置情報とを含んでおり、救援者用端末85の表示部855に表示可能なデータである。
その後、センター9は、救援者及び避難者の現在地情報を取得して(ステップS4703)、救援者が避難者に接近したか否かを判断する(ステップS4704)。具体的には、センター9は、救援者及び避難者から取得した各現在地情報を比較して、救援者と避難者との距離を算出する。そして、算出した距離が所定の距離以下である場合に、接近したと判断する。所定の距離とは、上述のように、例えば、100m、500m、又は1km等であり、適宜設定することができる。
センター9は、救援者が避難者に接近していないと判断した場合には(ステップS4704でNo)、所定時間経過後に再度救援者及び避難者の位置情報を取得して接近しているか否かを判断する。一方、センター9は、救援者が避難者に接近していると判断した場合には(ステップS4704でYes)、避難者用端末81に接近情報を送信する(ステップS4705)。接近情報とは、救援者が接近していることを避難者用端末81に知らせる情報であり、避難者用端末81は、接近情報を受信すると音又は光を出力して存在を報知することとなる。
その後、センター9は、救援完了情報を取得して(ステップS4706)、処理を終了する。センター9は、救援要請者の救援が完了した場合には、その旨の情報を救援者用端末85から取得する。なお、救援要請者の救援が完了していない場合には、その旨の情報は取得しない。
このように、センター9は、著しい気象現象や災害が発生した際に、その危険地域や危険時間を推定し、対象となる全車両及び避難者の避難及び救援の指示を、集中的に制御することで、車両の適切な避難経路を探索できると共に、避難困難者及び救援要請者の救助活動を効率的に行うことが可能となり、被害を最小限に食い止めることができる。
<3−10.変形例>
以上の説明では、著しい気象現象や災害が発生した際に、主として避難及び救援を円滑に行うことができる例について説明したが、気象情報に基づいて危険な地域を避けた目的地設定を行うことも可能である。以下、このような目的地設定について説明する。
車両用装置7にて目的地を設定する際に、目的地情報及び到着予定時刻をセンター9に送信する。センター9は、災害情報の他にも気象情報を取得し、到着予定時刻における目的地付近の気象情報に基づいて危険地域を推定する。例えば、到着予定時刻の前後において大雨の予報があり、河川の氾濫又は道路の冠水が予想される場合には、危険地域であると推定する。センター9は、目的地が危険地域内であると推定した場合には、その地点を目的地候補から外したり、警告を出力して注意喚起をしたりする。
また、目的地周辺の気象情報のみならず、遠方の気象情報を用いて危険地域を推定してもよい。例えば、河川に隣接するキャンプ地を目的地設定する場合に、キャンプ地周辺の気象予報は概ね良好であったとしても、河川の上流で大雨が予想される場合には、そのキャンプ地を危険地域と推定する等である。
また、センター9は、車両用装置7の位置情報等を収集して解析することで豪雨情報のデータベースを作成してもよい。例えば、車両用装置7の位置情報を解析した結果、大雨時に冠水多発領域の前で各車両が停止している場合には、その領域では大規模な冠水が発生していると判断し、各車両の速度が低下している場合には、小規模な冠水が発生していると判断する等である。そして、これらの情報を年々蓄積することでデータベースを作成する。このデータベースは災害情報として活用できるため、目的地設定時の危険地域の推定に用いることもできる。
このように、気象情報又は災害情報に基づいて危険地域を推定し、予め目的地候補から外したり、警告することで、危険な状況を回避することが可能になる。
また、著しい気象現象や災害が発生した場合において、目的地が設定され、経路案内している車両に対しては、経路上及びその周辺に発生する危険な状況を報知する構成としてもよい。さらに、報知のみならず、危険地域を回避できる避難経路を提供する構成としてもよい。
また、目的地が設定されていない車両に対しても、狭域又は局所的災害(ゲリラ豪雨など)への対応を行う構成とすることができる。例えば、センターが、車両の走行履歴やヨーレートセンサ等の車両の方向を特定できる情報と、地図情報の道路情報とに基づいて、冠水ポイント(アンダーパス)などの危険箇所へ向かう車両のみに自動回避ルートを提供する等である。この場合、各車両は、車両の各種走行情報(走行履歴や各センサの出力等)を取得する手段を備え、目的地設定していない車両は、取得した各種走行情報を車両用装置からセンターに対して送信する。そして、センターがこれらの情報を用いて危険箇所へ向かう車両を特定し、特定した車両に対して回避ルートを判断して提供することとなる。
また、以上の各実施の形態の説明では、車両として、一般的な自動車を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、4輪の自動車の他にも、特殊車両、2輪車、自転車及び船舶にも用いることができる。特殊車両とは、例えば、トレーラーや大型トラック、バスである。また、2輪車とは、オートバイであり、スクーターも含まれる。また、自転車には、人力を動力とするものの他に、電動自転車も含まれる。また、船舶とは、船であり、大型・小型を問わない。
本発明を特殊車両に用いる場合には、4輪の自動車と同様にして実現することが可能である。また、2輪車及び自転車に用いる場合は、車両に嵌め込んで使用する形式の電子機器を用いることはないため、ユーザが所有する携帯型の電子機器を用いることになる。すなわち、携帯端末に上述した車両用装置の機能も持たせ、この携帯端末のみで実現することになる。
なお、2輪車及び自転車に用いる場合には、目的地の到着予測時間を算出するための速度として、2輪車用の速度及び自転車用の速度が用いられる。したがって、本発明が異なる複数の車両に対応している場合には、携帯端末には、到着予測時間を算出するために用いる速度として、異なる種類の車両に対応した速度が記憶されている。
また、2輪車及び自転車の避難経路を算出する際には、2輪車及び自転車を対象として最適分散処理にて集中制御して避難経路を探索する。したがって、センターは、位置情報を取得した車両の種類を特定する制御を行うと共に、異なる種類の車両毎に避難経路を探索する。例えば、自動車と自転車とでは、走行速度が異なり、また、渋滞の要因になる度合いも異なるためである。
また、本発明を船舶に用いる場合には、基本的な構成は、上記各実施の形態で説明した構成と同様である。ただし、船舶の場合は、海上を航行するものであり、道路等は存在しないため、航行に注意すべき情報とは、例えば、風や波のうねり等の情報となる。このため、センターは、船舶の位置情報と気象情報等に基づいて、海の情報を判断し、風が強く波が高い等の船舶が航行するのに注意を要すべき状況が発生している場合には、注意を喚起する情報を船舶に提供する。
また、津波等が発生した場合には、上記実施の形態と同様に、センターは、危険地域を判断して避難航路を算出し、船舶に提供する。また、目的地を設定した際においては、途中の気象情報や潮流、海流に基づいて最適な航路を算出する。これら避難航路の算出や目的地までの航路の算出には、海図を用いればよい。また、本発明を船舶に用いる場合には、船舶が海上に存在する際に行う処理となるため、通信に携帯電話網を使用することはできず、衛星通信が使用される。したがって、船舶を対象とした場合の携帯端末及びセンターの通信部は、衛星通信が可能な構成となる。
また、以上の説明では、車両を対象として説明していたが、本発明は車両を用いない構成としてもよい。例えば、ユーザが所持する携帯端末に上記各実施の形態で説明した、車両用装置及び携帯端末の機能を持たせ、同様の処理を行うことで、ユーザ自身が存在する位置周辺における歩行が困難な状況を把握したり、ユーザが徒歩で向かおうとしている目的地付近の天気情報を把握することができる。また、ユーザは、著しい気象現象や災害が発生した際に、危険地域から徒歩で避難する経路を把握することが可能になる。この場合、センターは、自動車や2輪車、徒歩等、種々の移動手段で避難する者に対して、各々適切な避難経路を提供することができるようになる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。また、上記各実施の形態は、適宜に組み合わせ可能である。
また、上記各実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。