この発明をより詳細に説明するために、添付の図面に従ってこの発明の実施の形態について以下に説明する。なお、この発明に係るエレベータ全体の構成としては、図1に示した全体概略構成図の構成と同じであるため、図1および上記の説明を参照することとし、ここでは説明を省略する。
実施の形態1.
図3は、この発明の実施の形態1に係る、制御ケーブル5の異常検知を可能にするためのエレベータの制御ケーブル異常検知装置を示す図である。図3(a)は昇降路内の斜視図、図3(b)はかご周辺の斜視図、図3(c)は制御ケーブル異常検知装置の取付部分の拡大図である。図3(a)において、かご1と昇降路壁9との間には、図1に示すように、制御ケーブル5が吊り下げられている。制御ケーブル5は、上記のように複数の信号線から構成されており、図3(a)に示すように、それらの信号線が1つに纏められて、略々帯状形状を有している。以下では、当該帯状形状の面に対して垂直な図3(a)のX軸方向を面内方向と呼び、帯状形状の面に平行で、かつ、帯状形状の長手方向に垂直な方向である図3(a)のY軸方向を面外方向と呼び、帯状形状の面に平行で、かつ、帯状形状の長手方向である図3(a)のZ軸方向を長手軸方向と呼ぶ。
本実施の形態1では、図3(a)〜(c)に示すように、エレベータのかご1の下部(底部の外壁)に、制御ケーブル5の長手軸方向(Z軸方向)の軸まわりのトルクを検出するためのトルクセンサ10が固定されている。制御ケーブル5は、内部の鋼芯5aが複数本引き出され、これらの鋼芯5aをトルクセンサ10の下側に固定した形で、トルクセンサ10に対して吊り下げられる。
なお、図3においては、トルクセンサ10をエレベータかご1の下部に設ける例について示しているが、その場合に限らず、トルクセンサ10は、昇降路壁9側の制御ケーブル5の取付部分21に設けるようにしてもよい。なお、その場合においても、図3と同様に、制御ケーブル5の内部の鋼芯5aを引き出してトルクセンサ10に対して吊り下げるようにし、トルクセンサ10が、制御ケーブル5の長手軸方向(Z軸方向)の軸まわりのトルクが検出できるように設置する。
次に、本実施の形態1における、制御ケーブル5のねじれ検知方法について図4を用いて説明する。図4(a)は、ねじれ25が発生した状態の制御ケーブル5を示した図である。図4(a)では、制御ケーブル5の左端が昇降路壁9側、右端をかご1側として示しており、かご1下部にトルクセンサ10が設けられている。制御ケーブル5にねじれ25が発生した状態で、図4(a)の位置だったかご1(図4では図示省略)が下降して、図4(b)の状態になっていくと、かご1の移動に伴って、図4(b)に示すように、かご1の下部の制御ケーブル5の取付部分22とU字状の折り返し部分23とが次第に接近してくる。このとき、制御ケーブル5は、まっすぐに垂れ下がっている部分24に比べてU字状の折り返し部分23の方が剛性が高くなっているため、かご1の下降(矢印A)に伴う折り返し部分23の下降(矢印B)によって、ねじれ25が発生している部分に制御ケーブル5の長手軸方向(Z軸方向)の軸まわりにトルクが作用し、ねじれ25部分がかご1の下部の制御ケーブル5の取付部分22側へ次第に移動する。制御ケーブル5のねじれ25部分が、トルクセンサ10近傍まで移動したとき、制御ケーブル5が上記のトルクによって、図4(b)の矢印Cで示されるように変位するとともに、制御ケーブル5端部のトルクセンサ10が、係るトルクを検出してトルク信号を異常信号として出力することで、制御ケーブル5に生じたねじれ25が検知される。なお、ねじれ25が発生していない通常時は、かご1が垂直方向に昇降しても、制御ケーブル5はそのまま真っ直ぐに移動するため、制御ケーブル5の取付部分22にトルクがかかることはない。
図5は、本実施の形態1に係るエレベータの制御ケーブル異常検知装置(以下、異常検知装置とする。)の構成を示した図である。図5に示すように、本実施の形態1に係るエレベータの制御ケーブル異常検知装置は、異常検知部11と、異常判定部12と、異常発生通報部13と、異常確認部14とから構成されている。このうち、異常判定部12と異常発生通報部13とは、制御盤8内に設けられている。
以下、図5に従って、地震や強風による建物揺れ等によって制御ケーブルにねじれが生じた場合の、異常検知装置の処理フローを説明する。異常検知装置は、まず、制御ケーブル5の両端の少なくとも一方にかかるトルクを、トルクセンサ10からなる異常検知部11で検知する。異常検知部11が制御ケーブル5のトルクを検知するとトルク信号が制御盤8内に設けられた異常判定部12に送信される。異常判定部12では、係るトルク信号が、予め設定された異常検出レベルαを超過しているか否かを判定する。ここで、当該異常検出レベルαは、ねじれが制御ケーブル5に発生していない通常時に、かご1が昇降した際の制御ケーブル5の取付部分22にかかる最大トルクを基準値とし、その基準値よりも大きい値に設定する。なお、異常検出レベルαは、昇りと降りで値を変更しないものとする。
異常判定部12の判定の結果、トルク信号が異常検出レベルαを超過していなければ、通常の運転を続行するため、ここで、処理フローを終了する。一方、異常検出レベルαを超過していれば、異常判定部12は、制御ケーブル5にねじれ25が生じていると判定し、異常発生の信号を異常発生通報部13に出力する。異常発生通報部13は、外部(例えば、管理室)に設けられた異常確認部14との通信機能を有しており、異常発生の信号を異常判定部12より受信すると、かご1を最寄階へ停止させて、エレベータの運転を休止するとともに、異常確認部14へ保守点検の要請を通報する。
一連の異常検知動作の一例を図6に示す。図6は、制御ケーブル5にねじれ25が発生した場合の(a)かご速度と(b)トルク信号の時刻歴の一例をグラフで示した図である。ここで、かご速度が正の値の場合はかご1が上昇している場合で、かご速度が負の値の場合はかご1が下降している場合で、かご速度がゼロの場合はかご1が停止している場合である。制御ケーブル5にねじれ25が発生していると、速度−vで走行中のエレベータの制御ケーブル5のトルク信号の値がかご1の下降に伴って徐々に上がっていき、時刻t1において、トルク信号が異常検出レベルαを超えたとする。異常検知部11からのトルク信号に基づいて、異常判定部12は、これを異常トルクとして検出し、異常発生通報部13へ異常発生信号を出力する。異常発生通報部13は、これを受けて、エレベータの運転休止動作を開始する。具体的には、かご1の走行速度を徐々に減速し、時刻t2において、かご1を最寄階で完全に停止させ、エレベータの運転を休止する。また、異常発生通報部13は、外部(例えば、管理室)に設けられた異常確認部14へ保守点検の要請を通報する。
なお、本実施の形態1では、異常検知部11として、トルクセンサ10を用いたが、この場合に限らず、トルクセンサ10の代わりに、制御ケーブル5を囲うように配置した枠17にスイッチを設けたスイッチ式異常検知部15として異常検知部11を構成しても同様な効果が得られる。図7(a)および図7(b)は、実施の形態1におけるスイッチ式異常検知部15をトルクセンサ10の代わりに用いた場合の、エレベータの制御ケーブル異常検知装置の構成を示す上断面図である。また、図7(c)は昇降路内の斜視図、図7(d)はかご1周辺の側面図である。
図7(a),(b)は、スイッチ式異常検知部15を上から見た場合の断面図である。スイッチ式異常検知部15は、図7(a),(b)に示すように、制御ケーブル5を囲うように略々矩形の中空の枠17が設けられている。枠17は、図7(c),(d)に示すように、かご1の下部の制御ケーブル5の取付部分22の近傍に懸架されたアーム26によって支持され、かご1に対して固定されている。また、スイッチ式異常検知部15は、制御ケーブル5にねじれ25が生じた際に、制御ケーブル5が接触する部分の枠17内に、スイッチ16Aおよびスイッチ16Bが配置されている。図7(a)では、スイッチ16Aおよび16Bが、枠17の内壁の一辺に並んで配置されている。図7(b)では、スイッチ16Aおよび16Bが、枠17の対向する2辺の内壁に、制御ケーブル5をはさんで、対向して配置されている。ねじれ25が発生していない通常時では、かご1が昇降路内を垂直方向に昇降しても、制御ケーブル5はそのまま真っ直ぐに移動するため、図7(a),(b)の状態を保持し、制御ケーブル5がスイッチ16Aおよび16Bに接触することはない。なお、図7においてスイッチが配置されている矩形の枠17の内壁の一辺とは、枠17の長辺であり、図7(a)では、枠17の内壁の第一の長辺の一方の端にスイッチ16Aが配置され、他方の端にスイッチ16Bが並んで配置されている。図7(b)では、枠17の第一の長辺の一方の端にスイッチ16Aが配置され、前記第一の長辺に対向する第二の長辺の、スイッチ16Aに対向する位置にスイッチ16Bが配置されている。
なお、上記の説明においては、スイッチ式異常検知部15が、かご1の下部に設けられる例について説明したが、その場合に限らず、昇降路壁9側の制御ケーブル5の取付部分21の近傍にアーム26を懸架し、当該アーム26によって、スイッチ式異常検知部15を支持し、さらに枠17の内側に制御ケーブル5を挿入する形で構成するようにしてもよい。
上述したように、スイッチ式異常検知部15においては、制御ケーブル5にねじれ25が生じた際に制御ケーブル5と接触する部分の枠17内にスイッチ16Aおよびスイッチ16Bが配置されているので、通常時では、制御ケーブル5はかご1が垂直方向に昇降してもそのまま真っ直ぐに移動するため、制御ケーブル5がスイッチに接触することはないので、異常として検知されることはなく、ねじれ25が発生した際にのみ、制御ケーブル5とスイッチ16Aおよび16Bの少なくとも一方(以下、まとめて、スイッチ16とする。)が接触し、当該接触により、スイッチ16が押し込まれてON状態となる。
上記構成のスイッチ式異常検知部15による制御ケーブル5のねじれ検知について図8および図9を用いて説明する。図8は、かご1下部に上記構成のスイッチ式異常検知部15を具備した場合における、制御ケーブル5部分を取り出した斜視図、図9は、上記図7と同様に、スイッチ式異常検知部15を、かご1の上側から見た断面図である。図8に示すように、かご1の下降(矢印A)および制御ケーブル5の折り返し部分23の下降(矢印B)によって、制御ケーブル5のねじれ25に伴う変位がスイッチ式異常検知部15に達すると、制御ケーブル5は、ねじれ25部分の移動に伴って生じるトルク(矢印C)によって、図9(a)もしくは図9(b)に示すように変位し、スイッチ式異常検知部15のスイッチ16(スイッチ16Aおよびスイッチ16Bの少なくともいずれか一方)が押し込まれる。図9(a)ではスイッチ16Aが制御ケーブル5により押し込まれてON状態となり、スイッチ16Bは制御ケーブル5に接触していないので、OFF状態のままである。図9(b)ではスイッチ16Bが制御ケーブル5により押し込まれてON状態となり、スイッチ16Aは制御ケーブル5に接触していないので、OFF状態のままである。スイッチ16が押し込まれると、図10(A)もしくは図10(B)に示すように、スイッチ16がON状態となり、当該スイッチのOFFからONへの切り替わりにより、スイッチ式異常検知部15は、制御ケーブル5にねじれが発生していることを検知する。なお、図10(A)および図10(B)において、SAは、スイッチ16Aからのスイッチ信号で、SBは、スイッチ16Bからのスイッチ信号である。また、別の例としてスイッチ16Aおよび16Bが同時にONになる状態も想定される。このときの制御ケーブルの状態を図12(A)により説明する。図12(A)は、昇降路内機器もしくは突起物19に制御ケーブルが引掛りを生じている状態の制御ケーブル5の様子を示している。この場合、図12(A)に示すように、制御ケーブル5が昇降路内機器もしくは突起物19への引掛りによって傾き、かご1の下部の制御ケーブル5の取付部分22近傍にX軸方向の変位が発生する。係る変位を生じると、制御ケーブル5がスイッチ式異常検知部15のスイッチ16側へ移動し、スイッチ16Aとスイッチ16Bとが作動する。このようにして、スイッチ16A,16Bが共に作動すると、スイッチ信号SA,SBが共にONの状態になり、スイッチ式異常検知部15は、制御ケーブル5に引掛りが発生していることを検知する。
異常検知部11を構成しているスイッチ式異常検知部15が、制御ケーブル5のねじれ25を検知すると、スイッチ式異常検知部15は、スイッチ16Aからのスイッチ信号SAおよびスイッチ16Bからのスイッチ信号SBを異常判定部12へ出力する。異常判定部12では、それらのスイッチ信号がONかOFFかを判別し、スイッチ信号SAおよびスイッチ信号SBのどちらか一方がONであった場合、制御ケーブル5にねじれ25が生じていると判断し、異常発生信号を異常発生通報部13に送信する。異常発生通報部13は、これを受けて、かご1を最寄階へ停止させてエレベータの運転を休止させるとともに、異常確認部14へ保守点検要請信号を発信する。また、スイッチ信号SAおよびスイッチ信号SBの両方がONであった場合、制御ケーブル5に引掛りが生じていると判断し、異常発生信号を異常発生通報部13に送信する。異常発生通報部13は、これを受けて、かご1を停止させてエレベータの運転を休止させるとともに、異常確認部14へ保守点検要請信号を発信する。
上記の一連の動作の一例を図10に示す。図10は、制御ケーブル5にねじれ25が発生した場合の(a)かご速度と(b)スイッチ信号SAと(c)スイッチ信号SBとの時刻歴を示す図である。図10(A)は、スイッチ16Aが動作した場合で、図10(B)は、スイッチ16Bが動作した場合を示している。いま、速度−vでエレベータのかご1が走行中であるとする。図8で説明したように、かご1の下降および制御ケーブル5の折り返し部分23の下降に伴って、制御ケーブル5のねじれ25部分が移動し、トルク(矢印C)が発生する。これによって、制御ケーブル5が変位し、図9に示すように、スイッチ16がONされる。図10(A)では、時刻t1で、スイッチ16Aが押し込まれ、スイッチ信号SAがOFFからONに切り替わっている。図10(B)では、時刻t1で、スイッチ16Bが押し込まれ、スイッチ信号SBがOFFからONに切り替わっている。こうして、時刻t1において、スイッチ信号SAまたはSBがON状態に遷移すると、異常検知部11(スイッチ式異常検知部15)により、スイッチ信号SAまたはSBのONが検知され、スイッチ信号SAおよびスイッチ信号SBが異常判定部12へ出力される。異常判定部12では、それらのスイッチ信号がONかOFFかを判別し、スイッチ信号SAおよびスイッチ信号SBのどちらか一方がONであった場合、制御ケーブル5にねじれ25が生じていると判断し、異常発生信号を異常発生通報部13に送信する。異常発生通報部13は、これを受けて、かご1を減速し、時刻t2で最寄階へ停止させ、エレベータの運転を休止させるとともに、異常確認部14へ保守点検要請信号を発信する。なお、スイッチ16は、制御ケーブル5が接触しなくなると、自動的にOFF状態に戻る構成であるとする。
以上のように、本実施の形態1は、エレベータのかご1と昇降路壁との間に取付けられた制御ケーブル5の異常を検知するエレベータの制御ケーブル異常検知装置であって、制御ケーブル5の両端の少なくとも一方に、制御ケーブル5のねじれにより発生する長手軸方向(Z軸方向)の軸まわりのトルクを検出することにより制御ケーブル5のねじれを検出するねじれ検出部を備えるようにしたので、地震や強風が発生した際の建物揺れ等によって制御ケーブル5にねじれ25が生じた場合にも、これを精度よく確実に検知することができるので、制御ケーブル5のねじれ25による挙動不良や、その挙動不良に伴って発生する恐れのある制御ケーブル5の昇降路内機器の損傷や制御ケーブル5自体の損傷を抑制することができ、信頼性の高いエレベータ装置を実現できる。
また、本実施の形態1によれば、従来のように保守員が目視で確認することなく、制御ケーブル5のねじれの有無を判断することが可能となるため、エレベータが地震もしくは強風の発生により休止した場合の自動診断運転に利用することができ、復旧運転の可否を自己判断する際に、異常検知装置の出力を参照することによって、制御ケーブル5にねじれが生じていない場合にのみ復旧運転するように設定しておけば、自動復旧することも可能である。このようにすることにより、地震発生後に、エレベータの運転を復旧する際に、保守員の到着を待たずに、復旧の診断を自動で開始することができ、さらには、制御ケーブル5にねじれが生じていない場合に自動復旧するように設定しておくことも可能となるため、本実施の形態1に係る異常検知装置によるねじれ検知を、自動復旧の診断に利用
することもでき、優れた効果が期待できる。
また、本実施の形態1に係る異常検出装置による制御ケーブル5の異常検知は、従来のように保守員が目視で制御ケーブルの状態を確認していた場合に比べ、より精度高く確実にかつ自動で、ねじれを検出できるため、定期的に行われる保守・点検時の点検作業としても、効果が期待できる。
また、本実施の形態1においては、制御ケーブル5の異常検知部11として、トルクセンサ10を用い、当該トルクセンサ10を、制御ケーブル5の両端の少なくとも一方の取付部分21,22に備え、制御ケーブル5の長手軸方向(Z軸方法)の軸まわりのトルクを検出することで、制御ケーブル5に発生したねじれ25を検知するようにしたので、この構成により、制御ケーブル5に生じたねじれ25を自動的に検知することができる。
また、本実施の形態1は、エレベータのかご1と昇降路壁との間に取付けられた制御ケーブル5の異常を検知するエレベータの制御ケーブル異常検知装置であって、制御ケーブル5の少なくとも一方の取付部分に配置され少なくとも2つのスイッチ16を有し、制御ケーブル5のねじれまたは引掛りの発生を検知するスイッチ式異常検知部15と、スイッチ16のON状態の組合せによって制御ケーブル5のねじれまたは引掛りのいずれが発生したかを判断する異常判定部12と、を備えたエレベータの制御ケーブル異常検知装置であるので、地震や強風により制御ケーブルが激しく揺動して制御ケーブルのねじれや引掛りを生じた場合に、これを精度よく確実に検知することができる。
このように、本実施の形態1においては、制御ケーブル5の異常検知部11として、スイッチ式異常検知部15を用い、制御ケーブル5の両端の少なくとも一方の取付部分21,22の変位を、少なくとも2つ以上のスイッチ16を設けたスイッチ式異常検知部15により検出することで、制御ケーブル5のねじれおよび引掛りを検知するようしたので、この構成により、制御ケーブル5のねじれおよび引掛りを自動的に検知することができる。
なお、図7(a)の例では、スイッチ式異常検知部15は、制御ケーブル5を囲う矩形の枠17と、枠17の第一の長辺の一方の端に配置された第一のスイッチ16Aと、枠17の第一の長辺の他方の端に配置された第二のスイッチ16Bと、を有している。
また、図7(b)の例では、スイッチ式異常検知部15は、制御ケーブル5を囲う矩形の枠17と、枠17の第一の長辺の一方の端に配置された第一のスイッチ16Aと、枠17の第二の長辺の一方の端に第一のスイッチ16Aと対向して配置された第二のスイッチ16Bと、を有している。
これらのスイッチ16A,16Bの少なくともいずれか一方がONになったときに、制御ケーブル5にねじれまたは引掛りが発生しているとして、異常を検知する。
実施の形態2.
図11は、この発明の実施の形態2に係るエレベータの制御ケーブル異常検知装置(以下、異常検知装置とする。)を示す側面図である。上記の実施の形態1においては、異常検知部11(トルクセンサ10またはスイッチ式異常検知部15)が制御ケーブル5の長手軸方向(Z軸方向)の軸まわりのトルクを検出する実施形態について説明したが、本実施の形態2においては、異常検知部11が制御ケーブル5の長手軸方向(Z軸方向)の軸まわりと面外方向(Y軸方向)の軸まわりの少なくとも2軸方向のトルクを検出する実施形態について説明する。
本実施の形態2では、図11に示すように、制御ケーブル5の異常を検知するために、エレベータのかご1の下部もしくは昇降路壁9側の制御ケーブル5の取付部分22,21の少なくともどちらか一方の近傍に、制御ケーブルのZ軸まわりとY軸まわりの少なくとも2軸のトルクを検知することが可能なトルクセンサ18が固定されている。制御ケーブル5は、内部の鋼芯5aを引き出して、この鋼芯5aをトルクセンサ18の下側に固定した形で吊り下げる。このようにして、制御ケーブル5の両端の少なくとも一方の取付部分22,21が、トルクセンサ18を介して、かご1の下部に支持され、このトルクセンサ18(異常検知部11)でトルクを検出し、トルクセンサ18が出力するトルク信号に基づいて、制御ケーブル5のねじれ25発生の有無を判定する。
なお、本実施の形態2において、エレベータ全体の構成は上記の実施の形態1で図1に示した通りであり、異常検知装置の構成も図5に示した通りであるため、ここでは、それらの図を参照することとし、詳細な説明は省略する。
ねじれ25が発生していない通常時では、制御ケーブル5はかご1が垂直S方向に昇降してもそのまま真っ直ぐに移動するため、制御ケーブル5の取付部分21,22にトルクがかかることはない。これに対して、制御ケーブル5にねじれ25が生じた場合、トルクセンサ18により制御ケーブル5のZ軸まわりのトルクを検出する。トルクセンサ18は、検出したトルクに応じたトルク信号を出力する。Z軸まわりのトルクの検出の処理フローの動作については、実施の形態1と同じであるため、ここでは、詳細な説明は省略する。
次に、本実施の形態2におけるY軸まわりのトルクの検出について説明する。図12(A)に、面内方向の昇降路内機器もしくは突起物19への引掛りが生じた状態の制御ケーブル5の様子を示す。なお、図12は、かご1の下部に、異常検知装置が設けられている場合を示している。この場合、図12(A)に示すように、制御ケーブル5が昇降路内機器もしくは突起物19への引掛りによって傾き、かご1の下部の制御ケーブル5の取付部分22近傍にY軸まわりのトルクが発生する。係るトルクをかご1下部の取付部分22近傍に設けたトルクセンサ18によって検知することで、制御ケーブル5の引掛りが検知される。
このようにして、トルクセンサ18から構成された異常検知部11で検出されたトルク信号は、図5に示したように、異常判定部12へ出力される。異常判定部12では、トルクセンサ18で検知されたZ軸まわりのトルク信号が異常検出レベルαを超過しているか否か、また、Y軸まわりのトルク信号が異常検出レベルβを超過しているか否かを判定する。ここで、Z軸まわりのトルク信号の異常検出レベルαは制御ケーブル5のねじれ25の有無を判定するための閾値であり、また、トルク信号の異常検出レベルβは、制御ケーブル5の面内方向の引掛りの有無を判定する閾値であり、それぞれ異なる値となる。また、これらのトルク信号の異常検出レベルαおよびβは、通常時にかご1が昇降した際の制御ケーブル5の取付部分22にかかるそれぞれの最大トルクを基準とし、その基準よりも大きい値をそれぞれ設定する。なお、前記異常検出レベルαおよびβは上りと下りで値を変更しないものとする。
異常判定部12の判定の結果、もし、Z軸まわりのトルク信号が異常検出レベルαを超過していれば、制御ケーブル5にねじれ25が生じていると判定し、ねじれ発生通報の信号を異常発生通報部13に出力する。異常発生通報部13は、ねじれ発生通報の信号を受信した場合、かご1を最寄階へ停止させた後、エレベータの運転を休止させるとともに、異常確認部14へ保守点検の要請を通報する。当該動作は、実施の形態1と同じである。
一方、図12(B)に示すように、時刻t1において、Y軸まわりのトルク信号が異常検出レベルβを超過した場合、異常判定部12は、制御ケーブル5に引掛りが生じていると判断し、引掛り発生通報の信号を異常発生通報部13に出力する。異常発生通報部13では、引掛り発生通報の信号を受信した場合、エレベータを即座に非常停止させるとともに異常確認部14へ復旧要請の通報を行う。
なお、上記の説明では、トルクセンサ18をかご1下部に設けた場合の処理フローを説明したが、トルクセンサ18を昇降路壁9側に設置した場合の処理フローも同様である。
なお、本実施の形態2は、実施の形態1で示した図7と同様に、トルクセンサ18の代わりに、スイッチ式異常検知部15により、異常検知部11を構成するようにしてもよい。具体的には、制御ケーブル5の少なくともどちらか一方の取付部分21または22の下方の長くとも数m以内の近傍に、制御ケーブル5を囲うような枠17を設け、図13に示すように、枠17の内壁に、制御ケーブル5が枠17へ接触するのを検知するための4つのスイッチ16A〜16Dを設けたものを、トルクセンサ18の代わりに備えた構成にしてもよく、その場合も、同様な効果を実現することができる。なお、当該枠17は、実施の形態1で説明したようにアーム26により、取付部分21または22に固定される。
なお、本実施の形態2においては、図13に示すように、スイッチ16Aおよび16Bが、枠17の一辺の内壁に並んで配置されている。さらに、スイッチ16Cおよび16Dが、枠17の上記一辺に対向する辺の内壁に並んで配置されている。従って、スイッチ16Aおよび16Bと、スイッチ16Cおよび16Dとは、制御ケーブル5をはさんで、枠17の対向する2辺の内壁に、互いに対向するように配置されている。ここでは、前記枠17の対向する2辺は、枠17の対向する2つの長辺である。すなわち、スイッチ式異常検知部15は、枠17の第一の長辺の一方の端に配置されたスイッチ16Aと、前記第一の長辺の他方の端に配置された16Bと、前記第一の長辺に対向する第二の長辺の一方の端に配置されたスイッチ16Cと、前記第二の長辺の他方の端に配置された16Dと、を有している。
なお、ねじれも引掛りも発生していない通常時では、制御ケーブル5はかご1が垂直方向に昇降してもそのまま真っ直ぐに移動するため、図13の状態が保持され、制御ケーブル5がスイッチ16A〜16Dに接触することはない。
万一、建物の揺れなどによって制御ケーブル5にねじれ25が発生した場合、本実施の形態2においては、かご1の昇降に伴って制御ケーブル5のねじれ25部分が異常検知装置下方の数m程度の位置に移動してきた際に生じる変位を、実施の形態1で説明した場合と同じ原理により、スイッチ16A〜16Dの少なくともいずれか1つが動作することで検知することができる。なお、制御ケーブル5にねじれ25が発生している場合には、Z軸まわりのトルクが発生するため、枠17の同じ辺に並んで配置されている2つの信号が同時にONされずに、いずれか1つのスイッチ16がONされるか、あるいは、図14(a)のように、互いに斜め向かいになるように配置されたスイッチ16Aとスイッチ16DがONするか、あるいは、図14(b)のように、互いに斜め向かいになるように配置
されたスイッチ16Bとスイッチ16CがONする。
また、図12に示すように、制御ケーブル5において昇降路内機器もしくは突起物19への引掛りを生じた場合、引掛りの生じている箇所で制御ケーブル5の動きが拘束されるため、かご1の上昇につれて制御ケーブル5が傾きを生じる。このとき、制御ケーブル5が傾くことによって、図14(c)に示すように、制御ケーブル5が、スイッチ式異常検知部15の紙面上方側の枠17側へ移動し、スイッチ16Cとスイッチ16Dとが作動する(または、制御ケーブル5が、スイッチ式異常検知部15の紙面下方側の枠17側へ移動し、スイッチ16Aとスイッチ16Bとが作動する。)。このようにして、スイッチ16が作動すると、スイッチ信号がONの状態になり、異常判定部12が制御ケーブル5の引掛りを検知する。
こうして、スイッチ式異常検知部15によって構成されている異常検知部11が、制御ケーブル5のねじれもしくは引掛りを検知すると、スイッチ信号SA〜SDを異常判定部12へ出力する。異常判定部12では、各スイッチ信号SA〜SDがONかOFFかを判別し、図14(d)のテーブルに示すように、どのスイッチがONになっているかの組み合わせで、制御ケーブル5にねじれが生じているか、あるいは、引掛りが生じているかを判定し、異常発生通報部13へ、ねじれ発生通報の信号または引掛り発生通報の信号を出力する。異常発生通報部13は、これを受けて、制御ケーブル異常発生の通報を異常確認部14へ発信する。また、制御ケーブル5のねじれが検知された場合、かご1を最寄階へ停止させ、エレベータの運転を休止させる。一方、制御ケーブル5の引掛りが検知された場合、かご1を非常停止させ、異常確認部14による復旧を待つ。
図14(d)に、制御ケーブル5に「ねじれ」が生じているか、あるいは、「引掛り」が生じているかを判定するための、各スイッチの組み合わせを設定したテーブルを示す。異常判定部12では、異常検知部11から受信した各スイッチ信号がONかOFFかを判別し、図14(d)のテーブルを参照して、いずれのスイッチ16がONになっているかの組み合わせで、制御ケーブル5に「ねじれ」が生じているか、あるいは、「引掛り」が生じているかを判定し、異常発生通報部13へ、ねじれ発生通報の信号または引掛り発生通報の信号を出力する。
なお、図14(d)のテーブルでは、スイッチ16A〜16Dの少なくともいずれか1つが動作した状態を「ねじれ」と判定すると、設定されている。さらに、図14(a)の状態になってスイッチ16Aとスイッチ16Dが動作した場合は「ねじれ」と判定し、また、図14(b)の状態になってスイッチ16Bとスイッチ16Cが動作した場合も「ねじれ」と判定すると、設定されている。また、図14(d)のテーブルでは、図14(c)の状態になってスイッチ16Cとスイッチ16Dが動作した場合は「引掛り」と判定し、同様に、スイッチ16Aとスイッチ16Bが動作した場合も「引掛り」と判定すると、設定されている。
以上のように、本実施の形態2によれば、エレベータのかご1と昇降路壁との間に取付けられた制御ケーブル5の異常を検知するエレベータの制御ケーブル異常検知装置であって、制御ケーブル5の両端の少なくとも一方に、制御ケーブル5のねじれにより発生する長手軸方向(Z軸方向)の軸まわりのトルク、および、制御ケーブル5の昇降路内機器または突起物19への引掛りにより発生する面外方向(Y軸方向)の軸まわりのトルクを検出する異常検出部を備えるようにしたので、地震や強風が発生した際の建物揺れ等によって制御ケーブル5にねじれや引掛りが生じた場合にもこれを精度よく確実に検知することができ、制御ケーブル5のねじれによる挙動不良や、制御ケーブル5の引掛りによる昇降路内機器の損傷や制御ケーブル自体の損傷を抑制することができ、信頼性の高いエレベータ装置を実現できる。
また、本実施の形態2によれば、従来のように保守員が目視で確認することなく、制御ケーブル5のねじれの有無を自動で判断することが可能となるため、制御ケーブル5にねじれが生じていない場合にのみ復旧運転可能とするように設定しておけば、上記の実施の形態1と同様に、例えば、地震発生後に、エレベータの運転を復旧する際に、保守員の到着を待たずに、自動復旧することも可能となるため、自動復旧の診断に利用することも可能であり、優れた効果が期待できる。
また、本実施の形態2に係る異常検出装置による制御ケーブル5の異常検知は、上記の実施の形態1と同様に、従来のように保守員が目視で制御ケーブルの状態を確認していた場合に比べ、より精度高く確実にかつ自動で、ねじれを検出できるため、定期的に行われる保守・点検時の点検作業としても、効果が期待できる。
また、本実施の形態2においては、制御ケーブル5の異常検知部11として、トルクセンサ18を用い、制御ケーブル5の両端の少なくとも一方の取付部分21,22にトルクセンサ18を備え、制御ケーブル5の長手軸方向(Z軸方向)の軸まわりのトルクおよび面外方向(Y軸方向)の軸まわりのトルクを検出することで、制御ケーブル5に発生したねじれ25および引掛りを検知するようにしたので、この構成により、制御ケーブル5に生じたねじれ25および引掛りを自動的に検知することができる。
また、本実施の形態2は、エレベータのかご1と昇降路壁との間に取付けられた制御ケーブル5の異常を検知するエレベータの制御ケーブル異常検知装置であって、制御ケーブル5の少なくとも一方の取付部分に配置され少なくとも2つのスイッチ6A〜6Dを有し、制御ケーブル5のねじれまたは引掛りの発生を検知するスイッチ式異常検知部15と、スイッチ16A〜16DのON状態の組合せによって制御ケーブル5のねじれまたは引掛りのいずれが発生したかを判断する異常判定部12と、を備えたエレベータの制御ケーブル異常検知装置であるので、地震や強風により制御ケーブル5が激しく揺動して制御ケーブル5のねじれや引掛りを生じた場合に、これを精度よく確実に検知することができる。
このように、本実施の形態2においては、制御ケーブル5の異常検知部11として、スイッチ式異常検知部15を用い、制御ケーブル5の両端の少なくとも一方の取付部分21,22の変位を、少なくとも4つ以上のスイッチ16を設けたスイッチ式異常検知部15により検出することで、制御ケーブル5のねじれおよび引掛りを検知するようしたので、この構成により、制御ケーブル5のねじれおよび引掛りを自動的に検知することができる。
なお、図13の例では、スイッチ式異常検知部15は、制御ケーブル5を囲う矩形の枠17と、枠17の第一の長辺の一方の端に配置された第一のスイッチ16Aと、枠17の第一の長辺の他方の端に配置された第二のスイッチ16Bと、枠17の第二の長辺の一方の端に配置された第三のスイッチ16Cと、枠17の第二の長辺の他方の端に配置された第四のスイッチ16Dと、を有する。
これらのスイッチ16A〜16Dの少なくともいずれか一方がONになったときに、ONになっているスイッチの組み合わせで、制御ケーブル5にねじれまたは引掛りが発生していることを検知する。
実施の形態3.
図15は、本発明の実施の形態3に係るエレベータの制御ケーブル異常検知装置(以下、異常検知装置とする。)を示す側面図である。本実施の形態3は、制御ケーブル5の少なくとも一方の取付部分21,22近傍に、X軸、Y軸、Z軸の3軸まわりのトルクを検出可能なトルクセンサ20を、制御ケーブルの異常検知部11として、具備した構成からなる。
なお、本実施の形態3において、エレベータ全体の構成は上記の実施の形態1で図1に示した通りであり、異常検知装置の構成も図5に示した通りであるため、ここでは、それらの図を参照することとし、詳細な説明は省略する。
以下、本実施の形態3における、制御ケーブル5の異常検知について図を用いて説明する。ここでは、X軸まわりのトルクの検出について説明する。図16(a)は、制御ケーブル5が面外方向へ揺動して昇降路内機器もしくは突起物19への引掛りが生じた状態を示した側面図である。図16(a)では、紙面左方向を面外方向として示している。図16(a)において、かご1が下降すると、それに伴って、図16(b)に示すように、制御ケーブル5における引掛りによる傾きが大きくなる。この傾きの増加により、かご1下部の制御ケーブル5の取付部分22にX軸まわりのトルクが発生する。係るトルクをかご下の制御ケーブル取付部分22近傍に設けたトルクセンサ20により検出することで制御ケーブル5の面外方向への引掛りが検知される。
また、本実施の形態3では、トルクセンサ20により制御ケーブル5のZ軸まわりのトルクを検出することも可能である。従って、実施の形態1,2で説明した動作(処理フロー)と同様にして、制御ケーブル5のZ軸まわりのトルクを検出することにより、制御ケーブル5のねじれを検知することができる。Z軸まわりのトルクの検出方法については、実施の形態1および実施の形態2と同じであるため、ここでは、その説明は省略する。
さらに、本実施の形態3によれば、図12に示すように、制御ケーブル5が面内方向に揺動して昇降路内機器もしくは昇降路内の突起物19への引掛りを生じた際においても、実施の形態2で説明した動作(処理フロー)と同様にして、制御ケーブル5のY軸まわりのトルクを検出することにより、制御ケーブル5の引掛りを検知することができる。Y軸まわりのトルクの検出方法については、実施の形態2と同じであるため、ここでは、その説明は省略する。
なお、本実施の形態3においても、ねじれも引掛りも発生していない通常時では、制御ケーブル5は、かご1が垂直方向に昇降しても、そのまま真っ直ぐに移動するため、制御ケーブル5の取付部分にトルクがかかることはない。
トルクセンサ20から構成された異常検知部11で検出されたトルク信号は、異常判定部12へ出力される。異常判定部12では、Z軸まわりのトルク信号が異常検出レベルαを超過しているか否か、また、Y軸まわりのトルク信号が異常検出レベルβを超過しているか否か、X軸まわりのトルク信号が異常検出レベルγを超過しているか否かを判定する。ここで、トルク信号の異常検出レベルαは制御ケーブルのねじれの有無を判定する閾値、また、トルク信号の異常検出レベルβは制御ケーブルの面内方向の引掛りの有無を判定する閾値、トルク信号の異常検出レベルγは制御ケーブルの面外方向の引掛りの有無を判定する閾値であり、それぞれ異なる値となる。また、トルク信号の異常検出レベルα、βおよびγは、通常時にかご1が昇降した際の制御ケーブル取付部分22にかかるトルクを基準とし、その基準よりも大きい値を設定する。なお、異常検出レベルα、βおよびγは昇りと下りで値を変更しないものとする。
もし、図17(A)に示すように、時刻t1において、Z軸まわりのトルク信号が異常検出レベルαを超過していれば、異常判定部12は、ねじれが生じていると判定し、ねじれ発生通報の信号を異常発生通報部13に出力する。異常発生通報部13はねじれ発生通報を受信した場合、時刻t2において、かご1を最寄階へ停止させた後、エレベータの運転を休止させるとともに、異常確認部14へ保守点検の要請を通報する。
一方、図17(B)に示すように、時刻t1において、X軸まわり(もしくはY軸まわり)のトルク信号が異常検出レベルを超過している場合、異常判定部12は、制御ケーブル5に引掛りが生じていると判定し、引掛り発生通報の信号を異常発生通報部13に出力する。異常発生通報部13では、引掛り発生通報を受信した場合、エレベータを即座に減速し非常停止させるとともに異常確認部14へ復旧要請の通報を行う。
なお、本実施の形態3においても、トルクセンサ20の代わりに、スイッチ式異常検知部15により異常検知部11を構成するようにしてもよい。図18は、実施の形態3において、異常検知部11として、トルクセンサ20の代わりに設けられた、スイッチの動作によって制御ケーブル5の異常検知を可能にするための構造を持つスイッチ式異常検知部15の上断面図である。
スイッチ式異常検知部15は、中空の枠17の内側に、図18に示すように、制御ケーブル5を挿入し、制御ケーブル5を囲むように6つのスイッチ16を配置した形で構成される。図19及び図19Aに示す例では、スイッチ16Aおよび16Bが、枠17の一辺の内壁に並んで配置されている。さらに、スイッチ16Cおよび16Dが、枠17の上記一辺に対向する辺の内壁に並んで配置されている。従って、スイッチ16Aおよび16Bと、スイッチ16Cおよび16Dとは、制御ケーブル5をはさんで、枠17の対向する2辺の内壁に、互いに対向するように配置されている。さらに、それらの辺に垂直な2つの対向する辺(紙面の左側の辺と右側の辺)のそれぞれにスイッチ16Eおよびスイッチ16Fが1つずつ設けられている。なお、当該枠17は、実施の形態1,2で説明したようにアーム26により、取付部分21または22に固定される。ここでは、スイッチ16A、16B、16C、16Dは枠17長辺に配置されている。すなわち、スイッチ式異常検知部15は、枠17の第一の長辺の両端に配置されたスイッチ16Aおよび16Bと、前記第一の長辺に対向する第二の長辺の両端に配置されたスイッチ16Cおよび16Dと、前記枠17の第一の短辺の中心に配置されたスイッチ16Eと、前記第一の短辺に対向する第二の短辺の中心に配置されたスイッチ16Fとを有している。
ねじれも引掛りも発生していない通常時では、制御ケーブル5はかご1が垂直方向に昇降してもそのまま真っ直ぐに移動するため、図18の状態を保持し、制御ケーブル5がスイッチに接触することはない。
しかしながら、建物の揺れなどによって、制御ケーブル5のねじれを生じた場合、かご1が下降していくと、例えば、図19(a)に示すように、制御ケーブル5が変位して、いずれかのスイッチ16が押し込まれる。ねじれの場合は、枠17の同じ辺に並んで配置されているスイッチ16は同時動作せずに、互いに斜めの位置に配置されているスイッチ16が同時に動作するか、もしくはスイッチ16A〜スイッチ16Dのうち少なくとも一つが動作する。図19(a)の例では、スイッチ16Aとスイッチ16Dが同時にONになっている。別の例としては、スイッチ16Bとスイッチ16Cとが同時にONになる場合も想定できる。さらに別の例としては、スイッチ16A〜スイッチ16Dのうち少なくとも一つが動作する場合も想定できる。
また、面外および面内方向への揺動による昇降路内機器もしくは突起物への引掛りが生じた場合、かご1が下降していくと、制御ケーブル5は、図19(b)もしくは図19(c)のように変位して、いずれかのスイッチ16が押し込まれる。この場合は、枠17のいずれか1つの辺に配置されているスイッチ16が動作する。図19(b)では、制御ケーブル5が紙面上側に移動し、枠17の1つの辺に並んで配置されているスイッチ16Cと16Dが同時ONされている。また、別の例としては、制御ケーブル5が紙面下側に移動し、枠17の別の1つの辺に並んで配置されているスイッチ16Aとスイッチ16Bとが同時にONになる場合も想定できる。あるいは、図19(c)のように、制御ケーブル5が紙面左側に移動し、枠17の紙面左側の1つの辺に配置されているスイッチ16EだけがONになる場合も想定できる。同様に、制御ケーブル5が紙面右側に移動し、枠17の紙面右側の1つの辺に配置されているスイッチ16FだけがONになる場合も想定できる。このように、そのときのスイッチ動作の組み合わせによって、制御ケーブル5のねじれ、または、引掛りといった異常が検知されることになる。
図19A(d)に、制御ケーブル5に「ねじれ」が生じているか、あるいは、「引掛り」が生じているかを判定するための、各スイッチの組み合わせを設定したテーブルを示す。異常判定部12では、異常検知部11から受信した各スイッチ信号がONかOFFかを判別し、図19A(d)のテーブルを参照して、いずれのスイッチ16がONになっているかの組み合わせで、制御ケーブル5に「ねじれ」が生じているか、あるいは、「引掛り」が生じているかを判定し、異常発生通報部13へ、ねじれ発生通報の信号または引掛り発生通報の信号を出力する。
上記のようにして、スイッチ式異常検知部15が、スイッチ16のONにより、制御ケーブル5のねじれもしくは引掛りを検知すると、スイッチ式異常検知部15はスイッチ信号を異常判定部12へ出力する。もし、時刻t1において、制御ケーブル5がねじれ25を生じて、図19(a)のように制御ケーブル5が変位した場合、図20に示すように、スイッチ16Aからのスイッチ信号SAおよびスイッチ16Dからのスイッチ信号SDがONの状態となり、このとき、異常判定部12は、図19A(d)のテーブルを参照して、ねじれが発生していると判定する。
また、別の例として、時刻t1において、図12(A)のように、制御ケーブル5が面内方向への引掛りを生じて、図19(b)のように制御ケーブル5が変位している場合、図21に示すように、スイッチ16Cからのスイッチ信号SCおよびスイッチ16Dからのスイッチ信号SDがONの状態となり、このとき、異常判定部12は、図19A(d)のテーブルを参照して、制御ケーブル5に引掛りが生じていると判定する。
さらに、別の例として、時刻t1において、図16のように、制御ケーブル5が面外方向への引掛りを生じて、図19(c)のように制御ケーブル5が変位した場合は、図22に示すように、スイッチ16Eからのスイッチ信号SEがONの状態となり、このとき異常判定部12は、図19A(d)のテーブルを参照して、制御ケーブル5の引掛りが発生していると判断する。
このように、異常判定部12ではスイッチ信号がONかOFFかを判別し、図19A(d)のテーブルに示す組み合わせのいずれに該当するかを検出することで、制御ケーブル5のねじれか引掛りかを判別し、異常発生通報部13を介して、制御ケーブル5の異常発生の通報信号(すなわち、ねじれ発生通報の信号または引掛り発生通報の信号)を異常確認部14へ発信する。もし、制御ケーブル5のねじれが検知された場合は、異常発生通報部13は、かご1を最寄階へ停止させ、エレベータの運転を休止させる。一方、制御ケーブルの引掛りが検知された場合は、かご1を非常停止させ異常確認部14による復旧を待つ。
以上のように、本実施の形態3によれば、エレベータのかご1と昇降路壁との間に取付けられた制御ケーブル5の異常を検知するエレベータの制御ケーブル異常検知装置であって、制御ケーブル5の両端の少なくとも一方に、制御ケーブル5のねじれにより発生する長手軸方向(Z軸方向)の軸まわりのトルク、および、制御ケーブル5の昇降路内機器または突起物19への引掛りにより発生する面外方向(Y軸方向)および面内方向(X軸方向)の軸まわりのトルクを検出する異常検出部を備えるようにしたので、地震や強風が発生した際の建物揺れ等によって制御ケーブル5にねじれや引掛りが生じた場合にもこれを精度よく確実に検知することができ、制御ケーブル5のねじれによる挙動不良や、制御ケーブル5の引掛りによる昇降路内機器の損傷や制御ケーブル自体の損傷を抑制することができ、信頼性の高いエレベータ装置を実現できる。
また、本実施の形態3によれば、従来のように保守員が目視で確認することなく、制御ケーブル5のねじれの有無を自動で判断することが可能となるため、制御ケーブル5にねじれが生じていない場合にのみ復旧運転可能とするように設定しておけば、上記の実施の形態1,2と同様に、例えば、地震発生後に、エレベータの運転を復旧する際に、保守員の到着を待たずに、自動復旧することも可能となるため、自動復旧の診断に利用することも可能であり、優れた効果が期待できる。
また、本実施の形態3に係る異常検出装置による制御ケーブル5の異常検知は、上記の実施の形態1,2と同様に、従来のように保守員が目視で制御ケーブルの状態を確認していた場合に比べ、より精度高く確実にかつ自動で、ねじれを検出できるため、定期的に行われる保守・点検時の点検作業としても、効果が期待できる。
また、本実施の形態3においては、制御ケーブル5の異常検知部11として、トルクセンサ20を用い、制御ケーブル5の両端の少なくとも一方の取付部分21または22にトルクセンサ20を備え、制御ケーブル5の長手軸方向(Z軸方向)の軸まわりのトルク、面外方向(Y軸方向)の軸まわりのトルク、および、面内方向(X軸方向)の軸まわりのトルクを検出することで、制御ケーブル5に発生したねじれ25および引掛りを検知するようにしたので、この構成により、制御ケーブル5に生じたねじれ25および引掛りを自動的に検知することができる。
また、本実施の形態3は、エレベータのかご1と昇降路壁との間に取付けられた制御ケーブル5の異常を検知するエレベータの制御ケーブル異常検知装置であって、制御ケーブル5の少なくとも一方の取付部分に配置され少なくとも2つのスイッチ6A〜6Fを有し、制御ケーブル5のねじれまたは引掛りの発生を検知するスイッチ式異常検知部15と、スイッチ16A〜16FのON状態の組合せによって制御ケーブル5のねじれまたは引掛りのいずれが発生したかを判断する異常判定部12と、を備えたエレベータの制御ケーブル異常検知装置であるので、地震や強風により制御ケーブル5が激しく揺動して制御ケーブル5のねじれや引掛りを生じた場合に、これを精度よく確実に検知することができる。
このように、本実施の形態3によれば、制御ケーブル5の異常検知部11として、スイッチ式異常検知部15を用い、制御ケーブル5の両端の少なくとも一方の取付部分21,22の変位を、少なくとも6つ以上のスイッチ16を設けたスイッチ式異常検知部15により検出することで、制御ケーブル5のねじれおよび引掛りを検知するようしたので、この構成により、制御ケーブル5のねじれ25および引掛りを自動的に検知することができる。
なお、図18の例では、スイッチ式異常検知部15は、制御ケーブル5を囲う矩形の枠17と、枠17の第一の長辺の一方の端に配置された第一のスイッチ16Aと、枠17の第一の長辺の他方の端に配置された第二のスイッチ16Bと、枠17の第二の長辺の一方の端に配置された第三のスイッチ16Cと、枠17の第二の長辺の他方の端に配置された第四のスイッチ16Dと、枠17の第一の短辺の中央に配置された第五のスイッチ16Eと、枠17の第二の短辺の中央に配置された第六のスイッチ16Fと、を有している。
これらのスイッチ16A〜16Fの少なくともいずれか一方がONになったときに、ONになっているスイッチの組み合わせで、制御ケーブル5にねじれまたは引掛りが発生していることを検知する。
なお、実施の形態1〜3において、スイッチ式異常検知部15を用いた構成とした場合も、トルクセンサ10,18,20を用いた場合と同様の効果がある。また、スイッチ16の代わりに、力センサもしくは接触センサを、枠17内の同様な位置に配置した構成としても、同様の効果が得られる。
実施の形態4.
図23(a)は本発明の実施の形態4に係るエレベータの制御ケーブルの異常検知装置(以下、異常検知装置)を示す斜視図、図23(b)は本発明の実施の形態4に係る異常検知装置を示す側面図、図23(c)は本発明の実施の形態4に係る異常検知装置を示す上断面図、図24は図23(c)の異常検出時の状態を示す上断面図および異常検出時のスイッチ状態を示すテーブル、図25は異常検出時のかご速度およびスイッチ信号の状態を示す図である。本実施の形態4は、制御ケーブル5の少なくとも一方の取付部分21,22の近傍に、異常検知部11を設けた構成とし、当該異常検知部11として、制御ケーブル5を囲うように配置した枠17にスイッチを設けたスイッチ式異常検知部15を用いている。
なお、本実施の形態4において、エレベータ全体の構成は上記実施の形態1で図1に示した通りであり、異常検知装置の構成も図5に示した通りであるため、ここでは、それらの図を参照することとし、詳細な説明は省略する。
図23に示すように、スイッチ式異常検知部15は、略々矩形の中空の枠17の内側に、制御ケーブル5を挿入し、枠17の一方の長辺の内壁の両端にスイッチ16Aおよび16Bが配置され、対向する長辺の内壁の中ほどにスイッチ16Cが配置されている。なお、当該枠17は、実施の形態1,2,3で説明したようにアーム26により,取付部分21または22に固定される。
ねじれも引掛りも発生していない通常時では、制御ケーブル5はかご1が垂直方向に昇降してもそのまま真っ直ぐに移動するため、図23の状態を保持し、制御ケーブル5がスイッチ16に接触することはない。
万一、建物の揺れなどによって制御ケーブル5にねじれ25が発生した場合、本実施の形態4においては、かご1の昇降に伴って制御ケーブル5のねじれ25部分が異常検知装置下方の数m程度の位置に移動してきた際に生じる変位を、実施の形態1で説明した場合と同じ原理により、例えば、図24(a)に示すように、制御ケーブル5が変位して、いずれかのスイッチ16が押し込まれる。ねじれの場合は、枠17の同じ辺に並んで配置されているスイッチ16は同時動作せずに、スイッチ16Aおよびスイッチ16Bのうちのいずれか一つが動作する。図24(A)の例では、スイッチ16AがONになっている。別の例としては、スイッチ16BがONになる場合も想定できる。
また、実施の形態2で示した図12(A)のように、制御ケーブル5の面内方向への遥動による昇降路内機器もしくは突起物19への引掛りが生じた場合、かご1が上昇していくと、制御ケーブル5は、図24(b)に示すように変位して、いずれかのスイッチ16が押し込まれる。この場合は、枠17のいずれか1つの長辺に配置されているスイッチ16が動作する。すなわち、スイッチ16Aと16Bが共にONと場合と、スイッチ16CのみがONとなる場合の、2通りである。図24(b)では、制御ケーブル5が紙面上側に移動し、枠17の1つの長辺に配置されているスイッチ16CがONされている。また、別の例としては、制御ケーブル5が紙面下側に移動し、枠17の別の1つの長辺に並んで配置されているスイッチ16Aとスイッチ16Bが同時にONになる場合も想定できる。このように、そのときのスイッチ動作の組合せによって、制御ケーブル5のねじれ、または、引掛りといった異常が検知されることになる。
図24(c)に、制御ケーブル5に「ねじれ」が生じているか、あるいは、「引掛り」が生じているかを判定するための、各スイッチの組み合わせを設定したテーブルを示す。異常判定部12では、異常検知部11から受信した各スイッチ信号がONかOFFかを判別し、図24(c)のテーブルを参照して、いずれのスイッチ16がONになっているかの組み合わせで、制御ケーブル5に「ねじれ」が生じているか、あるいは、「引掛り」が生じているかを判断し、異常発生通報部13へ、ねじれ発生通報の信号または引掛り発生通報の信号を出力する。
上記のようにして、スイッチ式異常検知部15が、スイッチ16のONにより、制御ケーブル5のねじれもしくは引掛りを検知すると、スイッチ式異常検知部15はスイッチ信号を異常判定部12へ出力する。もし、時刻t1において、制御ケーブル5がねじれ25を生じて、図24(a)のように制御ケーブル5が変位した場合、図25に示すように、スイッチ16Aからのスイッチ信号SAがONの状態となり、このとき、異常判定部12は、図24(c)のテーブルを参照して、ねじれが発生していると判断する。
また、別の例として、時刻t1において、図12(A)のように、制御ケーブル5が面内方向への引掛りを生じて、図24(b)のように制御ケーブル5が変位している場合、図25(b)に示すように、スイッチ16Cからのスイッチ信号SCがONの状態となり、このとき、異常判定部12は、図24(c)のテーブルを参照して、制御ケーブル5に引掛りが生じていると判断する。
このように、異常判定部12ではスイッチ信号がONかOFFかを判別し、図24(c)のテーブルに示す組み合わせのいずれに該当するかを検出することで、制御ケーブル5のねじれか引掛りかを判別し、異常発生通報部13を介して、制御ケーブル5の異常発生の通報信号(すなわち、ねじれ発生通報の信号または引掛り発生通報の信号)を異常確認部14へ発信する。もし、制御ケーブル5のねじれが検知された場合は、異常発生通報部13は、かご1を最寄階へ停止させ、エレベータの運転を休止させる。一方、制御ケーブルの引掛りが検知された場合は、かご1を非常停止させ異常確認部14による復旧を待つ。
なお、上記の説明においては、スイッチ式異常検知部15がかご1の下部に設けられる例について説明したが、その場合に限らず、昇降路壁9側の制御ケーブル5の取付部分21の近傍にアーム26を懸架し、当該アーム26によってスイッチ式異常検知部15を支持し、さらに枠17の内側に制御ケーブル5を挿入する形で構成するようにしてもよい。
以上のように、本実施の形態4によれば、エレベータのかご1と昇降路壁との間に取付けられた制御ケーブル5の異常を検知するエレベータの制御ケーブル異常検知装置であって、制御ケーブル5の少なくとも一方の取付部分に配置され少なくとも2つのスイッチ16A〜16Cを有し、制御ケーブル5のねじれまたは引掛りの発生を検知するスイッチ式異常検知部15と、スイッチ16A〜16CのON状態の組合せによって制御ケーブル5のねじれまたは引掛りのいずれが発生したかを判断する異常判定部12と、を備えるようにした。これにより、地震や強風により制御ケーブル5が激しく揺動して制御ケーブル5のねじれを生じた場合に、これを精度よく確実に検知することができる。
また、本実施の形態4によれば、エレベータのかご1と昇降路との間に設置された制御ケーブル5の異常を検知する制御ケーブルの異常検知装置において、制御ケーブル5の少なくとも一方の取付部分21,22の近傍に、制御ケーブル5のねじれにより発生する長手軸方向(Z軸方向)の軸まわりの変位、および、制御ケーブル5の昇降路内機器または突起物19への引掛りにより発生する変位を検出する異常検出部を備えるようにしたので、地震や強風が発生した際の建物揺れ等によって制御ケーブル5にねじれや引掛りが生じた場合にもこれを精度よく確実に検知することができ、制御ケーブル5のねじれによる挙動不良や、制御ケーブル5の引掛りによる昇降路内機器の損傷や制御ケーブル自体の損傷を抑制することができ、信頼性の高いエレベータ装置を実現できる。
また、本実施の形態4によれば、従来のように保守員が目視で確認することなく、制御ケーブル5のねじれの有無を自動で判断することが可能となるため、制御ケーブル5にねじれが生じていない場合にのみ復旧運転可能とするように設定しておけば、上記の実施の形態1から3と同様に、例えば、地震発生後に、エレベータの運転を復旧する際に、保守員の到着を待たずに、自動復旧することも可能となるため、自動復旧の診断に利用することも可能であり、優れた効果が期待できる。
また、本実施の形態4に係る異常検出装置による制御ケーブル5の異常検知は、上記の実施の形態1から3と同様に、従来のように保守員が目視で制御ケーブルの状態を確認していた場合に比べ、より精度高く確実にかつ自動で、ねじれを検出できるため、定期的に行われる保守・点検時の点検作業としても、効果が期待できる。
また、本実施の形態4は、エレベータのかご1と昇降路壁との間に取付けられた制御ケーブル5の異常を検知するエレベータの制御ケーブル異常検知装置であって、制御ケーブル5の少なくとも一方の取付部分に配置され少なくとも2つのスイッチ16A〜16Cを有し、制御ケーブル5のねじれまたは引掛りの発生を検知するスイッチ式異常検知部15と、スイッチ16A〜16CのON状態の組合せによって制御ケーブル5のねじれまたは引掛りのいずれが発生したかを判断する異常判定部12と、を備えるようにした。これにより、地震や強風により制御ケーブル5が激しく揺動して制御ケーブル5のねじれを生じた場合に、これを精度よく確実に検知することができる。
このように、本実施の形態4によれば、制御ケーブル5の異常検知部11として、スイッチ式異常検知部15を用い、制御ケーブル5の両端の少なくとも一方の取付部分21,22の変位を、少なくとも3つ以上のスイッチ16を設けたスイッチ式異常検知部15により検出することで、制御ケーブル5のねじれおよび引掛りを検知するようしたので、この構成により、制御ケーブル5のねじれ25および引掛りを自動的に検知することができる。また、スイッチ16の代わりに、力センサもしくは接触センサを、枠17内の同様な位置に配置した構成としても、同様の効果が得られる。
なお、図23(c)の例では、スイッチ式異常検知部15は、制御ケーブル5を囲う矩形の枠17と、枠17の第一の長辺の一方の端に配置された第一のスイッチ16Aと、枠17の第一の長辺の他方の端に配置された第二のスイッチ16Bと、枠17の第二の長辺に配置された第三のスイッチ16Cと、を有している。
これらのスイッチ16A〜16Cの少なくともいずれか一方がONになったときに、ONになっているスイッチの組み合わせで、制御ケーブル5にねじれまたは引掛りが発生していることを検知する。
実施の形態5.
図26(a)は本発明の実施の形態5に係るエレベータの制御ケーブル異常検知装置(以下、異常検知装置とする。)を示す斜視図、図26(b)は図26(a)の側面図、図26(c)は本発明の実施の形態5に係る異常検知装置の上断面図、図27は図26(c)の異常検出時の状態を示す上断面図、図28は異常検出時のかご速度の状態および制御ケーブル5と枠17との間の相対変位を計測する変位センサ信号の状態を示す図、図29は異常検出時の上記変位センサ信号の状態を示すテーブルである。
本実施の形態5は制御ケーブル5の少なくとも一方の取付部分21,22の近傍に、異常検知部11を、制御ケーブル5を囲うように配置した枠17に、制御ケーブル5と枠17との間の相対変位を計測する変位センサを設けたセンサ式異常検知部28として構成している。本実施の形態5では、異常検知部11が制御ケーブル5のねじれと引掛りにより発生する変位を検出する実施形態について説明する。
センサ式異常検知部28は、略々矩形の中空の枠17の内側に、図26に示すように制御ケーブル5を挿入し、枠17の長辺の内壁に変位センサ27Aおよび27Bが、枠17の長辺の中心から等間隔離れて互いに対向しないように配置されている。なお、当該枠17は、実施の形態1,2,3、4で説明したようにアーム26により,取付部分21または22に固定される。
なお、本実施の形態5において、エレベータ全体の構成は上記の実施の形態1で図1に示した通りであり、異常検知装置の構成も図5に示した通りであるため、ここでは、それらの図を参照することとし、詳細な説明は省略する。
次に、本実施の形態5における、制御ケーブル5のねじれ検知方法について図27を用いて説明する。ねじれも引掛りも発生していない通常時では、制御ケーブル5はかご1が垂直方向に昇降してもそのまままっすぐに移動するため図26(c)の状態を保持し制御ケーブル5に長手軸方向(Z軸方向)の軸まわりのねじれによる変位が発生することはない。
しかしながら、建物の揺れなどによって、制御ケーブル5のねじれを生じた場合、本実施の形態5においては、実施の形態1で説明した場合と同じ原理により、かご1の昇降に伴って制御ケーブル5のねじれ25部分が異常検知装置下方の数m程度の位置に移動してきた際に生じる変位を、変位センサ27Aおよび27B(以下、まとめて、変位センサ27とする)で検出し、変位センサ27が出力する変位信号に基づいて、制御ケーブル5のねじれ25の有無を判定する。
また、実施の形態2において示した図12(A)のように、制御ケーブル5が昇降路内機器もしくは突起物19への引掛りを生じた場合、引掛りの生じている箇所で制御ケーブル5の動きが拘束されるため、かご1の上昇につれて制御ケーブル5が傾きを生じる。このとき、制御ケーブル5が傾くことによって図27(b)に示すように、制御ケーブル5が、センサ式異常検知28の紙面下方側の枠17側に移動し、変位センサ27でこの制御ケーブル5の引掛りにより発生する変位を検出し、変位センサが出力する変位信号に基づいて、制御ケーブル5の引掛りの有無を判定する。(または、制御ケーブル5が、センサ式異常検知28の紙面上方側の枠17側に移動し、変位センサ27でこの制御ケーブル5の引掛りにより発生する変位を検出する。)
このようにして、変位センサ27から構成された異常検知部11で検出された変位信号は、図5に示したように、異常判定部12へ出力される。異常判定部12では、変位センサ27で検知された変位信号が異常検出レベルΦを超過しているか否か、また、異常検出レベルΨ未満か否かを判定する。ここで、変位センサ27の異常検出レベルΦおよびΨは、制御ケーブル5のねじれおよび引掛りの有無を判定するための閾値である。また、この変位信号の異常検出レベルΦおよびΨは、通常時のかご1が昇降した際の制御ケーブル5の最大および最小変位を基準とし、その基準内の値を設定する。なお、前記異常検出レベルΦおよびΨは上りと下りで値を変更しないものとする。
異常判定部12では、各変位センサ信号DAおよびDBが閾値Φを超過しているか、もしくは、閾値Ψ未満かを判別し、図29のテーブルに示すように、各変位信号が閾値Φを超過しているかΨ未満であるかの組み合わせで、制御ケーブル5にねじれが生じているか、あるいは、引掛りが生じているかを判定し、異常発生通報部13へ、ねじれ発生通報の信号または引掛り発生通報の信号を出力する。異常発生通報部13は、これを受けて、制御ケーブル異常発生の通報を異常確認部14へ発信する。また、制御ケーブル5のねじれが検知された場合、かご1を最寄階へ停止させ、エレベータの運転を休止させる。一方、制御ケーブル5の引掛りが検知された場合、かご1を非常停止させ、異常確認部14による復旧を待つ。
一連の異常検知動作の一例を図28に示す。図28は、制御ケーブル5にねじれ25あるいは引掛りが発生した場合の(a)かご速度と(b)変位信号DAと(c)変位信号DBの時刻歴の一例をグラフで示した図である。ここで、かご速度が正の値の場合はかご1が上昇している場合で、かご速度が負の値の場合はかご1が下降している場合で、かご速度がゼロの場合はかご1が停止している場合である。図28(a)は変位信号DAと変位信号DBがともに閾値Φを超過し、制御ケーブル5にねじれ25が生じた場合で、図28(b)は変位信号DAが閾値Φを超過し、変位信号DBが閾値Ψ未満となり制御ケーブル5に引掛りが生じた場合を示している。制御ケーブル5にねじれ25が発生していると、図8で説明したと同様の原理により、かご1の下降および折り返し部分23の下降に伴って、制御ケーブル5のねじれ25部分が移動し、トルク(矢印C)が発生する。これによって、制御ケーブル5が図27(a)に示すように変位し、図28(a)では時刻t1で、変位信号DAおよび変位信号DBが閾値Φを超過している。こうして、時刻t1において、変位信号DAおよび変位信号DBが閾値Φを超過した場合、異常検知部11からの変位信号に基づいて、異常判定部12は、これを異常変位として検出し、図29のテーブルを参照して制御ケーブル5にねじれが生じていると判断し、異常発生信号を異常発生通報部13に送信する。異常発生通報部13は、これを受けて、かご1を減速し、時刻t2で最寄階へ停止させ、エレベータの運転を休止させるとともに、異常確認部14へ保守点検要請信号を発信する。
また、制御ケーブル5が昇降路内機器または突起物19への引掛りを生じている場合、図12(A)に示すように、引掛りの生じている箇所で制御ケーブル5の動きが拘束されるため、かご1の上昇につれて制御ケーブル5が傾きを生じる。このとき、制御ケーブル5が傾くことによって図27(b)に示すように、制御ケーブル5が、センサ式異常検知28の紙面下方側の枠17側に移動し、図28(b)では、時刻t1で、変位信号DAが閾値Φを超過し、変位信号DBが閾値Ψ未満となっている。こうして、時刻t1において、変位信号DAが閾値Φを超過し、変位信号DBが閾値Ψ未満となっている場合、異常検知部11からの変位信号に基づいて、異常判定部12は、これを異常変位として検出し、図29のテーブルを参照して制御ケーブルに引掛りが生じていると判断し、引掛り発生信号の通報を異常発生通報部13に送信する。異常発生通報部13は、これを受けて、エレベータを即座に非常停止させるとともに、異常確認部14へ復旧要請の通報を行う。
図29に、制御ケーブル5に「ねじれ」が生じているか、あるいは、「引掛り」が生じているかを判定するための、各変位信号の組み合わせを設定したテーブルを示す。異常判定部12では、異常検知部11から受信した各変位信号が閾値Φを超過しているか、もしくは、閾値Ψ未満かを判別し、図29のテーブルを参照して、いずれの変位信号が閾値Φを超過しているか、もしくは、閾値Ψ未満かの組み合わせで、制御ケーブル5に「ねじれ」が生じているか、あるいは、「引掛り」が生じているかを判定し、異常発生通報部13へねじれ発生通報の信号あるいは引掛り発生通報の信号を出力する。
以上のように、本実施の形態5によれば、エレベータのかご1と昇降路壁との間に取付けられた制御ケーブル5の異常を検知するエレベータの制御ケーブル異常検知装置であって、エレベータのかご1と昇降路との間に設置された制御ケーブル5の異常を検知する制御ケーブルの異常検知装置において、制御ケーブル5の少なくとも一方の取付部分21,22の近傍に、制御ケーブル5のねじれにより発生する長手軸方向(Z軸方向)の軸まわりの変位、および、制御ケーブル5の昇降路内機器または突起物19への引掛りにより発生する面内方向(X軸方向)の変位を検出する異常検出部を備えるようにしたので、地震や強風が発生した際の建物揺れ等によって制御ケーブル5にねじれや引掛りが生じた場合にもこれを精度よく確実に検知することができ、制御ケーブル5の引掛りによる昇降路機器の損傷や制御ケーブル自体の損傷を抑制することができ、信頼性の高いエレベータ装置を実現できる。
また、本実施の形態5によれば、従来のように保守員が目視で確認することなく、制御ケーブル5のねじれの有無を自動で判断することが可能となるため、制御ケーブル5にねじれが生じていない場合にのみ復旧運転可能とするように設定しておけば、上記の実施の形態1と同様に、例えば、地震発生後に、エレベータの運転を復旧する際に、保守員の到着を待たずに、自動復旧することも可能となるため、自動復旧の診断に利用することも可能であり、優れた効果が期待できる。
また、本実施の形態5に係る異常検出装置による制御ケーブル5の異常検知は、上記の実施の形態1,2,3,4,5と同様に、従来のように保守員が目視で制御ケーブルの状態を確認していた場合に比べ、より精度高く確実にかつ自動で、ねじれを検出できるため、定期的に行われる保守・点検時の点検作業としても、効果が期待できる。
また、本実施の形態5においては、エレベータのかご1と昇降路壁との間に取付けられた制御ケーブル5の異常を検知するエレベータの制御ケーブル異常検知装置であって、制御ケーブル5の少なくとも一方の取付部分に配置され少なくとも2つの変位センサ27A〜27Bを有し、制御ケーブル5のねじれまたは引掛りの発生を検知するセンサ式異常検知部28と、変位センサ27A〜27Bの変位によって制御ケーブル5のねじれまたは引掛りのいずれが発生したかを判断する異常判定部12と、を備えるようにした。これにより、地震や強風により制御ケーブル5が激しく揺動して制御ケーブル5のねじれを生じた場合に、これを精度よく確実に検知することができる。
このように、本実施の形態5によれば、制御ケーブル5の異常検知部11として、センサ式異常検知部28を用い、制御ケーブル5の両端の少なくとも一方の取付部分21,22に変位センサ27A,27Bを備え、制御ケーブル5の長手軸(Z軸方向)の軸まわりの変位および面内方向(X軸方向)の変位を検出することで、制御ケーブル5に発生したねじれ25および引掛りを検知するようにしたので、この構成により、制御ケーブル5に生じたねじれ25および引掛りを自動的に検知することができる。
なお、図26(c)の例では、センサ式異常検知部28は、制御ケーブル5を囲う矩形の枠17と、枠17の第一の長辺の一方の端に配置された第一の変位センサ27Aと、枠17の第二の長辺の一方の端に第一の変位センサ27Aと対向しないように配置された第二の変位センサ27Bと、を有している。
これにより、制御ケーブル5の長手軸(Z軸方向)の軸まわりの変位および面内方向(X軸方向)の変位を検出することで、制御ケーブル5に発生したねじれ25および引掛りを検知する。
実施の形態6.
図30は、この発明の実施の形態6に係るエレベータの制御ケーブル異常検知装置(以下、異常検知装置とする。)を示す側面図である。上記の実施の形態1から実施の形態5においては、異常検知部11(ここでは、スイッチ式異常検知部15または変位センサ式異常検知部28を想定する。)が制御ケーブル5のねじれ25および引掛りを検出する実施形態について説明したが、本実施の形態6においては、異常検知部11を、制御ケーブルの両端の少なくとも一方に、制御ケーブル5の取付部分22,21から予め設定した距離Dだけ離れた位置に配置する際の、配置位置に関する実施の形態について説明する。
本実施の形態6では、図30に示すように、制御ケーブル5の少なくとも一方の取付部分22,21より距離Dだけ下方に設置された制御ケーブル5のねじれおよび引掛りにより発生する制御ケーブル5の変位を検知するための異常検知部11を有し、前記距離Dは、かご1が最下階あるいは最上階に停止しているときの、制御ケーブル5のかご1下の取付部分22および昇降路壁9側の取付部分21から、それぞれ直線軌道状に垂下された部分のうち、短い方の長さをLとしたとき、0≦D≦Lの範囲で設定されることを特徴とする。
なお、前記取付部分22、21から真っ直ぐに垂れ下がった部分24の長さLは、かご1が最下階に停止しているときと最上階に停止しているときで異なる場合がある。そこで、本実施の形態6に係る異常検知装置をかご1下側に適用する際、かご1が最下階に停止しているときの、かご1下の取付部分22からまっすぐに垂れ下がった部分24の長さをL1としたとき、上記距離Dは、0≦D≦L1の範囲の値に設定する。一方、本実施の形態6を昇降路壁9側に適用する際は、エレベータのかご1が最上階に停止しているときの、昇降路壁9側の取付部分21からまっすぐに垂れ下がった部分24の長さをL3としたとき、上記距離Dは、0≦D≦L3の範囲の値に設定する。
本実施の形態6における、制御ケーブル5の異常を検知するための異常検知部11を設置する際の、上記距離Dについて、図を用いて説明する。図30(a)は、エレベータのかご1が最下階に停止しているときの、エレベータのかご1と昇降路壁9との間に設置された制御ケーブル5の吊り下げ形状を示す側面図である。制御ケーブル5は、一般的に、かご1下側および昇降路壁9側の取付部分から鉛直下方向に垂下されて、まっすぐに垂れ下がった部分24(以下、直線軌道部分とする。)で直線軌道を描き、下端のU字状の折り返し部分23で半円をなすように吊り下げられて使用される。なお、制御ケーブル5の、かご1側の直線軌道部分と昇降路壁9側の直線軌道部分とは、平行になるように配置されている。また、エレベータのかご1が昇降する際にも、かご1下側および昇降路壁9側の取付部分から鉛直下方向に垂下されて直線軌道を描き、下端のU字状の折り返し部分23で半円をなし、上記の吊り下げ形状の関係性は略保たれた状態が維持される。このときの、制御ケーブル5の、かご1側の取付部分22から昇降路壁9側の取付部分21との間の並進方向の寸法をR、かご1側の直線軌道部分の長さをL1、かご1下の取付部分22からU字状の折り返し部分23の下端までの長さをL2、とすると、図30(a)に示すように、L2=L1+2/Rなる関係になっている。一方、図30(b)に示すように、かご1が最上階に停止している場合も同様な関係が成り立ち、最上階停止時のかご1側の直線軌道部分の長さをL3、かご1下の取付部分22からU字状の折り返し部分23の下端までの長さをL4、とすると、L4=L3+2/Rなる関係になっている。
実施の形態1において説明したように、制御ケーブル5は、直線軌道部分に比べてU字状の折り返し部分23の方が剛性が高くなっているため、制御ケーブル5のねじれ25は、直線軌道部分において発生する傾向がある。従って、図30(a)のような構造を有する実施の形態6の異常検知装置においては、制御ケーブル5にねじれ25が生じた際に、ねじれ25による制御ケーブル5の長手軸(Z軸)の軸まわりの変位が発生する制御ケーブル5の直線軌道部分上であって、かご1下部の取付部分22と昇降路壁9側の取付部分21の少なくとも一方から距離Dだけ離れた位置に、異常検知部11(スイッチ式異常検知部15または変位センサ式異常検知部28)を設けたため、これにより、制御ケーブル5に生じたねじれ25を効果的に検出することができる。
ねじれも引掛りも発生していない通常時では、制御ケーブル5はかご1が垂直方向に昇降してもそのまま真っ直ぐに移動するため、スイッチ式異常検知部15あるいは変位センサ式異常検知部28で構成される異常検知部11において、変位センサからの異常変位あるいはスイッチのON動作を検知することはない。
次に、制御ケーブル5の吊り下げ形状において、直線軌道部分がない場合について図31から図33を用いて説明する。図31(a)はかご1が最下階に停止している際に、制御ケーブル5のかご1下側において、直線軌道部分がない場合の制御ケーブル5の側面図、図31(b)はかご1が最上階に停止している際に、制御ケーブル5の昇降路壁9下側において、直線軌道部分がない場合の制御ケーブル5の側面図、図32(a)はかご1が最下階に停止している際に、制御ケーブル5のかご1下側において、直線軌道部分がない場合の、本実施の形態6に係るエレベータの異常検知装置を示す側面図、図32(b)はかご1が最上階に停止している際に、制御ケーブル5の昇降路壁9下側において、直線軌道部分がない場合の、本実施の形態6に係るエレベータの異常検知装置を示す側面図、図33(a)は、本実施の形態6において、制御ケーブル5の異常検知部11として、スイッチ式異常検知部15を用いた場合の、かご1が最下階に停止している際の制御ケーブル5の側面図、図33(b)は図33(a)のA−A’線断面図を示している。
図31(a)に示すように、昇降路内のレイアウト設計によっては、L2≦R/2となり、かご1が最下階に停止した際にかご1下の制御ケーブル5の直線軌道部分が存在しない場合が想定される。また、図31(b)に示すように、L4≦R/2となり、かご1が最上階に停止した際に昇降路壁9側の制御ケーブル5の直線軌道部分が存在しない場合も想定される。このような場合は、図32(a)に示すように、かご1下側に本実施の形態6を適用する際は、取付部分22からの距離Dは、0≦D≦L2の範囲から距離Dの値を設定する。また、図32(b)に示すように、昇降路壁9側に本実施の形態6を適用する際は、取付部分21からの距離Dは、0≦D≦L4の範囲から距離Dの値を設定する。
このとき、異常検知部11は、図33(a)に示すように、かご1が最下階あるいは最上階に停止している際に、制御ケーブル5が曲率をもったU字状の折り返し部分の一部を囲うように、上記異常検知部11の枠17が位置している。このため、図33(b)に示すように、制御ケーブル5にねじれも引掛りも生じていない通常時においても、かご1が最下階まで下降した際に、枠17内において制御ケーブルが並進方向に、制御ケーブル5のU字状の折り返しに伴う変位dを生じる状態となる。
この制御ケーブル5の変位dを、誤って異常として検知しないように、異常検知部11において、スイッチ式異常検知部15を適用する場合は、上記通常時の変位でスイッチ16が動作しないように、略々矩形の枠17の短辺の長さを、上記変位dの分長く設定する。また、異常検知部11として変位センサ式異常検知部28を適用する場合は、実施の形態5において説明した、異常変位を判断する閾値φにdを加算し、もう一つの異常変位を判断する閾値Ψに対してはdを減算する設定を行うことで、上記制御ケーブル5の変位dを誤って異常として検知しないための対応が可能となる。
以上のように、本実施の形態6によれば、エレベータのかご1と昇降路との間に取り付けられた制御ケーブル5の異常を検知するエレベータの制御ケーブルの異常検知装置において、制御ケーブル5の少なくとも一方の取付部分22,21から距離Dだけ下方に配置され、少なくとも2つのスイッチまたは変位センサを有し、制御ケーブル5のねじれにより発生する長手軸方向(Z軸方向)の軸まわりの変位、および、制御ケーブル5の昇降路内機器または突起物19への引掛りにより発生する面内方向(X軸方向)の変位を検出する異常検出部11を備えるようにしたので、地震や強風が発生した際の建物揺れ等によって制御ケーブル5にねじれや引掛りが生じた場合にもこれを精度よく確実に検知することができ、制御ケーブル5の引掛りによる昇降路機器の損傷や制御ケーブル自体の損傷を抑制することができ、信頼性の高いエレベータ装置を実現できる。
また、本実施の形態6によれば、従来のように保守員が目視で確認することなく、制御ケーブル5のねじれの有無を自動で判断することが可能となるため、制御ケーブル5にねじれが生じていない場合にのみ復旧運転可能とするように設定しておけば、上記の実施の形態1と同様に、例えば、地震発生後に、エレベータの運転を復旧する際に、保守員の到着を待たずに、自動復旧することも可能となるため、自動復旧の診断に利用することも可能であり、優れた効果が期待できる。
また、本実施の形態6に係る異常検出装置による制御ケーブル5の異常検知は、上記の実施の形態1と同様に、従来のように保守員が目視で制御ケーブルの状態を確認していた場合に比べ、より精度高く確実にかつ自動で、ねじれを検出できるため、定期的に行われる保守・点検時の点検作業としても、効果が期待できる。