JP2014006442A - 液晶配向剤 - Google Patents
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Abstract
Description
液晶表示素子としては、TN型、STN型、VA型などの縦電界方式の液晶セルを有する液晶表示素子のほか、IPS(In−Plane Switching)型やFFS(Fringe Field Switching)型などの、対向配置された一対の基板の方側のみに電極を形成し、基板と平行方向に電界を発生する横電界方式の液晶表示素子が知られている(特許文献5〜7)。この横電界方式の液晶表示素子は、縦電界方式の液晶表示素子と比べてより広い視野角特性を有し、また高品位な表示が可能である。横電界方式の液晶表示素子は、液晶分子が基板と平行な方向にのみ電界応答するため、液晶分子の長軸方向の屈折率変化が問題とならず、視角を変えた場合でも、観察者に視認されるコントラストおよび表示色の濃淡の変化が少なく、従って視角によらず高品位な表示が可能となる。
小粒径のビーズを散布するタイプのスペーサーを用いる液晶表示素子の場合、黒表示のとき、ビーズの部分だけが白く抜ける現象が起こる。ビーズはμmオーダーの小粒径であるため、この白抜けだけであれば視聴上何ら問題はない。しかし場合により、ビーズ部分の白抜けのほか、隣接するビーズの間を連結するような白い線が見られることがある。この白線は、表示欠陥として視聴者がはっきりと認識することができるから、画面上に存在するべきではない。本明細書において、ディスクリミネーションとはこのような表示欠陥(線状の白欠陥)をいう。この表示欠陥は、配向膜の液晶配向規制力が不足することによって起こると信じられている。
ディスクリミネーションは、アナログ放送時代の画像解像度の程度では、さほど大きな問題とはならなかった。
しかしながら近年、撮像技術、動画送信技術が飛躍的な進歩を遂げ、家庭向けテレビ放送においても、いわゆるハイビジョン放送がデジタル配信され始めて久しい。これに伴い、液晶表示素子の高精細化が進んでいる。高精細の素子に用いる液晶配向膜には、高度の液晶配向規制力が要求されるため、上記の光配向法による液晶配向膜を横電界方式の高精細液晶表示素子に適用することにより、上記のディスクリミネーションが顕在化したのである。
本発明の目的は、光配向法によって横電界方式の有利な効果を発現することができるとともに、高度の液晶配向規制力を有し、配向規制力の不足による表示欠陥(特に線状の白欠陥)が発生せず、さらに電気特性に優れる液晶表示素子を与えることのできる液晶配向剤を提供することである。
下記式(A)で表される構造を有する重合体を含有することを特徴とする、液晶配向剤によって達成される。
R1およびR2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルコキシ基または下記式(R12)
X−R−Z−+ (R12)
(式(R12)中、Xはシアノ基またはニトロ基であり、Rはメチレン基または炭素数2〜6のアルコキシ基であり、Zは単結合、酸素原子、硫黄原子、−SO2−、−NH−、−COO−または−OCO−であり、「+」は結合手であることを表す。)
で表される基であり、
iは0〜5の整数であり、
jは0〜4の整数であり、そして
「*」は結合手であることを表す。)
本発明の液晶配向剤は、高精細の画像を表示するための横電界方式の液晶表示素子の製造に特に好適である。
上記式(A)におけるX1は酸素原子であることが好ましい。
R1およびR2は、それぞれ独立に、フッ素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基または3−シアノプロポキシ基であることが好ましく、フッ素原子、シアノ基、メチル基または3−シアノプロポキシ基であることがより好ましい。
iは0または1であることが好ましく、jは0であることが好ましい。
特定重合体における上記式(A)で表される構造の含有割合は、1.0×10−4モル/g以上であることが好ましく、3.0×10−4〜2.0×10−3モル/gであることがより好ましく、さらに5.0×10−4〜2.0×10−3モル/gであることが好ましい。
本発明における特定重合体は、例えばポリアミック酸、ポリアミック酸のイミド化重合体、ポリアミック酸エステル、ポリオルガノシロキサン、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレンまたはその誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)またはその誘導体、ポリ(メタ)アクリレート、多官能カルボン酸と多官能エポキシ化合物との反応物などであることができる。これらのうち、ポリアミック酸およびそのイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記式(A)で表される構造を有するテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物と、ジアミンとの反応により:あるいは
テトラカルボン酸二無水物と、上記式(A)で表される構造を有するジアミンを含むジアミンとの反応により、合成することができ;
本発明における特定重合体であるポリアミック酸のイミド化重合体は、例えば
上記ポリアミック酸を脱水閉環することにより、合成することができる。
本発明における特定重合体は、テトラカルボン酸二無水物と、上記式(A)で表される構造を有するジアミンを含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸および該ポリアミック酸のイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種であることが、最も好ましい。
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2;3,5;6−二無水物、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2;4,6;8−二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオンなどを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えば3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物などを、それぞれ挙げることができるほか、
特許文献8(特開2010−97188号公報)に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。
前記ポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、特定テトラカルボン酸二無水物のみからなるものであることが最も好ましい。
上記式(A)で表される構造を有するジアミンとしては、例えば下記式(A−1)
Z1はメチレン基、炭素数2〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルケニレン基、シクロへキシレン基またはフェニレン基であり、
X2は単結合、酸素原子、硫黄原子、−COO−、−OCO−、−CO−、−SO2−またはアミド結合であり、そして
kは0〜5の整数である。)
で表される化合物、下記式
ここで使用されるジアミンとしては、上記式(A−1)で表される化合物が好ましい。上記式(A−1)において、ベンゼン環に結合している2つのアミノ基は、他の基に対して2,4−位または3,5−位にあることが好ましい。
上記式(A−1)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式のそれぞれで表される化合物を挙げることができる。
上記式(A−1)で表される化合物は、有機化合物合成の定法を適宜に組み合わせることにより、合成することができる。例えば以下の方法によって合成することができる;
上記式(A−1)におけるkが1以上であり、X2が酸素原子である化合物は、例えば先ず下記式
で表される化合物とアクリル酸との間のヘック反応により、所望の置換基を有する置換桂皮酸を得る。次いで、この置換桂皮酸を、HO−(Z1−X2)k−H(ただし、Z1、X2およびkは、それぞれ、上記式(A−1)におけるのと同じ意味である。)で表されるジオール化合物と反応させた後、ジニトロフルオロベンゼンとの脱フッ化水素縮合反応を行い、さらに適当な水素化触媒系によってニトロ基を水素化することにより、得ることができる。
上記式(A−1)におけるkが1以上であり、X2が単結合である化合物は、例えば上記と同様にして得た置換桂皮酸を、基HO−(Z1−X2)k−を有する置換ジニトロベンゼンと反応させた後、適当な水素化触媒系によってニトロ基を水素化することにより、得ることができる。
上記式(A−1)におけるkが1以上であり、X2が−OCO−(ただし、炭素原子がジアミノベンゼン側である。)である化合物は、例えば上記と同様にして得た置換桂皮酸を、HO−(Z1−X2)k−H(ただし、Z1、X2およびkは、それぞれ、上記式(A−1)におけるのと同じ意味である。)で表されるジオール化合物と反応させた後、ジニトロ安息香酸ハライドとのエステル化反応を行い、さらに適当な水素化触媒系によってニトロ基を水素化することにより、得ることができる。
ここで使用することのできるその他のジアミンとしては、例えば脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン(ただし上記式(A−1)で表される化合物を除く。)、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えば1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどを;
脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを、それぞれ挙げることができるほか、
特許文献8(特開2010−97188号公報)に記載のジアミンを用いることができる。
上記ポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、上記式(A−1)で表される化合物を、ジアミンの全量に対して、10モル%以上含むことが好ましく、30モル%以上含むことがより好ましく、さらに50モル%以上含むことが好ましい。
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中において行うことが好ましい。この有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン性極性溶媒;
m−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール誘導体;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン;
乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレートなどのエステル;
ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素などを例示することができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
ポリアミック酸の合成反応の反応温度は、−20〜150℃とすることが好ましく、0〜100℃とすることがより好ましい。反応時間は、0.5〜24時間とすることが好ましく、2〜12時間とすることがより好ましい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくはポリアミック酸を加熱する方法により、またはポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し、必要に応じて加熱する方法により行われる。このうち後者の方法によることが特に好ましい。
上記ポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用割合は、ポリアミック酸の有するアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用割合は、使用する脱水剤の1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして上記に例示した有機溶媒を使用することができる。
脱水閉環反応の反応温度は好ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は好ましくは1.0〜120時間であり、より好ましくは2.0〜30時間である。
前記ポリアミック酸およびそのイミド化重合体につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、1,000〜500,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましい。このMwとゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。このような分子量範囲にあることにより、液晶配向剤の安定性を高くすることができるとともに、得られる液晶表示素子における良好な配向性を確保することができる。
本発明の液晶配向剤は、上記のような特定重合体を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば特定重合体以外のその他の重合体、分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物」ともいう)、官能性シラン化合物などを挙げることができる。
上記その他の重合体は、溶液特性および電気特性の改善のために使用することができる。かかるその他の重合体は、上記式(A)で表される構造を持たない重合体であり、例えばポリアミック酸、ポリアミック酸のイミド化重合体、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレンおよびその誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)およびその誘導体ならびにポリ(メタ)アクリレートよりなる群から選択される1種以上であって、上記式(I)で表される構造を持たない重合体であることができる。
その他の重合体の使用割合としては、重合体の合計(特定重合体およびその他の重合体の合計をいう。以下同じ。)に対して、50重量%以下とすることが好ましく、40重量%以下とすることがより好ましく、30重量%以下とすることがさらに好ましい。
上記エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミンなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
これらエポキシ化合物の使用割合としては、重合体の合計100重量部に対して、好ましくは40重量部以下であり、より好ましくは0.1〜30重量部である。
上記官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、2―グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2―グリシドキシエチルトリエトキシシラン、3―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3―グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
これら官能性シラン化合物の使用割合は、重合体の合計100重量部に対して、好ましくは2重量部以下であり、より好ましくは0.02〜0.2重量部である。
本発明の液晶配向剤は、上記の特定重合体および必要に応じて任意的に使用されるその他の成分を、好ましくは有機溶媒中に溶解含有してなる溶液状の組成物として構成される。
本発明の液晶配向剤に使用される有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどを例示することができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板上に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には固形分濃度1.5〜4.5重量%の範囲とすることが特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とすることが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは10〜50℃であり、より好ましくは20〜30℃である。
本発明の液晶配向剤を用いて例えば以下の工程を経由することにより、液晶配向膜を形成することができる。
(1)基板上に、本発明の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成する工程(塗布工程)、および
(2)上記塗膜に光照射する工程(光照射工程)。
本発明の液晶配向剤を、縦電界方式の液晶セルを有する液晶表示素子に適用する場合、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板2枚を一対として、その各透明性導電膜形成面上に、本発明の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成する。一方、本発明の液晶配向剤を、横電界方式の液晶セルを有する液晶表示素子に適用する場合には、片面に透明導電膜または金属膜が櫛歯状にパターニングされた電極の一対を有する基板と、電極が設けられていない対向基板とを一対とし、櫛歯状電極の形成面と、対向基板の片面とに、それぞれ本発明の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成する。
上記いずれの場合も、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどのプラスチック
からなる透明基板などを用いることができる。上記透明導電膜としては、例えばIn2O3−SnO2からなるITO膜、SnO2からなるNESA(登録商標)膜などを用いることができる。上記金属膜としては、例えばクロムなどの金属からなる膜を使用することができる。透明導電膜および金属膜のパターニングには、例えばパターンなしの透明導電膜を形成した後にフォト・エッチング法、スパッタ法などによりパターンを形成する方法、透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法などによることができる。
基板上への液晶配向剤の塗布に際して、基板および電極と、塗膜との接着性をさらに良好なものにするために、基板および電極上に、予め官能性シラン化合物、チタネートなどを塗布した後に加熱する前処理を施しておいてもよい。
上記のようにして形成された塗膜に対して、次いで偏光した光を照射することにより、塗膜に液晶配向能を付与して液晶配向膜とすることができる。
ここで照射する光としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線、可視光線などを用いることができる。200〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、Hg−Xeランプ、エキシマーレーザーなどを使用することができる。上記の好ましい波長領域の紫外線は、上記光源を、例えばフィルター、回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。
光照射の際に使用する放射線が偏光(直線偏光または部分偏光)している場合には、塗膜面に対して垂直方向から照射してもプレチルト角付与のために斜め方向から照射してもよい。一方、非偏光の放射線を照射する場合には、照射は塗膜面に対して斜め方向から行う必要がある。
光の照射量としては、好ましくは1J/m2以上10,000J/m2未満であり、より好ましくは10〜3,000J/m2である。なお、従来知られている液晶配向剤から形成された塗膜に光配向法により液晶配向能を付与する場合、10,000J/m2以上の放射線照射量が必要であった。しかし本発明の液晶配向剤を用いると、光配向法の際の放射線照射量が5,000J/m2以下、さらに3,000J/m2以下、さらには1,000J/m2以下であっても良好な液晶配向能を付与することができ、液晶表示素子の製造コストの削減に資する。
上記のようにして形成される液晶配向膜は、従来技術におけるよりも少ない光照射量で液晶配向能を獲得することができるため、液晶表示素子の製造コスト削減に資するものである。
上記のようにして形成された液晶配向膜を有する基板を用いて、以下のようにして液晶表示素子を製造することができる。
上記のようにして液晶配向膜が形成された一対の基板を準備し、この一対の基板間に液晶が狭持された構成の液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法を挙げることができる。
第1の方法として、各液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して一対の基板を対向配置し、該一対の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造する方法を挙げることができる。
第2の方法として、液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数カ所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造する方法を挙げることができる。この第2の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。
上記いずれの方法による場合でも、次いで、液晶セルを、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
上記シール剤としては、例えばスペーサーとしての酸化アルミニウム球および硬化剤を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
上記液晶としては、例えばネマティック型液晶、スメクティック型液晶などを用いることができる。
一方、垂直配向型液晶セルを製造する場合には、負の誘電異方性を有するネマティック型液晶が好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶などを用いることができる。
本発明の液晶配向剤を適用して製造される液晶表示素子は、スペーサーとして表示領域にビーズを散布するタイプのビーズスペーサーを用いた場合であっても、ディスクリミネーションが現れることが極めて少ない利点を有する。
本発明の液晶配向剤は、ディスクリミネーションの改善効果が特に優れる点で、横電界方式の液晶セルを有する液晶表示素子に適用することが好ましい。
以下の合成例は、必要に応じて下記の合成スケールで操作を繰り返すことにより、以降の合成例および実施例における必要量の生成物を確保した。
<上記式(A−1)で表される化合物の合成>
合成例A1−1
下記のスキームに従って、化合物(a−1)を合成した。
還流管および窒素導入管を備えた100mLの一口フラスコ中で、上記で得られた化合物(a−1−1)12.0g、塩化チオニル20mLおよびジメチルホルムアミド0.1mlを混合し、80℃で1時間加熱撹拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物を減圧下において未反応の塩化チオニルを除去した後、テトラヒドロフラン50mLと混合し、これを溶液(1)とした。
還流管、温度計および窒素導入管を備えた1,000mLの三口フラスコ中で、上記で得た化合物(a−4−2)18.4g、亜鉛粉末55.5g、塩化アンモニウム9.1g、エタノール170mLおよびテトラヒドロフラン170mLを混合し、0℃で攪拌した。ここに、蒸留水25mLを1時間かけて滴下した後、20℃で12時間攪拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物をろ過して得られたろ液を酢酸エチル600mLと混合し、水で4回洗浄した。減圧下で溶媒を除去し、得られた固体をエタノールから再結晶することにより、ジアミン化合物(a−1)を10.5g得た。
下記のスキームに従って、化合物(a−2)を合成した。
還流管および窒素導入管を備えた100mLの一口フラスコ中で、上記で得た化合物(a−2−1)12.0g、塩化チオニル20mLおよびジメチルホルムアミド0.1mLを混合し、80℃で1時間加熱撹拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物を減圧下において未反応の塩化チオニルを除去した後、テトラヒドロフラン50mLと混合し、これを溶液(2)とした。
別の容器中で、1,3−プロパンジオール36mL、テトラヒドロフラン50mLおよびトリエチルアミン10.4mLを混合し、0℃で攪拌した。ここに、上記で得た溶液(2)を1時間かけて滴下した後、20℃で3時間攪拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物と酢酸エチル300mLと混合し、希塩酸で2回および水で3回順次に洗浄した。減圧下で溶媒を除去することにより、化合物(a−2−2)を13.5g得た。
還流管、温度計および窒素導入管を備えた1,000mLの三口フラスコ中で、上記で得た化合物(a−2−3)16.6g、亜鉛粉末46.7g、塩化アンモニウム7.7g、エタノール140mLおよびテトラヒドロフラン140mLを混合し、0℃で攪拌した。ここに、蒸留水21mLを1時間かけて滴下した後、20℃で12時間攪拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物をろ過して得られたろ液を酢酸エチル400mLと混合し、水で4回洗浄した。減圧下で溶媒を除去し、得られた固体をエタノールから再結晶することにより、ジアミン化合物(a−2)を5.8g得た。
下記のスキームに従って、化合物(a−3)を合成した。
還流管および窒素導入管を備えた100mLの一口フラスコ中で、上記で得た化合物(a−3−1)12.7g、塩化チオニル20mLおよびジメチルホルムアミド0.1mLを混合し、80℃で1時間加熱撹拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物を減圧下において未反応の塩化チオニルを除去した後、テトラヒドロフラン50mLと混合し、これを溶液(3−1)とした。
別の容器中で、1,3−プロパンジオール36mL、テトラヒドロフラン50mLおよびトリエチルアミン10.4mLを混合し、0℃で攪拌した。ここに、上記で得た溶液(3−1)を1時間かけて滴下した後、20℃で3時間攪拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物を酢酸エチル300mLと混合し、希塩酸で2回および水で3回順次に洗浄した。減圧下で溶媒を除去することにより、化合物(a−3−2)を13.7g得た。
別の容器中で、上記で得た化合物(a−3−2)16.3g、テトラヒドロフラン100mLおよびトリエチルアミン10.4mLを混合し、0℃で攪拌した。ここに、上記で得た溶液(3−2)を1時間かけて滴下した後、20℃で6時間攪拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物を酢酸エチル300mLと混合し、希塩酸で2回および水で3回順次に洗浄した。減圧下で溶媒を除去し、得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物(a−3−3)を20.3g得た。
還流管、温度計および窒素導入管を備えた1,000mLの三口フラスコ中で、上記で得た化合物(a−3−3)21.5g、亜鉛粉末55.5g、塩化アンモニウム9.1g、エタノール170mLおよびテトラヒドロフラン170mLを混合し、0℃で攪拌した。ここに、蒸留水25mLを1時間かけて滴下した後、20℃で12時間攪拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物をろ過して得られたろ液を酢酸エチル600mLと混合し、水で4回洗浄した。減圧下で溶媒を除去し、得られた固体をエタノールから再結晶することにより、ジアミン化合物(a−3)を12.9g得た。
下記のスキームに従って、化合物(a−4)を合成した。
別の容器中で、2−(2,4−ジニトロフェニル)エタノール11.1g、テトラヒドロフラン100mLおよびトリエチルアミン10.4mLを混合し、0℃で攪拌した。ここに、上記で得た溶液(4)を1時間かけて滴下した後、20℃で6時間攪拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物を酢酸エチル300mLと混合し、希塩酸で2回および水で3回順次に洗浄した。減圧下で溶媒を除去し、得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物(a−4−1)を14.5g得た。
還流管、温度計および窒素導入管を備えた1,000mLの三口フラスコ中で、上記で得た化合物(a−4−1)14.5g、亜鉛粉末55.5g、塩化アンモニウム9.1g、エタノール170mLおよびテトラヒドロフラン170mLを混合し、0℃で攪拌した。ここに、蒸留水25mLを1時間かけて滴下した後、20℃で12時間攪拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物をろ過して得られたろ液を酢酸エチル600mLと混合し、水で4回洗浄した。減圧下で溶媒を除去し、得られた固体をエタノールから再結晶することにより、ジアミン化合物(a−4)を8.5g得た。
下記のスキームに従って、化合物(a−5)を合成した。
別の容器中で、2−(2,4−ジニトロフェニル)エタノール11.1g、テトラヒドロフラン100mLおよびトリエチルアミン10.4mLを混合し、0℃で攪拌した。ここに、上記で得た溶液(5)を1時間かけて滴下した後、20℃で6時間攪拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物を酢酸エチル300mLと混合し、希塩酸で2回および水で3回順次に洗浄した。減圧下で溶媒を除去し、得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物(a−5−1)を18.1g得た。
還流管、温度計および窒素導入管を備えた1,000mLの三口フラスコに、上記で得た化合物(a−5−1)17.7g、亜鉛粉末55.5g、塩化アンモニウム9.1g、エタノール170mLおよびテトラヒドロフラン170mLを混合し、0℃で攪拌した。ここに、蒸留水25mLを1時間かけて滴下した後、20℃で12時間攪拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物をろ過して得られたろ液を酢酸エチル600mLと混合し、水で4回洗浄した。減圧下で溶媒を除去し、得られた固体をエタノールから再結晶することにより、ジアミン化合物(a−5)を10.2g得た。
下記のスキームに従って、化合物(a−6)を合成した。
次に還流管、温度計および窒素導入管を備えた500mLの三口フラスコに、上記で得られた化合物(a−6−1)33.2g、酢酸パラジウム0.22g、トリ(o−トリル)ホスフィン1.22g、トリエチルアミン56mL、アクリル酸8.2mLおよびN,N−ジメチルアセトアミド200mLを仕込み。120℃において3時間加熱撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物をろ過し、得られたろ液を酢酸エチル500mLと混合し、希塩酸で2回および水で3回順次に洗浄し、減圧下で溶媒を除去した。得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物(a−6−2)を23.9g得た。
別の容器中で、2−(2,4−ジニトロフェニル)エタノール11.1g、テトラヒドロフラン100mL、トリエチルアミン10.4mlを混合し、0℃で攪拌した。ここに上記で得た溶液(6)を1時間かけて滴下した後、20℃で6時間攪拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物を酢酸エチル300mLと混合し、希塩酸で2回および水で3回順次に洗浄した。減圧下で溶媒を除去し、得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物(a−6−3)を22.3g得た。
還流管、温度計および窒素導入管を備えた1,000mLの三口フラスコ中で、上記で得た化合物(a−6−3)21.9g、亜鉛粉末55.5g、塩化アンモニウム9.1g、エタノール170mLおよびテトラヒドロフラン170mLを混合し、0℃で攪拌した。ここに、蒸留水25mLを1時間かけて滴下した後、20℃で12時間攪拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物をろ過して得られたろ液を酢酸エチル600mLと混合し、水で4回洗浄した。減圧下で溶媒を除去し、得られた固体をエタノールから再結晶することにより、ジアミン化合物(a−6)を12.4g得た。
合成例PA−1
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物2.24g(0.01モル)およびジアミンとして上記合成例A1−1で得られた化合物(a−1)3.74g(0.01モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.1gに溶解し、40℃で3時間反応させることにより、ポリアミック酸(PA−1)を35重量%含有する溶液17.1gを得た。
このポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPで希釈してポリマー濃度10重量%としたときの溶液粘度は33mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物2.24g(0.01モル)およびジアミンとして上記合成例A1−2で得られた化合物(a−2)4.04g(0.01モル)をNMP11.7gに溶解し、40℃で3時間反応させることにより、ポリアミック酸(PA−2)を35重量%含有する溶液18.0gを得た。
このポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPで希釈してポリマー濃度10重量%としたときの溶液粘度は27mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物1.96g(0.01モル)およびジアミンとして上記合成例A1−3で得られた化合物(a−3)4.46g(0.01モル)をNMP11.9gに溶解し、40℃で3時間反応させることにより、ポリアミック酸(PA−3)を35重量%含有する溶液18.3gを得た。
このポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPで希釈してポリマー濃度10重量%としたときの溶液粘度は40mPa・sであった。
合成例PA−4
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物2.24g(0.01モル)およびジアミンとして上記合成例A1−4で得られた化合物(a−4)2.82g(0.01モル)をNMP9.4gに溶解し、40℃で3時間反応させることにより、ポリアミック酸(PA−4)を35重量%含有する溶液14.4gを得た。
このポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPで希釈してポリマー濃度10重量%としたときの溶液粘度は35mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物1.96g(0.01モル)およびジアミンとして上記合成例A1−5で得られた化合物(a−5)3.58g(0.01モル)をNMP103gに溶解し、40℃で3時間反応させることにより、ポリアミック酸(PA−5)を35重量%含有する溶液15.8gを得た。
このポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPで希釈してポリマー濃度10重量%としたときの溶液粘度は50mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物1.96g(0.01g)およびジアミンとして2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル2.12g(0.01モル)をNMP23.1gに溶解し、40℃で4時間反応させることにより、ポリアミック酸(PA−6)を15重量%含有する溶液26.0gを得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は400mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物2.24g(0.01モル)およびジアミンとして上記合成例A1−6で得られた化合物(a−6)4.58g(0.01モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)12.6gに溶解し、40℃で3時間反応させることにより、ポリアミック酸(PA−7)を35重量%含有する溶液19.4gを得た。
このポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPで希釈してポリマー濃度10重量%としたときの溶液粘度は50mPa・sであった。
<液晶配向剤の調製>
ポリアミック酸として上記合成例PA−1で合成したポリアミック酸PA−1を含有する溶液に、N−メチルピロリドン(NMP)およびブチルセロソルブ(BC)を加えて、固形分濃度6.5重量%、溶剤組成がNMP/BC=50/50(重量比)の溶液とし、孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより、印刷性評価用液晶配向剤を調製した。
また、固形分濃度を3.5重量%としたほかは上記と同様にして、液晶表示素子製造用液晶配向剤を調製した。
<印刷性評価>
6インチシリコンウエハー上に、直径約4.1μmの樹脂スペーサー(積水化学工業(株)製、「ミクロパールEX−0041−AC4」)を、10cm2あたり20〜30個程度の数となるように散布し、120℃に設定したホットプレート上で10分間加熱処理を行い、固着スペーサーを有するシリコンウエハーを準備した。
上記固着スペーサー付きシリコンウエハー上に、上記で調製した印刷性評価用液晶配向剤を液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)によって塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚800Åの塗膜を形成した。この塗膜を倍率20倍の顕微鏡で観察し、印刷ムラおよび固着スペーサーの近傍部分におけるハジキの有無に着目して評価を行った。ここで、印刷ムラおよびハジキが全く観察されなかった場合を印刷性「極めて良好」、印刷ムラまたはハジキがごくわずかにしか観察されなかった場合を印刷性「良好」、印刷ムラおよびハジキのうちの少なくとも一方が多数観察された場合を印刷性「不良」として評価した。
評価結果は、表1に示した。
(1)液晶配向性・電圧保持率評価用液晶表示素子の製造
櫛歯状にパターニングされたクロムからなる金属電極を片面に有するガラス基板と電極が設けられていない対向ガラス基板とを一対とし、ガラス基板の電極を有する面と対向ガラス基板の一面とに、それぞれ上記で調製した液晶表示素子製造用液晶配向剤を、スピンナーによって塗布し、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、内部を窒素置換したオーブン中で200℃で1時間加熱(ポストベーク)して、膜厚0.1μmの塗膜を形成した。次いで、これらの塗膜表面に、それぞれHg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線400J/m2を、基板法線方向から照射して、液晶配向膜が形成された一対の基板を得た。
上記基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、一対の基板の液晶配向膜面を対向させ、偏光紫外線の光軸を基板面に投影した方向が平行となるように重ね合わせて圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化した。次いで、液晶注入口より基板間の間隙に、メルク社製液晶、MLC−7028を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを120℃で10分間加熱してから室温まで徐冷した。次に基板の外側両面に、偏光板を、その偏光方向が互いに直交し、且つ、液晶配向膜の偏光紫外線の光軸を基板面へ射影した方向と45°をなすように貼り合わせることにより液晶配向性・電圧保持率評価用液晶表示素子を製造した。
上記で製造した液晶表示素子につき、5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を光学顕微鏡により観察し、異常ドメインが観察されなかった場合を液晶配向性「良好」、異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「不良」として評価した。
評価結果は表1に示した。
(3)電圧保持率の評価
上記で作製した液晶表示素子に、60℃において、5Vの電圧を、60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を、(株)東陽テクニカ製の「VHR−1」により測定した。この値が、99%以上であった場合を電圧保持率「極めて良好」、95%以上99%未満であった場合を「良好」、95%未満であった場合を「不良」として評価した。
(1)ディスクリネーションの評価用液晶表示素子の製造
上記「液晶配向性・電圧保持率評価用液晶表示素子の製造」において、液晶配向膜が形成された基板のうちの1枚に塗布するエポキシ樹脂接着剤に含有される酸化アルミニウム球の直径を5.5μmとし、さらに該基板上に、平均粒子系が約5.5μmのビーズスペーサー(早川ゴム(株)製、ハヤビーズ)を10cm2あたり20〜30個程度の数となるように散布した後に一対の基板を対向させたほかは同様に実施して、ディスクリネーションの評価用液晶表示素子を製造した。
(2)ディスクリネーションの評価
上記で得られた液晶表示素子を電圧無印可状態でバックライト上に載置し、表示領域の中央付近3cm角の領域を倍率20倍の顕微鏡によって観察し、ビーズスペーサー間に発生するディスクリネーション(線状の白欠陥)の個数が0個であった場合をディスクリネーション特性「極めて良好」、1〜4個であった場合を「良好」、5個以上であった場合を「不良」として評価した。
評価結果は表1に示した。
使用したポリアミック酸の種類および量を、それぞれ表1に記載の通りとしたほかは上記実施例1と同様にして、各2種類の液晶配向剤を調製して評価した。評価結果は表1にそれぞれ示した。
なお実施例4、5および7においては、液晶配向剤の調製の際に2種類の重合体を併用した。
Claims (6)
- 下記式(A)で表される構造を有する重合体を含有することを特徴とする、液晶配向剤。
R1およびR2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルコキシ基または下記式(R12)
X−R−Z−+ (R12)
(式(R12)中、Xはシアノ基またはニトロ基であり、Rはメチレン基または炭素数2〜6のアルコキシ基であり、Zは単結合、酸素原子、硫黄原子、−SO2−、−NH−、−COO−または−OCO−であり、「+」は結合手であることを表す。)
で表される基であり、
iは0〜5の整数であり、
jは0〜4の整数であり、そして
「*」は結合手であることを表す。) - 上記式(A)中の基X1が酸素原子である、請求項1に記載の液晶配向剤。
- テトラカルボン酸二無水物が、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2;3,5;6−二無水物、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2;4,6;8−二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物およびピロメリット酸二無水物よりなる群から選択される少なくとも1種を含むものである、請求項3に記載の液晶配向剤。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤から形成されたことを特徴とする、液晶配向膜。
- 請求項5に記載の液晶配向膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。
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