JP2014004778A - 積層シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のポリカーボネート系樹脂とポリオレフィン系樹脂の積層シートと比べて難燃性とカール特性の両立、ガスバリア性および封止材との密着性に優れた積層シートを提供する。さらには、かかる積層シートを用いることで、高耐久の太陽電池バックシートおよびこれを用いた太陽電池を提供する。
【解決手段】ポリカーボネート系樹脂を主たる構成成分とする層(P1層)と接着層(P2層)および5質量%以上25質量%以下の範囲でポリカーボネート系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする層(P3層)を有し、かついずれか一方の表層がP3層である積層構成を含む積層シートであって、積層シートにおけるP1層の厚みをT1、P2層の厚みをT2、P3層の厚みをT3としたとき、(1)および(2)式を満たすことを特徴とする積層シート。
T1/T3≧0.5・・・(1)
T2≧12μm・・・(2)
【選択図】図1
【解決手段】ポリカーボネート系樹脂を主たる構成成分とする層(P1層)と接着層(P2層)および5質量%以上25質量%以下の範囲でポリカーボネート系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする層(P3層)を有し、かついずれか一方の表層がP3層である積層構成を含む積層シートであって、積層シートにおけるP1層の厚みをT1、P2層の厚みをT2、P3層の厚みをT3としたとき、(1)および(2)式を満たすことを特徴とする積層シート。
T1/T3≧0.5・・・(1)
T2≧12μm・・・(2)
【選択図】図1
Description
本発明は難燃性とカール特性の両立、ガスバリア性および封止材との密着性に優れた積層シートに関する。特に太陽電池用バックシートとして好適に使用できる積層シート、および該積層シートの製造方法に関する。
近年、半永久的で無公害の次世代エネルギー源として太陽光発電が注目を浴びており、太陽電池は急速に普及しつつある。太陽電池は、発電素子をエチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)などの透明な封止材により封止したものに、ガラスなどの透明基板と、バックシートと呼ばれる樹脂シートを貼り合わせて構成される。太陽光は透明基板を通じて太陽電池内に導入される。太陽電池内に導入された太陽光は、発電素子にて、吸収され、吸収された光エネルギーは、電気エネルギーに変換される。変換された電気エネルギーは発電素子に接続したリード線にて取り出されて、各種電気機器に使用される。ここで、従来のバックシートは安価で高性能である二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)に種々の素材をドライラミネートにて貼り合わせることによってガスバリア性や電気特性を付与する構成が検討されてきた。また、オレフィン系樹脂はガスバリア性に加えて上記封止材との密着性が良好であるため、バックシートとして一般的に用いられる素材である。
一方、バックシートの生産性を高めるためにドライラミネートの工程を省き、共押出での検討が行われているが、PETとオレフィンを共押出してもガラス転移温度、結晶性の違いなどから共延伸が困難であり、耐湿熱性が不足する。そこで、未延伸でも耐湿熱性があるポリカーボネートをベースとしたバックシートが開発されており、ポリカーボネートの両側にオレフィンを積層した構成(特許文献1)や、環状オレフィン系樹脂にポリカーボネート層を積層した構成(特許文献2)が提案されている。
しかしながら、ポリカーボネート系樹脂の両表層にオレフィン系樹脂を積層したシートでは、オレフィン系樹脂からなる層がシートの両表層に設けられていることによって、難燃性が低いという欠点を有していた。また、環状オレフィン系樹脂からなる層にポリカーボネート系樹脂からなる層を設けた構成では、難燃性はあるものの、環状オレフィン系樹脂からなる層とポリカーボネート系樹脂からなる層の非対称性から積層シート全体がカールすることによって、太陽電池用バックシートとして用いた際に、封止材との位置ズレを起こす等の課題があった。さらに非対称性を解消するために、ポリカーボネート層の積層比を上昇させるとガスバリア性が低下する課題があった。本発明では従来の課題を鑑みて、難燃性とカール特性の両立、ガスバリア性および封止材との密着性に優れた太陽電池用バックシートを提供する。
上記課題を解決するために本発明は以下の構成をとる。すなわち、ポリカーボネート系樹脂を主たる構成成分とする層(P1層)、接着層(P2層)、および、5質量%以上25質量%以下の範囲でポリカーボネート系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする層(P3層)を有する積層シートであって、いずれか一方の表層がP3層である積層構成であり、P1層の厚みをT1、P2層の厚みをT2、P3層の厚みをT3としたとき下記(1)式、(2)式を満たすことを特徴とする積層シート。
T1/T3≧0.5・・・(1)
T2≧12μm・・・(2)
T1/T3≧0.5・・・(1)
T2≧12μm・・・(2)
本発明によれば、従来のポリオレフィン系樹脂とポリカーボネート系樹脂の積層シートに比べて難燃性、カール特性、ガスバリア性、封止材との密着性に優れた積層シートを提供することができる。かかる積層シートは太陽電池用バックシートに好適に使用でき、さらに該バックシートを用いることによって高性能な太陽電池を提供することができる。
本発明では、ポリカーボネート系樹脂を主たる構成成分とする層(P1層)と接着層(P2層)およびP3層に対して5質量%以上25質量%以下の範囲でポリカーボネート系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする層(P3層)を有する。
本発明におけるP1層の主たる構成成分であるポリカーボネート系樹脂とはジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンや、ジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させて得られる重合体である。ポリカーボネート系樹脂に用いられるジヒドロキシジアリール化合物の例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン系化合物、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン系化合物、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテルの等のジヒドロキシジアリールエーテル系化合物、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド系化合物、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド系化合物、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン系化合物、などが例としてあげられるがこれらに限定されない。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。
また、本発明におけるポリカーボネート系樹脂には上述のジヒドロキシジアリール化合物に加えてフェノール性水酸基を3個以上有する化合物を使用してもよい。その例としてフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス[4,4−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパンなどが挙げられる。
ここで、本発明の積層シートにおいて、P1層の主たる構成成分(本明細書において主たる構成成分は50質量%を超えて含有されていることをいう。以下同様である。)であるポリカーボネート系樹脂は、ジヒドロキシジアリール化合物として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)が主たる成分であるポリカーボネート系樹脂であるのが、耐熱性、耐湿熱性の点から好ましい。なお、ここでいう主たる成分とは、ポリカーボネート系樹脂に用いられる全ジヒドロキシジアリール化合物のうち、ビスフェノールAが80モル%以上をいい、より好ましくは90モル%以上、更には95モル%以上で構成されていることが好ましい。さらには、P1層の主たる構成成分であるポリカーボネート系樹脂は、ジヒドロキシジアリール化合物として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)が、耐熱性、耐湿熱性をより高められるという点でより好ましい。ポリカーボネート系樹脂がP1層中に50質量%以下である場合は耐湿熱性が低下する場合がある。好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
本発明の積層シートにおいて、P1層のポリカーボネート系樹脂の分子量は数平均分子量(Mn)が10000以上50000以下であることが好ましい。より好ましくは12000以上40000以下、更に好ましくは15000以上30000以下である。
本発明の積層シートにおいて、P1層のポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、高い方が耐湿熱性や耐熱性が高くなり、太陽電池バックシートとして用いた場合に発電セルを封止材と共に封止する工程での積層シートの封止工程での形態保持性の点から好ましい。Tgの測定は次の手順にて行う。JIS K7122(1987年版)に準じて、昇温速度20℃/minで樹脂を25℃から300℃まで昇温(1stRUN)し、その状態で5分間保持する。次いで25℃以下となるよう急冷し、再度室温から20℃/minの昇温速度で300℃まで昇温を行って得られた2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、ガラス転移の階段状の変化部分において、JIS K7121(1987年版)の「9.3ガラス転移温度の求め方(1)中間点ガラス転移温度Tg」記載の方法で求める。ガラス転移温度Tgは好ましくは125℃以上、より好ましくは130℃以上、更に好ましくは135℃以上、特に好ましくは140℃以上である。
本発明の積層シートを構成するP1層には0.1質量%以上20質量%以下の範囲にて有機粒子が含まれていることが好ましい。有機粒子としては、例えば、シリコーン系化合物、架橋スチレンや架橋アクリル、架橋メラミンなどの架橋粒子の他、カーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系化合物等が挙げられる。また、屋外で使用される用途においては、紫外線吸収能を有する粒子、例えばカーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系材料等を用いた場合に粒子による紫外線吸収能を活かして、長期に渡って色調変化を抑制するという本発明の効果を顕著に発揮することができると共に、意匠性も兼ね備えたシートとすることができる。意匠性の観点から0.5質量%以上であることが好ましく、有機粒子に起因した溶融押出時の増粘抑制の観点から12質量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは1質量%以上8質量%以下である。また、P1層には有機粒子と無機粒子の両方を添加しても構わない。
本発明の積層シートを構成するP1層には0.1質量%以上20質量%以下の範囲にて有機粒子が含まれていることが好ましい。有機粒子としては、例えば、シリコーン系化合物、架橋スチレンや架橋アクリル、架橋メラミンなどの架橋粒子の他、カーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系化合物等が挙げられる。また、屋外で使用される用途においては、紫外線吸収能を有する粒子、例えばカーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系材料等を用いた場合に粒子による紫外線吸収能を活かして、長期に渡って色調変化を抑制するという本発明の効果を顕著に発揮することができると共に、意匠性も兼ね備えたシートとすることができる。意匠性の観点から0.5質量%以上であることが好ましく、有機粒子に起因した溶融押出時の増粘抑制の観点から12質量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは1質量%以上8質量%以下である。また、P1層には有機粒子と無機粒子の両方を添加しても構わない。
本発明の積層シートを構成するP1層には0.1質量%以上50質量%以下の範囲にて無機粒子が含まれていることが好ましい。より好ましくは5質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上20質量%以下である。この無機粒子はその目的に応じて必要な機能をシートに付与するために用いられる。50質量%超添加するとハンドリング性が低下したり、0.1質量%未満であると無機粒子添加の効果が得られ難いことがある。本発明に好適に用いうる無機粒子としては紫外線吸収能のある無機粒子やポリカーボネート系樹脂との屈折率差が大きな粒子、導電性を持つ粒子、顔料といったものが例示され、これにより耐紫外線性や、光反射性、白色性といった光学特性、帯電防止性などを付与することができる。なお、粒子とは積層シートに平行な面に投影した等価換算円の直径による一次粒径として5nm以上のものをいう。また、特に断らない限り、本発明において粒径は一次粒径を意味し、粒子は一次粒子を意味する。
さらに詳細に説明すると、本発明における無機粒子としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、レニウム、バナジウム、オスミウム、コバルト、鉄、亜鉛、ルテニウム、プラセオジウム、クロム、ニッケル、アルミニウム、スズ、亜鉛、チタン、タンタル、ジルコニウム、アンチモン、インジウム、イットリウム、ランタニウム等の金属、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セシウム、酸化アンチモン、酸化スズ 、インジウム・スズ酸化物、酸化イットリウム 、酸化ランタニウム 、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の金属酸化物、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム 、フッ化アルミニウム 、氷晶石等の金属フッ化物、リン酸カルシウム等の金属リン酸塩、炭酸カルシウム等の炭酸塩、硫酸バリウム等の硫酸塩、タルクおよびカオリン等が挙げられる。
本発明においては、屋外で使用されることが多いことを鑑みれば、紫外線吸収能を有する無機粒子として酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、などの金属酸化物を用いた場合に、粒子による耐紫外線性を活かして、長期に亘ってシートが紫外線暴露されることによる着色を低減するという効果を発揮することができる。さらには、高い反射特性を付与できるという点で無機粒子として酸化チタンを用いるのがよく、耐紫外線性がより高いという点でルチル型酸化チタンを用いるのがより好ましい。
P1層を構成するポリカーボネート系樹脂に無機粒子を添加する方法は、予めポリカーボネート系樹脂と無機粒子をベント式二軸混練押出機やタンデム型押出機を用いて、溶融混練する方法が好ましい。ここで、無機粒子を含有させる際に熱履歴を受けるため、少なからずポリカーボネート系樹脂が低分子量化する。そのため、P1層に含まれる無機粒子量に比べて無機粒子添加量の多い高濃度マスターペレットを作製し、それをポリカーボネート系樹脂と混合して希釈し、所定のP1層の無機粒子含有率とするのが、耐湿熱性の観点から好ましい。
また、本発明の積層シートのP1層およびP3層には、本発明の効果が損なわれない範囲内でその他添加剤(例えば、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、有機の易滑剤、顔料、染料、充填剤、帯電防止剤、核剤などが挙げられる。但し、本発明にいう無機粒子はここでいう添加剤には含まれない)が配合されていてもよい。例えば、添加剤として紫外線吸収剤を選択した場合には、本発明の積層シートの耐紫外線性をより高めることが可能であり、特にP1層の耐紫外線性を向上させる点においてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を添加することが好ましい。また、帯電防止剤などを添加すると耐電圧向上が期待できる。また、本発明におけるP1層は難燃性の観点から表層に設けられていることが好ましい。
本発明ではP1層とP3層の間に接着層(P2層)が設けられている。P2層としてはP1層とP3層の両層に接着する酸で変性されたポリオレフィン系樹脂(酸で変性されたポリオレフィン系樹脂を、以下、酸変性ポリオレフィン系樹脂という)を主たる構成成分とするのが好ましく、例えば酸変性オレフィン、不飽和ポリオレフィンなどの低結晶性軟質重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸3元共重合体などを始めとするアクリル系接着剤、エチレン酢酸ビニル系共重合体が挙げられる。中でもP1層とP3層接着の観点から極性基を導入した酸変性ポリオレフィンを用いることが好ましい。酸変性ポリオレフィンとして、例えば市販品では三井化学(株)社製“アドマー”や三菱化学(株)社製の“モディック”が挙げられる。
また、P2層には変性スチレン系熱可塑性エラストマーをP2層に対して3質量%以上15質量%以下の割合で添加することが、湿熱処理後の層間密着性を向上させることができる点から好ましい。ここで湿熱処理後の層間密着性とは120℃100%RH48時間処理前後の層間剥離強度であり、詳細は「特性の評価方法F.項」に記載したとおりである。また、P2層に変性スチレン系熱可塑性エラストマーを添加すると、変性した反応性の高い官能基に起因して湿熱処理による層間剥離強度の低下を抑制できる観点からも好ましい。湿熱処理による層間剥離強度の低下をどの程度抑制しているかは、P1層とP2層の層間およびP2層とP3層の層間における初期層間剥離強度に対して湿熱処理後の層間剥離強度がどの程度低下しているかの比で判定を行い、詳細は「特性の評価方法J.項」に記載したとおりである。層間密着性を向上させる上では5質量%以上が好ましく、高価である点から12質量%以下とすることが好ましい。変性スチレン系熱可塑性エラストマーとは、例えば、変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体などが挙げられる。変性スチレン系熱可塑性エラストマーは市販品でもよく、例えば旭化成ケミカルズ(株)社製“タフテック”M1913などが好ましく挙げられる。
本発明におけるP3層は、ポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする。本発明におけるポリオレフィン系樹脂とは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリシクロオレフィン、ポリヘキセン、ポリオクテン、ポリデセン、ポリドデセン等が挙げられる。この中でも加工が容易で比較的安価であることなどからポリエチレン、ポリプロピレンであることが好ましい。これらポリオレフィン系樹脂は混合および他のオレフィン成分を共重合しても良く、例えばエチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ブテンコポリマーとすると樹脂の結晶性を低下させることができる。
本発明におけるP3層は、ポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする。本発明におけるポリオレフィン系樹脂とは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリシクロオレフィン、ポリヘキセン、ポリオクテン、ポリデセン、ポリドデセン等が挙げられる。この中でも加工が容易で比較的安価であることなどからポリエチレン、ポリプロピレンであることが好ましい。これらポリオレフィン系樹脂は混合および他のオレフィン成分を共重合しても良く、例えばエチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ブテンコポリマーとすると樹脂の結晶性を低下させることができる。
本発明では、P3層を構成するポリオレフィン系樹脂のうち、P3層に対して5質量%以上30質量%以下の範囲でポリエチレン系樹脂が構成成分として含まれることが好ましい。この場合のP3層は、主たる構成成分であるポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂と他のポリオレフィン系樹脂を併用した態様であり、該ポリエチレン系樹脂のP3層中の含有量が5質量%以上30質量%以下であることを意味する。ポリエチレンは第3級炭素を含まないためポリプロピレンに比べると酸化されにくく、酸化に起因した劣化に対する耐久性が高い。ここでいう含まれるとは、P3層中に構成成分として混合されていることであり、共重合とは異なる。5質量%未満では向上効果は低く、30質量%以上添加すると結晶性が高くなりシートのカールが大きくなる。また、ポリプロピレンとポリエチレンなどの非相溶であるオレフィン同士の混合は脆性が低下する事がある。脆性の低下は封止材との密着性を低下させることがあるため、P3層に対して相溶化剤を含むことが好ましい。ポリプロピレンとポリエチレンの組み合わせにおいては相溶化剤としてエチレン−エチレン/ブチレン/エチレン共重合体が好ましく挙げられ、市販品としてJSR(株)社製“ダイナロン”6200Pが挙げられる。該相溶化剤は0.1質量%以上10質量%以下の範囲で添加することが好ましい。0.1質量%以下であると相溶効果が低く、10質量%以上であると封止剤との密着性が低下することがある。
また、ポリオレフィン系樹脂としてはポリオレフィン系エラストマーも挙げられ、一般的にポリプロピレンおよびポリエチレンにエチレン−プロピレンゴムを微分散させたもの、またはポリプロピレンおよびポリエチレンに他のα−オレフィンを共重合させたものなどをいう。α−オレフィンとしては1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。これらポリオレフィン系エラストマーは、P3層に対して5質量%以上50質量%以下の割合で含まれることが好ましい。この場合のP3層は、主たる構成成分であるポリオレフィン系樹脂が、ポリオレフィン系エラストマーと他のポリオレフィン系樹脂を併用した態様であり、該ポリオレフィン系エラストマーのP3層中の含有量が5質量%以上50質量%以下であることを意味する。ポリオレフィン系エラストマーが含まれることにより120℃100%RH48時間処理後の層間密着性が向上することに加えて、P3層の剛性が低下することによって積層シートのカールが改善するため好ましい。また、P3層にポリオレフィン系エラストマーを添加すると、湿熱処理による層間剥離強度の低下を抑制できる観点からも好ましい。好ましくは、10質量%以上30質量%以下である。ポリオレフィン系エラストマーは市販品でもよく、例えば三菱化学(株)社製“サーモラン”、“ゼラス”、住友化学(株)社製“エクセレン”、“タフセレン”、“エスプレン”、クラレ製“ハイブラー”、“セプトン”、三井化学(株)社製“ノティオ”、ダウケミカル(株)社製“ENGAGE”などが好ましく挙げられる。
また、P3層を構成する樹脂の結晶融解エネルギーは80J/g以下であることが好ましい。結晶融解エネルギーをこの範囲とすることでカールを小さくすることや、封止材との接着性が向上する観点から好ましい。さらに好ましくは、70J/g以下であり、より好ましくは60J/g以下である。ここで、結晶融解エネルギーとはJIS K7122(1987年版)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いて測定したセカンドランから得られる値であり、詳細は「特性の評価方法C.項」に記載したとおりである。結晶融解エネルギーはオレフィン分子鎖中に他のオレフィン成分を共重合することや、オレフィン結晶形態の立体規則性などで調整可能である。立体規則性は重合時の触媒で調整可能である。共重合成分例としては前述のとおりα−オレフィンが好ましく、特にエチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ブテンコポリマーが好ましい。また、オレフィンの立体規則性としてはアタクチックとすることが好ましく挙げられる。結晶融解エネルギーの下限は特に限定されるものではないが、ポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とすれば10J/g以上となるものが大半である。ここで、主たる構成成分とはP3層を構成する樹脂中にポリオレフィン系樹脂が50質量%超の割合であることをいう。
本発明におけるP3層を構成するポリオレフィン系樹脂の融解吸熱ピーク温度は100℃以上150℃以下であることが好ましい。100℃未満であると耐熱性が低下する可能性がある。一方、150℃超であると封止材との接着性が低くなることがある。
ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)(230℃)は0.5以上30以下が好ましい。0.5未満または30超であると流動性が低下し積層ムラやフローマークなどが発生する可能性がある。
本発明では、P3層に対して5質量%以上25質量%以下の範囲でポリカーボネート系樹脂を含む。この範囲でポリカーボネート系樹脂を含むことによりガスバリア性の低下を最小限で留め、難燃性およびカールを向上させることができる。5質量%未満であると難燃性が低下し、25質量%を超えるとガスバリア性および封止材との密着性が低下する。ここで、ガスバリア性とは「プラスチックフィルムおよびシートの水蒸気透過度試験方法(機器測定法)JIS K7129B法(1992年版)」に従い測定して得られた水蒸気透過率の値から判定し、詳細は「特性の評価方法I.項」に記載したとおりである。また、難燃性とは、シートに火を付けた場合のシートの燃焼速度であり、詳細は「特性の評価方法G.項」に記載したとおりである。封止材との密着性を鑑みれば、15質量%以下であることが好ましい。
本発明では、P3層に対して5質量%以上25質量%以下の範囲でポリカーボネート系樹脂を含む。この範囲でポリカーボネート系樹脂を含むことによりガスバリア性の低下を最小限で留め、難燃性およびカールを向上させることができる。5質量%未満であると難燃性が低下し、25質量%を超えるとガスバリア性および封止材との密着性が低下する。ここで、ガスバリア性とは「プラスチックフィルムおよびシートの水蒸気透過度試験方法(機器測定法)JIS K7129B法(1992年版)」に従い測定して得られた水蒸気透過率の値から判定し、詳細は「特性の評価方法I.項」に記載したとおりである。また、難燃性とは、シートに火を付けた場合のシートの燃焼速度であり、詳細は「特性の評価方法G.項」に記載したとおりである。封止材との密着性を鑑みれば、15質量%以下であることが好ましい。
本発明の積層シートを構成するP3層にはP3層に対して無機粒子を1質量%以上30質量%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは2質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上10質量%以下である。この無機粒子はその目的に応じて必要な機能をフィルムに付与するために用いられる。本発明においては、屋外で使用されることが多いことを鑑みれば、紫外線吸収能を有する無機粒子では酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、などの金属酸化物を用いた場合に、粒子による耐紫外線性を活かして、長期に亘ってシートの劣化による着色を低減するという効果を発揮することができる。さらには、高い反射特性を付与できるという点で無機粒子として酸化チタンを用いるのがよく、耐紫外線性がより高いという点でルチル型酸化チタンを用いるのがより好ましい。
本発明の積層シートを構成するP3層にはP3層に対して、0.1質量%以上20質量%以下の範囲にて有機粒子が含まれていることが好ましい。隠蔽性や意匠性の観点から0.5質量%以上が好ましく、有機粒子に起因した溶融押出時の増粘抑制の観点から12質量%以下が好ましい。より好ましくは1質量%以上8質量%以下である。有機粒子としては、例えば、シリコーン系化合物、架橋スチレンや架橋アクリル、架橋メラミンなどの架橋粒子の他、カーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系化合物等が挙げられる。また、P3層に有機粒子としてカーボンを用いた場合、意匠性と耐紫外線性を同時に付与することができるため特に好ましい。
本発明の積層シートを構成するP3層にはP3層に対して、0.1質量%以上20質量%以下の範囲にて有機粒子が含まれていることが好ましい。隠蔽性や意匠性の観点から0.5質量%以上が好ましく、有機粒子に起因した溶融押出時の増粘抑制の観点から12質量%以下が好ましい。より好ましくは1質量%以上8質量%以下である。有機粒子としては、例えば、シリコーン系化合物、架橋スチレンや架橋アクリル、架橋メラミンなどの架橋粒子の他、カーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系化合物等が挙げられる。また、P3層に有機粒子としてカーボンを用いた場合、意匠性と耐紫外線性を同時に付与することができるため特に好ましい。
本発明では、P1層の厚みをT1、P2層の厚みをT2、P3層の厚みをT3としたとき、(1)および(2)式を満たす必要がある。
T1/T3≧0.5・・・(1)
T2≧12μm・・・(2)
(1)および(2)式を同時に満たすことによって、シート全体のカールを抑制することができる。ここでカールとは厚み27μm以上の積層シートを100mmの正方形に切り出し、切り出したシートを平面に無加重の状態で置いた時、シートの4隅が平面から浮いた高さの合計値であり、詳細は「特性の評価方法D.項」に記載したとおりである。本発明におけるポリカーボネート系樹脂とポリオレフィン系樹脂の積層構成では、ポリオレフィン側(P3層)が内側となるようにシートの少なくとも3隅が平面から浮いたカールが発生する。P1層の積層比が上昇するとシートの剛性が上昇し、カールは小さくなるものである。従って(1)式において、T1/T3が大きいほどカールは良化する傾向にあるが、積層シート中のオレフィン層割合が小さくなることによってガスバリア性が低下することがある。このため、T1/T3は15以下であることが好ましい。より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下、最も好ましくは2以下である。一方、T1/T3が0.5未満であるとポリオレフィンの積層比が大きすぎT2の厚みによらずカールが大きくなる。ガスバリア性とカールの両方を鑑みるのであれば、T1/T3は好ましくは0.6以上であり、最も好ましくは0.7以上である。
T1/T3≧0.5・・・(1)
T2≧12μm・・・(2)
(1)および(2)式を同時に満たすことによって、シート全体のカールを抑制することができる。ここでカールとは厚み27μm以上の積層シートを100mmの正方形に切り出し、切り出したシートを平面に無加重の状態で置いた時、シートの4隅が平面から浮いた高さの合計値であり、詳細は「特性の評価方法D.項」に記載したとおりである。本発明におけるポリカーボネート系樹脂とポリオレフィン系樹脂の積層構成では、ポリオレフィン側(P3層)が内側となるようにシートの少なくとも3隅が平面から浮いたカールが発生する。P1層の積層比が上昇するとシートの剛性が上昇し、カールは小さくなるものである。従って(1)式において、T1/T3が大きいほどカールは良化する傾向にあるが、積層シート中のオレフィン層割合が小さくなることによってガスバリア性が低下することがある。このため、T1/T3は15以下であることが好ましい。より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下、最も好ましくは2以下である。一方、T1/T3が0.5未満であるとポリオレフィンの積層比が大きすぎT2の厚みによらずカールが大きくなる。ガスバリア性とカールの両方を鑑みるのであれば、T1/T3は好ましくは0.6以上であり、最も好ましくは0.7以上である。
また(2)式において、T2が12μm未満であるとカールが発生する。この範囲を満たすことによってカールを低減できる。さらに、(2)式を満たすと120℃100%RH48時間処理後の層間密着性を向上する効果もあり、さらに、湿熱処理による層間剥離強度の低下を抑制する効果がある。また、湿熱処理による層間剥離強度の低下をどの程度抑制しているかは、P1層とP2層の層間およびP2層とP3層の層間における初期層間剥離強度に対して湿熱処理後の層間剥離強度がどの程度低下しているかの比で判定を行い、詳細は「特性の評価方法J.項」に記載したとおりである。P2層の厚みT2の上限については特に限定されないが、作製速度等の理由から100μm以下であることが好ましい。さらにカール特性、層間剥離強度および作製速度等を鑑みれば、積層シート全体の厚みに対してP2層の厚みが5%以上20%以下であることが好ましく、且つ15μm以上60μm以下であることが好ましい。より好ましくは20μm以上40μm以下である。ここで、層間剥離とはP1層とP2層の間およびP2層とP3層の間などで界面が剥離することをいい、層間剥離強度はJIS K6854−3(1994年版)に則って測定されたT型で剥離した際の強度をいう。また、太陽電池バックシートなど屋外で使用することに鑑みれば層間剥離強度、および120℃100%RH48hr湿熱処理後の層間剥離強度は共に3N/15mm以上が好ましい。より好ましくは共に5N/15mm以上であり、さらに好ましくは共に8N/15mm以上であり、最も好ましくは共に10N/15mm以上である。初期層間剥離強度は、T2の厚みに加えて層間剥離した界面の樹脂間の相互作用で決定され、必要な層間剥離強度に応じて樹脂を選択すればよい。特にP1層とP2層の界面で剥離が生じる場合、P1は主成分がポリカーボネートであるので、P2層を構成する樹脂を高酸価とすることや、極性のある官能基を樹脂に導入することなどが層間剥離強度の向上に有効である。また、120℃100%RH48hr湿熱処理後の層間剥離強度はT2の厚みに加え、P2層および、P3層にポリオレフィン系エラストマーを添加することで層間剥離強度の低下を抑制できる。
本発明の積層シートの総厚みは27μm以上600μm以下であるのが好ましく、さらに好ましくは30μm以上450μm以下、最も好ましくは40μm以上400μm以下である。また、本発明の積層シートを太陽電池バックシート用途に用いる場合は、バックシートに要求される耐電圧に応じて上記範囲内で適宜厚みを調整する。本発明の積層シートの厚みが27μm未満の場合、シートの平坦性が低下したり、P2層が薄くなりすぎて、粒子を含有せしめたことによる特性向上効果が低下することがある、600μmより厚い場合、例えば、太陽電池バックシートとして用いた場合に、太陽電池セルの全体厚みが厚くなり過ぎる場合がある。
本発明の積層シートにおけるP1層の厚みT1は、5μm以上200μm以下であるのが好ましく、太陽電池用バックシートに用いる場合は、要求される耐電圧で決定すればよい。好ましくは30μm以上190μm以下、さらに好ましくは50μm以上180μm以下である。5μm未満であると、自己支持性がなかったり、200μm超であると太陽電池セルの全体厚みが厚くなり過ぎることがある。
本発明の積層シートにおけるP3層の厚みT3は、10μm以上400μm以下であるのが好ましく、太陽電池用バックシートに用いる場合は、要求される水蒸気透過率および耐電圧で決定すればよい。好ましくは10μm以上250μm以下、さらに好ましくは30μm以上200μm以下である。10μm未満であると、封止材との接着性低下や、水蒸気透過率が増加することがあったり、400μm超であると太陽電池セルの全体厚みが厚くなり過ぎることがある。
本発明における積層シートの積層構成は少なくともP1層/P2層/P3層という構成であり、P3層はいずれか一方の表層に設けられる。P3層が表層に設けられることによって封止材との密着性が良好となる。また、P3層が両表層に設けられた場合は密着性に優れるものの、ポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とするため難燃性が得られ難い。一方、P1層を両表層に設けた場合、難燃性に優れるものの封止材との十分な密着性を得ることができない。P1層を片側表面にのみ設けることによって難燃性と封止材との密着性を両立することができる。また、P1層、P2層、P3層はそれぞれが積層構造でもよく、必要な機能に応じて多層構造とすればよい。
また、本発明の積層シートは、他のフィルム等と積層することができる。この場合もP3層はいずれか一方の表層に設けられる積層構成を取ればよい。他のフィルムの例として、機械的強度を高めるためのポリエステル層、帯電防止層、他素材との密着層、耐紫外線性をさらに向上させるための耐紫外線層、難燃性付与のための難燃層、耐衝撃性や耐擦過性を高めるためのハードコート層など、用途に応じて、任意に選択して用いることができる。その具体例として、本発明の積層シートを太陽電池バックシートとして用いる場合は、他のシート材料や、発電素子を埋包している封止材(例えばエチレンビニルアセテート)との密着性を更に向上させるため易接着層、耐紫外線層、難燃層の他、絶縁性の指標である部分放電現象の発生する電圧を向上させる導電層を形成させることなどが挙げられる。
本発明の積層シートは、耐紫外線性の観点からP1層を入射面としたときのΔbが10以下であることが好ましい。ここでΔbは、紫外線処理前の積層シートP1層を入射面として測定したb値をK0、紫外線処理後の積層シートP1層を入射面として測定したb値をKとして算出された値であり、詳細は「特性の評価方法H.項」に記載したとおりである。Δbは好ましくは6以下であり、さらに好ましくは3以下である。Δbを10以下とするためにはP1層に対して無機粒子を10質量%以上添加することが好ましい方法として挙げられ、無機粒子の添加量に応じてΔbを低下させることが可能である。
次に、本発明の積層シートの製造方法について例を挙げて説明する。本発明の積層シートにおいてP1層、P2層、P3層を積層する方法としては、例えば、P1層用の組成物(原料)、P2層用の組成物(原料)およびP3層用の組成物(原料)をそれぞれ別の押出機に供給し、各々溶融後にP1層、P2層、P3層をこの順に合流させて積層し、Tダイからシート状に押し出す工程を含む方法(共押出法)、単膜で作製したシートに被覆層原料を押出機に投入して溶融押出してTダイから押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、各フィルムをそれぞれ別々に作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、接着剤を介して貼り合わせる方法(接着法)、その他、溶媒に溶解させたものを塗布・乾燥する方法(コーティング法)、およびこれらを組み合わせた方法等を使用することができる。これらのうち製造工程が短く、かつ層間の接着性が良好であるという点で共押出法が好ましい。以下、共押出法での製法を詳述する。
本発明の積層シートを共押出法で作製する場合、まず乾燥したP1層用組成物、P2層用組成物およびP3層用組成物を窒素気流下でP1層は240℃以上320℃以下、P2層およびP3層は180℃以上280℃以下に加熱された3台の押出機にそれぞれ供給し溶融する。ここで、各層に2種以上の樹脂を混合する場合は、押出機に投入する時点で混合するのが生産性向上の観点から好ましい。次いで、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー、ピノール等を用いてP1層、P2層およびP3層を合流、積層させてTダイから共押出する。溶融粘度差が大きい場合は積層ムラ抑制の観点からマルチマニホールドが好ましい。
前記の方法によってTダイから吐出した積層シートを、キャスティングドラム等の冷却体上に押出、冷却固化することにより、本発明の積層シートを得ることができる。ここで、得られた積層シートの生産工程で発生した断裁ロスや屑などをチップ状およびフレーク状に再加工した樹脂をP3層の原料に対して5質量%以上50質量%以下の範囲で混合し、P3層用の組成物とするとロスが減り、生産性が向上する観点から特に好ましい。チップ状およびフレーク化には公知の方法を用いればよいが、分子量低下や酸化劣化を抑制する観点から、可能な限り溶融加熱せずにフレーク状にすることが好ましい。
本発明の積層シートを共押出法で作製する際、P1層がキャスティングドラム面に接する場合は第1段目の冷却時の温度は50℃以上、「ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度−10℃」以下とするのが、得られたシートの平面性が良い点から好ましい。また、カレンダー方式によるキャスティングとすることも平面性を得る観点から好ましく、この際、P3層と接するドラムロール温度を15℃以下とするとオレフィン冷却固化時の体積収縮が抑制されシートのカールを小さくすることができるので好ましい。さらに、積層シートをロール状に巻き取る場合、P3層を巻き外面にしてロール巻きするとシートのカールを低減させる観点から好ましい。
本発明の積層シートを共押出法で作製する際、P1層がキャスティングドラム面に接する場合は第1段目の冷却時の温度は50℃以上、「ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度−10℃」以下とするのが、得られたシートの平面性が良い点から好ましい。また、カレンダー方式によるキャスティングとすることも平面性を得る観点から好ましく、この際、P3層と接するドラムロール温度を15℃以下とするとオレフィン冷却固化時の体積収縮が抑制されシートのカールを小さくすることができるので好ましい。さらに、積層シートをロール状に巻き取る場合、P3層を巻き外面にしてロール巻きするとシートのカールを低減させる観点から好ましい。
前記の方法で得られた本発明の積層シートを本発明の効果が損なわれない範囲で、必要に応じて熱処理やエージングなどの加工処理を加えてもよい。なお、熱処理温度の上限としては、シートの平面性などから、P1層を構成する樹脂の「ガラス転移温度−10℃」以下、より好ましくは「ガラス転移温度−30℃」以下、更に好ましくは「ガラス転移温度−50℃」以下である。また、熱処理時間は好ましくは5秒以上30分以下である。熱処理することで、本発明の積層シートの熱寸法安定性を向上することができる。また、前記の方法で得られた本発明の積層シートの密着性を向上させるために、コロナ処理、プラズマ処理を実施してもよい。
本発明の積層シートにおいて、他のフィルム等と積層する方法としては、例えば、共押出してシート状に加工する方法(共押出法)、単膜で作製したシートに被覆層原料を押出機に投入して溶融押出してTダイから押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、各フィルムをそれぞれ別々に作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、接着剤を介して貼り合わせる方法(接着法)、その他、溶媒に溶解させたものを塗布・乾燥する方法(コーティング法)、およびこれらを組み合わせた方法等を使用することができる。
本発明の積層シートにおいて、他のフィルム等と積層する方法としては、例えば、共押出してシート状に加工する方法(共押出法)、単膜で作製したシートに被覆層原料を押出機に投入して溶融押出してTダイから押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、各フィルムをそれぞれ別々に作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、接着剤を介して貼り合わせる方法(接着法)、その他、溶媒に溶解させたものを塗布・乾燥する方法(コーティング法)、およびこれらを組み合わせた方法等を使用することができる。
本発明の太陽電池は、本発明の積層シートをバックシートとして用いて組み込むことを特徴とする。本発明の積層シートを用いることで、従来の太陽電池と比べて耐久性を高めたり、薄くすることが可能となる。その構成の例を図1に示す。電気を取り出すリード線(図1には示していない)を接続した発電素子をEVA系樹脂などの透明な封止材2で封止したものに、ガラスなどの透明基板4と、本発明の積層シートを太陽電池用バックシート1として貼り合わせて構成されるが、これに限定されず、任意の構成に用いることができる。なお、図1では本発明の積層シート単体での例を示したが、その他必要とされる要求特性に応じて本発明の積層シートと他のフィルムとの複合シートを用いることも可能である。
本発明の太陽電池において、上述の太陽電池用バックシート1は発電素子を封止した封止材2の背面に設置される。ここで、本発明の積層シートが非対称の構成であって、もう一方の片側表面がP1層からなる場合においては、P3層は封止材2側に位置するように配置されるのが、封止材との密着性をより高くすることができるという点で好ましい。また、少なくとも封止材2と反対側に本発明の積層シートのP1層が位置するように配置されているのが好ましい。この構成とすることによって、地面からの照り返しの紫外線などに対する耐性を高めることが可能となり、高耐久の太陽電池としたり、厚さを薄くすることができる。
発電素子3は、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、結晶シリコン系、多結晶シリコン系、微結晶シリコン系、アモルファスシリコン系、銅インジウムセレナイド系、化合物半導体系、色素増感系など、目的に応じて任意の素子を、所望する電圧あるいは電流に応じて複数個を直列または並列に接続して使用することができる。透光性を有する透明基板4は太陽電池の最表層に位置するため、高透過率のほかに、高耐候性、高耐汚染性、高機械強度特性を有する透明材料が使用される。本発明の太陽電池において、透光性を有する透明基板4は上記特性を満たせばいずれの材質を用いることができ、その例としてはガラス、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂(TFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂(CTFE)、ポリフッ化ビニリデン樹脂などのフッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、およびこれらの混合物などが好ましく挙げられる。ガラスの場合、強化されているものを用いるのがより好ましい。また樹脂製の透光基材を用いる場合は、機械的強度の観点から、上記樹脂を一軸または二軸に延伸したものも好ましく用いられる。
また、これら基材には発電素子の封止材であるEVA系樹脂などとの接着性を付与するために、表面に、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、易接着処理を施すことも好ましく行われる。
発電素子を封止するための封止材2は、発電素子の表面の凹凸を樹脂で被覆し固定し、外部環境から発電素子保護し、電気絶縁の目的の他、透光性を有する基材やバックシートと発電素子に接着するため、高透明性、高耐候性、高接着性、高耐熱性を有する材料が使用される。その例としては、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、アイオノマー樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、およびこれらの混合物などが好ましく用いられる。
以上のように、本発明の積層シートに用いた太陽電池バックシートを太陽電池システムに組み込むことにより、従来の太陽電池と比べて、高耐久および/または薄型の太陽電池システムとすることが可能となる。本発明の太陽電池は、太陽光発電システム、小型電子部品の電源など、屋外用途、屋内用途に限定されず各種用途に好適に用いることができる。
[特性の評価方法]
A.層厚みT1、T2、T3、積層比T1/T3
下記(A1)〜(A4)の手順にて求めた。なお、測定は10ヶ所場所を変えて測定し、その平均値をP1層の層厚みT1(μm)、P2層の層厚みT2(μm)、P3層の層厚みT3(μm)、積層比T1/T3とした。
(A1)ミクロトームを用いて、積層シート断面を厚み方向に潰すことなく、積層シート面方向に対して垂直に切断する。
(A2)次いで切断した断面を、電子顕微鏡を用いて観察し、500倍に拡大観察した画像を得る。なお、観察場所は無作為に定めるものとするが、画像の上下方向が積層シートの厚み方向と、画像の左右方向が積層シートの面方向とそれぞれ平行になるようにするものとする。なお、厚み方向全体が1枚の画像中に入りきらない場合は、厚み方向に観察位置をずらして観察し、複数の画像をあわせることによって厚み全体が確認できる画像を準備する。
(A3)前記(A2)で得られる画像中におけるP1層の層厚みT1、P2層の層厚みT2、P3層の厚みT3を求めた。
(A4)T1をT3で除し、積層比T1/T3を算出した。
A.層厚みT1、T2、T3、積層比T1/T3
下記(A1)〜(A4)の手順にて求めた。なお、測定は10ヶ所場所を変えて測定し、その平均値をP1層の層厚みT1(μm)、P2層の層厚みT2(μm)、P3層の層厚みT3(μm)、積層比T1/T3とした。
(A1)ミクロトームを用いて、積層シート断面を厚み方向に潰すことなく、積層シート面方向に対して垂直に切断する。
(A2)次いで切断した断面を、電子顕微鏡を用いて観察し、500倍に拡大観察した画像を得る。なお、観察場所は無作為に定めるものとするが、画像の上下方向が積層シートの厚み方向と、画像の左右方向が積層シートの面方向とそれぞれ平行になるようにするものとする。なお、厚み方向全体が1枚の画像中に入りきらない場合は、厚み方向に観察位置をずらして観察し、複数の画像をあわせることによって厚み全体が確認できる画像を準備する。
(A3)前記(A2)で得られる画像中におけるP1層の層厚みT1、P2層の層厚みT2、P3層の厚みT3を求めた。
(A4)T1をT3で除し、積層比T1/T3を算出した。
B.無機粒子含有率Wa1、Wa2、有機粒子含有率Wa3、Wa4
積層シートからP1層、P3層のそれぞれを削る、または剥がしてP1層およびP3層を分離し、それらについて、以下の方法でP1層の無機粒子含有率Wa1、P3層の無機粒子含有率Wa2、P1層の有機粒子含有率Wa3、P3層の有機粒子含有量Wa4を求めた。P1層について、削りだしたものの質量wa1’’(g)およびP3層について削りだしたものの質量wa3’’(g)を測定した。次いで、塩化メチレン中に溶解させ、遠心分離により不溶成分のうち、無機粒子および有機粒子を分取した。得られた無機粒子および有機粒子を塩化メチレンにて洗浄、遠心分離した。なお、洗浄作業は、遠心分離後の洗浄液にエタノールを添加しても白濁しなくなるまで繰り返した。得られた無機粒子の質量wa1’(g)、有機粒子の質量wa3’を求め、下記式(4)および(5)から無機粒子含有率Wa1および有機粒子含有率Wa3を測定した。
P1層の無機粒子含有率(質量%)Wa1=(wa1’/wa1’’)×100・・・(4)
P1層の有機粒子含有率(質量%)Wa3=(wa3’/wa3’’)×100・・・(5)
P3層においても溶解させる溶剤をオルト−ジクロロベンゼン(100℃)に変更してP1層の場合と同様の方法で、P3層の無機粒子含有率Wa2および有機粒子含有量Wa4を求めた。
積層シートからP1層、P3層のそれぞれを削る、または剥がしてP1層およびP3層を分離し、それらについて、以下の方法でP1層の無機粒子含有率Wa1、P3層の無機粒子含有率Wa2、P1層の有機粒子含有率Wa3、P3層の有機粒子含有量Wa4を求めた。P1層について、削りだしたものの質量wa1’’(g)およびP3層について削りだしたものの質量wa3’’(g)を測定した。次いで、塩化メチレン中に溶解させ、遠心分離により不溶成分のうち、無機粒子および有機粒子を分取した。得られた無機粒子および有機粒子を塩化メチレンにて洗浄、遠心分離した。なお、洗浄作業は、遠心分離後の洗浄液にエタノールを添加しても白濁しなくなるまで繰り返した。得られた無機粒子の質量wa1’(g)、有機粒子の質量wa3’を求め、下記式(4)および(5)から無機粒子含有率Wa1および有機粒子含有率Wa3を測定した。
P1層の無機粒子含有率(質量%)Wa1=(wa1’/wa1’’)×100・・・(4)
P1層の有機粒子含有率(質量%)Wa3=(wa3’/wa3’’)×100・・・(5)
P3層においても溶解させる溶剤をオルト−ジクロロベンゼン(100℃)に変更してP1層の場合と同様の方法で、P3層の無機粒子含有率Wa2および有機粒子含有量Wa4を求めた。
C.P3層を構成するポリオレフィン系樹脂の融解吸熱ピーク温度Tmおよび結晶融解エネルギー
示差走査型熱量分析(DSC)を用い、JIS K7122(1987年版)に従って測定・算出した。積層シートからP3層を削りだし、サンプルをセットして25℃から200℃まで20℃/minで昇温した。ここで得られた測定結果はファーストランである。次いで25℃まで急冷し、再び25℃から200℃まで20℃/minで昇温し、ここで得られた測定結果をセカンドランとした。このときのセカンドランの測定結果を模式的に図2に示す。図2(a)が融解吸熱ピーク温度Tmを示すピークトップであり、ベースラインからの積分値である図2(b)(斜線部分の面積)を結晶融解エネルギーとした。
装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
サンプル質量:2mg
D.カール
厚み27μm以上の積層シートを100mmの正方形に切り出し、切り出したシートを水平、平面の上に無加重、無風の状態でカールしている場合で下に凸になるように静置し、シートの4隅が平面から浮いた高さの合計値であり、その値から次のように判定を行った。
4隅高さ合計値が20mm未満の場合:◎
4隅高さ合計値が20mm以上50mm未満の場合:○
4隅高さ合計値が50mm以上100mm未満の場合:△
4隅高さ合計値が100mm以上の場合:×。
示差走査型熱量分析(DSC)を用い、JIS K7122(1987年版)に従って測定・算出した。積層シートからP3層を削りだし、サンプルをセットして25℃から200℃まで20℃/minで昇温した。ここで得られた測定結果はファーストランである。次いで25℃まで急冷し、再び25℃から200℃まで20℃/minで昇温し、ここで得られた測定結果をセカンドランとした。このときのセカンドランの測定結果を模式的に図2に示す。図2(a)が融解吸熱ピーク温度Tmを示すピークトップであり、ベースラインからの積分値である図2(b)(斜線部分の面積)を結晶融解エネルギーとした。
装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
サンプル質量:2mg
D.カール
厚み27μm以上の積層シートを100mmの正方形に切り出し、切り出したシートを水平、平面の上に無加重、無風の状態でカールしている場合で下に凸になるように静置し、シートの4隅が平面から浮いた高さの合計値であり、その値から次のように判定を行った。
4隅高さ合計値が20mm未満の場合:◎
4隅高さ合計値が20mm以上50mm未満の場合:○
4隅高さ合計値が50mm以上100mm未満の場合:△
4隅高さ合計値が100mm以上の場合:×。
◎〜△が良好であり、その中でも◎が最も優れている。
E.封止材との密着性
JIS K6854−2(1994年版)に則って測定された180°で剥離した際の強度を用い、EVAシートとP3層の剥離強度から封止材の密着性を評価した。測定試験片は、厚さ3mmの半強化ガラス上に、サンビック(株)製の500μm厚のEVAシート、およびコロナ処理を行った実施例、比較例の積層シートを重ね、市販のガラスラミネーターを用いて減圧後に142℃加熱条件下、29.4N/cm2荷重で15分プレス処理をしたものを用いた。剥離強度試験の試験片の幅は10mmとし、2つの試験片を準備し、それぞれの試験片について場所を変えて3カ所測定し、得られた測定値の平均値を剥離強度の値とした。
得られた剥離強度から封止材の密着性を以下のように判定した。
剥離強度が30N/10mm以上の場合:S
剥離強度が20N/10mm以上30N/10mm未満の場合:A
剥離強度が20N/10mm未満の場合:B
SおよびAが良好であり、その中でもSが最も優れている。
JIS K6854−2(1994年版)に則って測定された180°で剥離した際の強度を用い、EVAシートとP3層の剥離強度から封止材の密着性を評価した。測定試験片は、厚さ3mmの半強化ガラス上に、サンビック(株)製の500μm厚のEVAシート、およびコロナ処理を行った実施例、比較例の積層シートを重ね、市販のガラスラミネーターを用いて減圧後に142℃加熱条件下、29.4N/cm2荷重で15分プレス処理をしたものを用いた。剥離強度試験の試験片の幅は10mmとし、2つの試験片を準備し、それぞれの試験片について場所を変えて3カ所測定し、得られた測定値の平均値を剥離強度の値とした。
得られた剥離強度から封止材の密着性を以下のように判定した。
剥離強度が30N/10mm以上の場合:S
剥離強度が20N/10mm以上30N/10mm未満の場合:A
剥離強度が20N/10mm未満の場合:B
SおよびAが良好であり、その中でもSが最も優れている。
F.湿熱処理後の層間密着性
湿熱処理後の層間剥離強度から密着性を評価した。ここで、層間剥離強度はJIS K6854−3(1994年版)に則って測定されたT型で剥離した際の強度を用いた。ここで、層間とはP1層とP2層の間およびP2層とP3層の間など界面剥離できる層間とすればよい。剥離強度試験の試験片の幅は15mmとし、2つの試験片を準備し、それぞれの試験片について場所を変えて3カ所測定し、得られた測定値の平均値を湿熱処理後の層間剥離強度として、以下のように湿熱処理後の層間密着性の判定を行った。また、湿熱処理条件としてタバイエスペック(株)製プレッシャークッカーにて、温度120℃、100%RHの条件下にて48時間処理を行った。
剥離強度が10N/15mm以上の場合:S
剥離強度が8N/15mm以上10N/15mm未満の場合:A
剥離強度が6N/15mm以上8N/15mm未満の場合:B
剥離強度が6N/15mm未満の場合:C
S〜Bが良好であり、その中でもSが最も優れている。
湿熱処理後の層間剥離強度から密着性を評価した。ここで、層間剥離強度はJIS K6854−3(1994年版)に則って測定されたT型で剥離した際の強度を用いた。ここで、層間とはP1層とP2層の間およびP2層とP3層の間など界面剥離できる層間とすればよい。剥離強度試験の試験片の幅は15mmとし、2つの試験片を準備し、それぞれの試験片について場所を変えて3カ所測定し、得られた測定値の平均値を湿熱処理後の層間剥離強度として、以下のように湿熱処理後の層間密着性の判定を行った。また、湿熱処理条件としてタバイエスペック(株)製プレッシャークッカーにて、温度120℃、100%RHの条件下にて48時間処理を行った。
剥離強度が10N/15mm以上の場合:S
剥離強度が8N/15mm以上10N/15mm未満の場合:A
剥離強度が6N/15mm以上8N/15mm未満の場合:B
剥離強度が6N/15mm未満の場合:C
S〜Bが良好であり、その中でもSが最も優れている。
G.難燃性
UL94HB試験に基づいて、シートを13mm×125mmの大きさに切り出し、切り出した長手方向の端から25.4mmのところに第一標線、101.6mmのところに第二標線を引き、水平に保持して燃焼試験を行った時の第一標線から第二標線までの燃焼速度で、シートの幅方向及び長手方向についてそれぞれN=3で行いその平均値とした。得られた燃焼速度について以下のように判定を行った。
燃焼速度が100mm/分未満の場合:A
燃焼速度が100mm/分以上130mm/分未満の場合:B
燃焼速度が130mm/分以上150mm/分未満の場合:C
燃焼速度が150mm/分以上の場合:D
難燃性はA〜Cが良好であり、その中でAが最も優れている。
UL94HB試験に基づいて、シートを13mm×125mmの大きさに切り出し、切り出した長手方向の端から25.4mmのところに第一標線、101.6mmのところに第二標線を引き、水平に保持して燃焼試験を行った時の第一標線から第二標線までの燃焼速度で、シートの幅方向及び長手方向についてそれぞれN=3で行いその平均値とした。得られた燃焼速度について以下のように判定を行った。
燃焼速度が100mm/分未満の場合:A
燃焼速度が100mm/分以上130mm/分未満の場合:B
燃焼速度が130mm/分以上150mm/分未満の場合:C
燃焼速度が150mm/分以上の場合:D
難燃性はA〜Cが良好であり、その中でAが最も優れている。
H.耐紫外線性
紫外線処理前の積層シートP1層側から測定したb値をK0、紫外線処理後の積層シートP1層側から測定したb値をKとした時に、下記(3)式により求められる値をP1層側のΔbとして、この値より積層シートの耐紫外線性を評価した。
Δb=K−K0・・・(3)式
紫外線処理は、スガ試験機(株)製キセノンウェザーメーターSC750にて、温度65℃、相対湿度50%RH、強度150mW/cm2(光源:キセノンランプ、波長範囲:290〜400nm)の条件下でP1層側に1000時間照射した。また、b値の求め方は次の通りである。
分光式色差計SE−2000型(日本電色工業(株)製)を用い、JIS Z8722(2000年版)に準じて反射モードにて、P1層のb値を測定した。サンプル数はn=5とし、試料測定径を30mmφとして、それぞれのb値を測定して、その平均値を算出した。得られたP1層側のΔbより積層シートの耐紫外線性について以下のように判定を行った。
色調変化Δbが5未満の場合:S
色調変化Δbが5以上の場合:A
Sが良好であり、最も優れている。
紫外線処理前の積層シートP1層側から測定したb値をK0、紫外線処理後の積層シートP1層側から測定したb値をKとした時に、下記(3)式により求められる値をP1層側のΔbとして、この値より積層シートの耐紫外線性を評価した。
Δb=K−K0・・・(3)式
紫外線処理は、スガ試験機(株)製キセノンウェザーメーターSC750にて、温度65℃、相対湿度50%RH、強度150mW/cm2(光源:キセノンランプ、波長範囲:290〜400nm)の条件下でP1層側に1000時間照射した。また、b値の求め方は次の通りである。
分光式色差計SE−2000型(日本電色工業(株)製)を用い、JIS Z8722(2000年版)に準じて反射モードにて、P1層のb値を測定した。サンプル数はn=5とし、試料測定径を30mmφとして、それぞれのb値を測定して、その平均値を算出した。得られたP1層側のΔbより積層シートの耐紫外線性について以下のように判定を行った。
色調変化Δbが5未満の場合:S
色調変化Δbが5以上の場合:A
Sが良好であり、最も優れている。
I.ガスバリア性
MOCON社製PERMATRAN W−TWINを用いて、「プラスチックフィルムおよびシートの水蒸気透過度試験方法(機器測定法)JIS K7129B法(1992年版)」に従い、40℃、90%RH条件下で測定を行った。得られた水蒸気透過率より積層シートのガスバリア性について以下のように判定を行った。
水蒸気透過率が2g/(m2・24hr)未満の場合:S
水蒸気透過率が2g/(m2・24hr)以上、3g/(m2・24hr)未満の場合:A
水蒸気透過率が3g/(m2・24hr)を超える場合:B
SまたはBが良好であり、その中でもSが最も優れている。
MOCON社製PERMATRAN W−TWINを用いて、「プラスチックフィルムおよびシートの水蒸気透過度試験方法(機器測定法)JIS K7129B法(1992年版)」に従い、40℃、90%RH条件下で測定を行った。得られた水蒸気透過率より積層シートのガスバリア性について以下のように判定を行った。
水蒸気透過率が2g/(m2・24hr)未満の場合:S
水蒸気透過率が2g/(m2・24hr)以上、3g/(m2・24hr)未満の場合:A
水蒸気透過率が3g/(m2・24hr)を超える場合:B
SまたはBが良好であり、その中でもSが最も優れている。
J.湿熱処理による層間剥離強度の低下抑制度合い
湿熱処理による層間剥離強度の低下抑制度合いは初期層間剥離強度をG0、湿熱処理後の層間剥離強度G1としたとき、下記式(6)から算出した湿熱処理後の層間剥離強度低下比より判定を行う。
湿熱処理による層間剥離強度の低下抑制度合いは初期層間剥離強度をG0、湿熱処理後の層間剥離強度G1としたとき、下記式(6)から算出した湿熱処理後の層間剥離強度低下比より判定を行う。
湿熱処理後の層間剥離強度低下比=G1/G0・・・(6)
ここで、層間剥離強度はJIS K6854−3(1994年版)に則って測定されたT型で剥離した際の強度を用いた。また、層間とはP1層とP2層の間およびP2層とP3層の間など界面剥離できる層間とすればよい。剥離強度試験の試験片の幅は15mmとし、2つの試験片を準備し、それぞれの試験片について場所を変えて3カ所測定し、得られた測定値の平均値を層間剥離強度とした。また、湿熱処理条件としてタバイエスペック(株)製プレッシャークッカーにて、温度120℃、100%RHの条件下にて48時間処理を行った。(6)式から算出された値より、湿熱処理による層間剥離強度の低下抑制度合いを以下のように判定した。
湿熱処理後の層間剥離強度低下比が0.7以上の場合:S
湿熱処理後の層間剥離強度低下比が0.5以上0.7未満の場合:A
湿熱処理後の層間剥離強度低下比が0.5未満の場合:B
S〜Aが良好であり、その中でもSが最も優れている。
ここで、層間剥離強度はJIS K6854−3(1994年版)に則って測定されたT型で剥離した際の強度を用いた。また、層間とはP1層とP2層の間およびP2層とP3層の間など界面剥離できる層間とすればよい。剥離強度試験の試験片の幅は15mmとし、2つの試験片を準備し、それぞれの試験片について場所を変えて3カ所測定し、得られた測定値の平均値を層間剥離強度とした。また、湿熱処理条件としてタバイエスペック(株)製プレッシャークッカーにて、温度120℃、100%RHの条件下にて48時間処理を行った。(6)式から算出された値より、湿熱処理による層間剥離強度の低下抑制度合いを以下のように判定した。
湿熱処理後の層間剥離強度低下比が0.7以上の場合:S
湿熱処理後の層間剥離強度低下比が0.5以上0.7未満の場合:A
湿熱処理後の層間剥離強度低下比が0.5未満の場合:B
S〜Aが良好であり、その中でもSが最も優れている。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(原料)
・ポリカーボネート系樹脂
参考例1〜3、実施例1〜20および比較例1〜8におけるP1層を構成するポリカーボネート系樹脂として、出光興産(株)社製“タフロン”A1700をPC1として用いた。
・接着層樹脂
参考例1〜3、実施例1〜20および比較例1〜8におけるP2層を構成する接着層樹脂として三菱化学(株)社製“モディック”F535を接着樹脂1として用いた。
・ポリオレフィン系樹脂
参考例1〜3、実施例1〜20および比較例1〜8につきポリオレフィン系樹脂として住友化学社製“ノーブレン”FL6412をEPC1として用いた。
・ポリエチレン系樹脂
参考例1〜3、実施例5〜20および比較例5、6につきポリエチレン系樹脂として住友化学社製“スミカセン”GA401をLLDPE1として用いた。
・相溶化剤
実施例6〜20、比較例5、6のP3層相溶化剤としてJSR(株)社製“ダイナロン”6200Pを用いた。
・ポリオレフィン系エラストマー
実施例7のP3層につきポリオレフィン系エラストマーとしてダウケミカル(株)社製“ENGAGE”8200をエラストマー1として用いた。
・変性スチレン系熱可塑性エラストマー
実施例8〜20、比較例5、6につき変性スチレン系熱可塑性エラストマーとして旭化成ケミカルズ社製“タフテック”M1913をM−SEBSとして用いた。
・無機粒子
参考例2、実施例13〜16に用いた無機粒子はルチル型二酸化チタンを用いた。また、二酸化チタンは各参考例、実施例、比較例につきP1層にて用いた主たる構成成分となる樹脂と無機粒子が50質量%/50質量%の割合でマスター化した樹脂をMB2としてP1層に希望濃度となるように添加した。
参考例1〜2、実施例1〜16、比較例1〜8に用いた無機粒子はルチル型二酸化チタンを用いた。また、二酸化チタンは各参考例、実施例、比較例につきP3層にて用いた主たる構成成分となる樹脂と無機粒子が30質量%/70質量%の割合でマスター化した樹脂をMB4としてP3層に希望濃度となるように添加した。
・有機粒子
参考例1、3、実施例1〜12、17〜20、比較例1〜8に用いた有機粒子はカーボンブラックを用いた。また、カーボンブラックは各参考例、実施例、比較例につきP1層にて用いた主たる構成成分となる樹脂と有機粒子が90質量%/10質量%(有機粒子)の割合でマスター化した樹脂をMB1として各層に希望濃度となるように添加した。
参考例3、実施例17〜20に用いた有機粒子はカーボンブラックを用いた。また、カーボンブラックは各参考例、実施例につきP3層にて用いた主たる構成成分となる樹脂と有機粒子が90質量%/10質量%(有機粒子)の割合でマスター化した樹脂をMB5として各層に希望濃度となるように添加した。
・紫外線吸収剤
実施例1〜20、比較例1〜8に用いた紫外線吸収剤はBASFジャパン(株)社製“TINUVIN329”を用いた。また、TINUBIN329は各実施例、比較例につきP1層にて用いた主たる構成成分となる樹脂と紫外線吸収剤が90質量%/10質量%の割合でマスター化した樹脂をMB3として各層に希望濃度となるように添加した。
(原料)
・ポリカーボネート系樹脂
参考例1〜3、実施例1〜20および比較例1〜8におけるP1層を構成するポリカーボネート系樹脂として、出光興産(株)社製“タフロン”A1700をPC1として用いた。
・接着層樹脂
参考例1〜3、実施例1〜20および比較例1〜8におけるP2層を構成する接着層樹脂として三菱化学(株)社製“モディック”F535を接着樹脂1として用いた。
・ポリオレフィン系樹脂
参考例1〜3、実施例1〜20および比較例1〜8につきポリオレフィン系樹脂として住友化学社製“ノーブレン”FL6412をEPC1として用いた。
・ポリエチレン系樹脂
参考例1〜3、実施例5〜20および比較例5、6につきポリエチレン系樹脂として住友化学社製“スミカセン”GA401をLLDPE1として用いた。
・相溶化剤
実施例6〜20、比較例5、6のP3層相溶化剤としてJSR(株)社製“ダイナロン”6200Pを用いた。
・ポリオレフィン系エラストマー
実施例7のP3層につきポリオレフィン系エラストマーとしてダウケミカル(株)社製“ENGAGE”8200をエラストマー1として用いた。
・変性スチレン系熱可塑性エラストマー
実施例8〜20、比較例5、6につき変性スチレン系熱可塑性エラストマーとして旭化成ケミカルズ社製“タフテック”M1913をM−SEBSとして用いた。
・無機粒子
参考例2、実施例13〜16に用いた無機粒子はルチル型二酸化チタンを用いた。また、二酸化チタンは各参考例、実施例、比較例につきP1層にて用いた主たる構成成分となる樹脂と無機粒子が50質量%/50質量%の割合でマスター化した樹脂をMB2としてP1層に希望濃度となるように添加した。
参考例1〜2、実施例1〜16、比較例1〜8に用いた無機粒子はルチル型二酸化チタンを用いた。また、二酸化チタンは各参考例、実施例、比較例につきP3層にて用いた主たる構成成分となる樹脂と無機粒子が30質量%/70質量%の割合でマスター化した樹脂をMB4としてP3層に希望濃度となるように添加した。
・有機粒子
参考例1、3、実施例1〜12、17〜20、比較例1〜8に用いた有機粒子はカーボンブラックを用いた。また、カーボンブラックは各参考例、実施例、比較例につきP1層にて用いた主たる構成成分となる樹脂と有機粒子が90質量%/10質量%(有機粒子)の割合でマスター化した樹脂をMB1として各層に希望濃度となるように添加した。
参考例3、実施例17〜20に用いた有機粒子はカーボンブラックを用いた。また、カーボンブラックは各参考例、実施例につきP3層にて用いた主たる構成成分となる樹脂と有機粒子が90質量%/10質量%(有機粒子)の割合でマスター化した樹脂をMB5として各層に希望濃度となるように添加した。
・紫外線吸収剤
実施例1〜20、比較例1〜8に用いた紫外線吸収剤はBASFジャパン(株)社製“TINUVIN329”を用いた。また、TINUBIN329は各実施例、比較例につきP1層にて用いた主たる構成成分となる樹脂と紫外線吸収剤が90質量%/10質量%の割合でマスター化した樹脂をMB3として各層に希望濃度となるように添加した。
(参考例)
押出機1をP1層、押出機2をP2層、押出機3をP3層として、表1−1に示す樹脂を表1−2に示す押出温度にて各押出機内で溶融した。次いで各押出機から溶融押出された層がP1層/P2層/P3層の順に積層されるようマルチマニホールドダイにて各層を合流させ、Tダイから吐出された樹脂を表面温度10℃のキャストドラム上にP3層側がキャストドラム面と接するように冷却固化して積層シートを得た。各参考例より得られた積層シートをフレーク状にし、表1に示す通りフレーク1〜3とした。
押出機1をP1層、押出機2をP2層、押出機3をP3層として、表1−1に示す樹脂を表1−2に示す押出温度にて各押出機内で溶融した。次いで各押出機から溶融押出された層がP1層/P2層/P3層の順に積層されるようマルチマニホールドダイにて各層を合流させ、Tダイから吐出された樹脂を表面温度10℃のキャストドラム上にP3層側がキャストドラム面と接するように冷却固化して積層シートを得た。各参考例より得られた積層シートをフレーク状にし、表1に示す通りフレーク1〜3とした。
(実施例1〜20、比較例1〜6)
押出機1をP1層、押出機2をP2層、押出機3をP3層として、表2−1および表2−2に示す樹脂を表2−1および表2−2に示す押出温度にて各押出機内で溶融した。次いで各押出機から溶融押出された層がP1層/P2層/P3層の順に積層されるようマルチマニホールドにて各層を合流させ、Tダイから吐出された樹脂を表面温度10℃のキャストドラム上にP3層側がキャストドラム面と接するように冷却固化して積層シートを得た。P1層、P2層、P3層は表2−4に示す厚み、積層比となった。また、P1層のPC1、MB1、MB2、MB3は110℃で6時間乾燥した後に押出機に投入した。
得られた積層シートについて湿熱処理後の層間密着性、難燃性、カール特性、封止材との密着性、ガスバリア性、耐紫外線性、層間剥離強度の低下抑制度合いを評価した。その結果、表2−4に示す通り、実施例については難燃性、カール特性、封止材との密着性、ガスバリア性および耐紫外線性に優れた積層シートであることがわかった。
さらに実施例8〜20のP2層には変性スチレン系熱可塑性エラストマーが含まれていたため、湿熱処理後の層間密着性および、層間剥離強度の低下抑制度合いにより優れていた。
さらに、実施例7はP3層にオレフィン系エラストマーが含まれていた、また、実施例9〜20はT1/T3が0.7を超えていたため、カール特性により優れていた。
一方、比較例1はT1/T3が0.5未満であったためカール特性に劣るものであった。
比較例2はP2層の厚みが12μm未満であったためカール特性に劣るものであった。
比較例3および6はP3層中にポリカーボネート系樹脂の含有量が5質量%未満であったため難燃性に劣るものであった。
比較例4および比較例5はP3層中に含まれるポリカーボネート系樹脂の含有量が25質量%を超えたためガスバリア性および封止材との密着性に劣るものであった。
(比較例7)
P1層/P2層/P3層/P2層/P1層の順に積層されるよう各層を合流させ、Tダイから吐出したこと以外は実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートについて難燃性、カール特性、封止材との密着性、ガスバリア性を評価した。その結果、表2−4に示す通り、少なくとも片方の表層にP3層が設けられていないため、封止材との密着性が劣るものとなった。
(比較例8)
P3層/P2層/P1層/P2層/P3層の順に積層されるよう各層を合流させ、Tダイから吐出したこと以外は実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートについて難燃性、カール特性、封止材との密着性、ガスバリア性を評価した。その結果、表2−4に示す通り、両表層にP3層が設けられているため、難燃性に劣るものとなった。
押出機1をP1層、押出機2をP2層、押出機3をP3層として、表2−1および表2−2に示す樹脂を表2−1および表2−2に示す押出温度にて各押出機内で溶融した。次いで各押出機から溶融押出された層がP1層/P2層/P3層の順に積層されるようマルチマニホールドにて各層を合流させ、Tダイから吐出された樹脂を表面温度10℃のキャストドラム上にP3層側がキャストドラム面と接するように冷却固化して積層シートを得た。P1層、P2層、P3層は表2−4に示す厚み、積層比となった。また、P1層のPC1、MB1、MB2、MB3は110℃で6時間乾燥した後に押出機に投入した。
得られた積層シートについて湿熱処理後の層間密着性、難燃性、カール特性、封止材との密着性、ガスバリア性、耐紫外線性、層間剥離強度の低下抑制度合いを評価した。その結果、表2−4に示す通り、実施例については難燃性、カール特性、封止材との密着性、ガスバリア性および耐紫外線性に優れた積層シートであることがわかった。
さらに実施例8〜20のP2層には変性スチレン系熱可塑性エラストマーが含まれていたため、湿熱処理後の層間密着性および、層間剥離強度の低下抑制度合いにより優れていた。
さらに、実施例7はP3層にオレフィン系エラストマーが含まれていた、また、実施例9〜20はT1/T3が0.7を超えていたため、カール特性により優れていた。
一方、比較例1はT1/T3が0.5未満であったためカール特性に劣るものであった。
比較例2はP2層の厚みが12μm未満であったためカール特性に劣るものであった。
比較例3および6はP3層中にポリカーボネート系樹脂の含有量が5質量%未満であったため難燃性に劣るものであった。
比較例4および比較例5はP3層中に含まれるポリカーボネート系樹脂の含有量が25質量%を超えたためガスバリア性および封止材との密着性に劣るものであった。
(比較例7)
P1層/P2層/P3層/P2層/P1層の順に積層されるよう各層を合流させ、Tダイから吐出したこと以外は実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートについて難燃性、カール特性、封止材との密着性、ガスバリア性を評価した。その結果、表2−4に示す通り、少なくとも片方の表層にP3層が設けられていないため、封止材との密着性が劣るものとなった。
(比較例8)
P3層/P2層/P1層/P2層/P3層の順に積層されるよう各層を合流させ、Tダイから吐出したこと以外は実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートについて難燃性、カール特性、封止材との密着性、ガスバリア性を評価した。その結果、表2−4に示す通り、両表層にP3層が設けられているため、難燃性に劣るものとなった。
本発明の積層シートは、従来のポリカーボネート系樹脂とポリオレフィン系樹脂の積層シートと比べて難燃性とカール特性の両立性、封止材との密着性およびガスバリア性に優れる積層シートを提供することができる。かかる積層シートは、太陽電池用バックシートの他、液晶ディスプレイ用反射板、自動車用材料、建築材料をはじめとした、耐湿熱性、紫外線に対する耐性、光反射性が重視されるような用途に好適に使用することができる。特に、かかる積層シートを用いることで、高い耐久性を有した太陽電池用バックシートおよびそれを用いた太陽電池を提供することができる。
1:太陽電池用バックシート
2:封止材
3:発電素子
4:透明基板
5:太陽電池バックシートの封止材2側の面
6:太陽電池バックシートの封止材2と反対側の面
a:融解吸熱ピーク温度
b:結晶融解エネルギー
2:封止材
3:発電素子
4:透明基板
5:太陽電池バックシートの封止材2側の面
6:太陽電池バックシートの封止材2と反対側の面
a:融解吸熱ピーク温度
b:結晶融解エネルギー
Claims (14)
- ポリカーボネート系樹脂を主たる構成成分とする層(P1層)、接着層(P2層)、および、5質量%以上25質量%以下の範囲でポリカーボネート系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする層(P3層)を有する積層シートであって、いずれか一方の表層がP3層である積層構成であり、P1層の厚みをT1、P2層の厚みをT2、P3層の厚みをT3としたとき、下記(1)式、(2)式を満たすことを特徴とする積層シート。
T1/T3≧0.5・・・(1)
T2≧12μm・・・(2) - P3層を構成するポリオレフィン系樹脂の明細書で定義するDSCから得られる融解吸熱ピーク温度が100℃以上150℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層シート。
- P3層に対して5質量%以上30質量%以下の範囲でポリエチレン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層シート。
- P3層に対して5質量%以上50質量%以下の範囲でポリオレフィン系エラストマーを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
- P3層に対して無機粒子を1質量%以上30質量%以下含有する請求項1〜4のいずれかに記載の積層シート。
- P3層に対して有機粒子を0.1質量%以上20質量%以下含有する請求項1〜5のいずれかに記載の積層シート。
- P2層が酸変性ポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層シート。
- P2層に対して3質量%以上15質量%以下の範囲で変性スチレン系熱可塑性エラストマーを含有する請求項1〜7のいずれかに記載の積層シート。
- P1層に対して有機粒子を0.1質量%以上20質量%以下含有する請求項1〜8のいずれかに記載の積層シート。
- P1層に対して無機粒子を0.1質量%以上50質量%以下含有する請求項1〜9のいずれかに記載の積層シート。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の積層シートを用いた太陽電池バックシート。
- 請求項11に記載の太陽電池バックシートを用いた太陽電池。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の積層シートの製造方法であって、P1層用の組成物、P2層用の組成物、および、P3層用の組成物を、それぞれ別の押出機に供給し、各々溶融後にP1層、P2層、P3層をこの順に合流させて積層し、Tダイからシート状に押し出す工程を含むことを特徴とする積層シートの製造方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の積層シートをチップ状またはフレーク状に再加工した樹脂をP3層用の原料に対して5質量%以上50質量%以下の範囲で混合し、P3層用の組成物とすることを特徴とする請求項13に記載の積層シートの製造方法。
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JP2012142710A JP2014004778A (ja) | 2012-06-26 | 2012-06-26 | 積層シートおよびその製造方法 |
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Cited By (2)
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WO2021181315A1 (ja) * | 2020-03-12 | 2021-09-16 | 藤森工業株式会社 | 接着性樹脂組成物、接着性樹脂成形体、接着性樹脂積層体、及び筐体封止材 |
WO2021181314A1 (ja) * | 2020-03-12 | 2021-09-16 | 藤森工業株式会社 | 接着性樹脂組成物、接着性樹脂成形体、接着性樹脂積層体、及び筐体封止材 |
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2012
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WO2021181314A1 (ja) * | 2020-03-12 | 2021-09-16 | 藤森工業株式会社 | 接着性樹脂組成物、接着性樹脂成形体、接着性樹脂積層体、及び筐体封止材 |
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