JP2014005342A - 樹脂及びその製造方法、並びにこれを用いたトナー - Google Patents

樹脂及びその製造方法、並びにこれを用いたトナー Download PDF

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Abstract

【課題】トナーに求められる諸性能を満足し、さらに有機溶剤に対する耐性を高めることができる樹脂およびその製造方法、これを用いたトナーを提供する。
【解決手段】ロジン由来の繰り返し単位が主鎖に組み込まれた高分子化合物からなる樹脂であって、ロジン由来の繰り返し単位として構造の異なるものを二種類以上含んでなり、それらのうち少なくとも一種は、式(I)で表される繰り返し単位である樹脂。
Figure 2014005342

(R,Rは特定の置換基を表す。n,mは0〜3の整数を表す。環Cyは特定の6員環を表す。*は主鎖に組み込まれる結合手を表す。Lは二価の連結基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は樹脂及びその製造方法、並びにこれを用いたトナーに関する。
コピー機をはじめとして適用される電子写真法は、いまや広く普及し、これを利用して、白黒画像のみならず、良好なカラー画像を瞬時に多数複写することもできる。この電子写真法は典型的には下記のような装置及びプロセスで行われる(図1参照)。まず、光導電性物質を利用した感光体(潜像保持体)1の表面を帯電手段8により帯電し、そこに露光Lを施して電気的に潜像を形成する。ここで形成された潜像に、トナー供給室2に格納されたドラム3からトナーを付与し、トナー像を形成する。このとき、トナー5は上記感光体とは逆の電荷に帯電されている。その後、このトナー像を、必要により中間転写体(図示せず)を介して、紙4等の被転写体表面に転写する。この転写画像51を、加熱、加圧、溶剤蒸気等により定着することで所望の画像を得ることができる。上記の感光体表面に残ったトナーは、必要に応じてクリーナー7によりクリーニングし、再びトナー像の現像に利用される。さらに、感光体は次の複写に備えるため除電器9により除電される。
近年、電子写真分野の技術進化により、電子写真プロセスは複写機、プリンターのみならず、印刷用途にも使用されるようになってきた。装置の高速化、高信頼性はもとより、複写物が印刷物同等の高画質、色相を有することが益々厳しく要求されてきている。かかる要求性能の向上の取り組みがなされており、例えば特許文献1では、ケミカルトナーにおける光沢度差やむらの低減への試みが開示されている。
特開2008−165017号公報 特開2011−26569号公報 特開2011−74249号公報 国際公開第2011/125795パンフレット
一方、トナーは高分子化合物を主体とした樹脂を含んでなるものであり、その製造及び供給に関する環境への影響は無視できない。成形体のような外形があるわけではないので、見落とされがちであるが、大量消費される樹脂製品として環境適合性の改善への可能性は大きい。現在流通されているトナーにおいては通常化石燃料由来のポリマーが用いられており、昨今の環境問題の観点からは二酸化炭素の換算排出量の低い天然資源由来のものへの代替が望まれる。
ところで、本出願人は先に天然資源由来のアビエタン系の化合物に注目し、これを主鎖に組み込んだ重合体を合成することに成功した(前記特許文献2,3参照)。そしてその重合体をトナー用の樹脂として用いることも提案している(前記特許文献4参照)。これにより、天然素材を用いた高い性能のトナーの提供を可能としているが、そのさらなる改良を模索した。特に、トナーの定着画像に関して、耐有機溶剤性が求められることがあり、これへの対応が必要であると考えた。例えば、有機溶剤を使用する作業現場で使用される書面(マニュアル等)の印刷画像、有機溶剤のボトルラベル、これと同梱される書面(伝票等)が挙げられる。
すなわち本発明は、上記本出願人が先に開発した生物由来材料によるトナーに関し、トナーに求められる諸性能を満足し、さらに有機溶剤に対する耐性を高めることができる樹脂およびその製造方法、これを用いたトナーの提供を目的とする。
前記課題は下記の手段により解決された。
〔1〕ロジン由来の繰り返し単位が主鎖に組み込まれた高分子化合物からなる樹脂であって、
ロジン由来の繰り返し単位として構造の異なるものを二種類以上含んでなり、それらのうち少なくとも一種は、下記式(I)で表される繰り返し単位である樹脂。
Figure 2014005342
(R,Rは、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルケニル基を表す。n,mは、0〜3の整数を表す。環Cyはヘテロ原子を含んでもよい飽和もしくは不飽和の6員環を表す。*は主鎖に組み込まれる結合手を表す。Lは二価の連結基を表す。複数のR,Rは、互いに異なっていてもよく、連結して環を形成していてもよい。)
〔2〕式(I)で表される繰り返し単位と組み合わされるロジン由来の繰り返し単位(R)として、飽和または不飽和の脂肪族性の環で構成された繰り返し単位を含んでなる〔1〕に記載の樹脂。
〔3〕式(I)で表される繰り返し単位と組み合わされるロジン由来の繰り返し単位(R)として、下記式(III)で表される繰り返し単位を含んでなる〔1〕または〔2〕に記載の樹脂。
Figure 2014005342
(R、Rはそれぞれ一価または二価の基を表し、少なくとも一方は二価の基である。R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R〜R及び破線で表される結合手は互いに結合し環構造を形成してもよい。*はいずれも主鎖に組み込まれる結合手を表す。ただし、RまたはRが一価の基であるとき、それに対応する結合手(*)は存在しない。破線を施した結合部は単結合または二重結合であることを表す。)
〔4〕式(I)で表される繰り返し単位と組み合わされるロジン由来の繰り返し単位(R)として、重合ロジンまたは不飽和脂肪酸変性ロジンに由来する繰り返し単位を含んでなる〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の樹脂。
〔5〕式(III)で表される繰り返し単位が、下記式(III−1)、(III−2)、または(III−3)で表される〔3〕または〔4〕に記載の樹脂。
Figure 2014005342
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。*は主鎖に組み込まれる結合手を表す。R11およびR21は主鎖に組み込まれる結合手(*)、水素原子、または置換基である。ただし、R11およびR21のうち少なくとも一方は結合手(*)である。R11およびR21のいずれかが水素原子であるとき、これが解離したアニオン性基となっていてもよい。R22は式(III)のRの一価の基と同義である。)
〔6〕連結基Lの連結位置について、2位/2’位の連結構造(構造a)、2位/4’位もしくは2’位/4位の連結構造(構造b)、またはその両者が存在する〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の樹脂。
〔7〕式(I)で表される繰り返し単位が、デヒドロアビエチン酸由来の構成単位である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の樹脂。
〔8〕式(I)で表される繰り返し単位として、下記式(I−1)で表される構成単位および/または下記式(I−2)で表される構成単位を含む〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の樹脂。
Figure 2014005342
〔9〕式(I)で表される繰り返し単位と、式(I)で表される繰り返し単位と組み合わされるロジン由来の繰り返し単位(R)とのmol比が、10:1以上、1:2以下である〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の樹脂
〔10〕高分子化合物が、さらに下記式(II)で表される繰り返し単位を有する〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の樹脂。
Figure 2014005342
(Gはアルカン連結基、アルケン連結基、アリール連結基、ヘテロアリール連結基、またはそれらの組合せを表す。X、Y、Zはそれぞれ独立に二価の連結基を表す。mzは0〜3の整数を表す。*は主鎖に組み込まれる結合手を表す。)
〔11〕式(II)におけるGが炭素数2〜30のアルキン連結基、アルケン連結基、アリール連結基、ヘテロアリール連結基、またはそれらの組合せを表し、X,Y,Zはそれぞれ独立に、−O−*、−COO−*、−NH−*より成る群より選ばれた一種である〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の樹脂。
〔12〕樹脂の酸価が5mgKOH/g以上25mgKOH/g以下である〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の樹脂。
〔13〕樹脂の重量平均分子量が7,000以上、70,000以下である〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の樹脂。
〔14〕〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の樹脂を水性媒体中に含んでなる水性樹脂分散物。
〔15〕〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の樹脂を含んで成るトナー。
〔16〕さらに、顔料および離型剤を含有する〔15〕に記載のトナー。
〔17〕〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の樹脂の製造方法であって、
下記式(Ia)で表されるモノマーとこれとは異なるロジン由来のモノマーとを重合させる樹脂の製造方法。
Figure 2014005342
(R、R、Cy、L、n、mは式(I)と同義である。T、Tは置換基である。)
本明細書において、特定の符号で表示された置換基や連結基(以下、置換基等という)が複数あるとき、あるいは複数の置換基等を同時もしくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、特に断らなくても、複数の置換基等が近接するときにはそれらが互いに連結したり縮環したりして環を形成していてもよい。
本発明の樹脂およびその製造方法によれば、植物起源の化合物を利用することにより地球環境の保全に貢献し、トナーとしたときの良好な性能を発揮する。とりわけ、低温定着性、光沢度、そのムラの抑制といったトナーに求められる諸性能を満足し、さらに有機溶剤に対する高い画像耐性を実現することができる。
電子写真法による複写機及びその複写プロセスを説明するために模式的に示した装置側面図である。
本発明の樹脂は、植物起源の化合物を利用した特定重合体からなり、植物由来でありながらトナー用の樹脂として良好な性質を有し、しかも高い有機溶剤に対する画像耐性を有する。この理由は以下のように推定される。上述のとおり、本出願人は、デヒドロアビエチン酸に由来する骨格を主鎖に組み込んだ重合体の合成に成功した。その骨格はベンゼン環を含む特有の三環状構造を有し、これがトナーにおいて好適な硬さの発現に寄与していると考えられる。一方、本発明においては、そのロジン由来の構造として、芳香環を有するもの(デヒドロアビエチン酸由来)と、脂肪族の環のみから形成されるものの両方を導入した。これにより、これらロジン由来構造間で相互作用が生じ、それぞれを単独で導入した場合に発現し得ない特異的な溶剤耐性を発現したと考えられる。
すなわち、本発明の樹脂はデヒドロアビエチン酸に由来する骨格と、これとは異種の脂肪族性の環構造を有するロジン由来の構造単位とを主鎖骨格中に導入することで、その適度な硬さとともに、良好な溶剤耐性を付与し、本発明の優れた効果を実現したものと考えられる。以下、本発明の好ましい実施態様を中心に詳細に説明する。
[樹脂A]
本発明の樹脂は、下記式(I)で表される繰り返し単位とロジン由来の別種繰り返し単位(R)とが主鎖に組み込まれた高分子化合物(「特定重合体A」ともいう)からなる。
(式(I)で表される繰り返し単位)
Figure 2014005342
・R,R
,Rは、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルケニル基を表す。Rはメチル基であることが好ましい。Rは炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましく、i−プロピル基であることがより好ましい。Rは上記式中の3位もしくは3’位に置換していることが好ましい。複数のR,Rは、互いに異なっていてもよく、連結して環を形成していてもよい。
・n,m
nは0〜3の整数を表す。mは0〜6の整数を表す。nは1であることが好ましい。mは2であることが好ましい。
・Cy
環Cyはヘテロ原子を含んでもよい飽和もしくは不飽和の6員環を表す。Cyはシクロヘキサン環もしくはシクロヘキセン環であることが好ましく、シクロヘキサン環であることがより好ましい。Cyはさらに置換基を有していてもよく、当該置換基としては後記置換基Tの例が挙げられる。
・L
Lは二価の連結基を表す。具体的には、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基が挙げられる。なかでも、炭素数1〜6のアルキレン基もしくは炭素数1〜6のアルケニレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基がより好ましい。なお、アルキレン基及びアルケニレン基は鎖状であっても環状であってもよく、また、鎖状のとき直鎖であっても分岐があってもよい。Lはさらに置換基を有していてもよく、その置換基としては、後記置換基Tの例が挙げられる。
式中、*は主鎖に組み込まれる結合手を表す。
ここで、本発明において「デヒドロアビエチン酸に由来する骨格」とは、所望の効果を奏する範囲で、デヒドロアビエチン酸から誘導される構造部を言う。ただし、デヒドロアビエチン酸の三環状の母核構造が維持されており(環を構成する原子の数が維持されていなくてもよい)、その1つにベンゼン環が含まれていることを必須とする。その例としては下記が挙げられる。
Figure 2014005342
「デヒドロアビエチン酸に由来する骨格」はさらに置換基を有してもよい。有してもよい置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基などが挙げられる。
デヒドロアビエチン酸は、植物起源の松脂に含まれるロジンを構成する成分の1つである。すなわち、天然起源の材料をその基質として利用することができるため、二酸化炭素の排出量において相殺され、化石燃料起源のプラスチック材料に比し、大幅にその換算排出量を削減することができる。次世代材料として望まれる環境適合型の、バイオマス資源由来の素材である。なお、上記デヒドロアビエチン酸に由来する骨格をデヒドロアビエタン骨格と呼ぶことがあり、これを「DA骨格」と省略して呼ぶことがある。
本発明の樹脂においては、式(I)の前記連結基Lの連結位置について、異なる2種以上のものが含まれていてもよい。ここで2種以上の構造単位の共重合形態は特に限定されず、ブロック共重合でも、交互共重合でも、ランダム共重合などであってもよい。このことは、式(I)と式(II)、ないし繰り返し単位(R)との関係においても同様である。具体的には、式(1)中、2位/2’位の構造(構造a)と2位/4’位もしくは2’位/4位の構造(構造b)とが共存することが好ましい。このときさらに、4位/4’位もしくは4’位/4位の構造(構造c)が共存していてもよい。前記2位/2’位の構造(構造a)と2位/4’位もしくは2’位/4位の構造(構造b)との比率(構造a:構造b[モル比基準])は、1:0.05〜1:0.50の範囲で含まれてなることが好ましく、1:0.10〜1:0.30の範囲で含まれてなることがより好ましい。構造aと構造bとをこの範囲で含有させることで、トナーにおける諸性能と低温での画像耐久性を高いレベルで達成することができる。構造a及びb以外の構造(例えば構造c等)の含有量は特に限定されないが、構造aおよび構造bの合計を1として構造cが0.01〜15(モル比)であることが、上記と同様の観点で好ましい。
前記式(I)で表される繰り返し単位は、下記式(Ix)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 2014005342
式中、R、R、n、Cy、L、*は、式(I)と同義である。
・m1
m1は前記式(I)のm−2であり、好ましい範囲も前記m−2として求められる数と同様である。ただし、下限値は0である。
・R,R
,Rは、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルケニル基を表す。R,Rはなかでもメチル基であることが好ましい。複数のR,Rは、互いに異なっていても同じであってもよい。
上記式(I)で表される繰り返し単位は、さらに下記式(Iy)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 2014005342
式中、R、R、n、m1、L、R、R、*は、式(I)ないし(Ix)と同義である。RはRと同義である。lは0〜2の整数を表し、0が好ましい。
なお、上記1,2,3,4,1’,2’,3’,4’の炭素原子の位置番号は本明細書において定義したものであり、デヒドロアビエタン骨格(下記式(Iz)参照)として言うと、2位,2’位が、12位,12’位に該当し、4位,4位’が14位,14’位に該当する。
上記式(I)で表される繰り返し単位は、さらに、下記式(Iz)で表される繰り返し単位であることが好ましい。このとき、本実施形態の樹脂においては、下記式(Iz)で表される繰り返し単位について、その連結基であるメチレン基の結合位置(11,12,14,11’,12’,14’)が異なるものが2種以上含まれていてもよい。
Figure 2014005342
本発明においては、前記式(I)で表される繰り返し単位として、下記式(I−1)で表される構成単位および、または下記式(I−2)で表される構成単位を含むことが好ましい。
Figure 2014005342
上記の式(I−1)で表される繰り返し単位は構造aで定義される構成単位に含まれ、上記の式(I−2)で表される繰り返し単位は構造bで定義される構成単位に含まれる。
本発明の樹脂(特定重合体A)においては、さらにデヒドロアビエチン酸由来の構成単位の三量体が含まれていてもよい。このような三量体構造が含まれることで、そこに重合体の分岐が形成され、グラフト鎖を有する重合体とすることができる。これにより、樹脂がもつTg等を制御するなどして、各トナーに要求される性能に対して適合した物性をもつ樹脂を提供することができる。
(繰り返し単位(R))
本発明の樹脂を構成する高分子化合物(特定重合体A)に含まれる繰り返し単位(R)はロジン由来のものであり、脂肪族の環で形成される。ここで、脂肪族とは、一部に不飽和結合を有していてもよく、例えば、シクロヘキセン環などを包含する意味である。
ロジンに含まれる代表的な成分は(1)〜(8)として後の製造方法の項で挙げるが、前記繰り返し単位(R)としては、これらから誘導される構成単位で、前記式(I)で表される繰り返し単位とは異なるものを好適に利用することができる。
前記繰り返し単位(R)は、重合ロジンまたは不飽和脂肪酸変性ロジンに由来する繰り返し単位であることが好ましい。ここで、重合ロジンとは、典型的にはアビエチン酸が2量化したものであり、硫酸−塩化亜鉛などの触媒下、溶剤中で原料化合物を加熱することにより得ることができる。また、不飽和脂肪酸変性ロジンとしては、代表的なものとしては、マレイン化ロジン、フマル化ロジン、アクリル化ロジンが挙げられる。これは、ディールス−アルダー反応を利用して、レボピマル酸に、無水マレイン酸、フマル酸、アクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸を付加することにより得ることができる。重合ロジンや変性ロジンについては、江崎洋一郎「ロジンオ化学と機能化」化学装置(2010年3月号)などを参考にしてもよい。
前記繰り返し単位(R)は、下記式(III)で表される繰り返し単位であることも好ましい。
Figure 2014005342
、Rはそれぞれ一価または二価の基を表し、少なくとも一方は二価の基である。一価の基としては、水素原子または後記置換基Tが挙げられ、なかでも、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30)、カルボキシル基、カルボニルアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、カルボニルオキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)が好ましい。二価の基としては、カルボニルオキシ基、カルボニル基、アルキレンオキシ基(好ましくは炭素数1〜30)、アルキレンカルボニル基(好ましくは炭素数1〜30)、アルケニレンカルボニル基(好ましくは炭素数1〜30)が好ましい。
、R、Rはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。置換基としては後記置換基Tが挙げられ、なかでも、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、アルケニル基(好ましくは炭素数1〜10)が好ましい。なお、R〜R及び破線で表される結合手は互いに結合し環構造を形成してもよい。
*はいずれも主鎖に組み込まれる結合手を表す。ただし、RまたはRが一価の基であるとき、それに対応する結合手(*)は存在しない。
破線を施した結合部は単結合または二重結合であることを表す。
前記式(III)で表される繰り返し単位は、下記式(III−1)、(III−2)、または(III−3)で表されることが好ましい。
Figure 2014005342
は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。中でも、イソプロピル基であることが好ましい。
*は主鎖に組み込まれる結合手を表す。
11およびR21は主鎖に組み込まれる結合手(*)、水素原子、または置換基である。置換基としては後記置換基Tが挙げられ、なかでも、アルキル基(好ましくは炭素数1〜9)、オキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜9)、水酸基が好ましい。ただし、R11およびR21のうち少なくとも一方は前記結合手(*)である。
22は式(III)のRが一価の基である場合と同義である。
・式(I)構造の含率
前記特定重合体A中で、式(I)で表される繰り返し単位は、後記共重合成分との関係も考慮し、モル比において2〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがより好ましい。この共重合比が上記下限値以上であることで、樹脂中の天然物由来成分の量を高めることができ好ましく、上記上限値以下であることで、樹脂に適度な柔軟性を付与することができ好ましい。
・特定繰り返し単位(R)の含率
前記特定重合体A中で、前記特定繰り返し単位(R)は、後記共重合成分との関係も考慮し、モル比において0.1〜20%であることが好ましく、1〜10%であることがより好ましい。この共重合比が上記下限値以上であることで、トナーとした際に印刷物の耐溶剤性を高めることができ好ましく、上記上限値以下であることで、樹脂に適度な柔軟性を付与することができ好ましい。
前記特定重合体A中で、(式(I)で表される繰り返し単位):(特定繰り返し単位(R))は、モル比において10:1〜1:2であることが好ましく、5:1〜2:1であることがより好ましい。この範囲内であることで、トナーとした際に印刷物の耐溶剤性を高めることができ好ましい。
(式(II)で表される構造単位)
本発明における特定重合体Aは下記式(II)で表される構造単位を共重合成分として有していてもよい。
Figure 2014005342
・G
はアルカン連結基(アルカンジイル、アルカントリイル、アルカンテトライル等)、アルケン連結基(アルケンジイル、アルケントリイル、アルケンテトライル等)、アリール連結基(アリールジイル、アリールトリイル、アリールテトライル等)、ヘテロアリール連結基(ヘテロアリールジイル、ヘテロアリールトリイル、ヘテロアリールテトライル等)を表す。Gがアルカン連結基、またはそれらの組合せもしくはアルケン連結基であるとき、鎖状であっても環状であってもよく、これが鎖状のとき直鎖であっても分岐であってもよい。アルカン連結基、アルケン連結基、アリール連結基、またはヘテロアリール連結基はその一つ以上の水素原子が特定の置換基に置換されていても、無置換でもよい。置換されているときの置換基としては、後記置換基Tが挙げられ、なかでもアルキル基、アルケニル基が好ましい。また、アルカン連結基およびアルケン連結基を構成する一つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていてもよく、置換されているときのヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子が挙げられ、なかでも酸素原子が好ましい(典型的にはアルキレン鎖の一部がエーテル結合に置き換わり連結された形である。)。なお、炭素数とは置換基を有する場合、その炭素原子の数を含まない意味である。
がアルカン連結基(好ましくはアルキレン基)またはアルケン連結基(好ましくはアルケニレン基)であるとき、炭素数2〜30であることが好ましく、炭素数2〜20がより好ましい。アルキレン基、アルケニレン基は、置換または無置換であってもよく、一部がヘテロ原子に置換されていてよいことは上記のとおりである。さらに具体的には、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−(CHRa)CH−、−CH−Rb−CH−、−(CHCHO)−CHCH−、−(CHCHO)−CHCH−がより好ましい。Raは炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基であることが好ましく、C1837、C1633、C1225、C17、C1835、C1631、C1223、C15であることがより好ましい。Rbは炭素数4〜12のシクロアルキレン基が好ましく、シクロヘキサンジイル基がより好ましい。
がアリール連結基(好ましくはアリールレン基)またはヘテロアリール連結基(好ましくはヘテロアリーレン基)であるとき、炭素数3〜24であることが好ましく、炭素数6〜12がより好ましい。具体的には置換もしくは無置換のベンゼン連結基(好ましくはフェニレン基)が挙げられる。なお、Gはアルカン連結基、アルケン連結基、アリール連結基、およびヘテロアリール連結基を組み合わせた連結基であってもよい。例えば、アルカン連結基(好ましくはアルキレン基)とアリール連結基(好ましくはアリーレン基)を組み合わせて連結した連結基等が挙げられ、−Ph−Me−Ph−(Ph:フェニレン基、Me:メチレン基)、−Ph−Pr−Ph−(Ph:フェニレン基、Pr:プロパン−2,2−ジイル基)などが挙げられる。
・X、Y、Z
X、Y、Zはそれぞれ独立に、−O−、−S−、−NR−、−(C=O)−、−O(C=O)−、−(C=O)O−、−(C=O)NR−、及びこれらの組合せからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。好ましくは、−O−、−(C=O)O−、−(C=O)NH−、又は−(C=O)−である。前記Rは水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基を表す。
mzは0〜3を表し、0〜2が好ましくは、0または1がより好ましく、0が特に好ましい。なお、Gが三価以上(mzが1以上)の構成単位の具体例としては、グリセリン、エリスリトール、トリメリット酸、ピロメリット酸が反応して形成する繰り返し単位を挙げることができる。
(分子量)
本発明における特定重合体A(樹脂A)は、DA骨格を主鎖の一部を構成するように含んでいれば、その結合態様は特に限定されるものではない。前記特定重合体の重量平均分子量は限定的でないが、好ましくは7,000以上70,000以下、より好ましくは10,000以上20,000以下である。重量平均分子量がこの範囲であることにより、特にトナー用樹脂として適する溶融粘度、ガラス転移温度、可撓性等が実現され良好となる。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフェィー(GPC)による分子量測定(ポリスチレン換算)で得られた値である。なお、本明細書では特に断らない限り、キャリアとしてはテトラヒドロフランを用い、カラムとしてはトーソー(TOSOH)株式会社製 TSK−gel Super AWM−H(商品名)用いた値で分子量を示す。
(Tg)
ガラス転移温度(Tg)は限定的でないが、好ましくは30℃以上、より好ましくは40〜80℃、更に好ましくは45〜65℃である。ガラス転移温度がこの範囲であることにより、特にトナーとして用いた場合の定着性と経時での熱安定性とを両立することができる。なお、前記ガラス転移温度は、特に断らない限り、下記の方法及び条件による。
示差走査熱量計(SIIテクノロジー社製、DSC6200)を用いて下記の条件で測定する。測定は同一の試料で二回実施し、二回目の測定結果を採用する。
・測定室内の雰囲気:窒素(50mL/min)
・昇温速度:10℃/min
・測定開始温度:0℃
・測定終了温度:200℃
・試料パン:アルミニウム製パン
・測定試料の質量:5mg
・Tgの算定:DSCチャートの下降開始点と下降終了点の中間温度をTgとする。
前記特定重合体A(樹脂A)の酸価は、5mgKOH/g以上25mgKOH/g以下であることが好ましく、8mgKOH/g以上15mgKOH/g以下であることがより好ましい。なお、前記ガラス転移温度は、特に断らない限り、後記実施例で採用した方法及び条件による。
なお、前記特定重合体Aには、DA骨格を含む繰返し単位を有するものに対して、更に化学処理等を施した誘導体も含む。
なお、本明細書において化合物(重合体や樹脂を含む)の表示については、当該化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、所望の効果を奏する範囲で、所定の一部を変化させた誘導体を含む意味である。
本明細書において置換・無置換を明記していない置換基(連結基についても同様)については、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、下記置換基Tが挙げられる。さらに、置換基が配位子を表すとき、これは中性配位子であってもアニオン性配位子であってもよいことを意味する。
置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環の炭素原子数2〜20のヘテロ環基が好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基((好ましくは炭素原子数0〜20のスルファもイル基、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基又はシアノ基が挙げられる。
化合物ないし置換基・連結基等がアルキル基・アルキレン基、アルケニル基・アルケニレン基等を含むとき、これらは環状でも鎖状でもよく、また直鎖でも分岐していてもよく、上記のように置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、同様に置換されていても無置換でもよい。
[特定重合体Aの製造方法]
デヒドロアビエチン酸は、例えば、ロジンから得ることができる。ロジンに含まれる構成成分は、これら採取の方法や松の産地により異なるが、一般的には、アビエチン酸(1)、ネオアビエチン酸(2)、パラストリン酸(3)、レボピマール酸(4)、デヒドロアピエチン酸(5)、ピマール酸(6)、イソピマール酸(7)等のジテルペン系樹脂酸の混合物である。これらのジテルペン系樹脂酸のうち、(1)から(4)で表される各化合物は、ある種の金属触媒の存在下、加熱処理することにより不均化を起こし、デヒドロアビエチン酸(5)と、下記構造のジヒドロアビエチン酸(8)に変性する。即ち、デヒドロアビエチン酸(5)は、種々の樹脂酸の混合物であるロジンに適切な化学処理を施すことにより比較的容易に得ることができ、工業的にも安価に製造することができる。なお、ジヒドロアビエチン酸(8)とデヒドロアビエチン酸(5)とは、公知の方法により容易に分離できる。
Figure 2014005342
デヒドロアビエチン酸ないしその誘導体の二量体の合成は、この種の化合物の合成に利用される手法を適宜採用することができるが、たとえば本出願人の先の発明を開示した特開2011−26569記載の方法で合成できる。具体的には、下記式(Ia)で説明すると、そのLを単結合で連結する場合、オキサリルクロリドを用い触媒量のN,N−ジメチルホルムアミドを添加して反応を進行させることができる。Lをメチレン基とする場合には、上記オキサリルクロリドをジクロロメタンに代える方法などが挙げられる。あるいは、デヒドロアビチン酸ないしその誘導体をホルマリンと混合し、触媒量のトリフルオロ酢酸を添加することで反応を進行させてもよい。
Figure 2014005342
、R、n、m、Cy、Lは、前記式(I)と同義である。Tは置換基である。Tは特に限定されないが、前記置換基Tの例が挙げられ、後記重合反応を考慮すると、なかでもアルキル基、水酸基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、水酸基が特に好ましい。なお、前記式(I)で表されるモノマーの単量体構造部(DA骨格部分)の構造は、前記式(Ix)、(Iy)、(Iz)のものがそれぞれより好ましい。また、上記の二量体構造において、2/2’体と2/4’体(4/2’体)が適宜混合して含まれていてもよい。このような異性体混合物とするには、二量体化の際に、デヒドロアビエチン酸およびその誘導体とホルムアルデヒドとの反応には、反応溶媒として、酢酸および酢酸エステルから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、酢酸エステルを用いることが好ましい。また、前記三量体は二量体の合成時に副生成物として得られることがあるが、反応条件を適切に選択することでこれを優先的に生成させることもできる。
前記特定繰り返し単位(R)をなすモノマー原料としては、ロジン由来のモノマーであり、前記式(I)で表される繰り返し単位をなすものとは異なるモノマーが挙げられる。前記特定繰り返し単位(R)をなすモノマーとしては、前記ロジン由来の化合物に対して、主鎖に組み込まれる結合手をなす部位に置換基−CO−Tを有するものが挙げられる。
前記特定繰り返し単位(R)をなすモノマーとしては、さらに、重合ロジンまたは不飽和脂肪酸変性ロジンに2つの置換基−CO−Tを有するものが挙げられる。具体的に構造式で示せば、前記式(III)ないし、式(III−1)、式(III−2)、もしくは式(III−3)の結合手(*)を前記置換基Tに置き換えた化合物が挙げられる。
(重合体の調製)
前記重合体Aは、上記の式(Ia)で表される化合物もしくはその誘導体と上記の特定繰り返し単位(R)をなすモノマーとを重合させることにより得ることができる。さらに好ましくは、下記式(IIa)で表される化合物もしくはその誘導体をともに重合させることにより、所望の共重合体を合成することができる。
Figure 2014005342
、X、Y、Z、mzは前記式(II)と同義である。Tは、置換基である。Tは、特に限定されないが、後記重合反応を考慮すると、X、Y、Zがカルボニル基(CO)であるときは、アルキル基、水酸基であることが好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、水酸基であることが特に好ましい。X,Y,Zが酸素原子(O)であるときは、水素原子(H)が好ましい。2つのTは互いに異なっていてもよい。
重合体の具体的な合成方法としては、例えば、新高分子実験学3、高分子の合成・反応(2)、78〜95頁、共立出版(1996年)に記載の方法(例えば、エステル交換法、直接エステル化法、酸ハライド法等の溶融重合法、低音溶液重合法、高温溶液重縮合法、界面重縮合法など)などが挙げられ、本発明では製造コストを低減できる観点から特にエステル交換法および直接エステル法が好ましく用いられる。
エステル交換法は、ポリオール化合物とポリカルボン酸エステル誘導体とを溶融状態又は溶液状態で、必要により触媒の存在下に加熱することにより脱アルコール重縮合させ特定重合体Aを合成する方法である。
直接エステル化法は、ポリオール化合物とポリカルボン酸化合物とを溶融状態又は溶液状態で触媒の存在下に,加熱下において脱水重縮合させることにより特定重合体Aを合成する方法である。
酸ハライド法は、ポリオール化合物とポリカルボン酸ハライド誘導体とを溶融状態又は溶液状態で、必要により触媒の存在下に加熱し脱ハロゲン化水素重縮合させることにより特定重合体Aを合成する方法である。
界面重合法は、ポリオール化合物を水、前記ポリカルボン酸化合物又はその誘導体を有機溶媒に溶解させ、相問移動触媒を使用して水/有機溶媒界面で重縮合させることにより特定重合体Aを合成する方法である。
本発明の特定重合体の具体例を以下に示すが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
Figure 2014005342
Figure 2014005342
単位:モル比(多価カルボン酸類、多価アルコール類でそれぞれ100となるように示している)
(I)/(R)比:式(I)で表される繰り返し単位のモル比を特定繰り返し単位(R)のモル比で除した値
[水性樹脂分散物]
本実施形態のトナーの調製には、樹脂微粒子の分散物を利用することが好ましい。この観点から、本実施形態の水性樹脂分散物(以下、単に「樹脂分散物」ともいう)は、前記デヒドロアビエチン酸由来の構成成分を含む特定重合体A(樹脂A)の少なくとも1種を含み、これが水性媒体中に分散されて構成される。前記樹脂Aは、自己分散性と分散安定性に優れることから、水性分散物を構成することができる。特に樹脂の酸価が前述の範囲であることが好ましい。酸価が上記下限値以上であると、水性樹脂分散物を形成した際に樹脂粒子に十分な表面電荷を付与できるため分散安定性が良好で、凝集が抑制でき、所望の粒子径の樹脂粒子を得ることができるので好ましい。また、酸価が上記上限値以下であると、親水性が適切であり、粗大粒子の発生が抑制でき、良好な粒度分布を得ることができる。
ここで自己分散性とは、例えば、界面活性剤の不存在下、分散状態(特に転相乳化法による分散状態)としたとき、重合体自身が有する官能基(特に酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となり得ることを意味し、遊離の乳化剤を含有しない樹脂分散物を構成し得ることを意味する。
また分散状態とは、水性媒体中に重合体が液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に重合体が固体状態で分散された分散状態(サスペンション)の両方の状態を含むものである。
前記重合体Aは水不溶性ポリマーであることが好ましい。水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいい、その溶解量が好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。前記溶解量は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
重合体の乳化又は分散状態、すなわち重合体の水性分散物の調製方法としては、転相乳化法が挙げられる。転相乳化法としては、例えば、重合体を溶媒(例えば、親水性有機溶剤等)中に溶解又は分散させた後、界面活性剤を添加せずにそのまま水中に投入し、重合体が有する塩生成基(例えば、酸性基)を中和した状態で、攪拌、混合し、前記溶媒を除去した後、乳化又は分散状態となった水性分散物を得る方法が挙げられる。
前記重合体粒子の分散状態とは、重合体30gを70gの有機溶媒(例えば、メチルエチルケトン)に溶解した溶液、該重合体の塩生成基を100%中和できる中和剤(塩生成基がアニオン性であれば水酸化ナトリウム、カチオン性であれば酢酸)、及び水200gを混合、攪拌(装置:攪拌羽根付き攪拌装置、回転数200rpm、30分間、25℃)した後、該混合液から該有機溶媒を除去した後でも、分散状態が25℃で少なくとも1週間安定に存在することを目視で確認することができる状態をいう。
[トナー用バインダー]
本実施形態のトナー用バインダーは、前記デヒドロアビエチン酸由来の構成成分を含む特定重合体Aの少なくとも1種を含有し、必要に応じてその他の成分(例えば、樹脂)を含んで構成される。前記トナー用バインダーは、乾式法である溶融混練粉砕法や液中でトナー粒子を造粒する湿式法のいずれにも適用可能である。特に上記デヒドロアビエチン酸に由来する特定重合体は、自己分散性と分散安定性に優れることから、重合体を分散状態としてトナーを造粒する湿式法に好適に用いることができる。
また本実施形態のトナー用バインダーは、その成分としてその他の樹脂の少なくとも1種を含むことができる。その他の樹脂としては結晶性樹脂が挙げられ、例えば、前記デヒドロアビエチン酸由来の重合体以外のポリエステル樹脂(以下、「その他のポリエステル樹脂」ともいう)を挙げることができる。本発明においては、特にトナー用途を考慮して、上記デヒドロアビエチン酸由来の特定重合体と結晶性樹脂とを含有する樹脂組成物とすることが好ましい。
なお、本発明において「組成物」とは、2以上の成分が特定の組成で実質的に均一に存在していることを言う。ここで実質的に均一とは発明の作用効果を奏する範囲で各成分が偏在していていもよいことを意味する。また、組成物とは上記の定義を満たす限り形態は特に限定されず、流動性の液体やペーストに限定されず、複数の成分からなる固体や粉末等も含む意味である。さらに、沈降物があるような場合でも、攪拌により所定時間分散状態を保つようなものも組成物に含む意味である。これに対し、「混合物」は前記の均一性を問わない意味である。
その他のポリエステル樹脂は、例えば、主として多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるものである。
前記多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられ、これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸の中でも、芳香族カルボン酸を用いることが好ましい。また、良好な定着性を確保するためには、ポリエステル樹脂が架橋構造あるいは分岐構造をとることが好ましく、そのためには多価カルボン酸として、ジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
前記多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールの中でも、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また、より良好なる定着性を確保するためには、ポリエステル樹脂が架橋構造あるいは分岐構造をとることが好ましく、そのために多価アルコールとして、ジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
その他のポリエステル樹脂のガラス転移温度(以下「Tg」と略記することがある)は40℃以上80℃以下であることが好ましく、50℃以上70℃以下がより好ましい。ポリエステル樹脂のTgが80℃以下であることにより低温定着性が得られ、Tgが40℃以上であることにより、十分な熱保管性及び定着画像の保存性が得られる。
また、その他のポリエステル樹脂の分子量(重量平均分子量)は、樹脂の製造性、トナー製造時の微分散化や、溶融時の相溶性トナーの観点から、5,000以上40,000以下が好ましい。
・結晶性ポリエステル樹脂(I)
その他のポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂の少なくとも1種を含有することが好ましい。ポリエステル樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含有することにより、トナーの低温定着性がより良好となる。また定着工程における加熱温度が低いため、定着器の劣化が抑制される。ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含有することにより、溶融時に結晶性ポリエステル樹脂が非結晶性ポリエステル樹脂と相溶してトナー粘度を著しく低下させ、低温定着性や画像光沢性にすぐれたトナーが得られる。
また、結晶性ポリエステル樹脂のなかでも、脂肪族結晶性ポリエステル樹脂は、芳香族結晶性樹脂に比べ、好ましい融点を有するものが多いため、特に好ましい。
ポリエステル樹脂中における結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、2質量%以上20質量%以下が好ましく、2質量%以上14質量%以下がより好ましい。上記結晶性ポリエステル樹脂の含有量が2質量%以上あれば、溶融時に非結晶性ポリエステル樹脂を十分に低粘度化することができ、低温定着性の向上が得られ易い。また上記結晶性ポリエステル樹脂の含有量が20質量%以下であれば、結晶性ポリエステル樹脂の存在に起因するトナーの帯電性の悪化を抑制することができるので、記録媒体への定着後の画像強度が得られ易い。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、50℃以上100℃以下の範囲であることが好ましく、55℃以上95℃以下の範囲であることが好ましく、60℃以上90℃以下の範囲であることがより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の融点が50℃以上あれば、トナーの保存性や、定着後のトナー画像の保存性が良く、また100℃以下であれば、低温定着性の向上が得られ易い。
結晶性ポリエステル樹脂は、酸(ポリカルボン酸)成分とアルコール(ポリオール)成分とから合成されるものであり、下記において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂において、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
酸由来構成成分
前記酸由来構成成分となるための酸としては、種々のジカルボン酸が挙げられるが実施の形態に係る結晶性ポリエステル樹脂における酸由来構成成分としては、直鎖型の脂肪族ジカルボン酸が望ましい。例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらの中では、入手容易性を考慮するとアジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
酸由来構成成分としては、その他として2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分等の構成成分を含有していてもよい。
なお、ここでの「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における酸由来構成成分全体中の当該酸由来構成成分、または、アルコール由来構成成分全体中の当該アルコール構成成分を、各1単位(モル)としたときの百分率を指す。
アルコール由来構成成分
アルコール構成成分となるためのアルコールとしては、脂肪族ジオールが望ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9―ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられるが、この限りではない。これらの中では、入手容易性やコストを考慮すると1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の分子量(重量平均分子量)は、樹脂の製造性、トナー製造時の微分散化や、溶融時の相溶性トナーの観点から、8,000以上40,000以下が好ましく、10,000以上30,000以下がさらに好ましい。8,000以上あれば、結晶性ポリエステル樹脂の抵抗低下を抑制することができるので、帯電性の低下を防止することができる。40,000以下であれば、樹脂合成のコストを抑え、また、シャープメルト性の低下を防止するために低温定着性に悪影響を与えない。
本実施形態のトナー用バインダーは、その他のポリエステル樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のエチレン系樹脂;ポリスチレン、α−ポリメチルスチレン等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂及びこれらの共重合樹脂等が挙げられる。
本実施形態のトナー用バインダー中におけるデヒドロアビエチン酸由来の構成成分を含む特定重合体Aの含有率としては、全固形分中、例えば10〜95質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。
[トナー]
本実施形態のデヒドロアビエチン酸由来の構成成分を含む特定重合体Aは、上記複合材料の中でも特にトナー用バインダーとして好適に使用することができる。本実施形態のトナーは、顔料、離型剤及び本実施形態のデヒドロアビエチン酸由来の重合体を含有していればよい。必要に応じて、荷電制御剤、キャリア、外添剤等を含有することができる。
・微粒子/微粉末
トナーに対して流動性向上や帯電制御等を付与する目的で、無機微粉末、有機微粒子を外部添加してもよい。例えば、表面をアルキル基含有のカップリング剤等で処理したシリカ微粒子、チタニア微粒子が好ましく用いられる。なお、これらは数平均一次粒子サイズが10〜500nmのものが好ましく、さらにはトナー中に0.1〜20質量%添加するのが好ましい。
・顔料
顔料としては限定的でなく、有機顔料及び無機顔料のいずれを使用することもできる。有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。また、無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、黒色顔料としてはカーボンブラックが特に好ましい。これらはトナー中に例えば1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、黒色顔料として磁性体を用いた場合は30〜85質量%添加するのが好ましい。
・バインダー
バインダーとしては、本実施形態のデヒドロアビエチン酸由来の構成成分を含む特定重合体Aを含んでいればよく、トナー中に例えば10〜95質量%、さらには20〜80質量%添加するのがより好ましい。また、一般に使用される他のバインダーを併用することもできる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のエチレン系樹脂;ポリスチレン、α−ポリメチルスチレン等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂及びこれらの共重合樹脂等が挙げられる。
さらに前記トナー用バインダーを用いて構成してもよい。
・離型剤
離型剤としては、トナー用に従来使用されている離型剤は全て使用することができる。具体的には、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン類、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、サゾールワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。これらの添加量はトナー中に例えば3〜20質量%、さらには5〜18質量%添加することがより好ましい。
・荷電制御剤
荷電制御剤としては、必要に応じて添加してもよいが、発色性の点から無色のものが好ましい。例えば4級アンモニウム塩構造のもの、カリックスアレン構造を有するもの、アゾ錯体染料などが挙げられる。荷電制御剤の添加量は、トナー中に例えば0.5〜10質量%、さらには1〜5質量%添加することがより好ましい。
・キャリア
キャリアとしては、鉄・フェライト等の磁性材料粒子のみで構成される非被覆キャリア、磁性材料粒子表面を樹脂等によって被覆した樹脂被覆キャリアのいずれを使用してもよい。このキャリアの平均粒子サイズは体積平均粒子サイズで30〜150μmが好ましい。
・外添剤
外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、カーボンブラック等の無機粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー粒子等、公知の粒子が使用できる。これらのうち2種以上の外添剤を使用し、該外添剤の少なくとも1種は、30nm以上200nm以下の範囲、さらには30nm以上180nm以下の範囲の平均1次粒子径を有することが好ましい。
・トナーの特性
さらに、本実施形態のトナーは、平均円形度が0.960以上0.980以下の範囲であることが好ましく、0.960以上0.970以下の範囲であることがより好ましい。トナーの形状は、球形トナーが現像性、転写性の点では有利であるが、クリーニング性の面では不定形に比べ劣ることがある。トナーが上記範囲の形状であることにより、転写効率、画像の緻密性が向上し、高画質な画像形成を行うことができ、また、感光体表面のクリーニング性を高めることができる。
また、本実施形態のトナーの体積平均粒径D50は3μm以上9μm以下であることが望ましく、より望ましくは3.5μm以上8.5μm以下であり、さらに望ましくは4μm以上8μm以下である。体積平均粒径が前記下限値以上あれば、トナーの流動性低下を抑えられるので、各粒子の帯電性を維持しやすい。また、帯電分布が広がらず、背景へのかぶりを防止し現像器からトナーがこぼれにくくなる。さらに、クリーニング性が良くなる。体積平均粒径が上記上限値以下であれば、解像度の低下を抑えられるため、十分な画質を得ることができ、近年の高画質要求を満たすことが可能となる。
トナーの粒子径分布指標としては、体積平均粒度分布指標GSDvが1.30以下であることが好ましく、1.15以上1.28以下であることがより好ましく、1.17以上1.26以下であることがさらに好ましい。GSDvが上記範囲より大きいと、画像の鮮明度、解像度が低下する場合がある。また小粒径トナーの比率が高くなるため、静電気的制御が困難となる場合がある。
なお、上記体積平均粒径D50は、例えば、コールターカウンターTAII、マルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)等の測定器で測定される粒度分布を基にして算定できる。具体的には、分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16Pとする。また、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50Pとする。さらに、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84Pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16V)1/2として算出される。
[トナーの製造方法]
本実施形態にかかるトナーの製造方法は特に制限されず通常用いられる方法を適用することができる。なかでも、湿式製法(例えば、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁造粒法、溶解懸濁法、溶解乳化凝集合一法等)によりトナー粒子を形成する工程と、トナー粒子を洗浄する工程と、を含むことが好ましい。
トナー粒子を形成する方法としては、上記の通り、水系媒体中でトナー粒子を生成する湿式製法が好適であるが、特に乳化凝集法が望ましく、転相乳化法を用いた乳化凝集法がさらに望ましい。
乳化凝集法とは、トナーに含まれる成分(結着樹脂、着色剤等)を含む分散液(乳化液、顔料分散液等)をそれぞれ調製し、これらの分散液を混合してトナー成分同士を凝集させて凝集粒子を作り、その後凝集粒子を結着樹脂の融点又はガラス転移温度以上に加熱して凝集粒子を熱融合させる方法である。
乳化凝集法は、乾式法である混錬粉砕法や、他の湿式法である溶融懸濁法、溶解懸濁法等に比べ、小粒径のトナーを作製しやすく、また粒度分布の狭い均一なトナーを得やすい。また、溶融懸濁法、溶解懸濁法等に比べ形状制御が容易であり、均一な不定形トナーを作製することができる。さらに、被膜形成などトナーの構造が制御され、離型剤や結晶性ポリエステル樹脂を含有する場合はこれらの表面露出が抑制されるため、帯電性や保存性の悪化が防止される。
さらに本実施形態のデヒドロアビエチン酸由来の重合体を含むトナー用バインダーを用い、乳化凝集法によりトナーを作製すると、水性樹脂分散物における樹脂粒子安定性が良く、小粒径で粒度分布の優れたトナーが作製される。
尚、トナーの湿式製法の詳細については、例えば、特開2009−229919号公報、特開2009−46559号公報、特開2009−151241号公報、特許3344169号公報、および特許3141783号公報、特開2008−165017号公報、特開2010−20170号公報、特開2010−210959号公報等に記載の方法を本実施形態においても好適に適用することができる。
[画像形成方法]
本実施形態のトナーが適用される画像形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば感光体上に画像を形成した後に転写を行い、画像を形成する方法や、感光体に形成された画像を逐次中間転写体等へ転写し、画像を中間転写体等に形成した後に紙等の画像形成部材へ転写し画像を形成する方法等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<合成例1>
以下に示す反応スキームでデヒドロアビエチン酸誘導体(メチレンビスデヒドロアビエチン酸ジメチル)を製造した。
Figure 2014005342
500ml三口フラスコに、酢酸エチル100mlを入れ、そこに硫酸30mlを冷却しながら15〜20℃で滴下した。引き続き、デヒドロアビエチン酸メチル(31.4g,0.100mol)およびパラホルムアルデヒド(2.40g,0.0800mol)を加え、30℃で4時間撹拌した。反応液に氷水200mlおよび酢酸エチル50mlを加えて水層を分離し、有機層を繰り返し水洗した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを減圧留去し、残渣にメタノール100mlを添加し、室温で1時間撹拌した。固化した結晶を濾取、メタノールで洗浄してメチレンビスデヒドロアビエチン酸ジメチルの白色結晶(24.0g,単離収率75%,12/12’異性体:12/14’異性体は1:0.30)を得た。なお、上記異性体の混合状態はNMRスペクトルにより確認した。
<合成例2>
以下に示す反応スキームでデヒドロアビエチン酸誘導体(メチレンビスデヒドロアビエチン酸)を製造した。
Figure 2014005342
200ml三口フラスコに、酢酸エチル20ml、ヘキサン20ml、デヒドロアビエチン酸(40g、133mmol)パラホルムアルデヒド7.2gを入れ、そこに硫酸30mlを冷却しながら15〜20℃で滴下した。その後50℃で3時間撹拌した。反応液に水200mlおよび酢酸エチル60mlを加えて水層を分離し、有機層を繰り返し水洗した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した後、濃縮残留物をシリカゲルカラムクロマトクロマトグラフィーで精製し、メチレンビスデヒドロアビエチン酸の白色固体(28.5g,単離収率70%,12/12’異性体:12/14’異性体は1:0.29)を得た。上記異性体の混合状態はNMRスペクトルにより確認した。
上記のメチレンビスデヒドロアビエチン酸(位置異性体混合物)をクロロホルムから再結晶して得た12/12’異性体の純品のH−NMRスペクトルチャートを図5に示す。反応の位置異性体生成比は、反応終了後、反応液を少量分取し、水を加えて有機層を分離し、酢酸エチルを留去して得られる残渣のNMRスペクトルを測定し、6.68ppmのシグナル(12/12’異性体の14位プロトン)の積分値と6.25ppmのシグナル(12/14’異性体の11位プロトン)の積分値×2の比から算出した。
<合成例3>
以下に示す反応スキーム(代表的な反応を記載)でアクリル化ロジン(AcR)を製造した。
Figure 2014005342
分留管、還流冷却器及び受器を装備した2000ml容の蒸留フラスコに1000gのトールロジンを加え、1kPaの減圧下で蒸留を行い、195〜250℃での留出分を主留分として採取した。以下これを精製ロジンと称する。
分留管、還流冷却器及び受器を装備した1000ml容のフラスコに精製ロジン338g(1mol)とアクリル酸72g(1mol)を加え、160℃から230℃に8時間かけて昇温し、230℃、5.3kPaの減圧下で未反応のアクリル酸及び低沸点物の留去を行い、アクリル化ロジン(AcR)を得た。
<合成例4>
以下に示す反応スキーム(代表的な反応を記載)でフマル化ロジン(FR)を製造した。
Figure 2014005342
分留管、還流冷却器及び受器を装備した1000ml容のフラスコに、合成例3と同様の方法で得た精製ロジン540.8g(1.6モル)、フマル酸92.8g(0.8モル)、及びt−ブチルカテコール0.04gを加え、160℃から200℃に2時間かけて昇温し、200℃にて2時間反応させた後、更に5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、フマル化ロジン(FR)を得た。
<重合例>
(樹脂A)
メチレンビスデヒドロアビエチン酸ジメチル(20.00g)、アクリル化ロジン(4.67g)、ドデセニルコハク酸無水物(16.62g)、テレフタル酸(18.66g)、イソフタル酸(15.55g)、1,3−プロパンジオール(23.74g)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(22.50g)およびオルトチタン酸テトラエチル(20μL)の混合物を窒素気流下、反応温度が240℃となるまで昇温し、次いで同温度を維持しつつ30分間撹拌し、生成した水、メタノールを留去した。次いで、270℃に昇温し、生成した水、メタノール、1,3−プロパンジオールの過剰分を留去しながら、そのまま4時間加熱攪拌した。反応温度を255℃に下げ、トリメリット酸無水物(2.40g)を添加し、さらに90分間反応を継続し、得られた反応物をテフロン(登録商標)加工の耐熱容器に取り出し、樹脂A−1(重量平均分子量19,900、分子量分布3.7、ガラス転位点58℃、酸価13mgKOH/g)を得た。
表Aに示した重合体A−2〜A−8、A−c1を上記に準ずる方法で合成した。A−2、A−3、A−8の重合では、重合ロジン(PR)として、荒川化学製CP−140を用いた。
(結晶性ポリエステル樹脂分散液(I))
加熱乾燥した三口フラスコに、モノマー組成比で1,10−デカンジカルボン酸100モル%と、1,9−ノナンジオール100モル%とを投入し、触媒としてジブチル錫オキサイドを0.3質量%となるように入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間攪拌・還流を行った。
その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂(I)を合成した。
得られた結晶性ポリエステル樹脂(I)の重量平均分子量は25,000、数平均分子量は5800であった。また、結晶性ポリエステル樹脂(I)の融点(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確な吸熱ピークを示し、吸熱ピーク温度は75℃であった。
・結晶性ポリエステル樹脂(I):90質量部
・イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬):2.0質量部
・イオン交換水:210質量部
以上を混合して100℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで110℃に加温して分散処理を1時間行い、体積平均粒径が0.15μm、固形分量が30質量%の結晶性ポリエステル樹脂分散液(I)を得た。
<実施例・比較例>
上記で得られた樹脂Aを用いて、以下のようにして樹脂分散物を調製した。
(樹脂分散物の作製)
樹脂A(10g)、メチルエチルケトン(7.5g)の混合物を60℃で攪拌し、加熱溶解させた。次いで、イソプロパノール(2.5g)を加え、室温まで放冷した後、10質量%アンモニア水(0.55ml)を室温で加え、さらにこの溶液中にイオン交換水(40g)流量1.57(g/ml)で徐々に加え、転相乳化させた。その後、減圧下、エバポレーターで溶媒を留去して、樹脂分散物Aを得た。
上記樹脂分散物および以下のように調製した着色剤分散物と離型剤分散液を用いて、トナーおよび現像剤を調製し、評価した。結果を下表1に示す。
(着色剤分散物の調製)
シアン顔料(大日精化社製、Pigment Blue 15:3、銅フタロシアニン)(100質量部)、アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR)(10質量部)およびイオン交換水(350質量部)を混合し、高圧衝撃式分散機(HJP30006,スギノマシン社製)にて1時間分散してシアン分散物を得た。
(離型剤分散物の調製)
パラフィンワックス(HNP−9:日本精蝋社製)(60質量部)、アニオン界面活性剤ネオゲンR(6質量部)およびイオン交換水(200質量部)を混合し、100℃に加熱して融解させ、高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)にて分散し、離型剤分散物を得た。
(トナーの作製)
イオン交換水(280質量部)、アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)社製、ネオゲンRK(20%))(2.8質量部)上記樹脂分散物A(300質量部)、および上記結晶性ポリエステル樹脂分散液(I)(67質量部)を温度計、PH計、攪拌機を備えた3lの三口フラスコに入れ、温度30℃、回転数150rpmにて30分間攪拌した。
次いで、上記着色剤分散物(60質量部)、および上記離型剤分散物(80質量部)を加え、5分間攪拌した。さらに、1%硝酸を少しずつ添加してPHを3.0に調整した。その後、ポリ塩化アルミニウム(0.4質量部)を添加、50℃まで昇温したところで樹脂分散物180部を加えた。
30分間攪拌した後、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてPHを9.0に調整した。引き続き90℃まで昇温し、90℃で3時間攪拌した後、冷却してトナー分散物を得た。
(トナー粒子の調製)
上記で得られたトナー粒子分散液をろ過し、イオン交換水で洗浄した。トナー粒子を再度、イオン交換水に分散し、ろ過、洗浄した。この操作をさらに2度繰り返した後、トナー粒子分散液に1%硝酸にてPHを4.0に調整した。トナー粒子をろ過し、ろ液の電気伝導度が15μS/cm以下になるまでイオン交換水にて洗浄した後、40℃のオーブン中で5時間減圧乾燥してトナー粒子を得た。さらに、得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)1.5質量部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル社製、T805)1.0質量部とを加え、サンプルミルを用いて10000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナーを得た。
上記トナーの調製に対し、使用する特定重合体の種類を下表のとおり変えた以外同様にして、各試験トナーを調製した。
(キャリアの調製)
シリコン樹脂(東レ・ダウコーニング社製SR2411)(300質量部)、トルエン(1200質量部)および平均粒径50μmのフェライト芯材(5kg)を回転円盤型流動層コーティング装置に入れ、フェライトの表面をシリコン樹脂で被覆した。次いで被覆物を取り出し、250℃で2時間加熱し、被覆膜を熟成してキャリアとした。
(現像剤の調製)
トナー濃度が5質量%、全量が1kgとなるよう上記トナーとキャリアを混合して現像剤とした。
(評価)
−分子量−
以下のメチレンビスデヒドロアビエチン酸由来の重合体の合成例においては、合成された重合体の構造をいずれの場合も、H−NMRを用いて確認した。重合体の重量平均分子量および分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)はGPCを用いて先に記載の条件により測定した。
−酸価−
酸価は、JIS規格(JIS K 0070:1992)記載の方法により測定した。得られた重合体の物性値を表1に示した。
−平均粒径−
樹脂分散物の平均粒径(体積平均粒径、メジアン径)は、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)を用いて測定し、下記評価基準に従って評価した。
〜評価基準〜
A:平均粒径が90nm以上180nm未満であった
B:平均粒径が40nm以上90nm未満、または180nm以上240nm未満であった。
C:平均粒径が240nm以上800nm未満であった。
D:平均粒径が800nm以上、または測定不能であった。
−定着性(下限定着温度)−
複写機「AR−505」(シャープ社製)を改造した装置(印字枚数:50枚/分)に、得られた現像剤を実装し、定着ローラーの温度を90℃から200℃へと順次上昇させながら、画像出しを行った。得られた印刷物の画像面を内側にして折り曲げた後、600gのローラーで一定加圧になるように一往復転がすことで加重した。折り曲げた印刷部を開き、折り曲げ部分をエアーブラシで吹き払い、折り曲げ部分に露出する白地の最大幅を測定した。白地の幅が0.4mm未満となる最低の定着ローラー温度をもって下限定着温度とし、この値を表に記載した。
−画像耐溶剤性−
先記最低定着温度より10℃高い定着ローラー温度で得られた画像部を、表に記載の有機溶剤を染み込ませたキムワイプ(日本製紙クレシア株式会社製)にて拭き取り、画像の変化を目視で確認し、下記の評価基準に従って評価した。
有機溶剤の量は0.5mLとし、拭き取りの際にはキムワイプを折りたたみ、有機溶剤が染み込んだ1cm×1.5cmの面を画像部に接触するようにし、約500g重の荷重で3cmずつ1往復させることで拭き取った。
〜評価基準〜
A:画像の変化が全くない
B:画像に滲みがみられるが、大部分は残存
C:画像の乱れ(キムワイプ側へのトナーの移行)が確認されるが、白地は露出しない
D:画像が除去され、白地が露出
−光沢度および光沢度ムラ−
上記の手法によりで得られた画像(定着ローラー温度:170℃)について、ソリッド部の光沢度を村上色材社製グロスメーターを用いて測定した。測定は、画像表面に対し45度の角度で入射した入射光濃度と、135度における反射光濃度とを各温度について測定し、前記反射光濃度の前記入射光濃度に対する割合を光沢度とした。光沢度としては50%以上がカラー高画質画像適正を有するため、好ましい。
また、定着画像の光沢度ムラについては、ソリッド画像部の光沢度ムラを、下記評価基準に基づき目視で評価した。
〜評価基準〜
A:ムラが確認されない
B:明らかなムラが確認される
Figure 2014005342
<表の注記>
*1 「C」で始まる試験は比較例
*2 比較例C02〜C04では下記のトナーを用いた
樹脂C: 特開2009−98535号公報実施例記載の樹脂C(アクリル化ロジン含有)を用い、同公報実施例に則って作成したトナーを用いた。
MX:市販のトナー(シャープ社製、MX−70JTCA(商品名))
TNR:市販のトナー(沖データ社製、TNR−C3LC2(商品名))
上記の結果より、本発明のデヒドロアビエチン酸由来の構成単位を有する特定樹脂Aを含有したトナーを用いることにより、トナーに求められる諸性能を満足し、さらに有機溶剤に対する高い画像耐性を実現することができることが分かる。特にトルエンやアセトンといった従来トナーが溶解性を示す溶剤に対しても、高い耐性を発揮する。また、前記の特定樹脂Aは植物起源の化合物を利用したものであり、地球環境の保全に貢献することができる。
前記の樹脂A−1について、そこで用いたMDA−MEの連結基Lをエチレン、2,2−プロパンジイル基に変えた以外同様にして、前記のトナー性能試験を行った。その結果はいずれの項目においても良好なものであった。耐有機溶剤性試験の結果のみを下記に示す。
――――――――――――――――――――――――――――――
MDA−ME 耐有機溶剤性
L アセトン トルエン メタノール
――――――――――――――――――――――――――――――
メチレン A B A
エチレン B B A
プロパンジイル B B A
――――――――――――――――――――――――――――――
1 感光体(潜像保持体)
2 トナー供給室
3 ドラム
4 紙
5 トナー
51 転写画像
7 クリーナー
8 帯電手段
9 除電器
L 露光

Claims (17)

  1. ロジン由来の繰り返し単位が主鎖に組み込まれた高分子化合物からなる樹脂であって、
    前記ロジン由来の繰り返し単位として構造の異なるものを二種類以上含んでなり、それらのうち少なくとも一種は、下記式(I)で表される繰り返し単位である樹脂。
    Figure 2014005342
    (R,Rは、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルケニル基を表す。n,mは、0〜3の整数を表す。環Cyはヘテロ原子を含んでもよい飽和もしくは不飽和の6員環を表す。*は主鎖に組み込まれる結合手を表す。Lは二価の連結基を表す。複数のR,Rは、互いに異なっていてもよく、連結して環を形成していてもよい。)
  2. 前記式(I)で表される繰り返し単位と組み合わされるロジン由来の繰り返し単位(R)として、飽和または不飽和の脂肪族性の環で構成された繰り返し単位を含んでなる請求項1に記載の樹脂。
  3. 前記式(I)で表される繰り返し単位と組み合わされるロジン由来の繰り返し単位(R)として、下記式(III)で表される繰り返し単位を含んでなる請求項1または2に記載の樹脂。
    Figure 2014005342
    (R、Rはそれぞれ一価または二価の基を表し、少なくとも一方は二価の基である。R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R〜R及び破線で表される結合手は互いに結合し環構造を形成してもよい。*はいずれも主鎖に組み込まれる結合手を表す。ただし、RまたはRが一価の基であるとき、それに対応する結合手(*)は存在しない。破線を施した結合部は単結合または二重結合であることを表す。)
  4. 前記式(I)で表される繰り返し単位と組み合わされるロジン由来の繰り返し単位(R)として、重合ロジンまたは不飽和脂肪酸変性ロジンに由来する繰り返し単位を含んでなる請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂。
  5. 前記式(III)で表される繰り返し単位が、下記式(III−1)、(III−2)、または(III−3)で表される請求項3または4に記載の樹脂。
    Figure 2014005342
    (式中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。*は主鎖に組み込まれる結合手を表す。R11およびR21は主鎖に組み込まれる結合手(*)、水素原子、または置換基である。ただし、R11およびR21のうち少なくとも一方は前記結合手(*)である。R11およびR21のいずれかが水素原子であるとき、これが解離したアニオン性基となっていてもよい。R22は前記式(III)のRの一価の基と同義である。)
  6. 前記連結基Lの連結位置について、2位/2’位の連結構造(構造a)、2位/4’位もしくは2’位/4位の連結構造(構造b)、またはその両者が存在する請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂。
  7. 前記式(I)で表される繰り返し単位が、デヒドロアビエチン酸由来の構成単位である請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂。
  8. 前記式(I)で表される繰り返し単位として、下記式(I−1)で表される構成単位および/または下記式(I−2)で表される構成単位を含む請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂。
    Figure 2014005342
  9. 前記式(I)で表される繰り返し単位と、前記式(I)で表される繰り返し単位と組み合わされるロジン由来の繰り返し単位(R)とのmol比が、10:1以上、1:2以下である請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂
  10. 前記高分子化合物が、さらに下記式(II)で表される繰り返し単位を有する請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂。
    Figure 2014005342
    (Gはアルカン連結基、アルケン連結基、アリール連結基、ヘテロアリール連結基、またはそれらの組合せを表す。X、Y、Zはそれぞれ独立に二価の連結基を表す。mzは0〜3の整数を表す。*は主鎖に組み込まれる結合手を表す。)
  11. 前記式(II)におけるGが炭素数2〜30のアルキン連結基、アルケン連結基、アリール連結基、ヘテロアリール連結基、またはそれらの組合せを表し、X,Y,Zはそれぞれ独立に、−O−*、−COO−*、−NH−*より成る群より選ばれた一種である請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂。
  12. 前記樹脂の酸価が5mgKOH/g以上25mgKOH/g以下である請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂。
  13. 前記樹脂の重量平均分子量が7,000以上、70,000以下である請求項1〜12のいずれかに記載の樹脂。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の樹脂を水性媒体中に含んでなる水性樹脂分散物。
  15. 請求項1〜13のいずれかに記載の樹脂を含んで成るトナー。
  16. さらに、顔料および離型剤を含有する請求項15に記載のトナー。
  17. 請求項1〜13のいずれかに記載の樹脂の製造方法であって、
    下記式(Ia)で表されるモノマーとこれとは異なるロジン由来のモノマーとを重合させる樹脂の製造方法。
    Figure 2014005342
    (R、R、Cy、L、n、mは式(I)と同義である。T、Tは置換基である。)
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