JP2014008438A - 分散システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】供給室から翼室に分散質P及び液相分散媒Rを吸引し分散させたゾルFを生成して吐出口16aから吐出する遠心式の吸引ポンプ機構Yを備えた分散システム100にて、吐出口16aに通じる吐出路16と翼室に連通する導入室18の導入口18aとを接続する循環路17を配置し、当該ゾルFの少なくとも一部を循環路17に通流させ導入室18に循環供給させる循環機構部Zを備え、導入口18aに循環路17の流路を絞る絞り部24が形成され、循環路17に、循環路17を通流して導入室18に循環供給されるゾルFを導入口18aに向けて強制供給する強制循環ポンプ80が配設されている。
【選択図】図1
Description
従って、このような分散システムでは、本体ケーシングの翼室内における回転翼の回転駆動により、翼室内にて分散質を液状分散媒に分散させたゾルが、吐出口を介して吐出路に順次吐出されるとともに、吐出されたゾルの一部が循環路を通流し絞り部を介して導入室に導入され、再度、翼室に導かれる。
そして、翼室内に吸引された分散質及び液相分散媒或いはこれらが分散したゾルは、翼室内で回転駆動する回転翼によるせん断力及び衝撃力により分散質の凝集物(いわゆるダマ)が適度に解砕されるので、適切に分散質を液相分散媒中に分散させることができ、また、当該回転翼の背面部で急激な圧力低下が生じるため、回転翼の背面部付近に存在するゾルに局所沸騰(キャビテーション)を起こさせ、このゾルに含まれる気泡の膨張とそれによって生じる衝撃により、分散質の凝集物(ダマ)が良好に解砕され、液相分散媒中での分散質の分散を促進させることができるとされる。
ちなみに、液相分散媒としては、例えば、水等の溶媒が挙げられ、分散質としては粉体等の固相分散質や油等の液相分散質が挙げられるが、粉体としては、例えば、電池電極材料等の化学原料、脱脂粉乳や小麦粉等の食品原料、医薬原料等であって、顆粒、粉体、細粒等の粉体(これら粉体の混合物を含む)を例示することができる。粉体には、粉粒体も含まれる。
分散質と液相分散媒とが供給口を介して供給される供給室と、前記供給室の外周側に形成され前記供給室に連通する環状の翼室と、前記翼室内で回転駆動可能な回転翼と、前記翼室の外周側に形成された吐出口とを本体ケーシングに配置し、前記回転翼の回転駆動により、前記分散質及び前記液相分散媒を前記供給室から前記翼室に吸引し、前記液相分散媒に前記分散質を分散させたゾルを生成して前記吐出口から吐出する遠心式の吸引ポンプ機構を備えた分散システムであって、その特徴構成は、
前記本体ケーシングに、前記供給室に対し区画板により区画形成され前記翼室に連通する導入室を配置し、
前記吐出口に通じる吐出路と前記導入室の導入口とを接続する循環路を配置し、前記吐出口から吐出されたゾルの少なくとも一部を前記循環路に通流させて前記導入室に循環供給させる循環機構部を備え、前記循環機構部における前記導入室の導入口に前記循環路の流路を絞る絞り部が形成され、
前記循環路に、前記循環路を通流して前記導入室に循環供給されるゾルを前記導入口に向けて強制供給する強制循環ポンプが配設されている点にある。
従って、吐出口から吐出されたゾルのうち循環路を通流し絞り部を介して本体ケーシング内に導入されるゾルの量を安定した状態で確保できるので、本体ケーシング内における分散を促進することができ、結果、本体ケーシング内における液相分散媒に対する分散質の分散処理能力の低下を防止することができる。なお、強制循環ポンプによりゾルを導入口に向けて強制供給する際の流量は、ゾルの流動性(粘度)に応じて、吸引ポンプ機構のポンプ機能を阻害しない程度の流量に適宜設定することができる。
よって、液相分散媒に対する分散質の比率の高いゾルが循環路における絞り部を通過する場合であっても、本体ケーシング内に吸引されるゾルの量を充分に確保し、所期の分散処理能力を得ることができる。
本特徴構成によれば、このように負圧吸引力が低下する場合であっても、導入口に向けて強制供給する強制循環ポンプにより導入室及び翼室内にゾルを強制的に供給するので、循環路を通流し絞り部を介して本体ケーシング内に導入されるゾルの量を安定して確保することができる。すなわち、翼室内及び供給室内に発生する負圧吸引力が低下して供給が滞った粉体及び液相分散媒(或いはゾル)の量に対応するゾルを、強制循環ポンプにより導入口を介して導入室内及び翼室内に強制的に供給して補充することができ、結果、分散質が粉体であり空気等の気体を必然的に同伴吸引する場合であっても、本体ケーシング内において液相分散媒に対する分散質の所期の分散処理能力を得ることができる。
すなわち、ゾルが絞り部を介して循環路を順調に通流している場合には、運転の停止した強制循環ポンプが循環路に存在していても、当該強制循環ポンプにより循環路を通流するゾルの通流を阻害することが無く、一方で、ゾルの通流が循環路の絞り部にて滞り、当該ゾルが導入室内に充分に導入されない状況となっている場合には、循環路に設けられた強制循環ポンプの運転を開始してゾルを導入口に向けて強制的に供給することができる。
前記循環路における前記強制循環ポンプの下流側の部位から分岐して、前記供給機構部の前記液相分散媒供給部に接続されるバイパス路を備えた点にある。
また、循環路における強制循環ポンプの下流側の部位から分岐して、供給機構部の液相分散媒供給部に接続されるバイパス路を備えているので、液相分散媒供給部から定量供給される液相分散媒の量が低下或いはゼロとなった場合でも、バイパス路を介して循環路を通流するゾルの一部を液相分散媒供給部に供給することができる。従って、当該ゾルの一部及び液相分散媒供給部の液相分散媒の混合物或いは当該ゾルの一部のみを、分散質と予備混合した予備混合物として供給室内に供給することができる。これにより、循環路を通流するゾルの一部に含まれる液相分散媒により、予備混合物中における分散質に対する液相分散媒の比率を上昇させて、流動性の低下を良好に防止することができる。
更に、バイパス路を介して液相分散媒供給部に供給されるゾルの一部は、強制循環ポンプにより循環路からバイパス路及び液相分散媒供給部に強制的に供給されるので、良好な供給状態を期待することができる。
従って、より分散質の凝集物(ダマ)の発生を極力抑制しながら、液相分散媒に対して分散質を、より確実に分散させることができる。
図1は、本発明に係る分散システム100を示す。
この分散システム100は、分散質として粉体Pを用い、液相分散媒として溶媒Rを用いて、粉体Pを溶媒Rに分散させてスラリーF(ゾルの一例)を生成するものである。
本実施形態においては、例えば、粉体P(固相分散質)としてCMC(カルボキシルメチルセルロース)を用い、溶媒R(液相分散媒)として水を用いた。
図1に示すように、供給機構部Xは、粉体Pを所定量ずつ定量供給する分散質供給部X1と、溶媒Rを所定量ずつ定量供給する液相分散媒供給部X2と、分散質供給部X1からの粉体Pと液相分散媒供給部X2からの溶媒Rとを予備混合して予備混合物Fpを生成する予備混合部X3とを備え、当該予備混合物Fpを、吸引ポンプ機構Yからの負圧吸引力により供給口20aを介して供給室20内に供給可能に構成されている。
分散質供給部X1は、上部開口部1aから受け入れた粉体Pを下部開口部1bから排出させるホッパ1と、ホッパ1内の粉体Pを攪拌する攪拌機構2と、ホッパ1の上部開口部1aが大気開放された状態で、下部開口部1bの下流側に接続された吸引ポンプ機構Yの吸引により下部開口部1bに作用する負圧吸引力によって、下部開口部1bから排出された粉体Pを予備混合部X3を介して吸引ポンプ機構Y側に定量供給する容積式の定量供給部3とを備えて構成されている。
具体的には、定量供給部3は、連通口3a及び排出口3bを備えたケーシング3Aと、ホッパ1の下部開口部1b及びケーシング3Aの連通口3aとを連通する連通部3Bと、計量回転体駆動モータM2により回転軸芯A2周りで回転駆動される状態でケーシング3A内に配設された計量回転体3Cと、スクリュー駆動モータM3により回転軸芯A3周りで回転駆動される状態でケーシング3A内に配設されたスクリュー回転体3Dとを備える。
液相分散媒供給部X2は、溶媒源50からの溶媒Rを、設定流量で予備混合部X3を介して吸引ポンプ機構Yの供給口20aに連続的に供給するように構成されている。
具体的には、液相分散媒供給部X2は、溶媒Rを送出する溶媒源50と、溶媒源50と予備混合部X3とを接続する溶媒供給管51と、溶媒源50から溶媒供給管51に送出される溶媒Rの流量を設定流量に調整する流量調整バルブ(図示せず)とを備えて構成される。
予備混合部X3は、粉体排出管4と溶媒供給管51とを供給口20aに連通接続する予備混合部材60を備え、設定流量に調整された溶媒Rと定量供給される粉体Pとを混合して吸引ポンプ機構Yの供給口20aに供給するように構成されている。
この予備混合部材60は、円筒状の供給口20aよりも小径に構成されて、供給口20aとの間に環状のスリット61を形成すべく供給口20aに挿入状態で配設される筒状部62、及び、環状のスリット61に全周にわたって連通する状態で供給口20aの外周部に環状流路63を形成する環状流路形成部64を備えて構成されている。
予備混合部材60には、粉体排出管4が筒状部62に連通する状態で接続されると共に、溶媒供給管51が環状流路63に対して溶媒Rを接線方向に供給するように接続される。
粉体排出管4、予備混合部材60の筒状部62及び供給口20aは、それらの回転軸芯A2を供給方向が下向きとなる傾斜姿勢(水平面に対する角度が45度程度)となるように傾斜させて配置されている。
図2に示すように、吸引ポンプ機構Yは、両端開口が前壁部10Aと後壁部10Bとで閉じられた円筒状の外周壁部10Cを備えた本体ケーシング10を備え、その本体ケーシング10の内部に同心状で回転駆動自在に設けられたロータ11と、その本体ケーシング10の内部に同心状で前壁部10Aに固定配設された円筒状のステータ12と、ロータ11を回転軸芯A4周りで回転駆動させるポンプ駆動モータM4等を備えて構成されている。
円筒状のステータ12には、複数の透孔12a,12bが周方向に夫々並べて備えられ、そのステータ12が、ロータ11の前方側(図2の左側)で且つ回転翼13の径方向の内側に位置させて前壁部10Aに固定配設されて、そのステータ12と本体ケーシング10の外周壁部10Cとの間に、回転翼13が周回する環状の翼室14が形成される。
また、ステータ12の内周側を前壁部10A側の供給室20とロータ11側の導入室18とに区画する区画板19が、ロータ11の前方側に当該ロータ11と一体回転する状態で設けられると共に、区画板19の前壁部10A側に掻出翼21が設けられている。掻出翼21は、同心状に、周方向において均等間隔で複数(例えば、4つ)備えられ、各掻出翼21がその先端部を環状溝15内に進入した状態でロータ11と一体的に周回可能に配設されている。
具体的には、供給室20と翼室14とは、ステータ12における供給室20に臨む部分に周方向に等間隔で配設された複数の供給室側透孔12aにて連通され、導入室18と翼室14とは、ステータ12における導入室18に臨む部分に周方向に等間隔で配設された複数の導入室側透孔12bにて連通されている。なお、各供給室側透孔12aは、概略円形状に形成され、供給室20の流路面積よりも複数の供給室側透孔12aの合計流路面積が小さくなるように設定されており、また、各導入室側透孔12bは、概略楕円形状に形成され、導入室18の流路面積よりも複数の供給室側透孔12bの合計流路面積が小さくなるように設定されている。
ロータ11は、その前面が概ね円錐台状に膨出する形状に構成されると共に、その外周側に、複数の回転翼13が前方に突出する状態で等間隔に並べて設けられている。なお、図2では、周方向に等間隔に10個の回転翼13が配設されている。また、この回転翼13は、内周側から外周側に向かうに連れて、回転方向後方に傾斜するようにロータ11の外周側から内周側に突出形成されており、回転翼13の先端部の内径は、ステータ12の外径よりも若干大径に形成されている。
ロータ11が、本体ケーシング10内において本体ケーシング10と同心状に位置する状態で、後壁部10Bを貫通して本体ケーシング10内に挿入されたポンプ駆動モータM4の駆動軸22に連結されて、そのポンプ駆動モータM4により回転駆動される。また、ロータ11が、その回転軸芯A4方向視において回転翼13の先端部(内径側)が回転方向で前側となる向きに回転駆動されることにより、回転翼13の回転方向の後側となる面(背面)には、いわゆる局所沸騰(キャビテーション)が発生するように構成されている。
そして、区画板19が、頂部の筒状摺接部19aが本体ケーシング10の前壁部10A側を向く姿勢で、周方向に等間隔を隔てた複数箇所(この実施形態では、4箇所)に配設された間隔保持部材23を介して、ロータ11の前面に取り付けられる。
循環機構部Zは、吐出口16aに通じる吐出路16と導入室18の導入口18aとを接続する循環路17を備え、吐出口16aから吐出されたスラリーFの少なくとも一部である未溶解スラリーFrを循環路17に通流させて、再び導入室18に循環供給させるように構成されている。
分離部70は、吐出口16aに通じる吐出路16が接続される導入パイプ72を円筒状容器71の底面から内部に突出して配設し、円筒状容器71の上部に供給先74に通じる吐出路16に接続される排出部を備えるとともに、下部に循環路17に接続される循環部を備え、導入パイプ72の吐出上端に、導入パイプ72から吐出されるスラリーFの流れを旋回させる捻り板73を配設して構成されている。
これにより、吸引ポンプ機構Yの吐出口16aから吐出されたスラリーFから、完全に溶解していない粉体Pを含む可能性がある状態の未溶解スラリーFr(気泡が分離された未溶解スラリーFr)を循環路17に、粉体Pが略完全に溶解した状態のスラリーF(比較的気泡が多く含まれるスラリーF)を供給先74に通じる吐出路16にそれぞれ分配するように構成されている。
従って、ロータ11の回転翼13が回転することにより、吐出口16aを介してスラリーFが吐出部16に吐出されて分離部70に供給され、分離部70にて分離された未溶解スラリーFrが循環路17を通流して導入口18aに形成された絞り部24を介して導入室18内に順次導入されることになるので、絞り部24の上流側に対して本体ケーシング10内が減圧される。これにより、本体ケーシング10内は、循環路17における絞り部24の上流側及び供給口20aの上流側に対して減圧され、当該絞り部24の上流側及び供給口20aの上流側に対して負圧吸引力を作用させることができるように構成されている。
強制循環ポンプとしてのスクリューポンプ80は、循環路17において、分離部70の下流側で且つ導入口18aの上流側に配設され、循環路17を通流して導入口18aを介して導入室18に循環供給される未溶解スラリーFrを、導入口18aに向けて強制供給できるように構成されている。
具体的には、スクリューポンプ80は、概略矩形状に形成されたポンプケーシング81と、ポンプケーシング81内に配設され外周側に螺旋状の翼部82aを有するスクリュー82と、スクリュー82を回転軸芯A5周りで回転駆動させる駆動軸83を備えたスクリューポンプ駆動モータM5とを備えている。
また、循環路17には、循環路17におけるスクリューポンプ80の下流側で且つ導入口18aの上流側の部位から分岐して、供給機構部Xの液相分散媒供給部X2の溶媒供給管51における溶媒源50の下流側で且つ予備混合部材60の上流側に接続されるバイパス路90が形成されている。
従って、このバイパス路90には、導入口18aに向かって循環路17を通流する未溶解スラリーFrの一部が通流可能に構成されており、スクリューポンプ80が運転されている際には、当該スクリューポンプ80による循環路17を通流する未溶解スラリーFrの強制供給により、未溶解スラリーFrの一部がバイパス路90を通流して溶媒供給管51に供給される。この場合、溶媒供給管51内に溶媒Rが通流している場合には当該溶媒Rと未溶解スラリーFrの一部との混合流体が予備混合部材60に供給されて、分散質供給部X1から定量供給される粉体Pと混合され、供給口20aを介して供給室20内に供給される。
分散システム100に備えられる制御部は、図示しないが、CPUや記憶部等を備えた公知の演算処理装置からなり、分散システム100を構成する供給機構部X、吸引ポンプ機構Y、スクリューポンプ80等の各機器の運転を制御可能に構成されている。
次に、この分散システム100の動作について説明する。
まず、分散質供給部X1を停止し、シャッタバルブ5を閉止して粉体排出管4を介する粉体Pの吸引を停止した状態で、液相分散媒供給部X2から溶媒Rの供給を開始しながら、吸引ポンプ機構Y及びスクリューポンプ80の運転を開始する。所定の運転時間が経過して、吸引ポンプ機構Y内が、負圧状態(例えば、−0.06MPa程度の真空状態)となると、シャッタバルブ5を開放する。これによって、分散質供給部X1のケーシング3A内を負圧状態(−0.06MPa程度)とし、連通部3Bの内部及びホッパ1の下部開口部1b近傍を当該負圧状態と大気圧状態との間の圧力状態にする。
次に、図3に示す模擬的な分散システム200を用いて、強制循環ポンプとしてのスクリューポンプ80を備えた場合の例(実施例)と、スクリューポンプ80を備えない場合の例(比較例)とを比較して実験した場合における実証試験結果について説明する。
実施例に係る分散システム200の構成について簡単に説明するが、上記実施形態に係る分散システム100と同様の構成については同一の番号を付して、説明を省略する場合がある。
分離部70の上部に、スラリーFの供給先74である攪拌タンク102の上部に連通する吐出路16が接続されており、攪拌タンク102の下部に、予備混合部X3に連通する再循環路103が接続されている。再循環路103には、攪拌タンク102の下部側から、ポンプ104、流量センサ105が記載順に配設され、ポンプ104の作動により再循環路103内を通流するスラリーFの流量の調整でき、また、流量センサ105により流量の検出もできるように構成されている。
また、予備混合部材60の筒状部62に通流管106が接続され、この通流管106には、予備混合部材60側から、圧力センサ107、パイロット弁108、流量センサ109が記載順に配設されている。圧力センサ107により吸引ポンプ機構Yの供給口20aから作用する負圧吸引力により減圧された通流管106内の圧力を検出でき、当該負圧吸引力によりパイロット弁108の開度が適宜変化して、流量センサ109の上流側から適宜吸引された空気を流量センサ109により検出できるように構成されている。
分散システム200内を循環する流体としては、比較的粘度が低い水(1cp)と、比較的粘度の高いCMC溶解液(粉体PとしてのCMC(カルボキシルメチルセルロース)と溶媒Rとしての水とを質量比で3:97の比率(3wt%)で混合した溶解液(11000cp))とした。
分散システム200に水のみを循環させた場合には、通流路106に吸引された空気の量は、120L/分であり、循環路17を通流する水の量は、12m3/時であった。
分散システム200にCMC溶解液を循環させた場合には、通流路106に吸引された空気の量は、25L/分であり、循環路17を通流するCMC溶解液の量は、10m3/時であった。
比較例は、上記実施例に係る分散システム200において、循環路17に配設されたスクリューポンプ80を省略し、分離部70から循環路17を介して導入口18aに導入される流体を、吸引ポンプ機構Yの吸引のみで行う(自然循環)点が相違する構成である。
比較例に係る分散システム200に水のみを循環させた場合には、通流路106に吸引された空気の量は、115L/分であり、循環路17を通流する水の量は、10m3/時であった。
比較例に係る分散システム200にCMC溶解液を循環させた場合には、通流路106に吸引された空気の量は、15L/分であり、循環路17を通流するCMC溶解液の量は、6m3/時であった。
また、CMC溶解液を循環させた場合、比較例に対して実施例の方が、循環路17を通流するCMC溶解液の量が倍近くに上昇している。これは、上述のように、吸引ポンプ機構Yにより発生する負圧吸引力が低下することで、循環路17に作用する負圧吸引力も低下し、比較例では循環路17から導入室18内に導入されるCMC溶液の量が低下しているものの、実施例ではスクリューポンプ80によりCMC溶解液が循環路17から導入口18aに向けて強制的に供給されることで、導入室18内に導入されるCMC溶解液の量が比較的上昇しているものと考えられる。
従って、実施例では、比較的濃度が高く流動性が低い(粘度が高い)CMC溶解液を循環させる場合であっても、循環路17を通流するCMC溶解液をスクリューポンプ80により導入口18aに向けて強制的に供給することにより、絞り部24を介して循環路17内に導入されるゾルの量を安定した状態で確保できることが確認できた。
これにより、実施例では、本体ケーシング10内における水に対するCMC粉体の分散を促進することができ、水に対するCMC粉体の比率のスラリーFrが循環路17における絞り部24を通過する場合であっても、本体ケーシング10内に吸引されるスラリーFの量を充分に確保し、所期の分散処理能力を得ることができる。
(A)上記実施形態では、循環路17に強制循環ポンプとしてのスクリューポンプ80を配設したが、循環路17を通流する未溶解スラリーFrを導入口18aに向けて強制的に供給することができるポンプであれば、容積式ポンプ等のその他のポンプを採用することもできる。
また、粉体Pとしては、粉体であれば特に除外されるものではなく、電池電極材料等の化学原料、脱脂粉乳や小麦粉等の食品原料、医薬原料等であって、顆粒、粉体、細粒等の粉体(これら粉体の混合物を含む)を例示することができる。粉体には、粉粒体も含まれる。
さらに、分散質としては、上記の実施形態において例示した粉体P(固相分散質)に限定されるものではなく、液状(液相分散質)のものとしてエマルジョンを生成するようにしても良い。例えば、液相分散質としての油を液相分散媒としての水に分散させる場合にも、本発明を適用することができる。
12 ステータ
12a 供給室側透孔(絞り透孔)
12b 導入室側透孔(絞り透孔)
13 回転翼
14 翼室
16 吐出路
16a 吐出口
17 循環路
18 導入室
18a 導入口
19 区画板
20 供給室
20a 供給口
24 絞り部
70 分離部
80 スクリューポンプ(強制循環ポンプ)
90 バイパス路
100 分散システム
X 供給機構部
X1 分散質供給部(供給機構部)
X2 液相分散媒供給部(供給機構部)
Y 吸引ポンプ機構
Z 循環機構部
F スラリー(ゾル)
Fp 予備混合物
Fr 未溶解スラリー(ゾルの一部)
P 粉体(分散質)
R 溶媒(液相分散媒)
Claims (6)
- 分散質と液相分散媒とが供給口を介して供給される供給室と、前記供給室の外周側に形成され前記供給室に連通する環状の翼室と、前記翼室内で回転駆動可能な回転翼と、前記翼室の外周側に形成された吐出口とを本体ケーシングに配置し、前記回転翼の回転駆動により、前記分散質及び前記液相分散媒を前記供給室から前記翼室に吸引し、前記液相分散媒に前記分散質を分散させたゾルを生成して前記吐出口から吐出する遠心式の吸引ポンプ機構を備えた分散システムであって、
前記本体ケーシングに、前記供給室に対し区画板により区画形成され前記翼室に連通する導入室を配置し、
前記吐出口に通じる吐出路と前記導入室の導入口とを接続する循環路を配置し、前記吐出口から吐出されたゾルの少なくとも一部を前記循環路に通流させて前記導入室に循環供給させる循環機構部を備え、前記循環機構部における前記導入室の導入口に前記循環路の流路を絞る絞り部が形成され、
前記循環路に、前記循環路を通流して前記導入室に循環供給されるゾルを前記導入口に向けて強制供給する強制循環ポンプが配設されている分散システム。 - 前記分散質が粉体からなる請求項1に記載の分散システム。
- 前記強制循環ポンプが、スクリューポンプにより構成されている請求項1又は2に記載の分散システム。
- 前記分散質を定量供給する分散質供給部と前記液相分散媒を定量供給する液相分散媒供給部とを有し、前記分散質供給部からの前記分散質及び前記液相分散媒供給部からの前記液相分散媒を予備混合した予備混合物を、前記供給口を介して前記供給室に供給する供給機構部を備え、
前記循環路における前記強制循環ポンプの下流側の部位から分岐して、前記供給機構部の前記液相分散媒供給部に接続されるバイパス路を備えた請求項1から3の何れか一項に記載の分散システム。 - 前記吐出路に、前記吐出口から吐出されたゾルに含まれる気泡を分離する分離部を備え、前記循環路が、前記分離部の下流側に接続されている請求項1から4の何れか一項に記載の分散システム。
- 前記供給室及び前記導入室の外周側で且つ前記翼室の内周側に配置され、周方向に複数の絞り透孔を有する円筒状のステータを備えた請求項1から5の何れか一項に記載の分散システム。
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