JP2014009164A - プロテオグリカンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】魚類、軟体動物、鳥類又は哺乳類等、特にそれらの廃棄部位から低コストで経口摂取可能なプロテオグリカンをコンドロイチン硫酸糖鎖構造を破壊することなく製造する方法の開発を課題とするものである。
【解決手段】プロテオグリカンを含有する生物学的試料を界面活性剤の水溶液に浸漬する工程、及び浸漬後の溶液を回収する工程を含む、プロテオグリカンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、医薬品原料、医療用品材料、化粧品原料、食品材料、工業用材料等として有用なプロテオグリカンを、プロテオグリカンを含有する生物学的試料、例えば魚類、軟体動物、鳥類及び哺乳類の軟骨組織から抽出し、製造する方法に関する。
プロテオグリカンは、1本のコアタンパク質に数本から数十本の直鎖状の糖鎖が共有結合してなる、非常に複雑かつ多種の構造を有する糖タンパク質の総称であり、軟骨組織に存在するプロテオグリカンに含まれる糖鎖の代表的なものがコンドロイチン硫酸である。
コンドロイチン硫酸は、保湿性、生体適合性あるいは潤滑性に優れる等の高い有用性から産業上注目されている成分であり、天然資源からの効果的な回収、製造法が種々開発されている。
軟骨組織においては、コンドロイチン硫酸はそれ自体単独では存在せず、タンパク質と共有結合を介して形成された複合体すなわちプロテオグリカンの形で存在している。しかし、プロテオグリカンをそのまま抽出することは糖タンパク質複合体という複雑な構造故に困難な場合が多く、そのためプロテオグリカンのコアタンパク質部分を徹底的に分解してコンドロイチン硫酸のみを抽出しようという方法が主に採用されてきた。この方法の製造物はコンドロイチン硫酸等のムコ多糖類である。
一方、コンドロイチン硫酸としてではなく、プロテオグリカンそのままを回収、製造し利用する試みもなされている。特に、魚類、鳥類及び哺乳類の軟骨組織には、コンドロイチン硫酸を主要糖鎖とするプロテオグリカンが含まれている一方、これらの軟骨組織は通常廃棄処分となっていたことから、廃棄物の有効利用を兼ねた軟骨組織からのプロテオグリカンの製造法が幾つか提唱されている。
例えば、サケ鼻軟骨からグアニジン塩酸を用いてプロテオグリカンを抽出する方法(特許文献1)や酢酸を用いる方法(特許文献2)、アルカリを用いる方法(特許文献3)等の方法が報告されている。しかしこれまでの方法は、いずれも抽出、精製コストが高い、あるいはプロテオグリカンの糖鎖構造が破壊されるなど、残念ながら未だ実用化のレベルに達しているとは言えない。
特開2001−172296号公報 特開2002−69097号公報 特許第4219974号
本発明は、魚類、軟体動物、鳥類又は哺乳類等、特にそれらの廃棄部位から低コストで経口摂取可能なプロテオグリカンをその糖鎖構造を破壊することなく製造する方法の開発を課題とするものである。
本発明者らは、界面活性剤の水溶液、特に食品添加物として認可されているサポニン、レシチンあるいはスークロース脂肪酸エステル等の水溶液を使用することにより、糖タンパク質複合体であるプロテオグリカンを効率よく軟骨組織その他のプロテオグリカンを含有する生物学的試料から回収することができることを見出し、下記の各発明を完成した。
(1)プロテオグリカンを含有する生物学的試料を界面活性剤の水溶液に浸漬する工程、及び浸漬後の溶液を回収する工程を含む、プロテオグリカンの製造方法。
(2)界面活性剤がサポニン、レシチン若しくはスークロース脂肪酸エステル、又はこれらの混合物である、(1)に記載の製造方法。
(3)回収した溶液からプロテオグリカンを分離する工程をさらに含む、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)プロテオグリカンを含有する生物学的試料が、魚類、軟体動物、鳥類若しくは哺乳類の軟骨組織、筋肉繊維又は皮である、(1)〜(3)の何れかに記載の製造方法。
(5)プロテオグリカンを含有する生物学的試料が、魚類、鳥類又は哺乳類の軟骨組織である、(4)に記載の製造方法。
本発明は、従来の抽出方法に比べ、プロテオグリカンを未変成、未分解の状態で簡便かつ短時間で回収することができ、プロテオグリカンの製造コストを大きく減ずることができる。
また、本発明の方法は、本来廃棄処分とされてきた魚類、鳥類及び哺乳類などの廃棄部位から産業上有用性の高いプロテオグリカンを回収することができ、産業廃棄物の有効利用並びに産業廃棄物自体の減量化にも貢献することができる。
また、好ましい態様の本発明では高温で抽出するため、組織内に内包しているタンパク質分解酵素を失活させるためのタンパク質分解酵素阻害剤(インヒビター)の添加を必ずしも必要としない。かかるインヒビターの効果は全てのタンパク質分解酵素に有効ではない上に、インヒビター自身が人体に有害なものが多く、食品材料としてのプロテオグリカンを製造するに当たり、インヒビターを使用することは好ましくないが、本発明はインヒビターを必要とはせず、従って上記の問題を回避することが可能である。
本発明は、プロテオグリカンを含有する生物学的試料を界面活性剤の水溶液に浸漬する工程、及び浸漬後の溶液を回収する工程を含む、プロテオグリカンの製造方法である。
本発明は、一般に熱やアルカリに不安定なタンパク質を含むプロテオグリカンを、界面活性剤、好ましくは食品添加物である界面活性剤、特に好ましくはサポニン、レシチン若しくはスークロース脂肪酸エステル単体、あるいはこれらの混合の水溶液を用いるという新しい発想の下に抽出、製造する方法である。
本発明においては、プロテオグリカンとして任意のプロテオグリカンが使用できる。プロテオグリカンは酸性多糖であるグリコサミノグリカンとタンパク質の複合体であるが、コアタンパク質とそのタンパク質に結合している糖鎖の結合力がタンパク質のセリン残基あるいはスレオニン残基を介したO−グリコシド結合であるためアルカリに対して弱く、簡単に分離してしまう性質を有している。そのため、その抽出や精製は一般に極めて困難であり、タンパク質だけからなるコラーゲンや糖質だけからなるコンドロイチン硫酸などの抽出とは異なる注意が必要である。このため、従来技術は、工程が複雑になる、あるいは手作業を伴う部分が多いなど、大量生産に向かないものであった。
本発明においては、界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両面界面活性剤及び非イオン界面活性剤の任意の界面活性剤が使用できる。界面活性剤として、食品添加物又は食品用乳化剤として承認されている、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、スークロース脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、大豆リン脂質(レシチン)、サポニン等が好ましく、特に好ましくは、サポニン、レシチンあるいはスークロース脂肪酸エステル単体、あるいはこれらの混合物である。
スークロース脂肪酸エステルには、スークロース1分子に脂肪酸1分子が付加してできるショ糖脂肪酸モノエステル、脂肪酸2分子が付加してできるジエステル、脂肪酸3分子が付価してできるトリエステルが含まれ、理論上は、脂肪酸8分子の付加したオクタエステルまで存在し得るが、食品用に適するのは、モノエステル、ジエステル、トリエステル及びこれらの混合物である。スークロース脂肪酸エステルとしては、エマルジョンの乳化安定性の観点から、好ましくはHLB13〜19、特に14〜19、最適にはHLB値19のスークロース脂肪酸エステルである。エマルジョンコストの低減の観点も加えれば、モノエステルとジエステルとトリエステルの混合物(以下、スークロース脂肪酸混合エステルという)が望ましく、特にHLB値14〜16のスークロース脂肪酸混合エステルとHLB19のスークロース脂肪酸モノエステルとの混合物が望ましい。脂肪酸としては、好ましくは炭素数10〜22、さらに好ましくは炭素数12〜18の飽和又は不飽和脂肪酸である。なかでも、炭素数12の飽和脂肪酸であるラウリン酸が好ましい。
レシチンには、植物レシチン、分別レシチン、卵黄レシチン、酵素処理レシチン、酵素分解レシチン等が含まれる。レシチンとしては、HLB値3〜4の植物性レシチンが好ましい。
サポニンには、キラヤサポニン、大豆サポニン、茶サポニンなどが含まれ、キラヤサポニンが好ましい。
本発明は、プロテオグリカンを含む生物学的試料、例えば魚類、軟体動物、鳥類若しくは哺乳類の軟骨組織、筋肉繊維又は皮に対して適用することができるが、軟骨組織への適用が好ましい。本発明において使用される軟骨組織は、魚類、鳥類及び哺乳類、特にそれらの廃棄部位のいずれも利用することができる。本発明において軟骨組織とは、軟骨単独あるいは軟骨の周辺部位、例えば骨、筋肉繊維、皮等を含む組織のいずれも意味する。
本発明においては、一般に流通しているヨシキリザメ、アオザメなどの軟骨魚類のヒレ、軟骨部分に対する利用はもちろん、特に一般に氷頭とよばれている、サケの頭部にその平均重量で約6%含まれている鼻軟骨組織の利用が好ましい。北海道沿岸部で漁獲されたサケ(大半はシロサケである。)が、様々な加工品として処理される際、その頭部は不要とされることが多く、そのため切断された頭部は、一部魚粉に加工され利用されてはいるものの、その大半は産業廃棄物として廃棄処理されている。氷頭はその様な廃棄物から簡便、安価かつ安定的に入手することができる。
本発明では、氷頭の他、エイの軟骨組織、サメの軟骨組織等の魚類由来の軟骨組織、ニワトリの軟骨組織等の鳥類の軟骨組織、さらにはウシの喉軟骨や気管支軟骨、クジラの軟骨等の哺乳動物由来の軟骨組織も利用することができる。さらに、軟体動物であるイカやタコの表皮・軟骨組織にもプロテオグリカンが存在することが知られており、これら軟体動物の表皮・軟骨等も本発明で利用することができる。また哺乳動物血液中には硫酸を殆ど含まないコンドロイチン・タンパク質複合体(ビクニン)が存在しており、またこのコンドロイチンは哺乳動物血液中のムコ多糖のほぼ100%を占めることが報告されている(Salier J.P., Rouet P., Raguenez G., Daveau M.: The inter-alpha-inhibitor family: from structure to regulation Biochem. J., 315, 1-9, 1996)ことから、哺乳動物の血液由来コンドロイチンは本発明におけるプロテオグリカンを含む生物学的試料の一例として有用である。上記のプロテオグリカンを含む生物学的試料の多くも産業廃棄物であり、その入手は容易である。これらの原料は、次に説明する界面活性剤水溶液への浸漬に先だって、表面積を増加させてプロテオグリカンの抽出量を上げるために、可能な限り細かく破砕すること、脱脂することなどの前処理を行なうことが好ましい。
本発明で使用する界面活性剤の中でも、プロテオグリカンの抽出効率、後処理の簡便さ等から、スークロース脂肪酸エステル類の使用が好ましく、特にスークロース脂肪酸エステル(C12)の使用が好ましい。
界面活性剤、例えばサポニン、レシチン若しくはスークロース脂肪酸エステル又はこれらの混合物の水溶液の界面活性剤濃度は、好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。浸漬時間は、適宜設定できるが、例えば0.1〜2重量%の界面活性剤、例えばサポニン、レシチン若しくはスークロース脂肪酸エステル、又はこれらの混合物の水溶液を用いた場合の浸漬時間は、10時間以上とすることが好ましい。また2〜5重量%の界面活性剤、例えばサポニン、レシチン若しくはスークロース脂肪酸エステル又はこれらの混合物の溶液を用いる場合の浸漬時間は、12時間程度とすることが好ましい。これらの条件により、より高分子のプロテオグリカンを回収、製造することができる。
界面活性剤の水溶液への生物学的試料の浸漬は、好ましくは30℃〜100℃、より好ましくは40℃〜80℃、特に好ましくは50℃〜70℃で行う。特に、浸漬温度を50℃〜60℃とすることにより、プロテオグリカンは、殆ど分解されず、高分子の糖タンパク質複合体として抽出することができる。
浸漬は、軟骨1重量部に対して界面活性剤の水溶液、例えばサポニン、レシチン又はスークロース脂肪酸エステル又はこれらの混合物の水溶液を好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜30重量部、さらに4〜20重量部、特に好ましくは6〜15重量部を用いて行う。好ましくは、ミキサーあるいはスターラーなどを用いて攪拌しながら浸漬する。
軟骨組織からのプロテオグリカンの抽出は、例えばカルバゾール法(Johnら、ANALYTICAL BIOCHEMISTRY、1967年、第19巻、第119-132頁)によってウロン酸量を検出ないし定量することでモニターすることができるが、その他公知の方法によってウロン酸を検出し、モニターしてもよい。
浸漬が終了した界面活性剤の水溶液は、プロテオグリカンを抽出した後の残渣を多く含むので、これらを濾過、遠心分離その他の方法で取り除くことが好ましい。プロテオグリカンを含む抽出液はそのまま製品として利用してもよいが、プロテオグリカンの各種用途に対して求められる純度にまで適当な方法でプロテオグリカンを分離ないし精製することが好ましい。
本発明において、プロテオグリカンの精製方法としては公知の方法を使用でき、格別の方法を要するものではないが、好ましい方法として遠心分離法を挙げることができる。遠心分離操作によって、細かい固形物を沈殿残渣として簡便に除去することができる。
また、遠心分離法によって回収されるプロテオグリカンを含む液相を、さらにフィルターペーパーあるいは適当な分画分子量を有する限外濾過膜分離装置などを用いて濾過してもよい。排除分子量としては概ね5万〜100万の範囲であればよい。この操作において、分画分子量50万以上のものを使用すれば、液相からコラーゲンも除去することができ、プロテオグリカンの純度を上げることが可能である。また、プロテオグリカンを含む液相に水を加えて液相の粘度を下げることで、膜の通過を容易にするとともに、これを繰り返すことで、わずかに生じる原料由来の特異臭を除去することも可能である。
さらに、得られた濃縮液を食塩飽和エタノールに加えることで、ゲル状のプロテオグリカンを回収することもできる。このゲル状プロテオグリカンは真空凍結乾燥機を用いて固形物にしてもよい。あるいは、スプレードライヤーで乾燥させ、粉末状固形物とすることもできる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
−40℃で冷凍保管したアオザメから摘出した軟骨を電動のミートチョッパーで細かく破砕しミンチ状にしたものを200.00g用意し、出発原料とした。5リットルの抽出用容器にあらかじめ0℃に冷却しておいた蒸留水2376.0gを入れ、さらに固形のスークロース脂肪酸エステル(C12;HLB14〜18)24.0gを投入し、総量2400.00g(1.0重量%)のスークロース脂肪酸エステル水溶液を準備した。この抽出用容器に出発原料200.00gを投入し、スターラーを用いて攪拌しながら、12時間浸漬した。
浸漬終了後、内容物を1mm角のステンレススチール製こし器をセットした別の容器に移し、プロテオグリカンを含む抽出液を回収した。
抽出液をIWAKI CFS−400型の遠心分離機を用いて1500×g、30分の遠心分離を行い、固形分ならびに油脂分を除去して、プロテオグリカンを含む液相を回収した。
さらにこの液相を、フィルターペーパー(アドバンテック社製)を用いて濾過し、濾液の6倍量の蒸留水を加えた後、日本ミリポア製 PREP/SCALE TFF膜(分画分子量10万)を用いて分画と濃縮を同時に行った。
得られた濃縮液の一部を採取し、液中の固形分重量を測定した。測定は、乾燥炉(YAMATO DX401)により、105℃、16時間乾燥させ、完全に水分を蒸発させた後、残った固形分をデジタル計量器(A&D社 GF−400)で精密に測定した。その結果、200.00gの出発原料から、換算値でその2.75%に相当する5.5gの乾燥固形分を得ることができた。
また、濃縮液をアミノ酸自動分析装置(日立製作所社製、L−8500 Amino Acid Analyzer)を用いてアミノ酸量を測定することで濃縮液中のコラーゲン量を定量するとともに、カルバゾール法によりウロン酸量を定量してプロテオグリカン量を計算した。
さらに高速液体クロマトグラフィ装置(島津製作所、カラムAsahipak)を用いて、プロテオグリカンの分子量を測定した。
これらの分析の結果、固形分中にタンパク質35.0%、灰分21.5%、炭水化物42.9%、脂質0.6%が存在することが判った。特許文献1によれば、プロテオグリカンのコアタンパク質の重量比は約7.0%と記載されており、従って本発明におけるプロテオグリカンは、炭水化物が約42.9%であることから計算して、純度は約46%と推定される。またプロテオグリカンの分子量は約200万であった。
上記の実施例1に示す操作において、スークロース脂肪酸エステル溶液の濃度を0.1%、5.0%、10%に変えて24時間浸漬、抽出を行ったときのプロテオグリカンの回収量(ウロン酸量)の経時変化を調べた結果、ほぼ同様な結果が得られた。また、上記の実施例1に示す操作において、スークロース脂肪酸エステルを0.666Nの酢酸に変えて24時間浸漬、抽出を行ったときのプロテオグリカンの回収量(ウロン酸量)の経時変化を調べた結果、実施例1に比べて劣った。
<実施例2>
−40℃で冷凍保管したシロサケの頭部から摘出した鼻軟骨を電動のミートチョッパーで細かく破砕しミンチ状にしたものをアセトンに浸漬し、鼻軟骨から脱脂及び脱水を行った。処理後の鼻軟骨を通風又は減圧乾燥したもの24.00gを出発原料とした。5リットルの抽出用容器にあらかじめ5℃に冷却しておいた蒸留水2970.0gを入れ、さらに実施例1で使用した固形のスークロース脂肪酸エステル30.0gを投入し、総量3000.00g(1.0重量%)のスークロース脂肪酸エステル水溶液を準備した。この抽出容器に出発原料24.00gを投入し、スターラーを用いて攪拌しながら、12時間浸漬した。
浸漬終了後、内容物を1mm角のステンレススチール製こし器をセットした別の容器に移し、鼻軟骨を除去して、プロテオグリカンを含む抽出液を回収した。
抽出液を日立himacCF7D2型の遠心分離機を用いて3000rpm、20分の遠心分離を行い、固形分ならびに油脂分を除去して、プロテオグリカンを含む液相を回収した。
さらに、この液相をフィルターペーパー(アドバンテック社製)を用いて濾過し、濾液の6倍量の蒸留水を加えた後、日本ミリポア製 BIOMAX 100K POLYETHERSULFONE(分画分子量10万)を用いて分画と濃縮を同時に行った。
得られた濃縮液の一部を採取し、液中の固形分重量を測定した。測定は、乾燥炉(YAMATO DX401)により、105℃、16時間乾燥させ、完全に水分を蒸発させた後、残った固形分をデジタル計量器(A&D社 GF−400)で精密に測定した。その結果、24.00gの出発原料から、換算値でその22.21%に相当する5.50gの乾燥固形分を得ることができた。
また、濃縮液をアミノ酸自動分析装置(日立製作所社製、L−8500 Amino Acid Analyzer)を用いてアミノ酸量を測定することで濃縮液中のコラーゲン量を定量するとともに、ガランボス法によりウロン酸量を定量してプロテオグリカン量を計算した。さらに高速液体クロマトグラフィ装置(島津製作所、カラムTSK−GEL G4000PWXL)を用いて、プロテオグリカンの分子量を測定した。
これらの分析の結果、固形分中にタンパク質14.8%、灰分18.4%、炭水化物64.8%、脂質0.0%が存在することが判った。また、プロテオグリカンの分子量は約130万であった。
<実施例3>
−40℃で冷凍保管したシロサケの頭部から摘出した鼻軟骨を電動のミートチョッパーで細かく破砕しミンチ状にしたものをアセトンに浸漬し、鼻軟骨から脱脂及び脱水を行った。処理後の鼻軟骨を通風又は減圧乾燥したもの17.90gを出発原料とした。5リットルの抽出用容器にあらかじめ5℃に冷却しておいた蒸留水2495.0gを入れ、さらに固形のキラヤサポニン5.0gを投入し、総量2500g(0.2重量%)のサポニン水溶液を準備した。この抽出容器に出発原料17.90gを投入し、スターラーを用いて攪拌しながら、12時間浸漬した。
浸漬終了後、内容物を1mm角のステンレススチール製こし器をセットした別の容器に移し、鼻軟骨を除去して、プロテオグリカンを含む抽出液を回収した。
抽出液を日立himacCF7D2型の遠心分離機を用いて3000rpm、20分の遠心分離を行い、固形分ならびに油脂分を除去して、プロテオグリカンを含む液相を回収した。
さらに、この液相をフィルターペーパー(アドバンテック社製)を用いて濾過し、濾液の6倍量の蒸留水を加えた後、日本ミリポア製 BIOMAX 100K POLYETHERSULFONE(分画分子量10万)を用いて分画と濃縮を同時に行った。
得られた濃縮液の一部を採取し、液中の固形分重量を測定した。測定は、乾燥炉(YAMATO DX401)により、105℃、16時間乾燥させ、完全に水分を蒸発させた後、残った固形分をデジタル計量器(A&D社 GF−400)で精密に測定した。その結果、17.90gの出発原料から換算値でその18.41%に相当する3.29gの乾燥固形分を得ることができた。
また、濃縮液をアミノ酸自動分析装置(日立製作所社製、L−8500 Amino Acid Analyzer)を用いてアミノ酸量を測定することで濃縮液中のコラーゲン量を定量するとともに、ガランボス法によりウロン酸量を定量してプロテオグリカン量を計算した。さらに高速液体クロマトグラフィ装置(島津製作所、カラムTSK−GEL G4000PWXL)を用いて、プロテオグリカンの分子量を測定した。
これらの分析の結果、固形分中にタンパク質17.0%、灰分22.4%、炭水化物60.6%、脂質0.0%が存在することが判った。また、プロテオグリカンの分子量は約120万であった。
本発明は、従来の抽出方法に比べ、プロテオグリカンを未変成、未分解の状態で簡便かつ短時間で回収することができ、プロテオグリカンの製造コストを大きく減ずることができ、また、本来廃棄処分とされてきた魚類、鳥類及び哺乳類などの廃棄部位から産業上有用性の高いプロテオグリカンを回収することができ、産業廃棄物の有効利用並びに産業廃棄物自体の減量化にも貢献することができる。

Claims (5)

  1. プロテオグリカンを含有する生物学的試料を界面活性剤の水溶液に浸漬する工程、及び浸漬後の溶液を回収する工程を含む、プロテオグリカンの製造方法。
  2. 界面活性剤がサポニン、レシチン若しくはスークロース脂肪酸エステル、又はこれらの混合物である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 回収した溶液からプロテオグリカンを分離する工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. プロテオグリカンを含有する生物学的試料が、魚類、軟体動物、鳥類若しくは哺乳類の軟骨組織、筋肉繊維又は皮である、請求項1〜3の何れかに記載の製造方法。
  5. プロテオグリカンを含有する生物学的試料が、魚類、鳥類又は哺乳類の軟骨組織である、請求項4に記載の製造方法。
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