JP2014009397A - 高炉の操業方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高炉で通常使用されるコークスと鉱石により混合層を形成し、軟化融着帯における通気性向上効果および鉱石の還元効率向上効果を最大限に発揮させ、安定かつ高効率で操業を行うことが可能な高炉の操業方法を提供する。
【解決手段】高炉炉頂から鉱石およびコークスを互層となるように高炉内へ装入するに際し、鉱石の装入バッチを2分割し、第1装入バッチに大塊コークスを70〜100kg/pt混合し、第2装入バッチに小塊コークスを最大50kg/pt混合し、第1バッチ、第2バッチの順で装入する。大塊コークスの粒径を65〜100mmとし、小塊コークスの粒径を15〜35mmとするのが望ましい。
【選択図】図8

Description

本発明は、高炉炉頂から鉱石を装入するに際し、この鉱石に小粒径コークスおよび大粒径コークスを混合し、炉内でコークス−鉱石混合層を形成することにより軟化融着帯の通気性および還元効率を向上させ、安定かつ高効率で高炉操業を行うことが可能な高炉の操業方法に関する。
高炉操業においては、一般に炉上部から、還元材・燃料としてのコークス、および鉄源としての焼結鉱、ペレット、塊鉱石など(以下、これらの鉄源を総称して「鉱石」という)が高炉内で互層となるように装入される。一方、炉下部の羽口から加熱空気が吹き込まれ、この加熱空気によって羽口前のコークスが燃焼消費され、還元ガスが生じる。これに伴って、鉱石は炉内を降下していき、炉下部から上昇する高温の還元ガスによって加熱、還元され、軟化溶融して銑鉄となる。銑鉄は炉内を滴下して炉下部に蓄積し、定期的に出銑口から取り出される。
高炉を安定かつ高効率に操業するには、炉内の通気性および還元効率を良好にする必要がある。炉内において、最も通気抵抗の大きい領域は、鉱石が軟化溶融し始めてから滴下するまでの領域(以下、この領域を「軟化融着帯」という)である。これは、この軟化融着帯で鉱石が軟化溶融し、相互に融着し合って融着層を形成することにより、ガスの通過できる空間が狭まり、炉内ガス流れに対する通気抵抗が大幅に増加するためである。また、軟化融着帯では、酸化鉄である鉱石が金属である銑鉄へと還元される反応が急速に進行しており、炉内の還元効率を支配している。したがって、炉内の通気性および還元効率を良好にするには、炉内の通気性と還元効率を支配する軟化融着帯の性状を良好に保つことが重要である。
軟化融着帯の通気性を向上させ、鉱石の還元効率を向上させる方法として、鉱石とコークスを混合して炉内に装入し、炉内においてコークス−鉱石混合層(以下、単に「混合層」ともいう)を形成する技術が開発されている。
この技術では、通気抵抗が大幅に増加する軟化融着帯において、軟化溶融しないコークスを鉱石中に混合することにより鉱石同士の融着を防止して、通気性を向上させる。また、鉱石の還元によって生じるCO2ガスが高濃度で存在する鉱石近傍にコークスを混在させることにより、コークスのソルーションロス反応(C+CO2→2CO)を促進させ、還元ガスであるCOガスを高濃度に維持し、鉱石の還元効率を向上させる。
さらに、混合層中のコークスが、混合層とは別層を形成しているコークス単独層(以下、「コークススリット」という)に先立ってソルーションロス反応により消費されるため、コークススリット内のコークスの当該反応による劣化(コークスの反応劣化)が抑制され、コークススリットの通気性も大幅に改善される。また、鉱石から発生したFeO系の融液が混合層中のコークスと接触することにより溶融還元反応(FeO+C→Fe+CO)が促進され、鉱石の還元効率を向上させる。
軟化融着帯における通気性向上効果を最大限に発揮させるには、個々の鉱石間に間隔を設けることにより鉱石同士の融着を防止し、ガス流れを向上させるという観点から、スペーサーとして大粒径のコークスを混合することが望ましい。一方、混合層形成による鉱石の還元効率向上効果を最大限に発揮させるには、混合層中のコークスの反応を促進させるという観点から、小粒径のコークスを混合することが望ましい。
また、混合層形成による通気性向上効果および鉱石の還元効率向上効果は、混合するコークス量が多いほど大きい。しかしながら、実際の高炉操業において、コークスを多量に混合して装入すると、ソルーションロス反応や溶融還元反応によって小粒径化した混合層中のコークスが、滴下帯においてコークススリットに進入し、コークススリットにおけるコークス平均粒径を低下させて通気性や通液性を悪化させ、高炉下部の圧力損失を増大させるという問題が生じる。そのため、混合するコークス量は、ソルーションロス反応や溶融還元によって軟化融着帯で反応消費が可能な量(50kg/銑鉄t程度、以下、この単位を「kg/pt」と表示する)を上限値としていた。
混合層へのコークス混合量を大幅に増加させる技術として、例えば、特許文献1に、鉱石に50kg/pt以上のコークスを混合する際、そのうちの50kg/ptまでは粒径を20mm以下とし、50kg/ptを超えて混合するコークスについては粒径を30mm以上とする高炉の原料装入方法が提案されており、120kg/ptのコークス混合量を達成している。
上記特許文献1に記載される方法は、大粒径のコークスを混合することで、反応によってコークス粒径が多少減少しても、コークススリットの通気性や通液性が阻害されない程度のコークス粒径を確保できるというものであり、コークス混合量を増加させつつ高炉下部の圧力損失増大の懸念を解消できるという点では有効であると考えられる。
また、特許文献2には、小粒径のコークスと大粒径のコークスを鉱石に混合して混合層を形成する技術が提案されている。この技術は、原料コークスから大塊コークスと粉粒コークスを篩分け分離して中塊コークスとし、該大塊コークスおよび粉粒コークスを鉱石中に混入して混合物とし、この混合物と中塊コークスとを交互に高炉に装入することを特徴とする高炉の原料装入方法である。前記大塊コークスは粒度65mm以上を90%以上含み、粉粒コークスは粒度30mm未満を90%以上含むものである。
しかしながら、特許文献1、2に記載される技術はともにコークスの粒度偏析(混合層に混入したコークスに粒度分布がある場合、コークス粒度が粗いものほど再分離しやすく、かつ炉中心に偏析する現象)を利用して、小粒径コークスを炉壁側に、大粒径コークスを炉中心側に配置し、ガスの中心流を強化する技術である。そのため、炉中心側では大粒径コークスのみ、炉壁側では小粒径コークスのみがそれぞれ混合層中に存在することとなり、混合層形成による還元効率向上効果および通気性向上効果が、炉内の半径方向位置によっては十分に発揮されない可能性がある。
特開平1−287212号公報 特許2752502号公報
鉄と鋼 Vol.87(2001)p350−p356
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、高炉で通常使用されるコークスと鉱石により混合層を形成し、軟化融着帯における通気性向上効果および鉱石の還元効率向上効果を最大限に発揮させ、安定かつ高効率で操業を行うことが可能な高炉の操業方法を提供することを目的としている。
本発明者らは上記課題を解決するために検討を重ねた結果、通気性向上効果を大粒径のコークスへ、混合層形成による還元効率向上効果を小粒径のコークスへとそれぞれ機能分担し、これらのコークスを、コークスと鉱石の混合層中で共存させることにより、通気性向上効果と還元効率向上効果を両立させ得ることを見出した。
すなわち、還元効率向上効果をもたらすソルーションロス反応や溶融還元反応等、コークスの粒径低下を伴う反応を優先的に小粒径のコークスに担わせることにより鉱石の還元効率の向上を図るとともに、大粒径のコークスおよびコークススリット中のコークスの反応劣化を抑制し、大粒径のコークスを融着帯下部まで存在させることにより、融着帯の通気性を改善することができる。なお、以下において、機能分担された大粒径のコークスおよび小粒径のコークスを、それぞれ大塊コークス、小塊コークスという。
本発明は上記の着想とそれから得られた知見に基づいてなされたものであり、その要旨は下記の高炉の操業方法にある。
すなわち、高炉炉頂から鉱石およびコークスを互層となるように高炉内へ装入するに際し、鉱石の装入バッチを2分割し、第1装入バッチに大塊コークスを70〜100kg/pt混合し、第2装入バッチに小塊コークスを最大50kg/pt混合し、第1バッチ、第2バッチの順で装入することを特徴とする操業方法である。
本発明の高炉の操業方法において、大塊コークスの粒径を65〜100mmとし、小塊コークスの粒径を15〜35mmとするのが望ましい。
本発明の高炉の操業方法において、第1バッチ、第2バッチの装入を、当該バッチにそれぞれ混合した大塊コークスと小塊コークスとが炉内半径方向において共存するように行うこととするのが望ましい。
ここで、「バッチ」とは、コークスおよび鉱石の装入に関し、各装入物を複数回に区切ることを意味する。
また、粒径について、例えば「粒径15〜35mm」とは、目開きが15mmの篩い網で篩い分けを行った場合の篩い上で、かつ目開きが35mmの篩い網で篩い分けを行った場合の篩い下に相当する粒径をいう。
本発明の高炉の操業方法によれば、コークスと鉱石の混合層形成による通気性向上効果および鉱石の還元効率向上効果を最大限に引き出すことができ、高炉下部の通気性と還元効率の向上を図ることができる。その結果、安定かつ高効率で操業を行うことが可能な高炉操業を実現することができる。
荷重軟化試験装置の概略構成を示す図である。 荷重軟化試験装置による試験で得られた大塊コークス混合比と高温通気抵抗指数KSとの関係を示す図である。 反応解析シミュレーターにおける導入ガス温度と鉱石還元率との関係を示す図である。 反応解析シミュレーターに用いたコークス−鉱石混合層を模式的に示す図で、(a)は小塊コークスを上層、大塊コークスを下層に配置した場合、(b)は小塊コークスを下層、大塊コークスを上層に配置した場合、(c)は小塊コークスと大塊コークスを均一混合して配置した場合である。 反応解析シミュレーターを用いて得られた還元時間とコークスガス化反応率、排ガス温度との関係を例示する図である。 反応解析シミュレーターを用いて得られた小塊コークスのガス化反応率に及ぼす混合コークス比の影響を示す図である。 反応解析シミュレーターを用いて得られた大塊コークス反応率と大塊コークス代表粒径との関係を示す図である。 コークス粒度分布図の一例に本発明の条件を重ねて示した図である。
本発明者らは、まず、混合層形成による通気性向上効果を最大限に発揮できるコークス−鉱石混合条件を調査するため、荷重軟化試験装置を用いて大塊コークス−鉱石充填層の通気性の調査を行った。
図1は、荷重軟化試験装置の概略構成を示す図である。図1に示すように、荷重軟化試験装置は、竪型電気炉1内に、装入物試料3を容れる黒鉛坩堝2を備え、坩堝2内の装入物試料3を上部の荷重制御装置6から荷重を加えつつ黒鉛発熱体5で加熱し、炉下部から還元ガス4を導入して装入物充填層の還元性、鉱石の還元効率を調査できるように構成されている。黒鉛坩堝2は、内径72mmで底部にロストルを備えている。
この荷重軟化試験装置を用い、大塊コークスと鉱石を模した装入物試料を黒鉛坩堝に装入し、充填層を形成した。
装入物試料としては、予備還元焼結鉱とコークスを使用した。予備還元焼結鉱は、粒径範囲が8.0〜10.0mmとなるように整粒した平均粒径が9.0mmの焼結鉱に、1000℃でCO、CO2ガスをそれぞれ8Nl(リットル)/min、5Nl/minの流量で、1.75時間流して作製した。また、コークスは、粒径範囲が16.0〜19.0mm、25.4〜31.7mm、または35.0〜38.0mmとなるように整粒した、平均粒径がそれぞれ17.5mm、28.5mm、36.5mmの3種類を準備した。なお、前記の「平均粒径」とは、篩い目開きの中間径(例えば35.0〜38.0mmの場合、(35.0+38.5)/2=36.5mmとなる)をいう。
表1に、装入物試料の充填条件を示す。本発明では、混合するコークス量は、コークス比(kg/pt)に換算した方が評価し易いため、鉱石に混合するコークス量を混合コークス比(kg/pt)の形で表記する。試験番号1から試験番号12では、混合コークス比を50、75、100または150kg/ptとし、コークス平均粒径を鉱石平均粒径で除した(コークス/鉱石)粒径比を1.94、3.17または4.05として、コークスと予備還元焼結鉱の充填層を形成した。ここで、コークスおよび予備還元焼結鉱の充填量は表1に示すとおりであり、「充填コークス量」の欄が充填層に混合装入した大塊コークス量である。なお、試験番号0では、混合コークス比が0の鉱石単独層を形成した。また、全ての試験で充填層層高を300mmとした。
試験では、N2雰囲気で試料を昇温し、試料温度が800℃に到達した後、坩堝上部から実炉平均荷重を模した98kPaを負荷した。本試験は、1200℃から溶融・滴下までの充填層の通気抵抗測定を主な目的としており、鉱石融着開始時の還元率を各試験間で等しくするため、各試験における鉱石還元率が試料温度1200℃で80%となるように、鉱石還元率の変化に応じて昇温速度・導入ガス組成を操作した。
試料温度が1200℃に到達した後は、4.6℃/minの昇温速度で昇温しながら、ガス流量制御装置10で、CO:13.8Nl/min、N2:16.2Nl/minの流量に制御したCO/N2混合ガスを還元ガス4として充填層内に導入し、1600℃まで昇温して鉱石を溶融・滴下させた。滴下物は、滴下試料受け皿9に回収した。
なお、本試験では大塊コークス混合による通気性改善効果に着目するため、コークスのガス化反応が鉱石の還元によって生じたCO2ガスのみとなるように、CO/N2混合ガスを導入した。
また、試験中は、排ガス分析装置(赤外分光計)12による排ガス11の組成(CO、CO2)、積算流量計による排ガス流量、ガス圧力測定装置8による充填層間の通気抵抗、変位計による充填層層高をそれぞれ測定した。
図2は、荷重軟化試験装置による試験で得られた大塊コークス混合比と高温通気抵抗指数KSとの関係を示す図である。同図中の縦軸は下記(1)式、(2)式により算出される高温通気抵抗指数KS(例えば、非特許文献1参照)であり、その値が小さいほど通気性が良好であることを示す。なお、図2中に示した「粒径比」とは、(コークス/鉱石)粒径比を意味する。
ここで、KSは高温通気抵抗指数、ΔP/ΔLは充填層全体の通気抵抗(Pa/m)、ρgはガス密度(kg/m3)、μgはガス粘度(kg/m/s)、ugはガス空塔流速(m/s)、Tは試料温度(℃)である。
ΔP/ΔLは、ガス圧力測定装置8による測定値を、試料高さで除した値である。
ρg(ガス密度)は、CO、N2のガス密度を供給ガス組成に応じて案分し、温度補正および圧力補正して算出したものである。
μg(ガス粘度)は、供給ガス組成、温度、圧力を考慮して算出したものである。
g(ガス空塔流速)は、ガス流量を温度補正および圧力補正して算出したものである。
T(試料温度)は、温度測定装置7による測定値である。
図2に示したように、大塊コークス混合比を増加させることによりKSの値は減少し、充填層の通気性が改善される。(コークス/鉱石)粒径比が3.17の大塊コークスを75kg/pt混合することにより、KSの値は混合コークス比0(無混合)のときと比べて1/4程度となり、通気性が大幅に改善された。また、粒径比が4.05のケースでも、大塊コークスを100kg/pt混合することにより、粒径比が3.17の大塊コークスを75kg/pt混合した場合と同等の通気性改善効果が得られた。
この通気性改善効果は、(コークス/鉱石)粒径比が3.17の場合に典型的に示されているように、大塊コークス混合比が75kg/pt付近から改善幅が小さくなり、100kg/ptを超えると飽和する傾向が認められることから、通気性改善を担う大塊コークスの混合量の上限値は100kg/pt程度と判断できる。
荷重軟化試験装置を用いた上記試験から、(コークス/鉱石)粒径比が3〜4程度の大塊コークスを70kg/pt以上、100kg/pt程度混合することにより、十分な通気性改善効果が得られると結論づけることができる。
本発明の高炉の操業方法において、鉱石の装入バッチを2分割し、第1装入バッチに大塊コークスを70〜100kg/pt混合することとするのは、上記試験の結果に基づくものである。
次に、混合層における小塊コークスと大塊コークスの機能分担を効果的に発揮させるためのコークスの配置条件の検討を行った。
小塊コークスと大塊コークスが共存する混合層において、大塊コークスによる通気性向上効果を最大限に発揮させるには、小塊コークスを優先的にガス化反応させて、大塊コークスの反応劣化を抑制する必要があるが、そのためには、小塊コークスと大塊コークスの粒径比や混合比のみならず、これらの鉱石層内配置の影響も考慮して適正な条件を設定する必要がある。
そこで、反応解析シミュレーターを用いて、小塊コークスおよび大塊コークスの配置条件を操作した際の小塊コークス、大塊コークスのガス化反応率を評価し、小塊コークスの優先反応消費と大塊コークスの反応劣化抑制を両立させるための配置構造を調査した。
評価に使用する反応解析シミュレーターは、コークス粒子を内包する鉱石充填層のガス流れおよび還元反応、ソルーションロス反応、伝熱挙動を解析する機能を有する一般的なものであり、実炉における混合層厚を前提にするとともに、充填層内の混合コークス粒子の幾何学的配置を具体的に設定した上で、反応に伴う熱の発生・移動を考慮して、混合層内の挙動を解析する、化学工学的な汎用解析手法である。
混合コークスのガス化反応が鉱石の還元に伴って進行するとの視点から、導入ガス条件をボッシュガス相当のCO/N2=39/61混合ガスとした。
図3は、反応解析シミュレーターにおける導入ガス温度と鉱石還元率との関係を示す図である。図3に示すように鉱石還元率に応じて導入ガス温度を操作し、鉱石還元率が90%に到達した時点で計算終了とした。
また、標準的な高炉操業条件である空塔速度41m/min(標準状態に換算)を導入ガス量とし、3種類の充填層を想定して計算した。
図4は、反応解析シミュレーターに用いたコークス−鉱石混合層を模式的に示す図で、(a)は小塊コークスを上層、大塊コークスを下層に配置した場合、(b)は小塊コークスを下層、大塊コークスを上層に配置した場合、(c)は小塊コークスと大塊コークスを均一混合して配置した場合である。図4はコークス粒子を内包する鉱石充填層を表しており、同図の(a)、(b)および(c)において、小塊コークスまたは大塊コークスの存在していない部分には、鉱石が充填されている。
ここで、鉱石は代表粒径20mmで組成を全てFeOとし、小塊コークスの代表粒径は25mmとし、小塊コークスの混合量は、前掲の特許文献1に記載されるように、1次元の高炉数式モデルによる検討結果から、コークスのソルーションロス反応および鉱石の溶融還元反応と、溶銑への浸炭により消費可能とされる上限値(50kg/pt)とし、大塊コークスの粒径および量を操作して、高炉内ソルーションロス反応活性温度域(1100℃〜1300℃)における充填層構造毎のコークスガス化反応率を計算した。なお、メッシュに分割された鉱石層空間へコークス粒子を配置する方法は任意性があるため、同一条件に対して具体的な粒子配置を複数ケース設定した。
図5は、反応解析シミュレーターを用いて得られた還元時間とコークスガス化反応率、排ガス温度との関係を例示する図で、混合コークス比120kg/pt(小塊コークス50kg/pt、大塊コークス70kg/pt)、大塊コークスの代表粒径75mmにおける均一混合状態(図4(C))の計算例である。縦軸に示すコークスの反応率に着目すると、小塊コークスの反応率に比べて大塊コークスの反応率は非常に小さく、小塊コークスが選択的にガス化反応で消費されていることがわかる。
図6は、反応解析シミュレーターを用いて得られた小塊コークスのガス化反応率に及ぼす混合コークス比の影響を示す図である。なお、図6では、図の上側に付記した大塊コークス混合比のスケールと対比させ、横軸の混合コークス比を「(小塊+大塊)コークス混合比」と表示している。両スケールの対比から、小塊コークス混合比は50kg/ptであることがわかる。
小塊コークスを混合層の上部に配置した場合(図4(a)参照)、小塊コークス反応率は(小塊+大塊)コークス混合比(すなわち、混合コークス比)の増加とともに減少傾向を示すものの、下部配置(図4(b))または均一混合配置(図4(c))の場合の結果と比べて高い反応率を維持している。この結果から、小塊コークスを混合層の上部に配置することにより還元材としての効果を最大限に発揮できることがわかる。また、小塊コークスのガス化反応率が高く、反応量が多いということは、その分コークススリットにおけるコークスの劣化抑制効果も大きいということであり、コークススリットを健全に維持するためにも、小塊コークスは混合層の上部に配置することが望ましい。
図7は、反応解析シミュレーターを用いて得られた大塊コークス反応率と大塊コークス代表粒径との関係を示す図である。
大塊コークス代表粒径を大きくとることによって、自身のガス化反応を抑制できる。さらに、大塊コークスを混合層の下部に配置(図4(a)参照)することが、大塊コークスの反応劣化抑制に効果的であることがわかる。
以上のことから、小塊コークスを混合層の上部に配置し、大塊コークスを混合層の下部に配置することで、小塊コークスによる還元効率向上効果を最大限に発揮させると同時に、大塊コークスの反応劣化を極力抑えることができ、大塊コークスによる通気性向上効果も最大限に引き出せる。
本発明の高炉の操業方法において、鉱石の装入バッチを2分割し、第1装入バッチに大塊コークスを混合し、第2装入バッチに小塊コークスを混合して、第1バッチ、第2バッチの順で装入することとするのは、上記試験の結果に基づくものである。この順で装入することにより、小塊コークスを混合層の上部に配置し、大塊コークスを混合層の下部に配置することなり、上記還元効率向上効果および通気性向上効果を最大限に引き出すことが可能となる。
さらに、本発明の高炉の操業方法においては、第2装入バッチに小塊コークスを最大50kg/pt混合することを規定しているが、これは、前述のように、特許文献1に記載される上限値を採ったものである。
なお、実際に混合可能なコークスの量および粒径は、実高炉におけるコークス粒度分布に応じて決定される。
図8は、コークス粒度分布図の一例に本発明の条件を重ねて示した図である。同図中の実測点(○印)を結ぶ折れ線で模式的に示したコークス粒度分布において、コークス比を350kg/pt(この場合のコークスは、混合コークス+スリットコークスである)と仮定する。また、鉱石平均粒径を20mmとすると、前記の図2から、粒径比3〜4の大塊コークスが通気性改善に適していると認められるので、通気性改善効果を発揮する大塊コークスの適正粒径は60〜80mm(20mm×3〜20mm×4)となる。
図8から、大塊コークスは前記適正粒径の大部分を含む、粒径65〜100mmの範囲で概ね100kg/ptを確保でき、小塊コークスは、装入するコークスの粒度分布にもよるが、粒径15〜35mmの範囲で上限の50kg/ptまで確保可能とみることができる。すなわち、現状の高炉で通常使用されるコークスから、混合コークスの上限適正量(大塊コークスについては100kg/pt、小塊コークスについては50kg/pt)を、適正な粒径範囲で採取可能であることがわかる。
本発明の高炉の操業方法において、大塊コークスの粒径を65〜100mmとし、小塊コークスの粒径を15〜35mmとする実施の形態が望ましいとするのは、上述したように、それぞれ粒径をこの範囲とすることにより、大塊コークスおよび小塊コークスのいずれについても、その上限適正量まで混合して通気性向上効果および還元効率向上効果を最大限に引き出すことが可能となるからである。なお、前記粒径範囲は、大塊コークスおよび小塊コークスのいずれか一方が満たしていてもよく、相応の効果が期待できる。
本発明の高炉の操業方法においては、第1バッチ、第2バッチの装入を、当該バッチにそれぞれ混合した大塊コークスと小塊コークスとが炉内半径方向において共存するように行うこととする実施の形態が望ましい。
小塊コークスが混合層上部に、大塊コークスが混合層下部に存在する混合層を形成することにより、大塊コークスと小塊コークスとを共存させ、小塊コークスによる還元効率向上効果を最大限に発揮させると同時に、大塊コークスによる通気性向上効果も最大限に引き出せることは、前記図6および図7に示したとおりであるが、このような混合層を炉内半径方向において形成することができれば、炉内全体にその効果を及ぼすことが可能となる。
小塊コークスが混合層上部に、大塊コークスが混合層下部に存在する混合層を形成するには、2分割した鉱石バッチに小塊コークスと大塊コークスをそれぞれ混合し、前述のように、大塊コークスを混合した鉱石バッチを先に装入し、小塊コークスを混合した鉱石バッチを後に装入すればよい。
炉内半径方向において小塊コークスと大塊コークスを共存させるには、斜面上のコークス粒度偏析を抑制して炉内半径方向におけるコークスの堆積位置を制御することが考えられる。そのためには、例えば斜面上のコークス粒度偏析が極力生じないよう先にコークスを単独装入してフラットな炉内原料分布を形成し、次に大塊コークスを混合した鉱石バッチを炉内半径方向で均一になるよう装入し、最後に小塊コークスを混合した鉱石バッチを炉内半径方向で均一になるように装入すればよい。
以上説明したように、本発明の高炉の操業方法によれば、コークスと鉱石の混合層を形成することによる通気性向上効果および鉱石の還元効率向上効果を最大限に引き出すことができる。これにより、高炉下部の通気性と還元効率の向上を図り、安定かつ高い還元効率で操業を行うことが可能になる。
本発明の効果を確認するため、高炉内の反応、流動、伝熱を考慮した高炉トータルシミュレーターを用いて検証計算を行った。
計算条件として、内容積が2700m3の高炉を想定し、混合コークス比を20kg/ptとした従来操業(比較例1)、小塊コークス(50kg/pt)と大塊コークス(100kg/pt)を鉱石1バッチに混合して装入する操業(比較例2)、および、小塊コークス(50kg/pt)と大塊コークス(100kg/pt)を2分割した鉱石装入バッチにそれぞれ混合し、小塊コークスが混合層上部に、大塊コークスが混合層下部にそれぞれ存在するように装入する操業(本発明例)を設定した。
また、比較例2および本発明例の計算では、混合層形成による通気性および還元効率向上効果が最大限に発揮されるよう、炉内の全鉱石は小塊コークスおよび大塊コークスによって混合層を形成すると仮定した。なお、送風量、酸素富化率、送風温度、送風湿分、微粉炭吹込み量を共通の計算前提条件とし、溶銑温度が全ての計算結果で等しくなるようコークスと鉱石の質量比を操作して計算した。
表2に計算結果を示す。表2において、「ガス利用率」とは、下記(3)式で表されるCOガス利用率であり、鉱石の還元効率の良否を判断することができる。
COガス利用率={CO2/(CO2+CO)}×100 ・・・(3)
また、「PC比」とは、銑鉄1トン当たりに換算した羽口からの微粉炭吹込み量である。
混合コークス比を150kg/pt(小塊コークス50kg/pt、大塊コークス100kg/pt)に増加させた比較例2および本発明例では、いずれも比較例1と比べて圧力損失の大幅な低減が見られた。また、本発明例では、圧力損失の低減だけではなく、ガス利用率も大幅に増加した。
以上の高炉トータルシミュレーターによる検証の結果、コークススリット量の低下による通気性悪化の可能性を考慮した上でも、本発明の高炉の操業方法が炉内の通気性の向上に大きく寄与することがわかった。また、小塊コークスと大塊コークスが共存するコークスと鉱石の混合層を形成することにより、炉内通気性と鉱石の還元効率の両方で大きな改善効果が得られることが確認できた。
本発明の高炉の操業方法によれば、コークスと鉱石の混合層を形成することにより、炉内の通気性と鉱石の還元効率の両方を向上させる操業を行うことができる。したがって、本発明は、高炉の操業に有効に利用することができる。
1:竪型電気炉、 2:黒鉛坩堝、 3:装入物試料、
4:還元ガス、 5:黒鉛発熱体、 6:荷重制御装置、
7:温度測定装置、 8:ガス圧力測定装置、 9:滴下試料受け皿、
10:ガス流量制御装置、 11:排ガス、 12:排ガス分析装置

Claims (3)

  1. 高炉炉頂から鉱石およびコークスを互層となるように高炉内へ装入するに際し、
    鉱石の装入バッチを2分割し、第1装入バッチに大塊コークスを70〜100kg/pt混合し、
    第2装入バッチに小塊コークスを最大50kg/pt混合し、
    第1バッチ、第2バッチの順で装入することを特徴とする高炉の操業方法。
  2. 前記大塊コークスの粒径を65〜100mmとし、
    前記小塊コークスの粒径を15〜35mmとすることを特徴とする請求項1に記載の高炉の操業方法。
  3. 前記第1バッチ、第2バッチの装入を、当該バッチにそれぞれ混合した大塊コークスと小塊コークスとが炉内半径方向において共存するように行うことを特徴とする請求項1に記載の高炉の操業方法。
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