JP2014003953A - 風味が強化された魚介系抽出物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】好ましい風味、特に肉質香が強化された魚介系抽出物を製造する方法の提供。
【解決手段】本発明は、魚介類の煮汁、エキス、だし又はそれらの任意の混合物を、硫黄化合物の存在下で曝気しながら加熱することを含んで成る、魚介抽出物の製造方法、を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、魚介類の煮汁、エキス、だし又はそれらの任意の混合物を、硫黄化合物の存在下で曝気しながら加熱することを含んで成る、魚介抽出物の製造方法、を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、曝気下で硫黄化合物とともに加熱することにより、好ましい風味、特に肉質香が強化された魚介系抽出物を製造する方法及び当該方法により製造される魚介系抽出物、に関する。
魚介類から得られるだし等の抽出物は、麺つゆ、ぽん酢、お吸い物、煮物等の調味料として使用されており、うま味の付与と共に、香ばしい香り、燻煙香、肉質的な香り等の風味を付与することに寄与している。
しかしながら、だし本来の好ましい風味は、抽出後から経時的に失われ、抽出工程後の高温による加熱殺菌等を経て劣化し得る。このような品質劣化の原因の一つに、抽出物自体の酸化がある。従来、酸化を防止して風味の劣化を防ぐために、製造工程において、抽出物中の溶存酸素を脱気して減少させる方法、溶存酸素を不活性ガス等で置換する方法、だし液の対流や撹拌等を極力避けて酸素の取り込みを減らす方法、抽出を窒素が充填された密閉容器で行う方法等、種々の試みがなされてきた(特開平4−58868号公報、特開昭62−210961号公報)。
抽出物自体の品質劣化に加え、当該抽出物が添加されるつゆやぽん酢も経時的に品質が劣化する。例えば、つゆ等の液体は通常瓶等の容器で保存されるが、調理等への使用までに長期間保管される結果、酸化が進行する。このような経時的な風味の低減又は劣化を考慮して、抽出に使用される魚節等のだし原料の量を増やし、予め風味を増強することもできるが、原料の増大はコストの観点から好ましくない。また、原料を増大すると好ましい風味のみならず、だしの後味に残る特有の苦味や渋味、魚臭等の好ましくない風味も同時に増強されてしまい、香味バランス上の問題もある。
本発明は、好ましい風味、特に肉質香が強化された魚介系抽出物を製造する方法及び当該方法により製造される魚介系抽出物を提供することを課題とする。
上述のとおり、調味料・エキスの製造においては一般的に酸化は望まれない現象であり、従来は酸化防止の努力がなされてきた。しかしながら、本発明者らがかかる課題を解決するために魚介系抽出物の製造方法について考察した結果、従来風味を低下又は劣化させる原因と考えられていた酸素が特徴的な風味の付与に寄与することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本願は以下の発明を包含する。
[1]魚介類の煮汁、エキス、だし又はそれらの任意の混合物を、硫黄化合物の存在下で曝気しながら加熱することを含んで成る、魚介抽出物の製造方法。
[2]前記煮汁、エキス、だし又はそれらの任意の混合物1kgあたり酸素を0.0002L〜0.2L/分供給することで曝気される、[1]に記載の製造方法。
[3]前記加熱が65℃以上100℃以下で行われる、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記加熱が6時間以上48時間以下行われる、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記硫黄化合物が前記混合物に対し0.1〜10質量%添加される、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]前記硫黄化合物がメチオニン、シスチン、システイン及びグルタチオンから成る群から選択される、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]前記加熱が密閉または略密閉状態で行われる、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の製造法により製造される魚介系抽出物。
[9][8]に記載の魚介系抽出物を含む液体調味料。
[1]魚介類の煮汁、エキス、だし又はそれらの任意の混合物を、硫黄化合物の存在下で曝気しながら加熱することを含んで成る、魚介抽出物の製造方法。
[2]前記煮汁、エキス、だし又はそれらの任意の混合物1kgあたり酸素を0.0002L〜0.2L/分供給することで曝気される、[1]に記載の製造方法。
[3]前記加熱が65℃以上100℃以下で行われる、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記加熱が6時間以上48時間以下行われる、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記硫黄化合物が前記混合物に対し0.1〜10質量%添加される、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]前記硫黄化合物がメチオニン、シスチン、システイン及びグルタチオンから成る群から選択される、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]前記加熱が密閉または略密閉状態で行われる、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の製造法により製造される魚介系抽出物。
[9][8]に記載の魚介系抽出物を含む液体調味料。
上述のとおり、従来の魚介抽出物の製造において、酸化は忌避されていた現象であった。しかしながら、本発明の製造方法によれば、魚介抽出物の製造において従来品質劣化の原因と考えられていた酸素を積極的に抽出液に送り込み、硫黄化合物の存在下で加熱することで好ましい風味、特に肉質香が増強される。当該方法により製造された抽出物は風味のバランスもよく、通常節風味が増強された場合に残る苦味や渋味等の増大も見られない。
好気性微生物を用いた発酵食品の製造において、風味への良い影響を期待して曝気の工程が採用されることもあり、例えば、醤油を製造する際に曝気工程を導入すると、短期間に良好な品質の醤油を得ることが出来る(特許1174010号)。しかしながら、本発明は、通気によって、これらとは異なる機構で風味への影響を与えることが出来るものである。
本発明の製造方法により得られる魚介系抽出物によれば、当該抽出物が配合される食品の風味の低下を見越して予め当該食品の風味を増強することが可能となる。所望とする風味を長期間維持することができるため、当該魚介系抽出物は製造後に店舗・家庭で長期間保存される調味料類にも好適に配合され得る。
本発明は第一の観点において、魚介類の煮汁、エキス、だし又はそれらの任意の混合物(以下、単に「煮汁等」と称することもある)を、硫黄化合物の存在下で曝気しながら加熱することを含んで成る、魚介抽出物の製造方法を提供する。煮汁等の原材料として使用される魚介類としては、限定することを意図するものではないが、かつお、まぐろ、さば、あじ、いわし等が挙げられる。特にこれらの中でも、かつおやまぐろが好ましい。本明細書で使用する場合、「魚介類の煮汁」とは、魚介類の加工品、例えば、魚節や缶詰を製造する際に得られる煮汁を意味する。具体的な態様において、魚介類の煮汁はかつお節製造時の煮熟液、缶詰製造時の蒸煮液等であってもよい。
本発明において、上記煮汁に限らず、魚介類のエキスやだしを使用してもよい。煮汁、エキス、及びだしはそれぞれ単独で使用することもでき、あるいは任意の混合物として使用することもできる。所望とする風味を損なわない限り、これらの煮汁等に、昆布等の海藻類、椎茸等のきのこ類、及び/又は牛肉、豚肉、鶏肉等の肉類に由来する抽出物を添加してもよい。
ここで、エキスとは、魚節又は魚介原料から、水、アルコール又はそれらの混合物等を用いて抽出すること等により製造されるものであって、原料由来の成分を含有しているものを意味する。また、だしとはエキスの中でも特に、かつお節等の節類を削ったものや、煮干し類等からその味を水に溶出させて、粕を除去したもの、を意味する。
前記煮汁等は硫黄化合物とともに加熱される。本発明で使用する硫黄化合物は、構成元素に硫黄を含むものであればよく、例えば、メチオニン、シスチン、システイン、グルタチオン又はそれらの塩、水和物、若しくは、カルボニル化合物、糖類等が結合した誘導体等が意図される。更に、グルタチオンの場合、還元型又は酸化型のいずれでもよい。メチオニン、シスチン、システインおよびグルタチオンは、煮汁、エキスおよびだしと混合・溶解させるのに適しており、曝気工程を含んだ本発明の製造方法に適している。しかしながら、本発明で使用可能な硫黄化合物は上記化合物自体に限定されず、硫黄成分を含有する限り、動植物由来のタンパク質の加水分解産物、例えばペプチドやアミノ酸、更には核酸、より具体的には酵母エキス等、食品業界で一般的に使用されているものが意図される。硫黄化合物以外にも、製造される魚介抽出物を添加する食品の種類に応じて適宜調味料類を添加してもよい。
硫黄化合物を煮汁等に加えるタイミングは特に限定されず、例えば、加熱前に予め煮汁等に添加し、そして/あるいは加熱開始後に添加してもよい。硫黄化合物の添加量は当業者により適宜決定される。しかしながら、コストや香味バランスの観点から、硫黄化合物は煮汁等に対し0.1〜10質量%添加するのが好ましい。更に好ましくは、当該添加量は0.5〜5質量%である。
前記煮汁等を加熱する際の曝気処理は、煮汁等に強制的に酸素又は空気を送り込むことで行われる。例えば、ポンプから送り込まれた空気をマイクロバブル発生器から煮汁等に通気させることで、効率的に曝気を行うことができる。さらには、ポンプを使用して煮汁等を缶体で循環させることによっても、効率的な曝気は可能である。1分あたり供給する酸素は、煮汁等1kg当たり0.0002L以上であれば十分曝気の効果を達成することができる。好ましい態様において、1分あたりの酸素の供給量は0.002〜0.2Lである。酸素を供給する装置は市販のものを使用することができる。酸素の代わりに空気を使用する場合、空気中の酸素濃度は20%程度であるため、当該供給量は酸素の5倍量、すなわち、0.001L以上であればよく、好ましくは0.01〜1Lである。より曝気させる観点から、酸素がより取り込まれるよう、煮汁等を撹拌しながら加熱するのが好ましい。なお、曝気処理にあたっては、煮汁等のみでなく、そこに醤油や糖が加えられていることは効果に影響しない。また、曝気のみ、加熱のみ、硫黄化合物の添加のみでは効果がなく、それらを組み合わせることで効果を発揮することが出来る。
煮汁等の加熱は、所望の程度の風味が得られる条件で実施される。例えば、肉質香、焙乾香、及び甘い香り、特に肉質香を強化することが所望とされる場合、煮汁等は65℃〜100℃で6時間〜48時間の曝気下で加熱される。なお、この加熱および曝気は連続的でも断続的でも良い。好ましい態様において、加熱条件は12時間〜48時間、温度は70℃〜90℃である。しかしながら、最適な加熱条件は所望とする風味の変化に応じて適宜変更されるべきものであり、上記の好ましい範囲に限定されない。またここでの加熱とは、エネルギーを加えることにより、目的とする温度に到達あるいは維持しようとする行為を指す。
硫黄化合物の存在下、曝気しながら煮汁等を加熱することができる限り、当該加熱を行う容器の形状は特に限定されない。例えば、食品の製造に使用される一般的な缶体(タンク)等を使用することができる。しかしながら、加熱の際に蒸気と共に風味が漏れるため、得られる抽出物に効率的に香味を付与する観点からは容器内を密閉又は略密閉の状態で加熱することが好ましい。ここで、略密閉とは、完全ではないが密閉度が高く自由に気体が出入りすることを防ぐ機構となっていることを意味する。略密閉状態を達成する手段として、例えば、容器が蓋で一部又は全部覆われており、蓋を開閉しなければ気体の出入りを実質的に防ぐことができる機構を備えたものを採用できる。ただし、ここでいう略密閉状態は、製造の途中に若干、当該蓋が開閉される状態を排除しない。すなわち、自由に気体が出入りできる状態でなければ略密閉状態に含まれる。また、略密閉状態を達成するためには、容器を蓋で覆う手段以外の機構を採用してもよい。容器内が密閉又は略密閉の状態での好ましい曝気方式としては、煮汁等に接液した後に缶体等の空寸部分に滞留している空気を循環させることにより、風味の減少を防止する方式が挙げられる。
ここで、本明細書で使用する「肉質香」、「焙乾香」、及び「甘い香り」なる表現は、本願出願人が日本調理学会の平成20年度大会にて発表した「だしフレーバーホイール」で採用された表現である。当該だしフレーバーホイールによれば、肉質香は、ツナ臭、干物臭、焼き魚感、金属臭、血合臭、生臭さ、サラミ臭、及びマツタケ様の臭いを、焙乾香は、ピーナッツ、ゴマを炒った臭い、カラメル臭、お茶のような臭い、硫黄臭を、そして甘い香りは、バニラ様の臭い、ハニー様のフルーティーな臭い、カラメル臭を伴うものとして分類されている。
本発明の製造方法によれば、1又は複数の種類の上記風味、特にツナ臭、干物臭、焼き魚感、血合臭、ピーナッツ、ゴマを炒った臭い等、とりわけツナ臭、干物臭が強化された魚介抽出物が得られる。更に、当該魚介抽出物は嗜好性の高い好ましい風味も強化される。本発明の製造方法により得られる魚介抽出物の風味の増大は、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)の結果によっても裏付けられている。具体的には、当該抽出物をGC−MSにかけた結果、本発明の製造方法を実施する前の煮汁等と比較して、調理香や肉質香と関連している「ジメチルトリスルフィド」の増大が確認された。
本発明は第二の観点において、前記製造方法により得られた魚介抽出物を提供する。当該抽出物は、加熱工程終了後に濾過、殺菌、濃縮、粉末化等の工程にかけられたものも包含する。本発明の製造方法により得られる魚介抽出物は種々の食品、例えば液体調味料製品の風味を増強するのに使用することができる。ここで、液体調味料製品とは、例えば、ぽん酢、つゆ、たれ、ドレッシング、調味酢などを指す。
以下、具体例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明はこれにより限定されるものではない。
(硫黄化合物の添加量の検討)
かつお節の煮熟工程で産出された煮汁900kgと硫黄化合物としてメチオニンを加えタンク内で混合した。その混合液に対し、85℃24時間加熱し、混合物1kgあたり0.1L/分で曝気した。本実施例における「曝気」には空気を使用した。具体的な硫黄化合物の添加量と曝気後に得られたかつお節抽出物の風味の変化についての官能検査結果を以下の表に示す。
かつお節の煮熟工程で産出された煮汁900kgと硫黄化合物としてメチオニンを加えタンク内で混合した。その混合液に対し、85℃24時間加熱し、混合物1kgあたり0.1L/分で曝気した。本実施例における「曝気」には空気を使用した。具体的な硫黄化合物の添加量と曝気後に得られたかつお節抽出物の風味の変化についての官能検査結果を以下の表に示す。
(曝気処理における通気量の検討)
かつお節の煮熟工程で産出された煮汁900kgと、硫黄化合物としてのメチオニン10kgを加えタンク内で混合した。その混合液に対し、85℃で24時間加熱した。当該加熱はタンクを密閉状態にして行った。具体的な通気量と、曝気後に得られたかつお節抽出物の風味の変化についての官能検査結果を以下の表に示す。
かつお節の煮熟工程で産出された煮汁900kgと、硫黄化合物としてのメチオニン10kgを加えタンク内で混合した。その混合液に対し、85℃で24時間加熱した。当該加熱はタンクを密閉状態にして行った。具体的な通気量と、曝気後に得られたかつお節抽出物の風味の変化についての官能検査結果を以下の表に示す。
(加熱時間及び加熱温度の検討)
かつお節の煮熟工程で産出された煮汁900kgと、硫黄化合物としてのメチオニン10kgを加えタンク内で混合した。その混合液に対し、液1kgあたり0.01L/分の空気を供給しながら85℃で加熱した。当該加熱はタンクを密閉状態にして行った。具体的な加熱時間と、加熱後に得られたかつお節抽出物の風味の変化についての官能検査結果を以下の表に示す。
かつお節の煮熟工程で産出された煮汁900kgと、硫黄化合物としてのメチオニン10kgを加えタンク内で混合した。その混合液に対し、液1kgあたり0.01L/分の空気を供給しながら85℃で加熱した。当該加熱はタンクを密閉状態にして行った。具体的な加熱時間と、加熱後に得られたかつお節抽出物の風味の変化についての官能検査結果を以下の表に示す。
表3の結果から明らかとおり、85℃で加熱した場合、6時間以上の加熱で風味の変化が確認された。
加熱温度についても、20〜100℃の範囲において検討した。加熱時間は24時間とした。結果を以下に示す。
(官能検査)
原料として鰹エキスを、そして硫黄化合物としてメチオニンを用い、空気を0.01L/分供給しながら85℃で24時間の加熱条件で抽出物を得た。その他の条件は上述したものと同様である。得られた抽出物について、ミツカングループ本社内の訓練されたパネラー(9名)を使用して官能検査を実施した。
原料として鰹エキスを、そして硫黄化合物としてメチオニンを用い、空気を0.01L/分供給しながら85℃で24時間の加熱条件で抽出物を得た。その他の条件は上述したものと同様である。得られた抽出物について、ミツカングループ本社内の訓練されたパネラー(9名)を使用して官能検査を実施した。
評価は、曝気処理していないサンプルを基準とし、曝気処理した抽出物を口にした時の評価を上記だしフレーバーホイール上の風味について「非常に弱い」「かなり弱い」「やや弱い」「同じ」「やや強い」「かなり強い」「非常に強い」の7段階で実施し、それぞれを−3点(非常に弱い)〜+3点(非常に強い)と換算して算出した。「嗜好」はだしフレーバーホイールの項目にはないが、食品を評価する際の重要な要素であるため評価項目に追加され、「非常に好き」〜「非常に嫌い」の7段階で評価された。
その結果、曝気処理をせずに同様の条件で加熱したサンプルと比較した場合、曝気処理して得られた本発明の抽出物は、以下の風味に変化が見られた。評価者9名の平均点とともに結果を以下に示す。
表5の結果から、本発明の製造方法により得られた抽出物は、曝気処理により特にツナ臭、干物臭等の肉質香が顕著に増強され、嗜好性も増大したことが分かる。また、かつお節の煮汁のみならず、かつお節からだし取りをして得られただし、まぐろのエキスや煮汁を出発材料とした場合でも同様に風味が変化した。更に、硫黄化合物として、メチオニンの他、シスチン、システイン、グルタチオンを使用した場合でも期待する効果が得られた。さらに本発明の製造方法により得られた抽出物を0.5%添加したつゆおよびぽん酢においても、同様の風味向上効果が得られた。
本発明の製造方法によれば、風味、特に肉質香が強化された魚介抽出物が得られる。当該魚介抽出物は、経時的に失われるつゆやぽん酢の風味を増強するために好適に使用することができる。
Claims (9)
- 魚介類の煮汁、エキス、だし又はそれらの任意の混合物を、硫黄化合物の存在下で曝気しながら加熱することを含んで成る、魚介抽出物の製造方法。
- 前記煮汁、エキス、だし又はそれらの任意の混合物1kgあたり酸素を0.0002L〜0.2L/分供給することで曝気される、請求項1に記載の製造方法。
- 前記加熱が65℃以上100℃以下で行われる、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記加熱が6時間以上48時間以下行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記硫黄化合物が前記混合物に対し0.1〜10質量%添加される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記硫黄化合物がメチオニン、シスチン、システイン及びグルタチオンから成る群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記加熱が密閉又は略密閉状態で行われる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造法により製造される魚介系抽出物。
- 請求項8に記載の魚介系抽出物を含む液体調味料。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012143146A JP2014003953A (ja) | 2012-06-26 | 2012-06-26 | 風味が強化された魚介系抽出物の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015181355A (ja) * | 2014-03-20 | 2015-10-22 | 宝酒造株式会社 | 液状魚節抽出物含有調味料、固体状魚節抽出物含有調味料、液状風味増強剤、並びに、固体状風味増強剤 |
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2012
- 2012-06-26 JP JP2012143146A patent/JP2014003953A/ja active Pending
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