JP2014004550A - 水処理設備の制御方法及び制御プログラム並びに水処理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の水処理設備の制御方法は、被処理水の導電率とその導電率に対して因果関係がない被処理水のシリカ濃度との間に相関があるか否かを定期的に行う被処理水のサンプル分析の結果から判定する相関判定工程と、被処理水の導電率とシリカ濃度との間に相関があることを条件として、被処理水の直近一定期間における導電率計測値の分布を統計解析し、その統計解析の結果と、被処理水の導電率とシリカ濃度との間の相関に基づいて、被処理水のシリカ濃度を推定する第1汚濁成分濃度推定工程と、推定した被処理水のシリカ濃度に基づいて、被処理水を処理する水処理設備10の運転条件を決定する運転条件決定工程と、を含む。
【選択図】図3
Description
本発明の第1の態様は、水質指標と前記水質指標に対して因果関係がない汚濁成分の濃度との相関が被処理水にあるか否かを定期的に行う前記被処理水のサンプル分析の結果から判定する相関判定工程と、前記相関があることを条件として、前記被処理水の直近一定期間における前記水質指標の計測値の分布を統計解析し、その統計解析の結果と前記相関に基づいて、前記被処理水の前記汚濁成分の濃度を推定する第1汚濁成分濃度推定工程と、推定した前記被処理水の前記汚濁成分の濃度に基づいて、前記被処理水を処理する水処理設備の運転条件を決定する運転条件決定工程と、を含む、水処理設備の制御方法である。
本発明の第2の態様は、前述した本発明の第1の態様において、前記第1汚濁成分濃度推定工程は、前記被処理水のサンプル分析の結果を回帰分析して回帰直線及びその予測限界を求め、前記被処理水の直近一定期間における前記水質指標の計測値の分布の平均値と標準偏差を統計解析によって求め、その平均値と標準偏差に基づいて設定した出現確率に収まる前記水質指標の計測値の最大値を求め、前記回帰直線の予測限界及び前記水質指標の計測値の最大値に基づいて、前記被処理水の前記汚濁成分の濃度を推定する工程を含む、ことを特徴とする水処理設備の制御方法である。
本発明の第2の態様によれば、被処理水の水質指標に対して因果関係がない汚濁成分の濃度を推定誤差の範囲内の最大値(最悪値)として推定することができるので、最適な運転条件での水処理設備の運用をより安全に行うことが可能になる。
本発明の第3の態様は、前述した本発明の第1の態様又は第2の態様において、前記相関がないことを条件として、過去の全ての前記被処理水のサンプル分析における前記汚濁成分の濃度の分布を統計解析し、その統計解析の結果に基づいて、前記被処理水の前記汚濁成分の濃度を推定する第2汚濁成分濃度推定工程をさらに含む、ことを特徴とする水処理設備の制御方法である。
本発明の第4の態様は、前述した本発明の第3の態様において、前記第2汚濁成分濃度推定工程は、過去の全ての前記被処理水のサンプル分析における前記汚濁成分の濃度の分布の平均値と標準偏差を統計解析によって求め、その平均値と標準偏差に基づいて設定した出現確率に収まる前記汚濁成分の濃度の最大値を求め、それを前記被処理水の前記汚濁成分の濃度と推定する工程を含む、ことを特徴とする水処理設備の制御方法である。
本発明の第4の態様によれば、水質指標とその水質指標に対して因果関係がない汚濁成分の濃度との間に相関関係が成立しない場合であっても、その被処理水の水質指標に対して因果関係がない汚濁成分の濃度を推定誤差の範囲内の最大値(最悪値)として推定することができるので、適切な運転条件での水処理設備の運用をより安全に行うことが可能になる。
本発明の第5の態様は、前述した本発明の第1〜第4の態様のいずれかにおいて、前記水質指標は前記被処理水の導電率である、ことを特徴とする水処理設備の制御方法である。
本発明の第6の態様は、前述した本発明の第1〜第4の態様のいずれかにおいて、前記水質指標は前記被処理水の濁度である、ことを特徴とする水処理設備の制御方法である。
本発明の第7の態様は、前述した本発明の第1〜第4の態様のいずれかにおいて、前記水質指標は前記被処理水の吸光度である、ことを特徴とする水処理設備の制御方法である。
本発明の第8の態様は、前述した本発明の第1〜第4の態様のいずれかにおいて、前記水質指標は前記被処理水の水素イオン指数である、ことを特徴とする水処理設備の制御方法である。
本発明の第9の態様は、前述した本発明の第1〜第4の態様のいずれかにおいて、前記水質指標は前記被処理水の酸化還元電位である、ことを特徴とする水処理設備の制御方法である。
本発明の第10の態様は、水質指標と前記水質指標に対して因果関係がない汚濁成分の濃度との相関が被処理水にあるか否かを定期的に行う前記被処理水のサンプル分析の結果から判定する相関判定手順と、前記相関があることを条件として、前記被処理水の直近一定期間における前記水質指標の計測値の分布を統計解析し、その統計解析の結果と前記相関に基づいて、前記被処理水の前記汚濁成分の濃度を推定する第1汚濁成分濃度推定手順と、推定した前記被処理水の前記汚濁成分の濃度に基づいて、前記被処理水を処理する水処理設備の運転条件を決定する運転条件決定手順と、をコンピュータに実行させる、水処理設備の制御プログラムである。
本発明の第10の態様によれば、この制御プログラムを実行するコンピュータにより制御される水処理設備において、前述した本発明の第1の態様と同様の作用効果が得られる。
本発明の第11の態様は、前述した本発明の第10の態様において、前記相関がないことを条件として、過去の全ての前記被処理水のサンプル分析における前記汚濁成分の濃度の分布を統計解析し、その統計解析の結果に基づいて、前記被処理水の前記汚濁成分の濃度を推定する第2汚濁成分濃度推定手順をコンピュータに実行させる、ことを特徴とする水処理設備の制御プログラムである。
本発明の第11の態様によれば、この制御プログラムを実行するコンピュータにより制御される水処理設備において、前述した本発明の第3の態様と同様の作用効果が得られる。
本発明の第12の態様は、水処理設備と、前記水処理設備で処理される被処理水の水質指標を計測する計測器と、前記水処理設備を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記水質指標と前記水質指標に対して因果関係がない汚濁成分の濃度との相関が被処理水にあるか否かを定期的に行う前記被処理水のサンプル分析の結果から判定する相関判定手段と、前記相関があることを条件として、前記被処理水の直近一定期間における前記水質指標の計測値の分布を統計解析し、その統計解析の結果と前記相関に基づいて、前記被処理水の前記汚濁成分の濃度を推定する第1汚濁成分濃度推定手段と、推定した前記被処理水の前記汚濁成分の濃度に基づいて、前記水処理設備の運転条件を決定する運転条件決定手段と、を含む、ことを特徴とする水処理システムである。
本発明の第12の態様によれば、水処理設備において、前述した本発明の第1の態様と同様の作用効果が得られる。
本発明の第13の態様は、前述した本発明の第12の態様において、前記制御装置は、前記相関がないことを条件として、過去の全ての前記被処理水のサンプル分析における前記汚濁成分の濃度の分布を統計解析し、その統計解析の結果に基づいて、前記被処理水の前記汚濁成分の濃度を推定する第2汚濁成分濃度推定手段をさらに含む、ことを特徴とする水処理システムである。
本発明の第13の態様によれば、水処理設備において、前述した本発明の第3の態様と同様の作用効果が得られる。
<水処理装置の構成>
「水処理設備」の一例として水処理装置10の構成について、図1を参照しながら説明する。
図1は、水処理装置10の構成を図示したブロック図である。
制御装置20は、RO膜分離装置11へ供給される被処理水の温度が所望の温度になるように、温度センサ14の出力信号に基づいて給水加温装置13を制御する。また制御装置20は、RO膜分離装置11による水回収率が所望の水回収率となるように、第1流量センサ16及び第2流量センサ17の出力信号に基づいて、RO膜分離装置11及び高圧ポンプ15を制御する。そして制御装置20は、RO膜分離装置11へ供給される被処理水の温度、RO膜分離装置11による水回収率を、導電率センサ12が検出する被処理水の導電率に基づいて最適な値に設定する。導電率センサ12による被処理水の導電率の計測は、一定の周期で繰り返し行われ、その導電率計測値のデータは、制御装置20の記憶装置(図示せず)に全て記憶されて蓄積される。
図2は、水処理装置10の制御手順を図示したフローチャートである。
まず被処理水の導電率とシリカ(SiO2)濃度との間に相関があるか否かを定期的に行う被処理水のサンプル分析の結果から判定する。このサンプル分析は、例えば作業者が一日、一週間あるいは一ヶ月に一回程度の頻度で、被処理水のサンプルを採取し、その採取したサンプルの導電率の計測とシリカ濃度の分析を行う。そして一定数蓄積されたサンプル分析結果のデータから、被処理水の導電率とシリカ濃度との相関係数を算出し、その相関係数から両者の間に相関があるか否かを判定する(図2のステップS1)。
図3は、被処理水の導電率とシリカ濃度とのサンプル分析データの一例を図示した散布図及び直近1ヶ月における被処理水の導電率計測値の度数分布を図示したものである。
例えば被処理水の発生源や発生プロセスに一時的に何らかの変動が生ずると、被処理水の成分比率に変動が生ずる可能性があり、それによって被処理水の導電率とシリカ濃度との間の相関関係が一時的に成立しなくなることもあり得る。そして被処理水の導電率とシリカ濃度との間に相関関係が成立しない場合には、前述した第1汚濁成分濃度推定手順によって、つまり被処理水の導電率に基づいて被処理水のシリカ濃度を推定することが困難になる。したがってそのような場合には、例えば被処理水の導電率とシリカ濃度との相関係数の絶対値が0.5未満であることを条件として(図2のステップS2でNo)、暫定的に、過去の全ての被処理水のサンプル分析における被処理水のシリカ濃度の分布を統計解析する(図2のステップS5)。そしてその統計解析の結果に基づいて被処理水のシリカ濃度を推定する(図2のステップS6)。つまり過去のサンプル分析におけるシリカ濃度の蓄積データに基づいて、被処理水のシリカ濃度を統計的に推定する。
上記説明した第1汚濁成分濃度推定手順又は第2汚濁成分濃度推定手順のいずれかによって推定した被処理水のシリカ濃度に基づいて、被処理水を処理する水処理設備10の運転条件を決定する(図2のステップS7)。より具体的には、被処理水のシリカ濃度の最大値Ymに基づいて、例えばRO膜分離装置11の水回収率を設定し、例えばRO膜分離装置11へ供給する処理水の温度を設定する。このRO膜分離装置11の水回収率の設定、RO膜分離装置11へ供給する処理水の温度の設定は、例えば作業者が手作業で行ってもよいし、制御装置20のコンピュータで実行されるプログラムによって自動設定するようにしてもよい。
上記説明した水処理装置の制御手順によれば、被処理水の導電率から、その導電率に対して因果関係がない被処理水のシリカ濃度を高精度に推定することができるので、高価な計測装置を設けることなく、被処理水のシリカ濃度の変動を的確に把握することができる。そして推定したそのシリカ濃度に基づいて、RO膜分離装置11の水回収率やRO膜分離装置11へ供給する被処理水の温度を決定することによって、被処理水のシリカ濃度の変動に的確に対応した最適な運転条件で水処理装置10を運用して大幅な節水を実現することができる。
本発明は、上記説明した実施例に特に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
11 RO膜分離装置
12 導電率センサ
13 給水加温装置
14 温度センサ
15 高圧ポンプ
16 第1流量センサ
17 第2流量センサ
20 制御装置
Claims (13)
- 水質指標と前記水質指標に対して因果関係がない汚濁成分の濃度との相関が被処理水にあるか否かを定期的に行う前記被処理水のサンプル分析の結果から判定する相関判定工程と、
前記相関があることを条件として、前記被処理水の直近一定期間における前記水質指標の計測値の分布を統計解析し、その統計解析の結果と前記相関に基づいて、前記被処理水の前記汚濁成分の濃度を推定する第1汚濁成分濃度推定工程と、
推定した前記被処理水の前記汚濁成分の濃度に基づいて、前記被処理水を処理する水処理設備の運転条件を決定する運転条件決定工程と、を含む、水処理設備の制御方法。 - 請求項1に記載の水処理設備の制御方法において、前記第1汚濁成分濃度推定工程は、前記被処理水のサンプル分析の結果を回帰分析して回帰直線及びその予測限界を求め、前記被処理水の直近一定期間における前記水質指標の計測値の分布の平均値と標準偏差を統計解析によって求め、その平均値と標準偏差に基づいて設定した出現確率に収まる前記水質指標の計測値の最大値を求め、前記回帰直線の予測限界及び前記水質指標の計測値の最大値に基づいて、前記被処理水の前記汚濁成分の濃度を推定する工程を含む、ことを特徴とする水処理設備の制御方法。
- 請求項1又は2に記載の水処理設備の制御方法において、前記相関がないことを条件として、過去の全ての前記被処理水のサンプル分析における前記汚濁成分の濃度の分布を統計解析し、その統計解析の結果に基づいて、前記被処理水の前記汚濁成分の濃度を推定する第2汚濁成分濃度推定工程をさらに含む、ことを特徴とする水処理設備の制御方法。
- 請求項3に記載の水処理設備の制御方法において、前記第2汚濁成分濃度推定工程は、過去の全ての前記被処理水のサンプル分析における前記汚濁成分の濃度の分布の平均値と標準偏差を統計解析によって求め、その平均値と標準偏差に基づいて設定した出現確率に収まる前記汚濁成分の濃度の最大値を求め、それを前記被処理水の前記汚濁成分の濃度と推定する工程を含む、ことを特徴とする水処理設備の制御方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の水処理設備の制御方法において、前記水質指標は前記被処理水の導電率である、ことを特徴とする水処理設備の制御方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の水処理設備の制御方法において、前記水質指標は前記被処理水の濁度である、ことを特徴とする水処理設備の制御方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の水処理設備の制御方法において、前記水質指標は前記被処理水の吸光度である、ことを特徴とする水処理設備の制御方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の水処理設備の制御方法において、前記水質指標は前記被処理水の水素イオン指数である、ことを特徴とする水処理設備の制御方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の水処理設備の制御方法において、前記水質指標は前記被処理水の酸化還元電位である、ことを特徴とする水処理設備の制御方法。
- 水質指標と前記水質指標に対して因果関係がない汚濁成分の濃度との相関が被処理水にあるか否かを定期的に行う前記被処理水のサンプル分析の結果から判定する相関判定手順と、
前記相関があることを条件として、前記被処理水の直近一定期間における前記水質指標の計測値の分布を統計解析し、その統計解析の結果と前記相関に基づいて、前記被処理水の前記汚濁成分の濃度を推定する第1汚濁成分濃度推定手順と、
推定した前記被処理水の前記汚濁成分の濃度に基づいて、前記被処理水を処理する水処理設備の運転条件を決定する運転条件決定手順と、をコンピュータに実行させる、水処理設備の制御プログラム。 - 請求項10に記載の水処理設備の制御プログラムにおいて、前記相関がないことを条件として、過去の全ての前記被処理水のサンプル分析における前記汚濁成分の濃度の分布を統計解析し、その統計解析の結果に基づいて、前記被処理水の前記汚濁成分の濃度を推定する第2汚濁成分濃度推定手順をコンピュータに実行させる、ことを特徴とする水処理設備の制御プログラム。
- 水処理設備と、
前記水処理設備で処理される被処理水の水質指標を計測する計測器と、
前記水処理設備を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記水質指標と前記水質指標に対して因果関係がない汚濁成分の濃度との相関が被処理水にあるか否かを定期的に行う前記被処理水のサンプル分析の結果から判定する相関判定手段と、
前記相関があることを条件として、前記被処理水の直近一定期間における前記水質指標の計測値の分布を統計解析し、その統計解析の結果と前記相関に基づいて、前記被処理水の前記汚濁成分の濃度を推定する第1汚濁成分濃度推定手段と、
推定した前記被処理水の前記汚濁成分の濃度に基づいて、前記水処理設備の運転条件を決定する運転条件決定手段と、を含む、ことを特徴とする水処理システム。 - 請求項12に記載の水処理システムにおいて、前記制御装置は、前記相関がないことを条件として、過去の全ての前記被処理水のサンプル分析における前記汚濁成分の濃度の分布を統計解析し、その統計解析の結果に基づいて、前記被処理水の前記汚濁成分の濃度を推定する第2汚濁成分濃度推定手段をさらに含む、ことを特徴とする水処理システム。
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