JP2014006327A - 導電性エンドレスベルト - Google Patents

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Abstract

【課題】中間転写ベルトや転写搬送ベルト等として用いられる導電性エンドレスベルトにおいて、表面抵抗率(ρS)を高い値に維持し、すなわち、体積抵抗率(ρV)と表面抵抗率(ρS)との差(ρV−ρS)を小さく保ちつつ、表面抵抗率の転写電圧に対する依存性を低減することにより、転写性を向上する技術を提供する。
【解決手段】画像形成装置に用いられる無端ベルト状の導電性エンドレスベルトである。ベルト本体が、硫黄含有熱可塑性樹脂100質量部に対し、ファーネスカーボンブラックを20〜40質量部にて含有する。
【選択図】図1

Description

本発明は導電性エンドレスベルト(以下、単に「ベルト」とも称する)に関し、詳しくは、複写機やプリンター、特にカラープリンター等の各種画像形成装置において、中間転写ベルトや転写搬送ベルト等として用いられる導電性エンドレスベルトに関する。
従来から、複写機、プリンター等における静電記録プロセスでは、まず、感光体(潜像保持体)の表面を一様に帯電させ、この感光体に光学系から映像を投射して光の当たった部分の帯電を消去することによって静電潜像を形成し、次いで、この静電潜像にトナーを供給してトナーの静電的付着によりトナー像を形成し、これを紙、OHP、印画紙等の記録媒体へと転写することにより、プリントする方法が採られている。
この場合、カラープリンターやカラー複写機においても、基本的には前記プロセスに従ってプリントが行われるが、カラー印刷の場合には、マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの4色のトナーを用いて色調を再現するもので、これらのトナーを所定割合で重ね合わせて必要な色調を得るための工程が必要であり、この工程を行うためにいくつかの方式が提案されている。
まず、第1には、モノクロ印刷を行う場合と同様に、感光体上にトナーを供給して静電潜像を可視化する際に、前記マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの4色のトナーを順次重ねていくことにより現像を行い、感光体上にカラーのトナー像を形成する多重現像方式がある。この方式によれば比較的コンパクトに装置を構成することが可能であるが、この方式では階調の制御が非常に難しく、高画質が得られないという問題点がある。
第2に、4つの感光ドラムを設け、各ドラムの潜像を夫々マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックのトナーで現像することにより、マゼンタによるトナー像、イエローによるトナー像、シアンによるトナー像およびブラックによるトナー像の4つのトナー像を形成し、これらトナー像が形成された感光ドラムを1列に並べて各トナー像を紙等の記録媒体に順次転写して記録媒体上に重ねることにより、カラー画像を再現するタンデム方式がある。この方式は、良好な画像が得られるものの、4つの感光ドラムと、各感光ドラムごとに設けられた帯電機構および現像機構が1列に並べられた状態となり、装置が大型化するとともに高価なものとなる。
図2にタンデム方式の画像形成装置の印字部構成例を示す。感光体ドラム1、帯電ロール2、現像ロール3、現像ブレード4、トナー供給ロール5およびクリーニングブレード6で構成する印字ユニットをイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBの各トナーに対応して4個並べており、駆動ローラ(駆動部材)9により循環駆動されて転写搬送ベルト10で搬送した用紙上に、トナーを順次転写しカラー画像を形成する。転写搬送ベルトの帯電および除電は夫々帯電ロール7および除電ロール8で行う。また、用紙をベルトへ吸着させるための用紙帯電には吸着ローラ(図示せず)が使用される。これらの対応により、オゾンの発生を抑えることができる。吸着ローラでは、用紙を搬送路から転写搬送ベルトに乗せるとともに、転写搬送ベルトへの静電吸着を行う。また、転写後の用紙分離は、転写電圧を低くすることにより用紙と転写搬送ベルトの吸着力を弱くして、曲率分離のみで行うことができる。
転写搬送ベルト10の材料としては抵抗体と誘電体があり、夫々に長所、短所を持っている。抵抗体ベルトは電荷の保持が短時間であるため、タンデム型の転写に用いた場合、転写での電荷注入が少なく4色の連続する転写でも比較的電圧の上昇が少ない。また、次の用紙の転写に繰り返して使用されるときも電荷が放出されており、電気的なリセットは必要としない。しかし、環境変動により抵抗値が変化するため、転写効率に影響すること、用紙の厚さや幅の影響を受けやすいことなどが短所となっている。
一方、誘電体ベルトの場合は注入された電荷の自然放出はなく、電荷の注入、放出とも電気的にコントロールしなければならない。しかし、安定に電荷が保持されるので、用紙の吸着が確実で高精度な紙搬送が行える。誘電率は温湿度への依存性も低いため、環境に対しても比較的安定な転写プロセスとなる。欠点は、転写が繰り返されるごとにベルトに電荷が蓄積されるため、転写電圧が高くなることである。
第3に、紙等の記録媒体を転写ドラムに巻き付けてこれを4回転させ、周回ごとに感光体上のマゼンタ、イエロー、シアン、ブラックを順次記録媒体に転写してカラー画像を再現する転写ドラム方式もある。この方式によれば比較的高画質が得られるが、記録媒体が葉書等の厚紙である場合には、これを前記転写ドラムに巻き付けることが困難であり、記録媒体種が制限されるという問題点がある。
前記多重現像方式、タンデム方式および転写ドラム方式に対して、良好な画質が得られ、かつ装置が特に大型化するようなこともなく、しかも記録媒体種が特に制限されるようなこともない方式として、中間転写方式が提案されている。
即ち、この中間転写方式は、感光体上のトナー像を一旦転写保持するドラムやベルトからなる中間転写部材を設け、この中間転写部材の周囲にマゼンタによるトナー像、イエローによるトナー像、シアンによるトナー像およびブラックによるトナー像を形成した4つの感光体を配置して4色のトナー像を中間転写部材上に順次転写することにより、この中間転写部材上にカラー画像を形成し、このカラー画像を紙等の記録媒体上に転写するものである。従って、4色のトナー像を重ね合わせて階調を調整するものであるから、高画質を得ることが可能であり、かつタンデム方式のように感光体を1列に並べる必要がないので装置が特に大型化することもなく、しかも記録媒体をドラムに巻き付ける必要もないので記録媒体種が制限されることもないものである。
中間転写方式によりカラー画像の形成を行う装置として、中間転写部材として無端ベルト状の中間転写部材を用いた画像形成装置を図3に例示する。
図3中、11はドラム状の感光体であり、図中矢印方向に回転するようになっている。この感光体11は、一次帯電器12によって帯電され、次いで画像露光13により露光部分の帯電が消去され、第1の色成分に対応した静電潜像がこの感光体11上に形成され、更に静電潜像が現像器41により第1色のマゼンタトナーMで現像され、第1色のマゼンタトナー画像が感光体11上に形成される。次いで、このトナー画像が、駆動ローラ(駆動部材)30により循環駆動されて感光体11と接触しながら循環回転する中間転写部材20に転写される。この場合、感光体11から中間転写部材20への転写は、感光体11と中間転写部材20とのニップ部において、中間転写部材20に電源61から印加される一次転写バイアスにより行われる。この中間転写部材20に第1色のマゼンタトナー画像が転写された後、前記感光体11はその表面がクリーニング装置14により清掃され、感光体11の1回転目の現像転写操作が完了する。以降、感光体が3回転し、各周回ごとに現像器42〜44を順次用いて第2色のシアントナー画像、第3色のイエロートナー画像、第4色のブラックトナー画像が順次感光体11上に形成され、これが周回ごとに中間転写部材20に重畳転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が中間転写部材20上に形成される。なお、図3の装置にあっては、感光体11の周回ごとに現像器41〜44が順次入れ替わってマゼンタトナーM、シアントナーC、イエロートナーY、ブラックトナーBによる現像が順次行われるようになっている。
次に、前記合成カラートナー画像が形成された中間転写部材20に転写ローラ25が当接し、そのニップ部に給紙カセット19から紙等の記録媒体26が給送される。これと同時に二次転写バイアスが電源29から転写ローラ25に印加され、中間転写部材20から記録媒体26上に合成カラートナー画像が転写されて加熱定着され、最終画像となる。合成カラートナー画像を記録媒体26へと転写した後の中間転写部材20は、表面の転写残留トナーがクリーニング装置35により除去され、初期状態に戻り次の画像形成に備えるようになっている。
また、タンデム方式と中間転写方式とを組み合わせた中間転写方式もある。図4に、無端ベルト状の中間転写部材を用いてカラー画像の形成を行う中間転写方式の画像形成装置を例示する。
図示する装置においては、感光体ドラム52a〜52d上の静電潜像を夫々イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックにより現像する第1現像部54a〜第4現像部54dが、中間転写部材50に沿って順次配置されており、この中間転写部材50を図中の矢印方向に循環駆動させて、各現像部54a〜54dの感光体ドラム52a〜52d上に形成された4色のトナー像を順次転写することにより、この中間転写部材50上にカラーのトナー像を形成し、このトナー像を紙等の記録媒体53上に転写することにより、プリントアウトを行う。ここで、上記いずれの装置においても、現像に用いるトナーの配列順は特に制限されるものではなく、任意に選択可能である。
なお、図中、符号55は、中間転写部材50を循環駆動するための駆動ローラ若しくはテンションローラを示し、符号56は2次転写ローラ、符号57は記録媒体送り装置、符号58は記録媒体上の画像を加熱等により定着させる定着装置を示す。
従来より、かかる無端ベルト状の転写搬送ベルト10や中間転写部材20,50等として使用される導電性エンドレスベルトとしては、種々のものが知られている。例えば、特許文献1には、材料にポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂が含まれる中間転写ベルトが開示されており、特許文献2には、ポリフェニレンサルファイド、エポキシ基含有オレフィン共重合体とビニル系(共)重合体とからなるグラフト共重合体、導電性フィラーおよび滑材を含んでなる中間転写ベルトが開示されている。
また、樹脂材料を用いたシームレスベルトの製造方法としては、インフレーション製法やデフレーション製法、遠心注型製法などが知られている。これらのうちデフレーション製法は、樹脂組成物を、筒状に溶融押出した後、マンドレルの外側に接触させて冷却し、収縮させて、最終形状のシームレスベルトを得るものであり、ポリイミド(PI)を用いたベルトに適用される遠心注型製法などに比べて、生産性が良好であるというメリットを有している。
特開2005−316231号公報(特許請求の範囲等) 特開2004−94095号公報(特許請求の範囲等)
上記各種転写ベルトとして用いられる導電性エンドレスベルトにおいては、ベルトの転写性の制御の観点から、表面抵抗率について転写電圧依存性が小さいことが望まれている。一方で、ベルト転写のために適切な体積抵抗率ρV(Ω・cm)とした場合に付随する表面抵抗率ρS(Ω/□)は配合によって決まる。よって、表面抵抗率を比較的高い値に維持したい場合、すなわち、体積抵抗率と表面抵抗率との差(ρV−ρS)を小さくしたい場合において、成形条件などのプロセスの改良によりこの抵抗バランスを制御することは、特に押出成形の場合には困難であった。
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、表面抵抗率を高い値に維持しつつ、表面抵抗率の電圧依存性を低減することで、転写性に優れた導電性エンドレスベルトを提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、ベルトの基材樹脂として硫黄含有熱可塑性樹脂を用いるとともに、これに、導電性材料としてのファーネスカーボンブラックを添加することで、上記問題を解消できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、画像形成装置に用いられる無端ベルト状の導電性エンドレスベルトにおいて、ベルト本体が、硫黄含有熱可塑性樹脂100質量部に対し、ファーネスカーボンブラックを20〜40質量部にて含有することを特徴とするものである。
本発明においては、前記ファーネスカーボンブラックの、比表面積が10〜70m/gであって、かつ、DBP給油量が80〜200cm/100gであることが好ましい。また、前記硫黄含有熱可塑性樹脂としては、ポリフェニレンサルファイドおよびポリスルフォンのうちのいずれか一方または双方を好適に用いることができる。
本発明によれば、上記構成としたことにより、表面抵抗率を高い値に維持しつつ、表面抵抗率の電圧依存性を低減することで、転写性に優れた導電性エンドレスベルトを実現することが可能となった。
本発明の一実施の形態に係る導電性エンドレスベルトの幅方向断面図である。 画像形成装置の一例としての転写搬送ベルトを用いたタンデム方式の画像形成装置を示す概略図である。 画像形成装置の他の例としての中間転写部材を用いた中間転写装置を示す概略図である。 画像形成装置のさらに他の例としての中間転写部材を用いた他の中間転写装置を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
導電性エンドレスベルトには、一般に、ジョイントありのものとジョイントなしのもの(いわゆるシームレスベルト)とがあるが、本発明においてはいずれのものであってもよく、好ましくはシームレスベルトである。本発明の導電性エンドレスベルトは、前述したように、タンデム方式および中間転写方式の転写部材等として用いることができるものである。
本発明の導電性エンドレスベルトが、例えば、図2に参照符号10で示す転写搬送ベルトの場合、駆動ローラ9等の駆動部材により駆動され、これに伴い搬送される記録媒体上にトナーが順次転写され、カラー画像が形成される。
また、本発明の導電性エンドレスベルトが、例えば、図3に参照符号20で示す中間転写部材の場合、これを駆動ローラ30等の駆動部材により循環駆動させ、感光体ドラム(潜像保持体)11と紙等の記録媒体26との間に配設することで、前記感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像を一旦転写保持し、次いでこれを記録媒体26へと転写する。なお、図3の装置は、上述したように、中間転写方式によりカラー印刷を行うものである。
さらに、本発明の導電性エンドレスベルトが、例えば、図4に参照符号50で示す中間転写部材の場合、感光体ドラム52a〜52dを備える現像部54a〜54dと紙等の記録媒体53との間に配設されて、駆動ローラ55等の駆動部材により循環駆動され、各感光体ドラム52a〜52dの表面に形成された4色のトナー像を一旦転写保持し、次いでこれを記録媒体53へと転写することで、カラー画像を形成する。なお、上記ではトナーが4色の場合について説明しているが、いずれの装置においても、トナーの色数が4色に限られないことは言うまでもない。
図1に、本発明の一好適例の導電性エンドレスベルトの幅方向断面図を示す。図示するように、本発明の導電性エンドレスベルトは、画像形成装置に用いられる無端ベルト状のベルトである。本発明のベルトにおいては、ベルト本体が、ベルトの基材樹脂としての硫黄含有熱可塑性樹脂100質量部に対し、導電性材料としてのファーネスカーボンブラックを20〜40質量部にて含有する点が重要である。硫黄含有熱可塑性樹脂としてはポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリスルフォン(PSF)が代表的であるが、これら樹脂に対し、分散性に優れ少量の添加で所望の導電性が得られる汎用のカーボンブラックであるアセチレンブラックを添加した場合、前述した電圧依存性や抵抗バランスの問題が顕著に発生していた。これに対し、本発明者らは検討の結果、かかる硫黄含有熱可塑性樹脂に対し、導電性材料として、汎用のアセチレンブラックではなくファーネスカーボンブラックを、上記比較的多量の範囲にて添加することで、表面抵抗率の電圧依存性が小さく、かつ、抵抗バランスを改善して(ρV−ρS)の値を小さくすることが可能な、転写性を制御しやすいシステム構築が可能となり、これにより転写性の良好なベルトが得られることを見出したものである。
本発明において用いる硫黄含有熱可塑性樹脂としては、PPSやPSF、ポリエーテルスルフォン等のうちの1種を単独で、または、2種以上を混合して用いることができるが、これらには制限されるものではない。好適には、PPSまたはPSFを用いる。
また、本発明において用いるファーネスカーボンブラックとは、オイルファーネス法により得られたカーボンブラックであり、アセチレンブラックと対比して粒径が大きく(比表面積は小)、かつ、凝集の度合いが大きい高ストラクチャーである特長を有する。かかるファーネスカーボンブラックの配合量が、20質量部より少ないと、高抵抗となり所望の抵抗比が得られず、40質量部より大きいと低抵抗となり、いずれにおいても本発明の所期の効果が得られない。ファーネスカーボンブラックの配合量は、好適には22〜38質量部である。
また、かかるファーネスカーボンブラックとしては、比表面積が10〜70m/g、特には15〜65m/gであって、かつ、DBP給油量が80〜200cm/100g、特には100〜190cm/100gであるものが好適である。比表面積が小さすぎると、必要なファーネスカーボンブラックの量が多くなりすぎ、大きすぎると分散性が悪化するので、いずれにおいても好ましくない。また、DBP給油量が小さすぎると、必要なファーネスカーボンブラックの量が多くなりすぎ、大きすぎるとパーコレーションカーブが急峻となるので、いずれにおいても好ましくない。
本発明のベルトのベルト本体は、上記配合を用いることで、体積抵抗率を10〜1015Ω・cmの範囲内、表面抵抗率を10〜1015Ω/□の範囲内にて調整することができる。本発明においては、ベルト本体において、導電性材料として、実質的に、かかるファーネスカーボンブラックのみを添加して、導電性を調整する。
また、図示はしないが、本発明のベルトにおいては、上記ベルト本体の外側に表層を設けることが好ましく、これにより、耐久時におけるトナー転写性を向上するとともに、ブレードクリーニングによるトナークリーニング性を付与する効果を得ることができる。かかる表層のバインダー樹脂としては、特に制限はないが、生産性等の観点から、紫外線硬化型樹脂(UV硬化型樹脂)を好適に用いることができる。
本発明に用いる紫外線硬化型樹脂とは、波長200〜400nm程度の紫外線(UV)の照射により硬化する樹脂をいい、通常、プレポリマー、モノマー、紫外線重合開始剤および添加剤からなる。具体的には、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して用いることができる。
また、これらの樹脂に特定の官能基を導入した変性樹脂を用いることもでき、特には、表層の力学的強度や耐環境特性を改善するために、架橋構造を有するものを導入することが好ましい。
上記の紫外線硬化型樹脂の中でも、特に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能アクリレートモノマーを用いたものや、(メタ)アクリレートオリゴマーを含む(メタ)アクリレート系紫外線硬化型樹脂が好適である。
このような(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマー等、また、フッ素系、シリコーン系の(メタ)アクリルオリゴマーなどを挙げることができる。
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物および水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得ることができる。
また、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつグリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
さらに、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマーおよびポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対応するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
紫外線硬化型樹脂は、所望に応じ、粘度調整のために重合性二重結合を有する反応性希釈剤を含有する。このような反応性希釈剤としては、アミノ酸や水酸基を含む化合物に(メタ)アクリル酸がエステル化反応およびアミド化反応で結合した構造の、例えば、単官能、2官能または多官能の重合性化合物等を使用することができる。これらの希釈剤は、(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部当たり、通常、10〜200質量部にて用いることが好ましい。
また、紫外線硬化型樹脂は、紫外線の照射により硬化反応の開始を促進させるための紫外線重合開始剤を含有する。かかる紫外線重合開始剤としては、特に制限されるものではなく、公知のものを使用することができるが、特に、照射される紫外線が表層内部まで届かなくなって、紫外線重合開始剤の機能が充分発揮されずに硬化反応が進行しなくなるおそれがある場合は、表層内部まで侵入しやすい長波長の紫外線に感度を有する紫外線重合開始剤を用いることが好ましい。
具体的には、紫外線吸収波長帯域の最大波長が400nm以上である紫外線重合開始剤が好適に用いられる。このような長波長に吸収帯域を有する紫外線重合開始剤としては、α−アミノアセトフェノン、アシルフォスフィンオキサイド、チオキサントンノアミン等を用いることができ、これらのより具体的な例としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、または、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンを挙げることができる。
この場合、紫外線重合開始剤として、上記のものに加えて、さらに、紫外線吸収波長帯域の最大波長が400nm未満である紫外線重合開始剤を含有させることが好ましく、これにより、特にカーボン系導電剤を用いた場合において、表層内部だけでなく表層の表面近傍についても良好に硬化反応を進行させることができる。
このような短波長に吸収帯域を有する紫外線重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ1,2ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2ヒドロキシエトキシ)フェニル]2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどを挙げることができる。
かかる紫外線重合開始剤の配合量としては、例えば、(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部当たり0.1〜10質量部とすることが好ましい。
表層には、上記成分以外に必要に応じて、上記の紫外線重合開始剤による重合反応を促進するために、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン、トリフェニルホスフィン等のアルキルホスフィン系光重合促進剤、p−チオジグリコール等のチオエーテル系光重合促進剤などを紫外線硬化型樹脂に添加してもよい。これらの化合物を添加する場合、その添加量は、通常(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部当たり0.01〜10質量部の範囲が好ましい。
また、表層には、これを構成する紫外線硬化型樹脂が、フッ素および珪素のうちいずれか一方または双方を含有することが好ましく、これにより、表層の表面エネルギーを低減することができ、その結果、ベルト表面の摩擦抵抗を低下させるとともに、トナー離型性も向上することができ、長期間の使用における摩耗を低減して、耐久性を向上させることができる。
フッ素を含む紫外線硬化型樹脂の原料としては、重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物を含有することが好ましく、かかる重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物のみからなるものとしてもよく、また、重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物と他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物とをブレンドした組成物よりなるものであってもよい。
重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物としては、フルオロオレフィン類、フルオロ(メタ)アクリレート類が好適である。
フルオロオレフィン類としては、1ないしすべての水素原子がフッ素と置換された炭素数2〜12のものが好適であり、具体的には、ヘキサフルオロプロペン[CFCF=CF,フッ素含有率76質量%]、(パーフルオロブチル)エチレン[F(CFCH=CH,フッ素含有率69質量%]、(パーフルオロヘキシル)エチレン[F(CFCH=CH,フッ素含有率71質量%]、(パーフルオロオクチル)エチレン[F(CFCH=CH,フッ素含有率72質量%]、(パーフルオロデシル)エチレン[F(CF10CH=CH,フッ素含有率73質量%]、クロロトリフルオロエチレン[CF=CFCl,フッ素含有率49質量%]、1−メトキシ−(パーフルオロ−2−メチル−1−プロペン[(CFC=CFOCH,フッ素含有率63質量%]、1,4−ジビニルオクタフルオロブタン[(CF(CH=CH,フッ素含有率60質量%]、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン[(CF(CH=CH,フッ素含有率64質量%]、1,8−ジビニルヘキサデカフルオロオクタン[(CF(CH=CH,フッ素含有率67質量%]を例示することができる。
フルオロ(メタ)アクリレート類としては、1ないしすべての水素原子がフッ素と置換された炭素数5〜16のフルオロアルキル(メタ)アクリレートが好適であり、具体的には、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート(CFCHOCOCH=CH、フッ素含有率34質量%)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート(CFCFCHOCOCH=CH、フッ素含有率44質量%)、F(CFCHCHOCOCH=CH(フッ素含有率51質量%)、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート[CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率37質量%]、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート[CFCFCHOCOCH=CH,フッ素含有率47質量%]、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート[F(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率54質量%]、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率49質量%]、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート[F(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率59質量%]、3−(パーフルオロヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率55質量%]、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート[F(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率62質量%]、3−(パーフルオロオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率59質量%]、2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレート[F(CF10CHCHOCOCH=CH,フッ素含有率65質量%]、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルアクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率57質量%]、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率52質量%]、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率61質量%]、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率57質量%]、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルアクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率64質量]、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率60質量%]、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルアクリレート[H(CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率41質量%]、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート[H(CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率53質量%]、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート[H(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率59質量%]、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルアクリレート[H(CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率63質量%]、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルアクリレート[(CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率51質量%]、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルアクリレート[CFCHFCFCHOCOCH=CH,フッ素含有率48質量%]、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート[CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率34質量%]、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート[CFCFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率44質量%]、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート[F(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率51質量%]、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率47質量%]、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート[F(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率57質量%]、3−(パーフルオロヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率53質量%]、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート[F(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率61質量%]、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率57質量%]、2−(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート[F(CF10CHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率63質量%]、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率55質量%]、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率51質量%]、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルメタクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率59質量%]、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率56質量%]、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルメタクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率62質量%]、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率59質量%]、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルメタクリレート[H(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率51質量%]、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート[H(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率51質量%]、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート[H(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率57質量%]、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート[H(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率61質量%]、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタクリレート[(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率48質量%]、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタクリレート[CFCHFCFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率46質量%]などを例示することができる。
上記の重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物は、モノマー、オリゴマー、または、モノマーとオリゴマーとの混合物であることが好ましい。オリゴマーとしては2〜20量体が好ましい。
この重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物とブレンドされてもよい他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリレートモノマー若しくはオリゴマー、または、モノマーとオリゴマーとの混合物が好適である。
この(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーとしては、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレート、エポキシ系(メタ)アクリレート、エーテル系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレート、ポリカーボネート系(メタ)アクリレート等のモノマーまたはオリゴマー、また、シリコーン系の(メタ)アクリルのモノマーまたはオリゴマーなどを挙げることができる。
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物および水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得られる。
また、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつ、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
さらに、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマーおよびポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対応するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
また、珪素を含む紫外線硬化型樹脂を形成する原料としては、重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物を含有することが好ましく、かかる重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物のみからなるものとしてもよく、また、重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物と他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物とをブレンドした組成物よりなるものであってもよい。
重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物としては、両末端反応性シリコーンオイル類、片末端反応性シリコーンオイル類、(メタ)アクリロキシアルキルシラン類が好適である。反応性シリコーンオイル類としては、末端に(メタ)アクリル基を導入したものが好ましい。
本発明に好適に用いられる珪素含有化合物の具体例を以下に示す。
下記の表1中に示す信越化学工業(株)製 両末端反応性シリコーンオイル(下記式(1)、
Figure 2014006327
で示される官能基を有する)である。
Figure 2014006327
下記の表2中に示す信越化学工業(株)製 片末端反応性シリコーンオイル(下記式(2)、
Figure 2014006327
(上記式(2)中、Rはメチル基またはブチル基であり、Rは前記式(1)で示される官能基である)で示される構造を有する)である。
Figure 2014006327
下記の表3中に示す東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製両末端メタクリレート変性シリコーンオイル(下記式(3)、
Figure 2014006327
で示される構造を有する)である。
Figure 2014006327
下記の表4中に示す東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製片末端メタクリレート変性シリコーンオイル(下記式(4)、
Figure 2014006327
で示される構造を有する)である。
Figure 2014006327
下記の表5中に示す信越化学工業(株)製 (メタ)アクリロキシアルキルシラン類(順に、下記式(5)〜(11)、

Figure 2014006327
Figure 2014006327
でそれぞれ示される構造を有する)である。
Figure 2014006327
これらの珪素含有化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよく、他の珪素を含有しない炭素間二重結合を有する化合物と併用してもよい。
また、これらの重合可能な炭素間二重結合を有する珪素含有化合物および他の珪素を含有しない炭素間二重結合を有する化合物は、モノマー、オリゴマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物として好ましく用いられる。
この重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物とブレンドされてもよい他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリレートモノマー若しくはオリゴマー、または、モノマーとオリゴマーとの混合物が好適である。オリゴマーとしては、2〜20量体が好ましい。
この(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーとしては、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレート、エポキシ系(メタ)アクリレート、エーテル系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレート、ポリカーボネート系(メタ)アクリレート等、また、フッ素系の(メタ)アクリルのモノマーまたはオリゴマーなどを挙げることができる。
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物および水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得ることができる。
エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつ、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
さらに、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマーおよびポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対応するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
表層には、導電性を調整するために、導電性材料を適宜配合することができる。かかる導電性材料としては、特に制限されるものではなく、公知の電子導電剤やイオン導電剤等を適宜用いることができる。このうち電子導電剤としては、具体的には例えば、ケッチェンブラック,アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF,ISAF,HAF,FEF,GPF,SRF,FT,MT等のゴム用カーボン、酸化処理等を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープの酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属および金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、カーボンウイスカー、黒鉛ウイスカー、炭化チタンウイスカー、導電性チタン酸カリウムウイスカー、導電性チタン酸バリウムウイスカー、導電性酸化チタンウイスカー、導電性酸化亜鉛ウイスカー等の導電性ウイスカー等が挙げられる。また、イオン導電剤としては、具体的には例えば、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウ弗化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウ弗化水素酸塩、硫酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。
また、高分子イオン導電剤としては、例えば、特開平9−227717号公報、特開平10−120924号公報、および、特開2000−327922号公報、特開2005−60658号公報等に記載されているものを用いることができるが、特に限定されない。
具体的には、(A)有機ポリマー材料、(B)イオン導電可能なポリマーまたはコポリマー、および、(C)無機または低分子量有機塩、からなる混合物を挙げることができ、ここで、成分(A)は、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアミド6、ポリアミド12等のポリアミド、ポリウレタンまたはポリエステルであり、成分(B)は、オリゴエトキシ化アクリレートもしくはメタクリレート、芳香族環についてオリゴエトキシ化されたスチレン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテル尿素、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミドまたはポリエステル−エーテルブロックコポリマーであり、また、成分(C)は、無機または低分子量有機プロトン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛またはアンモニウム塩であり、好ましくは、LiClO、LiCFSO、NaClO、LiBF、NaBF、KBF、NaCFSO、KClO、KPF、KCFSO、KCSO、Ca(ClO、Ca(PF、Mg(ClO、Mg(CFSO、Zn(ClO、Zn(PFまたはCa(CFSO等である。
これらの中でも、成分(B)として、ポリエーテルアミド成分、ポリエーテルエステルアミド成分またはポリエステル−エーテルブロックコポリマー成分を含有する高分子イオン導電剤が好適であり、さらに、これに加えて成分(C)として低分子イオン導電剤成分を含有することが好ましい。また、かかるポリエーテルアミド成分およびポリエーテルエステルアミド成分としては、ポリエーテル成分が(CH−CH−O)を含有し、ポリアミド成分がポリアミド12またはポリアミド6を含有するものが特に好ましく、さらに、成分(C)の低分子イオン導電剤成分としてはNaClOを含有する高分子イオン導電剤が特に好適である。かかる高分子イオン導電剤は、例えば、Irgastat(登録商標)P18およびIrgastat(登録商標)P22(共に、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・インコーポレーテッド製)として市場で容易に入手可能である。
また、ポリオレフィンのブロックと、親水性ポリマーのブロックとが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合等を介して繰り返し交互に結合してなるブロック共重合体も、本発明における高分子イオン導電剤として好適に用いることができる。かかるポリオレフィンとしては、ポリマーの両末端にカルボキシル基、水酸基、アミノ基等の官能基を有するポリオレフィンが挙げられ、特には、ポリプロピレンおよびポリエチレンが好適である。
また、親水性ポリマーとしては、官能基として水酸基を有するポリオキシアルキレン等のポリエーテルジオール、両末端カルボキシル基のポリアミドとポリエーテルジオールとから構成されるポリエーテルエステルアミド、ポリアミドイミドとポリエーテルジオールとから構成されるポリエーテルアミドイミド、ポリエステルとポリエーテルジオールとから構成されるポリエーテルエステル、ポリアミドとポリエーテルジアミンとから構成されるポリエーテルアミド等が使用でき、中でも、水酸基を有するポリオキシアルキレンが好ましい。例えば、両末端水酸基のポリオキシエチレン(ポリエチレングリコール)、ポリオキシプロピレン(ポリプロピレングリコール)等である。
本発明において高分子イオン導電剤として使用できるかかるブロック共重合体は、ペレスタット230,300,303(三洋化成(株)製)等として市場で容易に入手可能である。また、上記ブロック共重合体にリチウム化合物LiCFSOを含有させることで添加量を少なくしても帯電防止効果を維持する効果を得ることができ、かかるブロック共重合体とリチウム化合物との混合物として、サンコノールTBX−310(三光化学工業(株)製)が市販されている。
なお、導電性材料として高分子イオン導電剤を用いる場合には、基材樹脂と高分子イオン導電剤との相溶性を高めるために、相溶化剤を添加してもよい。
これら導電性材料は、1種を単独で用いても、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよく、例えば、電子導電剤とイオン導電剤とを組み合わせて用いることもでき、この場合、印加される電圧の変動や環境の変化に対しても安定して導電性を発現させることができる。
ベルトの表層における導電性材料の配合量は、電子導電剤については、樹脂成分100質量部に対し、通常100質量部以下、例えば1〜100質量部、特には1〜80質量部、とりわけ5〜50質量部である。また、イオン導電剤については、樹脂成分100質量部に対し、通常0.01〜10質量部、特には0.05〜5質量部の範囲である。さらに、高分子イオン導電剤については、樹脂成分100質量部に対し、通常1〜500質量部、好ましくは10〜400質量部である。本発明においては特に、導電性材料としてカーボンブラックを用いて、これを樹脂成分100質量部に対し、5〜30質量部にて添加することが好ましい。
また、本発明のベルトの各層には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の機能性成分として、各種充填材、カップリング剤、酸化防止剤、滑剤、表面処理剤、顔料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発泡剤、架橋剤等を適宜配合することができる。さらに、着色剤を添加して着色を施してもよい。
本発明のベルトの総厚さは、転写搬送ベルトまたは中間転写部材等の形態に応じて適宜選定されるものであるが、好ましくは50〜200μmの範囲内である。また、表層を設ける場合の表層の厚さとしては、特に制限されるものではないが、通常1〜12μm、特には1〜10μm、とりわけ2〜3μm程度とすることが好ましい。また、その表面粗さとしては、好適には、JIS10点平均粗さRzで10μm以下、特に6μm以下、更には3μm以下とする。
また、本発明の導電性エンドレスベルトには、図1に一点鎖線で示すように、図2の画像形成装置における駆動ローラ9または図3の駆動ローラ30などの駆動部材と接触する側の面に、該駆動部材に形成した嵌合部(図示せず)と嵌合する嵌合部を形成してもよく、本発明の導電性エンドレスベルトは、このような嵌合部を設け、これを駆動部材に設けた嵌合部(図示せず)と嵌合させて走行させることにより、導電性エンドレスベルトの幅方向のずれを防止することができる。
この場合、前記嵌合部は、特に制限されるものではないが、図1に示すように、ベルトの周方向(回転方向)に沿って連続する凸条とし、これを駆動ローラ等の駆動部材の周面に周方向に沿って形成した溝に嵌合させるようにすることが好ましい。
なお、図1(a)では、1本の連続する凸条を嵌合部として設けた例を示したが、この嵌合部は多数の凸部をベルトの周方向(回転方向)に沿って一列に並べて突設してもよく、また嵌合部を2本以上設けたり(図1(b))、ベルトの幅方向中央部に設けてもよい。更に、嵌合部として図1に示した凸条ではなく、ベルトの周方向(回転方向)に沿った溝を設け、これを前記駆動ローラ等の駆動部材の周面に周方向に沿って形成した凸条と嵌合させるようにしてもよい(図示せず)。
本発明の導電性エンドレスベルトのベルト本体は、硫黄含有熱可塑性樹脂、ファーネスカーボンブラックおよびその他の機能性成分等を含む樹脂組成物の押出し成形により好適に製造することができる。具体的には、例えば、二軸混練機により、硫黄含有熱可塑性樹脂およびファーネスカーボンブラック等からなる樹脂組成物を混練し、得られた混練物を環状ダイスを使って押出し成形することにより、本発明のベルトのベルト本体を得ることができる。または、静電塗装等の粉体塗装法、ディップ法または遠心注型法も好適に採用することができる。
ベルト本体の外側に上記表層を設ける場合には、成形されたベルト本体上に、上記UV硬化型樹脂および導電性材料等を含む塗工液を塗布して、UV照射により硬化させる方法を好適に用いることができる。この塗工液は無溶剤で形成することが好ましく、あるいは、常温において揮発性の高い溶剤を溶媒として用いてもよい。このような方法を用いることで、熱や熱風を用いて乾燥、硬化させて形成する方法において必要となるような乾燥のための大掛かりな設備およびスペースを節減することができ、かつ、乾燥プロセスの制御が難しいことに起因する成膜のバラツキを抑制して、表層を高精度で形成することができる。
この塗工液を塗布する方法としては、塗工液中にベルト本体を浸漬するディップ法や、スプレーコート法、ロールコート法などの中から、状況に応じて適宜選択して用いることができる。
紫外線を照射するための光源としては、通常使用される水銀灯、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等のいずれも使用することができる。紫外線照射の条件は、紫外線硬化型樹脂の種類や塗布量に応じて適宜選択すればよいが、照度100〜700mW/cm 、積算光量200〜3000mJ/cm程度が適切である。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
下記の表中に示す配合に従い、各実施例および比較例の導電性エンドレスベルトを作製した。具体的には、下記表中に示すベルトの各配合成分を二軸混練機により溶融混練して、得られた混練物を環状ダイスを用いて押出し成形することにより、内径230mm、厚さ120μm、幅245mmの寸法を有する導電性エンドレスベルトを作製した。得られた各実施例および比較例のベルトにつき、下記の手順に従い、評価を行った。これらの結果を下記の表中に併せて示す。
<体積抵抗率ρVの測定>
温度23℃、相対湿度50%にて、測定装置として、アドバンテスト(ADVANTEST)社製の、抵抗計R8340AにサンプルチャンバーR12704Aを接続したものを用いて、電圧10Vにて測定を行い、周方向に30mmピッチで20箇所測定した値の平均値を求めて、体積抵抗率ρV(10V)(Ω・cm)とした。結果は、桁数にて示した。
<表面抵抗率ρSの測定>
温度23℃、相対湿度50%にて、測定装置として三菱化学社製の抵抗計ハイレスタ(プローブUR−100)を用いて、電圧10Vにて測定を行い、印加時間10秒、周方向に30mmピッチで20箇所測定した値の平均値として、表面抵抗率ρS(10V)を求めた。また、表面抵抗率ρSの電圧依存性を評価するために、電圧100Vおよび5000Vにおける表面抵抗率ρS(100V)およびρS(500V)についても、同様にして求めた。結果は、桁数にて示した。なお、表面抵抗率の電圧依存性および抵抗バランスの値は、小さいほど良好である。
<転写性評価>
各実施例および比較例で得られたベルトを、それぞれ転写ベルトとして市販のプリンタに組み込んで、15℃10%RHの環境下にて50K(5万)枚の画像出しを行い、耐久性を評価した。具体的には、リークなどの局所的な抵抗変動による異常画像の発生の有無を確認して、異常画像が発生しなかった場合を○、発生した場合を×とした。
これらの評価結果を、下記の表中に併せて示す。
Figure 2014006327
*1)PPS:フォートロン0220C9,ポリプラスチックス(株)製
*2)PSF:Udel P1700,ソルベイアドバンスドポリマーズ(株)製
*3)カーボンブラックA:♯3030,三菱化学(株)製 ファーネスブラック(比表面積32m/g,DBP給油量127cm/100g)
*4)カーボンブラックB:♯3050,三菱化学(株)製 ファーネスブラック(比表面積50m/g,DBP給油量175cm/100g)
*5)カーボンブラックC:デンカブラック粒状,電気化学工業(株)製 アセチレンブラック
Figure 2014006327
上記表中に示すように、硫黄含有熱可塑性樹脂に対し、ファーネスカーボンブラックを所定量にて配合してなる各実施例のベルトにおいては、表面抵抗率を高い値に維持しつつ、表面抵抗率の電圧依存性を低減することができ、結果として、良好な転写性が得られていることが確かめられた。これに対し、ファーネスカーボンブラックに変えて従来汎用のアセチレンブラックを用いた各比較例では、表面抵抗率の電圧依存性が大きく、かつ、表面抵抗率の値自体も小さくなっており、結果として転写性が不十分となっていることがわかる。
1、11、52a〜52d 感光体ドラム
2、7 帯電ロール
3 現像ロール
4 現像ブレード
5 トナー供給ロール
6 クリーニングブレード
8 除電ロール
9、30、55 駆動ローラ(駆動部材)
10 転写搬送ベルト
12 一次帯電器
13 画像露光
14、35 クリーニング装置
19 給紙カセット
20、50 中間転写部材
25 転写ローラ
26、53 記録媒体
29、61 電源
41、42、43、44 現像器
54a〜54d 第1現像部〜第4現像部
56 記録媒体送りローラ
57 記録媒体送り装置
58 定着装置

Claims (3)

  1. 画像形成装置に用いられる無端ベルト状の導電性エンドレスベルトにおいて、
    ベルト本体が、硫黄含有熱可塑性樹脂100質量部に対し、ファーネスカーボンブラックを20〜40質量部にて含有することを特徴とする導電性エンドレスベルト。
  2. 前記ファーネスカーボンブラックの、比表面積が10〜70m/gであって、かつ、DBP給油量が80〜200cm/100gである請求項1記載の導電性エンドレスベルト。
  3. 前記硫黄含有熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンサルファイドおよびポリスルフォンのうちのいずれか一方または双方である請求項1または2記載の導電性エンドレスベルト。
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